JP2001302944A - 塗膜形成組成物及びその製造方法並びにコーティング膜 - Google Patents

塗膜形成組成物及びその製造方法並びにコーティング膜

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JP2001302944A
JP2001302944A JP2000124435A JP2000124435A JP2001302944A JP 2001302944 A JP2001302944 A JP 2001302944A JP 2000124435 A JP2000124435 A JP 2000124435A JP 2000124435 A JP2000124435 A JP 2000124435A JP 2001302944 A JP2001302944 A JP 2001302944A
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coating film
film
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metal oxide
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Shin Miyazawa
伸 宮沢
Hideo Fujimori
秀雄 藤森
Yuichi Morihira
雄一 森平
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Ryowa Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来用いられていなかった新たな素材を用い
ることにより、高い防汚性を呈する強固な被膜及びこれ
を基材表面に形成することのできる塗膜形成組成物を提
供する。 【解決手段】 ハイドロタルサイト類と、酸化チタン等
の金属酸化物の微粒子と、コロイダルシリカなどのバイ
ンダーとを混合し、塗膜形成組成物を得ることにより、
半導体表面を有し、粉塵等が付着しにくく、高い防汚性
を呈する強固な被膜を形成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は塗膜形成組成物及び
その製造方法並びにコーティング膜に係り、特に、防汚
性の高い被膜及びこれを形成するための組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、各種物品の表面を保護するた
めに種々の被膜を形成するためのコーティング液が使用
されている。これらのコーティング液によって作られる
被膜には親水性を呈するものと、撥水性を示すものとが
ある。表面保護や防汚性を果たすための被膜としては、
親水性を呈するもの、撥水性(疎水性)を呈するものの
いずれでも有効であるが、従来は撥水性の樹脂コーティ
ング膜などが多用されてきた。しかし、窓ガラスやミラ
ーなどのように視認性が妨げられないようにするため、
或いは、都市部に多い油性の汚染物質の付着を防止する
ためには親水性の被膜が有効であることから、特に近
年、親水性の被膜を形成することが望まれるようになっ
てきた。
【0003】また、これらの被膜には酸化チタンなどの
光触媒を含有したものがあり、光照射を行うことによっ
て光触媒が有機物質を分解するなどの作用をなすことか
ら、身の回りの各種物品にコーティングすることによっ
て抗菌性を持たせたり、エアコンディショナーのエバポ
レータなどにおける有機物質の付着を防止したりするな
どの用途に使用されている。このような光触媒を含有す
る被膜は、通常、光が照射されない場合には光触媒自体
若しくは光触媒とともに被膜中に存在するアルキル基な
どにより疎水性を呈するが、光照射によって生ずる光触
媒効果により、空気中の水分により表面に水酸基が吸着
し、親水性を呈するようになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の親水
性を呈する被膜においては、一般に、基材表面への密着
力が少なく、しかも、表面硬度が低いものが多いため
に、基材表面を擦ることなどによって簡単に被膜が剥離
してしまうという問題点がある。剥離強度を強くしよう
とすると、焼き付けなどの工程が必要になるものが多
く、吹き付け、乾燥などの簡単な作業でコーティングが
でき、しかも、密着力が強く硬度も高い被膜を形成する
ことは困難であった。
【0005】また、表面に親水基を備えた被膜であって
も一般に水に対する接触角は50度前後であることが多
いため、充分な濡れ性を備えているとは言い難く、表面
に水が付着すると水滴になりやすいことから、親水性に
よる汚染防止を図るには充分な効果を発揮することがで
きないという問題点がある。特に、光触媒を含有する被
膜では、光照射時においては親水性を呈するものの、光
が当たっていない状態で時間が経過すると表面の親水基
が失われて疎水性を示すため、夜間などにおいては水滴
が付着するなどによって汚れが付着しやすくなり、一旦
汚れが付着すると光触媒による汚染防止効果を充分に発
揮することができないという問題点がある。
【0006】一方、各種部材の表面汚れにおいては、大
気中に浮遊している帯電した塵埃が部材表面に電気的に
吸着されて発生するものがあり、このような表面汚れは
静電気によって発生するので、汚れ度合の進行が速く、
また、カーボン粒子などが付着しやすいことから汚れが
目立ち易いという問題点がある。
【0007】そこで、本発明は上記問題点を解決するも
のであり、その課題は、防汚性の高い強固な被膜及びこ
れを基材表面に形成することのできる塗膜形成組成物を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の塗膜形成組成物は、[M2+ 1−X3+
(OH)X+[An− X/n・mHO]X−(M
2+は2価の金属イオン、M3+は3価の金属イオン、
n−はn価のアニオン、Xは0より大きく0.33以
下)で示されるハイドロタルサイト類と、金属酸化物の
微粒子とを含むことを特徴とする。この発明によれば、
得られた組成物を塗布、乾燥させると、電荷を持った塵
埃に対する高い防汚性を示すようになり、しかも親水性
を呈する被膜を形成することができる。また、金属酸化
物の微粒子の混入によって被膜の硬度を高めることがで
きる。ここで、塗膜形成組成物としては、水や有機溶媒
などを含めて液状にしたり、或いは、ゲル状にしたりす
ることができる。これらの場合、金属酸化物の微粒子の
表面がハイドロタルサイト類によって覆われた状態にす
ることが好ましい。金属酸化物としては、後述するn型
半導体特性を有する表面を備えたコーティング膜を形成
するために、遷移金属酸化物であることが特に望まし
い。
【0009】次に、本発明の塗膜形成組成物の製造方法
は、[M2+ 1−X3+ (OH)X+[An−
X/n・mHO]X−(M2+は2価の金属イオン、
は3価の金属イオン、An−はn価のアニオン、
Xは0より大きく0.33以下)で示されるハイドロタ
ルサイト類を酸性下にて金属酸化物の微粒子と混合して
形成することを特徴とする。
【0010】次に、本発明に係るコーティング膜は、
[M2+ 1−X3+ (OH) X+[An−
X/n・mHO]X−(M2+は2価の金属イオン、
3+は3価の金属イオン、An−はn価のアニオン、
Xは0より大きく0.33以下)で示されるハイドロタ
ルサイト類と、金属酸化物の微粒子とを含み、前記ハイ
ドロタルサイト類によって少なくとも膜表面における前
記金属酸化物の微粒子の表面が被覆されていることを特
徴とする。ここで、ハイドロタルサイト類は金属酸化物
の微粒子の膜表面側を部分的に覆っていればよく、微粒
子全体を完全に被覆している必要はないものと思われ
る。また、膜表面が半導体と同様の電気的特性を有する
ものであることが好ましく、この場合には電荷を持った
粉塵等の塵埃を吸着することなく、離反させることがで
きるため、高い防汚性を示す。特に、発明者らの実験で
はコーティング膜の表面はn型半導体と判定されること
が多く、たとえば、マイナス電荷を表面に付着させた粉
塵等の塵埃が接近すると、コーティング膜表面が分極
し、電気的バランスがくずれて(電気的不平衡になり)
塵埃の吸着を妨げるものと考えられる。
【0011】本発明において、バインダーを含むことが
好ましい。この手段によれば、被膜の硬度はバインダー
量やバインダーの種類によっても増減するが、ふき取り
に対しても耐え、通常の生活環境下にて充分に耐えうる
硬度を達成することが可能である。
【0012】本発明において、前記金属酸化物の微粒子
の平均粒径が1μm以下であることが好ましい。この手
段によれば、平均粒径が1μm以下の金属酸化物の微粒
子を含有させることにより、被膜表面の平滑性が高ま
り、水等に対する接触角を低減することができるので、
濡れ性を向上させ、被膜表面の汚染度合を低減すること
ができる。
【0013】金属酸化物の平均粒径としては0.001
〜0.5μmであることがより望ましく、さらに0.0
1〜0.1μmであることが特に望ましい。平均粒径が
1μmを越えると濡れ性向上の効果が低下し、触媒能も
重量に対して低下するものと思われる。一方、平均粒径
が0.001μmを下回る微粒子を形成することはきわ
めて困難であり、製造コストも上昇するとともに、被膜
表面の平滑性を向上させる効果も低下する。
【0014】本発明において、前記金属酸化物の少なく
とも一部が酸化チタンであることが好ましい。この手段
によれば、酸化チタン粒子を含有させた場合に、形成し
た被膜の濡れ性の向上、抗菌性の獲得、SOxやNOx
などに対する酸化反応が確認されている。この酸化チタ
ンの粒子形状は任意である。酸化チタンの平均粒径とし
ては1μm以下、特に0.001〜0.5μmであるこ
とが好ましく、特に0.01〜0.1μmであることが
望ましい。
【0015】ハイドロタルサイト類に被覆された金属酸
化物は、塗膜形成組成物によって形成された被膜の表面
を半導体とし、帯電した塵埃などに対する吸着性を低減
させるとともに、被膜の硬度を高める効果をもたらす。
さらに、吸水性(酸化マグネシウム、酸化アルミニウム
など)を有して親水性や濡れ性を向上させたりするもの
が多いため、被膜の特性をさらに向上させることができ
る。
【0016】金属酸化物の微粒子はハイドロタルサイト
類によって被覆され、コーティング膜の表面がn型半導
体となることから、雰囲気中に漂う帯電した塵埃等を吸
着しにくい性質を帯びるものと考えられる。本発明のコ
ーティング組成物を用いて形成した金属酸化物を含むコ
ーティング膜は、絶縁体上に被覆形成された場合、約1
〜1013Ωcmの表面抵抗を呈する半導体特性を
有する。例えば、帯電した塵埃はコーティング膜の表面
に接触したとき、電気的に不平衡な状態になり、表面に
付着することなく、容易に脱落する。
【0017】ここで、金属酸化物として通常の環境下に
て安定な物質であることが好ましく、例えば遷移金属酸
化物としては、酸化チタン(TiO、Ti、Ti
)、酸化マンガン(MnO、Mn、Mn
、Mn、Mn)、酸化鉄(FeO、F
、Fe)などが代表的なものである。ま
た、その他の安定な金属酸化物として、Sc、V、C
r、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、
Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、
W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hgの酸化物が存
在する。さらに、これらの場合、被膜自体は抗菌性やN
Ox、SOxに対する吸着性や触媒能も備える。
【0018】本発明において、前記ハイドロタルサイト
類は、M2+としてMg2+、M としてAl3+
n−としてCO 3−をそれぞれ含むことが好まし
い。このマグネシウム・アルミニウム・ハイドロオキサ
イド・カーボネート・ハイドレートはハイドロタルサイ
ト類の中でも安定性の高い物質であり、容易に入手でき
る。ここで、X=0.33、n=2、m=4が最も望ま
しい。
【0019】さらに、前記バインダーはコロイダルシリ
カであることが望ましい。バインダーとしては無機バイ
ンダーが好ましいが、その中でもコロイダルシリカ(コ
ロイド状シリカ)が組成物の安定性、被膜の密着性、透
明度を向上させる点から見て最も好ましい。
【0020】上記各手段において、前記液体は、水、若
しくは、水とアルコール類との混合物からなる溶媒を含
むことが好ましい。水やアルコールからなる溶媒によっ
て希釈されていることにより、被膜の透明度、組成物の
pH、硬度、揮発性などを調整することができる。ただ
し、その他の有機溶媒を用いても被膜を形成することは
可能である。
【0021】本発明において、バインダーを含む液体に
前記金属酸化物の微粒子を含有させて酸性下にて前記ハ
イドロタルサイト類と混合することが好ましい。この方
法ではバインダーと金属酸化物とを含むスラリーとして
安定化させることが容易であり、また、酸性下において
ハイドロタルサイト類と混合することによって安定性が
良好で、高品位の被膜を形成可能な塗膜形成組成物を得
ることができる。
【0022】ここで、上記金属酸化物の微粒子について
は、ハイドロタルサイトを水に分散させる前に混合して
も、分散後に混合してもよい。また、バインダーを含む
場合には金属酸化物の微粒子を別途バインダーと混合し
た状態でハイドロタルサイトの分散液中に混合すること
が好ましい。
【0023】また、前記ハイドロタルサイト類と前記金
属酸化物の微粒子とを混合させた後に、水及び/又はア
ルコール類により希釈することが好ましい。混合後に水
やアルコール類にて希釈することにより、被膜の透明
度、組成物のpH、硬度、揮発性などを調整することが
できるため、被膜を形成する基材の素材特性や用途にあ
わせて適宜に調製することができる。
【0024】上記各手段において、前記塗膜形成組成物
は、前記ハイドロタルサイト類を5ppm〜1wt%含
むことが好ましい。ハイドロタルサイト類を上記範囲の
濃度に設定することによって、被膜の防汚性及び親水性
を得ることが可能であるとともに、液体の凝集を抑制す
ることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る実施形態につ
いて詳細に説明する。本発明においては、ハイドロタル
サイト類と呼ばれる以下に示す式で表される物質に着目
した。
【0026】 [M2+ 1−X3+ (OH)X+[An− X/n・mHO]X− ・・・(1) ここで、M2+は、Mg2+、Mn2+、Fe2+、C
2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+などの2価の金
属イオンであり、M3+は、Al3+、Fe 、Cr
3+、Co3+、In3+などの3価の金属イオンであ
り、An−は、OH、F、Cl、Br、NO
、CO 2−、SO 2−、Fe(CN) 3−、C
COO、シュウ酸イオン、サリチル酸イオンなど
のn価のアニオンである。また、Xは0より大きく0.
33以下の値を持つ。
【0027】このハイドロタルサイト類は、[M2+
1−X3+ (OH)X+により表される基本層
と、[An− X/n・mHO]X−により表される中
間層とが交互に積み重なった層状構造を備えている。基
本層では、M2+がM3+により最大M2+:M3+
2:1のモル比まで置換されることが可能であり、置換
量を示すXが大きくなるに従って基本層の電荷が大きく
なり、この電荷は中間層のAn−によって中和され、中
間層の残りのスペースはHO(結晶水)によって満た
されている。
【0028】上記ハイドロタルサイト類はアニオン交換
性を備えており、従来から、制酸剤(中和剤)、凝集
剤、吸湿剤、アニオン吸着剤などとしての性質が知られ
ている。
【0029】本発明は、上記ハイドロタルサイト類と、
金属酸化物の微粒子と、必要に応じてバインダー(結着
剤)とを混合し、塗膜形成組成物を得るものである。こ
の場合、ハイドロタルサイト類は酸性下にて水を含む溶
媒に溶解させることができ、金属酸化物の微粒子やバイ
ンダーとの混合が可能になる。一旦、ハイドロタルサイ
ト類が溶解若しくは水中に分散し、金属酸化物の微粒子
やバインダーと混合させてしまえば、さらに水やアルコ
ール類、有機溶媒などで希釈することができる。
【0030】バインダーとしてはシリカ(珪酸)などの
無機バインダー及びアクリル系樹脂などの有機バインダ
ーを用いることができるが、特に、コロイダルシリカを
用いることによってハイドロタルサイト類と結合しやす
く、長期に亘り安定した塗膜形成組成物を得ることがで
きる。また、原液を調製した後の希釈溶媒としては水、
アルコール類、その他の有機溶媒、或いはこれらの混合
液を用いることができる。しかし、コーティング液の安
定性及び乾燥性を高めるにはアルコール類、たとえばメ
タノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの
各種アルコールの中から選ばれた1種または2種以上を
多く用いることが好ましい。
【0031】ハイドロタルサイト類の中でも安定した物
質として、化学名がマグネシウム・アルミニウム・ハイ
ドロオキサイド・カーボネート・ハイドレート(Mg
Al (OH)16CO・4HO)(以下、単に
「ハイドロタルサイトA」という。)がある。具体的に
は、パウダー状の製品として平均粒径が3μm程度のD
HT−6(協和化学工業社製、商標)、平均粒径20〜
300μm程度で多結晶構造の粒子状のキョーワード1
00、キョーワード200、キョーワード300、キョ
ーワード400、キョーワード500PL、キョーワー
ド500SH、キョーワード500SN、キョーワード
1000、キョーワード2000(いずれも協和化学工
業社製、商標)、平均粒径20〜300μm程度で非晶
質構造のキョーワード600、キョーワード700など
がある。このようなハイドロタルサイトAはアニオン置
換性を有し、炭酸基が他のアニオンによって置換され
る。ハイドロタルサイト類とバインダーとの混合は中性
若しくは酸性、好ましくは酸性下において行われる。ア
ルカリ性のもとに混合が行われると、ハイドロタルサイ
ト類の特性に起因して凝集が起こってコーティング液と
しての取り扱いが困難になる。酸性下に制御するにはバ
インダーを含む酸性を呈する液体を用いることもでき、
或いは、酸性を維持するために混合時に別途、酸を添加
してもよい。
【0032】無機バインダーとして最も好ましいコロイ
ダルシリカを含むものとしては、プライマーA(コルコ
ート社製、商標)、セラメート(触媒化成工業社製、商
標)などがある。プライマーAはコロイダルシリカを含
有し、溶媒としてイソプロピルアルコールを主として含
むシリカ分散液である。
【0033】なお、上記のハイドロタルサイトAはDH
T−6、キョーワード100、200、300、40
0、500、1000、2000などのように結晶質の
粒子からなるものを用いたが、非晶質の粒子からなるキ
ョーワード600、700を単独で、若しくは、上記結
晶質の粒子からなるものと混合して用いることによっ
て、抗菌力を高めることができるとともにNOxやSO
xなどの有害ガスを吸収する効果を奏するように構成す
ることができる。
【0034】次に、酸化チタンを含有するコーティング
液の実施形態について説明する。このコーティング液に
おいては、上述のハイドロタルサイト類に酸化チタン粒
子と、バインダーとを混合して形成する。ハイドロタル
サイト類としては、たとえば上記のハイドロタルサイト
Aを用いることができる。また、混合する金属酸化物と
しては、酸化チタン粒子、特に酸化チタンのスラリー溶
液が最も好ましいが、酸化チタンの代わりに、酸化ジル
コニウム、チタン酸ストロンチウム、酸化タングステ
ン、酸化鉄などの遷移金属酸化物やその他の金属酸化
物、例えば、酸化亜鉛、酸化ビスマス、酸化スズ、アル
ミナ、マグネシア、酸化ストロンチウムなどを用いるこ
とも可能である。さらに、バインダーとしてはコロイド
状シリカやコロイド状チタニアなどの無機バインダーが
好ましく、特にコロイド状シリカが最も望ましい。ま
た、酸化チタンとバインダーとを含有する光触媒コーテ
ィング剤も市販されており、酸化チタン粒子とバインダ
ーの代わりに、このような光触媒コーティング剤を用い
ることも可能である。光触媒コーティング剤の具体例と
しては、ST−K03又はST−K01(いずれも石原
産業社製、商標もしくは製品番号)などがある。
【0035】上記ハイドロタルサイト類の粒径よりも小
さい1μm以下の平均粒径を有する金属酸化物として
は、上述の酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸ス
トロンチウム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化ビスマ
ス、酸化亜鉛、酸化スズ、ジルコニア、無定形酸化チタ
ン、酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化クロム、酸化
銅、酸化コバルト、酸化バナジウム、酸化ルテニウムな
どがある。特に、安定な(すなわち通常の環境下におい
て化学的に変成しない)金属酸化物であることが、被膜
の防汚性、硬度を高める点で好ましい。平均粒径として
は0.001〜0.5μmの範囲内であることが好まし
く、特に、0.01〜0.1μmの平均粒径を備えてい
ることが望ましい。上記の酸化チタンとコロイダルシリ
カとの混合スラリー溶液であるST−K03又はST−
K01は、約0.001〜0.5μmの粒度分布を備え
た酸化チタンの微粒子を含有している。
【0036】被膜表面に配置されたハイドロタルサイト
類におけるM2+(例えばMg2+)イオンとM
3+(例えばAl3+)イオンとの隙間部分には炭化水
素基が配置されるため、当該部分は疎水性を呈する。こ
のため、被膜全体としては親水性表面が形成されるもの
の、十分な濡れ性が得られない場合がある。また、ハイ
ドロタルサイト類の粒径は上記のように平均で数十〜数
百μmあり、粒度分布も最低数μm程度と比較的粗いの
で、粒状物として残存したハイドロタルサイト類が存在
すれば、それらの粒径によって被膜表面に凹凸が形成さ
れることから、全体として被膜表面の水等に対する接触
角は増大するものと考えられる。このとき上記の金属酸
化物は、平均粒径で1μm以下、好ましくは0.001
〜0.5μm、さらに望ましくは0.01〜0.1μm
となっているため、塗膜形成組成物が塗布されて硬化し
たとき、ハイドロタルサイト類における粒子間やM2+
イオンとM3+イオンとの隙間を覆うように配置され、
被膜表面を平滑化するので、被膜自体の親水性は変わら
ないものの、見かけ上の濡れ性が向上し、例えば水に対
する接触角がさらに低減されるものと思われる。
【0037】特に、ハイドロタルサイト類中に存在する
酸化アルミニウム(アルミナ)や酸化マグネシウム(マ
グネシア)においては吸湿性(吸水性)が強いため、被
膜表面に大気中の水分を取りこみやすく、特に濡れ性向
上の効果が高くなるものと考えられる。また、酸化チタ
ン、その他の金属酸化物の微粒子を酸性下にてハイドロ
タルサイト類と混合してコーティング液を形成し、この
コーティング液を塗布することによって形成した被膜に
おいては、その表面近傍に存在する金属酸化物の微粒子
の表面がハイドロタルサイト類によって被覆されている
ことが、トンネル顕微鏡による表面観察によって確認さ
れている。そして、被膜表面は後述するように電気的測
定によって電気的に半導体特性を呈することが確認され
た。本発明者らの実験では多くの場合、被膜表面はn型
半導体と判定された。実際の被膜の表面抵抗率は常温で
約10〜1013Ωcmの範囲内にある。しかし、こ
れよりも表面抵抗率が高く、約1014〜1015Ωc
mであっても、当該被膜の通常の環境が50〜60℃な
どの高温環境である場合には、当該環境下での表面抵抗
率は上記範囲内に収まるものと思われ、同様の防汚性を
期待することができる。このような状況においては、被
膜表面における静電気の帯電性を低下させる作用を伴う
とともに、電荷を持った粉塵などの塵埃が被膜表面に接
近若しくは付着すると、被膜表面の分極作用によって電
気的バランスが崩れるので、塵埃が電気的に吸着するこ
となく離反するのではないかと推察され、これによって
静電気による汚れ(特に、自動車の排気ガスに含まれる
カーボンその他の大気中に存在する燃焼生成物等)の付
着を抑制する(或いは促進しない)効果を奏するものと
考えられる。
【0038】特に、発明者らが行った対照実験(基材表
面上に被膜を形成した場合としない場合について比較し
た実験)によって、排気ガスなどの濃度の高い場所でも
高い防汚性を示し、被膜表面の清浄度が保たれる効果を
奏することが確認されており、これによって、ハイドロ
タルサイト類と金属酸化物とを混合して塗膜形成組成物
を構成する場合には、上述のように単に汚れを寄せ付け
ないだけでなく、ハイドロタルサイト類の吸着特性と、
金属酸化物の触媒能とによって大気中の各種物質を吸着
し、さらにこれを酸化する反応が生じていることも考え
られ得る。
【0039】[実施例1] 次に、上記の塗膜形成組成
物の具体例について説明する。上記のハイドロタルサイ
トAに、スラリー溶液である、酸化チタンを含有する酸
化チタンコーティング剤(上記ST−K03又はST−
K01)を投入して混合し、原液Iを形成した。このコ
ーティング剤は、固形分濃度10%、酸化チタンと無機
バインダー(コロイド状シリカ)の重量比が50:5
0、硝酸の含有によりpH=1.5、溶媒としてアルコ
ールと水を含み、粘度は1〜3cpsのものである。そ
して、ハイドロタルサイトAの重量と、上記コーティン
グ剤の容量とを変えて撹拌後の原液IのpHと溶解状態
とを観察した。その結果を表1に示す。
【0040】
【表1】 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 酸化チタンコー ハイドロタル pH 溶解状態 親水性 ティング剤 (ml) サイト A (g) ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― (1) 99.99 0.01 1.0 全体的に溶解 ○ (2) 99.97 0.03 1.2 全体的に溶解 ○ (3) 99.95 0.05 1.4 ほぼ溶解 ◎ (4) 99.92 0.08 1.4 ほぼ溶解 ◎ (5) 99.90 0.10 1.6 ほぼ溶解 ◎ (6) 99.80 0.20 1.7 僅かに沈殿が残る ○ (7) 99.60 0.40 1.9 僅かに沈殿が残る ○ (8) 99.40 0.60 2.3 沈殿からゲル状 ○ (9) 99.00 1.00 4.5 ゲル状 ○ ――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0041】上記表1において、(1)及び(2)のサンプル
では、上記コーティング剤に含まれている硝酸に対して
ハイドロタルサイトAが溶解したものと思われる。親水
性にも支障はなく、被膜にも充分な透明度が得られた。
上から(3)から(5)までの3つのサンプルでは、沈殿物も
ほとんどなく、親水性も得られた。(6)及び(7)のサンプ
ルでは、混合後2時間経過した時点で凝集してしまっ
た。最終的なpHは4.6であった。これらのサンプル
において混合後凝集前に水及び/又はアルコールにより
希釈すると、凝集も発生しなくなり、pHも2〜4の範
囲で安定させることができた。最後の(8)及び(9)の2つ
のサンプルは、いずれも短時間のうちに凝集してしま
う。ただし、脂肪酸、硝酸、塩酸等を添加した後、超音
波振動を付与して凝集を解くことができる。したがっ
て、凝集を解いた後に希釈するなどの方法で安定化させ
ることは可能である。また、後述するように希釈などの
調製を行うことはできなくなるが、ゲル状のまま塗布、
乾燥させることによって親水性の被膜を形成すること自
体は可能である。
【0042】次に、上記表4の(5)の条件で調製した原
液Iに、アルコールを加えて希釈して形成したコーティ
ング液Jに関する結果を表2に示す。このように、基本
的には原液Iを100倍程度まで希釈しても親水性はあ
る。被膜の硬度は無機バインダーのコロイダルシリカの
量を増やせば高くなる。上記の原液Iは強酸性であるの
で、通常は表2に示すように希釈してpHを3〜5程度
まで高めたコーティング液Jとして塗布する。希釈後の
pHは塗布する基材の特性に応じて調製される。また、
希釈によってコーティング液Jを用いて形成した被膜の
透明度が向上する。
【0043】
【表2】 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 原液I(ml) エタノール(ml) 親水性 状態 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― (1) 1 99 △ 撥水性であるが改善可能 (2) 5 95 ○ やや硬度が低い (3) 10 90 ◎ 透明性あり (4) 20 80 ◎ 透明性良好 (5) 30 70 ◎ 透明性良好 (6) 40 60 ◎ 透明性良好 (7) 50 50 ◎ 透明性低い (8) 60 40 ◎ 透明性低い (9) 70 30 ◎ 透明性低い (10) 80 20 ◎ やや表面が粗い (11) 90 10 ◎ やや表面が粗い ――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0044】上記のようにして形成された各コーティン
グ液Jは、ディッピング、手塗り、スプレー、スピンコ
ートなどの種々の方法で塗布することができ、塗布後に
は24時間の常温乾燥でも、あるいは100〜200℃
程度の温度で強制乾燥させてもよい。ガラス板、アルミ
ニウム板、鉄板、アクリル樹脂やポリエチレン樹脂など
の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂やエポキシ樹脂などの
熱硬化性樹脂、ポリカーボネート樹脂等に塗布して被膜
を形成すると強固に付着し、布などで拭き取ってもほと
んど除去されない。また、親水性の良好な被膜において
は、すべての基材において水の接触角は15度以下にな
った。また、コーティング液Jを塗布して形成した被膜
を備えた基材を暗室に入れた後に150時間放置し、そ
の状態で被膜の親水性を測定したところ、親水性は充分
に確保されていた。本実施形態のコーティング液はいず
れも親水性の被膜を形成することができ、自動車、建築
物、その他の窓ガラスやミラーの表面に、容易に剥離し
ない曇りを防ぐ被膜を形成することができる。有機物質
の付着を防止することもできる。また、浴室のタイル、
便器などに塗布するとかびや雑菌の繁殖、有機物の付着
による黄ばみなどを抑制することができる。この場合、
夜間でも親水性が保たれているため、水滴の付着などに
よる汚れを防止できる。
【0045】なお、上記の実施例1においても、ハイド
ロタルサイトAはDHT−6、キョーワード100、2
00、300、400、500、1000、2000な
どのように結晶質の粒子からなるものを用いたが、非晶
質の粒子からなるキョーワード600、700を上記結
晶質の粒子からなるものと混合して用いることによっ
て、NOxやSOxなどの有害ガスを吸着する効果を奏
するように構成することができる。
【0046】また、上記実施例1によって形成した被膜
においては、水に対する接触角が8〜30度程度に留ま
り、被膜表面の濡れ性に関して大きな改善傾向が示され
た。また、この濡れ性は、被膜表面を168時間純水中
に浸漬させた後にも5%程度の劣化に留まり、十分な安
定性を有することが確認された。さらに、上記のいずれ
の実施形態においても、フィルム密着法(銀等無機抗菌
剤研究会による「銀等無機抗菌剤の自主規格及び抗菌試
験法」に準拠して行った抗菌性試験(黄色ブドウ球菌を
用い、植種菌量2.2×10個にて実施)において、
いずれも99%以上の減菌率を得ることができた。特
に、非晶質タイプのキョーワード600、700を結晶
質のハイドロタルサイトと等量(1:1)用いた場合に
は、高い抗菌性並びにSOx、NOxなどに対する良好
な酸化反応を示した。
【0047】[第2実施例]次に、上記第1実施例と同
様に、上記ハイドロタルサイトAを上記酸化チタンコー
ティング液に混合し、上記原液Iとほぼ同様の原液Kを
基材上に塗布し、乾燥させ、コーティング膜表面の電気
抵抗率を測定した。基材としては表面の電気抵抗率が1
15〜1016Ωcmのポリカーボネート樹脂を用い
た。また、電気抵抗率の測定装置としては、ハイレジス
タンスメータ4339B及びレジスティビティセル16
008B(ヒューレットパッカード社製)を用いた。そ
の結果を表3に示す。
【0048】
【表3】 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― ハイドロタルサイト pH 表面抵抗率 防汚性 (wt%) (Ωcm) ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― (1) 0.0001 0.5 1014 〜 1015 △ (2) 0.001 0.5 1013 〜 1014 ○ (3) 0.004 0.5 1013 〜 1014 ○ (4) 0.005 0.5 1012 ◎ (5) 0.007 0.5 1012 ◎ (6) 0.01 1.0 1012 ◎ (7) 0.03 1.0 1012 ◎ (8) 0.05 1.5 1012 〜 1013 ◎ (9) 0.08 2.0 1012 〜 1013 ◎ (10) 0.1 2.5 1012 〜 1013 ◎ (11) 1.0 5.0 1013 〜 1014 ○ (12) 2.0 5.5 1013 〜 1014 ○ (13) 3.0 5.9 1013 〜 1014 ○ (14) 4.0 6.6 1012 〜 1013 ◎ (15) 5.0 6.8 1012 〜 1013 ◎ (16) 10.0 7.8 1012 〜 1013 ◎ (17) 20.0 8.6 1013 〜 1014 ○ (18) 30.0 9.7 1014 〜 1015 △ (19) 40.0 10.1 1014 〜 1015 △ (20) 50.0 11.5 1015 〜 1016 × ―――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0049】表3に示すように、ハイドロタルサイトA
の添加量がきわめて少なければ(0.0001wt%以
下)表面抵抗率が高くなり絶縁体になるが、ハイドロタ
ルサイトAの量が0.001〜20wt%の範囲では表
面抵抗率が1013Ωcm台に止まり、半導体としての
防汚効果を発揮することが可能である。このようにハイ
ドロタルサイトAの量が0.001〜20wt%の範囲
内であれば、形成されたコーティング膜の表面上にカー
ボンの微粉末を接触させても、コーティング膜の表面を
下方に向ければ、カーボンの微粉末はほとんど全て落下
し、コーティング膜の表面が黒く汚れることはない。
【0050】表3において、ハイドロタルサイトAの組
成比が0.005〜0.1wt%であるサンプル(4)〜
(10)は、表面抵抗率が1012前後若しくは1012Ω
cm台であり、きわめて良好な防汚性を示す。また、サ
ンプル(1)〜(10)は液体として比較的安定性がよく、基
材への塗布が容易であり、膜厚の均一性も良好である。
サンプル(11)〜(20)は、ハイドロタルサイトAを添加し
た後に直ちにアルコールなどの有機溶媒で希釈しないと
ゲル化してしまう。
【0051】次に、上記原液Kの比率が5wt%となる
ようにエタノールで希釈した後、2〜3時間攪拌し、さ
らにシラン系カップリング剤等の分散剤を1〜5wt%
添加して溶液Lを調製した(表中の)。この溶液Lを
上記と同様の基材上に塗布してコーティング膜を形成
し、上記と同様の方法で当該コーティング膜の表面の電
気抵抗率を測定した。その結果を表4に示す。なお、原
液Kの濃度を上記以外の値に変えた5種の溶液について
も表中に併記する。
【0052】
【表4】 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― (原液K) ハイドロタルサイト 溶液L内におけ 表面抵抗率 防汚性 (wt%) る濃度(wt%) (Ωcm) ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 0.0001 0.01 1015 × 0.0001 0.1 1014 〜 1015 × 0.0001 1.0 1014 〜 1015 × 0.0001 5.0 1014 〜 1015 × 0.0001 60.0 1014 △ 0.0001 90.0 1014 △ ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 0.001 0.01 1014 〜 1015 × 0.001 0.1 1014 △ 0.001 1.0 1014 △ 0.001 5.0 1013 ◎ 0.001 60.0 1013 ◎ 0.001 90.0 1013 ◎ ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 0.004 0.01 1014 △ 0.004 0.1 1014 △ 0.004 1.0 1014 △ 0.004 5.0 1012 〜 1013 ◎ 0.004 60.0 1013 ◎ 0.004 90.0 1013 ◎ ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 0.005 0.01 1013 〜 1014 ○ 0.005 0.1 1013 〜 1014 ○ 0.005 1.0 1013 〜 1014 ○ 0.005 5.0 1013 ◎ 0.005 60.0 1013 ◎ 0.005 90.0 1013 ◎ ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 0.007 0.01 1013 〜 1014 ○ 0.007 0.1 1013 〜 1014 ○ 0.007 1.0 1013 〜 1014 ○ 0.007 5.0 1013 ◎ 0.007 60.0 1013 ◎ 0.007 90.0 1012 ◎ ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 0.01 0.01 1014 △ 0.01 0.1 1014 △ 0.01 1.0 1013 ◎ 0.01 5.0 1012 ◎ 0.01 60.0 1012 ◎ 0.01 90.0 1011 〜 1012 ◎ ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 0.03 0.01 1014 △ 0.03 0.1 1013 〜 1014 ○ 0.03 1.0 1013 ◎ 0.03 5.0 1013 ◎ 0.03 60.0 1013 ◎ 0.03 90.0 1013 ◎ ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 0.05 0.01 1014 △ 0.05 0.1 1014 △ 0.05 1.0 1013 〜 1014 ○ 0.05 5.0 1013 ◎ 0.05 60.0 1013 ◎ 0.05 90.0 1013 ◎ ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 0.08 0.01 1013 〜 1014 ○ 0.08 0.1 1013 〜 1014 ○ 0.08 1.0 1013 〜 1014 ○ 0.08 5.0 1012 ◎ 0.08 60.0 1011 〜 1012 ◎ 0.08 90.0 1011 〜 1012 ◎ ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 0.1 0.01 1013 〜 1014 ○ 0.1 0.1 1013 〜 1014 ○ 0.1 1.0 1013 〜 1014 ○ 0.1 5.0 1013 〜 1014 ○ 0.1 60.0 1012 〜 1013 ◎ 0.1 90.0 1012 ◎ ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 5.0 0.01 1013 〜 1014 ○ 5.0 0.1 1013 〜 1014 ○ 5.0 1.0 1012 ◎ 5.0 5.0 1012 ◎ 5.0 60.0 1012 ◎ 5.0 90.0 1012 ◎ ―――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0053】このように希釈したコーティング液を用い
てコーティング膜を形成すると、全体的に電気抵抗率は
上昇するが、それでも、ハイドロタルサイト量が0.0
1wt%以上の原液Kを希釈した溶液Lによって形成し
た被膜において、特に良好な半導体特性を示した。
【0054】上記各実施例以外にも、酸性下において各
種の金属酸化物の微粉末に、ハイドロタルサイト及び適
宜のバインダーを混合してコーティング液を調製するこ
とができ、このコーティング液によって上記と同様に良
好な防汚効果を備えたコーティング膜を形成することが
できる。
【0055】上記実施例によって示されるように、コー
ティング液中に金属酸化物の微粒子を混合することによ
って、コーティング膜の表面の電気抵抗率を半導体領域
の値に設定することができる。また、コーティング膜の
表面の電気抵抗率が半導体領域に設定されていることに
よって、コーティング膜の表面に対して塵埃が付着しに
くくなるように設定することができる。
【0056】本実施形態における金属酸化物の微粒子を
含有するコーティング液を用いて形成したコーティング
膜はきわめて良好な防汚性を備えており、例えば、交通
量の多い道路の傍らに設置されているガードレール、道
路標識、看板等の各種設置部材の表面に上記のコーティ
ング膜を形成することによって、これらの表面の汚染を
大幅に低減することができることが確認されている。
【0057】本実施形態のコーティング液は、それ自体
単独で製品化することができるとともに、各種塗料中に
混合した状態でも用いることができる。塗料としては、
例えば、シリコーン系、アクリル系、フッ素系、エポキ
シ系、メラミン系、ウレタン系、フタル酸系、フェノー
ル系、ナイロン(商標、ポリアミド系)、ゴム系、ビニ
ル系、イソシアネート系等の樹脂を含む有機塗料が挙げ
られる。また、各種の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等
に、本実施形態のハイドロタルサイト類及び金属酸化物
の微粒子を混入しても構わない。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、得
られた組成物を塗布、乾燥させることにより、高い防汚
性と硬度を有する被膜を形成することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森平 雄一 長野県岡谷市本町3丁目6番14号 Fターム(参考) 4J038 AA011 HA196 HA216 HA286 HA296 HA446 KA12 KA15 KA20 LA03 LA04 LA06 MA07 MA08 MA10 NA05 NA20 PA19 PB02 PB07 PC03

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 [M2+ 1−X3+ (OH)
    X+[An− X/n・mHO]X−(M2+は2価の
    金属イオン、M3+は3価の金属イオン、A はn価
    のアニオン、Xは0より大きく0.33以下)で示され
    るハイドロタルサイト類と、金属酸化物の微粒子とを含
    むことを特徴とする塗膜形成組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1において、バインダーを含むこ
    とを特徴とする塗膜形成組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2において、前記金
    属酸化物の微粒子の平均粒径が1μm以下であることを
    特徴とする塗膜形成組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に
    おいて、前記金属酸化物の少なくとも一部が酸化チタン
    であることを特徴とする塗膜形成組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に
    おいて、前記ハイドロタルサイト類は、M2+としてM
    2+、M3+としてAl3+、An−としてCO
    3−をそれぞれ含むことを特徴とする塗膜形成組成物。
  6. 【請求項6】 請求項2において、前記バインダーはコ
    ロイダルシリカであることを特徴とする塗膜形成組成
    物。
  7. 【請求項7】 請求項1から請求項6までのいずれか1
    項において、水、若しくは、水とアルコール類との混合
    物からなる溶媒を含むことを特徴とする塗膜形成組成
    物。
  8. 【請求項8】 [M2+ 1−X3+ (OH)
    X+[An− X/n・mHO]X−(M2+は2価の
    金属イオン、M3+は3価の金属イオン、A はn価
    のアニオン、Xは0より大きく0.33以下)で示され
    るハイドロタルサイト類を酸性下にて金属酸化物の微粒
    子と混合して形成することを特徴とする塗膜形成組成物
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項8において、バインダーを含む液
    体に前記金属酸化物の微粒子を含有させて酸性下にて前
    記ハイドロタルサイト類と混合することを特徴とする塗
    膜形成組成物の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項8又は請求項9において、前記
    ハイドロタルサイト類の平均粒径が約3〜500μmで
    あり、前記金属酸化物の微粒子の平均粒径が1μm以下
    であることを特徴とする塗膜形成組成物の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項8乃至請求項10において、前
    記ハイドロタルサイト類と前記金属酸化物の微粒子とを
    混合した後に、水及び/又はアルコール類により希釈す
    ることを特徴とする塗膜形成組成物の製造方法。
  12. 【請求項12】 [M2+ 1−X3+ (OH)
    X+[An− X/n・mHO]X−(M2+は2価の
    金属イオン、M3+は3価の金属イオン、A n−はn価
    のアニオン、Xは0より大きく0.33以下)で示され
    るハイドロタルサイト類と、金属酸化物の微粒子とを含
    み、前記ハイドロタルサイト類によって少なくとも膜表
    面における前記金属酸化物の微粒子の表面が被覆されて
    いることを特徴とするコーティング膜。
  13. 【請求項13】 請求項12において、表面が電気的に
    n型半導体特性を示すことを特徴とするコーティング
    膜。
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