JP5208825B2 - 光学顕微鏡 - Google Patents

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Description

本発明は、非線形光学応答過程を利用して試料を観察する光学顕微鏡に関するものである。
光学顕微鏡の技術は古く、種々のタイプの光学顕微鏡が開発されている。また、近年では、レーザ技術および電子画像技術をはじめとする周辺技術の進歩により、さらに高機能の光学顕微鏡システムが開発されている。
このような背景の中、様々な分光過程を用いた高機能な光学顕微鏡が提案され、試料の形状のみならず、試料に含まれている分子の同定や構造解析が可能となっている。特に、近年では、高い尖頭値を有するパルスレーザを用いることにより、物質に対して簡単に非線形光学応答過程を誘導できることから、非線形光学応答過程に特有な応答光を検出する顕微鏡法が注目されている。その代表的な非線形光学応答過程として、1.ラマン過程、2.高調波過程(特に、SHG過程)、3.多光子吸収過程(特に、2光子吸収過程)が挙げられる。以下、各過程について、簡単に説明する。
1.ラマン過程
ラマン過程には、生体試料や工業材料を染色せずに、それらの光応答を観測することにより、構造を解析するラマン分光法が存在し、顕微鏡分野への応用が期待されている(例えば、特許文献1参照)。ラマン分光とは、ラマン効果と呼ばれている一種の非線型光学効果を基礎にしている。入射光が強いフォトンフラックスで分子や原子により散乱されると、分子の量子状態が変化して、それらの系全体のエネルギーが変化する。そのとき、変化したエネルギー分が散乱された光子に移行し、結果として入射した光と異なる波長の光が発生する。このような現象をラマン散乱と言う。このラマン散乱には、単色光を用いた、(1)非共鳴ラマン散乱、(2)真正共鳴ラマン散乱、(3)前期共鳴ラマン散乱、の3種類と、多色光を用いた、(4)コヒーレント・ラマン散乱とが知られている。以下、これらのラマン散乱について、図24および図25を参照して、さらに詳細に説明する。
(1)非共鳴ラマン散乱
図24(a)は、非共鳴ラマン散乱を説明するエネルギーダイアグラムである。非共鳴ラマン散乱は、原子および分子の立場からみると、二次の摂動論で説明できる。すなわち、図24(a)に示すように、S(imaginary)と言う仮想的な量子準位を仮定した一種の2光子過程に対応する。この2光子励起過程では、最低電子状態で、かつ最低振動回転準位、すなわち基底状態Sにあった分子は、例えば、非常に強いレーザ光で、一度、仮想的な量子準位S(imaginary)に励起され、その後、最低電子状態の高い振動回転準位(V)に脱励起する。結果的には、図24(a)から明らかなように、入射した光が、(E−E)の光子エネルギーを原子または分子に与え、非共鳴ラマン散乱後の光は、その分、光子エネルギーを損失して、見かけ上、光の波長がλであったのが、長波長のλに変化して散乱される。一般に、非共鳴ラマン散乱を含む仮想的な量子準位を前提とした2光子過程は、極めて遷移確率が小さく、この過程を誘発するためには、フェムト秒オーダの超短パルスレーザを必要とする場合もある。
(2)真正共鳴ラマン散乱
図24(b)は、真正共鳴ラマン散乱を説明するエネルギーダイアグラムである。真正共鳴ラマン散乱は、非共鳴ラマン散乱が特殊な条件を満たす場合の散乱過程で、図24(b)に示すように、S(imaginary)が、実在する第1電子励起状態Sに一致した場合である。この場合は、基底状態Sの分子が、実在する第1電子励起状態Sに励起され、その後、最低電子状態の高い振動回転準位(V)に脱励起する過程に対応する。したがって、見かけ上、図24(b)に示すように、あたかもS→S励起後、λという蛍光を発光する過程と一致する。この真正共鳴ラマン散乱は、実在する量子状態を利用するので、極めて散乱確率が高く、非共鳴ラマン散乱と比較すると格段に強い光強度でラマン散乱を発現できる。
(3)前期共鳴ラマン散乱
図24(c)は、前期共鳴ラマン散乱を説明するエネルギーダイアグラムである。前期共鳴ラマン散乱は、真正共鳴ラマン散乱と非共鳴ラマン散乱との中間の性質をもつ。すなわち、第1電子励起状態Sの近傍にS(imaginary)が存在する場合である。
(4)コヒーレント・ラマン散乱
図25は、コヒーレント・ラマン散乱を説明する図で、図25(a)はコヒーレント・アンチストークスラマン散乱(Coherent Anti-Stokes Raman Scattering;CARS)のエネルギーダイアグラム、図25(b)はコヒーレント・ストークスラマン散乱(Coherent Stokes Raman Scattering;CSRS)のエネルギーダイアグラムである。コヒーレント・ラマン散乱(Coherent Raman Scattering)は、時間領域で振動ダイナミクスを研究する手段の一つで、実験および理論の両側面から様々な研究が行われている。
このコヒーレント・ラマン散乱は、三次の非線形光学応答過程の一つで、一般に角振動数の異なる二つのレーザ光(ω光、ω光)を用いる。はじめに分子と相互作用するω光およびω光のレーザ光は、ポンプ光およびストークス光とも呼ばれる。これら二つの入射光の角振動数差が、試料分子の持つ振動モードの角振動数Ωと一致すると、多数の試料分子の振動モードが共鳴的に、かつ位相を揃えて、すなわちコヒーレントに励振される。発生した振動分極は、位相緩和時間の間持続しているので、その間にプローブ光であるもう一つのω光と分子が相互作用することにより、三次の非線形分極に由来する分極波としてコヒーレント・ラマン散乱光を取り出すことができる。
すなわち、ポンプ光およびストークス光と、プローブ光との間の遅延時間を変化させることにより、分子振動の位相緩和時間に関する情報を得ることができる。特に、図25(a)に示すように、振動数が+Ω大きくなったラマン散乱光は、CARSと呼ばれる。また、図25(b)に示すように、振動数が−Ω小さくなったラマン散乱光は、CSRSと呼ばれる。特に、CARSの場合は、励起光より短波長側で信号光を検出するので、自家蛍光によるバックグラウンド等の影響を受けにくく、良好なS/Nで信号光を検出できることから、近年では、分光分析型顕微鏡等に幅広く適用され始めている。
このように、CARS過程は、非線形光学応答過程であるため、レーザ光、すなわちポンプ光(プローブ光)およびストークス光が強く集光された特定の微小三次元部分からのみ信号光が発生する。その結果、共焦点顕微鏡のようにピンホールを導入する必要がなく、走査型レーザ顕微鏡にCARS過程を導入することにより、本質的に高い三次元空間分解能を実現することができる。しかも、無染色で生物試料を観察できることから、その商品化が強く期待できる。
2.高調波過程
高調波過程が起因する現象は、レーザ光学の現場でしばしば目撃され、広く応用されている。例えば、ある波長のレーザ光を、波長オーダの空間的に秩序もった誘電体構造を有する光学媒質に入射させると、この光学媒質から高調波が発生する。つまり、誘電体は、強いレーザ光により、その振動電場で強制振動して、振動電場の振幅に比例しない歪みを持った振動電場を二次波として発生する(非線形光学効果)。その結果、入射レーザ光の振動数に対して、整数倍の成分をもったコヒーレント光を発生する。特に、周期性の良い結晶を用いると、非常に強い2倍高調波が発生する。したがって、結晶の種類や入射角度を調整することにより、入射光を任意の波長のレーザ光に波長変換することができる。
この現象は、顕微鏡観察にも応用されている。例えば、観察試料中に、周期構造が存在する場合、コヒーレントなレーザ光で照明すると、周期構造により、照明光に対して振動数が倍の二次光が発生する。言い換えると、波長が半分になった光が発生する。この二次光を捉えて、顕微鏡画像を得ることができる。したがって、高調波過程は、ラマン過程と同様に、無染色で試料観察ができるので、近年注目を浴びつつある顕微鏡法である。なお、高調波過程も、基本的には、ラマン過程と同様に非線形光学効果を用いている。
3.多光子吸収過程
通常、分子は、構成原子の価電子の結合状態で決定される電子状態を有しており、量子力学的に不連続なエネルギー準位を持つ。さらに、原子核の結合距離が揺動する振動状態や分子全体の回転運動のような状態が重複する。特に、一番低い状態すなわち基底状態から、次の励起状態にある電子状態(第1電子励起状態:図24参照)に照明励起すると、第1電子励起状態から強い蛍光が発生する。通常の蛍光顕微鏡は、この蛍光を捕えて画像化している。この場合、基底状態と第1電子励起状態との間のエネルギーギャップよりも大きい光子エネルギーを有する照明光を用いる必要がある。
一方、最近では、エネルギー尖頭値が非常に高いパルス光を発生するレーザ光源が発売され、多光子吸収過程を用いた蛍光顕微鏡法(多光子顕微鏡)が利用可能となっている。この多光子吸収過程は、高調波過程と同様に非線形光学効果をベースとし、基底状態から第1電子励起状態まで励起する際に、一時に複数個の光子を吸収させて、分子から蛍光を発生させるものであるが、特徴的なのは、照明光の光子エネルギーが上記のエネルギーギャップよりも遥かに少なくて済むことである。例えば、2光子過程では、2個の光子を同時に吸収するので、光子エネルギーは前述のエネルギーギャップの半分で済む。
このことは、波長的には従来の照明光よりも、倍程度長い波長で済む、と言うことを意味する。したがって、通常は可視光の照明光を用いているが、2光子過程を用いる場合は、近赤外光の励起光を用いることができるので、小型で安定性に優れた半導体レーザやファイバーレーザを利用できる。加えて、応答する蛍光量は、照射強度の2乗に比例するので、蛍光反応領域は、三次元空間内の極めて狭い領域に限定される。特に、集光した場合は、光軸方向の反応領域が狭くなるので、従来の蛍光顕微鏡法では不可能であった三次元的分解能が得られる。
特表2002−520612号公報
以上のように、非線形光学応答過程を用いた各種顕微鏡は、従来にはない優れた機能を提供することができる。しかしながら、その非線形光学応答過程に付随する問題も明らかになり、その対策が求められている。特に、各種ラマン過程を用いた顕微鏡法(ラマン顕微鏡)の場合は、無染色で生体試料を観察できるので、その期待は大きいが、以下に示すような極めて深刻な問題がある。
例えば、上記(1)で説明した非共鳴ラマン散乱や(4)で説明したコヒーレント・ラマン散乱を用いた顕微鏡の場合は、光応答断面すなわちラマン散乱断面積が極めて小さいことが挙げられる。すなわち、通常の蛍光顕微鏡の場合は、励起光に対する光応答断面すなわち吸収断面積は、10−16cm程度の値をもつ。これに対し、ラマン散乱断面積は、10−21cm程度と極めて小さい。このため、通常の光源、すなわちレーザ光源では、検出するラマン散乱光(信号光)の総量が極めて少ないという問題がある。
この問題を解決するため、一般には、チタンサファイアレーザをベースにした高価で操作が難しい高出力のフェムト秒レーザを用いたり、計測時間を長くして信号量を稼ぐようにしたりしている。しかし、高出力のフェムト秒レーザを用いた場合、サンプルへのダメージが発生し、生きた生物試料を観察するには問題が生じる場合がある。また、計測時間を長くすると、S/Nが低下するとともに、1画像を取得する時間も膨大となる。このため、現状では、これらの条件のトレードオフを考慮して、測定条件を設定している。
また、ラマン過程を誘導するためには、極めて強い励起光(以下、適宜、刺激光とも言う)を照射するので、対象観察物質以外の、例えば生物試料を囲む溶媒やカバーガラス等からの蛍光発光が生じる場合もある。その原因の一つとしては、試料やガラスに混入した観察に必要ない発光性の不純物分子を、多光子吸収過程により蛍光励起してしまうことによる。この場合、波長領域においては、検出すべき刺激光に対する応答光以外の波長成分の光も検出してしまうことになる。また、空間的には、本来、刺激光の集光領域のみの空間領域からの光応答を検出したいのに、例えばカバーガラス界面からの不必要な蛍光信号なども検出してしまうことになる。
その結果、特に、刺激光を試料上に集光し、集光点に対して試料を相対的に空間走査するレーザ走査方式を採用する顕微鏡では、微弱なラマン信号がバックグラウンド信号に埋もれてしまうという深刻な問題がある。これは、波長領域および空間領域において、ラマン過程という非線形光学応答過程が必然的に発生させる不必要な副次的応答光、すなわち、背景光を増大させてしまう点に起因している。
一方、上記(2)で説明した真正共鳴ラマン散乱や(3)で説明した前期共鳴ラマン散乱を用いた顕微鏡の場合は、ラマン散乱断面積が電子遷移の吸収断面積に近づくので、最大、10−17cmにもなり、通常の蛍光顕微鏡と同程度の断面積をもつ。したがって、計測時間の短縮化が図れるとともに、使用する光源の自由度を高くできるメリットがあるように思われる。
しかしながら、これらの顕微鏡の場合は、バックグラウンド信号が増大するために、S/Nが極めて悪くなる。すなわち、これらの顕微鏡の場合は、励起光波長が、S→Sの共鳴準位である電子遷移可能な波長に近づく。この場合、励起光波長が、S→S吸収帯の長波長側のサイドロープにかかると、S→S吸収が始まり、それと同時に、S状態からの蛍光発光が起こる。
ここで、ラマン信号光は、一般に、照明光より長波長側に現れるので、特に共鳴ラマン散乱を用いると、ラマン信号光がS状態からの蛍光発光波長帯域と重複して、強いラマン信号も蛍光発光の中に埋もれてしまうことになる。このため、実質的には、蛍光収率が低い一部の分子しか観察対象になり得ず、波長領域において、観察対象分子自身が発生する蛍光が背景光となる。
同様の問題は、多光子吸収過程を用いた、例えば2光子顕微鏡においても生じる。2光子顕微鏡の場合、理論的には、刺激光の波長は近赤外光で、生体試料に対して透明であり、しかも三次元空間分解能力があることから、試料の深部まで観察できると思われる。しかしながら、実際には、図26に示すように、試料101が散乱体の場合、光学界面であるカバーガラスと試料101との界面102で強い散乱が起きると同時に、刺激光の集光点から外れた上記界面領域近傍で副次的な蛍光が発生する。加えて、顕微鏡対物レンズ103による刺激光の集光点が、上記界面102から離れた深部の場合は、散乱により到達する刺激光の総光量が減少して、検出すべき応答光の蛍光強度が低下する。しかも、応答光である蛍光量は、照射強度の2乗に依存するため、その影響は顕著になる。結果として、界面領域近傍からの副次的応答光による背景光が相対的に強くなり、深部の観察が実質上不可能となる。このような問題は、高調波過程を用いた顕微鏡においても同様に生じるものである。
したがって、上述した問題点に着目してなされた本発明の目的は、非線形光学応答過程による所望の応答光を、バックグラウンドとなる不要応答光の発生を抑制して、良好なS/Nで検出できる光学顕微鏡を提供することにある。
上記目的を達成する第1の観点に係る光学顕微鏡の発明は、刺激光光源から出射される単一波長または複数の異なる波長からなる刺激光を試料に集光し、該試料から非線形光学応答過程により放出される応答光を検出する光学顕微鏡おいて、
前記刺激光とは異なる波長からなり、前記刺激光の前記試料への照射による副次的応答光の抑制効果を誘導するイレース光を出射するイレース光光源を有し、
前記イレース光を、前記刺激光の集光領域から放出される応答光は抑制せず、該応答光以外の前記副次的応答光は抑制するように、前記刺激光と同時に前記試料に照射することを特徴とするものである。
第2の観点に係る発明は、第1の観点に係る光学顕微鏡において、
前記イレース光光源は、前記副次的応答光として蛍光を抑制する波長を含む光を、前記イレース光として出射する、ことを特徴とするものである。
第3の観点に係る発明は、第2の観点に係る光学顕微鏡において、
前記試料に照射する前記刺激光および前記イレース光と、前記試料からの前記応答光とを光学的に分離する光学分離素子を有する、ことを特徴とするものである。
第4の観点に係る発明は、第3の観点に係る光学顕微鏡において、
前記応答光として散乱光を検出するように構成した、ことを特徴とするものである。
第5の観点に係る発明は、第4の観点に係る光学顕微鏡において、
前記散乱光として、ラマン過程により刺激された散乱光を検出するように構成した、ことを特徴とするものである。
第6の観点に係る発明は、第4の観点に係る光学顕微鏡において、
前記散乱光として、共有ラマン過程により刺激された散乱光を検出するように構成した、ことを特徴とするものである。
第7の観点に係る発明は、第4,5または6の観点に係る光学顕微鏡において、
前記副次的応答光を、2重共鳴吸収過程または誘導放出過程により抑制するように構成した、ことを特徴とするものである。
第8の観点に係る発明は、第5または6の観点に係る光学顕微鏡において、
前記応答光として、蛍光性プローブにより染色された試料からの応答光を検出するように構成した、ことを特徴とするものである。
第9の観点に係る発明は、第8の観点に係る光学顕微鏡において、
前記試料に前記刺激光および前記イレース光を同時照射して前記散乱光を検出する散乱光検出モードと、前記試料に前記刺激光のみを照射して前記蛍光性プローブによる蛍光を検出する蛍光検出モードとを切り替え可能に構成した、ことを特徴とするものである。
第9の観点に係る発明は、第3の観点に係る光学顕微鏡において、
前記応答光として、多光子吸収過程により誘導される蛍光を検出するように構成した、ことを特徴とするものである。
第11の観点に係る発明は、第10の観点に係る光学顕微鏡において、
前記応答光として、蛍光性プローブにより染色された試料からの蛍光を検出するように構成した、ことを特徴とするものである。
第12の観点に係る発明は、第1乃至11のいずれか一つの観点に係る光学顕微鏡において、
前記刺激光または前記イレース光の集光位置、集光サイズ、集光強度のいずれかを調整する調整手段を有する、ことを特徴とするものである。
第13の観点に係る発明は、第12の観点に係る光学顕微鏡において、
前記調整手段は、前記イレース光の波面を変調して集光位置でのピーク強度を低下させる波面変調素子を有する、ことを特徴とするものである。
第14の観点に係る発明は、第13の観点に係る光学顕微鏡において、
前記調整手段は、前記刺激光の集光位置と前記イレース光の集光位置とを異ならせる、ことを特徴とするものである。
第15の観点に係る発明は、第1乃至14のいずれか一つの観点に係る光学顕微鏡において、
前記イレース光光源は、前記イレース光として近赤外光を出射する、ことを特徴とするものである。
第16の観点に係る発明は、第1乃至15のいずれか一つの観点に係る光学顕微鏡において、
前記刺激光光源および前記イレース光光源は、それぞれパルス光源であり、前記刺激光光源は10ピコ秒以下のパルス幅を有する刺激光を出射し、前記イレース光光源は、前記刺激光のパルス幅以上のパルス幅を有するイレース光を出射する、ことを特徴とするものである。
第17の観点に係る発明は、第1乃至16のいずれか一つの観点に係る光学顕微鏡において、
前記刺激光光源または前記イレース光光源は、チタンサファイアレーザ、Nd:YAGレーザ、ファイバーレーザ、半導体レーザ、スーパーコンティニュアム光源のいずれかを含む、ことを特徴とするものである。
第18の観点に係る発明は、第1乃至17のいずれか一つの観点に係る光学顕微鏡において、
前記試料の表面で発生する前記副次的応答光を検出する副次光検出手段と、
前記副次光検出手段の出力に基づいて前記イレース光光源から出射する前記イレース光の強度を調整するイレース光強度調整手段とを有する、
ことを特徴とするものである。
第19の観点に係る発明は、第1乃至17のいずれか一つの観点に係る光学顕微鏡において、
前記試料から放出される前記応答光を検出する応答光検出手段と、
前記応答光検出手段の出力に基づいて画像信号を生成する画像処理手段と、
前記画像処理手段から得られる画像信号に基づいて、前記イレース光光源から出射する前記イレース光の強度を設定する強度設定手段とを有する、
ことを特徴とするものである。
第20の観点に係る発明は、第19の観点に係る光学顕微鏡において、
前記強度設定手段は、前記画像処理手段から得られる画像信号に基づいて、前記応答光の強度分布を示すヒストグラムを生成し、前記イレース光光源から出射する前記イレース光の強度変化に対する前記ヒストグラムの変化に基づいて前記イレース光の最適強度を設定する、ことを特徴とするものである。
第21の観点に係る発明は、第1乃至20のいずれか一つの観点に係る光学顕微鏡において、
前記試料に照射する前記イレース光の強度は、前記イレース光の照射により副次的な発光現象が発生しない予め取得された最高強度以下である、ことを特徴とするものである。
第22の観点に係る発明は、第1乃至21のいずれか一つの観点に係る光学顕微鏡において、
前記イレース光光源から出射される前記イレース光を、二次元のシート状の強度分布を有するイレース光として前記試料に照射するイレース光照射手段を有する、ことを特徴とするものである。
本発明によれば、刺激光を試料に照射すると同時に、該試料に、刺激光の集光領域から放出される応答光は抑制せず、該応答光以外の副次的応答光は抑制するように、刺激光とは異なる波長からなるイレース光を照射するようにしたので、非線形光学応答過程による所望の応答光を、バックグラウンドとなる不要応答光の発生を抑制して、良好なS/Nで検出することが可能となる。
2波長蛍光Dip分光法の原理を説明するための図である。 超解像顕微鏡法の原理を説明するための図である。 本発明の第1実施の形態に係る走査型共鳴ラマンレーザ顕微鏡の要部の概略構成図である。 本発明の第2実施の形態に係るCARS顕微鏡の要部の概略構成図である。 本発明の第3実施の形態に係る2光子顕微鏡の要部の概略構成図である。 図5に示した2光子顕微鏡によるポンプ光とイレース光との集光位置を示す図である。 本発明の第4実施の形態に係る顕微鏡の要部の概略構成図である。 図7に示した位相板の一例の概略構成を示す平面図である。 本発明の第5実施の形態に係る走査型共鳴ラマンレーザ顕微鏡の要部の概略構成図である。 本発明の第6実施の形態に係るCARS顕微鏡の要部の概略構成図である。 本発明の第7実施の形態に係る2光子顕微鏡の要部の概略構成図である。 本発明の第8実施の形態に係る2光子顕微鏡の要部の概略構成図である。 図12に示した副次光検出手段の二つの例を示す図である。 本発明の第9実施の形態に係る2光子顕微鏡の要部の概略構成図である。 図14に示した2光子顕微鏡の第1動作例を説明するためのフローチャートである。 図14に示した2光子顕微鏡の第2動作例を説明するためのフローチャートである。 図16に示した第2動作例におけるイレース光強度と画素平均値との関係を示す図である。 図14に示した2光子顕微鏡の第3動作例を説明するためのフローチャートである。 図14に示した2光子顕微鏡の第4動作例を説明するためのフローチャートである。 本発明の第10実施の形態に係る2光子顕微鏡の要部の概略構成図である。 図20に示した第10実施の形態の変形例を示す概略構成図である。 本発明の第11実施の形態に係る光学顕微鏡の要部の概略構成図である。 本発明の第12実施の形態に係る光学顕微鏡の要部の概略構成図である。 非共鳴ラマン散乱、真正共鳴ラマン散乱、前期共鳴ラマン散乱を説明するエネルギーダイアグラムである。 コヒーレント・ラマン散乱を説明するエネルギーダイアグラムである。 従来の2光子顕微鏡におけるバックグランド信号の発生原因を説明するための図である。
(本発明の概要)
先ず、本発明の実施の形態の説明に先立って、本発明の概要について説明する。
現在、蛍光顕微鏡の分野では超解像顕微鏡技術が発達している。これは、一種の2波長の分光過程、すなわち、2波長蛍光Dip分光法を用いている。この2波長蛍光Dip分光法の原理を、図1(a)および(b)を用いて説明する。先ず、図1(a)に示すように、ポンプ光で分子をS状態へ励起し、次に、図1(b)に示すように、イレース光を照射して、分子をS状態からS状態へさらに励起する(2重共鳴吸収過程)。
ここで、一般に、高励起状態Sの分子は、速い無輻射過程により蛍光を発しない。このため、2つの光が重なった領域では分子がSに励起され、Sからの蛍光が消失する(蛍光抑制効果)。さらに、イレース光が蛍光発光帯域に重複するときには、誘導放出過程も起こり、蛍光抑制効果に寄与する。したがって、例えば、図2に示すように、イレース光をドーナッツ状に整形して、ポンプ光と空間的に一部重ねて試料に集光照射すると、蛍光スポットは、蛍光抑制効果によって、図示しない顕微鏡対物レンズの開口数と波長で決まる回折限界以下のサイズに収縮する。したがって、この状態で試料位置を走査すると、超解像顕微鏡法が達成される。
ここで、重要なことは、イレース光をS→S吸収が起きない吸収帯から離れた長波長側の帯域にして同時照射すると、蛍光が完全に抑制できるということである。つまり、S→S吸収が起きない長波長側の帯域の光を用いれば、イレース光として機能する。その波長帯域は、一般に、可視光領域から近赤外領域に広がる。また、近年では、ポンプ光で分子を励起する際に、2光子過程を併用する先進的な技術も開発されている(例えば、特開2001−272343号公報参照)。
このイレース光による蛍光抑制効果に注目すると、各種非線形光学応答過程において発生する副次的背景光を除去することができる。例えば、共鳴ラマン過程を用いた顕微鏡法に応用すれば、副次的蛍光信号に邪魔されず、強い共鳴ラマン信号のみを計測することができる。この場合は、ラマン顕微鏡光源として2色のレーザ光源を用意する。そのうちの一つは、観測対象となる分子に対して共鳴ラマンを誘導できるような波長の光を発振する共鳴ラマンレーザ光源である。もう一つは、蛍光抑制効果を誘導するためのイレース光を発振するレーザ光源である。ここで、イレース光の波長は、共鳴ラマン信号の波長から十分離れた長波長側の近赤外光領域が良い。この波長帯域のレーザ光源は、各種存在する。
本発明の一実施の形態においては、上述したイレース光による蛍光抑制効果を利用して、共鳴ラマンレーザ光源からのレーザ光(ラマン過程誘導刺激光)を、イレース光光源からのイレース光とともに試料に照射する。このようにすれば、ラマン過程誘導刺激光の照射による蛍光を、イレース光によって完全に抑制することができ、結果として、バックグラウンドとなる蛍光を取り除き、共鳴ラマン信号のみを取り出して検出することが可能となる。
この原理は、さらに、コヒーレント・ラマン散乱を用いたコヒーレント・ラマン顕微鏡にも有効に応用することができる。コヒーレント・ラマン顕微鏡は、通常、ポンプ光とプローブ光とを用意し、それらの周波数が、観察対象となる化学基の固有振動数と一致する周波数差を有するように光源調整を行う。ただし、ポンプ光およびプローブ光は、何れもS→S吸収が起きない波長に選定される。
このようなコヒーレント・ラマン顕微鏡に、本発明を適用して、観測領域に、ポンプ光およびプローブ光の他に、イレース光を同時照射して、同様に蛍光を抑制するようにすれば、ポンプ光およびプローブ光の波長をS→S吸収が生じる波長に接近させて、共鳴ラマン過程を併発させることができる。ここで、コヒーレント・ラマン過程は、2色の光源を用いた三次の非線形光学効果を用いている。すなわち、ポンプ光強度P、プローブ光強度Pとすると、得られるラマン散乱信号すなわち信号強度Iは、下記の(1)式で与えられる。
[数1]
I∝P ・・・(1)
上記(1)式から明らかなように、ラマン散乱信号の強度は、非線形効果のために、試料集光面におけるプローブ光強度と、ポンプ光強度のべき乗とに比例している。したがって、共鳴ラマン過程において、ラマン散乱断面積が増大すれば、3乗オーダで信号強度が増えるので、本発明を適用して不要な蛍光を抑制すれば、従来のコヒーレント・ラマン顕微鏡法と比較して、格段に強いラマン信号が得られる。また、計測時間およびS/Nにおいても、画期的な改善を図ることができる。
さらに、本発明は、当然のことながら、通常の非共鳴ラマン散乱過程を用いた顕微鏡法に適用することもできる。この場合は、応答光であるラマン光とは異なる波長の蛍光光をスペクトル領域で除去する効果が強く働く。加えて、イレース光の蛍光抑制に対する断面積は、ラマン過程の断面積よりも大きいので、ラマン過程誘導刺激光の集光点以外で発生した不要な蛍光も、イレース光を照射することにより空間的にも抑制することができる。
また、本発明は、2光子顕微鏡に適用して、イレース光による蛍光抑制効果により、背景光を除去することもできる。この場合は、例えば、試料とカバーガラスとの界面に、イレース光を集光する。これにより、前述したように、試料とカバーガラスとの界面から専ら発生する副次的応答光、すなわち、検出対象でない不要な蛍光光を、イレース光により抑制することができる。しかも、界面から離れた試料中の刺激光の集光点から発生する蛍光、すなわち、応答光に対しては、イレース光による蛍光抑制効果の発現を無視することができる。何故なら、刺激光の集光点は、イレース光の焦光点から十分に離れているので、刺激光の集光点には微弱なイレース光しか到達しない。これにより、結果として、背景光に対して、応答光を相対的に強くできるので、良好なS/Nで試料深部の蛍光画像を取得することができる。
さらに、本発明は、高調波過程を用いた顕微鏡に適用して、同様の改善効果を発現することができる。この場合は、応答光である蛍光波長とは異なる波長の別の媒質から発生する蛍光光を、スペクトル領域で除去するのと同時に、刺激光の集光点と異なる空間領域から発光する蛍光を空間的に分離して除去する効果もある。
次に、本発明に係る顕微鏡の実施の形態について説明する。
(第1実施の形態)
本発明の第1実施の形態に係る顕微鏡は、共鳴ラマン散乱を用いて、生体分子を可視化する。生体試料には、例えば、トリプトファン、チロシン、フェニールアラニン、アデニンをはじめとする核酸塩基が含まれている。これらの核酸塩基は、生体構造や活動を解析するのに極めて重要な分子であり、何れもベンゼン環や窒素塩基を含み、波長260nm前後の帯域に極めて強い電子遷移によるS→S吸収帯を持つ。したがって、これらの分子を、ラマン過程誘導刺激光として、例えば、Nd:YAGレーザ光の4倍波(波長266nm)で励起すれば、波長290nm〜400nmの領域でラマンバンドを出現させることができる。
しかし、上記の分子は、波長360nm近辺に強い蛍光バンドも有している。このため、ラマン過程誘導刺激光のみを用いる従来の共鳴ラマン散乱顕微鏡法では、蛍光バンドがバックグラウンドとなって、一連のラマンバンドについて良好なS/Nが得られないことになる。
そこで、本実施の形態では、例えば、トリプトファンが、波長600nmから近赤外領域おいて、S→Sによる2重共鳴吸収帯を有していることに着目し、この波長領域で強いレーザ光を生成できる、例えばチタンサファイアレーザをイレース光光源として用いて、該イレース光光源からのイレース光を、ラマン過程誘導刺激光と同時に生体試料に照射する。このようにすれば、ラマンバンドが出現する波長290nm〜400nmの領域での蛍光の発生を抑制できるので、ラマンバンド成分の純度を高くでき、共鳴ラマン信号を高いS/Nで検出することができる。
図3は、本実施の形態に係る走査型共鳴ラマンレーザ顕微鏡の要部の概略構成図である。この走査型共鳴ラマンレーザ顕微鏡は、刺激光光源である共鳴ラマンレーザ光源1と、イレース光光源2とを有する。共鳴ラマンレーザ光源1は、例えば、パルス幅が10ピコ秒以下のパルス光を出射するモードロック方式のフェムト秒Nd:YAGレーザ1aを有し、その4倍波(波長266nm)をラマン過程誘導刺激光として用いる。このフェムト秒Nd:YAGレーザ1aから出射されるパルスレーザ光は、尖頭値が高く、十分にラマン信号を発生させることができる。
イレース光光源2は、例えば、ナノ秒Nd:YAGレーザ2aと、該ナノ秒Nd:YAGレーザ2aから出射されるレーザ光の2倍波を励起光とするチタンサファイアレーザ2bとを有し、このチタンサファイアレーザ2bから出射される、ラマン過程誘導刺激光よりもパルス幅の長いナノ秒のパルスレーザ光をイレース光として用いる。この構成のイレース光光源2は、出射光の波長を約700nmより長波長側で自由に可変できる。ここで、一般に、近赤外領域での分子の蛍光過程は、2光子吸収過程により誘導されるので、本実施の形態では、この近赤外領域で2光子吸収過程が起きないように、イレース光光源2から出射させるイレース光の尖頭値を、2光子吸収過程が起こる強度よりも3桁程度低い、通常の尖頭値とする。
共鳴ラマンレーザ光源1から出射されたラマン過程誘導刺激光は、ダイクロイックミラー3で反射させて、光学分離素子である偏光ビームスプリッタ4に入射させる。また、イレース光光源2から出射されたイレース光は、反射ミラー5で反射させた後、ダイクロイックミラー3を透過させることにより、共鳴ラマンレーザ光源1からのラマン過程誘導刺激光と同軸に合成して偏光ビームスプリッタ4に入射させる。
偏光ビームスプリッタ4に入射したラマン過程誘導刺激光およびイレース光の合成光は、該偏光ビームスプリッタ4で反射させた後、顕微鏡対物レンズ6を経て、試料ステージ7に保持された生体試料8に集光させる。これにより、生体試料8からは、イレース光による蛍光抑制効果によって、ラマン散乱光のみが放出される。
生体試料8から放出されるラマン散乱光は、顕微鏡対物レンズ6を経て偏光ビームスプリッタ4に入射させ、該偏光ビームスプリッタ4を透過させることにより、ラマン過程誘導刺激光およびイレース光と光学的に分離する。偏光ビームスプリッタ4で分離されたラマン散乱光は、ラマン過程誘導刺激光をカットするノッチフィルタ9a、イレース光をカットするハイパスフィルタ9bおよび分光器11を経て光電子増倍管12により受光し、これによりラマンスペクトルを計測する。なお、生体試料8に集光する合成光は、コンピュータ制御により試料ステージ7および/または図示しない走査光学系を駆動して2次元走査し、これにより2次元的なラマン信号を計測する。
このように、本実施の形態においては、生体試料8にラマン過程誘導刺激光と同時に、ラマンバンドが出現する波長領域での蛍光の発生を抑制するイレース光を照射するようにしたので、ラマン過程誘導刺激光の照射による蛍光を、イレース光により完全に抑制することができ、結果として、バックグラウンドとなる蛍光を取り除き、共鳴ラマン信号のみを高いS/Nで検出することができる。なお、図3において、ノッチフィルタ9aおよびハイパスフィルタ9bがそれぞれカットするラマン過程誘導刺激光およびイレース光の波長帯域は、ラマン散乱光が現れる波長帯域と大きく異なるので、検出するラマン散乱光の光量低下は無視できる。また、生体試料8に含まれる分子は、一般に、S→Sが近赤外領域に広く展開しており、被検物質以外の微量分子からの自家蛍光も、イレース光の照射によって発光を抑制できるので、観測領域のバックグラウンド信号をより確実に除去することができる。
(第2実施の形態)
本発明の第2実施の形態に係る顕微鏡は、コヒーレント・ラマン散乱を用いて、生体試料の環境応答性蛍光プローブを観察する。通常、コヒーレント・ラマン顕微鏡は、分子の共鳴振動を信号化するので、生体試料を染色する必要がない。しかし、従来のコヒーレント・ラマン顕微鏡で環境応答性蛍光プローブを観察すると、2光子吸収過程などを併発して、ラマン信号が蛍光信号に埋もれて検出できない場合がある。
ところで、環境応答性蛍光プローブは、特定の分子・原子・イオンを取り込んだり、吸着したりすると、蛍光収率が大きく増大し、強い蛍光を発するようになる。さらに、環境温度や圧力変化によって、蛍光収率が大きく変化して、蛍光性になったり、無蛍光性になったりする。このため、環境応答性蛍光プローブは、一旦、環境に応答して、蛍光性に転化すれば、通常の蛍光顕微鏡法で存在を確認することが可能となる。しかし、この場合は、環境応答前の無蛍光なプローブ分子の挙動および存在は確認できない。
コヒーレント・ラマン顕微鏡は、このような無蛍光なプローブ分子を観測する一つの手段として挙げられる。しかし、いかに無蛍光なプローブ分子であるとは言え、完全に蛍光収率はゼロではなくバックグラウンド信号の蛍光を発生し、ラマン信号と競合する。このため、従来のコヒーレント・ラマン顕微鏡では、環境応答前の無蛍光なプローブ分子を良好なS/Nで観測できない場合がある。
そこで、本実施の形態では、コヒーレント・アンチストークスラマン散乱(CARS)顕微鏡に、イレース光光源を導入し、該イレース光光源からのイレース光によって、同様にバックグラウンド信号となる蛍光信号を抑制する。以下、環境応答性蛍光プローブとして、カルシウムイオンを取り込むと蛍光性となる蛍光カルシウムインジケータRhod2を観察する場合を例にとって説明する。なお、Rhod2は、波長550nm近傍の光に強いS吸収を持ち、カルシウムイオンを取り込むと、波長580nm近傍の光で強い蛍光を発生することが知られている。
図4は、本実施の形態に係るCARS顕微鏡の要部の概略構成図である。このCARS顕微鏡は、刺激光光源であるCARS光源31と、イレース光光源32とを有する。CARS光源31は、例えば、パルス幅が10ピコ秒以下のパルス光を出射するモードロック方式のフェムト秒Nd:YAGレーザ31aと、非線形波長変換光学素子である光パラメトリック発振器(OPO:Optical Parametric Oscillator)31bとを有し、フェムト秒Nd:YAGレーザ31aから出射されるレーザ光の2倍波(波長532nm)のパルスレーザ光をプローブ光として用いるとともに、該プローブ光の一部をハーフミラー31cで分岐してOPO31bに励起光として入射させ、これによりOPO31bから出射されるパルスレーザ光をポンプ光として用いる。ここで、OPO31bは、波長532nmより長波長側のポンプ光を波長可変で発振する。本実施の形態では、このOPO31bから出射させるポンプ光の波長を650nmとして、プローブ光との周波数差を、Rhod2に含まれるCH基の固有振動数に対応する2900カイザーとする。したがって、本実施の形態では、ポンプ光およびプローブ光が刺激光に相当する。
イレース光光源32は、図3に示したイレース光光源2と同様に、ナノ秒Nd:YAGレーザ32aと、該ナノ秒Nd:YAGレーザ32aから出射されるレーザ光の2倍波を励起光とするチタンサファイアレーザ32bとを有し、このチタンサファイアレーザ32bから出射される、ポンプ光およびイレース光よりも長いナノ秒のパルスレーザ光をイレース光として用いる。本実施の形態では、このイレース光光源32から波長730nmのイレース光を出射させる。
CARS光源31から出射されるポンプ光は、ダイクロイックミラー33aで反射させて光学分離素子である偏光ビームスプリッタ34に入射させる。また、CARS光源31から出射されるプローブ光は、ダイクロイックミラー33bで反射させた後、ダイクロイックミラー33aを透過させて、ポンプ光と同軸に合成して偏光ビームスプリッタ34に入射させる。また、イレース光光源32から出射されるイレース光は、反射ミラー35で反射させた後、ダイクロイックミラー33bおよびダイクロイックミラー33aを透過させて、プローブ光およびポンプ光と同軸に合成して偏光ビームスプリッタ34に入射させる。
偏光ビームスプリッタ34に、同軸に合成されて入射するポンプ光、プローブ光およびイレース光は、該偏光ビームスプリッタ34で反射させた後、顕微鏡対物レンズ36を経て、試料ステージ37に保持された生体試料38に集光させる。
また、生体試料38からの応答光は、顕微鏡対物レンズ36を経て偏光ビームスプリッタ34に入射させ、該偏光ビームスプリッタ34を透過させることにより、ポンプ光、プローブ光およびイレース光と光学的に分離する。偏光ビームスプリッタ34で分離された応答光は、ポンプ光カットフィルタ39a、プローブ光カットフィルタ39b、イレース光カットフィルタ39cおよび分光器41を経て光電子増倍管42により受光し、これによりラマンスペクトルを計測する。なお、生体試料38に集光する合成光は、第1実施の形態の場合と同様に、コンピュータ制御により試料ステージ37および/または図示しない走査光学系を駆動して2次元走査し、これにより2次元的な応答光を計測する。
本実施の形態によれば、CARS顕微鏡法により生体試料38のラマンスペクトルを観測するに際して、生体試料38にポンプ光およびプローブ光と同時にイレース光を照射するので、イレース光によりバックグラウンドとなる波長領域のRhod2の蛍光を抑制することができる。したがって、Rhod2のラマン信号のS/Nを高めることができるので、Rhod2のラマンスペクトルを高精度で観測することができる。
また、本実施の形態では、イレース光を同時に照射するので、Rhod2がいかなる環境であっても、ラマン信号を測定することが可能となる。したがって、例えば、イレース光を同時照射するCARS顕微鏡法により特定の部位のRhod2をラマン散乱により計測し(散乱光検出モード)、随時、通常の蛍光顕微鏡法に切り替えてRhod2による蛍光検出して(蛍光検出モード)、カルシウムとの反応状況を確認することにより、カルシウムとプローブ分子とが反応した瞬間を観測することもできる。なお、通常の蛍光顕微鏡法による蛍光検出モードへの切り替えは、例えば、図4の構成において、イレース光の照射を停止して、ポンプ光およびプローブ光を生体試料38に照射するとともに、イレース光カットフィルタ39cに代えて、蛍光を透過するフィルタを配置することにより、容易に切り替えることができる。また、仮に、反応後、褪色により蛍光収率が落ちても、イレース光の同時照射によるCARS顕微鏡法によりプローブ分子の行方を追跡することができる。さらに、本実施の形態では、共鳴ラマン過程を用いているので、通常のCARS顕微鏡法と比較して、ラマン信号量が多くなり、計測時間の短縮が図れる。
なお、図4では、環境応答性蛍光プローブとして、カルシウム検出用のプローブであるRhod2を例にとって説明したが、他の環境応答性蛍光プローブも同様にして観測することができる。例えば、ベンゾフラザは、疎水性環境で蛍光性を示し、親水性環境では蛍光収率が低下する。この場合は、親水性環境でプローブを追跡して、可視化することができる。また、プローブ分子の蛍光を抑制して観測するので、従来、ラマン顕微鏡法では観測が不可能であった蛍光色素分子も、蛍光を抑制して振動スペクトルを測定することができる。したがって、現在、生物学の領域では興味の対象となっている蛍光タンパク、GFP,YFP,RFP,CFPや、光学変性するDorohpaやKaedeも観察することが可能となる。
また、図4において、CARS光源31は、モードロック方式のフェムト秒Nd:YAGレーザ31aに限らず、フェムト秒チタンサファイアレーザを用いて構成したり、半導体レーザとファイバーアンプとを組み合わせた短パルスレーザシステムを用いて構成したりすることもできる。さらに、CARS光源31およびイレース光光源32は、フェムト秒チタンサファイアレーザからのレーザ光をフォトニッククリスタルファイバに導入して白色のレーザ光を生成するスーパーコンティニュアム光源を用い、このスーパーコンティニュアム光源からの白色光を光学フィルタや分光器等の波長分散素子に入射させて、所望の波長の励起光およびイレース光を取り出すように構成することもできる。
(第3実施の形態)
本発明の第3実施の形態に係る顕微鏡は、2光子吸収過程により、蛍光色素で染色された試料を観察する。図5は、本実施の形態に係る2光子顕微鏡の要部の概略構成図である。この2光子顕微鏡は、刺激光光源である2光子励起光源51と、イレース光光源52とを有する。2光子励起光源51は、例えば、モードロック型のチタンサファイアパルスレーザを用い、該チタンサファイアパルスレーザから、近赤外の波長900nmから700nmの広い領域で、パルス幅10ピコ秒以下の尖頭値の高いパルス光をポンプ光(刺激光)として発生させる。この波長帯域のポンプ光は、ローダミンやフルオレセイン等を分子骨格にもつ蛍光色素を励起して、蛍光を発生させることができる。
イレース光光源52は、例えば、赤色のクリプトンレーザを用い、該クリプトンレーザから発生される波長647nmのレーザ光をイレース光として用いる。この波長のイレース光は、例えば、ローダミン6Gの蛍光を、極めて良い効率で抑制することができる。なお、イレース光は、ポンプ光のパルス幅以上のパルス幅を有するパルス光とするか、あるいは連続波とする。
2光子励起光源51から出射されたポンプ光は、ダイクロイックミラー53を透過させた後、2次元スキャナ54、照明光学系55、ダイクロイックミラー56および顕微鏡対物レンズ57を経て試料58に集光させる。また、ポンプ光の照射により試料58から発生する蛍光は、顕微鏡対物レンズ57を経てダイクロイックミラー56で反射させた後、集光レンズ59およびNDフィルタ60を経て光電子増倍管61で受光して計測する。
一方、イレース光光源52から出射されるイレース光は、可動反射ミラー65、調整レンズ系66および可動反射ミラー67を経てダイクロイックミラー53で反射させた後、ポンプ光と同様に、2次元スキャナ54、照明光学系55、ダイクロイックミラー56および顕微鏡対物レンズ57を経て試料58に照射する。なお、可動反射ミラー65,67は、イレース光を互いに直交する方向に偏向するように構成する。
ここで、イレース光は、可動反射ミラー65,67により、ポンプ光とは全く独立に光軸を空間的に調整するとともに、調整レンズ系66により、顕微鏡対物レンズ57による集光位置や集光スポットサイズを調整して、イレース光の集光位置を、ポンプ光の集光位置に対して三次元的に独立に決定する。例えば、図6に示すように、ポンプ光を試料58の深部に集光させる場合、イレース光は、ポンプ光により副次的応答光が発生し易い試料58とカバーガラス68との界面に集光させる。したがって、可動反射ミラー65,67および調整レンズ系66は、調整手段を構成している。
これにより、カバーガラス68自体から発生する蛍光、試料58の染色色素以外の溶媒分子等から発生する蛍光、さらには、カバーガラス68の界面付近の染色色素から発生する蛍光を抑制することができる。また、ポンプ光は、イレース光の集光位置から離れた試料58の深部に集光しており、このポンプ光の集光領域には、極めて微弱なイレース光しか到達しないので、蛍光抑制は殆ど誘導されない。したがって、従来問題となっていた試料58とカバーガラス68との界面からの強い背景光を抑制できるので、試料深部の集光領域からの2光子蛍光を良好なS/Nで検出することができ、2光子顕微鏡による生物試料の三次元深度観察が可能となる。
なお、ポンプ光とイレース光とは波長が異なるので、照明光学系55や顕微鏡対物レンズ57で色収差を発生させ、これにより各々の集光位置を異ならせるように構成することもできる。この場合、調整手段は、色収差を発生させる光学素子により構成されることになる。
また、ポンプ光は、波長を変えるとビーム径も変化するが、この場合は、顕微鏡対物レンズ57の瞳径に合うように、ポンプ光とイレース光との共通光路に配置されている照明光学系55により、あるいは、別途、ビームエキスパンダを配置することにより、ポンプ光のビーム径を調整することができる。この場合、イレース光のビーム径も同時に変化することになるが、イレース光については、調整レンズ系66のレンズ間を調整することによりビーム径を単独で調整することができる。したがって、例えば、ポンプ光とイレース光とのビーム径を同じにすることもできる。
このように、ポンプ光とイレース光とのビーム径を同じにすれば、顕微鏡対物レンズ57から射出するポンプ光の試料58中での通過領域を定義する収斂角と、イレース光の収斂角とを一致させることができるので、集光点以外での不要な蛍光励起を確実に、かつ効率よく抑制することができる。当然、ポンプ光とイレース光との集光位置が一致していなければ、目的とする応答光が抑制されることはない。なお、ポンプ光のビーム径調整は、共通光路で行うことなく、2光子励起光源51からダイクロイックミラー53に至るポンプ光の単独光路にビームエキスパンダを配置して行うこともできる。
(第4実施の形態)
図7は、本発明の第4実施の形態に係る2光子顕微鏡の要部の概略構成図である。この2光子顕微鏡は、図5に示した2光子顕微鏡において、イレース光光源52とダイクロイックミラー53との間のイレース光の光路中に、位相板71を配置したものである。位相板71は、イレース光の光軸回りでイレース光の位相差がnπ(nは2以上の正の整数)で周回するように構成されるもので、例えば、図8に示すように、光軸の周りに独立した8領域を有し、nπ/8ずつ位相が異なるように、ガラス基板をエッチングしたり、ガラス基板に透明薄膜を蒸着したりして形成する。
本実施の形態によれば、位相板71を透過したイレース光を顕微鏡対物レンズ57により集光させると、光軸上で電場が相殺され、光軸方向に中空部を有する中空パターン状(ドーナッツ形状)のビーム形状、より具体的には、カプセル状(3次元的なダークホール形状)または管状(マカロニ状)のビーム形状が生成される。したがって、ポンプ光とイレース光とを同軸に合成して、イレース光の中空部にポンプ光を集光させるようにすれば、ポンプ光の集光領域にはイレース光が照射されず、その集光領域の周囲にイレース光が照射されて蛍光抑制が誘導されることになるので、イレース光の集光位置を、図6で示したように、副次的応答光が発生し易い試料58とカバーガラス68との界面等に適宜設定することにより、ポンプ光の集光領域における蛍光を、より高いS/Nで計測することが可能となる。
なお、本実施の形態では、ポンプ光の集光スポットがイレース光の中空部に十分入るように、好ましくは、位相板71をイレース光の位相差が3π以上で周回するように構成したり、イレース光のビーム径を細くしたりして、集光位置でのイレース光の中空部の径を大きくする。
(第5実施の形態)
図9は、本発明の第5実施の形態に係る走査型共鳴ラマンレーザ顕微鏡の要部の概略構成図である。この走査型共鳴ラマンレーザ顕微鏡は、図3に示した走査型共鳴ラマンレーザ顕微鏡において、反射ミラー5とダイクロイックミラー3との間のイレース光の光路中に、図8と同様の構成からなる位相板72を配置して、生体試料8に照射するイレース光を中空状とし、その中空状の部分にラマン過程誘導刺激光を集光させるようにしたものである。
したがって、本実施の形態によれば、ラマン過程誘導刺激光の集光領域にはイレース光が照射されないので、イレース光の照射に何ら影響されることなく、ラマン過程誘導刺激光による共鳴ラマン信号を検出することができ、検出精度を向上することが可能となる。
(第6実施の形態)
図10は、本発明の第6実施の形態に係るCARS顕微鏡の要部の概略構成図である。このCARS顕微鏡は、図4に示したCARS顕微鏡において、反射ミラー35とダイクロイックミラー33bとの間のイレース光の光路中に、図8と同様の構成からなる位相板73を配置して、生体試料38に照射するイレース光を中空状とし、その中空状の部分に、ポンプ光およびプローブ光を集光させるようにしたものである。
したがって、本実施の形態によれば、ポンプ光およびプローブ光の集光領域にはイレース光が照射されないので、イレース光の照射に何ら影響されることなく、生体試料38のラマンスペクトルを観測することができ、環境応答性蛍光プローブの検出精度を向上することが可能となる。
(第7実施の形態)
図11は、本発明の第7実施の形態に係る2光子顕微鏡の要部の概略構成図である。この2光子顕微鏡は、図7に示した2光子顕微鏡において、位相板71に代えて、イレース光光源52とダイクロイックミラー53との間のイレース光の光路中に、波面変調素子75を配置したものである。波面変調素子75は、例えば透過型液晶素子(Liquid Crystal Display:LCD)や球面収差を発生させるレンズ、あるいは位相板等を用いて構成する。これにより、イレース光の波面を変調(乱)してイレース光の集光性能を劣化させて、集光位置でのピーク強度を低下させる。
このように、イレース光の光路中に波面変調素子75を配置して集光位置でのピーク強度を低下させれば、イレース光によって所望の応答光の放出が抑制されるのを防止して、不要応答光のみを効果的に抑制することができる。したがって、所望の応答光を良好なS/Nで検出することができる。
なお、図11においては、波面変調素子75を、イレース光の光路中に独立して配置したが、この波面変調素子75の機能を他の光学素子に持たせて、波面変調素子75を省略することもできる。例えば、可動反射ミラー65または67を反射型液晶素子(Liquid Crystal On Silicon:LCOS)やMEMSデフォーマブルミラーを用いて構成して、波面変調素子としても機能するように構成することもできる。また、調整レンズ系66に球面収差を持たせたり、調整レンズ系66の曲率を小さくしたり、調整レンズ系66を偏芯または傾けて配置して収差を発生させたりして、波面変調素子としても機能するように構成することもできる。あるいは、光学部材の表面精度を意図的に落としたり、光学精度の悪い素子を挿入したりするなど、一般的に集光性能が劣化する要因を意図的に発生させて、波面変調素子を構成することもできる。
(第8実施の形態)
図12は、本発明の第8実施の形態に係る2光子顕微鏡の要部の概略構成図である。この2光子顕微鏡は、図5に示した2光子顕微鏡において、試料58の表面で発生する副次的応答光を検出する副次光検出手段76と、この副次光検出手段76の出力に基づいてイレース光光源52から出射するイレース光の強度を調整するイレース光強度調整手段77とを設けたものである。
副次光検出手段76は、例えば、図13(a)または(b)に示すように構成することができる。図13(a)は、試料58の表面58aで発生する副次的応答光を、集光レンズを含む検出光学系81により集光して、光ファイバ82を介して光電子増倍管等の光検出器83で検出するように構成したものである。また、図13(b)は、光ファイバ82を、試料58の表面に接触するように、図示しないマニピュレータで保持して、試料58の表面58aで発生する副次的応答光を、直接、光ファイバ82を介して光検出器83で検出するように構成したものである。
イレース光強度調整手段77は、副次光検出手段76の出力に基づいて、例えば、副次光検出手段76の出力が最小となるように、イレース光光源52から出射するイレース光の強度を調整する。
このように、試料58の表面から発生する副次的応答光を直接検出して、イレース光の強度を調整すれば、刺激光およびイレース光の両方に起因する不要応答光の発生を効果的に抑制することができる。したがって、より高いS/Nで、所望の応答光を検出することができる。なお、このようなイレース光強度を調整する構成は、上述した各実施の形態にも有効に適用することができる。
(第9実施の形態)
図14は、本発明の第9実施の形態に係る2光子顕微鏡の要部の概略構成図である。この2光子顕微鏡は、図5に示した2光子顕微鏡において、応答光検出手段を構成する光電子増倍管61の出力を入力して、試料58からの応答光の空間強度分布を示す画像信号を生成する画像処理手段85と、画像処理手段85で生成された画像信号を入力して画像を表示するモニタ86と、画像処理手段85で生成された画像信号に基づいてイレース光光源52から出射するイレース光の強度を設定する強度設定手段87と、を設けたものである。なお、画像処理手段85や強度設定手段87は、2光子顕微鏡の全体の動作を制御するパーソナルコンピュータを有する制御部88により構成される。また、制御部88には、キーボード等からなる入力部89が接続されている。
以下、図14に示した2光子顕微鏡により試料58を観察する場合の動作例について説明する。
図15は、第1動作例を説明するためのフローチャートである。この動作例においては、先ず、試料58への刺激光(ポンプ光)の照射を開始して、応答光による試料58のライブ画像をモニタ86に表示する(ステップS111)。次に、試料58の観察位置、光電子増倍管61のゲイン(増幅率)、刺激光強度の設定処理を行う(ステップS112)。
以上の処理が終了すると、強度設定手段87は、画像処理部85から得られる画像信号に基づいて、画像上の背景部位を選択して、選択した部分の画素信号(画素値)の画素平均値を演算して、モニタ86に表示し(ステップS113)、さらに、背景部分の画素平均値が所定の閾値以下か否かを判定する(ステップS114)。その結果、閾値を超える場合、すなわち、副次的応答光によるノイズが大きい場合は、イレース光の照射を開始し(ステップS115)、同様に背景部分の画素平均値を演算して、その画素平均値が前回よりも増加したか否かを判定する(ステップS116)。
その結果、画素平均値が増加しなかった場合(Noの場合)、すなわち減少または同じの場合は、イレース光強度を予め設定された変更分上げて(ステップS117)、同様に背景部分の画素平均値を演算して、その画素平均値が所定の閾値以下か否かを判定する(ステップS118)。これに対し、ステップS116において、画素平均値が増加した場合(Yesの場合)は、イレース光強度を予め設定された変更分下げて(ステップS119)、同様に背景部分の画素平均値を演算して、その画素平均値が所定の閾値以下か否かを判定する(ステップS120)。
ステップS118またはステップS120において、背景部分の画素平均値が閾値を超える場合は、ステップS116に移行して上記の動作を繰り返す。これに対し、ステップS118またはステップS120において、背景部分の画素平均値が閾値以下となった場合は、その時点のイレース光強度を、当該観察位置、すなわち顕微鏡対物レンズ57と試料58との相対位置(試料58の深さ方向におけるポンプ光の集光位置)における強度として決定(設定)して、内蔵のメモリ87aに登録(格納)する(ステップS121)。
その後、他の観察部位があるか否かを判定し(ステップS122)、ある場合は、ステップS111に移行して上記の処理を繰返し実行し、無い場合は、本観察(画像取得)を開始する。
一方、ステップS114において、背景部分の画素平均値が所定の閾値を下回る場合、すなわち、副次的応答光によるノイズが小さく、所望の応答光を良好なS/Nで検出できる場合は、イレース光を照射することなくステップS121に移行して、当該観察位置においてはイレース光を照射しない旨をメモリ87aに記録する。
以上のようにして、観察位置のイレース光強度をメモリ87aに格納したら、顕微鏡対物レンズ57と試料58との相対位置に応じて、対応するイレース光強度を読み出して、試料58の本観察を開始する。これにより、刺激光(ポンプ光)およびイレース光の両方に起因する不要応答光の発生が抑制されたS/Nの良好な所望の応答光を検出することができる。
図16は、第2動作例を説明するためのフローチャートである。この動作例において、ステップS211〜S213は、図15のステップS111〜S113と同じである。ステップS213の処理が終了すると、強度設定手段87は、イレース光の照射を開始し(ステップS214)、ステップS213と同様に背景部分の画素平均値を演算して、その画素平均値がイレース光を照射する前よりも増加したか否かを判定する(ステップS215)。
その結果、画素平均値が増加しなかった場合(Noの場合)、すなわち減少または同じの場合は、イレース光が効いており、さらに背景光を抑制できる可能性がある。この場合は、先ず、その時のイレース光強度とともに演算した背景部分の画素平均値をメモリ87aに格納する(ステップS216)。その後、イレース光強度を予め設定された変更分上げて(ステップS217)、同様に背景部分の画素平均値を演算し、その画素平均値が前回よりも増加したか否かを判定する(ステップS218)。その結果、減少または同じの場合は、ステップS216に移行してステップS218までの処理を繰返し、増加した場合は、増加した現時点の背景部分の画素平均値を、その時のイレース光強度とともにメモリ87aに格納する(ステップS219)。したがって、この場合、メモリ87aには、例えば、図17に示すようなイレース光に対する背景部分の画素平均値が格納される。
次に、強度設定手段87は、メモリ87aに格納された情報に基づいて、背景部分の画素平均値が極小となる最適イレース光強度を推定して(ステップS220)、その推定した最適イレース光強度を、メモリ87aの所定の領域に格納する(ステップS221)。
その後、他の観察部位があるか否かを判定し(ステップS222)、ある場合は、ステップS211に移行して上記の処理を実行し、無い場合は、処理を終了する。
一方、ステップS215において、イレース光の照射により背景部分の画素平均値が増加した場合(Yesの場合)は、イレース光強度が強すぎて、例えばイレース光による2光子励起が起きてイレース光自体が背景光の原因となっていることが想定される。この場合は、先ず、ステップS216と同様に、その時のイレース光強度とともに演算した背景部分の画素平均値をメモリ87aに格納する(ステップS223)。その後、イレース光強度を予め設定された変更分下げて(ステップS224)、同様に背景部分の画素平均値を演算し、その画素平均値が前回よりも減少したか否かを判定する(ステップS225)。その結果、減少した場合は、ステップS223に移行してステップS225までの処理を繰返し、増加した場合は、増加した現時点の背景部分の画素平均値を、その時のイレース光強度とともにメモリ87aに格納する(ステップS226)。
その後、強度設定手段87は、ステップS220において、同様に、メモリ87aに格納された情報に基づいて、背景部分の画素平均値が極小となる最適イレース光強度を推定して、その推定した最適イレース光強度を、ステップS221においてメモリ87aの所定の領域に格納する。以後、同様に、ステップS222において、他の観察部位があるか否かを判定し、ある場合は、ステップS211に移行して上記の処理を実行し、無い場合は、処理を終了する。
以上のようにして、観察位置の最適イレース光強度をメモリ87aに格納したら、顕微鏡対物レンズ57と試料58との相対位置に応じて、対応する最適イレース光強度を読み出して、試料58の本観察(画像取得)を開始する。これにより、刺激光(ポンプ光)およびイレース光の両方に起因する不要応答光の発生が抑制されたS/Nの良好な所望の応答光を検出することができる。
図18は、第3動作例を説明するためのフローチャートである。この動作例においては、先ず、試料58への刺激光(ポンプ光)の照射を開始して、応答光による試料58のライブ画像をモニタ86に表示する(ステップS311)。次に、顕微鏡対物レンズ57のフォーカス位置を既知の観察深さに合わせ(例えば、試料表面、カバーガラス表面等)、その深さ位置を測定基準位置に決定してメモリ87aに記憶する(ステップS312)。
その後、ライブ画像に基づいて観察対象位置(範囲)を特定し、観察を開始する深さに顕微鏡対物レンズ57のフォーカスを合わせ、適切な装置条件を設定する(ステップS313)。ここで、設定する装置条件としては、例えば、光電子増倍管61のゲイン(増幅率)、オフセット、刺激光強度、2次元スキャナ54のスキャンスピード、画像サイズ、観察視野の大きさ等、が挙げられる。
次に、強度設定手段87は、刺激光のみの照射状態として(ステップS314)、現在の観察深さでの画像を取得し、その取得した画像の画像データをメモリ87aに格納する(ステップS315)。その後、刺激光とともにイレース光の同時照射を開始して(ステップS316)、現在の観察深さでの画像を取得し、その取得した画像の画像データをメモリ87aに格納する(ステップS317)。
次に、強度設定手段87は、取得した刺激光のみの照射による画像、並びに、刺激光およびイレース光照射による画像の各々に対して、画像全体または一部の画像領域を選択して、選択した画像領域に含まれる画素値のヒストグラムを算出する(ステップS318)。この算出したヒストグラムは、必要に応じてモニタ86に表示する。その後、強度設定手段87は、算出した各画像のヒストグラムを所定の閾値で、画素値の大きいグループと小さいグループとの2組に分離する(ステップS319)。
ここで、ヒストグラムを分離する閾値は、例えば、全画素の画素値の平均値を算出して自動的に設定するか、あるいは、モニタ86に表示されたヒストグラムを確認しながら、オペレータにより入力部89を介して任意に設定する。なお、試料58が生体中の神経などの場合は、前者の全画素値の平均値とするのが好ましい。
その後、強度設定手段87は、各画像の分離されたヒストグラムに基づいて、刺激光およびイレース光の同時照射による画像のS/Nを示す評価値αを演算する(ステップS320)。
このため、強度設定手段87は、刺激光およびイレース光の同時照射により取得した画像について、分離されたヒストグラムの各組における画素値の平均値を算出し、閾値以上の組の画素平均値を所望応答光成分Aとし、閾値未満の組の画素平均値をノイズ成分Bとする。なお、イレース光強度調整時の刺激光照射による試料の退色の影響を補正するため、ステップS315において、イレース光を照射しないで刺激光のみの照射により取得した画像についても、同様に、分離されたヒストグラムの各組における画素平均値を算出して、閾値以上の組の画素平均値を所望応答光成分A′とし、閾値未満の組の画素平均値をノイズ成分B′とするとともに、最初にイレース光を照射する前に算出した刺激光のみの照射による画像についての所望応答光成分A′、およびノイズ成分B′も予め取得する。
そして、強度設定手段87は、評価値αを、α=(A/B)・{(A′/A′)/(B′/B′)}、により演算する。ここで、A′/A′は、所望応答光成分の退色の影響(時間変化)を示し、B′/B′は、ノイズ成分の退色の影響(時間変化)を示す。
その後、強度設定手段87は、イレース光強度がメモリ87aに格納された所定値に達するまで(ステップS321)、上記のステップS314からの処理を、イレース光強度を変化させながら繰り返して、各イレース光強度における評価値αを演算する。そして、イレース光強度が予め設定された所定の強度に達すると、強度設定手段87は、評価値αが最大となるイレース光強度を決定(設定)して、その情報を、刺激光強度、観察深さ等の画像取得条件の少なくとも1つと関連付けてメモリ87aに格納する(ステップS322)。
次に、強度設定手段87は、必要な観察深度のデータは取得されたか否かを判定し(ステップS323)、取得されていない場合は、ステップS313に移行して上記の処理を繰り返す。これに対し、必要な観察深度のデータが取得されていれば、離散的な観察深さに対するイレース光強度のデータから、これら間の深さのイレース光強度を内挿あるいは任意の関数により補間して、メモリ87aに格納する(ステップS324)。
以上のようにして、試料58の観察深さ毎に、S/Nが最大となるイレース光強度および画像取得条件をメモリ87aに格納したら、その格納されている観察深さ毎のイレース光強度および画像取得条件に基づいて試料58の本観察(画像取得)を開始する。これにより、過剰なイレース光の照射により試料58にダメージを与えるのを低減して、刺激光(ポンプ光)およびイレース光の両方に起因する不要応答光の発生が抑制されたS/Nの良好な所望の応答光を検出することができる。
図19は、第4動作例を説明するためのフローチャートである。この動作例は、第1〜3動作例において、試料58に照射するイレース光の強度を、イレース光の照射により副次的な発光現象が発生しない予め取得された最高強度以下とするものである。このため、先ず、図18に示したステップS311およびステップS312と同様に、試料58への刺激光(ポンプ光)の照射を開始して、応答光による試料58のライブ画像をモニタ86に表示し(ステップS411)、次に、顕微鏡対物レンズ57のフォーカス位置を既知の観察深さに合わせ(例えば、試料表面、カバーガラス表面等)、その深さ位置を測定基準位置に決定してメモリ87aに記憶する(ステップS412)。その後、ライブ画像に基づいて観察対象位置(範囲)を特定し、観察を開始する深さに顕微鏡対物レンズ57のフォーカスを合わせする(ステップS313)。
次に、強度設定手段87は、刺激光の照射を止めて、イレース光の照射を開始し(ステップS414)、その画像全体または一部の画素の画素値を検出する(ステップS415)。その後、イレース光強度を予め設定された変更分上げて(ステップS416)、画素値が変化するか否かを判定する(ステップS417)。その結果、変化しない場合は、ステップS416に移行して、イレース光の強度をさらに変更分上げる。
これに対し、ステップS417において、画素値が変化した場合は、イレース光の照射により副次的な発光現象が発生したことになるので、その直前の画素値が変化しなかったイレース光の強度を照射限度の最高強度を設定して、この場合の観察深さの情報とともにメモリ87aに格納する(ステップS418)。
その後、強度設定手段87は、他の観察部位があるか否かを判定し(ステップS419)、ある場合は、診断深さを変えて(ステップS420)、ステップS414に移行し、上記の処理を繰り返す。これに対し、他の観察部位がなければ、離散的な観察深さに対するイレース光強度のデータから、これら間の深さのイレース光強度を内挿あるいは任意の関数により補間して、メモリ87aに格納する(ステップS421)。
以上のようにして、試料58の観察深さ毎に、イレース光の照射により副次的な発光現象が発生しないイレース光の最高強度をメモリ87aに格納したら、その格納されている観察深さ毎のイレース光の最高強度以下で、試料58の本観察(画像取得)を開始する。これにより、過剰なイレース光の照射により試料58にダメージを与えるのを低減して、刺激光(ポンプ光)およびイレース光の両方に起因する不要応答光の発生が抑制されたS/Nの良好な所望の応答光を検出することができる。
なお、上記第1〜4動作例は、2光子顕微鏡に限らず、上記実施の形態に示した他の顕微鏡にも適宜適用することができる。また、上述した動作例において、ステップS112,S212,S312,S412等の処理は、入力部89からのオペレータによる入力情報に基づいて適宜実行される。また、第1動作例におけるイレース光強度の設定処理は、オペレータにより、モニタ86に表示された画像を観察しながら、背景強度が最も小さくなるように入力部89を介して行うことも可能である。さらに、イレース光強度は、試料58の深さ方向(Z方向)に限らず、Z方向と直交するXY平面内のX方向、Y方向の位置においても、同様に設定することができる。
(第10実施の形態)
図20は、本発明の第10実施の形態に係る2光子顕微鏡の要部の概略構成図である。この2光子顕微鏡は、図5に示した2光子顕微鏡において、イレース光光源52を省略し、2光子励起光源51から出射される刺激光の一部を波長変換して、イレース光としても用いるようにしたものである。
このため、本実施の形態に係る2光子顕微鏡は、2光子励起光源51(例えば、チタンサファイアパルスレーザ)から出射したパルス光をビームスプリッタ91により2光路に分岐し、一方のパルス光を刺激光(ポンプ光)としてダイクロイックミラー53に入射させ、他方のパルス光を、例えば光パラメトリック発振器からなる波長変換素子92に入射させて所望の波長のイレース光に変換する。そして、波長変換素子92で波長変換されて生成されたイレース光を、調整レンズ系66および可動反射ミラー67を経てダイクロイックミラー53に入射させる。
なお、好ましくは、波長変換素子92とダイクロイックミラー53との間のイレース光の光路には、例えば合成ルチルからなる高分散素子93を配置して、イレース光のパルス幅をポンプ光のパルス幅よりも十分広くする。図20は、高分散素子93を、調整レンズ系66と可動反射ミラー67との間の光路に配置した場合を示している。その他の構成および動作は、図5に示した第3実施の形態と同様である。したがって、本実施の形態に係る2光子顕微鏡は、2光子励起光源51および波長変換素子を含んでイレース光光源を構成している。
これにより、第3実施の形態の場合と同様に、イレース光自体による多光子励起発生確率を下げて、不要な背景光の発生を抑え、高S/Nでの蛍光検出が可能となる。なお、光分散素子93は、例えば、合成ルチルの他、光ファイバ、高分散多層膜フィルタ、グレーティングペア、プリズムペアを用いることもできる。特に、光ファイバを用いる場合は、例えば、図21に示すように、波長変換素子92からのイレース光を、カップリングレンズ95を経て光ファイバ96に入射させ、該光ファイバ96から射出されるイレース光を、コリメータレンズ97を経てダイクロイックミラー53に入射させる。また、ポンプ光は、ビームエキスパンダ98により、ダイクロイックミラー53に入射するイレース光と同じビーム径に調整して、すなわちNAを合わせて、ダイクロイックミラー53に入射させる。このように、高分散素子として光ファイバ96を用いれば、イレース光を導入するアライメントが容易になる利点がある。
(第11実施の形態)
図22は、本発明の第11実施の形態に係る光学顕微鏡の要部の概略構成図である。本実施の形態に係る光学顕微鏡は、上記各実施の形態に示した顕微鏡において、イレース光により二次元のシート状の強度分布を有するエバネッセント光を発生させて試料に照射するようにしたものである。このため、図22においては、イレース光光源101から出射されたイレース光を、カップリングレンズ102を介して光ファイバ103に入射させ、該光ファイバ103を通して、試料105の表面に密着したカバーガラス106の側面に入射させる。なお、顕微鏡対物レンズ107は、カバーガラス106よりも屈折率の低い液浸または非液浸対物レンズを用いる。刺激光については、上記実施の形態に示した顕微鏡に応じて、顕微鏡対物レンズ107に導入する。
図22において、試料105の屈折率がカバーガラス106の屈折率よりも低い場合、カバーガラス106の側面から入射したイレース光は、カバーガラス106の上下の界面で全反射を繰り返しながら伝播する。このとき、カバーガラス106の界面から試料105側にイレース光の染み出しによるエバネッセント光108が生じる。このカバーガラス106の界面から染み出すエバネッセント光108の深さは、界面での全反射角度に依存するが、一般的には数百nmで、これにより二次元のシート状の強度分布を有するイレース光を試料105に照射する。
このように、カバーガラス106の界面からイレース光のエバネッセント光108を発生させて試料105を照明すれば、試料界面近傍の不要な応答光のみを抑制でき、ポンプ光の焦点近傍における所望の応答光は一切抑制することがないので、S/Nの高い検出が可能となる。なお、図21に示した構成では、光ファイバ103を経てカバーガラス106の側面にイレース光を入射させてエバネッセント光108を発生させるようにしたが、光ファイバを介することなく、カバーガラス106の側面にイレース光を直接入射させたり、顕微鏡対物レンズ107として試料105の屈折率以上のNAを有する超高NA油浸対物レンズを用い、その背面から全反射条件を満たす角度でイレース光を入射させたりして、エバネッセント光を発生させることもできる。
(第12実施の形態)
図23は、本発明の第12実施の形態に係る光学顕微鏡の要部の概略構成図である。本実施の形態に係る光学顕微鏡は、図22に示した顕微鏡において、エバネッセント光を発生させることなく、二次元のシート状の強度分布を有するイレース光を試料に直接照射するようにしたものである。このため、図23に示すように、イレース光光源111から出射されたイレース光を、角度可変ミラー112で反射させた後、ビームエキスパンダ113で適切なビーム径に変換し、さらに、シリンドリカルレンズ114により二次元の薄いシート状の強度分布を有する照明光に変換して、顕微鏡対物レンズ115からの刺激光による観察光軸と直交する方向から試料116に照射する。
図23に示した構成によれば、角度可変ミラー112の角度を変えることにより、試料116に対するシート状イレース光による照明の深さ位置を調整することができる。また、ビームエキスパンダ113でシリンドリカルレンズ114に入射するビーム径を変えることにより、シート状イレース光による照明の厚さを変えることができる。これにより、試料116の所望深さのみの不要応答光を抑制することができる。したがって、特に、試料116の散乱が強く、表面近傍での不要応答光発生が大きい場合に、その不要応答光のみを効率的に抑制することができる。
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変形または変更が可能である。例えば、上記の各実施の形態において使用するイレース光は、所望の応答光以外の副次的応答光を抑制するものであるので、単一波長に限らず、帯域を有する光でもよい。また、2光子顕微鏡における2光子励起光源は、モードロック型のチタンサファイアパルスレーザに限らず、半導体レーザやファイバーレーザを用いて構成することもできる。さらに、イレース光は、試料に照射されていれば、バックグランドを低減することができるので、第3実施の形態で説明したようなイレース光の調整手段を他の実施の形態で説明した光学顕微鏡に設けて、刺激光とイレース光との集光位置を異ならせることもできる。また、近年では、非線形光学応答過程により試料に局所的刺激を与えて、形態の変化、イオン濃度の変化、層電位の変化等の、全体のリアクションを観察する手法が生体の機能解明に使われている。本発明は、このような手法における刺激用の光学系にも有効に適用することができる。
1 共鳴ラマンレーザ光源
1a フェムト秒Nd:YAGレーザ
2 イレース光光源
2a ナノ秒Nd:YAGレーザ
2b チタンサファイアレーザ
3 ダイクロイックミラー
4 偏光ビームスプリッタ
5 反射ミラー
6 顕微鏡対物レンズ
7 試料ステージ
8 生体試料
9a ノッチフィルタ
9b ハイパスフィルタ
11 分光器
12 光電子増倍管
31 CARS光源
31a フェムト秒Nd:YAGレーザ
31b 光パラメトリック発振器
31c ハーフミラー3
32 イレース光光源
32a ナノ秒Nd:YAGレーザ
32b チタンサファイアレーザ
33a,33b ダイクロイックミラー
34 偏光ビームスプリッタ
35 反射ミラー
36 顕微鏡対物レンズ
37 試料ステージ
38 生体試料
39a ポンプ光カットフィルタ
39b プローブ光カットフィルタ
39c イレース光カットフィルタ
41 分光器
42 光電子増倍管
51 2光子励起光源
52 イレース光光源
53 ダイクロイックミラー
54 2次元スキャナ
55 照明光学系
56 ダイクロイックミラー
57 顕微鏡対物レンズ
58 試料
59 集光レンズ
60 NDフィルタ
61 光電子増倍管
65,67 可動反射ミラー
66 調整レンズ系
68 カバーガラス
71,72,73 位相板

Claims (22)

  1. 刺激光光源から出射される単一波長または複数の異なる波長からなる刺激光を試料に集光し、該試料から非線形光学応答過程により放出される応答光を検出する光学顕微鏡おいて、
    前記刺激光とは異なる波長からなり、前記刺激光の前記試料への照射による副次的応答光の抑制効果を誘導するイレース光を出射するイレース光光源を有し、
    前記イレース光を、前記刺激光の集光領域から放出される応答光は抑制せず、該応答光以外の前記副次的応答光は抑制するように、前記刺激光と同時に前記試料に照射することを特徴とする光学顕微鏡。
  2. 請求項1に記載の光学顕微鏡において、
    前記イレース光光源は、前記副次的応答光として蛍光を抑制する波長を含む光を、前記イレース光として出射する、ことを特徴とする光学顕微鏡。
  3. 請求項2に記載の光学顕微鏡において、
    前記試料に照射する前記刺激光および前記イレース光と、前記試料からの前記応答光とを光学的に分離する光学分離素子を有する、ことを特徴とする光学顕微鏡。
  4. 請求項3に記載の光学顕微鏡において、
    前記応答光として散乱光を検出するように構成した、ことを特徴とする光学顕微鏡。
  5. 請求項4に記載の光学顕微鏡において、
    前記散乱光として、ラマン過程により刺激された散乱光を検出するように構成した、ことを特徴とする光学顕微鏡。
  6. 請求項4に記載の光学顕微鏡において、
    前記散乱光として、共有ラマン過程により刺激された散乱光を検出するように構成した、ことを特徴とする光学顕微鏡。
  7. 請求項4,5または6に記載の光学顕微鏡において、
    前記副次的応答光を、2重共鳴吸収過程または誘導放出過程により抑制するように構成した、ことを特徴とする光学顕微鏡。
  8. 請求項5または6に記載の光学顕微鏡において、
    前記応答光として、蛍光性プローブにより染色された試料からの応答光を検出するように構成した、ことを特徴とする光学顕微鏡。
  9. 請求項8に記載の光学顕微鏡において、
    前記試料に前記刺激光および前記イレース光を同時照射して前記散乱光を検出する散乱光検出モードと、前記試料に前記刺激光のみを照射して前記蛍光性プローブによる蛍光を検出する蛍光検出モードとを切り替え可能に構成した、ことを特徴とする光学顕微鏡。
  10. 請求項3に記載の光学顕微鏡において、
    前記応答光として、多光子吸収過程により誘導される蛍光を検出するように構成した、ことを特徴とする光学顕微鏡。
  11. 請求項10に記載の光学顕微鏡において、
    前記応答光として、蛍光性プローブにより染色された試料からの蛍光を検出するように構成した、ことを特徴とする光学顕微鏡。
  12. 請求項1乃至11のいずれか一項に記載の光学顕微鏡において、
    前記刺激光または前記イレース光の集光位置、集光サイズ、集光強度のいずれかを調整する調整手段を有する、ことを特徴とする光学顕微鏡。
  13. 請求項12に記載の光学顕微鏡において、
    前記調整手段は、前記イレース光の波面を変調して集光位置でのピーク強度を低下させる波面変調素子を有する、ことを特徴とする光学顕微鏡。
  14. 請求項12に記載の光学顕微鏡において、
    前記調整手段は、前記刺激光の集光位置と前記イレース光の集光位置とを異ならせる、ことを特徴とする光学顕微鏡。
  15. 請求項1乃至14のいずれか一項に記載の光学顕微鏡において、
    前記イレース光光源は、前記イレース光として近赤外光を出射する、ことを特徴とする光学顕微鏡。
  16. 請求項1乃至15のいずれか一項に記載の光学顕微鏡において、
    前記刺激光光源および前記イレース光光源は、それぞれパルス光源であり、前記刺激光光源は10ピコ秒以下のパルス幅を有する刺激光を出射し、前記イレース光光源は、前記刺激光のパルス幅以上のパルス幅を有するイレース光を出射する、ことを特徴とする光学顕微鏡。
  17. 請求項1乃至16のいずれか一項に記載の光学顕微鏡において、
    前記刺激光光源または前記イレース光光源は、チタンサファイアレーザ、Nd:YAGレーザ、ファイバーレーザ、半導体レーザ、スーパーコンティニュアム光源のいずれかを含む、ことを特徴とする光学顕微鏡。
  18. 請求項1乃至17のいずれか一項に記載の光学顕微鏡において、
    前記試料の表面で発生する前記副次的応答光を検出する副次光検出手段と、
    前記副次光検出手段の出力に基づいて前記イレース光光源から出射する前記イレース光の強度を調整するイレース光強度調整手段とを有する、
    ことを特徴とする光学顕微鏡。
  19. 請求項1乃至17のいずれか一項に記載の光学顕微鏡において、
    前記試料から放出される前記応答光を検出する応答光検出手段と、
    前記応答光検出手段の出力に基づいて画像信号を生成する画像処理手段と、
    前記画像処理手段から得られる画像信号に基づいて、前記イレース光光源から出射する前記イレース光の強度を設定する強度設定手段とを有する、
    ことを特徴とする光学顕微鏡。
  20. 請求項19に記載の光学顕微鏡において、
    前記強度設定手段は、前記画像処理手段から得られる画像信号に基づいて、前記応答光の強度分布を示すヒストグラムを生成し、前記イレース光光源から出射する前記イレース光の強度変化に対する前記ヒストグラムの変化に基づいて前記イレース光の最適強度を設定する、ことを特徴とする光学顕微鏡。
  21. 請求項1乃至20のいずれか一項に記載の光学顕微鏡において、
    前記試料に照射する前記イレース光の強度は、前記イレース光の照射により副次的な発光現象が発生しない予め取得された最高強度以下である、ことを特徴とする光学顕微鏡。
  22. 請求項1乃至21のいずれか一項に記載の光学顕微鏡において、
    前記イレース光光源から出射される前記イレース光を、二次元のシート状の強度分布を有するイレース光として前記試料に照射するイレース光照射手段を有する、ことを特徴とする光学顕微鏡。
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