JP2003262798A - 顕微鏡 - Google Patents
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Abstract
成で、しかもユーザーに煩雑な作業を強いることなく、
第2の光をいかなる波長でも即座に所望のビーム形状に
整形して第1の光と重ね合わせることができる顕微鏡を
提供する。 【解決手段】 少なくとも基底状態を含む3つの電子状
態を有する分子で染色した試料27を観察する顕微鏡であ
って、上記分子を基底状態から第1の励起状態へ遷移さ
せる第1の光を発生する第1の光源21と、上記分子を上
記第1の励起状態から、よりエネルギー準位の高い第2
の励起状態へ遷移させる第2の光を発生する第2の光源
21,22,31と、上記第2の光を空間的に強度変調する空間
光変調器35を有し、上記第1の光と空間光変調器35で変
調された第2の光とを、少なくとも一部分重ね合わせて
試料27へ照射する光学系35,23,26と、試料27からの発光
を検出する検出光学系26,46,47,48,51,52と、を有す
る。
Description
ので、より詳しくは、2波長の光を用い、そのうち少な
くとも1つの光は、試料内に内在する分子または結晶を
特定の励起量子状態(電子励起状態・振動回転状態)に
遷移させるためのものであり、もう一つの光はその励起
状態からさらに高位の励起量子状態に励起可能な波長に
対応し、これら2波長の光を空間的に1部オーバーラッ
プさせて試料に照射することにより、光の回折限界より
狭い領域から誘起される光応答(例えば、蛍光)を測定
して、特定の量子準位で特徴づけられる化学基を高感度
で、かつ高分解能で検出する高機能な顕微鏡に関するも
のである。
の顕微鏡が開発されてきた。また、近年では、レーザー
技術および電子画像技術をはじめとする周辺技術の進歩
により、更に高機能の顕微鏡システムが開発されてい
る。
84552号公報において、複数波長の光で試料を照明
することにより発する二重共鳴吸収過程を用いて、得ら
れる画像のコントラストの制御のみならず化学分析も可
能にした高機能な顕微鏡が提案されている。
の分子を選択し、特定の光学遷移に起因する吸収および
蛍光を観測するものである。この原理を図6〜図9を参
照して説明する。図6は、試料を構成する分子の価電子
軌道の電子構造を示すもので、先ず、図6に示す基底状
態(S0状態)の分子がもつ価電子軌道の電子を波長λ
1の光により励起して、図7に示す第1励起状態(S1
状態)とする。次に、別の波長λ2の光により同様に励
起して図8に示す第2励起状態(S2状態)とする。こ
の励起状態により、分子は蛍光あるいは燐光を発光し
て、図9に示すように基底状態に戻る。
図7の吸収過程や図9の蛍光や燐光の発光を用いて、吸
収像や発光像を観察する。この顕微鏡法では、まず最初
にレーザー光等により共鳴波長λ1の光で図7のように
試料を構成する分子をS1状態に励起させるが、この
際、単位体積内でのS1状態の分子数は、照射する光の
強度が増加するに従って増加する。
収断面積と単位体積当たりの分子数との積で与えられる
ので、図8のような励起過程においては、続いて照射す
る共鳴波長λ2に対する線吸収係数は、最初に照射した
波長λ1の光の強度に依存することになる。すなわち、
波長λ2に対する線吸収係数は、波長λ1の光の強度で
制御できることになる。このことは、波長λおよび波長
λ2の2波長の光で試料を照射し、波長λ2による透過
像を撮影すれば、透過像のコントラストは波長λ1の光
で完全に制御できることを示している。
による脱励起過程が可能である場合には、その発光強度
はS1状態にある分子数に比例する。したがって、蛍光
顕微鏡として利用する場合には画像コントラストの制御
が可能となる。
法では、上記の画像コントラストの制御のみならず、化
学分析も可能にする。すなわち、図6に示される最外殻
価電子軌道は、各々の分子に固有なエネルギー準位を持
つので、波長λ1は分子によって異なることになり、同
時に波長λ2も分子固有のものとなる。
も、ある程度特定の分子の吸収像あるいは蛍光像を観察
することが可能であるが、一般にはいくつかの分子の吸
収帯の波長領域は重複するので、試料の化学組成の正確
な同定までは不可能である。
微鏡法では、波長λ1および波長λ2の2波長により吸
収あるいは発光する分子を限定するので、従来法よりも
正確な試料の化学組成の同定が可能となる。また、価電
子を励起する場合、分子軸に対して特定の電場ベクトル
をもつ光のみが強く吸収されるので、波長λ1および波
長λ2の偏光方向を決めて吸収または蛍光像を撮影すれ
ば、同じ分子でも配向方向の同定まで可能となる。
2151号公報に開示されているように、二重共鳴吸収
過程を用いて回折限界を越える高い空間分解能をもつ蛍
光顕微鏡も提案されている。図10は、分子における二
重共鳴吸収過程の概念図で、基底状態S0の分子が、波
長λ1の光で第1励起状態であるS1に励起され、更に
波長λ2の光で第2励起状態であるS2に励起されてい
る様子を示している。なお、図10はある種の分子のS
2からの蛍光が極めて弱いことを示している。
の場合には、極めて興味深い現象が起きる。図11は、
図10と同じく二重共鳴吸収過程の概念図で、横軸のX
軸は空間的距離の広がりを表わし、波長λ2の光を照射
した空間領域A1と波長λ2の光が照射されない空間領
域A0とを示している。
1の光の励起によりS1状態の分子が多数生成され、そ
の際に空間領域A0からは波長λ3で発光する蛍光が見
られる。しかし、空間領域A1では、波長λ2の光を照
射したため、S1状態の分子のほとんどが即座に高位の
S2状態に励起されて、S1状態の分子は存在しなくな
る。このような現象は、幾つかの分子により確認されて
いる。これにより、空間領域A1では、波長λ3の蛍光
は完全になくなり、しかもS2状態からの蛍光はもとも
とないので、空間領域A1では蛍光自体が完全に抑制さ
れ、空間領域A0からのみ蛍光が発することになる。
ると、極めて重要な意味を持っている。すなわち、従来
の走査型レーザー顕微鏡等では、レーザー光を集光レン
ズによりマイクロビームに集光して観察試料上を走査す
るが、その際のマイクロビームのサイズは、集光レンズ
の開口数と波長とで決まる回折限界となり、原理的にそ
れ以上の空間分解能は期待できない。
波長λ2との2種類の光を空間的に上手く重ね合わせ
て、波長λ2の光の照射により蛍光領域を抑制すること
で、例えば波長λ1の光の照射領域に着目すると、蛍光
領域を集光レンズの開口数と波長とで決まる回折限界よ
りも狭くでき、実質的に空間分解能を向上させることが
可能となる。したがって、この原理を利用することで、
回折限界を越える二重共鳴吸収過程を用いた超解像顕微
鏡、例えば蛍光顕微鏡を実現することが可能となる。
例えば特開平11−95120号公報において、超解像
顕微鏡の機能を十分に活かすための蛍光ラベラー分子
や、利用する波長λ1および波長λ2の2つの光の試料
への照射タイミング等が開示されている。この先行技術
では、少なくとも基底状態を含む3つの量子状態を有
し、第1励起状態を除く高位のエネルギー状態から基底
状態へ脱励起するときの遷移が蛍光による緩和過程より
も熱緩和過程が支配的である各種分子を染色する蛍光プ
ローブ分子と、生化学的な染色技術を施した生体分子と
を化学結合させた試料を、染色する分子を励起する波長
λ1の光でS1状態に励起し、続いて波長λ2の光によ
り即座に高位の量子準位に励起することで、S1状態か
らの蛍光を抑制するようにしている。このように分子の
光学的性質を利用して、空間的な蛍光領域を人為的に抑
制することで、空間分解能の向上を図ることができる。
的な立場から説明することができる。すなわち、一般
に、分子はそれを構成する各原子がσまたはπ結合によ
って結ばれている。言い換えると、分子の分子軌道は、
σ分子軌道またはπ分子軌道を有していて、これらの分
子軌道に存在する電子が各原子を結合する重要な役割を
担っている。そのなかでも、σ分子軌道の電子は各原子
を強く結合し、分子の骨格である分子内の原子間距離を
決めている。これに対して、π分子軌道の電子は各原子
の結合にほとんど寄与しないで、むしろ分子全体に極め
て弱い力で束縛されている。
励起すると、分子の原子間隔が大きく変化し、分子の解
離を含む大きな構造変化が起こる。その結果、原子の運
動エネルギーや構造変化のために、光が分子に与えたエ
ネルギーのほとんどが熱エネルギーに変化する。したが
って、励起エネルギーは蛍光という光の形態では消費さ
れない。また、分子の構造変化は極めて高速(ピコ秒よ
り短い)に起こるので、その過程で仮に蛍光が起きても
その寿命が極めて短い。
ても分子の構造自体はほとんど変化せず、高位の量子的
な離散準位に長時間とどまり、ナノ秒オーダで蛍光を放
出して脱励起する性質を有している。
つことと、二重結合をもつこととは同等であり、用いる
蛍光ラベラー分子には、二重結合を豊富にもつ分子を選
定することが必要条件となる。このことは、二重結合を
もつ分子でもベンゼンやピラジン等の6員環分子におい
て、S2励起状態からの蛍光が極めて弱いことが確かめ
られている(例えば、M.Fujii et.al.Chem.Phys.Lett.1
71(1990)341)。
環分子を含む分子を蛍光ラベラー分子として選定すれ
ば、S1状態からの蛍光寿命が長く、しかも光励起によ
りS1状態からS2状態に励起することで、分子からの
蛍光を容易に抑制できるので、超解像性を効果的に利用
することができる。すなわち、これら蛍光ラベラー分子
により染色して観察を行えば、高空間分解能で試料の蛍
光像を観察することができるのみならず、その分子の側
鎖の化学基を調整することにより、生体試料の特定の化
学組織のみを選択的に染色できるので、試料の詳細な化
学組成までも分析可能となる。
の波長や偏光状態等が特定の条件を満たすときにのみ起
こるので、これを用いることで分子の構造を非常に詳細
に知ることができる。すなわち、光の偏光方向と分子の
配向方向とは強い相関関係があり、2つ波長の光のそれ
それの偏光方向と分子の配向方向とが特定の角度をなす
とき、二重共鳴吸収過程が強く起こる。したがって、2
つ波長の光を試料に同時に照射して、それぞれの光りの
偏光方向を回転することにより、蛍光の消失の程度が変
化するので、その様子から観測しようとする組織の空間
配向の情報も得ることができる。このことは、2つ光の
波長を調整することでも可能である。
20号公報記載の技術によると、超解像性以外にも、高
い分析能力を有していることがわかる。さらに、波長λ
1と波長λ2との2つの光の照射タイミングを工夫する
ことで、S/Nを改善し、かつ蛍光抑制を効果的に起こ
すことができ、超解像性をより効果的に発現することが
可能となる。
て、例えば特開2001−100102号公報には、蛍
光ラベラー分子をS0状態からS1状態へ励起する波長
λ1の光(特にレーザー光)をポンプ光とし、S1状態
からS2状態へ励起する波長λ2の光をイレース光とし
て、図12に示すように、光源81からポンプ光を、光
源82からイレース光をそれぞれ放射させ、ポンプ光は
ダイクロイックミラー83で反射させた後、輪帯光学系
84により試料85上に集光させ、イレース光は位相板
86で中空ビーム化した後、ダイクロイックミラー83
を透過させてポンプ光と空間的に重ね合わせて輪帯光学
系84により試料85上に集光させるようにしたものが
提案されている。
ゼロとなる光軸近傍以外の蛍光は抑制されるので、結果
的にポンプ光の広がりより狭い領域(Δ<0.61・λ
1/NA、NAは輪帯光学系84の開口数)に存在する
蛍光ラベラー分子のみが観察されることになり、結果的
に超解像性が発現することになる。なお、イレース光を
中空ビーム化する位相板86は、図13に示すように、
光軸に対して点対称な位置で位相差πを与えるように構
成する。
者らによる種々の実験検討によると、従来提案されてい
る超解像顕微鏡における観察原理は確かに優れているも
のの、実用にあたっては未だ解決すべき課題があること
が判明した。
顕微鏡、特に生物用の蛍光顕微鏡では、様々な蛍光標識
分子を試料内の特定の部位に染色して観察するが、染色
する蛍光標識分子はユーザーによって異なる。このよう
に蛍光標識分子が異なると、励起波長や蛍光波長が異な
ることになり、また超解像顕微鏡法では蛍光抑制が効率
的に起こるイレース光の波長も異なることになる。
る際に用いる位相板は、イレース光の波長に応じて、適
正な膜厚で光学薄膜をコートしたり、エッチング深さを
最適化したりして作製されている。このため、蛍光標識
分子が代わると、それに応じて位相板を交換する必要が
あり、ユーザーに煩雑な交換作業やそれに伴う光学調整
等の作業を強いることになる。
イレース光に光軸に関し点対称な位置で位相差πを与え
るもので、その製作にあたっては、光学薄膜の蒸着や基
材のエッチング等、複雑で莫大な工数を要すると共に、
マスキングの治具や加工中の位置制御等に高精度が要求
されるため、高価である。このため、蛍光標識分子に応
じて位相板を用意しようとすると、多くの費用がかかる
ことになり、好ましくない。
発明の目的は、第1の光と第2の光とを少なくとも一部
分重ね合わせて試料へ照射するに際して、位相板を用い
ることなく、簡単かつ安価な構成で、しかもユーザーに
煩雑な作業を強いることなく、第2の光をいかなる波長
でも即座に所望のビーム形状に整形して第1の光と重ね
合わせることができる顕微鏡を提供することにある。
明に係る顕微鏡は、少なくとも基底状態を含む3つの電
子状態を有する分子で染色した試料を観察する顕微鏡で
あって、上記分子を基底状態から第1の励起状態へ遷移
させる第1の光を発生する第1の光源と、上記分子を上
記第1の励起状態から、よりエネルギー準位の高い第2
の励起状態へ遷移させる第2の光を発生する第2の光源
と、上記第2の光を空間的に強度変調する空間光変調器
を有し、上記第1の光と上記空間光変調器で変調された
第2の光とを、少なくとも一部分重ね合わせて上記試料
へ照射する光学系と、上記試料からの発光を検出する検
出光学系と、を有することを特徴とするものである。
調器を用いて第2の光を空間的に強度変調するようにし
ているので、第1の光をポンプ光として用い、第2の光
をイレース光として用いて二重共鳴吸収過程を用いた超
解像顕微鏡を構成する場合、イレース光がいかなる波長
に設定されていても、簡単かつ安価な構成で、しかもユ
ーザーに煩雑な作業を強いることなく、イレース光を即
座に理想的な中空ビームに整形してポンプ光と重ね合わ
せることが可能となる。
変調器の一例の概略構成を示す斜視図である。一般に、
2次元光位相変調器は、光通信、光計測、光演算などに
代表される光情報処理分野において、情報伝播に伴う位
相歪みの補正やフーリエ面での光位相項の制御などに積
極的に応用されているが、図1に示す2次元光位相変調
器1は、特に純粋に位相のみを制御できるように開発さ
れたもので、光アドレス型平行配向液晶空間変調器と呼
ばれるものである。
変調器1は、対向する2枚のガラス基板2,3の内側表
面にそれぞれ透明電極4,5を形成し、これら透明電極
4,5を有するガラス基板2,3の間に、光導電層とし
てのアモルファスシリコン(α−Si:H)層6、遮光
層7、誘電体ミラー8、および配向膜9,10で挟まれ
た液晶層11を配置した多層構造を有している。なお、
ガラス基板2,3の外側表面にはそれぞれ反射防止膜1
2,13が形成されている。
1は、ガラス基板2側から書き込み光を入射させてα−
Si:H層6のインピーダンスを変調し、ガラス基板3
側から読み出し光を入射させて、その読み出し光を液晶
層11を経て誘電体ミラー8で反射させ、更に液晶層1
1を経てガラス基板3から出射させるようにして使用す
る。
光を入射させると、α−Si:H層6のインピーダンス
は書き込み光の入射強度に応じて低下するので、透明電
極4,5を介して液晶層11に印加される電圧は、書き
込み光の強度に応じて上昇し、それに応じて液晶分子が
動いて読み出し光が変調、すなわち読み出し光に対する
屈折率が変調され、図2に示すように、読み出し光に対
して2πラジアン以上の位相変化を与えることができ
る。
対する読み出し光の位相変化特性曲線に従って、書き込
み光強度を変調して液晶層11の2次元面内の各領域の
屈折率を所望の値に変調すれば、読み出し光に所望の位
相変化を与えることができるので、この光アドレス型平
行配向液晶空間変調器1を上述したように顕微鏡に用い
れば、イレース光を理想的な中空ビームに整形すること
ができる。
ることが望ましいが、図1に示したような光アドレス型
平行配向液晶空間変調器1の場合には、使用波長毎に独
自の書き込み光強度に対する読み出し光の位相変化特性
曲線が与えられ、データベース化されているので、ユー
ザーは任意の波長で任意のビーム形状を簡便に形成する
ことができる。
晶空間変調器と液晶ディスプレーとを光学像伝達素子を
介して結合し、読み出し光の所望の位相変調パターンに
対応するパターン像をパソコンから直接入力して液晶デ
ィスプレーに表示し、この表示されたパターン像を光ア
ドレス型平行配向液晶空間変調器に直接投影して、読み
出し光を所望の位相パターンで変調するようにしたビデ
オ信号入力可能な光アドレス型平行配向液晶空間変調器
が市販されている。このような光アドレス型平行配向液
晶空間変調器を用いれば、ビーム形成をシステム制御用
のパソコンから行うことができるので、特にコンピュー
タイメージングを前提とするレーザー走査型顕微鏡とは
極めて適合性が良い。
施の形態について、図3〜図5を参照して説明する。
像顕微鏡の概略構成図である。この超解像顕微鏡は、イ
レース光を空間光変調器により空間変調することにより
超解像性を発現させて空間分解能を向上させたレーザー
走査型の顕微鏡で、レーザーショット毎に観察試料から
発光する蛍光スペクトルを観測することにより、その化
学構造や組成を解析するようにしたものである。
d:YAGレーザー21を用い、このNd:YAGレー
ザー21によりポンプ光(第1の光)とイレース光(第
2の光)とを生成して、ローダミン6Gで染色した生体
試料を観察する。ここで、ローダミン6Gは波長532
nmの励起光で蛍光を発し、波長599nmの照射光で
蛍光を抑制することができ、また、Nd:YAGレーザ
ー21は基本波長が1064nmで、その2倍高調波は
532nmとなるので、この2倍高調波をポンプ光とし
て用いる。
波は、ビームスプリッター22で2光束に分岐し、その
一方をポンプ光としてダイクロイックミラー23で反射
させた後、リレーレンズ24を経てハーフミラー25で
反射させて対物レンズ26により試料27に集光させ
る。
た他方の光束は、波長変換素子31で波長599nmの
イレース光に変換する。波長変換素子31は、例えばB
a(NO3)2結晶からなるラマンシフターを用いる。
このラマンシフターは、レーザー光を入射すると、その
長波長側にストローク光を発生する波長変換素子として
の機能を有し、本実施の形態におけるようにNd:YA
Gレーザー21の2倍高調波を入射させると、波長59
9nmの2次ストローク光を得ることができる。
を発生する第1の光源をNd:YAGレーザー21をも
って構成し、イレース光を発生する第2の光源は、N
d:YAGレーザー21と、ビームスプリッター22
と、波長変換素子31とをもって構成している。
は、空間フィルタ32で波面を調整した後、ハーフミラ
ー33で反射させて空間光変調器35に入射させ、ここ
で中空ビーム化する。
光アドレス型平行配向液晶空間変調器を用い、この光ア
ドレス型平行配向液晶空間変調器と液晶ディスプレーと
を光学像伝達素子を介して結合して、後述するシステム
制御用のパーソナルコンピュータから液晶ディスプレー
に、イレース光を中空ビーム化する所望の位相変調パタ
ーンに対応するパターン像のビデオ信号を供給して表示
させ、この表示されたパターン像を書き込み光として光
アドレス型平行配向液晶空間変調器に直接投影して、そ
の液晶層に所望の位相分布を予め与えておくことによ
り、イレース光を中空ビーム化する。
み光のパターン像の強度分布を示すものである。本実施
の形態では、イレース光を中空ビーム化するために、パ
ターン像の強度を空間光変調器35の液晶層の中心軸を
周回する方向に連続的に変化させ、これにより液晶層に
光軸中心に位相が連続的に2π変化する位相パターンを
記録する。なお、図4に示すパターン像の強度分布は、
空間光変調器35における使用波長毎の書き込み光強度
に対する読み出し光位相変化の特性曲線に応じて較正す
る。
レース光を空間変調することで、イレース光の波長が如
何なる値に設定されていても、その波長に応じて書き込
み光の強度分布を変更することで、ビーム中央で電場強
度がゼロとなる理想的な中空ビームに即座に整形するこ
とができる。
レース光は、ハーフミラー33を透過させた後、平行移
動可能なプリズム36aを有する遅延光学系36、位置
調整用レンズ37およびミラー38を経てダイナミック
ミラー23に入射させてポンプ光と同軸に合成し、リレ
ーレンズ24、ハーフミラー25および対物レンズ26
を経て試料27に集光させる。
置し、この試料移動ステージ41を二次元駆動すること
で、ポンプ光およびイレース光で試料27を二次元走査
する。
照射により試料27から発する蛍光は、対物レンズ26
を経た後、ハーフミラー25を透過させ、さらにハーフ
ミラー45で反射させて、レンズ46によりピンホール
47の中央に集光させ、さらにレンズ48を経て透過型
回折格子51で回折させて高感度のICCDカメラ52
で検出する。ここで、ピンホール47は、空間フィルタ
として機能し、試料27以外から発する、例えば光学系
からの蛍光等をカットして測定のS/Nを高める作用を
なす。なお、ICCDカメラ52は、マイクロチャンネ
ルプレートと、その前後の面に配置した光電変換素子
と、CCDカメラとを有しており、入射光を前面の光電
子変換素子で電子に変換してマイクロチャンネルプレー
トにより増幅し、その後、後面の光電変換素子で再度光
に変換してCCDカメラで受光するように構成されてい
る。
型回折格子51で回折させてICCDカメラ52で検出
する、すなわちスペクトルメーターで検出するようにす
れば、単に蛍光を測定するだけではなく、蛍光スペクト
ルやレーザー照射に対する時間応答をも測定でき、これ
により試料27の化学構造や組成をも解析することがで
きる。
は、結像レンズ55によりCCDカメラ56に結像させ
て蛍光スポット像を直接観察できるようにし、対物レン
ズ26のピント合わせ等に利用する。
効率的に引き出すためには、ポンプ光とイレース光とを
空間的および時間的に重ね合わせることが重要である。
ここで、空間的重ね合わせについては、位置調整用レン
ズ37によりポンプ光に対するイレース光の空間的重な
り具合を調整することで、両者を同軸上に合成すること
ができる。また、時間的な重なりについては、Nd:Y
AGレーザー21は基本的にパルス光源であるので、ポ
ンプ光とイレース光とが試料27上に同時にパルス照射
されるように、遅延光学系36のプリズム36aを平行
移動して、それらの光の光路差を調整する。なお、この
光路差の調整は、例えば、試料27からのレーザー散乱
光を高速のPINフォトダイオード等で検出し、その出
力信号をサンプリングオシロスコープで測定しながら行
なうことができる。
系の概略構成を示すブロック図である。この顕微鏡は、
システム制御用のパーソナルコンピュータ61を有して
おり、このパーソナルコンピュータ61によりその内部
クロックに準拠したタイミングで、Nd:YAGレーザ
ー21の発振制御、試料移動ステージ41の駆動制御、
データ管理等の全体の動作が制御されるようになってい
る。
に、レーザーショットにより試料27から発光した蛍光
は透過型回折格子51で分光されてICCDカメラ52
により蛍光スペクトルとして検出される。このICCD
カメラ52から出力される蛍光波長領域の総光量を示す
アナログ信号は、アリアンプ62で増幅した後、遅延回
路63でパーソナルコンピュータ61のデータ取り込み
タイミングと同期を取って演算器64に供給し、ここで
バックグラウンド信号を除去して積分器65に供給す
る。
1の発振タイミング(Q−スイッチパルス)に同期して
ゲートジェネレータ66からゲートパルスを供給し、こ
のゲートパルスに基づいて積分器65で演算器64から
の出力を積分する。積分器65での積分出力は、A/D
変換器67でデジタル信号に変換した後、I/Oボード
68を経て所定のタイミングでパーソナルコンピュータ
61に取り込んで、パーソナルコンピュータ61内のメ
モリ(図示せず)に転送する。
の発振および試料移動ステージ41の駆動に同期して繰
り返すことで、各画素毎の蛍光信号をパーソナルコンピ
ュータ61内のメモリに転送し、その蓄積されたデータ
を必要に応じてCRT等のモニタ(図示せず)に供給し
て、試料27の二次元走査領域の全体の蛍光像を表示す
る。また、パーソナルコンピュータ61は、イレース光
の使用波長に応じて空間光変調器35に供給するビデオ
信号を制御し、これにより上述したようにイレース光を
空間変調して中空ビームに整形する。
されるものではなく、幾多の変形または変更が可能であ
る。例えば、上記実施の形態では、Nd:YAGレーザ
ー21を共通に用いてポンプ光とイレース光とを得るよ
うにしたが、ポンプ光を放射する光源(第1の光源)と
イレース光を放射する光源(第2の光源)とを独立して
設けることもできる。
とも基底状態を含む3つの電子状態を有する分子で染色
された試料中の上記分子を基底状態から第1の励起状態
へ遷移させる第1の光と、上記分子を第1の励起状態か
ら、よりエネルギー準位の高い第2の励起状態へ遷移さ
せる第2の光とを、少なくとも一部分重ね合わせて試料
に照射するに際して、第2の光を空間光変調器により空
間的に強度変調するようにしたので、ユーザーに煩雑な
作業を強いることなく、簡単かつ安価な構成で、第2の
光がいかなる波長であっても、即座に所望のビーム形状
に整形して第1の光と重ね合わせることができる。
しての2次元光位相変調器の一例の概略構成を示す斜視
図である。
込み光強度に対する読み出し光の位相変調度を示す入出
力特性図である。
概略構成図である。
のパターン像の強度分布を示す図である。
成を示すブロック図である。
を示す概念図である。
る。
態を示す概念図である。
ための概念図である。
の概念図である。
である。
ある。
5)
Claims (4)
- 【請求項1】 少なくとも基底状態を含む3つの電子状
態を有する分子で染色した試料を観察する顕微鏡であっ
て、 上記分子を基底状態から第1の励起状態へ遷移させる第
1の光を発生する第1の光源と、 上記分子を上記第1の励起状態から、よりエネルギー準
位の高い第2の励起状態へ遷移させる第2の光を発生す
る第2の光源と、 上記第2の光を空間的に強度変調する空間光変調器を有
し、上記第1の光と上記空間光変調器で変調された第2
の光とを、少なくとも一部分重ね合わせて上記試料へ照
射する光学系と、 上記試料からの発光を検出する検出光学系と、 を有することを特徴とする顕微鏡。 - 【請求項2】 上記空間光変調器は、上記第2の光を中
央部の強度が周辺部の強度よりも弱くなるように強度変
調するよう構成されていることを特徴とする請求項1に
記載の顕微鏡。 - 【請求項3】 上記空間光変調器は液晶空間変調器を有
し、該液晶空間変調器の液晶面に与えられる位相分布に
より上記第2の光を強度変調するよう構成されているこ
とを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡。 - 【請求項4】 上記第1の光源はレーザー光源を有し、 上記第2の光源は、上記第1の光源と、該第1の光源か
らの第1の光を分岐するビームスプリッタと、分岐され
た第1の光を上記第2の光に波長変換する波長変換素子
とを有し、 上記光学系は、上記第1の光源からの第1の光と、上記
空間光変調器で変調された第2の光とを重ね合わせるダ
イクロイックミラーを有することを特徴とする請求項
1,2または3に記載の顕微鏡。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
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JP2002066961A JP2003262798A (ja) | 2002-03-12 | 2002-03-12 | 顕微鏡 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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ID=29198519
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- 2002-03-12 JP JP2002066961A patent/JP2003262798A/ja active Pending
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