JP2001308328A - 絶縁ゲート型半導体装置 - Google Patents

絶縁ゲート型半導体装置

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年生 村田
Masayasu Ishiko
雅康 石子
Kimimori Hamada
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オン電圧を低くすると共に寄生サイリスタな
どの作動を抑制する。 【解決手段】 トレンチIGBTとして構成された絶縁
ゲート型半導体装置20のボディ領域30とエミッタ領
域32との接合部分のボディ領域30内にトレンチゲー
ト28とは接触しないようボディ領域30より不純物濃
度が高いp型半導体により高濃度領域34を形成する。
高濃度領域34は、ターンオフ時には素子内に溜まるキ
ャリアをエミッタ領域32に流すから寄生サイリスタが
オン動作するのを防止することができる。また、ボディ
領域30は、不純物濃度が低いp型半導体により形成さ
れているから、トレンチゲート28に印加される電圧が
低くてもチャネルを形成することができる。この結果、
オン電圧を低くすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、絶縁ゲート型半導
体装置に関し、詳しくは、絶縁ゲートを備える絶縁ゲー
ト型半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の絶縁ゲート型半導体装置
としては、素子表面のエミッタ領域間の一部にエミッタ
領域と異なる導電型で不純物濃度が高いコンタクト領域
を備えるものが提案されている。この従来例の絶縁ゲー
ト型半導体装置120の構成の概略を図9に示す。従来
例の絶縁ゲート型半導体装置120は、図示するよう
に、トレンチIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジ
スタ Insulated Gate Bipolar Transistor)として構成
されており、不純物濃度の低いn型半導体により形成さ
れたエピタキシャル層126と、不純物濃度が低いp型
半導体により形成されたボディ領域130と、不純物濃
度の高いn型半導体により形成されたエミッタ領域13
2と、不純物濃度が高いp型半導体によりエミッタ領域
132の中央に形成されたpコンタクト領域136とを
備え、トレンチゲート128に電圧を印加することによ
りエピタキシャル層126とエミッタ領域132とを連
絡するチャネルがボディ領域130に形成される。
【0003】従来例の絶縁ゲート型半導体装置120に
おけるpコンタクト領域136は、ターンオフ時に素子
内部に溜まった多くのキャリアが素子内部に存在する寄
生サイリスタを動作させるのを防止するために設けられ
ている。即ち、素子内部に溜まったホールをpコンタク
ト領域136を介してエミッタ電極に流すことによっ
て、キャリアによる寄生サイリスタの動作を防止してい
るのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、こうし
た従来例の絶縁ゲート型半導体装置120では、素子表
面にpコンタクト領域136を形成するから、素子表面
のエミッタ領域132の面積を小さくし、エミッタ電極
とのコンタクト抵抗を増加させてしまう。pコンタクト
領域136を形成する必要から素子の表面積に対して制
約を受け、素子の微細化を妨げてしまう。
【0005】本発明の絶縁ゲート型半導体装置は、オン
電圧を低くすると共に寄生サイリスタなどの作動を抑制
することを目的の一つとする。また、本発明の絶縁ゲー
ト型半導体装置は、オン電圧を低くすると共に高破壊耐
量を確保することを目的の一つとする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】本
発明の絶縁ゲート型半導体装置は、上述の目的の少なく
とも一部を達成するために以下の手段を採った。
【0007】本発明の絶縁ゲート型半導体装置は、絶縁
ゲートを備える絶縁ゲート型半導体装置であって、前記
絶縁ゲートに接して形成された二つの一導電型の半導体
領域と、他導電型の半導体により前記二つの一導電型の
半導体領域間に前記絶縁ゲートに接して形成され、該絶
縁ゲートへの電圧の印加に伴って該二つの一導電型の半
導体領域間にチャネルを形成するボディ領域と、該ボデ
ィ領域より不純物濃度が高い他導電型の半導体により該
ボディ領域と前記二つの一導電型の半導体領域の一方と
の接合部分に前記絶縁ゲートに接しないよう形成された
高濃度領域とを備えることを要旨とする。
【0008】この本発明の絶縁ゲート型半導体装置で
は、ボディ領域と二つの一導電型の半導体領域の一方と
の接合部分に絶縁ゲートに接しないよう不純物濃度の高
い高濃度領域を形成することにより、ボディ領域を不純
物濃度の低い半導体領域としてもボディ領域に生じる抵
抗分布を緩和すると共に高破壊耐量を確保することがで
きる。この結果、半導体装置のオン電圧を低くすること
ができると共に寄生サイリスタ等のオン動作を抑制する
ことができる。
【0009】こうした本発明の絶縁ゲート型半導体装置
において、前記二つの一導電型の半導体領域の一方はエ
ミッタ領域であり、前記高濃度領域は前記ボディ領域と
エミッタ領域との接合部分に形成されてなるものとする
こともできる。
【0010】また、本発明の絶縁ゲート型半導体装置に
おいて、一導電型の半導体により前記高濃度領域内に他
の領域と接触しないよう形成されたフローティング領域
を備えるものとすることもできる。高濃度領域と異なる
導電型の半導体でフローティング領域はターンオフ時に
ボディ領域のキャリアを再結合により消滅させるから、
ラッチアップを防ぐことができる。
【0011】さらに、本発明の絶縁ゲート型半導体装置
において、前記絶縁ゲートは、半導体基板に溝として形
成されたトレンチゲートであるものとすることもでき
る。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を実施
例を用いて説明する。図1は、本発明の一実施例である
絶縁ゲート型半導体装置20の構成の概略を示す構成図
である。実施例の絶縁ゲート型半導体装置20は、トレ
ンチIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ Ins
ulated Gate Bipolar Transistor)として構成されてお
り、図示するように、不純物濃度が高いp型半導体によ
り形成された基板22と不純物濃度が高いn型半導体に
より基板22の上に層状に形成されたバッファ層24と
不純物濃度が低いn型半導体によりバッファ層24の上
に形成されたエピタキシャル層26とからなる半導体基
板21と、不純物濃度が低いp型半導体により半導体基
板21の上に形成されたボディ領域30と、このボディ
領域30を貫通してエピタキシャル層26に至るよう形
成されたトレンチゲート28と、不純物濃度の多いn型
半導体によりボディ領域30の上にトレンチゲート28
に接するよう形成されたエミッタ領域32と、不純物濃
度が高いp型半導体によりボディ領域30とエミッタ領
域32との接合部分のボディ領域30内にトレンチゲー
ト28とは接触しないよう形成された高濃度領域34と
を備える。
【0013】実施例の絶縁ゲート型半導体装置20にお
けるボディ領域30は、不純物濃度が低いp型半導体に
より形成されているから、トレンチゲート28に印加さ
れる電圧が低くてもチャネルを形成することができる。
この結果、オン電圧を低くすることができる。ボディ領
域30内に形成された高濃度領域34は、ターンオフ時
には素子内に溜まるキャリアをエミッタ領域32に流す
から寄生サイリスタがオン動作するのを防止し、高破壊
耐量を確保する。
【0014】以上説明した実施例の絶縁ゲート型半導体
装置20によれば、ボディ領域30とエミッタ領域32
との接合部分のボディ領域30内にトレンチゲート28
とは接触しないよう不純物濃度が高いp型半導体の領
域、即ち高濃度領域34を形成することにより、オン電
圧を低く保ったまま寄生サイリスタのオン動作を防止す
ることができる。したがって、高破壊耐量の半導体装置
とすることができる。
【0015】実施例の絶縁ゲート型半導体装置20で
は、高濃度領域34をボディ領域30とエミッタ領域3
2との接合部分に形成したが、図2の変形例の絶縁ゲー
ト型半導体装置20Bに示すように、素子表面から深さ
方向に複数の高濃度領域34,35,35Bを形成する
ものとしてもよい。この場合でも、一番上の高濃度領域
34は、ボディ領域30とエミッタ領域32の接合部分
に形成すればよい。
【0016】実施例の絶縁ゲート型半導体装置20で
は、エミッタ領域32をトレンチゲート28に沿って形
成すると共にボディ領域30が素子表面に至るように形
成したが、図3の変形例の絶縁ゲート型半導体装置20
Cに示すように、素子表面をエミッタ領域32Cが覆う
ように形成してもよい。この場合、p領域の電位は奥行
き方向で取ればよい。
【0017】また、実施例の絶縁ゲート型半導体装置2
0では、従来例の絶縁ゲート型半導体装置120におけ
るpコンタクト領域136を備えないものとしたが、図
4の変形例の絶縁ゲート型半導体装置20Dに示すよう
に、pコンタクト領域36Dを備えるものとしてもよ
い。
【0018】実施例の絶縁ゲート型半導体装置20で
は、トレンチIGBTとして構成したが、他の絶縁ゲー
ト型半導体素子に適用することもできる。例えば、図5
の変形例の絶縁ゲート型半導体装置20Eに示すよう
に、パワーMOSに適用したり、図6や図7の変形例の
絶縁ゲート型半導体装置20F,20Gに示すように、
MOSゲートサイリスタに適用するものとしてもよい。
この場合、図7の変形例の絶縁ゲート型半導体装置20
Gに示すように、二つのp型領域に各々高濃度領域34
Gを形成するものとしてもよい。
【0019】次に、本発明の第2の実施例としての絶縁
ゲート型半導体装置20Hについて説明する。図8は、
第2実施例の絶縁ゲート型半導体装置20Hの構成の概
略を示す構成図である。第2実施例の絶縁ゲート型半導
体装置20Hは、図示するように、高濃度領域34Hの
内部にn型半導体により形成されたフローティング領域
36Hが形成されている点を除いて第1実施例の絶縁ゲ
ート型半導体装置20と同一の構成をしている。したが
って、第2実施例の絶縁ゲート型半導体装置20Hの構
成のうち第1実施例の絶縁ゲート型半導体装置20の構
成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明
は省略する。
【0020】第2実施例の絶縁ゲート型半導体装置20
Hは、不純物濃度の高いp型半導体によりボディ領域3
0とエミッタ領域32との接合部分のボディ領域30内
に形成された高濃度領域34Hの内部に、n型半導体に
より他の領域と接触しないようフローティング領域36
Hが形成されている。このフローティング領域36H
は、ターンオフ時に高濃度領域34Hのホール電流を再
結合により消滅させる。この結果、ラッチアップを防ぐ
ことができる。
【0021】以上説明した第2実施例の絶縁ゲート型半
導体装置20Hによれば、ボディ領域30とエミッタ領
域32との接合部分のボディ領域30内にトレンチゲー
ト28とは接触しないよう不純物濃度が高いp型半導体
により高濃度領域34Hを形成すると共にこの高濃度領
域34Hの内部にn型半導体により他の領域と接触しな
いようフローティング領域36Hを形成することによ
り、ラッチアップを防ぐことができる。
【0022】第2実施例の絶縁ゲート型半導体装置20
Hも第1実施例の絶縁ゲート型半導体装置20と同様に
トレンチIGBTとして構成したが、他の絶縁ゲート型
半導体素子、例えば、図5の変形例の絶縁ゲート型半導
体装置20Eに示すように、パワーMOSに適用した
り、図6や図7の変形例の絶縁ゲート型半導体装置20
F,20Gに示すように、MOSゲートサイリスタに適
用するものとしてもよい。これらの場合、各素子の高濃
度領域の内部にフローティング領域36Hを形成すれば
よい。
【0023】第1実施例の絶縁ゲート型半導体装置20
や第2実施例の絶縁ゲート型半導体装置20H,変形例
の絶縁ゲート型半導体装置20B,20C,20D,2
0E,20F,20Gでは、いずれもトレンチゲートを
備えるものとしたが、プレート型、即ち絶縁ゲートが素
子の表面に形成されるタイプの素子にも適用することが
できる。
【0024】以上、本発明の実施の形態について実施例
を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限
定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲
内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である絶縁ゲート型半導体
装置20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】 変形例の絶縁ゲート型半導体装置20Bの構
成の概略を示す構成図である。
【図3】 変形例の絶縁ゲート型半導体装置20Cの構
成の概略を示す構成図である。
【図4】 変形例の絶縁ゲート型半導体装置20Dの構
成の概略を示す構成図である。
【図5】 変形例の絶縁ゲート型半導体装置20Eの構
成の概略を示す構成図である。
【図6】 変形例の絶縁ゲート型半導体装置20Fの構
成の概略を示す構成図である。
【図7】 変形例の絶縁ゲート型半導体装置20Gの構
成の概略を示す構成図である。
【図8】 第2実施例の絶縁ゲート型半導体装置20H
の構成の概略を示す構成図である。
【図9】 従来例の絶縁ゲート型半導体装置120の構
成の概略を示す構成図である。
【符号の説明】
20,20B〜20H,120 絶縁ゲート型半導体装
置、21 半導体基板、22 基板、24 バッファ
層、26 エピタキシャル層、28 トレンチゲート、
30 ボディ領域、32,32C エミッタ領域、3
4,34G,34H,35,35B 高濃度領域、36
D pコンタクト領域、36H フローティング領域。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村田 年生 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 石子 雅康 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 濱田 公守 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁ゲートを備える絶縁ゲート型半導体
    装置であって、 前記絶縁ゲートに接して形成された二つの一導電型の半
    導体領域と、 他導電型の半導体により前記二つの一導電型の半導体領
    域間に前記絶縁ゲートに接して形成され、該絶縁ゲート
    への電圧の印加に伴って該二つの一導電型の半導体領域
    間にチャネルを形成するボディ領域と、 該ボディ領域より不純物濃度が高い他導電型の半導体に
    より該ボディ領域と前記二つの一導電型の半導体領域の
    一方との接合部分に前記絶縁ゲートに接しないよう形成
    された高濃度領域とを備える絶縁ゲート型半導体装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の絶縁ゲート型半導体装置
    であって、 前記二つの一導電型の半導体領域の一方は、エミッタ領
    域であり、 前記高濃度領域は、前記ボディ領域とエミッタ領域との
    接合部分に形成されてなる絶縁ゲート型半導体装置。
  3. 【請求項3】 一導電型の半導体により前記高濃度領域
    内に他の領域と接触しないよう形成されたフローティン
    グ領域を備える請求項1または2記載の絶縁ゲート型半
    導体装置。
  4. 【請求項4】 前記絶縁ゲートは、半導体基板に溝とし
    て形成されたトレンチゲートである請求項1ないし3い
    ずれか記載の絶縁ゲート型半導体装置。
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