JP2002152976A - 分散電源電力供給システム - Google Patents

分散電源電力供給システム

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JP2002152976A
JP2002152976A JP2000344905A JP2000344905A JP2002152976A JP 2002152976 A JP2002152976 A JP 2002152976A JP 2000344905 A JP2000344905 A JP 2000344905A JP 2000344905 A JP2000344905 A JP 2000344905A JP 2002152976 A JP2002152976 A JP 2002152976A
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Masaki Eguchi
政樹 江口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電力供給業者が電力ユーザの敷地内に分散電
源システムを設置し、ユーザへの電力供給，システム動
作診断などを行なう分散電源電力供給システムを提供す
る。 【解決手段】 特定ユーザの負荷８に商用周波数の電力
を供給するとともに、系統連系を行なう分散電源システ
ム１６と、各々の分散電源システムに通信ネットワーク
１２を介して接続されるシステム管理手段１５を含み、
分散電源システム１６は太陽電池１，燃料電池２，蓄電
池３と、これらの発電手段が出力する電力を系統連系す
る電力変換手段４と、電力状態モニタ手段６と、システ
ム制御手段７とを含み、システム制御手段７はシステム
管理手段１５へ分散電源システム１６の動作情報を通信
するとともに、システム管理手段１５から受信する指示
に応じて電力変換手段４の動作状態を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】この発明は分散電源電力供給
システムに関し、たとえば太陽電池，燃料電池，マイク
ロガスタービンなどの分散電源を、一般家庭や集合住
宅，小規模事業所など、ユーザ負荷に近接して設置し、
ユーザに電力供給を行なう分散電源電力供給システムに
関する。
【０００２】
【従来の技術】図２は太陽電池を発電源とした分散電源
システムの一例を示す図であり、特開平８−７０５３３
号公報に開示されたものである。図２において、分散電
源システムは太陽電池アレイ１とこの太陽電池アレイ１
から出力される直流電力を交流電力に変えるインバータ
（インバータ回路）２４を内蔵した電力変換手段４とを
備えている。この電力変換手段４は商用電力系統１１か
ら分散型電力を切り離す遮断器２５と、周波数変動や電
圧変動に基づいて商用電力系統１１の遮断器２６の解列
を検知して遮断器２５を解列させる単独運転検知手段２
７とを含む系統連系保護装置を内蔵した構成となってい
る。
【０００３】このような系統連系システムにおいては、
演算手段２８と出力可変手段２９と制御手段３０と表示
手段３１とを備えている。演算手段２８は計測される太
陽電池アレイ１の出力電圧および出力電流に基づいて、
太陽電池アレイ１の発電電力を演算する。出力可変手段
２９は太陽電池アレイ１の出力電圧を変化させ、制御手
段３０は出力可変手段２９を制御して太陽電池アレイ１
の出力電圧を変化させることにより、演算手段２８で演
算された発電電力が最大となる出力電圧値を探索する探
索動作を、一定の時間間隔をあけて断続的に行なう。表
示手段３１は発電量が異常であるときなどに表示を行な
う。
【０００４】前記単独運転検知手段２７と演算手段２８
と出力可変表示手段２９と制御手段３０はマイクロコン
ピュータ３２によって構成されている。制御手段３０は
出力可変手段２９を介してインバータ回路２４を制御す
ることにより、太陽電池アレイ１の出力電圧を変化さ
せ、演算手段２８から出力される電力が最大となる電圧
値を探索する。
【０００５】図３はガスや石油などをエネルギ源とする
自家発電装置を発電手段とする分散電源システムの例で
あり、特開平１０−４２４７２号公報に開示されている
ものである。この図３には、導入した自家発電システム
を最も有効に利用して経済性を高める手段について記載
されている。すなわち、図３において、家庭や構内に設
けられた分散電源システム１６は二点鎖線で囲まれて示
されている。分散電源システム１６は後述する負荷の容
量より十分に大きな発電容量を持つ発電機３４を備えて
おり、この発電機３４はたとえばガスを燃料として動作
するエンジン３５によって駆動される。エンジン３５に
は燃料供給管３６の一端側が接続されており、この燃料
供給管３６の他端側は燃料供給事業者の管轄側にあるガ
ス供給源３７に接続されている。
【０００６】発電機３４の出力端は一方においては開閉
器３８を介して家庭内や構内の負荷８ａ，８ｂ，８ｃに
接続されており、他方においては開閉器３９を介して電
力会社の管轄下にある商用電力系統１１に接続されてい
る。また、負荷８ａ，８ｂ，８ｃの入力端は開閉器４０
を介して電力会社の管轄下にある商用電力系統１１にも
接続されている。
【０００７】エンジン３５の運転停止および開閉器３
８，３９，４０の開閉はコントローラ４１によって制御
される。開閉器３９の入力端側，開閉器３８の出力端側
および開閉器４０と商用電力系統１１との間にはそれぞ
れ電力計４２，４３および４４が設けられており、これ
ら電力計の出力はトランスデューサを介して運転モード
決定装置４５に与えられる。
【０００８】運転モード決定装置４５はモデム４６およ
びインターネットなどの通信ネットワーク１２を介して
電力会社の情報提供センター１３および燃料供給事業者
の情報提供センター４７にアクセスして必要なエネルギ
情報を取得し、この取得した情報に基づいて分散電源シ
ステム１６を経済的に最も有利な条件で運転するための
運転モードを決定する。すなわち、情報提供センター１
３は時間帯別電力コスト，逆潮流可能な時間帯，地域，
電力会社が買い上げるときの電力コスト，効率計算に必
要なその日の地域別気温および湿度などの情報を提供す
る。また、情報提供センター４７は、時間帯別，使用機
器別のガスエネルギコストなどの情報を提供する。
【０００９】運転モード決定装置４５は、これらの情報
をもとにして分散電源システム１６側から見た発電コス
トおよび売電コストを算出し、これらと情報提供センタ
ー１３が提示した買電コストとを比較して分散電源シス
テム１６を経済的に最も有利な条件で運転するための運
転モードを決定する。そして、この決定指令をコントロ
ーラ４１に与える。コントローラ４１は決定指令に従っ
てエンジン３５の出力や開閉器３８，３９，４０を制御
する。
【００１０】
【発明が解決しようとする課題】現在電力需要の増加に
対し、立地条件などの影響で新しい発電所の建設が思う
ようにできない状況にある中、太陽光発電などの自然エ
ネルギを利用した分散電源システムや、自家発電システ
ムなどの商用電力系統に対して電力を逆潮流可能な発電
システムの導入が電力事情の改善に寄与できるととも
に、自然エネルギの利用が二酸化炭素の発生を抑制し、
地球温暖化防止への貢献が期待される。
【００１１】しかしながら、これらの分散電源システム
の導入にはイニシャルコストが高く、一般家庭への大規
模導入にはまだ至っていない。
【００１２】それゆえに、この発明の主たる目的は、電
力供給事業者が電力ユーザの敷地内に分散電源システム
を設置し、ユーザへの電力供給，システムの保守管理，
経済的なシステム運用および付加サービスの提供を行な
うことにより、新たな電力供給事業形態を実現し得る分
散電源電力供給システムを提供することである。
【００１３】
【課題を解決するための手段】この発明は、特定ユーザ
の負荷に商用周波数の電力を供給するとともに、系統連
系を行なう１つ以上の分散電源システムと、各々の分散
電源システムに通信ネットワークを介して接続されるシ
ステム管理手段とから構成される分散電源電力供給シス
テムにおいて、分散電源システムは１つ以上の発電手段
と、その発電手段が出力する電力を系統連系する電力変
換手段と、システム制御手段とを含み、システム制御手
段はシステム管理手段へ分散電源システムの動作情報を
通信するとともに、システム管理手段から受信する指示
に応じて電力変換手段の動作状態を制御することを特徴
とする。
【００１４】これにより、各ユーザの電力使用量や商用
系統への売電量などの電力の流れと、システムの稼働状
況を電力供給業者側に設置されたシステム管理手段で一
括処理することにより、ユーザへの効率的な電力供給，
システムの保守管理，使用電力への課金および付加サー
ビスの提供が可能になる。
【００１５】また、分散電源システムは、発電手段とし
て燃料を供給することによって発電を行なう燃料発電機
と、システム管理手段の指令を受けたシステム制御手段
により商用系統の停電時にユーザ負荷への電力供給を燃
料発電手段からの電力供給に切換える切換手段とを含む
ことを特徴とする。
【００１６】これにより、系統が停電した場合も、屋内
配電線を商用系統から切り離し、分散電源システムの自
立運転により屋内配電線を充電し、ユーザに電力を供給
することにより、従来より品質の高い電力を電力供給事
業者がユーザに供給することが可能となる。
【００１７】また、システム管理手段が商用系統を管理
する電気事業者からの要求を受けて、電力供給ひっ迫時
に燃料発電手段からの電力供給を増加させるように各分
散電源システムに指示するなどして、不足電力を部分的
に行なうことが可能なシステムを提供することができ
る。
【００１８】さらに、分散電源システムは、太陽電池を
動力源とするとともに、電力を蓄える蓄電手段と、シス
テム管理手段の指令を受けたシステム制御手段により商
用系統の停電時にユーザ負荷への電力供給を蓄電手段か
らの電力供給に切換える切換手段とを含むことを特徴と
する。
【００１９】これにより、発電手段が太陽電池のような
不安定な電力源であっても蓄電池などの蓄電手段に蓄え
られた電力を利用することにより、系統が停電した場合
にも、屋内配線を商用系統から切り離し、分散電源シス
テムの自立運転により屋内配電線を充電し、ユーザに電
力を供給することができるため、従来より品質の高い電
力を電力供給事業者がユーザに供給することが可能とな
る。
【００２０】また、システム管理手段によって、電力需
要の少ない時間帯による商用系統からの蓄電と、電力需
要の多い時間帯での逆潮流を各分散電源システムに指示
することにより、負荷の平準化に寄与することができ
る。
【００２１】さらに、システム管理手段が一括管理する
ことにより、設置した各分散電源システムの負荷平準化
に対する能力を地域ごとに統合して見積もることができ
るため、商用系統を管理する電気事業者と電力供給事業
者の間で、所定の負荷平準化能力を保証した電力売買の
新たな取引体系なども可能になる。この際には、商用系
統を管理する電気事業者から通信ネットワークを介し
て、電力供給事業者の保証の範囲内で電力供給依頼を受
け、システム管理手段が各分散電源システムに対し、商
用系統への電力逆潮流を指示する。
【００２２】さらに、システム管理手段は通信ネットワ
ーク上から取得した気象データに基づいて、蓄電手段の
蓄電量をシステム制御手段に対して指令する。これによ
りシステム管理手段は各地域の気象データから将来の電
力需要および太陽電池の発電量を予測し、必要な蓄電量
を推定し、各分散電源システムに指令することで、電力
供給をより安定に保つことができる。
【００２３】さらに、システム管理手段は通信ネットワ
ークを介して電力取引市場に接続して取得される電力取
引相場に応じて、蓄電手段の充放電動作をシステム制御
手段に対して指令する。
【００２４】これにより、電力買取り料金が高い時間帯
に蓄電した電力を放電して逆潮流量を増加し、電力買取
り料金が低い時間帯には余剰電力で蓄電手段を充電する
ことにより、経済効果を高めることができる。
【００２５】さらに、システム管理手段はシステム制御
手段から通信ネットワークを介して取得した運転情報に
基づいて、同一柱上トランスに接続される複数の分散電
源システムの出力電力を各システム制御手段に指令す
る。
【００２６】これにより、システム管理手段は、運転情
報として電力変換手段の電圧上昇抑制機能（系統電圧が
所定値以上に上昇すると出力電力を低下させるなどし
て、系統電圧の上昇を抑制する系統連系インバータの機
能）が動作しているか否かの情報を受け、電圧上昇抑制
機能が動作している分散電源システムと同一柱上トラン
スに接続される分散電源システムをデータベースから検
索し、検索された複数の分散電源システムの逆潮流電力
に大きな不平衡が生じないように、分散電源システムの
出力電力を各システム制御手段に指令する。こうするこ
とにより、分散電源システム間の電圧上昇抑制機能の検
出ばらつきにより、出力抑制が１つの分散電源システム
に偏ることを抑制できる。
【００２７】さらに、システム管理手段は各負荷ユーザ
別にモニタされた各種電力情報を記憶する記憶手段と、
記憶されたユーザごとの電力情報を比較分析することに
より、各分散電源電力供給システムの動作を診断するシ
ステム診断手段を備えたことを特徴とする。
【００２８】これにより、たとえばシステム管理手段は
各負荷ユーザ別にモニタされた各種電力情報を記憶して
おくことにより、これらの情報を解析し、分散電源シス
テムの異常検出が可能になる。太陽電池が発電手段とし
て設置されている場合など、近隣地域に設置された同種
の分散電源システムの発電量差などから、ある分散電源
システムが他の分散電源システムより性能が劣化してい
ることが判断でき、メンテナンスの必要性を認知できる
ようになる。
【００２９】さらに、システム制御手段は、システム管
理手段の指令による遠隔制御状態と遠隔制御によらない
自立制御状態との制御状態切換を行なえることを特徴と
する。これは、システム管理手段との通信に異常が生じ
た場合に対処するためであり、システム制御手段はシス
テム管理手段との通信が正常に行なえなくなったことを
検出すると、システム制御手段は自立制御状態に切換
え、分散電源システムの制御を行なう。この際、各積算
電力量などのデータは分散電源システム内でバックアッ
プされ通信が回復した後、システム管理手段へ送信され
る。
【００３０】
【発明の実施の形態】図１はこの発明の一実施形態の分
散電源電力供給システムのブロック図である。図１にお
いて、分散電源電力供給システムは、ユーザの負荷８に
商用周波数の電力を供給するとともに、商用電力系統１
１と連系を行なう分散電源システム１６と、各々の分散
電源システム１６，１６…に通信ネットワーク１２を介
して接続されたシステム管理手段１５とから構成されて
いる。
【００３１】分散電源システム１６は、発電手段として
の太陽電池１と燃料電池２を備え、さらに蓄電手段とし
て蓄電池３を備えている。太陽電池１，燃料電池２およ
び蓄電池３は電力変換手段４に接続される。電力変換手
段４は太陽電池１，燃料電池２および蓄電池３の直流電
力を統合し、商用周波数の交流電力に変換して電力切換
手段５を介して負荷８へ供給するとともに、商用電力系
統１１も逆潮流を行なう。また、太陽電池の最大電力追
従制御や、蓄電池３の充放電制御なども電力変換手段４
によって行なわれる。
【００３２】電力変換手段４の出力電力および商用電力
系統からの流出する電力は電力状態モニタ手段６で計測
され、各電力情報はシステム制御手段７に集められる。
システム制御手段７は制御部２０と通信部２１と記憶部
２２とから構成され、通信ネットワーク１２と通信部２
１とを介して制御部２０とシステム管理手段１５が各種
情報のやり取りを行ないながら、システム管理手段１５
の指令に基づいて電力変換手段４の動作および電力切換
手段５を制御する。電力切換手段５はシステム制御手段
７でコントロール可能な開閉器の組合せで構成され、負
荷８への電力供給源を選択するために設置されており、
次のようなパターンがある。
【００３３】（ａ） 負荷への電力供給が電力変換手段
４だけから行なわれる。 （ｂ） 負荷への電力供給が商用電力系統１１だけから
行なわれる。
【００３４】（ｃ） 負荷への電力供給が電力変換手段
４と商用電力系統１１の双方から行なわれる。
【００３５】この開閉パターンは、システム管理手段１
５からの指令を受け、システム制御手段７が切換える
か、もしくはシステム制御手段７が分散電源システム１
６内から集めた情報によって切換えられる。
【００３６】たとえば、上記開閉パターン（ｃ）でシス
テムが連系運転動作しているときに、電力変換手段４が
商用電力系統１１の停電を検知した場合、停電を検知し
たことをシステム制御手段７に伝達し、これを受けてシ
ステム制御手段７は商用電力系統を切り離し、電力切換
手段５を上記（ａ）の開閉パターンに切換え、電力変換
手段４の制御モードが連系時の電流制御モードから、電
圧制御モードに切換えられる。これにより、系統が停電
した場合も、ユーザに電力を供給することにより、分散
電源電力供給事業者が従来より品質の高い電力を供給す
ることができる。
【００３７】さらに、システム制御手段７は停電を検知
したことを通信ネットワーク１２を介してシステム管理
手段１５へも伝達し、システム管理手段１５はこれを受
けて同時に停電が起こる地域内の他の分散電源システム
の運転状況を通信ネットワーク１２を介して調査する。
このとき、まだ連系運転している分散電源システムがあ
る場合は、システム管理手段１５は停電を検知したこと
をその分散電源システムに通知し、これを受けたシステ
ム制御手段７は電力切換手段５を操作し、電力変換手段
４を系統から切り離すことにより、系統連系システムの
単独運転を防止することもできる。
【００３８】このような単独運転防止のための操作は、
次の方法でも可能である。すなわち、商用系統を管理す
る電気事業者が、電気事業者の保有するサーバ１３に停
電地域を知らせる情報を置き、分散電源電力供給事業者
はこのサーバ１３から停電地域の情報をシステム管理手
段１５で入手して、該当地域に設置された分散電源シス
テムに停電検知情報を伝達することにより、確実に電力
変換手段４を系統から切り離すことができる。
【００３９】さらに、システム管理手段１５のさまざま
な処理について説明する。システム管理手段１５は電力
供給のひっ迫時に電気事業者のサーバ１３からの要求を
受け、燃料電池２や蓄電池３からの電力供給を増加させ
るように各分散電源システムに指示するようにすると、
不足電力を部分的に補うことが可能となる。また、シス
テム管理手段１５は各分散電源システムから電力情報を
収集し、電力需要の少ない時間帯に、蓄電池３の充電を
分散電源システムに指示し、電力需要の多い時間帯に逆
潮流を各分散電源システムに指示することにより、負荷
の平準化に寄与することができる。
【００４０】このような構成にすれば、設置した各分散
電源システムの負荷平準化に対する能力を地域ごとに統
合して見積もることにより、商用系統を管理する電気事
業者と電力供給事業者との間で、所定の負荷平準化能力
を保証した電力売買の新たな取引体系なども可能にな
る。
【００４１】さらに、システム管理手段１５は、さまざ
まな情報提供を行なっているサーバ１４から、たとえば
気象データを入手し、蓄電池３の蓄電量をシステム制御
手段７に対して指令する。これにより、システム管理手
段１５は、各地域の気象データから将来の電力需要およ
び太陽電池１の発電量を予測し、必要な蓄電量を推定
し、各分散電源システム１６に指令する。指令した蓄電
量に達していない場合は、電力変換手段４は商用電力系
統への逆潮流量もしくは負荷８への電力供給量を減少さ
せ、蓄電池３の充電に振り向ける。これにより、燃料電
池２が備わっていないような分散電源システムにおいて
も電力供給をより安定に保つことができる。
【００４２】たとえば、より具体的な実施形態として、
次のような例がある。電力消費の特に多い時間帯の電力
消費の平準化を達成するために、ユーザごとに電気事業
者から供給される電力量に上限値を設定し、この上限の
電力量を超える部分について、蓄電手段から電力を供給
するようなシステムを構成する。
【００４３】そこで、必要な蓄電量の算出を、たとえば
以下のようにして行なう。設定した上限値を超える電力
消費量を各ユーザごとに推定する。これはユーザの電力
消費量を日々，電力モニタ手段６でモニタしてデータを
もとに、設定した上限値を超える１日当りの電力量を算
出し、このデータを季節（春夏秋冬）別に大分類し、さ
らに天候別（晴，曇，雨）に中分類し、さらに外気温別
に小分類してデータを集計し、各クラスタごとに１日当
りの超過電力量の平均値を求め、これを該当ユーザの１
日の超過電力推定量テーブルとする。上記３つのパラメ
ータの気象予測情報をサーバ１４から取得し、超過電力
推定量テーブルから該当ユーザの１日の超過電力を推定
する。この超過電力推定量が上述の分散電源システム１
６に指令すべき蓄電量となる。
【００４４】さらに、システム管理手段１５は情報提供
サーバ１４からその時々の電力取引相場を取得し、電力
取引相場に応じて、蓄電池３の充放電動作をシステム制
御手段７に対して指令する。システム管理手段１５は蓄
電池３を充電するためのコストより売電料金が高くなっ
た場合、それまでに蓄電しておいた電力を取出し、逆潮
流量を増加させるようにシステム制御手段７に指令し、
これを受けてシステム制御手段７は電力変換手段４を制
御し、蓄電池３から電力を取出す。
【００４５】逆に、売電料金が予め設定した基準値より
下回る場合は、逆潮流せずに蓄電池３の充電に太陽電池
１の発電能力を振り向けるように、システム制御手段７
に指令する。また、売電料金が予め設定された値よりも
低い場合は、負荷８に供給していた太陽電池１の発電電
力も蓄電池３の充電に振り向けるように、システム制御
手段７に指令する。
【００４６】このような充放電操作を、システム管理手
段１５が各分散電源システム１６に指令することによ
り、システム運用上の経済効果を高めることができる。
【００４７】さらに、システム管理手段１５はシステム
制御手段７からネットワークを介して分散電源システム
の運転情報を取得する。ここでは、電力変換手段４が連
系運転中に系統電圧上昇制御機能によって有効電力出力
を低下させて運転している場合、系統電圧上昇抑制機能
が働いていることを、システム制御手段７を介してシス
テム管理手段１５に送信する。これを受けて、システム
管理手段１５は、管理対象としている分散電源システム
のデータベース１８から、系統電圧上昇抑制機能が働い
ている分散電源システムと、同一柱上トランス３３に接
続される分散電源システムとを検索し、該当する分散電
源システムに対し、逆潮流を許可する上限電力を指令す
る。
【００４８】このような操作は、分散電源システムの初
期投資の一部をユーザが負担することにより、売電料金
の一部がユーザに返還される仕組みの契約を分散電源電
力供給事業者が行なう場合、系統電圧の上昇抑制機能の
開始電圧の微小なばらつきによって、ユーザの逆潮流電
力量に不公平が生じることのないようにするために必要
な操作である。上述の逆潮流上限電力は、電圧を上昇抑
制が必要な電圧レベル以下に連系点電圧が維持され、か
つ各ユーザに設置された分散電源システムの発電容量に
対する割合が等しくなるような電力に設定される。
【００４９】さらに、システム管理手段１５は各負荷ユ
ーザ別にモニタされた各種電力情報の記憶部１９を備え
ており、これらの情報をシステム診断部１７で解析する
ことにより、各分散電源システムの状態チェックを行な
うことができる。
【００５０】たとえば、太陽電池１が発電手段として設
置されている場合は、近隣地域に設置された同種の分散
電源システム１６の発電量差などからある分散電源シス
テム１６が他の分散電源システムより性能が劣化してい
るかどうかを判断し、メンテナンスの必要性を早急に認
知できるようになる。
【００５１】より具体的に実施の形態を説明すると、ま
ずシステム管理手段１５においてデータベース１８から
同一地域かつ同一設置条件の分散電源システムを抽出す
る。この際の設置条件としては、太陽電池の設置方位お
よび設置角度が主要な条件として使用される。このよう
にしてグループ分けされた各グループごとに、同一グル
ープ内の各分散電源システムの単位定格値当りの発電量
を比較する。このとき、（１） 発電量がグループ内平
均より所定の割合以上劣っている場合、（２） 発電量
の時間変化パターンが平均パターンと大幅にかけ離れて
いる場合は、分散電源システムに何らかの異常があると
診断する。（２）の条件においては、たとえばパターン
のマッチングの度合いを二乗平均距離などを用いて数値
化することで比較診断が定量的に可能になる。
【００５２】さらに、システム制御手段７は通信部２１
でシステム管理手段１５との通信異常を検出すると、制
御部２０に通信異常信号を伝達し、制御部２０は分散電
源システム１６の諸制御を、システム管理手段１５の指
令による遠隔制御状態から、遠隔制御によらない自立制
御状態に切換える。自立制御状態では、通信異常に備え
て予めプログラムされたシーケンスにより制御が行なわ
れる。すなわち、制御部２０は予め設定されている電力
単価などのデータをもとに、システムの運転／停止や、
蓄電池３への充放電制御を行なう。また、系統電圧抑制
機能動作時の出力抑制力も予めプログラムされた特性に
沿って制御が行なわれる。
【００５３】自立制御状態の間は、分散電源システムの
各電力データは記憶部２２に保存される。通信部２１で
システム管理手段１５との通信が正常に回復したことを
検出すると、通信部２１は制御部２０に通信が正常に復
帰したことを伝達する。これを受けた制御部２０は記憶
部２２に保存された自立制御状態時の電力データをシス
テム管理手段１５へ送信し、この送信データをシステム
管理手段１５が受信したことを確認した後、システム制
御手段７はシステム管理手段１５の指令による遠隔制御
状態に戻る。
【００５４】したがって、分散電源システム１６とシス
テム管理手段１５との通信に異常が生じた場合にも、分
散電源システム１６は発電を継続することにより、通信
回線１２のトラブルやシステム管理手段１５のトラブル
によるユーザの損失を最小限に留めることができる。
【００５５】今回開示された実施の形態はすべての点で
例示であって制限的なものではないと考えられるべきで
ある。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求
の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味お
よび範囲内でのすべての変更が含まれることが意図され
る。
【００５６】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、各ユ
ーザに設置された分散電源システムを通信ネットワーク
を介して集中管理することが可能となるので、小規模な
分散電源を各ユーザの敷地内に設置し、電力供給を行な
う新たな電力事業形態を実現できる。また、ユーザ負荷
に近接して、分散電源を配置することができるので、送
電ロスの極めて少ない電力供給が可能となる。
【００５７】さらに、系統が停電した場合も、屋内配電
線を商用系統から切り離し、分散電源システムの自立運
転によってユーザに電力を供給することにより、従来よ
り品質の高い電力を電力供給事業者がユーザに供給する
ことが可能になるとともに、運用方法によっては負荷平
準化の効果がある。
【００５８】さらに、太陽電池のような不安定な電力源
に対しても、気象条件の変化に対する電力供給の安定を
向上させることができる。さらに、電力買取り料金が高
い時間帯に蓄電した電力を放電して逆潮流量を増加さ
せ、電力買取り料金が低い時間帯には余剰電力で蓄電手
段を充電することにより、発電コストを下げて経済効果
を高めることができる。
【００５９】さらに、電圧上昇抑制機能の開始電圧のば
らつきによる各ユーザの売電量の不公平さをなくし、各
分散電源システムの相対的な運転状態比較からシステム
の異常検出を可能とし、メンテナンスの必要性をいち早
く認知できるようになる。さらに、分散電源システムと
システム管理手段との通信に異常が生じた場合にも、分
散電源システムが発電を継続することにより、通信回線
のトラブルやシステム管理手段側のトラブルによるユー
ザの損失を最小限に留めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 この発明の一実施形態の分散電源電力供給シ
ステムのブロック図である。
【図２】 従来の住宅用太陽光発電システムの構成を示
すブロック図である。
【図３】 従来の分散電源システムの構成を示すブロッ
ク図である。
【符号の説明】
１ 太陽電池、２ 燃料電池、３ 蓄電池、４ 電力変
換装置、５ 電力切換手段、６ 電力状態モニタ手段、
７ システム制御手段、８ 負荷、９ 情報モニタ、１
０ 電力計、１１ 商用電力系統、１２ 通信ネットワ
ーク、１３，１４ 情報提供サーバ、１５ システム管
理手段、１６ 分散電源システム、１７システム診断
部、１８ データベース、１９，２２ 記憶部、２０
制御部、２１ 通信部、３３ 柱上トランス。
フロントページの続き Ｆターム(参考） 5G064 AA04 AC01 AC05 AC08 CA12 CB12 CB16 DA01 DA05 5G066 HA06 HA13 HB06 HB07 HB09 JA02 JA07 JB03 5H420 BB03 BB14 CC03 CC06 CC08 DD03 EA47 EB13 EB26 EB39 FF28 LL10 NB02 NC25 NC31 NE26

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 特定ユーザの負荷に商用周波数の電力を
    供給するとともに、系統連系を行なう１つ以上の分散電
    源システムと、該各々の分散電源システムに通信ネット
    ワークを介して接続されるシステム管理手段とから構成
    される分散電源電力供給システムにおいて、 前記分散電源システムは、１つ以上の発電手段と、該発
    電手段が出力する電力を系統連系する電力変換手段と、
    システム制御手段とを含み、 前記システム制御手段は、前記システム管理手段へ前記
    分散電源システムの動作情報を前記通信ネットワークを
    介して通信するとともに、前記システム管理手段から受
    信する指示に応じて前記電力変換手段の動作状態を制御
    することを特徴とする、分散電源電力供給システム。
  2. 【請求項２】 前記分散電源システムは、 発電手段として燃料を供給することによって発電を行な
    う燃料発電機と、 前記システム管理手段の指令を受けたシステム制御手段
    により、商用系統の停電時にユーザ負荷への電力供給を
    前記燃料発電手段からの電力供給に切換える切換手段を
    含むことを特徴とする、請求項１に記載の分散電源電力
    供給システム。
  3. 【請求項３】 前記分散電源システムは、 前記発電手段としての電力源となる太陽電池と、 電力を蓄える蓄電手段と、 前記システム管理手段の指令を受けたシステム制御手段
    により、商用系統の停電時にユーザ負荷への電力供給を
    前記蓄電手段からの電力供給に切換える切換手段とを含
    むことを特徴とする、請求項１に記載の分散電源電力供
    給システム。
  4. 【請求項４】 前記システム管理手段は、前記通信ネッ
    トワーク上から取得した気象データに基づいて、前記蓄
    電手段の蓄電量を前記システム制御手段に対して指令す
    ることを特徴とする、請求項３に記載の分散電源電力供
    給システム。
  5. 【請求項５】 前記システム管理手段は前記通信ネット
    ワークを介して電力取引市場に接続して取得される電力
    取引相場に応じて、前記蓄電手段の充放電動作を前記シ
    ステム制御手段に対して指令することを特徴とする、請
    求項３に記載の分散電源電力供給システム。
  6. 【請求項６】 前記システム管理手段は、前記システム
    制御手段から前記通信ネットワークを介して取得した運
    転情報に基づいて、同一柱上トランスに接続される複数
    の分散電源システムの出力電力を前記各システム制御手
    段に指令することを特徴とする、請求項１に記載の分散
    電源電力供給システム。
  7. 【請求項７】 前記システム管理手段は、 各負荷ユーザ別にモニタされた各種電力情報を記憶する
    記憶手段と、 前記記憶されたユーザごとの電力情報を比較分析するこ
    とにより、各分散電源電力供給システムの動作を診断す
    るシステム診断手段を含むことを特徴とする、請求項１
    から６のいずれかに記載の分散電源電力供給システム。
  8. 【請求項８】 前記システム制御手段は前記システム管
    理手段の指令による遠隔制御状態と、前記遠隔制御によ
    らない自立制御状態との制御状態切換が行なわれること
    を特徴とする、請求項１から７のいずれかに記載の分散
    電源電力供給システム。
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