JP2001293488A - 排水の処理方法 - Google Patents

排水の処理方法

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JP2001293488A JP2000114131A JP2000114131A JP2001293488A JP 2001293488 A JP2001293488 A JP 2001293488A JP 2000114131 A JP2000114131 A JP 2000114131A JP 2000114131 A JP2000114131 A JP 2000114131A JP 2001293488 A JP2001293488 A JP 2001293488A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機および/または無機の被酸化性物質を含
有する排水を、比較的低温・低圧である170℃未満の
処理温度、該排水が液相を保持する圧力下で、活性炭を
含有する固体触媒を用いて酸化・分解処理するに際し、
酸化・分解処理活性の低下した固体触媒を効果的に再生
することによって、長期間安定的に排水を浄化すること
のできる排水の処理方法を提供する。 【解決手段】 排水中に含まれる有機および/または無
機の被酸化性物質を、触媒を用いて酸化および/または
分解処理する排水の処理方法において、50℃以上17
0℃未満の処理温度、該排水が液相保持する圧力下で、
酸素含有ガスを供給して活性炭を含有する触媒を用いて
排水を処理すると共に、易分解性の被酸化性物質を含有
する触媒再生液を固体触媒に供給し、55℃以上200
℃未満の温度で前記固体触媒を再生しつつ操業する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、排水を浄化処理す
る方法に関するものである。詳細には、有機および/ま
たは無機の被酸化性物質を含有する排水を、固体触媒を
用いて酸素含有ガスの供給下で湿式酸化処理する方法に
関し、殊に再生処理を適宜実施することによって処理性
能が低下した固体触媒を効果的に再生し、長期間安定的
に排水を処理することのできる方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】有機や無機の被酸化性物質を含有する排
水を処理する方法としては、例えば生物学的処理法や湿
式酸化法などが知られている。このうち生物学的処理法
は、排水中の被酸化性物質を分解するのに長時間を要
し、しかも低濃度のものしか処理できないので、排水が
高濃度の被酸化性物質を含む場合、適切な濃度に希釈す
る必要があり、これらの為に処理施設の設備面積が広大
になるという欠点を有する。また、使用する微生物は気
温等の影響を大きく受けるため、安定した運転を続ける
ことは困難であった。
【0003】一方、湿式酸化法は、高温・高圧下、酸素
の存在下で排水を処理し、排水中の被酸化性物質を酸化
および/または分解処理(以下、「酸化・分解処理」と
略記することもある)する方法である。この方法におい
て、反応速度を速め且つ反応条件を緩和する手段とし
て、例えば酸化物を用いた触媒やこれら酸化物と貴金属
元素等を組み合わせた触媒を使用する触媒湿式酸化法等
が提案されている。
【0004】しかしながら、この方法で排水中に含有す
る種々の被酸化性物質を酸化・分解処理して排水を浄化
するには、170℃以上の処理温度で処理する必要があ
り、このため処理圧力も1MPa(Gauge)を越え
る圧力が必要であることが多かった。例えば、特開平1
1−347574号には、チタニアに白金を担持した触
媒を用い、170℃の処理温度下で酢酸を湿式酸化処理
する方法が記載されているが、この技術では依然として
比較的高温の処理条件が必要であり、更に170℃未満
の低温・低圧条件で高度処理が可能な排水の処理方法の
開発が望まれている。
【0005】こうしたことから本発明者らも、新規触媒
および新規処理方法について従来から検討してきた。そ
の結果、より反応条件を緩和できる手段の1つとして、
活性炭を含有した固体触媒を用いた場合には、170℃
未満の低温・低圧の処理条件下で、有機や無機の被酸化
性物質に対して特異的に高活性であることを確認でき
た。
【0006】ところで、活性炭を含有した固体触媒を用
いた場合には、従来の湿式酸化条件下では活性炭自身が
燃焼するという問題が有り、長期間安定的に活性炭を湿
式酸化用触媒として使用することは不可能であった。そ
こで本発明者らは、活性炭を含有する固体触媒を用いて
処理した後の排ガス中の酸素濃度を0〜5%に維持する
ことで活性炭自身の燃焼を抑制し、効率良く排水を処理
できることを見出し、その技術的意義が認められたので
先に出願している(特願平12−5198号)。
【0007】こうした技術の開発によって、有機および
/または無機の被酸化性物質を含有する排水を低温・低
圧条件下でも高度に処理することが可能となった。しか
しながら、近年では更なる長期間の触媒の高活性維持お
よび排水の高度処理が望まれているのも事実である。例
えば、排水が難分解性の被酸化性物質を含有する場合、
排水の高度処理を実現する為には、処理温度条件を比較
的高温とする必要がある。このような場合には、活性炭
を含有する触媒の耐久性は低下する傾向にある。また、
活性炭は排水中の被酸化性物質を吸着する性質を有する
が、吸着した被酸化性物質の分解速度が非常に遅い場
合、触媒の酸化・分解処理活性が次第に低下するという
問題もある。更に、排水の処理を長期間行なった場合、
装置トラブルや運転ミスなどの排水処理上のトラブルか
ら、活性炭を含有する触媒の活性を失活させることも予
想される。こうしたことから、活性の低下した活性炭含
有触媒の活性を再活性化する、優れた方法の開発が望ま
れている。
【0008】このような問題を解決する為に、これまで
にもいくつかの触媒再生方法が提案されている。例え
ば、特公平3−66018号には、触媒を塩酸、硝酸、
リン酸、酢酸およびプロピオン酸よりなる群から選ばれ
る少なくとも1種を含む酸水溶液を用いた酸洗処理と、
ヒドラジン水和物、ホルムアルデヒド、水素化ホウ素ナ
トリウム、水素化アルミニウムリチウム、酒石酸ナトリ
ウム、ブドウ糖、ギ酸カリウムおよびギ酸ナトリウムよ
りなる群から選ばれる少なくとも1種を含む水溶液を用
いた液相還元処理、或は水素および/または一酸化炭素
を含む気体の還元剤を用いた気相還元処理とを組み合わ
せた方法が提案されている。
【0009】しかしながら、この方法の還元処理は、活
性炭を含有する触媒の活性を回復するには十分ではな
く、逆に触媒の活性劣化を引き起こす恐れもあった。ま
た水素や一酸化炭素などのガスを用いた還元処理は、触
媒を実際の排水処理装置に充填したままの状態で実施す
ることは困難で、実際に行うには、触媒を反応塔内から
抜き出して還元処理専用の還元焼成炉等を用いる必要が
あり、事実上、実施不可能であった。また、特公平4−
45214号には、触媒をギ酸および/またはシュウ酸
を含む水溶液に40〜85℃で接触させた後、加熱処理
することでギ酸および/またはシュウ酸を分解させ、触
媒の還元処理を行なう方法が提案されている。しかしな
がら、こうした触媒再生法も、活性炭を含有する触媒の
活性を回復するには十分ではなく、逆に触媒の活性劣化
や装置材質の腐食を引き起こす場合もあった。
【0010】一方、特開平9−10602号には、過剰
酸素による酸化によって活性の低下した固体触媒を、硫
酸アンモニウム、塩化アンモニウムおよび炭酸アンモニ
ウムよりなる群から選ばれたるなくとも1種のアンモニ
ウム塩、またはそのアンモニウム塩とアンモニアを含有
し、且つpHが3〜10である再生液を用いて、実質的
に酸素非供給下で、触媒に接触させることにより触媒の
再生を行なう方法が提案されている。この方法は、活性
炭を含有する触媒の再生に対して若干の効果は認められ
るものの、更なる効果的な方法の実現が望まれている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、有機
および/または無機の被酸化性物質を含有する排水を、
比較的低温・低圧である170℃未満の処理温度、該排
水が液相を保持する圧力下で、活性炭を含有する固体触
媒を用いて酸化・分解処理するに際し、酸化・分解処理
活性の低下した固体触媒を効果的に再生することによっ
て、長期間安定的に排水を浄化することのできる排水の
処理方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し得た本
発明の排水の処理方法とは、排水中に含まれる有機およ
び/または無機の被酸化性物質を、触媒を用いて酸化お
よび/または分解処理する排水の処理方法において、5
0℃以上170℃未満の処理温度、該排水が液相保持す
る圧力下で、酸素含有ガスを供給して活性炭を含有する
触媒を用いて排水を処理すると共に、易分解性の被酸化
性物質を含有する触媒再生液を固体触媒に供給し、55
℃以上200℃未満の温度で前記固体触媒を再生しつつ
操業する点に要旨を有するものである。
【0013】本発明方法を実施するに当たり、前記触媒
再生液が触媒層出口で残留するようにして操業すること
が好ましい。また固体触媒の再生処理温度は、排水処理
温度より5〜100℃高い温度であることが望ましい。
本発明で用いる触媒再生液としては、アルコール類を含
有する液が挙げられる。更に、活性炭を含有する固体触
媒を用いて排水を処理した後の排気ガス中の酸素濃度を
0〜5vol%の範囲に維持して操業することが望まし
い。
【0014】本発明方法では、触媒再生液を触媒層に供
給した際に、酸素含有ガスまたは酸素非含有ガスを供給
し、これら供給ガス中の酸素量が、[供給ガス中の酸素
量]/[触媒再生液の処理効率が最大になるときの触媒
再生液の酸素要求量]=0〜1.3の範囲となるように
設定することが望ましい。また、本発明では、前記固体
触媒を充填した触媒層における気液の流通方法が、気液
下向並流であることが望ましい。
【0015】尚、本発明で用いる固体触媒は、基本的に
活性炭を含有するものであるが、更にPt,Pd,R
h,Ru,Ir,AgおよびAuよりなる群から選択さ
れる1種以上の元素を含有するものであることが望まし
い。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明者らは、50℃以上170
℃未満の湿式酸化処理条件下、活性炭を含有する固体触
媒を用いて被酸化性物質を酸化・分解処理するに際し、
酸化・分解性能が低下した固体触媒を効果的に再生する
ことのできる方法について種々検討を重ねた。その結
果、易分解性の被酸化性物質を含有する触媒再生液を固
体触媒に供給し、55℃以上200℃未満の温度で前記
固体触媒を再生しつつ操業すれば、上記目的が見事に達
成されることを見出し、本発明を完成した。また、より
効果的には、前記触媒再生液が触媒層出口で残留するよ
うにして操業すれば良いことも見出した。
【0017】本発明方法で触媒を再生するに当たり、上
記の様に「易分解性の被酸化性物質を含有する触媒再生
液を固体触媒に供給する」ことが必要であり、また「触
媒再生液が触媒層出口で残留するようにする」ことがよ
り好ましいのであるが、まずこの点について説明する。
触媒の活性が低下する原因としては、次のことが挙げら
れる。その第1として、湿式酸化処理で気相中の酸素お
よび触媒表面に吸着した酸素の影響により、触媒が酸化
されることであり、特に活性炭が酸化を受けやすいもの
と予想される。また第2に、長期間処理を実施すると、
排水中に含有されるような難分解性の被酸化性物質が触
媒活性点を覆い、触媒活性が低下することが考えられ
る。
【0018】本発明では、触媒再生液を触媒と接触させ
て処理を行なうことで触媒を改質し、しかも触媒に吸着
した上記物質を脱離し易くする効果が発揮される。即
ち、酸素含有ガスの非供給下もしくは不足条件下では、
例えば触媒再生液が熱分解して生成した物質により、触
媒上に吸着したものを分解等し、脱離し易くするものと
考えられる。また、酸素含有ガス供給下では、易分解性
の触媒再生液は酸化反応し易いため、触媒反応を促進さ
せる効果を有するものと考えられる。これにより触媒上
に吸着した難分解性の被酸化性物質も同時に酸化・分解
処理され易くなると考えられる。またこうした効果を十
分に発揮させる為には、「触媒再生液が触媒層出口で残
留するようにする」程度の触媒再生液を供給することが
好ましく、残留しない程度の供給量では上記効果が十分
に発揮され難くなる。また、こうした構成を採用するこ
とによって、易分解性の触媒再生液が触媒を保護し、多
少高温の再生処理条件であっても触媒の活性低下を防
ぎ、むしろ触媒の処理を行って触媒の活性向上を促進す
るものと考えられる。
【0019】尚、触媒再生液が触媒層出口において残留
しない条件においても、固体触媒層の大部分で触媒再生
液の易分解性物質と固体触媒が接触できる場合には、或
る程度の活性向上を図ることができるものである。これ
は、固体触媒層の触媒全部を再生せずとも、易分解性物
質の供給程度に応じた量の触媒を再生することで、排水
の処理効率の向上を図ることができるためである。
【0020】本発明で用いる固体触媒は、少なくとも活
性炭を触媒成分として含有するものであれば良い。ま
た、活性炭の種類については、特に限定されるものでは
なく、例えば、木炭、ヤシガラ炭、石炭、コークス、ピ
ート、リグナイト、ピッチ等を原料とするものが挙げら
れ、またアクリロニトリル系活性炭素繊維やフェノール
系活性炭素繊維、セルロース系活性炭素繊維、ピッチ系
活性炭素繊維等の炭素繊維系の活性炭であっても良い。
また、固体触媒の形状についても、球状、粒状、ペレッ
ト状、リング状、破砕状、ハニカム状等、様々な形状の
ものが使用可能である。
【0021】本発明では、活性炭のみからなる固体触媒
を用いても、被酸化性物質の種類や濃度によっては、そ
れを酸化・分解処理するのに必要な酸化活性を示すもの
となるが、本発明で用いる固体触媒としては、Pt、P
d、Rh、Ru、Ir、AgおよびAuよりなる群から
選択される1種以上の元素をさらに含有することも有効
であり、これによって触媒活性をより高めた触媒とする
ことができる。これにより、排水中に含まれる被酸化性
物質の酸化・分解処理効率を向上することができると共
に、処理温度を更に下げることができるので望ましい。
これらの元素の含有量は特に限定されないが、固体触媒
中に好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは
0.05〜2質量%の割合で含有されていることが望ま
しい。また上記固体触媒には、チタン、ジルコニウム、
アルミニウム、ケイ素、鉄、マンガン、クロム、コバル
ト、ニッケル、銅、亜鉛、セリウム、プラセオジウム、
テルルおよびビスマスよりなる群から選ばれる1種以上
の元素を含有させることもできる。
【0022】本発明で対象とする「被酸化性物質」と
は、酸化・分解処理によって浄化できる有機および/ま
たは無機の化合物を意味し、また有機化合物、硫黄化合
物、窒素化合物等とも表現することができ、更には特に
限定されるものではないが、有機ハロゲン化合物や有機
燐化合物などであっても良い。具体的には、例えばメタ
ノール、エタノール、アセトアルデヒド、ギ酸、アセト
ン、酢酸、プロピオン酸、テトラヒドロフラン(TH
F)、フェノール等の有機化合物;アンモニア、ヒドラ
ジン、亜硝酸イオン、ジメチルホルムアミド(DM
F)、ピリジン等の窒素化合物;チオ硫酸イオン、硫化
ナトリウム、ジメチルスルホキシド、アルキルベンゼン
スルホン酸塩等の硫黄化合物、等を挙げることができ
る。これらは、水中に溶解していても、また懸濁物質と
して存在していても良い。
【0023】本発明方法では、基本的に50℃以上17
0℃未満の温度で排水の処理を行なうものであるが、こ
の温度が50℃未満であると、有機および/または無機
の被酸化性物質の酸化・分解処理を効率的に行なうこと
が困難になる。この処理温度は、好ましくは80℃を超
える温度とするのが良く、より好ましくは100℃を超
える温度であり、更に好ましくは110℃を超える温度
とするのが良い。尚、処理温度が110℃以下であって
も、メタノール、ギ酸、ホルムアルデヒド等の有機化合
物の高度処理は可能であるが、炭素数2以上の有機化合
物の高度処理の為には、100℃を超える反応温度が必
要である場合が多い。この処理温度が170℃以上であ
ると、活性炭自身の燃焼が生じやすくなるため実用的で
なくなる。こうしたことから、処理温度は好ましくは1
60℃以下とするのが良く、より好ましくは150℃以
下、更に好ましくは140℃以下とするのが良い。
【0024】一方、排水を処理する際の圧力は、上記処
理温度において排水が液相を保持する圧力であれば良い
が、通常は大気圧から1MPa(Gauge)程度であ
る。例えば処理温度が50〜90℃の場合には、排水は
大気圧下においても液相状態であることが多いため、経
済性の観点から大気圧下でも良いが、処理効率を向上さ
せるためには加圧することが好ましい。また、処理温度
が95℃を超える場合には、大気圧下では排水が気化す
ることが多いため、0.2〜1MPa(Gauge)程
度に加圧することが好ましい。但し、1MPa(Gau
ge)を超える圧力は、経済性の観点から好ましくな
い。また処理圧力を上げた場合、処理温度を上げた場合
と同じく、活性炭自身の燃焼の問題も生じ易くなる。更
に、触媒の活性低下を生じることもある。
【0025】本発明で用いる触媒再生液は、易分解性の
被酸化性物質を含有している液であれば特に限定される
ものではない。具体的には、易分解性の被酸化性物質と
は、50℃以上170℃未満の湿式酸化処理条件下、活
性炭を含有する固体触媒を用いて容易に酸化・分解処理
される物質であれば良い。この物質は、50℃以上14
0℃未満の条件で容易に酸化・分解処理される物質であ
ることが好ましく、50℃以上120℃未満の条件で容
易に酸化・分解処理される物質であることがより好まし
く、50℃以上100℃未満の条件で容易に酸化・分解
処理される物質であることが更に好ましく、50℃以上
90℃未満の条件で容易に酸化・分解処理される物質で
あることが最も好ましい。
【0026】また、易分解性物質を含有する水溶液のp
Hは中性であることが望ましく、酸性やアルカリ性では
装置や触媒に対して腐食や劣化の原因となるので望まし
くない。こうした触媒再生液としては、例えばアルコー
ル類を含有する液であることが望ましい。具体的には、
メタノール、エタノール、プロパノール等を含有する液
を挙げることができ、またグリコールやグリセリンを含
有する液であっても良い。また効果的には、炭素数1〜
4のアルコール類がその易分解性等から望ましく、より
好ましくはメタノール、エタノール、プロパノールであ
り、最も好ましくはメタノールである。従って、通常の
処理対象排水がメタノールなどを含有したものであって
も良いし、更に排水にメタノールなどを加えたものであ
ってもよい。但し、触媒再生液としてはこれだけに限定
されるものではなく、種々の易分解性物質を含有する水
溶液を使用することができる。例えば、アセトアルデヒ
ド、アセトン、テトラヒドロフラン、フェノール等の有
機物や、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトルウムなどの
無機物を使用することができる。
【0027】本発明において、触媒再生液の濃度は、特
に限定されるものではないが、COD(Cr)濃度が
0.1〜50g/リットルであることが好ましく、より
好ましくは0.5〜30g/リットルである。この濃度
が0.1g/リットル未満では触媒再生液による再生効
果が低くなる。一方、50g/リットルを超えると触媒
再生液用の被酸化性物質が多く必要となりコスト高とな
るため、好ましくない。
【0028】また、本発明において触媒層出口での触媒
再生液の濃度は、特に限定されるものではなく、触媒再
生液が残留する程度の状態であれば触媒再生の効果が高
く得られるものであるが、好ましくは触媒層出口でのC
OD(Cr)濃度が0.05〜50g/リットルである
ことが良く、より好ましくは0.1〜30g/リットル
である。この濃度が0.05g/リットル未満では触媒
層出口付近での再生効果が低くなる。一方50g/リッ
トルを超えると、コスト高となるだけでなく、再生液の
後処理が煩雑となるため、好ましくない。
【0029】本発明において、触媒再生液の供給方法は
特に限定されるものではないが、例えば後記図1に示す
排水供給ポンプ5により加熱器に送られる。その後、加
熱された触媒再生液は反応塔1に供給され、固体触媒の
再生処理を行なうことになる。触媒層での空間速度は、
特に限定されるものではなく、通常の排水処理条件と同
等であればよいが、通常触媒層あたりの空間速度を0.
1hr-1〜10hr-1、より好ましくは0.1hr-1
5hr-1、更に好ましくは0.1hr-1〜3hr-1とな
るようにすれば良い。空間速度が0.1hr-1未満の場
合、再生処理に時間がかかり、実用的でない。また、逆
に10hr-1を超える場合には、再生液の量が多く必要
となり好ましくない。
【0030】尚、本発明を実施する為の装置において、
反応塔の数、種類、形状等は特に限定されるものではな
く、通常の湿式酸化処理に用いられる単管式の反応塔や
多管式の反応塔などを用いることができる。また複数の
反応塔を設置し、反応塔を直列または並列にすること
で、酸化・分解性能の低下した触媒から随時再生処理を
実施することもできる。
【0031】本発明において、触媒を充填した触媒層に
おける気液の流通方法は、特に限定されるものではない
が、より好ましい方法としては、気液下向並流で流す方
法が挙げられる。気液を下向きに並流で流すことで、気
液の接触効率が向上して酸素の溶解量が増加すること、
および液と触媒の接触効率が向上するため、処理効率が
向上するものと考えられる。また、気液を並流に流す
と、触媒層入口部分で被酸化性物質を多量に含有する液
と酸素濃度の高いガスが接触するため、活性炭自身の燃
焼を抑制するものと考えられる。
【0032】また、本発明で固体触媒を再生処理するに
際して、触媒を充填した触媒層における気液の流通方法
は、特に限定されるものではない。しかしながら好まし
い方法としては、排水処理での気液の流通方向と同じに
することである。排水処理での気液の流通方向と同じに
することで操作性などの面でより容易に実施することが
できる。このため、好ましい方法としては、後記図1に
示す様な気液下向並流で流す方法が挙げられる。また、
後記図2に示す様な気液上向並流で流すこともできる
し、流動層式であっても良い。また、気液向流で流すこ
ともできるが、気液並流の方が望ましいものである。気
液を並流で流すと、触媒層入口部分で被酸化性物質を多
量に含有する液と酸素濃度の高いガスが接触するため、
活性炭自身の燃焼を抑制するものと考えられる。
【0033】また本発明において、触媒層にガスを供給
せずに触媒再生液のみを供給し、装置の立ち上げおよび
停止を実施することもできるが、ガスを供給しなかった
場合には圧力の制御が困難であることが多く、そのとき
の圧力変化により触媒に悪影響を及ぼすことが多い。こ
のような場合、触媒層の後方よりガスを供給し、装置内
の圧力を維持することで、安定した圧力制御が可能とな
るだけでなく、酸素が触媒層に供給されないため触媒の
活性低下を効果的に抑制することができるものである。
尚、本発明は湿式酸化法での排水の処理方法に関するも
のであるため、この場合のガスは排水処理に使用する酸
素含有ガスを使用することが、操作性および経済性など
の点で望ましい。
【0034】本発明に係る排水の処理方法では、排水処
理装置の固体触媒層の形式を流動層式(流動床式)とす
ることもできる。固体触媒を用いた湿式酸化処理におい
て、本発明に係る活性炭を含有する触媒を用いた場合、
従来の固体触媒を使用した場合と比較して、より容易に
流動層式の排水処理装置を採用することができる。流動
層式の排水処理装置では、反応によるホットスポットを
生じ難いことから、固定層式(固定床式)の装置と比較
してより高濃度の排水処理が可能である。また活性炭を
含有する触媒の劣化を生じ易い排水においても、その装
置の特性から処理が容易となる。これは、流動層式の排
水処理装置では、劣化した廃触媒を抜き出しつつ、新触
媒もしくはリサイクルした触媒を追加することが可能と
なるためである。従来、固体触媒を用いた湿式酸化処理
では、触媒劣化の原因として、固体触媒中の活性成分が
固定床の後方に移動する問題があった。この問題に関し
ても流動層式の装置では、固体触媒自身が移動すること
から解決できるものである。また流動層式とした場合、
固定層式で通常採用する固体触媒よりも粒径の小さなも
のを採用することができ、より気液との接触効率も向上
できることから、処理性能も向上できる。また流動層式
とした場合、固定層式では処理困難であった若干の固形
物を含有する排水においても、反応塔が閉塞する問題を
生じ難いことから処理可能になり、処理可能な対象排水
の範囲をより広げることができるものである。
【0035】この流動層式の装置とした場合、特に限定
されるものではないが、反応塔は1塔であっても良い
し、複数塔であっても良く、操作性および設備費の面か
らは1塔の方が望ましい。また、特に限定されるもので
はないが、反応塔内部は1室であっても良いが、複数室
(多段)に分割されている方がより処理性能が向上し、
また運転の制御面からも望ましい。
【0036】本発明における活性炭を含有する触媒の物
性値は、特に限定されるものではないが、好ましくは
0.1〜10μmの細孔径を有する該細孔の容積の総和
が0.1〜0.8ml/gで、且つ比表面積が100〜
2,500m2/gのものが良い。また、0.1〜10
μmの細孔径を有する該細孔の容積の総和が0.15〜
0.7ml/gのものがより望ましく、更に望ましくは
0.2〜0.6ml/gのものである。また比表面積
が、500〜2,000m2/gのものがより望まし
く、更に望ましくは800〜1,700m2/gのもの
であり、最も望ましくは900〜1,500m2/gの
ものである。これらの規定理由は、下記の通りである。
【0037】本発明の排水の湿式酸化処理では、マクロ
孔である0.1〜10μmの触媒細孔径が、排水中に含
有される被酸化性物質や酸素の拡散に大きく影響する。
このため、0.1〜10μmの細孔径が多い触媒では、
被酸化性物質や酸素の拡散が容易になるので、反応が進
行し易くなる。即ち、低温・低圧での処理効率が向上す
る。これに対して、0.1〜10μmの細孔径が少ない
触媒では、被酸化性物質や酸素の拡散が悪い。このた
め、被酸化性物質の触媒活性点への吸着が生し難くな
り、効率良く反応が進まなくなるばかりか、酸素が被酸
化性物質の分解に効率良く使用されず、余剰酸素で活性
炭自身が燃焼し易くなる。一方、0.1〜10μmの細
孔径が非常に多い触媒では、触媒の機械的強度が低下す
る問題が生じる。このため、0.1〜10μmの細孔径
を有する該細孔径容積の総和が、上記範囲の細孔容積を
有する触媒が望ましいものである。
【0038】また触媒の比表面積は、大きいものほど排
水中に含有される被化性物質の吸着が増加し、これに伴
って排水の処理効率が向上する傾向がある。このため、
比表面積が小さい触媒は望ましくないものである。但
し、触媒の比表面積が非常に大きい触媒では、触媒の機
械的強度が低下する問題を生じる。こうしたことから、
触媒の比表面積が、上記の範囲の値を有する触媒が望ま
しいものである。
【0039】一般に活性炭は、酸化処理もしくは還元処
理などの処理を実施すると、表面に極性基が導入された
り、逆に除去され、その物性値が著しく変化することが
知られている。同様に、本発明に係る触媒においても、
触媒中の極性基量に応じて、その触媒性能が著しく変化
するものである。特にこの極性基量と触媒活性の関係
は、排水中の処理対象成分(被酸化性物質)によって大
きく変化する。例えば、処理対象成分(被酸化性物質)
が有機物やアニオン性の無機物の場合では、活性炭を含
有する触媒中の極性基量が少なく、疎水性の高い触媒
(活性炭)である必要がある。このため、触媒は還元処
理されたものほど高活性を示す傾向がある。逆にアンモ
ニアやヒドラジンのようなカチオン性の無機物の場合で
は、活性炭を含有する触媒中の極性基量が多いものであ
る必要がある。このため、触媒は酸化処理されたものほ
ど高活性を示す場合がある。
【0040】これらの理由としては、処理対象成分の触
媒への吸着され易さが大きく影響しているものと考えら
れる。活性炭を含有する触媒中の極性基の多くは、水酸
基やカルボキシル基などの含酸素官能基である。従っ
て、本発明における活性炭を含有する触媒では、特に限
定されるものではないが、触媒中の酸素量/炭素量(以
下、O/C比とも記載する)が、触媒中の極性基量と相
関関係にある。このため、極性基量の少ない触媒はO/
C比が小さく、逆に極性基量の多い触媒はO/C比が大
きいものである。また本発明に係る触媒は、処理対象成
分に対する好ましい触媒と好ましくない触媒をO/C比
で分類することができる。具体的に例示するならば、処
理対象成分(被酸化性物質)が有機物やアニオン性の無
機物の場合に望ましい触媒は、O/C比が0〜0.12
であり、より望ましくは0〜0.10であり、更に望ま
しくは0〜0.08である。逆に処理対象成分(被酸化
性物質)がアンモニアやヒドラジンのようなカチオン性
の無機物の場合に望ましい触媒は、O/C比が0.08
〜0.30であり、より望ましくは0.10〜0.25
であり、更に望ましくは0.12〜0.20である。但
し、あまりO/C比の大きい触媒は、触媒の機械的強度
が低下する問題を生じるものである。
【0041】上記のように、本発明における活性炭を含
有する触媒は、特に限定するものではないが、触媒を製
造するにあたり触媒に各種処理を実施し、各種処理目的
に合わせたO/C比にすることが望ましい。具体的に
は、触媒中のO/C比を小さくし、極性基量の少ない触
媒とするには、各種の還元処理を触媒に実施することが
望ましい。例えば、水素を用いた気相還元や亜硫酸ナト
リウムやヒドラジンなどの還元物質を用いた液相還元に
よる方法が挙げられる。この処理によって、触媒の活性
成分が還元および/または活性炭(活性炭表面)が水素
化され、有機物やアニオン性の無機物に対して高活性な
触媒を製造できると考えられる。また活性炭を製造する
工程で通常行われる各種賦活処理で実施することもでき
る。例えば、高温で水蒸気、炭酸ガス、窒素ガスと接触
させることによって実施することもできる。逆に、触媒
中のO/C比を大きくし、極性基量の多い触媒とするに
は、各種の酸化処理を触媒に実施することが望ましい。
例えば、酸素含有ガスやオゾン、NOxなどの各種ガス
を用いて酸化処理する気相酸化や過酸化水素、オゾン水
溶液、臭素水、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、次亜塩
素酸塩、硝酸、リン酸などの薬品を用いた液相酸化によ
る方法が挙げられる。この処理によって、触媒の活性成
分が酸化および/または活性炭(活性炭表面)に含酸素
官能基のような極性基が導入され、アンモニアやヒドラ
ジンのようなカチオン性の無機物に対して高活性な触媒
を製造できると考えられる。また、本発明における活性
炭を含有する触媒には、ニトロ化やスルホン化、アミノ
化などの処理やアルカリ金属化合物による処理なども実
施することができる。
【0042】上記のように、本発明における活性炭を含
有する触媒では、処理対象成分(被酸化性物質)に対す
る吸着性能に優れた触媒が、触媒活性の高い触媒となる
傾向がある。このため、本発明における活性炭を含有す
る触媒の物性値として、処理対象成分(被酸化性物質)
に対する吸着性能を挙げることもできる。例えば、排水
中の処理対象成分(被酸化性物質)が有機物の場合に
は、その有機物自身の吸着性能は勿論、その有機物が酸
化・分解処理されて生成する被酸化性物質の吸着性能を
挙げることもできる。更に、炭素数2以上の有機物が処
理対象成分である場合、特に限定されるものではない
が、一般に酢酸が湿式酸化処理後に処理液中に残留し易
い。このため、酢酸の吸着性能に優れた活性炭を用いて
作成した触媒が、有機物に対する触媒活性の高い触媒と
なる傾向がある。逆に処理対象成分(被酸化性物質)が
アンモニアやヒドラジンのようなカチオン性の無機物の
場合には、アンモニアの吸着性能に優れた活性炭を用い
て作成した触媒が、これらに対して触媒活性の高い触媒
となる傾向がある。また、特に限定されるものではない
が、処理対象成分に対する吸着性能の優れた触媒に使用
した活性炭は、処理対象成分に対する吸着性能の優れた
活性炭である傾向がある。このため、本発明に係る触媒
を製造するにあたり、使用する活性炭には、処理対象成
分に対する吸着性能の優れた活性炭を使用することが望
ましい。
【0043】本発明において、「吸着性能に優れる」と
は、例えば、ある特定の条件下、活性炭の単位量当たり
の対象成分の飽和吸着量で表し、この量が多いものほど
吸着性能に優れるものである。また、ある特定の条件
下、活性炭の単位量当たりの対象成分の吸着速度で表
し、この速度が早いものほど吸着性能に優れるものであ
る。この吸着速度には初期の吸着速度で表すこともでき
れば、任意後の吸着速度で表すこともでき、特に限定さ
れるものではない。しかしながら好ましくは、初期の吸
着速度で表すことであり、特にこの初期の吸着速度が速
い活性炭を使用した場合、触媒の活性が高く、また触媒
化した際に吸着性能に優れる触媒となる傾向がある。
【0044】本発明における活性炭を含有する触媒は、
上記のような種々の物性値によって規定することができ
る。しかし、上記に記載しなかったこの他の各種物性値
で、本発明に係る活性炭を含有する触媒の範囲が限定さ
れるものではない。この他の各種物性値としては、例え
ば、各種官能基量、灰分や不純物の量、炭素の構造形
態、酸性度、マクロ孔以外(メソ孔、ミクロ孔、サブミ
クロ孔)の細孔容積量やその比率、また外部比表面積や
内部比表面積の値やその比率に関するものなどがある。
【0045】本発明方法を実施することによって排出さ
れた使用済み触媒再生液は、易分解性の被酸化性物質を
含有していることが多いことから、河川、海等に直接放
出することは好ましくないことが多い。従って、使用済
みの触媒再生液を排水タンクに戻し、触媒再生液または
この触媒再生液と排水を共に湿式酸化処理し、浄化する
ことが好ましく、また触媒再生液を繰り返し使用するこ
とも好ましい。また後処理として生物処理、化学的処理
を実施してから、河川、海等に直接放流するようにして
も良い。
【0046】本発明における再生処理は、55℃以上2
00℃未満の温度範囲で実施する必要がある。再生処理
温度が55℃未満である場合、触媒再生液による再生効
果が十分に得られにくくなる。こうした観点からする
と、触媒再生温度は好ましくは80℃以上とするのが良
く、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは12
0℃以上とするのが良い。一方、触媒再生温度が170
℃以上となると活性炭自身の燃焼が生じやすくなるため
長期間の処理は好ましくないが、一時的に再生処理を実
施する場合においては、200℃未満であれば高い再生
の効果が認められる。尚、再生時においては、触媒再生
液は液相を保持していることが望ましい。また、触媒再
生温度が200℃以上になると活性炭の燃焼が生じるた
め一時的な処理であっても好ましくない。こうした観点
から、触媒再生温度の上限は好ましくは170℃未満で
あり、より好ましくは160℃未満、さらに好ましくは
150℃未満とするのが良い。
【0047】本発明は排水処理温度を、50℃以上17
0℃未満で実施するものであるが、触媒再生温度を上記
排水処理温度(通常の排水処理温度)よりも5〜100
℃高い温度で処理することで、高い再生効果を得ること
ができるので好ましい。また、上記排水処理温度より1
0〜60℃高い温度で再生処理を行なえば、より高い再
生効果を得ることができ、上記排水処理温度より15〜
40℃高い再生処理温度では更に好ましい結果が得られ
る。
【0048】但し、長期間の処理で活性炭に吸着した被
酸化性物質を分解するには、より高い再生温度が必要な
ときもある。こうした観点から、触媒の再生処理を行な
うに際して、再生温度を変化させることも有効である。
即ち、再生処理温度を上記の範囲内で、再生の初期に温
度を通常の排水処理温度より20〜100℃高い温度と
し、再生の終期には温度を下げる様にして再生処理を行
なうことも有効である。この場合に、再生の初期に通常
の排水処理温度よりも上げる温度は、25〜80℃高い
温度であることがより好ましく、更に好ましくは30〜
60℃程度高い温度とするのが良い。
【0049】本発明における再生時の処理圧力は、触媒
再生液が液相を保持する圧力であれば良い。再生時の処
理圧力を過大に上げた場合、処理温度を上げた場合と同
じく活性炭自身の燃焼も生じやすくなる。また触媒の活
性低下を生じることもある。このため、加圧する際には
後記図1に示す様に湿式酸化処理装置(反応塔1)の出
口側に圧力調節弁12を設け、反応塔1内で排水が液相
を保持できるように、処理条件に応じて所定の圧力とな
る様に適宜調節することが望ましい。
【0050】また処理性能および触媒の耐久性を向上す
るためには、この処理圧力の変動を±20%以内、より
好ましくは±10%以内、更に好ましくは±5%以内に
制御することが望ましい。また、再生時間は特に限定さ
れるものではないが、1〜100時間程度で適宜選択さ
れ、好ましくは3〜50時間、より好ましくは5〜24
時間程度である。
【0051】本発明における再生処理は、酸素含有の供
給下または非供給下で実施してもよいが、再生処理後の
排気ガス中の酸素濃度は、0〜5vol%の範囲に維持
することが望ましい。この酸素濃度を0〜5vol%と
することで、触媒の再生効果がより一層顕著なものとな
る。一方、排ガス中の酸素濃度が5vol%を超える
と、過剰酸素による活性炭の燃焼を生じるため好ましく
はない。従って、好ましくは酸素の不足した状態で処理
することである。こうした観点から、排気ガス中の酸素
濃度が0vol%に近いほど望ましく、最も好ましくは
酸素の残存しない0vol%である。このため、排気ガ
ス中の酸素濃度は、好ましくは0〜4vol%、より好
ましくは0〜2vol%、更に好ましくは0〜1vol
%程度の範囲に維持するのが良い。即ち、装置を運転す
る上で装置内の圧力を維持することができるのであれ
ば、触媒活性の再生は、供給酸素量の少ないほど望まし
いものである。但し、供給ガス量があまりに少ないと、
触媒再生液と触媒の接触性に問題を生じ、効果が低減す
ることもある。
【0052】本発明において、排気ガス中の酸素濃度を
0〜5vol%の範囲に維持するには、後記図1、2に
示す様に排気ガス中の酸素濃度を、酸素濃度計16を用
いて測定し、この測定値に基づいて酸素含有ガスの供給
量を酸素含有ガス流量調節弁9によって調節または制御
する様にすれば良い。排気ガス中の酸素濃度を測定する
為に用いる酸素濃度計は、通常酸素の測定に使用できる
ものであればいずれでもよく、市販の酸素濃度計を用い
ることができる。この様な酸素濃度計としては、例えば
ジルコニアの酸素センサーを用いた酸素濃度計、酸素ダ
ンベル式酸素濃度計、ガスクロマトグラフ等が挙げら
れ、これらはその使用方法により特に限定されるもので
はない。また酸素含有ガスの供給量を調節もしくは制御
する方法も特に限定されるものではなく、例えば前記流
量制御弁9によって調節もしくは制御できるが、他の手
段であっても良いことは勿論である。
【0053】尚、本発明において「排気ガス中の酸素濃
度」とは、活性炭を含有する固体触媒を再生処理した直
後の気相中における酸素濃度のことを意味し、通常は後
記図1に示す様に再生処理後の気液を気液分離処理した
際に発生する排気ガス中の酸素濃度のことである。
【0054】本発明における再生処理は、酸素含有ガス
の供給下もしくは非供給下のどちらでも実施できるが、
少量の酸素含有ガスの供給下に実施することが望まし
い。少量の酸素含有ガスを供給することで、触媒再生液
と触媒の接触性が向上し、より触媒の再生性が向上する
ものとなる。また処理圧力をある程度維持するために
も、少量のガスを供給することが望ましい。更に、酸素
含有ガスの変わりに窒素ガスなどの不活性ガスや、酸素
を含有してないガスを用いることもできる。但し、本発
明は湿式酸化法での排水の処理方法に関するものである
ため、排水処理に使用する酸素含有ガスを使用すること
が、操作性および経済性などの点で望ましい。
【0055】本発明においては、再生処理時に排気ガス
中の酸素濃度を0〜5vol%の範囲に維持して操業す
ることが好ましいが、その為の好ましい具体的制御手段
としては、[供給ガス中の酸素量]/[触媒再生液の処
理効率が最大になるときの触媒再生液の酸素要求量]
(以下、この比の値を「D値」と呼ぶことがある)=0
〜1.3の範囲となる様に設定することが挙げられる。
即ち、上記の比で示されるD値が0〜1.3の範囲とな
る様に例えばガスの供給量を調節もしくは制御すること
によって、触媒を効果的に再生することができるのであ
る。尚、[供給ガス中の酸素量]を以下、酸素供給量と
呼ぶことがある。
【0056】本発明においては、触媒再生液が易分解性
の被酸化性物質を含むものであるので、上記D値が1.
0〜1.3程度になると上記被酸化性物質が触媒層出口
側においても残存しないことがある。また、酸素供給量
が上記D値で1.0以上、特に1.3よりも大きくなる
と、触媒再生液の酸化・分解処理に要する酸素量よりも
多くなるので、過剰酸素による活性炭自身の燃焼が生じ
易くなる。こうした観点から、上記D値は、0〜0.8
程度であることが好ましく、より好ましくは0〜0.6
程度であり、更に好ましくは0〜0.4程度とするのが
良い。
【0057】但し、長期間の処理で活性炭に吸着した被
酸化性物質を分解するのに、過剰量の空気が必要なとき
もある。このため、触媒の再生処理を行なうに当たり、
酸素供給量を変化させることも有効である。この場合、
再生の初期には酸素供給量を上記D値で1.0〜1.3
となる程度とし、再生の終期には上記D値で0〜1.0
程度、好ましくは0〜0.8程度、より好ましくは0〜
0.6程度、更に好ましくは0〜0.4程度の酸素供給
量とするのが良い。
【0058】本発明における、この[触媒再生液の処理
効率が最大になるときの触媒再生液の酸素要求量]と
は、再生処理温度、処理圧力、LHSV、気流の流通方
式、使用する触媒などの再生処理条件を一定にした状態
で、酸素供給量のみを変化させた場合、触媒再生液の処
理効率が最大となるときの触媒再生液の酸素要求量のこ
とである。すなわち、上記D値は、再生処理を実施する
温度で酸素供給量を変化させ、このときの触媒再生液の
処理効率をもとに算出するものである。但し、触媒再生
液中の被酸化性物質の多くが易分解性物質である場合、
処理温度が多少変化しても処理効率は変化しないことが
多い。このような場合、触媒再生液の処理効率は、酸素
供給量だけに依存することが多い。このため酸素供給量
が一定の場合、再生処理温度が変化しても、上記のD値
は変化しないことが多い。
【0059】従って、このD値は、触媒の再生処理を行
なうに当たり、酸素供給量の過剰率の指標となる。具体
的に例示するならば、ある任意の再生処理条件下、酸素
供給量を変化させて触媒再生液により固体触媒を再生処
理したときの化学的酸素要求量(COD(Cr))処理
効率が最大で90%であった場合、酸素含有ガスのO 2
/COD(Cr)=0.9の割合で供給されたならば、
上記D値は1.0である。また、酸素含有ガスがO2
COD=1.0の割合で供給されたならば、D値は1.
11である。但し、このD値の分母である「触媒再生液
の処理効率が最大となるときの触媒再生液の酸素要求
量」は、「触媒再生液の処理効率が最大となるときの供
給ガス中の酸素量」と同量とは限らない。即ち、「D値
の分母」と「触媒再生液の処理効率が最大になるときの
酸素供給量」が、同量とは限らない。先に例示した酸素
供給量がO2/COD(Cr)=0.9のときに、CO
D(Cr)の処理効率が90%で最大であったならば、
酸素供給量と「D値の分母」は同量である。しかし、酸
素供給量がO2/COD(Cr)=2.0のときに、C
OD(Cr)処理効率が90%で最大の場合もある。こ
のときのD値は、2.22である。
【0060】本発明に係る[触媒再生液の処理効率が最
大となるときの触媒再生液の酸素要求量]で記載される
「触媒再生液の処理効率」とは、例えば触媒再生液のC
OD処理効率、TOC処理効率、窒素処理効率、BOD
処理効率、TOD処理効率もしくは特定物質の処理効率
など、触媒再生液に応じて種々の処理効率を採用するこ
とができ、特に限定されるものではない。しかしなが
ら、触媒再生液は、易分解性の被酸化性物質を含有して
おり、なおかつこの場合、酸素の消費量が特に重要であ
るから、触媒再生液のCOD処理効率で表記することが
望ましい。
【0061】本発明において「酸化・分解処理」とは、
酢酸を二酸化炭素と水にする酸化分解処理、酢酸を二酸
化炭素とメタンにする脱炭酸分解処理、尿素をアンモニ
アと二酸化炭素にする加水分解処理、アンモニアやヒド
ラジンを窒素ガスと水にする酸化分解処理、ジメチルス
ルホキシドを二酸化炭素、水、硫酸イオンなどの灰分に
する酸化および酸化分解処理、ジメチルスルホキシドを
ジメチルスルホンやメタンスルホン酸にする酸化処理な
どが例示され、即ち易分解性の被酸化性物質を窒素ガ
ス、二酸化炭素、水、灰分などにまで分解する処理や、
難分解性の有機物や窒素化合物を低分子量化する分解処
理、もしくは酸化する酸化処理など種々の酸化および/
または分解を含む意味である。
【0062】本発明の適用される処理対象排水の種類は
特に限定されず、例えば化学プラント、電子部品製造設
備、食品加工設備、金属加工設備、金属メッキ設備、印
刷製版設備、写真設備等の各種産業プラントからの排水
や、さらに火力発電や原子力発電などの発電設備等から
の排水でもよい。具体的にはEOG製造設備、メタノー
ル、エタノール、高級アルコールなどのアルコール製造
設備からの排水、特にアクリル酸、アクリル酸エステ
ル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル等の脂肪族カ
ルボン酸やそのエステル、あるいはテレフタル酸、テレ
フタル酸エステル等の芳香族カルボン酸もしくは芳香族
カルボン酸エステルの製造プロセスから排出される有機
物含有排水が例示される。また、アミン、イミン、アン
モニア、ヒドラジン等の窒素化合物を含有している排水
でも良い。また、チオ硫酸イオンや硫化物イオン、ジメ
チルスルホキシド等のイオウ化合物を含有している排水
でも良い。また下水やし尿等の生活排水であっても良
い。或は、ダイオキシン類やフロン類、フタル酸ジエチ
ルヘキシル、ノニルフェノールなどの有機ハロゲン化合
物や環境ホルモン化合物等の有害物質を含有している排
水でも良い。
【0063】以下、実施例によって本発明の作用効果を
より具体的に示すが、下記実施例は本発明を限定する性
質のものではなく、前・後記の趣旨に逸脱しない範囲で
変更することはいずれも本発明の技術範囲に含まれるも
のである。
【0064】
【実施例】実施例1〜5 図1に示す装置を使用し、まず通常の排水処理を実施し
た。反応塔1は、直径26mmφ、長さ3,000mm
の円筒状であり、その内部に活性炭と白金を主成分と
し、白金を0.3質量%含有する4mmφのペレット状
の固体触媒を1リットル(390g)、触媒層長188
0mmH充填した。また、通常の処理対象排水は、脂肪
酸カルボン酸および脂肪族カルボン酸エステル製造設備
から排出された排水で、アルコール、アルデヒド、カル
ボン酸など炭素数2以上の有機化合物を含有し、COD
(Cr)が15,000mg/リットル、pHは2.8
であった。また、全TOC成分中の53%が酢酸であっ
た。
【0065】排水供給源(図示せず)から送られてきた
排水は、排水供給ライン6を通じて排水供給ポンプ5に
よって1リットル/hの流量で昇圧フィードした後、加
熱器3で120℃に加熱し、反応塔1の上部より供給し
気液下向並流で処理した。このとき、加熱器3によって
加熱された排水は、反応器1の気液入口側の圧力計PI
で圧力を測定した。また空気(酸素含有ガス)を酸素含
有ガス供給ライン8から導入し、コンプレッサー7で昇
圧した後、この空気を酸素含有ガス流量調節弁9によっ
て供給量を調整しつつ加熱器3の手前で排水に供給し
た。
【0066】反応塔1では、電気ヒーター2を用いて1
20℃に保温し、この反応塔1内に充填された前記固体
触媒を排水(および空気)が上方から下方に通過する際
に、排水中に含まれる被酸化性物質が酸化・分解処理さ
れることになる。排水が酸化・分解処理された後の処理
液は、反応塔1の底部から排出された後、処理ライン1
0を経て冷却器4で冷却し、圧力制御弁12から解圧し
て排出し、気液分離器11で気液分離した。尚、前記圧
力制御弁12では、圧力コントローラーPCで反応塔1
内の圧力を検出し、反応塔1内の圧力が0.6MPa
(Gauge)となる様に制御した。
【0067】気液分離器11において、気液分離器11
内の排気ガス中の酸素濃度を、酸素濃度計16を用いて
測定し、排気ガスはガス排出ライン13から排出した。
また気液分離器中の処理液は、液面コントローラーLC
を用いて液面の高さを検出し、一定の液面高さとなる様
に処理液排出ポンプ14を制御した。そして、処理液排
出ポンプ14から排出された処理液は、処理液排出ライ
ン15を経て排出し、この処理液を随時サンプリングし
てCOD(Cr)濃度を測定した。
【0068】まず、運転開始から50時間、排気ガス中
の酸素濃度が0.5%となるように空気供給量を制御し
た。その結果、50時間経過後のCOD(Cr)処理効
率は94%であった。
【0069】次に、50〜100時間経過後まで、気液
分離中の排気ガスの酸素濃度が10%となるように空気
を供給し、触媒活性が低下するようにした。更に、10
0〜150時間経過後まで、再度、排気ガス酸素濃度が
0.5%となるように空気供給量を制御した。150時
間経過後のCOD(Cr)処理効率は66%に低下して
いた。
【0070】(再生処理過程)上記において、COD
(Cr)処理効率が94%から66%に低下した該触媒
に対して、以下に記載する各々の再生処理を実施した。
【0071】再生処理の方法は、排水供給ポンプ5によ
って触媒再生液1リットル/hの流量で昇圧フィードし
た後、加熱器3で140℃に加熱して反応塔1の上部よ
り再生液を供給し、気液下向並流で流した。この再生処
理に用いた触媒再生液は、メタノールを約10g/リッ
トル含有した液であり、COD(Cr)15g/リット
ルであった。また、空気を酸素含有ガス供給ライン8よ
り導入し、コンプレッサー7で昇圧した後、下記表1に
示す各々の量で酸素含有ガス(空気)を加熱器3の手前
で再生液に供給した。
【0072】触媒層を通過した再生液は、冷却器4で冷
却した後、圧力制御弁12から解圧して排出し、気液分
離器11で気液分離した。尚、圧力制御弁12は、圧力
コントローラーPCで圧力を検出し、0.6MPa(G
auge)の圧力を保持するように制御した。
【0073】この再生処理は各々のテストとも5時間実
施し、その後、先の排水処理条件と同じ条件で排水の処
理を再度50時間実施した。再生処理時における再生液
の残存量および排水処理時の排水の処理効率は、各々下
記表1に記載した。
【0074】尚、実施例5では、再生処理時に酸素含有
ガスに代えて窒素ガスを供給した。このときの窒素ガス
の供給量は、実施例2で供給した酸素含有ガスの供給量
と同じにした。
【0075】
【表1】
【0076】実施例6〜9、比較例1 再生時の処理温度を下記表2に示した値にした以外は、
実施例2と同じ触媒、同じ処理方法、同じ処理条件、同
じ装置を用いて実施例2に準じて再生処理を行なった。
この結果を下記表2に併記する。尚、実施例8は、処理
温度を160℃としたため、処理圧力を0.9MPa
(Gauge)とした。また、比較例1は、処理温度を
220℃としたため、処理圧力を2.5MPa(Gau
ge)とした。
【0077】
【表2】
【0078】実施例10〜15 再生時の処理時間を下記表3に示した値にした以外は、
実施例2と同じ触媒、同じ処理方法、同じ処理条件、同
じ装置を用いて実施例2に準じて再生処理を行なった。
この結果を下記表3に併記する。尚、実施例14および
15では、再生処理温度を125℃として実施例8に準
じて再生処理を行なった。
【0079】
【表3】
【0080】実施例16〜22 メタノールを含有する触媒再生液のCOD(Cr)濃度
を下記表4に示した値にした以外は、実施例2に準じた
方法で再生処理を行なった。この結果を下記表4に併記
する。尚、実施例20および21では、再生処理時間を
24時間として実施例11に準じて再生処理を行なっ
た。また、酸素含有ガス(空気)の供給量は、いずれも
2/COD(Cr)=0.5であった。更に、実施例
22では、再生時間5時間で、酸素含有ガス(空気)の
供給量をO2/COD(Cr)=0.2に変更して処理
を行なった。
【0081】
【表4】
【0082】実施例23〜27 触媒再生液として、エタノール、プロパノール、アセト
ン、テトラヒドロフランの夫々を、COD(Cr)で1
5g/リットル相当を含有する液を使用する以外は、実
施例2と同じ触媒、同じ処理方法、同じ処理条件、同じ
装置を用いて実施例2に準じて再生処理を行なった。こ
の結果を、下記表5に示す。また、実施例24では、脂
肪酸カルボン酸および脂肪酸カルボン酸エステル製造設
備から排出された炭素数1〜4のアルコール類を多く含
有する排水を用いて再生処理を行なった。排水の濃度
は、COD(Cr)23g/リットルであった。尚、酸
素含有ガス(空気)の供給量は、O2/COD(Cr)
=0.5であった。
【0083】
【表5】
【0084】比較例2,3 酸素含有ガスの供給量を下記表6に示した値にした以外
は、実施例2と同じ触媒、同じ処理方法、同じ処理条
件、同じ装置を用いて実施例2に準じて再生処理を行な
った。その結果を、下記表6に示す。
【0085】
【表6】
【0086】実施例28 図2に示す装置を使用した。図2に示した装置における
基本構成は、前記図1に示した装置と類似し、対応する
部分には同一の参照符号を付してある。この図2に示し
た装置では、加熱器3によって加熱された排水が、反応
塔21(22は電気ヒーター)の底部から供給されると
共に、酸化・分解処理された後の廃水は、反応塔21の
上部から排出される様に構成されたものである。即ち、
図2に示した反応塔21は、触媒層における気液の流通
方式が気液上向並流のものである。
【0087】そして、実施例1と同じ要領(同じ排水、
同じ処理方法、同じ処理条件)で排水の処理を実施し
た。50時間経過後のCOD(Cr)処理効率は87%
であった。引き続き、実施例2と同じ処理方法、同じ処
理条件で、実施例2に準じて触媒の再生処理を行なっ
た。その結果を、下記表7に示す。尚、酸素含有ガス
(空気)の供給量は、O2/COD(Cr)=0.5で
あった。
【0088】
【表7】
【0089】実施例29 再生処理時間が0〜1時間までは160℃、1〜3時間
までは125℃で実施した以外は、実施例2と同じ触
媒、同じ処理方法、同じ処理条件、同じ装置で実施例2
に準じて再生処理を行なった。その結果を、下記表8に
示す。
【0090】
【表8】
【0091】実施例30,31 実施例1に示した図1と同じ装置を使用し、排水処理を
実施した。反応塔1の内部には、活性炭とパラジウムを
主成分とし、パラジウムを0.6質量%含有する3mm
φのペレット状の固体触媒を1リットル(420g)、
1880mmH充填した。また、処理に供した排水は、
発電設備から排出された排水で、硫安とナトリウムイオ
ンと炭酸イオンを含有する排水であった。また、排水中
のアンモニア濃度は、4,200mg/リットル、pH
7.8であった。
【0092】該排水は、排水供給ポンプ5によって1リ
ットル/hの流量で昇圧フィードした後、加熱器3で1
30℃に加熱し、反応塔1の上部より供給して気液下向
並流で処理した。また、空気を酸素含有ガス供給ライン
8から導入し、コンプレッサー7で昇圧した後、この空
気を酸素含有ガス流量調節弁9によって供給量を調整し
つつ加熱器3の手前で排水に供給した。
【0093】反応塔1では、電気ヒーター2を用いて1
30℃に保温し、酸化・分解処理を実施した。処理液
は、冷却器4で冷却した後、圧力制御弁12から解圧し
て排出し、気液分離器11で気液分離した。尚、前記圧
力制御弁12では、圧力コントローラーPCで反応塔1
内の圧力を検出し、反応塔1内の圧力が0.9MPa
(Gauge)となる様に制御した。また、気液分離器
11内の排気ガス中の酸素濃度を、酸素濃度計16を用
いて測定し、また気液分離器中の処理液のアンモニアの
処理効率を求めた。
【0094】まず、運転開始から50時間、排気ガス中
の酸素濃度が0.5%となるように空気供給量を制御し
た。その結果、反応開始から50時間経過後のアンモニ
アの処理効率は95%であった。
【0095】次に、50〜100時間経過後まで、気液
分離中の排気ガスの酸素濃度が10%となるように空気
を供給し、触媒活性が低下するようにした。更に、10
0〜150時間経過後まで、再度、排気ガス酸素濃度が
0.5%となるように空気供給量を制御した。150時
間経過後のアンモニアの処理効率は54%に低下してい
た。
【0096】(再生処理過程)上記において、アンモニ
アの処理効率が95%から54%に低下した触媒に対し
て、以下に記載する再生処理を実施した。
【0097】再生処理の方法は、排水供給ポンプ5によ
って触媒再生液1リットル/hの流量で昇圧フィードし
た後、加熱器3で150℃に加熱して反応塔1の上部よ
り再生液を供給し、気液下向並流で流した。尚、この再
生処理に用いた触媒再生液は、メタノールを約8g/リ
ットル含有した液であり、COD(Cr)12g/リッ
トルであった。また、空気を酸素含有ガス供給ライン8
より導入し、コンプレッサー7で昇圧した後、下記表9
に示す各々の量で酸素含有ガス(空気)を加熱器3の手
前で再生液に供給した。触媒層を通過した再生液は、冷
却器4で冷却した後、圧力制御弁12から解圧して排出
し、気液分離器11で気液分離した。尚、圧力制御弁1
2は圧力コントローラーPCで圧力を検出し、0.9M
Pa(Gauge)の圧力を保持する様に制御した。
【0098】この再生処理を7時間実施し、その後、先
の排水処理条件と同じ条件で、排水の処理を再度50時
間実施した。その結果を、下記表9に示す。
【0099】
【表9】
【0100】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、性
能が低下した触媒を効果的に再生することができ、固体
触媒の耐久性を飛躍的に向上させることができる様にな
った。また、本発明によって長時間安定的に排水を浄化
することができるようになり、排水の処理費を低く抑え
ることができることになる。
【0101】また、本発明が基本的に採用している湿式
酸化法による排水の処理方法は、排水の処理設備および
排水の処理費を安価にでき、しかも高度に排水を処理す
ることができる優れた処理方法である。従って、こうし
た湿式酸化法において本発明の再生による効果を付加す
ることによって、その方法による効果を著しいものとす
ることができる。
【0102】更に、本発明によって処理した排水の処理
液は、他の用途にも用水として再利用することができ、
資源のリサイクルとの面からも優れており、これによっ
てコストダウンを図れると共に、資源を有効に活用でき
る、等の効果も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する為に構成される装置の一構成
例を示す概略説明図である。
【図2】本発明を実施する為に構成される装置の他の構
成例を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1,21 反応塔 2,22 電気ヒーター 3 加熱器 4 冷却器 5 排水供給ポンプ 6 排水供給ライン 7 コンプレッサー 8 酸素含有ガス供給ライン 9 酸素含有ガス流量調節弁 10 処理液ライン 11 気液分離器 12 圧力制御弁 13 ガス排出ライン 14 処理液排出ポンプ 15 処理液排出ライン 16 酸素濃度計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01J 38/52 B01J 38/52 38/54 38/54 (72)発明者 宮▲碕▼ 邦典 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒内 (72)発明者 石井 徹 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒内 Fターム(参考) 4D050 AA13 AB07 AB14 AB15 AB16 AB17 AB18 AB19 AB35 AB36 BB01 BC01 BC02 BC05 BC06 BD02 BD06 BD08 CA13 4G069 AA03 AA10 AA12 BA08A BA08B BA21C BB02A BB02B BC32A BC33A BC70A BC71A BC72A BC72B BC74A BC75A BC75B BE06C CA05 CA07 CA10 DA06 EA02Y EB18Y EC04Y EC05Y EC07Y GA06 GA10 GA16

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排水中に含まれる有機および/または無
    機の被酸化性物質を、触媒を用いて酸化および/または
    分解処理する排水の処理方法において、50℃以上17
    0℃未満の処理温度、該排水が液相保持する圧力下で、
    酸素含有ガスを供給して活性炭を含有する触媒を用いて
    排水を処理すると共に、易分解性の被酸化性物質を含有
    する触媒再生液を固体触媒に供給し、55℃以上200
    ℃未満の温度で前記固体触媒を再生しつつ操業すること
    を特徴とする排水の処理方法。
  2. 【請求項2】 前記触媒再生液が触媒層出口で残留する
    ようにして操業する請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 固体触媒の再生処理温度が、排水処理温
    度より5〜100℃高い温度である請求項1または2に
    記載の方法。
  4. 【請求項4】 触媒再生液がアルコール類を含有する液
    である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 排気ガス中の酸素濃度を0〜5%vol
    の範囲に維持するものである請求項1〜4のいずれかに
    記載の方法。
  6. 【請求項6】 触媒再生液を触媒層に供給する際に、酸
    素含有ガスまたは酸素非含有ガスを供給し、これら供給
    ガス中の酸素量が、[供給ガス中の酸素量]/[触媒再
    生液の処理効率が最大となるときの触媒再生液の酸素要
    求量]=0〜1.3の範囲となるように設定する請求項
    1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記固体触媒を充填した触媒層における
    気液の流通方法が、気液下向並流である請求項1〜6の
    いずれかに記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記固体触媒が、更にPt,Pd,R
    h,Ru,Ir,AgおよびAuよりなる群から選択さ
    れる1種以上の元素を含有するものである請求項1〜7
    のいずれかに記載の方法。
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