JP2003128799A - 熱可塑性樹脂組成物用炭素繊維およびそれを用いた熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
熱可塑性樹脂組成物用炭素繊維およびそれを用いた熱可塑性樹脂組成物Info
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- JP2003128799A JP2003128799A JP2001320294A JP2001320294A JP2003128799A JP 2003128799 A JP2003128799 A JP 2003128799A JP 2001320294 A JP2001320294 A JP 2001320294A JP 2001320294 A JP2001320294 A JP 2001320294A JP 2003128799 A JP2003128799 A JP 2003128799A
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- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 高い導電性、薄肉成形性(成形時の流動性な
ど)、外観品位、および力学特性を兼ね備えた樹脂組成
物、およびその成形品を提供する。 【解決手段】 少なくとも炭素繊維と熱可塑性樹脂とを
用いてなる熱可塑性樹脂組成物において、広角X線回折
法にて測定される結晶サイズが1.6〜3nmの範囲内
であり、かつESCAにて測定される(O/C)が0.
03〜0.08の範囲内であり、さらに平均単繊維直径
が3〜15μmの範囲内であることを特徴とする熱可塑
性樹脂組成物。
ど)、外観品位、および力学特性を兼ね備えた樹脂組成
物、およびその成形品を提供する。 【解決手段】 少なくとも炭素繊維と熱可塑性樹脂とを
用いてなる熱可塑性樹脂組成物において、広角X線回折
法にて測定される結晶サイズが1.6〜3nmの範囲内
であり、かつESCAにて測定される(O/C)が0.
03〜0.08の範囲内であり、さらに平均単繊維直径
が3〜15μmの範囲内であることを特徴とする熱可塑
性樹脂組成物。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高い導電性、薄肉
成形性および剛性を兼ね備えた炭素繊維、炭素繊維強化
熱可塑性樹脂組成物、長繊維ペレット、およびその成形
品に関するものである。
成形性および剛性を兼ね備えた炭素繊維、炭素繊維強化
熱可塑性樹脂組成物、長繊維ペレット、およびその成形
品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維、ガラス繊維などで熱可塑性樹
脂を強化した複合材料(以下、FRTPという)は、こ
れらの繊維で熱硬化性樹脂を強化した複合材料(以下、
FRTSという)に比べて、耐衝撃性や成形性に優れて
おり、宇宙・航空分野、自動車工業分野、エネルギー分
野、スポーツ用品分野、レジャー用品分野などの各種産
業分野に幅広く使用され、特に炭素繊維を用いた繊維強
化熱可塑性樹脂複合材料(以下、CFRTPという)
は、炭素繊維の基質が導電性であることから電磁波シー
ルド性や制電性が要求されるICトレーやパソコンなど
においても幅広く使用され、さらなる需要増大が期待さ
れている。
脂を強化した複合材料(以下、FRTPという)は、こ
れらの繊維で熱硬化性樹脂を強化した複合材料(以下、
FRTSという)に比べて、耐衝撃性や成形性に優れて
おり、宇宙・航空分野、自動車工業分野、エネルギー分
野、スポーツ用品分野、レジャー用品分野などの各種産
業分野に幅広く使用され、特に炭素繊維を用いた繊維強
化熱可塑性樹脂複合材料(以下、CFRTPという)
は、炭素繊維の基質が導電性であることから電磁波シー
ルド性や制電性が要求されるICトレーやパソコンなど
においても幅広く使用され、さらなる需要増大が期待さ
れている。
【0003】このようなCFRTPの製造方法として
は、たとえば、特公平5−83044号公報にはチョッ
プド炭素繊維とPBT樹脂を短軸押出機で押出して、次
いで定長にカットしたコンパウンドペレットの製造方法
が開示されている。しかし、かかるコンパウンドペレッ
トは、押出工程で炭素繊維が短く切断され、なおかつ射
出成形工程でさらに炭素繊維が切断されるので、炭素繊
維の繊維長が短くなるという問題があり、成形品の導電
性や力学特性を向上させる方法としては限界があった。
は、たとえば、特公平5−83044号公報にはチョッ
プド炭素繊維とPBT樹脂を短軸押出機で押出して、次
いで定長にカットしたコンパウンドペレットの製造方法
が開示されている。しかし、かかるコンパウンドペレッ
トは、押出工程で炭素繊維が短く切断され、なおかつ射
出成形工程でさらに炭素繊維が切断されるので、炭素繊
維の繊維長が短くなるという問題があり、成形品の導電
性や力学特性を向上させる方法としては限界があった。
【0004】一方、特公昭63−37694号公報に
は、整列された強化用フィラメントが熱可塑性樹脂で含
浸された繊維強化構造物が開示されている。また、特許
掲載公報第2626012号には、30重量%以上の平
行に配列した補強繊維を含み、繊維配列方向の長さが3
〜60mmであるペレットが開示されている(以下この
ような長繊維の補強繊維を含むペレットを長繊維ペレッ
トという)。この長繊維ペレットを射出成形すると、成
形後の成形品中に含まれる補強繊維の長さが、コンパウ
ンドペレットに比べてはるかに長くなり、成形品の耐衝
撃性、曲げ弾性率などが向上することが記載されてい
る。
は、整列された強化用フィラメントが熱可塑性樹脂で含
浸された繊維強化構造物が開示されている。また、特許
掲載公報第2626012号には、30重量%以上の平
行に配列した補強繊維を含み、繊維配列方向の長さが3
〜60mmであるペレットが開示されている(以下この
ような長繊維の補強繊維を含むペレットを長繊維ペレッ
トという)。この長繊維ペレットを射出成形すると、成
形後の成形品中に含まれる補強繊維の長さが、コンパウ
ンドペレットに比べてはるかに長くなり、成形品の耐衝
撃性、曲げ弾性率などが向上することが記載されてい
る。
【0005】かかる長繊維ペレットは、その特徴を生か
して近年、炭素繊維を用いて、電磁波シールド性と高い
剛性が要求される用途(例えば、パソコン筐体など)に
使われているが、近年は、更なる導電性の向上と共に軽
量化と剛性アップが求められている。
して近年、炭素繊維を用いて、電磁波シールド性と高い
剛性が要求される用途(例えば、パソコン筐体など)に
使われているが、近年は、更なる導電性の向上と共に軽
量化と剛性アップが求められている。
【0006】上記要求に応える手法としては、炭素繊維
の含有量を大きくする手法、高弾性率の炭素繊維を用い
る手法などが考えられる。
の含有量を大きくする手法、高弾性率の炭素繊維を用い
る手法などが考えられる。
【0007】しかしながら、単純に炭素繊維の含有量を
大きくすることによる性能向上は、成形品の比重を大き
くすることになる、またコストをあげることになる、さ
らには成形品の表面状態も低下する問題があった。
大きくすることによる性能向上は、成形品の比重を大き
くすることになる、またコストをあげることになる、さ
らには成形品の表面状態も低下する問題があった。
【0008】一方、炭素繊維の高弾性率糸を用いると成
形品の剛性アップには効果があるが射出成形での混練に
より折れやすいなどの理由で導電性が低下するという問
題があった。さらには高弾性率糸は一般的には高価格で
ありコストアップになるなど問題があった。つまり、上
記手法によっては更なる導電性、軽量化、剛性向上を達
成することができなかった。
形品の剛性アップには効果があるが射出成形での混練に
より折れやすいなどの理由で導電性が低下するという問
題があった。さらには高弾性率糸は一般的には高価格で
ありコストアップになるなど問題があった。つまり、上
記手法によっては更なる導電性、軽量化、剛性向上を達
成することができなかった。
【0009】また、より特定の特性を有する炭素繊維を
用いる手法も考えられるが、上記先行例には、用いる炭
素繊維の性能や導電性に関しては全く記載がなく、どの
ような特性を有する炭素繊維を用いるのが好ましいか、
その特性がどの範囲であるのが好ましいかを明確にする
に至っていない。特に導電性が要求される用途に拡大し
ているCFRTPは、熱硬化性樹脂をマトリックスとす
るCFRTSより電気特性がより重要な要因となり易
く、早急な対応が要望されていた。
用いる手法も考えられるが、上記先行例には、用いる炭
素繊維の性能や導電性に関しては全く記載がなく、どの
ような特性を有する炭素繊維を用いるのが好ましいか、
その特性がどの範囲であるのが好ましいかを明確にする
に至っていない。特に導電性が要求される用途に拡大し
ているCFRTPは、熱硬化性樹脂をマトリックスとす
るCFRTSより電気特性がより重要な要因となり易
く、早急な対応が要望されていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の問題点に鑑み、高い導電性と力学的特性特に剛性
などを有する成形品を得ることができるとともに使用す
る炭素繊維の性能を定量化し、導電性と剛性に優れた成
形品を安定して得ることを課題とする。
技術の問題点に鑑み、高い導電性と力学的特性特に剛性
などを有する成形品を得ることができるとともに使用す
る炭素繊維の性能を定量化し、導電性と剛性に優れた成
形品を安定して得ることを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は以下の構成を有する。すなわち、本発明の
炭素繊維は熱可塑性樹脂組成物用の炭素繊維であって、
その炭素繊維が、広角X線回折法にて測定される結晶サ
イズが1.6〜3nmの範囲内であり、かつX線光電子
分光法(以下ESCAという)にて測定される炭素と酸
素の原子数比(O/C)が0.03〜0.08の範囲で
あり、さらに平均単繊維直径が3〜15μmの範囲内の
炭素繊維であることである。
め、本発明は以下の構成を有する。すなわち、本発明の
炭素繊維は熱可塑性樹脂組成物用の炭素繊維であって、
その炭素繊維が、広角X線回折法にて測定される結晶サ
イズが1.6〜3nmの範囲内であり、かつX線光電子
分光法(以下ESCAという)にて測定される炭素と酸
素の原子数比(O/C)が0.03〜0.08の範囲で
あり、さらに平均単繊維直径が3〜15μmの範囲内の
炭素繊維であることである。
【0012】本発明はさらには少なくとも炭素繊維と熱
可塑性樹脂とを用いてなる熱可塑性樹脂組成物であっ
て、本発明の炭素繊維を用いることを特徴とするもので
ある。
可塑性樹脂とを用いてなる熱可塑性樹脂組成物であっ
て、本発明の炭素繊維を用いることを特徴とするもので
ある。
【0013】また、本発明の射出成形用ペレットは、本
発明の熱可塑性樹脂組成物から構成されることを特徴と
するものである。
発明の熱可塑性樹脂組成物から構成されることを特徴と
するものである。
【0014】また、本発明の射出成形品は、長繊維ペレ
ットを単独または、樹脂とドライブレンドした後、射出
成形してなることを特徴とするものである。
ットを単独または、樹脂とドライブレンドした後、射出
成形してなることを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態を説明する。
態を説明する。
【0016】本発明における炭素繊維は、広角X線回折
法にて測定される結晶サイズが1.6〜3nmの範囲内
である。結晶サイズが1.6nmより小さいと、炭素繊
維の結晶構造が十分に発達しない状態となることから、
引張、曲げ強度など、炭素繊維に本来期待されている力
学特性が低下する。一方、3nmを越えると、炭素繊維
の弾性率が高くなり、引張、曲げなどの応力により破壊
にいたるまでのひずみ量が小さくなるため、例えば射出
成形の際などにスクリュー等で混練したときに、炭素繊
維が切断されやすくなる結果、成形品中の繊維長が短く
なり、導電性や制電性が低くなる。より好ましい炭素繊
維の結晶サイズは1.8〜2.7nm、さらに好ましく
は2.1〜2.5nmである。
法にて測定される結晶サイズが1.6〜3nmの範囲内
である。結晶サイズが1.6nmより小さいと、炭素繊
維の結晶構造が十分に発達しない状態となることから、
引張、曲げ強度など、炭素繊維に本来期待されている力
学特性が低下する。一方、3nmを越えると、炭素繊維
の弾性率が高くなり、引張、曲げなどの応力により破壊
にいたるまでのひずみ量が小さくなるため、例えば射出
成形の際などにスクリュー等で混練したときに、炭素繊
維が切断されやすくなる結果、成形品中の繊維長が短く
なり、導電性や制電性が低くなる。より好ましい炭素繊
維の結晶サイズは1.8〜2.7nm、さらに好ましく
は2.1〜2.5nmである。
【0017】また、本発明で用いる炭素繊維は、ESC
Aにて測定される炭素繊維表面の炭素と酸素の原子数比
(O/C)が0.03〜0.08の範囲内である。かか
る(O/C)が0.03未満では炭素繊維表面の官能基
量が少なく炭素繊維と熱可塑性樹脂との接着性が低下
し、その結果力学特性が低下し好ましくない。一方0.
08を越えると熱可塑性樹脂組成物からなる成形品の導
電性が低下し好ましくない。より好ましくは0.03〜
0.07、さらに好ましくは0.035〜0.05未満
の範囲内である。
Aにて測定される炭素繊維表面の炭素と酸素の原子数比
(O/C)が0.03〜0.08の範囲内である。かか
る(O/C)が0.03未満では炭素繊維表面の官能基
量が少なく炭素繊維と熱可塑性樹脂との接着性が低下
し、その結果力学特性が低下し好ましくない。一方0.
08を越えると熱可塑性樹脂組成物からなる成形品の導
電性が低下し好ましくない。より好ましくは0.03〜
0.07、さらに好ましくは0.035〜0.05未満
の範囲内である。
【0018】また、本発明で用いる炭素繊維は、単繊維
断面の直径の平均(平均単繊維直径)が3〜15μmの
範囲内である。平均単繊維直径が3μm未満では、炭素
繊維束中への熱可塑性樹脂の含浸が困難となり、成形品
中での炭素繊維の分散性に劣るなどの問題を生じる。一
方、平均単繊維直径が20μmを超えると、力学的特性
に優れる炭素繊維を得ることが困難になり、所望の補強
効果が得られにくい。より好ましくは4〜11μm、さ
らに好ましくは5〜8μmの範囲内である。なお、かか
る平均単繊維直径は、主として炭素繊維束の重量と繊維
束本数および炭素繊維の比重から炭素繊維の断面が真円
としたときの直径を求めたものであるがこの方法に限ら
ない。詳細は実施例に記載した通りである。
断面の直径の平均(平均単繊維直径)が3〜15μmの
範囲内である。平均単繊維直径が3μm未満では、炭素
繊維束中への熱可塑性樹脂の含浸が困難となり、成形品
中での炭素繊維の分散性に劣るなどの問題を生じる。一
方、平均単繊維直径が20μmを超えると、力学的特性
に優れる炭素繊維を得ることが困難になり、所望の補強
効果が得られにくい。より好ましくは4〜11μm、さ
らに好ましくは5〜8μmの範囲内である。なお、かか
る平均単繊維直径は、主として炭素繊維束の重量と繊維
束本数および炭素繊維の比重から炭素繊維の断面が真円
としたときの直径を求めたものであるがこの方法に限ら
ない。詳細は実施例に記載した通りである。
【0019】本発明における炭素繊維の用途は、専ら熱
可塑性樹脂組成物用のものである。
可塑性樹脂組成物用のものである。
【0020】本発明は、上記要件を兼ね備える炭素繊維
を用いた時に、特異的に高い導電性、薄肉成形性(特に
成形時の流動性)、および外観品位を兼ね備えた導電性
樹脂組成物を提供することができることを究明したもの
である。すなわち、上記範囲の結晶サイズと、上記範囲
の(O/C)と、上記範囲の平均単繊維直径とを有する
炭素繊維を用いることが、上記高導電性、薄肉成形性、
および外観品位を同時に満足するという優れた効果を達
成することを見出したものである。前記結晶サイズと
(O/C)と平均単繊維直径とにより、炭素繊維の様々
な実用的特性を各々測定することなく、簡便に、かつ、
正確に前記特性が判断することができることから、工業
的見地からも非常に有意義な指標である。
を用いた時に、特異的に高い導電性、薄肉成形性(特に
成形時の流動性)、および外観品位を兼ね備えた導電性
樹脂組成物を提供することができることを究明したもの
である。すなわち、上記範囲の結晶サイズと、上記範囲
の(O/C)と、上記範囲の平均単繊維直径とを有する
炭素繊維を用いることが、上記高導電性、薄肉成形性、
および外観品位を同時に満足するという優れた効果を達
成することを見出したものである。前記結晶サイズと
(O/C)と平均単繊維直径とにより、炭素繊維の様々
な実用的特性を各々測定することなく、簡便に、かつ、
正確に前記特性が判断することができることから、工業
的見地からも非常に有意義な指標である。
【0021】ここで、本発明を別の観点で説明すると、
電流は炭素繊維表面を選択的に流れる傾向にあることか
ら、できるだけ炭素繊維表面の電気抵抗は低いことが好
ましい。さらに、炭素繊維と炭素繊維が接触したとき
に、その接触抵抗が低いことが成形品の導電性向上に好
ましい効果を発現する。上記接触抵抗は、炭素繊維表面
の導電性や凹凸、断面形状、サイジング剤等の表面状態
で大きく変化し、これが成形品の導電性の程度を左右す
る場合が多い。
電流は炭素繊維表面を選択的に流れる傾向にあることか
ら、できるだけ炭素繊維表面の電気抵抗は低いことが好
ましい。さらに、炭素繊維と炭素繊維が接触したとき
に、その接触抵抗が低いことが成形品の導電性向上に好
ましい効果を発現する。上記接触抵抗は、炭素繊維表面
の導電性や凹凸、断面形状、サイジング剤等の表面状態
で大きく変化し、これが成形品の導電性の程度を左右す
る場合が多い。
【0022】ところが、炭素繊維の製造工程では、焼成
工程の次に、酸またはアルカリ電解質水溶液中で電解表
面処理が通常行われている。これは、コンポジットの力
学的特性を改善するために行われる処理であるが、処理
後の表面状態には何らかの変化が起きている場合が多
く、これを本発明者らは表面の結晶性が低下していると
推察した。このような結晶性低下は、導電性低下をもた
らすものであり好ましくない。本発明は表面処理などに
よる結晶性低下の程度を炭素繊維表面の(O/C)で比
較し、上述の数値を満足するものを採用することによ
り、良好な導電性を安定して得ることができることを見
いだしたものである。
工程の次に、酸またはアルカリ電解質水溶液中で電解表
面処理が通常行われている。これは、コンポジットの力
学的特性を改善するために行われる処理であるが、処理
後の表面状態には何らかの変化が起きている場合が多
く、これを本発明者らは表面の結晶性が低下していると
推察した。このような結晶性低下は、導電性低下をもた
らすものであり好ましくない。本発明は表面処理などに
よる結晶性低下の程度を炭素繊維表面の(O/C)で比
較し、上述の数値を満足するものを採用することによ
り、良好な導電性を安定して得ることができることを見
いだしたものである。
【0023】また、ESCAにて測定される炭素繊維表
面の炭素と酸素の原子数比(O/C)とは別の視点から
は、本発明で用いる炭素繊維は、オージェ電子分光法
(以下AESという)にて測定される炭素繊維表面の炭
素と酸素の原子数比(O/C)が0.02以下であるこ
とが好ましい。AESによる測定では炭素繊維表面にあ
る官能基の酸素はESCAの値に比べるとかなり小さい
値になる。これは電子線照射による官能基の一部が分解
することが原因であると考えられる。このAESの(O
/C)が0.02を越えると炭素繊維表面に無機系の酸
素化合物が多く存在する事を意味し、また、その無機系
酸素化合物がシリカ等の絶縁性の酸化物である可能性が
高く、好ましくない。本発明は炭素繊維表面にシリカの
ない炭素繊維を用いることが好ましい。したがって炭素
繊維表面のシリカは製造工程でほぼ消失させる炭化温度
で製造された炭素繊維であることが好ましい。炭化温度
については後で述べる。AESで測定した(O/C)は
好ましくは0.015以下、更に好ましくは0.01以
下の範囲内である。なお、AESの(O/C)の下限値
はとしては、0.005以上であると推定されるが、こ
のあたりのレベルでは、測定限界であるため、詳細は不
明である。
面の炭素と酸素の原子数比(O/C)とは別の視点から
は、本発明で用いる炭素繊維は、オージェ電子分光法
(以下AESという)にて測定される炭素繊維表面の炭
素と酸素の原子数比(O/C)が0.02以下であるこ
とが好ましい。AESによる測定では炭素繊維表面にあ
る官能基の酸素はESCAの値に比べるとかなり小さい
値になる。これは電子線照射による官能基の一部が分解
することが原因であると考えられる。このAESの(O
/C)が0.02を越えると炭素繊維表面に無機系の酸
素化合物が多く存在する事を意味し、また、その無機系
酸素化合物がシリカ等の絶縁性の酸化物である可能性が
高く、好ましくない。本発明は炭素繊維表面にシリカの
ない炭素繊維を用いることが好ましい。したがって炭素
繊維表面のシリカは製造工程でほぼ消失させる炭化温度
で製造された炭素繊維であることが好ましい。炭化温度
については後で述べる。AESで測定した(O/C)は
好ましくは0.015以下、更に好ましくは0.01以
下の範囲内である。なお、AESの(O/C)の下限値
はとしては、0.005以上であると推定されるが、こ
のあたりのレベルでは、測定限界であるため、詳細は不
明である。
【0024】本発明の炭素繊維は、アクリル系繊維、ピ
ッチ、レーヨン等を原料とすることができるが、特にア
クリロニトリルを主成分としたアクリル系繊維から製造
された炭素繊維が工業的な生産性に優れ、かつ力学特性
にも優れており好ましい。アクリル系繊維としては耐炎
化反応を促進するモノマー成分を含むものであれば特に
限定されるものではなく、イタコン酸、アクリル酸、メ
タクリル酸およびそれらのメチルエステル、エチルエス
テル、プロピルエステル、アルカリ金属塩、アンモニウ
ム塩、あるいはアリルスルホン酸、メタリルスルホン
酸、スチレンスルホン酸、およびそれらのアルカリ金属
塩等を上げることができるがこの限りではない。紡糸方
法は湿式紡糸法や乾湿式紡糸法を適用することが好まし
いが特に限定されるものではない。
ッチ、レーヨン等を原料とすることができるが、特にア
クリロニトリルを主成分としたアクリル系繊維から製造
された炭素繊維が工業的な生産性に優れ、かつ力学特性
にも優れており好ましい。アクリル系繊維としては耐炎
化反応を促進するモノマー成分を含むものであれば特に
限定されるものではなく、イタコン酸、アクリル酸、メ
タクリル酸およびそれらのメチルエステル、エチルエス
テル、プロピルエステル、アルカリ金属塩、アンモニウ
ム塩、あるいはアリルスルホン酸、メタリルスルホン
酸、スチレンスルホン酸、およびそれらのアルカリ金属
塩等を上げることができるがこの限りではない。紡糸方
法は湿式紡糸法や乾湿式紡糸法を適用することが好まし
いが特に限定されるものではない。
【0025】アクリル系炭素繊維は、アクリロニトリル
を主成分として重合して得たアクリル系繊維を200〜
400℃の空気雰囲気中で加熱して酸化繊維に転換する
耐炎化工程と、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性雰
囲気中でさらに高温で加熱して炭化する炭化工程を経る
ことで得られる(耐炎化工程と炭化工程をあわせて焼成
工程と呼ぶ)。本発明で使用する炭素繊維は、アクリル
系繊維を耐炎化し、次いで炭化する温度としては120
0〜2200℃を採用することが好ましい。好ましくは
1500〜2100℃である。
を主成分として重合して得たアクリル系繊維を200〜
400℃の空気雰囲気中で加熱して酸化繊維に転換する
耐炎化工程と、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性雰
囲気中でさらに高温で加熱して炭化する炭化工程を経る
ことで得られる(耐炎化工程と炭化工程をあわせて焼成
工程と呼ぶ)。本発明で使用する炭素繊維は、アクリル
系繊維を耐炎化し、次いで炭化する温度としては120
0〜2200℃を採用することが好ましい。好ましくは
1500〜2100℃である。
【0026】本発明で用いられる炭素繊維は、ストラン
ド引張弾性率が230〜370GPaであることが好ま
しい。ストランド引張弾性率が230GPaより低い場
合は、得られる成形品の力学的特性(特に剛性)が不足
することがあり、370GPaより高い場合は、例えば
射出成形などスクリューで混練したときに炭素繊維が切
断されたり、樹脂組成物、およびその成形品の導電性を
安定して制御することが困難になったり成形品の力学的
特性が低下し目標の力学的特性を達成することが困難に
なることがある。
ド引張弾性率が230〜370GPaであることが好ま
しい。ストランド引張弾性率が230GPaより低い場
合は、得られる成形品の力学的特性(特に剛性)が不足
することがあり、370GPaより高い場合は、例えば
射出成形などスクリューで混練したときに炭素繊維が切
断されたり、樹脂組成物、およびその成形品の導電性を
安定して制御することが困難になったり成形品の力学的
特性が低下し目標の力学的特性を達成することが困難に
なることがある。
【0027】また、本発明において、炭素繊維の長さ
は、1〜15mmの範囲であることが好ましい。1mm
より短い場合は、樹脂とペレットを形成して成形した際
に成形品中の炭素繊維の長さが短く、導電性、力学特性
が低下すること等があり、15mmより長い場合は、樹
脂とペレットを形成して射出成形するときの流動性が悪
く成形品の外観不良や炭素繊維の分散性低下による導電
性、力学特性低下をおこすこと等があるためである。
は、1〜15mmの範囲であることが好ましい。1mm
より短い場合は、樹脂とペレットを形成して成形した際
に成形品中の炭素繊維の長さが短く、導電性、力学特性
が低下すること等があり、15mmより長い場合は、樹
脂とペレットを形成して射出成形するときの流動性が悪
く成形品の外観不良や炭素繊維の分散性低下による導電
性、力学特性低下をおこすこと等があるためである。
【0028】また、本発明の炭素繊維の用途は、専ら、
熱可塑性樹脂とを有してなる熱可塑性樹脂組成物と成す
ことである。本発明の炭素繊維は、前記熱可塑性樹脂組
成物中に10〜60重量%の範囲で含まれていることが
好ましい。10重量%より低いと樹脂組成物、およびそ
の成形品の強度、剛性、導電性、特に電磁シールド性が
低下することがあり、また60重量%を越えると、成形
時の流動性が低下し、金型キャビティに樹脂組成物が完
全に充填できないことがあるためである。より好ましく
は15〜40重量%、更に好ましくは18〜30重量%
の範囲である。
熱可塑性樹脂とを有してなる熱可塑性樹脂組成物と成す
ことである。本発明の炭素繊維は、前記熱可塑性樹脂組
成物中に10〜60重量%の範囲で含まれていることが
好ましい。10重量%より低いと樹脂組成物、およびそ
の成形品の強度、剛性、導電性、特に電磁シールド性が
低下することがあり、また60重量%を越えると、成形
時の流動性が低下し、金型キャビティに樹脂組成物が完
全に充填できないことがあるためである。より好ましく
は15〜40重量%、更に好ましくは18〜30重量%
の範囲である。
【0029】高い力学的特性を付与するためには、引張
破断伸度が1.5%以上、より好ましくは引張破断伸度
が1.7%以上、更に好ましくは引張破断伸度が1.9
%以上の炭素繊維を用いるのがよい。本発明で使用する
炭素繊維の引張破断伸度に上限はないが、一般的には5
%未満であることが好ましい。
破断伸度が1.5%以上、より好ましくは引張破断伸度
が1.7%以上、更に好ましくは引張破断伸度が1.9
%以上の炭素繊維を用いるのがよい。本発明で使用する
炭素繊維の引張破断伸度に上限はないが、一般的には5
%未満であることが好ましい。
【0030】表面処理としては、電解処理が好ましい。
電解処理に用いられる電解液としては、硫酸、硝酸、塩
酸等の無機酸や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
水酸化バリウムなどの無機水酸化物、アンモニア、また
は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩
類、酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム等の有機塩類
の水溶液、さらにこれらのカリウム塩、バリウム塩ある
いは他の金属塩、およびアンモニウム塩、またはヒドラ
ジンなどの有機化合物が挙げられる。この中でも電解液
として無機酸が好ましく硫酸、硝酸が好ましく使用され
る。電解処理の程度は、電解処理で流れる電気量を設定
することにより炭素繊維表面の(O/C)をコントロー
ルすることができる。
電解処理に用いられる電解液としては、硫酸、硝酸、塩
酸等の無機酸や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
水酸化バリウムなどの無機水酸化物、アンモニア、また
は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩
類、酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム等の有機塩類
の水溶液、さらにこれらのカリウム塩、バリウム塩ある
いは他の金属塩、およびアンモニウム塩、またはヒドラ
ジンなどの有機化合物が挙げられる。この中でも電解液
として無機酸が好ましく硫酸、硝酸が好ましく使用され
る。電解処理の程度は、電解処理で流れる電気量を設定
することにより炭素繊維表面の(O/C)をコントロー
ルすることができる。
【0031】本発明の炭素繊維は、シランカップリング
剤、アルミネートカップリング剤、チタネートカップリ
ング剤などのカップリング剤、ウレタン系樹脂、エポキ
シ系樹脂、エステル系樹脂、スチレン系樹脂、オレフィ
ン系樹脂、アミド系樹脂、テルペン・フェノールなどの
フェノール系共重合体、液晶性樹脂などの集束剤で処理
されていてもよい。
剤、アルミネートカップリング剤、チタネートカップリ
ング剤などのカップリング剤、ウレタン系樹脂、エポキ
シ系樹脂、エステル系樹脂、スチレン系樹脂、オレフィ
ン系樹脂、アミド系樹脂、テルペン・フェノールなどの
フェノール系共重合体、液晶性樹脂などの集束剤で処理
されていてもよい。
【0032】本発明で好ましく用いられる熱可塑性樹脂
としては、例えば、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン
66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、
ナイロン612、ナイロン6I、ナイロン6T、ナイロ
ン9Tなど)やこれらの共重合ポリアミド(液晶性ポリ
アミドを含む)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタ
レート、ポリブチレンテレフタレートなど)やこれらの
共重合ポリエステル(液晶性ポリエステルを含む)、ポ
リカーボネート、アクリロニトリル・ブタジエン・スチ
レン共重合体(略称ABS)、アクリロニトリル・スチ
レン共重合体(略称AS)、ポリオレフィン(ポリエチ
レン、ポリプロピレンなど)、ポリスチレン、ポリエー
テルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポ
リフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイド、
ポリエーテルエーテルケトン、およびこれらを組み合わ
せたポリマーアロイなど、ほとんどすべての熱可塑性樹
脂を用いることができる。それらの中で好ましいものと
してポリアミド、ポリカーボネート、ABS、ポリフェ
ニレンオキサイドである。
としては、例えば、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン
66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、
ナイロン612、ナイロン6I、ナイロン6T、ナイロ
ン9Tなど)やこれらの共重合ポリアミド(液晶性ポリ
アミドを含む)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタ
レート、ポリブチレンテレフタレートなど)やこれらの
共重合ポリエステル(液晶性ポリエステルを含む)、ポ
リカーボネート、アクリロニトリル・ブタジエン・スチ
レン共重合体(略称ABS)、アクリロニトリル・スチ
レン共重合体(略称AS)、ポリオレフィン(ポリエチ
レン、ポリプロピレンなど)、ポリスチレン、ポリエー
テルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポ
リフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイド、
ポリエーテルエーテルケトン、およびこれらを組み合わ
せたポリマーアロイなど、ほとんどすべての熱可塑性樹
脂を用いることができる。それらの中で好ましいものと
してポリアミド、ポリカーボネート、ABS、ポリフェ
ニレンオキサイドである。
【0033】また、特に耐衝撃性改良の必要性に応じ
て、オレフィン系共重合体、ポリエステルポリエーテル
エラストマー、ポリエステルポリエステルエラストマー
などのエラストマーから選ばれる1種または2種以上の
混合物を添加して、所望の特性をさらに付与した樹脂も
使用することもできる。更に、成形性、耐熱性、低吸水
性などの必要特性に応じて、これらの共重合体、および
2種類以上混合した樹脂も本発明で使用できる。また、
更に耐衝撃性向上などのために、上記樹脂にエラストマ
ー、もしくはゴム成分を添加した樹脂や、樹脂を混合す
るときの相溶性制御などのために末端基を変性したり、
封止した樹脂も、本発明に含まれる。
て、オレフィン系共重合体、ポリエステルポリエーテル
エラストマー、ポリエステルポリエステルエラストマー
などのエラストマーから選ばれる1種または2種以上の
混合物を添加して、所望の特性をさらに付与した樹脂も
使用することもできる。更に、成形性、耐熱性、低吸水
性などの必要特性に応じて、これらの共重合体、および
2種類以上混合した樹脂も本発明で使用できる。また、
更に耐衝撃性向上などのために、上記樹脂にエラストマ
ー、もしくはゴム成分を添加した樹脂や、樹脂を混合す
るときの相溶性制御などのために末端基を変性したり、
封止した樹脂も、本発明に含まれる。
【0034】かかる樹脂組成物には、その目的に応じ
て、充填材、本発明以外の難燃剤、難燃助剤、顔料、染
料、滑剤、離型剤、相溶化剤、分散剤、結晶核剤、可塑
剤、熱安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、紫外線吸収
剤、流動性改質剤、発泡剤、抗菌剤、制振剤、防臭剤、
摺動性改質剤、導電性付与剤、帯電防止剤、剛性付与剤
等の任意の添加剤を使用することができる。
て、充填材、本発明以外の難燃剤、難燃助剤、顔料、染
料、滑剤、離型剤、相溶化剤、分散剤、結晶核剤、可塑
剤、熱安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、紫外線吸収
剤、流動性改質剤、発泡剤、抗菌剤、制振剤、防臭剤、
摺動性改質剤、導電性付与剤、帯電防止剤、剛性付与剤
等の任意の添加剤を使用することができる。
【0035】本発明の樹脂組成物の形態としては、成形
材料としてプレス成形機や射出成形機で成形する材料で
あることが好ましい。特に射出成形用ペレットであるこ
とが好ましい。
材料としてプレス成形機や射出成形機で成形する材料で
あることが好ましい。特に射出成形用ペレットであるこ
とが好ましい。
【0036】射出成形用ペレットとしては、好ましく
は、炭素繊維と熱可塑性樹脂(および必要に応じて添加
剤など)を1軸または2軸の押し出し機で溶融混練して
押し出し、さらに必要に応じてカットしたコンパウンド
ペレットや、炭素繊維束を熱可塑性樹脂で被覆または含
浸させ、成形材料の長手方向は、ほぼ同一の断面形状で
成形方法によって適宜、適当な長さにカットした長繊維
ペレットがある。
は、炭素繊維と熱可塑性樹脂(および必要に応じて添加
剤など)を1軸または2軸の押し出し機で溶融混練して
押し出し、さらに必要に応じてカットしたコンパウンド
ペレットや、炭素繊維束を熱可塑性樹脂で被覆または含
浸させ、成形材料の長手方向は、ほぼ同一の断面形状で
成形方法によって適宜、適当な長さにカットした長繊維
ペレットがある。
【0037】本発明の樹脂組成物、特に射出成形用ペレ
ットを成形してなる成形品が、導電性、力学的特性(強
度、剛性、衝撃強度等)を兼ね備えるためには、成形品
中の炭素繊維の長さを長くすることが有効であるが、コ
ンパウンドペレットでは得られない導電性と力学特性を
得るためには、前述のペレットの中でも長繊維ペレット
の形態をとることが望ましい。
ットを成形してなる成形品が、導電性、力学的特性(強
度、剛性、衝撃強度等)を兼ね備えるためには、成形品
中の炭素繊維の長さを長くすることが有効であるが、コ
ンパウンドペレットでは得られない導電性と力学特性を
得るためには、前述のペレットの中でも長繊維ペレット
の形態をとることが望ましい。
【0038】本発明でいう長繊維ペレットとは、例えば
特公昭63−37694号公報に示されるような、繊維
がペレットの長手方向にほぼ平行に配列し、ペレット中
の繊維の長さがペレット長さとほぼ同一、もしくはそれ
以上であるペレットが含まれるものを指す。長さは、好
ましくは1〜15mmである。
特公昭63−37694号公報に示されるような、繊維
がペレットの長手方向にほぼ平行に配列し、ペレット中
の繊維の長さがペレット長さとほぼ同一、もしくはそれ
以上であるペレットが含まれるものを指す。長さは、好
ましくは1〜15mmである。
【0039】含浸された長繊維ペレットの場合、例え
ば、(1)樹脂のエマルジョン、サスペンジョン、溶液
あるいは溶融物の入った含浸槽中を強化繊維束を通し
て、樹脂など本発明の各成分を含浸させる方法、(2)
樹脂粉末などを振動や気体で分散させた状態のところへ
強化繊維束を通して粉末を強化繊維束に浸透させた後に
加熱して、樹脂など本発明の各成分を含浸させる方法、
(3)溶融樹脂を押し出したクロスヘッドダイを用い
て、強化繊維束を引き抜きながら、樹脂など本発明の各
成分を含浸させる方法、などの公知の含浸方法を利用す
ることができるが、本発明の成分を均一かつ所望量配合
するためには、上記(3)に記載の含浸方法を利用する
ことが好ましい。
ば、(1)樹脂のエマルジョン、サスペンジョン、溶液
あるいは溶融物の入った含浸槽中を強化繊維束を通し
て、樹脂など本発明の各成分を含浸させる方法、(2)
樹脂粉末などを振動や気体で分散させた状態のところへ
強化繊維束を通して粉末を強化繊維束に浸透させた後に
加熱して、樹脂など本発明の各成分を含浸させる方法、
(3)溶融樹脂を押し出したクロスヘッドダイを用い
て、強化繊維束を引き抜きながら、樹脂など本発明の各
成分を含浸させる方法、などの公知の含浸方法を利用す
ることができるが、本発明の成分を均一かつ所望量配合
するためには、上記(3)に記載の含浸方法を利用する
ことが好ましい。
【0040】さらに好ましくは、特開平10−1383
79号公報に示されたような、少なくとも強化繊維束炭
素繊維に、熱可塑性樹脂中で最も配合量が多い熱可塑性
樹脂(以下、主要熱可塑性樹脂という)よりも低粘度の
樹脂(以下、低粘度樹脂という)を含浸させた複合体か
らなる芯部と、主要熱可塑性樹脂からなる鞘部とからな
る芯鞘型の長繊維ペレットである。前記芯鞘型の長繊維
ペレットの場合、強化繊維束は、低粘度樹脂(粘度差
は、好ましくは50〜500Pa・s、尚、粘度は剪断
速度103s-1で240℃における溶融粘度をキャピラ
リーレオメーターで測定したものである)で予め含浸
(樹脂中の含有量が好ましくは0.1〜20重量%)さ
れ、炭素繊維と前記低粘度樹脂との複合体に、少なくと
も主要熱可塑性樹脂で被覆されていることが好ましい。
好適には、前記複合体は、炭素繊維表面に前記低粘度樹
脂で被覆されたものである。
79号公報に示されたような、少なくとも強化繊維束炭
素繊維に、熱可塑性樹脂中で最も配合量が多い熱可塑性
樹脂(以下、主要熱可塑性樹脂という)よりも低粘度の
樹脂(以下、低粘度樹脂という)を含浸させた複合体か
らなる芯部と、主要熱可塑性樹脂からなる鞘部とからな
る芯鞘型の長繊維ペレットである。前記芯鞘型の長繊維
ペレットの場合、強化繊維束は、低粘度樹脂(粘度差
は、好ましくは50〜500Pa・s、尚、粘度は剪断
速度103s-1で240℃における溶融粘度をキャピラ
リーレオメーターで測定したものである)で予め含浸
(樹脂中の含有量が好ましくは0.1〜20重量%)さ
れ、炭素繊維と前記低粘度樹脂との複合体に、少なくと
も主要熱可塑性樹脂で被覆されていることが好ましい。
好適には、前記複合体は、炭素繊維表面に前記低粘度樹
脂で被覆されたものである。
【0041】ここで、前記低粘度樹脂とは、炭素繊維に
前記主要熱可塑性樹脂が含浸するのを促進させる樹脂で
あり、例えばエポキシ樹脂、アルコール可溶もしくは水
可溶性ポリアミド樹脂またはポリエステル樹脂、前記熱
可塑性樹脂よりも低分子量の熱可塑性樹脂、フェノール
系樹脂(例えばノボラックフェノールやクレゾールフェ
ノール等のフェノール樹脂、例えばアルキルベンゼン変
性やカシュー変性やテルペン変性等の変性フェノール樹
脂、フェノール共重合樹脂等)、液晶性樹脂などを挙げ
ることができる。
前記主要熱可塑性樹脂が含浸するのを促進させる樹脂で
あり、例えばエポキシ樹脂、アルコール可溶もしくは水
可溶性ポリアミド樹脂またはポリエステル樹脂、前記熱
可塑性樹脂よりも低分子量の熱可塑性樹脂、フェノール
系樹脂(例えばノボラックフェノールやクレゾールフェ
ノール等のフェノール樹脂、例えばアルキルベンゼン変
性やカシュー変性やテルペン変性等の変性フェノール樹
脂、フェノール共重合樹脂等)、液晶性樹脂などを挙げ
ることができる。
【0042】本発明のペレットの配合形態は特に制限さ
れないが、好ましくは、前記低粘度樹脂で強化繊維束
(炭素繊維)を含浸し、複合体を形成した後、主要熱可
塑性樹脂で、前記複合体を被覆した長繊維ペレット単
独、またはかかる長繊維ペレットと前記主要熱可塑性樹
脂を含む成形材料、例えば熱可塑性樹脂ペレットとをド
ライブレンドしたものがよい。
れないが、好ましくは、前記低粘度樹脂で強化繊維束
(炭素繊維)を含浸し、複合体を形成した後、主要熱可
塑性樹脂で、前記複合体を被覆した長繊維ペレット単
独、またはかかる長繊維ペレットと前記主要熱可塑性樹
脂を含む成形材料、例えば熱可塑性樹脂ペレットとをド
ライブレンドしたものがよい。
【0043】本発明の長繊維ペレットはそれを構成する
炭素繊維のフィラメント数が3,000〜150,00
0本の範囲が好ましい。3,000本未満では生産性が
低くコストアップの原因になったり、炭素繊維束を被覆
する工程においてその細さから被覆工程において毛羽等
による工程トラブルの原因になることがある。150,
000本を超えると、ストランドが太くなるので、前記
熱可塑性樹脂および前記溶融粘度が低い樹脂による含浸
をしにくくなって、成形品の表面性や力学特性および導
電性が低下することがある。より好ましくは10,00
0本以上100,000本以下である。
炭素繊維のフィラメント数が3,000〜150,00
0本の範囲が好ましい。3,000本未満では生産性が
低くコストアップの原因になったり、炭素繊維束を被覆
する工程においてその細さから被覆工程において毛羽等
による工程トラブルの原因になることがある。150,
000本を超えると、ストランドが太くなるので、前記
熱可塑性樹脂および前記溶融粘度が低い樹脂による含浸
をしにくくなって、成形品の表面性や力学特性および導
電性が低下することがある。より好ましくは10,00
0本以上100,000本以下である。
【0044】本発明の成形品は、上述した射出成形用ペ
レットを用いて得られる成形品である。この場合所望の
炭素繊維含有量にするため、熱可塑性樹脂を本発明の射
出成形用ペレットとドライブレンドして調整することも
好ましい。
レットを用いて得られる成形品である。この場合所望の
炭素繊維含有量にするため、熱可塑性樹脂を本発明の射
出成形用ペレットとドライブレンドして調整することも
好ましい。
【0045】また、ドライブレンドされるペレットに
は、本発明の効果を妨げない限り、熱可塑性樹脂以外に
タルクや炭素繊維などが含有していても良い。また、ド
ライブレンドされた後の混合ペレットにおいても、それ
に含まれる炭素繊維の特質(結晶サイズ、炭素と酸素の
原子数比等)の平均値は本発明の炭素繊維の特質の範囲
内(結晶サイズが1.6〜3nm、炭素と酸素の原子数
比(O/C)が0.03〜0.08等)であることが好
ましい。
は、本発明の効果を妨げない限り、熱可塑性樹脂以外に
タルクや炭素繊維などが含有していても良い。また、ド
ライブレンドされた後の混合ペレットにおいても、それ
に含まれる炭素繊維の特質(結晶サイズ、炭素と酸素の
原子数比等)の平均値は本発明の炭素繊維の特質の範囲
内(結晶サイズが1.6〜3nm、炭素と酸素の原子数
比(O/C)が0.03〜0.08等)であることが好
ましい。
【0046】射出成形した成形品は、導電性、力学的特
性(特に剛性、衝撃強度)を同時に達成するためには、
成形品中の炭素繊維の長さを長くすることが有効である
ことは前述の通りであるが、この場合、特に成形条件お
よび射出成形機、さらに金型の影響を考慮しなければな
らない。成形条件に関していえば、背圧が低いほど、射
出速度が遅いほど、スクリュー回転数が遅いほど、成形
品中の炭素繊維の長さが長くなる傾向があり、特に背圧
は、計量性が不安定にならない程度に、できるだけ低く
設定するのが好ましい。望ましい背圧は0.1〜1MP
aである。射出成形機については、ノズル径が太く、ノ
ズルのテーパー角度が小さく、スクリュー溝深さが深
く、圧縮比が低いほど成形品中の炭素繊維の長さが長く
なる傾向がある。金型については、スプルー径を大きく
するほど、ゲート径を大きくするほど、成形品中の炭素
繊維の長さが長くなる傾向がある。
性(特に剛性、衝撃強度)を同時に達成するためには、
成形品中の炭素繊維の長さを長くすることが有効である
ことは前述の通りであるが、この場合、特に成形条件お
よび射出成形機、さらに金型の影響を考慮しなければな
らない。成形条件に関していえば、背圧が低いほど、射
出速度が遅いほど、スクリュー回転数が遅いほど、成形
品中の炭素繊維の長さが長くなる傾向があり、特に背圧
は、計量性が不安定にならない程度に、できるだけ低く
設定するのが好ましい。望ましい背圧は0.1〜1MP
aである。射出成形機については、ノズル径が太く、ノ
ズルのテーパー角度が小さく、スクリュー溝深さが深
く、圧縮比が低いほど成形品中の炭素繊維の長さが長く
なる傾向がある。金型については、スプルー径を大きく
するほど、ゲート径を大きくするほど、成形品中の炭素
繊維の長さが長くなる傾向がある。
【0047】上述のように、本発明の成形品が、高い導
電性、力学的特性を兼ね備えるためには、該成形品中に
含まれる強化材である炭素繊維の重量平均繊維長(l
w)が0.25〜1mm、好ましくは0.3〜1mm、
更に好ましくは0.35〜1mmであることが好まし
い。また、成形品中の炭素繊維総量の少なくとも3重量
%の繊維長が1〜15mmの範囲であることが好まし
い。より好ましくは、炭素繊維総量の少なくとも5重量
%が1〜10mmの範囲であり、一層好ましくは炭素繊
維総量の少なくとも5重量%が1〜7mmの範囲であ
る。とりわけ好ましくは、炭素繊維総量の少なくとも8
重量%が1〜7mmの範囲である。
電性、力学的特性を兼ね備えるためには、該成形品中に
含まれる強化材である炭素繊維の重量平均繊維長(l
w)が0.25〜1mm、好ましくは0.3〜1mm、
更に好ましくは0.35〜1mmであることが好まし
い。また、成形品中の炭素繊維総量の少なくとも3重量
%の繊維長が1〜15mmの範囲であることが好まし
い。より好ましくは、炭素繊維総量の少なくとも5重量
%が1〜10mmの範囲であり、一層好ましくは炭素繊
維総量の少なくとも5重量%が1〜7mmの範囲であ
る。とりわけ好ましくは、炭素繊維総量の少なくとも8
重量%が1〜7mmの範囲である。
【0048】本発明はプレスや射出成形機で成形したC
FRTP成形品が、特に射出成形した成形品の体積固有
電気抵抗VRが100Ω・cm以下であることが好まし
い。これは。本発明が長繊維ペレットを射出成形する事
により成形品中での炭素繊維の長さを長く維持すること
ができるため、力学的特性の他に、特に、高い導電性を
有する成形品を提供するものである。特に、炭素繊維の
配合量が20重量%以下のような低い配合率の場合に
は、通常のペレットに比べて導電性の発現効果は顕著で
あり、このような範囲の炭素繊維の配合率で長繊維ペレ
ットを用いることは、高い導電性を達成するためには非
常に有効である。もちろん、力学的特性に関しても、同
様にその向上効果は絶大である。より望ましい体積固有
電気抵抗値は50Ω・cm以下である。特に炭素繊維の
配合率が20重量%以上において体積固有電気抵抗が1
0Ω・cm以下となる特徴がある。好ましくは5Ω・c
m以下である。
FRTP成形品が、特に射出成形した成形品の体積固有
電気抵抗VRが100Ω・cm以下であることが好まし
い。これは。本発明が長繊維ペレットを射出成形する事
により成形品中での炭素繊維の長さを長く維持すること
ができるため、力学的特性の他に、特に、高い導電性を
有する成形品を提供するものである。特に、炭素繊維の
配合量が20重量%以下のような低い配合率の場合に
は、通常のペレットに比べて導電性の発現効果は顕著で
あり、このような範囲の炭素繊維の配合率で長繊維ペレ
ットを用いることは、高い導電性を達成するためには非
常に有効である。もちろん、力学的特性に関しても、同
様にその向上効果は絶大である。より望ましい体積固有
電気抵抗値は50Ω・cm以下である。特に炭素繊維の
配合率が20重量%以上において体積固有電気抵抗が1
0Ω・cm以下となる特徴がある。好ましくは5Ω・c
m以下である。
【0049】本発明はこのときの電磁波シールド性とし
て20dB以上であることが好ましくさらに好ましくは
25dB以上である。尚、電磁波シールド性はアドバン
テスト法に準じて測定し、厚さ1mmの平板に1GHz
の電磁波を照射した時に平板で減衰する減衰量をデシベ
ル(単位dB)で表した数値である。
て20dB以上であることが好ましくさらに好ましくは
25dB以上である。尚、電磁波シールド性はアドバン
テスト法に準じて測定し、厚さ1mmの平板に1GHz
の電磁波を照射した時に平板で減衰する減衰量をデシベ
ル(単位dB)で表した数値である。
【0050】炭素繊維に起因する高い剛性を兼ね備えて
いるため、ASTM D 790規格(スパン間距離L
/板厚D=16)において、板厚6mmでの曲げ剛性が
8〜40GPaの範囲であり、望ましくは10〜30G
Paの範囲、特に望ましくは15〜25GPaの範囲の
成形品として用いるのがよい。
いるため、ASTM D 790規格(スパン間距離L
/板厚D=16)において、板厚6mmでの曲げ剛性が
8〜40GPaの範囲であり、望ましくは10〜30G
Paの範囲、特に望ましくは15〜25GPaの範囲の
成形品として用いるのがよい。
【0051】本発明の熱可塑性樹脂組成物および射出成
形用ペレットは、薄肉成形性(成形時の流動性)、導電
性を兼ね備えているので、従来の成形品より肉厚を薄く
することが可能であり、肉厚が0.3〜4mmの範囲で
ある薄肉成形品として用いるのが最適である。より好ま
しくは、肉厚0.5〜3mm、さらに好ましくは0.6
〜2mmの範囲である薄肉成形品として用いるのが、本
発明の効果をより発揮できる。とりわけ好ましくは、肉
厚0.7〜1.6mmの範囲である薄肉成形品として用
いることである。ここでいう成形品の肉厚とは、成形品
のうち、リブ部分やボス部分などの突起物などを除いた
平板部分の肉厚を指す。
形用ペレットは、薄肉成形性(成形時の流動性)、導電
性を兼ね備えているので、従来の成形品より肉厚を薄く
することが可能であり、肉厚が0.3〜4mmの範囲で
ある薄肉成形品として用いるのが最適である。より好ま
しくは、肉厚0.5〜3mm、さらに好ましくは0.6
〜2mmの範囲である薄肉成形品として用いるのが、本
発明の効果をより発揮できる。とりわけ好ましくは、肉
厚0.7〜1.6mmの範囲である薄肉成形品として用
いることである。ここでいう成形品の肉厚とは、成形品
のうち、リブ部分やボス部分などの突起物などを除いた
平板部分の肉厚を指す。
【0052】本発明の成形品はマトリックス樹脂に含ま
れる炭素繊維に特徴がある。すなわち成形品を構成する
マトリックス樹脂を溶剤で溶かし、分離取り出された炭
素繊維が、次の特性を有することに特徴がある。すなわ
ち、本発明の射出成形品から得られる炭素繊維は、X線
広角法で測定した結晶サイズが1.6〜3nmの範囲内
である。結晶サイズが1.6nmより小さいと、炭素繊
維の結晶構造が十分に発達しない状態となることから、
引張、曲げ強度など、炭素繊維に本来期待されている力
学特性が低下する。一方、3nmを越えると、炭素繊維
の弾性率が高くなり、引張、曲げなどの応力により破壊
にいたるまでのひずみ量が小さくなるため、例えば射出
成形の際などにスクリュー等で混練したときに、炭素繊
維が切断されやすくなる結果、成形品中の繊維長が短く
なり、電磁波シールド性や制電性が低くなる。より好ま
しい炭素繊維の結晶サイズは1.8〜2.7nm、さら
に好ましくは2.1〜2.5nmである。
れる炭素繊維に特徴がある。すなわち成形品を構成する
マトリックス樹脂を溶剤で溶かし、分離取り出された炭
素繊維が、次の特性を有することに特徴がある。すなわ
ち、本発明の射出成形品から得られる炭素繊維は、X線
広角法で測定した結晶サイズが1.6〜3nmの範囲内
である。結晶サイズが1.6nmより小さいと、炭素繊
維の結晶構造が十分に発達しない状態となることから、
引張、曲げ強度など、炭素繊維に本来期待されている力
学特性が低下する。一方、3nmを越えると、炭素繊維
の弾性率が高くなり、引張、曲げなどの応力により破壊
にいたるまでのひずみ量が小さくなるため、例えば射出
成形の際などにスクリュー等で混練したときに、炭素繊
維が切断されやすくなる結果、成形品中の繊維長が短く
なり、電磁波シールド性や制電性が低くなる。より好ま
しい炭素繊維の結晶サイズは1.8〜2.7nm、さら
に好ましくは2.1〜2.5nmである。
【0053】また、本発明の射出成形品から得られる炭
素繊維は、繊維断面の直径の平均(平均繊維径)が3〜
15μmの範囲内である。平均繊維径が3μm未満で
は、炭素繊維束中への熱可塑性樹脂の含浸が困難とな
り、成形品中での炭素繊維の分散性に劣るなどの問題を
生じる。一方、平均繊維径が15μmを超えると、力学
的特性に優れる炭素繊維を得ることが困難になり、所望
の補強効果が得られにくい。より好ましくは5〜11μ
mであり、さらに好ましくは6〜9μmである。
素繊維は、繊維断面の直径の平均(平均繊維径)が3〜
15μmの範囲内である。平均繊維径が3μm未満で
は、炭素繊維束中への熱可塑性樹脂の含浸が困難とな
り、成形品中での炭素繊維の分散性に劣るなどの問題を
生じる。一方、平均繊維径が15μmを超えると、力学
的特性に優れる炭素繊維を得ることが困難になり、所望
の補強効果が得られにくい。より好ましくは5〜11μ
mであり、さらに好ましくは6〜9μmである。
【0054】また、本発明の射出成形品から得られる炭
素繊維は、ESCAで測定した炭素繊維表面の炭素と酸
素の原子数比(O/C)が0.03〜0.08の範囲内
である。(O/C)が0.03未満では炭素繊維表面の
官能基量が少なく炭素繊維と熱可塑性樹脂との接着性が
低下し、その結果力学特性が低下し好ましくない。一方
0.08を越えると熱可塑性樹脂組成物からなる成形品
の導電性が低下し好ましくない。より好ましくは0.0
3〜0.07であり、さらに好ましくは0.035〜
0.05未満である。
素繊維は、ESCAで測定した炭素繊維表面の炭素と酸
素の原子数比(O/C)が0.03〜0.08の範囲内
である。(O/C)が0.03未満では炭素繊維表面の
官能基量が少なく炭素繊維と熱可塑性樹脂との接着性が
低下し、その結果力学特性が低下し好ましくない。一方
0.08を越えると熱可塑性樹脂組成物からなる成形品
の導電性が低下し好ましくない。より好ましくは0.0
3〜0.07であり、さらに好ましくは0.035〜
0.05未満である。
【0055】成形品から取り出した炭素繊維は成形品中
に含まれるシリカ酸化物が炭素繊維に微量付着している
可能性がある。その場合、シリカはシリカ酸化物として
存在し、その酸素も同時に測定される。したがってこの
シリカ酸化物の酸素原子分を測定値から差し引くことに
より炭素繊維表面の(O/C)を求めることができる。
この場合シリカ酸化物がSiO2として計算すると妥当
な値となるが少量のシリカ酸化物の酸素原子を炭素繊維
表面の(O/C)として測定している場合もある。本発
明の炭素繊維および射出成形品から得られる炭素繊維は
この方法により求めた(O/C)の値を表している。
に含まれるシリカ酸化物が炭素繊維に微量付着している
可能性がある。その場合、シリカはシリカ酸化物として
存在し、その酸素も同時に測定される。したがってこの
シリカ酸化物の酸素原子分を測定値から差し引くことに
より炭素繊維表面の(O/C)を求めることができる。
この場合シリカ酸化物がSiO2として計算すると妥当
な値となるが少量のシリカ酸化物の酸素原子を炭素繊維
表面の(O/C)として測定している場合もある。本発
明の炭素繊維および射出成形品から得られる炭素繊維は
この方法により求めた(O/C)の値を表している。
【0056】本発明は、かかる特性を有する炭素繊維を
用いた場合、特異的に高い導電性と薄肉成形性(特に成
形時の流動性)および良好な外観品位を兼ね備えた導電
性樹脂組成物を提供することができることを究明したも
のである。すなわち、特定の結晶サイズと特定の(O/
C)を有する炭素繊維が、上記高導電性、薄肉成形性、
および外観品位を同時に満足するという優れた効果を達
成することを見出したものである。前記結晶サイズと
(O/C)は、炭素繊維の様々な特性を各々測定するこ
となく、簡便に、かつ、正確に選定することができるこ
とから、工業的見地からも非常に有意義である。
用いた場合、特異的に高い導電性と薄肉成形性(特に成
形時の流動性)および良好な外観品位を兼ね備えた導電
性樹脂組成物を提供することができることを究明したも
のである。すなわち、特定の結晶サイズと特定の(O/
C)を有する炭素繊維が、上記高導電性、薄肉成形性、
および外観品位を同時に満足するという優れた効果を達
成することを見出したものである。前記結晶サイズと
(O/C)は、炭素繊維の様々な特性を各々測定するこ
となく、簡便に、かつ、正確に選定することができるこ
とから、工業的見地からも非常に有意義である。
【0057】上述した本発明の成形品は、マトリックス
がポリアミド樹脂であるポリアミド成形品が特に好まし
い。
がポリアミド樹脂であるポリアミド成形品が特に好まし
い。
【0058】本発明における成形品の用途としては、薄
肉成形品における、成形性、力学的特性(特に剛性)が
求められる電子・電気機器用部材などが挙げられる。本
発明の成形品は、高い剛性、軽量化、電磁波シールド性
などが達成できるため、携帯用の電子・電気機器のハウ
ジングなどの用途に有効である。より具体的には、大型
ディスプレイ、ノート型パソコン、携帯用電話機、PH
S、PDA(電子手帳などの携帯情報端末)、ビデオカ
メラ、デジタルスチルカメラ、携帯用ラジオカセット再
生機などのハウジングなどに好んで使用される。
肉成形品における、成形性、力学的特性(特に剛性)が
求められる電子・電気機器用部材などが挙げられる。本
発明の成形品は、高い剛性、軽量化、電磁波シールド性
などが達成できるため、携帯用の電子・電気機器のハウ
ジングなどの用途に有効である。より具体的には、大型
ディスプレイ、ノート型パソコン、携帯用電話機、PH
S、PDA(電子手帳などの携帯情報端末)、ビデオカ
メラ、デジタルスチルカメラ、携帯用ラジオカセット再
生機などのハウジングなどに好んで使用される。
【0059】また、高い導電性を有しているため、炭素
繊維の少量添加で帯電/放電防止性を付与することがで
き、それらの特性が必要とされる部材、例えばICトレ
ー、シリコンウェーハー運搬用バスケットなどへの適応
にも有用である。
繊維の少量添加で帯電/放電防止性を付与することがで
き、それらの特性が必要とされる部材、例えばICトレ
ー、シリコンウェーハー運搬用バスケットなどへの適応
にも有用である。
【0060】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に詳細に説
明するが、下記実施例は本発明を制限するものではな
く、前・後記の主旨を逸脱しない範囲で変更実施するこ
とは、全て本発明の技術範囲に包含される。
明するが、下記実施例は本発明を制限するものではな
く、前・後記の主旨を逸脱しない範囲で変更実施するこ
とは、全て本発明の技術範囲に包含される。
【0061】炭素繊維や成形品の評価項目、およびその
方法は下記の通り。 (a)炭素繊維の結晶サイズ ・試料調製: (1)炭素繊維がフィラメントの形態の場合 炭素繊維を長さ4cmに切り、20mgを秤量し、金型
(長さ3cm、幅1mm、深さ1mm)とコロジオン・
アルコール溶液で角柱を作製し測定試料とした。 (2)炭素繊維の繊維長が10mm前後の場合 炭素繊維を5mg秤量し、金型(長さ3cm、幅1m
m、深さ1mm)とコロジオン・アルコール溶液で角柱
を作製し測定試料とした。 (3)炭素繊維が粉末又は、これに近い形態の場合 繊維を内径6〜8mmφ、深さ1mmのリング状ホルダ
ーに押し詰め、コロジオン・アルコール溶液で固めてホ
ルダーごと測定試料とした。・透過法により広角X線回
折法で下記の条件で測定した。
方法は下記の通り。 (a)炭素繊維の結晶サイズ ・試料調製: (1)炭素繊維がフィラメントの形態の場合 炭素繊維を長さ4cmに切り、20mgを秤量し、金型
(長さ3cm、幅1mm、深さ1mm)とコロジオン・
アルコール溶液で角柱を作製し測定試料とした。 (2)炭素繊維の繊維長が10mm前後の場合 炭素繊維を5mg秤量し、金型(長さ3cm、幅1m
m、深さ1mm)とコロジオン・アルコール溶液で角柱
を作製し測定試料とした。 (3)炭素繊維が粉末又は、これに近い形態の場合 繊維を内径6〜8mmφ、深さ1mmのリング状ホルダ
ーに押し詰め、コロジオン・アルコール溶液で固めてホ
ルダーごと測定試料とした。・透過法により広角X線回
折法で下記の条件で測定した。
【0062】
・X線発生装置: 理学電機株式会社製CatNo.4036A2
X線源 ;CuKα(Niフィルター使用)
出力 ;40kV20mA
・ゴニオメータ: 理学電機株式会社製CatNo.2155D1
・繊維試料台 スリット系;2mmφピンホールコリメーター
縦スリット 1゜、横スリット 1゜
検出器;シンチレーションカウンター
・赤道方向測定:
スキャン方式 ;(2θ/θ)ステップスキャン
測定範囲 ;10〜40゜
計数ステップ間隔 ;0.02°
積算時間 ;1秒
・解析方法: 透過法により得られた面指数(002)
のピークの半価幅からScherrerの式を用いて結
晶サイズを求めた。
のピークの半価幅からScherrerの式を用いて結
晶サイズを求めた。
【0063】L(hkl)=Kλ/β0COSθB
L(hkl):微結晶(hkl)面に垂直な方向の平均
の大きさ K :1.0 λ :X線の波長 β0:(βE 2ーβ1 2)1/2 βE:見かけの半値幅(測定値) β1:1.05×10-2rad(装置定数) θB:ブラッグ角 (b)炭素繊維の平均単繊維直径 下記式によって算出した。
の大きさ K :1.0 λ :X線の波長 β0:(βE 2ーβ1 2)1/2 βE:見かけの半値幅(測定値) β1:1.05×10-2rad(装置定数) θB:ブラッグ角 (b)炭素繊維の平均単繊維直径 下記式によって算出した。
【0064】Df=[(W×4)/(N×ρf×100×
3.14)]1/2×10000 Df:平均単繊維直径(μm) W :1mあたりの繊維束重量(g) N :繊維束中のフィラメント数(本) ρf :繊維の比重 また、上記炭素繊維の平均繊維径は下記の方法でも測定
した。この方法は成形品中の炭素繊維の断面を観察して
求める方法である。
3.14)]1/2×10000 Df:平均単繊維直径(μm) W :1mあたりの繊維束重量(g) N :繊維束中のフィラメント数(本) ρf :繊維の比重 また、上記炭素繊維の平均繊維径は下記の方法でも測定
した。この方法は成形品中の炭素繊維の断面を観察して
求める方法である。
【0065】・無作為に抽出した100本の繊維断面か
ら短径の判別可能な形状(円形、楕円形、前記形状の一
部が切り欠かれた形状)を選択して以下により直径(μ
m)を算出した。
ら短径の判別可能な形状(円形、楕円形、前記形状の一
部が切り欠かれた形状)を選択して以下により直径(μ
m)を算出した。
【0066】Df=Dsの平均値
Df:平均繊維径(μm)
Ds:短径(μm)
(c)ESCAとAES測定用炭素繊維の準備
(c−1)樹脂組成物を形成していない本発明の炭素繊
維の場合 ソックスレー抽出器に入れメタノール/クロロフォルム
(1/1)の混合液を沸騰還流させて付着しているサイ
ジング剤等溶出成分を抽出分離した。この炭素繊維を乾
燥後、ビーカーに入れた98%濃硫酸液に10時間浸漬
した。その後取り出した炭素繊維をメタノールで付着硫
酸が検出限界以下になるまで洗浄し、次いで乾燥して測
定用試料とした。 (c−2)成形品より単離した本発明の炭素繊維の場合 成形品をマトリックス樹脂を溶解する溶剤に浸漬し次い
で濾過により炭素繊維を分離取り出した。さらに溶剤で
十分に洗浄した後、前述の本発明で用いる炭素繊維の準
備と同様にして測定試料を準備した。 (d)ESCA法 前項(c)の通り調製された炭素繊維の表面酸素濃度
(O/C)は、ESCAにより、次のような手順によっ
て測定した。なお、本発明では島津製作所株式会社製E
SCA−750を用いて測定を行い、前記感度補正値は
2.85であった。 (d−1)まず、サイジング剤などを溶媒で除去した炭
素繊維を銅製の試料支持台上に拡げて並べた後、光電子
脱出角度を90°とし、X線源としてMgKα1、2を
用い、試料チャンバー中を1.3×10-6Pa(1×1
0-8Torr)に保つ。 (d−2)測定時の帯電に伴うピークの補正としてC1S
の主ピークの運動エネルギー値B.E.を284.6e
Vに合わせる。C1Sピーク面積は、282〜296eV
の範囲で直線のベースラインを引くことにより求める。
O1Sピーク面積は、528〜540eVの範囲で直線の
ベースラインを引くことにより求める。 (d−3)ここで表面酸素濃度(O/C)とは、前記O
1Sピーク面積とC1Sピーク面積の比から、装置固有の感
度補正値を用いて原子数比として算出した。 (e)AES法 前項(c)の通り調製された炭素繊維の表面酸素濃度
(O/C)は、AESにより、次のような手順によって
測定した。なお、ここではPERKIN ELMER社
製 PH1670を用いて測定を行った。 (e−1)まず、サイジング剤などを溶媒で除去した炭
素繊維を銅製の試料支持台上に拡げて並べた後、試料チ
ャンバー中を1.0×10-7Paに保つ。 (e−2)加速電圧5kv、照射電流15nAの電子線
を試料傾斜角30°、ビーム径80μmで照射した。 (e−3)ここで表面酸素濃度(O/C)とは、運動エ
ネルギー275eV付近のピーク面積と520eV付近
のピーク面積の比から、原子数比として算出した。 (f)体積固有電気抵抗VR ファンゲートにて射出成形した幅12.7mm×長さ6
5mm×厚さ2mmの試験片を、絶乾状態(水分率0.
1%以下)で測定に供した。まず、2面有る幅×厚さ面
に導電性ペースト(藤倉化成株式会社製ドータイト)を
塗布し、十分に導電性ペーストを乾燥させてから、その
両面を電極に圧着し、電極間の電気抵抗値をデジタルマ
ルチメーター(FLUKE社製)にて測定する。前記電
気抵抗値から測定機器、治具等の接触抵抗を減じた値
に、導電性ペースト塗布面の面積を乗じ、次いで、その
値を試験片長さで除したものを体積固有電気抵抗値とし
た(単位はΩ・cm)。なお射出成形は、シリンダ温度
280℃、金型温度70℃にて行った。 (g)曲げ剛性E ASTM D 790規格(スパン間距離L/板厚D=
16)に準拠した曲げ剛性にて評価した(単位はGP
a)。用いた試験片の板厚は6mm厚で、水分率0.1
%以下で試験に供した。なお射出成形は、シリンダ温度
280℃、金型温度70℃にて行った。 (h)ノッチ無しアイゾット衝撃 ASTM D 256規格に準拠したモールドノッチ無
しIZOD衝撃強度にて評価した(単位はkJ/
m2)。用いた試験片の板厚は3mm厚で、水分率0.
1%以下で試験に供した。なお射出成形は、シリンダ温
度280℃、金型温度70℃にて行った。 (i)平均繊維長lw 算出は、成形品から炭素繊維のフィラメントのみを、任
意に少なくとも400本以上抽出し、その長さを1μm
単位まで光学顕微鏡もしくは走査型電子顕微鏡にて測定
して、下記の(数式1)、もしくは(数式2)を用いて
算出した。但し、lwは平均繊維長、Wiは長さliの
炭素繊維の重量、Niは長さliの炭素繊維の本数とす
る。
維の場合 ソックスレー抽出器に入れメタノール/クロロフォルム
(1/1)の混合液を沸騰還流させて付着しているサイ
ジング剤等溶出成分を抽出分離した。この炭素繊維を乾
燥後、ビーカーに入れた98%濃硫酸液に10時間浸漬
した。その後取り出した炭素繊維をメタノールで付着硫
酸が検出限界以下になるまで洗浄し、次いで乾燥して測
定用試料とした。 (c−2)成形品より単離した本発明の炭素繊維の場合 成形品をマトリックス樹脂を溶解する溶剤に浸漬し次い
で濾過により炭素繊維を分離取り出した。さらに溶剤で
十分に洗浄した後、前述の本発明で用いる炭素繊維の準
備と同様にして測定試料を準備した。 (d)ESCA法 前項(c)の通り調製された炭素繊維の表面酸素濃度
(O/C)は、ESCAにより、次のような手順によっ
て測定した。なお、本発明では島津製作所株式会社製E
SCA−750を用いて測定を行い、前記感度補正値は
2.85であった。 (d−1)まず、サイジング剤などを溶媒で除去した炭
素繊維を銅製の試料支持台上に拡げて並べた後、光電子
脱出角度を90°とし、X線源としてMgKα1、2を
用い、試料チャンバー中を1.3×10-6Pa(1×1
0-8Torr)に保つ。 (d−2)測定時の帯電に伴うピークの補正としてC1S
の主ピークの運動エネルギー値B.E.を284.6e
Vに合わせる。C1Sピーク面積は、282〜296eV
の範囲で直線のベースラインを引くことにより求める。
O1Sピーク面積は、528〜540eVの範囲で直線の
ベースラインを引くことにより求める。 (d−3)ここで表面酸素濃度(O/C)とは、前記O
1Sピーク面積とC1Sピーク面積の比から、装置固有の感
度補正値を用いて原子数比として算出した。 (e)AES法 前項(c)の通り調製された炭素繊維の表面酸素濃度
(O/C)は、AESにより、次のような手順によって
測定した。なお、ここではPERKIN ELMER社
製 PH1670を用いて測定を行った。 (e−1)まず、サイジング剤などを溶媒で除去した炭
素繊維を銅製の試料支持台上に拡げて並べた後、試料チ
ャンバー中を1.0×10-7Paに保つ。 (e−2)加速電圧5kv、照射電流15nAの電子線
を試料傾斜角30°、ビーム径80μmで照射した。 (e−3)ここで表面酸素濃度(O/C)とは、運動エ
ネルギー275eV付近のピーク面積と520eV付近
のピーク面積の比から、原子数比として算出した。 (f)体積固有電気抵抗VR ファンゲートにて射出成形した幅12.7mm×長さ6
5mm×厚さ2mmの試験片を、絶乾状態(水分率0.
1%以下)で測定に供した。まず、2面有る幅×厚さ面
に導電性ペースト(藤倉化成株式会社製ドータイト)を
塗布し、十分に導電性ペーストを乾燥させてから、その
両面を電極に圧着し、電極間の電気抵抗値をデジタルマ
ルチメーター(FLUKE社製)にて測定する。前記電
気抵抗値から測定機器、治具等の接触抵抗を減じた値
に、導電性ペースト塗布面の面積を乗じ、次いで、その
値を試験片長さで除したものを体積固有電気抵抗値とし
た(単位はΩ・cm)。なお射出成形は、シリンダ温度
280℃、金型温度70℃にて行った。 (g)曲げ剛性E ASTM D 790規格(スパン間距離L/板厚D=
16)に準拠した曲げ剛性にて評価した(単位はGP
a)。用いた試験片の板厚は6mm厚で、水分率0.1
%以下で試験に供した。なお射出成形は、シリンダ温度
280℃、金型温度70℃にて行った。 (h)ノッチ無しアイゾット衝撃 ASTM D 256規格に準拠したモールドノッチ無
しIZOD衝撃強度にて評価した(単位はkJ/
m2)。用いた試験片の板厚は3mm厚で、水分率0.
1%以下で試験に供した。なお射出成形は、シリンダ温
度280℃、金型温度70℃にて行った。 (i)平均繊維長lw 算出は、成形品から炭素繊維のフィラメントのみを、任
意に少なくとも400本以上抽出し、その長さを1μm
単位まで光学顕微鏡もしくは走査型電子顕微鏡にて測定
して、下記の(数式1)、もしくは(数式2)を用いて
算出した。但し、lwは平均繊維長、Wiは長さliの
炭素繊維の重量、Niは長さliの炭素繊維の本数とす
る。
【0067】
(数式1) lw=Σ(Wi×li)/ΣWi
(数式1)は一定直径の炭素繊維に対しては、(数式
2)の様に表すことができる。
2)の様に表すことができる。
【0068】(数式2) lw=Σ(Ni×li2)
/Σ(Ni×li) 本発明では、lwを測定する際の炭素繊維以外の成分を
除去する方法として、炭素繊維以外の成分のみを溶解さ
せ、含有される炭素繊維は溶解させない溶媒などに成形
品を一定時間浸漬し、炭素繊維以外の成分を十分溶解さ
せた後、濾過などにより炭素繊維と分離する手法を採用
した。
/Σ(Ni×li) 本発明では、lwを測定する際の炭素繊維以外の成分を
除去する方法として、炭素繊維以外の成分のみを溶解さ
せ、含有される炭素繊維は溶解させない溶媒などに成形
品を一定時間浸漬し、炭素繊維以外の成分を十分溶解さ
せた後、濾過などにより炭素繊維と分離する手法を採用
した。
【0069】実施例1a〜1d
アクリロニトリル99.4モル%とメタクリル酸0.6
モル%からなる共重合体を用いて、乾湿式紡糸方法によ
り単繊維デニール1d、フィラメント数24000本の
アクリル系繊維を得た。得られた繊維束を240〜28
0℃の空気中で、延伸比1.05で加熱し、耐炎化繊維
に転換し、ついで窒素雰囲気中で300〜1800℃で
延伸比1.00で加熱しながら焼成し炭素繊維を得た。
さらにこの炭素繊維を濃度0.1モル/lの硫酸水溶液
で2〜10クーロン/gの電流を流して電解処理し、さ
らにアルコール可溶ナイロン(アミランCM4000、
東レ株式会社製)をサイジング剤として付与させた。サ
イジング剤付与はCM4000の1%メタノール溶液中
に炭素繊維束を通した後、乾燥してメタノールを除去す
ることにより行った。付着量は1.2%であった。この
ようにして得られた炭素繊維は、ストランド強度450
0MPa、弾性率270GPa、繊維断面直径は7μ
m、結晶サイズは2.3nmであった。
モル%からなる共重合体を用いて、乾湿式紡糸方法によ
り単繊維デニール1d、フィラメント数24000本の
アクリル系繊維を得た。得られた繊維束を240〜28
0℃の空気中で、延伸比1.05で加熱し、耐炎化繊維
に転換し、ついで窒素雰囲気中で300〜1800℃で
延伸比1.00で加熱しながら焼成し炭素繊維を得た。
さらにこの炭素繊維を濃度0.1モル/lの硫酸水溶液
で2〜10クーロン/gの電流を流して電解処理し、さ
らにアルコール可溶ナイロン(アミランCM4000、
東レ株式会社製)をサイジング剤として付与させた。サ
イジング剤付与はCM4000の1%メタノール溶液中
に炭素繊維束を通した後、乾燥してメタノールを除去す
ることにより行った。付着量は1.2%であった。この
ようにして得られた炭素繊維は、ストランド強度450
0MPa、弾性率270GPa、繊維断面直径は7μ
m、結晶サイズは2.3nmであった。
【0070】上記の炭素繊維を30m/分の速度で走行
させながら連続的に処理した。
させながら連続的に処理した。
【0071】130℃加熱されたロール上で、テルペン
フェノール重合体(単環式モノテルペンフェノールとフ
ェノールの付加物、ヤスハラケミカル株式会社製YP9
02、重量平均分子量460)を炭素繊維に連続的に付
与し、さらに180℃に加熱した雰囲気でしごきを加え
て重合体を炭素繊維束中に含浸させた。
フェノール重合体(単環式モノテルペンフェノールとフ
ェノールの付加物、ヤスハラケミカル株式会社製YP9
02、重量平均分子量460)を炭素繊維に連続的に付
与し、さらに180℃に加熱した雰囲気でしごきを加え
て重合体を炭素繊維束中に含浸させた。
【0072】ナイロン樹脂ペレット(東レ株式会社製ア
ミランCM1001 ηr=約2.35)を1軸押出機
にて、その先端に取り付けたクロスヘッドダイ中に十分
混練された状態で押し出すと同時に、前記重合体を含浸
させた炭素繊維の連続糸も前記クロスヘッドダイ中に連
続的に供給することによって、重合体を含浸した炭素繊
維をナイロン樹脂が被覆したストランドを得た。さら
に、その得られた樹脂ストランドを、カッターで7mm
の長さに切断して長繊維ペレットを得た。
ミランCM1001 ηr=約2.35)を1軸押出機
にて、その先端に取り付けたクロスヘッドダイ中に十分
混練された状態で押し出すと同時に、前記重合体を含浸
させた炭素繊維の連続糸も前記クロスヘッドダイ中に連
続的に供給することによって、重合体を含浸した炭素繊
維をナイロン樹脂が被覆したストランドを得た。さら
に、その得られた樹脂ストランドを、カッターで7mm
の長さに切断して長繊維ペレットを得た。
【0073】得られた長繊維ペレットとナイロン樹脂ペ
レットとを乾燥後の成形品中の炭素繊維含有量は27重
量%となるようにドライブレンドし、80℃にて5時間
以上真空中で乾燥させた後、(a)〜(i)項記載の各
試験の射出成形に供した。結果を表1に示す。
レットとを乾燥後の成形品中の炭素繊維含有量は27重
量%となるようにドライブレンドし、80℃にて5時間
以上真空中で乾燥させた後、(a)〜(i)項記載の各
試験の射出成形に供した。結果を表1に示す。
【0074】実施例2
実施例1aのアクリル繊維束を窒素雰囲気中で300〜
1300℃で焼成した以外は実施例1と同様にして電解
電気量を2クーロン/gで炭素繊維を得た。このように
して得られた炭素繊維は、ストランド強度4900MP
a、弾性率230MPa繊維断面直径は7μm、結晶サ
イズは1.7nmであった。
1300℃で焼成した以外は実施例1と同様にして電解
電気量を2クーロン/gで炭素繊維を得た。このように
して得られた炭素繊維は、ストランド強度4900MP
a、弾性率230MPa繊維断面直径は7μm、結晶サ
イズは1.7nmであった。
【0075】上記の炭素繊維を実施例1と同様な方法に
て長繊維ペレットを得、さらに実施例1と同様に射出成
形して評価した結果を表1に示す。
て長繊維ペレットを得、さらに実施例1と同様に射出成
形して評価した結果を表1に示す。
【0076】実施例3
アクリロニトリル99.4モル%とメタクリル酸0.6
モル%からなる共重合体を用いて、乾湿式紡糸方法によ
り単繊維デニール0.8d、フィラメント数24000
本のアクリル系繊維を得た。得られた繊維束を240〜
280℃の空気中で、延伸比1.05で加熱し、耐炎化
繊維に転換し、ついで窒素雰囲気中で300〜2100
℃で延伸比1.03で加熱しながら焼成し炭素繊維を得
た。さらにこの炭素繊維を濃度0.1モル/lの硫酸水
溶液で10クーロン/gの電流を流して電解処理し、さ
らにサイジング剤を実施例1aと同様な方法で付与し
た。このようにして得られた炭素繊維は、ストランド強
度4500MPa、弾性率360GPa、繊維断面直径
は約5.3μm、結晶サイズは2.8nmであった。
モル%からなる共重合体を用いて、乾湿式紡糸方法によ
り単繊維デニール0.8d、フィラメント数24000
本のアクリル系繊維を得た。得られた繊維束を240〜
280℃の空気中で、延伸比1.05で加熱し、耐炎化
繊維に転換し、ついで窒素雰囲気中で300〜2100
℃で延伸比1.03で加熱しながら焼成し炭素繊維を得
た。さらにこの炭素繊維を濃度0.1モル/lの硫酸水
溶液で10クーロン/gの電流を流して電解処理し、さ
らにサイジング剤を実施例1aと同様な方法で付与し
た。このようにして得られた炭素繊維は、ストランド強
度4500MPa、弾性率360GPa、繊維断面直径
は約5.3μm、結晶サイズは2.8nmであった。
【0077】実施例1と同様な方法にて長繊維ペレット
を得、さらに実施例1と同様に射出成形して評価した結
果を表1に示す。
を得、さらに実施例1と同様に射出成形して評価した結
果を表1に示す。
【0078】実施例4
実施例1aで得られた電解電気量4クーロン/gの成形
品を86%蟻酸で溶解し炭素繊維のみを分離し取り出し
た。成形品中の炭素繊維の割合は27重量%であった。
この炭素繊維のO/Cの測定結果を表2に示す。 比較例1 実施例1aにて電解処理の電流を流さずに処理した以外
は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。 比較例2 実施例1aにて電解処理の電流を12クーロンで処理し
た以外は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示
す。 比較例3 実施例1aのアクリル繊維束を窒素雰囲気中で300〜
1200℃で焼成した以外は実施例1と同様にして電解
電気量を2クーロン/gで炭素繊維を得た。このように
して得られた炭素繊維は、ストランド強度4000MP
a、弾性率220MPa繊維断面直径は7μm、結晶サ
イズは1.5nmであった。
品を86%蟻酸で溶解し炭素繊維のみを分離し取り出し
た。成形品中の炭素繊維の割合は27重量%であった。
この炭素繊維のO/Cの測定結果を表2に示す。 比較例1 実施例1aにて電解処理の電流を流さずに処理した以外
は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。 比較例2 実施例1aにて電解処理の電流を12クーロンで処理し
た以外は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示
す。 比較例3 実施例1aのアクリル繊維束を窒素雰囲気中で300〜
1200℃で焼成した以外は実施例1と同様にして電解
電気量を2クーロン/gで炭素繊維を得た。このように
して得られた炭素繊維は、ストランド強度4000MP
a、弾性率220MPa繊維断面直径は7μm、結晶サ
イズは1.5nmであった。
【0079】上記の炭素繊維を実施例1と同様な方法に
て長繊維ペレットを得、さらに実施例1と同様に射出成
形して評価した結果を表1に示す。 比較例4 アクリロニトリル99.4モル%とメタクリル酸0.6
モル%からなる共重合体を用いて、乾湿式紡糸方法によ
り単繊維デニール0.8d、フィラメント数24000
本のアクリル系繊維を得た。得られた繊維束を240〜
280℃の空気中で、延伸比1.05で加熱し、耐炎化
繊維に転換し、ついで窒素雰囲気中で300〜2300
℃で延伸比1.03で加熱しながら焼成し炭素繊維を得
た。さらにこの炭素繊維を濃度0.1モル/lの硫酸水
溶液で10クーロン/gの電流を流して電解処理し、さ
らにサイジング剤を実施例1aと同様な方法で付与し
た。このようにして得られた炭素繊維は、ストランド強
度4100MPa、弾性率380GPa、繊維断面直径
は約5.1μm、結晶サイズは3.1nmであった。
て長繊維ペレットを得、さらに実施例1と同様に射出成
形して評価した結果を表1に示す。 比較例4 アクリロニトリル99.4モル%とメタクリル酸0.6
モル%からなる共重合体を用いて、乾湿式紡糸方法によ
り単繊維デニール0.8d、フィラメント数24000
本のアクリル系繊維を得た。得られた繊維束を240〜
280℃の空気中で、延伸比1.05で加熱し、耐炎化
繊維に転換し、ついで窒素雰囲気中で300〜2300
℃で延伸比1.03で加熱しながら焼成し炭素繊維を得
た。さらにこの炭素繊維を濃度0.1モル/lの硫酸水
溶液で10クーロン/gの電流を流して電解処理し、さ
らにサイジング剤を実施例1aと同様な方法で付与し
た。このようにして得られた炭素繊維は、ストランド強
度4100MPa、弾性率380GPa、繊維断面直径
は約5.1μm、結晶サイズは3.1nmであった。
【0080】実施例1と同様な方法にて長繊維ペレット
を得、さらに実施例1と同様に射出成形して評価した結
果を表1に示す。 比較例5 比較例2の成形品を実施例4と同様に実施した。成形品
中の炭素繊維の割合は27重量%であった。この炭素繊
維のO/Cの測定結果を表2に示す。
を得、さらに実施例1と同様に射出成形して評価した結
果を表1に示す。 比較例5 比較例2の成形品を実施例4と同様に実施した。成形品
中の炭素繊維の割合は27重量%であった。この炭素繊
維のO/Cの測定結果を表2に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】表1と2の結果から以下のことが明らかで
ある。 1.結晶サイズ(Lc)の効果 Lcが1.6〜3nmの範囲外である比較例3〜4に比
べて、範囲内である実施例1〜3は、衝撃試験は同等で
ありながら、導電性や剛性が安定して高い成形品特性を
得ることができ、その優位性は明らかである。 2.ESCA(O/C)の効果 (O/C)が0.03〜0.08の範囲外である比較例
1〜2および5に比べて、範囲内である実施例1および
4は、剛性は同等でありながら、衝撃特性と導電性とも
に安定して高い成形品特性を得ることができ、その優位
性は明らかである。
ある。 1.結晶サイズ(Lc)の効果 Lcが1.6〜3nmの範囲外である比較例3〜4に比
べて、範囲内である実施例1〜3は、衝撃試験は同等で
ありながら、導電性や剛性が安定して高い成形品特性を
得ることができ、その優位性は明らかである。 2.ESCA(O/C)の効果 (O/C)が0.03〜0.08の範囲外である比較例
1〜2および5に比べて、範囲内である実施例1および
4は、剛性は同等でありながら、衝撃特性と導電性とも
に安定して高い成形品特性を得ることができ、その優位
性は明らかである。
【0084】
【発明の効果】本発明によれば、高い導電性と力学特性
を達成する樹脂組成物、およびその成形品を提供するこ
とができる。このような樹脂組成物、およびその成形品
は、特に電子機器類のハウジングなどを始め、前記特性
を必要とする幅広い産業分野に好適に用いることができ
る。
を達成する樹脂組成物、およびその成形品を提供するこ
とができる。このような樹脂組成物、およびその成形品
は、特に電子機器類のハウジングなどを始め、前記特性
を必要とする幅広い産業分野に好適に用いることができ
る。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
D01F 9/22 D01F 9/22
// B29K 101:00 B29K 101:00
105:12 105:12
C08L 101:00 C08L 101:00
Fターム(参考) 4F071 AA02 AA12 AA12X AA15
AA20 AA22 AA22X AA34
AA34X AA45 AA46 AA50
AA51 AA54 AA60 AA62 AA64
AA77 AB03 AD01 AE15 AF14
AF37 AH12 BA01 BB05 BC07
4F072 AA02 AA08 AB10 AB14 AB22
AD03 AD04 AD05 AD11 AD37
AD41 AD42 AD44 AD45 AD52
AG05 AH04 AH46 AK15 AL11
4F201 AA29 AB18 AB25 AE03 AH33
AH42 BA02 BC02 BC12 BC37
BD04 BL42 BL44 BL45
4J002 AA011 BB031 BB121 BC031
BC061 BN151 CF061 CF071
CG001 CH071 CH091 CL011
CL021 CL031 CL051 CL061
CM041 CN011 CN031 DA016
FA046 FD016
4L037 AT02 AT05 CS03 FA01 FA05
FA07 PA55 PA65 PC10 PC11
PC13 PF12 PS02 PS12 PS17
UA04 UA20
Claims (13)
- 【請求項1】 広角X線回折法にて測定される結晶サイ
ズが1.6〜3nmの範囲内であり、かつX線光電子分
光法にて測定される炭素と酸素の原子数比(O/C)が
0.03〜0.08の範囲内であって、さらに平均単繊
維直径が3〜15μmの範囲内であることを特徴とする
熱可塑性樹脂組成物用炭素繊維。 - 【請求項2】 オージェ電子分光法にて測定される炭素
と酸素の原子数比(O/C)が0.02以下である請求
項1に記載の熱可塑性樹脂組成物用炭素繊維。 - 【請求項3】 繊維長が1〜15mmの範囲内の長さを
有するものである請求項1または2に記載の熱可塑性樹
脂組成物用炭素繊維。 - 【請求項4】 少なくとも熱可塑性樹脂と請求項1〜3
のいずれかに記載の炭素繊維が含まれるものである熱可
塑性樹脂組成物。 - 【請求項5】 前記熱可塑性樹脂組成物中に前記炭素繊
維が10〜60重量%の範囲内で含まれるものである請
求項4に記載の熱可塑性樹脂組成物。 - 【請求項6】 請求項4または5に記載の熱可塑性樹脂
組成物から構成されるものである長繊維ペレット。 - 【請求項7】 少なくとも前記炭素繊維と前記熱可塑性
樹脂より溶融粘度が低い熱可塑性樹脂重合体とを含有す
る複合体と、前記熱可塑性樹脂とが直接に接するように
配置されているものである請求項6に記載の長繊維ペレ
ット。 - 【請求項8】 前記熱可塑性樹脂が、前記複合体の周囲
を被覆するように配置されてなるものである請求項7に
記載の長繊維ペレット。 - 【請求項9】 前記炭素繊維が、フィラメント数3,0
00〜150,000本の範囲内の炭素繊維束で構成さ
れているものである請求項7または8に記載の長繊維ペ
レット。 - 【請求項10】 請求項6〜9のいずれかに記載の長繊
維ペレットが少なくとも含まれるペレットを射出成形し
てなるものである射出成形品。 - 【請求項11】 前記炭素繊維の重量平均繊維長lwが
0.25〜1mmの範囲内である請求項10に記載の射
出成形品。 - 【請求項12】 肉厚が0.3〜4mmの範囲内である
請求項10または11に記載の射出成形品。 - 【請求項13】 射出成形品を溶剤で分離抽出して得ら
れた炭素繊維が、広角X線回折法で測定した炭素繊維の
結晶サイズが1.6〜3nmの範囲内であり、X線光電
子分光法で測定される炭素と酸素の原子数比(O/C)
が0.03〜0.08の範囲内であり、さらに平均単繊
維直径が3〜15μmの範囲内であることを特徴とする
熱可塑性樹脂組成物からなる射出成形品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001320294A JP2003128799A (ja) | 2001-10-18 | 2001-10-18 | 熱可塑性樹脂組成物用炭素繊維およびそれを用いた熱可塑性樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001320294A JP2003128799A (ja) | 2001-10-18 | 2001-10-18 | 熱可塑性樹脂組成物用炭素繊維およびそれを用いた熱可塑性樹脂組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003128799A true JP2003128799A (ja) | 2003-05-08 |
Family
ID=19137705
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001320294A Pending JP2003128799A (ja) | 2001-10-18 | 2001-10-18 | 熱可塑性樹脂組成物用炭素繊維およびそれを用いた熱可塑性樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003128799A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005077455A (ja) * | 2003-08-28 | 2005-03-24 | Kawai Musical Instr Mfg Co Ltd | ピアノのシャンクフレンジ |
WO2011064994A1 (ja) | 2009-11-30 | 2011-06-03 | 株式会社カネカ | 炭素繊維強化複合材料 |
JP2012136630A (ja) * | 2010-12-27 | 2012-07-19 | Toray Ind Inc | 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 |
JP2013021054A (ja) * | 2011-07-08 | 2013-01-31 | Toppan Printing Co Ltd | 電子機器筐体 |
JP2013210369A (ja) * | 2012-03-01 | 2013-10-10 | Toyo Jushi Kk | 光学検査用窓を有する光学検査用ベース |
WO2018168554A1 (ja) | 2017-03-16 | 2018-09-20 | 株式会社カネカ | 熱可塑性樹脂系繊維強化複合材料と金属部材との接着複合体及びその製造方法 |
JP2019019193A (ja) * | 2017-07-14 | 2019-02-07 | ウイスカ株式会社 | 樹脂組成物及びガラス樹脂一体成形品 |
-
2001
- 2001-10-18 JP JP2001320294A patent/JP2003128799A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005077455A (ja) * | 2003-08-28 | 2005-03-24 | Kawai Musical Instr Mfg Co Ltd | ピアノのシャンクフレンジ |
JP4599042B2 (ja) * | 2003-08-28 | 2010-12-15 | 株式会社河合楽器製作所 | ピアノのシャンクフレンジ |
WO2011064994A1 (ja) | 2009-11-30 | 2011-06-03 | 株式会社カネカ | 炭素繊維強化複合材料 |
JP2012136630A (ja) * | 2010-12-27 | 2012-07-19 | Toray Ind Inc | 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 |
JP2013021054A (ja) * | 2011-07-08 | 2013-01-31 | Toppan Printing Co Ltd | 電子機器筐体 |
JP2013210369A (ja) * | 2012-03-01 | 2013-10-10 | Toyo Jushi Kk | 光学検査用窓を有する光学検査用ベース |
WO2018168554A1 (ja) | 2017-03-16 | 2018-09-20 | 株式会社カネカ | 熱可塑性樹脂系繊維強化複合材料と金属部材との接着複合体及びその製造方法 |
JP2019019193A (ja) * | 2017-07-14 | 2019-02-07 | ウイスカ株式会社 | 樹脂組成物及びガラス樹脂一体成形品 |
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