JP2007222764A - 中空糸膜モジュールに用いられるシール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物、及び該組成物を用いた中空糸膜モジュール用シール材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 耐塩素性に優れ、大型の中空糸膜モジュールの製造にも適用可能であり、また、必要に応じて所望される比較的低硬度の中空糸膜モジュール用シール材にも適用可能な、中空糸膜モジュールに用いられるシール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物、及び該形成性組成物を用いて得ることのできる中空糸膜モジュール用シール材を提供すること。
【解決手段】 中空糸膜モジュールに用いられるシール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物の構成をなす一成分として、12−ヒドロキシステアリン酸の縮合物と低分子ポリオールとから得られるポリエステルポリオールを導入することにより、解決する。
【選択図】 なし
【解決手段】 中空糸膜モジュールに用いられるシール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物の構成をなす一成分として、12−ヒドロキシステアリン酸の縮合物と低分子ポリオールとから得られるポリエステルポリオールを導入することにより、解決する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、中空糸膜モジュールに用いられるシール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物、及び該組成物を用いた中空糸膜モジュール用シール材に関する。具体的には、耐塩素性に極めて優れ、中空糸膜モジュールの大型化にも対応可能であり、中空糸膜モジュールにおける緩衝用シール材としても好適に用いることができ、且つ、必要に応じてJIS A硬度が30〜60という硬度でも好適に用いることが可能な中空糸膜モジュール用シール材を提供することが可能なポリウレタン樹脂形成性組成物、及び該組成物を用いた中空糸膜モジュール用シール材に関する。
一般に、血液処理器、浄水器、水処理装置を構成する中空糸膜モジュール(中空糸膜型濾過装置)用のシール材として、常温での可撓性、接着性及び耐薬品性に優れているポリウレタン樹脂を用いることが、広く知られている。
このようなシール材として、例えば、イソシアネート基含量が8〜25質量%のポリイソシアネートである主剤(A)と、公称平均官能基数が6以上のポリエーテルポリオールを20質量%以上含有する水酸基価が370〜680mgKOH/gの硬化剤(B)とを、イソシアネート基と水酸基のモル比が特定の範囲で反応させて硬化させることを特徴とする注型用ポリウレタン樹脂形成性組成物及び該組成物を用いたシール材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
近年、水処理装置という用途を鑑み、日本の水道法において水質管理面から一定量以上の遊離残留塩素を確保するよう定められているとの背景から、近年、耐塩素性が要求されはじめており、これに対応した中空糸膜モジュール用シール材が要求されはじめている。
前述にて例示したポリウレタン樹脂では、近年所望されている耐塩素性には対応できず、不適である。
一方で、水処理装置として用いられる中空糸膜モジュールには、処理能力の更なる向上という目的から、中空糸膜モジュール自体が大型化される傾向がある。このため、中空糸膜モジュール用として供されるシール材についても、この大型化に対応できるものが要求されるようになってきている。
従来、このような要求性能を満たすべく、例えば、水処理装置として用いられる中空糸膜モジュールに対応可能なシール材としては主にエポキシ樹脂が使用されているのが現状である。しかし、一般的にこのエポキシ樹脂自体が高硬度であるがために、水処理時において中空糸に何らかの衝撃がかかった場合、中空糸の切断といった不具合が発生する場合もあった。
この中空糸の切断という不具合を極力解消すべく、水処理装置として用いられる大型の中空糸膜モジュールに対応可能なシール材への要求性能として、近年新たに、JIS A硬度が30〜60といった比較的低硬度のシール材が求められる場合も出始めている。
本発明の目的は、前述のような背景を鑑み、耐塩素性に優れ、且つ、中空糸膜モジュールの大型化にも対応でき、且つ、必要に応じて要求されるJIS A硬度が30〜60といった比較的低硬度のシール材にも使用することが可能な、中空糸膜モジュールに用いられるシール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物、及び該組成物を用いた中空糸膜モジュール用シール材を提供することにある。
上記の問題点を解決するために、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、シール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物を構成する成分として、12−ヒドロキシステアリン酸の縮合物と低分子ポリオールから得られるポリエステルポリオール(b1)を用いることが非常に有効であることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は次の(1)〜(4)のとおりである。
(1) 12−ヒドロキシステアリン酸の縮合物と低分子ポリオールから得られるポリエステルポリオール(b1)を用いることを特徴とする、中空糸膜モジュールに用いられるシール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物。
(2) (1)に記載のシール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物を硬化して得られることを特徴とする、中空糸膜モジュール用シール材。
(3) 中空糸膜モジュールにおける緩衝用シール材として用いられることを特徴とする、(2)に記載の中空糸膜モジュール用シール材。
(4) JIS A硬度が30〜60であることを特徴とする、(2)に記載の中空糸膜モジュール用シール材。
本発明の組成物のように、シール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物を構成する成分として、12−ヒドロキシステアリン酸の縮合物と低分子ポリオールから得られるポリエステルポリオール(b1)を用いることで、とりわけ近年需要が伸びている水処理装置において用いられる中空糸膜モジュール用シール材に所望される耐塩素性という要求性能の付与が可能となる。
また、近年における中空糸膜モジュール自体の大型化にも対応できる中空糸膜モジュール用シール材を供することも可能であり、例えば水処理能力の向上という要求にも対応可能になる。
さらに、可使時間内における中空糸膜の切断といった不具合を防止するとの観点などから、必要に応じて所望されるシール材自体の低硬度化にも、耐塩素性を確保しつつ対応可能である。
これらの効果は、近年所望される中空糸膜モジュールへの対応、しいては中空糸膜モジュールの可使(水処理)時間の長期化に寄与することができるという、非常に大きなメリットを有することになる。
本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の中空糸膜モジュールに用いられるシール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物は、イソシアネート成分を含有する主剤(A)と、ポリオール成分を含有する硬化剤(B)とから構成され、その構成をなす一成分として、12−ヒドロキシステアリン酸の縮合物と低分子ポリオールから得られるポリエステルポリオール(b1)が含まれる。
本発明に供される12−ヒドロキシステアリン酸の縮合物と低分子ポリオールから得られるポリエステルポリオール(b1)は、供される中空糸膜モジュール用の製造条件等に応じて、イソシアネート成分を含有する主剤(A)又はポリオール成分を含有する硬化剤(B)のどちらか一方に導入して用いても良いし、主剤(A)と硬化剤(B)の双方に導入して用いても良い。
前記の12−ヒドロキシステアリン酸の縮合物と低分子ポリオールから得られるポリエステルポリオール(b1)は、12−ヒドロキシステアリン酸の縮合物(b1a)と低分子ポリオール(b1b)とを原料とした、公知のエステル化反応により得ることができる。
前記12−ヒドロキシステアリン酸の縮合物(b1a)は、12−ヒドロキシステアリン酸の縮合反応により得ることができる。縮合の度合いにより、二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、七量体、もしくはそれ以上の重縮合体とすることができる。
本発明においては、得られるシール材における耐水性、シール材を得る際の成型加工性(液の粘度等)、さらにエステル化反応のしやすさ(液状であることが好ましい)を考慮した場合、四量体以上の縮合物を用いるのが好ましい。
なお、12−ヒドロキシステアリン酸の縮合物(b1a)は、12−ヒドロキシステアリン酸の単成分を用意したものを用いて得られても良く、または、ヒマシ油を原料として、これを水素添加して得られた12−ヒドロキシステアリン酸(不純物として12−ヒドロキシステアリン酸以外のヒマシ油脂肪酸を含む)を用いて得られても良い。
また、得られた12−ヒドロキシステアリン酸の縮合物(b1a)と低分子ポリオールとをエステル化反応させる際、前述のヒマシ油を原料として水素添加により12−ヒドロキシステアリン酸に含まれるヒマシ油脂肪酸を含んだまま、エステル化反応を行っても良い。この場合、12−ヒドロキシステアリン酸/ヒマシ油脂肪酸の質量比は1/99〜99/1、好ましくは40/60〜99/1の範囲であることが好ましい。
一方、低分子ポリオール(b1b)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−、1,3−または1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサングリコール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、水添ビスフェノールAなどの2価のポリオール(低分子グリコール);例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの3〜8価のポリオールが挙げられる。低分子ポリオールの分子量は、通常50〜200とされる。
本発明においては、シール材を得る際の成型加工性(液の粘度等)を考慮した場合、低分子ポリオール(b1b)としては2〜6価のポリオールを用いるのが好ましく、中でも、得られるシール材における機械的強度をも確保するとの観点から、グリセリンやトリメチロールプロパンといった3価のポリオールを用いるのが特に好ましい。
これらの原料により得られる12−ヒドロキシステアリン酸の縮合物と低分子ポリオールから得られるポリエステルポリオール(b1)の数平均分子量は、本発明の組成物より得られるシール材の諸物性の点から、500以上であることが好ましく、特に1000〜5000であることが好ましい。更に、これらの12−ヒドロキシステアリン酸の縮合物と低分子ポリオールから得られるポリエステルポリオール(b1)の水酸基価は、前記と同様の点から、10〜350mgKOH/gの範囲が好ましく、特に20〜200mgKOH/gであることが好ましい。
本発明の組成物の主剤(A)には、イソシアネート成分として、イソシアネート基を含有する化合物(a1)と、一分子中に活性水素を2個以上有するポリオール(b2)(12−ヒドロキシステアリン酸の縮合物と低分子ポリオールから得られるポリエステルポリオール(b1)を除く)とを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー(以下「イソシアネート基末端プレポリマー」と略記。)が含有されている。なお、必要に応じて、12−ヒドロキシステアリン酸の縮合物と低分子ポリオールから得られるポリエステルポリオール(b1)と一分子中に活性水素を2個以上有するポリオール(b2)を併用しても良い。
前記イソシアネート基末端プレポリマーを得るために使用されるイソシアネート基含有化合物(a1)は、一分子中にイソシアネート基を2個以上含有する化合物であり、例えば、炭素数(イソシアネート基中の炭素原子を除く炭素原子の数、以下同じ)2〜18の脂肪族系イソシアネート、炭素数4〜15の脂環族系イソシアネート、炭素数6〜20の芳香族系イソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族系イソシアネートを挙げることができる。
また、これら一連のイソシアネートにおけるイソシアネート基の一部又は全部について、イソシアヌレート変性、ビュレット変性、アロファネート変性、ウレトジオン変性、ウレトンイミン変性、カルボジイミド変性、オキサゾリドン変性、アミド変性、イミド変性等の変性を行って得られる化合物をも挙げることができる。
炭素数2〜18の脂肪族系イソシアネートとしては、例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、ビス(2−イソシアネートエチル)カーボネート、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等を挙げることができる。
炭素数4〜15の脂環族系イソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート等を挙げることができる。
炭素数6〜20の芳香族系イソシアネートとしては、例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、及びこれらの混合物;以下「MDI」と略記)、ナフタレンジイソシアネート、ベンゼン環を3個以上有するポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等を挙げることができる。
炭素数8〜15の芳香脂肪族系イソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジイソシアネートエチルベンゼン等を挙げることができる。
本発明においては、イソシアネート基含有化合物(a1)として、芳香族系イソシアネートまたは芳香族系イソシアネートの一部について、前述の一連の変性を行って得られるものを使用することが好ましい。特に、MDIまたはMDIの一部について、前述の一連の変性を行って得られるものを使用することがより好ましい。中でも、成形時の作業環境に優れ、且つ、シール材に要求される物性(例えば、硬度などの機械的強度)が良好な硬化樹脂を形成することができる等の観点から、MDIまたはMDIの一部をカルボジイミド変性して得られるものを使用することが特に好ましい。
前記イソシアネート基末端プレポリマーを得るために使用される、一分子中に活性水素を2個以上有するポリオール(b2)としては、例えば、前述の低分子ポリオール(b1b)として列挙したものの他、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリラクトン系ポリオール、ヒマシ油系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール等を挙げることができる。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
「ポリエーテル系ポリオール」としては、上記低分子ポリオールを開始剤とし、これにアルキレンオキサイド(例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等の炭素数2〜4個のアルキレンオキサイド)を付加して得られる重合物が挙げられ、具体的には、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、PTMG、およびエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合物であるチップドエーテル等が挙げられる。ポリエーテル系ポリオールの分子量は、通常200〜7000とされ、好ましくは500〜5000とされる。分子量が500〜5000のポリエーテル系ポリオールを使用することにより、シール材の形成時における成形加工性に特に優れた組成物が得られる。
「ポリエステル系ポリオール」としては、ポリカルボン酸(脂肪族飽和もしくは不飽和ポリカルボン酸、アゼライン酸、ドデカン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、リシノール酸、2量化リノール酸および/または芳香族ポリカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸)と、ポリオール(上記低分子ポリオールおよび/またはポリエーテルポリオール)との縮合重合により得られるポリオールが挙げられる。ポリエステル系ポリオールの分子量は、通常200〜5000とされ、好ましくは500〜3000とされる。分子量が500〜3000のポリエステル系ポリオールを使用することにより、シール材の形成時における成形加工性に特に優れた組成物が得られる。
「ポリラクトン系ポリオール」としては、グリコール類やトリオール類の重合開始剤に、ε−カプロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン、ε−メチル−ε−カプロラクトン等、および/またはβ−メチル−δ−バレロラクトン等を、有機金属化合物、金属キレート化合物、脂肪酸金属アシル化合物等の触媒の存在下で、付加重合させて得られるポリオールが挙げられる。ポリラクトン系ポリオールの分子量は、通常200〜5000とされ、好ましくは500〜3000とされる。分子量が500〜3000のポリラクトン系ポリオールを使用することにより、シール材の形成時における成形加工性に特に優れた組成物が得られる。
「ヒマシ油系ポリオール」としては、ヒマシ油(ヒマシ油脂肪酸のトリグリセライド);ヒマシ油脂肪酸(水添ヒマシ油脂肪酸を含める)とポリオール(上記低分子ポリオール及び/又はポリエーテルポリオール)との反応により得られる線状または分岐状ポリエステル、例えばヒマシ油脂肪酸のジグリセライド、モノグリセライド、ヒマシ油脂肪酸とトリメチロールアルカンとのモノ、ジ、またはトリエステル、ヒマシ油脂肪酸とポリプロピレングリコールとのモノ、ジ、またはトリエステル等が挙げられる。ヒマシ油系ポリオールの分子量は、通常300〜4000とされ、好ましくは500〜3000とされる。分子量が500〜3000のヒマシ油系ポリオールを使用することにより、シール材の形成時における成形加工性に特に優れた組成物が得られる。
「ポリオレフィン系ポリオール」としては、ポリブタジエン、又はブタジエンとスチレンもしくはアクリロニトリルとの共重合体の末端に水酸基を導入したポリブタジエン系ポリオールが挙げられる。
その他、末端にカルボキシル基および/またはOH基を有するポリエステルにアルキレンオキサイド、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等を付加反応させて得られるポリエーテルエステルポリオールも挙げられる。
前述した一分子中に活性水素を2個以上有するポリオール(b2)のうち、ポリエステル系ポリオールおよびヒマシ油系ポリオールが好ましく、中でも、成形時の作業環境に優れるとともに、シール材に要求される物性が良好な硬化樹脂を形成することができ、しかも、シール材の生産性、延いては、中空糸膜モジュール(濾過装置)の生産性の向上も図ることができるとの観点から、ヒマシ油系ポリオールが特に好ましい。
一分子中に活性水素を2個以上有するポリオール(b2)における水酸基価は10〜1,900mgKOH/gの範囲内であることが好ましく、作業上好適な粘度を有するイソシアネート基末端プレポリマーが得られるとともに、得られる組成物により耐熱性に優れた中空糸膜モジュール用シール材(硬化樹脂)を形成することができるとの観点から、中でも20〜1,300mgKOH/gの範囲内であることがとりわけ好ましい。
イソシアネート基末端プレポリマーを得るための反応において、12−ヒドロキシステアリン酸の縮合物と低分子ポリオールから得られるポリエステルポリオール(b1)と一分子中に活性水素を2個以上有するポリオール(b2)を併用する場合、イソシアネート基含有化合物(a1)の有するイソシアネート基と、12−ヒドロキシステアリン酸の縮合物と低分子ポリオールから得られるポリエステルポリオール(b1)及び一分子中に活性水素を2個以上有するポリオール(b2)の有する活性水素含有基との当量比(イソシアネート基/活性水素含有基)は、通常1.1〜130.0とされ、好ましくは3.0〜90.0、更に好ましくは5.0〜80.0とされる。当該当量比(イソシアネート基/活性水素含有基)を5.0〜80.0とすることにより、シール材の形成時における成形加工性に特に優れた組成物が得られる。なお、イソシアネート基末端プレポリマーを得るための反応は、通常行われるウレタン化反応である。
この場合、主剤(A)中における前記の12−ヒドロキシステアリン酸の縮合物と低分子ポリオールから得られるポリエステルポリオール(b1)の好ましい導入量は、例えば前記の12−ヒドロキシステアリン酸の縮合物と低分子ポリオールから得られるポリエステルポリオール(b1)における数平均分子量が1,500〜2,500の範囲内にあるものを用いる場合、主剤(A)を構成する全成分100質量%に対して、1〜70質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは5〜60質量%の範囲内であり、中空糸膜モジュール用シール材の形成時における成形加工性に特に優れた組成物が得られるとの観点から、中でも10〜55質量%の範囲内であることがとりわけ好ましい。
また、イソシアネート基末端プレポリマーを得るための反応において、12−ヒドロキシステアリン酸の縮合物と低分子ポリオールから得られるポリエステルポリオール(b1)を用いず、一分子中に活性水素を2個以上有するポリオール(b2)だけを用いる場合、イソシアネート基含有化合物(a1)の有するイソシアネート基と、一分子中に活性水素を2個以上有するポリオール(b2)の有する活性水素含有基との当量比(イソシアネート基/活性水素含有基)は、通常1.1〜130.0とされ、好ましくは3.0〜90.0、更に好ましくは5.0〜80.0とされる。当該当量比(イソシアネート基/活性水素含有基)を5.0〜80.0とすることにより、シール材の形成時における成形加工性に特に優れた組成物が得られる。なお、イソシアネート基末端プレポリマーを得るための反応は、通常行われるウレタン化反応である。
イソシアネート基末端プレポリマーのイソシアネート基含有量は、通常8〜30質量%の範囲内とされ、10〜28質量%の範囲内であることが好ましく、中空糸膜モジュール用シール材の形成時における成形加工性に特に優れた組成物が得られるとの観点から、中でも13〜26質量%の範囲内であることがとりわけ好ましい。
ポリオール成分を含有する硬化剤(B)としては、前述の12−ヒドロキシステアリン酸の縮合物と低分子ポリオールから得られるポリエステルポリオール(b1)や、前記の一分子中に活性水素を2個以上有するポリオール(b2)を用いる。これらは所望されるシール材の諸性能に応じて、いずれかを単独で用いても良いし、両者を併用しても良い。
この場合、ポリオール成分を含有する硬化剤(B)として用いられる一分子中に活性水素を2個以上有するポリオール(b2)としては、前述のポリエステル系ポリオールおよびヒマシ油系ポリオールが好ましく、中でも、成形時の作業環境に優れるとともに、シール材に要求される物性が良好な硬化樹脂を形成することができ、しかも、シール材の生産性、延いては、中空糸膜モジュールの生産性の向上も図ることができるとの観点から、ヒマシ油系ポリオールが特に好ましい。
なお、硬化剤(B)として、前記の12−ヒドロキシステアリン酸の縮合物と低分子ポリオールから得られるポリエステルポリオール(b1)と、前述の一分子中に活性水素を2個以上有するポリオール(b2)を併用する場合、これらの含有割合〔(b1)/(b2)〕としては、1/99〜99/1であることが好ましく、更に好ましくは10/90 〜50/50である。
硬化剤(B)として、前述の12−ヒドロキシステアリン酸の縮合物と低分子ポリオールから得られるポリエステルポリオール(b1)や前述の一分子中に活性水素を2個以上有するポリオール(b2)の他に、シール材を形成する際における反応性や硬化性を考慮し、低分子ポリアミンや低分子アミノアルコール(例えば、アミノ化合物のオキシアルキル化誘導体であるN,N,N´,N´−テトラキス[2−ヒドロキシプロピル]エチレンジアミン、N,N,N´,N´−テトラキス[2−ヒドロキシエチル]エチレンジアミン等の、エチレンジアミン等のアミノ化合物のプロピレンオキサイドもしくはエチレンオキサイド付加物、モノ、ジおよびトリエタノールアミン、N−メチル−N,N´−ジエタノールアミン等)等といったアミン系化合物をも併せ用いることが可能である。
本発明のシール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物において、主剤(A)と硬化剤(B)の混合割合としては、主剤(A)を構成するイソシアネート成分の有するイソシアネート基と、硬化剤(B)を構成するポリオール成分の有する活性水素基とのモル比(イソシアネート基/活性水素基)が0.8〜1.6となるような割合であることが好ましく、更に好ましくは0.9〜1.2となるような割合、特に好ましくは1.0〜1.1となるような割合とされる。このような混合割合で得られる組成物によれば、所望される耐久性に優れた硬化樹脂(シール材)を形成することができる。
本発明のシール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物には、中空糸膜モジュールを製造するにあたって好適な反応挙動を得るとの観点から、公知のウレタン化触媒が含有されていてもよい。
「ウレタン化触媒」としては、有機スズ化合物などの金属化合物系触媒;トリエチレンジアミン(TEDA)、テトラメチルヘキサメチレンジアミン(TMHMDA)、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、ビスジメチルアミノエチルエーテル(BDMAEA)などの3級アミン触媒等を挙げることができる。
本発明のシール材は、本発明のシール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物を反応・硬化させて得られることを特徴とする。
具体的には、主剤(A)と硬化剤(B)とからなる本発明の組成物を室温下に液温を調整し、0℃〜100℃、好ましくは30℃〜80℃、更に好ましくは30℃〜60℃の温度条件下に、主剤(A)を構成するイソシアネート成分と、硬化剤(B)を構成するポリオール成分とを反応・硬化させることにより好適に形成することができる。なお、ゲル化時間の短縮化や組成物の粘度低下を図る目的で、必要に応じて、混合前に、主剤(A)及び硬化剤(B)の各々を0℃〜100℃、好ましくは30℃〜80℃、更に好ましくは30℃〜60℃に加温してもよい。
本発明のシール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物を用いて得られるシール材は、接着性に優れているので、濾過装置のハウジング基材との間に高い接着力が得られるとともに、複数の中空糸膜による集束体の端部を問題なく結束させることができる。
また、本発明の形成性組成物を用いて得られる中空糸膜モジュール用シール材は、50℃雰囲気条件下で5万回程度の繰り返し加圧を行っても破損することはなく、中空糸膜モジュール用シール材に要求される耐久性を十分に具備することができる。
このような優れた諸性能を有する本発明のシール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物を硬化して得られる中空糸膜モジュール用シール材により、複数の中空糸膜による集束体の端部における中空糸膜相互の隙間が封止されてなる中空糸膜モジュール(中空糸膜型濾過装置)は、長時間の連続使用にも十分に耐えうるほどに優れた耐久性を有するものとなる。
このような優れた性能を具備する本発明の中空糸膜モジュール用シール材は、とりわけ、中空糸膜モジュールにおける緩衝用シール材として好適に用いることができる。
また、本発明の中空糸膜モジュール用シール材は、例えば必要に応じて要求されるJIS A硬度が30〜60の範囲とされる緩衝用シール材、いわゆる比較的低硬度の中空糸膜モジュールにおける緩衝用シール材として、特に好適に用いることができる。
なお、本発明のシール材を用いて得られる中空糸膜モジュール(中空糸膜型濾過装置)の具体的構造としては、例えば、特開平11−5023号公報に記載の構造を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらの例によってなんら限定して解釈されるものではない
〔製造例1:主剤(A)(実施例用)の製造〕
温度計、攪拌機、窒素シール管、冷却管を備えた2Lサイズの4つ口フラスコの内部を窒素置換した。これに、4,4′−MDI「ミリオネートMT(商品名)」(日本ポリウレタン工業(株)製)173gと、4,4′−MDIのカルボジイミド変性体「ミリオネートMTL−C(商品名)」(日本ポリウレタン工業(株)製、イソシアネート基含有量=28.6質量%)441gとを仕込み、液の昇温及び攪拌を開始した。液温度が50℃に達したところで、「#828X(商品名)」(ヒマシ油を原料として、これを水素添加して得られた12−ヒドロキシステアリン酸((b1a)に相当:不純物として12−ヒドロキシステアリン酸以外のヒマシ油脂肪酸を含む)とグリセリン((b1b)に相当)とのエステル化反応により得られたポリエステルポリオール((b1)に相当)、水酸基価=49.9、平均官能基数=2.1、25℃における粘度=2,000mPa・s、伊藤製油(株)製)385gとを添加し、窒素雰囲気下、70℃で3時間にわたり攪拌混合することによって反応させて、主剤(A)を構成するイソシアネート基末端プレポリマーを得た。以下、これを「主剤(A−1)」という。主剤(A−1)のイソシアネート基含有量は17.0質量%、25℃における粘度は1,100mPa・sであった。
温度計、攪拌機、窒素シール管、冷却管を備えた2Lサイズの4つ口フラスコの内部を窒素置換した。これに、4,4′−MDI「ミリオネートMT(商品名)」(日本ポリウレタン工業(株)製)173gと、4,4′−MDIのカルボジイミド変性体「ミリオネートMTL−C(商品名)」(日本ポリウレタン工業(株)製、イソシアネート基含有量=28.6質量%)441gとを仕込み、液の昇温及び攪拌を開始した。液温度が50℃に達したところで、「#828X(商品名)」(ヒマシ油を原料として、これを水素添加して得られた12−ヒドロキシステアリン酸((b1a)に相当:不純物として12−ヒドロキシステアリン酸以外のヒマシ油脂肪酸を含む)とグリセリン((b1b)に相当)とのエステル化反応により得られたポリエステルポリオール((b1)に相当)、水酸基価=49.9、平均官能基数=2.1、25℃における粘度=2,000mPa・s、伊藤製油(株)製)385gとを添加し、窒素雰囲気下、70℃で3時間にわたり攪拌混合することによって反応させて、主剤(A)を構成するイソシアネート基末端プレポリマーを得た。以下、これを「主剤(A−1)」という。主剤(A−1)のイソシアネート基含有量は17.0質量%、25℃における粘度は1,100mPa・sであった。
〔製造例2:主剤(A)(実施例用)の製造〕
温度計、攪拌機、窒素シール管、冷却管を備えた2Lサイズの4つ口フラスコの内部を窒素置換した。これに、前記「ミリオネートMT(商品名)」を183gと、前記「ミリオネートMTL−C(商品名)」を465gとを仕込み、液の昇温及び攪拌を開始した。液温度が50℃に達したところで、「#829X(商品名)」(12−ヒドロキシステアリン酸((b1a)に相当)とトリメチロールプロパン((b1b)に相当)とのエステル化反応により得られたポリエステルポリオール((b1)に相当)、水酸基価=92.1、平均官能基数=2.6、25℃における粘度=2,400mPa・s、伊藤製油(株)製)352gとを添加し、窒素雰囲気下、70℃で3時間にわたり攪拌混合することによって反応させて、主剤(A)を構成するイソシアネート基末端プレポリマーを得た。以下、これを「主剤(A−2)」という。主剤(A−2)のイソシアネート基含有量は17.0質量%、25℃における粘度は2,000mPa・sであった。
温度計、攪拌機、窒素シール管、冷却管を備えた2Lサイズの4つ口フラスコの内部を窒素置換した。これに、前記「ミリオネートMT(商品名)」を183gと、前記「ミリオネートMTL−C(商品名)」を465gとを仕込み、液の昇温及び攪拌を開始した。液温度が50℃に達したところで、「#829X(商品名)」(12−ヒドロキシステアリン酸((b1a)に相当)とトリメチロールプロパン((b1b)に相当)とのエステル化反応により得られたポリエステルポリオール((b1)に相当)、水酸基価=92.1、平均官能基数=2.6、25℃における粘度=2,400mPa・s、伊藤製油(株)製)352gとを添加し、窒素雰囲気下、70℃で3時間にわたり攪拌混合することによって反応させて、主剤(A)を構成するイソシアネート基末端プレポリマーを得た。以下、これを「主剤(A−2)」という。主剤(A−2)のイソシアネート基含有量は17.0質量%、25℃における粘度は2,000mPa・sであった。
〔製造例3:主剤(A)(実施例・比較例用)の製造〕
温度計、攪拌機、窒素シール管、冷却管を備えた2Lサイズの4つ口フラスコの内部を窒素置換した。これに、前記「ミリオネートMT(商品名)」を135gと、前記「ミリオネートMTL−C(商品名)」を612gとを仕込み、液の昇温及び攪拌を開始した。液温度が50℃に達したところで、「Uric H−30(商品名)」(ヒマシ油系ポリオール、水酸基価=160、平均官能基数=2.7、伊藤製油(株)製)253gを添加し、窒素雰囲気下、70℃で3時間にわたり攪拌混合することによって反応させて、主剤(A)を構成するイソシアネート基末端プレポリマーを得た。以下、これを「主剤(A−3)」という。主剤(A−3)のイソシアネート基含有量は19.0質量%、25℃における粘度は1,800mPa・sであった。
温度計、攪拌機、窒素シール管、冷却管を備えた2Lサイズの4つ口フラスコの内部を窒素置換した。これに、前記「ミリオネートMT(商品名)」を135gと、前記「ミリオネートMTL−C(商品名)」を612gとを仕込み、液の昇温及び攪拌を開始した。液温度が50℃に達したところで、「Uric H−30(商品名)」(ヒマシ油系ポリオール、水酸基価=160、平均官能基数=2.7、伊藤製油(株)製)253gを添加し、窒素雰囲気下、70℃で3時間にわたり攪拌混合することによって反応させて、主剤(A)を構成するイソシアネート基末端プレポリマーを得た。以下、これを「主剤(A−3)」という。主剤(A−3)のイソシアネート基含有量は19.0質量%、25℃における粘度は1,800mPa・sであった。
〔製造例4:主剤(A)(比較例用)の製造〕
温度計、攪拌機、窒素シール管、冷却管を備えた2Lサイズの4つ口フラスコの内部を窒素置換した。これに、前記「ミリオネートMT(商品名)」を178gと、前記「ミリオネートMTL−C(商品名)」を454gとを仕込み、液の昇温及び攪拌を開始した。液温度が50℃に達したところで、「#1141X(商品名)」(ポリプロピレングリコール変性ヒマシ油系ポリオール、水酸基価=144、平均官能基数=2.0、伊藤製油(株)製)368gを添加し、窒素雰囲気下、70℃で3時間にわたり攪拌混合することによって反応させて、主剤(A)を構成するイソシアネート基末端プレポリマーを得た。以下、これを「主剤(A−4)」という。主剤(A−4)のイソシアネート基含有量は15.0質量%、25℃における粘度は3,400mPa・sであった。
温度計、攪拌機、窒素シール管、冷却管を備えた2Lサイズの4つ口フラスコの内部を窒素置換した。これに、前記「ミリオネートMT(商品名)」を178gと、前記「ミリオネートMTL−C(商品名)」を454gとを仕込み、液の昇温及び攪拌を開始した。液温度が50℃に達したところで、「#1141X(商品名)」(ポリプロピレングリコール変性ヒマシ油系ポリオール、水酸基価=144、平均官能基数=2.0、伊藤製油(株)製)368gを添加し、窒素雰囲気下、70℃で3時間にわたり攪拌混合することによって反応させて、主剤(A)を構成するイソシアネート基末端プレポリマーを得た。以下、これを「主剤(A−4)」という。主剤(A−4)のイソシアネート基含有量は15.0質量%、25℃における粘度は3,400mPa・sであった。
〔調製例1:硬化剤(B)(実施例用)の調製〕
前記「#828X」を50質量部と、前記「Uric H−30(商品名)」を50質量部とを均一混合して、硬化剤(B)を準備した。以下、これを「硬化剤(B−1)」という。
前記「#828X」を50質量部と、前記「Uric H−30(商品名)」を50質量部とを均一混合して、硬化剤(B)を準備した。以下、これを「硬化剤(B−1)」という。
〔調製例2:硬化剤(B)(実施例用)の調製〕
前記「#829X」を80質量部と、前記「Uric H−30(商品名)」を20質量部とを均一混合して、硬化剤(B)を準備した。以下、これを「硬化剤(B−2)」という。
前記「#829X」を80質量部と、前記「Uric H−30(商品名)」を20質量部とを均一混合して、硬化剤(B)を準備した。以下、これを「硬化剤(B−2)」という。
〔調製例3:硬化剤(B)(実施例用)の調製〕
「#1296X(商品名)」(ヒマシ油のトリメチロールプロパン変性体、水酸基価=267、平均官能基数=3.0、伊藤製油(株)製)を、何も混合せずにそのまま硬化剤(B)として準備した。以下、これを「硬化剤(B−3)」という。
「#1296X(商品名)」(ヒマシ油のトリメチロールプロパン変性体、水酸基価=267、平均官能基数=3.0、伊藤製油(株)製)を、何も混合せずにそのまま硬化剤(B)として準備した。以下、これを「硬化剤(B−3)」という。
〔調製例4:硬化剤(B)(実施例・比較例用)の調製〕
「#1297X(商品名)」(ヒマシ油のトリメチロールプロパン変性体、水酸基価=340、平均官能基数=3.0、伊藤製油(株)製)を50質量部と、前記「Uric H−30(商品名)」を50質量部とを均一混合して、硬化剤(B)を準備した。以下、これを「硬化剤(B−4)」という。
「#1297X(商品名)」(ヒマシ油のトリメチロールプロパン変性体、水酸基価=340、平均官能基数=3.0、伊藤製油(株)製)を50質量部と、前記「Uric H−30(商品名)」を50質量部とを均一混合して、硬化剤(B)を準備した。以下、これを「硬化剤(B−4)」という。
〔調製例5:硬化剤(B)(比較例用)の調製〕
前記「Uric H−30(商品名)」を95質量部と、N,N,N´,N´−テトラキス[2−ヒドロキシプロピル]エチレンジアミン(水酸基価=760、平均官能基数=4.0)を5質量部とを均一混合して、硬化剤(B)を準備した。以下、これを「硬化剤(B−5)」という。
前記「Uric H−30(商品名)」を95質量部と、N,N,N´,N´−テトラキス[2−ヒドロキシプロピル]エチレンジアミン(水酸基価=760、平均官能基数=4.0)を5質量部とを均一混合して、硬化剤(B)を準備した。以下、これを「硬化剤(B−5)」という。
〔調製例6:硬化剤(B)(比較例用)の調製〕
前記「Uric H−30(商品名)」を25質量部と、「#1740U(商品名)」(ヒマシ油系ポリオール、水酸基価=119、平均官能基数=2.0、伊藤製油(株)製)を75質量部とを均一混合して、硬化剤(B)を準備した。以下、これを「硬化剤(B−6)」という。
前記「Uric H−30(商品名)」を25質量部と、「#1740U(商品名)」(ヒマシ油系ポリオール、水酸基価=119、平均官能基数=2.0、伊藤製油(株)製)を75質量部とを均一混合して、硬化剤(B)を準備した。以下、これを「硬化剤(B−6)」という。
〔実施例1〜4、比較例1〜3〕
表1並びに表2に示す組合せに従って、主剤(A)および硬化剤(B)を、液温35℃、イソシアネート基/活性水素含有基=1.00(モル比)になるように混合して、シール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物を得た。
表1並びに表2に示す組合せに従って、主剤(A)および硬化剤(B)を、液温35℃、イソシアネート基/活性水素含有基=1.00(モル比)になるように混合して、シール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物を得た。
表1に示す実施例1〜2並びに比較例1は、JIS A硬度が30〜60の範囲(低硬度)にある中空糸膜モジュール用シール材についてのものである。また、表2に示す実施例3〜4並びに比較例2〜3は、JIS A硬度が60を越える範囲(高硬度)にある中空糸膜モジュール用シール材についてのものである。
〔ポリウレタン樹脂形成性組成物(硬化物)の評価〕
硬化物の硬度測定:
実施例1〜4および比較例1〜3に係るシール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物の各々を、減圧脱泡(10〜20kPaで3分間)した後、ステンレス製金型(170mm×220mm×2mm)に仕込んだ。これを25℃で7日間静置キュアした後に脱型し、硬化物(硬化樹脂)を得た。得られた硬化物の各々について、25℃の温度条件下でJIS
A硬度を測定した。測定結果を表1並びに表2に示す。
硬化物の硬度測定:
実施例1〜4および比較例1〜3に係るシール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物の各々を、減圧脱泡(10〜20kPaで3分間)した後、ステンレス製金型(170mm×220mm×2mm)に仕込んだ。これを25℃で7日間静置キュアした後に脱型し、硬化物(硬化樹脂)を得た。得られた硬化物の各々について、25℃の温度条件下でJIS
A硬度を測定した。測定結果を表1並びに表2に示す。
ハウジングとの接着性:
実施例1〜4および比較例1〜3に係るシール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物の各々を、減圧脱泡(10〜20kPaで3分間)した後、ポリカーボネート製のハウジング(44mm(φ)×10mm(h))上に形成し、25℃で7日間静置キュアして、当該ハウジング上に硬化物が形成されてなる試験片を作製した。得られた試験片の各々について、ハウジングに対する硬化物の初期接着強度(=剥離力/接着面積)を測定した。測定結果を表1並びに表2に示す。
実施例1〜4および比較例1〜3に係るシール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物の各々を、減圧脱泡(10〜20kPaで3分間)した後、ポリカーボネート製のハウジング(44mm(φ)×10mm(h))上に形成し、25℃で7日間静置キュアして、当該ハウジング上に硬化物が形成されてなる試験片を作製した。得られた試験片の各々について、ハウジングに対する硬化物の初期接着強度(=剥離力/接着面積)を測定した。測定結果を表1並びに表2に示す。
耐塩素性(浸漬による経時変化):
実施例1〜6および比較例1〜2に係るシール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物の各々を、減圧脱泡(10〜20kPaで3分間)した後、ステンレス製金型(170mm×220mm×2mm)に仕込んだ。これを25℃で7日間静置キュアした後に脱型し、硬化物(硬化樹脂)を得た。得られた試験片の各々について、40℃に調温した1,000ppm―NaClO(次亜塩素酸ナトリウム)溶液に、168時間(=7日間)、336時間(=14日間)、及び720時間(=30日間)浸漬させた後、硬度(JIS A硬度:10秒値)、重量変化(保持率)、並びに引張物性(引張強度及びその保持率)を測定した。なお、引張物性については、浸漬液から取り出した後、室温で2時間放置してから測定している(引張速度:500mm/min.)。測定結果を表1並びに表2に示す。
実施例1〜6および比較例1〜2に係るシール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物の各々を、減圧脱泡(10〜20kPaで3分間)した後、ステンレス製金型(170mm×220mm×2mm)に仕込んだ。これを25℃で7日間静置キュアした後に脱型し、硬化物(硬化樹脂)を得た。得られた試験片の各々について、40℃に調温した1,000ppm―NaClO(次亜塩素酸ナトリウム)溶液に、168時間(=7日間)、336時間(=14日間)、及び720時間(=30日間)浸漬させた後、硬度(JIS A硬度:10秒値)、重量変化(保持率)、並びに引張物性(引張強度及びその保持率)を測定した。なお、引張物性については、浸漬液から取り出した後、室温で2時間放置してから測定している(引張速度:500mm/min.)。測定結果を表1並びに表2に示す。
〔応用実施例1〕
実施例1に係るシール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物を用い、ポリスルホン中空糸膜9000本を束ねた集束体の両端部における中空糸膜相互の隙間;および当該集束体が挿入されたカートリッジケース(内径15.4cm、PVC製)と当該集束体との間を、35℃、90分間の遠心接着によりシールし、これを25℃雰囲気下で1週間静置した。このようにして中空糸膜の集束体が挿入されたカートリッジケースをハウジング内にシール材を介して着脱自在に収納することにより、濾過装置として、中空糸型膜モジュールを製造した。この中空糸型膜モジュールを用いて、最高水圧200kPaで温度50℃の水の濾過運転と逆圧濾過を50000サイクル繰り返したが、シール材部分や中空糸膜に破損は生じなかった。
実施例1に係るシール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物を用い、ポリスルホン中空糸膜9000本を束ねた集束体の両端部における中空糸膜相互の隙間;および当該集束体が挿入されたカートリッジケース(内径15.4cm、PVC製)と当該集束体との間を、35℃、90分間の遠心接着によりシールし、これを25℃雰囲気下で1週間静置した。このようにして中空糸膜の集束体が挿入されたカートリッジケースをハウジング内にシール材を介して着脱自在に収納することにより、濾過装置として、中空糸型膜モジュールを製造した。この中空糸型膜モジュールを用いて、最高水圧200kPaで温度50℃の水の濾過運転と逆圧濾過を50000サイクル繰り返したが、シール材部分や中空糸膜に破損は生じなかった。
〔応用実施例2〕
実施例1に係るシール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物を用い、ポリスルホン中空糸膜22000本を束ねた集束体の両端部における中空糸膜相互の隙間;および当該集束体が挿入されたカートリッジケース(内径22.1cm、ポリカーボネート製)と当該集束体との間を、35℃、90分間の遠心接着によりシールし、これを25℃雰囲気下で1週間静置した。このようにして中空糸膜の集束体が挿入されたカートリッジケースをハウジング内にシール材を介して着脱自在に収納することにより、大型の濾過装置として、中空糸型膜モジュールを製造した。この中空糸型膜モジュールを用いて、実施例8と同様に、最高水圧200kPaで温度50℃の水の濾過運転と逆圧濾過を50000サイクル繰り
返したが、シール材部分や中空糸膜に破損は生じなかった。
実施例1に係るシール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物を用い、ポリスルホン中空糸膜22000本を束ねた集束体の両端部における中空糸膜相互の隙間;および当該集束体が挿入されたカートリッジケース(内径22.1cm、ポリカーボネート製)と当該集束体との間を、35℃、90分間の遠心接着によりシールし、これを25℃雰囲気下で1週間静置した。このようにして中空糸膜の集束体が挿入されたカートリッジケースをハウジング内にシール材を介して着脱自在に収納することにより、大型の濾過装置として、中空糸型膜モジュールを製造した。この中空糸型膜モジュールを用いて、実施例8と同様に、最高水圧200kPaで温度50℃の水の濾過運転と逆圧濾過を50000サイクル繰り
返したが、シール材部分や中空糸膜に破損は生じなかった。
本発明の形成性組成物を用いて得られる中空糸膜モジュール用シール材(硬化物)は、前述のとおり、多くの優れた性能、とりわけ、優れた耐塩素性を有する。また、この優れた耐塩素性は、高硬度・低硬度を問わず具備することが可能である。従って、医療用、工業用分離装置を構成する各種の中空糸膜モジュール(中空糸膜型濾過装置)用シール材(結束材)として好適に使用することが可能である。これらの医療用、工業用分離装置としては、具体的には、血漿分離器、人工肺、人工腎臓、人工肝臓、家庭用・工業用水処理装置等が挙げられる。
なお、本発明の形成性組成物を用いて得られる中空糸膜モジュール用シール材(硬化物)は、前述のような優れた性能を有することから、中空糸膜モジュール用シール材以外の用途として、各種の産業用シール材、例えば、電気用、自動車用、建築用、土木用シール材或いは各種の緩衝材、また製紙、製鉄、印刷等の工業用ロール、紙送りロール等のOA機器部品等のうち、耐塩素性を所望されるような分野に用いることも、勿論可能である。
Claims (4)
- 12−ヒドロキシステアリン酸の縮合物と低分子ポリオールから得られるポリエステルポリオール(b1)を用いることを特徴とする、中空糸膜モジュールに用いられるシール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物。
- 請求項1に記載のシール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物を硬化して得られることを特徴とする、中空糸膜モジュール用シール材。
- 中空糸膜モジュールにおける緩衝用シール材として用いられることを特徴とする、請求項2に記載の中空糸膜モジュール用シール材。
- JIS A硬度が30〜60であることを特徴とする、請求項2に記載の中空糸膜モジュール用シール材。
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