JP2008185091A - ボルトナットの防食と緩み止め防止方法及びその際に用いるレンチ - Google Patents

ボルトナットの防食と緩み止め防止方法及びその際に用いるレンチ Download PDF

Info

Publication number
JP2008185091A
JP2008185091A JP2007017817A JP2007017817A JP2008185091A JP 2008185091 A JP2008185091 A JP 2008185091A JP 2007017817 A JP2007017817 A JP 2007017817A JP 2007017817 A JP2007017817 A JP 2007017817A JP 2008185091 A JP2008185091 A JP 2008185091A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bolt
nut
saturated polyester
coating
corrosion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007017817A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4745257B2 (ja
Inventor
Yoshio Nakakoshi
吉雄 中越
Masuyo Nakakoshi
益世 中越
Takeyuki Nakakoshi
健之 中越
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TERII KOGYO KK
Original Assignee
TERII KOGYO KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TERII KOGYO KK filed Critical TERII KOGYO KK
Priority to JP2007017817A priority Critical patent/JP4745257B2/ja
Publication of JP2008185091A publication Critical patent/JP2008185091A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4745257B2 publication Critical patent/JP4745257B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)
  • Connection Of Plates (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)

Abstract

【課題】本発明の課題は、十分な厚さの飽和ポリエステルの被膜を施すことができないボルトナットのネジ部での腐食を防止する方法を提示すること、また、その方法を実施するに際してボルトナットのネジ部以外の飽和ポリエステルの被膜を傷つけることのない冶具を提供することにある。
【解決手段】本発明のボルトナットの防食と緩み止め防止方法は、ネジ部には100μm以下の、それ以外の部分には200μm以上の飽和ポリエステルの被膜が施されたボルト及びネジ部以外は200μm以上の飽和ポリエステルの被膜が施されたナットを用い、前記ボルトのネジ部に反応硬化塗料を塗布するステップと、前記ボルトとナットを締め付けるステップと、反応硬化塗料を固化させるステップとを踏むようにした。
【選択図】図3

Description

本発明は金属等の構造物の結合に用いられるボルトナットの防食と緩み止め防止方法及びその方法を実施する際に用いるレンチに関するものである。
金属等の構造物は一般に防食のため、コーティング等表面処理がなされている。構造物が単体でなく、複数の部材を結合して組立てる構造物であるときには、ボルトナット等によって部材間が結合されることになる。この構造物が野外である場合、特に塩害を受けやすい居場所であるときにはボルトナット部分を含め防食の問題は重要となる。特許文献1に示されている熱可塑性ポリエチレンテレフタレート系重合体(飽和ポリエステル)の粉体塗料を用いた塗装は、優れた長期に渡る安定した防食性能、高い塗膜強度、および美観から、高信頼性の屋外設備の防食塗装として高い評価を受ける実績を積んでいる。この熱可塑性ポリエチレンテレフタレート系重合体の粉体塗料は、金属に対する密着力に優れ、亜鉛めっき面上でも10N/mm以上の密着力を有する。防食性能については、海岸直近の強腐食地域の暴露試験で10年以上問題が無いことが確認されている。耐候性の点でも、着色しても長期間変色が少ないことが認められている。さらに、塗膜の強度についても、鋼棒による引っ掻き試験で、ポリエチレン、エチレンビニルアセテート(以下、EVA)樹脂に比べはるかに強い結果が得られている。実際にも、固い地盤に打ち込まれる支線アンカ等に実用され、良好な特性が確認されている。
構造物そのものの防食は上記の熱可塑性ポリエチレンテレフタレート系重合体の粉体塗料を塗布することで良好な防食が得られるのであるが、部材を結合するボルトナットの螺子部は本来のネジ機能を確保するためコーティングの膜厚は100μmを越えることができないため、この部分の防食性に不安が残る。100μm以下の被膜であると完全にピンホールを排除することが困難であり、小さな金属露出面が生じてしまう。この部分から腐食が始まり広がってゆく進行性腐食の問題である。とりわけ塩害が起こりやすい海岸線の鉄道ビーム(架線を支持すために線路両側の電柱間に渡された梁)等で60年の耐候性が求められる場合、ビーム部材を結合するボルトナットのナットから突出したボルトの先端部分のピンホールから進行する腐食や、螺合部分に雨水が浸入してそこでのピンホールから進行する酸化腐食が懸念される。
特公平2−41556号公報 「ポリエステル粉体塗料」 平成2年9月18日公告
本発明の課題は、十分な厚さの飽和ポリエステルの被膜を施すことができないボルトナットのネジ部での腐食を防止する方法を提示すること、また、その方法を実施するに際してボルトナットのネジ部以外の飽和ポリエステルの被膜を傷つけることのない冶具を提供することにある。
本発明のボルトナットの防食と緩み止め防止方法は、ネジ部には100μm以下の、それ以外の部分には200μm以上の飽和ポリエステルの被膜が施されたボルト及びネジ部以外は200μm以上の飽和ポリエステルの被膜が施されたナットを用い、前記ボルトのネジ部に反応硬化塗料を塗布するステップと、前記ボルトとナットを締め付けるステップと、反応硬化塗料を固化させるステップとを踏むようにした。そして、反応硬化塗料には好ましくは1液性の反応硬化形水系ウレタンを用いるものとした。
本発明のボルトナットの防食と緩み止め防止方法におけるボルトとナットを締め付けるステップで使用されるレンチは、少なくともボルトの頭部またはナットを嵌合保持する部分の表面に200μm以上の飽和ポリエステルの被膜が施されたものとした。
本発明のボルトナットの防食と緩み止め防止方法では、ボルトの締め付けに当たり、前記ボルトのネジ部に反応硬化形水系塗料を塗布するステップが踏まれるが、この塗料は水系であるから塗布した直後のボルトとナットを締め付けるステップにおいて何らの支障も無くボルトナットの螺合が可能である。そして、次の反応硬化塗料を固化させるステップを経て塗布された塗料は外部に露出したネジ部表面及び螺合部内で固化するので、100μm以下の飽和ポリエステルの被膜しか施されていない部分にピンホールが存在しても固化した塗料で被覆されるので金属表面が風雨にさらされることはない。そして、下地の100μm以下の飽和ポリエステルの被膜の防食性が有効に機能する。また、ナットのネジ穴の周囲を固化した塗料が被覆するため、シール機能を発揮し螺合部への雨水の浸入を完璧に防止できる。しかもこの固化塗料の固着によってネジの緩みを防止するという効果をも奏する。
そして、本発明で用いる反応硬化塗料として、1液性の反応硬化形水系ウレタンを用いた場合、2液性のように混合してから塗布するという手間はなく直接使用できると共に、酸素遮断性に優れているので、ピンホールの被覆材として効果的である。
また、本発明の実施において用いられる冶具は少なくともボルトの頭部またはナットを嵌合保持する部分の表面に200μm以上の飽和ポリエステルの被膜が施されたレンチであるから、ボルトナットの締め付け作業において嵌合した双方の接触面が同じ飽和ポリエステルの被覆同士で馴染みやすく、ボルトの頭部またはナット表面に被覆された飽和ポリエステルの被膜を傷つけることなく作業を実施することができる。
本発明は防食性、耐候性に優れた金属コーティングとして定評の高い飽和ポリエステルの被膜を施した構造物を取り付けたり、部材同士を組立てたりする際に使用されるボルトナットの防食に係る技術であり、ボルト、ナットそしてワッシャーにはそれぞれに飽和ポリエステルの被膜が施されているものを使用する。ボルト1のネジ部には厚い被膜を付けることができないので、100μm以下の被膜、それ以外に部分には200μm以上の被膜を施す。図1に示すような六角ボルト1においてはまず第1工程で静電塗装若しくは吹付け塗装によって亜鉛メッキが施されたボルトの全面に100μm以下の飽和ポリエステル被膜が形成され、次の第2工程ではマグネット冶具等を用いボルトの頭部aを下にして吊り下げ、流動浸漬法によって頭部a並びにネジの切られていない脚部bまでを溶融状態の飽和ポリエステル内にドブ付けする。これを冷却するとドブ付けされた部分には新たに飽和ポリエステルの層が積層され200μm以上の被膜が形成され、ドブ付けされなかったネジ部cは100μm以下の飽和ポリエステル被膜のまま残る。このようにして被覆膜厚の異なるボルトが製造される。ナット2についてはやはり亜鉛メッキされたナットの内側ネジ部を冶具で保持しネジ部以外の部分が露出した形態とし、この部分に飽和ポリエステル被膜を形成させる。これによって、図2(1)に示すような六角ナットまたは図2(2)に示すような袋ナットのネジ部eは亜鉛メッキされたままの形態が残り、他の部分dは200μm以上の飽和ポリエステル被膜がなされた形態のナットとが得られる。ワッシャー3については平ワッシャーまたはスプリングワッシャーの全面に200μm以上の飽和ポリエステル被膜が施されたものを採用する。
飽和ポリエステル被膜がなされた金属構造物の部材4a,4bが継続部材4cを介してボルトナットで結合された形態を図3(1)に示す。この形態での本発明の施工手順を図4のフローチャートに沿って説明する。第1のステップでは上記したネジ部には100μm以下の、それ以外の部分には200μm以上の飽和ポリエステルの被膜が施されたボルト1を準備する。第2のステップで上記したネジ部e以外は200μm以上の飽和ポリエステルの被膜が施されたものを準備する。第3のステップでボルト1のネジ部cに反応硬化形水系塗料を塗布する。この作業は刷毛で塗っても良いしネジ部cを塗料内に浸すようにしても良い。第4のステップでこのボルトを飽和ポリエステルの被膜が施された結合部材4a、4b、4cの穴に挿入し、ナット2を締め付ける。このナット2の締め付けがなされた状態を1組のボルトナットについて拡大表示して図3(2)に示してあるが、この図から分かるように塗布された反応硬化形水系塗料はナット2から突出するボルト1のネジ部cの先端部分(網線を付した部分)を被覆した状態となる。これが第5のステップである。更に破線部分を拡大して図3(3)にこの状態を示しているが、反応硬化形水系塗料はボルト1のネジ部cの先端部分からナット2のネジ穴近傍にも広がって付着し塗膜が形成される。また、反応硬化形水系塗料は螺合したボルト1のネジ部cとナット2のネジ部eの間を充填するように付着した状態となって残留する。第6のステップで時間経過を待つと、前記反応硬化形水系塗料が前記したボルト1のネジ部cの先端部分からナット2のネジ穴近傍にも広がって付着した塗膜となって固化する。この塗膜はピンホールが存在する100μm以下の飽和ポリエステルの被膜の上に積層して形成されるので、ピンホールは塞がれ、飽和ポリエステルがもっている高い耐食性と耐候性と協働してその効果を保証する。また、この塗膜はナット2のネジ穴近傍にも広がって形成されるので、ボルトナットの螺合領域のシール効果を有するものとなる。更に、このナット2のネジ穴近傍の被膜は螺合したボルト1のネジ部cとナット2のネジ部eの間で固化した塗料と共に緩み止めの効果をも奏する。そして、螺合部への雨水の浸入や結露が防止できるので、飽和ポリエステル被膜が施されていないナット2のネジ部eや100μm以下の飽和ポリエステルの被膜のネジ部cの腐食は完璧に守られる。
更に塩害がひどい厳しい環境下ではナットとして図2(2)に示した袋ナットを用いることが効果的である。このナットを用いればボルト1のネジ先端部は袋部分に覆われ外気に露出することはなく、ボルトナット部を含め構造体の外面は全て200μm以上の飽和ポリエステルで被膜されることになる。ボルト1のネジ部cに塗布された反応硬化形水系塗料はボルトナットの螺合部に充填付着され、緩み止め効果とこの領域への雨水の浸入や結露が防止できるので完璧な防食機能が得られる。
なお、従来からボルトナット部分を含めて構造物に施工後の塗装を施すことによって防食性を高めると共にネジの緩みを防止することは知られ実施されているが、そのような一般の塗装では塩害がひどい厳しい環境での長期に渡る効果維持を期待することはできない。本発明は、飽和ポリエステル被膜を前提とし、施工段階でネジ部の部分にだけ塗布するという単純な方法で、厚い飽和ポリエステルの被膜形成ができないネジ部の弱点を補い抜群の効果をもたらす工法である。
次に、上記した本発明の方法を施工するに当たり、ナットの締め付けを行う冶具について説明する。第4ステップの作業において実施するナットの締め付け作業を一般に市販されている金属製のレンチやスパナを用いて行った場合、ボルト1の頭部aナット2の外周面に施されている200μm以上の飽和ポリエステルの被膜を傷つけてしまうことが頻繁に起こる。このような傷が付いてしまった場合、ピンホールとは比べものにならない遙かに広い金属面の露出が発生し、この部分からの腐食は大きな問題となる。飽和ポリエステル被膜の折角の高い耐食性と耐候性が底抜けの状態となってしまう。このことに鑑み、締め付けに用いるレンチの面にソフトな弾性材を介在することを試みたが、その場合、傷は付きにくくなるものの肝心の締め付け作業がうまくいかない。試行錯誤の結果、ボルトの頭部またはナットを嵌合保持する部分の表面に200μm程度の飽和ポリエステルの被膜を施したレンチが、被膜を傷を付けることが無くしかも本来の締め付け機能にも影響が出ないことを突き止めた。膜厚を300μmとした場合には作業性の点で芳しくなく、反対に薄い被膜としたときにピンホールなどが存在しても防食性が求められる冶具ではないので特に問題はないことが確認できた。被膜の適正範囲は100〜250μmである。ボルトナットの締め付け作業において嵌合した双方の接触面が同じ飽和ポリエステルの被覆同士であることが馴染みやすく、他の素材よりもボルトの頭部またはナット表面に被覆された飽和ポリエステルの被膜を傷つけることなく作業を実施することができる。
本発明のボルトナットの防食と緩み止め防止方法の1実施例を示す。ボルトは下地に亜鉛メッキが施された頭部径が22mm,脚の長さが110mmで先端45mmにネジが切られたものを素材とし、イソフタル酸成分8〜20モル%、固有粘度0.7〜1.0の熱可塑性ポリエチレンイソテレフタレート共重合体より成るポリエステル系重合体の粉体塗料(以下変性飽和ポリエステルという。)を用いた静電塗装によって、全体に100μmの被膜を形成した。このボルト1のネジ部先端面をマグネット冶具を用いて磁力で吊り下げ、溶融した変性飽和ポリエステル内に頭部aからネジの切られていない脚部bまでをドブ付けして引き上げ流動浸漬法によって更なる飽和ポリエステルの層を形成した。このようにして得られたボルトは頭部端面の被膜厚さが520〜550μm、六角側面が335〜370μm、脚部bが400〜420μmであった。ナット2はクリップ冶具を用いネジ穴を両側から塞ぐようにして吊り下げネジ部e以外の面に流動浸漬法によって飽和ポリエステルの層を形成した。六角側面の被膜厚さが230μm程、面部分の厚さが300〜400μmであった。ワッシャには平ワッシャーとスプリングワッシャーの二種類を準備し、流動浸漬法によって全面に飽和ポリエステルの層を形成した。平ワッシャーの平均膜厚は200μm、スプリングワッシャーの膜厚は平均250μmであった。これらを素材として鉄道用耐久ビームの部材を結合する施工を行った。そして、このビーム部材の表面は400〜600μmの膜厚の飽和ポリエステルの被膜が施されている。反応硬化形水系塗料として、混合する必要のない一液性の水系ウレタン樹脂塗料(大日本塗料株式会社製造のDNTビューウレタン:商品名)を用い、前記ボルトの頭部aを掴みネジ部cを液体塗料内に漬けて引き上げ、2つのビーム部材を当接させた穴部に通して前記のワッシャーを介しボルトを嵌めて締め付ける。
この様な施工を行ったサンプルを他の施工法のものと比較した耐久試験の結果を示す。試料は台形の連結部材にL字鋼をY字状にボルト止めしたものとし、試料番号3−1が本発明品、すなわち素材には亜鉛メッキを施した鋼材SS400の上に飽和ポリエステルを塗装したもので、基部の3本のボルトは本発明の施工を枝部の2本のボルトはそれぞれを一液性の水系ウレタン樹脂塗料を用いずそのまま締めたものである。試料番号3−3のものは耐候性鋼材の表面にエポキシ樹脂を下塗りした素材を組立てその上にポリウレタン塗装を重ねたものである。試料番号2−1は亜鉛メッキを施した鋼材SS400をそのままの使用したもの、そして試料番号3−5のものは亜鉛メッキを施した鋼材SS400の素材を組立てセラミック塗装を施したものである。この試料を塩害のひどい地域の60年に相当する試験、4ヶ月間塩水噴霧し更に1ヶ月経過させた試験の結果を図6に示す。図6(1)の写真で比較して分かるように、亜鉛メッキのままの試料(番号2−1)とセラミック塗装を施した試料(番号3−5)は無惨な腐食状態になっている。耐候性鋼材の表面にエポキシ樹脂を下塗りし、その上にポリウレタン塗装を重ねた試料(番号3−3)は鋼材の端部とボルト部分で錆がでており、この部分から腐食が進んでいることが観察できる。本発明に係る試料(番号3−1)では鋼材と本発明の手法で締めた3本のボルトに錆の発生は認められず、一液性の水系ウレタン樹脂塗料を用いずそのまま締めた4本のボルトの内1本だけに錆が発生している。この状態は図6(2)の試料番号3−1の単品写真で見るとよく分かる。このボルトのネジ部はウレタン樹脂塗料の被膜はないが100μm以下の飽和ポリエステルのコーティングが施されているものである。矢印で示す1本のボルトだけが錆びた原因は3本のボルトは薄いながらも飽和ポリエステルのコーティングが腐食を防いだもので、この1本のボルトはボルト締め付けの際飽和ポリエステルのコーティングに傷が付いて下地が露出した状態になったものと解される。その部分から腐食が進行したものであろう。このように、この試験結果から、本発明によるボルトナット締めの手法が十分な厚さの飽和ポリエステルの被膜を施すことができないボルトナットのネジ部での腐食を効果的に防止できることを確認することができた。また、締め付け作業の際に被膜を傷つけないようにすることが重要であることも示唆された。
図5に本発明の施工において用いて好適なレンチの1実施例を示す。ここに示す実施例はラチェット機構部5eを先端部に備えた把持部5dを中心に右回りソケット5aと左回りソケット5bを対称位置に備えたレンチ5で、両方のソケット5a,5bのボルト、ナット嵌合穴5cの内面とその端面部に100μmの厚さの飽和ポリエステル被膜を静電塗装によって形成させたものである。塗料には金属面との密着性に優れた変性飽和ポリエステルの粉体塗料を用いた。飽和ポリエステルの被膜は少なくともボルトの頭部またはナットを嵌合保持する穴5c部分の表面に100〜250μmのが施されたものであればよく、作業効率や見栄えの観点からソケット5a,5bの全面を被覆しても良いことは当然である。ボルトナットの締め付け作業において嵌合した双方の接触面が同じ飽和ポリエステルの被覆同士であるため馴染みやすく、ボルトの頭部またはナット表面に被覆された飽和ポリエステルの被膜を傷つけることなく作業を実施することができる。また、この実施例ではラチェット機構5eを介して右回りソケット5aと左回りソケット5bを対称位置に備えるものとしたが、ラチェット機構5eを右回り用と左回り用に切替えられる機能を備えたものとし、1つのソケットで兼用させる形式とすることも可能である。
本発明は、塩害がひどい海岸線における鉄道ビームの組立て、取付ける際の工法として開発されたものであるが、このボルトナットの防食と緩み止め防止方法はそれに限らず、広い分野におけるボルトナット施工に適用できる技術である。
本発明で用いられるボルトの形態を説明する図である。 本発明で用いられるナットの形態を説明する図である。 本発明の方法によるボルトナット止め工法を説明する図である。 本発明の方法によるボルトナット止め工法の手順を示すフローチャートである。 本発明で用いられる冶具の1実施例を説明する図である。 本発明の方法によるボルトナット止め工法と他の施工法との耐食性比較実験結果を示す写真である。
符号の説明
1 ボルト 2 ナット
3 ワッシャー
4a,4b 構造体部材 4c 継続部材
5 レンチ 5a,5b ソケット
5d 把持部 5e ラチェット機構部
a ボルト頭部 b ネジが切られていないボルト脚部
c ボルトのネジ部 d ナットのネジ部以外の部分
e ナットのネジ部

Claims (3)

  1. ネジ部には100μm以下の、それ以外の部分には200μm以上の飽和ポリエステルの被膜が施されたボルトのネジ部に反応硬化形水系塗料を塗布するステップと、前記ボルトとネジ部以外は200μm以上の飽和ポリエステルの被膜が施されたナットを締め付けるステップと、前記反応硬化形水系樹脂塗料を固化させるステップとを踏むボルトナットの防食と緩み止め防止方法。
  2. 反応硬化形水系塗料には1液性の反応硬化形水系ウレタンが用いられる請求項1に記載のボルトナットの防食と緩み止め防止方法。
  3. 少なくともボルトの頭部またはナットを嵌合保持する部分の表面に100〜250μmの飽和ポリエステルの被膜が施されたものである請求項1または2に記載された方法におけるボルトとナットを締め付けるステップで使用されるレンチ。
JP2007017817A 2007-01-29 2007-01-29 ボルトナットの防食と緩み止め防止方法及びその際に用いるレンチ Expired - Fee Related JP4745257B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007017817A JP4745257B2 (ja) 2007-01-29 2007-01-29 ボルトナットの防食と緩み止め防止方法及びその際に用いるレンチ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007017817A JP4745257B2 (ja) 2007-01-29 2007-01-29 ボルトナットの防食と緩み止め防止方法及びその際に用いるレンチ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008185091A true JP2008185091A (ja) 2008-08-14
JP4745257B2 JP4745257B2 (ja) 2011-08-10

Family

ID=39728279

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007017817A Expired - Fee Related JP4745257B2 (ja) 2007-01-29 2007-01-29 ボルトナットの防食と緩み止め防止方法及びその際に用いるレンチ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4745257B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012081693A1 (ja) * 2010-12-16 2012-06-21 日東電工株式会社 防水ねじ、シール材、構造体設置方法および構造体設置構造
RU2470198C1 (ru) * 2011-06-23 2012-12-20 Федеральное государственное бюджетное образовательное учреждение высшего профессионального образования "Московский государственный индустриальный университет" (ФГБОУ ВПО"МГИУ") Подвижное резьбовое соединение с выравниванием нагрузки по виткам резьбы
KR101993774B1 (ko) * 2019-03-18 2019-09-24 김대현 휠조임 너트의 풀림 감지 장치

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5038681Y1 (ja) * 1970-01-27 1975-11-08
JPS59127681A (ja) * 1983-01-08 1984-07-23 Nitto Electric Ind Co Ltd 粉体塗装方法
JPS59147111A (ja) * 1983-02-10 1984-08-23 積水化学工業株式会社 合成樹脂製ボルトの製造方法
JPS6368374A (ja) * 1986-09-09 1988-03-28 トツプ工業株式会社 スパナ
JPH0352382U (ja) * 1989-09-29 1991-05-21
JPH08284940A (ja) * 1995-04-13 1996-11-01 Okura Ind Co Ltd ネジ嵌合部の固定化方法、及びその用途
JP2001304219A (ja) * 2000-04-24 2001-10-31 Yoshio Nakakoshi ゆるみ防止用防食金属ボルト
JP2006206682A (ja) * 2005-01-26 2006-08-10 Meira Corp 摩擦係数安定化剤および締結部材

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5038681Y1 (ja) * 1970-01-27 1975-11-08
JPS59127681A (ja) * 1983-01-08 1984-07-23 Nitto Electric Ind Co Ltd 粉体塗装方法
JPS59147111A (ja) * 1983-02-10 1984-08-23 積水化学工業株式会社 合成樹脂製ボルトの製造方法
JPS6368374A (ja) * 1986-09-09 1988-03-28 トツプ工業株式会社 スパナ
JPH0352382U (ja) * 1989-09-29 1991-05-21
JPH08284940A (ja) * 1995-04-13 1996-11-01 Okura Ind Co Ltd ネジ嵌合部の固定化方法、及びその用途
JP2001304219A (ja) * 2000-04-24 2001-10-31 Yoshio Nakakoshi ゆるみ防止用防食金属ボルト
JP2006206682A (ja) * 2005-01-26 2006-08-10 Meira Corp 摩擦係数安定化剤および締結部材

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012081693A1 (ja) * 2010-12-16 2012-06-21 日東電工株式会社 防水ねじ、シール材、構造体設置方法および構造体設置構造
JP2012140844A (ja) * 2010-12-16 2012-07-26 Nitto Denko Corp 防水ねじ、シール材、構造体設置方法および構造体設置構造
RU2470198C1 (ru) * 2011-06-23 2012-12-20 Федеральное государственное бюджетное образовательное учреждение высшего профессионального образования "Московский государственный индустриальный университет" (ФГБОУ ВПО"МГИУ") Подвижное резьбовое соединение с выравниванием нагрузки по виткам резьбы
KR101993774B1 (ko) * 2019-03-18 2019-09-24 김대현 휠조임 너트의 풀림 감지 장치

Also Published As

Publication number Publication date
JP4745257B2 (ja) 2011-08-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
ES2423323T3 (es) Revestimiento anticorrosión y de baja fricción
US8944735B2 (en) Sealer, fastener, bolt and method of fabricating bolt
JP4745257B2 (ja) ボルトナットの防食と緩み止め防止方法及びその際に用いるレンチ
CN1782304A (zh) 可控制埋入部分的腐蚀的钢柱
US9121539B2 (en) Corrosion management systems for controlling. eliminating and/or managing corrosion
JP3128852U (ja) 高耐食性締結具
JP2002188616A (ja) マグネシウム合金部材のボルト締結構造
JP2001304219A (ja) ゆるみ防止用防食金属ボルト
JP5612527B2 (ja) 漏油箇所封止施工方法及び漏油箇所封止構造
CN112032419A (zh) 一种防止生锈的无缝钢管
JP5642520B2 (ja) 封孔処理剤、締結具、ボルトおよびその製造方法
JPH10235286A (ja) 鋼材の接合法及び塗料
US20200338862A1 (en) System and method for preventing or arresting corrosion on infrastructures with an impervious barrier
JP2001081800A (ja) 耐食性金属薄板貼付による防食構造および防食方法
CN211398199U (zh) 一种高强度的六角法兰面螺栓
JP2007285402A (ja) 締結部材及び該締結部材を含む接合部の防食構造
JPH034819Y2 (ja)
JP7231387B2 (ja) 添接板の防食構造
JP5599027B2 (ja) 長期防錆接合の構造体
JP7083453B2 (ja) 鋼材補修方法
JP3048084B2 (ja) 鋼構造物添接部の防食構造
JP2008008306A (ja) 管材の防食構造
JP2001087855A (ja) 鋼構造物の防食構造および防食方法
JP3135432U (ja) 電気鉄道構造物
Colica Zinc Spray Galvanizing

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090729

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101105

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110427

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110511

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140520

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4745257

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees