JP2001304219A - ゆるみ防止用防食金属ボルト - Google Patents

ゆるみ防止用防食金属ボルト

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JP2001304219A
JP2001304219A JP2000122998A JP2000122998A JP2001304219A JP 2001304219 A JP2001304219 A JP 2001304219A JP 2000122998 A JP2000122998 A JP 2000122998A JP 2000122998 A JP2000122998 A JP 2000122998A JP 2001304219 A JP2001304219 A JP 2001304219A
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Yoshio Nakakoshi
吉雄 中越
Senkichi Nakakoshi
千吉 中越
Masuyo Nakakoshi
益世 中越
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防食およびゆるみ防止された金属ボルトおよ
びこれに係合する金属ナットを提供する。 【解決手段】 金属ボルトのネジ部の先端から約3ない
し約6山までの部分以外のネジ部に、約100μ以上、
特に約200〜400μm、の厚さの樹脂塗膜を形成す
る。これに係合する金属ナットは、そのネジ部には塗装
しない。金属ナットのネジ部以外の部分には防食用塗膜
を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ナットとのゆるみを防
止した防食金属ボルトに関する。
【0002】
【従来の技術】大型構造物、例えば橋梁、鉄塔、体育館
等の大型構造物等では、現地において必ずボルトを用い
て締結し、構造物を組み立てる。これらの構造物は塩害
や、紫外線、酸性雨、風等の環境的雰囲気のみならず、
車両等により常に振動が与えられている。即ち、腐食と
共に振動によるボルトのゆるみという問題を抱えてい
る。
【0003】一般に金属ボルトおよびナットの防食用と
しては、溶融亜鉛メッキが用いられている。しかし亜鉛
メッキは塩害や酸性雨に弱いので、橋梁や鉄塔等用に金
属ボルトを長期にわたって使用する場合は問題が出る。
特に橋梁等は潮風に曝されることが多いので、亜鉛メッ
キがすぐ侵されて、防食の用をなさなくなる。このため
亜鉛メッキの上に塗料を塗っているが、元来メッキの上
には通常の塗料は密着しないので、ほとんど用をなさな
い。現在では常時塗装を行っている状況で、これは現
在、大きな問題となっている。また、高力ボルトの場合
は亜鉛メッキができないので、その防食は難しい。
【0004】また、今までのボルトおよびナットは互い
に金属同士なので、いかに強く締め付けても必ず戻りが
くる。それで増締めをしなければならない。これは二重
手間であり、大変やっかいである。大きな構造物になれ
ば増し締めするボルトの数も多く、その手間と労力は非
常に大きい。更に風や車両による振動によって時間がた
つとナットはゆるむ。これは重大な問題である。
【0005】上記の問題について、今まで何もなされて
いなかったわけではない。例えば防食用としてフッ素樹
脂をコーティグする方法がある。しかしこの樹脂の被膜
は非常に薄く、傷がつき易い。少しの力で剥がれる。被
膜が薄いので、ゆるみ防止用としては全く効果はない。
一方、飽和ポリエステル樹脂は厚膜の出来る塗料であ
り、金属との密着性がよく、防食性があり、ゆるみ防止
に幾分の効果はある。しかし今まではボルトのネジ部を
厚く塗ることはできないものと考えられていた。ボルト
とナットとの間に樹脂の被膜が詰まってボルトが入らな
くなるからである。元来、ボルトとナットとの間隙には
一定の決まりがある。あまり大きくすると締め付けトル
クに問題がある。そのため、ボルトのネジ部に塗る樹脂
塗料の膜厚は限界があると思われていた。また防食のた
めにはナットの内面のネジ部にも樹脂塗料を塗らなけれ
ばならなかった。従って、ボルトのネジ部に塗る樹脂塗
料の膜厚は100μm以下、好ましくは50μm以下に
限定される。すると粉体塗装ではピンホールが取り切れ
ないという欠点が生じる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ボルトとナットとの間
隙は小さい。また、必ずしも一定ではなく、数ミクロン
の差はでる。今までのようにナットをボルトに入れる際
に、ボルトのネジ部の塗膜を圧縮して入れようとする
と、僅か厚く塗っただけでナットは入らなくなり、逆に
薄くするとゆるみが出る。
【0007】従って、本発明の一つの目的は、金属ボル
トの防食およびゆるみ防止という二つの問題を一度に解
決することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は予想外に
も、ボルトのネジ部に100μm以上の樹脂の厚膜を施
しても、ナットの内側のネジ部には実質的に樹脂塗装を
施さない場合、ナットはその裸の金属のネジ山でボルト
のネジ部の厚膜を切り取りながら入ることを見いだし
た。
【0009】即ち、本発明によって、金属ボルトのネジ
部の先端領域、好ましくはネジ部の先端から約3〜6山
までの部分、を除くネジ部の部分に、100μ以上、好
ましくは150μ以上、特に約200〜400μm、の
厚さの樹脂粉体塗料の塗膜を形成したゆるみ防止用防食
金属ボルトが提供される。
【0010】金属ボルトのネジ部の先端領域、好ましく
は約3〜約6山までの部分は厚膜は形成しない。被覆し
たボルトの先端が厚くなって、ナットへ侵入しにくくな
るのを防止するためである。但し被膜が約50μまでで
あれば、被膜をネジ先端領域にも形成するのは差し支え
ない。金属ボルトのネジ部以外の部分の樹脂塗膜の厚さ
は限定されないが、ネジ部と同じ厚さの約200〜40
0μmにするのが塗装上便利である。
【0011】塗膜を有する金属ボルトのネジ部の径は、
係合するナットの内径よりも約100μ以上、好ましく
は約200〜400μ大きく作られる。
【0012】上記のゆるみ防止用防食金属ボルトと共に
使用する金属ナットは、内側のネジ部の少なくともボル
トが入る先端領域、好ましくはネジ部全体に樹脂の塗膜
を形成しないで裸の金属を露出させる。しかし、場合に
よってはボルトに塗装した樹脂塗膜よりも十分硬い樹脂
の薄膜を形成してもよい。ネジ部以外は防食に必要な膜
厚、通常は約200〜400μmの厚さ、の金属ボルト
に使用した樹脂塗料と同じ塗料の塗膜が形成される。
【0013】金属ボルトの塗膜形成に使用される樹脂塗
料は、金属との密着性および防食性に優れ、且つ100
μ以上の厚膜を形成できる樹脂であればいかなる粉体塗
装用の樹脂も使用し得る。例えば、飽和ポリエステル、
ポリエチレン、エポキシ、フッ素系樹脂の粉体塗料およ
びこれらの2種以上の混合粉体塗料が使用出来る。金属
との密着性および防食性の点から好ましい粉体塗料とし
て、飽和ポリエステル、特に熱可塑性飽和ポリエチレン
イソーテレフタレート樹脂粉末を使用し得る。熱可塑性
飽和ポリエチレンイソーテレフタレート樹脂粉末は、テ
レフタル酸、イソフタル酸又はこれらの混合物のような
飽和多塩基酸と、エチレングリコール等のグリコールと
のエステル結合により得られる熱可塑性樹脂であって、
通常融点が約240°〜330 ℃、好ましくは約24
0〜約280℃のものが有利に使用される。イソフタル
酸成分約8〜約20モル%を含む、固有粘度約0.7
〜約1.0の熱可塑性ポリエチレンイソーテレフタレー
トを用いた場合、特に優れた金属基材との融着が得られ
る。
【0014】金属ボルト又は金属ナットの締め付けに使
用するスパナやレンチ等の工具は、ボルト又はナットと
接する部分に、ボルト又はナットに使用した樹脂と同じ
樹脂の粉末塗料を粉体塗装しておくと、強い力で締め付
けても、ボルトおよびナットの塗膜を傷つけることはな
い。
【0015】
【発明の作用および効果】金属ナットのネジ部は塗装さ
れていないので金属が露出している。金属のネジ山はシ
ャープなので、ボルトのネジ部の厚い塗膜を切って入
る。ボルトの樹脂塗膜が硬くても、金属のネジであれば
この塗膜を切ることができるので、ボルトの所定の部位
までナットは入る。ナットが入った後は、ボルトとナッ
トとは樹脂の弾力で締まってゆるまず、空気を完全に遮
断する。従ってナットのネジ部に塗装がされていなくと
も、発錆することはない。
【0016】また、金属ボルトのネジ部は初め厚く被覆
されているので、ピンホールはない。ナットのネジで切
られた後はボルトとナットとの間隙は一定しているの
で、ピンホールは発生しない。
【0017】このようにして、防錆が完全で増締めを行
うこともなく、振動にもゆるみの生じない金属ボルトお
よびナットが完成される。本発明のボルトおよびナット
は橋梁、鉄塔等の大型構造物は勿論、小さいものでは自
動車や車両のボルト・ナットにも使用してもゆるみ防止
が完全である。
【0018】次に本発明を、金属ボルトおよびナットの
塗装についての実施例により、更に詳しく説明する。
【0019】
【実施例】直径20mm、長さ100mm、ネジ部75
mmの鉄製ボルト1およびこれに合う鉄製ナット2を用
いる。ボルト1およびナット2には亜鉛メッキが施され
ている。ボルト1およびナット2をブラストでよく汚れ
を取り、全面を粗にする。ボルト1を300℃に加熱す
る。塗料として、熱可塑性飽和ポリエチレンイソーテレ
フタレート樹脂(イソフタル酸成分8〜20モル%、固
有粘度0.7〜1.0の熱可塑性ポリエチレンイソーテ
レフタレート樹脂)粉末をグレーに着色した樹脂粉体塗
料を用いる。
【0020】加熱されたボルト1のネジ部1aの先端を
磁石に付け、持ち上げる。ボルト1を回転させながら静
電塗装機で該粉体塗料を吹き付ける。この際、ボルト1
のネジ部1aで先端から5山程は一度塗料を吹き付けた
後は粉体塗料が吹き付けられないように治具でカバーす
る。他の部分は続けて吹き付けを行い、被膜厚が300
μm位になったら、塗装を止める。1分程空気冷却して
から水冷する。手で持てる温度になれば出来上がりであ
る。出来上がったボルトは、ネジ部1aの先端から5山
以外は約300μの厚膜11で覆われている。ネジ部1
aの先端から5山は約40μの薄膜12で覆われてい
る。
【0021】ナット2も同様にナット2を300℃に加
熱する。加熱後、ネジ部2aに粉体塗料が入らないよう
に工夫された治具でナット2を持ち、静電塗装機で該粉
体塗料を吹き付ける。被膜厚が300μm位になった
ら、塗装を止める。1分程空気冷却してから水冷する。
ネジ部2a以外は約300μmの厚膜21で覆われた樹
脂塗装ナットが得られる。
【0022】樹脂塗装ボルト1に樹脂塗装ナット2を係
合させ、工具を用いて挿入すると、通常の力を加えれば
十分入ることが判った。ナット2はボルト1のネジ部の
厚膜11をナット2のネジ山で切り取りながら入った。
長時間経過後でもナット2のゆるみがなく、増締めの必
要はなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による金属ボルトの概略断面図である。
【図2】本発明による金属ナットの概略断面図である。
【符号の説明】
1:金属ボルト 1a:金属ボルトのネジ部 2:金属ナット 2a:金属ナットのネジ部 11、21:樹脂厚膜 12:樹脂薄膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中越 吉雄 東京都新宿区中落合2−23−4 ジユエル 翠丘 (72)発明者 中越 千吉 東京都世田谷区桜上水1−1 4−709 (72)発明者 中越 益世 群馬県太田市新井305−2

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属ボルトのネジ部の先端領域を除くネ
    ジ部の部分に100μ以上の厚さの樹脂粉体塗料の塗膜
    を形成したことを特徴とする、ゆるみ防止用防食金属ボ
    ルト。
  2. 【請求項2】 上記ネジ部の先端領域が、ネジ部の先端
    から3山〜6山までの部分である請求項1に記載の金属
    ボルト。
  3. 【請求項3】 上記樹脂粉体塗料の塗膜の厚さが200
    〜400μである請求項1又は2に記載の金属ボルト。
  4. 【請求項4】 上記ネジ部の先端領域に50μ以下の厚
    さの上記樹脂粉体塗料の塗膜を形成した請求項1ないし
    3のいずれか1項に記載の金属ボルト。
  5. 【請求項5】 上記樹脂粉体塗料が熱可塑性飽和ポリエ
    ステル樹脂又はそれを含む混合樹脂粉体塗料である請求
    項1ないし4のいずれか1項に記載の金属ボルト。
  6. 【請求項6】 金属ボルトのネジ部の先端領域を除くネ
    ジ部の部分に100μ以上の厚さの樹脂粉体塗料の塗膜
    を形成した金属ボルトと、上記金属ボルトに使用した樹
    脂粉体塗料を内側のネジ部以外の部分に塗装した金属ナ
    ットとからなる、ゆるみ防止用防食金属ボルト・ナット
    製品。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の金属ボルト又は金属ナ
    ットと接する部分に、該ボルト又は該ナットに使用した
    樹脂と同じ樹脂の粉末塗料を塗装した、該ボルト又は該
    ナット用の締め付け工具。
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