JP2002338943A - 防汚層、その形成方法及び塗布液 - Google Patents

防汚層、その形成方法及び塗布液

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Hideji Kawai
秀治 川合
Makoto Kigami
真 樹神
Ikunori Hatanaka
郁則 畑中
Hiroshi Fukumizu
浩史 福水
Yukari Ichikawa
ゆかり 市川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗膜表面に耐水性、耐アルカリ性に優れたシ
リカ系親水性防汚層を形成する。 【解決手段】 塗膜の表面にコロイダルシリカと、アル
ミナ及び/又はアルミニウムマグネシウム複合酸化物の
好ましくはゾルを含む液を塗布して防汚層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は防汚層の形成方法、
そのための塗布液及び防汚層に関り、特に汚れが付きに
くいセルフクリーニング機能を有した防汚層の形成方
法、塗布液及び防汚層に関する。
【0002】
【従来の技術】タイル等の表面に超親水性の皮膜を形成
すると、該表面に水が付着したときに水が皮膜表面に広
がり、雨水等と共に汚れが皮膜表面に広く広がって流れ
落ちるようになり、該表面に汚れが付きにくくなり、ま
た目立ちにくくなる。
【0003】かかるセルフクリーニング機能を有した超
親水性皮膜としては酸化チタン(TiO)皮膜が広く
用いられている。
【0004】特開平10−158585号公報には、酸
性コロイド状シリカ2.5〜15重量部、アミン化合物
0.1〜15重量部、シリカやアルミナあるいはムライ
ト等の無機充填材10〜80重量部、水又は親水性有機
溶剤17〜87重量部(すべて合計で100重量部)よ
りなるコーティング用組成物をセメント、コンクリー
ト、ガラス、セラミックス等の表面に塗布し、30〜2
00℃にて加熱して塗膜を硬化させ、これによって親水
性で汚れの付着しにくいコーティング層を形成すること
が記載されている。
【0005】特開平6−71219号公報には、合成樹
脂エマルジョンと顔料からなる塗装表面に、コロイド珪
酸水溶液を塗布して、塗装表面にコロイド珪酸被膜を形
成することにより、親水性で耐汚染性に優れたコーティ
ング層を形成することが記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】酸化チタン系の超親水
性皮膜は、TiOの光触媒作用を利用しているため、
光の当らない夜間等にあっては防汚性が発揮されない。
【0007】特開昭10−158585号及び同6−7
1219号のコーティング用組成物を塗布して形成した
コーティング層は、親水性及び耐汚染性を有している。
しかしながら、このコーティング用組成物により形成し
たコーティング層は、耐水性、耐アルカリ性が弱い。
【0008】本発明は、耐水性、耐アルカリ性に優れた
防汚層と、その形成方法と、そのための塗布液を提供す
ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の防汚層の形成方
法は、基材又は塗膜の表面にコロイダルシリカを含む液
を塗布して防汚層を形成する方法において、さらにアル
ミナ及び/またはアルミニウムマグネシウム複合酸化物
を含むことを特徴とするものである。
【0010】本発明の防汚層形成用塗布液は、コロイダ
ルシリカを含む塗布液において、さらに、アルミナ及び
/又はアルミニウムマグネシウム複合酸化物の微粒子を
含むことを特徴とするものである。
【0011】このように、コロイダルシリカのほかに、
さらにアルミナ及び/又はアルミニウムマグネシウム複
合酸化物を含む塗布液を塗布して形成した塗膜は、耐水
性及び耐アルカリ性が著しく高いことが種々の実験の結
果見出された。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてさらに詳細
に説明する。
【0013】本発明の防汚層の形成方法は、コロイダル
シリカと、アルミナ及び/又はアルミニウムマグネシウ
ム複合酸化物を含む液を基材又は塗膜の表面に塗布する
ものである。この基材は、タイル、サイディング等内外
装建材のほか、キッチン、浴槽、洗面器などの住宅用設
備機器、オフィス用品、装飾品、ガードレールなどの土
木資材、家電製品等の機械製品、産業用ロボットなど産
業機械などが例示される。この基材は施釉などの加飾が
施されていてもよい。塗膜としては、これらあるいはそ
の他の基材の表面に形成された有機系あるいは無機系の
塗料の塗布によって形成された塗膜が例示される。この
塗膜は、施工前の基材に形成されたものであってもよ
く、壁、床等に設けられた塗膜であってもよい。
【0014】この防汚層は、基材の製造時に形成されて
もよく、壁、床等や、橋や、建物など、既存の基材に形
成されてもよい。
【0015】この有機系又は無機系の塗膜としては、ア
クリル系、アクリルシリコン系、アルコキシシラン系、
エポキシ系など各種の有機系あるいは無機系塗料により
形成された塗膜のいずれでもよい。
【0016】この基材又は塗膜に塗布される塗布液中の
コロイダルシリカ粒子は非晶質シリカ粒子であることが
好ましい。このシリカ粒子の粒径は50nm以下とくに
5〜50nmとりわけ5〜25nmであることが好まし
い。このシリカ粒子は親水性であるため、防汚層に十分
に高い親水性が与えられる。
【0017】このシリカ粒子は、防汚層中において50
重量%以上(以下、特記しない限り%は重量%を示
す。)とりわけ85%以上存在するように液中に含まれ
ることが好ましい。
【0018】なお、コロイダルシリカ粒子が非晶質であ
ると、粒子表面にOH基が多く存在するので、防汚層の
親水性を更に高めることができる。
【0019】防汚層形成用の塗布液は、コロイダルシリ
カ以外の成分として、造膜成分としてアルキルシリケー
ト好ましくはエチルシリケートや水ガラスを含んでもよ
い。
【0020】この液は、さらに、アルミニウム成分、具
体的にはアルミナ及び/又はアルミニウムマグネシウム
複合酸化物を含有する。このアルミニウム成分を含むこ
とにより、防汚層の耐水性及び耐アルカリ性が大幅に改
善される。このアルミニウム成分は、微粒子とくに粒径
50nm以下例えば5〜50nmの微粒子であることが
好ましく、ゾル又はコロイド状であることが好ましい。
【0021】アルミニウムマグネシウム複合酸化物は、
水和物であってもよい。このアルミニウム成分の割合
は、過度に多いと防汚層の親水性を低下させ、過度に少
ないと防汚層の耐水性、耐アルカリ性改善効果が乏しい
ので、コロイダルシリカ100重量部に対し1〜30重
量部であることが好ましい。
【0022】この塗布液は、フィラーなど他の添加材を
含有してもよい。
【0023】この防汚層の厚さは1000nm以下とく
に50〜200nmが好ましい。防汚層の厚さが100
0nmを超えると防汚層の剥離が発生し易くなる。な
お、防汚層が過度に薄いと、ピンホールなしに塗膜表面
に防汚層を形成することが難しくなる。
【0024】防汚層を基材又は塗膜表面に形成するに
は、上記塗布液を基材又は塗膜表面に塗布し、乾燥させ
ればよい。なお、乾燥に際し必要に応じ加温してもよ
い。この液を塗布するには、ロールコーターを用いた塗
布、スピンコーティング、スプレー、幕掛け法などを採
用することができる。
【0025】
【実施例】実施例1 100×100×16mmのオートクレイブ処理セメン
ト押出し板の表面に、下層として、アクリル樹脂系エマ
ルジョン(濃度40%)50重量部とフィラー(顔料)
50%分散液50重量部との混合液を150g/m
布及び乾燥した後、上層を表1の通り、アクリル樹脂系
エマルジョン(濃度40%)50重量部とフィラー(炭
酸カルシウム)10%分散液50重量部との混合液を塗
布及び乾燥して塗膜を形成した。
【0026】防汚層形成用の液は、表1の通り、コロイ
ダルシリカ(日産化学工業(株)製のコロイダルシリ
カ)の20%分散液100重量部と、アルミニウムマグ
ネシウム複合酸化物(シーアイ化成(株)製のアルミン
酸マグネシウム水和物)1.27%分散液200重量部
と、水300重量部との混合液である。なお、アルミニ
ウムマグネシウム複合酸化物の粒径は約30nmであっ
た。この液をスプレー掛けにより押出し板の表面に10
g/mの割合で塗布した。
【0027】このようにして得られた防汚層付きオート
クレイブ処理セメント押出し板表面の防汚層の接触角、
耐水性及び耐アルカリ性を測定した。
【0028】なお、耐水性及び耐アルカリ性は、JIS
K5400に従って行った。結果を表2に示す。
【0029】実施例2 防汚層形成用の液として、表1の通り、上記コロイダル
シリカ20%分散液100重量部と、アルミニウムマグ
ネシウム複合酸化物分散液200重量部と、水200重
量部との混合液を用いたこと以外は実施例1と同様にし
て防汚層を形成し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0030】実施例3 防汚層形成用の液として、上記コロイダルシリカ20%
分散液100重量部と、アルミニウムマグネシウム複合
酸化物分散液50重量部と、水150重量部との混合液
を用いたこと以外は実施例1と同様にして防汚層を形成
し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0031】実施例4 防汚層形成用の液として、上記コロイダルシリカ20%
分散液100重量部と、アルミニウムマグネシウム複合
酸化物分散液20重量部と、水120重量部との混合液
を用いたこと以外は実施例1と同様にして防汚層を形成
し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0032】実施例5 アクリル樹脂系エマルジョンの代わりにアクリルシリコ
ン系樹脂エマルジョン(濃度42%)を用いて塗膜を形
成したこと以外は実施例2と同様にして実験を行った。
結果を表2に示す。
【0033】実施例6 防汚層形成用液として、上記のコロイダルシリカ100
重量部と、アルミナゾル(シーアイ化成(株)製。粒径
約30nm)10%分散液20重量部と、水120重量
部との混合液を用いたこと以外は実施例1〜4と同様に
して実験を行った。結果を表2に示す。
【0034】比較例1 防汚層形成用の塗布液として、上記コロイダルシリカ分
散液100重量部と水100重量部との混合液を用いた
こと以外は実施例1〜4,6と同様にして実験を行っ
た。結果を表2に示す。
【0035】表2の通り、実施例1〜6は塗膜表面の防
汚層の耐水性及び耐アルカリ性に優れる。
【0036】これに対し、比較例1は、耐水性にやや劣
り、耐アルカリ性に劣る。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】以上の通り、本発明によると、耐水性及
び耐アルカリ性が良く、耐久性に優れた防汚層が形成さ
れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B32B 9/00 B32B 9/00 A C09D 1/00 C09D 1/00 5/16 5/16 (72)発明者 畑中 郁則 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式 会社イナックス内 (72)発明者 福水 浩史 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式 会社イナックス内 (72)発明者 市川 ゆかり 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式 会社イナックス内 Fターム(参考) 4D075 CA34 DC01 DC18 DC38 EB42 EC02 4F100 AA19B AA20B AA33B AB10B AK25 AT00A CA13 CA23 EH46 EH462 EH61 EH612 EJ86 EJ862 JB07 JL06B JM01 JM02A 4J038 AA011 HA216 HA441 KA02 KA20 MA02 NA04 NA05 NA06 PB04 PB05 PB06 PB09 PC02 PC04 PC06 PC08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材又は塗膜の表面にコロイダルシリカ
    を含む液を塗布して防汚層を形成する方法において、 前記液はさらに、アルミナ及び/又はアルミニウムマグ
    ネシウム複合酸化物の微粒子を含むことを特徴とする防
    汚層の形成方法。
  2. 【請求項2】 コロイダルシリカを含む防汚層形成用塗
    布液において、さらに、アルミナ及び/又はアルミニウ
    ムマグネシウム複合酸化物の微粒子を含むことを特徴と
    する塗布液。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記コロイダルシリ
    カに対する前記アルミナ及び/又はアルミニウムマグネ
    シウム複合酸化物の固形分の重量割合が100:1〜3
    0であることを特徴とする塗布液。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3の塗布液の塗布により形
    成された防汚層。
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