JP3484428B2 - 酵母エキスの製造方法 - Google Patents

酵母エキスの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酵母エキスの製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、日本の食生活で調理食品や加工食
品などの安全性が大きなウエイトを占めてきた。それに
伴い食品の味を決める調味料も化学調味料から天然調味
料へシフトしてきている。天然調味料も、蛋白質加水分
解物からより安全性の高い畜肉系調味料、魚介系調味
料、野菜系エキス、酵素を用いた蛋白系調味料、酵母エ
キスなどへの訴求が集まっている。
【0003】特に酵母エキスは、遊離アミノ酸、5'−ヌ
クレオチド、ペプチド、有機酸、糖類などによって生じ
る、優れた呈味を持ち、コクや深みといった複雑な味を
付与するため食品工業において広く用いられている。
【0004】酵母エキスの製造法には、酵母菌体内に本
来あるタンパク質分解酵素などを利用して菌体成分を可
溶化してエキス分を得る自己消化法、微生物や植物など
から得られる酵素製剤を添加して菌体成分を可溶化する
酵素分解法、酸やアルカリにより可溶化する加水分解法
や、これらを組み合わせた各種方法が知られている。
【0005】加水分解法は製造条件が過激であるため、
予期されない化学反応等によって不純物が生成すること
がある。さらに、この方法は、反応後の中和によって多
量の食塩の生成が避けられず、脱塩等の工程が必要とな
る。また、酵素添加法は、高価な酵素を添加することが
必要であり、コストアップが避けられない。これに対し
て、自己消化法は、酵素添加法と同様に反応が穏やか
で、食塩の生成もなく、脱塩工程を設ける必要がないと
いうメリットがあり、しかも外部から酵素を添加する必
要もなく、作業が簡便で、比較的安価に製造できるとい
う利点を有している。
【0006】最も一般的な自己消化法の工程を簡単に述
べると、まず、原料がビール酵母の場合、酵母の細胞壁
周辺に付着しているホップを苛性ソーダ等で洗い流す脱
苦味という工程を行う。一方、その他の酵母であるパン
酵母等が原料の場合、脱苦味は必要なくクリーム状の酵
母をそのまま原料として用いる。
【0007】塩酸を添加することによって、酵母クリー
ムのpH を自己消化工程に適したpH に調整する。pH
調整した酵母クリームは自己消化工程を45〜52℃常圧下
で15〜18時間行う。この工程で酵母は細胞内の酵素によ
って分解される。
【0008】その後90〜95℃で10分間ないし達温で酵素
の失活を行う。90℃以上の高温かけることにより、蛋白
質である酵母は熱変性を起こし、その活性を失う。
【0009】次に遠心分離と濾過により菌体を分離す
る。遠心分離とは酵母エキスを高速で回転させ、これに
より加わる遠心力によって、未分解の酵母の菌体や細胞
片等を沈殿させることである。遠心分離後、上清を回収
し、さらに濾紙によって濾過する。このとき、粒子を濾
紙に引っ掛け、かつ濾紙の目詰まり防ぐための濾過助材
として珪藻土やパーライトを添加して濾過を行う。
【0010】その後、酵母エキスを濃縮する。濃縮は真
空減圧濃縮法によって行う。真空減圧濃縮法とは真空ま
で減圧した状態で酵母エキスに熱を加えることで、水分
を蒸発させ、濃縮させる方法である。
【0011】濃縮された酵母エキスは5〜10℃で一晩か
けて冷却する。濃縮時や冷却時に生じた凝固物は再度濾
過することにより除去する。このときの濾過も濾過助材
として珪藻土やパーライトを添加させ、濾紙によって行
う。
【0012】凝固物除去を行った酵母エキスは再度濃縮
する。この濃縮も真空減圧濃縮法によって行う。
【0013】濃縮された酵母エキスは10〜18%の食塩を
添加、混合する。ある程度の濃度の食塩を添加すること
により、酵母エキスは常温下でも腐敗しにくくなる。
【0014】食塩添加後、殺菌を行う。殺菌は加熱加圧
状態に置くことにより殺菌をする。100 ℃程度の温度で
は充分に殺菌出来ない。しかし常圧下では100 ℃以上の
熱をかけると酵母エキスは沸騰してしまう。そこで一定
系内で酵母エキスに圧力をかけ、加圧することで沸騰を
防ぎ、120 〜130 ℃の熱を加える。これにより酵母エキ
スを沸騰させることなく充分な殺菌を行う。
【0015】殺菌が終わった酵母エキスは充填・包装さ
れ製品となる。充填は特別な処置は行わず、通常状態下
で行う。また製品の保管・流通・販売は常温下で行う。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の自己消
化法では自己消化工程は常圧下で行われていたため、酵
母量に対して抽出できるエキス量の割合が低かった。ま
た、常圧では自己消化工程の系外空気が系内に混入しや
すく、それにより雑菌の侵入のおそれがあった。
【0017】濃縮工程は通常、真空減圧濃縮法で行われ
るが、真空減圧濃縮法は加熱が必要不可欠であった。し
かし、加えられる熱による酵母エキスの褐変による色調
や風味の変化などが起きてしまう。それにより、得られ
た酵母エキスを使用した食品に期待外の色合いや風味が
加わることがあった。これは食品の商品価値を下げるこ
とに繋がる。
【0018】また、従来の酵母を原料とした場合、酵母
エキスはそれぞれの原材料や使用した酵素から移行する
独特な臭いを有しているのが特徴となり、それが酵母臭
となる。この酵母臭が食品の風味に影響を来たすため、
酵母エキスの添加量を多く出来なかった。
【0019】同様に殺菌処理工程においても通常、加熱
加圧状態で殺菌するが、加えられる熱により濃縮工程と
同様の褐変が起きてしまった。
【0020】さらに従来の自己消化法では塩酸や濾過助
材や食塩等の化学物質の添加が必要不可欠である。その
為、酵母エキスは無添加調味料ではない。
【0021】本発明の目的は前記不都合を解消し、自己
消化法において雑菌の侵入を防ぎつつ高率な酵母エキス
抽出を行い、化学物質の添加を減らし、色合いや酵母臭
が薄いため食品の風味に影響を来たしにくい酵母エキス
を得ることができる酵母エキスの製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するため、第1に、酵母エキスの製造法の一つである自
己消化法において、自己消化工程を0.5 〜2Kg/cm
加圧下で行い、かつ濃縮過程をR.O.膜による膜濃縮
法により行い、かつ殺菌過程をメンブラン濾過による濾
過殺菌法により行うこと、第2に、原料の酵母が海洋由
来のSaccharomyces cerevisiaeである海洋酵母であるこ
と、第3に、pH 調整に有機酸または果汁を使用するこ
と、第4に、菌体分離工程と凝固物除去工程における濾
過方法として膜濾過を用いること、第5に、pH 調整に
果汁を使用し、菌体分離工程と凝固物除去工程における
濾過方法において濾過補助材を使用せず膜濾過を用い、
食塩を添加せず、充填及び包装を無菌状態下で行い、冷
蔵または冷凍状態で保管及び流通させることを要旨とす
るものである。
【0023】請求項1記載の本発明によれば、自己消化
工程を加圧下で行うことにより、従来の常圧下で行う場
合よりも抽出歩留りを5〜10%程度上昇させることがで
きる。しかも、抽出槽を陽圧にすることで、系外の空気
が抽出槽に侵入しないため、雑菌による汚染を防ぐこと
ができる。また、濃縮過程をR.O.膜による膜濃縮で行う
ことで、従来の真空減圧濃縮と違い加熱する必要が無
く、熱による酵母エキスの褐変による色調や風味の変化
などのデメリットを防止でき、風味のよい酵母エキスが
製造することができる。
【0024】請求項2記載の本発明のよれば、原料の酵
母として海洋由来のSaccharomycescerevisiaeである海
洋酵母「三共イースト・M」(三共株式会社の商品名)
を使用することにより、従来の酵母を原料とした場合に
は生じる酵母臭が少なく、色調が薄く、味に伸びがある
酵母エキスを製造することができる。
【0025】請求項3記載の本発明によれば、pH 調整
に有機酸または果汁を使用することにより、従来のよう
に塩酸等の無機酸を使用する必要が無く、より自然に近
い安全な酵母エキスを生産することができる。
【0026】請求項4記載の本発明によれば、菌体分離
工程と凝固物除去工程における濾過方法として膜濾過を
用いることにより、濾過助材である珪藻土やパーライト
を使用する必要が無く、より自然に近い安全な酵母エキ
スを製造することができる。
【0027】請求項5記載の本発明によれば、pH 調整
に果汁を使用し、菌体分離工程と凝固物除去工程におけ
る濾過方法として濾過補助材を使用せず膜濾過を用い、
食塩を添加しないことにより、無添加酵母エキスを製造
することができる。なお、腐敗防止のため、充填及び包
装を無菌状態下で行い、保管及び流通は冷蔵または冷凍
によるものとする。
【0028】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を説明
する。本発明に使用される原料の酵母としては、特に制
限はなく、酵母の生体内にあるプロテアーゼ等の酵素が
活性も持つものなら、パン酵母をはじめとして、ビール
酵母、醸造用酵母、トラル酵母など、通常、酵母エキス
の製造に用いられる酵母であれば、どのような酵母も利
用することができる。
【0029】ただし、本発明に使用される原料の酵母と
しては、海洋由来のSaccharomycescerevisiaeである海
洋酵母「三共イースト・M」(三共株式会社の商品名)
が好適である。海洋酵母「三共イースト・M」は日本近
海から採集した13株の中からパン酵母として優れた特徴
をもつ三浦半島沖から採取、分離し、Saccharomycescer
evisiaeであることが確認された酵母のうち、パン酵母
として優れた特徴を持つものである。
【0030】具体的には1987年6月から1988年6月にか
けて、三浦半島の他に、牡鹿半島、房総半島、三浦半
島、伊豆半島、長島の磯において海水206lと海草や海産
小動物293 点の採集を行った。これを孔径0.45μmのメ
ンブランフィルター(Millipore 社製、HA型)で濾過
後、メンブランフィルターを分離用寒天培地に載せ、嫌
気条件下27℃10日間の培養で大きなコロニーを形成した
菌体を釣菌した。これら菌体のうちショ糖を強く発酵す
る酵母について、Van Der WaltとD.Yallowの方法により
形態学的性質と生理学的性質を調べ、The Yeastsに準じ
てSaccharomyces cerevisiaeと同定された16株を得た。
さらにSaccharomyces cerevisiaeの基準株とDNA-DNA の
相同性試験を行い、80%以上の相同性を示す13株を得
た。この13株を試供株とし、イースト工業会のパン酵母
試験法に準じ、市販パン酵母を対象株として比較した結
果、市販のパン酵母と焼き上げたパンと食感を持つパン
となる株を得た。これが海洋酵母「三共イースト・M」
である。
【0031】海洋酵母「三共イースト・M」を使用して
焼いたパンの評価をパネラーに行ってもらったところ、
風味があっさりしている、さわやかなイメージがすると
の結論が得られ、パン酵母としてすぐれた特徴を持つこ
とが確認された。
【0032】従来の酵母を原料とした場合、酵母エキス
はそれぞれの原材料や使用した酵素から移行する独特な
臭いを有しているのが特徴となり、それが酵母臭とな
る。この酵母臭が食品の風味に影響を来たすため、酵母
エキスの添加量を多く出来ない。
【0033】しかし、原料として海洋酵母「三共イース
ト・M」を使用した酵母エキスは、酵母エキス特有の酵
母臭が少ない、製品の色調がうすい、味に伸びがあるな
どの特徴がある。このことにより幅広い食品の味づくり
に最適となっている。
【0034】本発明において、酵母エキスを生産する方
法としては酵母菌体内に本来あるタンパク質分解酵素な
どを利用して菌体成分を可溶化してエキス分を得る自己
消化法を用いる。
【0035】酵母原料としてビール酵母を使用する場
合、ビール酵母はビール用に育種されているため、ビー
ルの製造過程で生産される。ビール内に含まれるホップ
は樹脂化し酵母の細胞壁周辺に付着する。それを苛性ソ
ーダ等で洗い流す脱苦味という工程が必要である。
【0036】しかし酵母原料としてパン酵母を使用する
場合、脱苦味は必要ない。請求項2記載の本発明のよう
に海洋酵母「三共イースト・M」を使用した場合、海洋
酵母「三共イースト・M」はパン酵母であるため、ビー
ル酵母のような苦味質の洗浄除去は必要ない。
【0037】原料の酵母はクリーム状の酵母クリームと
して存在する。これに自己消化工程において酵母菌体内
酵素を活性化状態にするため、pH 調節を行う。請求項
3記載の本発明によれば、pH 調節に有機酸や果汁を使
用する。具体的には有機酸として乳酸など、果汁として
はレモン果汁等かんきつ系果汁などを使用することが考
えられる。有機酸や果汁を使用すれば、酵母エキスをよ
り自然に近い状態で生産することが可能となる。これは
最近高まる自然食品への訴求に応えることにおいて重要
である。
【0038】pH 調節が済んだ酵母クリームは酵母菌体
内にある蛋白質分解酵素等の酵素により消化される自己
消化工程に進む。自己消化工程は45〜52℃で15〜18時間
行われる。本発明ではこの工程において抽出槽を0.5 〜
2Kg/cmの加圧下で行う。これにより、従来の常圧
下での工程と違い、万が一抽出槽に亀裂や隙間等の孔が
生じた場合も、抽出槽内の空気の方が抽出槽外の空気よ
り圧力が高いので、孔からは抽出槽内の空気が噴出すだ
けで、抽出槽外の空気は侵入しない。通常の空気は多量
の雑菌を含むため、抽出槽外の空気が特別な処置なくし
て系内に侵入することは、雑菌の混入を引き起こす。し
かし、本発明では抽出槽外の空気は侵入を防ぐことで、
雑菌の系内混入も防ぐことができる。
【0039】しかも、0.5 〜2Kg/cm加圧下で
行うことで抽出歩留りを常圧下より5〜10%程度上昇さ
れることができる(下記表1参照)。つまり、常圧下よ
り効率よく抽出することができるので、産業的に有利で
ある。
【表1】
【0040】自己消化工程後は90〜95℃で10分間ないし
達温で酵素の失活を行う。これは本発明も従来例とほぼ
同じである。酵素は蛋白質であり、熱を加えると変性
し、その活性を失う。
【0041】次に遠心分離と濾過により菌体分離を行
う。この工程において、通常では濾過助材として珪藻土
やパーライトを加える。これは珪藻土により粒子を濾紙
にひっかかりやすくし、パーライトにより粒子による濾
紙の目詰まりを防ぐ。しかし、請求項4記載の本発明で
は菌体分離工程の濾過において膜濾過を行うことで濾過
助材を使用しなくても酵母エキスの澄明度を高めること
が可能である。膜濾過を用いて濾過を行うことであり、
このことにより濾過助材が無くとも、効率よく酵母エキ
スを濾過することができ、濾過助材という化学物質を使
う必要が無くなる。これにより酵母エキスをより自然に
近い状態で生産することが可能となる。これは最近高ま
る自然食品への訴求に応えることにおいて重要である。
【0042】菌体分離後、酵母液を濃縮する。本発明で
はこの濃縮過程をR.O.膜を使った膜濃縮を行う。R.O.膜
とは逆浸透(Reverse Osmotic )膜ともよばれ、孔径0.
0001ミクロンという非常に微細な孔を無数にもった人工
ないし天然の半透膜のことである。半透膜であるため、
水分子は通すが、水に溶けている物質は通さない。した
がって、R.O.膜に接触した状態で酵母エキス抽出液に圧
力をかけることにより、R.O.膜より水分のみが排出さ
れ、抽出された酵母エキス成分は系内に留まることにな
る。これにより酵母エキス抽出液を濃縮することができ
る。
【0043】R.O.膜を使った膜濃縮は加熱処理が不必要
である。一方、従来の真空減圧濃縮では加熱処理が必要
であった。酵母エキスを加熱した場合、熱により酵母エ
キス内の蛋白質が変性してしまい、褐変を起こし、色調
が濃くなったり、風味が変化してしまったりすることが
ある。これにより酵母エキスに期待外の色合いや風味が
付くことになる。これは食品に添加する上で大きなデメ
リットとなる。R.O.膜による膜濃縮は加熱処理を行わな
いため、酵母エキスに褐色による色調や風味の変化を起
こさせず、色合いも風味もマイルドな酵母エキスを生産
することができる。したがって本発明の酵母エキスは広
い範囲の食品に対して適したものである。
【0044】濃縮後は5〜10℃程で一晩かけて冷却する
がこれは本発明も従来例とほぼ同じである。
【0045】冷却後、生じた凝固物除去のため再度濾過
する。通常はこの工程でも濾過助材として珪藻土やパー
ライトを加える。しかし、請求項4記載の本発明で菌体
分離工程と同様に濾過工程で膜濾過を行う。したがって
濾過助材を使用しないで凝固物除去が出来る。これによ
り酵母エキスをより自然に近い状態で生産することが可
能となる。
【0046】凝固物除去後、再度濃縮を行うが、本発明
ではR.O.膜を使った膜濃縮を行う。その効果は前記濃縮
工程と同様である。
【0047】濃縮後通常は食塩混合を行う。しかし、請
求項5記載の本発明では食塩の添加を行わない。これに
よる効果について後に詳しく語る。
【0048】その後、殺菌を行うが、本発明は殺菌をメ
ンブラン濾過により行う。メンブラン濾過とは、微細な
孔をもつ濾紙を用いて濾過することにより、細菌やウイ
ルス等の雑菌類を濾紙にひっかけ除去することである。
この工程には加熱処理が不必要である。従って従来の熱
殺菌と違って、メンブラン濾過による殺菌の場合、熱に
より酵母エキス内の蛋白質が変性してしまい、褐変を起
こし、色調が濃くなったり、風味が変化してしまったり
するおそれがない。
【0049】以下充填・包装を経て製品化された酵母エ
キスは冷凍または冷蔵下で保管・流通される。
【0050】本発明では、pH 調整に果汁を使用する。
菌体分離工程と凝固物除去工程における濾過方法におい
て膜濾過を用いることで、濾過補助材を使用しない。ま
た食塩を添加しない。これにより、一切の化学物質を添
加、接触させることなく酵母エキスの生産が可能であ
る。したがって、請求項5記載の本発明により生産され
た酵母エキスは無添加食品となる。自然食品や無添加食
品が多く望まれる現代において、大きな需要を生むこと
になるだろう。
【0051】本発明により生産された酵母エキスは防腐
を防ぐため、充填及び包装を無菌充填で行う。無菌充填
とは無菌状態下において、滅菌容器に充填することをい
う。メンブラン濾過により滅菌をした酵母エキスを無菌
充填した場合、酵母エキス内には一切の細菌を含まない
ため、酵母エキスを充填後密閉した状態を保てば、腐敗
は起こらない。
【0052】しかし、さらに腐敗を防ぐため、保管及び
流通は冷蔵または冷凍状態でより行うものとする。これ
により予想外の雑菌の侵入が起きた場合にも腐敗を防ぐ
ことができる。
【0053】こうして生産された本発明品の酵母エキス
は調味料としての利用以外に、乳酸菌などの培地利用や
アミノ酸やミネラルなどの有効成分を取り入れた機能性
食品への利用などに展開できる。
【0054】
【実施例】次に、本発明を実施例によって詳しく説明す
るが、本発明はこれらによって限定されるものではな
い。
【0055】実施例1 海洋酵母「三共イースト・M」のクリームにレモンの果
汁をpH が3〜5になるまで加える。これを45〜55℃、
0.5 〜2.0 Kg/cmに加圧した抽出槽で15〜24時間、自己
消化させる。その後90〜95℃、達温で酵素を失活させ
る。この液を遠心分離した後、フィルタープレスで珪藻
土、パーライトなどを用い濾過し、酵母菌体の完全分離
を行う。これをR.O.膜(日東電工、逆浸透膜装置)を用
い、膜濃縮を行う。このときの濃縮度をBrix(25〜35)
とする。この濃縮液をメンブラン濾過で殺菌する。これ
を充填及び包装を無菌充填で行い、製品とする。保管・
流通は常温で流通する。通常、酵母のpH 調整は、塩酸
などの無機酸や有機酸を用い、抽出は大気圧(常圧)で
行う。濃縮は、通常真空濃縮機を用いるが加熱によるエ
キスの褐変が起こる。
【0056】実施例2 以下に本発明である酵母エキスを用いたカレーのレシピ
を述べる。 (4 人分)豚もも肉( カレー用)240g、タマ
ネギ 280g、ニンジン 160g、ジャガイモ 200g、サラ
ダ油22g、ニンニク8g、ショウガ8g、白ワイン4
g、本発明酵母エキス14.3g、水 770g、カレールーS-
01,80g、カレールーS-02,80g、カレー粉2g 、エバ
ーミルク8g、無塩バター4g、リンゴ1/8個
【0057】実施例3 以下に本発明である酵母エキスを用いたおでんのレシピ
を述べる。(4 人分)茄でたまご2個、板こんにゃく1
枚、ごぼう巻き4個、ちくわ麩1本、はんぺん1本、結
び昆布8個、ダイコン1/2本、醤油12g、海洋酵母エ
キス10.8g、だし汁820 g、酒20g、塩1.2 g
【0058】実施例4 以下にチキンガラスープの抽出の抽出例を示す。原料
は, 胴ガラ14.0kg、鶏骨14.0kg、本発明酵母エキス(Br
ix8.0 )2.6 kg、清水60.0kg、合計90.6kgで、沸騰後5
時間20分でBrix5.1 に達した。この際分離した抽出液は
23.9kgであった。また、分離したオイルは1kg、煮滓は
19kgであった。
【0059】実施例2〜4における官能検査による評価
は、無添加食品に比べ甘味のあるうま味が強く、美味し
さを感じた。
【0060】
【発明の効果】以上述べたように本発明の酵母エキスの
製造方法は、自己消化法において雑菌の侵入を防ぎつつ
高率なエキス抽出を行い、化学物質の添加を減らし、色
合いや酵母臭が薄いため食品の風味に影響を来たしにく
い酵母エキスを生産するものであり、生産された酵母エ
キスは、食品に添加することにより、甘味のあるうま味
を強くし、美味しさを増すものである。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酵母エキスの製造法の一つである自己消
    化法において、自己消化工程を0.5〜2Kg/cm
    圧下で行い、かつ濃縮過程をR.O.膜による膜濃縮法によ
    り行い、かつ殺菌過程をメンブラン濾過による濾過殺菌
    法により行うことを特徴とする酵母エキスの製造方法。
  2. 【請求項2】 原料の酵母が海洋由来のSaccharomyces
    cerevisiaeである海洋酵母である請求項1記載の酵母エ
    キスの製造方法。
  3. 【請求項3】 pH 調整に有機酸または果汁を使用する
    請求項1ないし請求項2記載の酵母エキスの製造方法。
  4. 【請求項4】 菌体分離工程と凝固物除去工程における
    濾過方法として膜濾過を用いる請求項1ないし請求項3
    のいずれかに記載の酵母エキスの製造方法。
  5. 【請求項5】 pH 調整に果汁を使用し、菌体分離工程
    と凝固物除去工程における濾過方法において濾過補助材
    を使用せず膜濾過を用い、食塩を添加せず、充填及び包
    装を無菌状態下で行い、冷蔵または冷凍状態で保管及び
    流通させる請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の
    酵母エキスの製造方法。
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