JP2001272345A - 二重共鳴吸収顕微鏡 - Google Patents

二重共鳴吸収顕微鏡

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JP2001272345A JP2000082898A JP2000082898A JP2001272345A JP 2001272345 A JP2001272345 A JP 2001272345A JP 2000082898 A JP2000082898 A JP 2000082898A JP 2000082898 A JP2000082898 A JP 2000082898A JP 2001272345 A JP2001272345 A JP 2001272345A
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正明 藤井
Takashige Omatsu
尾松  孝茂
Taku Sato
卓 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 超解像性に理想的な中空イレース光を発生さ
せることのできる、新しい二重共鳴吸収顕微鏡を提供す
る。 【解決手段】 ポンプ光光源とイレース光光源と重ね手
段とを備えており、重ね手段を介してポンプ光およびイ
レース光を試料に照射することにより、第一電子励起状
態の試料分子が基底状態へ脱励起する際の発光領域を一
部分抑制する二重共鳴吸収顕微鏡において、集光レンズ
(101)およびコリメートレンズ(103)とその間
に設けられたピンホール(102)とを有し、イレース
光を集光レンズ(101)によりピンホール(102)
に集光し、且つピンホール(102)を通過したイレー
ス光のみをコリメートレンズ(103)により平行光に
コリメートする空間フィルター(100)が、イレース
光の光路に備えられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、二重共鳴
吸収過程を用いて超解像性を実現する二重共鳴吸収顕微
鏡に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、レーザー技術や電子画像技術をは
じめとする周辺技術の進歩にともない、様々なタイプの
高性能かつ多機能な顕微鏡が開発されてきている。本願
発明の発明者も、その一つとして、複数波長の光を試料
に照明することによって発生する二重共鳴吸収過程を用
いて、得られる画像のコントラスト制御および試料の化
学分析を可能とする顕微鏡(以下、二重共鳴吸収顕微鏡
と呼ぶ)をすでに提案している(特願平6−32916
5参照)。
【0003】この二重共鳴吸収顕微鏡では、二重共鳴吸
収過程を用いて特定の分子を選択し、特定の光学遷移に
起因する吸収および蛍光を観測することができる。その
原理を説明すると、まず、基底状態(S0状態:図1)
の試料分子(つまり、試料を構成する分子)が持つ価電
子軌道の電子を、レーザー光などの共鳴波長λ1光によ
り第一電子励起状態へ励起させ(S1状態:図2)、続
いて共鳴波長λ2光により第二電子励起状態またはさら
に高位の励起状態へ励起させる(S2状態:図3)。分
子は、この励起状態から蛍光あるいは燐光を発光したり
して基底状態に戻る(図4)。そして、図2に示した吸
収や図4に示した蛍光や燐光の発光を用いて吸収像や発
光像を観察する。
【0004】S1状態への励起過程においては、単位体
積内のS1状態の分子数は照射する光の強度が増加する
にしたがって増加する。線吸収係数は、分子一個当たり
の吸収断面積と単位体積当たりの分子数の積で与えられ
るので、S2状態への励起過程においては続いて照射す
る共鳴波長λ2に対する線吸収係数は最初に照射した共
鳴波長λ1の光の強度に依存する。すなわち、共鳴波長
λ2(以下、波長λ2と略称)に対する線吸収係数は共鳴
波長λ1(以下、波長λ1と略称)の光の強度で制御でき
る。このことは、波長λ1および波長λ2の2波長の光で
試料を照射し、波長λ2による透過像を撮影すれば、透
過像のコントラストを波長λ1の光で完全に制御できる
ことを示している。また、S2状態からの蛍光または燐
光による脱励起過程が可能である場合には、その発光強
度はS1状態にある分子数に比例する。したがって、蛍
光顕微鏡として利用する場合にも画像コントラストの制
御が可能となる。
【0005】また、この二重共鳴吸収顕微鏡は、コント
ラストの制御のみならず、化学分析も可能にする。図1
に示される最外穀価電子軌道は個々の分子に固有なエネ
ルギー準位をもつので、波長λ1は分子によって異な
る。同時に波長λ2も分子固有のものとなる。単一波長
で照明・観察を行う従来の顕微鏡においても、ある程度
は特定の分子の吸収像あるいは蛍光像を観察することが
可能ではあるが、一般にはいくつかの分子の吸収帯の波
長領域は重複するため、試料の化学組成の正確な同定ま
では不可能である。これに対し、二重共鳴吸収顕微鏡で
は波長λ1および波長λ2の2波長により吸収あるいは発
光する分子を限定するので、従来技術よりも正確な試料
の化学組成の同定が可能となる。また、価電子を励起す
る場合、分子軸に対して特定の電場ベクトルを持つ光の
みが強く吸収されるので、波長λ1および波長λ2の偏光
方向を決めて、吸収像または蛍光像を撮影すれば、同じ
分子でも配向方向の同定をも行うことができる。
【0006】本願発明の発明者はさらに、回折限界を越
える高い空間分解能の二重共鳴吸収顕微鏡をも提案して
いる(特願平8−302232参照)。二重共鳴吸収過
程については、図5に例示したようにS2状態からの蛍
光が極めて弱くなるある種の分子が存在する。このよう
な光学的性質を持つ分子に対しては、以下のような極め
て興味深い現象が起きる。図6は、図5と同じく二重共
鳴吸収過程の概念図であるが、横紬にX軸を設けて空間
的距離の広がりを表現しており、波長λ1光および波長
λ2光が照射されている空間領域A1(=蛍光抑制領域)
と、波長λ1光のみが照射されて波長λ2光が照射されて
いない空間領域A0(=蛍光領域)について示してい
る。空間領域A0では波長λ1光による励起によってS1
状態の分子が多数生成される。このとき空間領域A0
らは波長λ3で発光する蛍光が見られる。しかし空間領
域A1では、波長λ2光が照射されるので、S1状態の分
子が即座に高位のS2状態へと励起され、S1状態の分子
は存在しなくなる。このため空間領域A1においては、
波長λ3の蛍光は全く発生せず、しかもS2状態からの蛍
光はもともとないので、完全に蛍光自体が抑制されるこ
ととなる。すなわち蛍光が発生するのは空間領域A0
みとなる。このような現象の発生が数種類の分子におい
て確認されている。
【0007】したがって、従来の走査型レーザー顕微鏡
などでは、レーザー光を集光して観察試料上に形成され
るマイクロビームのサイズが集光レンズの開口数と波長
による回折限界で決まるので、それ以上の空間分解能が
原理的に期待できないにの対し、図6で示した現象によ
れば波長λ1光と波長λ2光を空間的に一部分重ね合わせ
ることで、波長λ2光の照射で蛍光領域が抑制されるた
め、たとえば波長λ1光の照射領域に着目すると、蛍光
領域は集光レンズの開口数と波長とで決まるビームのサ
イズよりも狭くなっており、実質的に空間分解能の向上
が図られている。本願発明者による二重共鳴吸収顕微鏡
(特願平8−302232参照)は、この原理を用い
て、回折限界を越える超解像顕微鏡を実現しているので
ある。
【0008】そして本願発明の発明者は、この二重共鳴
吸収顕微鏡の超解像性をさらに高めるべく、その機能を
十分に活かすための試料の調整や波長λ1光・波長λ2
の試料への照射タイミングなどをもすでに提案している
(特願平9−255444参照)。より具体的には、試
料を染色分子により染色する。この染色分子として、基
底状態を含め少なくとも3つの量子状態(S0状態,S1
状態,S2状態・・・)を有し、且つS1状態を除く高位
の量子状態から基底状態へ脱励起するときの遷移におい
て蛍光による緩和過程よりも熱緩和過程が支配的である
各種分子(以下、蛍光ラベラー分子と呼ぶ)を用いるの
である。このような蛍光ラベラー分子と生化学的な染色
技術を施した生体分子とを化学結合させてなる試料に、
波長λ 1光を照射して蛍光ラベラー分子をS1状態に励起
させ、続いて即座に波長λ2光を照射して蛍光ラベラー
分子をより高位の量子準位に励起させることで、S1
態からの蛍光を効果的に抑制できるようになる。この際
に、上述したような空間的な蛍光領域の人為的な抑制を
行うことにより、空間分解能のさらなる向上が実現され
る。
【0009】上記の蛍光ラベラー分子の光学的性質は、
以下のように量子化学的な見地から説明できる。一般
に、分子はそれを構成する各原子のσまたはπ結合によ
って結ばれている。言い換えると、分子の分子軌道はσ
分子軌道またはπ分子軌道をもっていて、これらの分子
軌道に存在する電子が各原子を結合する重要な役割を担
っている。そのなかでも、σ分子軌道の電子は、各原子
を強く結合し、分子の骨格である分子内の原子間距離を
決める。これに対して、π分子軌道の電子は、各原子の
結合にほとんど寄与しないで、むしろ分子全体に極めて
弱い力で束縛される。
【0010】多くの場合、σ分子軌道にいる電子を光で
励起させると、分子の原子間隔が大きく変化し、分子の
解離を含む大きな構造変化が起こる。その結果として、
原子の運動エネルギーや構造変化するために光が分子に
与えたエネルギーのほとんどが熱エネルギーに形を変え
る。したがって、励起エネルギーは蛍光という光の形態
で消費されない。また、分子の構造変化は極めて高速に
おこるので(たとえばピコ秒より短い)、その過程で仮
に蛍光が起きても極めて蛍光寿命が短い。しかしそれに
対して、π分子軌道の電子が励起しても、分子の構造自
体はほとんど変化せず、高位の量子的な離散準位に長時
間とどまり、ナノ秒のオーダーで蛍光を放出して脱励起
する性質を持つ。
【0011】量子化学よれば、分子がπ分子軌道を持つ
ことと、二重結合を持つこととは同等であり、用いる蛍
光ラベラー分子には、二重結合を豊富に持つ分子を選定
することが必要条件となる。そして、二重結合を持つ分
子でもベンゼンやビラジンなどの6員環分子において
は、S2状態からの蛍光が極めて弱いことが確かめられ
ている(例えば、M..Fujii et.al., Chem. Phys. Lett.
171 (1990) 341)。したがって、ベンゼンやビラジン
などの6員環分子を含む分子を蛍光ラベラー分子として
選定すればS1状態からの蛍光寿命が長くなり、しかも
光照射によりS1状態からS2状態に励起させることで分
子からの蛍光を容易に抑制でき、上述の二重共鳴吸収顕
微鏡の超解像性を効果的に利用することができるように
なる。
【0012】すなわち、これらの蛍光ラベラー分子によ
り試料を染色して観察を行えば、高空間分解能の蛍光像
を取得することができるだけでなく、その蛍光ラベラー
分子の側鎖の化学基を調整することにより生体試料の特
定の化学組織のみを選択的に染色でき、試料の詳細な化
学組成までも分析可能となる。
【0013】一般に、二重共鳴吸収過程は二つの光の波
長や偏光状態等が特定の条件を満たす場合のみに起こる
ので、これを用いることで非常に詳細な分子の構造を知
ることが可能となる。すなわち、光の偏光方向と分子の
配向方向とは強い相関関係があり、二波長光それぞれの
偏光方向と分子の配向方向とが特定の角度をなすとき二
重共鳴吸収過程が強く起こる。したがって、二波長光を
試料に照射して、各光の偏光方向を回転することによ
り、蛍光の消失の程度が変化するので、その様子から観
察しようとする組織の空間配向の情報も得られる。さら
に、二つの波長の光を調整させることでもこのことが可
能である。
【0014】他方、波長λ1光と波長λ2光の照射タイミ
ングを適当なものに調整することにより(特願平9−2
55444参照)、蛍光像のS/Nを改善し、且つ蛍光
抑制をさらに効果的に起こすことも可能となっている。
【0015】また、本願発明の発明者により、波長λ1
光と波長λ2光の照射タイミングのさらなる工夫によ
り、S/Nおよび蛍光抑制のさらなる向上を実現するこ
とも提案されている(特願平10―97924参照)と
ころで、前述した波長λ1光の照射領域の一部分への波
長λ2光の照射領域の重ね合わせは、波長λ2光を中空ビ
ーム化して、つまり中央部(軸近傍領域)がゼロ強度で
あり、且つ軸対象な強度分布を有する中空ビーム光にし
て、波長λ1光の一部分と空間的に重ね合わせ、試料上
に集光することで実現できる。図7は、この重合せおよ
びそれによる蛍光抑制を例示した概念図である。波長λ
2光は、図8にも例示したような位相板により中空ビー
ム化されており、この中空ビーム化された波長λ2光と
波長λ1光の重ね合わせにより、波長λ2光の強度がゼロ
となる光軸近傍の領域以外では蛍光は抑制され、波長λ
1光の広がりよりも狭い領域に存在する蛍光ラベラー分
子(または試料分子)の蛍光のみが観察される。その結
果、超解像性が発現する。
【0016】図8の位相板は、波長λ2光にその光軸を
中心対象としてπだけ位相差を与えるものである。この
位相板に波長λ2光を通すことで、波長λ2光の光軸近傍
領域(光軸を含む)の位相が反転するため、その光軸近
傍領域の電場強度はゼロとなり、蛍光抑制による超解像
性の発現に理想的な中空ビーム形状をもつ波長λ2光が
得られるのである。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】さて、以上のように本
願発明の発明者によってこれまで開発されてきた二重共
鳴吸収顕微鏡は、その超解像性と分析能力において際立
った有用性と技術的優位性を示しているものの、未だに
以下に示すような改良すべき点が残されているのが実情
である。なおここからは、試料分子(=試料を構成する
分子)をS0状態からS1状態へ励起させる波長λ1光を
ポンプ光、S1状態の分子をS2状態へ励起させる波長λ
2光をイレース光と呼び、中空ビーム形状を有するイレ
ース光を中空イレース光と呼ぶこととする。また、S0
状態からS1状態への励起はS0→S1励起、S1状態から
2状態への励起はS1→S2励起と略称する。また、超
解像性の実現をより効果的なものとすべく、蛍光ラベラ
ー分子を用いて試料を染色する場合には、試料分子とは
この蛍光ラベラー分子のこととなる。
【0018】二重共鳴吸収顕微鏡において、ポンプ光お
よびイレース光の照射領域の一部重合せによる蛍光領域
の抑制によって理論通りの超解像度を実現するために
は、中空イレース光が期待どおりの中空ビーム形状とな
っている必要がある。この中空ビーム形状の乱れ、つま
り強度分布の乱れはそのまま顕微鏡画像の劣化を招いて
しまう。
【0019】イレース光の光源としてはレーザーがしば
しば用いられるが、光源からのイレース光を期待通りの
中空ビームに成形するためには、その大前提としてレー
ザ光のビームプロファイルが整っている必要がある。す
なわち、ビームの強度分布が光軸軸対称であることが必
要となる。しかしながら、たとえば色素レーザーでは、
そのビーム形状が三角形に近く、強度分布も一様でない
ことから、期待する中空ビームを得ることが難しい場合
がある。このため、試料上で集光したビーム形状が崩れ
たビームパターンとなり、顕微鏡画像の解像度劣化や画
質低下の原因となっている。
【0020】また、輪帯アパーチャーを介して中空イレ
ース光を取得することが提案されてはいる。しかしなが
ら、輪体アパーチャーを利用すると、光紬合わせや焦点
合わせなどが難しく、良好な画像を得るまでの調整時間
や手間が非常に多くなり、且つそのための熟達技能も必
要となる。実用上好ましいものではない。
【0021】さらにまた、中空イレース光として理想的
なビームプロファイルを持つ一次のベッセルビームも提
案されてはいる。一次ベッセルビームは、たとえば図9
に例示したように、光紬を中心にして1周すると位相が
2π変化する。理論上は、光軸に関して軸対称な点では
お互いの位相がπずれることから、軸上では電場が完全
に相殺されてゼロとなる。しかしながら、実際にはレー
ザー光は、そのビーム面内で完全に位相面が揃っている
わけではなく、ビーム中央部から外れるに従って位相面
が乱れてくるため、一次ベッセルビームを形成する際、
この位相面の乱れに起因して、電場の相殺が不完全とな
り、ビーム中央部の強度が完全にゼロとならない不完全
な一次ベッセルビームができてしまう。これでは二重共
鳴吸収顕微鏡にとって理想的な中空イレース光とはいえ
ない。
【0022】この出願の発明は、以上のとおりの事情に
鑑みてなされたものであり、従来の二重共鳴吸収顕微鏡
を改良し、超解像性に理想的な中空イレース光を発生さ
せることのできる、新しい二重共鳴吸収顕微鏡を提供す
ることを課題としている。
【0023】
【課題を解決する手段】この出願の発明は、上記の課題
を解決するものとして、試料分子を基底状態から第一電
子励起状態へ励起させる波長λ1のポンプ光の光源と、
第一電子励起状態の試料分子を第二電子励起状態または
より高い励起状態へ励起させる波長λ2のイレース光の
光源と、ポンプ光およびイレース光の照射領域を一部分
重ね合わせる重ね手段とを備えており、重ね手段を介し
てポンプ光およびイレース光を試料に照射することによ
り、第一電子励起状態の試料分子が基底状態へ脱励起す
る際の発光領域を一部分抑制する二重共鳴吸収顕微鏡に
おいて、集光レンズおよびコリメートレンズとその間に
設けられたピンホールとを有し、イレース光を集光レン
ズによりピンホールに集光し、且つピンホールを通過し
たイレース光のみをコリメートレンズにより平行光にコ
リメートする空間フィルターが、イレース光の光路に備
えられていることを特徴とする二重共鳴吸収顕微鏡(請
求項1)を提供する。
【0024】また、この二重共鳴吸収顕微鏡において、
ピンホールの半径aが、
【0025】
【数3】
【0026】の条件または
【0027】
【数4】
【0028】の条件を満たしていること(請求項2)
や、空間フィルターを通過したイレース光にその光軸を
中心としてπだけ位相差を与える位相変調素子が備えら
れていること(請求項3)や、ビーム領域限定手段を通
過した後のイレース光に、その光軸を中心としてπだけ
位相差を与える位相変調素子が備えられていること(請
求項4)や、位相変調素子は、イレース光に対して透明
かつオプティカルフラットな平行基板の上に、イレース
光に光軸を中心としてπだけ位相差を与え得る厚み分布
を持つ光学薄膜が被膜されてなること(請求項5)や、
位相変調素子は、イレース光に対して透明かつオプティ
カルフラットな平行基板に、イレース光に光軸を中心と
してπだけ位相差を与え得るエッチングが施されてなる
こと(請求項6)や、試料は、基底状態を含め少なくと
も三つの電子状態を有する蛍光ラベラー分子により染色
されており、前記試料分子はこの蛍光ラベラー分子であ
ること(請求項7)をその態様として提供する。
【0029】
【発明の実施の形態】この出願の発明は上記のとおりの
特徴を持つものであり、ポンプ光光源、イレース光光
源、および重ね手段を基本構成として備え持つ二重共鳴
吸収顕微鏡において、超解像性をより効果的に発現させ
るべく、空間フィルターを用いてイレース光の中空ビー
ム化について改善している。
【0030】図10は、この空間フィルター(100)
の一例を示した概略図である。この図10に例示したよ
うに、空間フィルター(100)は、集光レンズ(10
1)およびコリメートレンズ(103)とその間に設け
られたピンホール(102)とを有しており、入射した
イレース光を集光レンズ(101)で集光して、ピンホ
ール(102)を照明した後、ピンホール(102)を
通過したイレース光をコリメートレンズ(103)によ
り平行光にコリメートするように構成されている。この
場合、位相が乱れた、すなわち波面が乱れたレーザー光
はピンホール(102)を通過できず、結果的に波面の
揃ったレーザー光のみがピンホール(102)を通過す
ることになる。
【0031】この原理を図11を用いて説明する。図1
1は、半径hの入射ビームを、焦点距離fのレンズによ
りその焦平面に置かれた半径aのピンホールに照射した
場合を例示したものである。
【0032】まず、たとえば、レンズ位置(あるいは瞳
位置)ξ1で点光源とする波面を考える。点ξ1からピン
ホールの縁Zu(点ξ1に近い側)までの光路長l1uは、
光路の屈折率をnとして、次式で与えられる。
【0033】
【数5】
【0034】また、点ξ1からピンホールの縁Zd(点ξ
1に遠い側)までの光路長l1dは、同様に次式で与えら
れる。
【0035】
【数6】
【0036】したがって、これらの光路差Δlは、次式
で与えられる。
【0037】
【数7】
【0038】この数7をテーラー展開して、1までの微
小量をとると、
【0039】
【数8】
【0040】となる。このΔ1が、点ξ1から出た光がピ
ンホールを通り抜けたときの波面の最大のズレを表す。
このとき、光の波長をλとすると、位相差δ1は、
【0041】
【数9】
【0042】で与えられる。これは、波面収差であり、
これ以上の位相差がでるものはピンホールを通る抜ける
ことができないということを示している。
【0043】また、光軸上の点ξ0からピンホールの縁
uまでの光路長l0uは、次式で与えられる。
【0044】
【数10】
【0045】この場合、最大の位相差は光軸上を通る光
との光路差であるから、同様な計算をすると、位相差δ
0は、
【0046】
【数11】
【0047】である。すなわち、図11のようなレーザ
ービームがピンホールを通り抜けるとき、各瞳面におい
て発した光が持つ最大位相差はδ1〜δ0の間の値をと
り、結果として全ビームがピンホールを通る時には、δ
1以下の位相差をもって通過することになる。したがっ
て、仮にレーザービームの波面が乱れていても、図10
に例示した空間フィルター(100)を設けることで、
δ1以下の位相ズレを持つレーザー光だけを通すことが
できる。
【0048】このことを二重共鳴吸収顕微鏡における中
空イレース光の形成の場合で説明すると、中空イレース
光として、光軸近傍領域で電場強度がゼロとなる一次ベ
ッセルビームを、図8に例示した位相板を用いて形成す
る場合、少なくとも位相板に入射されるイレース光の位
相差が光軸に関して対称な位置でπ/2でないと、光軸
で電場強度が相殺せず、良好な中空ビーム形状とならな
い。しかし、図10の空間フィルター(100)をイレ
ース光(波長λ2)の光路上に設ければ、イレース光の
位相差をδ1以下にすることができる。具体的には、
【0049】
【数12】
【0050】の条件を満たす位相板を利用すれば、イレ
ース光の位相差が光軸に関して対称な位置で電場強度の
符号が反転し、光軸上で電場強度が弱くなる。すなわ
ち、超解像性を実現できる最低限のビームプロファイル
を持った中空イレース光を発生することができる。数1
2を変形して、空間フィルター(100)を構成するピ
ンホール(102)についての条件とすると、
【0051】
【数13】
【0052】となる。これは、ピンホール(102)の
サイズを与える条件である。さらに、この数13を、イ
レース光のビーム径すなわち瞳面で制限される実効的な
開口数NAで書けば、次式が得られる。
【0053】
【数14】
【0054】したがって、この発明の二重共鳴吸収顕微
鏡における空間フィルター(100)には、数13ある
いは数14で与えられる条件を満たすピンホール(10
2)を用いることが好ましく、この空間フィルター(1
00)を通すことによって、位相差δ1以下のビームプ
ロファイルのイレース光のみを取り出すことができ、こ
のイレース光をもって超解像性の発現に好適な中空イレ
ース光を位相板を介して生成できるようになる。
【0055】なお、数13および数14は、ピンホール
(102)の条件ではあるが、集光レンズの焦点距離f
や開口数NAなどの数値をも用いているので、ピンホー
ル(102)と集光レンズ(101)との条件、あるい
は空間フィルター(100)自体の条件とも言うことが
できる。
【0056】この出願の発明は、以上のとおりの特徴を
持つものであるが、以下に実施例を示し、さらに具体的
に説明する。
【0057】
【実施例】図12は、この発明の二重共鳴吸収顕微鏡の
一実施例を示した概略図である。この図12に例示した
二重共鳴吸収顕微鏡は、レーザー走査型蛍光顕微鏡を構
成しており、ポンプ光およびイレース光を集光してスポ
ット化し、試料(523)をそのスポットと相対的に走
査させながら蛍光を検出し、蛍光信号をコンピュータ
(501)を用いて画像化するシステムとなっている。
【0058】このシステム全体は、コンピュータ(50
1)により制御される。コンピュータ(501)は、レ
ーザーコントローラー(502)を介して、基本光源で
あるNd:YAGレーザー(505)の発振のタイミン
グを制御する。それと同時に、試料ステージコントロー
ラー(503)を介して、試料ステージ(524)の移
動をレーザー発振のタイミングと同期させながら制御
し、試料(523)を二次元走査する。また、同様にレ
ーザー発振と同期させてカメラコントローラー(50
4)を介して、ICCDカメラ(540)から試料(5
23)の蛍光信号を取得する。
【0059】本実施例では、試料(523)は蛍光ラベ
ラー分子により染色されたものとし、その蛍光ラベラー
分子としてはローダミン系分子を想定する。図13は、
ローダミン系分子の一つであるローダミン6Gの分光デ
ータを例示したものである。この図13に例示したよう
に、S0→S1励起に相当する吸収バンドが530nm前
後に存在し、S1→S2励起および蛍光発光帯域が600
nm前後に存在する。したがって、波長λ1=532n
mのポンプ光でS0→S1励起させ、波長λ2=599n
mのイレース光でS1→S2励起させることで、二重共鳴
吸収過程と誘導放出過程により、599nm以外の波長
の蛍光は消失する。
【0060】波長532nm光は、Nd:YAGレーザ
ー(505)の基本波(波長1064nm)をBBO結
晶やKTP結晶などからなる波長変調素子(507)に
より2倍波変調することで生成できる。波長599nm
光は、Ba(NO32等のラマンシフター(512)で
波長532nmを599nmに変換することで生成でき
る。波長変調素子(507)からの波長532nm光
は、ハーフミラー(508)により分光され、その透過
光は、テレスコープ(509)により適正サイズの平行
光に拡大されて、ポンプ光として利用される。他方、反
射光は、ラマンシフター(512)によって波長599
nm光に変調されて、イレース光として利用される。
【0061】一般にNd:YAGレーザー(505)
は、共振器にガウシアンミラーを用いているため、ビー
ムの光軸近傍の中央部の波面は比較的揃っているが、ビ
ーム周縁部は波面の乱れが多くなり、中央部と比較する
と位相差が生じる。この波面すなわち位相面の歪みのた
めに、レーザービームの全径を利用して中空イレース光
としての一次ベッセルビームを形成しようとすると、超
解像性の実現に良好な中空ビームとならない。
【0062】そこで、本実施例では、前述した空間フィ
ルター(100)を、ラマンシフター(512)後のイ
レース光の光路上に設けており、この空間フィルター
(100)を通過させて、波面の乱れを少なくともλ2
/4以下に抑制したビームプロファイルのイレース光の
みを取り出すことができる。具体的には、まず、ラマン
シフター(512)から出力されるイレース光のビーム
径を2mmとして、焦点距離f=50cmの集光レンズ
(101)でピンホール(102)に集光する。この場
合、イレース光の光路の屈折率n、つまり空気の屈折率
nを1.0として、前記数13によりピンホール(10
2)の半径aを求めると、半径a=38μmとなる。こ
のピンホール(102)を通過したイレース光は、集光
レンズ(101)と同じ焦点距離fを持つコリメータレ
ンズ(103)により2mmのビーム径に戻される。
【0063】このようにして得られた良好なビームプロ
ファイルのイレース光から、完全な一次ベッセルビーム
を生成することができる。具体的には、空間フィルター
(100)を出たイレース光は、テレスコープ(51
3)で適正サイズの平行光に拡大された後、位相板(5
14)によって一次ベッセルビームとなる。
【0064】本実施例では、イレース光の波長λ2は5
99nmであるので、位相板(514)として、図14
に例示したようにガラス基板をエッチングしたものを利
用した。ガラスの屈折率は1.46(波長599nm)
であるため、イレース光の1/4波長はガラス基板の厚
み325.5nmに対応する。したがって、図14に例
示したように、位相板(514)の領域を4分割し、隣
接する各領域で位相差が1/4波長ずつになるように厚
さを設定してエッチングしておけば、イレース光を理想
的に中空ビーム化させることができる。すなわち、イレ
ース光を、その光軸と位相板(514)の中心とを一致
させるようにして位相板(514)を通過させること
で、位相板(514)の中心部分で対向した各領域を通
るイレース光の光軸付近領域の位相が反転するため、そ
の光軸付近領域の電場強度はゼロとなる。これにより、
蛍光抑制による超解像性の発現に理想的な中空ビーム形
状をもつイレース光が得られるのである。このように中
空ビーム化されたイレース光は、一次ベッセルビームと
なっている。
【0065】なお、位相板(514)としては、エッチ
ングの代わりに弗化マグネシウム等の薄膜を位相差を与
えるものとして基板上に蒸著したものを用いてもよい。
また、理想的な中空ビーム・イレース光が得られる限
り、ラマンシフター(512)、テレスコープ(51
3)、位相板(514)の順序は変更してもよいことは
言うまでもない。
【0066】ポンプ光および中空ビーム化されたイレー
ス光は、各々、反射ミラー(510)および反射ミラー
(515)を介してビームコンバイナー(511)に入
射され、同軸光となる。もちろん両光はテレスコープ
(509)(513)によって同一サイズとされてい
る。同軸光とされたポンプ光およびイレース光は、一種
のテレスコープ光学系であるビームリデューサー(52
0)によって、集光対物レンズ(522)の開口一杯に
両光を取り込むべく、集光対物レンズ(522)の口径
と等しいサイズに調整される。そして、集光対物レンズ
(522)により試料(523)面上に集光される。
【0067】また、本実施例では、ポンプ光とイレース
光の試料面への到達時刻を調整するため、イレース光の
光路長を調整できるようになっている。具体的には、直
線移動ステージ(518)およびそれに搭載されたプリ
ズム(519)からなる遅延光学系が、反射ミラー(5
16)による反射光路側に備えられている。テレスコー
プ(513)からのイレース光は、反射ミラー(51
5)(516)を介して遅延光学系のプリズム(51
9)に入射される。このとき、直線移動ステージ(51
8)を、イレース光のポンプ光に対する遅延距離だけ移
動させ、プリズム(519)を介したイレース光の折り
返し距離を調整する。遅延距離は、到達時間差1nse
cに対して30cmとなる。この遅延距離は、たとえば
マイクロメーター等を用いて測定でき、その測定結果を
直線移動ステージ(518)の移動距離に反映させれば
よい。これにより、完全にポンプ光の照射時間がイレー
ス光のそれとオーバーラップする、蛍光抑制の発現に最
適な照射が可能となる。なお、ポンプ光の光源およびイ
レース光の光源として、独立したレーザー、たとえば二
台のNd:YAGパルスレーザーを用いた場合には、時
間差を持つ二つのトリガーパルスを与えることにより、
独立に各光源のQスイッチシグナルを電気的制御して
も、ポンプ光およびイレース光の試料(523)への到
達時刻を調整することできる。
【0068】さて、このようにしてポンプ光およびイレ
ース光が試料(523)に照射されると、ポンプ光の照
射領域の一部に中空イレース光が重なっていることで、
両光が重なり合っている照射領域は蛍光抑制領域A1
なり、中空イレース光の中空部分であるポンプ光のみの
照射領域は蛍光領域A0となり(図6参照)、この蛍光領
域A0(=観察領域)のみからローダミン系分子の蛍光
が発生する。
【0069】この蛍光は、再び集光対物レンズ(52
2)を通過し、接眼レンズ(538)から分光器(53
9)へ入射する。分光器(539)は、たとえば図15
に例示したように、コリメータ球面鏡(5391)、フ
ォーカシング球面鏡(5392)、および機械的に切り
替え可能な回折格子(5393)を基本光学系として備
えている。入射スリット(5395)を通過した蛍光
は、反射ミラー(5394)でコリメータ球面鏡(53
91)に入射され、コリメータ球面鏡(5391)で回
折格子(5393)上へ集光される。そして、回折格子
(5393)上で波長分解された蛍光は、フォーカシン
グ球面鏡(5392)でICCDカメラ(540)のC
CD素子上に結像される。
【0070】このときのICCDカメラ(540)で得
られる信号は、レーザー1ショット当りの蛍光スペクト
ルである。レーザー1ショットに同期させて試料ステー
ジ(524)を二次元移動させて、そのときの蛍光スペ
クトルをコンピュータ(501)により積算画像化する
ことで、試料(523)の二次元蛍光像を構築すること
ができる。また、蛍光信号にポンプ光およびイレース光
が混在してしまっている場合には、コンピュータ(50
1)による画像生成において、ポンプ光およびイレース
光の波長成分の信号を取り除き、本来の蛍光波長成分の
みの信号を用いて画像化すれば、十分な超解像性が発現
し、且つ高いS/Nの蛍光像を得ることができる。
【0071】また、超解像性をさらに向上すべく、分光
器(539)の前に、ポンプ光波長をカットするノッチ
フィルター(536)およびイレース光波長をカットす
るノッチフィルター(537)を挿入しておいてもよい
(図15中では、分光器(539)への接眼レンズ(5
38)の前に挿入されている)。これにより、分光器
(539)に入射する前にポンプ光およびイレース光を
蛍光信号から分離して、本来の蛍光成分のみをスペクト
ル分析することができ、蛍光信号のいわゆる純度を高
め、より効果的に超解像性を発現させることができる。
もちろん、ノッチフィルター(536)(537)以外
にも、必要に応じてバンドパスフィルターやシャープカ
ットフィルターを挿入し、蛍光ラベラー分子からの蛍光
以外の不要な波長成分をカットするようにしてもよい。
【0072】なお、仮に分光器(539)の入射スリッ
ト(5395)を開いて、回折格子(5393)のゼロ
次光をICCDカメラ(540)のCCD素子上に結像
すれば、試料(523)面からの蛍光像そのものとな
る。特にこの場合では、S/N向上のため、上記のノッ
チフィルター(536)(537)や、バンドパスフィ
ルターあるいはシャープカットフィルターを挿入してお
くことが好ましい。
【0073】次に、本実施例の試料移動機構について説
明する。前記のようにコンピュータ制御される試料ステ
ージ(524)は、XYZφθ方向への5次元移動ステ
ージとなっている。
【0074】まず、光軸方向であるZ方向への移動に
は、たとえば、ピエゾ圧電素子の一種を用いたインチワ
ームステージ機構を用いることができ、ローターリーエ
ンコーダーでその絶対位置をモニターできるように構成
されていることが好ましい。
【0075】一般に、開口数の大きい対物レンズで集光
すると、焦点深度は非常に浅くなり、その焦点位置の探
索が非常に困難である。たとえば、開口数NAのレンズ
で集光したときの、焦点からδzだけ離れた点における
集光ビームの広がりdは、以下の式で与えられる。
【0076】
【数15】
【0077】ここで仮にδzが600nmであるとする
と、dは約400nm程度となる。これは、ポンプ光を
回折限界まで絞ったサイズと同等であり、基本的には1
μm以下の精度で位置制御を行なう必要があることを意
味している。そのため、ピエソ圧電素子の一種を用いた
インチワームステージは、サブμmでの位置制御が可能
なために、超解像性を発現するこの発明の二重共鳴吸収
顕微鏡に適したステージである。また、絶対位置をモニ
ターすることで、試料(523)を交換したとしても、
迅速に観察領域を発見できる。
【0078】図16は、試料ステージ(524)のXY
方向の二次元移動機構の一例を示したものである。この
図16に例示したXY二次元移動機構は、板バネ(60
1)および二つの積層型ピエゾ圧電素子(602)(6
03)から構成されており、積層型ピエゾ圧電素子(6
02)(603)で板バネ(601)を駆動し、一方の
積層型ピエゾ圧電素子(602)でX軸方向へ、他方の
積層型ピエゾ圧電素子(603)でY軸方向へ、試料ス
テージ(524)を光軸と直交する面内において二次元
移動させる。また、図17に例示したように、直接、積
層型ピエゾ圧電(602)(603)を試料ステージ
(524)に取り付けた移動機構を用いることもできる
が、図16のように板バネ(601)を介した機構の方
が、走査面の歪みによる画質劣化の発生をより効果的に
抑制することができる。
【0079】また、試料ステージ(524)にはθφ方
向の駆動機構をも設けているが、これらは試料(52
3)表面とポンプ光およびイレース光の光軸とを正確に
直交させるために付加されたものである。
【0080】以上の五次元移動機構による試料ステージ
(524)は、試料(523)に対するメカニカルスキ
ャンを前提としている場合のものであるが、たとえば、
揺動するガルバノミラーを光路上に設けて、レーザービ
ーム自体を走査することもできる。
【0081】さてここで、ポンプ光およびイレース光の
光軸調整の一例について説明する。光軸調整用の標準試
料としては、ポンプ光およびイレース光の両光に対して
透明な薄膜にローダミンBを分散させてなるものを用い
る。ローダミンBは、ポンプ光およびイレース光の両光
によって高い確率でS0→S1励起が起きるため、十分な
量の蛍光を観測することが可能となる。この標準試料と
しての薄膜は、たとえば、溶液状態のPMMAにローダ
ミンBを分散させて、スライドガラスの上に厚さ数μm
でスピンコートすることで製作される。
【0082】光軸調整の手順としては、上記標準試料に
ポンプ光およびイレース光を同時照射し、発生される蛍
光をICCDカメラ(540)を介してコンピュータ
(501)で観察しながら、ポンプ光の集光点とイレー
ス光の集光点が一致するように、ポンプ光の光路上にあ
る反射ミラー(510)またはイレース光の光路上にあ
る反射ミラー(515)の傾きなどを調節して集光点の
位置を移動させる。このとき、ポンプ光およびイレース
光の集光点が一致するときの蛍光像は、発光面積が最小
となり、且つ、発光輝度が最大となるので、そのような
蛍光像が得られるように光学系を調整すれば、ポンプ光
およびイレース光の光軸一致が実現される。
【0083】なお、図12において、(533)はハー
フミラー、(534)は照明光用レンズ、(535)は
照明光源であり、これらは光軸調整のために用いられる
光学系である。
【0084】また、図12に例示したように、光軸調整
のための別の顕微鏡光学系を、試料(523)の後側に
設けておいてもよい。図12において、(525)は透
過光用レンズ、(526)はハーフミラー、(527)
は照明光用レンズ、(528)は照明光源、(529)
(530)はポンプ光およびイレース光をカットするノ
ッチフィルター、(531)は接眼レンズ、(532)
はICCDカメラであり、これらによって光軸調整用の
顕微鏡光学系が構成されている。
【0085】以下に、上述したシステム全体の制御につ
いて説明する。
【0086】本実施例の顕微鏡システムは、電気的制御
を行うユニットとして、ICCDカメラ(540)(上
記光軸用顕微鏡光学系を併せ備えた場合にはICCD
(532)も)を制御するカメラコントローラー(50
4)と、試料ステージ(524)を制御する試料ステー
ジコントローラー(503)と、Nd:YAGレーザー
(505)を制御するレーザーコントローラー(50
2)とを有しており、これらのコントローラーはコンピ
ュータ(501)により集中管理される。
【0087】ICCDカメラ(540)に対しては蛍光
信号の検出時間を決めるゲートパルスの発生と取得され
た蛍光信号のコンピュータ(501)ヘの送信、試料ス
テージ(524)に対してはピエゾ圧電素子(602)
(603)(図16、図17参照)のステップ移動、N
d:YAGレーザー(505)に対してはQスイッチ信
号の制御がそれぞれ行われる。システムの処理シーケン
スとしては、 1.Nd:YAGレーザーの発振 2.ICCDカメラのゲートパルス発生 3.データ取り込み 4.ピエゾ圧電素子のステップ移動 というサイクルを、取得する画像の画素数分だけ繰り返
すことになる。ICCDカメラ(540)からの各画素
毎の蛍光スペクトルは、コンピュータ(501)にて数
値データとして取り込まれ、全画素分のデータを取得
後、数値演算処理によって、バックグラウンド信号とし
て混在しているポンプ光およびイレース光の波長成分を
除去し、その他の波長成分の積分値を1画素の画像信号
とする。このようにして得られた画像データは必要に応
じて、CRTやプリンター等の外部出力装置に出力され
たり、HDDやFDD等の記憶装置に記憶される。
【0088】この発明は以上の例に限定されるものでは
なく、細部については様々な態様が可能であることは言
うまでもない。
【0089】
【発明の効果】以上詳しく説明したように、この出願の
発明によって、超解像性に理想的な中空イレース光を発
生させることができ、超解像性をより確実に実現でき
る、新しい二重共鳴吸収顕微鏡が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】基底状態の試料分子の電子配置を例示した図で
ある。
【図2】S1状態に励起された試料分子の電子配置を例
示した図である。
【図3】S2状態に励起された試料分子の電子配置を例
示した図である。
【図4】脱励起した試料分子の電子配置を例示した図で
ある。
【図5】二重共鳴吸収過程を例示した概念図である。
【図6】二重共鳴吸収過程を空間的に例示した概念図で
ある。
【図7】ポンプ光およびイレース光の一部重合せおよび
それによる蛍光抑制を例示した概念図である。
【図8】イレース光の中空ビーム化のための位相板の一
例を示した図である。
【図9】光紬を原点とした一次ベッセルビームの断面の
位相分布を例示した概念図である。
【図10】この発明の二重共鳴吸収顕微鏡にて用いられ
る空間フィルターの一例を示した概略図である。
【図11】空間フィルターによる良好なビームプロファ
イルのイレース光形成の原理を説明する図である。
【図12】この発明の一実施例である二重共鳴吸収顕微
鏡を用いたレーザー走査型蛍光顕微鏡システムを例示し
た概略図である。
【図13】ローダミン6Gの吸収特性(実線)および蛍
光特性(点線)を例示した図である。
【図14】ガラス基板のエッチングによる位相板の一例
を示した概略図である。
【図15】図12の顕微鏡システムにおける分光器の内
部構造を例示した概略図である。
【図16】図12の顕微鏡システムにおける試料ステー
ジのXY二次元移動機構の一例を示した概略図である。
【図17】試料ステージのXY二次元移動機構の別の一
例を示した概略図である。
【符号の説明】
100 空間フィルター 101 集光レンズ 102 ピンホール 103 コリメートレンズ 501 コンピュータ 502 レーザーコントローラー 503 試料ステージコントローラー 504 カメラコントローラー 505 Nd:YAGレーザー 507 波長変調素子 508 ハーフミラー 509 テレスコープ 510 反射ミラー 511 ビームコンバイナー 512 ラマンシフター 513 テレスコープ 514 位相板 515,516,517 反射ミラー 518 直線移動ステージ 519 プリズム 520 ビームリデューサー 521 ハーフミラー 522 集光対物レンズ 523 試料 524 試料ステージ 525 透過光用レンズ 526 ハーフミラー 527 照明光用レンズ 528 照明光源 529,530 ノッチフィルター 531 接眼レンズ 532 ICCDカメラ 533 ハーフミラー 534 照明光用レンズ 535 照明光源 536,537 ノッチフィルター 538 接眼レンズ 539 分光器 5391 コリメータ球面鏡 5392 フォーカシング球面鏡 5393 回折格子 5394 反射ミラー 5395 スリット 540 ICCDカメラ 601 板バネ 602,603 積層型エピゾ圧電素子
フロントページの続き (72)発明者 藤井 正明 愛知県岡崎市竜美南2−3−1 6号棟 303号 (72)発明者 尾松 孝茂 神奈川県横浜市戸塚区平戸5−10−9 (72)発明者 佐藤 卓 神奈川県川崎市幸区塚越4−320−4− 1209 Fターム(参考) 2G043 AA03 BA14 CA07 DA02 DA05 EA01 EA02 EA13 FA02 FA06 FA07 GA03 GA07 GB01 GB02 HA01 HA02 HA03 HA09 HA15 JA04 KA02 KA05 KA07 KA09 LA03 2H052 AA07 AA09 AC04 AC12 AC15 AC27 AC29 AC34 AF14 AF21 AF25

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料分子を基底状態から第一電子励起状
    態へ励起させる波長λ1のポンプ光の光源と、第一電子
    励起状態の試料分子を第二電子励起状態またはより高い
    励起状態へ励起させる波長λ2のイレース光の光源と、
    ポンプ光およびイレース光の照射領域を一部分重ね合わ
    せる重ね手段とを備えており、重ね手段を介してポンプ
    光およびイレース光を試料に照射することにより、第一
    電子励起状態の試料分子が基底状態へ脱励起する際の発
    光領域を一部分抑制する二重共鳴吸収顕微鏡において、 集光レンズおよびコリメートレンズとその間に設けられ
    たピンホールとを有し、イレース光を集光レンズにより
    ピンホールに集光し、且つピンホールを通過したイレー
    ス光のみをコリメートレンズにより平行光にコリメート
    する空間フィルターが、イレース光の光路に備えられて
    いることを特徴とする二重共鳴吸収顕微鏡。
  2. 【請求項2】 ピンホールの半径aが、 【数1】 の条件または 【数2】 の条件を満たしている請求項1の二重共鳴吸収顕微鏡。
  3. 【請求項3】 空間フィルターを通過したイレース光に
    その光軸を中心としてπだけ位相差を与える位相変調素
    子が備えられている請求項1または2の二重共鳴吸収顕
    微鏡。
  4. 【請求項4】 ビーム領域限定手段を通過した後のイレ
    ース光に、その光軸を中心としてπだけ位相差を与える
    位相変調素子が備えられている請求項3の二重共鳴吸収
    顕微鏡。
  5. 【請求項5】 位相変調素子は、イレース光に対して透
    明かつオプティカルフラットな平行基板の上に、イレー
    ス光に光軸を中心としてπだけ位相差を与え得る厚み分
    布を持つ光学薄膜が被膜されてなる請求項4の二重共鳴
    吸収顕微鏡。
  6. 【請求項6】 位相変調素子は、イレース光に対して透
    明かつオプティカルフラットな平行基板に、イレース光
    に光軸を中心としてπだけ位相差を与え得るエッチング
    が施されてなる請求項4の二重共鳴吸収顕微鏡。
  7. 【請求項7】 試料は、基底状態を含め少なくとも三つ
    の電子状態を有する蛍光ラベラー分子により染色されて
    おり、前記試料分子はこの蛍光ラベラー分子である請求
    項1ないし6のいずれかの二重共鳴吸収顕微鏡。
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