JP2002153263A - 離水防止作用を有する酵母細胞壁画分 - Google Patents

離水防止作用を有する酵母細胞壁画分

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酵母エキス残さに含まれる酵母細胞壁から旨
味成分や苦味成分等の食物繊維以外の夾雑物が除去され
た酵母細胞壁や、かかる食物繊維以外の夾雑物が除去さ
れた酵母細胞壁の有効利用法を提供すること。 【解決手段】 酵母エキス残さを高圧ホモジナイザー等
を用いて高圧処理し、水洗浄することにより得られる酵
母細胞壁、例えば食物繊維含量が65重量%以上、タン
パク質含量が20重量%以下の酵母細胞壁を離水防止剤
とする。この離水防止剤をヨーグルト類等の食品に添加
すると、添加した食品の本来の風味に影響を与えること
なく、離水を防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、離水防止作用を有
する酵母細胞壁画分や、該酵母細胞壁画分を含有するヨ
ーグルト類等の食品や、該酵母細胞壁画分を有効成分と
する離水防止剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、酵母の風味改善に関する技術とし
ては、塩素系酸化剤処理による酵母の品質改良法(特開
昭49−75777号公報)や、ヘミセルラーゼもしく
はその粗精製物と接触させることを特徴とする、臭味の
改善された酵母および酵母加工処理物の製造法(特開昭
53−81683号公報)や、酵母を多価アルコールと
接触させることを特徴とする酵母臭のない白色の酵母製
品を製造する方法(特開昭55−68272号公報)
や、超臨界の二酸化炭素、エタン等で酵母の苦味を除去
する方法(特開昭57−26585号公報)や、水蒸気
蒸留に付することを特徴とするビール酵母の風味改善法
(特開昭63−22177号公報)や、酸及び加熱処理
により酵母の異味、異臭を低減させる方法(特開平6−
70750号公報)などが知られている。
【0003】また、酵母細胞壁の風味改善に関する従来
技術としては、酵母エキス残さをアルカリ及び酸で洗浄
した後、オゾン処理を行い、さらにエタノール処理を行
うことを特徴とする酵母エキス抽出残さの脱色・脱臭方
法(特開平4−248968号公報)や、酵母自己消化
不溶物をエタノールで懸濁させてアルカリ下で攪拌処理
等することを特徴とする酵母自己消化不溶物の無味無臭
化方法(特開平9−103266号公報)が知られてい
る。しかし、これらの方法は操作が煩雑であったり、処
理コストが高価であったり、また処理効果が低かったり
と十分な処理法とは言えない。酵母細胞壁は、既に、増
粘安定剤、製造用剤として添加物名簿に収載されてお
り、また「ビール酵母細胞壁」として市販されている。
この市販品はビール酵母の細胞壁を高度に分離精製した
ものであるが、この酵母細胞壁には、酵母由来と考えら
れる旨味、苦味が依然強く感じられ、食品に添加したと
きその食品の風味に大きな影響を与えてしまう可能性が
大きい。また、この市販の「ビール酵母細胞壁」の成分
分析値は、粗蛋白30重量%、食物繊維54.5重量%
とされ、食物繊維以外の夾雑物が多く、このことからも
食品に添加・使用した場合、その風味、物性等に大きな
影響を与えてしまうことが予想される。
【0004】さらに、酵母の高圧処理に関する従来技術
としては、酵母菌体の品温を10℃を越えない温度で高圧
噴射衝撃式ホモゲナイザーにより破砕し、自己消化する
ことを特徴とする酵母エキスよりなる調味料の製造法、
並びに酵母菌体を高圧噴射衝撃式ホモゲナイザーにより
破砕し、熱水抽出し、後に微粒化できなかった酵母細胞
壁を遠心分離することを特徴とする酵母菌体の有効成分
を悉く含有する調味料の製造法(特開平9−11726
3号公報)や、高圧ホモジナイザー処理した酵母菌体懸
濁液をpH6.5〜8.5の中〜弱アルカリ性にし、そ
こにエンド型プロテアーゼを含む酵素剤を添加して自己
消化させ、遊離アミノ酸と5′−ヌクレオチドを多く含
み、かつ両成分含量のバランスの良い酵母エキスを高収
率で製造する酵母エキスの製造方法(特開平9−563
61号公報)等が知られているが、酵母エキスから分離
された酵母細胞壁を多く含む画分を高圧処理することは
知られていない。
【0005】他方、離水防止剤に関する技術としては、
和洋菓子類、ペースト類、ジャム類、シロップ漬類、糖
果類、漬け物類、豆腐類、こんにゃく類、畜肉製品類、
魚肉製品類等の食品類の水分調節剤としてトレハロース
を用い、これを食品に添加することによって、低甘味
で、食品本来の色、風味等を損なうことなく食品の水分
活性を低下させ、離水防止の効果をもたらす方法(特開
平9−56342号公報)や、魚類の皮や骨から得たゼ
ラチン粉末を、豆腐、茶碗蒸し、厚焼き卵、練製品、コ
ロッケ、春巻き、しゅうまい、餃子、コンニャク、コン
ニャクを用いたゼリー等の凝固前の食品素材に混合する
ことによって、冷凍食品の解凍時における離水を防止す
る方法(特開平11−164655号公報)や、菌体外
に多量の多糖を生産するビフィズス菌株を液体培地で培
養して得られる培養物を使用する、離水を防止し、組織
安定性が高く、滑らかな発酵乳を製造する方法(特開平
7−255465号公報)や、卵白及び/又は乳清蛋白
を有効成分とする離水防止剤を用い、離水の少ない豆腐
又は豆腐厚揚げ類を製造する方法(特開平11−225
699号公報)や、具材に5メッシュ〜60メッシュの
粒度のゼラチン粉末を0.1〜3重量%を添加混合する
ことを特徴とする離水防止されている生餃子の製造方法
(特開平10−75748号公報)などが知られてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】消費者の高級・本物指
向、自然指向の高まりに伴い、天然系調味料市場が活況
を呈している。その中でも酸によるタンパク質の加水分
解を行わず、酵素分解によって製造される酵母エキス
は、その安全性や味覚特性が評価され、注目を集めてい
る。酵母エキスは、ビール酵母、パン酵母、トルラ酵母
などを原料酵母として、かかる原料酵母のタンパク質等
の菌体成分を、酵母自身が有する酵素及び/又は外部か
ら添加した酵素により分解して低分子化することにより
製造されている。酵素分解後、エキス分は未分解のまま
残存する酵母の殻(酵母細胞壁)と分離され、精製・濃
縮後酵母エキス製品となるが、エキス分から分離された
酵母細胞壁を多く含む画分(以下「酵母エキス残さ」と
略す)は、酵母エキス製造時に生成したアミノ酸等の呈
味性の夾雑物が多く含まれており、そのままでは添加し
た食品の風味に与える影響が大きい。アミノ酸等のエキ
ス分の除去には水等による洗浄が簡便かつ効率的で好ま
しいが、水等の洗浄だけではアミノ酸等のエキス分の除
去という点では効果があるが、酵母特有の苦味の除去と
いう点ではまだ不充分である。
【0007】このように酵母細胞壁は、高度に精製して
も依然その風味は悪く、効果的な風味改善法が開発され
ていないため、いまだ有効な利用法が見つかっていない
のが現状である。本発明の課題は、酵母エキス残さに含
まれる酵母細胞壁画分から旨味成分や苦味成分等の食物
繊維以外の夾雑物が除去された酵母細胞壁画分や、かか
る食物繊維以外の夾雑物が除去された酵母細胞壁画分の
有効利用法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意研究を重ねた結果、酵母エキス残さ
を高圧処理し、水洗浄を行うことにより得られた酵母細
胞壁画分は、酵母特有の苦味が無く、また、食品素材等
に添加した場合に優れた離水防止作用を有することを見
い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち本発明は、酵母エキス残さを高圧
処理し、水洗浄することにより得られることを特徴とす
る酵母細胞壁画分(請求項1)や、高圧処理が、高圧ホ
モジナイザー処理であることを特徴とする請求項1記載
の酵母細胞壁画分(請求項2)や、乾燥物中の食物繊維
含量が65重量%以上であることを特徴とする酵母細胞
壁画分(請求項3)や、タンパク質含量が20重量%以
下であることを特徴とする請求項3記載の酵母細胞壁画
分(請求項4)や、請求項1〜4のいずれか記載の酵母
細胞壁画分を含有することを特徴とする食品(請求項
5)や、ヨーグルト類であることを特徴とする請求項5
記載の食品(請求項6)や、請求項1〜4のいずれか記
載の酵母細胞壁画分を有効成分とすることを特徴とする
離水防止剤(請求項7)に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の酵母細胞壁画分として
は、酵母エキス残さを高圧処理し、水洗浄することによ
り得られる酵母細胞壁画分や、乾燥物中の食物繊維含量
が65重量%以上である酵母細胞壁画分であれば特に制
限されるものではない。本発明の酵母細胞壁画分の原料
となる酵母としては、分類学上酵母に属し、可食性の酵
母であれば特に制限はなく、ビール醸造工程の副生成物
であるビール酵母の他、パン酵母、アルコール酵母、清
酒用酵母などを用いることができる。このような酵母と
しては、サッカロマイセス・セレビシェ、サッカロマイ
セス・ルーキシ、サッカロマイセス・ユーティリスなど
を具体的に挙げることができる。また、上記酵母エキス
残さとしては、従来公知の方法で得られる酵母エキス残
さであれば、特に制限されることなく使用することがで
きる。
【0011】本発明における高圧処理としては、該高圧
処理後に行われる水洗浄と相俟って、酵母エキス残さ中
の酵母エキス製造時に生成したアミノ酸等の呈味エキス
成分や酵母特有の苦味成分等の食物繊維以外の夾雑物を
効率よく除去しうる、酵母エキス残さに高圧を負荷する
処理であればどのような処理でもよく、高圧ホモジナイ
ザー処理、フレンチプレス処理、エクストルーダー処理
等を具体的に例示することができるが、これらの高圧処
理の中でも夾雑物の除去効率の点で高圧ホモジナイザー
処理が好ましい。かかる酵母エキス残さの高圧処理とし
ては、例えば高圧ホモジナイザー処理の場合、好ましく
は100〜1500kg/cm2、より好ましくは50
0〜1500kg/cm2の圧力下での高圧処理を挙げ
ることができる。また、かかる酵母エキス残さの高圧処
理は、夾雑物の除去効果をさらに高めるために、複数回
実施したり、種類のことなる高圧処理を併用することも
できる。
【0012】酵母エキス残さの高圧処理に続いて行われ
る水洗浄の方法としては、エキス分や苦味成分等の高圧
処理後の水可溶性画分と、水不溶性の酵母細胞壁画分を
分離できる方法であればどのような方法でもよく、必要
に応じて加水・攪拌した後の遠心分離処理、濾過処理等
の方法を挙げることができるが、作業効率を考慮すると
遠心分離処理の方が好ましい。水洗浄に用いられる水と
しては通常の上水道水を用いることができるが、夾雑物
の除去効率を低下させない範囲で、酸性水、アルカリ性
水、エタノール含有水を用いることもできる。また、洗
浄回数については、夾雑物の除去の程度・度合いにより
適宜選択することができる。そして、高圧処理、水洗浄
処理の後、必要に応じて、有機溶剤処理、酵素処理、
酸、アルカリ処理等を行い、より純度の高い酵母細胞壁
画分とすることもできる。
【0013】本発明の上記乾燥物中の食物繊維含量が6
5重量%以上である酵母細胞壁画分は、例えば酵母エキ
ス残さを高圧処理し、水洗浄することにより得られ、か
かる酵母細胞壁画分としては、凍結乾燥物、噴霧乾燥
物、自然乾燥物、熱風乾燥物等の乾燥物中の食物繊維含
量が65重量%以上、特に70重量%以上で、タンパク
質含量が20重量%以下、特に15重量%以下であるも
のが特に好ましい。ここで、食物繊維含量は以下に示す
酵素−重量法により測定した値である。500ml容ト
ールビーカー2個に採取量の差が20mg以内であるよ
うに試料を1gずつ分取し(S)、0.08mol/L
リン酸緩衝液(pH8.0)を50mlずつ、及びター
マミル(Novo Nordisk, 120L)を0.1mlずつ添
加し、沸騰水中で約5分間隔で振とうしながら30分間
加熱する。放冷後、0.275mol/L水酸化ナトリ
ウム溶液10mlでpH7.5±0.1に調整し、リン
酸緩衝液に50mg/mlの濃度で溶解させたプロテア
ーゼ溶液(SIGMA「P−5380」)を0.1ml
ずつ添加した後、60℃、30分間振とうする。放冷
後、0.325mol/L塩酸溶液10mlでpH4.
3±0.3に調整し、アミログルコシダーゼ溶液(SI
GMA「A−9913」)を0.1mlずつ添加した
後、60℃、30分間振とうする。その後、60℃に加
温した95%エタノールを4倍容ずつ加え、室温で1時
間放置後、あらかじめ約1.1gのセライトでろ過層を
形成させてある2G2のガラスフィルターを用い、吸引
ろ過する。残留物を78%エタノール20mlで3回、
次いで95%エタノール10mlで2回以上、最後にア
セトン10mlで2回以上洗浄し、105℃で一晩乾燥
させる。恒量測定(R1、R2)後、一つは525℃で
5時間灰化させ、灰分含有率(A)を算出する。もう一
つはケルダール法(係数6.25)により蛋白質含有率
(p)を算出する。試料を添加せず同様の方法により処
理した各値をブランク値とする。それぞれの値をもとに
以下の計算式によって食物繊維含量を算出する。 食物繊維(重量%)=(R×(1−(P+A)/100
−B)/S×100 R:残留物の重量(平均値、(R1+R2)/2、m
g) P:残留物中の蛋白含有率(%) A:残留物中の灰分含有率(%) S:試料採取量(平均値、mg) B:ブランク(mg) B(mg)=r×(1−(p+a)/100) r:ブランク残留物の重量(平均値、mg) p:ブランク残留物中の蛋白含有率(%) a:ブランク残留物中の灰分含有率(%) また、蛋白質含量はケルダール法で測定した値であり、
例えば文献「食品分析法、日本食品工業学会食品分析法
編集委員会編、p101」記載の方法に準じて行うこと
ができる。
【0014】上記の本発明の酵母細胞壁画分は優れた離
水防止作用を有することから、離水防止剤として有利に
用いることができる。本発明の離水防止剤としては、本
発明の酵母細胞壁画分を有効成分とするものであれば特
に制限されるものではなく、酵母エキス残さを高圧処理
し、水洗浄することにより得られる酵母細胞壁画分を有
効成分とする離水防止剤や、酵母エキス残さを高圧ホモ
ジナイザーにより高圧処理し、水洗浄することにより得
られる酵母細胞壁画分を有効成分とする離水防止剤や、
乾燥物中の食物繊維含量が65重量%以上である酵母細
胞壁画分を有効成分とする離水防止剤や、乾燥物中の食
物繊維含量が65重量%以上で、タンパク質含量が20
重量%以下である酵母細胞壁画分を有効成分とする離水
防止剤を具体的に例示することができ、その使用の態様
についても特に限定されず、例えば液状、スラリー状、
ペースト状、粉末状等、その使用形態に応じて適宜選択
することができる。
【0015】また、エキス成分や酵母特有の苦味成分等
の夾雑物が除去され、食物繊維成分に富み酵母細胞壁画
分の純度が向上している本発明の酵母細胞壁画分を、食
品用の離水防止剤として食品素材に添加し、食品中に含
有させると、当該食品の本来の風味を損なうことなく、
離水を防止することができる。本発明の酵母細胞壁画分
を適用しうる食品としては特に制限されるものではない
が、例えばヨーグルト類、乳製品類、乳系飲料類、野菜
・果実飲料類、酒類、プリン類、和洋菓子類、ペースト
食品類、ジャム類、シロップ漬類、糖果類、漬け物類、
豆腐類、こんにゃく類、コロッケ、春巻き、しゅうま
い、餃子等の総菜類、茶碗蒸し、厚焼き卵等の卵加工品
類、畜肉製品類、魚肉製品類など、その製造工程や製造
後に離水が問題となる食品に適用することが好ましい。
本発明の酵母細胞壁画分の食品素材への添加量は、食品
の種類や離水の程度に応じて適宜選択すればよく、例え
ばヨーグルトの場合、離水効果、ヨーグルトに与える物
性面・風味面での影響を考慮すると1.0〜5.0重量
%がよい。
【0016】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例等に限定されるものでは
ない。 実施例1(酵母細胞壁画分の調製) 酵母エキス製造時に副生する酵母細胞壁画分を含む画分
からなる酵母エキス残さ(固形分14.4重量%)を7
トン分取し、高圧ホモジナイザー(APV社製「Blu
e−top 40.80H」)を用いて2回高圧処理を
行った。まず、60℃下900barで2時間、次に、
75℃下500barで2時間高圧処理を行った。処理
液状物を水で4倍に希釈・攪拌後、遠心分離機(アルフ
ァラバル社製「FEUX512型」)を用い、5300
rpmで2時間固液分離を行い、エキス分の洗浄・除去
を行った。この洗浄・除去操作をさらに3回繰り返し、
酵母細胞壁画分スラリー(以下「BYCスラリー」と略
す)4.3トン(固形分9.3重量%)を製造した。か
かるBYCスラリーの製造を5回行い、これら5ロット
のBYCスラリーの凍結乾燥物(BYC凍結乾燥物)の
成分分析値を表1に示す。また、参考までに、前記市販
の酵母細胞壁画分の成分分析値も表1に示す。なお、食
物繊維は前述の酵素−重量法により、タンパク質は前述
のケルダール法により測定した。また、水分は試料を常
圧下105℃で5時間加熱する常圧加熱乾燥法により測
定し、例えば文献「食品分析法、日本食品工業学会食品
分析法編集委員会編、p4」記載の方法に準じて行うこ
とができる。
【0017】
【表1】
【0018】実施例2(ヨーグルトの製造) 実施例1で得られたBYCスラリー(凍結乾燥物;水分
2.4重量%、タンパク質11.6重量%、食物繊維7
3.6重量%)を用い、ドリンクヨーグルトに対する離
水防止効果確認試験を行った。まず、対照として、牛乳
(13.74重量%)、脱脂粉乳(7.21重量%)、
砂糖(7.14重量%)、香料(0.20重量%)、乳
酸菌(0.005重量%)、水(残り)を配合原料(計
100重量%)として常法によりドリンクヨーグルトを
製造した(以下「無添加」という場合がある)。次に、
本発明の実施例として、この対照ドリンクヨーグルトの
配合原料に、最終的な添加量が固形分換算でそれぞれ
1、2、3重量%になるようにBYCスラリーを添加
し、同様にドリンクヨーグルトを製造した(以下、それ
ぞれ「BYC1%」、「BYC2%」、「BYC3%」
と略す)。
【0019】次に、比較例として、上記対照ドリンクヨ
ーグルトの配合原料に、最終的な添加量が固形分換算で
それぞれ1、2、3重量%になるように市販の「ビール
酵母細胞壁画分」を添加し、同様にドリンクヨーグルト
を製造した(以下、それぞれ「市販品1%」、「市販品
2%」、「市販品3%」と略す)。同じく比較例とし
て、上記対照ドリンクヨーグルトの配合原料に、最終的
な添加量が固形分換算でそれぞれ1、2、3重量%にな
るように乾燥ビール酵母(キリンビール株式会社製)を
添加し、同様にドリンクヨーグルトを製造した(以下、
それぞれ「乾燥酵母1%」、「乾燥酵母2%」、「乾燥
酵母3%」と略す)。さらに、比較例として、ドリンク
ヨーグルトの離水防止剤として通常使用されているホエ
ータンパク濃縮物(アーラフーズ社製LACPRODAN80;
以下「WPC」と略す)を上記対照ドリンクヨーグルト
の配合原料に最終的な添加量が0.5重量%(通常の添
加量に相当)になるように添加し、同様にドリンクヨー
グルトを製造した(以下、「WPC0.5%)と略
す)。
【0020】(評価試験方法)実施例2で製造した対
照、実施例、比較例の各ドリンクヨーグルトを、離水防
止効果、粘度、風味の各項目について評価した。離水防
止効果は、製造した各ドリンクヨーグルトを50mlチ
ューブに分取し、4℃で15日間静置保管し、ドリンク
ヨーグルト上部に分離してくるホエー層の割合を2日
目、5日目、8日目、11日目、15日目にそれぞれ測
定して評価した。粘度は、製造した各ドリンクヨーグル
トの4℃におけるB形粘度計(株式会社トキメック製
「B形粘度計BL型」)による粘度の測定値に基づいて
評価した。風味は、製造直後の各ドリンクヨーグルトの
風味を優秀なパネラー5人による官能検査により評価し
た。官能検査における採点方法は、とてもおいしい(3
点)、おいしい(2点)、ややおいしい(1点)、おい
しくない(0点)とし、5人の平均点数を算出し、平均
点が、3〜2点;○、2〜1点;△、1〜0点;×とし
て評価した。
【0021】(評価試験結果)離水防止効果、粘度、風
味の各項目についての評価結果を、それぞれ表2、表
3、表4に示す。離水防止効果の評価結果である表2や
図1から、BYC添加区はホエーの分離を効果的に抑制
しており、離水防止効果が市販の「ビール酵母細胞壁画
分」や、他の酵母素材である乾燥酵母よりも優れている
ことがわかる。粘度の評価結果である表3からわかるよ
うに、BYC3重量%添加区はWPC区よりも低粘度で
あり、一般的にドリンクヨーグルトの離水防止剤として
使用されているWPC0.5重量%添加よりも粘度が低
いので、飲用上における粘度増加の点は問題がないと考
えられる。また、風味の評価結果である表4からわかる
ように、BYC添加によるドリンクヨーグルトの風味に
与える影響は、市販の「ビール酵母細胞壁画分」や、他
の酵母素材である乾燥酵母と比べて非常に小さい。以上
の結果をまとめた総合評価結果を表5に示す。本発明の
酵母細胞壁画分は、添加した食品の本来の風味に影響を
与えることなく離水を防止できることから、食品用離水
防止剤として特に適していることが明らかである。
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】
【表5】
【0026】
【発明の効果】本発明の酵母細胞壁画分は、添加した食
品の本来の風味に影響を与えることなく離水を防止でき
ることから、食品用離水防止剤として特に有利に用いる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酵母細胞壁画分をも含めた各種酵母素
材の離水防止効果の結果を示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 江口 敬宏 群馬県高崎市宮原町3番地 麒麟麦酒株式 会社応用開発センター内 Fターム(参考) 4B001 AC32 BC03 EC99 4B018 LB07 LE04 MD81 ME14 MF02 4B065 AA72X BD01 BD50 CA42

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酵母エキス残さを高圧処理し、水洗浄す
    ることにより得られることを特徴とする酵母細胞壁画
    分。
  2. 【請求項2】 高圧処理が、高圧ホモジナイザー処理で
    あることを特徴とする請求項1記載の酵母細胞壁画分。
  3. 【請求項3】 乾燥物中の食物繊維含量が65重量%以
    上であることを特徴とする酵母細胞壁画分。
  4. 【請求項4】 タンパク質含量が20重量%以下である
    ことを特徴とする請求項3記載の酵母細胞壁画分。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか記載の酵母細胞
    壁画分を含有することを特徴とする食品。
  6. 【請求項6】 ヨーグルト類であることを特徴とする請
    求項5記載の食品。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4のいずれか記載の酵母細胞
    壁画分を有効成分とすることを特徴とする離水防止剤。
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