JP4810734B2 - 炭素繊維強化樹脂組成物、成形材料およびその成形品 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた導電性、成形性(成形時の流動性、成形の容易さなど)を兼ね備えることができる炭素繊維強化樹脂組成物、成形材料およびその成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、樹脂に導電性材料(例えば炭素繊維など)を配合することによって、所望の導電性を有する樹脂組成物の提案が行われている。これに対して近年、更に高い導電性を得るために、一般的な導電性材料の配合の増量、特定の導電性材料の配合、複数の導電性材料の併用などの各種試みが行われてきた。
【0003】
前述の導電性材料の配合の増量による高導電化においては、組成物の高粘度化、衝撃強度などの力学的特性の大幅な低下、更には得られた成形品の外観品位の低下といった問題点が生じる場合がほとんどであった。
【0004】
前述の特定の導電性材料の配合としては、気相成長炭素繊維やナノチューブなどを樹脂に配合する技術が例として挙げられ、例えば特開平6−49362号公報、特開平7−102112号公報、特開2000−248186号公報などで提案されている。しかし、これら特定の導電性材料は非常に高価であり、それら単独で高い導電性を得るためには、ある程度の配合量が必要なため、結果的に樹脂組成物の価格が高くなるといった問題点があった。
【0005】
一方、前述の複数の導電性材料の併用による高導電化としては、導電性繊維とカーボンブラックとを併用する技術が例として挙げられ、例えば特開昭59−217395号公報、特公平3−44583号公報、特開平6−240049号公報、特公平8−19256号公報、特開平9−87417号公報などで提案されている。しかし、これらの提案の何れも、一般的な樹脂においては、ある程度の導電性の向上はみられるものの、成形性(例えば成形時の流動性)、力学的特性の低下などの問題が生じるため、高い導電性と成形性とを同時に満足させるものではなかった。
【0006】
更に、導電性材料の併用による高導電化としては、炭素繊維と特定の細径炭素繊維(気相成長炭素繊維など)とを併用する技術も例として挙げられ、例えば特開平10−121334号公報、特開2000−44815号公報などで提案されている。しかし、本発明者らが、炭素繊維と特定の細径炭素繊維とを、ある比率で配合した樹脂組成物について検討した処、炭素繊維単独の場合に比べて導電性が向上しない、場合によっては導電性が低下することが判明した。つまり、高い導電性を得るためには、両者の配合比率には厳密な規定が必要であるが、これらの提案には、特定の配合比率による相乗効果についての定量的な記載がない、またはそれらの記載にある配合比率では優れた相乗効果が得られないことが明らかになった。
【0007】
つまり、以上の提案によると、電磁波シールド性を高く発現するレベルの高導電性を発現し、かつ成形時の流動性や成形の容易さなどの成形性を満足できる炭素繊維強化樹脂組成物、成形材料、成形品を得ることができないでいた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、優れた導電性、成形性(成形時の流動性、成形の容易さなど)を兼ね備えることができる炭素繊維強化樹脂組成物、成形材料およびその成形品を提供せんとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の炭素繊維強化樹脂組成物は、少なくとも次の構成要素[A]、[B]および[C]からなることを特徴とする。
【0010】
構成要素[A]:炭素繊維強化樹脂組成物100重量%に対して、0.01〜0.7重量%の範囲内であって、平均単繊維直径が1〜45nmの範囲内である気相成長炭素繊維および/またはナノチューブ
構成要素[B]:炭素繊維強化樹脂組成物100重量%に対して、6〜40重量%の範囲内であって、平均単繊維直径が1〜20μmの範囲内である炭素繊維
構成要素[C]:樹脂
また、本発明の成形材料、成形品は、かかる炭素繊維強化樹脂組成物を加工、成形して得られることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記課題、即ち、優れた導電性、成形性を兼ね備えることができる炭素繊維強化樹脂組成物について鋭意検討し、特定の構成要素を用いて炭素繊維強化樹脂組成物をつくってみたところ、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。すなわち、本発明の炭素繊維強化樹脂組成物は、少なくとも次の構成要素[A]、[B]および[C]からなる。
【0012】
構成要素[A]:炭素繊維強化樹脂組成物100重量%に対して、0.01〜0.7重量%の範囲内であって、平均単繊維直径が1〜45nmの範囲内である気相成長炭素繊維および/またはナノチューブ
構成要素[B]:炭素繊維強化樹脂組成物100重量%に対して、6〜40重量%の範囲内であって、平均単繊維直径が1〜20μmの範囲内である炭素繊維
構成要素[C]:樹脂
かかる構成要素[A]とは、気相で結晶を成長させる製造方法(気相成長法)により得られる一般的には不連続な炭素繊維や黒鉛繊維、および/または、気相成長法、アーク放電法、レーザー蒸発法などにより得られる単層ナノチューブや多層ナノチューブを指し、これらは、針状、コイル状、チューブ状の形態など任意の形態をとることができる。また、これらを2種類以上ブレンドしたものでもよい。かかる構成要素[A]の製造方法は特に制限はないが、例えば特公表平2−503334号公報、特開平11−256430号公報などに開示されている方法などが挙げられる。
【0013】
これら構成要素[A]は、平均単繊維直径が1〜45nmの範囲内である。より好ましくは5〜35nm、更に好ましくは7〜30nm、とりわけ9〜25nmの範囲内であるのが好ましい。1nm未満では、繊維として製造することが困難になる場合がある。一方、45nmを超えると、特に所望の導電性を得ることができない場合がある。
【0014】
また、平均アスペクト比は1〜10000の範囲内、好ましくは20〜5000の範囲内であると、その導電性付与効果が高いため好ましい。
【0015】
これら構成要素[A]は、炭素繊維強化樹脂組成物100重量%に対して、0.01〜0.7重量%の範囲内である。より好ましくは0.05〜0.6重量%、更に好ましくは0.1〜0.45重量%、とりわけ0.15〜0.35重量%の範囲内であるのが好ましい。0.01重量%未満では、所望の導電性を得られない場合がある。一方、0.7重量%を超えると、成形時の流動性に極端に劣り、本発明の効果である成形性が悪くなるだけでなく、成形時に後述の構成要素[B]を切断・折損する作用が著しく強く発現し、構成要素[A]を含まずに構成要素[B]単独で配合したものより導電性に劣る場合がある。
【0016】
かかる構成要素[B]とは、例えば、PAN系、ピッチ系からつくられた炭素繊維や黒鉛繊維、それらをニッケル、イッテルビウム、金、銀、銅などの金属を、メッキ法(電解、無電解)、CVD法、PVD法、イオンプレーティング法、蒸着法などにより少なくとも1層以上被覆して構成された金属被覆炭素繊維や、これらを2種類以上ブレンドして構成されたものを指す。2種類以上併用する場合には、炭素繊維とガラス繊維やアラミド繊維などの炭素繊維以外の繊維とを併用することもできる。かかる炭素繊維としては、強度と弾性率などの力学的特性と価格とのバランスに優れるPAN系炭素繊維が好ましい。
【0017】
本発明で用いる炭素繊維としては、広角X線回折法により測定された結晶サイズ(以下、Lcと記す)が、1〜6nmの範囲内であることが好ましい。1nm未満である場合、炭素繊維の炭化または黒鉛化が十分ではなく、炭素繊維自体の導電性が低くなる。これに起因して、得られた成形品の導電性が劣る場合がある。一方、6nmを越える場合、炭素繊維の炭化もしくは黒鉛化は十分であり、炭素繊維自体の導電性には優れるものの、脆く繊維折損しやすくなる。これに起因して、成形品中の繊維長さが短くなり、優れた導電性が期待できないため好ましくない。より好ましくは1.3〜4.5nm、さらに好ましくは1.6〜3.5nmの範囲内である。とりわけ好ましくは1.8〜2.8nmの範囲内であるものがよい。なお、広角X線回折法によるLcの測定は、日本学術振興会第117委員会、炭素、36、p25(1963)に記載された方法にて行った。
【0018】
これら構成要素[B]は、平均単繊維直径が1〜20μmの範囲内である。より好ましくは4〜15μm、更に好ましくは5〜11μm、とりわけ6〜8μmの範囲内であるのが好ましい。1μm未満では、所望の力学的特性を得られない場合がある。一方、20μmを超えると、特に所望の導電性を得ることができない場合がある。
【0019】
これら構成要素[B]は、炭素繊維強化樹脂組成物100重量%に対して、6〜40重量%の範囲内である。より好ましくは8〜37重量%、更に好ましくは12〜35重量%、とりわけ17〜32重量%の範囲内であるのが好ましい。6重量%未満では、所望の導電性や力学的特性を得られない場合がある。一方、40重量%を超えると、成形時の流動性に劣ることにより、成形性が悪くなるだけでなく、成形品の外観品位にも劣る場合がある。
【0020】
かかる構成要素[C]とは、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂のどちらも使用することができるが、熱可塑性樹脂である場合、得られた成形品の衝撃強度に優れ、かつ成形効率の高いプレス成形や射出成形が可能であるため好ましい。
【0021】
かかる熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ、フェノール(レゾール型)、ユリア・メラミン、ポリイミド等や、これらの共重合体、変性体、および、2種類以上ブレンドした樹脂などを使用することができる。また、更に耐衝撃性向上のために、上記熱硬化性樹脂にエラストマーもしくはゴム成分を添加した樹脂であってもよい。
【0022】
かかる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリエステル等のポリエステルや、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン等のポリオレフィンや、スチレン系樹脂の他や、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチレンメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン、ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルニトリル(PEN)、フェノール(ノボラック型など)フェノキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、更にポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、ポリイソプレン系、フッ素系等の熱可塑エラストマー等や、これらの共重合体、変性体、および2種類以上ブレンドした樹脂などであってもよい。また、更に耐衝撃性向上のために、上記熱可塑性樹脂にその他のエラストマーもしくはゴム成分を添加した樹脂であってもよい。
【0023】
本発明における樹脂としては、スチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリオレフィン樹脂、液晶性樹脂およびフェノール系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂がより好ましい。より好ましくは、スチレン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂およびフェノール系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂である。
【0024】
かかるスチレン系樹脂とは、スチレンおよび/またはその誘導体(総称して芳香族ビニル系単量体と称する場合がある)から生成した単位を含有する。
【0025】
かかるスチレン系樹脂としては、スチレン系(共)重合体、ゴム強化スチレン(共)重合体が挙げられる。スチレン系(共)重合体としては芳香族ビニル系単量体の1種または2種以上を重合した重合体、芳香族ビニル系単量体の1種または2種以上とそれと共重合可能な単量体の1種または2種以上を共重合した共重合体が挙げられる。また、ゴム強化スチレン(共)重合体としては、スチレン単量体を含有する(共)重合体がゴム質重合体にグラフトした構造をとるものと、スチレン単量体を含有する(共)重合体がゴム質重合体に非グラフトした構造をとるものとが挙げられる。
【0026】
本発明において好ましいスチレン系樹脂としては、PS(ポリスチレン)等のスチレン系重合体、HIPS(高衝撃ポリスチレン)等のゴム強化スチレン系重合体、AS(アクリロニトリル/スチレン共重合体)等のスチレン系共重合体、AES(アクリロニトリル/エチレン・プロピレン・非共役ジエンゴム/スチレン共重合体)、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体)、MBS(メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレン共重合体)、ASA(アクリロニトリル/スチレン/アクリルゴム共重合体)などのゴム強化(共)重合体等が挙げられ、なかでも特にPS(ポリスチレン)等のスチレン系重合体、AS(アクリロニトリル/スチレン共重合体)等のスチレン系共重合体、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体)、ASA(アクリロニトリル/スチレン/アクリルゴム共重合体)が好ましい。
【0027】
かかるポリアミド樹脂としては、150℃以上の融点を有する上に耐熱性や強度に優れたナイロン樹脂であり、具体的な例としてはナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン9T、ナイロン66/6、ナイロン66/6T、ナイロン66/6I、ナイロン6/6T、ナイロン6/6T、ナイロン12/6T、ナイロン6T/6I、ナイロン66/6T/6I、ナイロン66/6/6T、ナイロン66/6/6I、ナイロン6T/M5T、ナイロンXD6、ポリメタキシリレンアジパミド、およびこれらの共重合体ないし混合物などを好ましく使用することができる。また、特性(特に耐衝撃性)改良の必要性に応じて、例えば、無水マレイン酸変性オレフィン系重合体、ABS、ASAなどのオレフィン系共重合体、ポリエステルポリエーテルエラストマー、ポリエステルポリエステルエラストマーなどのエラストマーから選ばれる1種または2種以上の混合物を添加して、所望の特性をさらに付与したものも使用することもできる。
【0028】
かかるポリエステル樹脂としては、実質的に、ジカルボン酸とグリコールとの重縮合物、環状ラクトンの開環重合物、ヒドロキシカルボン酸の重縮合物、二塩基酸とグリコールとの重縮合物などが挙げられ、具体的には、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂およびポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4、4'−ジカルボキシレート樹脂などのほか、ポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4、4'−ジカルボキシレート樹脂などのほか、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレート樹脂およびポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート/イソフタレート樹脂などの共重合体や混合物を挙げることができる。
【0029】
ここで、高い難燃性または高い成形性を成形品に付与する場合には、上述の樹脂等にフェノール系樹脂を配合するのが好ましい。かかるフェノール系樹脂とは、少なくともフェノール性水酸基を有する成分を単独もしくは共重合されたものを指し、例えば各種フェノール樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラック、オクチルフェノール、フェニルフェノール、ナフトールノボラック、フェノールアラルキル、ナフトールアラルキル、フェノールレゾールなど)や変性フェノール樹脂(アルキルベンゼン変性(特にキシレン変性)、カシュー変性、テルペン変性など)などが挙げられる。好ましいフェノール系重合体としては、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂などが挙げられる。
【0030】
本発明における炭素繊維樹脂組成物は、更に高い導電性を効率よく且つ安価に得るために、さらに構成要素[D]としてカーボン粉末を含有していてもよい。ここでカーボン粉末とは、例えばカーボンブラック、アモルファスカーボン粉末、天然黒鉛粉末、人造黒鉛粉末、膨張黒鉛粉末、ピッチマイクロビーズなどが例として挙げられるが、その中でも安価で効果の高いカーボンブラックが好ましい。かかるカーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック等を使用することができ、これらを2種類以上ブレンドしたカーボンブラックでもよい。供給・価格、導電性付与効果など総合的な面から、低価格で且つ導電性付与効果の高いであるファーネスブラックが好ましい。
【0031】
本発明における炭素繊維樹脂組成物は、高い難燃性を得るために、さらに構成要素[E]として難燃剤を含有していてもよい。ここで難燃剤とは、ハロゲン化合物、アンチモン化合物の少なくとも1種、または非ハロゲン系であるリン化合物、窒素化合物、シリコーン化合物、フッ素化合物、金属水酸化物の少なくとも1種である。
【0032】
かかるリン化合物とは、リンを含有する有機または無機化合物であれば特に制限はなく、例えばポリリン酸アンモニウム、ポリホスファゼン、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、ホスフィンオキシド、赤リンなどが挙げられ、これらを単独で用いても併用してもよい。中でもポリリン酸アンモニウム、芳香族ホスフェート、赤リンが好ましく、とりわけ、リン原子の含有量が高いことにより少量の添加量で高い難燃性を得られる赤リンが好ましい。
【0033】
本発明の炭素繊維強化樹脂組成物は、その目的に応じて更に充填材(マイカ、タルク、カオリン、セリサイト、ベントナイト、ゾノトライト、セピオライト、スメクタイト、モンモリロナイト、ワラステナイト、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アンチモン、ポリリン酸カルシウム、グラファイト、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸亜カルシウム、ホウ酸アルミニウムウィスカ、チタン酸カリウムウィスカ、高分子など)、導電性付与材(金属系、金属酸化物系など)、難燃剤(ハロゲン系(臭素化樹脂など)、アンチモン系(三酸化アンチモン、五酸化アンチモンなど)、リン系、有機酸金属塩系(有ホウ酸金属塩、カルボン酸金属塩、芳香族スルホンイミド金属塩など)、無機系(硼酸亜鉛、亜鉛、酸化亜鉛、ジルコニウム化合物など)、窒素系(シアヌル酸、イソシアヌル酸、メラミン、メラミンシアヌレート、メラミンホスフェート、窒素化グアニジンなど)、フッ素系(PTFEなど)、シリコーン系(ポリオルガノシロキサンなど)、金属水酸化物系(水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなど)など)、難燃助剤(酸化カドミウム、酸化亜鉛、酸化第一銅、酸化第二銅、酸化第一鉄、酸化第二鉄、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化スズおよび酸化チタンなど)、顔料、染料、滑剤、離型剤、相溶化剤、分散剤、結晶核剤(マイカ、タルク、カオリンなど)、可塑剤(リン酸エステルなど)、熱安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、流動性改質剤、発泡剤、抗菌剤、制振剤、防臭剤、摺動性改質剤、帯電防止剤(ポリエーテルエステルアミドなど)等の任意の添加剤を、単独でも、2種類以上ブレンドしたものでも使用することができる。
【0034】
また、かかる充填材などは、膨潤化剤により膨潤されていてもよいし、有機化剤により有機化されていてもよい。膨潤化剤、有機化剤としては、イオン交換などにより充填材などを膨潤化または有機化し得るものなら特に制限はなく、具体的にはε−カプロラクタム、12−アミノドデカン酸、12−アミノラウリン酸、アルキルアンモニウム塩(ジメチルジアルキルアンモニウムなど)などが挙げられる。特にポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂などに膨潤化または有機化された充填材(好ましくはモンモリロナイト、マイカ、サポナイト、ヘクトライト、セピオライト、クレー)が配合されていると、充填材のナノオーダーでの分散が可能となり、より少ない配合量で所望の特性が得られるため好ましい。
【0035】
本発明の炭素繊維強化樹脂組成物または成形材料は、例えば射出成形(射出圧縮成形、ガスアシスト射出成形、インサート成形など)、ブロー成形、回転成形、押出成形、プレス成形、トランスファー成形(RTM成形、RIM成形、SCRIMP成形)、フィラメントワインディング成形、オートクレーブ成形、ハンドレイアップ成形などの成形方法によって成形されて成形品を提供することができるが、最も望ましい成形法は、生産性の高い射出成形により成形するのがよい。
【0036】
かかる成形に用いられる成形材料の形態としては、ペレット、スタンパブルシート、プリプレグ、SMC、BMC等を使用することができるが、最も望ましい成形材料は、射出成形に用いられるペレットである。前記ペレットは、一般的には、所望量の樹脂とフィラーや繊維のチョップド糸または連続繊維とを押出機中で混練し、押出、ペレタイズすることによって得られたものを指す。特に炭素繊維を用いた場合、前述のペレットは、ペレットの長手方向の長さより、ペレット中の繊維長さの方が短くなるが、本発明でいうペレットには、長繊維ペレットも含まれる。
【0037】
かかる長繊維ペレットとは、特公昭63−37694号公報に示されるような、繊維がペレットの長手方向に、ほぼ平行に配列し、ペレット中の繊維長さが、ペレット長さと同一またはそれ以上であるものを指す。この場合、樹脂は繊維束中に含浸されていても、繊維束に被覆されていてもよい。特に樹脂が被覆された長繊維ペレットの場合、繊維束には被覆されたものと同じか、あるいは被覆された樹脂よりも低粘度(または低分子量)の樹脂が、予め含浸されていてもよい。
【0038】
本発明の成形材料からなる成形品が、優れた導電性、力学的特性を兼ね備えるためには、成形品中の炭素繊維のアスペクト比を長くすることが有効であるが、そのためには、前述のペレットの中でも長繊維ペレットを用いて成形するのが望ましい。
【0039】
本発明における成形品は、優れた導電性を付与できるため、体積固有抵抗値が50Ω・cm以下である成形品として用いられるのが好ましい。成形品としては、その体積固有抵抗値が50Ω・cmを越える場合、電磁波シールド材等の用途には適応しにくく、用途が限定される場合がある。本発明の成形材料より得られる成形品は、その体積固有抵抗値が、望ましくは30Ω・cm以下であるものがよい。好ましくは10Ω・cm以下、更に好ましくは1Ω・cm以下、とりわけ0.4Ω・cm以下が好ましい。
【0040】
本発明における成形品は、優れた導電性だけではなく、難燃剤を配合した場合には高い難燃性(特にドリップ防止性)を付与できるため、UL−94規格において、1.6mm(1/16インチ)厚での難燃性がV−0またはそれより良好なものが得られる成形品として用いられるのが好ましい。
【0041】
ここで、V−0の難燃性とは、UL−94規格(Underwriters Laboratories Inc.で考案された米国燃焼試験法)において、燃焼時間やその状態、延焼の有無、滴下(ドリップ)の有無やその滴下物の燃焼性などにより規定されているV−0の条件を満たした難燃性を指す。また、V−0よりも良好な難燃性とは、前記V−0クラスにおける規定値よりも更に少ない燃焼時間を示す難燃性や、試験片の厚みがより薄い場合においてV−0の規定条件を満たす難燃性を指す。
【0042】
本発明における成形品の用途としては、優れた導電性、力学的特性(特に剛性)が求められる電子・電気機器用、OA機器用、精密機器用、自動車用の部材、例えばハウジング、ケーシング、カバー、トレーなどが好ましい例として挙げられ、特に優れた導電性(電磁波シールド性)と高い剛性(軽量化)との要求が高い携帯用の電子・電気機器のハウジングなどがとりわけ好ましい例として挙げられる。より具体的には、大型ディスプレイ、ノート型パソコン、携帯用電話機、PHS、PDA(電子手帳などの携帯情報端末)、ビデオカメラ、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、携帯用ラジオカセット再生機、インバーターなどのハウジング、ケーシングなどである。
【0043】
また、優れた導電性を有しているため、炭素繊維の少量添加で帯電/放電防止性を付与することができ、それらの特性が必要とされる部材、例えばICトレー、シリコンウェーハー運搬用バスケットなどへの適応にも有用である。
【0044】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明する。
【0045】
本発明の構成要素を用いた炭素繊維強化樹脂組成物または成形材料からなる成形品に関する評価項目およびその方法を下記する。
(1)体積固有抵抗値
まず、幅12.7mm×長さ65mm×厚さ2mmの試験片を、長さ方向の辺の内で幅方向の辺の極近傍に位置するファンゲートにて射出成形した。次いで、成形した試験片の幅×厚さ面に導電性ペースト(藤倉化成(株)製ドータイト)を塗布し、十分に導電性ペーストを乾燥させてから、絶乾状態(水分率0.05%以下)で測定に供した。測定に際しては、幅×厚さ面を電極に圧着し、電極間の電気抵抗値をデジタルマルチメーター(アドバンテスト社製R6581)にて測定した。前記電気抵抗値から測定機器、治具等の接触抵抗を減じた値に、導電性ペースト塗布面の面積を乗じ、次いで、その値を試験片長さで除したものを固有抵抗値とした(単位はΩ・cm)。なお、本測定では10サンプル測定し、それらの平均値を用いた。
(2)剛性
ASTM D 790(スパン間距離L/厚さD=16)に基づいた曲げ弾性率にて評価した(単位はGPa)。用いた試験片の板厚は6.4mm(1/4インチ)厚で、水分率0.05%以下で試験に供した。なお、本測定では5サンプル測定し、それらの平均値を用いた。
(3)Izod衝撃強度
ASTM D 256に基づいたモールドノッチ有りIzod衝撃強度にて評価した(単位はJ/m)。用いた試験片の板厚は3.2mm(1/8インチ)厚で、水分率0.05%以下で試験に供した。なお、本測定では10サンプル測定し、それらの平均値を用いた。
(4)難燃性
UL−94規格に基づいた難燃性試験にて評価した。用いた試験片の板厚は0.8mm(1/32インチ)厚で、試験片の長辺方向全長に渡るフィルムゲートにて射出成形して試験片を得た。
【0046】
最後に、上記評価項目の導電性、力学的特性、成形性のバランスを、○○:特に優れる、○:優れる、△:優れない、×:著しく劣る、の4段階にて総合的に評価した。
実施例1、比較例1、2
水分率0.05%以下に十分乾燥した所望量の構成要素[A]、[C]を2軸押出機のメインホッパーから投入し、十分溶融・混練された状態で押し出しながら、水分率0.05%以下に十分乾燥した所望量の6mm長にチョップ化された構成要素[B]をサイドホッパーから投入し、樹脂を炭素繊維中に含浸させる。このようにして得られた不連続の炭素繊維を含有するガットを冷却後、カッターで5mmに切断して、ペレットを得た。
【0047】
各構成要素、その他の成分の種類およびその配合率は表1に示した通りである。得られたペレットを100℃にて5時間以上真空中で乾燥させた後、バレル温度320℃、金型温度80℃にて射出成形して(1)〜(3)項記載の各試験に供した。評価結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
実施例2〜4、比較例3〜8
水分率0.05%以下に十分乾燥した所望量の構成要素[A]、[C]、必要に応じて構成要素[D]、[E]、その他の成分とを2軸押出機にて十分溶融・混練しながら押し出し、構成要素[A]、[D]、[E]、その他の成分などが、構成要素[C]中に均一したマスターペレットを用意する。
【0050】
前記マスターペレットを1軸押出機にて、その先端に取り付けたクロスヘッドダイ中に十分溶融・混練された状態で押し出しながら、水分率0.05%以下に十分乾燥した連続繊維状の構成要素[B]束も連続して前記クロスヘッドダイ中に供給し、構成要素[A]、[C]をはじめとする各構成要素を、構成要素[B]束中に十分含浸させる。ここでクロスヘッドダイとは、そのダイ中で連続した繊維束を開繊させながら溶融樹脂等をその中に含浸させる装置のことをいう。このようにして得られた連続繊維状の構成要素[B]束を含有するストランドを冷却後、カッターで7mmに切断して、長繊維ペレットを得た。
【0051】
各構成要素、その他の成分の種類およびその配合率は表2に示した通りである。得られたペレットを80℃にて5時間以上真空中で乾燥させた後、シリンダ温度は260℃、金型温度は70℃にて射出成形して(1)〜(4)項記載の各試験の射出成形に供した。評価結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
なお、表1、2における各成分の表記は下記に基づいた。
構成要素[A]
NT :気相成長多層ナノチューブ[平均単繊維直径=約15nm]
構成要素[B]
CF1:PAN系炭素繊維[平均単繊維直径=7μm、Lc=1.7nm]
CF2:PAN系炭素繊維[平均単繊維直径=7μm、Lc=1.9nm]
構成要素[C]
PA :ポリアミド樹脂[ナイロン66/6/6I共重合体、融点230℃]
PC :ポリカーボネート樹脂[日本GEプラスチックス製レキサン121]
構成要素[D]
CB :カーボンブラック[三菱化学(株)製ファーネスブラック]
構成要素[E]
RP :赤リン[燐化学工業(株)製ノーバエクセル140]
その他の成分
VG1:気相成長炭素繊維[平均単繊維直径=約150nm]
VG2:気相成長炭素繊維[平均単繊維直径=約50nm]
表1、2の結果から以下のことが明らかである。
1.構成要素[A]の効果
本発明の構成要素[A]を用いていない比較例1(比較例2または8)に比べて、本発明の構成要素[A]を極少量だけ用いた実施例1(実施例2または3)は、体積固有抵抗を低くすることができ、大幅に導電性に優れた成形品を得ることができる。
【0054】
また、本発明の範囲外である平均単繊維直径が約150nmまたは約50nmの気相成長炭素繊維を用いた比較例4または比較例5のいずれと比べても、本発明の範囲内である平均単繊維直径が約15nmの気相成長多層ナノチューブを用いた実施例2は、著しく導電性に優れた成形品が得られる。
【0055】
更に、先の実施例2は、構成要素[D]を単独で大量に用いた比較例6に比べても導電性および力学特性に優れ、その優位性は明らかである。
2.構成要素[A]の添加量の効果
構成要素[A]を本発明の範囲外である3重量%と多量に用いた比較例2に比べて、構成要素[A]を本発明の範囲内である0.5重量%と極少量だけ用いた実施例1は、導電性に優れた成形品を得ることができる。
【0056】
また、構成要素[A]を本発明の範囲外である2重量%と多量に用いた比較例7に比べて、構成要素[A]を本発明の範囲内である0.5重量%と極少量だけ用いた実施例2は、導電性は同等であるが、力学的特性に優れ、更に高価な構成要素[A]の量を最小限に抑えることができるため、材料コストの面からも比較例7に対して優位性を有する。
3.構成要素[A]および[D]の併用の効果
構成要素[A]および[D]を併用した実施例4は、構成要素[A]のみ、または構成要素[D]のみを単独で用いた場合よりも、より高い導電性付与効果を発現しており、より高い導電性を得るためには、これらを併用することは本発明のより好ましい形態といえる。
4.長繊維ペレットの効果
通常のペレットを用いた実施例1に比べて、長繊維ペレットを用いた実施例2は、体積固有抵抗をより低くすることができ、導電性に優れた成形品を得ることができる。これは、実施例1よりも実施例2の方が、成形品中の炭素繊維の長さを長くできることによる。つまり、実施例2の成形品中の重量的平均繊維長さは0.51mmであったのに対して、実施例1の場合には、得られた成形品中の重量平均繊維長は0.32mmであったことによる。
【0057】
これらの比較から、導電性に及ぼす炭素繊維の長さの重要性は明らかであり、本発明の炭素繊維強化樹脂組成物としては、繊維長さをできるだけ長くしたペレット、とりわけ長繊維ペレットの形態の成形材料をとることがより好ましい。
【0058】
【発明の効果】
本発明の各構成要素によれば、優れた導電性と成形性とを兼ね備える炭素繊維強化樹脂組成物を提供することができ、かかる樹脂組成物、成形材料によれば、低比重で、且つ優れた導電性、力学的特性、外観品位、難燃性を兼ね備える成形品が得られるので、特に電気・電子機器用、OA機器用、精密機器用、自動車用のハウジング、ケーシング、トレーなどの幅広い産業分野に好適な成形品を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた導電性、成形性(成形時の流動性、成形の容易さなど)を兼ね備えることができる炭素繊維強化樹脂組成物、成形材料およびその成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、樹脂に導電性材料(例えば炭素繊維など)を配合することによって、所望の導電性を有する樹脂組成物の提案が行われている。これに対して近年、更に高い導電性を得るために、一般的な導電性材料の配合の増量、特定の導電性材料の配合、複数の導電性材料の併用などの各種試みが行われてきた。
【0003】
前述の導電性材料の配合の増量による高導電化においては、組成物の高粘度化、衝撃強度などの力学的特性の大幅な低下、更には得られた成形品の外観品位の低下といった問題点が生じる場合がほとんどであった。
【0004】
前述の特定の導電性材料の配合としては、気相成長炭素繊維やナノチューブなどを樹脂に配合する技術が例として挙げられ、例えば特開平6−49362号公報、特開平7−102112号公報、特開2000−248186号公報などで提案されている。しかし、これら特定の導電性材料は非常に高価であり、それら単独で高い導電性を得るためには、ある程度の配合量が必要なため、結果的に樹脂組成物の価格が高くなるといった問題点があった。
【0005】
一方、前述の複数の導電性材料の併用による高導電化としては、導電性繊維とカーボンブラックとを併用する技術が例として挙げられ、例えば特開昭59−217395号公報、特公平3−44583号公報、特開平6−240049号公報、特公平8−19256号公報、特開平9−87417号公報などで提案されている。しかし、これらの提案の何れも、一般的な樹脂においては、ある程度の導電性の向上はみられるものの、成形性(例えば成形時の流動性)、力学的特性の低下などの問題が生じるため、高い導電性と成形性とを同時に満足させるものではなかった。
【0006】
更に、導電性材料の併用による高導電化としては、炭素繊維と特定の細径炭素繊維(気相成長炭素繊維など)とを併用する技術も例として挙げられ、例えば特開平10−121334号公報、特開2000−44815号公報などで提案されている。しかし、本発明者らが、炭素繊維と特定の細径炭素繊維とを、ある比率で配合した樹脂組成物について検討した処、炭素繊維単独の場合に比べて導電性が向上しない、場合によっては導電性が低下することが判明した。つまり、高い導電性を得るためには、両者の配合比率には厳密な規定が必要であるが、これらの提案には、特定の配合比率による相乗効果についての定量的な記載がない、またはそれらの記載にある配合比率では優れた相乗効果が得られないことが明らかになった。
【0007】
つまり、以上の提案によると、電磁波シールド性を高く発現するレベルの高導電性を発現し、かつ成形時の流動性や成形の容易さなどの成形性を満足できる炭素繊維強化樹脂組成物、成形材料、成形品を得ることができないでいた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、優れた導電性、成形性(成形時の流動性、成形の容易さなど)を兼ね備えることができる炭素繊維強化樹脂組成物、成形材料およびその成形品を提供せんとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の炭素繊維強化樹脂組成物は、少なくとも次の構成要素[A]、[B]および[C]からなることを特徴とする。
【0010】
構成要素[A]:炭素繊維強化樹脂組成物100重量%に対して、0.01〜0.7重量%の範囲内であって、平均単繊維直径が1〜45nmの範囲内である気相成長炭素繊維および/またはナノチューブ
構成要素[B]:炭素繊維強化樹脂組成物100重量%に対して、6〜40重量%の範囲内であって、平均単繊維直径が1〜20μmの範囲内である炭素繊維
構成要素[C]:樹脂
また、本発明の成形材料、成形品は、かかる炭素繊維強化樹脂組成物を加工、成形して得られることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記課題、即ち、優れた導電性、成形性を兼ね備えることができる炭素繊維強化樹脂組成物について鋭意検討し、特定の構成要素を用いて炭素繊維強化樹脂組成物をつくってみたところ、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。すなわち、本発明の炭素繊維強化樹脂組成物は、少なくとも次の構成要素[A]、[B]および[C]からなる。
【0012】
構成要素[A]:炭素繊維強化樹脂組成物100重量%に対して、0.01〜0.7重量%の範囲内であって、平均単繊維直径が1〜45nmの範囲内である気相成長炭素繊維および/またはナノチューブ
構成要素[B]:炭素繊維強化樹脂組成物100重量%に対して、6〜40重量%の範囲内であって、平均単繊維直径が1〜20μmの範囲内である炭素繊維
構成要素[C]:樹脂
かかる構成要素[A]とは、気相で結晶を成長させる製造方法(気相成長法)により得られる一般的には不連続な炭素繊維や黒鉛繊維、および/または、気相成長法、アーク放電法、レーザー蒸発法などにより得られる単層ナノチューブや多層ナノチューブを指し、これらは、針状、コイル状、チューブ状の形態など任意の形態をとることができる。また、これらを2種類以上ブレンドしたものでもよい。かかる構成要素[A]の製造方法は特に制限はないが、例えば特公表平2−503334号公報、特開平11−256430号公報などに開示されている方法などが挙げられる。
【0013】
これら構成要素[A]は、平均単繊維直径が1〜45nmの範囲内である。より好ましくは5〜35nm、更に好ましくは7〜30nm、とりわけ9〜25nmの範囲内であるのが好ましい。1nm未満では、繊維として製造することが困難になる場合がある。一方、45nmを超えると、特に所望の導電性を得ることができない場合がある。
【0014】
また、平均アスペクト比は1〜10000の範囲内、好ましくは20〜5000の範囲内であると、その導電性付与効果が高いため好ましい。
【0015】
これら構成要素[A]は、炭素繊維強化樹脂組成物100重量%に対して、0.01〜0.7重量%の範囲内である。より好ましくは0.05〜0.6重量%、更に好ましくは0.1〜0.45重量%、とりわけ0.15〜0.35重量%の範囲内であるのが好ましい。0.01重量%未満では、所望の導電性を得られない場合がある。一方、0.7重量%を超えると、成形時の流動性に極端に劣り、本発明の効果である成形性が悪くなるだけでなく、成形時に後述の構成要素[B]を切断・折損する作用が著しく強く発現し、構成要素[A]を含まずに構成要素[B]単独で配合したものより導電性に劣る場合がある。
【0016】
かかる構成要素[B]とは、例えば、PAN系、ピッチ系からつくられた炭素繊維や黒鉛繊維、それらをニッケル、イッテルビウム、金、銀、銅などの金属を、メッキ法(電解、無電解)、CVD法、PVD法、イオンプレーティング法、蒸着法などにより少なくとも1層以上被覆して構成された金属被覆炭素繊維や、これらを2種類以上ブレンドして構成されたものを指す。2種類以上併用する場合には、炭素繊維とガラス繊維やアラミド繊維などの炭素繊維以外の繊維とを併用することもできる。かかる炭素繊維としては、強度と弾性率などの力学的特性と価格とのバランスに優れるPAN系炭素繊維が好ましい。
【0017】
本発明で用いる炭素繊維としては、広角X線回折法により測定された結晶サイズ(以下、Lcと記す)が、1〜6nmの範囲内であることが好ましい。1nm未満である場合、炭素繊維の炭化または黒鉛化が十分ではなく、炭素繊維自体の導電性が低くなる。これに起因して、得られた成形品の導電性が劣る場合がある。一方、6nmを越える場合、炭素繊維の炭化もしくは黒鉛化は十分であり、炭素繊維自体の導電性には優れるものの、脆く繊維折損しやすくなる。これに起因して、成形品中の繊維長さが短くなり、優れた導電性が期待できないため好ましくない。より好ましくは1.3〜4.5nm、さらに好ましくは1.6〜3.5nmの範囲内である。とりわけ好ましくは1.8〜2.8nmの範囲内であるものがよい。なお、広角X線回折法によるLcの測定は、日本学術振興会第117委員会、炭素、36、p25(1963)に記載された方法にて行った。
【0018】
これら構成要素[B]は、平均単繊維直径が1〜20μmの範囲内である。より好ましくは4〜15μm、更に好ましくは5〜11μm、とりわけ6〜8μmの範囲内であるのが好ましい。1μm未満では、所望の力学的特性を得られない場合がある。一方、20μmを超えると、特に所望の導電性を得ることができない場合がある。
【0019】
これら構成要素[B]は、炭素繊維強化樹脂組成物100重量%に対して、6〜40重量%の範囲内である。より好ましくは8〜37重量%、更に好ましくは12〜35重量%、とりわけ17〜32重量%の範囲内であるのが好ましい。6重量%未満では、所望の導電性や力学的特性を得られない場合がある。一方、40重量%を超えると、成形時の流動性に劣ることにより、成形性が悪くなるだけでなく、成形品の外観品位にも劣る場合がある。
【0020】
かかる構成要素[C]とは、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂のどちらも使用することができるが、熱可塑性樹脂である場合、得られた成形品の衝撃強度に優れ、かつ成形効率の高いプレス成形や射出成形が可能であるため好ましい。
【0021】
かかる熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ、フェノール(レゾール型)、ユリア・メラミン、ポリイミド等や、これらの共重合体、変性体、および、2種類以上ブレンドした樹脂などを使用することができる。また、更に耐衝撃性向上のために、上記熱硬化性樹脂にエラストマーもしくはゴム成分を添加した樹脂であってもよい。
【0022】
かかる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリエステル等のポリエステルや、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン等のポリオレフィンや、スチレン系樹脂の他や、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチレンメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン、ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルニトリル(PEN)、フェノール(ノボラック型など)フェノキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、更にポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、ポリイソプレン系、フッ素系等の熱可塑エラストマー等や、これらの共重合体、変性体、および2種類以上ブレンドした樹脂などであってもよい。また、更に耐衝撃性向上のために、上記熱可塑性樹脂にその他のエラストマーもしくはゴム成分を添加した樹脂であってもよい。
【0023】
本発明における樹脂としては、スチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリオレフィン樹脂、液晶性樹脂およびフェノール系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂がより好ましい。より好ましくは、スチレン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂およびフェノール系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂である。
【0024】
かかるスチレン系樹脂とは、スチレンおよび/またはその誘導体(総称して芳香族ビニル系単量体と称する場合がある)から生成した単位を含有する。
【0025】
かかるスチレン系樹脂としては、スチレン系(共)重合体、ゴム強化スチレン(共)重合体が挙げられる。スチレン系(共)重合体としては芳香族ビニル系単量体の1種または2種以上を重合した重合体、芳香族ビニル系単量体の1種または2種以上とそれと共重合可能な単量体の1種または2種以上を共重合した共重合体が挙げられる。また、ゴム強化スチレン(共)重合体としては、スチレン単量体を含有する(共)重合体がゴム質重合体にグラフトした構造をとるものと、スチレン単量体を含有する(共)重合体がゴム質重合体に非グラフトした構造をとるものとが挙げられる。
【0026】
本発明において好ましいスチレン系樹脂としては、PS(ポリスチレン)等のスチレン系重合体、HIPS(高衝撃ポリスチレン)等のゴム強化スチレン系重合体、AS(アクリロニトリル/スチレン共重合体)等のスチレン系共重合体、AES(アクリロニトリル/エチレン・プロピレン・非共役ジエンゴム/スチレン共重合体)、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体)、MBS(メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレン共重合体)、ASA(アクリロニトリル/スチレン/アクリルゴム共重合体)などのゴム強化(共)重合体等が挙げられ、なかでも特にPS(ポリスチレン)等のスチレン系重合体、AS(アクリロニトリル/スチレン共重合体)等のスチレン系共重合体、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体)、ASA(アクリロニトリル/スチレン/アクリルゴム共重合体)が好ましい。
【0027】
かかるポリアミド樹脂としては、150℃以上の融点を有する上に耐熱性や強度に優れたナイロン樹脂であり、具体的な例としてはナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン9T、ナイロン66/6、ナイロン66/6T、ナイロン66/6I、ナイロン6/6T、ナイロン6/6T、ナイロン12/6T、ナイロン6T/6I、ナイロン66/6T/6I、ナイロン66/6/6T、ナイロン66/6/6I、ナイロン6T/M5T、ナイロンXD6、ポリメタキシリレンアジパミド、およびこれらの共重合体ないし混合物などを好ましく使用することができる。また、特性(特に耐衝撃性)改良の必要性に応じて、例えば、無水マレイン酸変性オレフィン系重合体、ABS、ASAなどのオレフィン系共重合体、ポリエステルポリエーテルエラストマー、ポリエステルポリエステルエラストマーなどのエラストマーから選ばれる1種または2種以上の混合物を添加して、所望の特性をさらに付与したものも使用することもできる。
【0028】
かかるポリエステル樹脂としては、実質的に、ジカルボン酸とグリコールとの重縮合物、環状ラクトンの開環重合物、ヒドロキシカルボン酸の重縮合物、二塩基酸とグリコールとの重縮合物などが挙げられ、具体的には、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂およびポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4、4'−ジカルボキシレート樹脂などのほか、ポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4、4'−ジカルボキシレート樹脂などのほか、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレート樹脂およびポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート/イソフタレート樹脂などの共重合体や混合物を挙げることができる。
【0029】
ここで、高い難燃性または高い成形性を成形品に付与する場合には、上述の樹脂等にフェノール系樹脂を配合するのが好ましい。かかるフェノール系樹脂とは、少なくともフェノール性水酸基を有する成分を単独もしくは共重合されたものを指し、例えば各種フェノール樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラック、オクチルフェノール、フェニルフェノール、ナフトールノボラック、フェノールアラルキル、ナフトールアラルキル、フェノールレゾールなど)や変性フェノール樹脂(アルキルベンゼン変性(特にキシレン変性)、カシュー変性、テルペン変性など)などが挙げられる。好ましいフェノール系重合体としては、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂などが挙げられる。
【0030】
本発明における炭素繊維樹脂組成物は、更に高い導電性を効率よく且つ安価に得るために、さらに構成要素[D]としてカーボン粉末を含有していてもよい。ここでカーボン粉末とは、例えばカーボンブラック、アモルファスカーボン粉末、天然黒鉛粉末、人造黒鉛粉末、膨張黒鉛粉末、ピッチマイクロビーズなどが例として挙げられるが、その中でも安価で効果の高いカーボンブラックが好ましい。かかるカーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック等を使用することができ、これらを2種類以上ブレンドしたカーボンブラックでもよい。供給・価格、導電性付与効果など総合的な面から、低価格で且つ導電性付与効果の高いであるファーネスブラックが好ましい。
【0031】
本発明における炭素繊維樹脂組成物は、高い難燃性を得るために、さらに構成要素[E]として難燃剤を含有していてもよい。ここで難燃剤とは、ハロゲン化合物、アンチモン化合物の少なくとも1種、または非ハロゲン系であるリン化合物、窒素化合物、シリコーン化合物、フッ素化合物、金属水酸化物の少なくとも1種である。
【0032】
かかるリン化合物とは、リンを含有する有機または無機化合物であれば特に制限はなく、例えばポリリン酸アンモニウム、ポリホスファゼン、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、ホスフィンオキシド、赤リンなどが挙げられ、これらを単独で用いても併用してもよい。中でもポリリン酸アンモニウム、芳香族ホスフェート、赤リンが好ましく、とりわけ、リン原子の含有量が高いことにより少量の添加量で高い難燃性を得られる赤リンが好ましい。
【0033】
本発明の炭素繊維強化樹脂組成物は、その目的に応じて更に充填材(マイカ、タルク、カオリン、セリサイト、ベントナイト、ゾノトライト、セピオライト、スメクタイト、モンモリロナイト、ワラステナイト、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アンチモン、ポリリン酸カルシウム、グラファイト、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸亜カルシウム、ホウ酸アルミニウムウィスカ、チタン酸カリウムウィスカ、高分子など)、導電性付与材(金属系、金属酸化物系など)、難燃剤(ハロゲン系(臭素化樹脂など)、アンチモン系(三酸化アンチモン、五酸化アンチモンなど)、リン系、有機酸金属塩系(有ホウ酸金属塩、カルボン酸金属塩、芳香族スルホンイミド金属塩など)、無機系(硼酸亜鉛、亜鉛、酸化亜鉛、ジルコニウム化合物など)、窒素系(シアヌル酸、イソシアヌル酸、メラミン、メラミンシアヌレート、メラミンホスフェート、窒素化グアニジンなど)、フッ素系(PTFEなど)、シリコーン系(ポリオルガノシロキサンなど)、金属水酸化物系(水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなど)など)、難燃助剤(酸化カドミウム、酸化亜鉛、酸化第一銅、酸化第二銅、酸化第一鉄、酸化第二鉄、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化スズおよび酸化チタンなど)、顔料、染料、滑剤、離型剤、相溶化剤、分散剤、結晶核剤(マイカ、タルク、カオリンなど)、可塑剤(リン酸エステルなど)、熱安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、流動性改質剤、発泡剤、抗菌剤、制振剤、防臭剤、摺動性改質剤、帯電防止剤(ポリエーテルエステルアミドなど)等の任意の添加剤を、単独でも、2種類以上ブレンドしたものでも使用することができる。
【0034】
また、かかる充填材などは、膨潤化剤により膨潤されていてもよいし、有機化剤により有機化されていてもよい。膨潤化剤、有機化剤としては、イオン交換などにより充填材などを膨潤化または有機化し得るものなら特に制限はなく、具体的にはε−カプロラクタム、12−アミノドデカン酸、12−アミノラウリン酸、アルキルアンモニウム塩(ジメチルジアルキルアンモニウムなど)などが挙げられる。特にポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂などに膨潤化または有機化された充填材(好ましくはモンモリロナイト、マイカ、サポナイト、ヘクトライト、セピオライト、クレー)が配合されていると、充填材のナノオーダーでの分散が可能となり、より少ない配合量で所望の特性が得られるため好ましい。
【0035】
本発明の炭素繊維強化樹脂組成物または成形材料は、例えば射出成形(射出圧縮成形、ガスアシスト射出成形、インサート成形など)、ブロー成形、回転成形、押出成形、プレス成形、トランスファー成形(RTM成形、RIM成形、SCRIMP成形)、フィラメントワインディング成形、オートクレーブ成形、ハンドレイアップ成形などの成形方法によって成形されて成形品を提供することができるが、最も望ましい成形法は、生産性の高い射出成形により成形するのがよい。
【0036】
かかる成形に用いられる成形材料の形態としては、ペレット、スタンパブルシート、プリプレグ、SMC、BMC等を使用することができるが、最も望ましい成形材料は、射出成形に用いられるペレットである。前記ペレットは、一般的には、所望量の樹脂とフィラーや繊維のチョップド糸または連続繊維とを押出機中で混練し、押出、ペレタイズすることによって得られたものを指す。特に炭素繊維を用いた場合、前述のペレットは、ペレットの長手方向の長さより、ペレット中の繊維長さの方が短くなるが、本発明でいうペレットには、長繊維ペレットも含まれる。
【0037】
かかる長繊維ペレットとは、特公昭63−37694号公報に示されるような、繊維がペレットの長手方向に、ほぼ平行に配列し、ペレット中の繊維長さが、ペレット長さと同一またはそれ以上であるものを指す。この場合、樹脂は繊維束中に含浸されていても、繊維束に被覆されていてもよい。特に樹脂が被覆された長繊維ペレットの場合、繊維束には被覆されたものと同じか、あるいは被覆された樹脂よりも低粘度(または低分子量)の樹脂が、予め含浸されていてもよい。
【0038】
本発明の成形材料からなる成形品が、優れた導電性、力学的特性を兼ね備えるためには、成形品中の炭素繊維のアスペクト比を長くすることが有効であるが、そのためには、前述のペレットの中でも長繊維ペレットを用いて成形するのが望ましい。
【0039】
本発明における成形品は、優れた導電性を付与できるため、体積固有抵抗値が50Ω・cm以下である成形品として用いられるのが好ましい。成形品としては、その体積固有抵抗値が50Ω・cmを越える場合、電磁波シールド材等の用途には適応しにくく、用途が限定される場合がある。本発明の成形材料より得られる成形品は、その体積固有抵抗値が、望ましくは30Ω・cm以下であるものがよい。好ましくは10Ω・cm以下、更に好ましくは1Ω・cm以下、とりわけ0.4Ω・cm以下が好ましい。
【0040】
本発明における成形品は、優れた導電性だけではなく、難燃剤を配合した場合には高い難燃性(特にドリップ防止性)を付与できるため、UL−94規格において、1.6mm(1/16インチ)厚での難燃性がV−0またはそれより良好なものが得られる成形品として用いられるのが好ましい。
【0041】
ここで、V−0の難燃性とは、UL−94規格(Underwriters Laboratories Inc.で考案された米国燃焼試験法)において、燃焼時間やその状態、延焼の有無、滴下(ドリップ)の有無やその滴下物の燃焼性などにより規定されているV−0の条件を満たした難燃性を指す。また、V−0よりも良好な難燃性とは、前記V−0クラスにおける規定値よりも更に少ない燃焼時間を示す難燃性や、試験片の厚みがより薄い場合においてV−0の規定条件を満たす難燃性を指す。
【0042】
本発明における成形品の用途としては、優れた導電性、力学的特性(特に剛性)が求められる電子・電気機器用、OA機器用、精密機器用、自動車用の部材、例えばハウジング、ケーシング、カバー、トレーなどが好ましい例として挙げられ、特に優れた導電性(電磁波シールド性)と高い剛性(軽量化)との要求が高い携帯用の電子・電気機器のハウジングなどがとりわけ好ましい例として挙げられる。より具体的には、大型ディスプレイ、ノート型パソコン、携帯用電話機、PHS、PDA(電子手帳などの携帯情報端末)、ビデオカメラ、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、携帯用ラジオカセット再生機、インバーターなどのハウジング、ケーシングなどである。
【0043】
また、優れた導電性を有しているため、炭素繊維の少量添加で帯電/放電防止性を付与することができ、それらの特性が必要とされる部材、例えばICトレー、シリコンウェーハー運搬用バスケットなどへの適応にも有用である。
【0044】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明する。
【0045】
本発明の構成要素を用いた炭素繊維強化樹脂組成物または成形材料からなる成形品に関する評価項目およびその方法を下記する。
(1)体積固有抵抗値
まず、幅12.7mm×長さ65mm×厚さ2mmの試験片を、長さ方向の辺の内で幅方向の辺の極近傍に位置するファンゲートにて射出成形した。次いで、成形した試験片の幅×厚さ面に導電性ペースト(藤倉化成(株)製ドータイト)を塗布し、十分に導電性ペーストを乾燥させてから、絶乾状態(水分率0.05%以下)で測定に供した。測定に際しては、幅×厚さ面を電極に圧着し、電極間の電気抵抗値をデジタルマルチメーター(アドバンテスト社製R6581)にて測定した。前記電気抵抗値から測定機器、治具等の接触抵抗を減じた値に、導電性ペースト塗布面の面積を乗じ、次いで、その値を試験片長さで除したものを固有抵抗値とした(単位はΩ・cm)。なお、本測定では10サンプル測定し、それらの平均値を用いた。
(2)剛性
ASTM D 790(スパン間距離L/厚さD=16)に基づいた曲げ弾性率にて評価した(単位はGPa)。用いた試験片の板厚は6.4mm(1/4インチ)厚で、水分率0.05%以下で試験に供した。なお、本測定では5サンプル測定し、それらの平均値を用いた。
(3)Izod衝撃強度
ASTM D 256に基づいたモールドノッチ有りIzod衝撃強度にて評価した(単位はJ/m)。用いた試験片の板厚は3.2mm(1/8インチ)厚で、水分率0.05%以下で試験に供した。なお、本測定では10サンプル測定し、それらの平均値を用いた。
(4)難燃性
UL−94規格に基づいた難燃性試験にて評価した。用いた試験片の板厚は0.8mm(1/32インチ)厚で、試験片の長辺方向全長に渡るフィルムゲートにて射出成形して試験片を得た。
【0046】
最後に、上記評価項目の導電性、力学的特性、成形性のバランスを、○○:特に優れる、○:優れる、△:優れない、×:著しく劣る、の4段階にて総合的に評価した。
実施例1、比較例1、2
水分率0.05%以下に十分乾燥した所望量の構成要素[A]、[C]を2軸押出機のメインホッパーから投入し、十分溶融・混練された状態で押し出しながら、水分率0.05%以下に十分乾燥した所望量の6mm長にチョップ化された構成要素[B]をサイドホッパーから投入し、樹脂を炭素繊維中に含浸させる。このようにして得られた不連続の炭素繊維を含有するガットを冷却後、カッターで5mmに切断して、ペレットを得た。
【0047】
各構成要素、その他の成分の種類およびその配合率は表1に示した通りである。得られたペレットを100℃にて5時間以上真空中で乾燥させた後、バレル温度320℃、金型温度80℃にて射出成形して(1)〜(3)項記載の各試験に供した。評価結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
実施例2〜4、比較例3〜8
水分率0.05%以下に十分乾燥した所望量の構成要素[A]、[C]、必要に応じて構成要素[D]、[E]、その他の成分とを2軸押出機にて十分溶融・混練しながら押し出し、構成要素[A]、[D]、[E]、その他の成分などが、構成要素[C]中に均一したマスターペレットを用意する。
【0050】
前記マスターペレットを1軸押出機にて、その先端に取り付けたクロスヘッドダイ中に十分溶融・混練された状態で押し出しながら、水分率0.05%以下に十分乾燥した連続繊維状の構成要素[B]束も連続して前記クロスヘッドダイ中に供給し、構成要素[A]、[C]をはじめとする各構成要素を、構成要素[B]束中に十分含浸させる。ここでクロスヘッドダイとは、そのダイ中で連続した繊維束を開繊させながら溶融樹脂等をその中に含浸させる装置のことをいう。このようにして得られた連続繊維状の構成要素[B]束を含有するストランドを冷却後、カッターで7mmに切断して、長繊維ペレットを得た。
【0051】
各構成要素、その他の成分の種類およびその配合率は表2に示した通りである。得られたペレットを80℃にて5時間以上真空中で乾燥させた後、シリンダ温度は260℃、金型温度は70℃にて射出成形して(1)〜(4)項記載の各試験の射出成形に供した。評価結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
なお、表1、2における各成分の表記は下記に基づいた。
構成要素[A]
NT :気相成長多層ナノチューブ[平均単繊維直径=約15nm]
構成要素[B]
CF1:PAN系炭素繊維[平均単繊維直径=7μm、Lc=1.7nm]
CF2:PAN系炭素繊維[平均単繊維直径=7μm、Lc=1.9nm]
構成要素[C]
PA :ポリアミド樹脂[ナイロン66/6/6I共重合体、融点230℃]
PC :ポリカーボネート樹脂[日本GEプラスチックス製レキサン121]
構成要素[D]
CB :カーボンブラック[三菱化学(株)製ファーネスブラック]
構成要素[E]
RP :赤リン[燐化学工業(株)製ノーバエクセル140]
その他の成分
VG1:気相成長炭素繊維[平均単繊維直径=約150nm]
VG2:気相成長炭素繊維[平均単繊維直径=約50nm]
表1、2の結果から以下のことが明らかである。
1.構成要素[A]の効果
本発明の構成要素[A]を用いていない比較例1(比較例2または8)に比べて、本発明の構成要素[A]を極少量だけ用いた実施例1(実施例2または3)は、体積固有抵抗を低くすることができ、大幅に導電性に優れた成形品を得ることができる。
【0054】
また、本発明の範囲外である平均単繊維直径が約150nmまたは約50nmの気相成長炭素繊維を用いた比較例4または比較例5のいずれと比べても、本発明の範囲内である平均単繊維直径が約15nmの気相成長多層ナノチューブを用いた実施例2は、著しく導電性に優れた成形品が得られる。
【0055】
更に、先の実施例2は、構成要素[D]を単独で大量に用いた比較例6に比べても導電性および力学特性に優れ、その優位性は明らかである。
2.構成要素[A]の添加量の効果
構成要素[A]を本発明の範囲外である3重量%と多量に用いた比較例2に比べて、構成要素[A]を本発明の範囲内である0.5重量%と極少量だけ用いた実施例1は、導電性に優れた成形品を得ることができる。
【0056】
また、構成要素[A]を本発明の範囲外である2重量%と多量に用いた比較例7に比べて、構成要素[A]を本発明の範囲内である0.5重量%と極少量だけ用いた実施例2は、導電性は同等であるが、力学的特性に優れ、更に高価な構成要素[A]の量を最小限に抑えることができるため、材料コストの面からも比較例7に対して優位性を有する。
3.構成要素[A]および[D]の併用の効果
構成要素[A]および[D]を併用した実施例4は、構成要素[A]のみ、または構成要素[D]のみを単独で用いた場合よりも、より高い導電性付与効果を発現しており、より高い導電性を得るためには、これらを併用することは本発明のより好ましい形態といえる。
4.長繊維ペレットの効果
通常のペレットを用いた実施例1に比べて、長繊維ペレットを用いた実施例2は、体積固有抵抗をより低くすることができ、導電性に優れた成形品を得ることができる。これは、実施例1よりも実施例2の方が、成形品中の炭素繊維の長さを長くできることによる。つまり、実施例2の成形品中の重量的平均繊維長さは0.51mmであったのに対して、実施例1の場合には、得られた成形品中の重量平均繊維長は0.32mmであったことによる。
【0057】
これらの比較から、導電性に及ぼす炭素繊維の長さの重要性は明らかであり、本発明の炭素繊維強化樹脂組成物としては、繊維長さをできるだけ長くしたペレット、とりわけ長繊維ペレットの形態の成形材料をとることがより好ましい。
【0058】
【発明の効果】
本発明の各構成要素によれば、優れた導電性と成形性とを兼ね備える炭素繊維強化樹脂組成物を提供することができ、かかる樹脂組成物、成形材料によれば、低比重で、且つ優れた導電性、力学的特性、外観品位、難燃性を兼ね備える成形品が得られるので、特に電気・電子機器用、OA機器用、精密機器用、自動車用のハウジング、ケーシング、トレーなどの幅広い産業分野に好適な成形品を提供することができる。
Claims (13)
- 少なくとも次の構成要素[A]、[B]および[C]からなる炭素繊維強化樹脂組成物。
構成要素[A]:炭素繊維強化樹脂組成物100重量%に対して、0.01〜0.7重量%の範囲内であって、平均単繊維直径が1〜45nmの範囲内である気相成長炭素繊維および/またはナノチューブ
構成要素[B]:炭素繊維強化樹脂組成物100重量%に対して、6〜40重量%の範囲内であって、平均単繊維直径が1〜20μmの範囲内である炭素繊維
構成要素[C]:樹脂 - 構成要素[C]が、少なくともスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリオレフィン樹脂、液晶性樹脂およびフェノール系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の炭素繊維強化樹脂組成物。
- 炭素繊維強化樹脂組成物が、さらに構成要素[D]として、カーボン粉末を含有する請求項1または2に記載の炭素繊維強化樹脂組成物。
- カーボン粉末が、カーボンブラックである請求項3に記載の炭素繊維強化樹脂組成物。
- 炭素繊維強化樹脂組成物が、さらに構成要素[E]として、難燃剤を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維強化樹脂組成物。
- 難燃剤が、赤リンである請求項5に記載の炭素繊維強化樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の炭素繊維強化樹脂組成物が、ペレットの形態を有する成形材料。
- 該ペレットが、長繊維ペレットである請求項7に記載の成形材料。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の炭素繊維強化樹脂組成物または請求項7もしくは8に記載の成形材料のいずれかで構成されている成形品。
- 炭素繊維強化樹脂組成物または成形材料が、射出成形されたものである請求項9に記載の成形品。
- 成形品が、50Ω・cm以下の体積固有抵抗値を有する請求項9または10に記載の成形品。
- UL−94規格における難燃性が、1.6mm(1/16インチ)厚以下でV−0以上である請求項9〜11のいずれかに記載の成形品。
- 成形品が、電気・電子機器、OA機器、家電機器または自動車におけるハウジング、ケーシング、カバー、トレーもしくはそれらの部品のうちのいずれかに用いられている請求項9〜12のいずれかに記載の成形品。
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