JP5265859B2 - 窒化アルミニウム焼結体 - Google Patents

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Description

本発明は破壊靭性値などの機械的特性に優れ、実用上十分な高熱伝導率を有する窒化アルミニウム焼結体に関する。
従来の回路基板は、半導体搭載用セラミックス基板の主面に導電性を有する金属回路をロウ材で接合し、金属回路の所定位置に半導体素子を搭載したものが用いられている。回路基板が高信頼性を持って動作するためには、半導体素子が発生する熱を放熱し、半導体素子の温度が過度に上昇しないようにすることが必要であり、セラミックス基板には、電気絶縁性に加えて、優れた放熱特性が要求される。近年、回路基板の小型化、パワーモジュールの高出力化が進む中、小型軽量化モジュールに関して、電気絶縁性が高く、高熱伝導性を有する窒化アルミニウム(以下、AlNと記載)焼結体を用いるセラミックス基板、並びにAlN基板の主面に金属回路を形成したセラミックス回路基板が注目されている。
セラミックス基板となるAlN焼結体は一般に以下の方法で製造される。即ち、AlN粉末に焼結助剤、有機バインダー、可塑剤、分散剤、離型剤等の添加剤を適量混合し、それを押出成形機やテープ成形法によって薄板状又はシート状に成形する。厚板状又は大型形状の場合はプレス成形されるのが一般的である。次いで、成形体を空気中、又は窒素等の不活性ガス雰囲気中で、350〜600℃に加熱して有機バインダーを除去した後(脱脂工程)、窒素等の非酸化性雰囲気中で、1800〜2000℃で4〜10時間保持し(焼成工程)、放冷すること(冷却工程)によって製造される。
AlN焼結体の機械的強度および熱伝導率を高めるには焼結体を緻密化することが必要である。AlNは共有結合性が強く、難焼結性材料であるため、緻密な焼結体を作製するに当たっては、焼結助剤として酸化イットリウム等の希土類酸化物を中心に、酸化カルシウム等のアルカリ土類金属酸化物等、多種多様の焼結助剤が検討されている。
焼結助剤の作用としては、(1)AlN原料粉末に含まれる酸素と焼結助剤が反応して液相を生成し、AlN焼結体の緻密化を促進させるとともに、(2)熱伝導率を低下させる酸素や鉄、カルシウム等の不純物をAlN粒子界面と粒子間空隙に析出させ、AlN結晶粒子を高純度化することによって高熱伝導率を発現させる、ことが挙げられる。
焼結助剤、特に希土類酸化物を主とする焼結助剤の添加によるAlN焼結体の緻密化、及びAlN結晶粒子の高純度化により、AlN焼結体は高熱伝導性を発現するが、機械的特性、即ち、破壊靱性と抗折強度が不十分であるという課題があった。
かかる課題を解消するため、特許文献1には、焼結助剤として、TbO1.8、PrO1.8及びCeO2の群から選ばれる少なくとも一種以上の希土類酸化物を使用してなる破壊靱
性が3.1MPam1/2以上のAlN焼結体が開示されている。
特開2005−145745号公報
しかし、上記特許文献1では、密度が3.1g/cm3以上と充分でない。また、曲げ
強度も420MPa以上と充分でない。
かかる課題を解消するため、本発明者らはAlN焼結体の機械的特性と各種焼結助剤と
の関連について鋭意検討の結果、酸化ホルミウムを焼結助剤として、特殊の条件下で焼結を行うことで、球状の助剤相が形成され、このような助剤相を含むAlN焼結体によれば破壊靭性値が顕著に改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
このような課題を解決する本発明は、以下の事項を要旨としている。
(1)焼結体中に球状のホルミウムアルミネート相が分散してなる窒化アルミニウム焼結体。
(2)焼結体中に分散してなるホルミウムアルミネート相がHo3Al512構造を有する(1)に記載の窒化アルミニウム焼結体。
(3)破壊靭性値が2.4MPa・m1/2以上である(1)または(2)に記載の窒化ア
ルミニウム焼結体。
(4)焼結体中に球状のHo3Al512構造のホルミウムアルミネート相が分散してなり、破壊靭性値が2.4MPa・m1/2以上である窒化アルミニウム焼結体。
本発明によれば、高い緻密性と実用的熱伝導性とを有し、しかも従来のAlN焼結体よりも破壊靭性値が向上したAlN焼結体が提供される。
かかるAlN焼結体は、各種電子部品搭載用セラミックス基板として好適である。
本発明に係るAlN焼結体は、酸化ホルミウムを焼結助剤として、特殊の条件下で焼結を行うことで得られ、球状の助剤相を含んでなる。
すなわち、本発明に係るAlN焼結体は、焼結体中に球状のホルミウムアルミネート相が分散してなることを特徴としている。
本発明に係るAlN焼結体は、組成の90%以上がAlNからなるモノリシックな組成であり、AlN結晶相が球状に近い多面体の粒子形状を保ちつつ、焼結助剤である酸化ホルニウムとAlNの表面酸化膜である酸化アルミニウムとの反応相であるホルミウムアルミネート相がAlN粒子界面とAlN粒子間空隙に球状で析出して粒界を強化し、AlN焼結体の高強度化および高靱性化をもたらしている。このようなAlN焼結体によれば、AlN焼結体の電気的絶縁性を保ちながら、機械的特性を改善することが可能であり、また実用上十分な熱伝導性が達成される。
AlN焼結体においては、球状のホルミウムアルミネート相が焼結体中に分散してなる。ここで球状とは、SEM観察において、円形度が0.8以上の粒子の形状をいい、本発明において、ホルミウムアルミネート相を構成する球状の粒子が、全体の60%以上、好ましくは、80%以上存在することが好ましい。
上記球状のホルミウムアルミネート相の形状の確認は、本発明で得られる焼結体サンプルを破断し、これをSEM観察することによって行うことができる。すなわち、SEM写真1枚中に窒化アルミニウム結晶粒子が100個〜300個含まれる倍率に設定し、SEM写真を撮影する。このような写真の画像データを画像解析システムに取り込み、画像データ中のホルミウムアルミネート相結晶粒子各々の円形度を計測することによって行われる。なお、円形度は下記式にて定義される。
Figure 0005265859
ここで、cは円形度、Sは粒子面積、lは周囲長を示す。
また、該ホルミウムアルミネート相の粒径は、好ましくは0.1〜5μm、さらに好ましくは0.3〜4μmであり、0.1μm未満の微小粒子あるいは5μmを超える巨大粒子のホルミウムアルミネート相は実質的に存在しない。かかる微小粒子あるいは巨大粒子が存在する場合には、その存在割合は、任意の視野で観察されるSEM写真におけるホルミウムアルミネート相の5%以下(SEM写真の数基準)である。このような微小粒子あるいは巨大粒子が10%を超えて存在すると、焼結体の破壊靭性値が低下することがある。
さらに、該ホルミウムアルミネート相の平均粒径は、好ましくは0.5〜3μm、さらに好ましくは0.5〜1.5μmである。ホルミウムアルミネート相の平均粒径が上記範囲を逸脱すると、焼結体の破壊靭性値が低下することがある。なお、ホルミウムアルミネート相の平均粒径は以下のようにして求められる。円形度の測定と同様、本発明で得られる焼結体サンプルを破断し、SEM観察する。得られるSEM写真1枚中に窒化アルミニウム結晶粒子が100個〜300個含まれる倍率に設定し、SEM写真を撮影する。このようなSEM写真を10枚用意する。これら写真の画像データを画像解析システムに取り込み、画像データ中のホルミウムアルミネート相結晶粒子各々の粒径(円相当径)を計測し、平均値を算出する。
AlN焼結体においては、上記ホルミウムアルミネート相が焼結体中に分散してなる。ここでホルミウムアルミネート相の分散状態は、球状粒子の凝集物が実質的に観察されない程度であれば特に問題はないが、球状のホルミウムアルミネート相が可及的に均一に分散されてなることが好ましい。ホルミウムアルミネート相の平均重心間距離及び標準偏差は、好ましくは3〜10μmおよび5以内である。また、平均重心間距離は、さらに好ましくは4〜8μmである。なお、ホルミウムアルミネート相の重心間距離は以下のようにして求められる。円形度及び粒径の測定と同様、本発明で得られる焼結体サンプルを破断し、SEM観察する。得られるSEM写真1枚中に窒化アルミニウム結晶粒子が100個〜300個含まれる倍率に設定し、SEM写真を撮影する。このようなSEM写真を10枚用意する。これら写真の画像データを画像解析システムに取り込み、画像データ中のホルミウムアルミネート相結晶粒子各々の重心間距離を計測し、その平均値及び標準偏差を求める。
AlN焼結体は、その組成の好ましくは1〜8%、さらに好ましくは1〜5%がホルミウムアルミネート相である。ここで、AlN相の割合は以下のようにして求められる。円形度及び粒径の測定と同様、本発明で得られる焼結体サンプルを破断し、SEM観察する。得られるSEM写真1枚中に窒化アルミニウム結晶粒子が100個〜300個含まれる倍率に設定し、SEM写真を撮影する。このような写真の画像データを画像解析システムに取り込み、画像データ中のホルミウムアルミネートの面積率を求めた。残部は、AlN相および若干の不純物である。不純物はO、C、Ca、Si、Fe、Ti、V、Na等であるが、本発明のAlN焼結体における不純物は3%以下、さらに好ましくは1.5%以下である。したがって、AlN焼結体におけるAlN相の割合は、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。
AlN焼結体のおけるホルミウムアルミネート相の巨大粒子あるいは凝集物、また不純物相は破壊起点となるが、本発明のAlN焼結体によれば、これら巨大粒子等は実質的に存在しないため、高い破壊靭性値が達成される。
ホルミウムアルミネート相は、上記のように焼結助剤である酸化ホルミウムとAlNの表面酸化膜である酸化アルミニウムとの反応相である。その結晶構造は特に限定はされず、非晶相であっても結晶相であっても、あるいはこれらが混在した形態であってもよいが、好ましくは結晶相からなる。結晶相は、Ho3Al512構造、HoAlO3構造、Ho4Al29構造の何れであってもよいが、球状粒子を得る上では、好ましくは主としてHo3Al512構造からなる。すなわち、本発明者らが球状のホルミウムアルミネート相が生成する条件を探索した結果、Ho3Al512構造のホルミウムアルミネート相が生成する条件において、球状粒子が生成する傾向の高いことが見出された。したがって、Ho3Al512構造のホルミウムアルミネート相が生成する条件を採用すれば、比較的容易に球状粒子が生成することができる。この条件については後述する。
ホルミウムアルミネート相は、実質的にすべてがHo3Al512構造の結晶相からなることが好ましいが、30%以下、好ましくは10%以下の割合で他の構造の結晶相あるいは非晶相が含まれていてもよい。なお、ホルミウムアルミネート相の構造決定はX線回折分析により行われ、各結晶相あるいは非晶相の存在割合は、以下の式(2)〜(4)により求められる。
Figure 0005265859
Figure 0005265859
Figure 0005265859
PHo3Al5O12はHo3Al512の存在割合、PHoAlO3はHoAlO3の存在割合、PHo4Al2O9はHo4Al29の存在割合、I(521)Ho3Al5O12はHo3Al512(521)面のピーク
強度、I(202)HoAlO3はHoAlO3(202)面のピーク強度、I(023)Ho4Al2O9はHo4Al29(023)面のピーク強度、I0(521)Ho3Al5O12はHo3Al512(521)面の相対強度、I0(202)HoAlO3はHoAlO3(202)面の相対強度、I0(023)Ho4Al2O9はHo4Al29(023)面の相対強度を示す。
このような本発明に係るAlN焼結体においては、ホルミウムアルミネート相が球状粒子として焼結体中に分散するため、破壊靭性値等の機械的物性が顕著に改善される。何ら理論的に制限されるものではないが、球状のホルミウムアルミネート相が焼結体中に存在することで、クラックの進展方向の向きが変えられることにより、機械的強度が改善されるものと考えられる。
このような本発明のAlN焼結体は、高い破壊靭性値を有する。すなわち、本発明に係るAlN焼結体の破壊靭性値は、好ましくは2.4MPa・m1/2以上、さらに好ましく
は2.5MPa・m1/2以上である。破壊靭性値は高いほど好ましく、したがってその上
限値は特に限定はされない。従来市販されているAlN焼結体の破壊靭性値は、最高でも2.3MPa・m1/2程度であり、本発明のAlN焼結体は極めて高い破壊靭性値を有す
る。
本発明のAlN焼結体の曲げ強度は、好ましくは480MPa以上、さらに好ましくは500MPa以上、特に好ましくは500〜600MPaである。
また、本発明のAlN焼結体は、破壊靭性値以外の他の物性値においては、従来のAlN焼結体とほぼ程度であり、従来のAlN焼結体と同様の用途に特に制限されることなく使用できる。本発明のAlN焼結体の密度は、一般に、3.2g/cm3以上であり、好
ましくは3.3g/cm3以上である。また、その熱伝導率は、140W/m・K以上、
さらに好ましくは160W/m・K以上、特に好ましくは160〜170W/m・Kである。熱伝導率に関しては、市販AlN焼結体の最高値よりも若干下回るが、実用上の問題はない。
なお、破壊靭性値、曲げ強度、熱伝導率、密度の測定法については、後記実施例に記載する。
本発明のAlN焼結体は、上述したように球状であり、好ましくはHo3Al512構造のホルミウムアルミネート相が焼結体中に分散してなることで、特に破壊靭性値の顕著な改善を達成したものである。したがって、本発明の特に好ましい態様としては、「焼結体中に球状のHo3Al512構造のホルミウムアルミネート相が分散してなり、破壊靭性値が2.4MPa・m1/2以上かつ曲げ強度が480MPa以上であるAlN焼結体」があ
げられる。
次に本発明に係るAlN焼結体の製造方法について具体例をあげて説明するが、本発明のAlN焼結体は、上記要件を満たす限り、その製造方法は特に限定はされない。
本発明のAlN焼結体は、AlN粉末と酸化ホルミウム(Ho23)系焼結助剤との混合物を所定形状(たとえば、板状)に成形し、成形体を中性雰囲気下で焼結することで得られる。
原料として用いるAlN粉末は、特に限定はされないが、十分な強度の焼結体を得るために、焼結によって3〜10μmの結晶粒径が達成可能な粒子径を有するものが好ましく使用される。一般には、焼成に際しての粒成長を考慮して、前記結晶粒径より若干小さい平均粒子径を有するものが好適に使用され、例えば、平均粒子径が0.5〜1.5μmのものが好適である。
また、焼結時に、ホルミウムアルミネート相を形成するため、原料AlN粉末には適量の酸化アルミニウム(アルミナAl23等)が含まれる。ホルミウムアルミネート相は、上記のように焼結助剤である酸化ホルミウム(Ho23)とAlNの表面酸化膜である酸化アルミニウムとの反応相である。したがって、目的とするホルミウムアルミネート相を形成するため、原料粉末中に含まれるアルミナ(Al23)成分に対して、所定量の酸化ホルミウム(Ho23)を添加する。
前述したようにホルミウムアルミネート相は、Ho3Al512構造、HoAlO3構造、Ho4Al29構造の何れであってもよいが、球状のホルミウムアルミネート相を得る上では、Ho3Al512構造であることが好ましい。焼結時にHo3Al512構造のホルミウムアルミネート相を形成するためには、原料粉末中のアルミナ(Al23)成分1モルに対して、酸化ホルミウム(Ho23)は0.1〜1.3モル、好ましくは0.2〜1モルの割合で添加される。
原料AlN粉末におけるアルミナ成分は、通常はAlNの表面酸化膜として存在するが、高純度品の場合には表面酸化物量が十分でないことがあるため、必要に応じて、適宜量のアルミナ粉末を添加してもよい。また、後述する脱脂工程を行う場合には、脱脂条件を適宜に設定して、原料AlN粉末の表面酸化と脱脂を同時に行い、AlN表面に適宜量のアルミナが生成するようにしてもよい。
なお、焼結条件によっては、焼結中にアルミナ成分が揮発したり、あるいは還元窒化によりAlNが生成したりすることがある。したがって、焼結時におけるアルミナ成分の減量を予め見積もった上で、原料粉末中のアルミナ成分量を決定する必要がある。
焼結助剤である酸化ホルミウム(Ho23)の使用量は、一般に、窒化アルミニウム粉末100重量部当り、1〜7重量部、特に2〜6重量部の範囲にあることが、破壊靭性値などの機械的特性に優れたAlN焼結体を得るために好ましい。
AlN粉末と焼結助剤粉末との混合は、公知の方法によって行なうことができる。例えば、ボールミル等の混合機によって、乾式または湿式により混合する方法が好適に採用できる。また、湿式混合では、アルコール類、炭化水素類等の分散媒を使用するが、分散性の点でアルコール類、炭化水素類を用いることが好ましい。
尚、この混合にあたっては、焼結助剤の水分吸着或いは凝集を生じないように、ドライエア中で保存され、必要により真空乾燥された焼結助剤の粉末を直ちにAlN粉末と混合するのがよい。
焼成に先立っては、上記混合粉末を、用途に応じて所定形状に成形するが、このような成形は、それ自体公知の手段で行うことができるが、強度の高い成形体を成形し、歩留まりを高めるためには、有機バインダーを用いて成形してもよい。
例えば、上記混合粉末を有機バインダーと、必要により分散剤、可塑剤、溶媒などと混合して成形用スラリー乃至ペーストを調製し、この成形用スラリー乃至ペーストを、ドクターブレード法、押出成形法、射出成形法、鋳込み成形法などの成形手段によって成形体を作製することができる。有機バインダーとしては、ポリビニルブチラール等のブチラール樹脂、ポリメタクリルブチル等のアクリル樹脂等を例示することができ、このような有機バインダーは、窒化アルミニウム粉末100重量部当り、0.1〜30重量部、特に1〜15重量部の量で使用することができる。また、分散剤としては、グリセリン化合物類などを例示することができ、可塑剤としては、フタル酸エステル類などを挙げることができ、溶媒には、イソプロピルアルコールや炭化水素類などが使用される。
また、有機バインダーを用いずに、圧縮成形法により成形を行うこともできる。例えば、窒化アルミニウム粉末と焼結助剤粉末との混合粉末を、一軸成形機にて、仮成形体を製造し、これを、CIP(冷間アイソスタテックプレス)成形機にて1〜4t/cm2で加
圧成形することにより、成形体を作製することができる。
得られた成形体は、脱脂(脱バインダー)した後、焼成に付される。
脱脂は、空気中、窒素中、水素中等の任意の雰囲気で加熱することにより行うことができるが、残留炭素量の調整がし易い、窒素中で脱脂を行うことが好ましい。また、脱脂温度は、有機バインダーの種類によっても異なるが、一般には、300〜900℃、特に300〜700℃が好適である。さらに、脱脂雰囲気、温度および時間を調整することで、AlN粉末表面に適宜量の酸化物層を形成することもできる。尚、圧縮成形法のように、有機バインダーを用いずに成形を行った場合には、上記の脱脂工程は不要である。
次いで上記成形体を焼結し、本発明のAlN焼結体が得られる。焼結はアルゴン、窒素などの中性雰囲気中で行われる。
焼成用の容器として、非カーボン製、例えば、窒化アルミニウム焼結体、窒化ホウ素成形体等の容器を使用し、該容器中に前記成形体を収納して焼結を行ってもよい。
焼結は、温度1500〜2000℃、好ましくは1600〜1950℃、さらに好ましくは1700〜1900℃で、少なくとも3時間、特に5時間以上実施することが好ましい。
上記の焼結工程を経ることで、本発明に係るAlN焼結体が得られる。このようにして得られる本発明のAlN焼結体は、半導体実装用基板をはじめとする基板、半導体製造装置の部材など様々な用途に供される。
(実施例)
以下本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
尚、実施例および比較例における各種の物性の測定は次の方法により行った。
1)破壊靭性値
JIS R1607に準拠して、ビッカース硬さ試験機AVK−CO(商品名:(株)アカシ社製)を使用してビッカース硬さを測定した。このビッカース硬さから、I.F.法により破壊靭性値を算出した。押し込み荷重は49N、保持時間は15秒である。5サンプルの平均値を測定値とした。
2)曲げ強度
JIS R1601に準拠して、クロスヘッド速度0.5mm/分、スパン30mmで3点曲げ強度を測定した。試験片の幅は4mmでクリスタルカッターを用いて加工した。
また、試験片の厚みは3mmで、平面研削して作製した。
3)熱伝導率
熱定数測定装置PS−7(商品名:理学電気(株)社製)を使用して、レーザーフラッシュ法により測定した。厚み補正は検量線により行った。
4)密度
高精度比重計D−H(商品名:東洋精機社製)を使用して、アルキメデス法により求めた。
5)SEM観察
まず、得られた焼結体サンプルを、焼結体表面に対してほぼ垂直となる方向に破断した。破断面をサンプルの断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)S−2600N(商品名:日立製作所社製)を使用して観察した。倍率は、窒化アルミニウムの結晶粒子100個〜300個が一観察画面に含まれる大きさとなるように設定し、反射電子像を撮影した。
6)ホルミウムアルミネート相の円形度、粒径、重心間距離、面積率
上記の焼結体微構造のSEM写真から、画像解析システムIP−1000PC(商品名:旭化成工業社製)を使用して求めた。
7)X線回折分析
RINT−1400(商品名:リガク社製)を使用し、走査速度5℃/minで測定を行った。
(実施例1)
内容積が0.3Lのアルミナ製ポットに直径10mmのアルミナボールを36個入れ、次いで、焼結助剤として酸化ホルミウム(Ho23:日本電工製、微粒子酸化ホルミウム、平均粒径0.90μm)5g、窒化アルミニウム粉末((株)トクヤマ社製、Hグレード粉末、平均粒径1.2μm、酸素濃度0.8%)50gを入れ、エタノール50mlを添加し、フリッチュ製遊星ボールミルで90分混合した。
混合物を磁性皿に移し、ホットプレート(120℃)上で乾燥し、その後メノウ乳鉢にて粉砕した。粉砕物をステンレス製ふるい(目開き200mm)で造粒し、混合粉末を得た。
混合粉末を10gずつ分取し、一軸成形にてφ40mmに成形し、さらに真空パック包装後、冷間等方圧プレスにて加圧し、成形体を得た。
得られた成形体をAlN製皿セッター内に収納し、窒化ホウ素製敷板上に設置し、バッチ式焼成炉を用い、N2雰囲気、1780℃にて5時間焼成し、AlN焼結体を得た。
得られたAlN焼結体の評価結果を表1に示す。
焼結助剤とアルミナとの反応により形成された化合物相(以下、助剤相)は、Ho3Al512構造のホルミウムアルミネートであり、粒界相を形成するホルミウムアルミネート粒子のうち、円形度0.8以上の粒子が、85%であった。また、ホルミウムアルミネート粒子の平均粒径は1.1μm、重心間距離の平均値は6.2μm、重心間距離の標準偏差は3.2であった。
(実施例2)
窒化アルミニウム粉末(三井化学製、MAN2、平均粒径1.3μm、酸素濃度0.5%)とした以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。助剤相はHo3Al512構造のホルミウムアルミネートであり、粒界相を形成するホルミウムアルミネート粒子のうち、円形度0.8以上の粒子が、75%であった。また、ホルミウムアルミネート粒子の平均粒径は1.0μm、重心間距離の平均値は5.4μm、重心間距離の標準偏差は2.6であった。
(比較例1)
酸化ホルミウム(Ho23)の添加量を10gとした以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。助剤相は、Ho4Al29構造92%、HoAlO3構造8%からなるホルミウムアルミネートであり、AlN結晶粒間を埋める不定形の不連続相を形成した。
(比較例2)
酸化ホルミウム(Ho23)を酸化イットリウム(Y23)に変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。助剤相は、YAlO3構造及びY4Al29構造のイットリウムアルミネートであり、不定形の多角形状で存在した。
Figure 0005265859
本発明によれば、高い緻密性と実用的熱伝導性とを有し、しかも従来のAlN焼結体よりも破壊靭性値が向上したAlN焼結体が提供される。
かかるAlN焼結体は、各種電子部品搭載用セラミックス基板として好適である。

Claims (3)

  1. 焼結体中にホルミウムアルミネート相が、1〜8%の量で分散してなり、前記ホルミウムアルミネート相の70%以上が球状のHo 3 Al 5 12 構造である窒化アルミニウム焼結体。
  2. 破壊靭性値が2.4MPa・m1/2以上である請求項1に記載の窒化アルミニウム焼結体。
  3. 焼結体中にホルミウムアルミネート相が、1〜8%の量で分散してなり、前記ホルミウムアルミネート相の70%以上が球状のHo 3 Al 5 12 構造であり、破壊靭性値が2.4MPa・m1/2以上である窒化アルミニウム焼結体。
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