JP2009091391A - 難燃性エポキシ樹脂組成物並びにプリプレグ、積層板及びプリント配線板 - Google Patents
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Abstract
【課題】ノンハロゲンで難燃性を付与し、且つ、耐熱性を向上させ、厚さ方向の熱膨張係数を小さくできる金属張り積層板用エポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】実質的にハロゲンを含まないものであって、(A)3官能以上の多官能エポキシ樹脂、(B)フェノール類ノボラック樹脂、(C)芳香族縮合リン酸エステル、(D)水酸化アルミニウム、(E)アミノ基を有するシランカップリング剤を含むエポキシ樹脂組成物とする。そして、水酸化アルミニウムが(A)〜(C)の樹脂固形分100質量部に対して、50〜110質量部である。さらに、(E)アミノ基を有するシランカップリング剤が(D)水酸化アルミニウムの配合量に対して0.5〜2質量%、好ましくは、0.75〜1.5質量%とする。
【選択図】 なし
【解決手段】実質的にハロゲンを含まないものであって、(A)3官能以上の多官能エポキシ樹脂、(B)フェノール類ノボラック樹脂、(C)芳香族縮合リン酸エステル、(D)水酸化アルミニウム、(E)アミノ基を有するシランカップリング剤を含むエポキシ樹脂組成物とする。そして、水酸化アルミニウムが(A)〜(C)の樹脂固形分100質量部に対して、50〜110質量部である。さらに、(E)アミノ基を有するシランカップリング剤が(D)水酸化アルミニウムの配合量に対して0.5〜2質量%、好ましくは、0.75〜1.5質量%とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、実質的にハロゲンを含まない難燃性エポキシ樹脂組成物に関する。また、このエポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグ、積層板ないしは金属箔張り積層板、プリント配線板に関する。
電子機器を組込むプリント配線板には、燃えにくいこと、燃え広がらないことといった安全性が求められている。そこで、プリント配線板の絶縁層を構成するエポキシ樹脂に臭素化エポキシ樹脂を選択し、或いは、エポキシ樹脂の硬化剤として臭素化フェノールノボラック樹脂やテトラブロモビスフェノールA等を使用して、難燃性を付与している。
しかし、近年の環境安全意識の高まりより、ノンハロゲンで難燃性を付与するという方向に変わりつつある。そこで、難燃性付与剤として、ハロゲン化合物に代わり、リン化合物を添加することが検討されている(例えば、特許文献1)が、リン化合物で難燃性を付与させるには、多くのリン化合物を配合しなければならず、絶縁層のガラス転移温度の低下や耐熱性の低下等がおこるという問題がある。
また、上記リン化合物を使用する技術のほかに、水酸化アルミニウム等の水酸化物を配合する技術などがある。水酸化アルミニウム等の水酸化物を配合することで、燃焼時の熱分解により吸熱反応が起こり、難燃効果を発揮する。
また、上記リン化合物を使用する技術のほかに、水酸化アルミニウム等の水酸化物を配合する技術などがある。水酸化アルミニウム等の水酸化物を配合することで、燃焼時の熱分解により吸熱反応が起こり、難燃効果を発揮する。
一方、近年の環境意識の高まりより、部品実装時に使用するはんだは、鉛を含む共晶はんだ(Sn−63Pb)からSn−Ag−Cuに代表される鉛フリーはんだに変わりつつある。この鉛フリーはんだは、従来の共晶はんだと比較して融点が高く、はんだのぬれ性や接着力を確保するため、部品実装時のリフロー炉温度を高くする必要がある。このため、プリント配線板や多層プリント配線板には、これまで以上に耐熱性が要求されようになってきた。
上述したように、難燃性を付与させるため、水酸化アルミニウム等の水酸化物を配合するが、水酸化アルミニウムは比較的、熱分解温度が低いため、耐熱性に劣るという欠点がある。この対策として、粒径の大きな充填材や熱分解温度の高い水酸化マグネシウムが使用される(特許文献2)が、前者は、銅はく−樹脂の接着面積が少なくなり、配線導体を構成している銅はく引きはがし強さが低下し、後者は、耐酸性に劣るという問題がある。
また、スルーホールを有するプリント配線板や多層プリント配線板には、常態温度と高温の繰り返しの熱衝撃を受けても、スルーホールめっきの剥がれや層間の導通抵抗が増加しないように、絶縁層の膨張収縮による厚さ方向の熱膨張係数も同時に小さいことが要求される。
この対策として、熱膨張係数の小さい無機充填材を配合することは広く行われている。しかし、無機充填材を多く配合すると絶縁層の弾性率が大きくなり、配線導体を構成している銅はく引きはがし強さが低下する。
この対策として、熱膨張係数の小さい無機充填材を配合することは広く行われている。しかし、無機充填材を多く配合すると絶縁層の弾性率が大きくなり、配線導体を構成している銅はく引きはがし強さが低下する。
一方、シランカップリング剤については、充填材の分散性等の向上を目的とし、充填材の表面を改質させるために使用されていることは周知であり、代表的には、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、メルカプト基を有するシランカップリング剤などがあり、シランカップリング剤のシラノール基は、表面に水酸基を持つ素材と、特に、強い親和性及び反応性を示すため、有機物−無機物の結合に効果があることが知られている。
上述のように、絶縁層をエポキシ樹脂で構成したプリント配線板や多層プリント配線板は、ノンハロゲンで難燃性を付与できたとしても、耐熱性、銅はく引きはがし強さを維持することは容易ではない。
本発明が解決しようとする課題は、水酸化アルミニウムの配合量を制限し、ノンハロゲンで難燃性を付与し、且つ、絶縁層の厚さ方向の熱膨張係数を小さくし、さらに、耐熱性が向上できるプリプレグ、積層板ないしは金属張り積層板、プリント配線板ないしは多層プリント配線板を提供することである。本発明は、水酸化アルミニウムを使用した場合においても、特定の官能基を有するシランカップリング剤を併用することにより、耐熱性を向上することができるという新しい知見に基づくものである。
本発明が解決しようとする課題は、水酸化アルミニウムの配合量を制限し、ノンハロゲンで難燃性を付与し、且つ、絶縁層の厚さ方向の熱膨張係数を小さくし、さらに、耐熱性が向上できるプリプレグ、積層板ないしは金属張り積層板、プリント配線板ないしは多層プリント配線板を提供することである。本発明は、水酸化アルミニウムを使用した場合においても、特定の官能基を有するシランカップリング剤を併用することにより、耐熱性を向上することができるという新しい知見に基づくものである。
上記課題を達成するために、本発明に係る難燃性エポキシ樹脂組成物は、実質的にハロゲンを含まないものであって、
(A)3官能以上の多官能エポキシ樹脂
(B)フェノール類ノボラック樹脂
(C)芳香族縮合リン酸エステル
(D)水酸化アルミニウム
(E)アミノ基を有するシランカップリング剤
を含む。そして、(D)水酸化アルミニウムが(A)〜(C)の樹脂固形分100質量部に対して、50〜110質量部である。さらに、(E)アミノ基を有するシランカップリング剤が(D)水酸化アルミニウムの配合量に対して、0.5〜2質量%であることを特徴とする(請求項1)。
好ましくは、(E)アミノ基を有するシランカップリング剤のアミノ基が、ウレイド基中のアミノ基である(請求項2)。また、(E)アミノ基を有するシランカップリング剤の配合量が、(D)水酸化アルミニウムの配合量に対して、0.75〜1.5質量%である(請求項3)。
(A)3官能以上の多官能エポキシ樹脂
(B)フェノール類ノボラック樹脂
(C)芳香族縮合リン酸エステル
(D)水酸化アルミニウム
(E)アミノ基を有するシランカップリング剤
を含む。そして、(D)水酸化アルミニウムが(A)〜(C)の樹脂固形分100質量部に対して、50〜110質量部である。さらに、(E)アミノ基を有するシランカップリング剤が(D)水酸化アルミニウムの配合量に対して、0.5〜2質量%であることを特徴とする(請求項1)。
好ましくは、(E)アミノ基を有するシランカップリング剤のアミノ基が、ウレイド基中のアミノ基である(請求項2)。また、(E)アミノ基を有するシランカップリング剤の配合量が、(D)水酸化アルミニウムの配合量に対して、0.75〜1.5質量%である(請求項3)。
本発明に係るプリプレグは、上記難燃性エポキシ樹脂組成物をガラス繊維基材に含浸し乾燥してなるものである(請求項4)。
本発明に係る積層板は、上記プリプレグをプリプレグ層の一部ないし全部の層として、これを加熱加圧成形してなるものである(請求項5)。
本発明に係る金属箔張り積層板は、上記積層板の少なくとも片面に金属箔が一体化されているものである(請求項6)。
本発明に係るプリント配線板は、上記プリプレグの層を加熱加圧成形してなる絶縁層を備えたものである(請求項7)。
本発明に係る積層板は、上記プリプレグをプリプレグ層の一部ないし全部の層として、これを加熱加圧成形してなるものである(請求項5)。
本発明に係る金属箔張り積層板は、上記積層板の少なくとも片面に金属箔が一体化されているものである(請求項6)。
本発明に係るプリント配線板は、上記プリプレグの層を加熱加圧成形してなる絶縁層を備えたものである(請求項7)。
本発明に係る難燃性エポキシ樹脂組成物は、3官能以上の多官能エポキシ樹脂を主剤とし、フェノール類ノボラック樹脂を硬化剤とする。エポキシ樹脂および硬化剤の反応架橋点を増やすことにより、ガラス転移温度が充分に高いエポキシ樹脂硬化物を得ることができる。
また、難燃性を付与するため、リン化合物として芳香族縮合リン酸エステルを使用する。さらに、水酸化アルミニウムは、樹脂固形分100質量部に対して、50〜110質量部とする。水酸化アルミニウムの配合量が50質量部より少ないと難燃性を充分に発揮することができず、また、絶縁層の厚み方向の熱膨張係数が大きくなり、110質量部を超えると、絶縁層の弾性率が高くなり、銅はく引きはがし強さが低下する。
さらに、耐熱性を向上させるため、アミノ基を有するシランカップリング剤は、水酸化アルミニウムの配合量に対し、0.5〜2質量%、好ましくは、0.75〜1.5質量%とする。0.5質量%より少ないと、水酸化アルミニウム表面を、充分にシランカップリング剤で被覆できないため、耐熱性向上の効果が小さい。また、2質量%を超えると、水酸化アルミニウムの配合量に対して過剰となり、余剰なシランカップリング剤のアミノ基がエポキシ樹脂と反応し、エポキシ樹脂−硬化剤の反応を阻害するため、絶縁層自体の耐熱性が悪化し、はんだ耐熱性が劣ることになる。
また、シランカップリング剤の反応基は、無機物に対してほとんど選択性はないが、有機物に対して、はっきりとした選択性があり、エポキシ樹脂組成物中に配合されるシランカップリング剤は、有機物と反応する側の末端基の選択が重要である。特に、アミノ基を有する(−NH2)ことで、エポキシ樹脂組成物中の未反応のエポキシ基とシランカップリング剤のアミノ基の窒素原子で、電子求核置換反応し、接着性が高まる。更に、ウレイド基(−NHCONH2)には、多くの窒素原子が含まれているため、より一層の接着性が高まることになる。但し、エポキシ樹脂とフェノール類ノボラック樹脂との反応を阻害しない様に、配合量を制約する必要がある。
このように、本発明に係るエポキシ樹脂組成物を用いることにより、ノンハロゲンで充分な難燃性を確保でき、且つ、耐熱性及び絶縁層の厚さ方向の熱膨張係数が小さいプリント配線板を提供できる。
本発明に係る難燃性エポキシ樹脂組成物において、3官能以上の多官能エポキシ樹脂は、3官能エポキシ樹脂、4官能エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等であり、特に制約するものではない。また、これらを単独あるいは2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノール類ノボラック樹脂は、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂等であり、特に制約するものではない。また、これらを単独あるいは2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノール類ノボラック樹脂は、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂等であり、特に制約するものではない。また、これらを単独あるいは2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
難燃性を付与するためのリン化合物として、本発明では、芳香族縮合リン酸エステルを使用する。本発明での芳香族縮合リン酸エステルとは、芳香族環を含むリン酸エステルの遊離水酸基がエステル化縮合されたものをいい、代表的なものとして、『PX−200』、『CR−733』(いずれも大八化学工業製)がある。また、これらを単独あるいは2種類以上を組み合わせて用いてもよい。ここで、樹脂固形分中のリン含有量は1〜2質量%の範囲となる量で配合することが好ましい。
水酸化アルミニウムは、特に、粒径、形状を制約するものではないが、粒径が小さくなると、充填材の表面積が小さくなるため、熱分解温度が低くなり、粒径が大きくなると、銅はく−樹脂の接着に影響を及ぼすため、配合には考慮する必要がある。但し、水酸化アルミニウム配合量は、樹脂固形分100質量部に対して50〜110質量部となる量で配合する。
また、アミノ基を有するシランカップリン剤とは、3−ウレイドプロピルトリエトシキシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等があり、特に制約するものではない。これらを単独あるいは2種類以上組み合わせてもよい。但し、耐熱性向上のため、水酸化アルミニウムの配合量に対して、0.5〜2質量%の量で配合する。さらに、耐熱性を向上させるため、好ましくは、0.75〜1.5質量%とする。
本発明に係るプリプレグ、積層板ならびにプリント配線板は、次のようにして製造できる。
プリプレグは、ガラス繊維基材(織布や不織布)に上記エポキシ樹脂組成物のワニスを含浸し加熱乾燥して、エポキシ樹脂の硬化を半硬化状態まで進める。
積層板は、上記プリプレグをプリプレグ層の一部ないし全部の層として使用し、これを加熱加圧成形して製造する。この場合、所定厚みの金属箔(例えば銅箔)をプリプレグ層の片面又は両面に載置して加熱加圧成形することにより、金属箔張り積層板とすることができる。
プリント配線板は、上記プリプレグの層を加熱加圧成形した絶縁層を備えるものである。例えば、上記金属箔張り積層板の金属箔をエッチング加工して回路形成をしたプリント配線板、さらには、このプリント配線板の片面又は両面にプリプレグを介して金属箔を載置して加熱加圧成形により一体化し、表面の金属箔をエッチング加工して回路形成をした多層構造のプリント配線板等である。
プリプレグは、ガラス繊維基材(織布や不織布)に上記エポキシ樹脂組成物のワニスを含浸し加熱乾燥して、エポキシ樹脂の硬化を半硬化状態まで進める。
積層板は、上記プリプレグをプリプレグ層の一部ないし全部の層として使用し、これを加熱加圧成形して製造する。この場合、所定厚みの金属箔(例えば銅箔)をプリプレグ層の片面又は両面に載置して加熱加圧成形することにより、金属箔張り積層板とすることができる。
プリント配線板は、上記プリプレグの層を加熱加圧成形した絶縁層を備えるものである。例えば、上記金属箔張り積層板の金属箔をエッチング加工して回路形成をしたプリント配線板、さらには、このプリント配線板の片面又は両面にプリプレグを介して金属箔を載置して加熱加圧成形により一体化し、表面の金属箔をエッチング加工して回路形成をした多層構造のプリント配線板等である。
以下、本発明に係る実施例を説明する。
実施例1〜4、比較例1〜3
ガラス繊維織布(「#7628」旭シュエーベル製,厚さ:180μm,質量:209g/m2)に含浸する難燃性エポキシ樹脂組成物として、以下を準備した。
3官能エポキシ樹脂(「E1032B80」ジャパンエポキシレジン製)、フェノールノボラック樹脂(「TD2090」大日本インキ化学工業製)、芳香族縮合リン酸エステル(「PX−200」大八化学製)、硬化促進剤として、2−エチル−4−メチルイミダゾール(「キュアゾール2E4MZ」四国化成製)をメチルエチルケトンに溶解し、エポキシ樹脂ワニスを調整した。
実施例1〜4、比較例1〜3
ガラス繊維織布(「#7628」旭シュエーベル製,厚さ:180μm,質量:209g/m2)に含浸する難燃性エポキシ樹脂組成物として、以下を準備した。
3官能エポキシ樹脂(「E1032B80」ジャパンエポキシレジン製)、フェノールノボラック樹脂(「TD2090」大日本インキ化学工業製)、芳香族縮合リン酸エステル(「PX−200」大八化学製)、硬化促進剤として、2−エチル−4−メチルイミダゾール(「キュアゾール2E4MZ」四国化成製)をメチルエチルケトンに溶解し、エポキシ樹脂ワニスを調整した。
次に、このエポキシ樹脂ワニスの一部と、水酸化アルミニウム(「HS−330」昭和電工製)、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン(「Z−6676」東レ・ダウコーニングシリコーン製、表中では『ウレイドシラン』と記載)を表1の配合量で、ハイビスディスパーで混練後、残りのエポキシ樹脂ワニスと配合した。尚、この時のエポキシ樹脂ワニスの樹脂固形分中のリン含有率は1.5質量%となるよう調整した。最終的なエポキシ樹脂組成物の割合は表1に示す。
上記エポキシ樹脂ワニスをガラス繊維織布に含浸し、130℃で30分間乾燥して、プリプレグを得た。樹脂の含有量は、46質量%である。このプリプレグを8枚重ね、その両面に35μmの銅はくを配置し、温度190℃、圧力3.9MPaの条件で、90分間加熱加圧成形し、厚み1.6mmの銅張り積層板を得た。
実施例5〜9、比較例3〜5
実施例2において、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン配合量を表2に示した量となるように調整したエポキシ樹脂ワニスを使用する以外は、実施例2と同様にして銅張り積層板を得た。
実施例2において、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン配合量を表2に示した量となるように調整したエポキシ樹脂ワニスを使用する以外は、実施例2と同様にして銅張り積層板を得た。
実施例10〜14
実施例2において、シランカップリング剤として、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランの代わりに、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(「Z−6610」、東レ・ダウコーニングシリコーン製、表中では『アミノシラン』と記載)を使用し、表3に示した量となるように調整したエポキシ樹脂ワニスを使用する以外は、実施例2と同様にして銅張り積層板を得た。
実施例2において、シランカップリング剤として、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランの代わりに、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(「Z−6610」、東レ・ダウコーニングシリコーン製、表中では『アミノシラン』と記載)を使用し、表3に示した量となるように調整したエポキシ樹脂ワニスを使用する以外は、実施例2と同様にして銅張り積層板を得た。
比較例6〜7
実施例2において、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランの代わりに、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(「Z−6040」、東レ・ダウコーニングシリコーン製、表中では『エポキシシラン』と記載)及びビニルトリエトキシシラン(「Z−6519」東レ・ダウコーニングシリコーン製、表中では『ビニルシラン』と記載)をそれぞれ使用する以外は、実施例2と同様にして銅張り積層板を得た。
実施例2において、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランの代わりに、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(「Z−6040」、東レ・ダウコーニングシリコーン製、表中では『エポキシシラン』と記載)及びビニルトリエトキシシラン(「Z−6519」東レ・ダウコーニングシリコーン製、表中では『ビニルシラン』と記載)をそれぞれ使用する以外は、実施例2と同様にして銅張り積層板を得た。
上記の各実施例と比較例における銅張り積層板について、難燃性、銅はく引きはがし強さ、はんだ耐熱性、熱膨張係数を評価した結果を表1〜4に示した。表中に示した各特性は、次のようにして評価した。
難燃性:銅はくを全面エッチングにより除去した積層板について、UL−94試験方法に基づき残炎時間(秒)を測定し、“”“V−0”、“V−1”の判定を行った。
銅はく引きはがし強さ:JIS C6481に準拠し、測定した。
はんだ耐熱性:銅張り積層板を25×25mmのサイズにカットした試料を、温度260℃及び288℃のはんだ槽に浮かべて、ふくれが発生するまでの時間を測定した。尚、秒数に関しては、切捨てとした。
熱膨張係数:銅はくを全面エッチングにより除去した積層板の厚み方向について、Dupont TMA 2940型(TAインスツルメンツ製)を使用して、室温〜260℃まで、速度10℃/分の昇温を2サイクル繰り返した。そして、2サイクル目の30〜80℃までの温度に対する膨張量を熱膨張係数(ppm/℃)とし、試料数n=3の平均値で示した。
難燃性:銅はくを全面エッチングにより除去した積層板について、UL−94試験方法に基づき残炎時間(秒)を測定し、“”“V−0”、“V−1”の判定を行った。
銅はく引きはがし強さ:JIS C6481に準拠し、測定した。
はんだ耐熱性:銅張り積層板を25×25mmのサイズにカットした試料を、温度260℃及び288℃のはんだ槽に浮かべて、ふくれが発生するまでの時間を測定した。尚、秒数に関しては、切捨てとした。
熱膨張係数:銅はくを全面エッチングにより除去した積層板の厚み方向について、Dupont TMA 2940型(TAインスツルメンツ製)を使用して、室温〜260℃まで、速度10℃/分の昇温を2サイクル繰り返した。そして、2サイクル目の30〜80℃までの温度に対する膨張量を熱膨張係数(ppm/℃)とし、試料数n=3の平均値で示した。
実施例1〜4と比較例1〜2の対照から、水酸化アルミニウムを、樹脂固形分100質量部に対して50〜110質量部とすることにより、難燃性が確保でき、かつ、銅はく引きはがし強さ、はんだ耐熱性、熱膨張係数が良好であることが理解できる。比較例1は水酸化アルミニウムの配合量が少ないために難燃性、熱膨張係数が不充分であり、比較例2は水酸化アルミニウムの配合量が多いために銅はく引きはがし強さが低下している。
実施例5〜9と比較例3〜5の対照から、水酸化アルミニウムに対するウレイド基を有するシランカップリング剤の配合量が0.5〜2質量%で、はんだ耐熱性が良好であることが理解できる。また、水酸化アルミニウムに対するウレイド基を有するシランカップリング剤の配合量が0.75〜1.5質量%で、はんだ耐熱性が更に良好であることが理解できる。比較例3では、ウレイド基を有するシランカップリング剤の配合量が少ないために、はんだ耐熱性が低下し、比較例4ではウレイド基を有するシランカップリング剤の配合量が多すぎるために、はんだ耐熱性が低下している。
実施例5〜9と実施例10〜14及び比較例3の対照から、アミノ基を有するシランカップリング剤を配合することにより、はんだ耐熱性が向上することが理解できる。また、ウレイド基を有するシランカップリング剤を配合することにより、更にはんだ耐熱が向上することが理解できる。
また、実施例2、実施例12、比較例6、7の対照から、アミノ基を有するシランカップリング剤を配合することにより始めて、はんだ耐熱性の向上に効果があることが理解できる。
Claims (7)
- 実質的にハロゲンを含まない難燃性エポキシ樹脂組成物であって、
(A)3官能以上の多官能エポキシ樹脂
(B)フェノール類ノボラック樹脂
(C)芳香族縮合リン酸エステル
(D)水酸化アルミニウム
(E)アミノ基を有するシランカップリング剤
を含み、(D)水酸化アルミニウムが(A)〜(C)の樹脂固形分100質量部に対して、50〜110質量部であり、且つ、(E)アミノ基を有するシランカップリング剤が(D)水酸化アルミニウムの配合量に対して、0.5〜2質量%であることを特徴とする難燃性エポキシ樹脂組成物。 - (E)アミノ基を有するシランカップリング剤のアミノ基が、ウレイド基中のアミノ基であることを特徴とする請求項1記載の難燃性エポキシ樹脂組成物。
- (E)アミノ基を有するシランカップリング剤の配合量が、(D)水酸化アルミニウムの配合量に対して、0.75〜1.5質量%であることを特徴とする請求項1又は2記載の難燃性エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性エポキシ樹脂組成物をガラス繊維基材に含浸し乾燥してなることを特徴とするプリプレグ。
- 請求項4記載のプリプレグの層を一部ないし全部の層として、これを加熱加圧成形してなることを特徴とする積層板。
- 請求項5記載の積層板の少なくとも片面に金属箔が一体化されている金属箔張り積層板。
- 請求項4記載のプリプレグの層を加熱加圧成形してなる絶縁層を備えたことを特徴とするプリント配線板。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011094005A (ja) * | 2009-10-29 | 2011-05-12 | Shin Kobe Electric Mach Co Ltd | エポキシ樹脂組成物の製造法、並びにプリプレグの製造法、積層板及び配線板の製造法 |
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2007
- 2007-10-04 JP JP2007260561A patent/JP2009091391A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011094005A (ja) * | 2009-10-29 | 2011-05-12 | Shin Kobe Electric Mach Co Ltd | エポキシ樹脂組成物の製造法、並びにプリプレグの製造法、積層板及び配線板の製造法 |
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