JP2001300265A - 濾過モジュールおよびその製造方法 - Google Patents
濾過モジュールおよびその製造方法Info
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Abstract
界面における中空糸膜の破断が起こらず、かつ、高い差
圧をかけて濾過・逆洗を繰り返してもリークが発生する
ことのない濾過モジュールを提供する。 【解決手段】 複数の中空糸膜の両端または片端がウレ
タン樹脂で固定された濾過膜モジュールにおいて、使用
温度範囲における該ウレタン樹脂の硬度がD40〜 D
70であることを特徴とする濾過モジュール。
Description
過等の分離プロセスに用いられる濾過モジュールに関
し、さらに詳しくは、冷水の濾過プロセス用および温水
や熱水の濾過プロセス用として好適に用いられる濾過モ
ジュールおよびその製造方法に関する。
種工業製品の製造プロセスや上水および下水等の水処理
プロセス等において広く採用されているが、近年、処理
コストの低減のため、より大型のモジュールを求められ
ている。これらのモジュールは、使用温度上限が少なく
とも40℃であり、特に、超純水の製造プロセスや医薬
・食品分野の製造プロセスでは使用温度上限が80℃で
ある場合が多い。また、運転時の操作圧力は通常150
〜200kPa以下であるが、場合によっては300k
Pa近くに達してしまうことがあり、モジュールとして
は最大差圧300kPaに耐え得るものであることが求
められている。
では、中空糸膜の固定のためにエポキシ樹脂が使用され
ていた。エポキシ樹脂は弾性率が高いために中空糸膜と
の接着界面において中空糸膜が破断し易いという問題が
あり、これを防止するために、エポキシ樹脂と中空糸膜
との接着界面にシリコーン樹脂等の柔軟な樹脂をポッテ
イングすることが行われていた。しかしながら、この方
法では2回の接着工程が必要となり、経済性に劣る欠点
を有していた。これに対して、近年、ウレタン樹脂をポ
ッティング剤として採用することが、特開平7−472
39号公報や特開平7−53665号公報、特開平8−
71378号公報に提案されている。
ニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと記す)と
ポリオキシテトラメチレングリコール(以下、PTMG
と記す)とから得られたイソシアネート基末端プレポリ
マーと、PTMGとひまし油またはひまし油誘導体ポリ
オールとから構成される硬化剤成分とで硬化させて成る
ウレタン樹脂が、ゴム状領域の高温側温度が100℃を
超え、107 N/m2台の貯蔵弾性率を示すこと、およ
び、このウレタン樹脂をポッティング剤として用いた濾
過モジュールは、90℃の熱水を差圧200kPaの条
件で6ヶ月間リークの発生なく連続濾過を実施できるこ
とが開示されている。しかしながら、この構成によるウ
レタン樹脂では、高い差圧に耐え得る充分な硬度が得難
いため、接着部の内径が75mm以上の大型モジュール
に採用した場合、差圧によってポッテイング部が大きく
変形し、リークが発生し易いという問題があった。
MDIと分子量650〜3000のジオールをNCO/
OH当量比3〜5で反応して得られるNCO末端プレポ
リマーと、分子量650〜3000の活性水素基含有化
合物と1,4−ブタンジオールから構成される硬化剤成
分とで硬化させて成るウレタン樹脂が、25℃から80
℃の範囲で硬度変化が少ないことが開示されている。し
かしながら、開示された構成でのウレタン樹脂では硬度
が低いため、接着部の内径が75mm以上の大型モジュ
ールに採用した場合、差圧によってポッテイング部が大
きく変形し、リークが発生し易いという問題があった。
は、NCO含量が13重量%以上のポリイソシアネート
を、OH価が700mg−KOH/g以上のポリエーテ
ルポリオールに対して化学量論量の100〜105%加
えて硬化させたウレタン樹脂を用いた濾過モジュール
は、121℃のオートクレーブ処理と20℃の水中浸漬
を繰り返してもリークの発生がないことが開示されてい
る。しかしながら、この構成のウレタン樹脂では、室温
から10℃の低温領域で硬度が高く、そのために中空糸
膜との接着界面において中空糸膜が破断し易いという問
題があった。
うな状況に鑑み、広い使用温度範囲でポッティング剤と
の接着界面における中空糸膜の破断が起こらず、かつ、
高い差圧をかけて濾過・逆洗を繰り返してもリークが発
生することのない濾過モジュールを提供することを課題
とする。
解決するため、特定の硬度を有しているウレタン樹脂を
濾過モジュールのポッティング剤として用いた場合、中
空糸膜の破断を招来せず、かつ、リークの発生なく高い
差圧をかけて濾過・逆洗を実施し得ること、および、特
定の分子量の高分子ポリオールで構成され、かつ、特定
量のハード部を含有したウレタン樹脂が、低温から高温
までの広い温度範囲で上記硬度を有することを見出し、
本発明に到達した。
固定された濾過膜モジュールにおいて、使用温度範囲に
おける該ウレタン樹脂の硬度がD40〜 D70である
ことを特徴とする、濾過モジュール。 2)使用温度範囲が10℃〜80℃であることを特徴と
する、1)記載の濾過モジュール。 3)ウレタン樹脂が、ジフェニルメタンジイソシアネー
トと高分子ポリオール、および、分子量200以下の短
鎖ジオールとを出発原料とし、ハード含有量が42〜6
0重量%であり、かつ、ハード部数平均分子量が700
〜3000であることを特徴とする、1)または2)記
載の濾過モジュール。 4)(A)OH価が200〜50mg−KOH/gの高
分子ポリオールとジフェニルメタンジイソシアネートと
から合成されたイソシアネート基末端プレポリマーと、
(B)分子量200以下の短鎖ジオールとを混合して硬
化させることにより、複数の中空糸膜の両端または片端
をウレタン樹脂で固定することを特徴とする、濾過モジ
ュールの製造方法。
に説明する。本発明における濾過膜モジュールは、複数
の中空糸膜の両端または片端がウレタン樹脂で固定され
ており、使用温度範囲における該ウレタン樹脂の硬度が
D40〜 D70である必要がある。該硬度がD40未
満では、柔軟すぎて濾過・逆洗時の圧力がかかった時に
ウレタン樹脂が大きく変形し、接着界面で剥離を生じた
り中空糸膜が破断してリークを起こす。一方、 D70
を超える場合には、濾過時や逆洗時にウレタン樹脂との
接着界面において中空糸膜が破断する傾向が強くなる。
該硬度は、 D65 〜 D40であることが好ましく、
D60〜 D45であることがより好ましい。なお、本
発明における硬度とは、JIS K 6253−199
3に準じて、タイプDデュロメーターを用いて10秒加
圧した後の測定値である。
の処理用途であれば10℃〜40℃であり、また、医薬
・食品分野での用途であれば10℃〜80℃である場合
が多い。従って、各用途による使用温度範囲において、
上記の硬度を有することが必要である。特に、10℃〜
80℃の広い温度範囲において上記硬度を有するウレタ
ン樹脂を用いた濾過モジュールであれば、上水や下水排
水の処理用途や医薬・食品分野向け用途等広い用途に適
用でき、好適である。
は、高分子ポリオールとMDIおよび分子量200以下
の短鎖ジオールを出発原料とし、これらを反応して得ら
れ、出発原料のMDIと短鎖ジオールとから構成される
ハード部のハード含有量が42〜60重量%の範囲であ
って、かつ、該ハード部の数平均分子量が700〜30
00の範囲になるよう調整することによって得ることが
できる。なお、ハード含有量とは、全構成成分重量に対
するMDIと短鎖ジオールとの合計重量の百分率であ
り、ハード部数平均分子量は、構成する高分子ポリオー
ルのOH価から計算される数平均分子量とハード含有量
から次式によって計算される値である。 A=B×C/(100−C) 式(1)
量、Bは高分子ポリオールの数平均分子量、Cはハード
含有量を表す。上記のハード含有量は、45〜55重量
%の範囲であることがより好ましく、45〜52重量%
の範囲であることが特に好ましい。該ハード含有量が4
2重量%未満の場合や60重量%を超える場合では、硬
度が前記の範囲を超えてしまう場合が多い。また、上記
のハード部数平均分子量は、800〜2500の範囲が
より好ましく、800〜2000の範囲が特に好まし
い。該ハード部数平均分子量が700未満では硬度の温
度特性が悪く、上記の範囲を超えてしまう場合が多い。
また、3000を超える場合では、均質な組成でなくて
機械的強度が不充分であったり、硬度が上記の範囲を超
えてしまう場合が多い。
平均分子量が400以上であり、かつ、平均水酸基数が
高分子鎖1モル当り2モル以上であるものを言う。この
ような高分子ポリオールとしては、例えば、PTMG、
ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイドとプロ
ピレンオキサイドの共重合グリコール、ポリエステル系
ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、水酸基末
端ポリブタジエン、ひまし油系ポリオールなどが挙げら
れる。中でも、PTMGは、耐水性や機械的強度特性が
良好なウレタン樹脂が得られ、特に好ましい 。
0〜50mg−KOH/gの範囲であることが好まし
い。140〜60mg−KOH/gの範囲にあることが
より好ましく、120〜60mg−KOH/gの範囲に
あることが特に好ましい。そのOH価が200mg−K
OH/gを超える場合には、硬度の温度による変化が大
きくなり、10〜80℃の温度範囲において上記の硬度
範囲であるウレタン樹脂を得ることが困難である。ま
た、 OH価が50mg−KOH/g未満の場合には、
硬化中に甚だしい相分離が起こり易く、充分な機械的強
度が得難くなる。なお、本発明における高分子ポリオー
ルとしては、上記に例示した高分子ポリオールの混合物
であってもよく、この場合、その混合物のOH価が上記
の範囲であることが好ましい。
としては、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタン
ジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタ
ンジオール、1,10−デカンジオール等が挙げられる
が、中でも、1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサ
ンジオールが好ましい。なお、本発明におけるウレタン
樹脂の構成成分として、上記の高分子ポリオール、短鎖
ジオール、およびMDIの他に、少量であれば3官能以
上のOH基を有する低分子量ポリオールを含有すること
もできる。
オールとMDIとをNCO/OHのモル比が3〜10の
範囲になるように混合して反応させて得られるイソシア
ネート基末端プレポリマー(以下、NCO基末端プレポ
リマーと記す)を合成し、これと短鎖ジオールとを混合
して反応させることによって、上記の硬度特性を有する
硬化物が得られる。なお、所定量の内の一定割合の高分
子ポリオールとMDIとからNCO末端プレポリマーを
合成し、残余の高分子ポリオールと短鎖ジオールとを予
め混合しておき、この混合物と該NCO末端プレポリマ
ーとを混合して反応させることもできる。該NCO末端
プレポリマーのイソシアネート基と高分子ポリオールお
よび短鎖ジオールの水酸基との当量比(NCO/OH)
は、0.95〜1.15が好ましく、より好ましくは、
1.0〜1.1の範囲で反応させるのが良い。
製多孔質膜が用いられる。例えば、エチルセルロース、
ニ酢酸セルロース、酢酸セルロース、セルロース等のセ
ルロース類、6,6ナイロン等のポリアミド類、ビニル
アルコール系樹脂、ポリアクリロニトリル等のアクリル
系樹脂、ポリフッ化ビニリデン等のフッ化ビニリデン系
樹脂、ポリエーテルスルフォンやポリスルフォン等のス
ルフォン系樹脂、ポリエチレン等のオレフィン系樹脂等
の高分子を素材とした、精密濾過膜や限外濾過膜を挙げ
ることができる。中でも、耐熱性を有するフッ化ビニリ
デン系樹脂やスルフォン系樹脂、オレフィン系樹脂を素
材とした中空糸膜が好適に用いることができる。
は、耐熱性が良好なスルフォン系樹脂やポリカーボネー
ト、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ABS樹脂、ポリフ
ェニレンエーテル系樹脂等の高分子材料やSUS等の金
属材料を好適に用いることができる。本発明の濾過モジ
ュールは、所定の本数を所定の長さに揃えた中空糸膜束
をモジュールケースに挿入し、公知の遠心成型法によっ
て上記のプレポリマー混合物を注入して硬化させること
により製造できる。さらに、硬化後、濾過モジュールの
使用温度に応じて、50〜120℃の範囲でアフターキ
ュアーを施こすことにより、高温でのウレタン樹脂の物
性低下を少なくすることもできる。
る。 <合成例1>NCO基末端プレポリマー(NCO−1)
の合成 MDI55.8重量部を撹拌機付き反応器に仕込み、O
H価が113mg−KOH/gのPTMG44.2重量
部を窒素気流下で撹拌しながら滴下し、温度60℃にて
3時間反応させてNCO基末端プレポリマー(NCO−
1)を得た。 <合成例2>NCO基末端プレポリマー(NCO−2)
の合成 OH価が113mg−KOH/gのPTMGとOH価が
56.7mg−KOH/gのPTMGとを混合したPT
MG混合物( OH価:63.5mg−KOH/g)5
1.4重量部、および、MDI48.6重量部とした他
は、合成例1と同様にしてNCO基末端プレポリマー
(NCO−2)を得た。
シアネート基末端プレポリマーとPTMGおよび短鎖ジ
オールを50℃に加温して1分間混合した後、減圧下で
2分間脱気してから型に流し込み120℃で16時間硬
化させた。該ウレタン樹脂の10℃と80℃における硬
度を表1に示す。なお、硬度は、測定試料を各温度で1
6時間保持した後、直ちにUF.SHORE’S DU
ROMETER TYPE D を用いて測定した。
ポリスルフォン製モジュールケースに、内径0.75m
m外径1.35mmのポリスルフォン製中空糸膜180
0本を挿入し、50℃に加温した遠心成型機にセットし
た後、20N・m2 /kg2の条件で表1のウレタン樹
脂プレポリマーを混合・注入して1時間遠心成型した。
次いで、90℃で16時間硬化させた。該濾過モジュー
ルを各3本作製した。なお、ポッティング部の厚みは2
5mmとした。該モジュールの1本を解体してウレタン
樹脂をサンプリングし、硬度を測定した結果を表2に示
す。該モジュールを用いて、10℃と80℃の2条件夫
々で濾過と逆洗の繰り返し試験を行った。濾過時および
逆洗時の膜差圧を300kPaとした。その結果を表2
に示す。
3とニッポラン4221を各々63重量部、37重量部
を混合・注入した他は、実施例1と同様にして、内径9
4mmのヘッダー部を有する円筒状ポリスルフォン製モ
ジュールを成型し、硬化させた。実施例1と同様にして
ウレタン樹脂をサンプリングし、硬度を測定したとこ
ろ、10℃ではD73、80℃ではD25であった。実
施例1と同様にして、10℃で濾過と逆洗の繰り返し試
験を行ったところ、45サイクル目でリークが発生し
た。該モジュールを解体して観察したところ、中空糸膜
との接着界面で中空糸膜が破断していた。また、実施例
1と同様にして、80℃で濾過と逆洗の繰り返し試験を
行ったところ、10サイクル目でリークが発生した。該
モジュールを解体して観察したところ、モジュールケー
スとの接着界面近傍に亀裂が生じて剥離していた。
ュールは、広い使用温度範囲において硬度の変化が小さ
く、かつ、適度な硬度を有しているウレタン樹脂をポッ
ティング剤として使用しているため、接着界面における
濾過膜の破断が起こらず、かつ、高圧で濾過・逆洗を繰
り返してもリークの発生を起こさない。従って、広い温
度範囲で使用することができ、実用上極めて有用であ
る。
Claims (4)
- 【請求項1】 複数の中空糸膜の両端または片端がウレ
タン樹脂で固定された濾過膜モジュールにおいて、使用
温度範囲における該ウレタン樹脂の硬度がD40〜 D
70であることを特徴とする、濾過モジュール。 - 【請求項2】 使用温度範囲が10℃〜80℃であるこ
とを特徴とする、請求項1記載の濾過モジュール。 - 【請求項3】 ウレタン樹脂が、ジフェニルメタンジイ
ソシアネートと高分子ポリオール、および、分子量20
0以下の短鎖ジオールとを出発原料とし、ハード含有量
が42〜60重量%であり、かつ、ハード部数平均分子
量が700〜3000であることを特徴とする、請求項
1または請求項2記載の濾過モジュール。 - 【請求項4】 (A)OH価が200〜50mg−KO
H/gの高分子ポリオールとジフェニルメタンジイソシ
アネートとから合成されたイソシアネート基末端プレポ
リマーと、(B)分子量200以下の短鎖ジオールとを
混合して硬化させることにより、複数の中空糸膜の両端
または片端をウレタン樹脂で固定することを特徴とす
る、濾過モジュールの製造方法。
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- 2000-04-28 JP JP2000129876A patent/JP4780738B2/ja not_active Expired - Fee Related
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