JP2015031882A - 超解像顕微鏡及び変調光学素子 - Google Patents

超解像顕微鏡及び変調光学素子 Download PDF

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Abstract

【課題】超解像機能の劣化を防止できる超解像顕微鏡を提供する。
【解決手段】照明光学系の第1照明光及び第2照明光が通る光路中に配置されて、第2照明光を空間変調する変調光学素子10を備え、変調光学素子10は、屈折率分布において異方性を有する複数の光学基板が同一面内に接合され、かつ、少なくとも2枚の光学基板は第2照明光の偏光方向に対して異なる屈折率を有する。
【選択図】図7

Description

本発明は、超解像顕微鏡及びこれに使用可能な変調光学素子に関するものである。
光学顕微鏡の技術は古く、種々のタイプの顕微鏡が開発されてきた。また、近年では、レーザ技術および電子画像技術をはじめとする周辺技術の進歩により、さらに高機能の顕微鏡システムが開発されている。
このような背景の中、複数波長の光で試料を照明して2重共鳴吸収過程を誘導することにより、得られる画像のコントラストの制御のみならず化学分析も可能にした高機能な顕微鏡が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この顕微鏡は、2重共鳴吸収を用いて特定の分子を選択して、特定の光学遷移に起因する吸収および蛍光を観測するものである。この原理について、図22〜図25を参照して説明する。図22は、試料を構成する分子の価電子軌道の電子構造を示すもので、先ず、図22に示す基底状態(S0状態:安定状態)の分子がもつ価電子軌道の電子を波長λの光により励起して、図23に示す第1励起状態(S1状態)とする。次に、別の波長λの光により同様に励起して、図24に示す第2励起状態(S2状態)とする。この励起状態により、分子は蛍光あるいは燐光を発光して、図25に示すように基底状態に戻る。
2重共鳴吸収過程を用いた顕微鏡法では、図24の吸収過程や図25の蛍光や燐光の発光を用いて、吸収像や発光像を観察する。この顕微鏡法では、最初にレーザ光等により共鳴波長λの光で図23のように試料を構成する分子をS1状態に励起させるが、この際、単位体積内でのS1状態の分子数は、照射する光の強度が増加するに従って増加する。
ここで、線吸収係数は、分子一個当りの吸収断面積と単位体積当たりの分子数との積で与えられるので、図24のような励起過程においては、続いて照射する共鳴波長λに対する線吸収係数は、最初に照射した波長λの光の強度に依存することになる。すなわち、波長λに対する線吸収係数は、波長λの光の強度で制御できることになる。このことは、波長λおよび波長λの2波長の光で試料を照射し、波長λによる透過像を撮影すれば、透過像のコントラストは波長λの光で完全に制御できることを示している。
また、図24の励起状態から図25に示す基底状態への蛍光または燐光による脱励起過程が可能である場合、その発光強度はS1状態にある分子数に比例する。したがって、蛍光顕微鏡として利用する場合にも画像コントラストの制御が可能となる。
さらに、2重共鳴吸収過程を用いた顕微鏡法は、上記の画像コントラストの制御のみならず、化学分析も可能である。すなわち、図22に示す最外殻価電子軌道は、各々の分子に固有のエネルギー準位を持つので、波長λは分子によって異なることになり、同時に波長λも分子固有のものとなる。
ここで、従来の単一波長で試料を照明する場合でも、ある程度特定の分子の吸収像あるいは蛍光像を観察することが可能である。しかし、一般に、いくつかの分子は、吸収帯の波長領域が重複するため、単一波長で試料を照明する場合には、試料の化学組成の正確な同定までは不可能である。
これに対し、2重共鳴吸収過程を用いた顕微鏡法では、波長λおよび波長λの2波長により吸収あるいは発光する分子を限定するので、従来法よりも正確な試料の化学組成の同定が可能となる。また、価電子を励起する場合、分子軸に対して特定の電場ベクトルをもつ光のみが強く吸収されるので、波長λおよび波長λの偏光方向を決めて吸収または蛍光像を撮影すれば、同じ分子でも配向方向の同定まで可能となる。
また、最近では、2重共鳴吸収過程を用いて回折限界を超える高い空間分解能をもつ蛍光顕微鏡も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
図26は、分子における2重共鳴吸収過程の概念図で、基底状態S0の分子が、波長λの光で第1励起状態S1に励起され、さらに波長λの光で第2励起状態S2に励起されている様子を示している。なお、図26は、ある種の分子のS2状態からの蛍光が極めて弱いことを示している。
図26に示すような光学的性質を持つ分子の場合には、極めて興味深い現象が起きる。図27は、図26と同じく2重共鳴吸収過程の概念図で、横軸のX軸は空間的距離の広がりを表わし、波長λの光を照射した空間領域A1と波長λの光が照射されない空間領域A0とを示している。
図27において、空間領域A0では波長λの光の励起によりS1状態の分子が多数生成され、その際に空間領域A0からは波長λで発光する蛍光が見られる。しかし、空間領域A1では、波長λの光を照射したため、第1励起状態S1の分子のほとんどが即座に高位の第2励起状態S2に励起されて、第1励起状態S1の分子は存在しなくなる。このような現象は、幾つかの分子により確認されている。これにより、空間領域A1では、波長λの蛍光は完全になくなり、しかも第2励起状態S2からの蛍光はもともとないので、空間領域A1では完全に蛍光自体が抑制され(蛍光抑制効果)、空間領域A0からのみ蛍光が発することになる。
さらに、波長λが蛍光発光帯域と重複するときは、誘導放出過程により分子は第1励起状態S1から基底状態S0の高位の振動準位に強制的に遷移するので、蛍光抑制効果はさらに増強される。言い換えると、波長λの光の照射により第1励起状態S1から発光する蛍光収率は低くなる。したがって、量子準位に強制的に分子を遷移させれば、蛍光抑制効果が発現する。このような物質として、フォトクロミック性の分子や、希土類を含む蛍光体、量子ドットなどがある。
このような現象は、顕微鏡の応用分野から考察すると、極めて重要な意味を持っている。すなわち、従来の走査型レーザ顕微鏡等では、レーザ光を集光レンズによりマイクロビームに集光して試料上を走査するが、その際のマイクロビームのサイズは、集光レンズの開口数と波長とで決まる回折限界となり、原理的にそれ以上の空間分解能は期待できない。
ところが、図27の場合には、波長λと波長λとの2種類の光を、空間的に一部重ね合わせて蛍光領域を抑制するので、例えば波長λの光の照射領域に着目すると、蛍光領域を集光レンズの開口数と波長とで決まる回折限界よりも狭くでき、実質的に空間分解能を向上させることが可能となる。したがって、この原理を利用することで、回折限界を超える2重共鳴吸収過程を利用した超解像顕微鏡、例えば超解像蛍光顕微鏡を実現することが可能となる。
例えば、ローダミン6G色素を用いた場合、波長532nmの光(ポンプ光;第1照明光)を照射すると、ローダミン6G分子は、基底状態S0から第1励起状態S1へ励起されて波長560nmにピークを有する蛍光を発光する。この際、波長599nmの光(イレース光;第2照明光)を照射すると、2重共鳴吸収過程が起こって、ローダミン6G分子は蛍光発光がしにくい第2励起状態S2に遷移する。すなわち、これらのポンプ光とイレース光とをローダミン6Gに同時に照射すると蛍光が抑制されることになる。
図28は、従来提案されている超解像顕微鏡の要部構成図である。この超解像顕微鏡は、通常のレーザ走査型蛍光顕微鏡を前提としたもので、主に3つの独立したユニット、すなわち、光源ユニット210、スキャンユニット230および顕微鏡ユニット250からなっている。
光源ユニット210は、ポンプ光用光源211およびイレース光用光源212を有する。ポンプ光用光源211から射出されるポンプ光は、ダイクロイックプリズム213に入射され、該ダイクロイックプリズム213で反射されて射出される。イレース光用光源212から射出されるイレース光は、位相板215により位相が空間変調されてダイクロイックプリズム213に入射され、該ダイクロイックプリズム213を透過して、ポンプ光と同軸上に合成されて射出される。
ここで、ローダミン6G色素で染色された試料を観察する場合、ポンプ光用光源211は、Nd:YAGレーザを用い、その2倍高調波である波長532nmの光をポンプ光として射出させることができる。また、イレース光用光源212は、Nd:YAGレーザとラマンシフタとを用い、Nd:YAGレーザの2倍高調波をラマンシフタで波長599nmに変換した光をイレース光として射出させることができる。
位相板215は、イレース光の位相を変調するもので、例えば図29に示すように、瞳面を光軸を中心に動径方向に分割された8領域を有する。各領域は、イレース光の位相差が光軸周りに2πで周回するように、ガラス基板をエッチングしたり、ガラス基板上に光学多層膜を形成したりして構成される。この位相板215を通過したイレース光を集光すると、光軸上で電場が相殺された中空状のイレース光が生成される。
スキャンユニット230は、光源ユニット210から同軸で射出されるポンプ光およびイレース光を、ハーフプリズム231を通過させた後、2枚のガルバノミラー232および233により2次元方向に揺動走査して、後述の顕微鏡ユニット250に射出させる。また、スキャンユニット230は、顕微鏡ユニット250から入射する蛍光を、往路と逆の経路を辿ってハーフプリズム231で分岐し、その分岐された蛍光を投影レンズ234、ピンホール235、ノッチフィルタ236および237を経てフォトマルチプライヤ等の光検出器238で受光するようになっている。
図28は、図面を簡略化するため、ガルバノミラー232,233を同一平面内で揺動可能に示している。なお、ノッチフィルタ236および237は、蛍光に混入したポンプ光およびイレース光を除去するものである。また、ピンホール235は、共焦点光学系を成す重要な光学素子で、試料内の特定の断層面で発光した蛍光のみを通過させるものである。
顕微鏡ユニット250は、いわゆる通常の蛍光顕微鏡で、スキャンユニット230から入射するポンプ光およびイレース光をハーフプリズム251で反射させて、顕微鏡対物レンズ252により少なくとも基底状態を含む3つの電子状態を有する分子を含む試料S上に集光させる。また、試料Sで発光した蛍光は、再び顕微鏡対物レンズ252でコリメートしてハーフプリズム251で反射させることにより、再び、スキャンユニット230に戻すとともに、ハーフプリズム251を通過する蛍光の一部は接眼レンズ254に導いて、蛍光像として目視観察できるようにしている。
この超解像顕微鏡によると、試料Sの集光点上においてイレース光の強度がゼロとなる光軸近傍以外の蛍光が抑制されて、結果的にポンプ光の広がりより狭い領域に存在する蛍光ラベラー分子のみを計測できる。したがって、各計測点の蛍光信号をコンピュータ上で2次元的に配列すれば、回折限界の空間分解能を上回る解像度を有する顕微鏡画像を形成することが可能となる。
ところが、図28に示した従来の超解像顕微鏡は、実用的な利用の仕方における結像性能や顕微鏡の組み立て調整において、イレース光に波面の乱れが生じたり、イレース光とポンプ光との光学調整に困難が伴ったりすることが懸念される。
例えば、図28の超解像顕微鏡においては、位相板215がイレース光用光源212の直後に配置されており、イレース光は位相板215で空間変調された後、ダイクロイックプリズム213でポンプ光と同軸に光学調整されてスキャンユニット230に導入される。ここで特に問題となるのは、ポンプ光とイレース光との光学調整である。なぜなら、ポンプ光とイレース光とを完全に同軸で光路を合わせないと、焦点面においてこれらの2色の光の集光スポットが一致しないからである。
つまり、超解像顕微鏡法においては、ポンプ光のピーク位置をイレース光の中央中空部に完全に一致させることが必要条件となる。例えば、焦点面においてポンプ光のピーク位置が、イレース光の辺縁部にずれてしまうと、集光ポンプ光全体が蛍光抑制されてしまう。そのため、顕微鏡の解像度が劣化するだけでなく、S/Nも著しく低下することになる。
一方、ポンプ光とイレース光とを容易に同軸にできる超解像顕微鏡も提案されている(例えば、特許文献3参照)。この超解像顕微鏡は、図30に示す位相板300を用いる。なお、図30において、(a)は位相板300の概略構成を示す断面図であり、(b)は平面図である。この位相板300は、同心円状に分割された中央部領域310と周辺部領域320とを有する輪帯状に形成される。中央部領域310は、ガラス等の透明な光学基板330上に形成された光学多層膜311を有し、周辺部領域320は例えば光学基板330からなる。図31は、位相板300の光学的特性を示す図であり、中央部領域310はポンプ光を反射させ、イレース光は位相をπ反転させて透過させる。周辺部領域320は、ポンプ光およびイレース光を位相変調することなく透過させる。
図30に示す位相板300は、光学多層膜311の総数・膜厚・材質を最適化することでポンプ光とイレース光とに対して異なる屈折率を持たすことができる。その結果として、ポンプ光に対して波長の整数倍だけ位相遅れを発生させて、位相変調を受けないように調整することができる。これにより、ポンプ光とイレース光とを同軸に入射させて、イレース光のみを中空状ビームに整形することができる。
図32は、上記の位相板300を用いる超解像顕微鏡の構成例を示す図である。この超解像顕微鏡は、図28に示した超解像顕微鏡において、光源ユニット210及び顕微鏡ユニット250の構成が異なる。
すなわち、光源ユニット210は、ポンプ光用光源221、イレース光用光源222、ダイクロイックプリズムや偏光プリズムからなるビームコンバイナ223、ファイバ集光レンズ224、シングルモードファイバ225及びファイバコリメータレンズ226を有している。ポンプ光用光源221から出射されるポンプ光及びイレース光用光源222から出射されるイレース光は、ビームコンバイナ223でほぼ同軸に合成される。シングルモードファイバレース光は、ファイバ集光レンズ224を経て同一のシングルモードファイバ225にほぼ同軸に入射されて、シングルモードファシングルモードファイバ放射立体角が揃った完全球面波として出射される。シングルモードファイバ225から出射されるポンプ光およびイレース光は、色収差のないファイバコリメータレンズ226で平面波に変換されて、スキャンユニット230に導入される。
ローダミン6G色素で染色された試料を観察する場合、ポンプ光用光源221は、例えば連続波を出射するHe−Neレーザが用いられ、その波長543nmの発振線がポンプ光として用いられるレーザ、イレース光用光源222は、例えば連続波を出射するHe−Neレーザが用レーザその波長633nmの発振線がイレース光として用いられる。
顕微鏡ユニット250は、ハーフプリズム251と顕微鏡対物レンズ252との間の光路中に上述した位相板300とアイリス(可変絞り)261とが配置されている点が、図28の構成と異なる。位相板300及びアイリス261は、顕微鏡ユニット250内の瞳面又はその近傍に配置され、位相板300によりイレース光のみが中空状に空間変調されて、この空間変調されたイレース光と空間変調を受けないポンプ光とがアイリス261を経て顕微鏡対物レンズ252により試料S上に集光させる。なお、位相板300は、ポンプ光及びイレース光の波長に対して最適化される。これにより、イレース光については、光軸方向に中空部を有する中空パターン状(ドーナッツ形状)のビーム形状として試料Sに照射される。
なお、図32では、スキャンユニット230と顕微鏡ユニット250とを瞳投影光学系270を介して結合している。その他の構成は、図28と同様であるので、説明を省略する。図32に示す超解像顕微鏡は、市販のレーザ走査型顕レーザ位相板300及びアイリス261を後付けすることで実現することが可能である。
特開平8−184552号公報 特開2001−100102号公報 特開2010−15026号公報
ところが、本発明者による実験検討によると、図30に示した位相板300は、光学多層膜の原理やその成膜工程に起因する不具合によって、超解像顕微鏡の結像性能に悪影響を与えることがわかった。すなわち、光学多層膜は、原理的に屈折率の異なる物質を交互に積層することで、入射光の膜内の多重反射による干渉を用い位相を制御する。また、図29に示した位相板215を光学多層膜で構成する場合は、位相板となるガラス基板表面が複数領域に分割され、各領域で異なる位相遅れが発生するように、異なる設計の光学多層膜がコートされる。
多くの場合、ポンプ光及びイレース光に対して、超解像顕微鏡として機能するような位相遅れを発生させる光学設計は可能である。しかし、それに応じた透過率の最適化は困難である。すなわち、各領域を通過したビームは、その透過率に応じた強度ムラが発生する。そのため、集光したポンプ光及びイレース光の形状が乱れる。特に、イレース光は中央に穴を持つように変化されるため、軸対称性が大きく失われる。結果として、超解像機能の劣化を招くことになる。
また、光学多層膜は、各層界面で屈折率が急激に変化する。そのため、多くの場合、各層の反射率は極めて低いものの、層の裏面での反射光(裏反射光)が発生する。特に、超解像顕微鏡ではイレース光強度が強いので、裏反射光によって蛍光画像にイレース光が背景光として混入する。更に、図29に示した構成の場合は、製作時の膜厚誤差により、分割した各領域で設計値から外れた位相差が生成される。これらの理由により、イレース光が理論値から外れたビーム形状となり、結果として超解像機能が劣化する。
一方、中空状のイレース光を生成する方法として、現在、2種類の位相変調法が知られている。その一つ方法は、ラゲールガウシアンビームと呼ばれるもので、ビームの位相を光軸周りに2πの整数倍で変化させるタイプである。このようなビームを集光すると光軸上で電場強度が相殺されるので、3次元的にはマカロニ形状のビームに整形される。特に、焦点面では極めて微細なドーナッツパターンが得られる。その結果として、超解像顕微鏡法において極めて高い横分解能が得られる。このようなビームを生成するのに使用される位相板(以下、スパイラル位相板とも言う)として、例えば図29に示した構成の位相板215が知られている。
もう一つの方法は、イレース光中央部の輪帯領域の位相をπ反転させる方法である。このようなビームを集光すると、光の干渉により、焦点とその近傍にのみ光が照射されない3次元的空間が生成できる。この場合、光軸の方向にも中空形状が形成できるために、このイレース光を用いると、特に軸方向にスポットが収縮し、光軸方向すなわち縦分解能においても超解像機能が得られる。このようなビームを生成するのに使用される位相板(以下、輪帯位相板とも言う)として、例えば図30に示した構成の位相板300が知られている。
しかし、本発明者による実験検討によると、それぞれの位相変調法においても改良すべき点が存在することが判明した。すなわち、スパイラル位相板を用いて得られるラゲールガウシアンビームにおいては、ビーム形状がマカロニ形状となるために、光軸方向の超解像機能が得られない。一方、輪帯型位相板を用いる場合には、3次元的な中空が得られるが、焦点面内における中空径のサイズがラゲールガウシアンビームよりも大きいため、横方向において良好な超解像機能が得られない(Y. Iketaki, and N. Bokor, Opt. Commun. 285, 3798-3804 (2012)参照)。
従って、上述した観点に鑑みてなされた本発明の目的は、良好な超解像機能が得られる超解像顕微鏡及びこれに使用可能な変調光学素子を提供することにある。
上記目的を達成する超解像顕微鏡の発明は、少なくとも2以上の励起量子状態をもつ分子を含む試料を観察する超解像顕微鏡であって、
前記分子を安定状態から第1量子状態に励起するための第1照明光、及び、前記分子を更に他の量子状態に遷移させるための第2照明光を、一部空間的に重ね合わせて前記試料に集光して照射する照明光学系と、
前記第1照明光及び前記第2照明光と前記試料とを相対的に変位させて前記試料を走査する走査部と、
前記第1照明光及び前記第2照明光の照射により前記試料から発生する光応答信号を検出する検出部と、
前記照明光学系の前記第1照明光及び前記第2照明光が通る光路中に配置され、前記第2照明光を空間変調する変調光学素子と、を備え、
前記変調光学素子は、屈折率分布において異方性を有する複数の光学基板が同一面内に接合され、かつ、少なくとも2枚の前記光学基板は前記第2照明光の偏光方向に対して異なる屈折率を有する。
また、上記の超解像顕微鏡に使用可能な変調光学素子の発明は、同一面内に接合され、屈折率分布において異方性を有する複数枚の光学基板を備え、
少なくとも2枚の前記光学基板は入射光の偏光方向に対して異なる屈折率を有する。
さらに、上記目的を達成する超解像顕微鏡の発明は、少なくとも2以上の励起量子状態をもつ分子を含む試料を観察する超解像顕微鏡であって、
前記分子を安定状態から第1量子状態に励起するための第1照明光、及び、前記分子を更に他の量子状態に遷移させるための第2照明光を、一部空間的に重ね合わせて前記試料に集光して照射する照明光学系と、
前記第1照明光及び前記第2照明光と前記試料とを相対的に変位させて前記試料を走査する走査部と、
前記第1照明光及び前記第2照明光の照射により前記試料から発生する光応答信号を検出する検出部と、
前記照明光学系の前記第1照明光及び前記第2照明光が通る光路中に配置され、前記第1照明光及び前記第2照明光を空間変調する変調光学素子と、を備え、
前記変調光学素子は、前記第1照明光及び前記第2照明光に対して異なる偏光特性を有する複数の光学基板が同一面内に接合され、かつ、各光学基板には異なる光学特性を有する光学薄膜が積層されている。
また、上記の超解像顕微鏡に使用可能な変調光学素子の発明は、同一面内に接合され、異なる波長の光に対して異なる偏光特性を有する複数の光学基板と、
各光学基板上に積層された異なる光学特性を有する光学薄膜と、を備える。
本発明によれば、良好な超解像機能が得られる超解像顕微鏡及びこれに使用可能な変調光学素子を提供できる。
第1実施の形態で使用される変調光学素子の平面図である。 図1の変調光学素子の製造方法を説明するための図である。 図2の配向切削工程で作製する水晶基板を示す図である。 図2の丸目加工工程で作製する円柱基板及び輪帯基板を示す図である。 図1の変調光学素子を直線偏光が透過した場合の透過光の電場ベクトルの方向を示す図である。 図1の変調光学素子を使用した場合の焦点面におけるポンプ光及びイレース光のビーム形状のシミュレーション結果を示す説明図である。 第1実施の形態に係る超解像顕微鏡の概念的構成を示す図である。 変調光学素子の変形例を示す図である。 対物レンズによるイレース光の電場ベクトルの様子を示す図である。 図7の超解像顕微鏡において直線偏光のイレース光を高開口数の対物レンズにより集光させた場合のビーム形状のシミュレーション結果を示す説明図である。 図7の超解像顕微鏡において円偏光のイレース光を高開口数の対物レンズにより集光させた場合のビーム形状のシミュレーション結果を示す説明図である。 第1実施の形態の変形例に係る超解像顕微鏡の概念的構成を示す図である。 第2実施の形態で使用される変調光学素子の原理的構成図である。 円偏光のイレース光を図13の変調光学素子で変調して高開口数の対物レンズにより集光させた場合のビーム形状のシミュレーション結果を説明するための図である。 第2実施の形態で使用される変調光学素子の具体的構成の一例を示す図である。 図13の変調光学素子を用いた場合と図15の変調光学素子を用いた場合のイレース光の集光ビーム形状のシミュレーション結果を比較して示す説明図である。 図15の変調光学素子の説明図である。 図17の接合基板の光学特性を説明するための図である。 第2実施の形態に係る超解像顕微鏡の概念的構成を示す図である。 図15の変調光学素子における円柱部及び輪帯部の分割領域を示す図である。 第2実施の形態で使用される変調光学素子の変形例を示す図である。 試料を構成する分子の価電子軌道の電子構造を示す概念図である。 図22に示す分子の第1励起状態を示す概念図である。 図22に示す分子の第2励起状態を示す概念図である。 図22に示す分子が第2励起状態から基底状態に戻る状態を概念的に示す図である。 分子における2重共鳴吸収過程を説明するための概念図である。 分子における2重共鳴吸収過程を説明するための概念図である。 従来の超解像顕微鏡の要部構成図である。 図28に示す位相板の構成を示す拡大平面図である。 従来の他の位相板の構成を説明するための図である。 図30の位相板の光学特性を示す図である。 図30の位相板を用いる従来の超解像顕微鏡の要部構成図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
(第1実施の形態)
先ず、第1実施の形態に係る超解像顕微鏡に使用される変調光学素子について説明する。本実施の形態に使用される変調光学素子は、光学薄膜を用いずに、光学基板の研磨及び切削加工で作製されるものである。具体的には、偏光特性の異なる光学基板を同一面内に接合し、一体で光学研磨して作製される。
既存技術である光学薄膜を用いる位相板は、媒質の屈折率を最適化して通過する光の位相速度を制御するものである。一方、複屈折媒質からなる光学基板、例えば水晶のように結晶軸に対して異なる方向のカット面をもつような光学基板は、透過光を入射光とは異なる偏光状態に変換する。本実施の形態に使用される変調光学素子は、この効果に着目し、透過光の電場ベクトルの空間分布を用いて、ビームを変調するものである。
例えば、水晶は、直交する軸方向で屈折率差が最大となるカット面を有する。そのうち、屈折率の高い方向の軸は遅相軸と呼ばれ、屈折の低い方向の軸は進相軸と呼ばれる。このような変調光学素子に直線偏光が入射すると、透過したときの光の偏光状態、すなわち空間的な電場は振動方向が異なる光に変換される。
水晶基板の厚みとカット面とが最適化された条件では、例えば、直線偏光が遅相軸に対して45°で入射すると、様々な偏光制御が可能となる。例えば、遅相軸と平行な電場成分と直交する成分との間に、180°の位相差があると、入射光とは全く反対方向に振動する直線偏光が得られる。また、360°の位相差があると、もとの偏光状態で基板を通過する。90°の位相差の場合は、よく知られた円偏光状態となる。この性質に着目すると、上記の水晶基板を接合することにより、顕微鏡焦点領域でイレース光を中空状に整形することが可能となる。
図1は、第1実施の形態で使用される変調光学素子の平面図である。この変調光学素子10は、同心円状に接合された円柱基板1a及び輪帯基板1bを有する。円柱基板1a及び輪帯基板1bは、それぞれ直交する進相軸(実線矢印で示す)及び遅相軸(破線矢印で示す)を有する水晶基板からなり、円柱基板1aの進相軸と輪帯基板1bの進相軸とが直交するよう接合されている。
図2は、図1の変調光学素子10の製造方法を説明するための図である。先ず、水晶基板の配向を調整して切削する(S201)。この配向切削工程では、図3(a)及び(b)に水晶基板1の平面図及び側面図を示すように、基板射出時に進相軸及び遅相軸が直交するようにカット面を調整するとともに、基板厚みdをイレース光の波長で電場の位相差が180°、すなわち1/2波長板として機能し、ポンプ光に対しては1波長板として機能する厚みに調整する。そして、この水晶基板1を切削して、2枚の水晶基板を得る。
次に、2枚の水晶基板を丸目加工する(S203)。この丸目加工工程では、図4に示すように、2枚の水晶基板のうち一方の水晶基板を円柱状に丸目加工して円柱基板1aを形成し、他方の水晶基板を輪帯形状に丸目加工して輪帯基板1bを形成する。円柱基板1aは、輪帯基板1bの内径に接合可能な外径に形成する。
その後、円柱基板1aの周面及び/又は輪帯基板1bの内周面に紫外線硬化樹脂を塗布して、円柱基板1aを輪帯基板1bの内径に挿入して紫外線を照射する。これにより、円柱基板1aと輪帯基板1bとを同心円状に接着する(S205)。この際、円柱基板1aの進相軸と輪帯基板1bの進相軸とが直交するよう配向を計測する。次に、円柱基板1a及び輪帯基板1bを一体に前段の研磨及び切削加工を行ってから(S207)、ポラリメータによる偏光計測及び干渉計による面精度計測を行いながら(S209)、調整研磨加工を行って(S211)、図1に示したような変調光学素子10を得る。その後、必要であればイレース光に対する反射防止膜をコートする。
かかる構成の変調光学素子10において、輪帯基板1bの進相軸に平行な直線偏光が入射すると、内側の円柱基板1aに対しては遅相軸に平行な直線偏光が入射することになる。そのため、変調光学素子10を直線偏光したイレース光が通過すると、図5に示すように、外側の輪体基板1aの透過光と内側の円柱基板1aの透過光との電場ベクトルが反対に向かい合うようになる。つまり、イレース光は、電場の振動軸が同じ方向の直線偏光で、かつ、電場の向きが反対となるように変調される。
したがって、変調光学素子10を通過した光を対物レンズで集光すると、焦点近傍で電場振幅が相殺される。特に、イレース光が通過する内側の円柱基板1aの領域の面積と、外側の輪帯基板1bの領域の面積との比率を適切に調整すると、焦点とその近傍で光の当たらない領域が生成できる。この効果は、輪帯中央部で位相をπ反転させる図30に示した多層膜位相板と全く同じ機能を果たす。しかも、集光したイレース光は、光軸方向にも中空構造をもつので、平面内だけではなく光軸方向にも超解像機能を誘導する。
さらに、図1の変調光学素子10は、ポンプ光に対しても独立に偏光制御が可能となる。超解像顕微鏡においては、ポンプ光の形状に関してはできるだけ偏光の影響を受けないことが望ましい(例えば、Y. Iketaki, “Three-dimensional super-resolution microscope using two-color annular phase plate”, Appl. Phys. Express 3, 085203 (2010)参照)。なぜなら、このような2色性の偏光特性をもつ接合基板が存在すれば、これを市販のレーザ走査型顕微鏡の照明光学系に挿入するだけで超解像機能を付加することができるからである。
すなわち、基板通過時に直交する軸方向間で、イレース光に対しては下式(1)に示す位相差φが付き、ポンプ光に対しては下式(2)に示す位相差φが付けばよい。ただし、式(1)及び(2)において、m、nは整数である。
φ=π+2m×π (1)
φ=2n×π (2)
この条件を満たせば、ポンプ光の位相差は波長の整数倍で飛ぶので、見かけ上、基板を通過したポンプ光の偏光状態は全く変化しない。すなわち、2波長は図30に示した多層膜位相板と全く同じ機能を果たすことになる。実際には、図3の水晶基板1の厚みdを調整して、式(1)及び(2)に近い条件を探すことになる。
なお、式(1)及び(2)の条件は、厳密に満たさなくてもよい。これは、超解像顕微鏡における分解能は、ほぼイレース光の空間形状で決定されるが、イレース光とポンプ光が空間的にオーバーラップした領域の蛍光が消去されるため、ポンプ光の集光形状が多少崩れていても、イレース光の中空部の強度分布形状によって残留する蛍光領域が決定されるからである。
ポンプ光の形状乱れの限度としては、少なくともφが90°(1/4波長)未満であればよい。この範囲であれば、偏光状態が円偏光になるものの、ビーム面内で電場の振動方向が逆転しない。したがって、変調光学素子10の輪帯基板1bを通過した光と、円柱基板1aを透過した光とが重なり合っても、電場の方向が正反対となって電場強度が相殺されることはない。つまり、ポンプ光は多少ビーム形状が変化するが、通常のガウスビームに近い形で集光される。
以下、変調光学素子10の一具体例について説明する。以下の具体例レーザ解像顕微鏡が、ポンプ光としNd:YVO4レーザからの波長(λ)532nmの光を用い、イレース光としてクリプトンレーザからの波長(λ)647nmの光を用いる場合を想定する。表1は、この場合の変調光学素子10を構成するための水晶基板の屈折率を示す。なお、表1において、nは進相軸の屈折率であり、nは遅相軸の屈折率である。
表1の屈折率特性を有する水晶基板を切り出して、図1に示した変調光学素子10を構成する。かかる変調光学素子10は、図1において、上方向が外側の輪帯基板1bの進相軸となり、内側の円柱基板1aに対しては遅相軸となる。したがって、変調光学素子10に直線偏光したイレース光が入射すると、0.00967の軸間屈折率差(n−n)と基板厚みdとに応じた光路差が生じる。同様に、直線偏光したポンプ光が入射すると、0.00962の屈折率差と基板厚みdとに応じた光路差が生じる。
ここで、厚みdを、例えば1438.436μmとすると、φは180°となって1/2波長板として機能するが、φは3.9°となって多少の位相差が発生する。この場合のポンプ光及びイレース光の顕微鏡焦点面(xy面)におけるビーム形状をシミュレーションすると、図6(a)及び(b)に示すようになり、ポンプ光の位相差の影響を全く無視できる。なお、図6(a)及び(b)のシミュレーションは、例えば、「N. Bokor and N. Davidoson Opt. Comm. 270 (2), 145 (2007)」の開示内容に従って行うことができる。したがって、この変調光学素子10に、ポンプ光とイレース光とを同軸で入射させて顕微鏡対物レンズにより集光させれば、ポンプ光は通常のガウスビームとして集光するにも関わらず、イレース光は焦点面でドーナッツ状に集光する。
この機能に着目すると、市販のレーザ走査レーザの照明光学系に上記の変調光学素子10を挿入だけで、超解像機能を簡単に付加することができる。現在、市販のレーザ走査型顕微鏡システムは、例えばFV1200(商品名:オリンパス株式会社製)に見られるように、複数の波長のレーザ光を共通の偏波保存シングルモードファイバを用いて顕微鏡ユニットに導入している。
かかる顕微鏡システムは、シングルモードファイバの射出口が十分に微小で点光源と見なせるので、該シングルモードファイバから射出される光は全て空間的コヒーレンスが保障されている。また、偏光状態も一律に直線偏光状態に標準化されている。そして、シングルモードファイバから射出されたレーザ光は、コリメータレンズにより平行光にされたのち、バンドパスフィルタを透過してガルバノミラー光学系に導入される。
ガルバノミラー光学系を出た光は、瞳投影レンズを通り対物レンズにより試料面に集光される。そして、試料から発光した蛍光は、対物レンズを通り、ガルバノミラー光学系を逆送し、バンドパスフィルタで反射されて照明光の光路から分離され、光検出器に導かれる。かかる構成の顕微鏡システムに対しては、シングルモードファイバからのレーレーザ明光路中に上述した変調光学素子10を挿入することにより、超解像顕微鏡を簡単に構成することができる。
図7は、本発明の第1実施の形態に係る超解像顕微鏡の概念的構成を示す図である。この超解像顕微鏡は、市販のレーザ走査型顕微鏡システムに上述した変調光学素子10を挿入したものである。本実施の形態では、ポンプ光としNd:YVO4レーザからの波長(λ)532nmの光を用い、イレース光としてクリプトンレーザからの波長(λ)647nmの光を用いて、キサンテン系のローダミン色素やオギザジン系のナイルレッドにより染色された試料を観察する。
ポンプ光及びイレース光は、図示しない公知のビームコンバイナで同軸に合成されてシングルモードファイバ21に入射される。シングルモードファイバ21から射出されるポンプ光及びイレース光は、コリメータレンズ22により共通にコリメートされた後、アイリス23、変調光学素子10及びバンドパスフィルタ24を透過してガルバノミラー光学系25に導入される。ガルバノミラー光学系25に導入されたポンプ光及びイレース光は、ガルバノミラー光学系25により二次元方向に偏向走査されて、瞳投影レンズ26を経て対物レンズ27により試料Sに集光される。
ここで、シングルモードファイバ21、コリメータレンズ22、瞳投影レンズ26及び対物レンズ27は、照明光学系を構成する。また、ガルバノミラー光学系25は、走査部を構成する。変調光学素子10に入射されるイレース光は、対物レンズ27の焦点面で完全に中空形状となる干渉条件を満たすように、ポンプ光とともにビーム径が調整される。また、バンドパスフィルタ24は、ポンプ光及びイレース光を透過し、試料からの蛍光を反射するように構成される。
一方、ポンプ光の照射により試料Sから発生する蛍光は、ポンプ光及びイレース光の照明光の光路を逆に辿ってバンドパスフィルタ24に入射され、該バンドパスフィルタ24で反射されて照明光学系の光路から分離される。そして、バンドパスフィルタ24で反射された蛍光は、ブロックフィルタ31で蛍光のみが取り出された後、集光レンズ32に集光されて、ピンホール33を経て検出部を構成するフォトマルチプライヤ等の光検出器34で受光される。
本実施の形態による超解像顕微鏡によると、ポンプ光及びイレース光が同時に試料Sに照射されると、これらのビームは対物レンズ27の焦点面の全く同じ位置に、ずれることなく集光される。その際、イレース光のみが超解像顕微鏡に資するように中空状に整形される。これにより、試料Sを超解像で観察することができる。
ここで、変調光学素子10は、全面にイレース光に対する反射防止膜をコートすることが可能である。超解像顕微鏡の場合、イレース光の散乱光が発生する。図30に示した多層膜位相板の場合、新たに反射防止膜をコートすると、製膜誤差によって設計した位相分布が影響されて、集光したイレース光のビーム形状が歪められ、計測画像のS/Nの劣化を招く場合がある。
しかし、図1に示した変調光学素子10は、位相とは関係なく光学研磨した基板に直接コートするので、波面精度が保障される。そのため、変調光学素子10を、簡単に挿入可能な例えば対物レンズの直前に挿入して、微弱な蛍光と照明光路が競合しても、イレース光の反射光を極力低減できので、計測画像のS/Nを劣化させることはない。
なお、変調光学素子10は、2枚の基板1a、1bを接合して構成する場合に限らず、3枚以上の基板を接合して構成してもよい。図8は、1枚の円柱基板1aと3枚の輪帯基板1b〜1dとの合計4枚の基板を接合して構成した例を示している。図8の場合、各基板は、1枚おきに進相軸と遅相軸とが交互に一直線上に並ぶように接合される。このような構成の場合でも、反転する電場ベクトルをもつイレース光が焦点に集光するので、電場が相殺されて中空状のビームが得られる。
また、図7に示した超解像顕微鏡は、対物レンズ27として比較的に開口数の小さい対物レンズを想定している。その理由は、対物レンズ27の開口数が大きいと、集光したイレース光の対称性が崩れるからである。すなわち、直線偏光したイレース光が対物レンズ27に入射すると、対物レンズ27でイレース光が光路を曲げられる際に、電場の振動方向と直交する成分と平行な成分とで焦点面の結像条件が異なる。電場振動面内で曲げられる光は、焦点近傍では焦点面に対して傾いて結像する。すなわち、図9に示すように、電場ベクトルが光軸方向にも新たに成分を持つようになるためである(例えば、Y. Iketaki, T. Watanabe, N. Bokor, M. Fujii, Opt. Lett. 32(16), 2357 (2007).参照)。
例えば、対物レンズ27として、開口数1.5の油浸対物レンズを用いて直線偏光のイレース光を集光させた際の3次元形状を、図6の場合と同様にシミュレーションすると、図10に示すように、中空形状が対称性の良い円形ではなく、長方形に近い形状となる。なお、図10は、光軸(z)と直交するxy面(焦点面)、xz面及びyz面でのビーム形状をそれぞれ示している。
ところが、本発明者による検討によると、同じ高開口数の対物レンズにイレース光を円偏光で入射させて同様にシミュレーションすると、図11に示すように、xy面、xz面及びyz面においてそれぞれ対称性の良い中空ビームが形成できることが確認できた。このようなイレース光のビーム形状は、照明光学系の光路中にイレース光に対して1/4波長板として機能する波長板を挿入することで簡単に実現することができる。
例えば、図7に示した構成においては、図12に示すように、アイリス23と変調光学素子10との間の光路中、つまり変調光学素子10の入射側にイレース光に対する1/4波長板36を挿入する。1/4波長板36は、照明光学系の光軸を中心として回転調整可能として、入射するイレース光の偏光状態をできるだけ円偏光状態に近づけるように最適化する。これにより、光学薄膜による位相変調行う際に現れるイレース光の散乱光や位相制御の誤差の問題を解消でき、3次元的に良好な超解像機能を簡単に実現することができる。
(第2実施の形態)
先ず、第2実施の形態に係る超解像顕微鏡に使用される変調光学素子について説明する。本実施の形態に使用される変調光学素子は、スパイラル位相板のパターンと輪帯位相板のパターンとを含むハイブリッドパターンを有するものである。具体的には、異なる偏光特性を有する輪帯状の接合基板を用いて、偏光及び位相を制御するように構成される。これにより、ポンプ光及びイレース光の更なる最適化を図り、集光点近傍においてポンプ光はガウスビームを保ちつつ、イレース光のみをビーム整形する2色性を付加する。
図13は、本実施の形態に係る変調光学素子の原理的構成図である。この変調光学素子50は、内側の中央部51aと外側の輪帯部51bとを同一面内に接合した輪帯2重構造からなる。中央部51a及び輪帯部51bは、イレース光に対して位相が光軸周りに互いに反対方向に2πで周回し、動径方向には位相が常にπ反転している。この変調光学素子50を透過したイレース光を集光すると、イレース光は、ビーム面内において位相分布が外側と内側とで光軸回りに反対方向に回転しているものの、その位相の回転が360°であるのでラゲールガウシアンビームとして機能し、どちらも焦点では電場強度が相殺される。しかし、動径方向には、内側と外側とで常に位相が180°反転しているため、図30に示した輪帯位相板で変調した位相分布と同等になっている。したがって、このような位相分布もつビームを集光すると、ラゲールガウシアンビームと輪帯型ビームとの両方の特徴をもった集光ビームが得られる。
通常、超解像顕微鏡においては、開口数の大きい対物レンズの使用が望まれる。なぜなら、イレース光強度をできるだけ抑え、かつ、できるだけ微細な中空ビームを形成して、高い空間分解能を得るためである。しかし、直線偏光のイレース光を用いると、ラゲールガウシアンビームは、図9に示したように光軸方向の電場ベクトル成分が発生するため、焦点面で中心強度がゼロとならない。
このような状況を回避し、高開口数の対物レンズを用いて中心強度がゼロとなる微細な中空ビームを形成する方法とて、位相板に円偏光を入射する方法がある。すなわち、互いに位相が90°ずれた直交する軸方向の電場ベクトル成分から起因する焦点面における光軸方向の電場ベクトル成分を相殺する(例えば、N. Bokor, Opt. Express,13, 10440-10447 (2005).参照)。特に、図13に示すような、輪帯2重構造を有する変調光学素子50の場合、中央部51a及び輪帯部51bの各領域で反対方向に回転する円偏光を入射すると、更に焦点にける電場相殺が効率的におきるので、更にタイトな3次元的に光の当たらないダークホールが発生する。
例えば、図13に示した変調光学素子50において、中央部51a及び輪帯部51bでイレース光の円偏光の回転方向が反対であるとして、この変調光学素子50を透過したイレース光を開口数1.4の油浸対物レンズで集光するものとする。この場合のビーム形状を図6及び図10の場合と同様にシミュレーションすると、図14に示すように、ラゲールガウシアン(LG)ビーム型と輪帯型との両方の形状特性を持ち合わす、焦点面内及び光軸方向にタイトなダークホール(ハイブリッド型)が形成できることが分かる。
図13に示した変調光学素子50は、中央部51a及び輪帯部51bにおいて位相が連続的に変化するものとした。しかし、実用上は、図15に示すように、中央部51a及び輪帯部51bにおいて、光軸周りに位相が90°ずつ変化して周回する4分割領域からなる極めて単純なパターンでも遜色無い特性が得られる。図16(a)及び(b)は、図13及び図15のそれぞれの変調光学素子50を用いた場合の焦点面内及び光軸面内での集光ビーム形状のシミュレーション結果を比較して示す説明図である。図16から明らかなように、両者には集光ビーム形状に殆ど差がないことが分かる。なお、変調光学素子50による位相変調には、例えば光学多層膜が用いられるが、図15に示すような4分割領域からなる単純な構造であれば、マスク合わせなど成膜プロセスが簡素化されるので、コスト削減や品質管理においても極めて高い実用的なメリットがある。
変調光学素子50は、同時にポンプ光の空間形状も保つ2色性が要求される。すなわち、変調光学素子50を通過したイレース光を集光すると、図16に示したような空間形状が得られるが、ポンプ光の場合は通常のガウスビームとして集光される。位相変調に関しては、例えば「Y. Iketaki, and N. Bokor, Opt. Commun. 285, 3798-3804 (2012)」に開示された2波長対応の光学多層膜を用いることができる。しかし、ポンプ光に対しても確実に偏光制御を行わないと、超解像顕微鏡法は実施できない。例えば、ポンプ光に対して、変調光学素子50の基板の厚みが1/2波長板として機能すると、変調光学素子50を通過したポンプ光は、結果としてガウスビームとしてではなく中空ビームとして集光してしまう。
しかし、この問題は、変調光学素子50の基板に2色性の偏光特性を持たせれば解決できる。例えば、進相軸と遅相軸とを有する水晶基板の厚みをコントロールすると、イレース光に対しては1/4波長板として機能させ、ポンプ光に対しては1波長板として機能させることが可能となる。1波長板は、ポンプ光が基板を通過しても位相が2πの整数倍でシフトするので、偏光状態は全く変化しない。
図15に示した変調光学素子50は、図2に示した製造工程を含んで作製することができる。ずなわち、先ず、図2に示した製造工程に従って、図17に平面図で示すような円柱基板1a及び輪帯基板1bを有する輪帯構造の接合基板50aを得る。なお、接合基板50aの厚さは、イレース光に対しては1/4波長板として機能し、ポンプ光に対しては1波長板として機能する厚さとする。したがって、この接合基板50aに、図17に示すように、直線偏光したイレース光を進相軸又は遅相軸に対して45°で入射させると、図18に示すように、内側の円柱基板1aと外側の輪帯基板1bとを通過したイレース光はお互い反対方向に回転する円偏光に変換される。しかし、ポンプ光は、偏光状態が変化することなく、直線偏光のまま透過する。
その後、蒸着マスクを用いて、図17の円柱基板1a及び輪帯基板1b上に、光軸周りに互いに反対方向にイレース光の位相が90°ずつ変化して周回するように異なる光学特性、例えば異なる位相特性を有する光学多層膜を蒸着して、図15に示した中央部51a及び輪帯部51bを有する変調光学素子50を得る。この変調光学素子50を透過したポンプ光及びイレース光を集光すれば、ポンプ光はガウスビームとして集光され、イレース光はダークホールを有するビームとして集光される。すなわち、縦横同時に超解像機能を提供できる2色対応の位相板が得られる。したがって、この変調光学素子50を、例えば商用のレーザ走査型顕微鏡の照明光学系に挿入すれば、3次元的な超解像機能を簡単に付加することができる。
図19は、本発明の第2実施の形態に係る超解像顕微鏡の概念的構成を示す図である。この超解像顕微鏡は、図7に示した構成の超解像顕微鏡において、変調光学素子10に代えて、図15に示した変調光学素子50を使用したものである。その他の構成は図7と同様であるので、同一構成要素には同一参照符号を付して説明を省略する。
図19に示した超解像顕微鏡によると、高い3次元の空間分解能で試料Sを観察することができる。ただし、使用される超解像顕微鏡用の変調光学素子50は、ポンプ光及びイレース光の波長によって具体的な仕様及び構成が決定される。例えば、変調光学素子50の基板として水晶基板を用いる場合、図19の超解像顕微鏡において使用されるポンプ光の波長(λ)が532nmで、イレース光の波長(λ)が647nmであるので、水晶基板は上述した表1の屈折率特性を有するものが使用される。また、水晶基板の厚さは、例えば1492μmに設定される。これにより、直線偏光のイレース光は円偏光に変換され、直線偏光のポンプ光はその直線偏光状態が保持される。
また、図15の中央部51a及び輪帯部51bにおいて、イレース光に対する位相変調を、SiO及びTiOからなる4層の光学多層膜によって行う場合、4分割の各領域における各層の膜厚は、例えば表2に示すようになる。なお、表2において、R1〜R4は、図20に示す中央部51a及び輪帯部51bの領域R1〜R4に対応する。層の「1」は基板側の第1層を示し、層の「4」は表面側の第4層を示す。
このように作製された変調光学素子50を用いることにより、イレース光に対しては図14に示したような形状のビームに変調を施すが、ポンプ光に関しては位相変調を施すことなくガウスビームとして結像させることができる。
なお、変調光学素子50による位相変調は、上述した4層の光学多層膜に限らず、5層以上の光学多層膜で行うように構成してもよい。また、光学多層膜に限らず、例えばSiOの単層膜で行うように構成してもよい。この場合の各領域R1〜R4におけるSiO層の厚さ、イレース光波長λでの位相遅れ及びポンプ光波長λでの位相遅れの一例を表3に示す。この場合も、変調光学素子50を透過するポンプ光の瞳面の位相分布の最大値と最小値との差の絶対値は1/4波長以下となるので、ポンプ光をガウスビームとして結像させることができる。このようにSiO単層膜で位相変調を行うように構成すれば、製膜工程を極めて簡素化できるので、変調光学素子50のコストダウンが図れる。
また、変調光学素子50の位相変調領域は、図15の4分割に限らす、任意の複数分割、例えば図21に示すように8分割としてもよい。さらに、変調光学素子50の基板は、2枚の基板2a、2bに限らず、第1実施の形態で説明した変調光学素子10と同様に、3枚以上の基板、例えば図8に示したように4枚の基板を1枚おきに進相軸と遅相軸とが交互に一直線上に並ぶように接合して構成してもよい。
本発明は、上記実施の形態に限定されるものでは幾多の変形又は変更が可能である。例えば、変調光学素子を構成する複数の光学基板は、偏芯状態で接合されてもよく、また各々の外形も円形に限らない。また、光学基板は、水晶以外の他の公知の複屈折結晶、例えばYVO、TiO、LiNbO等を用いてもよい。
1 水晶基板
1a 円柱基板
1b 輪帯基板
10 変調光学素子
21 シングルモードファイバ
22 コリメータレンズ
23 アイリス
24 バンドパスフィルタ
25 ガルバノミラー光学系
26 瞳投影レンズ
27 対物レンズ
31 ブロックフィルタ
32 集光レンズ
33 ピンホール
34 光検出器
36 1/4波長板
50 変調光学素子
50a 接合基板
51a 中央部
51b 輪帯部

Claims (22)

  1. 少なくとも2以上の励起量子状態をもつ分子を含む試料を観察する超解像顕微鏡であって、
    前記分子を安定状態から第1量子状態に励起するための第1照明光、及び、前記分子を更に他の量子状態に遷移させるための第2照明光を、一部空間的に重ね合わせて前記試料に集光して照射する照明光学系と、
    前記第1照明光及び前記第2照明光と前記試料とを相対的に変位させて前記試料を走査する走査部と、
    前記第1照明光及び前記第2照明光の照射により前記試料から発生する光応答信号を検出する検出部と、
    前記照明光学系の前記第1照明光及び前記第2照明光が通る光路中に配置され、前記第2照明光を空間変調する変調光学素子と、を備え、
    前記変調光学素子は、屈折率分布において異方性を有する複数の光学基板が同一面内に接合され、かつ、少なくとも2枚の前記光学基板は前記第2照明光の偏光方向に対して異なる屈折率を有する、超解像顕微鏡。
  2. 請求項1に記載の超解像顕微鏡において、
    前記光学基板は水晶基板であり、
    少なくとも2枚の前記水晶基板は、進相軸の方向が交差して接合されている、超解像顕微鏡。
  3. 請求項1又は2に記載の超解像顕微鏡において、
    前記変調光学素子に前記第1照明光及び前記第2照明光が同軸で入射する、超解像顕微鏡。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の超解像顕微鏡において、
    複数の前記光学基板は、同心状に接合されている、超解像顕微鏡。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の超解像顕微鏡において、
    前記変調光学素子は、前記第2照明光に対して1/2波長板として機能する厚みを有する、超解像顕微鏡。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の超解像顕微鏡において、
    前記変調光学素子は、直線偏光した前記第2照明光を電場の振動軸が同じ方向の直線偏光で、かつ、電場の向きが反対となるように変調する、超解像顕微鏡。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の超解像顕微鏡において、
    前記変調光学素子は、前記第1照明光に対して1波長板として機能する厚みを有する、超解像顕微鏡。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の超解像顕微鏡において、
    前記変調光学素子は、前記第2照明光に対する反射防止膜を有する、超解像顕微鏡。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の超解像顕微鏡において、
    前記変調光学素子の入射側に、前記第2照明光に対する1/4波長板が配置されている、超解像顕微鏡。
  10. 請求項9に記載の超解像顕微鏡において、
    前記1/4波長板は、前記照明光学系の光軸を中心として回転調整可能である、超解像顕微鏡。
  11. 少なくとも2以上の励起量子状態をもつ分子を含む試料を観察する超解像顕微鏡であって、
    前記分子を安定状態から第1量子状態に励起するための第1照明光、及び、前記分子を更に他の量子状態に遷移させるための第2照明光を、一部空間的に重ね合わせて前記試料に集光して照射する照明光学系と、
    前記第1照明光及び前記第2照明光と前記試料とを相対的に変位させて前記試料を走査する走査部と、
    前記第1照明光及び前記第2照明光の照射により前記試料から発生する光応答信号を検出する検出部と、
    前記照明光学系の前記第1照明光及び前記第2照明光が通る光路中に配置され、前記第1照明光及び前記第2照明光を空間変調する変調光学素子と、を備え、
    前記変調光学素子は、前記第1照明光及び前記第2照明光に対して異なる偏光特性を有する複数の光学基板が同一面内に接合され、かつ、各光学基板には異なる光学特性を有する光学薄膜が積層されている、超解像顕微鏡。
  12. 請求項11に記載の超解像顕微鏡において、
    前記変調光学素子に前記第1照明光及び前記第2照明光が同軸で入射する、超解像顕微鏡。
  13. 請求項11又は12に記載の超解像顕微鏡において、
    複数の前記光学基板は、同心状に接合されている、超解像顕微鏡。
  14. 請求項11〜13のいずれか一項に記載の超解像顕微鏡において、
    前記光学基板は水晶基板であり、
    少なくとも2枚の前記水晶基板は、進相軸の方向が交差して接合されている、超解像顕微鏡。
  15. 請求項14に記載の超解像顕微鏡において、
    前記変調光学素子は、前記第2照明光に対して1/4波長板として機能する厚みを有し、
    少なくとも2枚の前記水晶基板は、進相軸の方向が直交して接合されている、超解像顕微鏡。
  16. 請求項15に記載の超解像顕微鏡において、
    前記変調光学素子は、直線偏光した前記第2照明光を少なくとも2枚の前記水晶基板により互いに反対方向に回転する円偏光に変調する、超解像顕微鏡。
  17. 請求項11〜16のいずれか一項に記載の超解像顕微鏡において、
    前記変調光学素子は、前記第1照明光に対して1波長板として機能する厚みを有する、超解像顕微鏡。
  18. 請求項11〜17のいずれか一項に記載の超解像顕微鏡において、
    前記光学薄膜は、前記第2照明光の位相を光軸中心に2πの整数倍で回転させる、超解像顕微鏡。
  19. 請求項18に記載の超解像顕微鏡において、
    少なくとも2枚の前記光学基板に対応する前記光学薄膜は、前記第2照明光の位相を互いに反対方向に回転させる、超解像顕微鏡。
  20. 請求項11〜19のいずれか一項に記載の超解像顕微鏡において、
    前記変調光学素子を透過する前記第1照明光の瞳面の位相分布の最大値と最小値との差の絶対値が1/4波長以下である、超解像顕微鏡。
  21. 同一面内に接合され、屈折率分布において異方性を有する複数枚の光学基板を備え、
    少なくとも2枚の前記光学基板は入射光の偏光方向に対して異なる屈折率を有する、変調光学素子。
  22. 同一面内に接合され、異なる波長の光に対して異なる偏光特性を有する複数の光学基板と、
    各光学基板上に積層された異なる光学特性を有する光学薄膜と、
    を備える変調光学素子。
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