JP2002029716A - 結晶性リン酸アルミニウム水和物の合成方法 - Google Patents
結晶性リン酸アルミニウム水和物の合成方法Info
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Abstract
ムを合成できる結晶性リン酸アルミニウムの合成方法を
提供すること。 【解決手段】 1モル部のリン源と0.8〜1.8モル
部のアルミニウム源とを含有する液状混合物から結晶性
リン酸アルミニウム水和物を合成する方法であって、マ
イクロ波照射により加熱することを特徴とする結晶性リ
ン酸アルミニウム水和物の合成方法。結晶性リン酸アル
ミニウム水和物の型がA1PO4-H1、A1PO4-H
2、A1PO4-H3またはA1PO4-H4である。前記
液状混合物に有機テンプレート剤が含まれていない。結
晶性リン酸アルミニウム水和物の型がA1PO4-H3で
ある場合、前記液状混合物が種結晶を含むことを特徴と
する。
Description
媒、触媒担体として有用なミクロポアを有するマイクロ
波加熱を利用した結晶性リン酸アルミニウム水和物の合
成方法に関する。本発明においては、結晶性リン酸アル
ミニウムの表記は、“Hand-book ofMolecular Sieves”
R.Szostak,Van Nostrand Reinhold,New York(1992)に
よるものとする。これは後述するF.d'Yvoireの文献の表
記法にも一致する。
素原子が互いに連結して形成された骨格構造を有する結
晶性リン酸アルミニウムは知られている。この骨格構造
には、実質的または比較的に均一のミクロポアが形成さ
れており、モレキュラーシーブとして用いることができ
る。すなわち、このミクロポアの開口部の内面に可逆的
に水分子が吸着できるため、結晶性リン酸アルミニウム
は、吸湿剤として用いることができる。しかも吸湿後
は、加熱することにより、吸着している水を除去し、吸
湿剤として再生させることができる。なお、上記骨格構
造を構成する四面体は、AlO4 四面体およびPO4 四
面体に限られず、さらに、鉄、マンガン、マグネシウ
ム、コバルト、亜鉛、またはケイ素の酸化物が含まれて
いても良い。
Al2O3および2.73モルのP2O 5の割合のアルミニ
ウム源およびリン源を含む希釈リン酸溶液を、80〜9
0℃に3時間以上、加熱することにより、結晶性リン酸
アルミニウムを合成することが報告された〔Bull.Soc.C
him.Fr.,1762(1961)〕。このリン酸溶液には、有機テン
プレート剤は含まれていないが、この方法では、水吸着
量の少ないバリサイトおよびメタバリサイトが副生成物
として生成してしまうという問題があった。さらに、こ
のリン酸溶液には、リン酸が大過剰に含まれており、リ
ン酸溶液中のリン酸は、0.76M以下に希釈されてい
た。これは、AlPO4 としては、0.28M以下に希
釈されていることに対応する。そこで、結晶性リン酸ア
ルミニウムの合成において、AlPO4 濃度を高め、A
l2O3/P2O5モル比を1に近づけるためには、リン源
およびアルミニウム源とともに、有機テンプレート剤が
用いられていた。有機テンプレート剤としては、例え
ば、アルキルアミン、第四級アンモニウム化合物、第四
級ホスホニウム化合物等が挙げられる。アルキルアミン
としては、ジ-n-プロピルアミン、ジ-イソ-プロピルア
ミン、エチレンジアミン等が用いられ、第四級アンモニ
ウム化合物としては、テトラアルキルアンモニウムイオ
ン、アルキルピリジン等が挙げられる。
実験が追試された〔“Template-free synsthesis of th
e aluminophoshates H1 through H4”B.Duncan,M.Stock
er,D.Gwinup,R.Szostak,K.Vinje,Bull. Soc. Chim. Fr.
(1992)129,98-110〕。合成には全て塩酸を使用し、種結
晶は使用していない。彼らはモル比でAl 2O3/P2O5
が1に近い混合溶液を用い、モル比を0.8〜1.2の
範囲で変化させ、加える塩酸量および反応温度、反応時
間を変えることで、AlPO4-H1、H2、H3、H4
を合成した。反応温度は140℃以上で高く、反応温度
も3.8〜18時間の長時間に及んでいた。A1源とし
て全て水酸化アルミニウムを使用している。Dunca
nらによる上述の研究論文に記載の代表的な合成条件を
表1に示す。A1PO4-H1の合成については、ゲル組
成(Al2O3:P2O5:HCl:H 2O)1:0.8:
1:50では、反応温度145℃、反応時間3.8hで
あり、ゲル組成1:0.8:1.5:50では、反応温度
140℃、反応時間4hであり、ゲル組成1:0.8:
2:50では、反応温度150℃、反応時間7hが必要
とされている。A1PO4-H2(純度75%)について
は、ゲル組成(Al2O3:P2O5:HCl:H2O)
1:1.2:0.5:50では、反応温度140℃、反応
時間4hであり、A1PO4-H2(純度50%)につい
ては、ゲル組成1:0.6:0.1:50では、反応温度
145℃、反応時間18hが必要とされている。A1P
O4-H3については、ゲル組成(Al2O3:P2O5:H
Cl:H2O)1:1.2:1:50では、反応温度14
0℃、反応時間4h、ゲル組成1:1:1:50では、
反応温度145℃、反応時間4hが必要とされている。
A1PO4-H4については、ゲル組成(Al2O3:P2
O5:HCl:H2O)1:0.8:1.5:50では、反
応温度140℃、反応時間18hであり、ゲル組成1:
1:1:50では、反応温度145℃、反応時間18h
とされている。また、彼らの研究によると、A1PO4-
H1はテンプレートを用いて合成される結晶性リン酸ア
ルミニウムVPI-5と同一化合物であると推定され
る。
用いる結晶性リン酸アルミニウムの製造方法において
は、反応温度を100℃よりも高い温度とすることが有
効であり、合成に際して圧力容器を用いる。このため、
設備が大規模なものとなり、コストも高くなるという問
題があった。また、テンプレート剤の除去は、加熱分解
する方法が一般的で、テンプレート剤の分解と消費によ
りコストが高くなるという問題もあった。反応時間を短
縮化するためには、マイクロ波照射が有効であることが
知られているが、その際にも有機テンプレート剤の添加
は不可欠であると考えられている(“Large A1PO4-5 cry
stals by microwave heating”I.Girnus,K.Jancke,R.Ve
rter,J.Richter-Mendau,and J.Caro, Zeolites 15:33-3
9,1995.)。したがって、本発明の目的は、反応温度の
低減を計り、有機テンプレート剤を使用せず、短時間に
簡易かつ低コストに結晶性リン酸アルミニウムを合成で
きる結晶性リン酸アルミニウムの合成方法を提供するこ
とにある。
酸アルミニウム組成(A1PO4-nH2O)に近い1モル部
のリン源と0.8〜1.8モル部のアルミニウム源とを
含有する液体組成物から高い分散濃度で結晶性リン酸ア
ルミニウム水和物を合成する方法であって、有機テンプ
レート剤を用いず、マイクロ波照射により125℃以下
の反応温度で加熱することを特徴とする結晶性リン酸ア
ルミニウム水和物の合成方法を要旨としている。
は型がA1PO4-H1、A1PO4-H2、A1PO4-H
3またはA1PO4-H4であり、したがって、本発明
は、1モル部のリン源と0.8〜1.8モル部のアルミ
ニウム源とを含有する液体組成物をマイクロ波照射によ
り加熱することにより型がA1PO4-H1、A1PO4-
H2、A1PO4-H3またはA1PO4-H4である結晶
性リン酸アルミニウム水和物を合成する方法を要旨とし
ている。
まれておらず、その場合、本発明は、1モル部のリン源
と0.8〜1.8モル部のアルミニウム源とを含有し、
有機テンプレート剤を含有しない液体組成物をマイクロ
波照射により加熱することにより結晶性リン酸アルミニ
ウム水和物、より具体的には型がA1PO4-H1、A1
PO4-H2、A1PO4-H3またはA1PO4-H4であ
る結晶性リン酸アルミニウム水和物を合成する方法であ
る。
1PO4-H3である場合、前記液状混合物が種結晶を含
むことを特徴としており、その場合、本発明は、1モル
部のリン源と0.8〜1.8モル部のアルミニウム源と
を含有し、種結晶を含み、好ましくは有機テンプレート
剤が含有しない液体組成物をマイクロ波照射により加熱
することにより型がA1PO4-H3である結晶性リン酸
アルミニウム水和物を合成する方法である。
ムの合成方法は、リン源とアルミニウム源とを特定の量
比で含有し且つ有機テンプレート剤を含有しない液体組
成物を、(型がA1PO4-H3の場合は好ましくは種結
晶を添加し、)マイクロ波照射により加熱することを特
徴とする。
ては、オルトリン酸、メタリン酸等のリン酸が挙げられ
る。また、所望によりリン酸ナトリウム等のリン酸アル
カリ金属;リン酸カルシウム等のリン酸アルカリ土類金
属;リン酸アンモニウム等のリン酸塩と、塩酸、硫酸等
の混合物をリン源に用いても良い。
ム源としては、水酸化アルミニウム、ベイマイト、ギプ
サイト、ダイアスポア等のアルミナ水和物;アルミナゲ
ル;変態アルミナ(α−アルミナ、γ−アルミナ等が含
まれる)、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム等のア
ルミニウム塩;ミョウバン塩の複塩等が挙げられる。
ウム源との前記の特定の量比は、リン源1モル部に対し
て、アルミニウム源0.8〜6モル部、好ましくは1〜
1.8モル部である。アルミニウム源が0.8モル部未
満であると、副生成物であるバリサイトおよびメタバリ
サイドの生成量が増加する。一方、6モル部を超える
と、大過剰のアルミニウム源が用いられることになり、
アルミニウム源が無駄になるからである。
よび前記アルミニウム源の他に、水、並びに必要に応じ
て塩酸が配合される。使用するリン源と前記アルミニウ
ム源は、粉末状としたものをそれぞれ所定量取り分け、
これに所定量の水および塩酸を加えてゾル状としたもの
である。例えば、目的とする型がAlPO4-H3である
場合、水は、AlPO4 が2M以下になるように配合す
ることが好ましく、反応性の点で1M以下になるように
配合することが好ましい。もっとも、F.d'Yvoireの報告
にあるように、0.28M以下になるように水を配合す
る必要はない。化1の反応式はAlPO4-H1またはH
2の場合での反応式である。ただし、式中、nは約2.
2(H1の場合)、nは約1.4(H2の場合)であ
る。化2の反応式はAlPO4-H3またはH4の場合
(すなわちベーマイトを用いたとき)での反応式であ
る。ただし、式中、nは約1.5(H3の場合)、nは
約1.1(H4の場合)である。
PO4・nH2O
PO4・nH2O
物には、鉄源、マンガン源、マグネシウム源、コバルト
源、亜鉛源、またはケイ素源がさらに含まれていても良
い。これらは、本発明の所望の効果を損なわない範囲で
必要に応じて含有させることができる。
ン酸アルミニウムの種結晶を含むのが好ましい。種結晶
としては、目的とする型の種結晶を使用することが好ま
しい。例えば、目的とする型がAlPO4-H3であるの
で、AlPO4-H3が好ましいが、その他の型のAlP
O4 を用いても効果がある。サイズは限定されないが、
添加剤等から判断して50μm以下が好ましい。H3の
合成では撹拌が必要である。
gに対して、1mg以下でも効果があるが、約1mg以
上であることが好ましい。そして、本発明の結晶性リン
酸アルミニウムの合成方法の好ましい一実施態様では、
前記の特定の量比で、リン源、アルミニウム源、水並び
に必要に応じて前記種結晶および前記その他の添加剤
を、室温で、混合して液体組成物を調製し、得られた液
体組成物を、マイクロ波照射により加熱する。
周波数には特に限定はないが、例えば10MHz以上の
周波数が有効といわれている。ただし、現在の電波法上
の使用周波数は2450MHzに定められている。ま
た、その加熱方法には特に限定はないが、例えばマイク
ロ波の連続照射により原料混合物を反応温度まで昇温さ
せた後、間欠的にマイクロ波を照射して反応温度を保持
させることができる。マイクロ波照射装置には、周波数
が2450±50MHzのマイクロ波を最大1.5KW
の出力で連続照射、その他パルス照射が可能であり、パ
ルス間隔が自由に設定できるマグネトロン(東芝TMG
−131F03)を使用した。
ら使用される反応温度、例えば80〜150℃の範囲の
温度を用いることができる。温度測定法としては、電波
の影響を受けない方法であればよく、例えば蛍光の減衰
時間から温度測定を行う光ファイバー温度計などを用い
ることができる。マイクロ波加熱条件は、最初1KWで
照射加熱し、反応液が設定温度となるようにPIDで制
御した。
ロエチレン等のような電磁波透過性を有する任意の反応
容器を使用することができる。
ン酸アルミニウムは、モレキュラーシーブ、デシカント
(除湿剤)として用いることができる。本発明の合成方
法により得られる反応生成物は、バリサイトおよびメタ
バリサイトを殆ど含まないため、デシカントとして大き
い吸着容量を実現できる。デシカントとしては、前記結
晶性リン酸アルミニウムを、50〜600℃で加熱処理
する等して得られる。
明はこれら実施例によって何ら限定されるものではな
い。
リン酸、水酸化アルミニウム、塩酸および水を混合し、
液体組成物を調製した。液体組成物は、表1に示す反応
温度、反応時間で、マイクロ波照射で加熱した。型H1
(実施例1)、H2(実施例2)では、リン酸および水
酸化アルミニウムの配合比を変えた。目的生成物の型が
H2では、合成モル比は、Al2O3:P2O5:HCl:
H2O=1:0.95:0.6:50で115℃、40
分間である。撹拌、種結晶は必要でなく、アルミニウム
源はAl(OH)3である。
リン酸、ベーマイト(Vista Chemical Company,DISPAL
18N4-80)、塩酸および水を混合し、液体組成物を調製
した。室温で2時間撹拌後、液体組成物を表1に示す反
応温度、反応時間で、マイクロ波照射で加熱した。目的
生成物の型がH4では、合成モル比は、Al2O3:P2
O5:HCl:H2O=1:0.8:1.225:50で
105℃、1時間である。撹拌、種結晶は必要でなく、
アルミニウム源はベーマイトである。
を、従来法(Duncan、および山中)と対比して表1に示
す。生成物の純度は粉末X線回折から見積った表中、山
中は、日本セラミックス協会2000年年会講演要旨
集、第92頁、2000年3月21日仙台市)より抜粋
した。ここに記載された有機テンプレート剤を使用しな
いA1PO4−H3の合成について、A1源としてベー
マイトを使用し、塩酸は使用せず、合成条件は80〜9
0℃、3h、種結晶を使用することが記載されている。
リン酸アルミニウムについて、粉末X線回折(Cu−K
α線)による分析を行った。そのパターンについては図
1(実施例1−H1)、図2(実施例2−H2)、図3
(実施例3−H3)、図4(実施例4−H4)に、その
解析結果については表2(実施例1−H1)、表3(実
施例2−H2)、表4(実施例3−H3)、表5(実施
例4−H4)にそれぞれ示す。
る(F.d’Yvoireは単一相で得られていない。
山中は反応温度が同じ)。H1〜H4は単一相で得られ
た。
105℃で、3時間、真空加熱した後、容量法による水
吸着特性を25℃の恒温槽で測定した。その結果を図5
に示す。
トを用い数時間ないし数十時間を要した水熱合成反応
を、数分ないし数十分〜1時間の範囲に短縮でき、しか
も得られた結晶性リン酸アルミニウムは、モレキュラー
シーブ、デシカント(除湿剤)として用いることができ
る。
(H1)の粉末X線回折パターンである。
(H2)の粉末X線回折パターンである。
(H3)の粉末X線回折パターンである。
(H4)の粉末X線回折パターンである。
(H1)の水吸着特性を示すチャートである。
Claims (4)
- 【請求項1】 1モル部のリン源と0.8〜1.8モル
部のアルミニウム源とを含有する液状混合物から結晶性
リン酸アルミニウム水和物を合成する方法であって、マ
イクロ波照射により加熱することを特徴とする結晶性リ
ン酸アルミニウム水和物の合成方法。 - 【請求項2】 結晶性リン酸アルミニウム水和物の型が
A1PO4-H1、A1PO4-H2、A1PO4-H3また
はA1PO4-H4である請求項1の結晶性リン酸アルミ
ニウム水和物の合成方法。 - 【請求項3】 前記液状混合物に有機テンプレート剤が
含まれていない請求項1または2の結晶性リン酸アルミ
ニウム水和物の合成方法。 - 【請求項4】 結晶性リン酸アルミニウム水和物の型が
A1PO4-H3である場合、前記液状混合物が種結晶を
含むことを特徴とする請求項2または3の結晶性リン酸
アルミニウム水和物の合成方法。
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JP2000212261A JP4820977B2 (ja) | 2000-07-13 | 2000-07-13 | 結晶性リン酸アルミニウム水和物の合成方法 |
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