JP2002180070A - ボイラー・工業炉用燃料油 - Google Patents

ボイラー・工業炉用燃料油

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JP2002180070A JP2000374220A JP2000374220A JP2002180070A JP 2002180070 A JP2002180070 A JP 2002180070A JP 2000374220 A JP2000374220 A JP 2000374220A JP 2000374220 A JP2000374220 A JP 2000374220A JP 2002180070 A JP2002180070 A JP 2002180070A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高沸点留分を含みつつ、かつ低温流動性
が良好なボイラー・工業炉用燃料油を提供する。 【解決手段】 下記の項目を満足するボイラー・工業炉
用燃料油。 (1)燃料油の、15℃における密度が0.8762g
/ミリリットルを超え、硫黄分量が0.3質量%以下、
10%残油の残留炭素分量が0.6質量%以下、引火点
が60℃以上、50℃における動粘度が1.5〜5.5
mm2 /s、総発熱量が39,400kJ/リットル以
上及びセタン指数が32以上、目詰まり温度が−14℃
以下及び流動点が−30℃以下である。 (2)ライトサイクルオイル(LCO)25〜65容量
%、脱ろう脱硫軽油(DWGO)15〜35容量%、直
接脱硫軽油(DSGO)5〜36容量%及び灯油(KE
RO)0〜15容量%を含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボイラー・工業炉
用燃料油に関し、より詳しくは高沸点留分を含みつつ、
かつ低温流動性が良好なボイラー・工業炉用燃料油に関
する。
【0002】
【従来の技術】石油精製装置からの中間留分(灯油、軽
油及びA重油)は堅調に需要が増大する一方、C重油な
どの重質油の需要が減退し、中間留分増産のニーズがあ
る。そのニーズに対する対策の一つとして、より高沸点
留分をA重油の基材として利用する方法がある。しか
し、より高沸点留分をA重油基材として用いた場合、特
に寒冷地において、ワックス析出などによりフィルター
の目詰まり、流動性の悪化など低温流動性の問題を起こ
す可能性がある。それは、ヒーター設置などの燃料を使
用する装置側から解決できるが、コストアップに繋がる
ので、全装置には設置されていないのが現状である。そ
こで、燃料側からの解決方法が望まれ、高沸点留分をA
重油基材として活用する方法、すなわち、低温流動性を
始め実用性能が良好な高沸点留分を含むA重油が切望さ
れている。
【0003】より高沸点留分を含むA重油は、目詰まり
点、流動点が上昇し、すなわち、低温流動性が悪化し、
特に寒冷地においては、実用性能上問題があるため、蒸
留性状を軽質化することにより、低温流動性を維持して
いる。しかし、それでは、中間留分基材がC重油などの
重質油基材となり、中間留分の増産には応えられない。
【0004】また、添加剤を加えることにより低温流動
性を改善することも知られているが、A重油の場合、軽
油ほど顕著な効果はみられない。さらに、残油流動接触
分解装置(RFCC)又は流動接触分解装置(FCC)
で生成する分解軽油(LCO;ライトサイクルオイル)
を使用する方法も考えられるが、LCOはセタン指数が
低く、燃焼性の観点より、通常の燃焼設備(ボイラーな
ど)では、単独もしくは主基材での使用は難しい。
【0005】また、常圧残渣油を直接脱硫する際に、分
解により得られる直接脱硫軽油(DSGO)を利用する
ことが知られているが、その得率が低いのが現状であ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な状況に鑑みなされたもので、高沸点留分を含みつつ、
かつ低温流動性が良好なボイラー・工業炉用燃料油を提
供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究の
結果、ライトサイクルオイル(以下、LCOともい
う。)、脱ろう脱硫軽油(以下、DWGOともい
う。)、直接脱硫軽油(以下、DSGOともいう。)を
適量含有させ、及び必要により灯油(以下、KEROと
もいう。)含有させることにより本発明の目的を効率的
に達成しうることを見出し、本発明を完成したものであ
る。
【0008】すなわち、本発明の要旨は下記のとおりで
ある。 1.下記の項目を満足するボイラー・工業炉用燃料油。 (1)燃料油の、15℃における密度が0.8762g
/ミリリットルを超え、硫黄分量が0.3質量%以下、
10%残油の残留炭素分量が0.6質量%以下、引火点
が60℃以上、50℃における動粘度が1.5〜5.5
mm2 /s、総発熱量が39,400kJ/リットル以
上、セタン指数が32以上、目詰まり点が−14℃以下
及び流動点が−30℃以下である。 (2)ライトサイクルオイル(LCO)25〜65容量
%、脱ろう脱硫軽油(DWGO)15〜35容量%、直
接脱硫軽油(DSGO)5〜36容量%及び灯油(KE
RO)0〜15容量%を含有する。 2.DWGOの、目詰まり点が−10℃以下、流動点が
−14℃以下、セタン指数が50以上、ノルマルパラフ
ィン成分量が14質量%以下、炭素数20以上のノルマ
ルパラフィン成分量が2.7質量%以下及び90容量%
留出温度が340℃以上である前記1記載の燃料油。 3.燃料油の、15℃における密度が0.8800g/
ミリリットル以上、50℃における動粘度が2.0〜
3.0mm2 /s、セタン指数が35以上及び90容量
%留出温度が340℃以上である前記1又は2に記載の
燃料油。 4.LCO25〜59容量%、DWGO20〜33容量
%、DSGO10〜33容量%及びKERO0〜10容
量%を含有するものである前記1〜3のいずれかに記載
の燃料油。 5.DWGOの、目詰まり点が−12℃以下、流動点が
−16℃以下、セタン指数が55以上、ノルマルパラフ
ィン成分量が13質量%以下、炭素数20以上のノルマ
ルパラフィン成分量が2.0質量%以下及び90容量%
留出温度が345℃以上である前記1〜4のいずれかに
記載の燃料油。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のボイラー・工業炉用燃料
油は、以下に示す性状を有するものである。まず、15
℃における密度は、0.8762g/ミリリットル超え
ていることが必要である。この密度が0.8762g/
ミリリットル以下では充分な発熱量が得られない。好ま
しい密度は0.8800g/ミリリットル以上である。
また、硫黄分量は、煙道の低温腐食防止や環境負荷低減
の点から0.3質量%以下であることが必要である。さ
らに、10%残油の残留炭素分は、煤発生の抑制の点か
ら、0.6質量%以下である。引火点は、取扱いの安全
性(JIS A重油1種1号規格)の点から60℃以上
であり、50℃における動粘度は、燃焼性及び取扱い性
の点から、1.5〜5.5mm2 /sの範囲、好ましく
は2.0〜3.0mm2 /sの範囲である。また、総発
熱量は、燃料使用量の点から39,400kJ/リット
ル以上であり、セタン指数は、燃焼性の点から、32以
上、好ましくは35以上である。目詰まり点は、低温で
の目詰まり抑制の点から−14℃以下であり、流動点
は、低温での流動性確保の点から−30℃以下である。
さらに、90容量%留出温度は、高沸点留分活用の面か
ら、340℃以上が好ましく、345℃以上がより好ま
しい。また、アニリン点は、ゴム膨潤性抑制の点から4
0℃以上が好ましい。さらに、炭素/水素の原子比は、
発熱量確保と芳香族含有量の点から6.8〜7.5の範
囲が好ましい。
【0010】次に、本発明のボイラー・工業炉用燃料油
の基材の比率について述べる。ライトサイクルオイル
(LCO)は、発熱量確保と燃焼性の点から25〜65
容量%、好ましくは25〜59容量%の範囲である。脱
ろう脱硫軽油(DWGO)は、発熱量と低温流動性の点
から15〜35容量の範囲%、好ましくは20〜33容
量%である。直接脱硫軽油(DSGO)は、発熱量確
保、硫黄分との関係及び基材の生産バランスとの関係か
ら5〜36容量%、好ましくは10〜33容量%の範囲
である。また、灯油(KERO)は高沸点留分の活用、
発熱量の確保及び低温流動性との関係から、必要により
0〜15容量%、好ましくは0〜10容量%の範囲であ
る。なお、KEROは脱硫された脱硫灯油(DK)を使
用してもよい。本発明の燃料油は、その他に本発明の目
的を損なわない範囲で、水添脱硫軽質軽油(DGO)、
水素化分解軽質軽油(HCGO)などを混合してもよ
い。
【0011】さらに本発明の燃料油においては、上記の
DWGOとして特定の性状のものを使用することが好ま
しい。すなわち、目詰まり点は、低温における目詰まり
抑制の点から、好ましくは−10℃以下、より好ましく
は−12℃以下であり、流動点は、低温流動性の点か
ら、好ましくは−14℃以下、より好ましくは−16℃
以下である。また、セタン指数は、燃焼性の点から、好
ましくは50以上、より好ましくは55以上である。ノ
ルマルパラフィン成分量は、低温流動性及び脱ろう度合
いとの関係から好ましくは14質量%以下、より好まし
くは13質量%以下であり、炭素数20以上のノルマル
パラフィン成分量は、低温流動性及び脱ろう度合いとの
関係から好ましくは2.7質量%以下、より好ましくは
2.0質量%以下である。
【0012】なお、ここで、LCOは、流動接触分解装
置(FCC)又は残油流動接触分解装置(RFCC)に
より生成する軽質軽油を指す。DWGOは、直留軽質軽
油(LGO)を水添脱ろう、脱硫処理して生成する軽質
軽油を指す。DSGOは、常圧残油を直接脱硫装置で処
理して生成する軽質軽油を指す。本発明の燃料油には、
必要に応じてセタン価向上剤,酸化防止剤,金属不活性
剤,低温流動性向上剤,氷結防止剤,腐食防止剤,微生
物殺菌剤,助燃剤,帯電防止剤,潤滑性付加剤,着色剤
等の添加剤を適宜加えることができる。
【0013】
【実施例】以下に実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこの例になんら限定されるものでは
ない。なお、燃料油の諸物性は、下記の方法に従って測
定した。 (1)密度(15℃):JIS K 2249に準拠 (2)硫黄分量:JIS K 2541に準拠 (3)10%残油の残留炭素分量(10%残炭分):J
IS K 2270に準拠 (4)引火点:JIS K 2265に準拠 (5)動粘度(50℃):JIS K 2283に準拠 (6)総発熱量:JIS K 2279に準拠
【0014】(7)セタン指数:JIS K 2204
に準拠 (8)目詰まり点:JIS K 2288に準拠 (9)流動点:JIS K 2269に準拠 (10)ノルマルパラフィン成分量(n−P):ガスクロ
マトグラフィーを用いて測定 (11)炭素数20以上のノルマルパラフィン成分量(≧
nC20):ガスクロマトグラフィーを用いて測定 (12)蒸留性状(90容量%留出温度、その他):JI
S K 2254に準拠
【0015】実施例1、比較例1〜4及び参考例1 第1表に示す性状の軽油基材を第2表に示す割合で混合
して燃料油を調製し、その性状を評価した。結果を第2
表に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
【表3】
【0019】
【表4】
【0020】
【表5】
【0021】比較例,参考例より下記のことがわかる。 比較例1において、DWGOがなく、DSGOが多す
ぎ、燃料油の低温流動性に劣る。 比較例2において、DWGOがなく、KERO及びD
SGOが多すぎ、目詰まり点が高い。 比較例3において、DWGOがなく、DSGOが多す
ぎ、燃料油の流動点が高く、90容量%留出点が低い。 比較例4において、DWGOがなく、DSGOが多す
ぎ、燃料油の低温流動性に劣り、90容量%留出点が低
い。 参考例1において、これは従来品であって、低温流動
性とセタン数を確保するためには、KEROとDSGO
を多くしなければならない。
【0022】なお、基材のDWGOについては、DW
GOに比べ低温流動性に優れ、またノルマルパラフィ
ンも少なく、燃料油の基材として好ましいことがわか
る。
【0023】
【発明の効果】本発明のボイラー・工業炉用燃料油は、
高沸点留分を含みつつ、かつ低温流動性が良好であり、
かつ、従来のA重油より高い発熱量を有し、燃焼性も良
好で寒冷地での実用性が大きい。また、高沸点留分をよ
り多く使用しているため、すなわち、灯油留分を減らし
ているため、中間留分の増産のニーズに応えられるもの
である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の項目を満足するボイラー・工業炉
    用燃料油。 (1)燃料油の、15℃における密度が0.8762g
    /ミリリットルを超え、硫黄分量が0.3質量%以下、
    10%残油の残留炭素分量が0.6質量%以下、引火点
    が60℃以上、50℃における動粘度が1.5〜5.5
    mm2 /s、総発熱量が39,400kJ/リットル以
    上、セタン指数が32以上、目詰まり点が−14℃以下
    及び流動点が−30℃以下である。 (2)ライトサイクルオイル(LCO)25〜65容量
    %、脱ろう脱硫軽油(DWGO)15〜35容量%、直
    接脱硫軽油(DSGO)5〜36容量%及び灯油(KE
    RO)0〜15容量%を含有する。
  2. 【請求項2】 DWGOの、目詰まり点が−10℃以
    下、流動点が−14℃以下、セタン指数が50以上、ノ
    ルマルパラフィン成分量が14質量%以下、炭素数20
    以上のノルマルパラフィン成分量が2.7質量%以下及
    び90容量%留出温度が340℃以上である請求項1記
    載の燃料油。
  3. 【請求項3】 燃料油の、15℃における密度が0.8
    800g/ミリリットル以上、50℃における動粘度が
    2.0〜3.0mm2 /s、セタン指数が35以上及び
    90容量%留出温度が340℃以上である請求項1又は
    2に記載の燃料油。
  4. 【請求項4】 LCO25〜59容量%、DWGO20
    〜33容量%、DSGO10〜33容量%及びKERO
    0〜10容量%を含有するものである請求項1〜3のい
    ずれかに記載の燃料油。
  5. 【請求項5】 DWGOの、目詰まり点が−12℃以
    下、流動点が−16℃以下、セタン指数が55以上、ノ
    ルマルパラフィン成分量が13質量%以下、炭素数20
    以上のノルマルパラフィン成分量が2.0質量%以下及
    び90容量%留出温度が345℃以上である請求項1〜
    4のいずれかに記載の燃料油。
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