JP2001348420A - エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、多層プリント配線板 - Google Patents
エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、多層プリント配線板Info
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Abstract
性を確保し、半田耐熱性、密着性等に優れると共に、成
形物のガラス転移温度(Tg)を著しく高めることので
きるエポキシ樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 リン含有2官能フェノール化合物、エポ
キシ樹脂、硬化剤を必須成分として含有するエポキシ樹
脂組成物に関する。上記のリン含有2官能フェノール化
合物の80質量%以上のもの及び上記のエポキシ樹脂の
全部又は一部は、これらが反応して得られた予備反応エ
ポキシ樹脂として含有されている。この予備反応エポキ
シ樹脂は、上記のリン含有2官能フェノール化合物のフ
ェノール性水酸基1当量に対して、2官能エポキシ樹脂
が1.2当量以上1.9当量未満、多官能エポキシ樹脂
が0.1当量以上0.8当量未満となるようにそれぞれ
配合して反応させることによって得られたものである。
Description
どの製造に用いられるエポキシ樹脂組成物、プリプレ
グ、多層プリント配線板に関するものである。
ポキシ樹脂)は、自己消火性、機械的特性、耐湿性、電
気的特性に優れ、現在、電気絶縁材料として様々な分野
で利用されている。
のハロゲンを含む化合物(ハロゲン化合物)を含有して
難燃性を確保しているものであり、これによって成形物
に自己消火性を持たせることができるものである。とこ
ろがこのように難燃性や自己消火性があるとはいえ、こ
うした成形物が一旦火災等で燃焼してしまうと、ポリ臭
素化されたジベンゾダイオキシンやフラン等が発生する
おそれがあり、人体に多大な悪影響を及ぼすものであ
る。また特に臭素を含む化合物は、加熱時に臭素が分解
して長期的な耐熱性が悪くなるものである。このためエ
ポキシ樹脂にハロゲン化合物を添加せずに、難燃性や耐
熱性等を確保することのできる成形物の開発が要請され
ていた。
(リン化合物)を用いる難燃化が検討されている。例え
ば、リン酸エステル系の化合物であるトリフェニルホス
フェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TC
P)、クレジルジフェニルホスフェート(CDP)等の
添加型リン系難燃剤をエポキシ樹脂中に添加するもので
あり、これによって難燃性が確保されると共に、燃焼時
に有害物質が発生するおそれがなくなるものである。と
ころがこのような添加型リン系難燃剤は、エポキシ樹脂
と反応することがないために、得られた成形物の吸湿後
の半田耐熱性や耐アルカリ性等の耐薬品性が大幅に低下
するといった別の問題が新たに生ずることとなった。
1662号公報、特開平11−166035号公報、特
開平11−124489号公報等に開示されているよう
に、リン化合物として、エポキシ樹脂と反応する反応型
リン系難燃剤を用いることが提案されている。ところが
このようなリン化合物を用いると、得られた成形物の吸
湿率が、ハロゲン化合物を用いて得られた成形物よりも
大きくなると共に、成形物が堅くて脆くなり、吸湿後の
半田耐熱性が悪化するものであった。また、ビスフェノ
ールA型エポキシ樹脂のような一般的なエポキシ樹脂を
用いた場合は、得られる成形物のガラス転移温度(T
g)が低くなり耐熱性が低下するものであり、しかも、
このような成形物で製造されたプリント配線板や多層プ
リント配線板においては、基材同士や、基材と金属箔と
の密着性は低くなるものである。
られてきたが、近年、廃棄された電気・電子製品からこ
の鉛が自然環境へ流出し深刻な問題が生じており、その
対応策として、鉛を含まない半田いわゆる鉛フリー半田
の利用が開始されている。今後は鉛フリー半田の利用は
増加するものと考えられるが、この鉛フリー半田の処理
温度は、従来の鉛を含む半田の処理温度よりも約10〜
15℃高いものであるため、特に優れた半田耐熱性が要
求されるものである。
平11−335085号において、2官能エポキシ樹脂
とリン含有2官能フェノール化合物とを反応させ、ハロ
ゲン化合物を含有することなく難燃性を確保し、半田耐
熱性等の諸特性と、高いガラス転移温度(Tg)との両
立を図る方法を見出した。しかし実際にはこの方法で
は、ある程度までしかガラス転移温度(Tg)を高める
ことができないことが新たに判明したものである。
みてなされたものであり、燃焼しても有害物質を発生す
ることなく難燃性を確保し、半田耐熱性、密着性等に優
れると共に、成形物のガラス転移温度(Tg)を著しく
高めることのできるエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、
多層プリント配線板を提供することを目的とするもので
ある。
エポキシ樹脂組成物は、1分子内にエポキシ樹脂と反応
性を有する平均1.8個以上3個未満のフェノール性水
酸基を有し且つ平均0.8個以上のリン原子を有するリ
ン含有2官能フェノール化合物、エポキシ樹脂、硬化剤
を必須成分として含有するエポキシ樹脂組成物におい
て、上記のリン含有2官能フェノール化合物の80質量
%以上のもの及び上記のエポキシ樹脂の全部又は一部
は、これらが反応して得られた予備反応エポキシ樹脂と
して含有されていると共に、この予備反応エポキシ樹脂
は、上記のリン含有2官能フェノール化合物のフェノー
ル性水酸基1当量に対して、平均1.8個以上2.6個
未満のエポキシ基を有する2官能エポキシ樹脂が1.2
当量以上1.9当量未満、平均2.8個以上6個未満の
エポキシ基を有する多官能エポキシ樹脂が0.1当量以
上0.8当量未満となるようにそれぞれ配合して反応さ
せることによって得られたものであることを特徴とする
ものである。
て、多官能エポキシ樹脂のうち、平均3個以上5個未満
のエポキシ基を有するものが軟化温度90℃以下のフェ
ノールノボラック型エポキシ樹脂であることを特徴とす
るものである。
て、多官能エポキシ樹脂のうち、平均3個以上5個未満
のエポキシ基を有するものが軟化温度90℃以下のクレ
ゾールノボラック型エポキシ樹脂であることを特徴とす
るものである。
て、多官能エポキシ樹脂が下記の式(A)で表されるジ
シクロペンタジエン含有フェノールノボラック型エポキ
シ樹脂であることを特徴とするものである。
て、多官能エポキシ樹脂が平均2.8個以上3.8個未
満のエポキシ基を有するものであることを特徴とするも
のである。
て、多官能エポキシ樹脂が下記の式(B)で表される多
官能エポキシ樹脂であることを特徴とするものである。
いずれかにおいて、予備反応エポキシ樹脂のエポキシ当
量が理論値の70%以上95%以下であることを特徴と
するものである。
いずれかにおいて、リン含有2官能フェノール化合物が
下記の式(C)、(D)、(E)で表されるものから選
ばれることを特徴とするものである。
いずれかにおいて、2官能エポキシ樹脂が下記の式
(F)、(G)、(H)、(I)で表されるものから選
ばれることを特徴とするものである。
のいずれかにおいて、予備反応エポキシ樹脂として、リ
ン含有2官能フェノール化合物のフェノール性水酸基
と、2官能エポキシ樹脂のエポキシ基とを25%以上反
応させた後に、上記の残りのフェノール性水酸基と、多
官能エポキシ樹脂のエポキシ基とを反応させることによ
って得られたものを用いて成ることを特徴とするもので
ある。
は、請求項1乃至10のいずれかに記載のエポキシ樹脂
組成物を基材に含浸し半硬化して成ることを特徴とする
ものである。
ト配線板は、請求項11に記載のプリプレグを回路パタ
ーンが形成された内層用基板に積層成形して成ることを
特徴とするものである。
する。
化合物としては、1分子内にエポキシ樹脂のエポキシ基
と反応するフェノール性水酸基を、平均1.8個以上3
個未満有するものであって、平均0.8個以上のリン原
子を有するものであれば、特に制限されるものではな
い。ただし、リン含有2官能フェノール化合物におい
て、1分子内のフェノール性水酸基が平均1.8個未満
であれば、後述する2官能エポキシ樹脂と反応して線状
高分子を得ることができないものであり、逆に平均3個
以上であれば、2官能エポキシ樹脂や後述する多官能エ
ポキシ樹脂との反応でゲル化が起こり、エポキシ樹脂組
成物を安定して調製することができなくなるものであ
る。また1分子内のリン原子が平均0.8個未満であれ
ば、十分な難燃性を確保することができなくなるもので
ある。またリン原子の実質的な上限個数は平均2.5個
である。
成物中の樹脂固形分全体の0.8質量%以上3.5質量
%未満であることが好ましく、このような含有量である
とエポキシ樹脂にハロゲン化合物を添加せずに十分な難
燃性を確保することができるものである。リン原子の含
有量が0.8質量%未満であると、十分な難燃性を得る
ことができないおそれがあり、逆に3.5質量%以上で
あると、成形物が吸湿し易くなったり、耐熱性が低下し
たりするおそれがあるものである。
特に好ましいものは、式(C)、(D)、(E)で表さ
れるものであり、これらを用いると、その他のリン含有
2官能フェノール化合物を用いる場合よりも、成形物の
難燃性、耐熱性をさらに向上させることができるもので
ある。これらは1種を単独で用いたり、2種以上を混合
して用いたりすることができる。
ポキシ基を平均1.8個以上2.6個未満有するもの
(以下、2官能エポキシ樹脂という)と、1分子内にエ
ポキシ基を平均2.8個以上6個未満有するもの(以
下、多官能エポキシ樹脂という)との両方を用いるもの
であり、さらにこれら以外のエポキシ樹脂を加えること
もできる。また2官能エポキシ樹脂や多官能エポキシ樹
脂において、1分子内におけるエポキシ基の平均個数が
上記の範囲内にあれば、その他の分子構造は特に制限さ
れない。なお、2官能エポキシ樹脂において、1分子内
のエポキシ基が平均1.8個未満であれば、リン含有2
官能フェノール化合物と反応して線状高分子を得ること
ができないものであり、逆に平均2.6個以上であれ
ば、リン含有2官能フェノール化合物と反応してゲル化
が起こり易くなり、エポキシ樹脂組成物を安定して調製
することができなくなるものである。また多官能エポキ
シ樹脂において、1分子内のエポキシ基が平均2.8個
未満であれば、成形物の架橋密度が不足し、ガラス転移
温度(Tg)を高める効果を改善することができないも
のであり、逆に平均6個以上であれば、リン含有2官能
エポキシ樹脂や2官能エポキシ樹脂との反応でゲル化が
著しく起こり易くなり、エポキシ樹脂組成物を安定して
調製することができなくなるものである。
ものは、式(F)、(G)、(H)、(I)で表される
ものであり、これらを用いると、ビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂のような一般的なエポキシ樹脂を用いた場合
よりも、成形物のガラス転移温度(Tg)を高めること
ができるものである。しかもこれらは剛直性を有するた
め、高温加熱時における強度が良好となるものである。
またこのような2官能エポキシ樹脂を配合するエポキシ
樹脂組成物を用いてプリント配線板や多層プリント配線
板を製造すると、加熱時においても樹脂と金属箔と間、
樹脂とめっきとの間の接着力が低下することがなくな
り、スルーホールやバイアホールの導通信頼性を十分に
確保することができるものである。さらにこれらの2官
能エポキシ樹脂は、樹脂骨格の炭化率が高いため、リン
含有2官能フェノール化合物その他のリン化合物の添加
によって特に容易に難燃化を達成することができるもの
である。これらは1種を単独で用いたり、2種以上を混
合して用いたりすることができる。
いものは、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレ
ゾールノボラック型エポキシ樹脂であって、いずれも1
分子内にエポキシ基を平均3個以上5個未満有し、軟化
温度が90℃以下のものである。これらはいずれも反応
性が低いため、これらを用いて調製されるエポキシ樹脂
組成物の粘度は低いものとなり、基材への含浸作業等を
円滑に行うことができるものである。なお、軟化温度が
90℃を超えると、高分子量タイプの樹脂であるため
に、リン含有2官能フェノール化合物や2官能エポキシ
樹脂との反応でゲル化が著しく起こり易くなり、エポキ
シ樹脂組成物を安定して調整することができなくなるお
それがある。また軟化温度の実質的な下限は、適正なガ
ラス転移温度(Tg)を得ることができれば特にない。
いものは、式(A)で表されるジシクロペンタジエン含
有フェノールノボラック型エポキシ樹脂であり、これも
上記のフェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾー
ルノボラック型エポキシ樹脂と同様に反応性が低いもの
であるため、これを用いて調製されるエポキシ樹脂組成
物の粘度は低いものとなり、基材への含浸作業等を円滑
に行うことができるものである。しかも得られる成形物
のガラス転移温度(Tg)を著しく高めることができる
と共に、密着性を向上させたり、吸湿し難くすることが
できるものである。
いものは、1分子内にエポキシ基を平均2.8個以上
3.8個未満有するものである。これは多官能エポキシ
樹脂のうちエポキシ基の平均個数の少ないものであるた
め、リン含有2官能フェノール化合物や2官能エポキシ
樹脂と反応しても急激に分子量が増加することなく低く
抑えられて粘度が低くなり、エポキシ樹脂組成物を安定
して調製することができるものである。
いものは、式(B)で表されるものである。これも反応
性が低いものであるため、これを用いて調製されるエポ
キシ樹脂組成物の粘度は低いものとなり、基材への含浸
作業等を円滑に行うことができるものである。しかも粘
度を低く抑えつつ架橋密度を上げることができるため、
得られる成形物のガラス転移温度(Tg)を著しく高め
ることができるものである。
で用いたり、2種以上を混合して用いたりすることがで
きる。
含有2官能フェノール化合物、エポキシ樹脂(2官能エ
ポキシ樹脂及び多官能エポキシ樹脂の両方を含むも
の)、硬化剤を必須成分とするものであるが、このエポ
キシ樹脂組成物を調製するにあたっては、予め予備反応
エポキシ樹脂を調製しておくものである。この予備反応
エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂組成物の調製に用いるリ
ン含有2官能フェノール化合物の80質量%以上のもの
と、エポキシ樹脂組成物の調製に用いるエポキシ樹脂の
全部又は一部(一部の場合は、この中に2官能エポキシ
樹脂及び多官能エポキシ樹脂の両方が含まれている必要
がある)とを反応させて得られるものである。なお、こ
の予備反応エポキシ樹脂の調製にあたって、80質量%
未満のリン含有2官能フェノール化合物を用いると、未
反応のリン含有2官能フェノール化合物が多く残り、成
形物の吸湿後の半田耐熱性や耐薬品性を改善することが
できなくなるものであり、また長期絶縁信頼性等に悪影
響を及ぼす可能性がある。
化合物の大部分を反応させて予備反応エポキシ樹脂を調
製し、さらにこれを用いてエポキシ樹脂組成物を調製す
る方法は、本発明者らによって見出され、特願平11−
335085号に開示されている。この方法によれば、
従来の添加型のリン化合物による難燃化において問題と
されていた成形物の吸湿後の半田耐熱性や耐薬品性の低
下を抑えることができるものである。しかしながらこの
方法では、ある程度までしか成形物のガラス転移温度
(Tg)を高めることができないことが判明した。つま
り、この方法で予備反応エポキシ樹脂を調製するにあた
っては、2官能性を有するリン含有2官能フェノール化
合物と、同じく2官能性を有する2官能エポキシ樹脂と
を反応させることによって線状高分子を形成し、ゲル化
を避けてエポキシ樹脂組成物を調製するようにしたもの
であり、これによって成形物の密着性等が向上したが、
架橋密度が不足してガラス転移温度(Tg)をさらに高
めることができないものであった。
シ樹脂の調製に用いるエポキシ樹脂として、2官能エポ
キシ樹脂の他に、架橋密度を上げてガラス転移温度(T
g)を高める効果を得ることのできる多官能エポキシ樹
脂を用いるものである。ここで、多官能エポキシ樹脂の
配合量によっては、得られる予備反応エポキシ樹脂が高
分子量となって取扱いが困難となったり、反応が進行し
過ぎてゲル化したりしたりするおそれがある。このた
め、予備反応エポキシ樹脂の調製にあたっては、無溶媒
下あるいはメトキシプロパノール(MP)等の溶媒下に
おいて、リン含有2官能フェノール化合物のフェノール
性水酸基1当量に対して、2官能エポキシ樹脂を1.2
当量以上1.9当量未満、多官能エポキシ樹脂を0.1
当量以上0.8当量未満となるようにそれぞれ配合し、
三級アミン類やトリフェニルホスフィンを添加し加熱し
て反応させるものである。この際に、予め2官能エポキ
シ樹脂と多官能エポキシ樹脂とを分けておき、先にリン
含有2官能フェノール化合物と2官能エポキシ樹脂とを
反応させ、後で多官能エポキシ樹脂を添加して予備反応
エポキシ樹脂を調製することもできる。
合物、2官能エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂の各成
分を配合して反応させると、リン含有2官能フェノール
化合物の反応によって、吸湿後の半田耐熱性や耐薬品性
を低下させることなく難燃性が確保され、燃焼時におい
て有害物質を発生することがなくなり、また2官能エポ
キシ樹脂の反応によって、線状高分子が形成されて、強
靭性、可撓性、密着性、加熱時の応力緩和に優れた成形
物を得ることができるものであり、さらに多官能エポキ
シ樹脂の反応によって、線状高分子が架橋されて架橋密
度が増加し、成形物のガラス転移温度(Tg)を著しく
高めることができるものである。しかも、上記のように
各成分の配合量を設定しているので、予備反応エポキシ
樹脂の調製の際に急激に分子量が増大してゲル化するこ
とがなく、安定して予備反応エポキシ樹脂を得ることが
できると共に、粘度の低いエポキシ樹脂組成物を得るこ
とができて、基材への含浸作業等を円滑に行うことがで
きるものである。なお、上記の予備反応エポキシ樹脂の
調製において、配合する2官能エポキシ樹脂が1.2当
量未満であると、強靭性が無くなり、成形物の吸湿後の
半田耐熱性や耐薬品性を改善することができなくなるも
のであり、逆に1.9当量以上であると、耐熱性、ガラ
ス転移温度(Tg)等が劣るものとなる。また配合する
多官能エポキシ樹脂が0.1当量未満であると、成形物
のガラス転移温度を(Tg)を高めることができないも
のであり、逆に0.8当量以上であると、安定して予備
反応エポキシ樹脂を得ることができなくなるものであ
る。
を調製するにあたって、好ましくは、得られる予備反応
エポキシ樹脂のエポキシ当量を予め計算して理論エポキ
シ当量(理論値)を求めておき、実際にはこの理論エポ
キシ当量の70%以上95%以下のエポキシ当量を有す
るものが得られるように、反応を途中で停止させるもの
である。このようにすると、反応が完全に終了していな
いため、実際に得られる予備反応エポキシ樹脂の粘度を
低く抑えることができるものであり、また未反応のリン
含有2官能フェノール化合物は微量であるため、得られ
る成形物の諸特性に悪影響は及ばなくなるものである。
なお、反応している際の予備反応エポキシ樹脂のエポキ
シ当量の測定は公知の方法に基づいて行うことができ
る。また反応を停止させたときの予備反応エポキシ樹脂
のエポキシ当量(実測値)が理論エポキシ当量の70%
未満であると、未反応リン化合物が多くなるため、前述
したように、成形品の特性に悪影響を及ぼすおそれがあ
り、逆に95%を超えると、急激に樹脂の粘度が高くな
ったり、部分的にゲル化物が生成したりする可能性があ
るものである。
たって、好ましくは、まずリン含有2官能フェノール化
合物のフェノール性水酸基と、2官能エポキシ樹脂のエ
ポキシ基とを25%以上反応させ、次いで多官能エポキ
シ樹脂を添加して、未反応のフェノール性水酸基と、新
たに添加した多官能エポキシ樹脂のエポキシ基とを、反
応させるものである。このように反応させると、初期の
段階でリン含有2官能フェノール化合物と2官能エポキ
シ樹脂とが反応して線状高分子が形成されるため、分子
量を低く抑えることができてゲル化することを確実に防
止することができるものである。なお、反応の進行の程
度は、公知の方法に基づいてエポキシ当量を測定するこ
とによって知ることができる。またリン含有2官能フェ
ノール化合物のフェノール性水酸基と、2官能エポキシ
樹脂のエポキシ基とが25%未満しか反応していないと
きに、多官能エポキシ樹脂を添加してしまうと、初期の
段階で多官能エポキシ樹脂が反応に関与し、分子量が急
激に増大してゲル化するおそれがあるものである。
を調製するにあたっては、無溶媒下あるいはメトキシプ
ロパノール等の溶媒下において、上記の予備反応エポキ
シ樹脂、硬化剤、さらに必要に応じて、エポキシ樹脂、
硬化促進剤、改質剤、無機充填剤、その他の成分を配合
し、これをミキサー、ブレンダー等で均一に混合するこ
とによって行うことができる。
のではないが、ジシアンジアミド、芳香族アミン系、フ
ェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等
を用いるのが好ましく、これらを用いると成形物のガラ
ス転移温度(Tg)を高めることができるものである。
このような硬化剤は予備反応エポキシ樹脂を調製する際
にも用いることができる。
るものではないが、エポキシ樹脂組成物の調製時におい
ても多官能エポキシ樹脂を用いると、さらに高いガラス
転移温度(Tg)を有する成形物を得ることができて好
ましい。
ものではなく、三級アミン類やイミダゾール類を用いる
ことができる。
ではなく、ポリビニルアセタール樹脂、スチレン・ブタ
ジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチ
ルゴム、ブタジエン−アクリロニトリル共重合ゴム等の
ゴム成分を用いることができる。
ものではないが、平均粒子径が50μm以下の微細なも
のが良好であり、より好ましくは10μm以下のもので
ある。なお、平均粒子径の実質的な下限は0.1μmで
ある。また無機充填剤には、エポキシシランカップリン
グ剤やメルカプトシランカップリング剤等のカップリン
グ剤で表面処理を施しておくのが好ましい。このように
無機充填剤に表面処理を施しておくと、樹脂との接着力
をより強化することができ、しかも無機充填剤自体の特
性を改善することもできるものである。例えば、難燃効
果のある水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムのよ
うな無機充填剤は、耐薬品性の効果を十分に得ることは
できないが、表面処理を施すことによって耐薬品性を向
上させることができるものである。しかもこのような表
面処理にあたって、エポキシシランカップリング剤やメ
ルカプトシランカップリング剤を用いると、耐薬品性等
の特性を向上させることができる他に、エポキシ樹脂組
成物中における無機充填剤の二次凝集を抑制することが
できると共に、これらを均一に分散させることができる
ものである。ここで、エポキシシランカップリング剤と
しては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
やγ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン
を、またメルカプトシランカップリング剤としては、γ
−メルカプトプロピルトリメトキシシランやγ−メルカ
プトプロピルトリエトキシシランを用いることができ
る。
シ樹脂組成物を必要に応じて溶媒に溶解して希釈するこ
とによってワニスを調製することができる。このワニス
を基材に含浸し、乾燥機中で120〜190℃程度の温
度で3〜15分間程度乾燥させることによって、半硬化
状態(B−ステージ)にしたプリプレグを作製すること
ができる。ここで基材としては、ガラスクロス、ガラス
ペーパー、ガラスマット等のガラス繊維布の他、クラフ
ト紙、リンター紙、天然繊維布、有機合成繊維布等も用
いることができる。
レグは、前述した諸特性を有するエポキシ樹脂組成物を
基材に含浸し半硬化することによって作製されているた
め、これを用いると、吸湿後の半田耐熱性、耐薬品性、
強靭性、可撓性、密着性、加熱時の応力緩和に優れると
共に、ガラス転移温度(Tg)が著しく高められた積層
板(金属箔張積層板を含む)を得ることができるもので
ある。
グを所要枚数重ね、これを140〜200℃、0.98
〜4.9MPaの条件で加熱加圧して積層成形すること
によって、積層板を製造することができる。この際に、
所要枚数重ねたプリプレグの片側もしくは両側に金属箔
を重ねて積層成形することによって、プリント配線板に
加工するための金属箔張積層板を製造することができ
る。この金属箔としては、銅箔、銀箔、アルミニウム
箔、ステンレス箔等を用いることができる。
た内層用基板の片側もしくは両側に所要枚数のプリプレ
グを重ねると共に、その外側に金属箔を配置し、これを
加熱加圧して積層成形することによって、多層プリント
配線板に加工するための多層積層板を製造することがで
きる。このように多層積層板を製造する際には、プリプ
レグとの密着性を高めるために、内層用基板の回路パタ
ーンを構成する金属箔の表面を黒化処理等の化学的な処
理によって粗面化しており、このために成形時の温度は
150〜180℃の範囲に設定するのが好ましい。成形
温度が150℃未満では、プリプレグの硬化が不十分に
なって耐熱性を十分に得ることが難しく、またプリプレ
グと内層用基板の金属箔との接着力が不十分となるおそ
れがある。逆に成形温度が180℃を超えると、内層用
基板の金属箔の表面を粗面化することによって生じる凹
凸が消失し、プリプレグと内層用基板の金属箔との接着
力が不十分となるおそれがある。
ト配線板や多層プリント配線板は、前述した諸特性を有
する積層板(金属箔張積層板を含む)を用いて製造され
ているため、吸湿後の半田耐熱性、耐薬品性、強靭性、
可撓性、密着性、加熱時の応力緩和に優れると共に、ガ
ラス転移温度(Tg)が著しく高められており、導通不
良のない回路パターンを形成することができるものであ
る。しかも、難燃性を有しており、燃焼時においても有
害物質を発生することがないものであって、信頼性の高
いものを提供することができるものである。
する。
エポキシ樹脂、硬化剤、リン含有2官能フェノール化合
物、カップリング剤、無機充填剤、溶媒を順に示す。
いた。 エポキシ樹脂1:テトラメチルビフェニル型2官能エポキシ樹脂 油化シェルエポキシ(株)製「YX4000H」 式(F)で表され、n=1であるもの (エポキシ基平均2.0個、エポキシ当量195) エポキシ樹脂2:ナフタレン型2官能エポキシ樹脂 大日本インキ工業(株)製「EPICLON−HP4032」 式(I)で表されるもの (エポキシ基平均2.0個、エポキシ当量150) エポキシ樹脂3:フェノールノボラック型エポキシ樹脂 大日本インキ工業(株)製「EPICLO−N770」 (エポキシ基平均5.0個、エポキシ当量190、軟化温度約70℃) 下記の式(L)で表されるもの
シ樹脂に該当するものは、エポキシ樹脂1,2,5であ
り、多官能エポキシ樹脂に該当するものは、エポキシ樹
脂3,4,6,7である。
た。 硬化剤1:ジシアンジアミド(試薬) (分子量84、理論活性水素当量21) 硬化剤2:フェノールノボラック樹脂 群栄化学(株)製「PSM6200」(融点約80℃、
水酸基当量105) またリン含有2官能フェノール化合物は、以下の3種類
のものを用いた。 リン化合物1: 三光(株)製「HCA−HQ」(式
(C)で表されるもの) (フェノール性水酸基平均2.0個、リン含有量約9.
6質量%、水酸基当量約162) リン化合物2:三光(株)製「HCA−NQ」(式
(D)で表されるもの) (フェノール性水酸基平均2.0個、リン含有量約8.
2質量%、水酸基当量約188) リン化合物3: 北興化学(株)製「PPQ」(式
(E)で表されるもの) (ジフェニルフォスフィニルハイドロキノン) (フェノール性水酸基平均2.0個、リン含有量約1
0.1質量%、水酸基当量約155) またカップリング剤は、以下のものを用いた。 カップリング剤:エポキシシランカップリング剤(γ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン) 信越化学工業(株)製「KBM403」 また無機充填剤は、以下の3種類のものを用いた。 無機充填剤1:高純度水酸化アルミニウム 昭和電工(株)製「ハイジライドH42M」(平均粒子
径約1μm) 無機充填剤2:クレー 日本硝子繊維(株)製「マイクロカオリンクレーCX−
KS4」(平均粒子径約6μm) 無機充填剤3:無機充填剤1(100質量部)をカップ
リング剤1(約1.5質量部)で乾式によって表面処理
したもの また溶媒は、以下の3種類のものを用いた。 溶媒1:メチルエチルケトン(MEK) 溶媒2:メトキシプロパノール(MP) 溶媒3:ジメチルホルムアミド(DMF) そして、予備反応エポキシ樹脂として、以下の13種類
のものを上記のエポキシ樹脂、リン化合物等を用いて調
製した。
1(53.2質量部)、エポキシ樹脂3(17.3質量
部)、リン化合物1(29.5質量部)を130℃の溶
媒2(20質量部)中で加熱撹拌し、その後、トリフェ
ニルフォスフィンを0.2質量部添加し、約3時間加熱
撹拌を継続することにより、固形分中のエポキシ当量約
553、固形分83.33質量%、固形分中のリン含有
量約2.83質量%の予備反応エポキシ樹脂1を得た。
この樹脂の粘度は約20000cpsであった。またこ
の樹脂の理論エポキシ当量は553である。また上記の
エポキシ樹脂とリン化合物の当量比は、エポキシ樹脂
1:エポキシ樹脂3:リン化合物1=1.5:0.5:
1である。
1(50.3質量部)、エポキシ樹脂4(21.9質量
部)、リン化合物1(27.8質量部)を130℃の溶
媒2(20質量部)中で加熱撹拌し、その後、トリフェ
ニルフォスフィンを0.2質量部添加し、約3時間加熱
撹拌を継続することにより、固形分中のエポキシ当量約
582、固形分83.33質量%、固形分中のリン含有
量約2.72質量%の予備反応エポキシ樹脂2を得た。
この樹脂の粘度は約20000cpsであった。またこ
の樹脂の理論エポキシ当量は586である。また上記の
エポキシ樹脂とリン化合物の当量比は、エポキシ樹脂
1:エポキシ樹脂4:リン化合物1=1.5:0.5:
1である。
2(43.7質量部)、エポキシ樹脂4(24.8質量
部)、リン化合物1(31.5質量部)を130℃の溶
媒2(20質量部)中で加熱撹拌し、その後、トリフェ
ニルフォスフィンを0.2質量部添加し、約3時間加熱
撹拌を継続することにより、固形分中のエポキシ当量約
516、固形分83.33質量%、固形分中のリン含有
量約3.09質量%の予備反応エポキシ樹脂3を得た。
この樹脂の粘度は約25000cpsであった。またこ
の樹脂の理論エポキシ当量は515である。また上記の
エポキシ樹脂とリン化合物の当量比は、エポキシ樹脂
2:エポキシ樹脂4:リン化合物1=1.5:0.5:
1である。
5(53.6質量部)、エポキシ樹脂4(16.0質量
部)、リン化合物1(30.4質量部)を130℃の溶
媒2(20質量部)中で加熱撹拌し、その後、トリフェ
ニルフォスフィンを0.2質量部添加し、約3時間加熱
撹拌を継続することにより、固形分中のエポキシ当量約
532、固形分83.33質量%、固形分中のリン含有
量約2.98質量%の予備反応エポキシ樹脂4を得た。
この樹脂の粘度は約21000cpsであった。またこ
の樹脂の理論エポキシ当量は535である。また上記の
エポキシ樹脂とリン化合物の当量比は、エポキシ樹脂
5:エポキシ樹脂4:リン化合物1=1.5:0.5:
1である。
1(49.2質量部)、エポキシ樹脂6(23.5質量
部)、リン化合物1(27.3質量部)を130℃の溶
媒2(20質量部)中で加熱撹拌し、その後、トリフェ
ニルフォスフィンを0.2質量部添加し、約3時間加熱
撹拌を継続することにより、固形分中のエポキシ当量約
599、固形分83.33質量%、固形分中のリン含有
量約2.67質量%の予備反応エポキシ樹脂5を得た。
この樹脂の粘度は約16000cpsであった。またこ
の樹脂の理論エポキシ当量は598である。また上記の
エポキシ樹脂とリン化合物の当量比は、エポキシ樹脂
1:エポキシ樹脂6:リン化合物1=1.5:0.5:
1である。
1(54.7質量部)、エポキシ樹脂7(15.0質量
部)、リン化合物1(30.3質量部)を130℃の溶
媒2(20質量部)中で加熱撹拌し、その後、トリフェ
ニルフォスフィンを0.2質量部添加し、約3時間加熱
撹拌を継続することにより、固形分中のエポキシ当量約
538、固形分83.33質量%、固形分中のリン含有
量約2.97質量%の予備反応エポキシ樹脂6を得た。
この樹脂の粘度は約15000cpsであった。またこ
の樹脂の理論エポキシ当量は538である。また上記の
エポキシ樹脂とリン化合物の当量比は、エポキシ樹脂
1:エポキシ樹脂7:リン化合物1=1.5:0.5:
1である。
1(52.6質量部)、エポキシ樹脂4(13.6質量
部)、リン化合物2(33.8質量部)を130℃の溶
媒2(20質量部)中で加熱撹拌し、その後、トリフェ
ニルフォスフィンを0.2質量部添加し、約4時間加熱
撹拌を継続することにより、固形分中のエポキシ当量約
556、固形分83.33質量%、固形分中のリン含有
量約2.77質量%の予備反応エポキシ樹脂8を得た。
この樹脂の粘度は約23000cpsであった。またこ
の樹脂の理論エポキシ当量は558である。また上記の
エポキシ樹脂とリン化合物の当量比は、エポキシ樹脂
1:エポキシ樹脂4:リン化合物2=1.5:0.5:
1である。
1(54.9質量部)、エポキシ樹脂4(16.0質量
部)、リン化合物3(29.1質量部)を130℃の溶
媒2(20質量部)中で加熱撹拌し、その後、トリフェ
ニルフォスフィンを0.2質量部添加し、約3時間加熱
撹拌を継続することにより、固形分中のエポキシ当量約
532、固形分83.33質量%、固形分中のリン含有
量約2.94質量%の予備反応エポキシ樹脂8を得た。
この樹脂の粘度は約21000cpsであった。またこ
の樹脂の理論エポキシ当量は534である。また上記の
エポキシ樹脂とリン化合物の当量比は、エポキシ樹脂
1:エポキシ樹脂4:リン化合物3=1.5:0.5:
1である。
1(60.9質量部)、エポキシ樹脂4(9.3質量
部)、リン化合物1(29.8質量部)を130℃の溶
媒2(20質量部)中で加熱撹拌し、その後、トリフェ
ニルフォスフィンを0.2質量部添加し、約4時間加熱
撹拌を継続することにより、固形分中のエポキシ当量約
538、固形分83.33質量%、固形分中のリン含有
量約2.94質量%の予備反応エポキシ樹脂9を得た。こ
の樹脂の粘度は約11000cpsであった。またこの
樹脂の理論エポキシ当量は542である。また上記のエ
ポキシ樹脂とリン化合物の当量比は、エポキシ樹脂1:
エポキシ樹脂4:リン化合物1=1.7:0.3:1で
ある。
ポキシ樹脂2の調製時において、反応時間を2.3時間
に短縮して取り出した結果、エポキシ当量530の予備
反応エポキシ樹脂10を得た。この樹脂の粘度は約12
000cpsであった。またこの樹脂の理論エポキシ当
量は586である。また上記のエポキシ樹脂とリン化合
物の当量比は、エポキシ樹脂1:エポキシ樹脂4:リン
化合物1=1.5:0.5:1である。
シ樹脂1(50.3質量部)とリン化合物1(27.8
質量部)を130℃の溶媒2(20質量部)中で加熱撹
拌し、その後、トリフェニルフォスフィンを0.2質量
部添加し、約2時間加熱撹拌した後、エポキシ樹脂4
(21.9質量部)を投入し、約1時間加熱撹拌を継続
し、その後、冷却することにより、固形分中のエポキシ
当量約575、固形分83.33質量%、固形分中のリ
ン含有量約2.72質量%の予備反応エポキシ樹脂11
を得た。この樹脂の粘度は約14000cpsであっ
た。またこの樹脂の理論エポキシ当量は586である。
また上記のエポキシ樹脂とリン化合物の当量比は、エポ
キシ樹脂1:エポキシ樹脂4:リン化合物1=1.5:
0.5:1である。
脂1(69.0質量部)、エポキシ樹脂4(1.54質
量部)、リン化合物1(29.4質量部)を130℃の
溶媒2(20質量部)中で加熱撹拌し、その後、トリフ
ェニルフォスフィンを0.2質量部添加し、約4時間加
熱撹拌を継続することにより、固形分中のエポキシ当量
約550、固形分83.33質量%、固形分中のリン含
有量約2.88質量%の予備反応エポキシ樹脂12を得
た。この樹脂の粘度は約15000cpsであった。ま
たこの樹脂の理論エポキシ当量は550である。また上
記のエポキシ樹脂とリン化合物の当量比は、エポキシ樹
脂1:エポキシ樹脂4:リン化合物1=1.95:0.
05:1である。
脂1(37.0質量部)、エポキシ樹脂4(33.3質
量部)、リン化合物1(30.8質量部)を130℃の
溶媒2(20質量部)中で加熱撹拌し、その後、トリフ
ェニルフォスフィンを0.2質量部添加し、約3時間加
熱撹拌を継続することにより、固形分中のエポキシ当量
約532、固形分83.33質量%、固形分中のリン含
有量約3.00質量%の予備反応エポキシ樹脂13を得
た。この樹脂の粘度は約100000cpsであった。
またこの樹脂の理論エポキシ当量は527である。また
上記のエポキシ樹脂とリン化合物の当量比は、エポキシ
樹脂1:エポキシ樹脂4:リン化合物1=1:1:1で
ある。
組成物を調製するにあたっては、予備反応エポキシ樹
脂、必要に応じて、その他のエポキシ樹脂やリン化合
物、無機充填剤、硬化剤、溶媒、その他の添加剤を投入
して、特殊機化工工業社製「ホモミキサー」で約100
0rpmにて約90分間混合し、さらに硬化促進剤(例
えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール)を配合し
て再度約15分間撹拌し、その後脱気することによって
行うことができるものである。
実施例1〜16及び比較例1,2のエポキシ樹脂組成物
を得た。このようにして得られたエポキシ樹脂組成物の
25℃における粘度は、E型粘度計を用いて測定する
と、約100〜3000cpsであった。その後、得ら
れたエポキシ樹脂組成物を用いて、以下のようにしてプ
リプレグ、銅張積層板、多層積層板を製造した。なお、
表1〜表4において、予備反応樹脂とは予備反応エポキ
シ樹脂を示す。
て調製したエポキシ樹脂組成物を溶剤に溶解してワニス
とし、これをガラスクロス(日東紡(株)製「WEA7
628」、厚さ0.18mm)に含浸し、乾燥機中で1
20〜190℃の範囲で5〜10分間程度乾燥すること
によって、半硬化状態(B−ステージ)のプリプレグを
製造した。
て製造したプリプレグを4枚重ねると共に、この外側の
両面に銅箔を重ね、これを140〜180℃、0.98
〜3.9MPaの条件で加熱加圧することによって、約
0.75mmの銅張積層板を製造した。ここで加熱時間
は、プリプレグ全体が160℃以上となる時間が少なく
とも60分間以上となるように設定した。またこの際に
プレス内が133hPa以下の減圧状態となるようにし
た。こうすることによって、プリプレグの吸着水を効率
よく除去することができ、成形後に空隙(ボイド)が残
存することを防ぐことができるものである。なお、銅箔
は古河サーキットフォイル(株)製「GT」(厚さ0.
018mm)を用いた。
下電工(株)製「CR1766」、厚さ0.2mm)の
回路パターンを形成している銅箔(厚さ35μm)に、
黒化処理液(亜塩素酸ナトリウム50g/l、水酸化ナ
トリウム10g/l、リン酸三ナトリウム10g/lを
含む水溶液)を用いて、95℃で60秒間処理した後、
この内層用基板の両面にプリプレグを1枚ずつ配し、さ
らにこの外側に銅箔を重ね、上記と同様の条件で成形し
て多層積層板を製造した。
層板及び多層積層板について、下記に示す測定を行っ
た。
C6481に準じて、90度ピール試験方法により25
℃で測定した。
これを長さ125mm、幅13mmに切断し、Unde
r Writers Laboratoriessの
「Test for Flammability of
PlasticMaterials−UL94」に従
って燃焼挙動のテストを実施した。また、消炎性の差異
をみるため、着火から消炎までの平均時間を計測した。
を50mm角に切断し、100℃にて2時間煮沸して吸
水量を測定した。なお、吸水率は以下の式に基づいて算
出した。 吸水率(%)=((吸水後の質量−吸水前の質量)/吸
水前の質量)×100 (4)ガラス転移点温度(Tg) (2)と同様にして銅張積層板から銅箔を除去し、これ
を長さ30mm、幅5mmに切断し、粘弾性スペクトロ
メータ装置でtanδを測定してそのピーク温度をガラ
ス転移温度(Tg)とした。
箔を除去し、これを50mm角に切断したものを4枚準
備して、これらを100℃で、2時間、4時間、6時間
煮沸した後、265℃の半田浴に20秒間浸漬し、その
後、フクレ等の外観異常を観察した。なお、観察結果
は、フクレのないものを「○」、小さなフクレが生じた
ものを「△」、大きなフクレが生じたものを「×」とし
た。
す。
のは良好な密着性、難燃性、吸湿後の半田耐熱性を示し
ており、表4に示す比較例のものと比べて著しくガラス
転移温度(Tg)が高められていることが確認される。
ものは、密着性、難燃性、吸湿後の半田耐熱性に関して
は良好であるものの、多官能エポキシ樹脂の配合量が少
なすぎるため、ガラス転移温度(Tg)を高めることが
できず、また比較例2のものは、多官能エポキシ樹脂の
配合量が多すぎるため、エポキシ樹脂組成物の調製がで
きないことが確認される。
ポキシ樹脂組成物は、1分子内にエポキシ樹脂と反応性
を有する平均1.8個以上3個未満のフェノール性水酸
基を有し且つ平均0.8個以上のリン原子を有するリン
含有2官能フェノール化合物、エポキシ樹脂、硬化剤を
必須成分として含有するエポキシ樹脂組成物において、
上記のリン含有2官能フェノール化合物の80質量%以
上のもの及び上記のエポキシ樹脂の全部又は一部は、こ
れらが反応して得られた予備反応エポキシ樹脂として含
有されていると共に、この予備反応エポキシ樹脂は、上
記のリン含有2官能フェノール化合物のフェノール性水
酸基1当量に対して、平均1.8個以上2.6個未満の
エポキシ基を有する2官能エポキシ樹脂が1.2当量以
上1.9当量未満、平均2.8個以上6個未満のエポキ
シ基を有する多官能エポキシ樹脂が0.1当量以上0.
8当量未満となるようにそれぞれ配合して反応させるこ
とによって得られたものであるので、リン含有2官能フ
ェノール化合物の反応によって、吸湿後の半田耐熱性や
耐薬品性を低下させることなく難燃性が確保され、燃焼
時において有害物質を発生することがなくなり、また2
官能エポキシ樹脂の反応によって、線状高分子が形成さ
れて、強靭性、可撓性、密着性、加熱時の応力緩和に優
れた成形物を得ることができるものであり、さらに多官
能エポキシ樹脂の反応によって、線状高分子が架橋され
て架橋密度が増加し、成形物のガラス転移温度(Tg)
を著しく高めることができるものである。
て、多官能エポキシ樹脂のうち、平均3個以上5個未満
のエポキシ基を有するものが軟化温度90℃以下のフェ
ノールノボラック型エポキシ樹脂であるので、反応性が
低く、これを用いて調製されるエポキシ樹脂組成物の粘
度が低いものとなり、基材への含浸作業等を円滑に行う
ことができるものである。
て、多官能エポキシ樹脂のうち、平均3個以上5個未満
のエポキシ基を有するものが軟化温度90℃以下のクレ
ゾールノボラック型エポキシ樹脂であるので、反応性が
低く、これを用いて調製されるエポキシ樹脂組成物の粘
度が低いものとなり、基材への含浸作業等を円滑に行う
ことができるものである。
て、多官能エポキシ樹脂が式(A)で表されるジシクロ
ペンタジエン含有フェノールノボラック型エポキシ樹脂
であるので、反応性が低く、これを用いて調製されるエ
ポキシ樹脂組成物の粘度が低いものとなり、基材への含
浸作業等を円滑に行うことができるものである。また成
形物のガラス転移温度(Tg)を著しく高めることがで
きると共に、密着性を向上させたり、吸湿し難くするこ
ともできるものである。
て、多官能エポキシ樹脂が平均2.8個以上3.8個未
満のエポキシ基を有するものであるので、多官能エポキ
シ樹脂のうちエポキシ基の平均個数の少ないものであ
り、リン含有2官能フェノール化合物や2官能エポキシ
樹脂と反応しても急激に分子量が増加することなく、エ
ポキシ樹脂組成物を安定して調製することができるもの
である。
て、多官能エポキシ樹脂が式(B)で表される多官能エ
ポキシ樹脂であるので、エポキシ樹脂組成物の粘度が低
くなり、基材への含浸作業等を円滑に行うことができる
と共に、粘度を低く抑えつつ架橋密度を上げることがで
き、成形物のガラス転移温度(Tg)を著しく高めるこ
とができるものである。
いずれかにおいて、予備反応エポキシ樹脂のエポキシ当
量が理論値の70%以上95%以下であるので、実際に
得られる予備反応エポキシ樹脂の粘度を低く抑えること
ができるものである。
いずれかにおいて、リン含有2官能フェノール化合物が
式(C)、(D)、(E)で表されるものから選ばれる
ので、その他のリン含有2官能フェノール化合物を用い
る場合よりも、成形物の難燃性、耐熱性をさらに向上さ
せることができるものである。
いずれかにおいて、2官能エポキシ樹脂が式(F)、
(G)、(H)、(I)で表されるものから選ばれるの
で、成形物のガラス転移温度(Tg)を高めることがで
き、高温加熱時における強度が良好となると共に、樹脂
骨格の炭化率が高く、容易に難燃化を達成することがで
きるものである。
のいずれかにおいて、予備反応エポキシ樹脂として、リ
ン含有2官能フェノール化合物のフェノール性水酸基
と、2官能エポキシ樹脂のエポキシ基とを25%以上反
応させた後に、上記の残りのフェノール性水酸基と、多
官能エポキシ樹脂のエポキシ基とを反応させることによ
って得られたものを用いて成るので、初期の段階でリン
含有2官能フェノール化合物と2官能エポキシ樹脂とが
反応して線状高分子が形成されるため、分子量を低く抑
えることができ、ゲル化を確実に防止することができる
ものである。
は、請求項1乃至10のいずれかに記載のエポキシ樹脂
組成物を基材に含浸し半硬化して成るので、吸湿後の半
田耐熱性や耐薬品性を低下させることなく難燃性が確保
されており、燃焼時において有害物質を発生することが
ないものであり、また、このプリプレグを用いると、強
靭性、可撓性、密着性、加熱時の応力緩和に優れると共
に、ガラス転移温度(Tg)が著しく高められた積層板
を得ることができるものである。
ト配線板は、請求項11に記載のプリプレグを回路パタ
ーンが形成された内層用基板に積層成形して成るので、
吸湿後の半田耐熱性や耐薬品性を低下させることなく難
燃性が確保されており、燃焼時において有害物質を発生
することがないものであり、また、強靭性、可撓性、密
着性、加熱時の応力緩和に優れると共に、ガラス転移温
度(Tg)が著しく高められたものであって、加熱時に
おいても層間や内層用基板の金属箔と樹脂との接着力は
低下することがなく、スルーホールやバイアホールの導
通信頼性を十分確保することができるものである。
Claims (12)
- 【請求項1】 1分子内にエポキシ樹脂と反応性を有す
る平均1.8個以上3個未満のフェノール性水酸基を有
し且つ平均0.8個以上のリン原子を有するリン含有2
官能フェノール化合物、エポキシ樹脂、硬化剤を必須成
分として含有するエポキシ樹脂組成物において、上記の
リン含有2官能フェノール化合物の80質量%以上のも
の及び上記のエポキシ樹脂の全部又は一部は、これらが
反応して得られた予備反応エポキシ樹脂として含有され
ていると共に、この予備反応エポキシ樹脂は、上記のリ
ン含有2官能フェノール化合物のフェノール性水酸基1
当量に対して、平均1.8個以上2.6個未満のエポキ
シ基を有する2官能エポキシ樹脂が1.2当量以上1.
9当量未満、平均2.8個以上6個未満のエポキシ基を
有する多官能エポキシ樹脂が0.1当量以上0.8当量
未満となるようにそれぞれ配合して反応させることによ
って得られたものであることを特徴とするエポキシ樹脂
組成物。 - 【請求項2】 多官能エポキシ樹脂のうち、平均3個以
上5個未満のエポキシ基を有するものが軟化温度90℃
以下のフェノールノボラック型エポキシ樹脂であること
を特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。 - 【請求項3】 多官能エポキシ樹脂のうち、平均3個以
上5個未満のエポキシ基を有するものが軟化温度90℃
以下のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂であること
を特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。 - 【請求項4】 多官能エポキシ樹脂が下記の式(A)で
表されるジシクロペンタジエン含有フェノールノボラッ
ク型エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1に記
載のエポキシ樹脂組成物。 【化1】 - 【請求項5】 多官能エポキシ樹脂が平均2.8個以上
3.8個未満のエポキシ基を有するものであることを特
徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。 - 【請求項6】 多官能エポキシ樹脂が下記の式(B)で
表される多官能エポキシ樹脂であることを特徴とする請
求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。 【化2】 - 【請求項7】 予備反応エポキシ樹脂のエポキシ当量が
理論値の70%以上95%以下であることを特徴とする
請求項1乃至6のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成
物。 - 【請求項8】 リン含有2官能フェノール化合物が下記
の式(C)、(D)、(E)で表されるものから選ばれ
ることを特徴とする請求項1乃至7に記載のエポキシ樹
脂組成物。 【化3】 【化4】 【化5】 - 【請求項9】 2官能エポキシ樹脂が下記の式(F)、
(G)、(H)、(I)で表されるものから選ばれるこ
とを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のエポ
キシ樹脂組成物。 【化6】 【化7】 【化8】 【化9】 - 【請求項10】 予備反応エポキシ樹脂として、リン含
有2官能フェノール化合物のフェノール性水酸基と、2
官能エポキシ樹脂のエポキシ基とを25%以上反応させ
た後に、上記の残りのフェノール性水酸基と、多官能エ
ポキシ樹脂のエポキシ基とを反応させることによって得
られたものを用いて成ることを特徴とする請求項1乃至
9のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。 - 【請求項11】 請求項1乃至10のいずれかに記載の
エポキシ樹脂組成物を基材に含浸し半硬化して成ること
を特徴とするプリプレグ。 - 【請求項12】 請求項11に記載のプリプレグを回路
パターンが形成された内層用基板に積層成形して成るこ
とを特徴とする多層プリント配線板。
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