JP2002155471A - 炭素繊維およびそれを用いた樹脂組成物、成形材料ならびに成形品 - Google Patents

炭素繊維およびそれを用いた樹脂組成物、成形材料ならびに成形品

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JP2002155471A
JP2002155471A JP2000349172A JP2000349172A JP2002155471A JP 2002155471 A JP2002155471 A JP 2002155471A JP 2000349172 A JP2000349172 A JP 2000349172A JP 2000349172 A JP2000349172 A JP 2000349172A JP 2002155471 A JP2002155471 A JP 2002155471A
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carbon fiber
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carbon
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JP2000349172A
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Eisuke Wadahara
英輔 和田原
Atsuki Tsuchiya
敦岐 土谷
Masanobu Kobayashi
正信 小林
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、優れた導電性と力学的特性とを兼ね
備えた炭素繊維およびそれを用いた樹脂組成物、成形材
料ならびに成形品を提供せんとするものである。 【解決手段】本発明の炭素繊維は、少なくとも膜表面抵
抗値が9×109Ω/□以下である樹脂[a1]が付着
していることを特徴とし、また、本発明の樹脂組成物
は、少なくともかかる炭素繊維と熱可塑性樹脂とからな
り、本発明の成形材料、成形品は、かかる樹脂組成物を
用いて加工、成形されてなることを特徴とするものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた導電性と力
学的特性とを兼ね備えた炭素繊維およびそれを用いた樹
脂組成物、成形材料ならびに成形品に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】フィルムや繊維などに導電性高分子を処
理することによって、所望の導電性を有した複合体を得
ることは公知である。例えば特開昭62−275137
号公報や特開平5−280474号公報などには、電子
共役系ポリマーを形成し得るモノマーをフィルムや繊維
などの被処理材に接触させた後に重合させ、導電性に優
れた複合体を得る製造方法に関する記載がある。
【0003】しかし、これらの先行例では、被処理材と
して、元々絶縁性のフィルムや繊維を対象としているた
め、処理された複合体としては、比較的劣った導電性し
か得ることしかできなかったり、安定してその導電性を
得ることができなかった。また、導電性高分子によって
処理されたものを、高温下で、他の熱可塑性樹脂と組み
合わせて成形した場合、その成形品が成形時の熱履歴な
どにより導電性を発現しないといった問題点や、被処理
材である繊維が一般的に強化繊維として用いられるもの
ではないため、成形品として、優れた導電性と力学的特
性とを同時に達成することが必要な分野には利用できな
いといった問題点を有していた。
【0004】つまり、これらの提案によると、電界シー
ルド性を発現するレベルの高導電性を発現し、かつ、高
い力学的特性をも同時に達成できる成形品や、その成形
品を得るための炭素繊維およびそれを用いた組成物や成
形材料を得ることができなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の背景に鑑み、優れた導電性と力学的特性とを兼ね
備えた炭素繊維およびそれを用いた樹脂組成物、成形材
料ならびに成形品を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、つぎのような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明の炭素繊維は、少なくとも膜表面
抵抗値が9×109Ω/□以下である樹脂[a1]が付
着していることを特徴とし、また、本発明の樹脂組成物
は、少なくともかかる炭素繊維と熱可塑性樹脂とからな
り、さらにまた、本発明の成形材料、成形品は、かかる
樹脂組成物を用いて加工、成形されてなることを特徴と
するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明は、前記課題、すなわち、
優れた導電性と力学的特性とを兼ね備えた炭素繊維につ
いて鋭意検討し、特定条件を満たす樹脂を炭素繊維に付
着させてみたところ、かかる課題を一挙に解決すること
を究明したものである。
【0008】本発明の炭素繊維は、少なくとも表面に膜
表面抵抗値が9×109Ω/□以下、好ましくは1×1
9Ω/□以下、さらに好ましくは1×108以下、特に
好ましくは1×107Ω/□以下の樹脂[a1]が付着
しているものである。かかる膜表面抵抗値が9×109
Ω/□を超える場合、導電性が十分でなく、本発明の課
題である優れた導電性を有する成形品を得ることができ
ない。
【0009】ここで、炭素繊維そのものの状態でのみ樹
脂[a1]により、その表面抵抗を低くすることが本発
明の本質ではなく、所望の樹脂組成物、成形材料さらに
は成形品とした時においても、炭素繊維表面を安定して
導電化することが本発明の本質である。この面からは、
樹脂[a1]が、膜表面抵抗に優れすぎる場合では、炭
素繊維に付与した直後は膜表面抵抗に優れるものの、そ
の熱安定性や経時安定性に劣るので、かかる樹脂[a
1]を付着させた炭素繊維を成形品にした際には、本発
明の効果が発現しない場合がある。また、樹脂[a1]
の膜表面抵抗を低くしすぎると、導電性には優れるもの
の、本発明のもう一つの課題である力学的特性を満足す
ることができない場合がある。この点を鑑みると、本発
明の樹脂[a1]の膜表面抵抗値は、好ましくは1×1
2Ω/□以上、より好ましくは1×104Ω/□以上、
更に好ましくは1×105Ω/□以上、とりわけ1×1
6Ω/□以上であるのが好ましい。
【0010】本発明における膜表面抵抗値とは、該樹脂
[a1]の溶液(水系、溶媒系、水/溶媒混合系のいず
れでもよい)を100μm厚のPETフィルムまたは絶
縁性ガラス上に、スピンコーター、グラビアコーター、
ブレードコーターなどを用いて製膜し、該樹脂[a1]
が分解しない範囲で、水および/または溶媒を、水分率
(溶媒分率)が0.05%以下になるまで乾燥し、該樹
脂[a1]が0.5〜1μmの範囲になるように作製し
たものについて、高抵抗率計((株)ダイアインスツル
メンツ製ハイレスタ−UP MCP−HT450)とプ
ローブ((株)ダイアインスツルメンツ製URSプロー
ブMCP−HTP14)を用いて、電圧500V(レン
ジオーバーの場合は印可電圧を最大1000Vまで上げ
て測定)を印可した30秒後に測定した値を指す。
【0011】ここで、前記樹脂[a1]の溶液ではな
く、後述の該樹脂の前駆体の溶液を用いる場合には、測
定する前の任意の時期に重合して、測定時に、該樹脂
[a1]の形になっていればよい。また、導電性の発現
にドーピングが必要な場合には、該樹脂[a1]および
/またはその前駆体は、測定する前の任意の時期にドー
ピングされ、測定前にドーピングされていればよい。
【0012】ここで、該樹脂[a1]の膜表面抵抗の測
定は、炭素繊維に付着させる前の樹脂[a1]を用いて
もよいし、炭素繊維に樹脂[a1]を付着させたものか
ら抽出した樹脂[a1]のいずれの樹脂を用いて測定し
てもよい。炭素繊維から樹脂[a1]を抽出して測定す
る場合には、樹脂[a1]が可溶な溶媒、例えばクロロ
ホルム、メタノール、塩化メチレン、メチルエチルケト
ン、水などに樹脂[a1]が付着した炭素繊維を浸漬す
る(溶けにくい場合には更に加熱や振動付与する)こと
により樹脂[a1]を抽出し、その樹脂[a1]の溶解
溶液を用いて、前記膜表面抵抗の測定に供する。炭素繊
維から樹脂[a1]を抽出する際、炭素繊維などの不純
物が混入した場合には、製膜する前にフィルター(例え
ばPTFEフィルター)などで前記不純物を濾過した溶
液を用いるのがよい。
【0013】かかる膜表面抵抗値を発現する樹脂[a
1]としては、例えばそのままでも導電性、または大気
酸素による酸化により、導電性を発現する樹脂、または
酸化剤または還元剤で処理(化学酸化処理)、または電
気化学的な方法で、酸化または還元処理(電解処理)し
た後、すなわちドープされた後、導電性を発現する樹脂
を用いることができる。その際、ドーピングは、樹脂
[a1]の重合中に行っても、重合後に行ってもよい。
【0014】かかる樹脂[a1]としては、例えば、ピ
ロール、チオフェン、フランなどの5員の複素環を有す
るモノマーおよびそれらの誘導体(ベンゾ縮合体、ハロ
ゲン原子、アルキル−、アルキレン−、アルコキシ−、
アリール−による置換体など)や、芳香族、芳香族アミ
ノ化合物を有するモノマーおよびそれらの誘導体や、ビ
ニレン、アリーレンビニレン構造を有するモノマーおよ
びそれらの誘導体を前駆体として、それらを重合したも
のが代表的な例として使用することができる。また、こ
れらを複数種併用してもよく、更に共重合成分として、
例えばイミダゾール、チアゾール、オキサゾールなどの
モノマーを前駆体として含んでいてもよい。
【0015】かかる樹脂[a1]の重合度としては、好
ましくは2〜10000の範囲、より好ましくは重合度
が5〜5000、特に好ましくは10〜3000の範囲
がよい。重合度が2未満であると、後述のチョップド炭
素繊維にした時の集束性に劣り、10000を越える
と、水溶化が困難となり、樹脂[a1]の炭素繊維への
付与方法に制限を受けるため好ましくない。
【0016】特に上記該樹脂の前駆体の重合は、ドーパ
ントの存在下で行うことができる。
【0017】かかるドーパントとしては、特に限定はな
く、任意のドーパントを用いることができるが、例えば
塩素、臭素、ヨウ素または塩化水素などのハロゲンアニ
オン、ヘキサフロロリン、ヘキサフロロヒ素、テトラフ
ロロホウ素などのハロゲン化アニオン、アルキルベンゼ
ンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、β−ナフタレンス
ルホン酸などのスルホン酸アニオン、過塩素酸、過塩素
酸カリウムなどの過塩素酸アニオン、硫酸などの硫酸ア
ニオンなどが代表的な例として使用することができる。
また、例えばペルオキソ二硫酸またはそのアルカリ塩お
よびアンモニウム塩などの過酸およびその塩や、ペルオ
キソホウ酸塩(過ホウ酸ナトリウムなど)、過塩素酸塩
(過塩素酸鉄、過塩素酸銅など)、またはペルオキソク
ロム酸塩(二クロム酸カリウムなど)も使用することが
できる。これらの酸を少量添加する場合は、過マンガン
酸塩(過マンガン酸カリウムなど)が好ましく、他にも
過酸化水素、二酸化鉛、マンガン(IV)化合物も使用
することができる。より好ましいドーパントとしては、
過硫酸塩、鉄塩(FeCl3など)、芳香族スルホン酸
塩(スチレンスルホン酸鉄、スチレンスルホン酸ナトリ
ウムなど)、ベンゼンスルホン酸鉄(ドデシルベンゼン
スルホン酸鉄(III)、ベンゼンスルホン酸鉄(II
I)など)などを用いることができる。
【0018】また、前記酸化剤を用いる場合、例えば、
塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン類、塩化第二鉄、三
弗化ホウ素、五弗化ヒ素、五弗化アンチモン、塩化アル
ミニウムなどの金属ハロゲン化物、過酸化水素、佳作
三、過酸化ベンゾイルなどの過酸化物、過硫酸、過硫酸
カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸またはその
塩、ヨウ素酸、過塩素酸カリウムなどのハロゲン酸また
はその塩、過マンガン酸カリウム、クロム酸などの遷移
金属化合物、硝酸、硫酸、酢酸、蟻酸などのプロトン
酸、オゾン、酸素などを使用することができるが、これ
らに特に限定されるものではない。
【0019】ここで、該樹脂[a1]を炭素繊維に付着
させる際には、該樹脂の前駆体を炭素繊維に付着させて
から、重合させてもよく、該前駆体を重合させながら付
着させてもよいが、やはり、該前駆体を重合した後、つ
まり樹脂[a1]としてから、炭素繊維に付着させるの
が、重合時間などの制約がなく、より生産性高く、炭素
繊維を製造することができるので好ましい。その際、ド
ーパントを重合時に該前駆体の溶液中に配合して、重合
中にドーピングしてもよいし、該前駆体を重合後に改め
てドーピング処理してもよい。
【0020】また、該樹脂[a1]またはその前駆体
は、溶媒、水溶液、水系エマルジョンまたはそれらの混
合液による、溶液の状態にて、炭素繊維に接触または浸
漬させ、その後に水および/または溶媒を乾燥させるこ
とにより、炭素繊維に付着させてもよいが、作業環境の
面から、水溶液または水系エマルジョン溶液を用いて、
炭素繊維に付着させるのが好ましい。なお、該樹脂[a
1]またはその前駆体の付着量は、かかる溶液の濃度に
より調整することができる。
【0021】また、前記ピロールを前駆体とした樹脂
[a1]とは、少なくともピロールおよびその誘導体で
あるモノマーを重合して得られるポリマーを指し、無置
換ピロールまたは各種の置換ピロールのホモポリマーの
他、ピロールと、共重合成分として、例えば3、5−ジ
メチルピロールなどの3、5−置換ピロール、例えば4
−メチルピロール−3−カルボン酸メチルなどの3、4
−置換ピロール、例えばN−メチルピロールなどのN−
置換ピロール、例えば3−メチルピロールや3−オクチ
ルピロールなどの3−置換ピロールなどとをモノマーと
して共重合したコポリマーも使用することができる。
【0022】これらの中では、高導電性、力学的特性、
良加工性などのバランスの面から、無置換ポリピロール
のホモポリマー、N−アルキルピロールなどのN−置換
ピロールのホモポリマー、または無置換ポリピロールと
N−置換ピロールのコポリマーが好ましく、その中でも
無置換ポリピロールのホモポリマーがより好ましい。
【0023】かかるピロールおよびその誘導体を前駆体
とする場合のドーパントとしては、塩素、臭素、ヨウ素
などのハロゲン類、およびこれらの水素塩、硫酸、酢
酸、蟻酸などのプロトン酸、五弗化リンなどのルイス
酸、塩化第二銅などの遷移金属塩化物、過塩素酸銀、弗
化硼素銀などの遷移金属化合物などの酸呈示化合物、ま
たスルホン酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウムなどの中
性塩を使用することができるが、好ましいドーパントと
しては、酸化剤の効果も有する第二鉄塩(例えば、塩化
第二鉄、硫酸第二鉄、過塩素第二鉄、硝酸第二鉄、鉄ミ
ョウバンなど)、モノマー水溶液または溶媒液のpH調
整剤の効果も有する過塩素酸、p−トルエンスルホン
酸、トリクロロベンゼンスルホン酸、アントラキノンス
ルホン酸またはそれらの塩などが使用される。
【0024】かかるチオフェンおよびその誘導体を前駆
体とする場合のドーパントとしては、ポリアニオン類を
含有するのが好ましく用いられる。かかるポリアニオン
類としては、高分子カルボン酸(ポリアクリル酸、ポリ
メタクリル酸、ポリマレイン酸など)のアニオン、高分
子スルホン酸(ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルス
ルホン酸など)のアニオンが好ましい。前記高分子カル
ボン酸、スルホン酸は、ビニルカルボン酸およびビニル
スルホン酸と他の重合性モノマー類(アクリル酸エステ
ル、スチレンなど)から作られた共重合体であってもよ
い。これらの中では、ポリスチレンスルホン酸のアニオ
ンをドーパントとして用いるのが好ましい。
【0025】かかる芳香族、芳香族アミノ化合物を有す
るモノマーおよびそれらの誘導体を前駆体とする樹脂
[a1]としては、ポリフェニレン、ポリアニリンなど
がの好ましく用いられ、特にポリアニリンが好ましく使
用される。
【0026】またね前記ビニレンまたはアリーレンビニ
レン構造を有するモノマーを前駆体とする樹脂[a1]
としては、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレンな
どが好ましく用いられる。
【0027】これらの樹脂[a1]以外にも、少なくと
もポリアルキレンオキシド構造を有する樹脂も、該樹脂
[a1]として用いることができる。
【0028】このような樹脂[a1]としては、例え
ば、少なくとも数平均分子量200〜6000のポリ
(アルキレンオキシド)グリコールおよびそれらの誘導
体を前駆体とするものが用いられる。かかるポリ(アル
キレンオキシド)グリコールの誘導体としては、ポリ
(アルキレンオキシド)グリコールの両末端をジアミン
またはジカルボン酸に変性したものなどを使用すること
ができる。但し、かかるポリ(アルキレンオキシド)グ
リコール誘導体としては、グリシジル化およびイソシア
ネート化ポリアルキレンオキシド誘導体は含まないのが
よい。前記グリシジル化およびイソシアネート化ポリア
ルキレンオキシド誘導体を前駆体として含むと、重合し
た後に樹脂として、炭素繊維に付着させた後、後述の構
成要素[B]と組み合わせて、樹脂組成物または成形品
とした場合、そのグリシジル基の開環反応に起因すると
考えられる該樹脂の膜表面抵抗値の悪化や、後述の構成
要素[B]の分解、分子量低下または成形時の増粘など
の成形性の低下が懸念される。同様の理由で、かかる樹
脂[a1]は、架橋剤などにて架橋されていないのが好
ましく、本発明の樹脂[a1]とエポキシ樹脂、メラミ
ン樹脂、イソシアネート樹脂、ユリア樹脂などの架橋剤
とを混合しないのがよく、前駆体としてもグリシジル成
分、イソシアネート成分、尿素成分などの架橋性前駆体
を含まないのがよい。
【0029】また、前記アルキレンオキシド構造を有す
る樹脂[a1]としては、前駆体としてポリ(アルキレ
ンオキシド)グリコールおよびそれらの誘導体の他に
も、更に炭素原子数6以上のアミノカルボン酸またはラ
クタムもしくは炭素原子数6以上のジアミンとジカルボ
ン酸の塩(好ましくは、カプロラクタム、12アミノド
デカン酸、ヘキサメチレンジアミン−アジピン酸塩)、
および/または炭素原子数4〜20のジカルボン酸(好
ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シク
ロヘキサンジカルボン酸、セバシン酸、アジピン酸、ド
デカンジカルボン酸)、および/または炭素原子数4〜
20のジアミン(例えば、ヘキサメチレンジアミンなど
の脂肪族、パラアミノシクロヘキシルメタンなどの脂環
族、メタキシリレンジアミンなどの芳香族のジアミン)
を前駆体とするのがよく、中でもカプロラクタム、炭素
原子数6〜12のジアミンが好ましく用いられる。
【0030】なお、本発明の該樹脂[a1]としては、
膜表面抵抗値が9×109Ω/□以下であれば、上述の
樹脂[a1]を、単独で用いても、2種以上併用しても
よい。
【0031】かかる樹脂[a1]は、炭素繊維に対して
0.01〜20重量%の範囲で付着しているのが好まし
い。かかる付着量が、0.01重量%未満の場合は、所
望の導電性が得られにくく、逆に20重量%より多い場
合は、高い力学的特性が得られにくいため好ましくな
い。より好ましくは炭素繊維に対して0.1〜10重量
%の範囲、さらに好ましくは0.2〜6重量%の範囲で
ある。とりわけ、0.5〜5重量%の範囲が好ましい。
【0032】炭素繊維への樹脂[a1]の付着を均一な
ものにするために、表面張力を低下させることが有効で
あるが、そのために、更に界面活性剤、有機溶媒、潤滑
剤、消泡剤などを付与することができる。付与方法とし
ては、それらを予め炭素繊維に付着させた後に、樹脂
[a1]を付着させたり、樹脂[a1]またはその前駆
体の溶液に配合して、樹脂[a1]またはその前駆体と
共に付着させたりすることができる。
【0033】かかる界面活性剤とは、例えばアルキル硫
酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシア
ルキレンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンス
ルホン酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性剤や、ポ
リエチレングリコールやポリプロピレングリコール、ま
たはその共重合体などを含むポリアルキレングリコール
類、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエ
チレングリコールアルキルフェニルエーテルなどのノニ
オン系界面活性剤が用いられ、その中でもポリアルキレ
ングリコール類(特にポリエチレングリコール)やビス
フェノールAエチレンオキサイド付加物などのノニオン
系界面活性剤が好ましく使用される。
【0034】かかる有機溶媒とは、例えばメタノール、
エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルア
ルコール、イソブタノール、n−ブタノール、イソアミ
ルアルコールなどのアルコール類や、ジメチルホルムア
ルデヒド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、アセトニトリル、シクロヘキサノン、
メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、キシレン、
酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル
アセテート、イソホロン、n−ブチルセロソルブ、t−
ブチルセロソルブなどが用いられる。
【0035】かかる潤滑剤とは、例えばキャンディラワ
ックス、カルナウバワックス、木ロウなどの植物系、み
つろう、ラノリン、鯨ロウなどの動物系、モンタンワッ
クス、石油ワックスなどの鉱物系のワックス、テトラエ
チレンペンタミンジステアレート、ブチルステアレート
などの脂肪酸系滑剤などが用いられる。
【0036】これら界面活性剤を使用する場合は、その
添加は、少量で十分であり、炭素繊維に対して好ましく
は0.01〜3重量%、さらに好ましくは0.1〜1.
5重量%、または処理液に対して0.05〜6重量%の
範囲が好ましい。有機溶媒を使用する場合は、その添加
量は、処理溶液に対して0.1〜40重量%の範囲が好
ましい。潤滑剤を使用する場合は、その添加は、少量で
十分であり、炭素繊維に対して、好ましくは0.01〜
3重量%または処理液に対して、好ましくは0.05〜
6%の範囲がよい。
【0037】また、本発明の炭素繊維を用いた成形品
が、本発明の課題である高い力学的特性を達成するため
や、後述のチョップド炭素繊維としての高い集束性を付
与するためには、炭素繊維と後述の構成要素[B]であ
る樹脂との密着性・接着性を高くすることや、炭素繊維
束の集束能を高くすることが有効であるが、そのために
更に樹脂[a2]として、カップリング剤、接着性向上
剤、集束剤などを炭素繊維に付与することができる。か
かる樹脂[a2]の付与方法としては、それらを予め炭
素繊維に付着させた後に、該樹脂[a1]を付着させた
り、該樹脂[a1]を炭素繊維に付着させた後に、付着
させたりすることができる。特に集束性を付与する場合
には、該樹脂[a1]を付着させた後に、該樹脂[a
2]を付着させると、その効果が最大限に発現されるた
め好ましい。ここで、該樹脂[a1]またはその前駆体
と該樹脂[a2]とを混合して炭素繊維に付与すると、
前述のように樹脂[a2]の種類によっては架橋剤とし
て作用し、樹脂[a1]を架橋させる場合があるので好
ましくない。
【0038】かかる樹脂[a2]としては、例えばシラ
ンカップリング剤、アルミネートカップリング剤、チタ
ネートカップリング剤などカップリング剤、エポキシ
系、ウレタン系、エーテル系、エステル系、アミド系、
アクリル系、オレフィン系、ビニル系、スチレン系、フ
ェノール系樹脂、液晶性樹脂などが使用される。
【0039】これら樹脂[a2]は、溶媒液、水溶液、
水系エマルジョンまたはそれらの混合液により、炭素繊
維に付与されてもよいが、作業環境の面から各種有機溶
媒を含まない水溶液または水系エマルジョンとして、炭
素繊維に付与させるのが好ましい。
【0040】これら樹脂[a2]を付与する場合は、炭
素繊維に対して、好ましくは0.1〜20重量%の範囲
がよい。これより少ない場合、所望の効果が得られにく
い。またこれより多い場合は、優れた導電性が得られに
くく好ましくない。より好ましくは0.2〜10重量
%、特に好ましくは0.5〜6重量%の範囲である。
【0041】かかる樹脂[a1]および/またはかかる
樹脂[a2]には、後述の構成要素[C]であるカーボ
ン粉末および/またはグラファイト粉末が混合されてい
てもよい。かかるカーボン粉末および/またはグラファ
イト粉末が混合されていると、樹脂組成物中に構成要素
[C]として配合するよりも、より少ない量で同等の導
電性付与効果が得ることができるだけでなく、絶縁性の
樹脂である樹脂[a2]も併せて導電性を付与でき、し
かも成形時の熱履歴に関係なく導電性を得られることか
ら本発明の効果を最大限に発現できる。特に、樹脂[a
1]、その前駆体、樹脂[a2]の溶液中にカーボン粉
末やグラファイト粉末を混合して炭素繊維に付着させる
場合には、カーボン粉末やグラファイト粉末の表面に親
水基が形成されているのが好ましく、950℃×7mi
nにおける熱減量(JIS K6221)が0.5%以
上、より好ましくは1%以上であるものがよい。
【0042】かかる樹脂[a1]は、界面活性剤、潤滑
剤、樹脂[a2]など、その他炭素繊維に付着させる全
ての付着物の総量に対して、5重量%以上であるのが好
ましい。これより少ない場合は、所望の導電性が得られ
にくいため好ましくない。より好ましくは30重量%以
上、更に好ましくは60重量%以上、とりわけ80重量
%以上であるのが好ましい。
【0043】本発明の炭素繊維とは、例えば、ポリアク
リロニトリル(PAN)系、ピッチ(等方性、メソフェ
ーズなど)系、セルロース(ビスコースレーヨン、酢酸
セルロースなど)系、気相成長(炭化水素など)系など
からつくられた炭素繊維や黒鉛繊維、さらにまた、それ
らをニッケル、イッテルビウム、金、銀、銅などの金属
を、メッキ法(電解、無電解)、CVD法、PVD法、
イオンプレーティング法、蒸着法などにより少なくとも
1層以上被覆して構成された金属被覆炭素繊維や、これ
らを2種類以上ブレンドして構成されたものを指す。ま
た、前記炭素繊維とガラス繊維やアラミド繊維などのそ
の他の強化繊維とをブレンドしたものも本発明では使用
することができる。かかる炭素繊維としては、強度と弾
性率などの力学的特性と価格とのバランスに優れるPA
N系炭素繊維が好ましく、導電性の面からは気相成長炭
素繊維が好ましい。
【0044】かかる気相成長炭素繊維とは、気相で結晶
を成長させる製造方法により得られる炭素繊維もしくは
黒鉛繊維を指し、針状やコイル状の形態など任意の形態
をとることができる。かかる製造方法としては、例えば
特開平5−221622号公報などに開示されているよ
うに、ベンゼン、メタン、一酸化炭素などの炭素化合物
と、触媒であるフェロセン、メタロセンなどの鉄系、ニ
ッケル系の有機遷移金属化合物とを水素などのキャリア
ガス中で高温焼成(一般的には800〜1300℃)す
る方法を採用することができる。
【0045】これらの炭素繊維は、平均単繊維直径が、
好ましくは0.01〜20μm、より好ましくは1〜1
6μm、さらに好ましくは2〜13μm、とりわけ好ま
しくは4〜11μmの範囲であるのがよい。平均繊維直
径が0.01μm未満では、炭素繊維として製造するこ
とが困難になるだけでなく、力学的特性に劣る場合があ
る。また、炭素繊維を用いて樹脂組成物を得る場合、炭
素繊維束中への樹脂の含浸が困難となり、成形品中での
炭素繊維の分散性に劣るなどの問題を生じる場合があ
る。一方、平均繊維直径が20μmを超えても、炭素繊
維としての力学的特性に劣り、所望の導電化効果や補強
効果が得ることができない。但し、気相成長炭素繊維の
場合には、アスペクト比が5〜1000の範囲であり、
かつ平均単繊維直径が、好ましくは0.01〜1μm、
より好ましくは0.1〜0.5μmの範囲であると、そ
の導電性付与効果が高いため好ましい。
【0046】本発明で使用する炭素繊維としては、広角
X線回折法により測定された結晶サイズ(以下、Lcと
記す)が、1〜6nmの範囲であることが好ましい。か
かるLcが1nm未満である場合、炭素繊維の炭化もし
くは黒鉛化が十分ではなく、炭素繊維自体の導電性が低
くなる。このことに起因して、得られた成形品の導電性
が劣る場合があるため好ましくない。一方、Lcが6n
mを越える場合、炭素繊維の炭化もしくは黒鉛化は十分
であり、炭素繊維自体の導電性には優れるものの脆く繊
維折損しやすくなる。このことに起因して、成形品中の
繊維長さが短くなり、優れた導電性が期待できないため
好ましくない。より好ましくは1.3〜4nm、さらに
好ましくは1.6〜3nmの範囲である。とりわけ好ま
しくは1.8〜2nmの範囲であるものがよい。なお、
広角X線回折法によるLcの測定は、日本学術振興会第
117委員会、炭素、36、p25(1963)に記載
された方法に基づいて行った。
【0047】本発明の炭素繊維は、フィラメント数が3
千〜350千本の範囲で束ねられていることが好まし
い。フィラメント数が3千本未満であると、炭素繊維自
体の生産性に劣り、コスト面で劣るため好ましくない。
また、フィラメント数が350千本より多いと、炭素繊
維束として取り扱い性に劣るだけでなく、それらの炭素
繊維束を用いて得られた成形品は導電性や力学的特性に
劣る場合があり、本発明の効果を効率的に発現できない
ため好ましくない。より好ましいフィラメント数は24
千〜100千本、更に好ましくは48千〜70千本の範
囲である。
【0048】本発明のチョップド炭素繊維とは、前記炭
素繊維を1〜26mmの範囲で切断されているものを指
す。チョップド炭素繊維が1mm未満であると、切断時
に集束させた炭素繊維が開繊しやすくなり、毛羽・毛玉
が発生し、チョップド炭素繊維として集束性に問題を有
する場合がある。また26mmを超えると、樹脂と混練
する際、押出機供給口(ホッパー、供給配管など)で詰
まったり、ブリッジしやすくなり、押出機への供給に問
題を有する場合がある。より好ましい切断長さは2〜1
3mmの範囲であり、更に好ましくは3〜10mmの範
囲である。
【0049】本発明のチョップド炭素繊維は、嵩密度が
0.25g/ml以上であるのが好ましい。また、安息
角は50°以下であるのが好ましい。度が0.25g/
ml未満のものや、安息角が50°を超えるものは、完
全に集束されているとはいえず、運搬中の振動や機械的
混合により、チョップド炭素繊維が開繊して毛羽や毛玉
が発生し、それが後述の熱可塑性樹脂と混練する場合な
どにはホッパー中に詰まったり、ブリッジしたりして、
作業上もその作業環境上も問題となるため好ましくな
い。より好ましい嵩密度は0.35g/ml以上、更に
好ましくは0.45g/ml以上である。より好ましい
安息角は40°以下、更に好ましくは35°以下であ
る。ここで、嵩密度とは、チョップド炭素繊維100g
を500mlメスシリンダーに入れた後、メスシリンダ
ーに数回振動を与え、その時の体積にて投入重量を除し
た値を指し、単位はg/mlとした。また、安息角と
は、水平な平面の同一箇所にチョップド炭素繊維100
gを漏斗を用いてゆっくり落下させ、その時に堆積した
山の傾斜角度を指す。
【0050】本発明における樹脂組成物は、少なくとも
前述の炭素繊維である構成要素[A]と後述の熱可塑性
樹脂である構成要素[B]とからなる。但し、前記樹脂
[a1]として導電性を発現するためにドーピングが必
要な樹脂を用いた場合、成形品で所望の導電性を得るた
めに、成形品に加工、成形する間に脱ドープしないよう
に樹脂[B]との組み合わせや、加工(成形)温度に留
意する必要がある。
【0051】本発明の構成要素[B]とは、得られた成
形品の衝撃強度に優れ、成形効率の高い射出成形やプレ
ス成形が可能である熱可塑性樹脂である。かかる熱可塑
性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート
(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、
ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチ
レンナフタレート(PEN)、液晶ポリエステル等のポ
リエステルや、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン
(PP)、ポリブチレン等のポリオレフィンや、スチレ
ン系樹脂の他や、ポリオキシメチレン(POM)、ポリ
アミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチ
レンメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(P
VC)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフ
ェニレンエーテル(PPE)、ポリイミド(PI)、ポ
リアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PE
I)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホ
ン、ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトン(PE
K)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ
アリレート(PAR)、ポリエーテルニトリル(PE
N)、フェノール(ノボラック型など)フェノキシ樹
脂、フッ素樹脂、更にポリスチレン系、ポリオレフィン
系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、
ポリブタジエン系、ポリイソプレン系、フッ素系等の熱
可塑エラストマー等や、これらの共重合体、変性体、お
よび2種類以上ブレンドした樹脂などが使用される。ま
た、更に耐衝撃性向上のために、上記熱可塑性樹脂にそ
の他のエラストマーもしくはゴム成分を添加した樹脂を
使用することができる。
【0052】本発明における構成要素[B]としては、
結晶性の熱可塑性樹脂(以下、結晶性樹脂と呼ぶ)より
も、非晶性の熱可塑性樹脂(以下、非晶性樹脂と呼ぶ)
の方が本発明の効果を最大限に利用できる場合が多い。
一般的に非晶性樹脂は、結晶性樹脂より寸法安定性に優
れ、耐衝撃性にも優れるものの、溶融粘度が高いため、
優れた導電性を得るために必要な量の炭素繊維を単に配
合すると、成形性に著しく劣るのが一般的であった。し
かし、本発明の樹脂組成物において、熱可塑性樹脂とし
て非晶性樹脂を使用した場合、構成要素[A]を用いる
ことにより、炭素繊維の配合量を低減することができ、
上記の成形性の問題を大幅に改善することができるだけ
でなく、コストをも改善でき、本発明の効果が最大限に
発現される。前記非晶性樹脂としては、スチレン系樹
脂、ポリカーボネート樹脂およびポリフェニレンエーテ
ル樹脂の少なくとも1種類が配合されていることが好ま
しい。
【0053】かかるスチレン系樹脂とは、スチレンおよ
び/またはその誘導体(これらを総称して芳香族ビニル
系単量体と称する場合がある)から生成した単位を含有
する。
【0054】かかるスチレン系樹脂としては、スチレン
系(共)重合体、ゴム強化スチレン(共)重合体が挙げ
られる。スチレン系(共)重合体としては芳香族ビニル
系単量体の1種または2種以上を重合した重合体、芳香
族ビニル系単量体の1種または2種以上とそれと共重合
可能な単量体の1種または2種以上を共重合した共重合
体が挙げられる。また、ゴム強化スチレン(共)重合体
としては、スチレン単量体を含有する(共)重合体がゴ
ム質重合体にグラフトした構造をとるものと、スチレン
単量体を含有する(共)重合体がゴム質重合体に非グラ
フトした構造をとるものとが挙げられる。
【0055】本発明において好ましいスチレン系樹脂と
しては、PS(ポリスチレン)等のスチレン系重合体、
HIPS(高衝撃ポリスチレン)等のゴム強化スチレン
系重合体、AS(アクリロニトリル/スチレン共重合
体)等のスチレン系共重合体、AES(アクリロニトリ
ル/エチレン・プロピレン・非共役ジエンゴム/スチレ
ン共重合体)、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン
/スチレン共重合体)、MBS(メタクリル酸メチル/
ブタジエン/スチレン共重合体)、ASA(アクリロニ
トリル/スチレン/アクリルゴム共重合体)などのゴム
強化(共)重合体等が挙げられ、なかでも特にPS(ポ
リスチレン)等のスチレン系重合体、AS(アクリロニ
トリル/スチレン共重合体)等のスチレン系共重合体、
ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重
合体)、ASA(アクリロニトリル/スチレン/アクリ
ルゴム共重合体)が好ましい。
【0056】これら非晶性樹脂は2種以上を併用しても
よく、具体的には、ABS樹脂またはASA樹脂または
AS樹脂とPC樹脂との組み合わせ、PPE樹脂とPS
樹脂またはHIPS樹脂との組み合わせ、PC樹脂とP
S樹脂またはHIPS樹脂との組み合わせなどの例を好
ましく挙げることができる。
【0057】また、その他の特性、例えば耐薬品性、成
形時の流動性などを付与させるためにこれら非晶性樹
脂、または2種類以上の非晶性樹脂を併用したものの一
部(通常、樹脂成分の70重量%以下、好ましくは60
重量%以下、特に好ましくは50重量%以下)を結晶性
樹脂に置き換えることが可能である。このような結晶性
樹脂としては、例えばポリアミド樹脂、ポリエステル樹
脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリオレフィン樹
脂、液晶性樹脂などが挙げられ、具体的には、PC樹脂
またはPC樹脂とABS樹脂との組み合わせまたはPC
樹脂とASA樹脂との組み合わせとPBT樹脂および/
またはPET樹脂との組み合わせ、ABS樹脂とポリア
ミド樹脂との組み合わせ、PC樹脂とポリアミド樹脂と
の組み合わせ、PC樹脂またはPC樹脂とABS樹脂と
の組み合わせまたはPC樹脂とASA樹脂との組み合わ
せと液晶性樹脂との組み合わせ、PPE樹脂とポリアミ
ド樹脂との組み合わせ、PPE樹脂とPS樹脂またはH
IPS樹脂との組み合わせと液晶性樹脂との組み合わせ
などの例を好ましく挙げることができる。
【0058】一方、結晶性樹脂を使用した場合にも、成
形品中での構成要素[A]の更なる分散性向上と、樹脂
組成物から得られる成形材料の更なる生産性の向上を達
成することができる。前記結晶性樹脂としては、ポリア
ミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィ
ド樹脂、ポリオレフィン樹脂、液晶性樹脂の少なくとも
1種類が配合されていることが好ましい。これら結晶性
樹脂は2種以上を併用してもよく、具体的には、ポリア
ミド樹脂と液晶性樹脂との組み合わせ、ポリエステル樹
脂と液晶性樹脂との組み合わせ、ポリプロピレン樹脂と
液晶性樹脂との組み合わせなどの例を好ましく挙げるこ
とができる。本発明における結晶性の熱可塑性樹脂とし
て、特に好ましくは構成要素[A]との界面接着性の面
から、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂を使用するの
がよい。
【0059】ここで、高い難燃性を成形品に付与する場
合には、上述の樹脂等にフェノール系樹脂を配合するの
が好ましい。かかるフェノール系樹脂とは、少なくとも
フェノール性水酸基を有する成分を単独もしくは共重合
されたものを指し、例えば各種フェノール樹脂(フェノ
ールノボラック、クレゾールノボラック、オクチルフェ
ノール、フェニルフェノール、ナフトールノボラック、
フェノールアラルキル、ナフトールアラルキル、フェノ
ールレゾールなど)や変性フェノール樹脂(アルキルベ
ンゼン変性(特にキシレン変性)、カシュー変性、テル
ペン変性など)などが挙げられる。好ましいフェノール
系重合体としては、フェノールノボラック樹脂、フェノ
ールアラルキル樹脂などが挙げられる。
【0060】本発明の樹脂組成物は、該樹脂組成物10
0重量%に対して、構成要素[A]は1〜85重量%の
範囲で配合されていることが望ましい。構成要素[A]
が1重量%未満であると、所望の導電性が得にくく、8
5重量%を越えると、成形時の流動性が低下し、薄肉成
形性に劣る。より望ましくは構成要素[A]が8〜40
重量%の範囲であり、更に望ましくは構成要素[A]が
15〜30重量%の範囲である組成がよい。
【0061】本発明における樹脂組成物は、更に優れた
導電性を発現するために更に構成要素[C]としてカー
ボン粉末および/またはグラファイト粉末を含有しても
よい。本発明で使用するカーボン粉末やグラファイト粉
末に特に制限はないが、例えばカーボンブラック、アモ
ルファスカーボン粉末、天然および/または人造黒鉛粉
末(鱗片状、膨張粒子状、微細粉末状)、ピッチマイク
ロビーズなどを使用することができるが、その中でも安
価で効果の高いカーボンブラックが好ましい。カーボン
ブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、アセ
チレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラッ
ク等を使用することができ、これらを2種類以上ブレン
ドしたカーボンブラックでもよい。
【0062】また、本発明における樹脂組成物は、高い
難燃性を得るために更に構成要素[D]として難燃剤を
含有していてもよい。ここで構成要素[D]とはハロゲ
ン化合物、アンチモン化合物の少なくとも1種、または
非ハロゲン系であるリン化合物、窒素化合物、シリコー
ン化合物、フッ素化合物、金属水酸化物の少なくとも1
種である。
【0063】かかるリン化合物とは、リンを含有する有
機または無機化合物であれば特に制限はなく、例えばポ
リリン酸アンモニウム、ポリホスファゼン、ホスフェー
ト、ホスホネート、ホスフィネート、ホスフィンオキシ
ド、赤リンなどが挙げられ、これらを単独で用いても併
用してもよい。中でもポリリン酸アンモニウム、芳香族
ホスフェート、赤リンが好ましい。リン化合物の中でも
リン原子の含有量が高いことにより少量の添加量で高い
難燃性を得られる赤リンがとりわけ好ましい。
【0064】本発明の樹脂組成物は、その目的に応じて
更に充填材(マイカ、タルク、カオリン、セリサイト、
ベントナイト、ゾノトライト、セピオライト、スメクタ
イト、モンモリロナイト、ワラステナイト、シリカ、炭
酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス
マイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、酸化チ
タン、酸化亜鉛、酸化アンチモン、ポリリン酸カルシウ
ム、グラファイト、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、
ホウ酸亜鉛、ホウ酸亜カルシウム、ホウ酸アルミニウム
ウィスカ、チタン酸カリウムウィスカ、高分子など)、
導電性付与材(金属系、金属酸化物系など)、難燃剤
(ハロゲン系(臭素化樹脂など)、アンチモン系(三酸
化アンチモン、五酸化アンチモンなど)、リン系、有機
酸金属塩系(有ホウ酸金属塩、カルボン酸金属塩、芳香
族スルホンイミド金属塩など)、無機系(硼酸亜鉛、亜
鉛、酸化亜鉛、ジルコニウム化合物など)、窒素系(シ
アヌル酸、イソシアヌル酸、メラミン、メラミンシアヌ
レート、メラミンホスフェート、窒素化グアニジンな
ど)、フッ素系(PTFEなど)、シリコーン系(ポリ
オルガノシロキサンなど)、金属水酸化物系(水酸化ア
ルミニウム、水酸化マグネシウムなど)など)、難燃助
剤(酸化カドミウム、酸化亜鉛、酸化第一銅、酸化第二
銅、酸化第一鉄、酸化第二鉄、酸化コバルト、酸化マン
ガン、酸化モリブデン、酸化スズおよび酸化チタンな
ど)、顔料、染料、滑剤、離型剤、相溶化剤、分散剤、
結晶核剤(マイカ、タルク、カオリンなど)、可塑剤
(リン酸エステルなど)、熱安定剤、酸化防止剤、着色
防止剤、紫外線吸収剤、流動性改質剤、発泡剤、抗菌
剤、制振剤、防臭剤、摺動性改質剤、帯電防止剤(ポリ
エーテルエステルアミドなど)等の任意の添加剤を、単
独でも、2種類以上ブレンドしたものでも使用すること
ができる。
【0065】本発明の樹脂組成物は、例えば射出成形
(射出圧縮成形、ガスアシスト射出成形、インサート成
形など)、ブロー成形、回転成形、押出成形、プレス成
形、トランスファー成形、フィラメントワインディング
成形などの成形方法によって成形されるが、最も望まし
い成形法は、生産性の高い射出成形により成形するのが
よい。かかる成形に用いられる成形材料の形態として
は、ペレット、スタンパブルシート、プリプレグ等を使
用することができるが、最も望ましい成形材料は、射出
成形に用いられるペレットである。前記ペレットは、一
般的には、熱可塑性樹脂とチョップド繊維、もしくは連
続繊維を押出機中で混練し、押出、ペレタイズすること
によって得られたものを指す。前述のペレットは、ペレ
ットの長手方向の長さより、ペレット中の繊維長さの方
が短くなるが、本発明でいうペレットには、長繊維ペレ
ットも含まれる。長繊維ペレットとは、特公昭63−3
7694号公報に示されるような、繊維がペレットの長
手方向に、ほぼ平行に配列し、ペレット中の繊維長さ
が、ペレット長さと同一もしくはそれ以上であるものを
指す。この場合、樹脂は繊維束中に含浸されていても、
被覆されていてもよい。特に樹脂が被覆された長繊維ペ
レットの場合、繊維束には被覆されたものと同じか、あ
るいは被覆された樹脂よりも低粘度(もしくは低分子
量)の樹脂が、予め含浸されていてもよい。
【0066】本発明の樹脂組成物からなる成形品が、優
れた導電性、力学的特性(特に強度、耐衝撃性)を兼ね
備えるためには、成形品中の繊維長さを長くすることが
有効であるが、そのためには、前述のペレットの中でも
長繊維ペレットを用いて成形するのが望ましい。
【0067】本発明における成形品は、優れた力学的特
性だけでなく、優れた導電性を付与できるため、体積固
有抵抗値が50Ω・cm以下である成形品として用いら
れるのが好ましい。成形品としては、その体積固有抵抗
値が50Ω・cmを越える場合、電磁波シールド材等の
用途には適応しにくく、用途が限定される場合がある。
本発明の樹脂組成物より得られる成形品は、その体積固
有抵抗値が、望ましくは50Ω・cm以下であるものが
よい。より好ましくは30Ω・cm以下、さらに好まし
くは10Ω・cm以下、とりわけ2Ω・cm以下が好ま
しい。
【0068】前記体積固有抵抗値は、樹脂組成物からな
る成形品から測定する。ここでいう体積固有抵抗値と
は、絶乾状態(水分率0.05%以下)の直方体形状
(長さ70mm×幅12.7mm×厚み2mm)を有し
ている試験片の導電ペーストを塗布された両端部(幅×
厚み面)の電気抵抗値から、測定機器、治具などの接触
抵抗値を減じた値について、前記試験片の端部面積を乗
じ、試験片長さで除すことにより算出する(単位はΩ・
cm)。なお、電気抵抗値の測定にはデジタルマルチメ
ーター(アドバンテスト社製R6581)を用いた。
【0069】また、本発明における成形品は、優れた力
学的特性だけでなく、優れた導電性を有しているため、
表面抵抗値が1×106Ω/□以下である成形品として
用いられるのが好ましい。成形品としては、その表面抵
抗値が1×106Ω/□を越える場合、帯電防止材等の
用途には適応しにくく、用途が限定される場合がある。
より好ましくは1×105Ω/□以下、さらに好ましく
は1×103Ω/□以下、とりわけ1×102Ω/□以下
が好ましい。
【0070】本発明でいう表面抵抗値の測定方法につい
て、図により説明する。まず、図1は、表面抵抗値を測
定する試験片(長さ80mm×幅80mm×厚み3m
m)の平面図である。この試験片は、炭素繊維の配向性
の影響を最小限にするため、フィルムゲートにて成形す
る。その試験片に、幅20mm×長さ20mmの範囲で
導電性ペーストを、図1に示す4箇所に塗布するが、こ
こで隣り合う塗布部分が、お互いに幅方向に20mm、
長さ方向に20mmの距離を有し、4箇所の塗布部分に
囲まれる導電性ペーストが塗布されていない幅20mm
×長さ20mmの範囲の中心点が成形品の中心点となる
ように塗布する。この導電性ペーストを塗布した試験片
について絶乾状態(水分率0.05%以下)にて測定に
供した。ここで、測定に際しては、導電性ペーストを塗
布した範囲(1)−(2)間、(3)−(4)間の電気
抵抗値の平均値を長さ方向の表面抵抗値とし、(1)−
(3)間、(2)−(4)間の電気抵抗値の平均値を幅
方向の表面抵抗値とし、長さ方向と幅方向との平均値を
その試験片における表面抵抗値とした。ここで、1は導
電性ペースト塗布範囲(1)を、2は導電性ペースト塗
布範囲(2)を、3は導電性ペースト塗布範囲(3)
を、4は導電性ペースト塗布範囲(4)をそれぞれ示
す。この測定を10個の試験片について行い、それらの
平均値にて評価した(単位はΩ/□)。なお、電気抵抗
値の測定には、デジタルマルチメーター(アドバンテス
ト社製R6581)を用いた。
【0071】更に、本発明における成形品は、優れた力
学的特性だけでなく、優れた導電性を付与できるため、
1GHzにおける電界シールド性が15dB以上である
成形品として用いられるのが好ましい。成形品として
は、その電界シールド性が15dB未満の場合、電磁波
シールド材等の用途には適応しにくく、用途が限定され
る場合がある。好ましくは1GHzにおいて17dB以
上、より好ましくは20dB以上、さらに好ましくは2
3dB以上、とりわけ29dB以上が好ましい。
【0072】本発明でいう電界シールド性の測定方法に
ついて、図により説明する。まず、図2は、電界シール
ド性を測定するハウジングの斜視図である。6は電界シ
ールド性測定試験片の切り出し位置(幅150mm×長
さ150mm×厚さ1mm)を示し、7は電界シールド
性を測定するハウジング(平面部:幅155mm×長さ
190mm×厚さ1mm、立ち壁:高さ12mm)を示
す。なお、このハウジングは直径1.5mmのピンゲー
トで成形し、このピンゲートのレイアウトは、図3に示
す8箇所で、ピンゲート(8)と(9)との間隔は10
5mm、ピンゲート(10)と(12)、(13)と
(15)との間隔は130mm、ピンゲート(11)と
(14)との間隔は95mm、ピンゲート(10)と
(13)、(12)と(15)との間隔は115mmで
ある。ここで、8はピンゲート(8)を、9はピンゲー
ト(9)を、10はピンゲート(10)を、11はピン
ゲート(11)を、12はピンゲート(12)を、13
はピンゲート(13)を、14はピンゲート(14)
を、15はピンゲート(15)をそれぞれ示し、16は
電界シールド性測定試験片を示す。この切り出した試験
片の板厚面の全周に導電性ペーストを塗布し、絶乾状態
(水分率0.05%以下)にて測定に供した。ここで、
周波数1GHzにおける値をその試験片における電界シ
ールド性とした。この測定を5個の試験片について行
い、それらの平均値にて評価した(単位はdB)。な
お、測定はアドバンテスト法にて行い、シールドボック
スはTR−17301A(アドバンテスト社製)、スペ
クトルアナライザーはR3361B(アドバンテスト社
製)を用い、周波数10MHz〜1GHzの範囲で測定
した。
【0073】前述の体積固有抵抗値、表面抵抗値、およ
び電界シールド性など導電性が必要な成形品において、
成形品の導電性と原料コスト低減とを同時に満足させる
ためには、樹脂組成物において、構成要素[A]の添加
量を低く抑えるのが好ましいが、導電性が低下する。そ
の場合でも、構成要素[C]により高導電化が達成され
ることから、特に優れた導電性が必要な場合には構成要
素[C]を配合することが好ましい。
【0074】本発明における成形品は、優れた導電性だ
けではなく、構成要素[C]、[D]を配合した場合に
は高い難燃性(特にドリップ防止性)を付与できるた
め、UL−94規格において、1.6mm(1/16イ
ンチ)厚での難燃性がV−0またはそれより良好なもの
が得られる成形品として用いられるのが好ましい。
【0075】ここで、V−0の難燃性とは、UL−94
規格(UnderwritersLaboratori
es Inc.で考案された米国燃焼試験法)におい
て、燃焼時間やその状態、延焼の有無、滴下(ドリッ
プ)の有無やその滴下物の燃焼性などにより規定されて
いるV−0の条件を満たした難燃性を指す。また、V−
0よりも良好な難燃性とは、前記V−0クラスにおける
規定値よりも更に少ない燃焼時間を示す難燃性や、試験
片の厚みがより薄い場合においてV−0の規定条件を満
たす難燃性を指す。
【0076】本発明における成形品の用途としては、優
れた導電性、力学的特性(特に剛性)が求められる電子
・電気機器用、OA機器用、精密機器用および自動車用
の部材、例えばハウジング、ケーシング、カバーなどが
好ましい例として挙げられ、特に軽量化と電磁波シール
ド性の要求が高い携帯用の電子・電気機器のハウジング
などに、とりわけ好ましく使用される。より具体的に
は、大型ディスプレイ、ノート型パソコン、携帯用電話
機、PHS、PDA(電子手帳などの携帯情報端末)、
ビデオカメラ、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、
携帯用ラジオカセット再生機、インバーターなどのハウ
ジングなどに好ましく使用される。
【0077】また、優れた導電性を有しているため、構
成要素[A]の少量添加で帯電/放電防止性を付与する
ことができ、それらの特性が必要とされる部材、例えば
ICトレー、シリコンウェーハー運搬用バスケットなど
にも有用である。
【0078】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に詳細に説
明するが、下記実施例は本発明を制限するものではな
い。
【0079】本発明の炭素繊維を切断したチョップド炭
素繊維に関する評価項目およびその方法を下記する。 (1)集束性 チョップド炭素繊維100gを500mlメスシリンダ
ーに入れた後、メスシリンダーに5回軽く振動を与え、
その時の体積にて投入重量を除した値にて代表させた
(単位はg/ml)。
【0080】本発明の炭素繊維を用いた樹脂組成物、成
形材料、および成形品に関する評価項目およびその方法
を下記する。 (2)体積固有抵抗値 まず、幅12.7mm×長さ70mm×厚さ2mmの試
験片を、長さ方向の辺の内で幅方向の辺の極近傍に位置
するファンゲートにて射出成形した。次いで、成形した
試験片の幅×厚さ面に導電性ペースト(藤倉化成(株)
製ドータイト)を塗布し、十分に導電性ペーストを乾燥
させてから、絶乾状態(水分率0.05%以下)で測定
に供した。測定に際しては、幅×厚さ面を電極に圧着
し、電極間の電気抵抗値をデジタルマルチメーター(ア
ドバンテスト社製R6581)にて測定した。前記電気
抵抗値から測定機器、治具等の接触抵抗を減じた値に、
導電性ペースト塗布面の面積を乗じ、次いで試験片長さ
で除したものを固有抵抗値とした(単位はΩ・cm)。
なお、本測定では10サンプル測定し、それらの平均値
を用いた。 (3)表面抵抗値 まず、幅80mm×長さ80mm×厚さ3mmの試験片
を、幅方向の全辺に渡るフィルムゲートにて射出成形し
た。次いで、図1に示す4箇所に幅20mm×長さ20
mmの範囲で導電性ペースト(藤倉化成(株)製ドータ
イト)を塗布し、十分に導電性ペーストを乾燥させてか
ら、絶乾状態(水分率0.05%以下)で測定に供し
た。測定に際しては、導電性ペーストを塗布した範囲
(1)−(2)間、(3)−(4)間の電気抵抗値の平
均値を長さ方向の表面抵抗値とし、(1)−(3)間、
(2)−(4)間の電気抵抗値の平均値を幅方向の表面
抵抗値とし、長さ方向と幅方向との平均値をその試験片
における表面抵抗値とした(単位はlogΩ/□)。な
お、電気抵抗値の測定には、デジタルマルチメーター
(アドバンテスト社製R6581)を用いた。なお、本
測定では10サンプル測定し、それらの平均値を用い
た。 (4)電界シールド性 まず、図2に示す幅155mm×長さ190mm×厚さ
1mmの平面部、高さ12mmの立ち壁を有するハウジ
ングを直径1.5mmの8点のピンゲートで成形し、そ
の中心から幅150mm×長さ150mm×厚さ1mm
の正方形の平板を切り出した。次いで、図3に示す切り
出した試験片の板厚面の全周に導電性ペースト(藤倉化
成(株)製ドータイト)を塗布し、十分に導電性ペース
トを乾燥させてから、絶乾状態(水分率0.05%以
下)で測定に供した(単位はdB)。測定はアドバンテ
スト法にて行い、シールドボックスはTR−17301
A(アドバンテスト社製)、スペクトルアナライザーは
R3361B(アドバンテスト社製)を用い、周波数1
0MHz〜1GHzの範囲で測定した。なお、本測定で
は5サンプル測定し、1GHzでの値の平均値を用い
た。 (5)難燃性 UL−94規格に基づいた難燃性試験にて評価した。用
いた試験片の板厚は1.6mm(1/16インチ)厚
で、試験片の長辺方向全長に渡るフィルムゲートにて射
出成形して試験片を得た。 (6)剛性 ASTM D 790(スパン間距離L/厚さD=1
6)に基づいた曲げ弾性率にて評価した(単位はGP
a)。用いた試験片の板厚は6.4mm(1/4イン
チ)厚で、水分率0.05%以下で試験に供した。な
お、本測定では5サンプル測定し、それらの平均値を用
いた。 (7)Izod衝撃強度 ASTM D 256に基づいたモールドノッチ有りI
zod衝撃強度にて評価した(単位はJ/m)。用いた
試験片の板厚は3.2mm(1/8インチ)厚で、水分
率0.05%以下で試験に供した。なお、本測定では1
0サンプル測定し、それらの平均値を用いた。 実施例1〜6 連続した炭素繊維束を、張力をかけながら所望の濃度に
調整した樹脂[a1]の水溶液または水系エマルジョン
中に浸漬し、樹脂[a1]の水溶液または水系エマルジ
ョンで炭素繊維束の各々フィラメントが濡れた状態の炭
素繊維束を6mmにカートリッジカッターで切断する。
次いで、切断された炭素繊維束を金網上に受け取り、そ
の金網を振動(振動数16サイクル/秒、振幅6mm)
させながら乾燥し、チョップド炭素繊維(構成要素
[A])を得る。得られたチョップド炭素繊維における
樹脂[a1]の付着量は、チョップド炭素繊維を100
重量%とすると、3重量%であった。
【0081】ここで、炭素繊維に付着させた樹脂[a
1](場合によっては樹脂[a2]や界面活性剤など)
の付着量は熱分解法にて測定した。具体的には、水分率
0.05%以下に乾燥している樹脂[a1]が付着して
いる炭素繊維の重量W1と、その炭素繊維を窒素雰囲気
下で450℃×15分間加熱、窒素雰囲気下で25℃×
15分間冷却、湿度50%雰囲気下で25℃×10分間
調湿した後の重量W2とを用いて、(W1−W2)×10
0/W1から算出した(単位は重量%)。
【0082】一方、水分率0.05%以下に乾燥した構
成要素[B]を2軸押出機(実施例1、2はバレル温度
250℃、実施例3〜6は300℃、スクリュー直径4
0mm、ダイス直径5mm×3、回転数100rpm)
のメインホッパーから投入し、溶融・混練された状態で
押し出しながら、水分率0.05%以下に乾燥したチョ
ップド炭素繊維をサイドホッパーから投入し、構成要素
[B]を炭素繊維束中に含浸させる。このようにして得
られた不連続の炭素繊維束を含有するガットを冷却後、
カッターで5mmに切断して、ペレットを得た。
【0083】各構成要素の種類、およびその配合量は表
1、2に示した通りである。得られたペレットを80℃
にて5時間以上真空中で乾燥させた後、実施例1、2は
バレル温度は270℃、実施例3〜6はバレル温度32
0℃、金型温度はすべて80℃にて射出成形し、(1)
〜(7)項記載の各試験に供した。評価結果を表1に示
す。 実施例7 連続した炭素繊維束を、張力をかけながら所望の濃度に
調整した界面活性剤の水溶液または水系エマルジョン中
に浸漬した後に乾燥し、炭素繊維束の各々フィラメント
に界面活性剤を付着させる。その炭素繊維束を更に所望
の濃度に調整した樹脂[a1]の水溶液または水系エマ
ルジョン中に浸漬し、樹脂[a1]の水溶液または水系
エマルジョンで炭素繊維束の各々フィラメントが濡れた
状態の炭素繊維束を6mmにカートリッジカッターで切
断する。次いで、実施例1と同じ方法でチョップド炭素
繊維(構成要素[A])を得る。得られたチョップド炭
素繊維における界面活性剤、樹脂[a1]の付着量は、
チョップド炭素繊維を100重量%とすると、それぞれ
0.2重量%、2.8重量%であった。
【0084】それ以外は、実施例1と同様な方法にてペ
レットを得て、評価した。なお、射出成形機はバレル温
度320℃、金型温度80℃とした。 実施例8 連続した炭素繊維束を、張力をかけながら所望の濃度に
調整した樹脂[a1]の水溶液または水系エマルジョン
中に浸漬した後に乾燥して、樹脂[a1]を炭素繊維束
の各々フィラメントに付着させる。更にその炭素繊維束
を、張力をかけながら樹脂[a2]の水溶液または水系
エマルジョン中に浸漬し、樹脂[a2]の水溶液または
水系エマルジョンで炭素繊維束の各々フィラメントが濡
れた状態の炭素繊維束を6mmにカートリッジカッター
で切断する。次いで、実施例1と同じ方法でチョップド
炭素繊維(構成要素[A])を得る。得られたチョップ
ド炭素繊維における樹脂[a1]、[a2]の付着量
は、チョップド炭素繊維を100重量%とすると、それ
ぞれ2.4重量%、1.6重量%であった。
【0085】それ以外は、実施例1と同様な方法にてペ
レットを得て、評価した。なお、射出成形機はバレル温
度320℃、金型温度80℃とした。 実施例9、10 実施例1と同様な方法にてチョップド炭素繊維を得た。
【0086】一方、水分率0.05%以下に十分乾燥し
た所望量の構成要素[C]、[D]、その他の成分と、
構成要素[B]とを2軸押出機(バレル温度260℃、
スクリュー直径40mm、ダイス直径3mm×5、回転
数200rpm)にて十分溶融・混練しながら押し出
し、構成要素[C]、[D]などが構成要素[B]中に
均一したマスターペレットを用意する。
【0087】更に、所望比率にてドライブレンドした前
記マスターペレットを、2軸押出機(バレル温度260
℃、スクリュー直径40mm、ダイス直径5mm×3、
回転数100rpm)のメインホッパーから投入し、十
分溶融・混練された状態で押し出しながら、水分率0.
05%以下に乾燥したチョップド炭素繊維をサイドホッ
パーから投入し、少なくとも構成要素[C]を含む各構
成要素を炭素繊維束中に含浸させる。このようにして得
られた不連続の炭素繊維束を含有するガットを冷却後、
カッターで5mmに切断して、ペレットを得た。
【0088】それ以外は、実施例1と同様な方法にてペ
レットを得て、評価した。なお、射出成形機はバレル温
度280℃、金型温度80℃とした。 実施例11 連続した炭素繊維束を張力をかけながら、所望の濃度に
調整した樹脂[a1]の水溶液または水系エマルジョン
中に浸漬した後に乾燥してボビンに巻き取り、樹脂[a
1]が炭素繊維束の各々フィラメントに付着した連続炭
素繊維(構成要素[A])を得る。得られた連続炭素繊
維束における樹脂[a1]の付着量は、炭素繊維を10
0重量%とすると、1重量%であった。
【0089】一方、構成要素[B]を、1軸押出機(バ
レル温度300℃、スクリュー直径30mm)にて、そ
の先端に取り付けたクロスヘッドダイ中に溶融・混練さ
れた状態で押し出しながら、水分率0.05%以下に乾
燥した前記炭素繊維束も連続して前記クロスヘッドダイ
中に供給し、構成要素[B]を、炭素繊維束中に十分含
浸させる。ここでクロスヘッドダイとは、そのダイ中で
炭素繊維束を開繊させながら溶融樹脂等をその中に含浸
させる装置のことをいう。このようにして得られた連続
した炭素繊維束を含有するストランドを冷却後、カッタ
ーで7mmに切断して、長繊維ペレットを得た。
【0090】それ以外は、実施例1と同様な方法にて評
価した。なお、射出成形機はバレル温度340℃、金型
温度80℃とした。 比較例1、4、5 まず、2種類の樹脂[a2]の水溶液または水系エマル
ジョンを混合して、混合水溶液または混合水系エマルジ
ョンを用意する。連続した炭素繊維束を、張力をかけな
がら所望の濃度に調整した前記混合水溶液または前記混
合水系エマルジョン中に浸漬し、2種類の樹脂[a2]
の水溶液または水系エマルジョンで炭素繊維束の各々フ
ィラメントが濡れた状態の炭素繊維束を6mmにカート
リッジカッターで切断する。次いで、実施例1と同じ方
法でチョップド炭素繊維(構成要素[A])を得る。得
られたチョップド炭素繊維におけるそれぞれの樹脂[a
2]の付着量は、チョップド炭素繊維を100重量%と
すると、それぞれ1.5重量%であった。
【0091】一方、構成要素[B]を2軸押出機(バレ
ル温度300℃、スクリュー直径40mm、ダイス直径
5mm×3、回転数100rpm)のメインホッパーか
ら投入し、十分溶融・混練された状態で押し出しなが
ら、水分率0.05%以下に乾燥したチョップド炭素繊
維をサイドホッパーから投入し、構成要素[B]を炭素
繊維束中に含浸させる。このようにして得られた不連続
の炭素繊維束を含有するガットを冷却後、カッターで5
mmに切断して、ペレットを得た。
【0092】各構成要素の種類、およびその配合量は表
3に示した通りである。得られたペレットを80℃にて
5時間以上真空中で乾燥させた後、バレル温度320
℃、金型温度80℃にて射出成形し、(1)〜(7)項
記載の各試験に供した。評価結果を表2に示す。 比較例2、3 連続した炭素繊維束を、張力をかけながら所望の濃度に
調整した樹脂[a2]の水溶液または水系エマルジョン
中に浸漬し、樹脂[a2]の水溶液または水系エマルジ
ョンで炭素繊維束の各々フィラメントが濡れた状態の炭
素繊維束を6mmにカートリッジカッターで切断する。
次いで、実施例1と同じ方法でチョップド炭素繊維(構
成要素[A])を得る。得られたチョップド炭素繊維に
おける樹脂[a2]の付着量は、チョップド炭素繊維を
100重量%とすると、3重量%であった。
【0093】それ以外は、比較例1と同様な方法にてペ
レットを得て、評価した。 比較例6 連続した炭素繊維束を張力をかけながら、所望の濃度に
調整した樹脂[a2]の水溶液または水系エマルジョン
中に浸漬した後に乾燥してボビンに巻き取り、樹脂[a
2]が炭素繊維束の各々フィラメントに付着した連続炭
素繊維(構成要素[A])を得る。得られた連続炭素繊
維束における樹脂[a1]の付着量は、炭素繊維を10
0重量%とすると、1重量%であった。
【0094】それ以外は、実施例11と同様な方法にて
ペレットを得て、評価した。
【0095】なお、表1〜3における各構成要素の表記
は下記の通りである。 炭素繊維 CF1:湿式紡糸PAN系、フィラメント数12千本、
単繊維直径5μm、引張破断伸度1.9%、Lc=1.
9nm CF2:湿式紡糸PAN系、フィラメント数70千本、
単繊維直径8μm、引張破断伸度1.3%、Lc=1.
9nm CF3:乾湿式紡糸PAN系、フィラメント数24千
本、単繊維直径7μm、引張破断伸度1.9%、Lc=
2.0nm 樹脂[a1] CP1:ポリ(アルキレンオキシド)グリコールの両末
端をジカルボン酸で変性したものを含み、グリシジル化
またはイソシアネート化ポリアルキレンオキシド誘導体
を含まない前駆体を重合した樹脂[膜表面抵抗3×10
9Ω/□] CP2:ピロールを含む前駆体を重合した樹脂[膜表面
抵抗4×106Ω/□] 界面活性剤 PEG:ポリエチレングリコール[数平均分子量2万] 樹脂[a2] Ep :油化シェルエポキシ(株)製Ep828とEp
1001との等量混合した強制乳化エポキシ樹脂[膜表
面抵抗1×1012Ω/□] PA :ポリ(アルキレンオキシド)グリコール誘導体
を前駆体として含まない自己乳化型ポリアミド樹脂[膜
表面抵抗1×1011Ω/□] PU :1,6−ヘキサメチレンカーボネートジオール
とヘキサメチレンジイソシアネートとを重合した自己乳
化型ポリウレタン樹脂[膜表面抵抗3×1010Ω/□] ES :ポリ(アルキレンオキシド)グリコール誘導体
を前駆体として含まない自己乳化型ポリエステル樹脂
[膜表面抵抗1×1013Ω/□以上] 構成要素[B] N6 :ナイロン6樹脂[東レ(株)製アミランCM1
001] PC :ポリカーボネート樹脂[GEプラスチックス社
製レキサン121] P/A:ポリカーボネートとアクリロニトリル・スチレ
ン・ブタジエン共重合樹脂とのポリマーブレンド樹脂
[バイエル社製バイブレンドFR2000] 構成要素[C] CB :カーボンブラック[ファーネスブラック] 構成要素[D] RP :赤リン[燐化学工業(株)製ノーバエクセル1
40]
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】表1、2の結果から以下のことが明らかで
ある。 1.樹脂[a1]の効果 樹脂[a1]が付着していない炭素繊維を用いた比較例
1〜3(比較例4、5)に比べて、本発明の樹脂[a
1]が付着している炭素繊維を用いた実施例1〜4、7
〜10(実施例5、6)は、体積固有抵抗、表面抵抗を
著しく低く、電界シールド性を著しく高くすることがで
き、大幅に導電性に優れた成形品を得ることができる。
また、剛性も、ほぼ同じレベルにすることができ、その
優位性は明らかである。 2.長繊維ペレットの効果 通常のペレットである実施例7に比べて、長繊維ペレッ
トを用いた実施例11は、体積固有抵抗、表面抵抗をよ
り低く、電界シールド性をより高くすることができ、導
電性に優れた成形品を得ることができる。
【0099】これは、実施例7よりも実施例11の方
が、成形品中の構成要素[A]の長さを長くできること
による。つまり、実施例11の成形品中の重量的平均繊
維長さは0.404mmであったのに対して、実施例7
の場合には、得られた成形品中の重量平均繊維長は0.
287mmであったことによる。なお、重量的平均繊維
長さの算出方法については、”複合材料入門”D.Hu
ll著、p.65、培風館に詳細な記載がある。
【0100】これらの比較から、導電性に及ぼす樹脂成
形品中の構成要素[A]の長さの重要性は明らかであ
り、本発明で用いられる樹脂組成物または成形材料とし
ては、繊維長さをできるだけ長くしたペレット、とりわ
け長繊維ペレットの形態をとり、成形品中の繊維長さを
長くすることがより好ましい。
【0101】
【発明の効果】本発明によれば、優れた導電性と力学的
特性とを兼ね備える炭素繊維を安定して提供することが
でき、もって、低比重で、且つ優れた導電性、力学的特
性(強度、剛性、耐衝撃性等)、薄肉成形性(成形時の
流動性等)、外観品位、難燃性を兼ね備える樹脂組成
物、成形材料および成形品を簡単、容易に提供すること
ができる。このような成形品は、特に電気・電子機器、
OA機器、精密機器、自動車用のハウジング、ケーシン
グ、カバー、トレーなどをはじめ、前記特性を必要とす
る幅広い産業分野に有効に利用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例において、表面抵抗値を測定す
る試験片の平面図である。
【図2】本発明の実施例において、電界シールド性を測
定するハウジングの斜視図である。
【図3】本発明の実施例において、電界シールド性を測
定する試験片の平面図である。
【符号の説明】
1:導電性ペースト塗布範囲(1) 2:導電性ペースト塗布範囲(2) 3:導電性ペースト塗布範囲(3) 4:導電性ペースト塗布範囲(4) 5:表面抵抗値を測定する試験片 6:電界シールド性測定試験片の切り出す位置 7:電界シールド性を測定するハウジング 8:ピンゲート(8) 9:ピンゲート(9) 10:ピンゲート(10) 11:ピンゲート(11) 12:ピンゲート(12) 13:ピンゲート(13) 14:ピンゲート(14) 15:ピンゲート(15) 16:電界シールド性測定試験片
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 101/00 C08L 101/00 D06M 15/61 D06M 15/61 Fターム(参考) 4F071 AA14 AA22 AA41 AA43 AA50 AA51 AA54 AA62 AB03 AD01 AD06 AE07 AE15 AE17 AF12 AF37 AF47 AH05 AH07 AH12 AH17 BB05 BC07 4F072 AA02 AA05 AA08 AA09 AB10 AB14 AC08 AC12 AD04 AD05 AD13 AD37 AD41 AD42 AD44 AD46 AE00 AF01 AL02 AL11 AL16 4J002 BB021 BB111 BB171 BC021 BD031 BD121 BG061 BN061 BN141 CC031 CF051 CF161 CF181 CG001 CH001 CJ001 CL001 CM041 CN011 CN031 DA016 DA017 DA027 DA037 FA017 FA046 FA087 FB266 FD010 FD016 FD017 FD116 FD130 GC00 GG01 GM00 GN00 GQ00 GQ02 4L033 AA09 AB01 AC11 AC12 AC15 BA89 CA48

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも膜表面抵抗値が9×109Ω
    /□以下である樹脂[a1]が付着していることを特徴
    とする炭素繊維。
  2. 【請求項2】 該樹脂[a1]の膜表面抵抗値が1×1
    2Ω/□以上である請求項1に記載の炭素繊維。
  3. 【請求項3】 該樹脂[a1]が、炭素繊維に対して
    0.01〜20重量%の範囲で付着している請求項1ま
    たは2に記載の炭素繊維。
  4. 【請求項4】 該樹脂[a1]が、少なくともピロー
    ル、チオフェン、フラン、フェニレン、アニリンおよび
    それらの誘導体から選ばれた少なくとも1種の前駆体を
    重合したものである請求項1〜3のいずれかに記載の炭
    素繊維。
  5. 【請求項5】 該樹脂[a1]が、少なくともポリ(ア
    ルキレンオキシド)グリコールおよびその誘導体から選
    ばれる少なくとも1種を含む前駆体を重合したものであ
    る請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維。
  6. 【請求項6】 該樹脂[a1]の他に、ノニオン系界面
    活性剤が炭素繊維に付着している請求項1〜5のいずれ
    かに記載の炭素繊維。
  7. 【請求項7】 該樹脂[a1]の他に、エポキシ系、ウ
    レタン系、エーテル系、エステル系およびアミド系樹脂
    から選ばれた少なくとも1種の樹脂[a2]が付着して
    いる請求項1〜6のいずれかに記載の炭素繊維。
  8. 【請求項8】 該樹脂[a1]および/または該樹脂
    [a2]に、カーボン粉末および/またはグラファイト
    粉末が混合されている請求項1〜7のいずれかに記載の
    炭素繊維。
  9. 【請求項9】 該炭素繊維が、1〜26mmの範囲で切
    断されてなるチョップド炭素繊維である請求項1〜8の
    いずれかに記載の炭素繊維。
  10. 【請求項10】 少なくとも次の構成要素[A]、
    [B]からなることを特徴とする樹脂組成物。 [A]:請求項1〜9のいずれかに記載の炭素繊維 [B]:熱可塑性樹脂
  11. 【請求項11】 該樹脂組成物100重量%中に、構成
    要素[A]が、8〜40重量%の範囲で含有されてなる
    請求項10に記載の樹脂組成物。
  12. 【請求項12】 該構成要素[B]が、スチレン系樹
    脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹
    脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレ
    ンスルフィド樹脂、ポリオレフィン樹脂、液晶性樹脂お
    よびフェノール系樹脂から選ばれた少なくとも1種の熱
    可塑性樹脂である請求項10または11に記載の樹脂組
    成物。
  13. 【請求項13】 該樹脂組成物が、構成要素[C]とし
    て、カーボン粉末および/またはグラファイト粉末を含
    有する請求項10〜12のいずれかに記載の樹脂組成
    物。
  14. 【請求項14】 請求項10〜13のいずれかに記載の
    樹脂組成物が、ペレットの形態を有することを特徴とす
    る成形材料。
  15. 【請求項15】 請求項10〜13のいずれかに記載の
    樹脂組成物または請求項14に記載の成形材料のいずれ
    かで構成されていることを特徴とする成形品。
  16. 【請求項16】 該成形品が、射出成形されたものであ
    る請求項15に記載の成形品。
  17. 【請求項17】 該成形品が、ハウジング、ケーシン
    グ、カバー、トレーのいずれかに用いられるものである
    請求項15または16に記載の成形品。
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