JP2001329072A - 炭素繊維強化樹脂複合体および成形品、ならびに炭素繊維の回収方法 - Google Patents

炭素繊維強化樹脂複合体および成形品、ならびに炭素繊維の回収方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】生分解性を有し廃棄物の問題を生じることが少
なく、さらに高い導電性、薄肉成形性(成形時の流動性
など)および力学的特性を兼ね備えた成形品が得られる
炭素繊維強化樹脂複合体および成形材料、およびその成
形品、ならびに炭素繊維の回収方法を提供する。 【解決手段】結晶サイズが1.4〜4.5nmの範囲内であ
る炭素繊維と、生分解性を有する樹脂を含んでなること
を特徴とする炭素繊維強化樹脂複合体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素繊維強化樹脂
複合体(組成物、成形材料等)や、成形品に関する。さ
らに詳しくは、力学的特性および導電性に優れ、成形が
容易で、使用後は自然環境下で分解し環境への負荷が少
ない炭素繊維強化樹脂組成物および成形材料等の複合
体、これらを成形してなる電子機器用筐体などの成形品
に関する。また、本発明は、炭素繊維の力学的特性や電
気的特性を高く保ったまま炭素繊維を回収する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維を強化繊維とする繊維強化複合
材料は、剛性や耐衝撃性など力学的特性に優れ、宇宙・
航空分野、自動車工業分野、エネルギー分野、スポーツ
用品分野、レジャー用品分野などの各種の産業分野に幅
広く使用されている。また、炭素繊維は基質が導電性で
あることから、電磁波シールド性や制電性が要求される
ICトレーやパソコンなどの電子機器用筐体などにおい
ても幅広く使用されている。
【0003】繊維強化複合材料のマトリックス樹脂に使
用されている樹脂には、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂が
ある。特に、熱可塑性樹脂を用いた繊維強化複合材料
は、溶融成形による製品のリサイクルが可能なため注目
を集めている。しかし、製品が廃棄された場合、樹脂は
一般に自然環境下での分解速度が極端に遅いため、埋没
処理をしても半永久的に地中に残留する問題が生じる。
【0004】このような問題に対し、近年、生分解性を
有する樹脂がいくつか開発され、注目を集めている。こ
れらの樹脂は、動物の体内では数カ月から1年以内に1
00%生分解し、また、土壌や海水中に置かれた場合、
湿った環境下では数週間で分解を始め、約1年から数年
で消滅し、さらに、分解生成物は人体に無害な二酸化炭
素と水になるという特性を有する。例えば、でんぷんと
ポリビニルアルコールを含む樹脂組成物、でんぷんとポ
リカプロラクトンを含む樹脂組成物、セルロースアセテ
ート、1,4−ブタンジオールとコハク酸との脱水縮合
物、ポリカプロラクトン、ヒドロキシ吉草酸とヒドロキ
シ酪酸との共重合体、ポリ乳酸等がその例である。
【0005】このような生分解性を有する樹脂をマトリ
ックス樹脂として用いることにより、廃棄物の問題は解
決できると考えられるが、炭素繊維を強化繊維とする複
合材料の場合、強度、剛性、耐衝撃性、疲労特性などの
力学特性や、電磁波シールド性、導電性、制電性などの
電気的特性等の要求特性が非常に高いレベルにあること
が多い。しかし、このような生分解性を有する樹脂をマ
トリックス樹脂に用いた場合は、高い力学的特性や電気
的特性を実現することが難しく、実用性に乏しいのが現
状である。
【0006】また、熱可塑性樹脂を用いた成形品は、再
度の溶融成形が可能であり、リサイクルの面で優れる。
しかし、射出成形などによる成形を再度行うと、炭素繊
維が短く切断されてしまうため、最初の成形品と同等の
力学的特性、電気的特性を保つことは難しく、用途が限
定される。また、成形品から樹脂を除去して炭素繊維の
みを抽出して回収、再利用する方法も検討されている。
具体的には、樹脂を高温で分解して除去する方法や、
酸、アルカリ、有機溶媒などに樹脂を溶解あるいは分解
して除去する方法などがある。しかし、樹脂を高温で分
解する方法は、高温が必要なためにエネルギーの消費が
多かったり、炭素繊維が高温に長時間さらされるために
炭素繊維の力学的特性、電気的特性が低下する可能性が
ある。また、酸、アルカリ、有機溶媒などを用いる方法
は、廃液の処理などの問題が残る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、生分解性を
有し環境負荷が小さいとともに、優れた力学的特性、優
れた導電性を実現する炭素繊維強化樹脂複合体(組成
物、成形材料等)、および成形品を得ることを課題とす
る。また、エネルギーの消費を少なく押さえつつ、炭素
繊維の力学的特性、電気的特性を高く保ったまま成形品
から炭素繊維を回収する方法を提供することを課題とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討の
結果、特定の結晶サイズを有する炭素繊維と生分解性を
有する樹脂とを組み合わせることにより、生分解性を有
し環境負荷が少なく、かつ優れた力学的特性と優れた電
気的特性を有する成形品が得られる炭素繊維強化樹脂複
合体(組成物および成形材料等)を提供できること、ま
た、生分解樹脂を用いた成形品から、エネルギーの消費
を少なく押さえつつ、炭素繊維の力学的特性、電気的特
性を高く保ったまま炭素繊維を回収する方法を提供でき
ることを見出し、本発明を完成した。
【0009】上記課題を解決するため、本発明の炭素繊
維強化樹脂複合体は次の構成を有する。すなわち、結晶
サイズが1.4〜4.5nmの範囲内である炭素繊維と、生
分解性を有する樹脂を含んでなることを特徴とする炭素
繊維強化樹脂複合体。
【0010】又は、炭素繊維と生分解性を有する樹脂を
含んでなる炭素繊維強化樹脂複合体またはその成形品か
ら樹脂を除去することによる炭素繊維の回収方法であ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態を説明する。
【0012】本発明で用いる炭素繊維は、で結晶サイズ
が1.4〜4.5nmの範囲内である。結晶サイズが1.4n
mより小さいと、炭素繊維の導電性が低下する結果、成
形品の電磁波シールド性や導電性が低いものになる。ま
た、結晶構造が十分に発達しない状態となることから、
引張、曲げ強度など、炭素繊維に本来期待されている力
学特性が低下する。一方、4.5nmを越えると、炭素繊
維の弾性率が高くなり、引張、曲げなどの応力により破
壊にいたるまでのひずみ量が小さくなるため、例えば射
出成形の際などにスクリュー等で混練したときに、炭素
繊維が切断されやすくなる結果、成形品中の繊維長が短
くなり、電磁波シールド性や制電性が低くなる。より好
ましい炭素繊維の結晶サイズは1.5〜3.5nm、さらに
好ましくは1.7〜2.5nmである。尚、結晶サイズの測
定方法としては、広角X線回折法が好適であり、より詳
細な測定方法は後述するが、何らこれらに限定されるも
のではない。
【0013】また、炭素繊維は、繊維断面の直径の平均
(平均繊維径)が3〜15μmの範囲内であることが好
ましい。平均繊維径が3μm未満では、炭素繊維束中へ
の樹脂の含浸が困難となり、成形品中での炭素繊維の分
散性に劣るなどの問題を生じる。一方、平均繊維径が2
0μmを超えると、力学的特性に優れる炭素繊維を得る
ことが困難になり、所望の補強効果が得られにくい。よ
り好ましくは5〜11μmであり、さらに好ましくは6
〜9μmである。
【0014】また、本発明で使用する炭素繊維として
は、次の特性(A)および/または特性(B)を満たす
ものがさらに好ましい。
【0015】(A):ラマン散乱強度比Rs1が0.6
〜0.93の範囲であること。 (B):ラマン散乱強度比Rs2が0.03〜0.72
の範囲であること。 ここで、Rs1=I1/I3、Rs2=I2/I3である。
【0016】ただし、I1:ラマンシフト1360cm
-1付近に現れる炭素繊維表面のラマン散乱強度の極大
値、 I2:ラマンシフト1480cm-1付近に現れる炭素繊
維表面のラマン散乱強度の極小値、 I3:ラマンシフト1580cm-1付近に現れる炭素繊
維表面のラマン散乱強度の極大値である。
【0017】なお、前記I1、I2 、I3は、ベースライ
ン補正後のラマン散乱強度についてのものである。上記
ベースライン補正とは、600cm-1〜2200cm-1
のラマンシフト範囲において、ラマンスペクトルのベー
スラインを直線近似し、その近似直線からの距離をラマ
ン散乱強度とし、測定時のベースラインの傾きを補正す
る操作のことをいう。又、前記ラマン散乱強度の極値の
波数(cm-1)は炭素繊維表面の黒鉛の微細構造の差な
どにより±20cm-1程度変動することがあるので「付
近」なる表現を用いた。
【0018】このような特性を有する炭素繊維を用いた
場合、特異的に高い導電性、薄肉成形性(特に成形時の
流動性)、および外観品位を兼ね備えた炭素繊維強化樹
脂複合体を提供することができる。すなわち、特定のラ
マンスペクトルを有する炭素繊維が、上記の高導電性、
薄肉成形性、および外観品位を同時に満足するという優
れた効果を有する。前記ラマンスペクトルによる選定
は、炭素繊維の様々な特性を各々測定することなく、簡
便に、かつ、正確に選定することができることから、工
業的見地からも非常に有意義である。
【0019】かかる炭素繊維としては、その一つの選択
要件は、Rs1(I1 /I3)が、0.6〜0.93で
ある。Rs1が0.6未満である炭素繊維は、炭素繊維
自体の導電性は高いが、射出成形での混練によって炭素
繊維が切断されやすいことがあり、成形品の導電性や力
学特性が低下する場合がある。好ましくは0.66〜
0.9、さらに好ましくは0.67〜0.85の範囲に
あるものを使用するのがよい。すなわち、このRs1
が、0.6〜0.93の範囲外の炭素繊維を用いた場合
には、導電性が悪くなり、成形品の力学的特性も劣るも
のとなる。
【0020】また、かかる炭素繊維としての別の選択方
法の一つは、ラマンシフト1480cm-1付近に現れる
ラマン散乱強度の極小値I2 と、ラマンシフト1580
cm -1付近に現れるラマン散乱強度の極大値I3 とのラ
マン散乱強度比Rs2(I2/I3)が、0.03〜0.
72、望ましくは0.05〜0.7、更に望ましくは
0.07〜0.68の範囲にある炭素繊維を選択して使
用するのがよい。
【0021】かかる炭素繊維、つまりRs2 が、0.
03〜0.72の範囲にある炭素繊維と、その範囲外の
炭素繊維との効果的な違いは、前記方法で選択したもの
場合と同様であり、Rs2が0.03以下の場合は、炭
素繊維自体の導電性は高いが射出成形での混練によっ
て、炭素繊維が切断されやすく、従って成形品の導電性
や力学特性が低下し好ましくない。また、0.72以上
では炭素繊維自体の導電性が悪く、また、炭素繊維の力
学特性も劣るため、成形品の剛性が低くなり、導電性と
薄肉成形性を兼ね備えた炭素繊維強化樹脂複合体を得る
ことが困難になる。 本発明において、さらに好ましい
構成要素の炭素繊維として、特性(C)および/または
(D)を満たすものがあげられる。 (C):炭素繊維表面と内層のラマン散乱強度比の比R
s1/Ri1が0.7〜1.3の範囲である。 (D):炭素繊維表面と内層のラマン散乱強度比の比R
s2/Ri2が0.7〜1.3の範囲である。
【0022】ここで、Ri1=I4/I6、Ri2=I5
/I6である。
【0023】ただし、I4:ラマンシフト1360cm
-1付近に現れる炭素繊維表面から2μmの深さの位置の
ラマン散乱強度の極大値、 I5:ラマンシフト1480cm-1付近に現れる炭素繊
維表面から2μmの深さの位置のラマン散乱強度の極小
値、 I6:ラマンシフト1580cm-1付近に現れる炭素繊
維表面から2μmの深さの位置のラマン散乱強度の極大
値である。
【0024】なお、前記I4、I5、I6は、ベースライ
ン補正後のラマン散乱強度についてのものである。上記
ベースライン補正とは、600cm-1〜2200cm-1
のラマンシフト範囲において、ラマンスペクトルのベー
スラインを直線近似し、その近似直線からの距離をラマ
ン散乱強度とし、測定時のベースラインの傾きを補正す
る操作のことをいう。
【0025】また、電流は炭素繊維表面を選択的に流れ
る傾向にあることから、できるだけ炭素繊維表面の電気
抵抗は低いことが好ましい。さらに、炭素繊維と炭素繊
維が接触したときに、その接触抵抗が低いことが成形品
の導電性向上に必要である。接触抵抗は、炭素繊維表面
の導電性や凹凸、断面形状、サイジング剤等の表面状態
で大きく変化し、これが成形品の導電性の程度を左右す
る場合が多い。一方、炭素繊維は、焼成終了時において
は、炭素繊維表面に近くなるほど黒鉛化の結晶性が高
く、遠くなるほど結晶性が低くなる傾向がある。これは
焼成工程において、繊維表面から繊維内部への熱伝導が
遅れるためとか、繊維内部で発生する分解ガスの拡散に
よる影響を受けるためにこのような傾向になると推測し
ている。ところが、炭素繊維の製造工程では、焼成工程
の次に、酸またはアルカリ電解質水溶液中で電解表面処
理を、さらにはサイジング剤処理が通常行われている。
これは、コンポジットの力学的特性を改善するために行
われる処理であるが、処理後の表面の結晶性は低下して
いる場合が多く、このように結晶性が低くなることは、
導電性低下をもたらすものであり好ましくない。本発明
は表面処理などによる結晶性低下の程度を炭素繊維表面
と内部をラマン散乱強度比で比較し、上述の数値を満足
するものを採用することにより、良好な導電性を安定し
て得ることができることを見いだしたものである。すな
わちRs1/Ri1および/またはRs2/Ri2が
0.7〜1.3の範囲であることが好ましいが、より好
ましくは0.8〜1.2の範囲、さらに好ましくは0.
9〜1.1の範囲にある炭素繊維である。すなわち、R
s1/Ri1および/またはRs2/Ri2が、0.7
〜1.3の範囲外の炭素繊維を用いた場合には、導電性
低下の原因になることがあるため好ましくない。0.7
未満の炭素繊維は、元々の炭素繊維の基質が2層構造に
近いものであることから、成形工程での混練等によって
炭素繊維が切断されやすく成形品の導電性や力学特性が
低くなり得るため好ましくない。繊維表面から2μmの
深さの内層の黒鉛構造は表面処理などによって実質的に
変化しないため、、炭素繊維内層の黒鉛構造を記述する
のに好適であり、これが深さ2μmのラマンスペクトル
を選択した理由である。
【0026】上記特性のすべてを満たす特定の炭素繊維
は、さらに優れた高導電性と高薄肉成形性を兼ね備えた
炭素繊維強化樹脂複合体を確実に提供することができる
ものであるため一層好ましい。結晶サイズと表面のラマ
ン強度さらには炭素繊維内層のラマン散乱強度で選択し
た炭素繊維を用いた場合は、確実に本発明の課題を満足
する炭素繊維強化樹脂複合体を提供することができる利
点がある。
【0027】本発明の炭素繊維はアクリル系繊維、ピッ
チ、レーヨン等を原料とすることができるが、特にアク
リロニトリルを主成分としたアクリル系繊維から製造さ
れた炭素繊維が工業的な生産性に優れ、かつ力学特性に
も優れており好ましい。アクリル系繊維としては耐炎化
反応を促進するモノマー成分を共重合したものが好まし
く、このような成分としてイタコン酸、アクリル酸、メ
タクリル酸およびそれらのメチルエステル、エチルエス
テル、プロピルエステル、アルカリ金属塩、アンモニウ
ム塩、あるいはアリルスルホン酸、メタリルスルホン
酸、スチレンスルホン酸、およびそれらのアルカリ金属
塩等を上げることができるがこの限りではない。紡糸方
法は湿式紡糸法や乾湿式紡糸法を適用することが好まし
いが特に限定されるものではない。
【0028】アクリル系炭素繊維は、アクリロニトリル
を主成分として重合し、それを紡糸して得たアクリル系
繊維を200〜400℃の空気雰囲気中で加熱して耐炎
化繊維に転換する耐炎化工程と、窒素、ヘリウム、アル
ゴン等の不活性雰囲気中でさらに高温で加熱して炭化す
る炭化工程を経ることで得られる(耐炎化工程と炭化工
程をあわせて焼成工程と呼ぶ)。アクリル系繊維の紡糸
には、湿式紡糸、乾湿式紡糸、乾式紡糸、溶融紡糸など
の方法が用いられる。本発明で使用する炭素繊維は、ア
クリル系繊維を耐炎化し、次いで炭化する温度としては
1000℃〜2300℃を採用することが好ましい。好
ましくは1200〜1900℃である。1000℃より
低い温度では、目的とする結晶サイズが小さく、炭素繊
維自体の導電性が低下することがあり、しかも力学特性
が低くなることがあり、2300℃より高い温度では、
結晶サイズが大きくなり、炭素繊維自体の導電性は良好
であるが、炭素繊維がもろくなり射出成形の混練時の剪
断力で細かく切れて成形品の導電性が低下することがあ
るためである。
【0029】また、本発明で用いる炭素繊維は、ストラ
ンド引張弾性率が200〜450GPaであることが好
ましい。ストランド引張弾性率が200GPaより低い
場合は、得られる成形品の力学的特性(特に衝撃強度)
が不足することがあり、450GPaより高い場合は、
例えば射出成形などの際にスクリュー等で混練したとき
に炭素繊維が切断されたり、樹脂複合体、およびその成
形品の導電性を安定して制御することが困難になったり
成形品の力学的特性が低下し目標の力学的特性を達成す
ることが困難になることがある。好ましくは220GP
a以上350GPa以下である。
【0030】また、本発明で用いられる炭素繊維は、炭
素繊維強化樹脂複合体中に10〜60重量%の範囲で含
まれていることが好ましい(より好ましくは10〜40
重量%、更に好ましくは15〜35重量%、最も好まし
くは18〜33重量%)。10重量%より低いと樹脂複
合体、およびその成形品の強度、剛性、導電性、特に電
磁シールド性が低下することがあり、また60重量%を
越えると、成形時の流動性が低下し、例えば射出成形時
に金型キャビティに樹脂複合体が完全に充填できないこ
とがあるためである。
【0031】高い力学的特性を付与するためには、好ま
しくは引張破断伸度が1.5%以上、より好ましくは引
張破断伸度が1.7%以上、更に好ましくは引張破断伸
度が1.9%以上の炭素繊維を用いるのがよい。本発明
で使用する炭素繊維の引張破断伸度に上限はないが、一
般的には5%未満であることが好ましい。
【0032】炭素繊維の表面処理方法には、電解処理、
薬液処理、プラズマ処理など、各種の方法があるが、電
解処理が好ましい。電解処理に用いられる電解液として
は、硫酸、硝酸、塩酸等の無機酸や、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化バリウムなどの無機水酸化
物、アンモニア、または、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナ
トリウム等の無機塩類、酢酸ナトリウム、安息香酸ナト
リウム等の有機塩類の水溶液、さらにこれらのカリウム
塩、バリウム塩あるいは他の金属塩、およびアンモニウ
ム塩、またはヒドラジンやヒドラジンの塩化物、臭化
物、硫酸塩などの水溶液が挙げられる。この中でも電解
液として無機酸が好ましく、硫酸、硝酸が好ましく使用
される。
【0033】炭素繊維のサイジング剤としては特に制限
がなく、通常炭素繊維に用いられているものが好まし
く、マトリックス樹脂に用いるのと同種あるいはマトリ
ックス樹脂と相溶性を有する生分解性を有する樹脂、エ
ポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂等が好
ましい。
【0034】本発明の炭素繊維強化樹脂複合体において
マトリックス樹脂として用いるのは、生分解性を有する
樹脂である。生分解性を有する樹脂には、例えば、でん
ぷんとポリビニルアルコールを含む樹脂組成物、でんぷ
んとポリカプロラクトンを含む樹脂組成物、セルロース
アセテート、1,4−ブタンジオールとコハク酸との脱
水縮合物、ポリカプロラクトン、ヒドロキシ吉草酸とヒ
ドロキシ酪酸との共重合体、ポリ乳酸等が挙げられる。
このような生分解性を有する樹脂には、市販品も使用で
きる。例えば、1,4−ブタンジオールとコハク酸との
脱水縮合物の例としては、ビオノーレ(登録商標、昭和
高分子(株)製)など、ポリカプロラクトンの例として
は、プラクセル(登録商標、ダイセル化学工業(株)
製)、トーン(登録商標、ユニオンカーバイド製)な
ど、ポリ乳酸の例としては、エコプレイ(登録商標、カ
ーギル製)、ラクティ(登録商標、(株)島津製作所
製)、レイシア(登録商標、三井化学(株)製)などが
挙げられる。
【0035】生分解性を有する樹脂には、熱硬化性樹脂
と熱可塑性樹脂があるが、短い成形サイクルで成形が可
能な点から、熱可塑性樹脂が好ましい。
【0036】また、優れた力学的特性を有するために
は、炭素繊維との接着性にすぐれる生分解性を有する樹
脂が必要となるが、この点ではアミド結合あるいはエス
テル結合を有する樹脂が好ましく、このような樹脂の中
ではポリ乳酸がさらに好ましい。
【0037】本発明において用いる「ポリ乳酸」という
語の概念には、ポリ乳酸、乳酸−ヒドロキシカルボン酸
共重合体等のコポリ乳酸、及び、ポリ乳酸及び乳酸−ヒ
ドロキシカルボン酸共重合体の混合物等のポリマーブレ
ンドやポリマーアロイを包含する。ポリ乳酸の原料とし
ては、乳酸類及びヒドロキシカルボン酸類等が用いられ
る。乳酸類の具体例としては、L−乳酸、D−乳酸、D
L−乳酸又はそれらの混合物、又は、乳酸の環状2量体
であるラクタイドを挙げることができる。また、乳酸類
と併用できるヒドロキシカルボン酸類の具体例として
は、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキ
シ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草
酸、6−ヒドロキシカルボン酸を挙げることができ、さ
らに、ヒドロキシカルボン酸の環状エステル中間体、例
えば、グリコール酸の2量体であるグリコライドや6−
ヒドロキシカプロン酸の環状エステルであるε−カプロ
ラクトンを挙げることができる。ここで、コポリ乳酸
は、ランダム共重合体であっても、ブロック重合体であ
っても、両者の混合物であってもよい。これらの態様の
ポリ乳酸は、単独で用いることもできるし、任意の2種
類以上の組合せで用いることもできる。
【0038】ポリ乳酸の重量平均分子量(Mw)や分子
量分布は、実質的に、成形加工が可能であれば特に制限
されない。本発明で使用するポリ乳酸の分子量は、実質
的に充分な機械物性を示すものであれば特に制限されな
いが、一般的には、重量平均分子量(Mw)として、1
万〜50万が好ましく、3万〜40万がより好ましく、
5万〜30万がさらに好ましい。一般的には、重量平均
分子量(Mw)が1万より小さい場合、機械物性が充分
でなかったり、逆に分子量が50万を超える場合、取扱
困難となったり、不経済となったりする場合がある。
【0039】本発明では、炭素繊維を充填することによ
って優れた導電性を付与することができるが、さらに他
の導電性フィラー、例えば、カーボンブラック、金、
銀、銅、アルミニウム、ニッケル、パラジウム、鉄、ス
テンレス鋼、酸化錫、酸化インジウム、酸化鉛、炭化ケ
イ素、炭化ジルコニウム、炭化チタンなどを、任意の形
態(例えば、粉末、フレーク、顆粒、ビーズ、繊維、ウ
ィスカー等の形状)で、単一または複数種を合わせて用
いることも可能である。
【0040】また、生分解性を有する樹脂に、改質剤と
して、エラストマー、熱可塑性エラストマー、エラスト
マー粒子、熱可塑性樹脂粒子、無機粒子などを配合する
ことも可能である。エラストマー、熱可塑性エラストマ
ー、エラストマー粒子、熱可塑性樹脂粒子は、成形品の
耐衝撃性を向上させる目的で配合される場合が多い。ま
た、無機粒子は、成形品の剛性を向上させる目的で配合
される場合が多い。また、生分解性を有する樹脂に、難
燃剤、耐候性改良剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸
収剤、可塑剤、結晶核剤、滑剤、離型剤、着色剤、相溶
化剤などを配合することも可能である。
【0041】本発明の炭素繊維強化樹脂複合体とは、炭
素繊維とマトリクス樹脂よりなるものであり、両者が均
一或いはランダムに混合された形態や、マトリクス樹脂
中に炭素繊維が実質上一定方向に配向した形態、又は、
その配向した炭素繊維近傍に第3の成分が局在して配置
された形態などが挙げられるが特に限定されるものでは
ない。尚、1番目の形態は、一般には樹脂組成物と呼称
されていることが多く、又、第2、3の形態は成形材料
に好適に用いられるものであるが、特に限定されるもの
ではない。
【0042】本発明の成形材料は、加熱成形、圧縮成
形、射出成形、ブロー成形、押出成形などの公知の方法
で成形品を得るための材料である。成形材料を構成する
炭素繊維、生分解性を有する樹脂としては、前記した炭
素繊維強化樹脂複合体の詳細な説明において好ましいと
したものを用いるのが良い。成形材料には、本発明の炭
素繊維強化樹脂複合体からなる射出成形用ペレット、引
き揃えた炭素繊維束、織物、マット、不織布、ニット、
組み紐などに生分解性を有する樹脂を含浸あるいは付着
させたプリプレグ、生分解性を有する樹脂を紡糸して得
られるフィラメントと炭素繊維フィラメントとを混繊し
た混繊糸、生分解性を有する樹脂を紡糸して得られる繊
維束と炭素繊維束とから得られる交織布など、様々な材
料が挙げられるが、短いサイクルの成形が可能で大量生
産に向く点で射出成形用ペレットが好ましい。
【0043】射出成形用ペレットとしては、炭素繊維と
生分解性を有する樹脂および添加剤などを1軸または2
軸の押出機で溶融混練して押し出し、さらに必要に応じ
てカットしたコンパウンドペレットや、炭素繊維束を生
分解性を有する樹脂で被覆または含浸させ、成形材料の
長手方向はほぼ同一の断面形状で適宜ある長さにカット
した長繊維ペレットがある。
【0044】本発明の炭素繊維強化樹脂複合体および成
形材料、特に射出成形用ペレットを成形してなる成形品
が、優れた導電性と力学的特性(強度、剛性、衝撃強度
等)を兼ね備えるためには、成形品中の炭素繊維の長さ
を長くすることが有効であるが、コンパウンドペレット
では得られない導電性と力学特性を得るためには、前述
のペレットの中でも長繊維ペレットの形態をとることが
望ましい。
【0045】また、長繊維ペレットを構成する炭素繊維
の長さは、1〜10mmの範囲であることが好ましい
(より好ましくは3〜10mm、更に好ましくは5〜9
mm)。1mmより短い場合は成形品中の炭素繊維の長
さが短く、導電性、力学的特性が低下することがあり、
10mmより長い場合は射出成形するときの流動性が悪
く成形品の外観不良や炭素繊維の分散性低下による導電
性、力学的特性低下をおこすことがあるためである。
【0046】本発明でいう長繊維ペレットとは、例えば
特公昭63−37694号公報に示されるような、繊維
がペレットの長手方向にほぼ平行に配列し、ペレット中
の繊維の長さがペレット長さとほぼ同一、もしくはそれ
以上であるペレットが含まれるものを指す。
【0047】含浸された長繊維ペレットの場合、例え
ば、(1)樹脂のエマルジョン、サスペンジョン、溶液
あるいは溶融物の入った含浸槽中を強化繊維束を通し
て、樹脂など本発明の各成分を含浸させる方法、(2)
樹脂粉末などを振動や気体で分散させた状態のところへ
強化繊維束を通して粉末を強化繊維束に浸透させた後に
加熱して、樹脂など本発明の各成分を含浸させる方法、
(3)溶融樹脂を押し出したクロスヘッドダイを用い
て、強化繊維束を引き抜きながら、樹脂など本発明の各
成分を含浸させる方法、などの公知の含浸方法を利用す
ることができるが、本発明の成分を均一かつ所望量配合
するためには、上記(3)に記載の含浸方法を利用する
ことが好ましい。
【0048】さらに好ましくは、特開平10−1383
79号公報に示されたような、少なくとも強化繊維束
に、生分解性を有する樹脂よりも低粘度の成分を含浸さ
せた複合体からなる芯部と、生分解性を有する樹脂から
なる鞘部とからなる芯鞘型の長繊維ペレットである。前
記芯鞘型の長繊維ペレットの場合、強化繊維束は、生分
解性を有する樹脂中で最も配合量が多い樹脂よりも溶融
粘度が低い成分で予め含浸され、炭素繊維と前記溶融粘
度が低い成分との複合体を形成した後に、少なくとも生
分解性を有する樹脂で被覆されていることが好ましい。
【0049】ここで「前記生分解性を有する樹脂よりも
溶融粘度が低い成分」とは、炭素繊維に前記熱可塑性の
生分解性を有する樹脂が含浸するのを促進させる成分で
あり、例えば前記生分解性を有する樹脂よりも低分子量
の生分解性を有する樹脂、エポキシ樹脂、アルコール可
溶性ポリアミド樹脂、水可溶性ポリアミド樹脂、あるい
はフェノール化合物などが挙げられる。
【0050】フェノール化合物は、フェノール性水酸基
すなわち芳香族環に結合した水酸基を有する化合物であ
る。1分子中に水酸基を1個有するフェノール化合物と
しては、フェノール、クレゾール、キシレノール、ブチ
ルフェノールなどのフェノール類、1−ナフトール、2
−ナフトールなどのナフトール類などが挙げられる。フ
ェノール化合物としては1分子中に水酸基を2個以上有
するものが好ましい。水酸基を2個有するフェノール化
合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、
ビスフェノールS、ビスフェノールB、ヒドロキノン、
メチルヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、メ
チルカテコールなどのフェノール類、ジヒドロキシナフ
タレンなどのナフトール類などが挙げられる。また、水
酸基を2個以上有するフェノール化合物としては、フェ
ノール類および/またはナフトール類とアルデヒド類と
の縮合物、フェノール類および/またはナフトール類と
キシリレングリコールとの縮合物、フェノール類および
/またはナフトール類とイソプロペニルアセトフェノン
との縮合物、トリヒドロキシナフタレン、ピロガロール
などが挙げられる。ここで、アルデヒド類としては、ホ
ルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒ
ド、ベンズアルデヒド、グリオキザール、アジピンアル
デヒド、グルタルアルデヒド、セバシンアルデヒド、サ
リチルアルデヒドなどが用いられる。
【0051】また、フェノール化合物と、二重結合を2
個有する脂肪族炭化水素の縮合反応により得られる重合
体なども好ましく用いることができる。フェノール化合
物(前駆体a)と、二重結合を2個有する脂肪族炭化水
素(前駆体b)の縮合反応は、強酸、もしくはルイス酸
の存在下に行うことができる。また、前駆体aと、系内
で前駆体bを生成する化合物を同様の条件で反応させて
得ることもできる。
【0052】該前駆体aとして、前記したフェノール化
合物が用いられるが、複数種の化合物を用いてもよい。
特に好ましいフェノール化合物としては、フェノール、
クレゾールが挙げられる。
【0053】該前駆体bとしては、環状構造を有してい
なくても、有していてもよい。環状構造を有していない
ものとしては、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエ
ン、ヘキサジエンなどの例を挙げることができる。環状
構造を有するものとしては、単環性の化合物では、シク
ロヘキサジエン、ビニルシクロヘキセン、シクロヘプタ
ジエン、シクロオクタジエン、C1016の分子式で表さ
れる単環式モノテルペン(ジペンテン、リモネン、テル
ピノレン、テルピネン、フェランドレン)など、二環性
の化合物では、2,5−ノルボルナジエン、テトラヒド
ロインデン、C1524の分子式で表される二環式セスキ
テルペン(カジネン、セリネン、カリオフィレン)、三
環性の化合物としては、ジシクロペンタジエンなどの例
を挙げることができ、これらを複数種用いてもよい。該
前駆体bとしては、炭素数6〜15のものが好ましく、
また環状構造を有するものが好ましい。環状構造を有す
るものは、分子鎖が比較的剛直になり、力学的特性に対
して有利に寄与する。特に好ましいものとしては、C10
16の分子式で表される単環式モノテルペン、ジシクロ
ペンタジエンが挙げられる。また、系内で前駆体bを生
成する化合物としては、異性化によりジペンテンを生成
するピネン、カンフェンなどの例を挙げることができ、
これらを複数種用いてもよい。
【0054】本発明の構成要素である前記生分解性を有
する樹脂よりも溶融粘度が低い樹脂として、特に優れた
ものとしては、前駆体aを2分子に対して、前駆体bを
1分子付加した、極性の比較的高いものが挙げられる。
【0055】前記生分解性を有する樹脂よりも溶融粘度
が低い成分としては、重量平均分子量が200以上10
00以下であることが好ましい。分子量が200未満で
あると、熱安定性に劣るため、成形中に揮発し、成形品
中にボイドなどの欠点を発生させることがある。一方、
分子量が1000を超えると、薄肉成形性(成形時の流
動性)に劣り、本発明の効果を充分に発現できないこと
がある。
【0056】また、本発明の炭素繊維強化樹脂複合体に
おいて、複合体全体を100重量部とした場合の生分解
性を有する樹脂の配合量は、複合体の形態により異なる
が、好ましくは10〜99重量部、より好ましくは20
〜95重量部、さらに好ましくは30〜90重量部であ
る。
【0057】本発明の成形材料の配合形態は特に制限さ
れないが、前記の溶融粘度が低い成分で強化繊維束(炭
素繊維)を含浸し、複合体を形成した後、生分解性を有
する樹脂で、前記複合体を被覆した長繊維ペレットと、
生分解性を有する樹脂と同種類あるいは別の種類の樹脂
を含む成形材料、例えば、生分解性を有する樹脂のペレ
ットとを、ドライブレンドしてもよい。この場合、生分
解性を有する樹脂の配合量は、ペレット中にすでに含ま
れる生分解性を有する樹脂の含有量を考慮した上で、最
終的に得られる成形品100重量部中、生分解性を有す
る樹脂が好ましくは10〜99重量部、より好ましくは
20〜95重量部、さらに好ましくは30〜90重量部
になるようにドライブレンドするのがよい。
【0058】また、前記生分解性樹脂よりも溶融粘度が
低い成分の配合量としては、生分解性を有する樹脂10
0重量部に対して、0.01〜20重量部、さらに好ま
しくは1〜10重量部である。かかる成分は、前記した
ように強化繊維束に含浸し、その後、生分解性を有する
樹脂で被覆して長繊維ペレットの形態で用いることも、
生分解性を有する樹脂に混練して用いることも、あるい
はかかる成分を含まない複合体とドライブレンドして用
いることも可能である。前記溶融粘度が低い樹脂の配合
量が、該範囲を超えて少なすぎたり、多すぎたりする場
合、薄肉成形品における成形性、且つ耐衝撃性、強度な
どの力学的特性のバランスのとれた材料が得られないこ
とがある。同様に、射出成形用長繊維ペレットに、液晶
性樹脂が混合されていても、本発明の一つの効果である
薄肉成形性(成形時の流動性)をより高く発現すること
ができる。液晶性樹脂とは、溶融時に異方性を形成しう
る樹脂を意味する。液晶性樹脂としては、液晶ポリエス
テル、液晶ポリエステルアミド、液晶ポリカーボネー
ト、液晶ポリエステルエラストマー、液晶ポリアミドな
どの例が挙げられ、なかでも分子鎖中にエステル結合を
有するものが好ましく、特に液晶ポリエステル、液晶ポ
リエステルアミドが好ましく、中でも液晶ポリエステル
がさらに好ましい。また、優れた薄肉成形性を実現する
ためには、液晶性樹脂、液晶性樹脂と生分解性樹脂が実
質的に反応しない条件で成形を行うか、反応を防止する
ために、液晶性樹脂および/または生分解性樹脂の末端
基を封止しておくのが好ましい。
【0059】また、長繊維ペレットは、それを構成する
炭素繊維のフィラメント数が3,000〜800,000
本の範囲が好ましい。3,000本未満では生産性が低
くコストアップの原因になったり、炭素繊維束を被覆す
る工程においてその細さから被覆工程において毛羽等に
よる工程トラブルの原因になることがある。800,0
00本を超えると、ストランドが太くなるので、生分解
性を有する樹脂および生分解性樹脂よりも溶融粘度が低
い樹脂による含浸をしにくくなって、成形品の表面性や
力学的特性および導電性が低下することがある。より好
ましくは10,000本以上500,000本以下、さら
に好ましくは200,000本以下、さらに望ましくは
100,00本以下である。
【0060】次に、本発明の成形材料の態様の1つの射
出成形用ペレットの特徴である電気抵抗について述べ
る。射出成形用ペレットにおいては、ペレットの長手方
向の電気抵抗値RL(特性(E))が、1×102Ω以下
であることが好ましい。RLが、1×102Ωを越える場
合には、得られる成形品の力学的特性に劣るだけでな
く、導電性にも劣る場合がある。これは、ペレット中に
おける炭素繊維の長さが短い、または炭素繊維が良好に
分散していないことを意味し、これを成形してなる成形
品も同様に、炭素繊維の長さが更に短い、または炭素繊
維が良好に分散していないことに起因する。好ましくは
Lが15Ω以下であり、更に好ましくは3Ω以下であ
る。とりわけ、RLが2Ω以下であるのが好ましい。
【0061】ここで、かかるペレットの長手方向とは、
ペレットの製造単位が引き取られる、または押し出され
る方向を指し、特にペレットが柱状の形態を有した場合
は、その柱軸方向に相当する。また、かかる製造単位と
は、製造工程において引き取られるまたは押し出される
形態、例えば、ストランド、ガット、シートなどの1単
位を指し、特に成形材料が長繊維ペレットである場合
は、1本のストランドに相当する。
【0062】また、射出成形用ペレットにおいては、ペ
レットの長手方向と直交する平面内における任意方向の
電気抵抗値RT(特性(F))が、1×103Ω以上であ
ることが好ましい。RTが、1×103Ω未満である場合
には、炭素繊維強化成形材料の製造単位当たりの生産性
に劣るだけでなく、炭素繊維強化成形材料からの導電性
繊維の脱落も多い場合がある。これは、ペレットの表面
に、炭素繊維が必要以上に存在していることを意味し、
炭素繊維を必要以上に存在させたくない成形材料の表面
に、炭素繊維を必要量を超えて配置することに起因す
る。好ましくはR Tが1×104Ω以上であり、更に好ま
しくは1×105Ω以上である。とりわけ、RTが1×1
6Ω以上であるのが好ましい。
【0063】また、射出成形用ペレットは、次の態様、
すなわち、少なくとも炭素繊維と生分解性を有する樹脂
とからなる射出成形用ペレットにおいて、さらに少なく
とも次の特性(G)および/または(H)を満たすこと
も好ましい。(G)成形材料の長手方向の体積固有電気
抵抗値VRLが、1Ω・cm以下であること。(H)RL
とRTとの比であるRL/RTが、1×10-3以下である
こと。
【0064】VRLが、1Ω・cmを越える場合には、
得られる成形品の力学的特性に劣るだけでなく、導電性
にも著しく劣ることがある。これは、射出成形用ペレッ
ト中における炭素繊維の長さが短い、または炭素繊維が
良好に分散していないことを意味し、これを成形してな
る成形品も同様に、炭素繊維の長さが更に短い、または
炭素繊維が良好に分散していないことに起因する。より
好ましくはVRLが5×10-2Ω・cm以下であり、更
に好ましくは7×10-3Ω・cm以下である。とりわ
け、VRLが6×10-3Ω・cm以下であるのが好まし
い。ここで、ペレットの長手方向の体積電気抵抗値VR
Lとは、RLに成形材料端面の面積を乗じ、ペレットの長
手方向の長さで除した値にて代表させたものである。
【0065】また、ペレットの長手方向の電気抵抗値R
Lと成形材料の長手方向と直交する平面内における任意
方向の電気抵抗値RTとの比であるRL/RTが、1×1
-3以下であることも好ましい。RL/RTが1×10-3
を越える場合には、得られる成形品の導電性、力学的特
性に劣るだけでなく、成形材料からの炭素繊維の脱落も
多くなるためことがある。また、特に、射出成形用ペレ
ットが長繊維ペレットの形態を有している場合、RL
Tが1×10-3を越える場合は、生産性の面からも好
ましくないことがある。これは、成形材料中の炭素繊維
の長さ、分散、および配置位置が適当ではないことに起
因する。より好ましくはRL/RTが1×10-4以下であ
り、更に好ましくは1×10-5以下である。とりわけ、
L/RTが1×10-6以下であるのが好ましい。なお、
L/RTの算出は、上記RLを、上記RTで除したもので
代表させた。
【0066】特性(G)または(H)により、得られる
成形品の導電性、力学的特性が優れ、生産性の高い射出
成形用ペレットを得ることができる。本発明において
は、さらに好ましい成形材料として、上記(E)、
(F)、(G)、(H)のすべてを満たす成形材料を挙
げることができる。該条件すべてを満たす射出成形用ペ
レットは、さらに優れた力学的特性、導電性を有する成
形品が得られ、かつ生産性にさらに優れ、炭素繊維の脱
落が少ない射出成形用ペレットを確実に提供することが
できる。
【0067】さらに射出成形用ペレットおよび成形品に
おいては、炭素繊維の接触抵抗Rcが230Ω/mm2
以下であるとさらに好ましい。これは、成形材料中にお
いて炭素繊維同士が接触することにより導電パスが形成
されたとき、当然成形品中の導電パスが多ければ多いほ
ど導電性は良好になることに起因する。しかし、同程度
の導電パスが存在しても、炭素繊維の接触抵抗が大きく
なれば、その結果、成形品の導電性は低下する。この観
点で、炭素繊維束の接触抵抗値は、成形品の導電性を予
測するきわめて便利なパラメーターである。接触抵抗を
決める要因は、炭素繊維表面の性状にあり、たとえば表
面の導電性は高いほど接触抵抗値は低くなる傾向にあ
る。そのほかに表面の被覆物、凹凸、断面形状がこの要
因となり得る。本発明は基質として前記の結晶サイズ、
ラマン散乱強度比で選定することを提案したが、表面性
状から起因する接触抵抗値を満足する炭素繊維を使用す
ることがさらに好ましい。
【0068】なお、ここでいう接触抵抗Rcは、炭素繊
維束の両端を一定圧で圧着した端子に通電したときの電
気抵抗値から求めることができる。測定法の詳細は実施
例で記述した。
【0069】本発明の成形品は、本発明の炭素繊維強化
樹脂複合体あるいは本発明の成形材料を用いて得られる
成形品である。本発明の炭素繊維強化樹脂複合体あるい
は本発明の成形材料の態様としては、上述の射出成形用
ペレットが好ましく、中でも上述した長繊維ペレットが
さらに好ましい。この場合、所望の炭素繊維含有量にす
るため、生分解性を有する樹脂を射出成形用ペレットと
ドライブレンドして調整することも好ましい。
【0070】射出成形した成形品は、導電性、力学的特
性(特に強度、衝撃強度)を同時に達成するためには、
成形品中の炭素繊維の長さを長くすることが有効である
ことは前述の通りであるが、この場合、特に成形条件お
よび射出成形機、さらに金型の影響を考慮しなければな
らない。成形条件に関していえば、背圧が低いほど、射
出速度が遅いほど、スクリュー回転数が遅いほど、成形
品中の炭素繊維の長さが長くなる傾向があり、特に背圧
は、計量性が不安定にならない程度に、できるだけ低く
設定するのが好ましい。望ましい背圧は0.1〜1MP
aである。射出成形機については、ノズル径が太く、ノ
ズルのテーパー角度が小さく、スクリュー溝深さが深
く、圧縮比が低いほど成形品中の強化材の長さが長くな
る傾向がある。金型については、スプルー径を大きくす
るほど、ゲート径を大きくするほど、成形品中の強化材
の長さが長くなる傾向がある。
【0071】上述のように、本発明の成形品が、高い導
電性、力学的特性を兼ね備えるためには、該成形品中に
含まれる強化材である炭素繊維の重量平均繊維長(l
w)が0.25〜1mm、好ましくは0.3〜1mm、
更に好ましくは0.35〜1mmであることが好まし
い。また、炭素繊維総量の少なくとも3重量%の繊維長
が1〜15mmの範囲であることが好ましい。より好ま
しくは、炭素繊維総量の少なくとも5重量%が1〜10
mmの範囲であり、一層好ましくは炭素繊維総量の少な
くとも5重量%が1〜7mmの範囲である。とりわけ好
ましくは、炭素繊維総量の少なくとも8重量%が1〜7
mmの範囲である。
【0072】本発明の成形品は、プレス成形機や射出成
形機で成形した成形品、特に射出成形した成形品の体積
固有電気抵抗VRが100Ω・cm以下であることが好
ましい。これは、長繊維ペレットを射出成形する事によ
り成形品中での炭素繊維の長さを長く維持することがで
きるため、力学的特性の他に、特に、高い導電性を有す
る成形品を提供するものである。特に、炭素繊維の配合
量が20重量%以下のような低い配合率の場合には、通
常のペレットに比べて導電性の発現効果は顕著であり、
このような範囲の炭素繊維の配合率で長繊維ペレットを
用いることは、高い導電性を達成するためには非常に有
効である。もちろん、力学的特性に関しても、同様にそ
の向上効果は絶大である。より望ましい体積固有電気抵
抗値は50Ω・cm以下である。特に炭素繊維の配合率
が20重量%以上において体積固有電気抵抗が10Ω・
cm以下となる特徴がある。好ましくは5Ω・cm以下
である。
【0073】本発明の成形品は、このときの電磁波シー
ルド性として20dB以上であることが好ましくさらに
好ましくは25dB以上である。尚、電磁波シールド性
はアドバンテスト法に準じて測定し、厚さ1mmの平板
に1GHzの電磁波を照射した時に平板で減衰する減衰
量をデシベル(単位dB)で表した数値である。
【0074】本発明の成形品は、炭素繊維に起因する高
い剛性を備えているため、ASTMD 790規格(ス
パン間距離L/板厚D=16)において、板厚6mmで
の曲げ剛性が8〜40GPaの範囲が望ましく、さらに
望ましくは10〜30GPaの範囲、特に望ましくは1
5〜25GPaの範囲の成形品として用いるのがよい。
【0075】本発明の炭素繊維強化樹脂複合体および成
形材料、特に射出成形用ペレットは、薄肉成形性(成形
時の流動性)、導電性を兼ね備えているので、従来の成
形品より肉厚を薄くすることが可能であり、肉厚が0.
3〜4mmの範囲である薄肉成形品として用いるのが最
適である。より好ましくは、肉厚0.5〜3mm、さら
に好ましくは0.6〜2mmの範囲である薄肉成形品と
して用いるのが、本発明の効果をより発揮できる。とり
わけ好ましくは、肉厚0.7〜1.6mmの範囲である
薄肉成形品として用いることである。ここでいう成形品
の肉厚とは、成形品のうち、リブ部分やボス部分などの
突起物などを除いた平板部分の肉厚を指す。
【0076】本発明における成形品の用途としては、薄
肉成形品における、成形性、力学的特性(特に剛性)が
求められる電子・電気機器用部材などが挙げられる。本
発明の成形品は、高い剛性、軽量化、電磁波シールド性
などが達成できるため、携帯用の電子・電気機器のハウ
ジングなどの用途に有効である。より具体的には、大型
ディスプレイ、ノート型パソコン、携帯用電話機、PH
S、PDA(電子手帳などの携帯情報端末)、ビデオカ
メラ、デジタルスチルカメラ、携帯用ラジオカセット再
生機などのハウジングなどに好んで使用される。これら
の成形品は、生分解性を有しているため、廃棄物の問題
を生じることが少なく、環境負荷が小さい。
【0077】また、高い導電性を有しているため、炭素
繊維の少量添加で帯電/放電防止性を付与することがで
き、それらの特性が必要とされる部材、例えばICトレ
ー、シリコンウェーハー運搬用バスケットなどへの適応
にも有用である。
【0078】また、成形材料として、プリプレグ、混繊
糸、交織布などを用いることにより、剛性や耐久性など
の優れた力学的特性を有し、かつ生分解性を有するた
め、用済み後廃棄しても環境への負荷が小さいゴルフシ
ャフト、釣竿、ラケットなどを得ることもできる。
【0079】また、本発明の炭素繊維の回収方法は、炭
素繊維と生分解性を有する樹脂を含んでなる炭素繊維強
化樹脂複合体(組成物又は成形材料等)または成形品か
ら樹脂を除去することによるものである。樹脂を除去す
る方法には、高温で樹脂を分解する熱的処理方法、酸、
アルカリ、有機溶媒などの化学物質で樹脂を溶解あるい
は分解除去する化学的処理方法、樹脂を生分解により除
去する生分解的処理方法などがある。勿論、これらの方
法を任意に組み合わせても良い。生分解性を有する樹脂
は比較的燃焼エネルギーが小さいこと、酸やアルカリ、
有機溶媒などで分解、溶解しやすい。このため、熱分解
法でもエネルギー消費が少なく、炭素繊維の力学的特性
や電気的特性も比較的高く保ったまま炭素繊維を回収で
きる。また、酸やアルカリなどを用いる方法でも廃液の
問題が生じにくい。特に、本発明の炭素繊維強化樹脂複
合体成形品からは、力学的特性や電気的特性を高く保っ
たまま炭素繊維を回収できる。しかし、エネルギー消
費、廃液の問題が生じず、炭素繊維の力学的特性や電気
的特性をほとんど低下することなしに樹脂を除去できる
ために最も好ましいのは、生分解による方法である。生
分解による具体的な樹脂の除去方法は、土壌中に埋没す
る、水中に浸漬するなどの方法がある。これらの方法で
は数週間後程度から分解を始め、1年〜数年で完全に分
解される。微生物を繁殖させた土壌中や、微生物を繁殖
させた培養液中では樹脂の分解が促進されるために好ま
しい。
【0080】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明する。炭素繊維や成形品の評価項目、およびその方
法を以下に記す。
【0081】(a)炭素繊維の結晶サイズ 日本学術振興会第117委員会、炭素、36巻、25頁
(1963年刊)に記載された方法を基本とし下記の装
置および条件で測定した。
【0082】・試料調整:炭素繊維を長さ4cmに切り、
20mgを秤量し、金型とコロジオン・アルコール溶液で
長さ3cm、幅1mm、深さ1mmの角柱を作製し測定試料と
した。
【0083】・透過法により広角X線回折法で下記の条
件で測定した。 ・X線発生装置: 理学電気社(株)製 X線源 ;CuKα(Niフィルター使用) 出力 ;40kV20mA ・ゴニオメータ: 理学電気社(株)製 スリット系;2mmφピンホールコリメーター たてスリット 1゜、横スリット 1゜ 検出器;シンチレーションカウンター ・赤道方向測定: スキャン方式(2θ/θ);ステップ 測定範囲 ;10〜40゜ 積算時間 ;1秒 ・解析方法:透過法により得られた面指数(002)の
ピークの半値幅からScherrerの式を用いて結晶
サイズを求めた。 L(hkl)=Kλ/β0COSθB 但し、L(hkl);微結晶(hkl)面に垂直な方向
の平均の大きさ;結晶サイズ[nm] K:1.0(形状因子、定数) λ :X線の波長[nm] β0:(βE 2−β1 21/2[rad] βE:見かけの半値幅(測定値)[rad] β1:1.05×10-2[rad] θB:ブラッグ角[rad]。
【0084】(b)炭素繊維の平均繊維径 下記式によって算出した。 Df=[(W×4)/(N×ρf×100×3.14)]
1/2×10000 Df:平均繊維径(μm) W :1mあたりの繊維束重量[g] N :繊維束中のフィラメント数[本] ρf :繊維の比重 また、上記炭素繊維の平均繊維径は下記の方法でも測定
した。この方法は成形品中の炭素繊維の断面を観察して
求める方法である。・無作為に抽出した200本の繊維
断面からコンピューターによる画像処理により面積をも
とめ、その面積から下記式により直径[μm]を算出し
た。 Df=(S×4/π)1/2 Df:平均繊維径[μm] S :繊維の平均断面積[μm2]。
【0085】(c)ラマン散乱強度比 炭素繊維のラマンスペクトルは、レーザーラマン分光法
により測定した。
【0086】ラマンスペクトルの測定は、成形品をエポ
キシ樹脂中に包埋し、研磨して研磨面に露出する炭素繊
維について測定した。また、炭素繊維表面からの深さ方
向のラマンスペクトルは、研磨面に露出した炭素繊維の
断面にレーザーをスキャンすることにより測定した。 測定条件 ストークス線について解析 装置:Ramanor T−64000(Jobin Yvon社製) マイクロプロープ Beam Splitter:右 対物レンズ:×100 スポット径:約1μm 光源:Ar+レーザー[5145オングストローム] 分光器 構成:640mm Triple Monochromator 回折格子:Spectrograph 600gr/mm 分散:Single 21オングストローム/mm 検出器 CCD:Jobin Yvon。
【0087】(c)体積固有電気抵抗VR ファンゲートにて射出成形した幅12.7mm×長さ6
5mm×厚さ2mmの試験片を、絶乾状態(水分率0.
1%以下)で測定に供した。まず、幅×厚さ面に導電性
ペースト(藤倉化成(株)製ドータイト)を塗布し、十
分に導電性ペーストを乾燥させてから、その面を電極に
圧着し、電極間の電気抵抗値をデジタルマルチメーター
(FLUKE社製)にて測定する。前記電気抵抗値から
測定機器、治具等の接触抵抗を減じた値に、導電性ペー
スト塗布面の面積を乗じ、次いで、その値を試験片長さ
で除したものを体積固有電気抵抗値とした(単位はΩ・
cm)。なお射出成形は、シリンダ温度260℃、金型
温度70℃にて行った。
【0088】(d)電気抵抗値RL 5つの成形材料について、下記の手順に従い測定した電
気抵抗値の平均値にて代表させたものをいう。 (1)まず、成形材料の長手方向の各々の端面を、それ
ぞれサンドペーパー(#400以下)で平面になるまで
少なくとも0.2mm研磨する。
【0089】(2)次いで、研磨した各々端面に、導電
ペースト(日本アチソン(株)製Electrodag
415)を塗布し、25℃、湿度50%、約30分の条
件で乾燥させる。
【0090】(3)最後に、その端面の2点間抵抗値を
デジタルマルチテスター((株)アドバンテスト製R3
581)にて3回測定し、その平均値をその導電性繊維
強化成形材料の長手方向の電気抵抗値RLとする。
【0091】(e)電気抵抗RT 5つの成形材料について、下記の手順に従い測定した電
気抵抗値の平均値にて代表させたものをいう。
【0092】(1)成形材料の長手方向と直交する平面
内における任意方向の各々の端面の2点間抵抗値をデジ
タルマルチテスター((株)アドバンテスト製R358
1)にて測定する。
【0093】(2)同様に、異なる位置にて少なくとも
3回測定し、その平均値をその導電性繊維強化成形材料
の長手方向と垂直方向の電気抵抗値RTとする。 (f)体積固有抵抗値VR 直方体形状を有している試験片の導電ペーストを塗布さ
れた両端部の電気抵抗値から、測定機器、治具などの接
触抵抗値を減じた値について、前記試験片の端部面積を
乗じ、試験片長さで除すことにより算出する。本発明で
は、単位はΩ・cmを用いた。
【0094】(g)炭素繊維の接触抵抗Rc 任意に選択した炭素繊維束について、下記の手順に従い
測定した電気抵抗の平均値から求めた。 (1)炭素繊維束の長手方向の2点間電気抵抗値をデジ
タルマルチテスター(株)アドバンテスト製R358
1)にて測定する。 (2)2点間距離を50,100,150cmに変更し
た電気抵抗を測定する。 (3)3点の電気抵抗をグラフにプロットし2点間が0
cmになる電気抵抗を外挿する。 (4)0cmの電気抵抗を炭素繊維束の断面積で除した
値をRc[Ω/mm2]とした。
【0095】なお、炭素繊維束を把持する部分は直径2
0mmの金属性のチャックで0.05MPaのチャック
圧で炭素繊維束を把持した。炭素繊維束の形状は市販さ
れているボビンから糸束の厚みや幅が変化しないように
取り出してそのままの状態でチャックに把持した。
【0096】(h)曲げ剛性E ASTM D 790規格(スパン間距離L/板厚D=
16)に準拠した曲げ剛性にて評価した(単位はGP
a)。用いた試験片の板厚は6mm厚で、水分率0.1
%以下で試験に供した。なお射出成形は、シリンダ温度
260℃、金型温度70℃にて行った。
【0097】(i)ノッチ付きアイゾット衝撃 ASTM D 256規格に準拠したモールドノッチ有
りIZOD衝撃強度にて評価した(単位はJ/m)。用
いた試験片の板厚は3mm厚で、水分率0.1%以下で
試験に供した。なお射出成形は、シリンダ温度260
℃、金型温度70℃にて行った。
【0098】(j)繊維長lw 算出は、成形品から炭素繊維のフィラメントを、任意に
少なくとも400以上抽出し、その長さを1μm単位ま
で光学顕微鏡にて測定して、下記の(数式2)を用いて
算出した。但し、lwは繊維長、Wiは長さliの炭素
繊維の重量、Niは長さliの成分(F)の数とする。 (数式1) lw=Σ(Wi×li)/ΣWi (数式1)は一定直径の炭素繊維に対しては、(数式
2)の様に表すことができる。 (数式2) lw=Σ(Ni×li2)/Σ(Ni×li) 炭素繊維の抽出は、成形品を70%硝酸に浸漬して80
℃に加熱し、炭素繊維以外の成分を分解除去することに
より行った。
【0099】以下、実施例および比較例について説明す
る。これらの結果は、表1にまとめて示した。
【表1】 [実施例1]アクリロニトリル99.4モル%とメタク
リル酸0.6モル%からなる共重合体を用いて、湿式紡
糸方法により短繊維デニール1d、フィラメント数24
000本のアクリル系繊維を得た。得られた繊維束を2
40〜280℃の範囲内の温度管理条件下にて空気中
で、延伸比1.05で加熱し、耐炎化繊維に転換し、つ
いで窒素雰囲気中で300〜1300℃と昇温しながら
延伸比1.00で加熱して焼成し炭素繊維を得た。さら
にこの炭素繊維を濃度0.1モル/lの硫酸水溶液で電
解処理し、さらにアルコール可溶ナイロン(アミランC
M4000、登録商標、東レ(株)製)をサイジング剤
として付与させた。サイジング剤付与はCM4000の
1%メタノール溶液中に炭素繊維束を通した後、乾燥し
てメタノールを除去することにより行った。付着量は
1.2%であった。このようにして得られた炭素繊維
は、ストランド強度5000MPa、弾性率240GP
a、繊維断面直径は7μm、炭素繊維の目付1.6g/
m、比重1.80であった。
【0100】130℃に加熱されたロール上で、テルペ
ンフェノール重合体(単環式モノテルペンフェノールと
フェノールの付加物、YP902、製品名、ヤスハラケ
ミカル(株)製、重量平均分子量460)を炭素繊維に
連続的に付与し、さらに180℃に加熱した雰囲気でし
ごきを加えて重合体を炭素繊維束中に含浸させた。炭素
繊維と重合体からなる複合体全体に対する重合体の量
は、15重量%であった。
【0101】この連続した複合体を、直径40mmの単
軸押出機の先端に設置された電線被覆用のコーティング
ダイ中に通し、押出機からダイ中に230℃で溶融させ
たポリ乳酸(ラクティー#9000、登録商標、(株)
島津製作所製)を吐出させて、複合体の周囲を被覆する
ようにポリ乳酸を連続的に配置した。これを常温近くま
で冷却後、ストランドカッターにより長さ7mm長にカ
ットし、長繊維ペレットを作製した。ここまでの成形材
料製造は連続した工程によりなされ、炭素繊維束の引き
取り速度は30m/分であった。長繊維ペレットの構成
重量比は、炭素繊維:テルペンフェノール重合体:ポリ
乳酸=35:6:59であった。
【0102】得られた長繊維ペレットと、ポリ乳酸ペレ
ットを、成形品中の炭素繊維の重量分率が30重量%と
なるようにドライブレンドし、(a)〜(j)項記載の
各試験の射出成形に供した。試験結果を表1にまとめて
示す。
【0103】[実施例2]アクリロニトリル99.4モ
ル%とメタクリル酸0.6モル%からなる共重合体を用
いて、湿式紡糸方法により短繊維デニール0.8d、フ
ィラメント数24000本のアクリル系繊維を得た。得
られた繊維束を240〜280℃の範囲内の温度管理条
件下にて空気中で、延伸比1.05で加熱し、耐炎化繊
維に転換し、ついで窒素雰囲気中で300〜1800℃
と昇温しながら延伸比1.03で加熱して焼成し炭素繊
維を得た。さらにこの炭素繊維を濃度0.1モル/lの
硫酸水溶液で電解処理し、さらにサイジング剤を実施例
1と同様な方法で付与した。このようにして得られた炭
素繊維は、ストランド強度5500MPa、弾性率30
0GPa、繊維断面直径は約5.6μm、炭素繊維の目
付1.00g/m、比重1.74であった。
【0104】実施例1と同様な方法にて長繊維ペレット
を得、さらに実施例1と同様に射出成形して評価した結
果を表1に示す。
【0105】[実施例3]実施例2において窒素雰囲気
中での焼成温度を300〜2200℃で延伸比1.05
で加熱しながら焼成し炭素繊維を得た。さらに実施例2
と同様な方法にて電解処理とサイジング剤付与した。こ
のようにして得られた炭素繊維は、ストランド強度43
00MPa、弾性率360GPa、繊維断面直径は5.
2μm、炭素繊維の目付0.93g/m、比重1.76
であった。
【0106】実施例1と同様な方法にて長繊維ペレット
を得、さらに実施例と同様に射出成形して評価した結果
を表1に示す。
【0107】[比較例1]アクリロニトリル99.4モ
ル%とメタクリル酸0.6モル%からなる共重合体を用
いて、湿式紡糸方法により短繊維デニール1d、フィラ
メント数24000本のアクリル系繊維を得た。得られ
た繊維束を240〜280℃の範囲内の温度管理条件下
にて空気中で、延伸比1.05で加熱し、耐炎化繊維に
転換し、ついで窒素雰囲気中で300〜900℃と昇温
しながら延伸比1.03で加熱して焼成し炭素繊維を得
た。さらにこの炭素繊維を濃度0.1モル/lの硫酸水
溶液で電解処理し、さらにサイジング剤を実施例1と同
様な方法で付与した。このようにして得られた炭素繊維
は、ストランド強度1500MPa、弾性率110GP
a、繊維断面直径は約7μm、炭素繊維の目付1.7g
/m、比重1.70であった。
【0108】実施例1と同様な方法にて長繊維ペレット
を得、さらに実施例1と同様に射出成形して評価した結
果を表1に示す。
【0109】[比較例2]アクリロニトリル99.4モ
ル%とメタクリル酸0.6モル%からなる共重合体を用
いて、湿式紡糸方法により短繊維デニール0.8d、フ
ィラメント数24000本のアクリル系繊維を得た。得
られた繊維束を240〜280℃の温度管理条件下にて
空気中で、延伸比1.05で加熱し、耐炎化繊維に転換
し、ついで窒素雰囲気中で300〜2400℃と昇温し
ながら延伸比1.03で加熱して焼成し炭素繊維を得
た。さらにこの炭素繊維を濃度0.1モル/lの硫酸水
溶液で電解処理し、さらにサイジング剤を実施例1と同
様な方法で付与した。このようにして得られた炭素繊維
は、ストランド強度4000MPa、弾性率470GP
a、繊維断面直径は約5.2μm、炭素繊維の目付1.
0g/m、比重1.80であった。
【0110】実施例1と同様な方法にて長繊維ペレット
を得、さらに実施例1と同様に射出成形して評価した結
果を表1に示す。
【0111】実施例1〜3とも、結晶サイズおよびラマ
ン強度比が最適な範囲の炭素繊維を使用することによ
り、導電性は良好でかつ力学的特性の高い成形品を得る
ことができた。これに対して、比較例1、2では導電
性、力学的特性に劣る成形品した得られなかった。
【0112】
【発明の効果】本発明によれば、生分解性を有し、廃棄
されても環境負荷が小さいことに加えて、高い導電性と
力学的特性を有する成形品が得られる炭素繊維強化樹脂
複合体および成形材料成形品を提供することができる。
さらに、本発明の成形品は、特に電子機器類のハウジン
グなどを始め、前記特性を必要とする幅広い産業分野に
好適に用いることができ、さらに生分解性を有するた
め、用済み後の廃棄物の問題が少なく、環境負荷が小さ
い。
【0113】また、炭素繊維と生分解性を有する樹脂を
含んでなる成形品などから樹脂を除去すること、特に、
樹脂を生分解により除去することにより、エネルギー消
費を少なく押さえつつ、力学的特性および電気的特性を
高く保ったまま、炭素繊維を回収することが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // G01N 21/65 G01N 21/65 Fターム(参考) 2G043 AA06 BA14 EA03 KA01 KA05 KA09 NA13 4F071 AA03 AA08 AA09 AA29 AA43 AA44 AE17 AF29 AH07 AH12 AH19 BA01 BB05 BC17 4F072 AA02 AA08 AB10 AB17 AB22 AC08 AD01 AD37 AG05 AG13 AH05 AH12 AH20 AH41 AK02 AK16 AL02 AL04 AL12 AL16 4F301 AA22 AA30 CA09 CA12 CA24 CA38 4J002 AB021 AB04W BE02X CF031 CF181 CF19X CF191 DA016 FA046 FD110 GC00 GN00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結晶サイズが1.4〜4.5nmの範囲内であ
    る炭素繊維と、生分解性を有する樹脂を含んでなること
    を特徴とする炭素繊維強化樹脂複合体。
  2. 【請求項2】炭素繊維が、次の特性(A)および/また
    は特性(B)を満たすものである請求項1に記載の炭素
    繊維強化樹脂複合体。 (A):ラマン散乱強度比Rs1が0.6〜0.93の
    範囲であること。 (B):ラマン散乱強度比Rs2が0.03〜0.72
    の範囲であること。 (ここで、Rs1=I1/I3、Rs2=I2/I3とす
    る。ただし、I1はラマンシフト1360cm-1付近に
    現れる炭素繊維表面のラマン散乱強度の極大値、I 2
    ラマンシフト1480cm-1付近に現れる炭素繊維表面
    のラマン散乱強度の極小値、I3はラマンシフト158
    0cm-1付近に現れる炭素繊維表面のラマン散乱強度の
    極大値を表す。)
  3. 【請求項3】生分解性を有する樹脂が、熱可塑性樹脂で
    ある請求項1または2に記載の炭素繊維強化樹脂複合
    体。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維
    強化樹脂複合体を成形してなる成形品。
  5. 【請求項5】炭素繊維と生分解性を有する樹脂を含んで
    なる炭素繊維強化樹脂複合体またはその成形品から樹脂
    を熱的処理、化学的処理及び/又は生分解的処理により
    除去することによる炭素繊維の回収方法。
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