JP2021011398A - 酸化チタン粉体、並びに、それを用いた分散液および化粧料 - Google Patents

酸化チタン粉体、並びに、それを用いた分散液および化粧料 Download PDF

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Abstract

【課題】化粧料に配合された場合に、隠蔽力に優れ、かつ、見る角度により色の見え方が異なる現象が抑制された酸化チタン粉体、並びに、それを用いた分散液および化粧料を提供する。【解決手段】本発明の酸化チタン粉体は、BET比表面積が5m2/g以上かつ15m2/g以下であり、単結晶の酸化チタン粒子からなり、L*a*b*色空間におけるL*値が90以上であり、酸化チタンの含有率が99.0質量%以上であり、結晶相がアナターゼ型である。【選択図】なし

Description

本発明は、化粧料に好適な、酸化チタン粉体、並びに、それを用いた分散液および化粧料に関する。
従来、肌を所望の色味に調節し、毛穴等を隠して肌を滑らかに見せるために、ファンデーション等のベースメイク化粧料が広く使用されている。一般的に、ベースメイク化粧料には、肌の色味を調節するために顔料が含まれている。顔料としては、酸化チタン粉体が多用されている。
ベースメイク化粧料に用いられる酸化チタン粉体としては、例えば、紡錘状の酸化チタン粒子(例えば、特許文献1参照)や、八面体状の酸化チタン粒子(例えば、特許文献2参照)が知られている。
特開平10−139434号公報 国際公開第2018/003851号
しかしながら、特許文献1の酸化チタン粉体を含むファンデーションを肌に塗布すると、隠蔽力には優れるものの、肌を見る角度によって色の見え方が異なるという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、化粧料に配合された場合に、隠蔽力に優れ、かつ、見る角度により色の見え方が異なる現象が抑制された酸化チタン粉体、並びに、それを用いた分散液および化粧料を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の酸化チタン粉体は、BET比表面積が5m/g以上かつ15m/g以下である酸化チタン粉体であって、前記酸化チタン粉体は、単結晶の酸化チタン粒子からなり、L色空間におけるL値が90以上であり、酸化チタンの含有率が99.0質量%以上であり、結晶相がアナターゼ型であることを特徴とする。
本発明の分散液は、本発明の酸化チタン粉体と、分散媒と、を含むことを特徴とする。
本発明の化粧料は、本発明の酸化チタン粉体と、化粧品基剤と、を含むことを特徴とする。
本発明の酸化チタン粉体によれば、化粧料に配合して肌に塗布した場合に、隠蔽力に優れ、かつ、見る角度により色の見え方が異なる現象が抑制された酸化チタン粉体、並びに、それを用いた分散液および化粧料を提供できる。
本発明の分散液によれば、この分散液を含む化粧料を肌に塗布した場合に、隠蔽力に優れ、かつ、見る角度により色の見え方が異なる現象が抑制される。
本発明の化粧料によれば、肌に塗布した場合に、隠蔽力に優れ、かつ、見る角度により色の見え方が異なる現象が抑制される。
平均摩擦係数測定前の状態を示す模式図である。 平均摩擦係数測定後の状態を示す模式図である。
本発明の酸化チタン粉体、並びに、それを用いた分散液および化粧料の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をよりよく理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
[酸化チタン粉体]
本実施形態の酸化チタン粉体は、BET比表面積が5m/g以上かつ15m/g以下であり、前記酸化チタン粉体は、単結晶の酸化チタン粒子からなり、L色空間におけるL値が90以上であり、酸化チタンの含有率が99.0質量%以上であり、結晶相がアナターゼ型である。
すなわち、本発明者等は、所定の大きさを有し、白色度が高く、かつ純度が高いアナターゼ型の単結晶の酸化チタン粒子からなる粉体を用いれば、隠蔽力に優れ、かつ、見る角度により色の見え方が異なる現象が抑制される化粧料を得られることを見出した。
(酸化チタン粒子)
本実施形態の酸化チタン粉体は、単結晶の酸化チタン粒子の集合体である。
本実施形態の酸化チタン粉体が、単結晶の酸化チタン粒子で構成されることにより、酸化チタン粉体の屈折率が向上して光散乱性に優れる。そのため、化粧料に配合されたときに、隠蔽力をより向上させることができる。
ここで、酸化チタン粉体の結晶性、すなわち、酸化チタン粒子が単結晶であるか否かは、以下の方法により確認することができる。
(結晶性(単結晶と多結晶の判別方法))
酸化チタン粒子が単結晶か多結晶であるかは、電界放射型透過電子顕微鏡(FE−TEM)を用いて、粒子の結晶軸を観察することにより確認することができる。結晶のどの位置であっても、結晶軸の方向が変わらないものは単結晶であり、結晶の位置によって結晶軸の方向が変わるものは多結晶である。
(BET比表面積)
本実施形態の酸化チタン粉体のBET比表面積は、5m/g以上かつ15m/g以下であり、5m/g以上かつ13m/g以下であることが好ましい。
酸化チタン粉体のBET比表面積が5m/g以上かつ15m/g以下であると、隠蔽力と透明感を有しながら、酸化チタン粒子特有の青白さをより低減させることができる点で有利である。また、酸化チタン粉体のBET比表面積が5m/g未満では、光散乱により透明感が低下する。一方、酸化チタン粉体のBET比表面積が15m/gを超えると、短波長の光散乱強度が長波長の光散乱強度と比較して増大し、青白さが増大する。
BET比表面積の測定方法としては、例えば、全自動比表面積測定装置(商品名:BELSORP−MiniII、マイクロトラック・ベル社製)を用い、BET多点法による窒素吸着等温線から測定する方法が挙げられる。
(粒度分布)
上記酸化チタン粒子の一次粒子径の体積粒度分布の累積体積百分率が10%の場合の値(d10)を、累積体積百分率が50%の場合の値(d50)で除した値(d10/d50)(以下、「d10/d50」と略記する場合がある。)は、0.3以上かつ1以下であることが好ましい。d10/d50の下限は、0.4以上であってもよく、0.5以上であってもよい。d10/d50の上限は、0.9以下であってもよく、0.8以下であってもよく、0.7以下であってもよく、0.6以下であってもよい。
d10/d50が上記範囲であることにより、化粧料に配合された場合に、より隠蔽力に優れた化粧料が得られる。
d10、d50は、以下の手順で求められる。50個の酸化チタン粉体の一次粒子径を測定する。測定された前記一次粒子径を3乗し、定数を掛けて体積とする。定数は酸化チタン粒子の形状に応じて適宜決定すればよい。例を挙げると、八以上の面を有する多面体形状の場合の定数は0.145であり、球状の場合の定数は4.19(4π/3)である。測定された前記一次粒子径と、計算により求めた体積値を用いて、前記一次粒子径の体積粒度分布を算出する。d10は累積10%時の、d50は累積50%時の前記一次粒子径を意味する。
ここで、酸化チタン粒子の一次粒子径とは、酸化チタン粒子の最長の直線部分(最大長径)を意味する。例えば、球状の酸化チタン粒子の一次粒子径は直径を意味する。例えば、棒状の酸化チタン粒子の一次粒子径は、長手方向の最長の直線部分を意味する。例えば、八面体状の酸化チタン粒子の一次粒子径は、向かい合う2個の頂点を結ぶ線分(以下、「頂点間距離」と称することがある。)の最大値を意味する。なお、前記向かい合う2個の頂点は、隣り合う頂点ではない。すなわち、前記2個の頂点において、頂点と頂点を結ぶ線分は、粒子の表面を通らず、粒子の内部を通る線分である。互いに最も遠い位置にある頂点の組み合わせによって、前記最大値が得られる。
酸化チタン粒子の一次粒子径は、以下の方法で求められる。本実施形態の酸化チタン粉体を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した場合に、酸化チタン粒子を所定数、例えば、200個、100個、あるいは50個を選び出す。そして、これら酸化チタン粒子各々の最長の直線部分(最大長径)を測定することにより得ることができる。
なお、酸化チタン粒子同士が凝集している場合には、この凝集体の凝集粒子径を測定するのではない。この凝集体を構成している酸化チタン粒子(一次粒子)を測定し、一次粒子径とする。
本実施形態の酸化チタン粉体のd50は、BET比表面積とd10/d50が上記範囲であれば特に限定されず、BET比表面積を所定の範囲にするためには、100nm以上かつ1000nm以下であることが好ましく、150nm以上かつ800nm以下であることがより好ましく、200nm以上かつ700nm以下であることがさらに好ましく、250nm以上かつ600nm以下であることが最も好ましい。なお、d50は、本実施形態の酸化チタン粉体の平均一次粒子径に相当する。
(酸化チタンの含有率)
本実施形態における酸化チタンの含有率は99.0質量%以上である。本実施形態における酸化チタンの含有率は、医薬部外品原料規格2006(外原規)に記載されている「53.二酸化チタン定量法」に準ずる測定方法求でめることができる。
試料(酸化チタン粉体)を乾燥し、その約0.2gを精密に量り、500mLの三角フラスコに入れ、3mL〜5mLの水を加え振り混ぜた後、硫酸30mL及び硫酸アンモニウム12gを加え、初めは徐々に加熱し、次に強く加熱して溶かす。冷後、液の温度が50℃以上にならないように注意しながら水120mLと塩酸40mLとを加え、よく振り混ぜて溶解する。金属アルミニウム3gを加えて水素ガスを発生させ、ゴム栓付U字管をさし込み、他端は炭酸水素ナトリウム溶液(飽和)を入れた広口瓶にさし込む。金属アルミニウムが完全に溶けて液が透明な紫色になってから、しばらく放冷した後、流水で50℃以下になるまで冷却する。ゴム栓付U字管を取り外し、指示薬としてチオシアン酸カリウム溶液(飽和)3mLを加え、ただちに0.1mol/L硫酸第二鉄アンモニウム液で滴定し、液の淡褐色が約30秒間消えない点を終点とする。0.1mol/L硫酸第二鉄アンモニウム液1mL=7.987mgTiOとして、試料(酸化チタン粉体)に含まれる酸化チタンの量を算出し、酸化チタンの含有率を求める。
酸化チタンの含有率は、99.1質量%以上であることが好ましく、99.2質量%以上であることがより好ましく、99.3質量%以上であることがさらに好ましい。なお、上限は100質量%である。
酸化チタン粉体中における酸化チタンの含有率が99.0質量%以上となるほど高純度であることにより、化粧料に配合された場合に、少ない添加量で光を散乱することができるため、化粧料に配合した場合、隠蔽力と透明感が優れる。なお、本実施形態の酸化チタン粒子は、異元素がドープされた酸化チタン粒子を含まない。すなわち、本実施形態の酸化チタン粉体は、TiとOの合計含有量が99.0質量%以上である。
(結晶相)
本実施形態の酸化チタン粉体の結晶相は、アナターゼ型である。酸化チタン粉体の結晶相が、アナターゼ型であると、酸化チタン粉体を含む化粧料を肌に塗布した場合に、隠蔽力がより高まり、化粧品基剤と混合した場合に、人の肌の色味に近い色が得られる点で有利である。
酸化チタン粉体がアナターゼ型であることは、例えば、X線回折装置(商品名:X’Pert PRO、スペクトリス社製)により確認することができる。X線回折装置による測定結果が、アナターゼ単相であれば、酸化チタン粉体がアナターゼ型である。
(結晶化度)
本実施形態の酸化チタン粉体は、結晶化度が0.95以上であることが好ましく、0.96以上であることがより好ましく、0.97以上であることがさらに好ましく、0.98以上であることが最も好ましい。本実施形態の酸化チタン粉体の結晶化度の上限は、1.0である。
結晶化度が0.95以上であると、酸化チタン粒子の屈折率が高くなり光散乱強度が増大し、少ない添加量で光を散乱させることができるため、化粧料に配合した場合、隠蔽力と透明感が優れる。
酸化チタン粉体の結晶化度は、X線回折(X−ray diffraction、XRD)により測定することができる。詳細には、まず、X線回折装置(商品名:X’Pert PRO MPS、PANalytical社製)を用いて、X線源としてCuKα線を用い、出力は45kV、40mAで、回折角2θが20°から30°の範囲でX線強度を測定する。得られたX線回折パターンを、結晶質部分(ピーク)と非晶質部分(ハロー)のプロファイルフィッティングを行って、それぞれの積分強度を算出する。全積分強度に占める結晶質部分の積分強度の割合を結晶化度とする。
(L値)
本実施形態の酸化チタン粉体のL色空間におけるL値は90以上である。L値が90以上であることにより、酸化チタン粉体を化粧料に用いた場合に、肌を見る角度によって塗布色の色の見え方が異なる現象を抑制することができる。
一方で、L値が75未満の酸化チタン粉体が化粧料に配合されると、塗布色の見た目が悪くなるため好ましくない。L値が75以上かつ90未満の酸化チタン粉体が配合されると、塗布色の見た目は改善されるものの、肌を見る角度によって塗布色の色の見え方異なるため好ましくない。
値の上限値は高いほうが好ましいが、100であってもよく、99であってもよく、97であってもよく、95であってもよい。
色空間におけるL値の測定方法としては、例えば、分光変角色差計(商品名:GC5000、日本電色工業社製)を用いる方法が挙げられる。
ここで、肌を見る角度によって、色の見え方が異なる現象について説明する。
肌を見る角度によって、ファンデーション等の化粧料の色が異なって見えるのは、ファンデーションに含まれる酸化チタン粉体が、光を広範囲に散乱させることができないために発生すると考えられる。
肌を見る角度によって、塗布色の色が異なって見えると、正面から見たときは明るく見える肌の色が、斜めから見ると顔色が悪いように見えたりするため、好ましくない。
本発明者等は、上記L値が90以上である酸化チタン粉体であれば、後述する平均二乗変位値を5.0×10−5以下とすることができるため、色の見え方の角度依存性が小さく、色の見え方が異なる現象が抑制されることを見出した。
(平均二乗変位値の算出方法)
酸化チタン粉体と、顔料を含む化粧料を準備する。例えば、酸化チタン粉体6質量%と、黄色顔料0.7質量%と、赤色顔料0.2質量%と、黒色顔料0.1質量%とを含む、デカメチルシクロペンタシロキサンを基材としたO/W型のリキッドファンデーションを作製する。
このリキッドファンデーションを、ガラス基板に、スクリーン印刷で約20μmの厚さとなるように塗布する。3分間静置し、200℃のホットプレートで5分間乾燥し、厚さが約10μmの測定試料1とする。
測定試料1を、分光光度計(商品名:V−700、日本分光社製)を用いて、積分球で、波長400nm〜800nmの反射率(以下、「反射率(1)」と記す。)を測定する。反射率の測定を1nm毎に行う。
次いで、測定試料1の塗布面において、測定箇所以外(分光光度計の入射光が当たらない場所)に9mm厚の黒色スペーサを設けて、測定試料2とする。そして、測定試料1と同様に、積分球で、1nm毎に、測定試料2の波長400nm〜800nmの反射率(以下、「反射率(2)」と記す。)を測定する。
反射率(2)は、広角度で散乱する光が、積分球に到達する前に黒色スペーサに吸収されてしまうため、散乱角度が小さい光の反射率のみが測定される。
波長400nm〜800nmにおける各反射率について、反射率(1)−反射率(2)を算出することで、高角度散乱反射率(以下、「反射率(3)」と記す。)を算出する。なお、高角度散乱反射率とは、光の散乱角度が大きい反射率を意味する。
次いで、波長400nm〜800nmにおける各反射率(3)を各反射率(1)で除することにより(反射率(3)/反射率(1))、全方位の反射率に占める高角度散乱反射率の割合を算出する。
次いで、波長400nm〜800nmにおける高角度散乱反射率の割合(反射率(3)/反射率(1))の算術平均値(以下、「算術平均値(4)」と記す。)を算出する。
次いで、全方位の反射率に占める高角度散乱反射率の割合(反射率(3)/反射率(1))を算術平均値(4)で除する((反射率(3)/反射率(1)/算術平均値(4))ことにより、各波長における規格値(以下、「規格値(5)」と記す。)を求める。
各波長において、(規格値(5)−1)を算出し、各波長における二乗変位(以下、「二乗変位(6)」と記す。)を算出する。波長400nm〜800nmにおける二乗変位(6)を算術平均し、平均二乗変位値(以下、「平均二乗変位値(7)」と記す。)を算出する。
このようにして得られる平均二乗変位値(7)が小さいことは、塗布色の、色の見え方の角度依存性が小さく、肌を見る角度によって色の見え方が異なる現象が抑制されることを意味する。
(平均摩擦係数)
本実施形態の酸化チタン粉体は、1cm当たり0.245Nで測定した平均摩擦係数が0.5以下であることが好ましく、0.4以下であることがより好ましく、0.3以下であることがさらに好ましい。平均摩擦係数の下限値は0であるが、0.1以上であってもよい。
平均摩擦係数が0.5以下であると、酸化チタン粉体を化粧料に配合した場合、伸びがよく、ざらつき感が低減されるため、感触に優れる化粧料を得ることができる。
本実施形態の酸化チタン粉体の平均摩擦係数は、摩擦感テスター(型番:KES−SE、カトーテック社製)を用いて、以下の手順で測定した値である。
図1は、平均摩擦係数を測定する前の状態を示す模式図である。
図1に示すように、摩擦感テスター100は、ステージ200と、ステージ200上に配置される肌模型基板300と、肌模型基板300上に配置される酸化チタン粉体10の摩擦係数を測定するピアノ線センサー400と、ピアノ線センサー400で測定した摩擦係数を検出する検出部500と、を備える。
図1に示すように、ステージ200上にて、酸化チタン粉体10を1g載せた肌模型基板(頬部肌模型30代(φ55mm×5Tmm)、ビューラックス社製)300を、酸化チタン粉体10が、1cmピアノ線センサー(装置標準)400の下に来るように配置する。全ての酸化チタン粉体10がピアノ線センサー400の下に配置される必要があるため、酸化チタン粉体10は、肌模型基板300上に1cm以内の範囲に配置する。次いで、ピアノ線センサー400を酸化チタン粉体10に、25g荷重(25×10−3kg×9.8m/s=0.245N)となるように接触させる。次いで、ステージ200上にて、肌模型基板300を1mm/sの速度で水平方向に30mm移動させることで、酸化チタン粉体10の平均摩擦係数を測定することができる。
図2は、ステージ上にて、酸化チタン粉体を載せた肌模型基板を水平方向に移動させ後の状態を示す模式図である。
本実施形態の酸化チタン粉体の二次粒子径は、1μm以上かつ10μm以下であることが好ましく、2μm以上かつ9μm以下であることがより好ましく、3μm以上かつ8μm以下であることがさらに好ましく、4μm以上かつ8μm以下であることが最も好ましい。
二次粒子の平均粒子径が1μm以上かつ10μm以下であると、肌に塗布した時にざらつき感が抑制され、感触に優れる点で好ましい。
二次粒子の平均粒子径が1μm未満では、平均一次粒子径が小さくなってしまい、隠蔽力や透明感が得られなくなるため、好ましくない。一方、二次粒子の平均粒子径が10μmを超えると肌に塗布した時にざらつき感があり、感触が悪くなるため好ましくない。
なお、本実施形態における感触とは、例えば、酸化チタン粉体を配合した化粧料を肌に塗布した時に、その化粧料が塗布された肌に手指で触れた感触のことである。
本実施形態の酸化チタン粒子の「平均二次粒子径」とは、以下の方法で求められる数値である。すなわち、本実施形態の酸化チタン粉体を、粒度分布測定装置 MASTERSIZER3000(Malvern社製)を用いて、乾式測定する。得られた粒度分布の累積体積百分率が50%の場合の粒子径(d50)が、本実施形態の平均二次粒子径である。
(表面処理)
本実施形態の酸化チタン粉体は、無機化合物および有機化合物のいずれかを表面に有していてもよい。
酸化チタン粒子表面に、無機化合物および有機化合物のいずれかを付着する方法としては、例えば、表面処理剤を用いて表面処理する方法等が挙げられる。
表面処理剤としては、化粧料に用いることができるものであれば、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。表面処理剤としては、例えば、無機成分、有機成分等が挙げられる。
無機成分としては、無機酸化物が挙げられる。例えば、シリカ、アルミナ等が挙げられる。
有機成分としては、例えば、シリコーン化合物、オルガノポリシロキサン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、脂肪酸エステル、有機チタネート化合物、界面活性剤、非シリコーン化合物等が挙げられる。これらの有機成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
シリコーン化合物としては、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーンオイル;メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等のアルキルシラン;トリフルオロメチルエチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン等のフルオロアルキルシラン;メチコン、ハイドロゲンジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン、(アクリレーツ/アクリル酸トリデシル/メタクリル酸トリエトキシシリルプロピル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー、トリエトキシカプリリルシラン等が挙げられる。また、シリコーン化合物としては、化合物の単量体でもよく、共重合体であってもよい。これらのシリコーン化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
脂肪酸としては、例えば、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ロジン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
脂肪酸石鹸としては、例えば、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸アルミニウム等が挙げられる。
脂肪酸エステルとしては、例えば、デキストリン脂肪酸エステル、コレステロール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル等が挙げられる。
有機チタネート化合物としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(ドデシル)ベンゼンスルホニルチタネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ−トリ(ジオクチル)ホスフェイトチタネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ−トリネオドデカノイルチタネート等が挙げられる。
本実施形態の酸化チタン粉体によれば、酸化チタン粉体を含む化粧料が肌に塗布された場合に、隠蔽力に優れ、かつ、肌を見る角度によって色の見え方が異なる現象が抑制される。また、本実施形態の酸化チタン粉体によれば、酸化チタン粉体を含む化粧料が肌に塗布された場合に、隠蔽力に加えて、透明感にも優れ、酸化チタン粒子特有の青白さが低減された、自然な仕上がりを得ることができる。
[酸化チタン粉体の製造方法]
本実施形態の酸化チタン粉体の製造方法は、チタンアルコキシドの加水分解生成物またはチタン金属塩の加水分解生成物と、窒素を含む五員環を有する化合物とを混合して反応溶液を調製し、この反応溶液を水熱合成することにより酸化チタン粒子を生成させる第1工程を有する。
また、本実施形態の酸化チタン粉体の製造方法は、必要に応じて、第1工程で得られた水熱合成後の酸化チタン粒子を含む反応溶液と、水熱合成前の第1工程と同じ反応溶液とを、混合し、水熱合成をする第2工程を有する。
また、本実施形態の酸化チタン粉体の製造方法は、第1工程または第2工程で得られた反応溶液を洗浄し、650℃以上かつ850℃以下で焼成することにより、有機物を除去する第3工程を有する。
また、本実施形態の酸化チタン粉体の製造方法は、第3工程で得られた酸化チタン粉体を解砕する第4工程を有する。
(第1工程)
第1工程は、酸化チタン粒子を作製する工程である。
第1工程は、チタンアルコキシドの加水分解生成物またはチタン金属塩の加水分解生成物と、窒素を含む五員環を有する化合物とを混合して反応溶液(スラリー)を調製し、この反応溶液を水熱合成することにより酸化チタン粒子を生成させる工程である。
(チタンアルコキシドの加水分解生成物またはチタン金属塩の加水分解生成物)
チタンアルコキシドの加水分解生成物またはチタン金属塩の加水分解生成物は、チタンアルコキシドまたはチタン金属塩を加水分解することにより得られる。
加水分解生成物は、例えば、白色の固体であるケーキ状固体であり、メタチタン酸やオルトチタン酸と呼ばれる含水酸化チタンである。
チタンアルコキシドとしては、例えば、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラノルマルプロポキシチタン、テトラノルマルブトキシチタン等が挙げられる。これらのチタンアルコキシドは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、入手が容易であり、加水分解速度が制御しやすい点から、テトライソプロポキシチタン、テトラノルマルブトキシチタンが好ましく、テトライソプロポキシチタンがより好ましい。
チタン金属塩としては、例えば、四塩化チタン、硫酸チタン等が挙げられる。これらのチタン金属塩は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、本実施形態において、高純度のアナターゼ型の酸化チタン粒子を得るためには、高純度のチタンアルコキシドまたは高純度のチタン金属塩を用いることが好ましい。
加水分解生成物は、アルコール類、塩酸、硫酸等の副生成物を含む。
副生成物は、酸化チタン粒子の核生成や結晶成長を阻害するため、加水分解生成物を純水で洗浄することが好ましい。
加水分解生成物の洗浄方法としては、例えば、デカンテーション、ヌッチェ法、限外濾過法等が挙げられる。
(窒素を含む五員環を有する化合物)
窒素を含む五員環を有する化合物は、反応溶液のpH調整剤としての機能と、水熱合成の触媒としての機能のために、反応溶液に含まれる。
窒素を含む五員環を有する化合物としては、例えば、ピロール、イミダゾール、インドール、プリン、ピロリジン、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、フラザン、カルバゾール、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等が挙げられる。これらの窒素を含む五員環を有する化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、窒素を含む五員環を有する化合物としては、酸化チタン粉体の粒度分布を狭くし、結晶性をより向上させることができる点から、窒素原子を1つ含む化合物であることが好ましく、例えば、ピロール、インドール、ピロリジン、イソチアゾール、イソオキサゾール、フラザン、カルバゾール、および1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネンが好ましい。
これらの中でも、窒素を含む五員環を有する化合物としては、酸化チタン粉体の粒度分布を狭くし、結晶性をより向上させることができる点から、窒素原子を1つ含み、かつ五員環が飽和複素環構造を有する化合物であることがより好ましく、例えば、ピロリジン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネンがより好ましい。
反応溶液を調製する方法としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、撹拌機、ビーズミル、ボールミル、アトライター、ディゾルバー等を使用して混合する方法等が挙げられる。
また、反応溶液に水を添加し、反応溶液の濃度調整を行ってもよい。反応溶液に添加される水としては、例えば、脱イオン水、蒸留水、純水等が挙げられる。
反応溶液のpHは、窒素を含む五員環を有する化合物の触媒作用が適切に機能し、核生成速度が適切となる点から、9以上かつ13以下であることが好ましく、11以上かつ13以下であることがより好ましい。
反応溶液のpHが9以上かつ13以下の範囲であると、酸化チタン粒子の作製、および結晶成長の効率がよくなる。
反応溶液のpHは、窒素を含む五員環を有する化合物の含有量を制御することにより、調節することができる。
反応溶液中のチタン原子濃度は、本実施形態の酸化チタン粉体を得るために、1.25mol/L以上かつ3.0mol/L以下であり、1.5mol/L以上かつ2.5mol/L以下であることが好ましい。
換言すれば、反応溶液中の酸化チタン分の濃度が、10質量%以上かつ24質量%以下であり、12質量%以上かつ20質量%以下であることが好ましい。
反応溶液中のチタン原子濃度が、1.25mol/L以上かつ3.0mol/L以下であると、核生成速度が適切となるため、酸化チタン粒子の作製、および結晶成長の効率がよくなる。
反応溶液中のチタン原子濃度は、チタンアルコキシドの加水分解生成物またはチタン金属塩の加水分解生成物の含有量を制御することにより、調節することができる。
反応溶液中のチタン原子と窒素を含む五員環を有する化合物とのモル比(チタン原子:窒素を含む五員環を有する化合物)は、1.0:0.5〜1.0:2.0であることが好ましく、1.0:0.6〜1.0:1.8であることがより好ましく、1.0:0.7〜1.0:1.5であることがさらに好ましい。
反応溶液中のチタン原子と窒素を含む五員環を有する化合物とのモル比が上記の範囲であると、光散乱性がより高い八面体状の酸化チタン粒子を含む酸化チタン粉体を作製することができる。
水熱合成とは、反応溶液を加熱し、反応溶液中のチタンを高温高圧の熱水の存在下で反応させる方法である。
水熱合成は、オートクレーブと呼ばれる高温高圧容器に反応溶液を入れ、密閉して、オートクレーブごと加熱することにより行う。
反応溶液を加熱すると、反応溶液中の水分が蒸発することにより容器内の圧力が上昇して、高温高圧反応を行うことができる。
第1工程における水熱合成では、反応溶液を2つの異なる温度にて、それぞれ所定時間保持することにより、酸化チタン粒子を作製する。なお、第1工程における水熱合成にて、反応溶液を加熱した状態で保持する温度を加熱保持温度と言う。また、加熱保持温度のうち、低い温度を第1加熱保持温度、高い温度を第2加熱保持温度と言う。また、第1加熱保持温度を保持する時間を第1加熱保持時間、第2加熱保持温度を保持する時間を第2加熱保持時間と言う。
水熱合成における第1加熱保持温度は、100℃以上かつ200℃以下であることが好ましく、120℃以上かつ180℃以下であることがより好ましい。
水熱合成において2段階の加熱を行うことにより、粒子の生成と成長反応を分離することができ、結晶化度が高い粒子を得ることができる。つまり1段階の加熱では、温度が上昇し続けるため、生成した微粒子が成長するのと並行して新たな微粒子が生成し、充分成長していない微粒子同士の合一が起こるものと考えられる。微粒子同士の合一によって生成した粒子は、微粒子同士の界面不整合等が存在するため結晶性が低下する。水熱合成における第1加熱保持温度が上記の範囲内であると、酸化チタン微粒子が過剰に生成することを妨げることができる。
水熱合成における第1加熱保持時間は、1時間以上かつ6時間以下であることが好ましく、2時間以上かつ5時間以下であることがより好ましい。
水熱合成における第1加熱保持時間が上記の範囲内であると、生成した酸化チタン微粒子が成長して原料が消費され、第2加熱保持の間に新たな微粒子が生成することを妨げることができる。
水熱合成における第2加熱保持温度は、200℃以上かつ350℃以下であることが好ましく、200℃以上かつ300℃以下であることがより好ましい。
水熱合成における第2加熱保持温度が上記の範囲内であると、生成した酸化チタン粒子の成長反応が効率的に起こる。
水熱合成における第2加熱保持時間は、1時間以上かつ24時間以下であることが好ましく、2時間以上かつ12時間以下であることがより好ましい。
水熱合成における第2加熱保持時間が上記の範囲内であると、酸化チタン粒子が充分に成長し、生産効率にも優れている。
水熱合成における加熱速度は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。
なお、水熱合成における圧力は、高温高圧容器において反応溶液を上記の温度範囲に加熱したときの圧力である。
なお、オートクレーブでの加熱中は、攪拌装置を用いて、反応溶液を撹拌することが好ましい。
攪拌速度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100rpm以上かつ300rpm以下であることが好ましい。
(第2工程)
第2工程は、第1工程で得られた酸化チタン粒子を結晶成長させる工程である。第2工程は、得られた酸化チタン粒子の大きさが所望のものよりも小さかった場合に行う。
第2工程は、第1工程で得られた水熱合成後の酸化チタン粒子を含む反応溶液と、水熱合成前の第1工程で調製した反応溶液(チタンアルコキシドの加水分解生成物またはチタン金属塩の加水分解生成物、および窒素を含む五員環を有する化合物)とを、混合し、水熱合成をする工程である。
第1工程で得られた水熱合成後の酸化チタン粒子を含む反応溶液と、第1工程で調製した反応溶液(チタンアルコキシドの加水分解生成物またはチタン金属塩の加水分解生成物、および窒素を含む五員環を有する化合物)との混合比は、酸化チタン粒子の質量換算で1:1〜1:20であることが好ましい。
第2工程における水熱合成は、第1工程と同じ条件で行うことができる。
(第3工程)
第3工程は、第1工程または第2工程で得られた反応溶液を洗浄し、焼成することにより、有機物を除去する工程である。第3工程では、反応溶液中に残存する有機物を除去するために行われる。
洗浄工程は、第1工程または第2工程で得られた反応溶液に、pHが7となるまで酸を添加する。そして、pHが7に調整された反応溶液を、ろ液の導電率が100μS/cm以下となるまで純水で洗浄する。
酸は、反応溶液を中和することができ、後述する焼成工程後に酸化チタン粉体に残存しないものであれば特に限定されない。例えば、無機酸を用いることができ、具体的には、塩酸、硝酸、硫酸などを用いることができる。
洗浄後に、酸化チタン粒子を含む固形物を回収し、乾燥する。溶液から酸化チタンを取り出す方法としては、例えば、デカンテーション、ヌッチェ法等の固液分離する方法等が挙げられる。
固液分離により取り出した酸化チタン粒子を含む固形物は、自然乾燥させてもよく、150℃〜400℃で乾燥させてもよい。
次いで、得られた固形物を650℃以上かつ850℃以下で焼成する。上記範囲で焼成することにより、酸化チタン粒子の形状を維持しながら、有機物が除去され、L値が90以上の本実施形態の酸化チタン粉体を得ることができる。
得られた酸化チタン粉体は、必要に応じて選択される好ましい方法で保管することができる。
(第4工程)
第4工程は、第3工程で得られた酸化チタン粉体を、平均二次粒子径が1μm以上かつ10μm以下となるように解砕する。解砕する方法は特に限定されず、例えば、公知の解砕機で酸化チタン粉体を解砕する方法があげられる。解砕機としては、例えば、ピンミル、ハンマーミル、ジェットミル、インペラーミル等が挙げられる。
有機物除去後の酸化チタン粉体を取り出し、粉砕することで、本実施形態の酸化チタン粉体を得ることができる。
なお、本実施形態では、酸化チタン粉体を乾燥後に解砕する方法を例示したが、乾燥前に湿式粉砕して、乾燥する方法によっても、本実施形態の酸化チタン粉体を得ることができる。
なお、酸化チタン粒子に表面処理を行うこともできる。表面処理を行う時期は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。表面処理を行う時期としては、例えば、第2工程の後、第3工程の後、第4の工程の後が挙げられる。
表面処理の方法は、特に限定されず、使用する表面処理剤の種類に応じて、公知の方法を適宜選択することができる。
[分散液]
本実施形態の分散液は、本実施形態の酸化チタン粉体と、分散媒と、を含む。本実施形態の分散液は、必要に応じてその他の成分を含有する。
本実施形態の分散液は、低粘度の液状であっても、高粘度のペースト状であってもよい。
本実施形態の分散液における酸化チタン粉体の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。
(分散媒)
分散媒は、化粧料に配合できるものであれば、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。分散媒としては、例えば、水、アルコール類、エステル類、エーテル類、ケトン類、炭化水素、アミド類、ポリシロキサン類、ポリシロキサン類の変性体、炭化水素油、エステル油、高級脂肪酸、高級アルコール等が挙げられる。これらの分散媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、オクタノール、グリセリン等が挙げられる。
エステル類としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
エーテル類としては、例えば、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;シクロヘキサン等の環状炭化水素等が挙げられる。
アミド類としては、例えば、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
ポリシロキサン類としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン類;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン類等が挙げられる。
ポリシロキサン類の変性体としては、例えば、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等が挙げられる。
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、スクワラン、イソパラフィン、分岐鎖状軽パラフィン、ワセリン、セレシン等が挙げられる。
エステル油としては、例えば、イソプロピルミリステート、セチルイソオクタノエート、グリセリルトリオクタノエート等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が挙げられる。
高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール等が挙げられる。
(その他の成分)
その他の成分は、本実施形態の分散液の効果を損なわなければ、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。その他の成分としては、例えば、分散剤、安定剤、水溶性バインダー、増粘剤、油溶性防腐剤、紫外線吸収剤、油溶性薬剤、油溶性色素類、油溶性蛋白質類、植物油、動物油等が挙げられる。これらの成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
分散液における分散媒の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。分散媒の含有量は、本実施形態の分散液全量に対して、10質量%以上かつ99質量%以下であることが好ましく、20質量%以上かつ90質量%以下であることがより好ましく、30質量%以上かつ80質量%以下であることがさらに好ましい。
本実施形態の分散液によれば、本実施形態の分散液を含む化粧料が肌に塗布された場合に、隠蔽力に優れ、かつ、肌を見る角度によって色の見え方が異なる現象が抑制される。また、本実施形態の分散液によれば、酸化チタン粉体を含む化粧料が肌に塗布された場合に、隠蔽力に加えて、透明感にも優れ、酸化チタン粒子特有の青白さが低減された、自然な仕上がりを得ることができる。
[分散液の製造方法]
本実施形態の分散液の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を採用することができる。本実施形態の分散液の製造方法としては、例えば、本実施形態の酸化チタン粉体を、分散媒に対して、分散装置で機械的に分散させて、分散液を製造する方法等が挙げられる。
分散装置としては、例えば、撹拌機、自公転式ミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、サンドミル、ボールミル、ロールミル等が挙げられる。
[化粧料]
本実施形態の化粧料は、本実施形態の酸化チタン粉体と、化粧品基剤と、を含む。本実施形態の化粧料は、必要に応じてその他の成分を含有する。
化粧料における酸化チタン粉体の含有量は、化粧料全体に対して、0.1質量%以上かつ50質量%以下であることが好ましい。
(化粧品基剤)
化粧品基剤としては、化粧料に通常用いられるものの中から適宜選択することができ、例えば、タルク、マイカ等が挙げられる。これらの化粧品基剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
化粧料における化粧品基剤の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。
(その他の成分)
本実施形態の化粧料は、本実施形態の酸化チタン粉体、および化粧品基剤以外にも、本実施形態の効果を損なわない範囲で、その他の成分を含有することができる。
その他の成分は、化粧料に通常用いられるものの中から適宜選択することができる。その他の成分としては、例えば、溶媒、油剤、界面活性剤、保湿剤、有機紫外線吸収剤、酸化防止剤、増粘剤、香料、着色剤、生理活性成分、抗菌剤等が挙げられる。これらの成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
化粧料におけるその他の成分の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。
本実施形態の化粧料の製造方法は、特に限定されず、目的に応じて、適宜選択することができる。本実施形態の化粧料の製造方法は、例えば、酸化チタン粉体を化粧品基剤と混合し、その他の成分を混合して製造する方法、既存の化粧料に、酸化チタン粉体を混合して製造する方法、分散液を化粧品基剤と混合し、その他の成分を混合して製造する方法、既存の化粧料に分散液を混合して製造する方法等が挙げられる。
(形態)
本実施形態の化粧料の形態は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。本実施形態の化粧料の形態は、例えば、粉末状、粉末固形状、固形状、液状、ジェル状等が挙げられる。なお、化粧料の形態が液状、ジェル状の場合、化粧料の分散形態は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。ジェル状の化粧料の分散形態としては、例えば、油中水型(W/O型)エマルジョン、水中油型(O/W型)エマルジョン、油型等が挙げられる。
本実施形態の化粧料としては、例えば、ベースメイク、マニキュア、口紅等が挙げられる。これらの中でも、ベースメイクが好ましい。
ベースメイクとしては、例えば、主に肌の凹凸を軽減させる用途に用いられる化粧下地、主に肌の色味を整える用途に用いられるファンデーション、主にファンデーションの肌への定着を向上させる用途に用いられるフェイスパウダー等が挙げられる。
本実施形態の化粧料によれば、肌に塗布した場合に、隠蔽力に優れ、かつ、見る角度により色の見え方が異なる現象が抑制される。また、本実施形態の化粧料によれば、透明感を有しながら、酸化チタン粒子特有の青白さを低減できる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(酸化チタン粉体の作製)
容量2Lのガラス容器に純水1Lを入れ、攪拌しながらテトライソプロポキシチタン(商品名:A−1、日本曹達株式会社製)を2mol滴下し、チタンアルコキシドの加水分解生成物である白色懸濁液を得た。
次に、白色懸濁液をろ過して、チタンアルコキシドの加水分解生成物の固体部分である白色ケーキAを得た。
次に、オートクレーブに、白色ケーキ(A)を酸化チタン換算で2mol(160g)と、1.4molとなる量のピロリジン(関東化学株式会社製)と、純水を加えて全量1kgとして、スラリー(B1)を調製した。スラリー(B1)中の酸化チタン分の濃度は、16質量%であった。
次に、オートクレーブを用いて、スラリー(B1)を150℃にて6時間保持し、その後、260℃まで昇温し、その温度にて6時間保持し、酸化チタン粒子懸濁液(C1)を得た。
次いで、反応溶液(C1)に、pHが7となるまで35%塩酸(関東化学社製、試薬特級)を滴下した。
次いで、反応溶液をろ過し、ろ液の導電率が100μS/cm以下となるまで、純水で洗浄を繰り返した。
次いで、ろ紙上の固形物を回収し、200℃で乾燥した後に、700℃で焼成し、酸化チタン粉体を得た。
次いで、得られた酸化チタン粉体をミル(Oster社製、16speed)で解砕し、実施例1の酸化チタン粉体を得た。
(光学特性評価用の試料の作製)
実施例1の酸化チタン粉体6gと、エチルセルロース3gと、ターピネオール91gと、を3本ロールミルで混錬し、実施例1の光学特性評価用の試料を作製した。
(官能評価用の試料の作製)
実施例1の酸化チタン粉体2gと、タルク8gとを乳鉢で混合し、実施例1の官能評価用の試料を作製した。
(ファンデーションの作製)
実施例1の酸化チタン粉体6質量部と、シクロペンタシロキサン(商品名:NIKKOL ニコムルス WO、日光ケミカルズ社製)5.0質量部と、シクロペンタシロキサン(商品名:KF−995、信越化学工業社製)22.05質量部と、(ダイマージリノール酸/ステアリン酸/ヒドロキシステアリン酸)ポリグリセリル−10(商品名:NIKKOL GS−WHO、日光ケミカルズ社製)3.0質量部と、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(商品名:KF−56A、信越化学工業社製)1.0質量部と、ジメチコン(商品名:XF49−813、モメンティブパフォーマンス社製)1.0質量部と、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー(商品名:KP−545、信越シリコーン社製)1.0質量部と、黄色顔料(酸化鉄、トリエトキシカプリリルシラン)0.7質量部と、赤色顔料(酸化鉄、トリエトキシカプリリルシラン)0.2質量部と、黒色顔料(酸化鉄、トリエトキシカプリリルシラン)0.1質量部と、メチコン処理タルク(商品名:Si−2 TALC JA−46R、三好化成社製)2.0質量部と、シリカ、(1,4−ブタンジオール/コハク酸/アジピン酸/HDI)コポリマー(商品名:NIKKOL NIKKOSPHERE−BSAH、日光ケミカルズ社製)3.0質量部と、をディスパーミキサーで均一に混合し、油相とした。
フェノキシエタノール0.4質量部と、プロパンジオール4.0質量部と、塩化ナトリウム0.5質量部と、EDTA−2Naを0.05質量部と、水50質量部と、を混合し、水相とした。
前記油相をディスパーミキサー2000rpmで撹拌しているところに、前記水相を徐々に添加した。次いで、回転数を4000rpmにあげ、5分間乳化し、実施例1のO/W型のリキッドファンデーションを作製した。
[実施例2]
(酸化チタン粉体の作製)
オートクレーブを用いて、スラリー(B1)を170℃にて6時間保持し、その後、260℃まで昇温し、その温度にて6時間保持しこと以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン粒子懸濁液(C2)を得た。
得られた酸化チタン粒子懸濁液(C2)を、実施例1と同様に洗浄を繰り返し、200℃で乾燥し、700℃で焼成し、解砕することで、実施例2の酸化チタン粉体を得た。
(化粧料等の作製)
実施例1と同様にして、実施例2の光学特性評価用の試料と、官能評価用の試料と、ファンデーションをそれぞれ作製した。
[実施例3]
(酸化チタン粉体の作製)
オートクレーブを用いて、スラリー(B1)を130℃にて6時間保持し、その後、260℃まで昇温し、その温度にて6時間保持したこと以外は、実施例1と同様にして、酸化チタン粒子懸濁液(C3)を得た。
得られた酸化チタン粒子懸濁液(C3)を、実施例1と同様に洗浄を繰り返し、200℃で乾燥し、700℃で焼成し、解砕することで、実施例3の酸化チタン粉体を得た。
(化粧料等の作製)
実施例1と同様にして、実施例3の光学特性評価用の試料と、官能評価用の試料と、ファンデーションをそれぞれ作製した。
[実施例4]
実施例1において、700℃で焼成する替わりに800℃で焼成した以外は実施例1と同様にして、実施例4の酸化チタン粉体を得た。
(化粧料等の作製)
実施例1と同様にして、実施例4の光学特性評価用の試料と、官能評価用の試料と、ファンデーションをそれぞれ作製した。
[比較例1]
(酸化チタン粉体の作製)
容量2Lのガラス容器に純水1Lを入れ、攪拌しながらテトライソプロポキシチタン(商品名:A−1、日本曹達株式会社製)を1mol滴下し、チタンアルコキシドの加水分解生成物である白色懸濁液を得た。
次に、白色懸濁液をろ過して、チタンアルコキシドの加水分解生成物の固体部分である白色ケーキ(X)を得た。
次に、オートクレーブに、白色ケーキにおける酸化チタン1molに対して0.7molとなる量のピロリジン(関東化学株式会社製)と、白色ケーキ(X)とを入れ、純水を加えて全量1kgとし、スラリー(B11)を調製した。
次に、オートクレーブを用いて、スラリー(B11)を220℃で9時間保持して、酸化チタン粒子を含む反応溶液(C11)を得た。
次に、オートクレーブに、上記の白色懸濁液(C11)100g(酸化チタンを8g含む)と、白色ケーキ(X)を酸化チタン換算で1mol(80g)と、0.7molとなる量のピロリジン(関東化学株式会社製)と、純水を加えて全量1kgとして、スラリー(B12)を調製した。
次に、オートクレーブを用いて、スラリー(B12)を220℃にて9時間保持し、酸化チタン粒子懸濁液(C12)を得た。
得られた酸化チタン粒子懸濁液(C12)を固液分離し、固体を200℃で乾燥させ、比較例1の酸化チタン粉体を得た。
(化粧料等の作製)
実施例1と同様にして、比較例1の光学特性評価用の試料と、官能評価用の試料と、ファンデーションをそれぞれ作製した。
[比較例2]
(酸化チタン粉体の作製)
オートクレーブに、比較例1の作製過程で得られる酸化チタン粒子を含む反応溶液(C12)100g(酸化チタンを8.8g含む)と、白色ケーキ(X)を酸化チタン換算で1mol(80g)と、0.7molとなる量のピロリジン(関東化学株式会社製)と、純水を加えて全量1kgとして、スラリー(B13)を調製した。
次に、オートクレーブを用いて、スラリー(B13)を220℃にて9時間保持し、酸化チタン粒子懸濁液(C13)を得た。
得られた酸化チタン粒子懸濁液(C13)を固液分離し、固体を200℃で乾燥させ、比較例2の酸化チタン粉体を得た。
(化粧料等の作製)
実施例1と同様にして、比較例2の光学特性評価用の試料と、官能評価用の試料と、ファンデーションをそれぞれ作製した。
[比較例3]
比較例3として、比表面積が7.0m/gのアナターゼ型酸化チタン粉体(型番:ST−K4、住友大阪セメント社製)を用いた。
(化粧料等の作製)
実施例1と同様にして、比較例3の光学特性評価用の試料と、官能評価用の試料と、ファンデーションをそれぞれ作製した。
[評価]
(BET比表面積の測定)
実施例1〜実施例4並びに比較例1〜比較例3の酸化チタン粉体のBET比表面積を、比表面積計(商品名:BELSORP−mini、日本ベル株式会社製)を使用して測定した。結果を表1に示す。
(結晶性)
実施例1〜実施例4並びに比較例1〜比較例3の酸化チタン粉体の結晶性を電界放射型透過電子顕微鏡(FE−TEM)(商品名:JEM−2100F、日本電子株式会社製)で確認した。結果を表1に示す。
(粒度分布の測定)
走査型電子顕微鏡(SEM)(商品名:JSM−7200F、日本電子社製)で、実施例1〜実施例4並びに比較例1〜比較例3に含まれる酸化チタン粒子をそれぞれ50個観察した。得られた一次粒子径を3乗し、定数0.145をかけてそれぞれの酸化チタン粒子の体積を算出した。一次粒子径とその体積値を用いて体積粒度分布を算出した。得られた体積粒度分布の、累積体積百分率が10%の場合の一次粒子径(d50)と、累積体積百分率が50%の場合の一次粒子径(d50)を算出し、d10/d50を算出した。結果を表1に示す。
(酸化チタンの含有率)
実施例1〜実施例4並びに比較例1〜比較例3の酸化チタン粉体における酸化チタンの含有率を、医薬部外品原料規格2006(外原規)に記載されている「53.二酸化チタン定量法」に準じて測定した。結果を表1に示す。
(酸化チタン粒子の結晶相の同定)
実施例1〜実施例4並びに比較例1〜比較例3の酸化チタン粉体の結晶相を、X線回折装置(商品名:X’Pert Pro、スペクトリス社製)を用いて同定した。結果を表1に示す。
(酸化チタン粉体の結晶化度の測定)
実施例1〜実施例4並びに比較例1〜比較例3の酸化チタン粉体の結晶化度を次のようにして測定した。X線回折装置(商品名:X’Pert PRO MPS、PANalytical社製)を用いて、X線源としてCuKα線を用い、出力は45kV、40mAで、回折角2θが20°から30°の範囲でX線強度を測定した。得られたX線回折パターンを、結晶質部分(ピーク)と非晶質部分(ハロー)のプロファイルフィッティングを行って、それぞれの積分強度を算出した。次いで、全積分強度に占める結晶質部分の積分強度の割合を結晶化度とした。結果を表1に示す。
(L値の評価)
実施例1〜実施例4並びに比較例1〜比較例3の酸化チタン粉体のL値を、分光変角色差計(商品名:GC5000、日本電色工業社製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
(平均摩擦係数の測定)
実施例1〜実施例4並びに比較例1〜比較例3の酸化チタン粉体の平均摩擦係数を以下の手順で測定した。
肌模型基板(頬部肌模型30代(φ55mm×5Tmm)、ビューラックス社製)に、それぞれ酸化チタン粉体1gを載せた。
次いで、摩擦感テスター(型番:KES−SE、カトーテック社製)の、1cmピアノ線センサー(装置標準)の下に、酸化チタン粉体を1g載せた肌模型基板に配置した。
次いで、25g荷重(0.245N)となるようにセンサーを酸化チタン粉体に接触させた状態で、1mm/sの速度で、基板を水平方向に30mm移動させることで、平均摩擦係数を測定した。結果を表1に示す。
(平均二次粒子径の評価)
実施例1〜実施例4並びに比較例1〜比較例3の酸化チタン粉体の平均二次粒子径を、粒度分布測定装置 MASTERSIZER3000(Malvern社製)を用いて測定した。すなわち、乾式測定により、体積粒度分布d50を得た。結果を表1に示す。
(青白さ、透明感、隠蔽力の評価)
実施例1〜実施例4並びに比較例1〜比較例3の光学特性評価用の試料を、それぞれ5cm角基板(商品名:HELIOPLATE HD−6、Helioscreen社製)に、12mg〜14mgとなるように塗布し、塗布基板を作製した。
分光光度計(型番;UV−3150、株式会社島津製作所製)を用いて、塗布基板の拡散透過スペクトル(TT)、拡散反射スペクトル(TR)、および直線反射スペクトル(R)を測定し、以下の指標を用いて評価した。いずれも、光の入射方向は塗布面から測定し、反射スペクトルは硫酸バリウム粉体(関東化学社製 特級)を圧縮した成形板を基準として測定した。
結果を表1に示す。
(青白さ)
450nmにおける拡散反射率(TR450nm)と、550nmにおける拡散反射率(TR550nm)との比率(TR450nm/TR550nm)を青白さの指標とした。比率が1より大きくなればなるほど青白いと言えるため、TR450nm/TR550nmの値は小さいほど好ましい。
なお、青白さの指標と、人の見た目との相関を表2に示す。
(透明感)
550nmにおける直線反射率(R550nm)と、550nmにおける拡散反射率(TR550nm)との比率(R550nm/TR550nm)を透明感の指標とした。比率が小さいほど透明感が高いため、値が小さいほど好ましい。
なお、透明感の指標と、人の見た目との相関を表2に示す。
(隠蔽力)
550nmにおける拡散反射率(TR550nm)を隠蔽力の指標とした。大きい場合、隠蔽力が大きいと言えるため、値が大きいほうが好ましい。
なお、隠蔽力の指標と、人の見た目との相関を、表2に示す。
Figure 2021011398
Figure 2021011398
(伸びの評価)
実施例1〜実施例4並びに比較例1の官能評価用の試料をそれぞれ肌に塗布し、比較例1に比べて、実施例1〜4の官能評価用の試料の伸びがよいか、10人で評価した。その結果、10人とも実施例1〜実施例4の官能評価用の試料の方が比較例1の官能評価用の試料よりも伸びがよいと評価した。
(感触の評価)
実施例1〜実施例4並びに比較例1〜比較例3の官能評価用の試料を人の肌に塗布した。塗布された人間が、ざらつきがなく感触がよいと感じた場合を「○」と評価し、塗布された人間が、ざらつきがあり感触が悪いと感じた場合を「×」と評価した。「○」は評価がよいことを示し、「×」は評価が悪いことを示す。
(平均二乗変位値の評価)
実施例1〜実施例4並びに比較例1〜比較例3の酸化チタン粉体のファンデーションを、それぞれガラス基板に、スクリーン印刷で約20μmの厚さとなるように塗布した。3分間静置し、200℃のホットプレートで5分間乾燥し、厚さが約10μmの測定試料1とした。
測定試料1を、分光光度計(商品名:V−700、日本分光社製)を用いて、積分球で、波長400nm〜800nmの反射率(反射率(1))を測定した。
次いで、測定試料1の塗布面において、測定箇所以外に9mm厚の黒色スペーサを設けて、測定試料2とした。
測定試料1と同様に、積分球で、測定試料2の波長400nm〜800nmの反射率(反射率(2))を測定した。
波長400nm〜800nmにおける反射率について、反射率(1)−反射率(2)を算出し、高角度反射率(反射率(3))を算出した。
次いで、波長400nm〜800nmにおいて、反射率(3)÷反射率(1)を算出し、全方位の反射率に占める高角度散乱反射率の割合(反射率(3)/反射率(1))を算出した。
次いで、波長400nm〜800nmにおける高角度散乱反射率の割合(反射率(3)/反射率(1))の算術平均値(算術平均値(4))を算出した。
次いで、全方位の反射率に占める高角度散乱反射率の割合(反射率(3)/反射率(1))を、算術平均値(4)で除する((反射率(3)/反射率(1)/算術平均値(4))ことにより、規格値(規格値(5))を求めた。
各波長において、(規格値(5)−1)を算出し、各波長における二乗変位(二乗変位(6))を算出した。
次いで、波長400nm〜800nmにおける二乗変位(6)を算術平均し、平均二乗変位値(平均二乗変位値(7))を算出した。
(角度依存性の評価)
実施例1〜実施例4のファンデーションと、比較例1のファンデーションを、それぞれ顔に塗布し、正面から観察した時と、斜め45度から観察した時の塗布色の色の違いを目視で評価した。
その結果、実施例1〜実施例4のファンデーションは、正面から観察しても、斜め45度から観察しても、塗布色の色は同等に見えた。
一方で、比較例1のファンデーションは、正面から観察した時と比較すると、斜め45度から観察した時は、塗布色が青っぽく、血色が悪いように見えた。
実施例1〜実施例4と、比較例1〜比較例3とを比較することにより、BET比表面積が5m/g以上かつ15m/g以下で、単結晶の酸化チタン粒子からなり、L色空間におけるL値が90以上であり、酸化チタンの含有率が99.0質量%以上であり、結晶相がアナターゼ型である酸化チタン粉体は、隠蔽力に優れ、見る角度によって色の見え方が異なって見える現象が抑制されていることが確認された。また、化粧料にした時の透明感も有し、酸化チタン粒子特有の青白さが低減できることが確認された。
本発明の酸化チタン粉体は、BET比表面積が5m/g以上かつ15m/g以下であり、単結晶の酸化チタン粒子からなり、L色空間におけるL値が90以上であり、酸化チタンの含有率が99.0質量%以上であり、結晶相がアナターゼ型であるため、肌に塗布した場合に、隠蔽力に優れ、見る角度によって色の見え方が異なって見える現象が抑制される。そのため、ファンデーション等のベースメイク化粧料に好適に用いることができる。また、本発明の酸化チタン粉体は、白色顔料としての性能にも優れるため、白色インキ等の工業用途に用いることもでき、その工業的価値は大きい。
10 酸化チタン粉体
100 摩擦感テスター
200 ステージ
300 肌模型基板
400 ピアノ線センサー
500 検出部

Claims (7)

  1. BET比表面積が5m/g以上かつ15m/g以下である酸化チタン粉体であって、
    前記酸化チタン粉体は、単結晶の酸化チタン粒子からなり、
    色空間におけるL値が90以上であり、
    酸化チタンの含有率が99.0質量%以上であり、
    結晶相がアナターゼ型であることを特徴とする酸化チタン粉体。
  2. 結晶化度が0.95以上であることを特徴とする請求項1に記載の酸化チタン粉体。
  3. 前記酸化チタン粒子の一次粒子径の粒度分布の累積体積百分率が10%の場合の値(d10)を、粒度分布の累積体積百分率が50%の場合の値(d50)で除した値(d10/d50)が、0.3以上かつ1以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の酸化チタン粉体。
  4. 1cm当たり0.245Nで測定した平均摩擦係数が0.5以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸化チタン粉体。
  5. 無機化合物および有機化合物のいずれかを表面に有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の酸化チタン粉体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の酸化チタン粉体と、分散媒と、を含むことを特徴
    とする分散液。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の酸化チタン粉体と、化粧品基剤と、を含むことを
    特徴とする化粧料。
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