JP2002161272A - 蛍光体層の形成材料及び蛍光体層の製造方法 - Google Patents
蛍光体層の形成材料及び蛍光体層の製造方法Info
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Abstract
低下を生じないようにする。 【構成】ZnCdS:AgCl蛍光体の粉末に導電材粉
末を混合し、B203を含有したガラスの粉末を0.3 %添加
し、ビークルを加えて蛍光体ペーストし、これで蛍光表
示管の蛍光体層を製作する。ガラスのガラス転移温度は
450 〜550 ℃、粉末の粒径は1μm以下である。複数の
試料につき450 ℃〜570 ℃の範囲内の複数の温度で焼成
し、各々蛍光表示管の蛍光体層として発光させた時の輝
度を測定した。焼成温度が高くなると、B203未添加の比
較例は輝度が低下する。本例のB203ガラス粉末含有の試
料はほとんど輝度が低下しない。450 ℃まではガラス中
のB203は溶融せず、蛍光体が酸化分解される450 ℃から
550 ℃の温度範囲ではガラスが溶融して成分のB203が蛍
光体に保護被膜を作るので、蛍光体は酸化分解すること
がなく輝度の低下が防止される。
Description
部である蛍光体層に係り、特に製造時に高温で焼成して
も発光駆動時の輝度が低下しない蛍光体層の形成材料及
び蛍光体層の製造方法に関する。
光体中にB2 O3 を添加して輝度を改善した蛍光表示管
の発明が記載されている。即ち、蛍光体ペーストを通常
の450℃程度で焼成した場合に比べ、高温の500℃
で焼成すると輝度が約半分程度に低下するが、この発明
のようにB2 O3 を添加すれば前記高温で焼成しても輝
度は低下しないとされている。ただし、B2 O3 を含む
蛍光体層の製造方法については具体的な開示はない。
は、蛍光体ペーストをスクリーン印刷法で基板上に印刷
し、基板とともに焼成することで形成できる。ここで、
従来の技術で説明したように蛍光体層中にB2 O3 を含
ませるため、蛍光体ペースト中にB2 O3 を混ぜる方法
について考察する。一般にB2 O3 は粉末で市販されて
いるが、その粒径は蛍光体のスクリーン印刷で使用する
スクリーンのメッシュよりも大きく、実際にはメッシュ
を通過することができず、そのままでは使用できない。
ところが、微細な粒径のものを用意して使用しようと考
えても、B2 O3 は吸湿性が高いので、スクリーン印刷
可能な小さい粒径の粉末を使用することは実際には困難
である。さらに、仮に適当な粒径のB2 O3 をビークル
と混合してペーストとすることができたとしても、B2
O3 がビークルと反応してペーストは容易に固くなって
しまう。さらにまた、B2 O3 の粉末を添加した蛍光体
ペーストを用いた場合、B2 O3 は昇華しやすい性質が
あるため、蛍光表示管の製造工程における焼成時に蛍光
体ペーストからB2 O3 が昇華してフィラメント状陰極
に付着してエミッションを低下させるという問題もあっ
た。
場合にも輝度の低下を生じないようにするために、B2
O3 を硫化物蛍光体中に添加するものであり、その添加
のための新規な工夫を提供するものである。
光体層の形成材料は、B2 O3 を含むガラスからなるガ
ラス粉末を硫化物系の蛍光体粒子に対して0.01〜2
%の範囲で添加したことを特徴とする。
は、請求項1記載の蛍光体層の形成材料において、前記
ガラスのガラス転移温度が450℃以上550℃以下で
あることを特徴とする。
は、B2 O3 を含むガラスからなるガラス粉末を硫化物
系の蛍光体粒子に対して0.01〜2%の範囲で添加
し、これをペースト状にして基板上に塗布し、前記基板
を加熱して前記ガラス粉末を溶融させることによりB2
O3 の少なくとも一部が昇華して前記蛍光体粒子の表面
に低速電子線が通過しうる程度の厚さの被膜を形成させ
ることを特徴とする。
は、請求項3記載の蛍光体層の製造方法において、前記
ガラスのガラス転移温度が450℃以上550℃以下で
あることを特徴とする。
は、請求項3記載の蛍光体層の製造方法において、前記
ガラスがBi2 O3 −B2 O3 −ZnOであることを特
徴とする。
は、請求項3記載の蛍光体層の製造方法において、前記
ガラス粉末が粒径20μm未満であることを特徴とす
る。
は、請求項3記載の蛍光体層の製造方法において、前記
ガラス粉末の前記蛍光体粒子に対する添加量が0.1〜
0.5%の範囲であることを特徴とする。
直接添加するのでなく、B2 O3 を含むある溶融温度範
囲のガラスを作製してこれを粉末とし、蛍光体粉末とと
もにペースト化して蛍光表示管等における高温の製造工
程に供するという手段を採用した。
(In2 O3 又はZnO)の粉末を混合し、B2 O3 を
含有したガラスの粉末をさらに混合し、ビークルを加え
てペースト状とし、蛍光体層の形成材料(蛍光体ペース
ト)を得る。
粉末について説明する。このガラスは、PbOやR2 O
(Rはアルカリ金属)を主成分として含まず、B2 O3
を含有するガラス、例えばBi2 O3 −B2 O3 −Zn
O(B2 O3 は例えば50mol%以上)とする。前記
ガラスのガラス転移温度は450〜550℃の範囲であ
ることが好ましい。
できる。各成分Bi2 O3 、B2 O 3 、ZnOを、それ
ぞれ15%、55%、30%の割合で混合し、800〜
900℃で溶融してガラス化し、常温にしてから砕き、
粉末とする。粒径は小さい方が好ましいが、実験によれ
ば20μmより小さければ効果があり、本例では好まし
い値の一例として粒径1μmとした。
CdS:Ag,Cl、ZnS:Znを例として取り上
げ、これら各蛍光体の種類ごとにB2 O3 含有ガラスを
含む前記蛍光体ペーストを作製し、それぞれについて蛍
光表示管を作製して輝度を確認する実験を行なった。
の種類ごとに別々の基板の陽極導体上に所望のパターン
でスクリーン印刷し、450℃から570℃の範囲内の
複数の温度において焼成し、蛍光表示管として発光させ
た時の輝度を測定した。比較のために、各蛍光体ごとに
B2 O3 が含まれていないものも作製した。
末に対して重量比で0.3%添加した場合の結果を示
す。図1はYellowish Orange(イエロウィシュオレン
ジ)発光の(Zn0.4 Cd0.6 )S:Ag,Clの場
合、図2はReddish Orange(レディシュオレンジ)発光
の(Zn0.22Cd0.78)S:Ag,Clの場合、図3は
Blue(ブルー)発光のZnS:Znの場合である。いず
れの蛍光体においても、焼成温度が高くなるにつれて、
B2 O3 が添加されていない試料は輝度が低下するのに
対し、本例のB2 O3 ガラス粉末を0.3%添加した蛍
光体の試料はほとんど輝度が低下しない。
れる。B2 O3 単体は300〜350℃程度の低温域よ
り昇華するが、B2 O3 ガラスは450℃以上のガラス
転移温度でのみ昇華する。即ち、B2 O3 自体は350
℃程度から昇華するので、B 2 O3 を直接蛍光体に混合
しておくと、蛍光表示管の組み立て工程である封着温度
の範囲でも昇華してしまい、前記昇華したB2 O3 がフ
ィラメント等に付着し、エミッションを悪化させる原因
となってしまう。しかし本例では、B2 O3 ガラスが溶
融する450℃以下ではガラス中に含まれるB2 O3 が
昇華することはないので、蛍光表示管の封着工程でも前
記問題は生じない。一方で蛍光体が焼成時に酸化する4
50℃以上の温度範囲ではガラスが溶融して成分のB2
O3 が蛍光体に保護被膜を作るので、蛍光体は酸化する
ことがなく輝度の低下が防止されるのである。
ス粉末の添加が450℃から570℃の温度範囲で効果
があることを示しているが、蛍光表示管の製造工程にお
ける焼成工程は450℃から550℃の温度範囲で行な
われるのが通常であり、この範囲での蛍光体の酸化を防
止できれば、蛍光表示管の製造技術においては充分な効
果として認識できる。
におけるZnCdS:Ag,Cl蛍光体のエミッション
特性(μA/mm2 )の相対値を、従来例の酸化硼素
(B2O3 )直接添加の場合と、本例の酸化硼素(B2
O3 )含有ガラス添加の場合と、酸化硼素(B2 O3 )
の添加なしの場合とで比較したものである。
来例では封着工程にてB2 O3 が昇華してフィラメント
にダメージを与えているのでエミッションが本例及び添
加なしの100に比べて50と低くなっている。
来例ではさらに低くなって40の値になり、添加なしの
例も蛍光体が酸化によるダメージで蛍光体に飛散しやす
くなり、この影響でエミッションは40の値に落ちてい
る。これに反し、本例では450℃から550℃の温度
範囲ではエミッションは安定しており100〜90とな
っている。
S:Ag,Cl蛍光体の蛍光表示管におけるSO2 の発
生量(蛍光表示管内のガス圧で示ス)と焼成温度の関係
を示したものである。この図から分かるように、酸化硼
素(B2 O3 )の添加なしの場合には520℃付近から
SO2 ガスの発生が急激に増加しており、ZnCdS:
Ag,Cl蛍光体の酸化分解が急速に増加することがわ
かるのに対し、本例の酸化硼素(B2 O3 )含有ガラス
添加の場合には温度に係わらずSO2 ガスの発生は低い
値で一定しており、B2 O3 によって蛍光体が保護され
ていることががわかる。
l蛍光体ペーストに添加する前記B 2 O3 添加ガラスの
量を0から2重量%の範囲で変化させ、各々550℃で
焼成した場合の各輝度を相対値で表したものである。こ
のグラフから明かなように、B2 O3 添加ガラスの添加
量0に対する輝度55に対し、0.01%の添加で輝度
65となってすでに効果が現れており、0.3%でピー
クの輝度95となり、その後添加量の増加につれて輝度
相対値は低下していくが、添加量2%においても依然相
対輝度65で効果を示している。よって、この結果から
はB2 O3 添加ガラスの添加量は少なくとも0.01〜
2%の範囲で効果があり、さらに相対値で85以上の好
結果が得られる範囲0.1〜0.5%がさらに好ましい
範囲である。
からなるガラス粉末を硫化物系の蛍光体粒子に対して
0.01〜2%の範囲で添加した材料を用いて蛍光表示
管の蛍光体層を形成した。通常、B2 O3 を蛍光体層に
直接添加すれば製造工程における450℃までの温度で
これが昇華してエミッション源にダメージを与えてしま
うが、本発明によればそのような恐れがない。さらに4
50℃から550℃の温度範囲においてガラスが溶融
し、昇華したB2 O3 が蛍光体層に被着してこれを保護
するので、当該温度範囲における加熱で蛍光体層が劣化
して発光輝度が低下すると言う不都合が回避される。
を含有するガラス粉末を(Zn 0.4 Cd0.6 )S:A
g,Cl蛍光体粉末に対して重量比で0.3%添加した
場合の結果を示す図である。
を含有するガラス粉末を(Zn 0.22Cd0.78)S:A
g,Cl蛍光体粉末に対して重量比で0.3%添加した
場合の結果を示す図である。
を含有するガラス粉末をZnS:Zn蛍光体粉末に対し
て重量比で0.3%添加した場合の結果を示す図であ
る。
n0.22Cd0.78)S:Ag,Cl蛍光体が発生するSO
2 の発生量(蛍光表示管内のガス圧で示ス)と焼成温度
の関係を示した図である。
(Zn0.22Cd0.78)S:Ag,Cl蛍光体ペーストに
添加するB2 O3 添加ガラスの量を0から2重量%の範
囲で変化させ、各々550℃で焼成した場合の各輝度を
相対値で表した図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 B2 O3 を含むガラスからなるガラス粉
末を硫化物系の蛍光体粒子に対して0.01〜2%の範
囲で添加した蛍光体層の形成材料。 - 【請求項2】 前記ガラスのガラス転移温度が450℃
以上550℃以下である請求項1記載の蛍光体層の形成
材料。 - 【請求項3】 B2 O3 を含むガラスからなるガラス粉
末を硫化物系の蛍光体粒子に対して0.01〜2%の範
囲で添加し、これをペースト状にして基板上に塗布し、
前記基板を加熱して前記ガラス粉末を溶融させることに
よりB2 O3の少なくとも一部が昇華して前記蛍光体粒
子の表面に低速電子線が通過しうる程度の厚さの被膜を
形成させる蛍光体層の製造方法。 - 【請求項4】 前記ガラスのガラス転移温度が450℃
以上550℃以下である請求項3記載の蛍光体層の製造
方法。 - 【請求項5】 前記ガラスがBi2 O3 −B2 O3 −Z
nOである請求項3記載の蛍光体層の製造方法。 - 【請求項6】 前記ガラス粉末が粒径20μm未満であ
る請求項3記載の蛍光体層の製造方法。 - 【請求項7】 前記ガラス粉末の前記蛍光体粒子に対す
る添加量が0.1〜0.5%の範囲である請求項3記載
の蛍光体層の製造方法。
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- 2000-11-28 JP JP2000361417A patent/JP3726674B2/ja not_active Expired - Fee Related
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