JP2002097005A5 - - Google Patents
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【0008】
窒化ケイ素の熱伝導率の向上あるいは曲げ強度と破壊靭性を両立させる微細構造の構築のために用いられるβ粉末の作製方法として、窒化ケイ素原料粉末を所定量のY2O3およびSiO2と混合し、混合物を窒素等の非酸化性雰囲気中で焼成して得る方法が、J.Ceram. Soc. Japan., 101[9] 1078−80(1993)に記載されている。
窒化ケイ素の熱伝導率の向上あるいは曲げ強度と破壊靭性を両立させる微細構造の構築のために用いられるβ粉末の作製方法として、窒化ケイ素原料粉末を所定量のY2O3およびSiO2と混合し、混合物を窒素等の非酸化性雰囲気中で焼成して得る方法が、J.Ceram. Soc. Japan., 101[9] 1078−80(1993)に記載されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前述の特開平4−175268号公報では40W/(m・K)以上の熱伝導率が得られているが、さらに熱伝導率を高めた、機械的強度に優れる材料が望まれている。また、特開平9−30866号公報、特開平10−194842号等公報に記載の方法では、窒化ケイ素質焼結体中に巨大な柱状粒子を得るために、成長核となる種結晶あるいはウィスカ−を予め添加し、2000℃以上および10.1MPa(100気圧)以上の窒素雰囲気下での焼成が不可欠である。したがって、ホットプレスあるいはHIP等の特殊な高温・高圧設備が必要となりコストアップを招来する。また、窒化ケイ素粒子を配向させた成形体を得るための成形プロセスが複雑であるため、生産性が著しく低下するという問題がある。
【発明が解決しようとする課題】
前述の特開平4−175268号公報では40W/(m・K)以上の熱伝導率が得られているが、さらに熱伝導率を高めた、機械的強度に優れる材料が望まれている。また、特開平9−30866号公報、特開平10−194842号等公報に記載の方法では、窒化ケイ素質焼結体中に巨大な柱状粒子を得るために、成長核となる種結晶あるいはウィスカ−を予め添加し、2000℃以上および10.1MPa(100気圧)以上の窒素雰囲気下での焼成が不可欠である。したがって、ホットプレスあるいはHIP等の特殊な高温・高圧設備が必要となりコストアップを招来する。また、窒化ケイ素粒子を配向させた成形体を得るための成形プロセスが複雑であるため、生産性が著しく低下するという問題がある。
【0011】
また、前述のJ.Ceram. Soc. Japan, 101[9] 1078−80(1993)に記載されている手法では、スラグとして使用するY2O3量およびSiO2量が多いため、得られる処理粉末の凝集が強くなり、粉砕乳鉢等で破砕することが必須となる。また、粒子表面に付着した酸化物除去のための酸による溶解処理、さらに粒度調整のための分級処理が必要であり、プロセスが煩雑になる。また、得られた処理粉末中には使用した助剤成分が固溶するといった難点がある。
また、前述のJ.Ceram. Soc. Japan, 101[9] 1078−80(1993)に記載されている手法では、スラグとして使用するY2O3量およびSiO2量が多いため、得られる処理粉末の凝集が強くなり、粉砕乳鉢等で破砕することが必須となる。また、粒子表面に付着した酸化物除去のための酸による溶解処理、さらに粒度調整のための分級処理が必要であり、プロセスが煩雑になる。また、得られた処理粉末中には使用した助剤成分が固溶するといった難点がある。
【0012】
さらに、前述の特開平6−263410号公報に記載される手法は、β分率が95%以上の窒化ケイ素質粉末を工業的に安価に製造することを可能にしている。これによるとβ分率を向上させる手法として、SiO2換算として2〜5重量%の酸素を含み、比表面積が1m2/g以上である窒化ケイ素質粉末を、非酸化性雰囲気下、温度1500℃以上で熱処理することを特徴としている。当該発明で使用される窒化ケイ素質粉末に含まれる酸素量をSiO2換算で2〜5wt%と規定する理由には、該値が2wt%未満では、窒化ケイ素質粉末のβ分率の増大効果が小さく、また、β分率にばらつきが生じやすいこと。一方、該値が5wt%を超えると、熱処理後の窒化ケイ素質粉末にSiO2が残留し窒化ケイ素質粉末の粉末特性が悪くなるとしている。また、粒度については、当該発明の処理を均一かつ短時間に行うために、比表面積が1m2/g以上の微粉であることが好ましいとしている。しかしながら、実施例には、β分率が95%以上の処理粉末が得られているものの、低温・短時間にて処理を完了させることを目的として、SiO2換算で2〜5wt%の酸素量である窒化ケイ素質原料粉末を用いているために、得られる粉末の酸素量はいずれも1.2wt%以上である。また、原料粉末の酸素量を所定量に調整するために予めSiO2粉末を添加したり、あるいは酸素雰囲気中での熱処理を必要とするといった難点がある。さらに、当該発明の方法によって得られる窒化ケイ素質粉末は、熱処理によって凝集しているので、使用に際しては、例えばボ−ルミル、ロ−ル−クラッシャー等を用いて解砕する工程を要するといった難点がある。
さらに、前述の特開平6−263410号公報に記載される手法は、β分率が95%以上の窒化ケイ素質粉末を工業的に安価に製造することを可能にしている。これによるとβ分率を向上させる手法として、SiO2換算として2〜5重量%の酸素を含み、比表面積が1m2/g以上である窒化ケイ素質粉末を、非酸化性雰囲気下、温度1500℃以上で熱処理することを特徴としている。当該発明で使用される窒化ケイ素質粉末に含まれる酸素量をSiO2換算で2〜5wt%と規定する理由には、該値が2wt%未満では、窒化ケイ素質粉末のβ分率の増大効果が小さく、また、β分率にばらつきが生じやすいこと。一方、該値が5wt%を超えると、熱処理後の窒化ケイ素質粉末にSiO2が残留し窒化ケイ素質粉末の粉末特性が悪くなるとしている。また、粒度については、当該発明の処理を均一かつ短時間に行うために、比表面積が1m2/g以上の微粉であることが好ましいとしている。しかしながら、実施例には、β分率が95%以上の処理粉末が得られているものの、低温・短時間にて処理を完了させることを目的として、SiO2換算で2〜5wt%の酸素量である窒化ケイ素質原料粉末を用いているために、得られる粉末の酸素量はいずれも1.2wt%以上である。また、原料粉末の酸素量を所定量に調整するために予めSiO2粉末を添加したり、あるいは酸素雰囲気中での熱処理を必要とするといった難点がある。さらに、当該発明の方法によって得られる窒化ケイ素質粉末は、熱処理によって凝集しているので、使用に際しては、例えばボ−ルミル、ロ−ル−クラッシャー等を用いて解砕する工程を要するといった難点がある。
【0013】
本発明は上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、2000℃以上でかつ10.1MPa(100気圧)以上の高温・高圧焼成といったコストの高い焼成法を必要とせず、凝集した粉末を解砕することなく、機械的強度に優れ、熱伝導の方向に異方性を持たずに従来に比べて熱伝導率を高めた高熱伝導型窒化ケイ素質焼結体を提供することを課題とする。また本発明の課題は、窒化ケイ素質粉末のβ分率、含有酸素量、不純物量およびα型窒化ケイ素質粉末との混合比等を規定することにより、高い熱伝導率および高い強度を有する窒化ケイ素質焼結体およびその製造方法を提供することである。また本発明の課題は、高強度・高熱伝導性の発現のために用いる窒化ケイ素質粉末およびその製造方法を提供することである。また本発明の課題は前記高強度・高熱伝導性に富んだ窒化ケイ素質焼結体を用いて構成される放熱性の良好な回路基板を提供することである。
本発明は上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、2000℃以上でかつ10.1MPa(100気圧)以上の高温・高圧焼成といったコストの高い焼成法を必要とせず、凝集した粉末を解砕することなく、機械的強度に優れ、熱伝導の方向に異方性を持たずに従来に比べて熱伝導率を高めた高熱伝導型窒化ケイ素質焼結体を提供することを課題とする。また本発明の課題は、窒化ケイ素質粉末のβ分率、含有酸素量、不純物量およびα型窒化ケイ素質粉末との混合比等を規定することにより、高い熱伝導率および高い強度を有する窒化ケイ素質焼結体およびその製造方法を提供することである。また本発明の課題は、高強度・高熱伝導性の発現のために用いる窒化ケイ素質粉末およびその製造方法を提供することである。また本発明の課題は前記高強度・高熱伝導性に富んだ窒化ケイ素質焼結体を用いて構成される放熱性の良好な回路基板を提供することである。
【0015】
本発明の窒化ケイ素質粉末は、例えば、金属シリコン直接窒化法、シリカ還元法またはシリコンイミド分解法による原料の窒化ケイ素質粉末を用い、窒素または窒素/水素の混合雰囲気中で1400℃〜1950℃×5〜20時間熱処理することにより製造できる。高いβ分率および低酸素化を実現するために、熱処理条件を1800℃〜1900℃×5〜20時間にすることがより好ましい。なお、1800℃以上の熱処理では窒化ケイ素の分解を避けるために1.0MPa(10気圧)以上の窒素あるいは窒素/水素雰囲気中で行うことが望ましい。熱処理後の含有酸素量を0.5wt%未満にするために、初期含有酸素量をSiO2量換算で2wt%未満とすることが好ましい。またFe,Al等の不純物量を極力少なく抑える目的からイミド分解法による高純度原料の窒化ケイ素質粉末の使用がより好ましい。原料粉末充填に共する容器はカーボン製またはBN製のいずれでもよいが、カーボン製ヒーターおよびカーボン製断熱材仕様の熱処理炉を使用する場合は過度のCO還元性雰囲気の作用を抑制するためにBN製のものが望ましい。
本発明の窒化ケイ素質粉末は、例えば、金属シリコン直接窒化法、シリカ還元法またはシリコンイミド分解法による原料の窒化ケイ素質粉末を用い、窒素または窒素/水素の混合雰囲気中で1400℃〜1950℃×5〜20時間熱処理することにより製造できる。高いβ分率および低酸素化を実現するために、熱処理条件を1800℃〜1900℃×5〜20時間にすることがより好ましい。なお、1800℃以上の熱処理では窒化ケイ素の分解を避けるために1.0MPa(10気圧)以上の窒素あるいは窒素/水素雰囲気中で行うことが望ましい。熱処理後の含有酸素量を0.5wt%未満にするために、初期含有酸素量をSiO2量換算で2wt%未満とすることが好ましい。またFe,Al等の不純物量を極力少なく抑える目的からイミド分解法による高純度原料の窒化ケイ素質粉末の使用がより好ましい。原料粉末充填に共する容器はカーボン製またはBN製のいずれでもよいが、カーボン製ヒーターおよびカーボン製断熱材仕様の熱処理炉を使用する場合は過度のCO還元性雰囲気の作用を抑制するためにBN製のものが望ましい。
【0016】
本発明の窒化ケイ素質粉末は、含有酸素量の少ない原料粉末を用いるため助剤として作用するSiO2成分が少なく、さらにα型窒化ケイ素質粉末からβ型窒化ケイ素質粉末への相転移は気相を介しているため、結果として低酸素含有量になり、熱処理後も凝集がなく、粉砕ならびに表面酸化物除去のための酸処理工程を必要としない。また、Y2O3等の酸化物を粒子成長のための焼結助剤として用いないため、これら助剤成分の窒化ケイ素質粉末内への固溶を避けることができる。すなわち、本発明の窒化ケイ素質粉末はβ分率が30〜100%であり、酸素量が0.5wt%未満であり、平均粒子径が0.2〜10μmであり、アスペクト比が10以下の柱状粒子であることを特徴とする。さらにFe含有量およびAl含有量がそれぞれ100ppm以下であることを特徴とする。
本発明の窒化ケイ素質粉末は、含有酸素量の少ない原料粉末を用いるため助剤として作用するSiO2成分が少なく、さらにα型窒化ケイ素質粉末からβ型窒化ケイ素質粉末への相転移は気相を介しているため、結果として低酸素含有量になり、熱処理後も凝集がなく、粉砕ならびに表面酸化物除去のための酸処理工程を必要としない。また、Y2O3等の酸化物を粒子成長のための焼結助剤として用いないため、これら助剤成分の窒化ケイ素質粉末内への固溶を避けることができる。すなわち、本発明の窒化ケイ素質粉末はβ分率が30〜100%であり、酸素量が0.5wt%未満であり、平均粒子径が0.2〜10μmであり、アスペクト比が10以下の柱状粒子であることを特徴とする。さらにFe含有量およびAl含有量がそれぞれ100ppm以下であることを特徴とする。
【0017】
また本発明の窒化ケイ素質焼結体の製造方法は、β分率が30〜100%で、酸素量が0.5wt%未満、Fe含有量及びAl含有量がそれぞれ 100ppm 以下、平均粒子径が0.2〜10μmの範囲にあり、アスペクト比が10以下の柱状粒子であるβ型窒化ケイ素質粉末1〜50重量部と、平均粒子径が0.2〜4μmの範囲にあるα型窒化ケイ素粉末99〜50重量部と、Mgと、La,Y及びYbを含む希土類元素(RE)から選択された少なくとも1種の元素を、それぞれ酸化マグネシウム(MgO)と希土類元素化合物の酸化物(RE x O y )に換算し、それら酸化物換算含有量の合計が 0.6 〜 7 wt%であり、かつ(MgO/RE x O y )で表される重量比が1〜 70 である焼結助剤と、有機バインダーとを配合し、これらから得られた成形体を 1650 〜 1900 ℃で焼結することを特徴とする。前記窒化ケイ素質粉末のβ分率が30%未満では成長核としての効果はあるものの部分的に核として作用するため、異常粒成長が起こり、最終的に得られる窒化ケイ素質焼結体のミクロ組織中に大きな粒子を均一分散できなくなり曲げ強度が低下する。したがって、窒化ケイ素質粉末のβ分率は30%以上が望ましい。また前記窒化ケイ素質粉末の平均粒子径が0.2μm未満では前記同様に柱状粒子が均一に発達したミクロ組織を呈する窒化ケイ素質焼結体を得られず、熱伝導率および曲げ強度を高めることが困難である。前記窒化ケイ素質粉末の平均粒子径が10μmより大きいと焼結体の窒化ケイ素質緻密化が阻害される。したがって、窒化ケイ素質粉末の平均粒子径は0.2〜10μmが好ましい。また、アスペクト比が10超の場合は窒化ケイ素質焼結体の緻密化が阻害され、結果として、常温における3点曲げ強度は600MPa未満になる。したがって、窒化ケイ素質粉末のアスペクト比を10以下の柱状粒子とすることが好ましい。
また本発明の窒化ケイ素質焼結体の製造方法は、β分率が30〜100%で、酸素量が0.5wt%未満、Fe含有量及びAl含有量がそれぞれ 100ppm 以下、平均粒子径が0.2〜10μmの範囲にあり、アスペクト比が10以下の柱状粒子であるβ型窒化ケイ素質粉末1〜50重量部と、平均粒子径が0.2〜4μmの範囲にあるα型窒化ケイ素粉末99〜50重量部と、Mgと、La,Y及びYbを含む希土類元素(RE)から選択された少なくとも1種の元素を、それぞれ酸化マグネシウム(MgO)と希土類元素化合物の酸化物(RE x O y )に換算し、それら酸化物換算含有量の合計が 0.6 〜 7 wt%であり、かつ(MgO/RE x O y )で表される重量比が1〜 70 である焼結助剤と、有機バインダーとを配合し、これらから得られた成形体を 1650 〜 1900 ℃で焼結することを特徴とする。前記窒化ケイ素質粉末のβ分率が30%未満では成長核としての効果はあるものの部分的に核として作用するため、異常粒成長が起こり、最終的に得られる窒化ケイ素質焼結体のミクロ組織中に大きな粒子を均一分散できなくなり曲げ強度が低下する。したがって、窒化ケイ素質粉末のβ分率は30%以上が望ましい。また前記窒化ケイ素質粉末の平均粒子径が0.2μm未満では前記同様に柱状粒子が均一に発達したミクロ組織を呈する窒化ケイ素質焼結体を得られず、熱伝導率および曲げ強度を高めることが困難である。前記窒化ケイ素質粉末の平均粒子径が10μmより大きいと焼結体の窒化ケイ素質緻密化が阻害される。したがって、窒化ケイ素質粉末の平均粒子径は0.2〜10μmが好ましい。また、アスペクト比が10超の場合は窒化ケイ素質焼結体の緻密化が阻害され、結果として、常温における3点曲げ強度は600MPa未満になる。したがって、窒化ケイ素質粉末のアスペクト比を10以下の柱状粒子とすることが好ましい。
【0018】
本発明の窒化ケイ素質焼結体は、β分率が 30 〜 100 %で、酸素量が 0.5 wt%未満、Fe含有量及びAl含有量がそれぞれ 100ppm 以下、平均粒子径が 0.2 〜 10 μ m の範囲にあり、アスペクト比が 10 以下の柱状粒子であるβ型窒化ケイ素質粉末1〜 50 重量部と、平均粒子径が 0.2 〜4μ m の範囲にあるα型窒化ケイ素粉末 99 〜 50 重量部とからなり、焼結体中にMgと、La,Y及びYbを含む希土類元素(RE)から選択された少なくとも1種の希土類元素を含有し、Mgを酸化マグネシウム(MgO)換算し、La,Y及びYbを含む希土類元素(RE)から選択された少なくとも1種の元素を酸化物(RE x O y )換算し、それら酸化物換算含有量の合計が 0.6 〜 7 wt%であり、かつ(MgO/RE x O y )で表される重量比が1〜 70 であり、常温における熱伝導率が 100 〜 300W/ ( m ・ K )、3点曲げ強度が 600 〜 1500MPa であることを特徴とする。前記酸化物換算含有量の合計が0.6wt%未満では焼結時の緻密化作用が不十分となり相対密度が95%未満となり好ましくなく、7wt%超では窒化ケイ素質焼結体の第2のミクロ組織成分である熱伝導率の低い粒界相の量が過剰となり焼結体の熱伝導率が100W/(m・K)未満になる。これら窒化ケイ素質含有量の合計は0.6〜4wt%がより好ましい。前記窒化ケイ素質焼結体は、常温における熱伝導率が100〜300W/(m・K)であり、常温における3点曲げ強度が600〜1500MPaであり高強度・高熱伝導性に富んでいる。また前記窒化ケイ素質焼結体が、含有するMgを酸化マグネシウム(MgO)換算し、また含有するLa,YおよびYbを含む希土類元素(RE)から選択される少なくとも1種の元素を酸化物(RExOy)換算し、それら酸化物換算含有量の合計が0.6〜7wt%であり、かつMgO/RExOyで表される重量比が1〜70である場合に特に高強度・高熱伝導性が向上する。(MgO/RExOy)(重量比)が1未満では粒界相中の希土類酸化物の割合が増大するため焼結過程で液相線温度が上昇し難焼結性となり緻密な焼結体が得られない。(MgO/RExOy)(重量比)が70超では焼成時におけるMgの拡散を抑制することができず焼結体表面に色むらの発生を生じる。 MgO/RExOy(重量比)が1〜70の範囲にある場合、1650〜1850℃の焼結温度で成形体を予備焼成し、次いで1850〜1900℃の熱処理を行うと高熱伝導化が顕著になり120w/(m・K)を超える窒化ケイ素質焼結体を得られ特に好ましい。この熱処理による高熱伝導化は窒化ケイ素粒子の成長と、蒸気圧の高いMgO基とした粒界相成分が効率よく窒化ケイ素質焼結体外へ揮発することの複合効果による。
本発明の窒化ケイ素質焼結体は、β分率が 30 〜 100 %で、酸素量が 0.5 wt%未満、Fe含有量及びAl含有量がそれぞれ 100ppm 以下、平均粒子径が 0.2 〜 10 μ m の範囲にあり、アスペクト比が 10 以下の柱状粒子であるβ型窒化ケイ素質粉末1〜 50 重量部と、平均粒子径が 0.2 〜4μ m の範囲にあるα型窒化ケイ素粉末 99 〜 50 重量部とからなり、焼結体中にMgと、La,Y及びYbを含む希土類元素(RE)から選択された少なくとも1種の希土類元素を含有し、Mgを酸化マグネシウム(MgO)換算し、La,Y及びYbを含む希土類元素(RE)から選択された少なくとも1種の元素を酸化物(RE x O y )換算し、それら酸化物換算含有量の合計が 0.6 〜 7 wt%であり、かつ(MgO/RE x O y )で表される重量比が1〜 70 であり、常温における熱伝導率が 100 〜 300W/ ( m ・ K )、3点曲げ強度が 600 〜 1500MPa であることを特徴とする。前記酸化物換算含有量の合計が0.6wt%未満では焼結時の緻密化作用が不十分となり相対密度が95%未満となり好ましくなく、7wt%超では窒化ケイ素質焼結体の第2のミクロ組織成分である熱伝導率の低い粒界相の量が過剰となり焼結体の熱伝導率が100W/(m・K)未満になる。これら窒化ケイ素質含有量の合計は0.6〜4wt%がより好ましい。前記窒化ケイ素質焼結体は、常温における熱伝導率が100〜300W/(m・K)であり、常温における3点曲げ強度が600〜1500MPaであり高強度・高熱伝導性に富んでいる。また前記窒化ケイ素質焼結体が、含有するMgを酸化マグネシウム(MgO)換算し、また含有するLa,YおよびYbを含む希土類元素(RE)から選択される少なくとも1種の元素を酸化物(RExOy)換算し、それら酸化物換算含有量の合計が0.6〜7wt%であり、かつMgO/RExOyで表される重量比が1〜70である場合に特に高強度・高熱伝導性が向上する。(MgO/RExOy)(重量比)が1未満では粒界相中の希土類酸化物の割合が増大するため焼結過程で液相線温度が上昇し難焼結性となり緻密な焼結体が得られない。(MgO/RExOy)(重量比)が70超では焼成時におけるMgの拡散を抑制することができず焼結体表面に色むらの発生を生じる。 MgO/RExOy(重量比)が1〜70の範囲にある場合、1650〜1850℃の焼結温度で成形体を予備焼成し、次いで1850〜1900℃の熱処理を行うと高熱伝導化が顕著になり120w/(m・K)を超える窒化ケイ素質焼結体を得られ特に好ましい。この熱処理による高熱伝導化は窒化ケイ素粒子の成長と、蒸気圧の高いMgO基とした粒界相成分が効率よく窒化ケイ素質焼結体外へ揮発することの複合効果による。
【0019】
また、本発明の回路基板は、含有するMgを酸化マグネシウム(MgO)換算し、また含有するLa,YおよびYbを含む希土類元素(RE)から選択される少なくとも1種の元素を酸化物(RExOy)換算し、それら酸化物換算含有量の合計が0.6〜7wt%である窒化ケイ素質焼結体に回路板を接合して構成され、従来に比べて耐熱抵抗性および放熱性が優れたものを提供できる。
また、本発明の回路基板は、含有するMgを酸化マグネシウム(MgO)換算し、また含有するLa,YおよびYbを含む希土類元素(RE)から選択される少なくとも1種の元素を酸化物(RExOy)換算し、それら酸化物換算含有量の合計が0.6〜7wt%である窒化ケイ素質焼結体に回路板を接合して構成され、従来に比べて耐熱抵抗性および放熱性が優れたものを提供できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
前記窒化ケイ素質粉末の酸素量を0.5wt%未満としたのは、前記窒化ケイ素質粉末を成長核として作用させて窒化ケイ素質焼結体を形成した場合、窒化ケイ素質焼結体を構成する窒化ケイ素質粒子内に固溶する酸素量は、成長核として用いる前記化ケイ素質粉末の酸素量に強く依存し、前記窒化ケイ素質粉末の酸素量が高い程、前記窒化ケイ素質粒子内に固溶する酸素量が高くなる。窒化ケイ素質粒子中に含有される酸素により熱伝導媒体であるフォノンの散乱が発生し、窒化ケイ素質焼結体の熱伝導率が低下する。100W/m.K以上という従来の窒化ケイ素質焼結体では得られなかった高い熱伝導率を発現するには、窒化ケイ素質粉末の含有酸素量を0.5wt%未満に抑えて、最終的に得られる窒化ケイ素質焼結体の酸素量を低減することが必要不可欠である。
【発明の実施の形態】
前記窒化ケイ素質粉末の酸素量を0.5wt%未満としたのは、前記窒化ケイ素質粉末を成長核として作用させて窒化ケイ素質焼結体を形成した場合、窒化ケイ素質焼結体を構成する窒化ケイ素質粒子内に固溶する酸素量は、成長核として用いる前記化ケイ素質粉末の酸素量に強く依存し、前記窒化ケイ素質粉末の酸素量が高い程、前記窒化ケイ素質粒子内に固溶する酸素量が高くなる。窒化ケイ素質粒子中に含有される酸素により熱伝導媒体であるフォノンの散乱が発生し、窒化ケイ素質焼結体の熱伝導率が低下する。100W/m.K以上という従来の窒化ケイ素質焼結体では得られなかった高い熱伝導率を発現するには、窒化ケイ素質粉末の含有酸素量を0.5wt%未満に抑えて、最終的に得られる窒化ケイ素質焼結体の酸素量を低減することが必要不可欠である。
【0029】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、それら実施例により本発明が限定されるものではない。
(実施例1)
含有酸素量がSiO2換算で2.0wt%未満、平均粒子径0.2〜2.0μmのイミド分解法による窒化ケイ素質粉末をBN製るつぼに充填し、次いで常圧〜1.0MPa(10気圧)のN2雰囲気中にて1400℃〜1950℃で1〜20時間加熱する熱処理を施し、次いで室温まで冷却した。得られた窒化ケイ素質粉末のβ分率は90〜100%であり、酸素含有量は0.2〜0.4wt%であった。図1に得られた窒化ケイ素質粉末例のSEM観察像を示す。当該粉末のβ分率は100%、酸素量は0.2wt%、FeおよびAl量はそれぞれ、50ppmおよび40ppmである。当該粉末には粒子の長軸方向と平行に溝部が形成されており、これは気相を介して粒成長が起こる場合の特徴で、特に酸素量が微量であるほど顕著となることが実証された。当該粉末の次いで、得られたβ型Si3N4を主体とする粉末窒化ケイ素質粉末5〜30重量部と、酸素含有量が0.3〜1.5wt%であり平均粒子径0.5μmのα型窒化ケイ素(Si3N4)粉末99.5〜66重量部とを配合し、さらに焼結助剤として平均粒子径0.2μmのMgO粉末、および平均粒子径0.2〜2.0μmの表1に記載されるRExOy粉末(焼結助剤)を配合し、さらに2wt%の分散剤(レオガードGP)を配合し、エタノールを満たしたボ−ルミル容器中に投入し、次いで混合した。得られた混合物を真空乾燥し、次いで目開き150μ mの篩を通して造粒した。次に、プレス機により直径20mm×厚さ10mmおよび直径100mm×厚さ15mmのディスク状の成形体を圧力3tonのCIP成形により得た。次いで1750〜1900℃,0.9MPa(9気圧)の窒素ガス雰囲気中で5時間焼成した。得られた窒化ケイ素質粉末のFe,Alの不純物分析はプラズマ発光分析(ICP)法により行った。また、酸素含有量は赤外線加熱吸収法により測定した。また得られた窒化ケイ素質粉末のβ分率はCu−Kα線を用いたX線回折強度比から式(1)により求めた。
Iβ(101) :β型Si3N4の(101)面回折ヒ゜−ク強度,
Iβ(210) :β型Si3N4の(210)面回折ヒ゜−ク強度,
Iα(102) :α型Si3N4の(102)面回折ヒ゜−ク強度,
Iα(210) :α型Si3N4の(210)面回折ヒ゜−ク強度。
また、得られた窒化ケイ素質粉末の平均粒子径および平均アスペクト比は、SEM観察にて観察倍率×2000倍で得られたSEM写真を用い、200μm×500μm視野面積内にある計500個の窒化ケイ素質粒子を無作為に選定して画像解析装置により最小径と最大径を測定し、その平均値を求めて評価した。次に得られた窒化ケイ素質焼結体から、直径10mm×厚さ3mmの熱伝導率および密度測定用の試験片、ならびに縦3mm×横4mm×長さ40mmの曲げ試験片を採取した。密度はマイクロメ−タにより寸法を測定し、また重量を測定し、算出した。熱伝導率はレーザーフラッシュ法により常温での比熱および熱拡散率を測定し熱伝導率を算出した。3点曲げ強度は常温にてJIS R1606に準拠して測定を行った。以上の製造条件の概略および評価結果を、表1,2の試料No.1〜11に示す。
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、それら実施例により本発明が限定されるものではない。
(実施例1)
含有酸素量がSiO2換算で2.0wt%未満、平均粒子径0.2〜2.0μmのイミド分解法による窒化ケイ素質粉末をBN製るつぼに充填し、次いで常圧〜1.0MPa(10気圧)のN2雰囲気中にて1400℃〜1950℃で1〜20時間加熱する熱処理を施し、次いで室温まで冷却した。得られた窒化ケイ素質粉末のβ分率は90〜100%であり、酸素含有量は0.2〜0.4wt%であった。図1に得られた窒化ケイ素質粉末例のSEM観察像を示す。当該粉末のβ分率は100%、酸素量は0.2wt%、FeおよびAl量はそれぞれ、50ppmおよび40ppmである。当該粉末には粒子の長軸方向と平行に溝部が形成されており、これは気相を介して粒成長が起こる場合の特徴で、特に酸素量が微量であるほど顕著となることが実証された。当該粉末の次いで、得られたβ型Si3N4を主体とする粉末窒化ケイ素質粉末5〜30重量部と、酸素含有量が0.3〜1.5wt%であり平均粒子径0.5μmのα型窒化ケイ素(Si3N4)粉末99.5〜66重量部とを配合し、さらに焼結助剤として平均粒子径0.2μmのMgO粉末、および平均粒子径0.2〜2.0μmの表1に記載されるRExOy粉末(焼結助剤)を配合し、さらに2wt%の分散剤(レオガードGP)を配合し、エタノールを満たしたボ−ルミル容器中に投入し、次いで混合した。得られた混合物を真空乾燥し、次いで目開き150μ mの篩を通して造粒した。次に、プレス機により直径20mm×厚さ10mmおよび直径100mm×厚さ15mmのディスク状の成形体を圧力3tonのCIP成形により得た。次いで1750〜1900℃,0.9MPa(9気圧)の窒素ガス雰囲気中で5時間焼成した。得られた窒化ケイ素質粉末のFe,Alの不純物分析はプラズマ発光分析(ICP)法により行った。また、酸素含有量は赤外線加熱吸収法により測定した。また得られた窒化ケイ素質粉末のβ分率はCu−Kα線を用いたX線回折強度比から式(1)により求めた。
Iβ(101) :β型Si3N4の(101)面回折ヒ゜−ク強度,
Iβ(210) :β型Si3N4の(210)面回折ヒ゜−ク強度,
Iα(102) :α型Si3N4の(102)面回折ヒ゜−ク強度,
Iα(210) :α型Si3N4の(210)面回折ヒ゜−ク強度。
また、得られた窒化ケイ素質粉末の平均粒子径および平均アスペクト比は、SEM観察にて観察倍率×2000倍で得られたSEM写真を用い、200μm×500μm視野面積内にある計500個の窒化ケイ素質粒子を無作為に選定して画像解析装置により最小径と最大径を測定し、その平均値を求めて評価した。次に得られた窒化ケイ素質焼結体から、直径10mm×厚さ3mmの熱伝導率および密度測定用の試験片、ならびに縦3mm×横4mm×長さ40mmの曲げ試験片を採取した。密度はマイクロメ−タにより寸法を測定し、また重量を測定し、算出した。熱伝導率はレーザーフラッシュ法により常温での比熱および熱拡散率を測定し熱伝導率を算出した。3点曲げ強度は常温にてJIS R1606に準拠して測定を行った。以上の製造条件の概略および評価結果を、表1,2の試料No.1〜11に示す。
【0035】
(実施例2)
実施例1で作製したβ化率が30%以上の窒化ケイ素質粉末に3wt%MgO、1wt%Y2O3の焼結助剤を添加した混合粉末を作製した。次いで、アミン系の分散剤を2wt%添加したトルエン・ブタノール溶液を満たしたボールミルの樹脂製ポット中に作製した混合粉末および粉砕媒体の窒化ケイ素製ボールを投入し、48時間湿式混合した。次いで、前記ポット中の混合粉末100重量部に対しポリビニル系の有機バインダーを15重量部および可塑剤(ジメチルフタレ−ト)を5重量部添加し、次いで48時間湿式混合しシート成形用スラリーを得た。この成形用スラリーを調整後、ドクターブレード法によりグリーンシート成形した。次いで、成形したグリーンシートを空気中400〜600℃で2〜5時間加熱することにより、予め添加し有機バインダー成分を十分に脱脂(除去)した。次いで脱脂体を0.9MPa(9気圧)の窒素雰囲気中で1850℃×5時間の焼成を行い、次いで同窒素雰囲気中で1900℃×24時間の熱処理を行い、その後室温に冷却した、得られた窒化ケイ素質焼結体シートに機械加工を施し縦50mm×横50mm×厚さ0.6mmの半導体装置用の基板を製造した。この窒化ケイ素質焼結体製基板を用いて図2に示す回路基板を作製した。図2において、回路基板1は作製した前記縦50mm×横50mm×厚さ0.6mmの寸法の窒化ケイ素質焼結体製基板2の表面に銅製回路板3を設け、前記基板2の裏面に銅板4をろう材5により接合して構成されている。この回路基板1に対し、3点曲げ強度の評価および耐熱サイクル試験を行った。その結果、曲げ強度が600MPa以上と大きく、回路基板1の実装工程における締め付け割れおよびはんだ付け工程時の熱応力に起因するクラックの発生する頻度がほぼ見られなくなり、回路基板を使用した半導体装置の製造歩留まりを大幅に改善できることが実証された。また、耐熱サイクル試験は、−40℃での冷却を20分、室温での保持を10分および180℃における加熱を20分とする昇温/降温サイクルを1サイクルとし、これを繰り返し付与し、基板部にクラック等が発生するまでのサイクル数を測定した。その結果、1000サイクル経過後においても窒化ケイ素質焼結体製基板2の割れや銅製回路板2の剥離はなく、優れた耐久性と信頼性を兼備することが確認された。また、1000サイクル経過後においても耐電圧特性の低下は発生しなかった。
(実施例2)
実施例1で作製したβ化率が30%以上の窒化ケイ素質粉末に3wt%MgO、1wt%Y2O3の焼結助剤を添加した混合粉末を作製した。次いで、アミン系の分散剤を2wt%添加したトルエン・ブタノール溶液を満たしたボールミルの樹脂製ポット中に作製した混合粉末および粉砕媒体の窒化ケイ素製ボールを投入し、48時間湿式混合した。次いで、前記ポット中の混合粉末100重量部に対しポリビニル系の有機バインダーを15重量部および可塑剤(ジメチルフタレ−ト)を5重量部添加し、次いで48時間湿式混合しシート成形用スラリーを得た。この成形用スラリーを調整後、ドクターブレード法によりグリーンシート成形した。次いで、成形したグリーンシートを空気中400〜600℃で2〜5時間加熱することにより、予め添加し有機バインダー成分を十分に脱脂(除去)した。次いで脱脂体を0.9MPa(9気圧)の窒素雰囲気中で1850℃×5時間の焼成を行い、次いで同窒素雰囲気中で1900℃×24時間の熱処理を行い、その後室温に冷却した、得られた窒化ケイ素質焼結体シートに機械加工を施し縦50mm×横50mm×厚さ0.6mmの半導体装置用の基板を製造した。この窒化ケイ素質焼結体製基板を用いて図2に示す回路基板を作製した。図2において、回路基板1は作製した前記縦50mm×横50mm×厚さ0.6mmの寸法の窒化ケイ素質焼結体製基板2の表面に銅製回路板3を設け、前記基板2の裏面に銅板4をろう材5により接合して構成されている。この回路基板1に対し、3点曲げ強度の評価および耐熱サイクル試験を行った。その結果、曲げ強度が600MPa以上と大きく、回路基板1の実装工程における締め付け割れおよびはんだ付け工程時の熱応力に起因するクラックの発生する頻度がほぼ見られなくなり、回路基板を使用した半導体装置の製造歩留まりを大幅に改善できることが実証された。また、耐熱サイクル試験は、−40℃での冷却を20分、室温での保持を10分および180℃における加熱を20分とする昇温/降温サイクルを1サイクルとし、これを繰り返し付与し、基板部にクラック等が発生するまでのサイクル数を測定した。その結果、1000サイクル経過後においても窒化ケイ素質焼結体製基板2の割れや銅製回路板2の剥離はなく、優れた耐久性と信頼性を兼備することが確認された。また、1000サイクル経過後においても耐電圧特性の低下は発生しなかった。
【0036】
以上記述の通り、本発明の窒化ケイ素質粉末は、凝集したり表面に酸化物が付着することがなく、粉砕ならびに酸処理工程などの面倒で手間の掛かる工程を必要としないので生産性に優れています。また本発明の窒化ケイ素質焼結体は、本来有する高強度/高靭性に加えて高い熱伝導率を具備するので、半導体素子用基板として用いた場合に半導体素子の作動に伴う繰り返しの熱サイクルによって基板にクラックが発生することが少なく、耐熱衝撃性ならびに耐熱サイクル性を著しく向上することができる。
以上記述の通り、本発明の窒化ケイ素質粉末は、凝集したり表面に酸化物が付着することがなく、粉砕ならびに酸処理工程などの面倒で手間の掛かる工程を必要としないので生産性に優れています。また本発明の窒化ケイ素質焼結体は、本来有する高強度/高靭性に加えて高い熱伝導率を具備するので、半導体素子用基板として用いた場合に半導体素子の作動に伴う繰り返しの熱サイクルによって基板にクラックが発生することが少なく、耐熱衝撃性ならびに耐熱サイクル性を著しく向上することができる。
Claims (7)
- SiO2換算として0.02wt%以上、2.0wt%未満の酸素を含み、比表面積が0.5m2/g以上で、かつ平均粒子径が 0.2 〜 2 μmであるα型窒化ケイ素質粉末原料を窒素あるいは窒素/水素の非酸化性雰囲気下にて温度1800 〜 1950℃で熱処理することによって、気相を介してβ型窒化ケイ素質粉末に相転移させ、その後に粉砕工程を介さずにβ型窒化ケイ素質粉末とすることを特徴とする窒化ケイ素質粉末の製造方法。
- β分率が30〜100%であり、酸素量が0.5wt%未満であり、平均粒子径が0.2〜10μmであり、アスペクト比が10以下の柱状粒子であることを特徴とする窒化ケイ素質粉末。
- Fe含有量及びAl含有量がそれぞれ100ppm以下であることを特徴とする請求項2に記載の窒化ケイ素質粉末。
- β分率が30〜100%で、酸素量が0.5wt%未満、Fe含有量及びAl含有量がそれぞれ 100ppm 以下、平均粒子径が0.2〜10μmの範囲にあり、アスペクト比が10以下の柱状粒子であるβ型窒化ケイ素質粉末1〜50重量部と、平均粒子径が0.2〜4μmの範囲にあるα型窒化ケイ素粉末99〜50重量部と、Mgと、La,Y及びYbを含む希土類元素(RE)から選択された少なくとも1種の元素を、それぞれ酸化マグネシウム(MgO)と希土類元素化合物の酸化物(RE X O y )に換算し、それら酸化物換算含有量の合計が 0.6 〜 7 wt%であり、かつ(MgO/RE X O y )で表される重量比が1〜 70 である焼結助剤と、有機バインダーとを配合し、これらから得られた成形体を 1650 〜 1900 ℃で焼結することを特徴とする窒化ケイ素質焼結体の製造方法。
- 前記成形体を 1650 〜 1850 ℃で予備焼成し、次いで 1850 〜 1900 ℃で燒結することを特徴とする請求項4記載の窒化ケイ素質焼結体の製造方法。
- β分率が 30 〜 100 %で、酸素量が 0.5 wt%未満、Fe含有量及びAl含有量がそれぞれ 100ppm 以下、平均粒子径が 0.2 〜 10 μ m の範囲にあり、アスペクト比が 10 以下の柱状粒子であるβ型窒化ケイ素質粉末1〜 50 重量部と、平均粒子径が 0.2 〜4μ m の範囲にあるα型窒化ケイ素粉末 99 〜 50 重量部とからなり、焼結体中にMgと、La,Y及びYbを含む希土類元素(RE)から選択さ れた少なくとも1種の希土類元素を含有し、Mgを酸化マグネシウム(MgO)換算し、La,Y及びYbを含む希土類元素(RE)から選択された少なくとも1種の元素を酸化物(RE X O y )換算し、それら酸化物換算含有量の合計が 0.6 〜 7 wt%であり、かつ(MgO/RE X O y )で表される重量比が1〜 70 であり、常温における熱伝導率が 100 〜 300W/ ( m ・ K )、3点曲げ強度が 600 〜 1500MPa であることを特徴とする窒化ケイ素質焼結体。
- 請求項6に記載の窒化ケイ素質焼結体に回路板を接合して構成されることを特徴とする高強度・高熱伝導性に富んだ回路基板。
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