JP2011240620A - 積層板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属合金層と樹脂層が強固に接合しており、且つ加工性の良い積層板を提供する。
【解決手段】新NMTの3条件を満たすようにSUS304ステンレス板とAZ31Bマグネシウム板を表面処理する。2mm厚のAZ31Bマグネシウム板の両面にPA6フィルムを面接着させ、さらにこれらのPA6フィルムの外面に0.15mm厚SUS304ステンレス鋼薄板を面接着した交互積層板(SUS304/PA6/AZ31B/PA6/SUS304)は厚さ2.3mm、比重2.5以下であり、超軽量ながらも最外層がステンレスであるため耐食性に優れ、外観は金属質(ステンレスそのもの)であり、曲げ弾性率も高かった。
【選択図】図2

Description

本発明は、輸送機器、電気機器、医療機器、及び一般機械等の製造分野において使用できる積層板とその製造方法に関する。本発明は、金属合金薄板間に熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂層を設けた積層板に関するものであり、金属合金薄板間に繊維強化熱可塑性プラスチック(以下「FRTP(Fiber Reinforced Thermo-Plasticsの略)」という)からなる層を設けた積層板を含む。
本発明者らは図1に示すCFRPとアルミニウム合金薄板を交互に積層した大型の交互積層板を開発した(非特許文献1)。この交互積層板は、特許文献1に示すNAT(Nano Adhesion Technologyの略)という金属合金に関する高度な接着剤接合技術を利用して作成したものであり、CFRPとアルミニウム合金薄板とがエポキシ接着剤を介して面接着した物である。500mm×50mmのA5052アルミニウム合金薄板5枚とCFRP4枚を交互に積層して得られた約3mm厚の交互積層板である。このようなアルミニウム合金薄板とCFRPからなる大型の交互積層板は、従来技術では得られなかった複合材料であり、超軽量であると共に鋼材に近い強固な物性を示し、金属外観を有し、実用的な耐熱性を有し、且つ、ボルト止めやネジ止めも可能になる板状材である。
WO2008/114669 A1(AlのNAT) 特開2007−050630(Al,Mg) WO2008/069252A1(Mg) WO2008/047811A1(Cu) WO2008/078714A1(Ti) WO2008/081933A1(SUS) WO2009/011398A1(Fe) WO2009/031632(逆新NMT) 特開2009−101563
「機械要素技術展」アルミとCFRPを積層した高比強度の複合材,大成プラスと東レが共同開発中、Internet URL http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090624/172218/?ST 「炭素繊維/PEEK複合材料の破壊靭性と熱膨張係数」1993年、名古屋工業大学博士論文、学位記番号第101号、ユン・ホギュ
このような軽量且つ高剛性の積層板は、輸送機器のボディやモバイル用電子機器の筐体等に好適に使用されるが、その際、板材としての加工性が重要視される。しかしながら、このような交互積層板ではアルミニウム合金薄板とCFRPがエポキシ樹脂の硬化物を介して接合されている。従って、エポキシ樹脂硬化後の曲面加工が出来ず、鋼板等に較べ後加工性で劣るという問題がある。本発明はこのような技術背景のもとになされたものであり、その目的は金属合金層と樹脂層が強固に接合しており、且つ加工性の良い積層板を提供することにある。
[樹脂層]
本発明では、前述した後加工性の問題を解消すべく、エポキシ接着剤に代えて熱可塑性樹脂を使用し、マトリックス樹脂として通常エポキシ樹脂が使用されているCFRPに代えてFRTPを使用した。このように、樹脂層を熱硬化性樹脂ではなく熱可塑性樹脂で構成した積層板を作成することが可能であれば、一旦、金属合金薄板と樹脂を積層して積層板を得た後に、その積層板を熱プレス機の使用で曲面化することができる。これにより、後加工性が劇的に改善され、その用途は大幅に広がる。
本発明では、FRPに使われるマトリックス樹脂を熱可塑性樹脂に転換した物、即ちFRTPを使用する。即ち、CFRPではマトリックス樹脂にエポキシ樹脂が使われ、ガラス繊維強化プラスチック(以下「GFRP(Glass-Fiber Reinforced Plasticsの略)」という)では通常不飽和ポリエステル樹脂が使われるが、これらの樹脂を熱可塑性樹脂に転換したFRTPを本発明における樹脂層とすることができる。
FRTPのうち、ガラス繊維強化熱可塑性プラスチック(以下「GFRTP(Glass-Fiber Reinforced Thermo-Plasticsの略)」という)は既に知られた技術であり、作成可能で市販品が存在する。一方、炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(以下「CFRTP(Carbon-Fiber Reinforced Thermo-Plasticsの略)」という)は未だ市販品がない。CFRTPは現在、炭素繊維メーカー各社が開発中の物であり市中に量産品が供給されていない。
ガラス繊維に関しては、繊維と熱可塑性樹脂の間の接着性を向上させる為に各種のシランカップリング剤が既に多数開発され、熱可塑性樹脂強化用にガラス繊維を使用する場合にはガラス繊維にシランカップリング剤を前もって塗布する。要するに、ガラス繊維の熱可塑性樹脂用表面処理技術は既に確立されている。これに対し炭素繊維は、エポキシ樹脂をマトリックス樹脂とするCFRP用として業界成長を続けて来た面が強く、現行の表面処理法はエポキシ樹脂向けである。炭素繊維各社は各種熱可塑性樹脂との接着性を最適化する表面処理法を開発中であるが未だ製品(CFRTP材又はCFRTPプリプレグ)を市中に出すところまで進んでおらず、その意味で熱可塑性樹脂用表面処理法が確立されたとは言い難い。
本発明では、樹脂層を構成する樹脂として、ポリアミド樹脂、液晶ポリマー、ポリブチレンテレフタレート樹脂(以下「PBT」という)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(以下「PPS」という)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(以下「PEEK」という)等の硬質で結晶性の熱可塑性樹脂を使用する。これら熱可塑性樹脂各々に対応した炭素繊維の表面処理法が確立され各種CFRTPが供給されるようになれば、本発明の樹脂層として使用できる。
[金属合金層と樹脂層の接合方法]
前述した「NAT」では、エポキシ接着剤によって金属合金薄板同士を接合している。本発明らは「NAT」以前に、結晶性熱可塑性樹脂、例えばPPSやPBT等の高強度エンジニアリングプラスチックを、所定の表面構造を有する金属合金に射出し、射出成形品と当該金属合金表面を強固に接合する方法を開発している。本発明者らはこのような接合を「射出接合」と称し、この接合技術を「新NMT(New Nano Molding Technology)」と称している。以下、「新NMT」の概略を説明する。
(新NMT)
「新NMT」では金属合金に関して3条件があり、射出接合に使用する熱可塑性樹脂に関して1条件がある。金属合金側に必要な3条件を以下に示す。
(1)第1条件は、最新型のダイナミックモード型の走査型プローブ顕微鏡で金属合金表面を走査したときに、RSmが0.8〜10μmであり、Rzが0.2〜5μmである粗度面となっていることである。ここでRSmは、日本工業規格(JIS B 0601:2001, ISO 4287:1997)に規定される輪郭曲線要素の平均長さであり、Rzは、日本工業規格(JIS B 0601:2001, ISO 4287:1997)に規定される最大高さである。本発明者等は、この粗度面を「ミクロンオーダーの粗度を有する表面」と称す。
(2)第2条件は、上記ミクロンオーダーの粗度を有する金属合金表面に、さらに5nm周期以上の超微細凹凸が形成されていることである。当該条件を具備するために、上記金属合金表面に微細エッチングを行い、前述のミクロンオーダーの粗度をなす凹部内壁面に5〜500nm、好ましくは10〜300nm、より好ましくは30〜100nm(最適値は50〜70nm)周期の超微細凹凸を形成する。
(3)第3条件は、上記金属合金の表層がセラミック質であることである。具体的には、元来耐食性のある金属合金種に関しては、その表層が自然酸化層レベルかそれ以上の厚さの金属酸化物層であることを要し、耐食性が比較的低い金属合金種(例えばマグネシウム合金や一般鋼材等)では、その表層が化成処理等によって生成した金属酸化物又は金属リン酸化物の薄層であることである。
一方、樹脂側の条件は、
(4)硬質の結晶性樹脂であって、且つ急冷時の結晶化速度を異種の高分子配合によって遅くした樹脂組成物を使用することである。特許文献2の例では、PPSにポリオレフィン系樹脂を配合している。
図2を使用して新NMTによる射出接合の原理を説明する。金属合金40の表面にはミクロンオーダーの粗度を成している凹部(C)が形成され、さらにその凹部内壁には超微細凹凸(A)が形成され、表層はセラミック質層41となっており、この超微細凹凸に樹脂組成物42の一部が浸入している。このようにした金属合金表面に液状の樹脂組成物が侵入し、侵入後に硬化すると、金属合金と硬化した樹脂組成物は非常に強固に接合するという簡潔な考え方である。
条件(1)〜(3)を有する金属合金材を射出成形金型にインサートし、条件(4)を満たす樹脂組成物を溶融状態で射出する。樹脂融点より150℃程度低温にした金型内に溶融樹脂が侵入して冷やされるが、融点以下になったとしても即時に結晶化は開始せず、一旦過冷却状態(融点以下ながら液体である状態)になり、その後に流路衝撃等を受けてごく小さい結晶の種を生成する。しかしながら、樹脂組成物は前記条件(4)により異種高分子配合によって過冷却状態が長く維持されるので結晶の種(数十nm径レベルの微結晶)が出来るのも遅くなり、それ故に粘度上昇が遅く、ミクロンオーダーの凹部(条件(1)の粗度面を形成する凹部)の奥底まで侵入する。
ミクロンオーダーの凹部に侵入した樹脂組成物は、条件(2)に示した超微細凹凸の凹部に対しても侵入する。超微細凹凸の奥底まで樹脂組成物が侵入せずとも、一部が侵入する(所謂「頭を突っ込む」)ことで、樹脂成形品と金属合金の接合力向上に寄与する。超微細凹凸への侵入後に結晶成長が更に進み、結晶化できなかった部分も高分子の熱振動が収まって樹脂相全体が固化する。樹脂が固化した状況で金属相と樹脂相間に剥がし力がかかった場合、ミクロンオーダーの凹部に侵入して結晶化固化した樹脂部は、超微細凹凸によってグリップされる。この超微細凹凸はセラミック質になっているので、樹脂部はスパイクされ容易に滑ることがない。
また結晶化した樹脂部は硬く丈夫なので、樹脂部はミクロンオーダーの凹部から引き抜かれることはなく、極めて大きな剥がし力がかかった場合には樹脂部がミクロンオーダー凹部の上部で破断することになる。要するに、破断は常に材料破壊によって起こることになり最大の接合力を示すようになる。これらの技術が「新NMT」であり、特許文献2〜7に開示されている。
(逆NMT)
本発明においては、上記「新NMT」を応用した「逆新NMT」によって、金属合金薄板と樹脂層を強固に接合する。「逆新NMT」は「新NMT」の応用技術であり、樹脂組成物が超微細凹凸に侵入して固化することで強固な接合を達成するという原理は同じである。即ち、金属合金に関する条件(1)〜(3)は同じである。但し、「新NMT」と異なり、樹脂組成物は射出成形の際に超微細凹凸に侵入するものではない。また、樹脂組成物に関しては、前記の条件(4)で示したものに限らず、単に硬質の結晶性熱可塑性樹脂であればよく、必ずしも「急冷時の結晶化速度を異種の高分子配合によって遅くする」ことを要しない。これは「新NMT」と異なる「逆新NMT」の特徴である。
「逆新NMT」では、硬質で結晶性の高い熱可塑性樹脂を使用する。具体的にはポリアミド樹脂、液晶ポリマー、PBT、PPS、PEEK等を主成分とする樹脂組成物である。これらをGFRTPのマトリックス樹脂として使用する場合、前述したように使用する熱可塑性樹脂種に対応するシランカップリング剤を選択し、これによってガラス繊維を表面処理することで繊維と熱可塑性樹脂間の接合力を高めることができる。それ故、上記の樹脂組成物をマトリックス樹脂として使用する場合、GFRTPやGFRTPプリプレグの作成は困難でない。
「逆新NMT」は、溶融状態の樹脂を金属合金薄板の超微細凹凸に侵入させ、固化した樹脂と金属合金薄板を強固に接合させる技術であるが、「新NMT」のような射出接合技術ではない。逆新NMTは後加工に適した接合技術であり、特に熱プレスに適している。逆新NMTを適用した金属合金薄板と樹脂成形品の接合方法を以下に示す。
まず、硬質の結晶性熱可塑性樹脂の成形品を用意しておく。一方、条件(1)〜(3)の条件を満たすように表面処理した金属合金薄板を、熱した金属板上に置いて高温にする。このとき金属合金薄板の温度が、上記樹脂の融点よりも高くなるようにする。この金属合金薄板に上記成形品を押し付けると、成形品の接触部は溶融し、金属合金薄板の粗面に染み込む。この状態で放置して全体が冷却されると、溶融部分が再度固化した成形品と金属合金薄板が接合する。この圧融着作業を減圧下又は真空下で行い、成形品の接触部が溶融した後に常圧に戻し、そのまま放冷して常温近くまで全体が冷えるまで待つことで、「新NMT」と同等の強い接合力が得られる。これは、減圧下又は真空下で溶融して金属合金薄板に押さえ付けられている樹脂が、常圧に戻したときに超微細凹凸部に侵入するためである。単純に成形品を押付けるより減圧操作を加えた方が強く接合する。
[広面積積層板]
逆新NMTに関しては特許文献8に記載されている。但し、特許文献8において金属合金薄板と接合する対象は樹脂成形品である。これに対して、本発明では、樹脂層を接合対象とする。この樹脂層は、ポリアミド樹脂、液晶ポリマー、PBT、PPS、PEEK等の樹脂フィルム、同樹脂をマトリックス樹脂にしたFRTPシートやFRTPプリプレグシート、同樹脂の粉体等によって構成される。このような樹脂層と金属合金薄層との交互積層材は、従来より不可能とされていたものである。特に金属合金薄板と樹脂層を交互に積層した積層板であって、100cm以上の広面積のものは実現不可能とされてきた。以下、その理由を記載する。
(複合材の物性)
金属合金薄板と樹脂層からなる交互積層板の用途は、基本的に構造用部材であり、積層する材料自体は十分高い剛性を有している。一方で、積層する異種材料は当然異なる線膨張率を有している。それ故、2枚の異種金属合金薄板を間に熱可塑性樹脂層を挟んで面接着した場合、通常は双方の接着面にせん断力がかかる。仮に、積層板製造の過程でせん断力が殆どゼロの温度があったとしても、その温度より環境温度が上昇した場合、線膨張率の大きい方の材料は押さえ込まれる力が働いて本来の長さより縮められ、線膨張率の小さい方の材料は伸ばされる力が働いて本来の長さより伸ばされる。温度が下降した場合、この逆になる。双方の材料にかかるせん断力は反対方向だがその大きさは同じであり、且つ、せん断力の大きさは、理論的には各々材料の剛性、即ちヤング率と板厚の積に比例すると考えられる。
この様な簡単な理論であっても、大型の交互積層板において成立するか否かは明確ではなかった。しかし前述したアルミニウム合金薄板とCFRPの交互積層板(図1)の線膨張率を実測した結果、上記理論に基づく計算値と実測値が一致した。このように板材同士を面接着して、接着面内での線膨張率を論じる場合、前記理論を適用できることが当然とも考えられる。しかしながら、種々の複合材について、その線膨張率を基材の線膨張率等から算出できる理論と式が上記のみとは言い切れない。複合材の線膨張率算出は単純ではない。非特許文献2によれば、複合材の線膨張率の計算法として等価介在物法(前述した計算方法)が存在しており、これが基本となるが、他にも一方が繊維形状物である場合に使用することがある修正計算法、等価介在物法を積層理論から修正した計算法等があり、当然だがその計算結果は異なる。
単純な計算法を採用した場合に、計算値と実測値が合致しない例を示す。炭素繊維とエポキシ樹脂硬化物からなるCFRP材に関して説明する。炭素繊維の線膨張率は0〜−0.05×10−5−1とごく低く、昇温して若干縮む性質がある。これに対してエポキシ樹脂硬化物の線膨張率は4〜6×10−5−1とかなり高い。樹脂類の線膨張率は4〜10×10−5−1程度であるため、樹脂の中では比較的低いことになる。これらの複合材であるCFRP材になると、繊維方向の線膨張率は0.05〜0.1×10−5−1となり、炭素繊維に近い。この結果から、エポキシ樹脂硬化物は外部応力を炭素繊維に伝達する役割を果たすことが把握される。このCFRP材の構造について分かり易く言えば、剛直な糸を平行に数百本〜数千本通して一体化した豆腐のようなもので、複合材の線膨張率は糸の線膨張率やヤング率に大きく引きずられる。
このように複合材の線膨張率を測ると、実測値が元材料の線膨張率の平均値となるような場合(単純な計算方法による計算値と合致する場合)と、実測値がいずれか一方の材料の値に近くなる場合の2種が少なくともある。何れにせよ、複合材の線膨張率を実測して、2種のいずれに該当するかを把握することは重要である。複合材の線膨張率計算法が分かれば接合面にかかるせん断力が計算でき、せん断力が計算できれば接着力や接合力にこれらを押さえ込む十分な余力があるか否かが判断できるためである。これが安定な積層板が作成可能か否かの最初の判断材料になる。しかしながら、この判断材料のみでは十分ではない。積層板の面積が大きければ、他の要素を考慮しなければならない。
(破壊理論)
接着物の破壊理論として以下の常識がある。被着材と接着剤硬化物の間に強い剥がし方向やズレ方向の外力がかかった場合に、ある部分が破壊に至る強度を接着力と解釈して、接着力を個々の微視的箇所について見る考え方である。微視的箇所1個1個の接着力には必ずバラツキがあり、その全体に均一な外力がかかった場合、当然だがバラツキの中の最も接合力の弱い微視的箇所が先ず壊れる。この局所破壊が生じるとその周辺で負荷が増加し周辺部も破壊し易くなる。もしここで次の破壊が生じればその周囲は更に負荷荷重が増えて破壊し易くなり、結局、連鎖破断して全破壊全破断に至る。要するに、最も弱い部分の部分接着力がどの程度かということが全体の破壊強度に大きく影響する。
例えば接着面を10μmの面積毎に仕切り、各仕切り毎の接着力を計測し得たと仮定し、その接着力の大きさを横軸にとりその接着力を示した仕切り箇所数を縦軸にとった接着力分布のグラフを描いたとする。本発明者らは、NATや新NMTによる接合では、富士山型のグラフではなく山型食パンに近いグラフ(分布が狭く、裾野部分が無いグラフ)になると推定している。何れにしても全破壊に至る破壊強度値は前記説明で分かるように全体の平均接着力、即ち、山頂を示す辺りの接着力より必ず低い。富士山型では左山麓の3〜4合目当たり、山型食パンの型でも山型を作る肩(左肩)の低い辺りと考えられる。実際にはこのようなグラフを作ることは不可能であるが、このような微視的考察は、連鎖的な破壊を考えるときに接着剤や被着材をどのように加工すれば最終的な接合力を高められるかを考察する上で非常に役に立つ。
前記した破壊理論が1cmの面積を有する積層板について正しいと仮定し、その積層板が破壊に至る外力を30MPaと仮定する。そして実際に31MPaの外力を与えたとした場合、100%の確率で全破断に至り、30MPaだと50%の確率で全破断に至り、29MPaでは10%の確率で全破断したと仮定する。上記積層板の面積を100倍(100cm)とした場合、外力が31MPaであっても30MPaであっても100%の確率で全破壊し、更に、29MPaの外力でもほぼ100%の確率で破壊し、剥がれ不良の生じることは明かである。何故なら、統計論的に破壊せぬ確率は0.9100であり殆どゼロだからである。
上記の考察では、1cmの面積を有する領域100個について、全て全く同じ物性と仮定しているが、実際の大面積の積層板では接着力の大きなバラツキがある。例えば接合面の端部と中央部では接着力に差がある可能性が高く、どのようなバラツキがあっても、領域100個の中の最も接着力の弱い箇所が全破壊や剥がれに影響する。従って、面積を大きくすることは外力が全面に均一だったとしても不利になることが多い。実際には外力がかかるのは殆どの場合局所的になり応力集中を生じるから、応力集中箇所と接合力の弱い局所が偶然一致すればより弱い力で剥がれを生じ、この破壊が切欠で全破壊が生じると推定される。大面積の積層板や交互積層板を作成して試験を行うことで明らかになる。
(大面積の積層板)
前述した事情が存在するため、金属合金薄板と樹脂の積層板であって、大面積のものを実現することは極めて困難である。それ故、本発明者らがCFRPとアルミニウム合金薄板とをエポキシ接着して大面積の交互積層板を作成し、これを機械要素技術展で公開したところ、大きな反響を得た(非特許文献1)。これは金属合金薄板とエポキシ接着剤硬化物の間の接着力を「NAT」により劇的に高めることができたこと、その接着剤の接着力が常温下からエポキシ樹脂の硬化温度(150〜170℃)に至る温度域で安定して高いこと(耐熱性ある接着剤であったこと)、被着材であるアルミニウム合金薄板の全面が均一的に接着に適した表面になっていたこと(条件(1)〜(3)を満たす金属合金表面を形成するための処理が浸漬処理であったこと)等の理由によるものである。前述した接着力分布グラフでみると、グラフは富士山型でなく山型食パンの形をしており、且つ、接着力の分布自体が常温から高温寄りにずれていると推定される。
さらに重要な点がある。CFRP材そのものが十分一体化していたこと、即ち、CFRPを成す炭素繊維とマトリックス樹脂間の接着力が十分強かったことも交互積層板を実現できた要因である。CFRP材では、線膨張率の小さな炭素繊維と線膨張率の大きなエポキシ樹脂製マトリックス樹脂の間には常に大きなせん断力がかかっている。CFRPとアルミニウム合金薄板で交互積層板を作成しその後に環境温度が上った場合、アルミニウム合金も炭素繊維を伸ばす力に加担するからマトリックス樹脂と炭素繊維界面にかかるせん断力は増加する。しかしながら実際に交互積層板を作ってみると全く問題が生じない。これは、マトリックス樹脂と炭素繊維間の接着力が十分強かったことが理由と考えられる。
(強化繊維とマトリックス樹脂間の接着力)
本発明者らは、過去の実験で「NAT」を適用してCFRPとアルミニウム合金片をエポキシ接着剤で接着した。得られた複合体のせん断破断力は60MPa以上であった。マトリックス樹脂と炭素繊維間の接着力が十分に高いために、複合体は極めて高いせん断破断力を示し、その結果、非特許文献1に示す交互積層板が可能となった。この交互積層板の、CFRP材を熱可塑性樹脂の樹脂層に代え、接着方式を「NAT」から「逆新NMT」に代えた場合、金属合金薄板と熱可塑性樹脂の樹脂層で構成される交互積層板が可能となる。ここで問題となるのは、熱可塑性樹脂と金属合金薄板の接着力であり、エポキシ接着剤と同等の接着力は期待できない。また、仮に小型積層板の作成が可能であったとしても、100cm以上の大型の積層板も直ちに可能であるとは、前述した理由より保証されない。
しかしながら、「逆新NMT」における金属合金と熱可塑性樹脂間の接着力が、エポキシ接着剤を使用した「NAT」の半分、30MPa程度としても十分に高い接着力であり、積層板の作成が可能となりうる。「逆新NMT」における金属合金の表面処理は、「NAT」と同じであり、被着材性能に微視的バラツキは少なく、エポキシ接着剤代わりの結晶性ポリマーも量産品であるから物性の均一性は高い。従って、熱可塑性樹脂フィルムと金属合金薄板の積層板であって、大型のものは実現可能と考えられる。一方、実現性の問題が生じるのは、FRTPと金属合金薄板の積層板である。この場合、FRTP内の強化繊維と熱可塑性樹脂間の接着力の強さが問題となるからである。そして、この接着力が、大型積層板を作成する上で十分に高いものであるか否か不明だからである。
本発明者らは、後述する実験例でFRTPとして6ナイロン(以下「PA6」という)使用のGFRTPを使用した。PA6の線膨張率は8×10−5−1程度と高く、ヤング率は1〜2GPaと低い。一方、ガラス繊維の線膨張率はEガラスで0.6×10−5−1程度、Tガラスの場合0.3×10−5−1程度であり、ヤング率はEガラス73GPa、Tガラス84GPa程度である。引っ張り破断伸びは双方のガラス共約5%である。ガラス繊維を炭素繊維と比較した場合、炭素繊維は線膨張率が殆ど0であるか若干のマイナス、ヤング率230〜290GPa、引っ張り破断伸び1〜2%であり、ガラス繊維は炭素繊維に比較してかなり柔らかい。
本発明者らは、PA6とTガラス型ガラス繊維平織品からGFRTPを自作した。その作成工程にトラブルは無かった。完成したGFRTPシートと0.3mm厚のA5052アルミニウム合金薄板とを交互に積層して、130mm×100mmの大きさの全9層からなる交互積層板を作成した。この交互積層板に−30℃と+70℃間の温度衝撃を数百回加えても何ら支障はなかった。この温度衝撃試験において、PA6線膨張率の大きさが高温下にあるGFRTPの維持に問題を生じさせる可能性があったが、結果として問題は生じなかった。PA6のヤング率の低さ(柔らかさ)によってガラス繊維との接着が保たれた可能性がある。しかし、この結果だけでは、PPS、PEEKを使用したGFRTPについても同様のものを作成可能と判断することはできない。PPSのヤング率5〜10GPa、PEEKのヤング率は3GPaと何れもPA6より大きく、特にPPSは大きかったからである。しかしながら、これらをマトリックス樹脂としたGFRTPについても、高温下で使用可能なものを作成することができた。
今後は、CFRTPと金属合金薄板からなる大型交互積層板の実現が期待される。未だCFRTP材が市販されていないが、今後、炭素繊維メーカーがCFRTP材を市販開始した場合、本発明の積層板において樹脂層として使用できる。なお学術論文(非特許文献2)によれば、炭素繊維とPEEK繊維の混紡物等から熱プレスでCFRTPを作成し、種々の物性を測定している。PEEK製CFRTPに関しては、PEEKに適した炭素繊維表面処理方法が重要事項と分かり、国内炭素繊維メーカーにより再検討されている模様だが、未だ十分な接着力を示す処理法は得られていない。
(積層板の例)
本発明に係る積層板の例を示す。2mm厚のAZ31Bマグネシウム合金板の両面にPA6フィルムを面接着させ、さらにPA6フィルムの外面(AZ31Bマグネシウム板と反対側の面)に0.15mm厚SUS304ステンレス鋼薄板を面接着した交互積層板(SUS304/PA6/AZ31B/PA6/SUS304)は厚さ2.3mm、比重2.5以下であり、超軽量ながらも最外層がステンレスであるため耐食性に優れ、外観は金属質(ステンレスそのもの)であり、曲げ弾性率も高かった。厚さ1.6mmのSPCC(冷間圧延鋼材)板の両面にPA6フィルムを面接着させ、さらにPA6フィルムの外面に0.1mm厚の純チタン製薄板を面接着した交互積層板(純チタン/PA6/SPCC/PA6/純チタン)は、耐食性が純チタンと同等になる。
PA6をマトリックス樹脂とした厚さ1mm厚のGFRTP板状物の両面に0.3mm厚のA2024アルミニウム合金薄板を面接着した交互積層板(A2024/GFRTP/A2024)は軽量であり、曲げ弾性率も高い。また、0.3mm厚A5052アルミニウム合金薄板5枚と0.25mm厚のPA6をマトリックス樹脂としたGFRTPシート4層を交互に積層した全9層からなる交互積層板は厚さ2.4mm、比重は2.2と超軽量ながらその曲げ弾性率は非常に高い。これらの積層板や交互積層板は適切な温度条件を選べば熱プレス機によって曲面加工が可能である。さらに、樹脂層には実施例に示したポリアミド樹脂、PPS、PEEKに限らず、硬質の結晶性熱可塑性樹脂であれば全て使用できるため、常用時の温度範囲(実用温度域)に応じて樹脂種を選択できる。
従来のCFRPと金属合金薄板からなる交互積層板(図1)は、樹脂層が熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)で構成されているため、一旦積層板や交互積層板を製造すると、その後に曲面化加工ができなかった。本発明では、樹脂層を熱可塑性樹脂とすることで、後加工性の良い積層板とした。一旦平板状の積層板や交互積層板を得た後に、熱プレス等の工程によって曲面加工することが可能である。金属合金薄板同士を熱可塑性樹脂を介して積層した積層板、金属合金薄板とFRTPシートを交互に積層して接着一体化した交互積層板のいずれであっても、樹脂層が熱可塑性樹脂によって構成されているため、一旦積層板を完成させた後に熱プレス機を使用して曲面加工できる。
金属合金薄板とFRTPからなる積層板や交互積層板は、金属合金とFRTPの双方の利点を有している。さらに金属合金薄板としてアルミニウム合金やチタン合金を使用すると、積層板の軽量化が可能であるため、多くの用途に適した構造用新素材を提供することが出来る。
図1は、CFRPとA5052アルミニウム合金薄板を交互に重ねた交互多層板の写真である。 図2は、金属合金と樹脂組成物が接合したときの表面構造を示す断面模式図である。 図3は、A5052アルミニウム合金を苛性ソーダ水溶液で化学エッチングし、水和ヒドラジン水溶液で微細エッチングした表面の電子顕微鏡写真(上:1万倍,下:10万倍)である。 図4は、SUS304ステンレス鋼を硫酸水溶液で化学エッチングした表面の電子顕微鏡写真(上:1万倍,下:10万倍)である。 図5は、AZ31Bマグネシウム合金をクエン酸水溶液で化学エッチングし、過マンガン酸カリ水溶液で化成処理した表面の10万倍電子顕微鏡写真である。 図6は、AZ31Bマグネシウム合金をクエン酸水溶液で化学エッチングし、過マンガン酸カリ水溶液で化成処理した表面の10万倍電子顕微鏡写真である。 図7は、β型チタン合金「KS15−3−3−3(株式会社 神戸製鋼所製)」を弗素イオンを含む硫酸水溶液で化学エッチングし、過マンガン酸カリ水溶液で表面硬化処理した表面の10万倍電子顕微鏡写真である。
[1.金属合金薄板]
本発明の積層板を構成する金属合金薄板は、「逆新NMT」の要件を備えたものである。「逆新NMT」において、金属合金薄板に要求される条件は、前述した「新NMT」と同様であるため、以下「新NMT」における金属合金表面の処理について説明する。「新NMT」に使用する金属合金種として理論上特に制限はない。しかし実際に「新NMT」を適用できるのは硬質で実用的な金属合金である。本発明者等は、アルミニウム、マグネシウム、銅、チタン、及び鉄を主成分とする金属合金種に関して「新NMT」が適用可能であることを確認した。特許文献1にアルミニウム合金に関する記載をした。特許文献3にマグネシウム合金に関する記載をした。特許文献4に銅合金に関する記載をした。特許文献5にチタン合金に関する記載をした。特許文献6にステンレス鋼に関する記載をした。特許文献7に一般鋼材に関する記載をした。しかし、「新NMT」ではアンカー効果という物理的効果により接着力を確保しているので、少なくともこれらの金属合金種に限定されるものではない。以下、金属合金表面を前記した「新NMT」の3条件に適合する表面構造とするための表面処理工程について概要を述べる。なお、各種金属合金の具体的な表面処理方法については、上記各特許文献に詳細に記載しており、その他の特許文献、刊行物にも開示している。
(化学エッチング)
この表面処理工程における化学エッチングは、金属合金表面にミクロンオーダーの粗度を生じさせることを目的とする。腐食には全面腐食、孔食、疲労腐食など種類があるが、その金属合金に対して全面腐食を生じる薬品種を選んで試行錯誤し、適当なエッチング剤を選ぶことができる。文献記録(例えば「化学工学便覧(化学工学協会編集)」)によれば、アルミニウム合金は塩基性水溶液、マグネシウム合金は酸性水溶液、ステンレス鋼や一般鋼材全般は、塩酸等ハロゲン化水素酸、亜硫酸、硫酸、これらの塩、等の水溶液で全面腐食するとの記録がある。
又、耐食性の強い銅合金は、高濃度の硝酸水溶液や強酸性とした過酸化水素などの酸化性酸や酸化剤配合液によって全面腐食させられるし、チタン合金は蓚酸や弗化水素酸系の特殊な酸で全面腐食させられることが専門書や特許文献から散見される。実際に市場で販売されている金属合金類は、純銅系銅合金や純チタン系チタン合金のように純度が99.9%以上で合金とは言い難い物もあるが、これらも本発明の金属合金に含まれる。実際に使用されている金属合金の殆どは、特徴的な物性を求めて多種多用な元素が混合されて純金属系の物は少なく、実質的にも合金である。
即ち、金属合金の多くは、元々の金属物性を低下させることなく耐食性を向上させることを目的として純金属から合金化されたものである。それ故、金属合金によっては、前記酸・塩基類や特定の化学物質を使っても、目標とする化学エッチングができない場合もよくある。実際には使用する酸・塩基水溶液の濃度、液温度、浸漬時間、場合によっては添加物を工夫しつつ試行錯誤して適正な化学エッチングを行うことになる。
実際に行う作業として全般的に共通する点を説明する。金属合金を所定の形状に形状化した後、当該金属合金用の脱脂剤を溶かした水溶液に浸漬して脱脂し、水洗する。この工程は、金属合金を形状化する工程で付着した機械油や指脂の大部分を除くための処理であり、常に行うことが好ましい。次いで、薄く希釈した酸・塩基水溶液に浸漬して水洗するのが好ましい。これは本発明者等が予備酸洗浄や予備塩基洗浄と称している工程である。一般鋼材のように酸で腐食するような金属合金では、塩基性水溶液に浸漬し水洗する。また、アルミニウム合金のように塩基性水溶液で特に腐食が早い金属合金では、希薄酸水溶液に浸漬し水洗する。これらは、化学エッチングに使用する水溶液と逆性のものを前もって金属合金に付着(吸着)させる工程であり、その後の化学エッチングが誘導期間なしに始まることになって処理の再現性が著しく向上する。それ故にこの予備酸洗浄、予備塩基洗浄工程は本質的なものではないが、実務上、採用することが好ましい。これらの工程の後に化学エッチング工程を行う。
(微細エッチング・表面硬化処理)
また上記表面処理工程における微細エッチングは、金属合金表面に超微細凹凸を形成することを目的とする。また本発明における表面硬化処理は、金属合金の表層を金属酸化物又は金属リン酸化物の薄層とすることを目的とする。金属合金種によっては前記化学エッチングを行っただけで同時にナノオーダーの微細エッチングもなされ、超微細凹凸が形成される場合がある。さらに、金属合金種によっては表面の自然酸化層が元よりも厚くなって表面硬化処理も完了している場合もある。例えば、純チタン系のチタン合金は化学エッチングだけを行うことで、表面がミクロンオーダーの粗度を有し、且つ超微細凹凸も形成される。即ち、化学エッチングと併せて微細エッチングもなされる。しかし、多くは化学エッチングによりミクロンオーダーの大きな凹凸面を作った後で微細エッチングや表面硬化処理を行う必要がある。
この時でも予測できない化学現象に見舞われることが多い。即ち、表面硬化処理や表面安定化処理を目的に化学エッチング後の金属合金に酸化剤等を反応させたり化成処理をしたとき、得られる表面に偶然ながら超微細凹凸が形成される場合がある。マグネシウム合金を過マンガン酸カリ系水溶液で化成処理した場合に生じた酸化マンガンとみられる表面層は10万倍電子顕微鏡でようやく判別つく5〜10nm直径の棒状結晶が錯綜したものである。この試料をXRD(X線回折計)で分析したが、酸化マンガン類由来の回折線は検出できなかったが、表面が酸化マンガンで覆われていることはXPS分析で明らかである。XRDで検出できなかった理由は、結晶が検出限界を超えた薄い層であったからである。要するに、マグネシウム合金では表面硬化処理としての化成処理を施したことで、微細エッチングも併せて完了していたことになった。
銅合金でも同様で、塩基性下の酸化で表面を酸化第2銅に変化させる表面硬化処理を行ったところ、純銅系銅合金では、その表面は楕円形の穴開口部で覆われた特有の超微細凹凸面になる。一方、純銅系でない銅合金では凹部型でなく10〜150nm径の粒径物又は不定多角形状物が連なり、一部融け合って積み重なった形の超微細凹凸面になる。この場合でも表面の殆どは酸化第2銅で覆われており、表面の硬化と超微細凹凸の形成が同時に起こる。
一般鋼材に関しては、更なる検証が必要ではあるものの、ミクロンオーダーの粗度を形成するための化学エッチングだけで超微細凹凸も併せて形成されていることが多く、元来表層(自然酸化層)が硬いこともあって、表面硬化処理や微細エッチング処理を改めて行わずとも、「新NMT」の条件を備える場合があった。その際の問題は、自然酸化層の耐食性が十分でないために接着工程までに腐食が開始してしまうこと、また、接着後の環境如何では短時間で接着力が低下することであった。これらは化成処理によって防ぐことができる。
また、本発明者らは、一般に、化成処理によって金属合金表面に形成された被膜(化成被膜)の膜厚が厚いと、接着力が低下することが多いことを確認している。前記のマグネシウム合金に付着した酸化マンガン薄層のように、XRDで回折線が検出されないような薄層である方が、強い接着力が得られる。化成被膜が厚い金属合金同士をエポキシ接着剤で接着し、破壊試験した場合、破壊面は殆どが化成皮膜と金属合金層との間となる。本発明者らが行った実験では、厚い化成皮膜とエポキシ接着剤硬化物との接合力は、その化成皮膜と金属合金との接合力より常に強かった。即ち、一般鋼材でも、化成処理時間を更に長くして化成処理層を厚くすれば、接着力は長期間低下しないと考えられる。しかしながら化成皮膜を厚くすれば、接着力自体が低下する。従って、どの程度でバランスを取るかは、使用目的、用途等にもよる。
(表面処理の具体例(アルミニウム合金の場合))
アルミニウム合金の表面処理に際して、まず脱脂処理を行う。本発明に特有な脱脂処理は必要なく、市販のアルミニウム合金用脱脂材の水溶液を使用する。即ち、アルミニウム合金で常用されている脱脂処理で良い。脱脂材によって異なるが、一般的な市販品では、濃度5〜10%として液温を50〜80℃とし、これにアルミニウム合金を5〜10分間浸漬する。
これ以降の工程は、アルミニウム合金に珪素が比較的多く含まれる合金と、これらの成分が少ない合金とでは処理方法が異なる。ここでは珪素分が少ないアルミニウム合金の処理方法に関して説明する。即ち、A1050、A1100、A2014、A2024、A3003、A5052、A7075等の展伸用アルミニウム合金では、以下のような処理方法が好ましい。即ち、アルミニウム合金を、酸性水溶液に短時間浸漬して水洗し、アルミニウム合金の表層に酸成分を吸着させるのが、次の化学エッチングを再現性良く進める上で好ましい。この処理を予備酸洗工程といい、使用液は、硝酸、塩酸、硫酸等、安価な鉱酸の1%〜数%濃度の希薄水溶液が使用できる。次いで、強塩基性水溶液に浸漬する化学エッチングを行った後、水洗する。この化学エッチングでは、1%〜数%濃度の苛性ソーダ水溶液を30〜40℃にして、これにアルミニウム合金を数分浸漬するのが好ましい。
この化学エッチングにより、アルミニウム合金表面に残っていた油脂や汚れがアルミニウム合金表層と共に剥がされる。この剥がれと同時に、この表面にはミクロンオーダーの粗度を有するようになる。即ち、RSmが0.8〜10μm、Rzが0.2〜5.0μmの凹凸面となる。次に、再度酸性水溶液に浸漬し、水洗することでナトリウムイオンを除くのが好ましい。本発明者等はこれを中和工程と呼んでいる。この酸性水溶液として数%濃度の硝酸水溶液が特に好ましい。
中和工程を経たアルミニウム合金に最終処理である微細エッチングを行う。微細エッチングでは、アルミニウム合金を、水和ヒドラジン、アンモニア、及び水溶性アミン化合物のいずれか1つ以上を含む水溶液に浸漬する。その後水洗し、70℃以下で乾燥するのが好ましい。これは、中和工程で行う脱ナトリウムイオン処理によって表面がやや変化し、粗度は保たれるがその表面がやや円滑になったことに対する粗面の復活策でもある。水和ヒドラジン水溶液等の弱塩基性水溶液に、短時間浸漬して微細エッチングする。ミクロンオーダーの粗度に係る凹部内壁面に、50〜100nm周期の超微細凹凸を多数形成させることが特に好ましい。
ここで、水洗後の乾燥温度を例えば100℃以上の高温にすると、仮に乾燥機内が密閉的であると、沸騰水とアルミニウム間で水酸化反応が生じ、表面が変化して一種の水酸化アルミニウムであるベーマイトの層が形成される。これは丈夫な表層と言えず好ましくない。表面のベーマイト化を防ぐには、90℃以下、好ましくは70℃以下で温風乾燥するのが好ましい。70℃以下で乾燥した場合にはベーマイトは生成し難いが大型品であると乾燥にやや時間がかかる。NAT処理し乾燥を70℃以下で十数分以内に抑えて得たアルミニウム合金材をXPS分析すると、そのアルミニウム元素のピークからアルミニウム(3価)しか検出できず、市販のA5052、A7075アルミニウム合金板等のXPS分析で必ず検出できるアルミニウム(0価)は消える。XPS分析は、金属表面から1〜2nm深さまでに存在する元素が検出できるので、この結果から、水和ヒドラジンやアミン系化合物の水溶液に浸漬し、その後水洗して温風乾燥することで、アルミニウム合金が持っていた本来の自然酸化層(1nm厚さ程度の酸化アルミニウム薄層)がより厚くなったと確認できた。詳細に言えば小さな数字だが、自然酸化層と異なって2nm以上の厚さになった。この厚さは最近の分析結果で5〜7nm程度であることが明らかになった。
[2.結晶性熱可塑性樹脂]
前述したように樹脂層を構成する樹脂は、「硬質の結晶性熱可塑性樹脂」である。これには、当然「新NMT」で使用される「急冷時の結晶化速度を抑制させた硬質の結晶性熱可塑性樹脂系樹脂組成物」も含まれる。具体的には、前者に対応するのが、ポリアミド樹脂類、液晶ポリマー類、PBT、PPS、PEEK等であり(特許文献8)、後者に対応するのがポリアミド樹脂組成物同士の混合樹脂、PBTに少量のPETを混ぜた樹脂組成物、PPSにポリオレフィン系樹脂を少量コンパウンドした樹脂組成物等である(特許文献1〜7)。
(粉体)
本発明において、樹脂層を樹脂粉体によって構成することも可能である。主に2種の粉体付着法があり、一方は静電粉体塗装法、もう一方は流動浸漬法である。何れも金属合金薄板に粉体を付着させた後で昇温して樹脂粉体を溶融する。本発明は何れの方法も使用できる。又、粉体塗装法とは異なるが、樹脂粉体を溶射して金属合金薄板に粉体を付着させる溶射法も使用できる。但し、溶射法では金属合金薄板上に付着した樹脂分は完全に溶融付着しているわけではないので、前記の粉体塗装法と同じ様に溶射工程後に全体を加熱して樹脂層を完全に溶融した方がよい。
(フィルム又はシート)
樹脂層を構成する樹脂の形態は特に限定されないが、樹脂組成物をフィルムやシート状物にした物が好ましく使用できる。この場合、「新NMT」で要求される樹脂コンパウンドをシートやフィルム状に加工したものも使用できるが、これに限らず使用できる。PA6、PA66、PBT、PPS、PEEKの単層フィルムやシートは市販されており、これらによって樹脂層を構成することができる。これら市販フィルムは厚さ50〜200μmの範囲の物が標準的に供給されている。
(FRTPテープ、FRTPシート)
<I:繊維ロービングから作成するシート状物>
Owens Corning社(米国)は、ガラス繊維ロービングから繊維を引き出して、溶融ポリプロピレン樹脂(以下「PP」という)を入れた容器内を通過させて繊維周囲にPPを付着させた後に巻き取って再びロービングにした「Twintex」、及びこれを平織りした「Twintex Cross」を製造販売している。この様な熱可塑性樹脂で包んだガラス繊維を織ったクロスでも、積層し、熱プレスしつつ樹脂融点付近まで加熱し放冷すると、GFRTP材やGFRTPプレプリグ(最終製品前の中間材)が得られる。
但し、本発明者らはPPを硬質で結晶性の熱可塑性樹脂という範疇に含めていない。これは本発明者らがPPを硬質でないと判断している上に、実際上「新NMT」「逆新NMT」においてPPの接合力は高くなかった。それ故「Twintex Cross」は本発明に使用出来ないが、同じ方法でポリアミド樹脂、PBT、PPS、液晶ポリマー、PEEK等の結晶性熱可塑性樹脂を含みこんだロービングを作り、これから織物を作ればFRTPプリプレグシートにできることは明白であり、少なくとも同法でGFRTPプリプレグシートが作成できる。
<II:繊維ロービングから作成するテープ状物>
数十〜百のロービングを用意して、これらから同時に繊維を引き出し、ロール等を介して数センチ幅にまとめて並べ、その状態のまま溶融熱可塑性樹脂の容器内を通過させて放冷し、中に強化繊維の束を含みこんだテープ状物を得る方法がある。テープ状物となった熱可塑性樹脂が含み込むのは繊維束であり、平織や綾織状の織物型にするのは難しいが最も安価にFRTP、FRTPプリプレグを作る方法である。少なくともGFRTPテープ、CFRTPテープの製造方法としては安価で優れた方法である。
<III:繊維ロービングから作成するテープ状物>
繊維を溶融樹脂に通過させない作成方法もある。数十〜百のガラス繊維ロービングを用意して、これらから同時に繊維を引き出し、ロール等を介して数センチ幅にまとめて並べ、更に別のロールを介して並べた繊維束を上面と下面から樹脂テープで挟み込み、これを加熱して樹脂テープを軟化しつつ、2本のゴムロールで上面と下面から挟み込んで潰して一体化テープとし、巻き取る方法がある。樹脂分は完全溶融していないのでこの状態のままでは樹脂とガラス繊維の間の接着力は不十分であるし、ボイドも含まれる。しかし本発明に使用するFRTPプリプレグとしては、真空熱プレス機を使用することで使用可能である。
<IV:樹脂フィルムと繊維クロスから作成するFRTPシート状物>
熱プレスや真空熱プレス機を使用して2枚の樹脂フィルムの間に繊維クロスを挟み、昇温して樹脂を溶融含浸させた後に冷却してプレス型から剥がし取ればFRTPシートを作成できる。この方法では繊維織物が使える。しかしながら真空プレス機を使用しない場合は作成物に必ずボイドが含まれるので、高信頼性の最高強度のFRTP材を作るには真空プレスの使用が好ましい。
<V:繊維ロービングから作成するシート状物>
非特許文献2に示された方法である。非特許文献2には、炭素繊維とPEEK繊維を混合紡糸した混合糸を作り、この混合糸とPEEK繊維で平織物を作成し、熱プレス機で溶融プレスしてCFRTPのシート状物や板状物を作成している。熱可塑性樹脂を繊維化して混合紡糸することで炭素繊維との溶融接触性が改良されるようである。要するに、樹脂側も繊維化して強化繊維との混合クロスとし、これをCFRTPプリプレグとする方法である。なお、この文献ではこのCFRTPプリプレグからCFRTP材を熱プレス成形するにあたって真空熱プレス機を使用していない。
(本発明におけるGFRTPシート状物の作成方法)
本発明者らは樹脂としてPA6、PPS、PEEKを使用してGFRTPシート状物を作成した。GFRTPシート状物を作成するために上記IVの方法を使用した。更に言えば、IVの方法で一旦GFRTPシートを得るのではなく、このシート作成工程とその後に行う積層硬化工程を一挙に行う方法を採った。新NMT処理(条件(1)〜(3)を満たすようにするための表面処理)をした金属合金薄板を、平型のプレス型(下型)の上に置き、その上にプラスチックフィルムを敷き、その上にガラス繊維クロスを敷き、その上にプラスチックフィルムを敷き、その上に新NMT処理をした金属合金薄板を置き、更にその上に平型のプレス型(上型)を置いた。積層物(金属合金薄板/プラスチックフィルム/ガラス繊維クロス/プラスチックフィルム/金属合金薄板)全体が真空プレス機の中にある。この積層物を軽くプレスした状態で真空化し、昇温して樹脂の融点温度より若干高い温度にしてしばらく置く。樹脂が溶融すると積層物全体の厚さが縮む。これを確認した後に真空から常圧に戻し、更に圧力を加えて押え付け、金型の水冷を開始する。50℃程度まで温度が下がった後にプレス圧を除き内容物を取り出す方法である。要するに、GFRTPシートの作成と積層板、交互積層板の接合硬化工程を一挙に実施する。中間材であるGFRTPシートを一旦作成した後に積層する方法ではなく、GFRTPシートとして一旦確保する工程を介在させない。実質的にはIVの方法と同様であり、IVの方法を合理化した方法である。
(I)〜(V)に示した方法によって、FRTPテープ又はFRTPシートを作成し、金属合金薄板に積層して樹脂層を構成する。積層後、熱プレス機や真空熱プレス機で溶融し、積層板又は交互積層板を完成させる。この際に、使用する熱可塑性樹脂の量が重要である。即ち、「逆新NMT」で前記のFRTPシート状物と金属合金薄板を溶融接合させようとした場合、樹脂量が少なすぎると接合力が十分に得られない。
仮にGFRTPシートとして、ガラス繊維容積率が40%の物があったとする。繊維が40容積%近くあると、高い容積率とみなされる。即ち、GFRTPシート内に十分な量の繊維が詰め込まれ、詰め込まれた繊維の隙間を熱可塑性樹脂が埋めているということになる。このようなGFRTPシートを熱プレス機で加熱溶融させ、且つ、プレス圧をかけた場合、全体の樹脂量が少ないために繊維クロスから染み出す樹脂量が少ない。それ故に、金属合金薄板の超微細凹凸面の凹部に染み込ませるための樹脂圧を確保することが困難になる。樹脂分が側面から溢れる程度の十分な量存在していることが好ましく、必要となる樹脂量の計算値に、さらに数十μm程度の厚さに相当する樹脂量を加えておくことが好ましい。このような十分な樹脂量を確保した上で熱プレスを実施することが好ましい。GFRTPシートの樹脂量が少ない場合には、単層型フィルムを積層して調整することができる。
[3.硬化工程]
新NMT処理をした金属合金薄板上に樹脂フィルムを密着させ、そのまま昇温して樹脂分の融点以上にして溶融した場合、溶融後にプレス圧を上げたとしても、金属合金薄板上の超微細凹凸の凹部に溶融樹脂が十分侵入するとは限らない。樹脂の超微細凹凸への侵入度を安定的に高くする最もよい方法は、積層物を樹脂の溶融前から減圧環境下に置いておくことである。但し、実際に積層板、交互積層板を作成したところ、必ずしも真空熱プレスを使用せずとも使用可能なものを得ることができた。但し、熱プレス機使用の場合でも、樹脂量を増やし(フィルム厚を厚くし)、加熱温度を高めにして樹脂溶融粘度を下げるのが有効であった。
(真空熱プレス機又は熱プレス機の使用)
樹脂フィルムを使用した時の積層物の熱プレス方法について説明する。プレス型は平型でよい。熱プレス機を使用するときは、昇温する温度がPA6(融点225℃)の場合275℃程度、PPS(融点280℃)の場合330℃程度、PEEK(融点345℃)の場合395℃程度と、融点より50℃程度高くすることが好ましい。一方、真空熱プレス機を使用するときは、前記各温度より15〜20℃低くしても支障ない。ただし、ここに示した温度は、通常の熱プレス機、真空熱プレス機では熱伝対が金型でなくその上下にあるプレス熱板に差し込まれており、熱板温度と積層板実温とに差異があることを考慮した数値である。真空熱プレス機を使用するときは、樹脂の酸化を考慮する必要はないため温度が上がり過ぎても支障はなく、この点が実際の作業上では大きいメリットとなる。最終製品に要求される信頼性を考慮して、真空熱プレス機、熱プレス機のいずれを使用するか判断することになる。
何れのプレス機であれ、具体的手順としては、下型の上に積層物を置き、積層物の上に上型を置いて僅かにプレスする。プレス圧は1MPa(約10Kgf/cm)程度と低くてよい。真空プレス機を使用するときは真空にして昇温も開始する。温度が樹脂融点から想定して決めた上記設定温度に達したら、20〜40分その温度に保つのがよい。温度が熱板から積層物に伝わり、全樹脂が溶融するのに一定時間を要するからである。圧一定型のプレス機を使用している場合、樹脂が溶融することで金型間の距離が縮まる。プレス型間の距離が一定に保たれる方式のプレス機を使用している場合には、樹脂の溶融によって圧が下がるため、上型を押し込んで元のプレス圧(1MPa)に戻す。樹脂の溶融による積層物の厚さの変化が完了したら、プレス圧を3〜5MPaに上げる。真空熱プレス機を使用する場合は、真空ポンプを止め空気を入れて常圧に戻すのが好ましい。そしてプレス圧を保ったまま熱板や金型に冷却水を通し冷却する。本発明者らは安全のため、PA6、PPS、PEEKの全てにおいて熱板温度が50℃まで下がるのを待ってプレス圧を開放した。そして金型から一体化した積層板又は交互積層板を取り出した。
(粉体塗装法)
真空熱プレス機に関しては、大型のマシンが流通していない。用途がないことが理由の1つにあるが、大型機の作成が困難なことも理由である。真空プレス機では真空維持のための分割可能な真空容器があるのが通常であるが、その容器の肉厚が大きくなるという問題がある。また、真空容器内の真空維持にはOリングが使われるが、円筒形容器であればOリング封止は優しい。しかし、大型積層板製造用の真空プレス機の真空容器は円筒形にならないと考えられる。例えば、2m×1mの大きさの所謂「メートル板」タイプの平板型積層板を作成するため真空熱プレス機では真空容器は方形になると考えられる。大型で方形の真空容器をOリング封止して真空度を保つには、超高精度の精密機械工作が必要となると同時に、真空圧で歪まない数cm厚の鋼製容器にしなければならない。この作成に多大なコストを要する。
上記の事情から、真空熱プレス機を使用せずに、金属合金薄板に強固に樹脂組成物を融着させる方法がないか検討した。最も単純な方法は、大気圧下で熱板上に金属合金薄板を乗せ、更にその上に樹脂フィルムを乗せて、熱板を融点以上まで昇温してフィルムを溶融し、熱板温度を融点より50℃程度高い温度まで上げる方法である。このような実験を行った結果、溶融樹脂に気泡が生じた。樹脂と金属合金薄板に挟まれて逃げ場のなくなっていた空気が気泡となったのか又は樹脂の熱分解によるものかは不明であった。樹脂がポリアミド樹脂の場合、溶融前後から変色を開始する。そのため、窒素ガスで周囲を満たして試験したが、変色度がやや少ない程度で気泡は同様に生じた。熱板に冷却水を通じて室温近くまで冷やす過程で気泡は消え、表面にmm単位周期の波状凹凸はあるものの溶融樹脂層で全面が覆われた金属合金薄板が完成した。
これと同様に、樹脂分を数十μm径の粉体にした物を原料にして金属合金薄板に粉体塗装した溶融樹脂層付きの金属合金薄板を作成することもできる。この粉体塗装法は、前記した樹脂フィルムの代わりに樹脂粉体を付着したものであり、溶融付着の方法(粉体塗装では溶融焼付け工程という)は同様である。この方法は、本発明者らが過去に公開した塗装技術(特許文献9)を応用したものであるが、特許文献9では溶液や懸濁溶液型塗料を使用しているのに対し、本発明では粉体塗料を使用している。
(溶融焼き付け工程)
溶融焼き付け工程において留意すべき点がある。積層板や交互積層板は中間材であって、更に熱プレスにより曲面化加工等が為されるため、最終商品となるまでに、加工性や物性に樹脂の酸化による悪影響が出るおそれがある。樹脂溶融時に金属薄板周囲の雰囲気を窒素下にすることで、そのようなリスクを回避することが可能である。但し、樹脂溶融時の環境に関しては、実際に大量生産を行って詳細な検査を行う必要がある。実際には生産を繰り返し、得られた積層板の詳細な物性を統計的に測った上で判断すべきである。大気下のような雰囲気中でも何ら問題が生じない可能性もあるが、使用樹脂が全て耐熱性樹脂であり、それ故に融点も高いので、樹脂の酸化に関しては留意すべきである。なお、本発明者らが大気圧下で作成した交互積層板作成には、何ら支障は認められなかった。仮に樹脂溶融工程を窒素下で行うことで、高性能な積層板が得られるとした場合、窒素ガスで熱板上や熱板周囲をカバーするカバー容器の作成費用、使用する窒素ガスの費用は、大型真空プレス機を設計製作する費用に比較すれば軽微と考えられる。
粉体塗装法等のように、金属合金薄板上で樹脂層を溶融焼き付けする手法を取った場合、得られた樹脂層付きの金属合金薄板同士を面接合させる為に、熱プレス操作が必要である。この工程に真空プレス機を使用する必要性は低い。面接合力に最も影響する樹脂相と金属合金表面との接合は既に完了しているため、この工程自体は困難ではない。熱プレス機の下熱板の上に平金型を置き、樹脂層付きの金属合金薄板の樹脂層同士を向かい合わせて積層し、積層物を平金型で挟み込んで数MPa程度のプレス圧をかけ、金型温度を樹脂融点以上にして樹脂層同士を面融着させることで金属合金薄板/樹脂層/金属合金薄板の積層板を得ることができる。ここで留意すべき点は、前述した方法と同様に十分に冷却してからプレス圧を下げて離型することである。
[実験例]
本発明者らは以下に示すように、積層板の作成実験を行った。実験に使用した代表的な装置を(a)〜(f)に示す。
(a)電子顕微鏡観察
SEM型の電子顕微鏡「S−4800(株式会社 日立製作所製)」及び「JSM−6700F(日本電子株式会社(日本国東京都)製)」を使用し1〜2KVにて観察した。
(b)走査型プローブ顕微鏡観察
ダイナミックフォース型の走査型プローブ顕微鏡「SPM−9600(株式会社 島津製作所製)」を使用した。
(c)試験片の接合強度の測定
引っ張り試験機「AG−10kNX(株式会社 島津製作所製)」を使用し、引っ張り速度10mm/分でせん断破断力を測定した。
(d)真空熱プレス機
真空プレス機「バキュームネオ(ミカドテクノス株式会社製)」を使用した。
(e)非破壊検査機
超音波型非破壊検査機「FSライン(日立建機ファインテック株式会社製)」を使用した。
(f)温度衝撃試験機
温度衝撃試験機「冷熱衝撃試験機TSA71S(エスペック株式会社製)」を使用した。
[実験例1](A5052アルミニウム合金の表面処理)
市販の0.3mm厚のA5052アルミニウム合金板材を入手し、切断して130mm×100mmの長方形片を多数作成した。槽の水に市販のアルミニウム合金用脱脂剤「NE−6(メルテックス株式会社製)」を投入して濃度7.5%の水溶液(60℃)とした。これに前記長方形片を7分浸漬し、よく水洗した。続いて別の槽に1%濃度の塩酸水溶液(40℃)を用意し、これに前記長方形片を1分浸漬してよく水洗した。次いで別の槽に1.5%濃度の苛性ソーダ水溶液(40℃)を用意し、これに前記長方形片を2分浸漬してよく水洗した。続いて別の槽に3%濃度の硝酸水溶液(40℃)を用意し、これに前記長方形片を3分浸漬し、水洗した。次いで別の槽に一水和ヒドラジンを3.5%含む水溶液(60℃)を用意し、これに前記長方形片を2分浸漬し、水洗した。次いで前記長方形片を67℃にした温風乾燥機に15分入れて乾燥した。乾燥後、前記長方形片をアルミ箔で包み、さらにこれをポリ袋に入れて封じ保管した。
前記処理をしたA5052アルミニウム合金片を電子顕微鏡観察したところ、10〜60nm径の凹部や、20〜50nm幅の溝状凹部、10〜20nm周期の細かい皴状凹凸など、無数の凹部で全面が覆われていることが分かった。これを図3の写真に示す。前記処理をしたA5052アルミニウム合金片を、走査型プローブ顕微鏡にかけて40μm/秒で20μm分を走査し、RSmとRzを求めたところ、RSmは1.1μ、Rzは.0.3μmであった。前記処理をしたA5052アルミニウム合金片に対して、XPSを使用してアルミニウム原子の観察をした。購入したA5052ではAl(0価)とAl(3価)が約1:3で観察されたのに対し、前記処理をしたA5052アルミニウム合金片では、Al(0価)は見当たらず、酸化アルミニウムの膜厚が厚くなったことが分かった。XPSでは表面から1〜2nmまでの深さの原子構成が検出されるので、酸化アルミニウム表層の厚さは少なくとも2nm以上になったことが明らかだった。
[実験例2](SUS304ステンレス鋼の表面処理)
市販の0.15mm厚SUS304の薄板材を入手し、切断して130mm×100mmの長方形片を多数作成した。槽に市販のアルミニウム合金用脱脂剤「NE−6」を7.5%含む水溶液(60℃)を用意し、これに前記長方形片を5分浸漬し、よく水洗した。続いて別の槽に1.5%濃度の苛性ソーダ水溶液(40℃)を用意し、これに前記長方形片を1分浸漬し、よく水洗した。続いて別の槽に5%濃度の硫酸水溶液(65℃)を用意し、これに前記長方形片を4分浸漬してよく水洗した。次いで3%濃度の硝酸水溶液(40℃)を用意し、これに前記長方形片を3分浸漬し、水洗した。これを80℃にした温風乾燥機に15分入れて乾燥した。乾燥後、前記長方形片をアルミ箔で包み、さらにこれをポリ袋に入れて封じ保管した。
前記処理をしたSUS304ステンレス鋼片を電子顕微鏡観察したところ、20〜40nm径の凸部が重なり合って高山のガレ場のような形状になっており、重なり合ったガレ場の周期は100〜300nmになっているように観察された。この写真を図4に示す。前記処理をしたSUS304ステンレス鋼片を、走査型プローブ顕微鏡にかけて40μm/秒で20μm分を走査し、RSmとRzを求めたところ、RSmは2.8μ、Rzは.0.6μmであった。
[実験例3](AZ31Bマグネシウム合金の表面処理)
市販の1mm厚のAZ31Bマグネシウム合金板材(日本金属株式会社製)を入手し、切断して130mm×100mmの長方形片を多数作成した。槽の水に市販のマグネシウム合金用脱脂剤「クリーナー160(メルテックス株式会社製)」を投入して濃度5%の水溶液(65℃)とした。これに前記長方形片を5分浸漬し、よく水洗した。続いて別の槽に1%濃度の水和クエン酸水溶液(40℃)を用意し、これに前記長方形片を4分浸漬して、よく水洗した。続いて別の槽に1%濃度の炭酸ソーダと1%濃度の炭酸水素ナトリウムを含む水溶液(65℃)を用意し、これに前記長方形片を5分浸漬して、よく水洗した。次いで15%濃度の苛性ソーダ水溶液(65℃)を用意し、これに前記AZ31B片を5分浸漬し、水洗した。続いて別の槽に0.25%濃度の水和クエン酸水溶液(40℃)を用意し、これに前記長方形片を1分浸漬してよく水洗した。次いで2%濃度の過マンガン酸カリウムと1%濃度の酢酸と0.5%濃度の水和酢酸ソーダを含む水溶液(45℃)を用意し、これに前記長方形片を1分浸漬し、水洗した。次いで前記長方形片を、80℃にした温風乾燥機に15分入れて乾燥した。乾燥後、前記長方形片をアルミ箔で包み、さらにこれをポリ袋に入れて封じ保管した。
前記処理をしたAZ31Bマグネシウム合金片を電子顕微鏡観察したところ、5〜10nm径の棒状結晶が複雑に絡み合っている箇所や、それらの塊が100nm径程度の球状物となりその球状物が積み重なった形の箇所があった。電子顕微鏡を10万倍として観察したときの写真を図5と図6に示した。又、走査型プローブ顕微鏡で走査して粗度観測を行ったところRSmが2〜3μm、Rzが1〜1.5μmであった。
[実験例4](KS15−3−3−3チタン合金の表面処理)
市販の0.3mm厚のβ型チタン合金「KS15−3−3−3(株式会社 神戸製鋼所製)」の薄板材を入手し、切断して130mm×100mmの長方形片を多数作成した。槽の水に市販のアルミニウム合金用脱脂剤「NE−6」を投入して濃度7.5%の水溶液(60℃)とした。これに前記長方形片を5分浸漬し、よく水洗した。続いて別の槽に1.5%濃度の苛性ソーダ水溶液(40℃)を用意し、これに前記長方形片を1分浸漬して、よく水洗した。続いて別の槽に10%濃度の硫酸と1%濃度の1水素2弗化アンモニウムを含む水溶液(65℃)を用意し、これに前記長方形片を5分浸漬して、よく水洗した。次いで3%濃度の硝酸水溶液(40℃)を用意し、これに前記長方形片を3分浸漬し、水洗した。次いで2%濃度の過マンガン酸カリウムと3%濃度の苛性カリを含む水溶液(70℃)を用意し、これに前記長方形片を2分浸漬し、水洗した。次いで前記長方形片を80℃にした温風乾燥機に15分入れて乾燥した。乾燥後、前記長方形片をアルミ箔で包み、さらにこれをポリ袋に入れて封じ保管した。
前記処理をしたチタン合金片を電子顕微鏡観察したところ、10〜100nm径の無数の凸部が不規則に全面を覆った礫岩原のような形状が観察された。これを図7に示す。又、前記処理をしたチタン合金片を走査型プローブ顕微鏡にかけて40μm/秒で20μm分を走査し、RSmとRzを求めたところ、RSmは5.1μ、Rzは0.7μmであった。
[実験例5](ステンレス鋼とマグネシウム合金からなる積層板の作成)
真空プレス機の熱板上に、SS440製で150mm×150mm(厚さ10mm)の平板を下型としてセットし、この上に実験例2で作成した130mm×100mm(厚さ0.15mm)のSUS304薄板を置いた。次いで、この上に50μm厚のPA6単層フィルム(東レフィルム加工株式会社製)を積層した。PA6単層フィルムは、130mm×100mmである。次いで、この上に実験例3で作成した厚さ1mmのAZ31Bマグネシウム合金板(130mm×100mm)を積層した。次いで、この上に前記と同じ50μm厚のPA6単層フィルム(130mm×100mm)を積層した。さらに、この上に実験例2で作成した130mm×100mm(厚さ0.15mm)のSUS304薄板を置いた。この上にSS440製で150mm×150mm(厚さ10mm)の平板を上型としてセットした。
プレス機構を稼動させて、積層物を上下の熱板で挟んで圧力2tをかけた。次いで積層物に真空カバーを被せて全体を3mmHg以下の減圧下にし、加熱電源を入れて昇温し上下熱板が260℃になるまで待ち、この温度で30分置いた。そこで系に空気を入れて常圧に戻し、次いでプレス圧を5tに上昇させた。プレス圧を5tにしたままで熱板の水冷ラインに冷却水を通して冷却した。熱板温度が50℃となるまで待ち、それから圧を下げ全体を開放して積層物を取り出した。SS440の鋼材の間からSUS304/PA6/AZ31B/PA6/SUS304の積層板が得られた。積層板の上下両面はまっ平らであった。
得られた積層板の周囲(4辺)をダイヤモンドカッターで切り落とし、120mm×90mm(厚さ2.2mm)の整った長方形形状とした。この際、積層板が昇温しないように留意した。次いで、前記積層板の周囲(4辺)に2液性エポキシ接着剤「#1500(セメダイン株式会社製)」を塗って端部処理をした。端部処理の翌日、超音波型非破壊検査機「FSライン」を使用して、積層板を水中に漬けて全境界層(全8面)を検査した。この検査でどの層間にも空隙は検出されなかった。次いで「冷熱衝撃試験機TSA71S」を使用して温度衝撃試験を行った。条件は−40℃/+80℃であり、高低温の保持時間は60分、移動時間は5分以内、サイクル数は1000サイクルとした。試験終了後に取り出した積層板の上下両面はまっ平らであった。
[実験例6](高強度チタン合金とマグネシウム合金からなる積層板の作成)
真空プレス機の熱板上に、SS440製で150mm×150mm(厚さ10mm)の平板を下型としてセットし、この上に実験例4で作成した130mm×100mm(厚さ0.3mm)のKS15−3−3−3チタン合金薄板を置いた。次いで、この上に50μm厚のPA6単層フィルム(東レフィルム加工株式会社製)を積層した。PA6単層フィルムは、130mm×100mmである。次いで、この上に実験例3で作成した厚さ1mmのAZ31Bマグネシウム合金板(130mm×100mm)を積層した。次いで、この上に前記と同じ50μm厚のPA6単層フィルム(130mm×100mm)を積層した。さらに、この上に実験例4で作成した130mm×100mm(厚さ0.3mm)のKS15−3−3−3チタン合金薄板を置いた。この上にSS440製で150mm×150mm(厚さ10mm)の平板を上型としてセットした。
プレス機構を稼動させて、積層物を上下の熱板で挟んで圧力2tをかけた。次いで積層物に真空カバーを被せて全体を5mmHg以下の減圧下にし、加熱電源を入れて昇温し上下熱板が260℃になるまで待ち、この温度で30分置いた。そこで系に空気を入れて常圧に戻し、次いでプレス圧を5tに上昇させた。プレス圧を5tにしたままで熱板の水冷ラインに冷却水を通して冷却した。熱板温度が50℃となるまで待ち、それから圧を下げ全体を開放して積層物を取り出した。SS440の鋼材の間からKS15−3−3−3/AZ31B/KS15−3−3−3の積層板が得られた。積層板の上下両面はまっ平らであった。
得られた積層板の周囲(4辺)をダイヤモンドカッターで切り落とし、120mm×90mm(厚さ2.2mm)の整った長方形形状とした。この際、積層板が昇温しないように留意した。次いで、前記積層板の周囲(4辺)に2液性エポキシ接着剤「#1500」を塗って端部処理をした。端部処理の翌日、超音波型非破壊検査機「FSライン」を使用して、積層板を水中に漬けて全境界層(全8面)を検査した。この検査でどの層間にも空隙は検出されなかった。次いで「冷熱衝撃試験機TSA71S」を使用して温度衝撃試験を行った。条件は−40℃/+80℃であり、高低温の保持時間は30分、移動時間は5分以内、サイクル数は1000サイクルとした。試験終了後に取り出した積層板の上下両面はまっ平らであった。
[実験例7](アルミニウム合金とGFRTPからなる交互積層板の作成)
真空プレス機の熱板上に、SS440製で150mm×150mm(厚さ10mm)の平板を下型としてセットし、この上に実験例1で作成した130mm×100mm(厚さ0.3mm)のアルミニウム合金薄板を置いた。次いで、この上に50μm厚のPA6単層フィルム(東レフィルム加工株式会社製)を積層した。PA6単層フィルムは、130mm×100mmである。次いで、この上に平織のナイロン用シランカップリング処理をした厚さ0.18mmで209g/m2のガラス繊維クロス「#7628(株式会社 日東紡製)」を1枚置き、次いで、この上に75μm厚のPA6単層フィルム(130mm×100mm)を積層した。また、この上に平織のナイロン用シランカップリング処理をした厚さ0.18mmで209g/m2のガラス繊維クロス「#7628(株式会社 日東紡製)」を1枚置き、次いで、この上に75μm厚のPA6単層フィルム(130mm×100mm)を積層した。
さらに、この上に、実験例1で作成した130mm×100mm(厚さ0.3mm)のアルミニウム合金薄板を置いた。ここまでの積層物は、アルミニウム合金/PA6/#7628/PA6/#7628/PA6/アルミニウム合金である。
このようにして、PA6/#7628/PA6/#7628/PA6の層を置き、この上に前記と同じアルミニウム合金薄板を置いた。このように、PA6/#7628/PA6/#7628/PA6の層と、アルミニウム合金薄とを交互に積層した。結果として、アルミニウム合金が5層、GFRTP(PA6/#7628/PA6/#7628/PA6の層)が4層からなる交互積層板を作成した。この上にSS440製で150mm×150mm(厚さ10mm)の平板を上型としてセットした。
プレス機構を稼動させて、積層物を上下の熱板で挟んで圧力2tをかけた。次いで積層物に真空カバーを被せて全体を5mmHg以下の減圧下にし、加熱電源を入れて昇温し上下熱板が260℃になるまで待ち、この温度で30分置いた。そこで系に空気を入れて常圧に戻し、次いでプレス圧を5tに上昇させた。プレス圧を5tにしたままで熱板の水冷ラインに冷却水を通して冷却した。熱板温度が50℃となるまで待ち、それから圧を下げ全体を開放して積層物を取り出した。SS440の鋼材の間から、アルミニウム合金5層とGFRTP4層からなる交互積層板が得られた。積層板の上下両面はまっ平らであった。
得られた積層板の周囲(4辺)をダイヤモンドカッターで切り落とし、120mm×90mm(厚さ2.2mm)の整った長方形形状とした。この際、積層板が昇温しないように留意した。次いで、前記積層板の周囲(4辺)に2液性エポキシ接着剤「#1500」を塗って端部処理をした。端部処理の翌日、超音波型非破壊検査機「FSライン」を使用して、積層板を水中に漬けて全境界層(全8面)を検査した。この検査でどの層間にも空隙は検出されなかった。次いで「冷熱衝撃試験機TSA71S」を使用して温度衝撃試験を行った。条件は−40℃/+80℃であり、高低温の保持時間は30分、移動時間は5分以内、サイクル数は1000サイクルとした。試験終了後に取り出した積層板の上下両面はまっ平らであった。
[実験例8](ステンレス鋼とマグネシウム合金からなるPPS使用の積層板の作成)
真空プレス機の熱板上に、SS440製で150mm×150mm(厚さ10mm)の平板を下型としてセットし、この上に実験例2で作成した130mm×100mm(厚さ0.15mm)のSUS304薄板を置いた。次いで、この上に50μm厚のPPS単層フィルム(東レ株式会社製)を積層した。PPS単層フィルムは、130mm×100mmである。 次いで、この上に実験例3で作成した厚さ1mmのAZ31Bマグネシウム合金板(130mm×100mm)を積層した。次いで、この上に50μm厚の前記PPS単層フィルム(130mm×100mm)を積層した。さらに、この上に実験例2で作成した130mm×100mm(厚さ0.15mm)のSUS304薄板を置いた。この上にSS440製で150mm×150mm(厚さ10mm)の平板を上型としてセットした。
プレス機構を稼動させて、積層物を上下の熱板で挟んで圧力2tをかけた。次いで積層物に真空カバーを被せて全体を5mmHg以下の減圧下にし、加熱電源を入れて昇温し上下熱板が320℃になるまで待ち、この温度で30分置いた。そこで系に空気を入れて常圧に戻し、次いでプレス圧を5tに上昇させた。プレス圧を5tにしたままで熱板の水冷ラインに冷却水を通して冷却した。熱板温度が50℃となるまで待ち、それから圧を下げ全体を開放して積層物を取り出した。SS440の鋼材の間から、SUS304/PPS/AZ31B/PPS/SUS304の積層板が得られた。積層板の上下両面はまっ平らであった。
[実験例9](ステンレス鋼とアルミニウム合金からなるPEEK使用の積層板の作成)
真空プレス機の熱板上に、SS440製で150mm×150mm(厚さ10mm)の平板を下型としてセットし、この上に実験例2で作成した130mm×100mm(厚さ0.15mm)のSUS304薄板を置いた。次いで、この上に100μm厚のPEEK単層フィルム(住友ベークライト株式会社製)を積層した。PEEK単層フィルムは、130mm×100mmである。次いで、この上に実験例1で作成した厚さ1.6mmのA5052アルミニウム合金板(130mm×100mm)を積層した。次いで、この上に100μm厚の前記PEEK単層フィルム(130mm×100mm)を積層した。さらに、この上に実験例2で作成した130mm×100mm(厚さ0.15mm)のSUS304薄板を置いた。この上にSS440製で150mm×150mm(厚さ10mm)の平板を上型としてセットした。
プレス機構を稼動させて、積層物を上下の熱板で挟んで圧力2tをかけた。次いで積層物に真空カバーを被せて全体を5mmHg以下の減圧下にし、加熱電源を入れて昇温し上下熱板が380℃になるまで待ち、この温度で30分置いた。そこで系に空気を入れて常圧に戻し、次いでプレス圧を5tに上昇させた。プレス圧を5tにしたままで熱板の水冷ラインに冷却水を通して冷却した。熱板温度が50℃となるまで待ち、それから圧を下げ全体を開放して積層物を取り出した。SS440の鋼材の間から、SUS304/PEEK/A5052/PEEK/SUS304の積層板が得られた。積層板の上下両面はまっ平らであった。
得られた積層板の周囲(4辺)をダイヤモンドカッターで切り落とし、120mm×90mm(厚さ2.2mm)の整った長方形形状とした。この際、積層板が昇温しないように留意した。次いで、前記積層板の周囲(4辺)に2液性エポキシ接着剤「#1500」を塗って端部処理をした。端部処理の翌日、超音波型非破壊検査機「FSライン」を使用して、積層板を水中に漬けて全境界層(全8面)を検査した。この検査でどの層間にも空隙は検出されなかった。次いで「冷熱衝撃試験機TSA71S」を使用して温度衝撃試験を行った。条件は−55℃/+100℃であり、高低温の保持時間は30分、移動時間は5分以内、サイクル数は1000サイクルとした。試験終了後に取り出した積層板の上下両面はまっ平らであった。
[実験例10](ステンレス鋼とアルミニウム合金からなるPEEK使用の積層板の作成)
実験例9と同様の操作を行い、0.15mm厚のSUS304薄板/PEEK/1.6mm厚のA5052アルミニウム合金板/PEEK/0.15mm厚のSUS304薄板からなる積層板を作成した。但し、実験例9と異なる点は、最終工程において、真空熱プレス機での金型冷却時に370℃から50℃付近まで一挙に冷却しなかったことである。本実験例において、温度計(熱電対)は熱板の金型接触側近くに設置されていたが、その温度表示が180℃を指した時点で水冷ラインの注水を止め、30分そのままにした。温度表示は注水中止後に一旦上昇し、それからごく緩やかに下降したので金型内は180〜190℃に30分程度保たれたと推定される。その後に水冷を再開し、熱板温度が50℃となるまで待ち、それから圧を下げ全体を開放して積層物を取り出した。SS440の鋼材の間から、SUS304/PEEK/A5052/PEEK/SUS304の積層板が得られた。積層板の上下両面はまっ平らであった。
得られた積層板の周囲(4辺)をダイヤモンドカッターで切り落とし、120mm×90mm(厚さ2.2mm)の整った長方形形状とした。この際、積層板が昇温しないように留意した。次いで、前記積層板の周囲(4辺)に2液性エポキシ接着剤「#1500」を塗って端部処理をした。端部処理の翌日、超音波型非破壊検査機「FSライン」を使用して、積層板を水中に漬けて全境界層(全8面)を検査した。この検査でどの層間にも空隙は検出されなかった。次いで「冷熱衝撃試験機TSA71S」を使用して温度衝撃試験を行った。条件は−55℃/+100℃であり、高低温の保持時間は30分、移動時間は5分以内、サイクル数は1000サイクルとした。試験終了後に取り出した積層板の上下両面はまっ平らであった。
積層板の作成法において、上記のように180℃程度の温度に数十分置く方法は、PEEKの結晶化度が上限まで上がり易いとの考えに基づくものであった。但し、このような措置をせずとも、実験例9で得た積層板も含め、非破壊検査、温度衝撃試験で同様な結果が得られた。今後は実験例9と10の間に詳細な機械物性の違いがあるのかを探し出し、この結晶化促進の追加操作が有効か否かを調べることが重要となる。
[実験例11](アルミニウム合金とGFRTPからなる交互積層板の作成)
真空プレス機の熱板上に、SS440製で150mm×150mm(厚さ10mm)の平板を下型としてセットし、この上に実験例4で作成した130mm×100mm(厚さ0.3mm)のKS15−3−3−3チタン合金薄板材を置いた。次いで、この上に75μm厚のPA6単層フィルム(東レフィルム加工株式会社製)を積層した。PA6単層フィルムは、130mm×100mmである。次いで、この上に平織のナイロン用シランカップリング処理をした厚さ0.18mmで209g/m2のガラス繊維クロス「#7628(株式会社 日東紡製)」を1枚置き、次いで、この上に75μm厚のPA6単層フィルム(130mm×100mm)を2枚積層した。さらにその上に、「#7628(株式会社 日東紡製)」を1枚置き、この上に75μm厚のPA6単層フィルム(130mm×100mm)を1枚積層した。ここまでの積層物は、チタン合金/PA6/#7628/PA6/PA6/#7628/PA6である。
次いで、この上に上記チタン合金の上に積層したPA6フィルム4枚とガラス繊維クロス2枚のセット(PA6/#7628/PA6/PA6/#7628/PA6)を同様に積層し、また、この上にPA6フィルム4枚とガラス繊維クロス2枚のセット(PA6/#7628/PA6/PA6/#7628/PA6)を積層した。さらにこの上に、PA6フィルム4枚とガラス繊維クロス2枚のセット(PA6/#7628/PA6/PA6/#7628/PA6)を積層した。最後に実験例4で作成したKS15−3−3−3チタン合金薄板材を乗せた。積層したのは、PA6フィルムを除いて、チタン合金薄板材を計2枚(計0.6mm)、ガラス繊維クロスを計8枚(計1.44mm)である。この上にSS440製で150mm×150mm(厚さ10mm)の平板を上型としてセットした。
プレス機構を稼動させて、積層物を上下の熱板で挟んで圧力2tをかけた。次いで積層物に真空カバーを被せて全体を5mmHg以下の減圧下にし、加熱電源を入れて昇温し上下熱板が260℃になるまで待ち、この温度で40分置いた。そこで系に空気を入れて常圧に戻し、次いでプレス圧を5tに上昇させた。プレス圧を5tにしたままで熱板の水冷ラインに冷却水を通して冷却した。熱板温度が50℃となるまで待ち、それから圧を下げ全体を開放して積層物を取り出した。SS440の鋼材の間からPA6製GFRTP積層板が得られた。積層板の上下両面はまっ平らであった。
[実験例12](アルミニウム合金とステンレス鋼からなる交互積層板:粉体塗装)
市販の0.6mm厚のA5052アルミニウム合金板材を入手し、切断して130mm×100mmの長方形片を多数作成した。このアルミニウム合金片に対して、実験例1と全く同様の表面処理を行った。即ち、新NMTで要求する形状となるようにした。また、市販の0.5mm厚のSUS304ステンレス鋼板材を入手し、切断して130mm×100mmの長方形片を多数作成した。その後は実験例2と全く同様の表面処理を行った。一方、PPS樹脂「トレリナA900(東レ株式会社製)」を入手し、樹脂用粉砕機「ターボディスクミルTD−150型(株式会社マツボー(日本国東京都)製)」を使用してこれを粉砕し、粉砕物から40〜100メッシュのふるいを通過したPPS粉体を分級した。このPPS粉体を原料とし、前記A5052アルミニウム合金片2枚の各々片面、及び、SUS304ステンレス鋼板片の両面に静電塗装し、窒素下320℃で焼き付けた。塗膜厚は、何れも30〜100μmの範囲内であった。
熱プレス機の熱板上に、SS440製で150mm×150mm(厚さ10mm)の平板を下型としてセットし、この上に前記130mm×100mm(厚さ0.6mm)のA5052アルミニウム合金板材を塗装面が上になるように置いた。次いで、この上に前記SUS304ステンレス鋼板片を置き、さらにその上にもう一枚の前記A5052アルミニウム合金板材を塗装面が下になるように置いた。この上にSS440製で150mm×150mm(厚さ10mm)の平板を上型としてセットした。
プレス機構を稼動させて、積層物を上下の熱板で挟んで圧力2tをかけた。次いで加熱電源を入れて昇温し上下熱板が310℃になるまで待ち、この温度で20分置いた。次いでプレス圧を5tに上昇させた。プレス圧を5tにしたままで熱板の水冷ラインに冷却水を通して冷却した。熱板温度が50℃となるまで待ち、それから圧を下げ全体を開放して積層物を取り出した。SS440の鋼材の間からA5052/PPS/SUS304/PPS/A5052の積層板が真っ平らで得られた。
40…金属合金
41…セラミック質層
42…樹脂層

Claims (14)

  1. 表面に、輪郭曲線要素の平均長さ(RSm)が0.8〜10μm、最大高さ(Rz)が0.2〜5μmであるミクロンオーダーの粗度があり、且つ、その粗度を有する面内に10〜300nm周期の超微細凹凸が存在し、且つ、表層が金属酸化物又は金属リン酸化物のセラミック質薄層で覆われている第1の金属合金薄板と、
    表面に、輪郭曲線要素の平均長さ(RSm)が0.8〜10μm、最大高さ(Rz)が0.2〜5μmであるミクロンオーダーの粗度があり、且つ、その粗度を有する面内に10〜300nm周期の超微細凹凸が存在し、且つ、表層が金属酸化物又は金属リン酸化物のセラミック質薄層で覆われている第2の金属合金薄板が、
    樹脂層を挟んで積層された積層板であって、
    前記樹脂層は、硬質で結晶性の熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂からなり、当該樹脂が前記第1の金属合金薄板と前記第2の金属合金薄板を接着させ、
    且つ、各層の面積が100cm以上であることを特徴とする積層板。
  2. 表面に、輪郭曲線要素の平均長さ(RSm)が0.8〜10μm、最大高さ(Rz)が0.2〜5μmであるミクロンオーダーの粗度があり、且つ、その粗度を有する面内に10〜300nm周期の超微細凹凸が存在し、且つ、表層が金属酸化物又は金属リン酸化物のセラミック質薄層で覆われている第1の金属合金薄板と、
    マトリックス樹脂として硬質で結晶性の熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂が使用された繊維強化プラスチック製シートの積層板であって、
    前記第1の金属合金薄板と前記繊維強化プラスチック製シートが、接着剤を介在せずに、前記マトリックス樹脂の硬化物によって相互に接着されており、
    且つ各層の面積が100cm以上であることを特徴とする積層板。
  3. 請求項2に記載した積層板であって、
    前記繊維強化プラスチック製シートに使用される強化繊維がガラス繊維であることを特徴とする積層板。
  4. 請求項1ないし3から選択される1項に記載の積層板であって、
    前記熱可塑性樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、及びポリエーテルエーテルケトン樹脂から選択される1種以上であることを特徴とする積層板。
  5. 請求項4に記載した積層板であって、
    前記熱可塑性樹脂が、前記ポリアミド樹脂として6ナイロン樹脂を含むことを特徴とする積層板。
  6. 面積が100cm以上である第1の金属合金薄板及び第2の金属合金薄板の表面に、輪郭曲線要素の平均長さ(RSm)が0.8〜10μm、最大高さ(Rz)が0.2〜5μmであるミクロンオーダーの粗度を形成し、且つ、その粗度を有する面内に10〜300nm周期の超微細凹凸を形成し、且つ、表層を金属酸化物又は金属リン酸化物のセラミック質薄層で覆うための表面処理を行う表面処理工程と、
    前記表面処理工程を経た第1の金属合金薄板に、硬質で結晶性の熱可塑性樹脂を主成分とする厚さ10μm以上の樹脂フィルムを積層し、さらにその上に前記表面処理工程を経た第2の金属合金薄板を積層する積層工程と、
    前記積層工程を経た積層物を熱プレス機で挟んで、前記樹脂フィルムの樹脂の融点以上まで昇温し、且つ前記積層物の厚さが当該昇温前の各層の厚さの合計値より小さくなったときにもプレス圧を維持する熱プレス工程と、
    前記熱プレス工程後に、温度を低下させて前記積層物の各層が接合された積層板を取り出す取出工程と、
    を含むことを特徴とする積層板の製造方法。
  7. 面積が100cm以上である第1の金属合金薄板及び第2の金属合金薄板の表面に、輪郭曲線要素の平均長さ(RSm)が0.8〜10μm、最大高さ(Rz)が0.2〜5μmであるミクロンオーダーの粗度を形成し、且つ、その粗度を有する面内に10〜300nm周期の超微細凹凸を形成し、且つ、表層を金属酸化物又は金属リン酸化物のセラミック質薄層で覆うための表面処理を行う表面処理工程と、
    前記表面処理工程を経た第1の金属合金薄板に、マトリックス樹脂として硬質で結晶性の熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂が使用された繊維強化プラスチック製シートを積層し、さらにその上に前記表面処理工程を経た第2の金属合金薄板を積層する積層工程と、
    前記積層工程を経た積層物を熱プレス機で挟んで、前記樹脂の融点以上まで昇温し、且つ前記積層物の厚さが当該昇温前の各層の厚さの合計値より小さくなったときにもプレス圧を維持する熱プレス工程と、
    前記熱プレス工程後に、温度を低下させて前記積層物の各層が接合された積層板を取り出す取出工程と、
    を含むことを特徴とする積層板の製造方法。
  8. 請求項6又は7に記載した積層板の製造方法であって、
    前記熱プレス工程において真空熱プレス機を使用し、
    前記積層物を前記真空熱プレス機内のプレス型で挟んだ状態で、当該真空熱プレス機内を減圧し、前記樹脂の融点以上まで昇温し、且つ前記積層物の厚さが当該昇温前の各層の厚さの合計値より小さくなったときにもプレス圧を維持することを特徴とする積層板の製造方法。
  9. 面積が100cm以上である第1の金属合金薄板及び第2の金属合金薄板の表面に、輪郭曲線要素の平均長さ(RSm)が0.8〜10μm、最大高さ(Rz)が0.2〜5μmであるミクロンオーダーの粗度を形成し、且つ、その粗度を有する面内に10〜300nm周期の超微細凹凸を形成し、且つ、表層を金属酸化物又は金属リン酸化物のセラミック質薄層で覆うための表面処理を行う表面処理工程と、
    前記表面処理工程を経た第1の金属合金薄板に、硬質で結晶性の熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂が使用されたプラスチックフィルム及び繊維強化クロスを連続して積層し、さらにその上に前記表面処理工程を経た第2の金属合金薄板を積層する積層工程と、
    前記積層工程を経た積層物を真空熱プレス機内のプレス型で挟んだ状態で、当該真空熱プレス機内を減圧し、前記樹脂の融点以上まで昇温し、且つ前記積層物の厚さが当該昇温前の各層の厚さの合計値より小さくなったときにもプレス圧を維持する熱プレス工程と、
    前記熱プレス工程後に、温度を低下させて前記積層物の各層が接合された積層板を取り出す取出工程と、
    を含むことを特徴とする積層板の製造方法。
  10. 面積が100cm以上である第1の金属合金薄板及び第2の金属合金薄板の表面に、輪郭曲線要素の平均長さ(RSm)が0.8〜10μm、最大高さ(Rz)が0.2〜5μmであるミクロンオーダーの粗度を形成し、且つ、その粗度を有する面内に10〜300nm周期の超微細凹凸を形成し、且つ、表層を金属酸化物又は金属リン酸化物のセラミック質薄層で覆うための表面処理を行う表面処理工程と、
    前記表面処理工程を経た第1の金属合金薄板及び第2の金属合金薄板に、硬質で結晶性の熱可塑性樹脂を主成分とする厚さ10μm以上の樹脂フィルムを載せて加熱して溶融させることにより、当該第1の金属合金薄板及び第2の金属合金薄板の表面を熱可塑性樹脂層で覆う溶融工程と、
    前記溶融工程を経た第1の金属合金薄板及び第2の金属合金薄板を、各々の熱可塑性樹脂層が接着対象面を向くように積層する積層工程と、
    前記積層工程を経た積層物を熱プレス機で挟んで、前記樹脂フィルムの樹脂の融点以上まで昇温し、且つ前記積層物の厚さが当該昇温前の各層の厚さの合計値より小さくなったときにもプレス圧を維持する熱プレス工程と、
    前記熱プレス工程後に、温度を低下させて前記積層物の各層が接合された積層板を取り出す取出工程と、
    を含むことを特徴とする積層板の製造方法。
  11. 面積が100cm以上である第1の金属合金薄板及び第2の金属合金薄板の表面に、輪郭曲線要素の平均長さ(RSm)が0.8〜10μm、最大高さ(Rz)が0.2〜5μmであるミクロンオーダーの粗度を形成し、且つ、その粗度を有する面内に10〜300nm周期の超微細凹凸を形成し、且つ、表層を金属酸化物又は金属リン酸化物のセラミック質薄層で覆うための表面処理を行う表面処理工程と、
    前記表面処理工程を経た第1の金属合金薄板及び第2の金属合金薄板の表面に、硬質で結晶性の熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂粉体を塗装して溶融させることにより、当該第1の金属合金薄板及び第2の金属合金薄板の表面を熱可塑性樹脂層で覆う溶融工程と、
    前記溶融工程を経た第1の金属合金薄板及び第2の金属合金薄板を、各々の熱可塑性樹脂層が接着対象面を向くように積層する積層工程と、
    前記積層工程を経た積層物を熱プレス機で挟んで、前記樹脂粉体の融点以上まで昇温し、且つ前記積層物の厚さが当該昇温前の各層の厚さの合計値より小さくなったときにもプレス圧を維持する熱プレス工程と、
    前記熱プレス工程後に、温度を低下させて前記積層物の各層が接合された積層板を取り出す取出工程と、
    を含むことを特徴とする積層板の製造方法。
  12. 面積が100cm以上である第1の金属合金薄板及び第2の金属合金薄板の表面に、輪郭曲線要素の平均長さ(RSm)が0.8〜10μm、最大高さ(Rz)が0.2〜5μmであるミクロンオーダーの粗度を形成し、且つ、その粗度を有する面内に10〜300nm周期の超微細凹凸を形成し、且つ、表層を金属酸化物又は金属リン酸化物のセラミック質薄層で覆うための表面処理を行う表面処理工程と、
    前記表面処理工程を経た第1の金属合金薄板及び第2の金属合金薄板に、硬質で結晶性の熱可塑性樹脂を主成分とする厚さ10μm以上の樹脂フィルムを載せて加熱して溶融させることにより、当該第1の金属合金薄板及び第2の金属合金薄板の表面を熱可塑性樹脂層で覆う溶融工程と、
    前記溶融工程を経た第1の金属合金薄板及び第2の金属合金薄板を、各々の熱可塑性樹脂層が接着対象面を向くように積層する際、当該熱可塑性樹脂層に接する繊維強化プラスチック製シートであって、マトリックス樹脂として前記熱可塑性樹脂を主成分とするものを、当該第1の金属合金薄板と当該第2の金属合金薄板との間に挟んで積層する積層工程と、
    前記積層工程を経た積層物を熱プレス機で挟んで、前記熱可塑性樹脂の融点以上まで昇温し、且つ前記積層物の厚さが当該昇温前の各層の厚さの合計値より小さくなったときにもプレス圧を維持する熱プレス工程と、
    前記熱プレス工程後に、温度を低下させて前記積層物の各層が接合された積層板を取り出す取出工程と、
    を含むことを特徴とする積層板の製造方法。
  13. 面積が100cm以上である第1の金属合金薄板及び第2の金属合金薄板の表面に、輪郭曲線要素の平均長さ(RSm)が0.8〜10μm、最大高さ(Rz)が0.2〜5μmであるミクロンオーダーの粗度を形成し、且つ、その粗度を有する面内に10〜300nm周期の超微細凹凸を形成し、且つ、表層を金属酸化物又は金属リン酸化物のセラミック質薄層で覆うための表面処理を行う表面処理工程と、
    前記表面処理工程を経た第1の金属合金薄板及び第2の金属合金薄板の表面に、硬質で結晶性の熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂粉体を塗装して溶融させることにより、当該第1の金属合金薄板及び第2の金属合金薄板の表面を熱可塑性樹脂層で覆う溶融工程と、
    前記溶融工程を経た第1の金属合金薄板及び第2の金属合金薄板を、各々の熱可塑性樹脂層が接着対象面を向くように積層する際、当該熱可塑性樹脂層に接する繊維強化プラスチック製シートであって、マトリックス樹脂として前記熱可塑性樹脂を主成分とするものを、当該第1の金属合金薄板と当該第2の金属合金薄板との間に挟んで積層する積層工程と、
    前記積層工程を経た積層物を熱プレス機で挟んで、前記熱可塑性樹脂の融点以上まで昇温し、且つ前記積層物の厚さが当該昇温前の各層の厚さの合計値より小さくなったときにもプレス圧を維持する熱プレス工程と、
    前記熱プレス工程後に、温度を低下させて前記積層物の各層が接合された積層板を取り出す取出工程と、
    を含むことを特徴とする積層板の製造方法。
  14. 請求項6、7、9、10、11、12、及び13から選択される1項に記載した積層板の製造方法であって、
    前記取出工程において、前記熱プレス工程におけるプレス圧を維持したまま温度を低下させることを特徴とする積層板の製造方法。
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