JP2005325065A - 消臭剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 各種臭い物質に対して安定的に優れた消臭効果を発揮し、飲食品や飼料或いは各種廃棄物等の広い範囲の消臭に使用することができ、しかも、生体内に投与しても、或いは生体に塗布しても安全に使用できるような副作用のない天然物由来の消臭剤を提供すること。
【解決手段】 酵素処理或いは非酵素処理した酵母から可溶性菌体内成分を除去した酵母細胞壁画分を、各種臭い物質に対する消臭剤として用いる。本発明の消臭剤は、天然物由来で、安全で、副作用がなく、生体内に投与しても、或いは生体に塗布しても安全に使用することができ、投与或いは塗布により体内或いは体内からの臭い物質の消臭を行うことができる。また、本発明の消臭剤は各種臭い物質に対して安定的に消臭効果を発揮し、飲食品や飼料或いは各種廃棄物等の広い範囲に適用して、優れた消臭効果を得ることができる。
【解決手段】 酵素処理或いは非酵素処理した酵母から可溶性菌体内成分を除去した酵母細胞壁画分を、各種臭い物質に対する消臭剤として用いる。本発明の消臭剤は、天然物由来で、安全で、副作用がなく、生体内に投与しても、或いは生体に塗布しても安全に使用することができ、投与或いは塗布により体内或いは体内からの臭い物質の消臭を行うことができる。また、本発明の消臭剤は各種臭い物質に対して安定的に消臭効果を発揮し、飲食品や飼料或いは各種廃棄物等の広い範囲に適用して、優れた消臭効果を得ることができる。
Description
本発明は、酵母細胞壁画分を有効成分とする消臭剤、更に詳しくは、酵素処理した酵母、又は非酵素的に処理した酵母から可溶性菌体内成分を除去した酵母細胞壁画分を有効成分とする消臭剤に関する。
近年、健康で住み良い環境づくりのために生活環境の改善が図られる中で、なお、依然として、生活環境のいたるところで、有臭物質の問題が発生している。例えば、近年の食生活の欧米化により脂質、タンパク質の摂取量が増加しており、これらのうち未消化のものが大腸において腸内有害細菌による分解・発酵を受けることで、アンモニアやフェノール類、インドール類といった悪臭成分(腸内腐敗産物)が生成され、体臭や口臭、便臭の原因になることが知られている。加えて食物繊維の摂取量は年々減少傾向にあり、幅広い年齢層で慢性便秘症状が認められており、便の腸内滞留時間の延長が、更に悪臭成分の産生を助長していると考えられている。また、高齢化に伴い要介護者は年々増加しているが、一般に高齢者では腸内環境の悪化から口臭・便臭が強くなることが知られており、介護者にとっては深刻な問題である。更に、近年、生活空間の気密化に伴い、一般家庭から出される生活廃水臭、ゴミ臭、トイレ臭、ペット臭およびそれらの排泄物臭など悪臭に対する問題が深刻化している。
従来、排水・排出・排泄物などに対する消臭法としては、活性炭など物理吸着によるもの、無機系・有機系化合物を使用した化学的方法などが知られているが、安価で効率的な消臭方法は未だに検討の余地がある。また、生体内で生ずる悪臭物質に対しては、その悪臭物質の生成されるメカニズムについてもあまり解明されておらず、また、その抑制に有効な物質も開発されていないこと等があって、現在のところ、その有効な抑制方法についてはあまり知られていない。対処療法として、腸内腐敗産物の抑制方法として、抗生物質の投与によって、腸内で腐敗産物を生成している有害菌を死滅させる方法や、植物性の食品を中心に摂取したり、補助食品としてオリゴ糖類などを併用することで、ビフィズス菌、乳酸桿菌といった有用菌を腸内で最優勢にし、大腸菌やウェルシュ菌といった有害菌の増殖を抑えこむことで腸内腐敗産物の産生を抑制する方法が行われている。
生体内で生ずる悪臭物質に対処するための便性改善の手段には、繊維質食品の摂取に加え、ポリデキストロース、コーンファイバー、パインファイバーなどの各種ファイバー類の継続的な服用が便量を増加し便質を改善することが知られている。腸内環境を改善することにより、腸内腐敗産物の産生を抑制し消臭効果を発揮する方法として、プロアントシアニジンを含有する排泄物用経口消臭剤(特開平11−343237号公報)や、マッシュルーム抽出エキスを含有する腸内環境改善剤、及び該エキスと食物繊維、オリゴ糖を含有する腸内環境改善剤(特開平5−23894号公報)、マッシュルームの抽出物と霊芝を有効成分とする消臭剤(特開平10−150462号公報)などが知られている。
一方で、種々の臭い物質の除去方法として、微生物の発酵や分解作用を利用して、臭い物質を分解除去する方法が知られている。該微生物として、酵母は、古くから臭い物質の除去に利用されている。近年も、例えば、サッカロミセス属の食用酵母を用いて、特有な不快臭を有する高度不飽和脂肪酸を含む魚介類脂質や海獣類脂質を脱臭する方法等が開示されている(特開平8−140592号公報)。
また、酵母や酵母発酵物質を臭い物質の除去に用いた例として、茶殻、酵母発酵粕及びマンナンオリゴ糖から選択した少なくとも1種を糞尿に添加混合して糞尿の消臭を行う方法が特開平9−38184号公報に、サッカロミセス・ブラーディのような消臭性微生物を消臭性資材と併用して飼料に添加し、糞尿の悪臭を防止した方法が特許第3022306号公報に開示されている。更に、酵母菌体を消臭に用いた例として、納豆の原材料に死滅酵母菌体を添加配合して、特有の納豆臭を低減する方法が特許第3100910号に開示されている。これらはいずれも、酵母菌体やその発酵生産物を消臭に用いるものであり、酵母細胞壁画分自体を各種の臭い物質の除去に利用することについては知られていない。
また、酵母や酵母発酵物質を臭い物質の除去に用いた例として、茶殻、酵母発酵粕及びマンナンオリゴ糖から選択した少なくとも1種を糞尿に添加混合して糞尿の消臭を行う方法が特開平9−38184号公報に、サッカロミセス・ブラーディのような消臭性微生物を消臭性資材と併用して飼料に添加し、糞尿の悪臭を防止した方法が特許第3022306号公報に開示されている。更に、酵母菌体を消臭に用いた例として、納豆の原材料に死滅酵母菌体を添加配合して、特有の納豆臭を低減する方法が特許第3100910号に開示されている。これらはいずれも、酵母菌体やその発酵生産物を消臭に用いるものであり、酵母細胞壁画分自体を各種の臭い物質の除去に利用することについては知られていない。
他方、酵母から可溶性菌体内成分を除去した酵母細胞壁画分自体は、既に公知である。該酵母細胞壁画分は、その製造法にしたがって各種のものが知られており、その製造法に起因して酵母細胞壁画分に食物繊維含量やタンパク質含量等、種々の組成比のものが知られている(特開2001−55338号公報、特開2002−153263号公報)。また、これらの酵母細胞壁画分は、種々の生理活性機能が知られており、例えば、便秘の予防及び/又はその症状改善、アレルギー性疾患の予防及び/又はその症状改善等の種々の機能が知られている(特開2001−55338号公報)。しかしながら、該酵母細胞壁画分を消臭に用いることについては知られていない。
特開平5−238945号公報。
特開平8−140592号公報。
特開平9−38184号公報。
特開平10−150462号公報。
特開平11−343237号公報。
特開2001−55338号公報。
特開2002−153263号公報。
特許第3022306号公報。
特許第3100910号公報。
本発明の課題は、各種臭い物質に対して安定的に優れた消臭効果を発揮し、飲食品や飼料或いは各種廃棄物等の広い範囲の消臭に使用することができ、しかも、生体内に投与しても、或いは生体に塗布しても安全に使用できるような副作用のない天然物由来の消臭剤を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく、安全で、しかも、優れた消臭効果を発揮する天然物由来の消臭作用を持つ物質について鋭意探索する中で、酵素処理或いは非酵素処理した酵母から可溶性菌体内成分を除去した酵母細胞壁画分が、各種臭い物質に対して優れた消臭効果を発揮し、しかも、安全で、副作用がない消臭剤として用いることができることを見い出し、本発明を完成するに至った。本発明の消臭剤として用いる酵母細胞壁画分としては、酵母エキス抽出残さを、水洗浄処理、或いは高圧処理及び水洗浄処理を施すことにより得られる酵母細胞壁画分を、本発明において用いられる特に好ましい酵母細胞壁画分として挙げることができる。
本発明の消臭剤の有効成分として用いられる酵母細胞壁画分は、優れた消臭効果を発揮するために、酵母から可溶性菌体内成分を除去し、精製して、酵母細胞壁画分の乾燥物中の食物繊維含量が60重量%以上とすることが好ましい。
本発明の酵母細胞壁画分からなる消臭剤は、天然物由来で、安全で、副作用がなく、生体内に投与しても、或いは生体に塗布しても安全に使用することができ、かかる投与或いは塗布により体内或いは体内からの臭い物質の消臭を行うことができる。また、本発明の消臭剤は各種臭い物質に対して安定的に消臭効果を発揮し、飲食品や飼料或いは各種廃棄物等の広い範囲に適用して、優れた消臭効果を得ることができる。
本発明の酵母細胞壁画分からなる消臭剤は、天然物由来で、安全で、副作用がなく、生体内に投与しても、或いは生体に塗布しても安全に使用することができ、かかる投与或いは塗布により体内或いは体内からの臭い物質の消臭を行うことができる。また、本発明の消臭剤は各種臭い物質に対して安定的に消臭効果を発揮し、飲食品や飼料或いは各種廃棄物等の広い範囲に適用して、優れた消臭効果を得ることができる。
すなわち具体的には本発明は、酵素処理或いは非酵素処理した酵母から可溶性菌体内成分を除去した酵母細胞壁画分を有効成分とする消臭剤(請求項1)や、酵母エキス抽出残さを、水洗浄処理、或いは高圧処理及び水洗浄処理を施すことにより得られる酵母細胞壁画分を有効成分とする請求項1記載の消臭剤(請求項2)や、酵母細胞壁画分の乾燥物中の食物繊維含量が60重量%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の酵母細胞壁画分を有効成分とする消臭剤(請求項3)や、消臭剤が、生体に塗布或いは摂取されて適用される製剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の酵母細胞壁画分を有効成分とする消臭剤(請求項4)や、消臭剤が、生体外で適用される製剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の酵母細胞壁画分を有効成分とする消臭剤(請求項5)からなる。
本発明の消臭剤は、各種臭い物質に対して安定的に優れた消臭効果を発揮し、飲食品や飼料或いは各種廃棄物等の広い範囲の消臭に使用することができる。
特に、本発明の酵母細胞壁画分からなる消臭剤は、天然物由来で、安全で、副作用がなく、生体内に投与しても、或いは生体に塗布しても安全に使用することができる。したがって、本発明の消臭剤は、皮膚等に塗布して、臭い物質の除去を行ったり、口腔内に散布して口腔内臭い物質の除去を行ったり、また、経口投与して、生体内からの排泄物の除臭等を行うことが可能である。すなわち、本発明の消臭剤は、例えば腸内腐敗産物抑制剤、腸内腐敗産物吸着剤や口臭予防剤又は口臭除去剤として使用できるが、既に述べたように本態様に限らず幅広く生体内や生体外で適用する消臭剤として使用することが可能である。
特に、本発明の酵母細胞壁画分からなる消臭剤は、天然物由来で、安全で、副作用がなく、生体内に投与しても、或いは生体に塗布しても安全に使用することができる。したがって、本発明の消臭剤は、皮膚等に塗布して、臭い物質の除去を行ったり、口腔内に散布して口腔内臭い物質の除去を行ったり、また、経口投与して、生体内からの排泄物の除臭等を行うことが可能である。すなわち、本発明の消臭剤は、例えば腸内腐敗産物抑制剤、腸内腐敗産物吸着剤や口臭予防剤又は口臭除去剤として使用できるが、既に述べたように本態様に限らず幅広く生体内や生体外で適用する消臭剤として使用することが可能である。
本発明は、酵素処理或いは非酵素処理した酵母から可溶性菌体内成分を除去した酵母細胞壁画分を有効成分とする消臭剤からなる。該酵母細胞壁画分としては、酵母エキス抽出残さを、水洗浄処理、或いは高圧処理及び水洗浄処理を施すことにより得られる酵母細胞壁画分を特に好ましい酵母細胞壁画分として挙げることができる。本発明の消臭剤の有効成分として用いられる酵母細胞壁画分は、優れた消臭効果を発揮するために、酵母から可溶性菌体内成分を除去し、精製して、酵母細胞壁画分の乾燥物中の食物繊維含量が60重量%以上とすることが好ましい。
(原料酵母)
本発明に用いられる酵母細胞壁画分の原料となる酵母としては、分類学上酵母に属し、可食性の酵母であれば特に制限はなく、例えばビール醸造工程の副生成物であるビール酵母の他、ワイン酵母、パン酵母、トルラ酵母、アルコール酵母、清酒用酵母などを用いることができ、より具体的には、ビール酵母、パン酵母の属するサッカロマイセス属のサッカロマイセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)あるいはサッカロマイセス・パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)、その他サッカロマイセス・ルーキシ(Saccharomyces rouxii)、サッカロマイセス・カールスバーゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロマイセス・ポンベ(Saccharomyces pombe)、またメタノール資化性酵母であるキャンディダ属のキャンディダ・ウティリス(Candida utilis)、キャンディダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、キャンディダ・リポリティカ(Candida lipolytica)、キャンディダ・フレーベリ(Candida flaveri)、キャンディダ・ボイジニィ(Candida boidinii)等を、さらにトルラ属のロドトルラ・ミニュータ(Rhodotrura minuta)等を挙げることができる。
本発明に用いられる酵母細胞壁画分の原料となる酵母としては、分類学上酵母に属し、可食性の酵母であれば特に制限はなく、例えばビール醸造工程の副生成物であるビール酵母の他、ワイン酵母、パン酵母、トルラ酵母、アルコール酵母、清酒用酵母などを用いることができ、より具体的には、ビール酵母、パン酵母の属するサッカロマイセス属のサッカロマイセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)あるいはサッカロマイセス・パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)、その他サッカロマイセス・ルーキシ(Saccharomyces rouxii)、サッカロマイセス・カールスバーゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロマイセス・ポンベ(Saccharomyces pombe)、またメタノール資化性酵母であるキャンディダ属のキャンディダ・ウティリス(Candida utilis)、キャンディダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、キャンディダ・リポリティカ(Candida lipolytica)、キャンディダ・フレーベリ(Candida flaveri)、キャンディダ・ボイジニィ(Candida boidinii)等を、さらにトルラ属のロドトルラ・ミニュータ(Rhodotrura minuta)等を挙げることができる。
そして、これらの酵母は単独あるいは組み合わせて使用することができる。酵母としては生酵母を用いることが好ましいが、乾燥酵母等の生酵母以外の形態の酵母を用いる場合であっても、例えば水中等に懸濁して生酵母同様に処理することもできる。さらに、使用する酵母の形状や大きさに特に制限はなく、その大きさは1〜20μmの範囲のものが好ましい。また、上記酵母エキス抽出残さとしては、従来公知の方法で得られる酵母エキス抽出残さであれば、特に制限されることなく使用することができる。
(酵母細胞壁画分の調製)
本発明において有効成分として用いられる酵母細胞壁画分は、酵母菌体から例えば蛋白質、アミノ酸、核酸などの水又は極性溶剤に可溶性菌体内成分を除去したものであり、酵母菌体からこれら可溶性菌体内成分を除去することにより得られる酵母細胞壁画分は、通常酵素処理により酵母菌体を溶菌して可溶性菌体内成分を菌体外に分離・除去することにより調製することができる。かかる酵素処理方法としては、酵母菌体の酵素を使用するいわゆる自己消化法や、外部からプロテアーゼ、ヌクレアーゼ、グルカナーゼ、エステラーゼなどの酵素を添加する酵素添加法や、それらを併用する方法などを例示することができ、かかる酵素処理酵母菌体から、可溶性菌体内成分を遠心分離などの除去処理を施すことによって酵母細胞壁画分を得ることができる。更に、好ましくは、得られた酵母細胞壁画分に高圧処理を施し、水洗浄を行うことによって、より純度の高い酵母細胞壁画分を得ることもできる。
本発明において有効成分として用いられる酵母細胞壁画分は、酵母菌体から例えば蛋白質、アミノ酸、核酸などの水又は極性溶剤に可溶性菌体内成分を除去したものであり、酵母菌体からこれら可溶性菌体内成分を除去することにより得られる酵母細胞壁画分は、通常酵素処理により酵母菌体を溶菌して可溶性菌体内成分を菌体外に分離・除去することにより調製することができる。かかる酵素処理方法としては、酵母菌体の酵素を使用するいわゆる自己消化法や、外部からプロテアーゼ、ヌクレアーゼ、グルカナーゼ、エステラーゼなどの酵素を添加する酵素添加法や、それらを併用する方法などを例示することができ、かかる酵素処理酵母菌体から、可溶性菌体内成分を遠心分離などの除去処理を施すことによって酵母細胞壁画分を得ることができる。更に、好ましくは、得られた酵母細胞壁画分に高圧処理を施し、水洗浄を行うことによって、より純度の高い酵母細胞壁画分を得ることもできる。
上記例示の酵素処理方法は、いずれも可溶性菌体内成分を酵母エキスとして製造する際に用いる方法であることからして、製造コストの点を考慮すると、酵母細胞壁画分として、酵母エキス製造における副生成物である酵母エキス抽出残さを用いることが有利である。酵母エキス抽出残さは、特開平8−56611号公報で示される、加熱失活させた酵母の水懸濁液を酵素で分解処理した後、キトサンまたはキトサンとポリアクリル酸塩を添加して水不溶物の除去を行い、酵母エキス水溶液を得ることを特徴とする酵母エキスの製造方法や、特開平9−56361号公報で示される、高圧ホモジナイザー処理した酵母菌体懸濁液を中性〜弱アルカリ性に調整し、該酵母菌体懸濁液にエンド型プロテアーゼを含む酵素剤を添加し、自己消化させることを特徴とする酵母エキスの製造方法や、特開平11−332511号公報で示される、原料となる酵母菌体を加温処理した後に、核酸分解酵素の含まれる条件下で、かつ5´−ヌクレオチドを分解する酵素活性が抑制される条件下で菌体成分を消化し抽出することを特徴とする、酵母エキスの製造法などの技術により得ることができる。また、これらの技術以外にも、公知の酵母エキスの製造における酵母エキス抽出残さを有効に用いることができる。
また、酵母細胞壁画分として、水洗浄処理、或いは高圧処理及び水洗浄処理を施すことにより得られる酵母細胞壁画分を用いることが、より優れた消臭効果を奏するばかりでなく、自己消化による特有の異味異臭がなく、経口摂取に適している点で好ましい。
高圧処理は、可溶性菌体内成分が効率的に除去できる方法であれば、どのような方法でもよく、例えば、高圧ホモジナイザー処理、フレンチプレス処理、エクストルーダー処理等等が挙げられる。高圧処理の中でも夾雑物の除去効率の点で高圧ホモジナイザー処理が最も好ましい。かかる酵母エキス抽出残さの高圧処理としては、例えば高圧ホモジナイザー処理の場合、好ましくは100〜1500kg/cm2、より好ましくは500〜1500kg/cm2の圧力下での高圧処理を挙げることができる。また、かかる酵母エキス抽出残さの高圧処理は、夾雑物の除去効果をさらに高めるために、複数回実施したり、種類のことなる上記の各種高圧処理を2種類または3種類適宜組み合わせて使用することもできる。
酵母エキス抽出残さの高圧処理に続いて行われる水洗浄処理の方法としては、可溶性菌体内成分と、水不溶性の酵母細胞壁画分を分離できる方法であればどのような方法でもよく、遠心分離処理、濾過処理等の方法を挙げることができるが、作業効率を考慮すると遠心分離処理の方が好ましい。水洗浄に用いられる水としては通常の上水道水を用いることができるが、夾雑物の除去効率を低下させない範囲で、酸性水、アルカリ性水、アルコール(エタノール)含有水を用いることもできる。また、洗浄回数については、夾雑物の除去の程度・度合いにより適宜選択することができる。そして、高圧処理、水洗浄処理の後、必要に応じて、有機溶剤処理、酵素処理、酸、アルカリ処理等を行い、より純度の高い酵母細胞壁画分とすることもできる。かかる酵母細胞壁画分としては、凍結乾燥物、噴霧乾燥物、自然乾燥物、熱風乾燥物等の乾燥物中の食物繊維含量が60重量%以上、好ましくは65重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上ものがより好ましい。
ここで、食物繊維含量は以下に示す酵素−重量法により測定した値である。
即ち、500ml容トールビーカー2個に採取量の差が20mg以内であるように試料を1gずつ分取し(S)、0.08mol/Lリン酸緩衝液(pH8.0)を50mlずつ、及びターマミル(NOVO NORDISK, 120L)を0.1mlずつ添加し、沸騰水中で約5分間隔で振とうしながら30分間加熱する。放冷後、0.275mol/L水酸化ナトリウム溶液10mlでpH7.5±0.1に調整し、リン酸緩衝液に50mg/mlの濃度で溶解させたプロテアーゼ溶液(SIGMA「P−5380」)を0.1mlずつ添加した後、60℃、30分間振とうする。放冷後、0.325mol/L塩酸溶液10mlでpH4.3±0.3に調整し、アミログルコシダーゼ溶液(SIGMA「A−9913」)を0.1mlずつ添加した後、60℃、30分間振とうする。その後、60℃に加温した95%エタノールを4倍容ずつ加え、室温で1時間放置後、あらかじめ約1.1gのセライトでろ過層を形成させてある2G2のガラスフィルターを用い、吸引ろ過する。残留物を78%エタノール20mlで3回、次いで95%エタノール10mlで2回以上、最後にアセトン10mlで2回以上洗浄し、105℃で一晩乾燥させる。恒量測定(R1、R2)後、一つは525℃で5時間灰化させ、灰分含有率(A)を算出する。もう一つはケルダール法(係数6.25)により蛋白質含有率(p)を算出する。試料を添加せず同様の方法により処理した各値をブランク値とする。それぞれの値をもとに以下の計算式によって食物繊維含量を算出する。食物繊維(重量%)=(R×(1−(P+A)/100−B)/S×100
R:残留物の重量(平均値、(R1+R2)/2、mg)
P:残留物中の蛋白含有率(%)
A:残留物中の灰分含有率(%)
S:試料採取量(平均値、mg)
B:ブランク(mg)
B(mg)=r×(1−(p+a)/100)
r:ブランク残留物の重量(平均値、mg)
p:ブランク残留物中の蛋白含有率(%)
a:ブランク残留物中の灰分含有率(%)
また、蛋白質含量はケルダール法で測定した値であり、例えば文献「食品分析法、日本食品工業学会食品分析法編集委員会編、p101」記載の方法に準じて行うことができる。
即ち、500ml容トールビーカー2個に採取量の差が20mg以内であるように試料を1gずつ分取し(S)、0.08mol/Lリン酸緩衝液(pH8.0)を50mlずつ、及びターマミル(NOVO NORDISK, 120L)を0.1mlずつ添加し、沸騰水中で約5分間隔で振とうしながら30分間加熱する。放冷後、0.275mol/L水酸化ナトリウム溶液10mlでpH7.5±0.1に調整し、リン酸緩衝液に50mg/mlの濃度で溶解させたプロテアーゼ溶液(SIGMA「P−5380」)を0.1mlずつ添加した後、60℃、30分間振とうする。放冷後、0.325mol/L塩酸溶液10mlでpH4.3±0.3に調整し、アミログルコシダーゼ溶液(SIGMA「A−9913」)を0.1mlずつ添加した後、60℃、30分間振とうする。その後、60℃に加温した95%エタノールを4倍容ずつ加え、室温で1時間放置後、あらかじめ約1.1gのセライトでろ過層を形成させてある2G2のガラスフィルターを用い、吸引ろ過する。残留物を78%エタノール20mlで3回、次いで95%エタノール10mlで2回以上、最後にアセトン10mlで2回以上洗浄し、105℃で一晩乾燥させる。恒量測定(R1、R2)後、一つは525℃で5時間灰化させ、灰分含有率(A)を算出する。もう一つはケルダール法(係数6.25)により蛋白質含有率(p)を算出する。試料を添加せず同様の方法により処理した各値をブランク値とする。それぞれの値をもとに以下の計算式によって食物繊維含量を算出する。食物繊維(重量%)=(R×(1−(P+A)/100−B)/S×100
R:残留物の重量(平均値、(R1+R2)/2、mg)
P:残留物中の蛋白含有率(%)
A:残留物中の灰分含有率(%)
S:試料採取量(平均値、mg)
B:ブランク(mg)
B(mg)=r×(1−(p+a)/100)
r:ブランク残留物の重量(平均値、mg)
p:ブランク残留物中の蛋白含有率(%)
a:ブランク残留物中の灰分含有率(%)
また、蛋白質含量はケルダール法で測定した値であり、例えば文献「食品分析法、日本食品工業学会食品分析法編集委員会編、p101」記載の方法に準じて行うことができる。
(消臭剤の適用)
本発明の酵母細胞壁画分を有効成分とする消臭剤は、酵母細胞壁画分を単独又は酵母細胞壁画分と他の消臭成分若しくは消臭素材との混合物として用いることができる。本発明の消臭剤の適用に際しては、飲食品や飼料或いは各種廃棄物等、それぞれの適用対象において、製剤化して施用することができる。また、該製剤化したものを飲食品や飼料或いは各種廃棄物等に配合或いは混合して用いることもできる。かかる製剤形態としては、固形状(固形状、粉末状、顆粒状、その他)、ペースト状、液状、あるいは混濁状のいずれの形態でもよく、該固形製剤の製造に際しては、賦形剤、安定剤、崩壊剤等通常固形製剤の製造に用いられる補助剤を適宜使用することができる。
本発明の酵母細胞壁画分を有効成分とする消臭剤は、酵母細胞壁画分を単独又は酵母細胞壁画分と他の消臭成分若しくは消臭素材との混合物として用いることができる。本発明の消臭剤の適用に際しては、飲食品や飼料或いは各種廃棄物等、それぞれの適用対象において、製剤化して施用することができる。また、該製剤化したものを飲食品や飼料或いは各種廃棄物等に配合或いは混合して用いることもできる。かかる製剤形態としては、固形状(固形状、粉末状、顆粒状、その他)、ペースト状、液状、あるいは混濁状のいずれの形態でもよく、該固形製剤の製造に際しては、賦形剤、安定剤、崩壊剤等通常固形製剤の製造に用いられる補助剤を適宜使用することができる。
本発明の消臭剤を生体に適用する場合には、通常、経口により摂取することにより投与することができる。かかる場合の製剤形態としては、通常、医薬製剤として経口投与において用いられている製剤形態を用いることができる。また、特に口腔内の消臭に用いる場合には、液剤やスプレーとして投与することもできるが、他の口腔内清浄製品やガム類製品に配合して用いることもできる。また、本発明の酵母細胞壁画分を各種飲食品に添加・配合することで、口腔内の消臭のみならず、飲食後の体内で発生する悪臭を軽減或いは防止し、体臭、口臭、或いは便臭を抑制、又は緩和することができる。更には、タバコの吸殻にそのまま添加することで、タバコ臭(ニコチン臭)を抑制、或いは緩和することができる。更に、本発明の消臭剤を生体に塗布して用いる場合には、液剤や軟膏或いはスプレーとして塗布することができるが、例えば、オムツ類のような生体に装着する衣類等に担持して適用することもできる。
本発明の消臭剤の有効成分である酵母細胞壁画分を飲食品に添加・配合して用いる場合の該飲食品素材としては、例えば、ヨーグルト、ドリンクヨーグルト、果汁ジュース、野菜ジュース、果汁と野菜の混合ジュース、牛乳、豆乳、酒類、コーヒー、紅茶、緑茶、煎茶、玉露、ウーロン茶、ウコン茶、プーアル茶、ジャスミン茶、スポーツ飲料、ミネラルウォーター等の各種飲料や、プリン、ビスケット、クッキー、パン、ケーキ、ドーナツ、ゼリー、煎餅などの焼き菓子、羊羹、大福、おはぎ、カステラなどの和菓子、冷菓、チューインガム等の菓子類や、食パン、フランスパン、ロールパン等のパン類や、うどん、そば等の麺類や、かまぼこ、ハム、魚肉ソーセージ等の魚肉練り製品や、ハム、ソーセージ、ハンバーグ等の蓄肉製品や、みそ、しょう油、ソース、ドレッシング、マヨネーズ、甘味料等の調味料や、たこ焼き、お好み焼き、焼きそば等の鉄板焼き食品や、豆腐、こんにゃく、その他漬物、佃煮、餃子、ピザ、サンドイッチ、ハンバーガー、コロッケ、サラダ等の各種惣菜等の各種食品を挙げることができる。
本発明の消臭剤の有効成分である酵母細胞壁画分を、ペットや家畜、或いは、その他の飼育動物の飼育における消臭に用いる場合には、該動物の飼料に配合して、或いは、飼料形態に製剤化して投与することができる。例えば、動物用飼料素材として、ペットフード、家畜用飼料、水産飼料、草食獣、肉食獣、水鳥、家禽類、霊長類、爬虫類、両生類を始めとする動物園用飼料等に添加・配合して投与することができる。本発明の酵母細胞壁画分をこれら各種動物の飼料に添加・配合することで、動物の体臭や口臭、便臭を抑制、あるいは緩和することができる。更には、家畜・家禽糞尿にそのまま添加しても良く、その使用法は、畜舎内外への散布、糞尿スラリー発酵槽や堆肥発酵槽への添加などがあげられる。
本発明の消臭剤を各種廃棄物等の消臭に適用するには、本発明の消臭剤の有効成分である酵母細胞壁画分を、液剤、粉剤、固形剤等、適宜の製剤形態に製剤化し、該製剤を用いて本発明の消臭剤を生体外、すなわち、各種廃棄物に直接散布或いは混合して適用することができる。
本発明の消臭剤を各種廃棄物等の消臭に適用するには、本発明の消臭剤の有効成分である酵母細胞壁画分を、液剤、粉剤、固形剤等、適宜の製剤形態に製剤化し、該製剤を用いて本発明の消臭剤を生体外、すなわち、各種廃棄物に直接散布或いは混合して適用することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、実施例中に示された酵母菌体重量は全て実状態での乾燥重量(ドライウエイト)である。
[酵母細胞壁画分1:YCW(Yeast Cell Wall)の調製]
ビール醸造工程より副生成物として得られる、発酵後ビール酵母スラリーの重量を正確に量った後、固形分が10重量%になるように加水した。水酸化ナトリウムをpH9となるまで添加し、遠心分離を行い、沈殿画分に加水して洗浄後、再度遠心分離を行った。固形分が10重量%になるように加水した懸濁物を冷却しながら高圧ホモジナイザー処理を行った後、50℃、3時間以上の反応条件で自己消化させ、さらにプロテアーゼを添加し50℃で一晩酵素反応を行った後、遠心分離を行い可溶性菌体成分を除去した。得られた酵母エキス抽出残さの固形分が10重量%になるように加水して洗浄後に遠心分離を行う操作を2度繰り返し、ここで得られる沈殿画分を凍結乾燥したものを「酵母細胞壁画分1:YCW」とし、その成分分析を行った。水分は試料を常圧下105℃で5時間加熱する常圧加熱乾燥法(「食品分析法、日本食品工業学会食品分析法編集委員会編、p4」参照)により、タンパク質は前述のケルダール法により、灰分は前述の直接灰化法により、食物繊維は前述の酵素−重量法によりそれぞれ測定した。測定は三回行い、その平均値を重量%で示した。成分分析値を表1に示す。なお、比較として市販の酵母細胞壁画分であるイムセルBF(田辺製薬社製)の成分分析値も表1に記載した。
ビール醸造工程より副生成物として得られる、発酵後ビール酵母スラリーの重量を正確に量った後、固形分が10重量%になるように加水した。水酸化ナトリウムをpH9となるまで添加し、遠心分離を行い、沈殿画分に加水して洗浄後、再度遠心分離を行った。固形分が10重量%になるように加水した懸濁物を冷却しながら高圧ホモジナイザー処理を行った後、50℃、3時間以上の反応条件で自己消化させ、さらにプロテアーゼを添加し50℃で一晩酵素反応を行った後、遠心分離を行い可溶性菌体成分を除去した。得られた酵母エキス抽出残さの固形分が10重量%になるように加水して洗浄後に遠心分離を行う操作を2度繰り返し、ここで得られる沈殿画分を凍結乾燥したものを「酵母細胞壁画分1:YCW」とし、その成分分析を行った。水分は試料を常圧下105℃で5時間加熱する常圧加熱乾燥法(「食品分析法、日本食品工業学会食品分析法編集委員会編、p4」参照)により、タンパク質は前述のケルダール法により、灰分は前述の直接灰化法により、食物繊維は前述の酵素−重量法によりそれぞれ測定した。測定は三回行い、その平均値を重量%で示した。成分分析値を表1に示す。なお、比較として市販の酵母細胞壁画分であるイムセルBF(田辺製薬社製)の成分分析値も表1に記載した。
[酵母細胞壁画分2と3:BYC(Brewer's Yeast Cell)1と2の調製]
ビール醸造工程より副生成物として得られる、発酵後ビール酵母スラリーの重量を正確に量った後、固形分が10重量%になるように加水した。水酸化ナトリウムをpH9となるまで添加し、遠心分離を行い、沈殿画分に加水して洗浄後、再度遠心分離を行った。固形分が10重量%になるように加水した懸濁物を冷却しながら高圧ホモジナイザー処理を行った後、50℃、3時間以上の反応条件で自己消化させ、さらにプロテアーゼを添加し50℃で一晩酵素反応を行い、その後、遠心分離を行うことで可溶性菌体成分を除去した。得られた酵母エキス抽出残さを、高圧ホモジナイザー(APV社製「Blue−top 40.80H」)を用いて60℃下900barで高圧処理を行った。高圧処理は4回あるいは12回行い、それぞれの該高圧処理液状物を水で4倍に希釈・攪拌後、遠心分離機(アルファラバル社製「FEUX512型」)を用いて固液分離を行い、エキス分の洗浄・除去を行った。この洗浄・除去操作をさらに3回繰り返し、酵母細胞壁画分スラリー(以下「BYCスラリー」と略す)を製造した。高圧処理を4回施したBYCスラリーを凍結乾燥したものを「酵母細胞壁画分2:BYC1」、12回施したBYCスラリーを凍結乾燥したものを「酵母細胞壁画分3:BYC2」とし、実施例1にならい成分分析を行った。
ビール醸造工程より副生成物として得られる、発酵後ビール酵母スラリーの重量を正確に量った後、固形分が10重量%になるように加水した。水酸化ナトリウムをpH9となるまで添加し、遠心分離を行い、沈殿画分に加水して洗浄後、再度遠心分離を行った。固形分が10重量%になるように加水した懸濁物を冷却しながら高圧ホモジナイザー処理を行った後、50℃、3時間以上の反応条件で自己消化させ、さらにプロテアーゼを添加し50℃で一晩酵素反応を行い、その後、遠心分離を行うことで可溶性菌体成分を除去した。得られた酵母エキス抽出残さを、高圧ホモジナイザー(APV社製「Blue−top 40.80H」)を用いて60℃下900barで高圧処理を行った。高圧処理は4回あるいは12回行い、それぞれの該高圧処理液状物を水で4倍に希釈・攪拌後、遠心分離機(アルファラバル社製「FEUX512型」)を用いて固液分離を行い、エキス分の洗浄・除去を行った。この洗浄・除去操作をさらに3回繰り返し、酵母細胞壁画分スラリー(以下「BYCスラリー」と略す)を製造した。高圧処理を4回施したBYCスラリーを凍結乾燥したものを「酵母細胞壁画分2:BYC1」、12回施したBYCスラリーを凍結乾燥したものを「酵母細胞壁画分3:BYC2」とし、実施例1にならい成分分析を行った。
[正常ラットに対する酵母細胞壁画分の腸内腐敗産物産生抑制]
Wistar系雄ラット(7週齢)を正常粉末食(CE-2、日本クレア)の自由摂食下で1週間予備飼育し実験環境への順化を行った後、体重を指標に1群8匹で3群に群分けした。供試飼料(被検サンプル)としては、実施例1と2によりそれぞれ調整されたYCW及びBYC1、2をそれぞれ5%ずつの割合で正常粉末食と混合したものを用いた。対照群を含めた供試飼料全四群の組成を表2に示す。
これらの供試飼料を2週間自由摂食させた後、解剖を行い直腸より新鮮な糞便を採取した。得られた糞便を、ガラス試験管に精秤し、5mLのリン酸緩衝液を加えて懸濁後、内部標準としてp−イソプロピルフェノールを加え、二硫化炭素を加え0℃で30分抽出を行った。抽出液の4μLをマイクロシリンジに採りGLCにて分析を行った。結果を表3に示す。YCW及びBYC1、2の2週間にわたる混餌投与の結果、各種腸内腐敗産物濃度の有意な減少が観察され、その効果はYCWよりもBYC1、2で顕著に認められ、BYCの中ではBYC2の方がより顕著であった。
Wistar系雄ラット(7週齢)を正常粉末食(CE-2、日本クレア)の自由摂食下で1週間予備飼育し実験環境への順化を行った後、体重を指標に1群8匹で3群に群分けした。供試飼料(被検サンプル)としては、実施例1と2によりそれぞれ調整されたYCW及びBYC1、2をそれぞれ5%ずつの割合で正常粉末食と混合したものを用いた。対照群を含めた供試飼料全四群の組成を表2に示す。
これらの供試飼料を2週間自由摂食させた後、解剖を行い直腸より新鮮な糞便を採取した。得られた糞便を、ガラス試験管に精秤し、5mLのリン酸緩衝液を加えて懸濁後、内部標準としてp−イソプロピルフェノールを加え、二硫化炭素を加え0℃で30分抽出を行った。抽出液の4μLをマイクロシリンジに採りGLCにて分析を行った。結果を表3に示す。YCW及びBYC1、2の2週間にわたる混餌投与の結果、各種腸内腐敗産物濃度の有意な減少が観察され、その効果はYCWよりもBYC1、2で顕著に認められ、BYCの中ではBYC2の方がより顕著であった。
[ヒトでの口臭除去効果]
実施例2で得られたBYC1を用いて口臭除去効果を評価した。4人の被験者に、BYC1を6g、市販の納豆を25gの順番で摂取させ、その3分後、被験者の呼気1.5リットル中に含まれるアンモニア量をガステック社製検知管(型番:GV−100)により測定した。また、BYC1を摂取せず、納豆25gのみを摂取した区を対照とし、試験区と同一の被験者4人の納豆摂取3分後の呼気1.5リットル中に含まれるアンモニア量をガステック社製検知管(型番:GV−100)により測定し、対照のアンモニア量に対する減少割合を消臭率とした。結果を表4に示す。対照と比較してBYC1摂取時の4名の消臭率は46.9〜70.0(平均消臭率は57.3%)と優れた口臭除去効果が示された。
実施例2で得られたBYC1を用いて口臭除去効果を評価した。4人の被験者に、BYC1を6g、市販の納豆を25gの順番で摂取させ、その3分後、被験者の呼気1.5リットル中に含まれるアンモニア量をガステック社製検知管(型番:GV−100)により測定した。また、BYC1を摂取せず、納豆25gのみを摂取した区を対照とし、試験区と同一の被験者4人の納豆摂取3分後の呼気1.5リットル中に含まれるアンモニア量をガステック社製検知管(型番:GV−100)により測定し、対照のアンモニア量に対する減少割合を消臭率とした。結果を表4に示す。対照と比較してBYC1摂取時の4名の消臭率は46.9〜70.0(平均消臭率は57.3%)と優れた口臭除去効果が示された。
[排泄物に対する消臭効果]
成豚から新鮮な糞便と尿を採取し、滅菌ガーゼで濾過して糞尿混合スラリーを調製した。このスラリー100mLを三角フラスコに秤量し、実施例2で得られたBYC1を1g添加し密栓した。30℃で24時間振盪した後、発生した臭気について10人の被験者によって官能評価を実施した。試験はBYC1を添加せず、同様に30℃で24時間振盪したサンプルを対照とし、糞便及び尿に由来する悪臭が、BYC1を添加することによって軽減されたか否かを評価した。アンケートの結果を以下に示す。
(1)「著しく軽減された」 2人
(2)「軽減された」 4人
(3)「少し軽減された」 3人
(4)「変化なし」 1人
以上より、BYC1を排泄物に直接添加することで、臭気が軽減することが確認された。
成豚から新鮮な糞便と尿を採取し、滅菌ガーゼで濾過して糞尿混合スラリーを調製した。このスラリー100mLを三角フラスコに秤量し、実施例2で得られたBYC1を1g添加し密栓した。30℃で24時間振盪した後、発生した臭気について10人の被験者によって官能評価を実施した。試験はBYC1を添加せず、同様に30℃で24時間振盪したサンプルを対照とし、糞便及び尿に由来する悪臭が、BYC1を添加することによって軽減されたか否かを評価した。アンケートの結果を以下に示す。
(1)「著しく軽減された」 2人
(2)「軽減された」 4人
(3)「少し軽減された」 3人
(4)「変化なし」 1人
以上より、BYC1を排泄物に直接添加することで、臭気が軽減することが確認された。
[腸内腐敗産物吸着効果]
フェノール、p−クレゾール、インドール、スカトールの各成分がそれぞれ10ppmの濃度になるように溶解したこれら4種の腐敗産物の混合溶液を作製した。この混合溶液を10mLのガラス遠沈管に5mLずつ分注し、実施例2で得られたBYC1をそれぞれ0.1g、0.2g、0.5g添加し、室温で30分振盪することで各成分の吸着試験を実施した後、遠心分離を行い上清を回収した。それぞれの上清液2mLに対し酢酸エチル4mLを添加後、4℃で30分抽出した。得られた抽出液の4μLをマイクロシリンジに採りGLCにて分析を行うことで、吸着試験後の残存成分を測定した。なお、BYC1を添加せず同様の操作を行ったものを対照とし、対照に対する各成分濃度の減少割合から吸着率を算出した。結果を図1に示す。添加したBYC1の用量に依存した各成分の吸着効果が確認され、特にインドール、スカトールについては優れた吸着効果が示された。
フェノール、p−クレゾール、インドール、スカトールの各成分がそれぞれ10ppmの濃度になるように溶解したこれら4種の腐敗産物の混合溶液を作製した。この混合溶液を10mLのガラス遠沈管に5mLずつ分注し、実施例2で得られたBYC1をそれぞれ0.1g、0.2g、0.5g添加し、室温で30分振盪することで各成分の吸着試験を実施した後、遠心分離を行い上清を回収した。それぞれの上清液2mLに対し酢酸エチル4mLを添加後、4℃で30分抽出した。得られた抽出液の4μLをマイクロシリンジに採りGLCにて分析を行うことで、吸着試験後の残存成分を測定した。なお、BYC1を添加せず同様の操作を行ったものを対照とし、対照に対する各成分濃度の減少割合から吸着率を算出した。結果を図1に示す。添加したBYC1の用量に依存した各成分の吸着効果が確認され、特にインドール、スカトールについては優れた吸着効果が示された。
[酵母細胞壁画分を含有する飲食品の製造]
(1)実施例1で調製した「YCW」を用いて、表5記載の通り酵母細胞壁配合ビスケットを製造した。
(1)実施例1で調製した「YCW」を用いて、表5記載の通り酵母細胞壁配合ビスケットを製造した。
Claims (5)
- 酵素処理或いは非酵素処理した酵母から可溶性菌体内成分を除去した酵母細胞壁画分を有効成分とする消臭剤。
- 酵母エキス抽出残さを、水洗浄処理、或いは高圧処理及び水洗浄処理を施すことにより得られる酵母細胞壁画分を有効成分とする請求項1記載の消臭剤。
- 酵母細胞壁画分の乾燥物中の食物繊維含量が60重量%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の酵母細胞壁画分を有効成分とする消臭剤。
- 消臭剤が、生体に塗布或いは摂取されて適用される製剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の酵母細胞壁画分を有効成分とする消臭剤。
- 消臭剤が、生体外で適用される製剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の酵母細胞壁画分を有効成分とする消臭剤。
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- 2004-05-14 JP JP2004145097A patent/JP2005325065A/ja active Pending
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