JP3502341B2 - 離水防止作用を有する酵母細胞壁画分 - Google Patents
離水防止作用を有する酵母細胞壁画分Info
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Description
する酵母細胞壁画分や、該酵母細胞壁画分を含有するヨ
ーグルト類等の食品や、該酵母細胞壁画分を有効成分と
する離水防止剤に関する。
ては、塩素系酸化剤処理による酵母の品質改良法(特開
昭49−75777号公報)や、ヘミセルラーゼもしく
はその粗精製物と接触させることを特徴とする、臭味の
改善された酵母および酵母加工処理物の製造法(特開昭
53−81683号公報)や、酵母を多価アルコールと
接触させることを特徴とする酵母臭のない白色の酵母製
品を製造する方法(特開昭55−68272号公報)
や、超臨界の二酸化炭素、エタン等で酵母の苦味を除去
する方法(特開昭57−26585号公報)や、水蒸気
蒸留に付することを特徴とするビール酵母の風味改善法
(特開昭63−22177号公報)や、酸及び加熱処理
により酵母の異味、異臭を低減させる方法(特開平6−
70750号公報)などが知られている。
技術としては、酵母エキス残さをアルカリ及び酸で洗浄
した後、オゾン処理を行い、さらにエタノール処理を行
うことを特徴とする酵母エキス抽出残さの脱色・脱臭方
法(特開平4−248968号公報)や、酵母自己消化
不溶物をエタノールで懸濁させてアルカリ下で攪拌処理
等することを特徴とする酵母自己消化不溶物の無味無臭
化方法(特開平9−103266号公報)が知られてい
る。しかし、これらの方法は操作が煩雑であったり、処
理コストが高価であったり、また処理効果が低かったり
と十分な処理法とは言えない。酵母細胞壁は、既に、増
粘安定剤、製造用剤として添加物名簿に収載されてお
り、また「ビール酵母細胞壁」として市販されている。
この市販品はビール酵母の細胞壁を高度に分離精製した
ものであるが、この酵母細胞壁には、酵母由来と考えら
れる旨味、苦味が依然強く感じられ、食品に添加したと
きその食品の風味に大きな影響を与えてしまう可能性が
大きい。また、この市販の「ビール酵母細胞壁」の成分
分析値は、粗蛋白30重量%、食物繊維54.5重量%
とされ、食物繊維以外の夾雑物が多く、このことからも
食品に添加・使用した場合、その風味、物性等に大きな
影響を与えてしまうことが予想される。
としては、酵母菌体の品温を10℃を越えない温度で高圧
噴射衝撃式ホモゲナイザーにより破砕し、自己消化する
ことを特徴とする酵母エキスよりなる調味料の製造法、
並びに酵母菌体を高圧噴射衝撃式ホモゲナイザーにより
破砕し、熱水抽出し、後に微粒化できなかった酵母細胞
壁を遠心分離することを特徴とする酵母菌体の有効成分
を悉く含有する調味料の製造法(特開平9−11726
3号公報)や、高圧ホモジナイザー処理した酵母菌体懸
濁液をpH6.5〜8.5の中〜弱アルカリ性にし、そ
こにエンド型プロテアーゼを含む酵素剤を添加して自己
消化させ、遊離アミノ酸と5′−ヌクレオチドを多く含
み、かつ両成分含量のバランスの良い酵母エキスを高収
率で製造する酵母エキスの製造方法(特開平9−563
61号公報)等が知られているが、酵母エキスから分離
された酵母細胞壁を多く含む画分を高圧処理することは
知られていない。
和洋菓子類、ペースト類、ジャム類、シロップ漬類、糖
果類、漬け物類、豆腐類、こんにゃく類、畜肉製品類、
魚肉製品類等の食品類の水分調節剤としてトレハロース
を用い、これを食品に添加することによって、低甘味
で、食品本来の色、風味等を損なうことなく食品の水分
活性を低下させ、離水防止の効果をもたらす方法(特開
平9−56342号公報)や、魚類の皮や骨から得たゼ
ラチン粉末を、豆腐、茶碗蒸し、厚焼き卵、練製品、コ
ロッケ、春巻き、しゅうまい、餃子、コンニャク、コン
ニャクを用いたゼリー等の凝固前の食品素材に混合する
ことによって、冷凍食品の解凍時における離水を防止す
る方法(特開平11−164655号公報)や、菌体外
に多量の多糖を生産するビフィズス菌株を液体培地で培
養して得られる培養物を使用する、離水を防止し、組織
安定性が高く、滑らかな発酵乳を製造する方法(特開平
7−255465号公報)や、卵白及び/又は乳清蛋白
を有効成分とする離水防止剤を用い、離水の少ない豆腐
又は豆腐厚揚げ類を製造する方法(特開平11−225
699号公報)や、具材に5メッシュ〜60メッシュの
粒度のゼラチン粉末を0.1〜3重量%を添加混合する
ことを特徴とする離水防止されている生餃子の製造方法
(特開平10−75748号公報)などが知られてい
る。
向、自然指向の高まりに伴い、天然系調味料市場が活況
を呈している。その中でも酸によるタンパク質の加水分
解を行わず、酵素分解によって製造される酵母エキス
は、その安全性や味覚特性が評価され、注目を集めてい
る。酵母エキスは、ビール酵母、パン酵母、トルラ酵母
などを原料酵母として、かかる原料酵母のタンパク質等
の菌体成分を、酵母自身が有する酵素及び/又は外部か
ら添加した酵素により分解して低分子化することにより
製造されている。酵素分解後、エキス分は未分解のまま
残存する酵母の殻(酵母細胞壁)と分離され、精製・濃
縮後酵母エキス製品となるが、エキス分から分離された
酵母細胞壁を多く含む画分(以下「酵母エキス残さ」と
略す)は、酵母エキス製造時に生成したアミノ酸等の呈
味性の夾雑物が多く含まれており、そのままでは添加し
た食品の風味に与える影響が大きい。アミノ酸等のエキ
ス分の除去には水等による洗浄が簡便かつ効率的で好ま
しいが、水等の洗浄だけではアミノ酸等のエキス分の除
去という点では効果があるが、酵母特有の苦味の除去と
いう点ではまだ不充分である。
も依然その風味は悪く、効果的な風味改善法が開発され
ていないため、いまだ有効な利用法が見つかっていない
のが現状である。本発明の課題は、酵母エキス残さに含
まれる酵母細胞壁画分から旨味成分や苦味成分等の食物
繊維以外の夾雑物が除去された酵母細胞壁画分や、かか
る食物繊維以外の夾雑物が除去された酵母細胞壁画分の
有効利用法を提供することにある。
を解決するため鋭意研究を重ねた結果、酵母エキス残さ
を高圧処理し、水洗浄を行うことにより得られた酵母細
胞壁画分は、酵母特有の苦味が無く、また、食品素材等
に添加した場合に優れた離水防止作用を有することを見
い出し、本発明を完成するに至った。
処理し、水洗浄することにより得られることを特徴とす
る酵母細胞壁画分(請求項1)や、高圧処理が、高圧ホ
モジナイザー処理であることを特徴とする請求項1記載
の酵母細胞壁画分(請求項2)や、乾燥物中の食物繊維
含量が65重量%以上であることを特徴とする酵母細胞
壁画分(請求項3)や、タンパク質含量が20重量%以
下であることを特徴とする請求項3記載の酵母細胞壁画
分(請求項4)や、請求項1〜4のいずれか記載の酵母
細胞壁画分を含有することを特徴とする食品(請求項
5)や、ヨーグルト類であることを特徴とする請求項5
記載の食品(請求項6)や、請求項1〜4のいずれか記
載の酵母細胞壁画分を有効成分とすることを特徴とする
離水防止剤(請求項7)に関する。
は、酵母エキス残さを高圧処理し、水洗浄することによ
り得られる酵母細胞壁画分や、乾燥物中の食物繊維含量
が65重量%以上である酵母細胞壁画分であれば特に制
限されるものではない。本発明の酵母細胞壁画分の原料
となる酵母としては、分類学上酵母に属し、可食性の酵
母であれば特に制限はなく、ビール醸造工程の副生成物
であるビール酵母の他、パン酵母、アルコール酵母、清
酒用酵母などを用いることができる。このような酵母と
しては、サッカロマイセス・セレビシェ、サッカロマイ
セス・ルーキシ、サッカロマイセス・ユーティリスなど
を具体的に挙げることができる。また、上記酵母エキス
残さとしては、従来公知の方法で得られる酵母エキス残
さであれば、特に制限されることなく使用することがで
きる。
処理後に行われる水洗浄と相俟って、酵母エキス残さ中
の酵母エキス製造時に生成したアミノ酸等の呈味エキス
成分や酵母特有の苦味成分等の食物繊維以外の夾雑物を
効率よく除去しうる、酵母エキス残さに高圧を負荷する
処理であればどのような処理でもよく、高圧ホモジナイ
ザー処理、フレンチプレス処理、エクストルーダー処理
等を具体的に例示することができるが、これらの高圧処
理の中でも夾雑物の除去効率の点で高圧ホモジナイザー
処理が好ましい。かかる酵母エキス残さの高圧処理とし
ては、例えば高圧ホモジナイザー処理の場合、好ましく
は100〜1500kg/cm2、より好ましくは50
0〜1500kg/cm2の圧力下での高圧処理を挙げ
ることができる。また、かかる酵母エキス残さの高圧処
理は、夾雑物の除去効果をさらに高めるために、複数回
実施したり、種類のことなる高圧処理を併用することも
できる。
る水洗浄の方法としては、エキス分や苦味成分等の高圧
処理後の水可溶性画分と、水不溶性の酵母細胞壁画分を
分離できる方法であればどのような方法でもよく、必要
に応じて加水・攪拌した後の遠心分離処理、濾過処理等
の方法を挙げることができるが、作業効率を考慮すると
遠心分離処理の方が好ましい。水洗浄に用いられる水と
しては通常の上水道水を用いることができるが、夾雑物
の除去効率を低下させない範囲で、酸性水、アルカリ性
水、エタノール含有水を用いることもできる。また、洗
浄回数については、夾雑物の除去の程度・度合いにより
適宜選択することができる。そして、高圧処理、水洗浄
処理の後、必要に応じて、有機溶剤処理、酵素処理、
酸、アルカリ処理等を行い、より純度の高い酵母細胞壁
画分とすることもできる。
5重量%以上である酵母細胞壁画分は、例えば酵母エキ
ス残さを高圧処理し、水洗浄することにより得られ、か
かる酵母細胞壁画分としては、凍結乾燥物、噴霧乾燥
物、自然乾燥物、熱風乾燥物等の乾燥物中の食物繊維含
量が65重量%以上、特に70重量%以上で、タンパク
質含量が20重量%以下、特に15重量%以下であるも
のが特に好ましい。ここで、食物繊維含量は以下に示す
酵素−重量法により測定した値である。500ml容ト
ールビーカー2個に採取量の差が20mg以内であるよ
うに試料を1gずつ分取し(S)、0.08mol/L
リン酸緩衝液(pH8.0)を50mlずつ、及びター
マミル(Novo Nordisk, 120L)を0.1mlずつ添
加し、沸騰水中で約5分間隔で振とうしながら30分間
加熱する。放冷後、0.275mol/L水酸化ナトリ
ウム溶液10mlでpH7.5±0.1に調整し、リン
酸緩衝液に50mg/mlの濃度で溶解させたプロテア
ーゼ溶液(SIGMA「P−5380」)を0.1ml
ずつ添加した後、60℃、30分間振とうする。放冷
後、0.325mol/L塩酸溶液10mlでpH4.
3±0.3に調整し、アミログルコシダーゼ溶液(SI
GMA「A−9913」)を0.1mlずつ添加した
後、60℃、30分間振とうする。その後、60℃に加
温した95%エタノールを4倍容ずつ加え、室温で1時
間放置後、あらかじめ約1.1gのセライトでろ過層を
形成させてある2G2のガラスフィルターを用い、吸引
ろ過する。残留物を78%エタノール20mlで3回、
次いで95%エタノール10mlで2回以上、最後にア
セトン10mlで2回以上洗浄し、105℃で一晩乾燥
させる。恒量測定(R1、R2)後、一つは525℃で
5時間灰化させ、灰分含有率(A)を算出する。もう一
つはケルダール法(係数6.25)により蛋白質含有率
(p)を算出する。試料を添加せず同様の方法により処
理した各値をブランク値とする。それぞれの値をもとに
以下の計算式によって食物繊維含量を算出する。 食物繊維(重量%)=(R×(1−(P+A)/100
−B)/S×100 R:残留物の重量(平均値、(R1+R2)/2、m
g) P:残留物中の蛋白含有率(%) A:残留物中の灰分含有率(%) S:試料採取量(平均値、mg) B:ブランク(mg) B(mg)=r×(1−(p+a)/100) r:ブランク残留物の重量(平均値、mg) p:ブランク残留物中の蛋白含有率(%) a:ブランク残留物中の灰分含有率(%) また、蛋白質含量はケルダール法で測定した値であり、
例えば文献「食品分析法、日本食品工業学会食品分析法
編集委員会編、p101」記載の方法に準じて行うこと
ができる。
水防止作用を有することから、離水防止剤として有利に
用いることができる。本発明の離水防止剤としては、本
発明の酵母細胞壁画分を有効成分とするものであれば特
に制限されるものではなく、酵母エキス残さを高圧処理
し、水洗浄することにより得られる酵母細胞壁画分を有
効成分とする離水防止剤や、酵母エキス残さを高圧ホモ
ジナイザーにより高圧処理し、水洗浄することにより得
られる酵母細胞壁画分を有効成分とする離水防止剤や、
乾燥物中の食物繊維含量が65重量%以上である酵母細
胞壁画分を有効成分とする離水防止剤や、乾燥物中の食
物繊維含量が65重量%以上で、タンパク質含量が20
重量%以下である酵母細胞壁画分を有効成分とする離水
防止剤を具体的に例示することができ、その使用の態様
についても特に限定されず、例えば液状、スラリー状、
ペースト状、粉末状等、その使用形態に応じて適宜選択
することができる。
の夾雑物が除去され、食物繊維成分に富み酵母細胞壁画
分の純度が向上している本発明の酵母細胞壁画分を、食
品用の離水防止剤として食品素材に添加し、食品中に含
有させると、当該食品の本来の風味を損なうことなく、
離水を防止することができる。本発明の酵母細胞壁画分
を適用しうる食品としては特に制限されるものではない
が、例えばヨーグルト類、乳製品類、乳系飲料類、野菜
・果実飲料類、酒類、プリン類、和洋菓子類、ペースト
食品類、ジャム類、シロップ漬類、糖果類、漬け物類、
豆腐類、こんにゃく類、コロッケ、春巻き、しゅうま
い、餃子等の総菜類、茶碗蒸し、厚焼き卵等の卵加工品
類、畜肉製品類、魚肉製品類など、その製造工程や製造
後に離水が問題となる食品に適用することが好ましい。
本発明の酵母細胞壁画分の食品素材への添加量は、食品
の種類や離水の程度に応じて適宜選択すればよく、例え
ばヨーグルトの場合、離水効果、ヨーグルトに与える物
性面・風味面での影響を考慮すると1.0〜5.0重量
%がよい。
するが、本発明はこれら実施例等に限定されるものでは
ない。 実施例1(酵母細胞壁画分の調製) 酵母エキス製造時に副生する酵母細胞壁画分を含む画分
からなる酵母エキス残さ(固形分14.4重量%)を7
トン分取し、高圧ホモジナイザー(APV社製「Blu
e−top 40.80H」)を用いて2回高圧処理を
行った。まず、60℃下900barで2時間、次に、
75℃下500barで2時間高圧処理を行った。処理
液状物を水で4倍に希釈・攪拌後、遠心分離機(アルフ
ァラバル社製「FEUX512型」)を用い、5300
rpmで2時間固液分離を行い、エキス分の洗浄・除去
を行った。この洗浄・除去操作をさらに3回繰り返し、
酵母細胞壁画分スラリー(以下「BYCスラリー」と略
す)4.3トン(固形分9.3重量%)を製造した。か
かるBYCスラリーの製造を5回行い、これら5ロット
のBYCスラリーの凍結乾燥物(BYC凍結乾燥物)の
成分分析値を表1に示す。また、参考までに、前記市販
の酵母細胞壁画分の成分分析値も表1に示す。なお、食
物繊維は前述の酵素−重量法により、タンパク質は前述
のケルダール法により測定した。また、水分は試料を常
圧下105℃で5時間加熱する常圧加熱乾燥法により測
定し、例えば文献「食品分析法、日本食品工業学会食品
分析法編集委員会編、p4」記載の方法に準じて行うこ
とができる。
2.4重量%、タンパク質11.6重量%、食物繊維7
3.6重量%)を用い、ドリンクヨーグルトに対する離
水防止効果確認試験を行った。まず、対照として、牛乳
(13.74重量%)、脱脂粉乳(7.21重量%)、
砂糖(7.14重量%)、香料(0.20重量%)、乳
酸菌(0.005重量%)、水(残り)を配合原料(計
100重量%)として常法によりドリンクヨーグルトを
製造した(以下「無添加」という場合がある)。次に、
本発明の実施例として、この対照ドリンクヨーグルトの
配合原料に、最終的な添加量が固形分換算でそれぞれ
1、2、3重量%になるようにBYCスラリーを添加
し、同様にドリンクヨーグルトを製造した(以下、それ
ぞれ「BYC1%」、「BYC2%」、「BYC3%」
と略す)。
ーグルトの配合原料に、最終的な添加量が固形分換算で
それぞれ1、2、3重量%になるように市販の「ビール
酵母細胞壁画分」を添加し、同様にドリンクヨーグルト
を製造した(以下、それぞれ「市販品1%」、「市販品
2%」、「市販品3%」と略す)。同じく比較例とし
て、上記対照ドリンクヨーグルトの配合原料に、最終的
な添加量が固形分換算でそれぞれ1、2、3重量%にな
るように乾燥ビール酵母(キリンビール株式会社製)を
添加し、同様にドリンクヨーグルトを製造した(以下、
それぞれ「乾燥酵母1%」、「乾燥酵母2%」、「乾燥
酵母3%」と略す)。さらに、比較例として、ドリンク
ヨーグルトの離水防止剤として通常使用されているホエ
ータンパク濃縮物(アーラフーズ社製LACPRODAN80;
以下「WPC」と略す)を上記対照ドリンクヨーグルト
の配合原料に最終的な添加量が0.5重量%(通常の添
加量に相当)になるように添加し、同様にドリンクヨー
グルトを製造した(以下、「WPC0.5%)と略
す)。
照、実施例、比較例の各ドリンクヨーグルトを、離水防
止効果、粘度、風味の各項目について評価した。離水防
止効果は、製造した各ドリンクヨーグルトを50mlチ
ューブに分取し、4℃で15日間静置保管し、ドリンク
ヨーグルト上部に分離してくるホエー層の割合を2日
目、5日目、8日目、11日目、15日目にそれぞれ測
定して評価した。粘度は、製造した各ドリンクヨーグル
トの4℃におけるB形粘度計(株式会社トキメック製
「B形粘度計BL型」)による粘度の測定値に基づいて
評価した。風味は、製造直後の各ドリンクヨーグルトの
風味を優秀なパネラー5人による官能検査により評価し
た。官能検査における採点方法は、とてもおいしい(3
点)、おいしい(2点)、ややおいしい(1点)、おい
しくない(0点)とし、5人の平均点数を算出し、平均
点が、3〜2点;○、2〜1点;△、1〜0点;×とし
て評価した。
味の各項目についての評価結果を、それぞれ表2、表
3、表4に示す。離水防止効果の評価結果である表2や
図1から、BYC添加区はホエーの分離を効果的に抑制
しており、離水防止効果が市販の「ビール酵母細胞壁画
分」や、他の酵母素材である乾燥酵母よりも優れている
ことがわかる。粘度の評価結果である表3からわかるよ
うに、BYC3重量%添加区はWPC区よりも低粘度で
あり、一般的にドリンクヨーグルトの離水防止剤として
使用されているWPC0.5重量%添加よりも粘度が低
いので、飲用上における粘度増加の点は問題がないと考
えられる。また、風味の評価結果である表4からわかる
ように、BYC添加によるドリンクヨーグルトの風味に
与える影響は、市販の「ビール酵母細胞壁画分」や、他
の酵母素材である乾燥酵母と比べて非常に小さい。以上
の結果をまとめた総合評価結果を表5に示す。本発明の
酵母細胞壁画分は、添加した食品の本来の風味に影響を
与えることなく離水を防止できることから、食品用離水
防止剤として特に適していることが明らかである。
品の本来の風味に影響を与えることなく離水を防止でき
ることから、食品用離水防止剤として特に有利に用いる
ことができる。
材の離水防止効果の結果を示す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 酵母エキス残さを高圧処理し、水洗浄す
ることにより得られることを特徴とする乾燥物中の食物
繊維含量が65重量%以上であり、かつ呈味夾雑物を除
去した酵母細胞壁画分。 - 【請求項2】 タンパク質含量が20重量%以下である
ことを特徴とする請求項1記載の乾燥物中の食物繊維含
量が65重量%以上であり、かつ呈味夾雑物を除去した
酵母細胞壁画分。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載の乾燥物中の食物繊
維含量が65重量%以上であり、かつ呈味夾雑物を除去
した酵母細胞壁画分を含有することを特徴とする食品。 - 【請求項4】 食品が、ヨーグルト類であることを特徴
とする請求項3記載の食品。 - 【請求項5】 請求項1又は2記載の乾燥物中の食物繊
維含量が65重量%以上であり、かつ呈味夾雑物を除去
した酵母細胞壁画分を有効成分とすることを特徴とする
離水防止剤。
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