JP2001308375A - 発光素子および発光素子アレイ - Google Patents

発光素子および発光素子アレイ

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emitting element
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Shunsuke Otsuka
俊介 大塚
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Abstract

(57)【要約】 【課題】発光サイリスタアレイでは、サイリスタ機能を
優先しなければならないため、pnpn4層構造の条件
が発光出力を最大とする条件とは必ずしも一致しない。
また、pnpn構造内部で発光した光が外部に出射する
までに、光吸収や光散乱などの影響を受けやすく、外部
光出射効率が悪い。 【解決手段】pnpnpn6層半導体構造の発光素子を
構成し、両端のp型第1層とn型第6層、および中央の
p型第3層およびn型第4層に電極を設ける。pn層に
発光ダイオード機能を担わせ、pnpn4層にサイリス
タ機能を担わせる。この素子を半導体基板上に複数形成
し1次元もしくは2次元配列して発光素子アレイを構成
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気的スイッチ素
子を集積した発光素子および発光素子アレイに関する。
【0002】
【従来の技術】多数個の発光素子を同一基板上に集積し
た発光素子アレイは、その駆動用ICと組み合わせて光
プリンタ等の書き込み用光源として利用されている。発
光素子の1例として、発光ダイオード(LED)が挙げ
られる。通常、1次元に配列したLEDアレイが使用さ
れるが、外部駆動用ICから画像信号に対応した信号を
アレイ内の各々のLEDへ供給するため、LEDアレイ
チップ内にLEDと同一数のボンディングパッドを形成
する必要がある。解像度600dpiの場合、LEDの
配列ピッチは42.3μmであり、ボンディングパッド
(BP)の配列方向の一辺の長さを80μmとするとB
Pの配列ピッチは80μm以上となり、LED配列方向
と平行方向に最低2列のBP配列が必要になる。
【0003】このため、LEDアレイチップの面積が必
然的に大きくなりコスト低減化に限界が見えていた。ま
た、A3対応の600dpiプリントヘッドを作製する
場合、1次元配列した発光点の数は7000個以上にな
るが、これと同一数のワイヤーボンディング(WB)が
外部駆動ICと接続するために必要となり、WB工程へ
の負荷が極めて高くなる。また、印刷画像の品質を高め
るためには、より解像度の高い発光素子アレイが必要と
なるが、BP数の増加すなわちチップ面積の増大による
LEDアレイのコストアップや、WB数の増大による更
なるWB工程への負荷増など、コスト面あるいは技術面
から見て商品化可能なプリントヘッドの作製は容易では
ない。
【0004】以上のようなLEDアレイに関する課題を
解決するため、本出願人は発光素子アレイの構成要素と
してサイリスタ機能を有する発光素子、すなわちpnp
n構造をもつ発光サイリスタに注目し、これをアレイ化
することにより、光プリンタ用光源として実装上簡便と
なること、発光素子チップ面積を小さくできること、発
光素子ピッチを細かくできること、コンパクトな発光装
置を作製できること等を示した(特開平3−19497
8号公報)。
【0005】図7に、この発光サイリスタアレイの構成
図、図8にその等価回路図を示す。p型半導体基板上
に、p型半導体層24,n型半導体層23,p型半導体
層22およびn型半導体層21よりなるpnpn構造の
発光サイリスタT1-1、T1-2、T2-1・・・が形成され
ている。これらの発光サイリスタは2素子ごとにグルー
プ化され、各グループの発光サイリスタのゲート電極g
1-1,g2-1・・・はゲート選択線G1に、g1-2、g2-2
・・・はG2にそれぞれ接続される。各グループの発光
サイリスタのカソード電極k1-1,k1-2,k2-1・・・
は、各グループの共通電極K1,K2,K3・・・にそ
れぞれ抵抗RKを介して接続される。ここで例えば、K
2電極だけを基板(アノード電極A)に比べて低電位に
保ち、ゲート選択線G1を低電位に設定するとT2-1
子だけが発光する。
【0006】グループ化する発光サイリスタの素子数は
3以上であってもよいが、それに対応してゲート選択線
数は増加させる必要がある。グループ化素子数が多いほ
ど共通電極数は減少するが、ゲート選択線数は増加する
ので、グループ化素子数は適当に選択して素子設計を行
う必要がある。アレイを構成する素子数が多くなるほ
ど、各素子に給電用配線を行う通常のLEDアレイに比
べて必要配線数を減少させることができる。なお、上記
の例はp型基板を使用し、アノードを共通接続している
が、n型基板を使用し、カソードを共通接続する構成も
同様に実現できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記の構成はサイリス
タ機能を基本としており、発光機能はサイリスタ機能に
付随した機能として扱われていた。すなわち、サイリス
タ機能を発現させるためにpnpn4層構造の不純物濃
度や膜厚が決定され、サイリスタがオンした時に発生す
る光を利用するものである。サイリスタ機能を優先しな
ければならないため、pnpn4層構造の不純物濃度や
膜厚が発光出力を最大とする条件とは必ずしも一致しな
い。また、発光領域が中心2層のpn層である場合が多
いため、pnpn深層内部で発光した光が外部に出射す
るまでに、光吸収や光散乱などの影響を受けやすく、そ
の結果外部光出力効率が悪いなどの課題があった。
【0008】本発明の目的は、上記発光サイリスタアレ
イの利点を維持しつつ、発光機能はpn接合発光ダイオ
ードに担わせることにより、光出力を増大させる新たな
構造の素子を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の発光素子はpn
pnpn6層半導体構造をもち、両端のp型第1層とn
型第6層、および中央のp型第3層の表面、およびn型
第4層のp型第5層に接する側の表面にそれぞれ電極を
備えている。
【0010】この素子をp型半導体基板上に前記p型第
1層からn型第6層までを順に積層することによって複
数形成し、1次元もしくは2次元配列して発光素子アレ
イを構成できる。p型とn型は反転させることもでき
る。
【0011】さらに発光素子をm個(mは2以上の整
数)毎にブロック化し、各ブロック内のk個の発光素子
のp型第3層に設けた電極をそれぞれ独立なm本のゲー
ト選択線と接続し、かつ各ブロック内のm個の発光素子
のn型第6層に設けた電極を共通に接続して発光素子ア
レイを構成できる。
【0012】本発明の他の態様として、絶縁性半導体基
板上にpnpn構造3端子サイリスタとpn構造発光ダ
イオードを同数、1次元もしくは2次元配列し、それぞ
れ一対をなす前記サイリスタのカソードと前記発光ダイ
オードのアノード、もしくは前記サイリスタのアノード
と前記発光ダイオードのカソードをそれぞれ電気的に接
続することによっても発光素子アレイを構成できる。
【0013】また前記のように1対をなすサイリスタと
発光ダイオードをm組(mは2以上の整数)毎にブロッ
ク化し、各ブロック内のm個のサイリスタのゲート電極
をそれぞれ独立なm本のゲート選択線と接続し、かつ各
ブロック内のm個のサイリスタの発光ダイオードと接続
されていないアノードまたはカソード電極を共通に接続
することによっても発光素子アレイを構成できる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面を参
照して説明する。図1に本実施例の発光素子構造を示
す。n形基板(図1(a))またはp形基板(図1
(b))を使うことで、基板上のpnpnpn層の並び
が変わるが、どちらでもサイリスタ機能を有する発光素
子を作製することが可能である。最上部のp++層8,
9が発光機能を担うダイオード部40であり、その下部
のpnpn層が素子のスイッチング機能を担うサイリス
タ部30である。
【0015】以下では、p形基板を用いた実際の実験結
果をもとに説明する。まず、p形基板上にMOCVD法
を用いてpnpnpnエピタキシャル層を形成する。形
成した素子層構造を図2に、各層の特性値を表1に示し
た。なお、図1では基板1からアノード層4までの同一
導電型の層は一体として示してある。
【0016】つぎにp型第3層6の表面をエッチングに
より露出させ、p型オーミック電極を形成してサイリス
タ部30のゲート電極36とする。さらにn型第4層7
の表面をエッチングにより露出させ、n型オーミック電
極を設ける。この電極32はサイリスタ部30のカソー
ド電極であるとともに発光ダイオード部40のアノード
電極としての機能を兼ねる。最表面のn型第6層9にも
n型オーミック電極を設け、発光ダイオード部40のカ
ソード電極42とする。基板裏面または基板上のp型第
1層1〜4にp型オーミック電極を形成しサイリスタ部
30のアノード電極35とする。
【0017】従来は、基板1からカソード層7まででサ
イリスタを形成し、pゲート層6とnゲート層5で発生
した波長780nmの光を光出力として利用していた。
本発明では、pダイオード層8とnダイオード層9を新
たに加えることで、サイリスタ上に発光ダイオード機能
を付加させている。この構成では、発光ダイオードにお
ける光出力波長を780nmとなるように設定してある
ため、サイリスタでの発光も併せて光出力として利用で
きる。このような基板をパターニングすることで4端子
発光素子を形成した。
【0018】
【表1】
【0019】つぎに素子の動作について説明する。図3
に示すようにサイリスタ部30のカソードに相当する電
極32と発光ダイオード部40のカソード電極42はそ
れぞれ抵抗RL、Rを介して電源100に接続し、基板
34(サイリスタ部30のアノードに相当)に対して負
の電位を与える。サイリスタ部30のpゲート電極36
にpn接合の拡散電位より十分、絶対値の大きい負電位
を与えると、サイリスタがオンする。サイリスタがオン
状態になると、サイリスタ部30の内部抵抗は非常に小
さくなりカソード層38がほぼ基板電位となって、電圧
は発光ダイオード部40に印加されるようになる。発光
ダイオードのしきい電圧以上の電圧が印加されると、自
然に発光ダイオードもオン(発光)状態となるため、主
たる電流経路は発光ダイオード層からサイリスタ層まで
の半導体層内となる。
【0020】サイリスタ特性を発現させるpnpn層
は、従来と同様の組成なので、同等のサイリスタ特性を
確認することができた。一方、本発明による構造で発光
部のパターニング形状を同一にして、光出力を比較する
と、従来構造では注入電流10mAのとき、光出力は約
90μWであったのに対して、本発明の素子では同一電
流に対して約120μWと30%以上光量が増加してい
ることを確認した。これは、基板表面側に発光効率の大
きなダイオード層を設けたことによる。
【0021】このpnpnpn構造素子F1-1,F1-2
2-1,…を複数配列して図4に示すような結線を行う
ことにより、図7に示したサイリスタアレイと同様な機
能をもち、発光光量が増加した発光素子アレイを実現で
きる。破線で囲まれた部分が1つのグループを示してい
る。図5はその等価回路図である。
【0022】本実施例では、MOCVD法によるエピタ
キシャル層を利用したが、高キャリア濃度のダイオード
層を形成するために、拡散法を併用することでも可能で
ある。拡散法を併用することで、工程は増加するが、エ
ピタキシャル膜よりも高濃度の層を形成できるので、光
出力の更なる向上の点では有利である。また、発光ダイ
オード部をダブルへテロ構造として、電子および正孔の
閉じこめ効率を向上させることで、光出力の更なる向上
を実現できる。
【0023】さらに、主たる発光機能を発光ダイオード
に担わすため、サイリスタ部は発光にとらわれずにサイ
リスタ機能を重視した設計ができるようになるので、安
定したスイッチング動作を有する動作範囲の広い発光サ
イリスタアレイを作製できる。
【0024】なお、本発明のpnpnpn構造素子は図
5に示すように機能的にはpnpn構造サイリスタT
1-1,T1-2,T2-1,…とpn構造発光ダイオード
1-1,L1- 2,L2-1,…を直列接続したものと考えら
れる。したがって両者を積層せず別々に形成してもよ
い。アレイ化することを考慮すると、両素子を同一基板
上に形成する必要がある。サイリスタと発光ダイオード
のアノード同士、カソード同士は電気的に分離されてい
なければならないので、基板としては半絶縁性GaAs
基板を用いる必要がある。この基板上にpnpnの4層
をエピタキシャル成長し、発光ダイオード部はサイリス
タの基板側2層を利用する。
【0025】素子構造を図6に示す。基板70が半絶縁
性であるので、サイリスタ50と発光ダイオード60の
基板70に接する側の層から電極52,62を取り出す
必要がある。この素子では、サイリスタ50と発光ダイ
オード60が物理的に分離されるため、発光時にサイリ
スタ部と発光ダイオード部の異なる2点が光る。本素子
を光書き込みなどに利用する場合、これは望ましくない
ので、サイリスタのアノード(またはカソード)に接続
する抵抗を動作に支障のない範囲でできるだけ大きくし
て電流を減らしサイリスタ部の発光を抑えるか、もしく
はサイリスタ部を覆う遮光膜を設ける必要がある。
【0026】このように上記pnpnpn構造素子に比
べると難点もあるが、少ない層数で構成できるのが利点
である。表1にも示すようにサイリスタの下2層はキャ
リア濃度を高く設定できるので、発光ダイオードを構成
するには適している。本素子によっても図5の結線でア
レイ化が実現できる。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、pnpnpn6層構造
の発光素子を構成し、うち、基板表面側のpn2層を発
光ダイオードとして利用し、残りのpnpn4層構造を
サイリスタとして利用する。これによりpn2層は発光
ダイオードとしての機能が十分に発揮でき、光出力を増
大させることが可能となった。またサイリスタ部はスイ
ッチング素子として最適化できるため、本素子を複数配
列した発光素子アレイを形成しても安定な動作が可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の発光素子の構造を示す図である。
【図2】 本発明の発光素子の層構造の例を示す図であ
る。
【図3】 本発明の発光素子の結線図である。
【図4】 本発明の発光素子を用いたアレイの構成を示
す図である。
【図5】 本発明の発光素子を用いたアレイの等価回路
図である。
【図6】 本発明の発光素子の他の構造を示す図であ
る。
【図7】 従来の発光サイリスタアレイの構成を示す図
である。
【図8】 従来の発光サイリスタアレイの等価回路図で
ある。
【符号の説明】
21.23 n型半導体層 22、24 p型半導体層 30 サイリスタ部 32、36、42、52,62 電極 34 半導体基板 38 サイリスタのカソード層 40 発光ダイオード 50 サイリスタ 60 発光ダイオード 70 半絶縁性半導体基板 100 電源

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1の導電型半導体基板上に第1の導電型
    第1層、第2の導電型第2層、第1の導電型第3層、第
    2の導電型第4層、第1の導電型第5層、第2の導電型
    第6層を順に積層し、前記基板または第1層の外表面、
    および第3層表面、第4層の第5層と接する側の表面、
    第6層外表面にそれぞれ電極を設けた発光素子。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の発光素子を複数個、前記
    基板上に1次元もしくは2次元配列した発光素子アレ
    イ。
  3. 【請求項3】発光素子をm個(mは2以上の整数)毎に
    ブロック化し、各ブロック内のm個の発光素子の第1の
    導電型第3層に設けた電極をそれぞれ独立なm本のゲー
    ト選択線と接続し、かつ各ブロック内のm個の発光素子
    の第2の導電型第6層に設けた電極を共通に接続したこ
    とを特徴とする請求項2に記載の発光素子アレイ。
  4. 【請求項4】半絶縁性半導体基板上にpnpn構造3端
    子サイリスタとpn構造発光ダイオードを同数、1次元
    もしくは2次元配列し、前記各サイリスタのカソードと
    対応する前記発光ダイオードのアノード、もしくは前記
    各サイリスタのアノードと対応する前記発光ダイオード
    のカソードをそれぞれ電気的に接続したことを特徴とす
    る発光素子アレイ。
  5. 【請求項5】前記電気的に接続したサイリスタと発光ダ
    イオードをm組(mは2以上の整数)毎にブロック化
    し、各ブロック内のm個のサイリスタのゲート電極をそ
    れぞれ独立なm本のゲート選択線と接続し、かつ各ブロ
    ック内のm個のサイリスタの発光ダイオードと接続され
    ていないアノードまたはカソード電極を共通に接続した
    ことを特徴とする請求項3に記載の発光素子アレイ。
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