JPH11233040A - カラー陰極線管およびその製造方法 - Google Patents

カラー陰極線管およびその製造方法

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JPH11233040A
JPH11233040A JP3243998A JP3243998A JPH11233040A JP H11233040 A JPH11233040 A JP H11233040A JP 3243998 A JP3243998 A JP 3243998A JP 3243998 A JP3243998 A JP 3243998A JP H11233040 A JPH11233040 A JP H11233040A
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JP
Japan
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phosphor
film
metal
pigment
propionate
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Application number
JP3243998A
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English (en)
Inventor
Masato Hayashi
正人 林
Ryoichi Takeda
良一 武田
Hisafumi Yoshida
尚史 吉田
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Renesas Semiconductor Manufacturing Co Ltd
Kansai Nippon Electric Co Ltd
Original Assignee
Renesas Semiconductor Manufacturing Co Ltd
Kansai Nippon Electric Co Ltd
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Publication date
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  • Formation Of Various Coating Films On Cathode Ray Tubes And Lamps (AREA)
  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のカラー陰極線管の蛍光膜パターンは、
バインダーを用いて顔料粒子を蛍光体に付着させた顔料
付蛍光体を使用していたため、蛍光体全面に顔料を薄く
均一に形成することが難しく、輝度を低下させることな
く高いコントラストを得ることが著しく困難であった。
また、顔料が脱落しやすかった。 【解決手段】 緑色発光蛍光体1a100重量部及びプ
ロピオン酸コバルトとプロピオン酸亜鉛とプロピオン酸
アルミニウムの混合溶液0.1〜1.0重量部を所定量
のエタノールに溶解する。次に、電気オーブンで300
℃、3時間乾燥してエタノールを除去する。乾燥後の上
記蛍光体は凝集しているので、ミリングし、篩で粒径を
そろえる。次に、これを600℃で30分焼成して有機
成分を除去し、薄く均一な緑色顔料膜1bを形成した顔
料被覆緑色発光蛍光体1を得る。パネル20に形成され
たブラックマトリクス膜21の開口部に、上記顔料被覆
緑色発光蛍光体1を用いて緑色蛍光膜パターン2を形成
する。同様に青色蛍光膜パターン5、赤色蛍光膜パター
ン6を形成して、カラー陰極線管を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、文字や図形を表示
するカラー陰極線管およびその製造方法に関し、特に改
良された蛍光体を用いてコントラストを向上したカラー
陰極線管およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】情報化社会の進展のなかで、例えば、コ
ンピュータ端末ディスプレイ、ハイビジョンなどにおい
ては、画像の色再現域の向上、コントラストの向上など
が強く要望されている。通常、この種の画像表示に用い
られるカラー陰極線管では、例えば図3(a)に示すよ
うに、パネル20の内面にあらかじめ形成された開口部
付きブラックマトリクス膜21の開口部に緑、青、赤の
各蛍光膜パターン22,23,24が所定の位置関係を
もって形成されており、この蛍光膜の電子銃側に一定の
間隔を保持してシャドウマスク、アパーチャーグリルな
どの色選択用電極が取り付けられ、これによって緑、
青、赤に対応する電子ビームをそれぞれの蛍光膜パター
ン上に照射し、発光するようになっている。上記蛍光膜
に使用される蛍光体としては、緑色発光蛍光体として銅
付活硫化亜鉛蛍光体(ZnS:Cu)、青色発光蛍光体
として銀付活硫化亜鉛蛍光体(ZnS:Ag)、赤色発
光蛍光体としてユーロピウム付活酸硫化イットリウム蛍
光体(Y22S:Eu)などがある。
【0003】通常、これらの蛍光体粒子25の表面に
は、図3(b)に示すように蛍光体の発光色とほぼ同一
の色調を有する顔料粒子26が付着されている。このた
め外光のうち顔料の体色と一致する光が反射され、一致
しない光が吸収されるので、画像のコントラストが飛躍
的に向上する。また、顔料粒子のフィルター効果によっ
て発光スペクトルのうちの一部の可視域がカットされて
発光色が鮮明になる。顔料付赤色発光蛍光体は、ベンガ
ラなどの赤色顔料をゼラチン、アラビアゴム、ポリマー
などのバインダーで赤色発光蛍光体の表面に付着させて
いる。また、顔料付緑色発光蛍光体も同様に、コバルト
グリーン系顔料などの緑色顔料をバインダーで緑色発光
蛍光体の表面に付着させている。また、顔料付青色発光
蛍光体も同様に、アルミン酸コバルトを主成分とするコ
バルトブルー系顔料やコバルト・亜鉛・珪素系顔料をバ
インダーで青色発光蛍光体の表面に付着させている。
【0004】このようなカラー陰極線管の蛍光膜パター
ンの形成方法は、一般にフェース面のパネル20の内面
に開口部を有する光吸収用ブラックマトリクス膜21を
形成した後、顔料付緑色発光蛍光体とポリビニルアルコ
ールと重クロム酸アンモニウムとを混合したスラリーを
パネル内面に塗布して均一な膜を形成する。次に、この
膜をシャドウマスクまたは特定のフォトマスクを通して
紫外線で露光し、緑用の電子ビームの照射位置と対応す
る位置に架橋反応を起こさせ、次いで温水で現像してブ
ラックマトリクス膜の開口部に緑色蛍光膜22を形成す
る。以下同様の工程を顔料付青色発光蛍光体、顔料付赤
色発光蛍光体について繰り返し、所定のパターンに配列
した青色蛍光膜23および赤色蛍光膜24を形成する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】バインダーを用いて顔
料を付着させた顔料付蛍光体を用いて蛍光膜を形成した
従来のカラー陰極線管では、図3(b)のように個々の
顔料粒子26が蛍光体25に分散して付着しているた
め、総付着面積は小さく、顔料粒子が付着していない蛍
光体表面での発光色以外の反射光が無視できないので、
高いコントラストを期待することは困難である。例え
ば、コバルトブルー系顔料を銀付活硫化亜鉛蛍光体(Z
nS:Ag)に付着させた場合、顔料付着量は0.5〜
5.0wt%であり、蛍光体粒子の被覆面積に換算する
と、高々数10%である。そこで、コントラストを向上
するために顔料の付着量を増加すると透過率が減少して
輝度が大幅に低下して望ましくない。例えば、5.0w
t%のコバルトブルー系顔料を付着させた上記青色発光
蛍光体では付着させないものに比較して約80%にまで
輝度が低下してしまう。また、顔料付着量を増加した顔
料付蛍光体を用いて蛍光膜を形成する際に、塗布時に顔
料が剥離するという問題もある。
【0006】本発明は上記の問題に鑑みて提案されたも
ので、その目的は、改良された顔料被覆蛍光体を用いた
蛍光膜にすることによって、輝度を大幅に低下させるこ
となくコントラストを格段に向上させ、また付着強度を
向上した蛍光膜を具備するカラー陰極線管とその製造方
法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のカラー陰極線管
は、蛍光体の略全表面に顔料の薄膜が直接または金属酸
化膜からなる保護膜を介して形成された顔料被覆蛍光体
を用いた蛍光膜を具備することを特徴とする。略全表面
が顔料の薄膜で覆われているので、反射光、透過光のう
ち顔料色以外の光が減少し、輝度を大幅に減少させるこ
となくコントラストを格段に向上させることができる。
また、薄膜であり形成面積が広いので付着強度が大き
い。また、保護膜により蛍光体の熱劣化が緩和され輝度
劣化や発光色のずれ(例えば、青から緑へ)などが軽減
される。
【0008】また、本発明のカラー陰極線管は、蛍光膜
が、金属オクチル酸塩、金属プロピオン酸塩、金属オク
チル・プロピオン酸塩のうちの一種以上を含有する液体
を蛍光体に塗布し、次いで焼成することにより該蛍光体
に顔料膜が形成された顔料被覆蛍光体を有することを特
徴とする。この手段により、比較的容易な方法で蛍光体
の表面に顔料膜を薄く均一に形成した顔料被覆蛍光体を
用いることができて、従来よりも輝度、コントラストが
格段に向上し、また、顔料の付着強度が向上して剥離が
防止されたカラー陰極線管を提供することができる。
【0009】また、蛍光膜が、金属オクチル酸塩、金属
プロピオン酸塩、金属オクチル・プロピオン酸塩のうち
の一種以上を含有する液体を蛍光体に塗布し、次いで焼
成して該蛍光体の表面に金属酸化膜からなる保護膜を形
成し、その上に金属オクチル酸塩、金属プロピオン酸
塩、金属オクチル・プロピオン酸塩のうちの一種以上を
含有する液体を塗布し、これを焼成して該保護膜上に顔
料膜が形成された顔料被覆蛍光体を有することを特徴と
する。この手段により、蛍光体に顔料膜を形成する際の
蛍光体の熱劣化(例えば、蛍光体と顔料構成元素との反
応による)が保護膜によって軽減され、輝度低下、発光
色のずれなどを防止できると共に、保護膜の材料によっ
ては保護膜も顔料として作用するので従来よりも輝度、
コントラストがさらに向上したカラー陰極線管を提供す
ることができる。
【0010】また、保護膜用の金属オクチル酸塩、金属
プロピオン酸塩、金属オクチル・プロピオン酸塩の金属
元素が、珪素、アルミニウム、チタン、コバルト、クロ
ム、亜鉛、錫のうちの一種以上からなることを特徴とす
る。この手段により、薄く、安定な保護膜を蛍光体上に
均一に形成できるので、輝度を大幅に減少させることな
くコントラストを格段に向上させることができる。ま
た、薄膜であり形成面積が広いので付着強度も大きい。
また、保護膜により蛍光体の熱劣化が防止され輝度劣化
や発光色のずれなどが軽減される。
【0011】また、緑色顔料膜用の金属オクチル酸塩、
金属プロピオン酸塩、金属オクチル・プロピオン酸塩の
金属元素が、(1)コバルトと亜鉛、(2)コバルトと
亜鉛とアルミニウム、(3)コバルトと錫、(4)コバ
ルトと錫とアルミニウム、(5)コバルト、(6)コバ
ルトとアルミニウム、からなる群のうちの一種であっ
て、緑色顔料膜で被覆された蛍光体を用いて形成された
蛍光膜を有することを特徴とする。この手段により、輝
度、コントラスト、顔料付着強度が高い緑色蛍光膜を有
するカラー陰極線管を提供することができる
【0012】また、青色顔料膜用の金属オクチル酸塩、
金属プロピオン酸塩、金属オクチル・プロピオン酸塩の
金属元素が、(1)コバルトと珪素とリン、(2)コバ
ルトとアルミニウムとリン、からなる群のうちの一種で
あって、青色顔料膜で被覆された蛍光体を用いて形成さ
れた蛍光膜を有することを特徴とする。この手段によ
り、輝度、コントラスト、顔料付着強度が高い青色蛍光
膜を有するカラー陰極線管を提供することができる
【0013】また、赤色顔料膜用の金属オクチル酸塩、
金属プロピオン酸塩、金属オクチル・プロピオン酸塩の
金属元素が鉄であって、赤色顔料膜で被覆された蛍光体
を用いて形成された蛍光膜を有することを特徴とする。
この手段により、輝度、コントラスト、顔料付着強度が
高い赤色蛍光膜を有するカラー陰極線管を提供すること
ができる
【0014】また、本発明のカラー陰極線管の製造方法
は、金属オクチル酸塩、金属プロピオン酸塩、金属オク
チル・プロピオン酸塩のうちの一種以上を含有する液体
を蛍光体に塗布し、次いで焼成することにより該蛍光体
に顔料膜を形成する工程と、この顔料被覆蛍光体を用い
て蛍光膜パターンを形成する工程とを具備することを特
徴とする。この手段により、比較的容易な方法で蛍光体
の表面に顔料膜を薄く均一に形成した顔料被覆蛍光体を
用いることができて、従来よりも輝度、コントラストが
格段に向上し、また、顔料の付着強度が向上して剥離が
防止されたカラー陰極線管を提供することができる。
【0015】また、本発明のカラー陰極線管の製造方法
は、金属オクチル酸塩、金属プロピオン酸塩、金属オク
チル・プロピオン酸塩のうちの一種以上を含有する液体
を蛍光体に塗布し、次いで焼成して該蛍光体の表面に金
属酸化膜からなる保護膜を形成する工程と、該保護膜上
に金属オクチル酸塩、金属プロピオン酸塩、金属オクチ
ル・プロピオン酸塩のうちの一種以上を含有する液体を
塗布し、これを焼成して該保護膜上に顔料膜を形成する
工程と、この顔料被覆蛍光体を用いて蛍光膜パターンを
形成する工程を具備することを特徴とする。この手段に
より、蛍光体に顔料膜を形成する際の蛍光体の熱劣化
(例えば、蛍光体と顔料構成元素との反応による)が保
護膜によって軽減され、輝度低下、発光色のずれなどを
防止できると共に、保護膜の材料によっては保護膜も顔
料として作用するので従来よりも輝度、コントラストが
さらに向上したカラー陰極線管を提供することができ
る。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明のカラー陰極線管は、蛍光
膜が、蛍光体に顔料の薄膜が直接または金属酸化膜から
なる保護膜を介して形成された顔料被覆蛍光体を用いて
形成されていることを特徴とする。顔料膜が蛍光体上に
直接形成されている場合は、この顔料膜は、金属オクチ
ル酸塩、金属プロピオン酸塩、金属オクチル・プロピオ
ン酸塩のうちの一種以上を含有する液体を蛍光体に塗布
し、乾燥後焼成することにより該蛍光体の表面に粒子と
してではなく薄膜として、均一に形成される。また、保
護膜を介して形成されている場合は、金属オクチル酸
塩、金属プロピオン酸塩、金属オクチル・プロピオン酸
塩のうちの一種以上を含有する液体を蛍光体に塗布し、
乾燥後焼成して該蛍光体の表面に金属酸化膜からなる保
護膜が形成され、その上に金属オクチル酸塩、金属プロ
ピオン酸塩、金属オクチル・プロピオン酸塩のうちの一
種以上を含有する液体を塗布し、乾燥後焼成することに
より該保護膜上に顔料膜が形成される。保護膜としては
熱的、化学的に安定な金属酸化物が好適し、これにより
蛍光体の劣化、色ずれなどが防止される。塗布方法とし
ては、浸漬法、スプレー法、印刷法などがあるが、金属
オクチル酸塩などと、蛍光体と、エタノールなどの有機
溶媒とを混合する方法が簡便であり望ましい。混合比
率、塗布量は焼成後の顔料膜質、膜厚などが最適となる
ように選定される。乾燥後一部凝集した蛍光体をミリン
グなどの手段により粉砕し、かつ、篩にかけて粒径をそ
ろえることは陰極線管の均一な蛍光膜を得るのに極めて
有効である。
【0017】緑色蛍光膜は、緑色発光蛍光体に緑色顔料
膜が直接または保護膜を介して形成された緑色顔料被覆
緑色発光蛍光体を用いて形成される。緑色顔料膜を構成
する金属酸化物としては、(1)酸化コバルトと酸化亜
鉛、(2)酸化コバルトと酸化亜鉛と酸化アルミニウ
ム、(3)酸化コバルトと酸化錫、(4)酸化コバルト
と酸化錫と酸化アルミニウム、からなる群のうちの一種
が好適する。酸化亜鉛、酸化錫などの保護膜を介する場
合は、さらに(5)コバルト、(6)コバルトとアルミ
ニウム、も好適する。これらの緑色顔料膜は、上記酸化
物を構成する金属のオクチル酸塩、プロピオン酸塩、オ
クチル・プロピオン酸塩のうちの一種以上を含む溶液を
緑色発光蛍光体に直接または保護膜を介して塗布し、乾
燥後焼成することにより形成される。上記金属のオクチ
ル酸塩、プロピオン酸塩、オクチル・プロピオン酸塩を
単独でまたは組み合わせて使用することができる。その
際、複数の金属元素を用いる場合は、例えば上記の
(1)ではコバルトと亜鉛を含むオクチル酸塩などを使
用してもよいし、オクチル酸コバルトとオクチル酸亜鉛
などを混合してもよい。他の組み合わせの場合も同様で
ある。また、保護膜としては珪素、アルミニウム、チタ
ン、コバルト、クロム、亜鉛、錫のうち一種以上の金属
のオクチル酸塩、プロピオン酸塩、オクチル・プロピオ
ン酸塩のうちの一種以上を含む溶液を緑色発光蛍光体に
塗布し、乾燥後焼成することによってこれらの金属の酸
化膜として形成される。また、緑色発光蛍光体として
は、510〜570nmの波長範囲内に発光スペクトル
の主要部を有するもので、ZnS:Cu,Cl,Au、
ZnS:Cu,Cl,Al、ZnS:Cu,Cl,Zn
2SiO4:Mn、Y2SiO5:Tb、(Zn,Cd)
S:Cu,Al、Y3Al512:Tb、Y22S:Tb
などが使用できる。
【0018】また、青色蛍光膜は、青色発光蛍光体に青
色顔料膜が直接または保護膜を介して形成された青色顔
料被覆青色発光蛍光体を用いて形成される。青色顔料膜
を構成する金属酸化物としては、(1)酸化コバルトと
酸化珪素と酸化リン、(2)酸化コバルトと酸化アルミ
ニウムと酸化リン、からなる群のうちの一種が好適す
る。これらの青色顔料膜は、上記酸化物を構成する金属
のオクチル酸塩、プロピオン酸塩、オクチル・プロピオ
ン酸塩のうちの一種以上を含む溶液を青色発光蛍光体に
直接または保護膜を介して塗布し、乾燥後焼成すること
により形成される。オクチル酸リンなどの有機リンを混
合すると低温(例えば、600℃前後)焼成でもコント
ラストの良い青色顔料が得られる。混合しないと高温
(例えば、1000以上)焼成が必要で、蛍光体を劣化
させる。また、保護膜としては珪素、アルミニウム、チ
タン、コバルト、クロム、亜鉛、錫のうち一種以上の金
属のオクチル酸塩、プロピオン酸塩、オクチル・プロピ
オン酸塩のうちの一種以上を含む溶液を青色発光蛍光体
に塗布し、乾燥後焼成することによってこれらの金属の
酸化膜として形成される。また、青色発光蛍光体として
は、380〜550nmの波長範囲内に発光スペクトル
の主要部を有するもので、ZnS:Ag、SrGa
24:Ce、(BaMg)Al1016:Eu、Y2Si
5:Ceなどが使用できる。
【0019】また、赤色蛍光膜は、赤色発光蛍光体に赤
色顔料膜が直接または保護膜を介して形成された赤色顔
料被覆赤色発光蛍光体を用いて形成される。赤色顔料膜
を構成する金属酸化物としては、酸化鉄が好適する。赤
色顔料膜は、鉄のオクチル酸塩、プロピオン酸塩、オク
チル・プロピオン酸塩のうちの一種以上を含む溶液を赤
色発光蛍光体に直接または保護膜を介して塗布し、乾燥
後焼成することにより形成される。また、保護膜として
は珪素、アルミニウム、チタン、コバルト、クロム、亜
鉛、錫のうち一種以上の金属のオクチル酸塩、プロピオ
ン酸塩、オクチル・プロピオン酸塩のうちの一種以上を
含む溶液を赤色発光蛍光体に塗布し、乾燥後焼成するこ
とによってこれらの金属の酸化膜として形成される。赤
色発光蛍光体としてY22S:Euを使用した場合は、
この蛍光体は耐熱性が高いので上記保護膜はなくてもよ
い。また、赤色発光蛍光体としては、580〜700n
mの波長範囲内に発光スペクトルの主要部を有するもの
で、上記のほか、Y23:Eu、YVO4:Eu、Zn3
(PO42:Mn、MgSiO3:Mn、(Zn、C
d)S:Agなどが使用できる。
【0020】金属オクチル酸塩などを塗布した後の焼成
は高品質の顔料被覆蛍光体を得るために重要な工程であ
る。酸化物顔料膜を効率良く得るため焼成時の雰囲気は
酸化性が良く、コスト的に大気中が好適する。焼成温度
と焼成時間は、蛍光体を熱劣化させないこと、蛍光体と
顔料成分が反応しないこと、原料から有機物が完全に除
去されて蛍光体にカーボンなどの未反応成分が残らない
こと、などをポイントにして適宜選定される。輝度劣化
防止の点からは高温、短時間にして主として蛍光体表面
近傍を加熱するのが良い。
【0021】例えば、緑色顔料被覆の場合は400〜7
00℃、10分〜1時間が望ましい。400℃未満では
有機物が完全に分解されずカーボンとして残るため、黒
味がかって色純度が悪くなり蛍光体の輝度も低下する。
700℃をこえると有機物はほぼ完全に分解され(特に
900℃では完全に分解する。)、未反応成分が残存せ
ずコントラストが良好であるが、顔料と蛍光体が反応し
て蛍光体の発光能力が阻害され輝度が劣化する。特に、
500〜650℃、15〜40分は、有機物の分解促進
と蛍光体との反応抑制の点から最適である。
【0022】また、青色顔料被覆の場合も緑色顔料被覆
の場合と同様で、400〜700℃、10分〜1時間が
望ましく、特に500〜650℃、15〜40分が最適
である。
【0023】また、赤色顔料被覆の場合は蛍光体の耐熱
性が良好なので緑、青の場合よりも焼成温度を高くする
ことができ、400〜900℃、10分〜1時間が望ま
しい。400℃未満では有機物が完全に分解されずカー
ボンとして残るため、黒味がかって色純度が悪くなり蛍
光体の輝度も低下する。900℃をこえると有機物は完
全に分解され未反応成分が残存せずコントラストが良好
であるが、顔料と蛍光体が反応して蛍光体の発光能力が
阻害され輝度が劣化する。特に500〜850℃、15
〜40分は、有機物の分解促進と蛍光体との反応抑制の
点から最適である。
【0024】金属オクチル酸塩、金属プロピオン酸塩、
金属元素にオクチル酸基とプロピオン酸基が結合したも
の(金属オクチル・プロピオン酸塩)などはできるだけ
金属元素の溶解度の高いものが望ましい。溶解度が高い
ものは塗布量が少なくてすむので、有機成分を除去する
ための焼成条件が緩和され、蛍光体の熱劣化が少なく輝
度低下が少ない。また、発光色も濃くなる。また、コス
ト的にも有利である。上記有機金属の濃度、塗布量、種
類などにより顔料膜厚を変えることが出来る。焼成後の
顔料膜厚は0.01〜1μmが有効であり、特に、0.
05〜0.5μmが好適する。0.01μm未満では顔
料の効果が少なく、コントラストが不十分である。1μ
mを越えるとコントラストは良好であるが顔料膜の透過
率が低下して輝度が低下する。また、蛍光膜で蛍光体の
凝集が生じ好ましくない。特に、0.05〜0.5μm
は輝度低下が無視できコントラストが良好である。ま
た、保護層の金属酸化膜の膜厚は、蛍光体の熱劣化を抑
制する観点から0.05〜0.2μmが望ましい。
【0025】
【実施例】(実施例1) 本発明のカラー陰極線管の蛍
光膜パターンと従来の蛍光膜パターンとの相違点は、従
来の顔料粒子が付着した蛍光体の代わりに金属オクチル
酸塩などを塗布し、焼成して顔料薄膜を形成した蛍光体
を用いる点である。例えば、図1(a)のようにパネル
20の内面に開口部を有するブラックマトリクス膜21
を形成し、スラリー工程に送り洗浄した後、ポリビニル
アルコールと重クロム酸アンモニウムと顔料被覆緑色発
光蛍光体1とを混合した蛍光体スラリーを塗布して均一
な膜を形成する。次に、この膜をシャドウマスクまたは
特定のフォトマスクを通して露光し、緑用の電子ビーム
の照射位置と対応する位置に架橋反応を起こさせ、次い
で現像して緑色蛍光膜2を形成する。以下同様の工程を
顔料被覆青色発光蛍光体3、顔料被覆赤色発光蛍光体4
について繰り返し、所定のパターンに配列した青色蛍光
膜5および赤色蛍光膜6を形成する。
【0026】緑色蛍光膜2に使用する顔料被覆緑色発光
蛍光体1は、図1(b)に示すように緑色発光蛍光体1
aの上に緑色顔料膜1bが被覆されており、次のように
して形成される。まず、緑色発光蛍光体1aとして平均
粒径5μmの銅、塩素、金付活硫化亜鉛蛍光体(Zn
S:Cu,Cl,Au)100重量部及びプロピオン酸
コバルトとプロピオン酸亜鉛とプロピオン酸アルミニウ
ムの混合溶液(混合重量比7:10:3)0.1〜1.
0重量部を所定量のエタノールに溶解した。ここでエタ
ノールの量は、プロピオン酸塩溶液とエタノールとの和
が約30重量部(最大50重量部)になるように選定し
た。これより多くなると膜厚が均一にならない。次に、
電気オーブンで300℃、3時間乾燥してエタノールな
ど揮発成分を除去した。乾燥後の金属プロピオン酸塩で
被覆した蛍光体は凝集しているので、0.75φのアル
ミナ球と共に磁製ポットに入れて100rpmの回転数
で3時間ミリングし、次に、篩で粒径をそろえた(平均
粒径5〜7μm、最大粒径約15μm、最小粒径約3μ
m)。次に、これを600℃で30分焼成して有機成分
を除去し緑色発光蛍光体1aに酸化コバルトと酸化亜鉛
と酸化アルミニウムを含む緑色顔料膜1bを形成した顔
料被覆緑色発光蛍光体1を得る。この蛍光体を顕微鏡
(SEM)で観察したところ、緑色顔料が比較的均一な
膜状で蛍光体1aの全表面を覆っており、従来のように
個々の顔料粒子がまばらに付着した状態ではなかった。
また、膜厚を測定したところ約0.01μmであった。
本発明は、金属プロピオン酸塩を使用するため比較的低
い焼成温度で顔料膜を形成できるので、蛍光体の熱劣化
が緩和され、輝度劣化や発光色変動が防止できるという
特徴がある。なお、プロピオン酸コバルトとプロピオン
酸亜鉛とプロピオン酸アルミニウムの混合重量比は(5
〜7):(5〜20):(3〜5)が好適する
【0027】青色蛍光膜5に使用する顔料被覆青色発光
蛍光体3は、図1(c)に示すように青色発光蛍光体3
aの上に青色顔料膜3bが被覆されており、次のように
して形成される。まず、平均粒径5μmの銀付活硫化亜
鉛蛍光体(ZnS:Ag)からなる青色発光蛍光体10
0重量部及びオクチル酸コバルトとオクチル酸珪素とオ
クチル酸リンの混合溶液(混合重量比39:36:2
5)1.5〜2.0重量部を所定量のエタノールに溶解
した。ここでエタノールの量は、オクチル酸塩溶液とエ
タノールとの和が約30重量部(最大50重量部)にな
るように選定した。これより多くなると膜厚が均一にな
らない。次に、電気オーブンで300℃、1〜4時間乾
燥してエタノールなど揮発成分を除去した。乾燥後の金
属オクチル酸塩で被覆した蛍光体は凝集しているので、
0.75φのアルミナ球と共に磁製ポットに入れて10
0rpmの回転数で1時間ミリングし、次に、篩で粒径
をそろえた(平均粒径5〜7μm、最大粒径約15μ
m、最小粒径約4μm)。次に、これを600℃で20
分焼成して有機成分を除去し青色発光蛍光体3aに酸化
コバルトと酸化珪素と酸化リンを含む青色顔料膜3bを
形成した顔料被覆青色発光蛍光体3を得る。この段階の
外観は有機成分が除去されて青色を呈する。この蛍光体
を顕微鏡(SEM)で観察したところ、青色顔料が比較
的均一な膜状で蛍光体の全表面を覆っており、従来のよ
うに個々の顔料粒子がまばらに付着した状態ではなかっ
た。また、膜厚を測定したところ約0.01μmであっ
た。本発明は、上記のようにリンを含む金属オクチル酸
塩を使用するため比較的低い焼成温度で顔料膜を形成で
きるので、蛍光体の熱劣化が緩和され、輝度劣化や発光
色変動が防止できるという特徴がある。なお、オクチル
酸コバルトとオクチル酸珪素とオクチル酸リンの混合重
量比は(25〜39):(36〜59):(16〜2
5)が好適する
【0028】赤色蛍光膜6に使用する顔料被覆赤色発光
蛍光体4は、図1(d)に示すように赤色発光蛍光体4
aの上に赤色顔料膜4bが被覆されており、次のように
して形成される。まず、平均粒径5μmのユーロピウム
付活酸硫化イットリウム蛍光体(YS:Eu)か
らなる赤色発光蛍光体100重量部及びオクチル酸鉄溶
液0.1〜0.5重量部を所定量のエタノールに溶解し
た。ここでエタノールの量は、オクチル酸塩溶液とエタ
ノールとの和が約30重量部(最大50重量部)になる
ように選定した。次に、電気オーブンで300℃、30
分〜1時間乾燥してエタノールなど揮発成分を除去し
た。乾燥後の金属オクチル酸塩で被覆した蛍光体は凝集
しているので、0.75φのアルミナ球と共に磁製ポッ
トに入れて100rpmの回転数で1時間ミリングし、
篩で粒径をそろえた。次に、これを800℃で20分焼
成して有機成分を除去し、赤色発光蛍光体4aに酸化鉄
からなる赤色顔料膜4bを形成した顔料被覆赤色発光蛍
光体4を得る。この蛍光体を顕微鏡(SEM)で観察し
たところ、赤色顔料が比較的均一な膜状で蛍光体の全表
面を覆っており、従来のように個々の顔料粒子がまばら
に付着した状態ではなかった。
【0029】(実施例2) 緑色蛍光膜に使用する顔料被
覆緑色発光蛍光体として、プロピオン酸コバルトとプロ
ピオン亜鉛とプロピオン酸アルミニウムの混合溶液に代
えて、プロピオン酸コバルトとプロピオン酸錫とプロピ
オン酸アルミニウムの混合溶液(混合重量比7:10:
3)0.1〜1.0重量部を使用する以外は実施例1と
同様にして顔料被覆緑色発光蛍光体を得た。なお、プロ
ピオン酸コバルトとプロピオン酸錫とプロピオン酸アル
ミニウムの混合重量比は(5〜7):(5〜20):
(3〜5)が好適する。また、青色蛍光膜に使用する顔
料被覆青色発光蛍光体として、オクチル酸コバルトとオ
クチル酸珪素とオクチル酸リンの混合溶液に代えて、オ
クチル酸コバルトとオクチル酸アルミニウムとオクチル
酸リンの混合溶液(混合重量比39:36:25)1.
5〜2.0重量部を使用する以外は実施例1と同様にし
て顔料被覆青色発光蛍光体を得た。なお、オクチル酸コ
バルトとオクチル酸アルミニウムとオクチル酸リンの混
合重量比は(25〜39):(36〜59):(16〜
25)が好適する。また、赤色蛍光膜に使用する顔料被
覆赤色発光蛍光体は実施例1と同様である。上記の緑、
青、赤用の顔料被覆蛍光体を用いて実施例1と同様にし
て蛍光膜パターンを形成した。
【0030】(実施例3) この実施例では、図2(a)
に示すように緑色蛍光膜に使用する顔料被覆緑色発光蛍
光体7は、緑色発光蛍光体1aの上に保護膜8を介して
緑色顔料膜1bが被覆されており、次のようにして形成
される。まず、平均粒径5μmの銅、塩素、金付活硫化
亜鉛蛍光体(ZnS:Cu,Cl,Au)からなる緑色
発光蛍光体100重量部及びプロピオン酸亜鉛0.1〜
1.0重量部を所定量のエタノールに溶解した。ここで
エタノールの量は、プロピオン酸塩溶液とエタノールと
の和が約30重量部(最大50重量部)になるように選
定した。これより多くなると膜厚が均一にならない。次
に、電気オーブンで300℃、3時間乾燥してエタノー
ルなど揮発成分を除去した。乾燥後の金属プロピオン酸
塩で被覆した蛍光体は凝集しているので、0.75φの
アルミナ球と共に磁製ポットに入れて100rpmの回
転数で3時間ミリングし、次に、篩で粒径をそろえた
(平均粒径5〜7μm、最大粒径約15μm、最小粒径
約3μm)。次に、これを400℃で3時間焼成して有
機成分を除去し緑色発光蛍光体1a上に酸化亜鉛からな
る保護膜8を形成した。この蛍光体を顕微鏡(SEM)
で観察し、酸化亜鉛が比較的均一な膜状で蛍光体の全表
面を覆っていることを確認した。また、膜厚を測定した
ところ約0.01μmであった。次に、上記の酸化亜鉛
の保護膜8を被覆した緑色発光蛍光体1aを用いる以外
は実施例1と同様にして、酸化亜鉛からなる保護膜8上
に酸化コバルト、酸化亜鉛、酸化アルミニウムからなる
緑色顔料膜1bを被覆した顔料被覆緑色発光蛍光体7を
得た。
【0031】青色蛍光膜に使用する顔料被覆青色発光蛍
光体9は、図2(b)に示すように青色発光蛍光体3a
の上に保護膜10を介して青色顔料膜3bが被覆されて
おり、次のようにして形成される。まず、平均粒径5μ
mの銀付活硫化亜鉛蛍光体(ZnS:Ag)からなる青
色発光蛍光体100重量部及び0.8〜1.2(望まし
くは1.0)重量部のオクチル酸珪素溶液を所定量のエ
タノールに溶解した。ここでエタノールの量は、オクチ
ル酸珪素とエタノールとの和が約30重量部(最大50
重量部)になるように選定した。これより多くなると膜
厚が均一にならない。次に、電気オーブンで300℃、
1〜10時間乾燥してエタノールを除去した。乾燥後の
オクチル酸珪素で被覆した蛍光体は凝集しているので、
0.75φのアルミナ球と共に磁製ポットに入れて10
0rpmの回転数で1時間ミリングし、次に、篩で粒径
をそろえた(平均粒径5〜7μm、最大粒径約15μ
m、最小粒径約3μm)。次に、これを500℃で20
分焼成して有機成分を除去し青色発光蛍光体3a上に酸
化珪素膜からなる保護膜10を形成した。この蛍光体を
顕微鏡(SEM)で観察し、酸化珪素が比較的均一な膜
状で蛍光体の全表面を覆っていることを確認した。ま
た、膜厚を測定したところ約0.01μmであった。次
に、上記の酸化珪素の保護膜10を被覆した青色発光蛍
光体3aを用いる以外は実施例1と同様にして、酸化珪
素からなる保護膜10上に酸化コバルト、酸化珪素、酸
化リンからなる青色顔料膜3bを被覆した顔料被覆青色
発光蛍光体9を得た。
【0032】赤色蛍光膜に使用する顔料被覆赤色発光蛍
光体11は、図2(c)に示すように赤色発光蛍光体4
aの上に保護膜12を介して赤色顔料膜4bが被覆され
ており、次のようにして形成される。まず、平均粒径5
μmのユーロピウム付活酸硫化イットリウム蛍光体(Y
22S:Eu)からなる赤色発光蛍光体100重量部及
び0.8〜1.2(望ましくは1.0)重量部のオクチ
ル酸珪素溶液を所定量のエタノールに溶解した。次に、
電気オーブンで300℃、1〜10時間乾燥してエタノ
ールを除去した。次いでミリングし、篩で粒径をそろえ
た後、500℃で20分焼成して有機成分を除去し赤色
発光蛍光体4a上に酸化珪素膜からなる保護膜12を形
成した。次に、上記の酸化珪素の保護膜12を被覆した
赤色発光蛍光体4aを用いる以外は実施例1と同様にし
て、酸化珪素からなる保護膜12上に酸化鉄からなる赤
色顔料膜4bを被覆した顔料被覆赤色発光蛍光体11を
得た。上記の緑、青、赤用の顔料被覆蛍光体を用いて実
施例1と同様にして蛍光膜パターンを形成した。
【0033】(実施例4) 緑色顔料用のプロピオン酸コ
バルト、同亜鉛、同アルミニウムの混合溶液に代えてプ
ロピオン酸コバルト、同錫、同アルミニウムの混合溶液
を使用する以外は実施例3と同様にして、酸化亜鉛から
なる保護膜の上に酸化コバルトと酸化錫と酸化アルミニ
ウムからなる緑色顔料膜を形成したZnS:Cu,C
l,Au蛍光体を用いて緑色蛍光膜パターンを形成し
た。また、青色顔料用のオクチル酸コバルト、同珪素、
同リンの混合溶液に代えてオクチル酸コバルト、同アル
ミニウム、同リンの混合溶液を使用する以外は実施例3
と同様にして、酸化珪素からなる保護膜の上に酸化コバ
ルトと酸化アルミニウムと酸化リンからなる青色顔料膜
を形成したZnS:Ag蛍光体を用いて青色蛍光膜パタ
ーンを形成した。また、実施例3と同一の酸化珪素から
なる保護膜上に酸化鉄からなる赤色顔料膜を形成したY
22S:Eu蛍光体を用いて赤色蛍光膜パターンを形成
した。
【0034】(実施例5) 保護膜用のプロピオン酸亜鉛
溶液に代えて、プロピオン酸錫溶液を使用する以外は実
施例3と同様にして、酸化錫からなる保護膜の上に酸化
コバルトと酸化亜鉛と酸化アルミニウムからなる緑色顔
料膜を形成したZnS:Cu,Cl,Au蛍光体を用い
て緑色蛍光膜パターンを形成した。また、保護膜用のオ
クチル酸珪素溶液に代えてオクチル酸アルミニウム溶液
を使用する以外は実施例3と同様にして、酸化アルミニ
ウムからなる保護膜の上に酸化コバルトと酸化珪素と酸
化リンからなる青色顔料膜を形成したZnS:Ag蛍光
体を用いて青色蛍光膜パターンを形成した。また、保護
膜用のオクチル酸珪素溶液に代えてオクチル酸アルミニ
ウム溶液を使用する以外は実施例3と同様にして、酸化
アルミニウムからなる保護膜上に酸化鉄からなる赤色顔
料膜を形成したY22S:Eu蛍光体を用いて赤色蛍光
膜パターンを形成した。
【0035】(実施例6) 緑色顔料用のプロピオン酸コ
バルト、同亜鉛、同アルミニウムの混合溶液に代えてプ
ロピオン酸コバルト、同錫、同アルミニウムの混合溶液
を使用する以外は実施例5と同様にして、酸化錫からな
る保護膜の上に酸化コバルトと酸化錫と酸化アルミニウ
ムからなる緑色顔料膜を形成したZnS:Cu,Cl,
Au蛍光体を用いて緑色蛍光膜パターンを形成した。ま
た、青色顔料用のオクチル酸コバルト、同珪素、同リン
の混合溶液に代えてオクチル酸コバルト、同アルミニウ
ム、同リンの混合溶液を使用する以外は実施例5と同様
にして、酸化アルミニウムからなる保護膜の上に酸化コ
バルトと酸化アルミニウムと酸化リンからなる青色顔料
膜を形成したZnS:Ag蛍光体を用いて青色蛍光膜パ
ターンを形成した。また、実施例5と同一の酸化アルミ
ニウムからなる保護膜上に酸化鉄からなる赤色顔料膜を
形成したY22S:Eu蛍光体を用いて赤色蛍光膜パタ
ーンを形成した。
【0036】(比較例1) 平均粒径5μmの銅、塩
素、金付活硫化亜鉛蛍光体(ZnS:Cu,Cl,A
u)からなる緑色発光蛍光体100重量部と、酸化コバ
ルト7重量部と、酸化アルミニウム3重量部と、酸化ク
ロム9重量部と、酸化チタン4重量部と、バインダー
(アクリルエマルジョン)とを脱塩水に添加して緑色顔
料粒子を付着させた蛍光体を用いて緑色蛍光膜パターン
を形成した。同様に平均粒径5μmの銀付活硫化亜鉛蛍
光体(ZnS:Ag)蛍光体100重量部と、平均粒径
0.1μmのコバルトブルー系顔料5.0重量部と、バ
インダー(アクリルエマルジョン)とを脱塩水に添加し
てコバルトブルー系顔料粒子を付着させた蛍光体を用い
て青色蛍光膜パターンを形成した。同様に平均粒径5μ
mのユーロピウム付活酸硫化イットリウム蛍光体(Y2
2S:Eu)からなる赤色発光蛍光体100重量部
と、平均粒径0.3μmのベンガラ0.5重量部と、バ
インダー(アクリルエマルジョン)とを脱塩水に添加し
て赤色顔料粒子を付着させた蛍光体を用いて赤色蛍光膜
パターンを形成した。
【0037】(蛍光膜パターンの評価方法と評価結果) (1)コントラスト:カラー陰極線管のパネル外面の中
央部へ白色標準光源を用いて直径10mmの光を入射角
45度で入射させ、反射角45度の反射光を測定する。
入射光強度に対する反射光強度の比率を求めて外光反射
率とし、外光反射率の逆数をコントラストとして従来例
(比較例1)を100として表示する。実施例1〜6及
び比較例1についての結果を表1に示す。 (2)付着強度:顔料被覆蛍光体で下記のように評価し
た。
【0038】(蛍光体の評価方法と評価結果) (1)コントラスト:上記の方法で作成した各色の顔料
被覆蛍光体に外光を照射し、可視域の相対分光反射強度
を測定する。次に、相対分光反射強度の青色領域(例え
ば、450nm)、緑色領域(例えば、530nm)、
赤色領域(例えば、630nm)の反射強度をそれぞれ
IB、IG、IRとし、青についてはIB−IR、緑に
ついてはIG−IR、赤についてはIR−IGを求め
る。この差が大きいほどコントラストが大きい。緑、
青、赤色の顔料被覆蛍光体についての結果を相対値で表
2、3、4に示した。 (2)付着強度:一定量の顔料被覆蛍光体と分散剤を水
に混合し、振動させた後、所定時間放置し、上澄みの透
明度を比較した結果を表2、3、4に示した。本発明に
よるものは従来のものよりも透明度が高く、剥離が少な
い。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明のカラー
陰極線管とその製造方法は、顔料を構成する金属酸化物
の金属元素のオクチル酸塩、プロピオン酸塩、オクチル
・プロピオン酸塩の一種以上を蛍光体に塗布して焼成す
ることにより顔料を粒子ではなく均一な薄膜として形成
した顔料被覆蛍光体を用いて蛍光膜パターンが形成され
ているので、略全表面が薄膜で覆われ蛍光体の露出部が
少ないので反射光、透過光のうち発光色領域以外の光が
減少してコントラストが格段に向上する。また、顔料が
薄膜であるから輝度の減衰が緩和されると共に付着力も
向上して蛍光膜形成時の顔料の脱落が防止される。ま
た、顔料の薄膜が金属酸化膜の保護層を介して形成され
ているので、蛍光体の熱劣化が防止されて輝度の低下や
発光色のずれなどが抑制される。これにより、高品質の
カラー陰極線管を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のカラー陰極線管の第1実施例の蛍光
膜パターンと、これに使用される顔料被覆蛍光体の各要
部拡大断面図
【図2】 本発明のカラー陰極線管の第3実施例の蛍光
膜パターンに使用される顔料被覆蛍光体の各要部拡大断
面図
【図3】 従来のカラー陰極線管の蛍光膜パターンと、
これに使用される従来の顔料粒子付蛍光体の各要部拡大
断面図
【符号の説明】
1 顔料被覆緑色発光蛍光体 1a 緑色発光蛍光体 1b 緑色顔料膜 2 緑色蛍光膜 3 顔料被覆青色発光蛍光体 3a 青色発光蛍光体 3b 青色顔料膜 4 顔料被覆赤色発光蛍光体 4a 赤色発光蛍光体 4b 赤色顔料膜 5 青色蛍光膜 6 赤色蛍光膜 20 パネル 21 ブラックマトリクス膜

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】蛍光体に顔料膜が直接または保護膜を介し
    て形成された顔料被覆蛍光体を用いて形成された蛍光膜
    を有するカラー陰極線管。
  2. 【請求項2】金属オクチル酸塩、金属プロピオン酸塩、
    金属オクチル・プロピオン酸塩のうちの一種以上を含有
    する液体を蛍光体に塗布し、次いで焼成することにより
    該蛍光体に金属酸化物からなる顔料膜が形成された顔料
    被覆蛍光体を用いて形成された蛍光膜を有するカラー陰
    極線管。
  3. 【請求項3】金属オクチル酸塩、金属プロピオン酸塩、
    金属オクチル・プロピオン酸塩のうちの一種以上を含有
    する液体を蛍光体に塗布し、次いで焼成して該蛍光体の
    表面に金属酸化膜からなる保護膜が形成され、その上に
    金属オクチル酸塩、金属プロピオン酸塩、金属オクチル
    ・プロピオン酸塩のうちの一種以上を含有する液体を塗
    布し、これを焼成することにより該保護膜上に金属酸化
    物からなる顔料膜が形成された顔料被覆蛍光体を用いて
    形成された蛍光膜を有するカラー陰極線管。
  4. 【請求項4】保護膜用の金属オクチル酸塩、金属プロピ
    オン酸塩、金属オクチル・プロピオン酸塩の金属元素
    が、珪素、アルミニウム、チタン、コバルト、クロム、
    亜鉛、錫のうちの一種以上からなることを特徴とする請
    求項3に記載のカラー陰極線管。
  5. 【請求項5】顔料膜用の金属オクチル酸塩、金属プロピ
    オン酸塩、金属オクチル・プロピオン酸塩の金属元素
    が、(1)コバルトと亜鉛、(2)コバルトと亜鉛とア
    ルミニウム、(3)コバルトと錫、(4)コバルトと錫
    とアルミニウム、からなる群のうちの一種であって、緑
    色顔料膜で被覆された蛍光体を用いて形成された蛍光膜
    を有することを特徴とする請求項2に記載のカラー陰極
    線管。
  6. 【請求項6】顔料膜用の金属オクチル酸塩、金属プロピ
    オン酸塩、金属オクチル・プロピオン酸塩の金属元素
    が、(1)コバルトと亜鉛、(2)コバルトと亜鉛とア
    ルミニウム、(3)コバルトと錫、(4)コバルトと錫
    とアルミニウム、(5)コバルト、(6)コバルトとア
    ルミニウム、からなる群のうちの一種であって、緑色顔
    料膜で被覆された蛍光体を用いて形成された蛍光膜を有
    することを特徴とする請求項4に記載のカラー陰極線
    管。
  7. 【請求項7】顔料膜用の金属オクチル酸塩、金属プロピ
    オン酸塩、金属オクチル・プロピオン酸塩の金属元素
    が、(1)コバルトと珪素とリン、(2)コバルトとア
    ルミニウムとリン、からなる群のうちの一種であって、
    青色顔料膜で被覆された蛍光体を用いて形成された蛍光
    膜を有することを特徴とする請求項2または請求項4に
    記載のカラー陰極線管。
  8. 【請求項8】顔料膜用の金属オクチル酸塩、金属プロピ
    オン酸塩、金属オクチル・プロピオン酸塩の金属元素が
    鉄であって、赤色顔料膜で被覆された蛍光体を用いて形
    成された蛍光膜を有することを特徴とする請求項2また
    は請求項4に記載のカラー陰極線管。
  9. 【請求項9】金属オクチル酸塩、金属プロピオン酸塩、
    金属オクチル・プロピオン酸塩のうちの一種以上を含有
    する液体を蛍光体に塗布し、次いで焼成することにより
    該蛍光体に金属酸化物からなる顔料膜を形成する工程
    と、この顔料被覆蛍光体を用いて蛍光膜パターンを形成
    する工程とを具備するカラー陰極線管の製造方法。
  10. 【請求項10】金属オクチル酸塩、金属プロピオン酸
    塩、金属オクチル・プロピオン酸塩のうちの一種以上を
    含有する液体を蛍光体に塗布し、次いで焼成して該蛍光
    体の表面に金属酸化膜からなる保護膜を形成する工程
    と、該保護膜上に金属オクチル酸塩、金属プロピオン酸
    塩、金属オクチル・プロピオン酸塩のうちの一種以上を
    含有する液体を塗布し、これを焼成することにより該保
    護膜上に金属酸化物からなる顔料膜を形成する工程と、
    この顔料被覆蛍光体を用いて蛍光膜パターンを形成する
    工程とを具備するカラー陰極線管の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20030091005A (ko) * 2002-05-24 2003-12-01 삼성에스디아이 주식회사 유색 도펀트가 도핑된 산화물 코팅층을 포함하는 pdp용청색 형광체 및 그의 제조방법
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