JP2004363477A - 絶縁ゲート型半導体装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】IGBTのターンオフ時に蓄積キャリアを迅速に排出することが困難であつた。
【解決手段】IGBTの複数のセルのための共通のエミッタ電極4を設ける。複数のセルのゲ−ト電極6を相互に接続するためのゲ−ト相互接続部分7aをエミッタ電極4を囲むように配置する。ゲ−ト相互接続部分7aをゲ−ト外部接続部分7bに接続する。蓄積キャリアを引き抜くためのP型補助半導体領域13を、半導体基板1内に複数のセルの集まりを囲ように設ける。補助半導体領域13の上に金属から成る第1の補助導体8aを設ける。第1の補助導体とエミッタ電極4との間を第1及び第2の絶縁層15、16間に配置された第2の補助導体8bで接続する。第2の補助導体8bをゲ−ト電極6と同一の不純物を含むシリコン多結晶で形成する。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はIGBT、FET等の絶縁ゲ−ト型半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平6−69509号公報
【特許文献2】特開昭58−25264号公報
IGBT即ち絶縁ゲ−ト型バイポ−ラトランジスタは例えば前記特許文献1等で公知である。また、複数のセルを含む絶縁ゲ−ト型電界効果トランジスタの電極パターンは前記特許文献2等で公知である。
【0003】
本件出願人は、周知のIGBTの原理に従って、図1及び図2に示す構造のIGBTを作成した。このIGBTは、図1で点線で示す複数の微小トランジスタ又は最小活性素子領域とも呼ばれるセルQを有する。なお、図1には図示を簡単にするために複数のセルの一部のみが示されている。更に詳細に説明すると、IGBTは、一方の主面2と他方の主面3とを有する半導体基板1と、エミッタ電極4と、コレクタ電極5と、ゲ−ト電極6と、ゲ−ト接続導体7と、補助導体8とを有する。半導体基板1は、N型ドリフト領域9a及びN型バッファ領域9bを含むN型半導体領域9と、P型ベ−ス領域10と、N型のエミッタ領域11と、P型コレクタ領域12と、第1及び第2の補助半導体領域13a,13bから成るP型補助半導体領域13と、FLR即ちフィ−ルドグリミッテイングリング14とを備えている。
【0004】
基板1の一方の主面2上に第1の絶縁層15が配置され、この第1の絶縁層15のゲ−ト絶縁膜部分15aの上にゲ−ト電極6の第1の部分6aが配置されている。第1の絶縁層15の保護膜部分15bの上にゲ−ト電極6の第2の部分6bが配置されている。
【0005】
第1の絶縁層15の上に配置された第2の絶縁層16の上に、エミッタ電極4、ゲ−ト接続導体7、及び補助導体8が配置されている。第1及び第2の部分6a、6bから成るゲ−ト電極6は第1及び第2の絶縁層15、16の間に配置されている。
【0006】
金属層から成るゲ−ト接続導体7は、複数のセルのゲ−ト電極6を相互に接続するためのゲ−ト相互接続部分7aと、このゲ−ト相互接続部分7aを介してゲ−ト電極6を外部回路に接続するためのゲ−ト外部接続部分7bとから成る。図1の平面図から明らかなように、ゲ−ト相互接続部分7aは、一般にゲ−トバスラインと呼ばれている部分であって、分断領域21を除いてエミッタ電極4を環状に囲む第1の部分7a1と、エミッタ電極4を2分するために第1の部分7a1の対向する2つの辺を結ぶ第2の部分7a2とから成る。ゲ−ト相互接続部分7aは第2の絶縁層17の開口19を介してゲ−ト電極6の第2の部分6bに接続されている。ゲ−ト外部接続部分7bは、一般にゲ−トパッドと呼ばれている部分であり、ワイヤ(図示せず)を接続することができるようにゲ−ト相互接続部分7aよりも十分に広い幅に形成されている。ゲ−ト外部接続部分7bから各セルQのゲ−ト電極6の第1の部分6aまでの距離は互いに異なるが、金属層から成るゲ−ト相互接続部分7aがゲ−ト外部接続部分7bと略同電位となり、各セルのオン・オフ動作のバラツキが少なくなる。
【0007】
2つに分断されたエミッタ電極4はエミッタパッドとして機能するように大面積に形成され、第1及び第2の絶縁層15、16の開口18を通して各セルQのベ−ス領域10及びエミッタ領域11に接続されている。従って、各セルQのベ−ス領域10及びエミッタ領域11はエミッタ電極4によって相互に接続されている。なお、ゲ−ト相互接続部分7aの第2の部分7a2で分断されたエミッタ電極4の一方の半分と他方の半分との両方がエミッタパッドとして機能し、ここに接続されるワイヤ(図示せず)によって電気的に相互接続され、1つのエミッタ電極として機能する。
【0008】
補助半導体領域13は第1及び第2の補助半導体領域13a,13bから成る。第1の補助半導体領域13aは、ベ−ス領域10よりも深く形成され、IGBTのオン期間にP型コレクタ領域12からN型バッファ領域9b及びN型ドリフト領域9aに注入された少数キャリアがIGBTのタ−ンオフ時にN型バッファ領域9b及びN型ドリフト領域9aに長い時間蓄積することを防ぐために設けられている。即ち、P型の補助半導体領域13はタ−ンオフ時に蓄積キャリアを引き抜いてタ−ンオフ時間を短くする機能を有する。この目的を達成するために、第1の絶縁層15の保護膜部分15bと第2及び第3の絶縁層16、17に形成された開口20を介して補助導体8がP型の第2の補助半導体領域13bに接続されている。また、補助導体8は、エミッタ電極4及びゲ−ト電極7を囲むように環状に形成され、ゲ−ト相互接続部分7aの分断領域21の中の連結部分22のみでエミッタ電極4に電気的に接続されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、補助導体8とエミッタ電極4とが1つの連結部分22のみで接続されていると、補助導体8の各部の位置と連結部分22との距離に大幅なバラツキが生じ、連結部分22から遠い領域の蓄積キャリアの排出時間が長くなり、キャリアの排出に偏りが生じる。この結果としてスイッチング速度を十分に高めることができなかった。
また、図2のIBGTからP型コレクタ領域12を省いた構成の絶縁ゲ−ト型電界効果トランジスタにおいては、P型補助半導体領域13がP型ベ−ス領域10と同様に寄生ダイオ−ドとして機能し、順方向電圧降下の低減効果等が得られる。しかし、補助導体8が連結部分22のみを介してソースとして機能する電極4に対して図1に示すように接続されていると、寄生ダイオ−ドの効果にバラツキが生じる。
IGBT,FETにおける上記問題を解決するために環状のゲ−ト相互接続部分7aに複数の分断箇所を設け、ソース又はエミッタ電極4と補助導体8との連結部分を増やすことが考えられる。しかし、もし、この様な構造にすると、ゲ−ト相互接続部分7aの複数の分断箇所を電気的に接続する導体を追加して設けることが必要になり、構成が複雑になるばかりでなく、コストの上昇を招く。
【0010】
そこで、本発明の目的は、補助半導体領域の効果を容易に高めることができる絶縁ゲ−ト型半導体装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し、上記目的を達成するための本発明は、複数の絶縁ゲート型半導体素子のセルを含む絶縁ゲート型半導体装置であって、
半導体基板と第1及び第2の主電極(例えばエミッタ電極4とコレクタ電極5)とゲート電極とゲート接続導体と第1の補助導体と複数の第2の補助導体と前記半導体基板の一方の主面上に順次に配置された第1及び第2の絶縁層とを有し、
前記半導体基板は、この一方の主面に一部が露出するように配置され且つ第1導電型を有している第1の半導体領域(例えばドリフト領域9a及びバッファ領域9b)と、前記セルを形成するために前記第1の半導体領域の中に島状に配置され且つ第2導電型を有している第2の半導体領域(例えばベース領域10)と、前記セルを形成するために前記第2の半導体領域の中に島状に配置され且つ第1導電型を有している第3の半導体領域(例えばエミッタ領域11)と、前記第2の半導体領域よりも外側において前記第1の半導体領域の中に島状に配置され且つ第2導電型を有している補助半導体領域(例えば第1及び第2の補助半導体領域13a,13b)とを備え、
前記第2の半導体領域はチャネル形成部分を有し、
前記第1の主電極は前記第2の絶縁層の上に配置され且つ前記複数のセルの前記第2及び第3の半導体領域にそれぞれ接続され、
前記第2の主電極は前記半導体基板の他方の主面に配置され且つ前記第1の半導体領域に直接に又は別な半導体領域を介して接続され、
前記ゲート電極は前記第1の絶縁層の上に配置され且つ前記チャネル形成部分に対向する第1の部分とこの第1の部分を前記ゲート接続導体に接続するための第2の部分とを有し、
前記ゲート接続導体は、前記第2の絶縁層の上に配置され且つ平面的に見て前記複数のセルの外側に配置され且つ前記複数のセルの前記ゲート電極を相互に接続するために前記ゲート電極の前記第2の部分に接続されたゲート相互接続部分と、このゲート相互接続部分を外部に接続するためのゲート外部接続部分とを有し、
前記ゲート相互接続部分は前記第1の主電極よりも外側に配置され且つ前記第2の絶縁層の開口を介して前記ゲート電極の前記第2の部分に接続され、
前記第1の補助導体は前記半導体基板の一方の主面側において前記ゲート相互接続部分よりも外側に配置され且つ前記補助半導体領域に接続され、
前記複数の第2の補助導体のそれぞれは前記第1及び第2の絶縁層の間に配置され且つ前記第1の主電極及び前記第1の補助導体にそれぞれ接続されていることを特徴とする絶縁ゲート型半導体装置に係わるものである。
【0012】
なお、請求項2に示すように、前記半導体基板は、更に、前記第1の半導体領域と前記半導体基板の他方の主面との間に第2導電型の第4の半導体領域(例えばコレクタ領域12)を有し、前記第2の主電極が前記第4の半導体領域に接続されていることが望ましい。
また、請求項3に示すように、前記半導体基板の他方の主面に前記第1及び第4の半導体領域(例えばコレクタ領域12)の両方が露出し、前記第2の主電極が前記第第1及び4の半導体領域に接続されている構成とすることができる。
また、請求項4に示すように、前記第4の半導体領域(例えばコレクタ領域)を、前記第1の半導体領域の中に突出している第1の部分(12a)と、前記第1の部分及び前記第1の半導体領域に隣接配置され且つ前記第2の主電極に接続されている第2の部分(12b)とを有している構成にすることができる。
また、請求項5に示すように、前記第1の半導体領域は、前記半導体基板の一方の主面側に配置されたドリフト領域(9a)と、前記ドリフト領域と前記第4の半導体領域との間に配置され且つ前記ドリフト領域よりも高い不純物濃度を有しているバッファ領域(9b)とから成ることが望ましい。
また、請求項6に示すように、前記補助半導体領域は、不純物濃度が比較的低い第1の補助半導体領域(13a)と前記第1の補助半導体領域の中に島状に配置され且つ前記第1の補助半導体領域よりも高い不純物濃度を有している第2の補助半導体領域(13b)とから成り、前記第1の補助導体(8a)は前記第2の補助半導体領域に接続されていることが望ましい。
また、請求項7に示すように、前記第2の補助導体(8b)は、前記ゲート電極(6)と同一の材料で形成されていることが望ましい。
また、請求項8に示すように、前記第1の補助導体は、前記第2の絶縁層の上において前記第1の主電極に接続されている連結部分(22)を有していることが望ましい。
また、請求項9に示すように、前記第1の主電極と前記ゲート接続導体と前記第1の補助導体とが金属、好ましくは同一の金属で形成され、前記ゲート電極と前記第2の補助導体が導電性を有する多結晶シリコンで形成されていることが望ましい。
【0013】
【発明の効果】
各請求項の発明によれば、次の効果が得られる。
(1) 複数の第2の補助導体(8b)が第1の主電極(例えばエミッタ電極4)と第1の補助導体(8a)との間を電気的を接続する。これにより、第1の補助導体と第1の主電極との接続箇所が多くなり、第1の主電極の電位に対する第1の補助導体の各部の電位のバラツキが小さくなり、補助半導体領域の効果を良好に得ることができる。
(2) 第2の補助導体(8b)は、ゲ−ト電極と同様に第1及び第2の絶縁層の間に配置されるので、容易に形成することができる。
また、請求項2〜4の発明によれば、IGBTが構成され、タ−ンオフ時の蓄積キャリアの排出を迅速に行うことが可能になる。
また、請求項5の発明によれば、第1の半導体領域のバッファ領域によって空乏層の広がりの抑制、及び少数キャリアの注入の抑制を達成することができる。
また、請求項7の発明によれば、第2の補助導体をゲ−ト電極と同時に形成するので、コストの低減を図ることができる。
また、請求項8の発明によれば、連結部分と第2の補助導体との両方で第1の補助導体と第1の主電極との間が接続されているので、補助半導体領域の効果を更に高めることができる。
また、請求項9の発明によれば、第1の主電極とゲート接続導体と第1の補助導体とを金属で容易かつ低抵抗に形成し、且つゲート電極と第2の補助導体とを導電性を有する多結晶シリコンで容易に形成できる。
【0014】
【発明の実施形態】
次に、図3〜図8を参照して本発明の実施形態に従う絶縁ゲート型半導体装置を説明する。
【0015】
【第1の実施形態】
図3〜図6に示す第1の実施形態の絶縁ゲート型半導体装置としてのIGBTは、図1及び図2の補助導体8の代りに第1及び第2の補助導体8a、8bを設け、この他は図1及び図2と同一に構成したものである。従って、図3〜図6において図1及び図2と実質的に同一の部分には同一の符号が付されている。
即ち、図3〜図6に示す第1の実施形態のIGBTは、図1及び図2と同様に、図3で点線で示す複数の微小トランジスタ又は最小活性素子領域とも呼ばれるセルQを有する。なお、図3には図示を簡単にするために複数のセルの一部のみが示されている。また、図3〜図6のIGBTは、図1及び図2と同様に、一方の主面2と他方の主面3とを有するシリコン半導体基板1と、第1の主電極としてのエミッタ電極4と、第2の主電極としてのコレクタ電極5と、ゲ−ト電極6と、ゲ−ト接続導体7と、第1の補助導体8aとを有する他に、新たに第2の補助導体8bを有する。図3〜図6の第1の補助導体8aは図1及び図2の補助導体8に相当するものである。
図4の半導体基板1は、N型ドリフト領域9a及びN型バッファ領域9bを含む第1の半導体領域としてのN型半導体領域9と、第2の半導体領域としてのP型ベ−ス領域10と、第3の半導体領域としてのN型のエミッタ領域11と、第4の半導体領域としてのP型コレクタ領域12と、Pウェルとも呼ぶことができる第1及び第2の補助半導体領域13a,13bから成る補助半導体領域13と、FLR即ちフィ−ルドリミッテイングリング14とを備えている。
N型ドリフト領域9aは半導体基板1の一方の主面2に一部が露出するように配置されている。N型バッファ領域9bはN型ドリフト領域9aと半導体基板1の他方の主面3との間に配置され且つN型ドリフト領域9aに隣接している。このN型バッファ領域9bは空乏層の広がりの抑制、及び少数キャリアの注入の抑制の機能を有する。従つて、これらの機能が要求されない時にはN型バッファ領域9bを省き、第1の半導体領域としてのN型半導体領域9をN型ドリフト領域9aのみで構成することもできる。第2の半導体領域としてのP型ベ−ス領域10はN型ドリフト領域9aの中に島状に配置されている。第3の半導体領域としてのN型のエミッタ領域11はP型ベ−ス領域10の中に島状に配置されている。第4の半導体領域としてのP型コレクタ領域12はN型バッファ領域9bと半導体基板1の他方の主面3との間に配置されている。補助半導体領域13及びFLR即ちフィ−ルドリミッテイングリング14は平面的に見て、即ち基板1の主面2に対して垂直な方向から見て、複数のセルQを含む主領域を囲むように配置され且つN型ドリフト領域9aの中に島状に配置されている。
【0016】
半導体基板1の一方の主面2上に例えばシリコン酸化膜から成る第1の絶縁層15が配置され、この第1の絶縁層15の比較的薄いゲ−ト絶縁膜部分15aの上にゲ−ト電極6の第1の部分6aが配置されている。即ち、ゲ−ト電極6の第1の部分6aはP型ベ−ス領域10のチャネル領域及びこの近傍の上に第1の絶縁層15のゲ−ト絶縁膜部分15aを介して配置されている。第1の絶縁層15の比較的厚い保護膜部分15bの上にゲ−ト電極6の第2の部分6bが配置されている。
【0017】
第1の絶縁層15の上に配置された例えばシリコン酸化膜から成る第2の絶縁層16の上に、それぞれが同一の金属層から成るエミッタ電極4、ゲ−ト接続導体7、及び補助導体8が配置されている。導電性を有する多結晶シリコンから成り且つ第1及び第2の部分6a、6bを有しているゲ−ト電極6は、第1及び第2の絶縁層15、16の間に配置されている。
【0018】
金属層から成るゲ−ト接続導体7は、複数のセルのゲ−ト電極6を相互に接続するためのゲ−ト相互接続部分7aと、このゲ−ト相互接続部分7aを介してゲ−ト電極6を外部回路に接続するためのゲ−ト外部接続部分7bとから成る。図3の平面図から明らかなように、ゲ−ト相互接続部分7aは、一般にゲ−トバスラインと呼ばれている部分であって、分断領域21を除いてエミッタ電極4を平面的に見て、即ち基板1の主面2に対して垂直な方向から見て環状に囲む第1の部分7a1と、エミッタ電極4を2分するために第1の部分7a1の対向する2つの辺を結ぶ第2の部分7a2から成る。金属層から成るゲ−ト相互接続部分7aは第2の絶縁層17の開口19を介して導電性を有する多結晶シリコンから成るゲ−ト電極6の第2の部分6bに接続されている。ゲ−ト外部接続部分7bは、一般にゲ−トパッドと呼ばれている部分であり、ワイヤ(図示せず)を接続することができるようにゲ−ト相互接続部分7aよりも十分に広い幅に形成されている。ゲ−ト外部接続部分7bから各セルQのゲ−ト電極6の第1の部分6aまでの距離は互いに異なるが、金属層から成るゲ−ト相互接続部分7aがゲ−ト外部接続部分7bと略同電位となり、各セルQのオン・オフ動作のバラツキが少なくなる。
【0019】
2つに分断されたエミッタ電極4はエミッタパッドとして機能するように大面積に形成され、第1及び第2の絶縁層15、16の開口18を通して各セルQのベ−ス領域10及びエミッタ領域11に接続されている。エミッタ電極4のベ−ス領域10に対する接続箇所は周知のようにゲ−ト電極6の第1の部分6aの下のベ−ス領域10のチャネル部分と反対側である。複数のセルQのベ−ス領域10及びエミッタ領域11はエミッタ電極4によって相互に接続されている。なお、ゲ−ト相互接続部分7aの第2の部分7a2で分断されたエミッタ電極4の一方の半分と他方の半分との両方がエミッタパッドとして機能し、ここに接続されるワイヤ(図示せず)によって電気的に相互接続され、1つのエミッタ電極として機能する。
【0020】
補助半導体領域13はP型の第1の補助半導体領域13aとP型の第2の補助半導体領域13bから成り、平面的に見て、即ち基板1の主面2に対して垂直な方向から見て、複数のセルQを含む主領域を囲むように配置されている。P型の第1の補助半導体領域13aは、ベ−ス領域10よりも深く形成され、IGBTのオン期間にP型コレクタ領域12からN型バッファ領域9b及びN型ドリフト領域9aに注入された少数キャリアがIGBTのタ−ンオフ時にN型バッファ領域9b及びN型ドリフト領域9aに長い時間蓄積することを防ぐために設けられている。即ち、P型の補助半導体領域13はタ−ンオフ時に蓄積キャリアを引き抜いてタ−ンオフ時間を短くする機能を有する。この目的を達成するために、第1の絶縁層15の保護膜部分15bと第2及び第3の絶縁層16、17に形成された開口20を介して金属層から成る第1の補助導体8aがP型の第2の補助半導体領域13bに接続されている。また、第1の補助導体8aは、エミッタ電極4及びゲ−ト接続導体7を囲むように環状に形成され、ゲ−ト相互接続部分7aの分断領域21の中の連結部分22と本発明に従う第2の補助導体8bとでエミッタ電極4に電気的に接続されている。
【0021】
本発明に従って設けられた第2の補助導体8bは、図3の平面図から明らかなように、複数箇所に配置され、金属から成る第1の補助導体8aと金属から成るエミッタ電極4とを電気的に接続している。第2の補助導体8bの数は、ゲ−ト相互接続部分7aとゲ−ト電極6の第2の部分6bとを接続する複数の開口19の数を考慮して適当な値に決定される。
【0022】
第2の補助導体8bは、第1の絶縁層15の保護膜部分15bと第2の絶縁層16との間に配置された導電性を有する多結晶シリコンから成る。この第2の補助導体8bの一端はエミッタ電極4及びP型ベ−ス領域10に接続され、この他端は第1の補助導体8a及び第2の補助半導体領域13bに接続されている。
【0023】
第2の補助導体8bを作成する時には、まず、例えばシリコンから成る半導体基板1の一方の主面2の上に第1の絶縁層15を形成する。この時、必要に応じてゲ−ト電極6の第1の部分6aの下のゲ−ト絶縁膜部分15aの厚みをこれ以外の保護膜部分15bの厚みよりも薄くする。第1の絶縁層15の保護膜部分15bは、図4から明らかなように半導体基板1の一方の主面2の少なくともベ−ス領域10と第2の補助半導体領域13bとの間を覆っている。
【0024】
次に、第1の絶縁層15の上にシリコン多結晶層を形成する。次に、このシリコン多結晶層のゲ−ト電極6となる領域及び第2の補助導体8bとなる領域に不純物を選択的に導入する。これにより、不純物の導入によって導電性が与えられたゲ−ト電極6及び第2の補助導体8bが得られる。第2の補助導体8bの抵抗率は第1及び第2の補助半導体領域13a、13bの抵抗率よりも小さい。多結晶シリコン層の内で不純物が導入されなかった領域は必要に応じて酸化され、例えば第3の絶縁層17となる。この実施形態では、シリコン多結晶層の不純物が導入されない部分が残存しているが、必要に応じてこれを除去してゲ−ト電極6と第2の補助導体8bのみを残してもよい。
図6は半導体基板1の一方の主面2の一部、及びこの上の第1及び第2の絶縁層15、16の開口18、19、20、及びゲ−ト電極6の第2の部分6b、及び第2の補助導体8bの配置関係を説明的に示す。この図6から明らかなように、第2の補助導体8bは外周側に並置されたセルQのベ−ス領域10の外周側部分から第2の補助半導体領域13bまで帯状に延びている。この第2の補助導体8bはゲ−ト電極6の第2の部分6bから電気的に分離されるように配置されている。即ち、ゲ−ト電極6の第2の部分6bの外周部分が環状に形成されず、基板1の主面2に対して垂直の方向から見て即ち平面的に見て、外周部分に複数の凹部即ち切欠きがあり、この凹部の中に第2の補助導体8bが配置されている。
【0025】
次に、ゲ−ト電極6及び第2の補助導体8bを有する第1の絶縁層15の上に第2の絶縁層16を設ける。次に、開口18、19、20を形成する。次に、第2の絶縁層16の上に金属層を形成し、しかる後、金属層を所定パタ−ンにエッチングすることによってエミッタ電極4、ゲ−ト接続導体7、及び第1の補助導体8aを得る。
【0026】
エミッタ電極4は、各セルQのベ−ス領域10及びエミッタ領域11に開口18を通って接続される。ゲ−ト接続導体7の環状のゲ−ト相互接続部分7aは図5に示すように第2の絶縁層16の開口19を介してゲ−ト電極6の第2の部分6bに接続される。開口19は第2の絶縁層16に複数設けられ、ゲート電極6の第2の部分6bとゲ−ト相互接続部分7aとは複数箇所で接続されている。
【0027】
本実施形態によれば次の効果が得られる。
(1) エミッタ電極4と第1の補助導体8aとが連結部分22と複数の第2の補助導体8bとによって接続される。このため、環状に形成されている第1の補助導体8aの位置の変化による電位のバラツキが小さくなり、IGBTのタ−ンオン時に生じる蓄積キャリアを迅速に引き抜くことができる。即ち、多数のセルQを含む基板1の主領域を囲むように配置されている第1及び第2の補助半導体領域13a、13bの近くの全てのキャリアを第1の補助導体8aを介してエミッタ電極4に向ってバラツキの少ない状態で迅速に排出させることができ、ターンオフ時間を短縮することができる。
(2) 第2の補助導体8aはゲ−ト電極6と同一の不純物を含む多結晶シリコンから成るので、特別な工程を設けないで、ゲ−ト電極6と同時に形成することができる。この結果、第2の補助導体8aを設けることによるコストの上昇を抑えることができる。
(3)エミッタ電極4とゲ−ト接続導体7と第1の補助導体8aとを同一の金属層で容易に形成できる。
【0028】
【第2の実施形態】
図7は、第2の実施形態に従うIGBTの一部を示す。このIGBTは、図4のドリフト領域9aとバッファ領域9bとコレクタ領域12のパタ−ンを変形した他は図3〜図6と同一に形成したものである。
【0029】
図7では基板1の他方の主面3の全体にP型のコレクタ領域12が露出せずに、N型のドリフト領域9a及びバッファ領域9bも露出している。従って、コレクタ領域12のみでなく、ドリフト領域9a及びバッファ領域9bもコレクタ電極5に接続されている。なお、コレクタ領域12はIGBTの主電流通路に配置され且つドリフト領域9aの中に突出するような状態を有する。従って、コレクタ領域12側からのキャリア注入量を調整することができる。
【0030】
この実施形態においても、図示はされていないが、図3〜図6と同様な第1及び第2の補助半導体領域13a、13b及び第1及び第2の補助導体8a、8bが設けられているので、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0031】
【第3の実施形態】
図8に示す第3の実施形態のIGBTは、図7のIGBTにP型の第2のコレクタ領域12bを付加し、この他は図7と同一に形成したものである。即ち、図8では、コレクタ領域が第1及び第2の部分12a、12bの組合せから成り、図1のコレクタ領域12に相当する第1の部分12aの他に、P型の第2の部分12bを設けたものである。コレクタ電極5には第2の部分12bが接続されている。図8のIGBTによっても図7のIGBTと同様な効果を得ることができる。
【0032】
【変形例】
本発明は上述の実施例に限定されるものでなく、例えば、次の変形が可能なものである。
(1) 図4からP型コレクタ領域12を省き、Nバッファ領域9bを電極5に接続して絶縁ゲ−ト型電界効果トランジスタとすることができる。この場合には、図4のドリフト領域9aがドレイン領域、エミッタ領域11がソ−ス領域、エミッタ電極4がソ−ス電極、コレクタ電極5がドレイン電極として機能する。
(2) ベース領域10のパターンをストライプ状、格子状態等に変形することができる。
(3) 図3では、エミッタ電極4がゲ−ト相互接続部分7aの第2の部分7a2によって2つに分けられているが、第2の部分7a2を省くこともできる。
(4) 第1及び第2の補助半導体領域13a、13bは、平面的に見てエミッタ電極4を完全に囲むように形成することが望ましいが、複数個に分割されていてもよい。
(5) 第2の補助導体8bによってエミッタ電極4と第1の補助導体8aを十分に接続することができる時には、図3に示す連結部分22による接続を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のIGBTを概略的に示す平面図である。
【図2】図のA−A線を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に従うIGBTを概略的に示す平面図である。
【図4】図3のA’―A ’線を示す断面図である。
【図5】図6のゲ−ト接続用開口19を通る部分における断面の一部を示す断面図である。
【図6】図4の半導体基板の主面の一部とゲ−ト電極及び第2の補助導体との関係を示す平面図である。
【図7】第2の実施形態のIGBTの一部を示す断面図である。
【図8】第3の実施形態のIGBTの一部を示す断面図である。
【符号の説明】
1 半導体基板
4 エミッタ電極(第1の主電極)
5 コレクタ電極(第2の主電極)
6 ゲ−ト電極
6a 第1の部分
6b 第2の部分
7 ゲ−ト接続導体
7a ゲ−ト相互接続部分
7b ゲ−ト外部接続部分
8a 第1の補助導体
8b 第2の補助導体
9a ドリフト領域
9b バッファ領域
10 ベ−ス領域(第2の半導体領域)
11 エミッタ領域(第3の半導体領域)
12 コレクタ領域(第4の半導体領域)
13a 第1の補助半導体領域
13b 第2の補助半導体領域
15 第1の絶縁層
15a ゲ−ト絶縁膜部分
15b 保護膜部分
16 第2の絶縁層
Q セル

Claims (9)

  1. 複数の絶縁ゲート型半導体素子のセルを含む絶縁ゲート型半導体装置であって、
    半導体基板と第1及び第2の主電極とゲート電極とゲート接続導体と第1の補助導体と複数の第2の補助導体と前記半導体基板の一方の主面上に順次に配置された第1及び第2の絶縁層とを有し、
    前記半導体基板は、この一方の主面に一部が露出するように配置され且つ第1導電型を有している第1の半導体領域と、前記セルを形成するために前記第1の半導体領域の中に島状に配置され且つ第2導電型を有している第2の半導体領域と、前記セルを形成するために前記第2の半導体領域の中に島状に配置され且つ第1導電型を有している第3の半導体領域と、前記第2の半導体領域よりも外側において前記第1の半導体領域の中に島状に配置され且つ第2導電型を有している補助半導体領域とを備え、
    前記第2の半導体領域はチャネル形成部分を有し、
    前記第1の主電極は前記第2の絶縁層の上に配置され且つ前記複数のセルの前記第2及び第3の半導体領域にそれぞれ接続され、
    前記第2の主電極は前記半導体基板の他方の主面に配置され且つ前記第1の半導体領域に直接に又は別な半導体領域を介して接続され、
    前記ゲート電極は前記第1の絶縁層の上に配置され且つ前記チャネル形成部分に対向する第1の部分とこの第1の部分を前記ゲート接続導体に接続するための第2の部分とを有し、
    前記ゲート接続導体は、前記第2の絶縁層の上に配置され且つ平面的に見て前記複数のセルの外側に配置され且つ前記複数のセルの前記ゲート電極を相互に接続するために前記ゲート電極の前記第2の部分に接続されたゲート相互接続部分と、このゲート相互接続部分を外部に接続するためのゲート外部接続部分とを有し、
    前記ゲート相互接続部分は前記第1の主電極よりも外側に配置され且つ前記第2の絶縁層の開口を介して前記ゲート電極の前記第2の部分に接続され、
    前記第1の補助導体は前記半導体基板の一方の主面側において前記ゲート相互接続部分よりも外側に配置され且つ前記補助半導体領域に接続され、
    前記複数の第2の補助導体のそれぞれは前記第1及び第2の絶縁層の間に配置され且つ前記第1の主電極及び前記第1の補助導体にそれぞれ接続されていることを特徴とする絶縁ゲート型半導体装置。
  2. 前記半導体基板は、更に、前記第1の半導体領域と前記半導体基板の他方の主面との間に第2導電型の第4の半導体領域を有し、前記第2の主電極が前記第4の半導体領域に接続されていることを特徴とする請求項1記載の絶縁ゲート型半導体装置。
  3. 前記半導体基板は、更に、前記第1の半導体領域と前記半導体基板の他方の主面との間に第2導電型の第4の半導体領域を有し、前記半導体基板の他方の主面に前記第1及び第4の半導体領域の両方が露出し、前記第2の主電極が前記第第1及び4の半導体領域に接続されていることを特徴とする請求項1記載の絶縁ゲート型半導体装置。
  4. 前記半導体基板は、更に、前記第1の半導体領域と前記半導体基板の他方の主面との間に第2導電型の第4の半導体領域を有し、前記第4の半導体領域は、前記第1の半導体領域の中に突出している第1の部分と、前記第1の部分及び前記第1の半導体領域に隣接配置され且つ前記第2の主電極に接続されている第2の部分とを有していることを特徴とする請求項1記載の絶縁ゲート型半導体装置。
  5. 前記第1の半導体領域は、前記半導体基板の一方の主面側に配置されたドリフト領域と、前記ドリフト領域と前記第4の半導体領域との間に配置され且つ前記ドリフト領域よりも高い不純物濃度を有しているバッファ領域とから成ること特徴とする請求項2又は3又は4記載の絶縁ゲート型半導体装置。
  6. 前記補助半導体領域は、不純物濃度が比較的低い第1の補助半導体領域と前記第1の補助半導体領域の中に島状に配置され且つ前記第1の補助半導体領域よりも高い不純物濃度を有している第2の補助半導体領域とから成り、前記第1の補助導体が前記第2の補助半導体領域に接続されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の絶縁ゲート型半導体装置。
  7. 前記第2の補助導体は、前記ゲート電極と同一の材料で形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の絶縁ゲート型半導体装置。
  8. 前記第1の補助導体は、前記第2の絶縁層の上において前記第1の主電極に接続されている連結部分を有していることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の絶縁ゲート型半導体装置。
  9. 前記第1の主電極と前記ゲート接続導体と前記第1の補助導体とが金属で形成され、前記ゲート電極と前記第2の補助導体が導電性を有する多結晶シリコンで形成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の絶縁ゲート型半導体装置。
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