JP2007191540A - 熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】軽量で強度の大きい熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】シランカップリング剤を有する80μm以下の中空ガラス球(A)と所定の官能基を表面に有する強化繊維(B)とが、2個のエポキシ基間に存在する最長原子鎖の原子数が20以上である脂肪族化合物、又はエポキシ基と芳香環の間の原子数が6以上である芳香族化合物(D)を介して、1種類以上の熱可塑性樹脂(C)中に散在している熱可塑性樹脂組成物である。
(A)成分を(D)成分で被覆し、これと(C)成分とを押出し機を用いて混練造粒して得た樹脂ペレットを(D)成分で被覆し、(B)成分をペレット化した長繊維強化繊維ペレットとドライブレンドし、得られたコンパウンドを射出成形機にて成形して熱可塑性樹脂組成物を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法に係り、更に詳細には、軽量で且つ剛性、強度に優れた熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法に関する。
昨今、自動車の車体の構造部品として、ガラス繊維を用いた繊維強化樹脂の組成物が使用されている。
また、この繊維強化樹脂組成物を更に軽量化するため、熱可塑性樹脂に中空ガラスを用いた技術が知られている。
例えば、プロピレン系樹脂組成物の製造方法として、プロピレン系樹脂とタルク、マイカ、ガラス繊維のいずれかと中空ガラス球からなる樹脂組成物の混練順序を決定した製造方法が提案されている(例えば特許文献1参照。)。
また、熱可塑性樹脂組成物として、ガラス繊維とマレイミド化合物と中空ガラスからなる樹脂組成物が提案されている(例えば特許文献2参照。)。
特許3016891号公報 特許2999309号公報
しかし、特許文献1に記載の技術では、ガラス繊維と中空ガラス球を同時に混練・成形することによってガラス繊維と中空ガラス球の樹脂内での衝突、剪断等により樹脂構造体内部に含まれる中空ガラス球が破損し、密度が高くなることで、軽量化効果が低下するという問題点があった。
また、特許文献2に記載の技術では、ガラス繊維と中空ガラス球を同時に混練・成形することによってガラス繊維と中空ガラス球の樹脂内での衝突、剪断等により樹脂構造体内部に含まれるガラス繊維が折損し、樹脂組成物の強度が低下するという問題点があった。
本発明は、このような従来技術の有する課題及び新たな知見に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、軽量で強度の大きい熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、中空ガラス球と強化繊維を、脂肪族化合物又は芳香族化合物を介して熱可塑性樹脂中に散在させることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、中空ガラス球(A)、強化繊維(B)、熱可塑性樹脂(C)、及び脂肪族化合物又は芳香族化合物(D)より構成され、(A)成分及び(B)成分が(D)成分を介して(C)成分中に散在している熱可塑性樹脂組成物であって、
上記(A)成分は、平均粒径が80μm以下で、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基及びイソシアネート基から成る群より選ばれた少なくとも1種の官能基を含むシランカップリング剤を有し、
上記(B)成分は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基及びイソシアネート基から成る群より選ばれた少なくとも1種の官能基を表面に有し、
上記(C)成分は、少なくとも1種類以上の熱可塑性樹脂から成り、
上記(D)成分は、少なくとも2個のエポキシ基を有し、該エポキシ基間に存在する最長原子鎖の原子数が20以上である脂肪族化合物、又は少なくとも2個のエポキシ基を有し、エポキシ基と芳香環の間の原子数が6以上である芳香族化合物であり、
(A)成分、(B)成分及び(C)成分の総量に対して、(A)成分を3〜35%、(B)成分を3〜25%、(C)成分を40〜94%含み、
(D)成分は、(A)成分とは該(A)成分の表面に存在するシランカップリング剤の末端基と結合しており、(B)成分とは該(B)成分の表面に存在する官能基と結合していることを特徴とする。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、上記熱可塑性樹脂組成物を製造するに当たり、次の工程(1)〜(6)
(1)中空ガラス球(A)を脂肪族化合物又は芳香族化合物(D)で被覆する工程
(2)(D)成分が被覆された(A)成分と熱可塑性樹脂(C)を1軸又は2軸の押出し機を用いて混練造粒し樹脂ペレットとする工程
(3)樹脂ペレットを(D)成分で被覆する工程
(4)強化繊維(B)をペレット化し長繊維強化繊維ペレットとする工程
(5)(D)成分が被覆された樹脂ペレットと長繊維強化繊維ペレットとをドライブレンドする工程
(6)得られたコンパウンドを射出成形機にて成形する工程
を行うことを特徴とする。
更に、本発明の他の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、上記熱可塑性樹脂組成物を製造するに当たり、次の工程(1)〜(4)
(1)中空ガラス球(A)を脂肪族化合物又は芳香族化合物(D)で被覆する工程
(2)(D)成分が被覆された(A)成分と熱可塑性樹脂(C)を1軸又は2軸の押出し機を用いて混練造粒し樹脂ペレットとする工程
(3)樹脂ペレットを含浸樹脂成分に用い、引き抜き法により強化繊維(B)を溶融含浸させ、長繊維強化繊維ペレットとする工程
(4)得られた長繊維強化繊維ペレットを射出成形機にて成形する工程
を行うことを特徴とする。
更にまた、本発明の更に他の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、上記熱可塑性樹脂組成物を製造するに当たり、次の工程(1)〜(5)
(1)中空ガラス球(A)を脂肪族化合物又は芳香族化合物(D)で被覆する工程
(2)強化繊維(B)をペレット化し長繊維強化繊維ペレットとする工程
(3)長繊維強化樹脂ペレットを(D)成分で被覆する工程
(4)(D)成分が被覆された(A)成分と、(D)成分が被覆された(B)成分と、熱可塑性樹脂(C)とを、1軸又は2軸の押出し機を用いて混練造粒し樹脂ペレットとする工程
(5)樹脂ペレットを射出成形機にて成形する工程
を行うことを特徴とする。
本発明によれば、中空ガラス球と強化繊維を、脂肪族化合物又は芳香族化合物を介して熱可塑性樹脂中に散在させることとしたため、軽量で強度の大きい熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物について詳細に説明する。なお、本特許請求の範囲及び本明細書において、「%」は特記しない限り質量百分率を表すものとする。
上述の如く本発明の熱可塑性樹脂組成物は、中空ガラス球(A)、強化繊維(B)、熱可塑性樹脂(C)、及び脂肪族化合物又は芳香族化合物(D)より構成され、(A)成分及び(B)成分が(D)成分を介して(C)成分中に散在している。
また、(D)成分は、(A)成分とは該(A)成分の表面に存在するシランカップリング剤の末端基と結合しており、(B)成分とは該(B)成分の表面に存在する官能基と結合している。
例えば、図1に示すように、マトリックス樹脂である熱可塑性樹脂(C)に、中空ガラス球(A)及び強化繊維(B)のそれぞれが、(D)成分であるエポキシ基含有樹脂を被覆された状態で含まれている熱可塑性樹脂組成物が挙げられる。
このような構成としたため、中空ガラス球の破損を抑制することができ、繊維強化樹脂本来の強度を下げることなく、密度を効率良く低減できる。これにより、軽量且つ強度の高い熱可塑性樹脂組成物が得られる。
ここで、中空ガラス(A)、強化繊維(B)及び熱可塑性樹脂(C)は、これらの総量に対して、(A)成分を3〜35%、(B)成分を3〜25%、(C)成分を40〜94%含むようにする。
中空ガラス球(A)の含有量は、3%未満であると熱可塑性樹脂組成物の密度に対する影響度が低く、中空ガラス球を重量軽減のために用いる意味がなくなる。35%超であると熱可塑性樹脂組成物の全体の体積に占める中空ガラス球の体積が過大になり、混練性、成形性が著しく低下し、中空ガラス球及び強化繊維が破損する可能性が高くなる。
また、熱可塑性樹脂組成物の密度及び中空ガラス球の破損を考慮すると(A)成分は5〜30%の範囲で含まれることが好ましい。
強化繊維(B)の含有量は、3%未満であると熱可塑性樹脂組成物の強度に対する影響度が低く、強化繊維を強度向上のために用いる意味がなくなる。また、25%超であると熱可塑性樹脂組成物の全体の体積に占める強化繊維の体積が過大になり、混練時の強化繊維の折損が増加し強度向上効果が低下する。また、成形性も低下する。
また、強度向上及び繊維の折損を考慮すると(B)成分は5〜30%の範囲で含まれることが好ましい。
中空ガラス球(A)は、平均粒径が80μm以下で、シランカップリング剤を有する。このシランカップリング剤は、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基又はイソシアネート基、及びこれらの任意の組合せに係る官能基を含むものとする。
これら官能基と、(D)成分が有するエポキシ基とを結合させることで、中空ガラス球である(A)成分の表面を、脂肪族化合物又は芳香族化合物である(D)成分で被覆できる。この(D)成分により、中空ガラス球同士又は強化繊維である(B)成分との擦れ、衝突等による中空ガラス球の破損を防ぎ、密度の増加を抑制できる。
一方、上記官能基を有さないシランカップリング剤で処理された中空ガラス球は、(D)成分との反応性が低く、(D)成分に被覆されにくい又は被覆されても剥がれ落ちてしまうため、混練や成形の際に中空ガラス球が破損し、熱可塑性樹脂組成物の密度が過大になる。
また、平均粒径を80μm以下とすることで、製造過程(混練時など)の中空ガラス球同士及び強化繊維との擦れ、衝突等による中空ガラス球の破損を防ぎ、密度の増加を抑制できる。より好ましくは50μm以下の中空ガラス球を用いることができ、このときは製造過程中における中空ガラス球同士及び中空ガラス球と強化繊維の擦れや衝突等を更に抑制することとなり、密度の増加を抑制できる。
更に、中空ガラス球(A)は、重量の低減を目的として作用するもので、主成分としてシリカを含有する微小空球状である。特に限定されないが、代表的には、平均粒子密度(真密度)が0.8g/cm以下、平均耐圧強度が800kg/cm以上のものを使用できる。また、平均粒子密度は0.6g/cm以下のものがより好ましい。平均耐圧強度は1000kg/cm以上であることがより好ましく、更には1200kg/cmであることが特に好ましい。
一方、中空ガラス球(A)の平均粒子密度が上記範囲外のものは熱可塑性樹脂組成物の密度が過大となったり、混練が困難となり易い。また、平均耐圧強度が上記範囲外のものを用いると混練の際に破損したり、熱可塑性樹脂組成物の密度が過大となり易い。
なお、平均粒子密度はASTM−D2840(エアーコンパリソンピクノメーター使用)に準拠して測定された値であり、平均耐圧強度はASTM−D3102(グリセロール使用)に準拠して測定された値である。
更にまた、(A)成分の表面処理に使用できるシランカップリング剤としては、以下のものが例示できる。
アミノ基を有するシランカップリング剤には、例えば、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1、3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどを用いることができる。
エポキシ基を有するシランカップリング剤には、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを用いることができる。
メルカプト基を有するシランカップリング剤には、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなどを用いることができる。
イソシアネート基を有するシランカップリング剤には3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどを用いることができる。
次に、強化繊維(B)は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基又はイソシアネート基、及びこれらの任意の組合せに係る官能基を表面に有する。
これら官能基と、脂肪族化合物又は芳香族化合物(D)が有するエポキシ基とを結合させることで、強化繊維(B)の表面を、(D)成分で被覆できる。この(D)成分により、強化繊維(B)同士又は中空ガラス球(A)との衝突、剪断等による強化繊維の折損を防ぎ、強度低下を抑制できる。
また、これら官能基は、例えば、電解処理や活性ガスによる気相表面処理などの表面活性化処理により、強化繊維の表面に導入できる。
なお、上記官能基を有さない強化繊維は、(D)成分のエポキシ基との反応性が低く、(D)成分に被覆されにくい又は被覆されても剥がれ落ちてしまうため、混練や成形の際に強化繊維が破損し、熱可塑性樹脂組成物の密度が過大になる。
また、強化繊維(B)としては、例えば、炭素繊維やガラス繊維を用いることができる。
炭素繊維であれば、電解処理や活性ガスによる気相表面処理などの表面活性処理により、表面にエポキシ基と結合するヒドロキシル基やカルボキシル基を付与することで、被膜樹脂となり得る(D)成分との接着性を向上させ得る。
ガラス繊維であれば、中空ガラスと同様にアミノ基、エポキシ基、メルカプト基やイソシアネート基を有しているシランカップリング剤で表面処理することで、(D)成分の有するエポキシ基と各シランカップリング剤が結合するため、接着性を向上させ得る。
上記炭素繊維としては、代表的には、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチ系、レーヨン系等の炭素繊維が使用できる。好ましくはPAN系の炭素繊維を用いるのが良い。
上記ガラス繊維としては、代表的には、E−ガラス、S−ガラスのガラス繊維などが使用できる。
なお、熱可塑性樹脂組成物内部での中空ガラス球や強化繊維同士での擦れ、衝突等を抑制するため、強化繊維の直径は20μm以下であることが好ましい。これより大きいと溶融混練時に切断、欠損が起こり易くなる。
次に、熱可塑性樹脂(C)は、1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用でき、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ芳香族エーテル又は、チオエーテル系樹脂、ポリ芳香族エステル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリレート系樹脂などを使用できる。
上記ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレンなどのα−オレフィンの単独重合体やこれらの共重合体、又はこれらと他の共重合可能な不飽和単量体との共重合体などが挙げられる。また、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリエチレン類、アタクチック、シンジオタクチック、アイソタクチックポリプロピレンや、プロピレン−エチレンブロック共重合体又はランダム共重合体などのポリプロピレン類などが挙げられる。
また、上記ポリオレフィン系樹脂には、酸変性ポリオレフィンを添加することが好ましく、オレフィンの単独重合体又は2種以上のオレフィンの共重合体、ポリオレフィンの重合原料モノマーである1種又は2種以上のオレフィンと、1種又は2種以上の不飽和カルボン酸又はその誘導体とが共重合したものなどが挙げられる。
これらの酸変性ポリオレフィンは、2種以上混合して使用してもよい。ここで、変性のため使用される不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基などの官能基を有する化合物が挙げられ、また不飽和カルボン酸の誘導体としては、これらの酸無水物、エステル、アミド、金属塩等がある。具体的には、無水マレイン酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル等を挙げることができる。中でも、好ましいのは無水マレイン酸である。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂としては、例えば、塩化ビニル単独重合体や塩化ビニルと共重合可能な不飽和単量体との共重合体などが挙げられる。該共重合体としては、例えば塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体などが挙げられる。
上記ポリアミド系樹脂としては、例えば、6−ナイロンや12−ナイロンなどの環状脂肪族ラクタムを開環重合したもの、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、6,12−ナイロンなどの脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸とを縮重合させたもの、m−キシレンジアミンとアジピン酸との縮重合物など、芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸とを縮重合させたもの、11−ナイロンなどのアミン酸を縮重合させたもの、などを挙げることができる。
上記ポリイミド系樹脂としては、例えば、ポリイミド類やポリアミドイミド類が挙げられる。ポリイミド類の具体例としては、無水ピロメリット酸とジアミノジフェニルエーテル、ビスマレイミドとジアミノジフェニルメタンなどの組合せから得られたものが挙げられる。ポリアミドイミド類の具体例としては、無水トリメリット酸とジアミノジフェニルエーテルとの組合せなどから得られたものが挙げられる。
上記ポリエステル系樹脂としては、例えば、芳香族ジカルボン酸とアレキレングリコールとを縮重合させたものが挙げられる。具体例としてはポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどがある。
上記ポリアセタール系樹脂としては、例えば、単独重合体のポリオキシメチレン及びトリオキサンとエチレンオキシドから得られるホルムアルデヒド−エチレンオキシド共重合体などが挙げられる。
上記ポリカーボネート系樹脂としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシジアリールアルカン系ポリカーボネート、特にビスフェノールAとホスゲンとを反応させるホスゲン法やビスフェノールAやフェニルカーボネートなどの炭酸ジエステルとを反応させるエステル交換法などにより得られるビスフェノールA系ポリカーボネートが好ましく用いられる。また、ビスフェノールAの一部を2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパンや2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパンなどで置換した変性ビスフェノールA系ポリカーボネートや難燃化ビスフェノールA系ポリカーボネートなども用いることができる。
上記ポリ芳香族エーテル又はチオエーテル系樹脂は、例えば、分子鎖中にエーテル結合又はチオエーテル結合を有するものが挙げられる。具体例としてはポリフェニレンオキサイド、スチレンでグラフト化されたポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイドなどが挙げられる。
上記ポリ芳香族エステル系樹脂としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸の縮重合で得られるポリオキシベンゾイル、ビスフェノールAとテレフタル酸やイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸との縮重合で得られるポリアリレートなどが挙げられる。
上記スチレン系樹脂としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンなどの単独重合体やこれらの共重合体、又はこれらと共重合可能な不飽和単量体との共重合体が挙げられる。代表例としては、一般用ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体(AES)などが挙げられる。
上記アクリレート系樹脂としては、例えば、メタクリル酸エステル重合体やアクリル酸エステル重合体などが挙げられ、これらの単量体としては、メタクリル酸及びアクリル酸のメチル、エチル、ブチルエステルなどが用いられるが、工業的成形材料としてはメチルメタクリレート樹脂を代表的なものとして挙げることができる。
なお、熱可塑性樹脂組成物には通常着色するための顔料を用いる場合が多い外、更に性能向上を図るため、上記(C)成分の他に、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、分散剤等の各種添加剤などを任意に添加することもできる。また、本発明の効果を著しく損なわない範囲内であれば各種樹脂、各種エラストマー、各種フィラー等を配合することもできる。
次に、脂肪族化合物又は芳香族化合物(D)は、具体的には、少なくとも2個のエポキシ基を有し、該エポキシ基間に存在する最長原子鎖の原子数が20以上である脂肪族化合物、又は少なくとも2個のエポキシ基を有し、エポキシ基と芳香環の間の原子数が6以上である芳香族化合物を使用する。
このように、(D)成分が2個以上のエポキシ基を有する脂肪族化合物又は芳香族化合物であることにより、熱可塑性樹脂化合物の強度向上が図れる。言い換えれば、エポキシ基が1つのみでは、強化繊維とマトリックス樹脂との橋渡しを有効に行うことができず、中空ガラス球(A)や強化繊維(B)のみとしか結合できず、熱可塑性樹脂(C)との接着性に乏しくなる。
エポキシ基の数が多すぎると、被覆樹脂の分子間架橋の密度が大きくなり、脆性な被覆膜となって結果としてコンポジットの引張強度が低下してしまうことがあるため、好ましくは6個以下、更に好ましくは2個であることが良い。
また、2個のエポキシ基は最長原子鎖の両末端にあるのがより好ましい。即ち、最長原子鎖の両末端にエポキシ基があることにより局所的な架橋密度が高くなることを防止できるので、コンポジット引張強度が向上する。エポキシ基の構造としては反応性の高いグリシジル基が好ましい。
更に、脂肪族化合物の分子量は、被覆樹脂としての取り扱い性の観点から、80〜3200が好ましく、100〜1500がより好ましく、200〜1000が特に好ましい。樹脂粘度が低すぎる又は高すぎると被覆樹脂としての取り扱い性が悪化することがある。
上記脂肪族化合物において、2個のエポキシ基間を結ぶ最長原子鎖の原子数を20以上とすることにより、被覆膜として柔軟で靭性の高い構造が得られ、結果としてコンポジット引張強度が向上し易い。特に、30以上が好ましく、脆い樹脂での引張強度が高くなり易い。
該原子数が20未満の脂肪族化合物とすると、(D)成分の架橋密度が高くなり、靱性の低い構造になるので、被膜樹脂として適さない。また、結果としてコンポジット引張強度が発現しにくい。
但し、最長原子鎖の原子数は大きいほど柔軟な構造になるが、長すぎると折れ曲がって官能基を封鎖してしまい、結果として強化繊維と樹脂との接着力が低下してしまう場合があるので、該原子数は200以下、より好ましくは100以下がよい。また、上記脂肪族化合物が環状脂肪族骨格を含む場合には、エポキシ基が環状骨格から十分離れていれば、具体的は、該原子数が6以上でも使用できる。
なお、上記脂肪族化合物とは、非環式直鎖状飽和炭化水素、分岐状飽和炭化水素、非環式直鎖状不飽和炭化水素、分岐状不飽和炭化水素、又は上記炭化水素の炭素原子(CH2,CH,C)を、酸素原子(O)、窒素原子(NH,N)、硫黄原子(SH)、カルボニル原子団(CO)に置き換えた鎖状構造の化合物をいう。
また、本発明では、2以上のエポキシ基を有する脂肪族化合物において、2個のエポキシ基間を結ぶ鎖状構造を構成する炭素原子、複素原子(酸素原子、窒素原子等)の総数のうち最も大きい原子鎖を「最長原子鎖」といい、最長原子鎖を構成する原子の総数を「最長原子鎖の原子数」という。
更に、最長原子鎖を構成する原子に結合した水素等の原子の数は総数に含めない。側鎖の構造については特に限定するものではないが、被覆樹脂化合物の分子間架橋の密度が大きくなりすぎないように抑えるために、架橋点となりにくい構造が好ましい。
上記脂肪族化合物の具体例としては、ジグリシジルエーテル化合物では、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類等が挙げられる。また、ポリグリシジルエーテル化合物では、例えば、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル類、脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテル類等が挙げられる。好ましくは、反応性の高いグリシジル基を有する脂肪族のポリグリシジルエーテル化合物であることが良い。更に好ましくは、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル類、ポリプロピレングリコルジグリシジルエーテル類等が好ましい。
一方、上記芳香族化合物においては、エポキシ基と芳香環の間を結ぶ鎖状構造を構成する炭素原子、複素原子(酸素原子、窒素原子等)、カルボニル原子団の総数を「エポキシ基と芳香環の間の原子数」という。この場合の直鎖状構造としては上述の鎖状構造と同様のものがある。
このエポキシ基と芳香環との間の原子数を6以上とすることにより、例えば、アルキリデン基で繋がれた二つのフェノール環、即ちビスフェノールのA部又はF部は、マトリックス樹脂との相溶性を向上させる効果と耐毛羽性を向上させる効果を発揮する。
エポキシ基と芳香環との間の原子数が6に満たないと、中空ガラス球(A)や強化繊維(B)と熱可塑性樹脂(C)との界面に剛直で立体的に大きな化合物を介在させることになるため、強化繊維の最表面に存在する表面官能基との反応性が向上せず、その結果コンポジットの横方向特性の向上が望めない。
上記芳香族化合物の骨格は縮合多環芳香族化合物であっても良い。かかる縮合多環芳香族化合物としては、例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ナフタセン、トリフェニレン等が挙げられる。好ましくは、骨格の小さいナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレンを使用できる。
また、縮合多環芳香族化合物のエポキシ当量は、接着性の向上効果を十分なものとする観点から、150〜350が好ましい。複数エポキシ基を有する縮合多環芳香族化合物の分子量は、樹脂粘度が高くなって被覆樹脂としての取り扱い性が悪化するのを防ぐ観点から、400〜800が好ましい。
また、エポキシ基と芳香環との間の原子数が6未満の芳香族化合物とすると、中空ガラス球や強化繊維と熱可塑性樹脂との界面に剛直で立体的に大きな化合物を介在させることになるため、強化繊維の最表面に存在する表面官能基との反応性が向上せず、その結果コンポジットの横方向特性の向上が望めない。
上述した脂肪族化合物又は芳香族化合物(D)には、粘度調整、耐擦過性向上、耐摩耗性向上、集束性向上、高次加工性向上等の観点から、分子量の小さいビスフェノール型エポキシ基化合物、直鎖状低分子量エポキシ化合物、ポリエチレングリコール、ポリウレタン、ポリエステル乳化剤、界面活性剤など他の成分を適宜加えてもよい。
また、必要に応じて(D)成分に、ブタジエンニトリルゴム等のゴム、エポキシ末端ブタジエンニトリルゴムのようなエラストマー性のある直鎖状エポキシ変性化合物等を添加しても問題はない。
更に、中空ガラス(A)や強化繊維(B)へ被覆する(D)成分の厚みは、例えば100〜2000オングストロームであることが好ましい。
次に、本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法について詳細に説明する。
本発明の第1の製造方法は、次の工程(1)〜(6)
(1)中空ガラス球(A)を脂肪族化合物又は芳香族化合物(D)で被覆する工程
(2)(D)成分が被覆された(A)成分と熱可塑性樹脂(C)を1軸又は2軸の押出し機を用いて混練造粒し樹脂ペレットとする工程
(3)樹脂ペレットを(D)成分で被覆する工程
(4)強化繊維(B)をペレット化し長繊維強化繊維ペレットとする工程
(5)(D)成分が被覆された樹脂ペレットと長繊維強化繊維ペレットとをドライブレンドする工程
(6)得られたコンパウンドを射出成形機にて成形する工程
を行うことにより、熱可塑性樹脂組成物を製造する。
これにより、中空ガラス球及び強化繊維を熱可塑性樹脂内で均一に分散させることができる。また、押出混練時に中空ガラス球と強化繊維が同時に樹脂内で混練されず、射出成形時のみでの混練となるため、中空ガラス球の破損及び強化繊維の折損を抑制できる。
ここで、上記工程(1)は、例えば、中空ガラス球をアミノ基、エポキシ基、メルカプト基又はイソシアネート基を有するシランカップリング剤により表面処理し、その後にエポキシ樹脂を被覆する。具体的には、エポキシ樹脂と硬化剤を混合したものを溶液で希釈するか又は液状のエポキシ樹脂と硬化剤を混合したものを霧状に噴霧し、この中へ中空ガラス球を拡散させることにより該中空ガラス球の表面にエポキシ基を有する樹脂を被覆する。被覆した(D)成分が室温で硬化しないものである場合は、硬化する温度で硬化、乾燥させる。
また、上記工程(4)は、強化繊維(B)を長繊維強化樹脂ペレットの形に成形する工程である。例えば、(B)成分として炭素繊維を用いるときは、予め電解処理や活性ガスによる気相表面処理などの表面活性化処理を行った後、エポキシ基含有樹脂によって被覆収束され強化連続炭素繊維とする。また、ガラス繊維を用いるときは、中空ガラスと同様にアミノ基、エポキシ基、メルカプト基やイソシアネート基を有しているシランカップリング剤で表面処理され、エポキシ基含有樹脂によって被覆収束され、強化連続ガラス繊維とする。
更に、工程(6)では、例えば、長繊維射出成形用のスクリューを備える射出成形機などを使用できる。
また、本発明の第2の製造方法は、次の工程(1)〜(4)
(1)中空ガラス球(A)を脂肪族化合物又は芳香族化合物(D)で被覆する工程
(2)(D)成分が被覆された(A)成分と熱可塑性樹脂(C)を1軸又は2軸の押出し機を用いて混練造粒し樹脂ペレットとする工程
(3)樹脂ペレットを含浸樹脂成分に用い、引き抜き法により強化繊維(B)を溶融含浸させ、長繊維強化繊維ペレットとする工程
(4)得られた長繊維強化繊維ペレットを射出成形機にて成形する工程
を行うことにより、熱可塑性樹脂組成物を製造する。
これにより、中空ガラス球及び強化繊維を熱可塑性樹脂内で均一に分散させることができる。また、強化繊維を押出混練しないため、繊維の折損を抑制できる。
ここで、上記工程(3)では、例えば、上記第1の製造方法の工程(4)と同様にして(D)成分が被覆収束された強化連続炭素繊維を得た後、該強化連続炭素繊維を引きながら熱可塑性樹脂に含浸させる引き抜き成形法によって長繊維強化樹脂ペレットが得られる。
更に、本発明の第3の製造方法は、次の工程(1)〜(5)
(1)中空ガラス球(A)を脂肪族化合物又は芳香族化合物(D)で被覆する工程
(2)強化繊維(B)をペレット化し長繊維強化繊維ペレットとする工程
(3)長繊維強化樹脂ペレットを(D)成分で被覆する工程
(4)(D)成分が被覆された(A)成分と、(D)成分が被覆された(B)成分と、熱可塑性樹脂(C)とを、1軸又は2軸の押出し機を用いて混練造粒し樹脂ペレットとする工程
(5)樹脂ペレットを射出成形機にて成形する工程
を行うことにより、熱可塑性樹脂組成物を製造する。
これにより、中空ガラス球及び強化繊維を熱可塑性樹脂内で均一に分散させることができる。
なお、上記工程(2),(3)においては、先に強化繊維(B)を(D)成分で被覆し、その後に該(B)成分をペレット化しても同様の長繊維強化繊維ペレットが得られる。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
本実施例で使用した原料及び物性の評価を次に示す。
[原料]
・中空ガラス球(A)又は他の球状充填材
中空ガラス球(住友3M製グラスバブルズ S60HS)
シランカップリング剤(東レ・ダウコーニング社製3−アミノプロピルトリエトキシシラン(アミン系))
シランカップリング剤(東レ・ダウコーニング社3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(エポキシ系))
シラスバルーン(イヂチ化成社製シラスバルーン ウインライト MSB−302)
・強化繊維(B)
収束剤処理炭素長繊維強化ポリプロピレン(サンアロマー社製 PPCF40−08(エポキシ系))
・熱可塑性樹脂(C)
ポリプロピレン(サンアロマー社製 PM900M)
マレイン酸変性ポリプロピレン(三菱化学社製 MODIC−AP P908)
・脂肪族化合物又は芳香族化合物(D)
被覆エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製 エピコート816C、YLH1240(アミン系硬化剤))
[押出混錬]
装置:株式会社 池貝製2軸押出機
成形温度(シリンダー温度):220℃
成形品:造粒ペレット(6mm)
[射出成形]
装置:株式会社日本製鋼所製 長繊維用射出成形機
成形温度(シリンダー温度):250℃
成形品:ISO 多目的試験片
[熱可塑性樹脂組成物の評価方法]
熱可塑性樹脂組成物の試験片を用い、下記測定を行った。
1.中空ガラス球(球状充填剤)の残存率
密度と計算にて求められる理想密度から求めた。
2.密度
熱可塑性樹脂組成物の試片についてJIS−K7112に準拠して測定した。
3.残存繊維長
成形後の熱可塑性樹脂組成物を不活性ガス下で樹脂成分のみを焼成した後、残った繊維の束から無作為に繊維を500本取り出し、各繊維の長さを測定した。
4.引張強度
組成物試片についてJIS−K7161に準拠して測定した。
(実施例1)
上記アミノシランカップリング剤により表面処理され、上記エポキシ樹脂と硬化剤を混合したものを霧状に噴霧した。この霧状のエポキシ樹脂中へ上記中空ガラス球を拡散させることにより中空ガラス球の表面にエポキシ基を有する樹脂を被覆させた。
エポキシ樹脂を被覆した中空ガラス球45%、ポリプロピレン52%、マイレン変性ポリプロピレン3%を上記2軸押出機を用いて混錬造粒し、中空ガラス球含有ポリプロピレン樹脂ペレットを得た。
上記炭素長繊維強化樹脂ペレットと造粒した中空ガラス球含有ポリプロピレン樹脂ペレットをドライブレンドにより混合した。
最終的な樹脂組成物全体を100%とした際に、中空ガラス球30%、炭素繊維10%、ポリプロピレン58%、マイレン酸変性ポリプロピレン2%となる比率で配合した。
なお、長炭素繊維強化樹脂ペレットは炭素繊維含有率40%に調整されたものである。
ドライブレンドで混合された樹脂ペレットを上記射出成形機を用いて試験片を成形し、物性測定を行った。熱可塑性樹脂組成物の成分を表1に、評価結果を表4に示す。
Figure 2007191540
(実施例2〜7)
中空ガラス球及び炭素繊維の含有率を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、試験片を成形し、物性測定を行った。熱可塑性樹脂組成物の成分を表1及び表2に、評価結果を表4及び表5に示す。
Figure 2007191540
(実施例8)
中空ガラス球の表面処理剤に用いたシランカップリング剤を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、試験片を成形し、物性測定を行った。熱可塑性樹脂組成物の成分を表2に、評価結果を表5に示す。
(実施例9)
中空ガラス球の平均粒径をを表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、試験片を成形し、物性測定を行った。熱可塑性樹脂組成物の成分を表2に、評価結果を表5に示す。
(実施例10)
熱可塑性樹脂を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、試験片を成形し、物性測定を行った。熱可塑性樹脂組成物の成分を表2に、評価結果を表5に示す。
(実施例11)
実施例1と同様のアミノシランカップリング剤により表面処理され、上記エポキシ樹脂と硬化剤を混合したものを霧状に噴霧し、霧状のエポキシ樹脂中へ上記中空ガラス球を拡散させることにより、中空ガラス球の表面にエポキシ基を有する樹脂を被覆させた。
エポキシ樹脂を被覆した中空ガラス球と上記炭素長繊維強化樹脂ペレットとポリプロピレンとマイレン酸変性ポリプロピレンを中空ガラス球30%、炭素繊維10%、ポリプロピレン58%、マイレン酸変性ポリプロピレン2%となるように配合し、上記2軸押出機を用いて混錬造粒し、中空ガラス球含有ポリプロピレン樹脂ペレットを得た。造粒した樹脂ペレットを上記射出成形機を用いて試験片を成形し、実施例1と同様に物性測定を行った。熱可塑性樹脂組成物の成分を表2に、評価結果を表5に示す。
(比較例1)
従来技術の一例として、樹脂による被覆を行わない中空ガラス球と、樹脂による被覆を行わない炭素繊維を用いた熱可塑性樹脂組成物を用意し、試験片を成形し、物性測定を行った。熱可塑性樹脂組成物の成分を表3に、評価結果を表6に示す。
Figure 2007191540
(比較例2)
中空ガラス球には樹脂による被覆を行ったものを用い、炭素繊維には樹脂による被覆を行わないものを用いた以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、試験片を成形し、物性測定を行った。熱可塑性樹脂組成物の成分を表3に、評価結果を表6に示す。
(比較例3)
中空ガラス球には樹脂による被覆を行わないものを用い、炭素繊維には樹脂による被覆を行ったものを用いた以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、試験片を成形し、物性測定を行った。熱可塑性樹脂組成物の成分を表3に、評価結果を表6に示す。
(比較例4)
中空ガラス球を上記シラスバルーンに変更した以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、試験片を成形し、物性測定を行った。熱可塑性樹脂組成物の成分を表3に、評価結果を表6に示す。
Figure 2007191540
Figure 2007191540
Figure 2007191540
[実施例及び比較例の組成]
実施例1〜6の熱可塑性樹脂組成物の詳細を表1に、実施例7〜11の熱可塑性樹脂組成物の詳細を表2に、比較例1〜4の熱可塑性樹脂組成物の詳細を表3に示す。
なお、熱可塑性樹脂(a)は上記ポリプロピレンを、熱可塑性樹脂(b)は上記マイレン酸変性ポリプロピレンを示す。
[製造方法]
表1〜3において、製造方法(1)は、熱可塑性樹脂組成物を製造するに際し、中空ガラス球と熱可塑性樹脂とを、2軸の押出し機を用いて混錬造粒し、造粒した樹脂ペレットと長繊維強化樹脂ペレット化した炭素繊維とをドライブレンドし、長繊維射出成形用のスクリューをもつ射出成形機にて樹脂組成物を成形する製造方法を示す。
また、製造方法(2)は、熱可塑性樹脂組成物を製造するに際し、中空ガラス球と、長繊維強化樹脂ペレット化した炭素繊維と、熱可塑性樹脂とを、2軸の押出し機を用いて混錬造粒し、造粒した樹脂ペレットを通常の射出成形機を用いて樹脂組成物を成形する製造方法を示す。
[評価内容及び判定基準]
表4〜6に示すように、熱可塑性樹脂組成物について、密度、中空ガラス球(球状充填材)の残存率、強化繊維の残存繊維長、引張強度について評価を行った。
中空ガラス球及び他の球状充填材の残存率は、計算上の理想密度から計算し、残存率が95%以上を◎、90%以上95%未満を○、80%以上90%未満を△、80%未満を×として評価した。
また、炭素繊維の残存繊維長を測定した。残存繊維長が1.2mm以上で◎、1.0mm以上1.2mm未満で○、0.5mm以上1.0mm未満で△、0.5mm以下で×として評価した。
更に、強度に関しては引張強度を密度で割った比強度で評価した。これは単に強度が向上しても密度が高くなると重量軽減の目的と異なるため、比強度にて評価を行った。従来技術を用いて作成した比較例1の比強度に対して、15%以上の向上率のものを◎、5〜14%の向上率のものを○、5%未満の向上率のものを△、劣っているものを×として評価した。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、重量軽減策が強く要求される工業部品、特に自動車部品用材料に好適に適用できる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の一例を示す断面概略図である。

Claims (5)

  1. 中空ガラス球(A)、強化繊維(B)、熱可塑性樹脂(C)、及び脂肪族化合物又は芳香族化合物(D)より構成され、(A)成分及び(B)成分が(D)成分を介して(C)成分中に散在している熱可塑性樹脂組成物であって、
    上記(A)成分は、平均粒径が80μm以下で、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基及びイソシアネート基から成る群より選ばれた少なくとも1種の官能基を含むシランカップリング剤を有し、
    上記(B)成分は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基及びイソシアネート基から成る群より選ばれた少なくとも1種の官能基を表面に有し、
    上記(C)成分は、少なくとも1種類以上の熱可塑性樹脂から成り、
    上記(D)成分は、少なくとも2個のエポキシ基を有し、該エポキシ基間に存在する最長原子鎖の原子数が20以上である脂肪族化合物、又は少なくとも2個のエポキシ基を有し、エポキシ基と芳香環の間の原子数が6以上である芳香族化合物であり、
    (A)成分、(B)成分及び(C)成分の総量に対して、(A)成分を3〜35%、(B)成分を3〜25%、(C)成分を40〜94%含み、
    (D)成分は、(A)成分とは該(A)成分の表面に存在するシランカップリング剤の末端基と結合しており、(B)成分とは該(B)成分の表面に存在する官能基と結合していることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 上記(A)成分は、平均粒径が50μm以下であることを特徴とする請求項1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物を製造するに当たり、次の工程(1)〜(6)
    (1)中空ガラス球(A)を脂肪族化合物又は芳香族化合物(D)で被覆する工程
    (2)(D)成分が被覆された(A)成分と熱可塑性樹脂(C)を1軸又は2軸の押出し機を用いて混練造粒し樹脂ペレットとする工程
    (3)樹脂ペレットを(D)成分で被覆する工程
    (4)強化繊維(B)をペレット化し長繊維強化繊維ペレットとする工程
    (5)(D)成分が被覆された樹脂ペレットと長繊維強化繊維ペレットとをドライブレンドする工程
    (6)得られたコンパウンドを射出成形機にて成形する工程
    を行うことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物を製造するに当たり、次の工程(1)〜(4)
    (1)中空ガラス球(A)を脂肪族化合物又は芳香族化合物(D)で被覆する工程
    (2)(D)成分が被覆された(A)成分と熱可塑性樹脂(C)を1軸又は2軸の押出し機を用いて混練造粒し樹脂ペレットとする工程
    (3)樹脂ペレットを含浸樹脂成分に用い、引き抜き法により強化繊維(B)を溶融含浸させ、長繊維強化繊維ペレットとする工程
    (4)得られた長繊維強化繊維ペレットを射出成形機にて成形する工程
    を行うことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  5. 請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物を製造するに当たり、次の工程(1)〜(5)
    (1)中空ガラス球(A)を脂肪族化合物又は芳香族化合物(D)で被覆する工程
    (2)強化繊維(B)をペレット化し長繊維強化繊維ペレットとする工程
    (3)長繊維強化樹脂ペレットを(D)成分で被覆する工程
    (4)(D)成分が被覆された(A)成分と、(D)成分が被覆された(B)成分と、熱可塑性樹脂(C)とを、1軸又は2軸の押出し基を用いて混練造粒し樹脂ペレットとする工程
    (5)樹脂ペレットを射出成形機にて成形する工程
    を行うことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
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