JPH10142151A - 光学顕微鏡 - Google Patents
光学顕微鏡Info
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- JPH10142151A JPH10142151A JP30223296A JP30223296A JPH10142151A JP H10142151 A JPH10142151 A JP H10142151A JP 30223296 A JP30223296 A JP 30223296A JP 30223296 A JP30223296 A JP 30223296A JP H10142151 A JPH10142151 A JP H10142151A
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Abstract
対しても、非常に高い空間分解能で、優れた画質の発光
像を得ることができる、高性能且つ高機能な、新しい光
学顕微鏡を提供する。 【解決手段】 試料を構成する基底状態の分子を第1励
起状態へ励起させる波長λ1光の光源と、第1励起状態
の分子を第2励起状態へ励起させる波長λ2光の光源
と、波長λ1光と波長λ2光とを試料に集光させる集光
光学系と、試料からの発光を検出器に集光させる発光検
出光学系とを有し、各励起状態に励起された分子が基底
状態へ脱励起する際の発光を検出器により検出する光学
顕微鏡であって、波長λ1光の照射領域と波長λ2光の
照射領域とを一部分重ね合わせる重ね手段を備え、この
重ね手段を通して波長λ1光と波長λ2光とを試料に照
射することにより、第1励起状態から基底状態へ脱励起
する際の発光の領域を抑制する。
Description
するものである。さらに詳しくは、この発明は、第2励
起状態からの発光収率が小さい分子により構成されてい
る試料に対しても高い空間分解能で、高画質の発光像を
得ることができる、高性能且つ高機能な、新しい光学顕
微鏡に関するものである。
々な構造のものが開発され、利用されている。また、近
年、レーザ技術、電子画像技術などの周辺技術の進歩に
より、さらに高性能、高機能な光学顕微鏡が開発されて
きている。このような光学顕微鏡としては、たとえば、
明視野顕微鏡、暗視野顕微鏡、走査型レーザ顕微鏡など
が知られている。
物レンズの開口数を十分満たし、明るく、照明むらのな
いように白色光を試料に照射することにより、試料の透
過像を得るものである。暗視野顕微鏡は、照明光の開口
数が対物レンズの開口数よりも大きい構造となってお
り、直接光は入射せず、真っ暗なバックグラウンドの中
に、試料からの散乱光、蛍光、もしくは回折光による像
を得て観察するものである。
料表面を走査し、透過像や蛍光像を観察するものであ
る。しかしながら、これら従来の光学顕微鏡、特に明視
野型の透過型顕微鏡は、その照明構造に問題があるため
に、十分なコントラスト等の画質を有する像を得ること
ができなかった。通常、得られる像のコントラストは、
試料の厚みのみに依存するため、たとえば透過型顕微鏡
においては、試料と照明波長が決まれば像のコントラス
トも一義的に決まってしまい、コントラストを調整する
ことができなかった。特に、白色光を光源として用い、
さらに試料が生物試料のような無色透明である場合に
は、光の吸収が少なく、コントラストの良い像を得るこ
とが非常に困難であった。
整するために、試料を薬品により染色するという方法が
用いられていた。しかし、この薬品染色方法を用いた顕
微鏡では、薬品による染色によって試料の組成変化が引
き起こされてしまうことがあり、本来の試料の様子を観
察できていない可能性があるという問題があった。特に
試料が生体である場合には、染色薬品のために生態試料
の生命活動を停止させてしまういう危険性もあった。光
源を分光して試料の吸収帯の波長で照明する場合でも、
吸収が強すぎてしまうと全体が暗い像となってしまうた
め、やはりコントラストの悪い像になってしまうことが
あった。
光として単一波長の光を用いる場合では、ある程度の特
定分子の吸収像あるいは蛍光像を観察することが可能で
はあったものの、一般にいくつかの分子の吸収帯の波長
領域は重複するために、試料の化学組成の正確な同定ま
では行うことができなかった。このように、従来の光学
顕微鏡では、得られる像のコントラスト等の画質や情報
量が不十分であり、観察が不安定であるといった問題が
あった。
するために、この発明の発明者は、新しい光学顕微鏡と
して、像のコントラストの制御を行うことができ、さら
に試料の化学分析をも行うことのできる高性能且つ高機
能な光学顕微鏡をすでに提案している。この新しい光学
顕微鏡は、お互いに異なる波長を有する複数の光を試料
に照射して二重共鳴吸収過程を引き起こすことにより、
特定分子の光学遷移に起因する吸収像や発光像を得るも
のである。
いて図1から図4を用いて説明する。図1は、試料を構
成する分子の価電子軌道の電子構造を例示したものであ
る。まず、このような電子構造を有する試料に、波長λ
1の光を照射することにより、図2に例示したように、
飽和軌道である価電子軌道2から電子を空軌道である価
電子軌道3へ励起させることにより、基底状態から第1
励起状態へ遷移させる。そして、波長λ1光による電子
の励起により生成された価電子軌道2の空孔へ、図3に
例示したように、近接する飽和軌道である価電子軌道1
の電子を、波長λ2の光を照射することにより励起させ
て、第1励起状態から第2励起状態へ遷移させる。その
後、第2励起状態にある電子は、図4に例示したよう
に、蛍光や燐光を発光させて第2励起状態から基底状態
に戻る。
した二重共鳴吸収過程は様々な誘起過程の内の一つであ
り、他の誘起過程としては、たとえば、電子が波長λ1
光により価電子軌道3に誘起され、さらに波長λ2光に
より価電子軌道4に誘起される二重共鳴吸収過程などが
ある。どの誘起過程においても、分子は、基底状態から
第1誘起状態、第2誘起状態へと遷移する際に波長λ1
光と波長λ2光とを吸収し、誘起状態から基底状態に戻
る時に蛍光または燐光を発光する。
りの第1励起状態の分子数は、波長λ1光の強度の増加
に伴って増加する。線吸収係数は、分子一個当たりの吸
収断面積と単位体積当たりの分子数との積により与えら
れるので、図2に示したような第1励起状態の試料に照
射する波長λ2光に対する線吸収係数は、波長λ2光の
強度に依存する。したがって、波長λ1および波長λ2
の2波長の光で試料を照射して、波長λ2による透過像
を撮像する場合、得られる透過像のコントラストは波長
λ1光の光量の制御により完全に制御することができ
る。また、励起状態から脱励起して基底状態へ戻る際に
発光される蛍光や燐光の発光強度は、第1励起状態の分
子数に比例するため、発光像のコントラストをも制御す
ることができる。
ルギー準位を持っているので、波長λ1も波長λ2も分
子に固有なものとなる。従って、波長λ1と波長λ2の
2波長光により吸収あるいは発光する分子を限定するの
で、従来の単一波長光を用いた光学顕微鏡よりも正確な
試料の化学組成の同定が可能である。さらに、価電子が
励起される際、分子軸に対して特定の電場ベクトルを持
つ光が強く吸収されるので、波長λ1光および波長λ2
光の偏光方向を決めて吸収像または蛍光像を撮影するこ
とにより、配向方向の同定をも行うことができる。
学顕微鏡は、分光された各光の波長を調整することによ
り、コントラストを調整して、高コントラストの像を得
ることができ、さらに化学組成や配向方向の同定などの
ような多くの情報量を得ることができる。しかしなが
ら、このような多波光光学顕微鏡では、分子によっては
第二励起状態からの発光収率が必ずしも大きくなく、蛍
光や燐光の発光が極めて弱くなってしまうことがあり、
この場合では、得られる像のS/N比が悪く、感度が不
十分になるといった問題があった。このような画質の劣
化は、特に暗視野型の蛍光顕微鏡に適用する場合におい
て顕著となる。
鑑みてなされたものであり、第二励起状態からの発光収
率が小さい分子に対しても、非常に高い空間分解能で、
画質の優れた発光像を得ることができる、高性能且つ高
機能な、新しい光学顕微鏡を提供することを目的として
いる。
を解決するものとして、試料を構成する基底状態の分子
を第1励起状態へ励起させる波長λ1光の光源と、第1
励起状態の分子を第2励起状態へ励起させる波長λ2光
の光源と、波長λ1光と波長λ2光とを試料に集光させ
る集光光学系と、試料からの発光を検出器に集光させる
発光検出光学系とを有し、各励起状態に励起された分子
が基底状態へ脱励起する際の発光を検出器により検出す
る光学顕微鏡であって、波長λ1光の照射領域と波長λ
2光の照射領域とを一部分重ね合わせる重ね手段を備
え、この重ね手段を通して波長λ1光と波長λ2光とを
試料に照射することにより、第1励起状態から基底状態
へ脱励起する際の発光の領域を抑制することを特徴とす
る光学顕微鏡(請求項1)を提供する。
いて、重ね手段が、入射光を波長的且つ空間的に分離し
て透過する光学瞳を有していること(請求項2)や、重
ね手段として、波長λ1光に対する透過率が高く且つ波
長λ2光に対する透過率が低い輪帯と、波長λ2光に対
する透過率が高く且つ波長λ1光に対する透過率が低い
輪帯とによりなる輪帯構造を有する光学フィルタが備え
られていること(請求項3)や、重ね手段として、波長
λ1光に対する透過率が高く且つ波長λ2光に対する透
過率が低い材料もしくは誘電体多層膜と、波長λ2光に
対する透過率が高く且つ波長λ1光に対する透過率が低
い材料もしくは誘電体多層膜とが、表面にコーティング
された集光レンズが備えられていること(請求項4)等
をその好ましい態様としている。
いて、集光光学系が、2枚以上の集光ガラスレンズによ
り構成されていること(請求項5)や、集光光学系が、
反射光学系であること(請求項6)や、集光光学系と発
光検出光学系とが、結像性能が等しい共焦点光学系であ
ること(請求項7)等をもその好ましい態様としてい
る。 さらにまた、この発明は、上記の光学顕微鏡であ
って、試料が水溶液によって保護されており、この水溶
液が、1.5以上10以下のpHおよび50℃より低い
温度を有していること(請求項8)をもその一つの態様
としている。
通り、波長λ1光の光源と、波長λ2光の光源と、集光
光学系と、発光検出光学系と、さらに重ね手段とを備え
ている構造を有しており、各光源により発振された波長
λ1光と波長λ2光とを集光光学系により重ね手段を通
して試料に照射することにより、波長λ1光の照射領域
と波長λ2光の照射領域とを一部分重ね合わせ、波長λ
1光の照射領域を波長λ2光の照射領域により制限し、
第1励起状態から基底状態へ脱励起する際の蛍光および
燐光の発光領域を抑制するものである。
の原理を図5を用いて説明する。図5は、第2励起状態
の発光収率の小さい分子における二重共鳴吸収過程を例
示したものである。この図5において、横軸は空間的距
離を表し、波長λ1光の照射領域と波長λ2光の照射領
域とが示されている。波長λ1光のみが照射される領域
では、試料を構成する多数の分子が基底状態から第1励
起状態へ励起され、その後、波長λ2光が照射されない
ために、第1励起状態の分子が基底状態へ脱励起し、波
長λ3の強い蛍光が発光される。
起状態の分子が高位の第2励起状態へ励起されて、第1
励起状態の分子が存在しなくなる。したがって、この領
域においては、第2励起状態から基底状態へ励起する際
に発光される蛍光が極めて弱く、波長λ1光の照射領域
のように波長λ3の強い蛍光が発光されないため、発光
像を得ることができない(Goto et.al. Chem.Phys.Let
t.135(1987)407, Kakinuma et.al. Chem.Phys.Lett.14
0(1987)427, Okuzawa et.al. Chem.PHys.Lett.171(199
0)341 参照)。
いて、波長λ1光の照射領域と波長λ2光の照射領域と
を調整して、各々の一部分が空間的に重なり合うように
波長λ1光と波長λ2光とを試料に照射することによ
り、蛍光もしくは燐光が発光する領域を制限することが
できる。たとえば、走査型レーザ顕微鏡は、レーザ光を
集光してマイクロビームを形成して観察試料上を走査す
る。この時、マイクロビームのサイズは集光レンズの開
口数と波長とにより求められる回折限界で決まってしま
う。しかしながら、上述のような原理を利用し、波長λ
1光の照射領域と波長λ1光の照射領域とを一部分重ね
合わせることにより、蛍光や燐光の発光領域を空間的に
狭くすることができる。つまり、回折限界を越える空間
分解能を有する高性能な蛍光顕微鏡を実現させることが
できるこのようなこの発明の光学顕微鏡においては、波
長λ1光の照射領域と波長λ2光の照射領域とを一部分
重ね合わせる重ね手段として、たとえば、図6に例示し
たように、波長λ1光に対する透過率が高く且つ波長λ
2光に対する透過率が低い輪帯R1と、波長λ2光に対
する透過率が高く且つ波長λ2光に対する透過率が低い
輪帯R2とによりなる輪帯構造を持つ光学フィルタであ
るピンホールが備えられていてもよい。
技術を用いて、可視・紫外領域を含む広い波長範囲で高
い透過率を持つ溶融石英プレート上に、波長λ1光に対
する透過率が高く且つ波長λ2光に対する透過率が低い
材料の物質または誘電体多層膜を蒸着することにより輪
体R1のマスクを形成し、波長λ2光に対する透過率が
高く且つ波長λ2光に対する透過率が低い材料の物質ま
たは誘電体多層膜を蒸着することにより輪体R2のマス
クを形成して、簡単に作成することができる。蒸着する
材料または誘電体多層膜の設計は、使用する波長帯域に
応じて選択することが好ましい。
明の光学顕微鏡における光学系および各波長光の結像パ
ターンを例示した概念図である。この図7において、光
源(1)により発振された波長λ1光と波長λ2光と
は、図6に例示した輪体構造を有するピンホール(2)
に照射される。ピンホール(2)では、波長λ1光のみ
が輪体R1を透過し、波長λ2のみが輪体R2を透過す
る。ピンホール(2)を透過した波長λ1光と波長λ2
光とは、たとえば、波長λ1帯域と波長λ2帯域とで同
じ結像性能を持つ2波長帯光学系(3)により、試料上
に集光される。試料は、結像面内の二次元走査およびデ
フォーカスが可能なステージ上に設置されている。
結像パターン(4)は、ポンプ光のガウシアン型となっ
ており、また、波長λ2光の結像パターン(5)は、ピ
ンホール(2)の輪帯形状に沿った形状となっており、
波長λ1光の照射領域と波長λ2光の照射領域との一部
分が重なり合っていることが分かる。したがって、上述
のような原理により、波長λ1光と波長λ2光とが重な
った部分では、発光が抑制されるため、発光領域(6)
は、波長λ1のみが照射された領域に限定される。つま
り、波長λ2光の照射領域により、波長λ1光の照射領
域が狭まれ、波長λ1光のビームサイズよりも小さい領
域で発光させることができる。
し、第2励起状態から基底状態へ脱励起する際の発光が
弱い分子により構成される試料に対しても、高画質の像
を得ることができる光学顕微鏡が実現される。また、重
ね手段としては、図6に例示したような構造を有するピ
ンホールだけでなく、入射光を波長的且つ空間的に分離
して透過できる光学瞳を有する、たとえば、波長λ1光
に対する透過率が高く且つ波長λ2光に対する透過率が
低い材料もしくは誘電体多層膜と波長λ2光に対する透
過率が高く且つ波長λ1光に対する透過率が高い材料も
しくは誘電体多層膜とが、表面にコーティングされた集
光レンズが備えられていてもよい。
明の実施の形態について説明する。もちろんこの発明は
以下の例によって限定されるものではない。
の光学顕微鏡の要部構成を例示したものである。この図
7の光学顕微鏡は、特に生体アミノ酸であるトリプトフ
ァンの検出に適用したものである。
λ1光および波長λ2光の光源として、Nd:YAGL
aser(7)とDyeLaser(8)とが組み合わ
せれた光源系が備えられており、Nd:YAGLase
r(7)により、たとえばトリプトファン含有サンプル
分子(17)を基底状態から第1励起状態へ励起させる
波長λ1光として波長266nmの4倍波光が発振さ
れ、Nd:YAGLaser(7)励起のDyeLas
er(8)により、第1励起状態のサンプル分子(1
7)を第2励起状態へ励起させる波長λ2光として波長
400〜500nmの光が発振される。トリプトファン
含有サンプル分子(17)は、第2励起状態の蛍光収率
が小さい分子である。もちろん、様々なサンプル分子
(17)の種類によって、波長λ1と波長λ2の共鳴波
長は異なった波長帯域に存在するため、各分子における
共鳴波長に従ってレーザの発振波長も調整する必要があ
る。
された波長266nmの4倍波光とDyeLaser
(8)により発振された波長400〜500nm光と
は、ダイクロックミラー(9)により同じ光軸上に合わ
され、前述のような波長λ1帯域と波長λ2帯域とで同
じ結像性能を持つ2波長帯光学系である第1集光レンズ
(10)により、重ね手段であるピンホール(11)に
集光される。
例示したように、たとえば波長266nmの4倍波光を
透過する輪帯と波長400〜500nmの光を透過する
輪帯とにより構成されており、このようなピンホール
(11)に集光された各波長光は、それぞれを透過する
輪帯を透過して、2波長帯光学系である第2集光レンズ
(12)によりサンプル分子(17)表面に集光され
る。第1集光レンズ(10)と第2集光レンズ(12)
との2枚の集光ガラスレンズにより集光光学系が構成さ
れている。
れた各波長光の照射領域は、ピンホール(11)により
一部分重なり合ったものとなっており、重なり合った部
分では、分子が第2励起状態へ励起するために蛍光の発
光が抑制されるため、蛍光の発光領域は、波長λ1光で
ある波長266nmの4倍波光のみが照射される領域に
限定される。つまり、この領域においてのみ、分子が第
1励起状態から基底状態へ脱励起する際に波長λ3の強
い蛍光が発光される。
フミラー(13)により反射され、第3集光レンズ(1
4)によりフィルター(15)を通して、検出器として
の第2フォトマル(16)に集光される。ハーフミラー
(13)と第3集光レンズ(14)とフィルター(1
5)とは、発光検出光学系を構成している。このような
この発明の光学顕微鏡により、極めて高い空間分解能が
得られ、たとえば生態アミノ酸であるトリプトファン分
子に対して、非常に優れた画質の蛍光像を得ることがで
きる。
振する光源としては、Nd:YAGLaser(7)と
DyeLaser(8)とが組み合わせれた光源系だけ
でなく、たとえば、チタンサファイアレーザ、CW半導
体レーザー、波長可変のオプチカルパラメトリクオシレ
ータレーザシステム等が備えられていてもよい。また、
この発明の光学顕微鏡において、蛍光集光用レンズを、
第3集光レンズ(14)と同じ結像性能を持つ共焦点光
学系に設計して配置させ、さらに、図9に例示したよう
に、ピンホール(20)を検出器である第2フォトマル
(16)の直前に配置させることにより、深さ方向を含
む3次元解析をも行うことができる。
学顕微鏡を用いて、微量のトリプトファン分子の蛍光像
を検出する。微量のトリプトファン分子を検出するため
には、蛍光収率を向上させる必要があり、この蛍光収率
の向上は、生態試料の観察環境を調整することにより行
うことができる。
は、試料が保護される水溶液のpHを調整することによ
り向上させることができる。蛍光収率は、分光学的に第
1励起状態の寿命に比例することが知られている。たと
えば、室温でのトリプトファン分子の第1励起寿命τ
は、pHが10.5の場合4.5nsecであり、pH
が5.5の場合6.2nsecと長くなる(L.P.McMaho
n et.al. J.Am.Chem.Soc.114(1992)8442-8448) 。この
第1励起寿命τの向上は、pHが5.5の場合の蛍光収
率が、pHが10.5の場合の蛍光収率と比べて、50
%向上することに等しい。
く、たとえばDNAを構成する基本分子であるアデニン
に対しても、水溶液のpHを調整することにより蛍光収
率を向上させることができる。アデニンの場合、通常第
1励起寿命τはピコ秒程度であるが、水溶液のpHを
1.5に調整すると第1励起寿命τは4nsecまで長
くなる。
分子の第1励起寿命τはナノ秒程度の値を持つことでき
る(B.Skalski Can.J.Chem.68(1990)2892-2170、R.W.Wi
jnaendts van Resandt Rev.Sci.Instrum 59(9)(1982)13
92-1397 、J.Teraoka J.Am.Chem.Soc.112(1990)2892-29
00)。さらに、蛍光効率の向上は、水溶液の温度を調整
することによっても向上させることができる。たとえ
ば、トリプトファン分子に対しては、同じpHの水溶液
で、その温度を50℃に調整すると、第1励起寿命τは
3nsec以下まで短くなってしまう(L.P.McMahon e
t.al. J.Am.Chem.Soc. 114(1992)8442-8448) ので、5
0℃より低い温度の水溶液を用いることにより、第1励
起寿命τを長く保つことができる。
以上10以下で、且つ温度が50℃より低い水溶液によ
って保護することにより、蛍光収率をより向上させるこ
とができるため、微量な分子に対しても高画質の蛍光像
を得ることができる。このような水溶液のpHおよび温
度調整による第1励起寿命の向上、つまり蛍光収率の向
上の効果は、紫外−可視紫外−軟X線の組み合わせだけ
でなく、紫外−紫外、紫外−軟X線、可視−軟X線、赤
外−可視、赤外−紫外、赤外−X線などの波長領域にお
いても同様に得ることができる。
るものではなく、細部については様々な態様が可能であ
ることは言うまでもない。
って、第2励起状態の発光収率が小さい分子により構成
される試料に対しても、非常に高い空間分解能で、優れ
た画質の発光像を得ることができる、高性能且つ高機能
な、新しい光学顕微鏡が提供される。
例示した概念図である。
ある。
ある。
例示した概念図である。
二重共鳴吸収過程を例示した概念図である
のピンホールの一例を示した構造図である。
の結像パターンを例示した概念図である。
た要部構成図である。
した要部構成図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 試料を構成する基底状態の分子を第1励
起状態へ励起させる波長λ1光の光源と、第1励起状態
の分子を第2励起状態へ励起させる波長λ2光の光源
と、波長λ1光と波長λ2光とを試料に集光させる集光
光学系と、試料からの発光を検出器に集光させる発光検
出光学系とを有し、各励起状態に励起された分子が基底
状態へ脱励起する際の発光を検出器により検出する光学
顕微鏡であって、波長λ1光の照射領域と波長λ2光の
照射領域とを一部分重ね合わせる重ね手段を備え、この
重ね手段を通して波長λ1光と波長λ2光とを試料に照
射することにより、第1励起状態から基底状態へ脱励起
する際の発光の領域を抑制することを特徴とする光学顕
微鏡。 - 【請求項2】 重ね手段が、入射光を波長的且つ空間的
に分離して透過する光学瞳を有していることを特徴とす
る請求項1の光学顕微鏡。 - 【請求項3】 重ね手段として、波長λ1光に対する透
過率が高く且つ波長λ2光に対する透過率が低い輪帯
と、波長λ2光に対する透過率が高く且つ波長λ1光に
対する透過率が低い輪帯とによりなる輪帯構造を有する
光学フィルタが備えられていることを特徴とする請求項
2の光学顕微鏡。 - 【請求項4】 重ね手段として、波長λ1光に対する透
過率が高く且つ波長λ2光に対する透過率が低い材料も
しくは誘電体多層膜と、波長λ2光に対する透過率が高
く且つ波長λ1光に対する透過率が低い材料もしくは誘
電体多層膜とが、表面にコーティングされた集光レンズ
が備えられていることを特徴とする請求項2の光学顕微
鏡。 - 【請求項5】 集光光学系が、2枚以上の集光ガラスレ
ンズにより構成されていることを特徴とする請求項1な
いし4の光学顕微鏡。 - 【請求項6】 集光光学系が、反射光学系であることを
特徴とする請求項1ないし4の光学顕微鏡。 - 【請求項7】 集光光学系と発光検出光学系とが、結像
性能が等しい共焦点光学系であることを特徴とする請求
項1ないし6の光学顕微鏡。 - 【請求項8】 請求項1ないし7に記載の光学顕微鏡で
あって、試料が水溶液によって保護されており、この水
溶液が、1.5以上10以下のpHおよび50℃より低
い温度を有していることを特徴とする光学顕微鏡。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8302232A JP3020453B2 (ja) | 1996-11-13 | 1996-11-13 | 光学顕微鏡 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8302232A JP3020453B2 (ja) | 1996-11-13 | 1996-11-13 | 光学顕微鏡 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH10142151A true JPH10142151A (ja) | 1998-05-29 |
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