JP2001261760A - 熱硬化性樹脂用グラフト共重合体、熱硬化性樹脂用グラフト共重合体組成物、熱硬化性樹脂組成物及び熱硬化性樹脂組成物の硬化物 - Google Patents

熱硬化性樹脂用グラフト共重合体、熱硬化性樹脂用グラフト共重合体組成物、熱硬化性樹脂組成物及び熱硬化性樹脂組成物の硬化物

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JP2001261760A
JP2001261760A JP2000078137A JP2000078137A JP2001261760A JP 2001261760 A JP2001261760 A JP 2001261760A JP 2000078137 A JP2000078137 A JP 2000078137A JP 2000078137 A JP2000078137 A JP 2000078137A JP 2001261760 A JP2001261760 A JP 2001261760A
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thermosetting resin
graft copolymer
resin composition
ethylenically unsaturated
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Application number
JP2000078137A
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English (en)
Inventor
Masumi Takamura
真澄 高村
Yasuhiro Ohara
康広 大原
Katsuki Taura
克樹 田浦
Norihisa Ujigawa
典久 氏川
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NOF Corp
Original Assignee
NOF Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 得られる硬化物の低収縮性、表面特性、耐熱
水性が優れるだけでなく、特に樹脂組成物の貯蔵安定
性、樹脂組成物硬化物の顔料分散性や機械的強度に優れ
る熱硬化性樹脂用グラフト共重合体、熱硬化性樹脂用グ
ラフト共重合体組成物、熱硬化性樹脂組成物及び熱硬化
性樹脂組成物の硬化物を提供する。 【解決手段】 熱硬化性樹脂用グラフト共重合体は、ア
ルコキシアミン含有エチレン性不飽和単量体(a)及び
エチレン性不飽和単量体(b)から形成された共重合体
を幹成分とするセグメントと、スチレン系単量体(c)
から形成された重合体又は共重合体を枝成分とするセグ
メントとよりなる。熱硬化性樹脂用グラフト共重合体組
成物は、上記グラフト共重合体と、熱硬化性樹脂と共重
合が可能なエチレン性不飽和単量体(d)及び熱可塑性
樹脂の少なくとも一種とにより構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば住宅設備、
電気、自動車又は土木分野に使用される熱硬化性樹脂用
グラフト共重合体、熱硬化性樹脂用グラフト共重合体組
成物、熱硬化性樹脂組成物及び熱硬化性樹脂組成物の硬
化物に関するものである。さらに詳しくは、上記グラフ
ト共重合体が、熱硬化性樹脂組成物の硬化物に優れた低
収縮性、表面特性、耐熱水性を与えるだけでなく、特に
樹脂組成物の貯蔵安定性、樹脂組成物硬化物の顔料分散
性,機械特性が優れる熱硬化樹脂用グラフト共重合体、
熱硬化性樹脂用グラフト共重合体組成物、熱硬化性樹脂
組成物及び熱硬化性樹脂組成物の硬化物を提供するもの
である。
【0002】
【従来の技術】一般に、不飽和ポリエステル樹脂やビニ
ルエステル樹脂などの熱硬化性樹脂組成物は、その硬化
時に発生する収縮によって成形品にひけ、クラック、そ
りなどの様々な問題を引き起こす。通常これらの問題を
解決するため、ポリ酢酸ビニルやポリスチレンなどの熱
可塑性樹脂を低収縮剤として使用している。特にその性
質は大きく分けて、液状の熱硬化性樹脂に相溶する熱可
塑性樹脂と相溶しない熱可塑性樹脂との二つに大別され
るが、どちらの熱可塑性樹脂にも一長一短があり、熱硬
化性樹脂組成物に求められる要求特性(樹脂組成物の貯
蔵安定性、硬化物の低収縮性、表面特性、着色性、機械
特性、耐熱水性)の全てを満足する低収縮剤は存在しな
い。例えば、液状の熱硬化性樹脂に相溶するポリ酢酸ビ
ニルを低収縮剤として使用した場合、樹脂組成物の貯蔵
安定性、硬化物の低収縮性、表面特性は良好なものの、
着色性、機械的特性及び耐熱水性が悪化するという問題
があった。一方、液状の熱硬化性樹脂に相溶しないポリ
スチレンを低収縮剤として使用した場合、硬化物の着色
性、機械特性及び耐熱水性は良好なものの、樹脂組成物
の貯蔵安定性、硬化物の低収縮性及び表面特性は悪化す
るという問題があった。
【0003】従来、このような欠点を改善するため、い
くつかの提案がなされている。例えば特開昭63−19
6650号公報において、酢酸ビニル単量体及び酢酸ビ
ニル単量体と共重合可能な単量体から形成された重合体
のセグメント部分とスチレン単量体及びスチレン単量体
と共重合可能な単量体から形成された重合体のセグメン
ト部分とを有するグラフト共重合体を含有する不飽和ポ
リエステル樹脂組成物は、樹脂液の分散安定性が増し、
低収縮性、表面光沢、顔料分散性、機械的強度が良好な
成形品が得られることが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、特開昭63
−196650号公報に記載されているグラフト共重合
体は、その製造方法が過酸化物基が結合された酢酸ビニ
ル単量体及び酢酸ビニル単量体と共重合可能な単量体か
ら形成された共重合体を重合開始剤とし、スチレン単量
体及びスチレン単量体と共重合可能な単量体をグラフト
化させるものである。この場合、過酸化物基を有する共
重合体の過酸化物結合が解裂すると、共重合体に結合し
ているラジカルと、共重合体に結合していないラジカル
の2種類が発生する。共重合体に結合しているラジカル
はスチレン単量体などに付加してグラフト共重合体を形
成するが、共重合体に結合していないラジカルはスチレ
ン単量体などに付加してスチレン単量体の単独重合体又
は共重合体を形成する。このため、グラフト共重合にお
けるグラフト化効率が低下する。また、通常のラジカル
重合は連鎖反応であり、しかもラジカルの発生量や停止
反応が制御されていない。このため、得られるグラフト
共重合体の分子量分布が広くなるという問題があった。
その結果、このグラフト共重合体を含有した樹脂組成物
の均一分散性が十分でなく、特に樹脂組成物の貯蔵安定
性、樹脂組成物硬化物の顔料分散性や機械的強度に優れ
るものを得ることは困難であった。本発明は、以上のよ
うな従来技術に存在する問題に着目してなされたもので
ある。その目的とするところは、樹脂組成物の均一分散
性と貯蔵安定性が良好で、その樹脂組成物から得られる
硬化物の低収縮性、表面特性及び耐熱水性に優れ、しか
もその硬化物の顔料分散性及び機械的強度に優れる熱硬
化性樹脂用グラフト共重合体、熱硬化性樹脂用グラフト
共重合体組成物、熱硬化性樹脂組成物及び熱硬化性樹脂
組成物の硬化物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明における第1の発明の熱硬化性樹脂用グラ
フト共重合体は、アルコキシアミン含有エチレン性不飽
和単量体(a)及びエチレン性不飽和単量体(b)から
形成された共重合体を幹成分とするセグメントと、スチ
レン系単量体(c)から形成された重合体又は共重合体
を枝成分とするセグメントとよりなることを特徴とする
ものである。
【0006】第2の発明の熱硬化性樹脂用グラフト共重
合体は、アルコキシアミン含有エチレン性不飽和単量体
(a)、エチレン性不飽和単量体(b)及びラジカル重
合開始剤を、そのラジカル重合開始剤が分解し、かつア
ルコキシアミン含有エチレン性不飽和単量体(a)のア
ルコキシアミンが実質的に分解しない条件下で重合させ
てアルコキシアミン含有共重合体を得る第1の工程と、
前記アルコキシアミン含有共重合体にスチレン系単量体
(c)を混合し、アルコキシアミンが分解する温度でグ
ラフト共重合体を形成する第2の工程とによって得られ
ることを特徴とするものである。
【0007】第3の発明の熱硬化性樹脂用グラフト共重
合体は、第1又は第2の発明において、アルコキシアミ
ン含有エチレン性不飽和単量体(a)が下記一般式
(1)、(2)、(3)及び(4)で表される単量体の
少なくとも1種の単量体であるものである。
【0008】
【化8】 (式中、R1は未置換又は環に置換基を有するフェニレ
ン基を表す。R2は水素、炭素数4〜8の第三級アルキ
ル基、ベンゾイル基、メチルベンゾイル基又はR9OC
(=O)−基であり、ここでR9は炭素数1〜12の直
鎖若しくは分岐のアルキル基又はアルコキシアルキル
基、あるいは未置換又は環に置換基を有するシクロアル
キル基を表す。R3〜R8はそれぞれ独立に選択される炭
素数1〜4の直鎖若しくは分岐のアルキル基又はR5
8が連結した炭素数が4〜10の環式構造である。但
し、環式構造の場合には、未置換又はアルキル基、ヒド
ロキシ基、アセトキシル基、ベンゾイルオキシ基、メト
キシ基若しくはオキソ基により置換されたものである。
10は水素又はメチル基を示す。)
【0009】
【化9】 (式中、R10は水素又はメチル基を表す。nは0から2
の整数を表す。R11及びR12は同一又は異なるものであ
り、水素、メチル基、フェニル基、シアノ基、アルコキ
シカルボニル基及びアセトキシル基から選ばれる。R3
〜R8はそれぞれ独立に選択される炭素数1〜4の直鎖
若しくは分岐のアルキル基又はR5とR8が連結した炭素
数が4〜12の環式構造である。但し、環式構造の場合
には、未置換又はアルキル基、ヒドロキシ基、アセトキ
シル基、ベンゾイルオキシ基、メトキシ基若しくはオキ
ソ基により置換されたものである。)
【0010】
【化10】 (式中、R10は水素又はメチル基を表す。nは0から2
の整数を表す。R11及びR12は同一又は異なるものであ
り、水素、メチル基、フェニル基、シアノ基、アルコキ
シカルボニル基及びアセトキシル基から選ばれる。R3
〜R8はそれぞれ独立に選択される炭素数1〜4の直鎖
若しくは分岐のアルキル基又はR5とR6が連結した炭素
数が4〜12の環式構造である。但し、環式構造の場合
には、未置換又はアルキル基、ヒドロキシ基、アセトキ
シル基、ベンゾイルオキシ基、メトキシ基若しくはオキ
ソ基により置換されたものである。)
【0011】
【化11】 (式中、R13は未置換又は環にメチル基を有するフェニ
ル基を表す。R11及びR 12は同一又は異なるものであ
り、水素、メチル基、フェニル基、シアノ基、アルコキ
シカルボニル基及びアセトキシル基から選ばれる。R3
〜R8はそれぞれ独立に選択される炭素数1〜4の直鎖
若しくは分岐のアルキル基又はR5とR6が連結した炭素
数が4〜12の環式構造である。但し、環式構造の場合
には、未置換又はアルキル基、ヒドロキシ基、アセトキ
シル基、ベンゾイルオキシ基、メトキシ基若しくはオキ
ソ基により置換されたものである。) 第4の発明の熱硬化性樹脂用グラフト共重合体は、第1
から第3のいずれかの発明において、エチレン性不飽和
単量体(b)が下記一般式(5)、(6)、及び(7)
で表される単量体の少なくとも1種の単量体であるもの
である。
【0012】
【化12】 (式中、R10は水素又はメチル基を表す。R14は水素又
は炭素数1〜4の未置換或いは水酸基、アミノ基、グリ
シジル基又はイソシアネート基が置換された直鎖若しく
は分岐のアルキル基を表す。)
【0013】
【化13】 (式中、R10は水素又はメチル基を表す。R15及びR16
は同一又は異なるものであり、水素、メチル基又はエチ
ル基から選ばれる。)
【0014】
【化14】 (式中、R17は炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐のア
ルキル基又はフェニル基を表す。) 第5の発明の熱硬化性樹脂用グラフト共重合体組成物
は、第1から第4の発明のいずれかの熱硬化性樹脂用グ
ラフト共重合体と、熱硬化性樹脂と共重合が可能なエチ
レン性不飽和単量体(d)とからなるものである。
【0015】第6の発明の熱硬化性樹脂用グラフト共重
合体組成物は、第1から第4のいずれかの発明の熱硬化
性樹脂用グラフト共重合体又は第5の発明の熱硬化性樹
脂用グラフト共重合体組成物と、熱可塑性樹脂とからな
るものである。
【0016】第7の発明の熱硬化性樹脂組成物は、第5
又は第6の発明の熱硬化性樹脂用グラフト共重合体組成
物に、さらに熱硬化性樹脂を含有するものである。第8
の発明の熱硬化性樹脂組成物は、第7の発明の熱硬化性
樹脂組成物に、さらに着色染顔料を含有するものであ
る。
【0017】第9の発明の熱硬化性樹脂組成物は、第7
又は第8の発明の熱硬化性樹脂組成物に、さらに充填剤
を含有するものである。第10の発明の熱硬化性樹脂組
成物の硬化物は、第7から第9のいずれかの発明の熱硬
化性樹脂組成物に硬化剤を混合し、加熱硬化することに
より得られるものである。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
詳細に説明する。本発明の熱硬化樹脂用グラフト共重合
体は、熱硬化性樹脂に混合して使用されるグラフト共重
合体であり、具体的な熱硬化性樹脂としては、不飽和ポ
リエステル樹脂、ビニルエステル樹脂又はジアリルフタ
レート樹脂が挙げられ、これらが単独又は2種以上混合
して使用される。
【0019】不飽和ポリエステル樹脂は、通常の不飽和
ポリエステルアルキッドであり、α、β −不飽和二塩
基酸(その無水物を含む)及び飽和二塩基酸(その無水
物を含む)との混合物と、多価アルコール類との通常の
エステル化反応により製造される。ここで、α、β −
不飽和二塩基酸としては、例えばマレイン酸、フマル
酸、メサコン酸、テトラコン酸、イタコン酸(それぞれ
の無水物を含む)等が挙げられ、それぞれ単独或いは混
合して使用することができる。また、飽和二塩基酸とし
ては、例えば無水フタル酸、オルトフタル酸、イソフタ
ル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ハロゲン
化無水フタル酸、ヘット酸、アジピン酸、コハク酸、セ
バシン酸等が挙げられ、それぞれ単独或いは2種以上が
混合して使用される。
【0020】さらに、前記二塩基酸との縮合反応により
エステルを形成する多価アルコール類としては、例えば
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチ
レングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレン
グリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコ
ール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタ
ノール等のジオール類、水素化ビスフェノールA、ビス
フェノールAにプロピレンオキシド等の付加したグリコ
ール類の他、例えばトリメチロールプロパン等のトリオ
ール類等が挙げられ、それぞれ単独或いは2種以上が混
合して使用される。
【0021】ビニルエステル樹脂は、エポキシ樹脂と
(メタ)アクリル酸との開環反応により製造される。エ
ポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、ノボラック
型、グリシジルエステル型、グリシジルアミン型、レゾ
ルシン型などが挙げられ、それぞれ単独或いは2種以上
が混合して使用される。
【0022】ジアリルフタレート樹脂は、フタル酸(そ
の無水物も含む)とアリルアルコールとのエステル化反
応により製造される。熱硬化樹脂用グラフト共重合体
は、アルコキシアミン含有エチレン性不飽和単量体
(a)とエチレン性不飽和単量体(b)とから形成され
た共重合体を幹成分とするセグメントと、スチレン系単
量体(c)から形成された重合体又は共重合体〔以下、
(共)重合体という〕を枝成分とするセグメントとより
なるものである。
【0023】アルコキシアミン含有エチレン性不飽和単
量体(a)としては、一分子中にエチレン性不飽和基と
アルコキシアミンを含有するものであれば特に限定され
ないが、前述の一般式(1)、(2)、(3)及び
(4)で表される少なくとも1種の単量体が好ましい。
これらの単量体は、比較的容易に製造できるものである
とともに、グラフト共重合体のグラフト化効率が高く、
性能の発現がより効果的で、かつ製造方法を簡便にする
ことができる。しかも、グラフト共重合体を含有する熱
硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性を向上させることができ
る。
【0024】一般式(1)で表されるアルコキシアミン
含有エチレン性不飽和単量体(a)としては、具体的
に、2−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−
1’−ピペリジニルオキシ)−2−(4’−ビニルフェ
ニル)エタノール、2−(2’,2’,6’,6’−テ
トラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−2−(3’
−ビニルフェニル)エタノール、2−(4’−ヒドロキ
シ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピ
ペリジニルオキシ)−2−(4’−ビニルフェニル)エ
タノール、2−(4’−ヒドロキシ−2’,2’,
6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキ
シ)−2−(3’−ビニルフェニル)エタノール、2−
(ジ−tブチルニトロキシル)−2−(4’−ビニルフ
ェニル)エタノール、2−(ジ−tブチルニトロキシ
ル)−2−(3’−ビニルフェニル)エタノール、2−
t−ブトキシ−1−(2’,2’,6’,6’−テトラ
メチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビ
ニルフェニル)エタン、2−t−ブトキシ−1−
(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペ
リジニルオキシ)−1−(3’−ビニルフェニル)エタ
ン、2−t−ブトキシ−1−(4’−ヒドロキシ−
2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリ
ジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタ
ン、2−t−ブトキシ−1−(4’−ヒドロキシ−
2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリ
ジニルオキシ)−1−(3’−ビニルフェニル)エタ
ン、2−t−ブトキシ−1−(ジ−tブチルニトロキシ
ル)−1−(4’−ビニルフェニル)エタン、2−t−
ブトキシ−1−(ジ−tブチルニトロキシル)−1−
(3’−ビニルフェニル)エタン、2−イソプロピルオ
キシカルボニルオキシ−1−(2’,2’,6’,6’
−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−
(4’−ビニルフェニル)エタン、2−イソプロピルオ
キシカルボニルオキシ−1−(2’,2’,6’,6’
−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−
(3’−ビニルフェニル)エタン、2−イソプロピルオ
キシカルボニルオキシ−1−(4’−ヒドロキシ−
2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリ
ジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタ
ン、2−イソプロピルオキシカルボニルオキシ−1−
(4’−ヒドロキシ−2’,2’,6’,6’−テトラ
メチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(3’−ビ
ニルフェニル)エタン、2−イソプロピルオキシカルボ
ニルオキシ−1−(ジ−tブチルニトロキシル)−1−
(4’−ビニルフェニル)エタン、2−イソプロピルオ
キシカルボニルオキシ−1−(ジ−tブチルニトロキシ
ル)−1−(3’−ビニルフェニル)エタン、2−
(2’−エチルヘキシルオキシカルボニルオキシ)−1
−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピ
ペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エ
タン、2−(2’−エトキシエチルオキシカルボニルオ
キシ)−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル
−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフ
ェニル)エタン、2−シクロヘキシルオキシカルボニル
オキシ−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル
−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフ
ェニル)エタン、2−(4’−t−ブチルシクロヘキシ
ルオキシカルボニルオキシ−1−(2’,2’,6’,
6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1
−(4’−ビニルフェニル)エタン、2−ベンゾイルオ
キシ−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−
1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェ
ニル)エタン、2−イソプロピルオキシカルボニルオキ
シ−1−(4’−メチル−2’,2’,6’,6’−テ
トラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’
−ビニルフェニル)エタン、2−イソプロピルオキシカ
ルボニルオキシ−1−(4’−メトキシ−2’,2’,
6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキ
シ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタン、2−イソ
プロピルオキシカルボニルオキシ−1−(4’−アセト
キシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−
ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)
エタン、2−イソプロピルオキシカルボニルオキシ−1
−(4’−ベンゾイルオキシ−2’,2’,6’,6’
−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−
(4’−ビニルフェニル)エタン、2−イソプロピルオ
キシカルボニルオキシ−1−(1’,1’,3’,3’
−テトラメチル−2’,3’−ジヒドロ−1’H−2−
イソインドリルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニ
ル)エタンなどが挙げられる。
【0025】一般式(2)で表されるアルコキシアミン
含有エチレン性不飽和単量体(a)としては、具体的
に、1−アセトキシ−1−(4’−アセトキシ−2’,
2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニル
オキシ)−2−(2’−アクリロイルオキシエチルオキ
シカルボニルオキシ)エタン、2−(2’−(2”−ア
クリロイルオキシエチルオキシ)エチルオキシカルボニ
ルオキシ)−1−(4’−メトキシ2’,2’,6’,
6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1
−フェニルエタン、2−(2’−メタクリロイルオキシ
エチルオキシカルボニルオキシ)−1−フェニル−1−
(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペ
リジニルオキシ)エタン、1−(ブチルオキシカルボニ
ル)−1−(ジ−t−ブチルニトロキシル)−2−
(2’−(2”−メタクリロイルオキシエチルオキシ)
エチルオキシカルボニルオキシ)エタンなどが挙げられ
る。
【0026】一般式(3)で表されるアルコキシアミン
含有エチレン性不飽和単量体(a)としては、具体的
に、1−(4’アセトキシ2’,2’,6’,6’−テ
トラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−2−(アリ
ルオキシカルボニルオキシ)−1−フェニルエタン、2
−(2’−アリルオキシエチルオキシカルボニルオキ
シ)−1−フェニル−1−(2’,2’,6’,6’−
テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)エタン、2
−(2’−(2”−アリルオキシエチルオキシ)エチル
オキシカルボニルオキシ)−1−(ジ−t−ブチルニト
ロキシル)−1−(メチルオキシカルボニル)エタン、
2−(メタリルオキシカルボニルオキシ)−1−(4’
−オキソ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−
1’−ピペリジニルオキシ)−1−フェニルエタン、1
−(4’−ベンゾイルオキシ−2’,2’,6’,6’
−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1シア
ノ−2−(2’−メタリルオキシエチルオキシカルボニ
ルオキシ)エタン、2−(2’−(2”−メタリルオキ
シエチルオキシ)エチルオキシカルボニルオキシ)−1
−メチル−1−フェニル−1−(2’,2’,5’,
5’−テトラメチル−1’−ピロリジニルオキシ)エタ
ンなどが挙げられる。
【0027】一般式(4)で表されるアルコキシアミン
含有不飽和単量体(a)としては、具体的に、2−(シ
ンナモイルオキシ)−1−フェニル−1−(2’,
2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニル
オキシ)エタン、1−(4’−ヒドロキシ−2’,
2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニル
オキシ)−1−メチル−2−(4’−シンナモイルオキ
シ)−1−メチルオキシカルボニルエタンなどが挙げら
れる。
【0028】エチレン性不飽和単量体(b)としては、
公知のラジカル重合又はイオン重合可能なエチレン性不
飽和単量体であれば特に限定されないが、最も好ましい
のは、前記一般式(5)、(6)及び(7)で表される
少なくとも1種の化合物である。なぜなら、得られるグ
ラフト共重合体を含有する熱硬化性樹脂組成物の貯蔵安
定性がより良好になるためである。
【0029】一般式(5)で表されるエチレン性不飽和
単量体(b)としては、具体的に、(メタ)アクリル
酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エ
チル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル
酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)
アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸N,N−ジ
メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエ
チルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−イソシアネ
ートエチルなどが挙げられる。
【0030】一般式(6)で表されるエチレン性不飽和
単量体(b)としては、具体的に、(メタ)アクリルア
ミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ
メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メ
タ)アクリルアミドなどが挙げられる。
【0031】一般式(7)で表されるエチレン性不飽和
単量体(b)としては、具体的に、酢酸ビニル、プロピ
オン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロ
ン酸ビニル、オクチル酸ビニル、カプリル酸ビニル、カ
プリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニ
ル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ネオデ
カン酸ビニル、安息香酸ビニルなどが挙げられる。
【0032】アルコキシアミン含有エチレン性不飽和単
量体(a)とエチレン性不飽和単量体(b)の使用量
は、得られるアルコキシアミン含有共重合体中に所望さ
れるアルコキシアミンの個数に依存して適宜選択するこ
とができるが、通常、アルコキシアミン含有エチレン性
不飽和単量体(a)に対するエチレン性不飽和単量体
(b)のモル比が5〜500倍の範囲であることが好ま
しい。
【0033】アルコキシアミン含有エチレン性不飽和単
量体(a)に対するエチレン性不飽和単量体(b)のモ
ル比が5倍より少ないと、グラフト共重合体にした場
合、枝ポリマーと枝ポリマーの間の幹ポリマーの鎖長が
短くなりすぎて幹ポリマーの物性が十分発現できなくな
る傾向にあり、その結果として熱硬化性樹脂組成物の貯
蔵安定性が悪化する傾向にある。
【0034】一方、前記モル比が500倍を越えて大き
くなると、枝ポリマー間の幹ポリマーの鎖長が長くなり
すぎて枝ポリマーの物性が十分発現できなくなる傾向に
あり、その結果として熱硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性
が悪化する傾向にある。
【0035】スチレン系単量体(c)としては、具体的
に、スチレン、p−メチルスチレン、クロルメチルスチ
レン、α−メチルスチレンなどが挙げられ、特に経済性
及びグラフト共重合体製造の簡便さの観点から、スチレ
ンが好ましい。
【0036】また必要に応じて、(メタ)アクリル酸、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸
ブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、
(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリルな
どのスチレン系単量体(b)と共重合可能なエチレン性
不飽和単量体も使用できる。
【0037】グラフト共重合体を構成する、アルコキシ
アミン含有エチレン性不飽和単量体(a)とエチレン性
不飽和単量体(b)とから形成された共重合体を幹成分
とするセグメントと、スチレン単量体(c)から形成さ
れた(共)重合体を枝成分とするセグメントとの重量比
は、好ましくは99/1〜1/99、さらに好ましくは
95/5〜5/95である。
【0038】この重量比が1%未満では、幹成分のセグ
メントによる物性が十分に発現できなくなる傾向にあ
り、その結果としてグラフト共重合体を含有する熱硬化
性樹脂組成物の貯蔵安定性が悪化する傾向にある。
【0039】一方、重量比が99%を越えると、枝成分
のセグメントによる物性が十分発現できなくなる傾向に
あり、その結果としてグラフト共重合体を含有する熱硬
化性樹脂組成物の貯蔵安定性が悪化する傾向にある。
【0040】グラフト共重合体の分子量は、ゲルパーミ
エーションクロマトグラフィ(以下GPCという)によ
り測定されるスチレン換算分子量において、数平均分子
量が2000〜150万の範囲であることが好ましく、
さらに3000〜50万の範囲であることがより好まし
い。
【0041】数平均分子量が2000未満であると、グ
ラフト共重合体を含有する熱硬化性樹脂組成物硬化物の
低収縮性及び着色性が悪化する傾向にある。一方、数平
均分子量が150万を越えると、得られるグラフト共重
合体を含有する熱硬化性樹脂組成物硬化物の表面性及び
耐熱水性が悪化する傾向にある。
【0042】次に、前記グラフト共重合の製造方法とし
ては、一般に知られているラジカル重合法、イオン重合
法、電離性放射線照射法等の常法が採用され、そのよう
な方法であれば特に限定されない。最も好ましい方法
は、アルコキシアミン含有共重合体をスチレン系単量体
(c)と混合、加熱してグラフト共重合体を得る方法で
ある。なぜなら、グラフト化効率が高いため、性能の発
現がより効果的であり、かつ製造方法が簡便であるため
である。
【0043】以下にアルコキシアミン含有共重合体の合
成法及びそれにスチレン系単量体(c)を混合、加熱し
てグラフト共重合体を得る方法について具体的に説明す
る。まず、第1工程としてアルコキシアミン含有エチレ
ン性不飽和単量体(a)、エチレン性不飽和単量体
(b)及びラジカル重合開始剤を前記ラジカル重合開始
剤が分解し、かつアルコキシアミン含有エチレン性不飽
和単量体(c)のアルコキシアミンが実質的に分解しな
い条件下で重合させてアルコキシアミン含有共重合体を
得る。
【0044】この第1工程で得られるアルコキシアミン
含有共重合体の分子量は、GPC(ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフ)により測定されるスチレン換算分子
量において、数平均分子量が1000〜100万の範囲
であることが好ましく、さらに3000〜30万の範囲
であることがより好ましい。
【0045】アルコキシアミン含有共重合体の数平均分
子量が1000未満であると、幹成分となるセグメント
の鎖長が短くなりすぎてグラフト共重合体としての物性
が十分発現できなくなる傾向にあり、結果としてグラフ
ト共重合体を含有する熱硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性
が悪化する傾向にある。
【0046】一方、分子量が100万を越えると、溶融
状態又は溶液状態でのアルコキシアミン含有共重合体の
粘度が高くなり、このアルコキシアミン含有共重合体の
製造時やグラフト共重合体の製造時における作業性が悪
くなり、結果としてグラフト共重合体を高収率に得られ
ない傾向にある。
【0047】第1工程において使用されるラジカル重合
開始剤としては、通常の有機過酸化物又はアゾ化合物を
用いることができるが、アルコキシアミン含有エチレン
性不飽和単量体(a)のアルコキシアミンが実質的に分
解しない温度条件下、具体的には0〜120℃で有効に
ラジカルを発生し得るものが好ましい。
【0048】具体的には、t−ブチルペルオキシネオデ
カネート、t−オクチルペルオキシネオデカネート、t
−ブチルペルオキシピバレート、t−ヘキシルペルオキ
シピバレート、t−ブチルペルオキシ2−エチルヘキサ
ノエート、t−オクチルペルオキシイソブチレート、t
−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブ
チルペルオキシラウレート、t−ブチルペルオキシベン
ゾエートなどのペルオキシエステル類、イソブチリルペ
ルオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルペル
オキシド、ラウロイルペルオキシド、ベンゾイルペルオ
キシドなどのジアシルペルオキシド類、ジプロピルペル
オキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)ペル
オキシジカーボネートなどのペルオキシジカーボネート
類、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2−メチ
ルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキ
シ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオ
キシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,
1−ビス(t−ヘキシルペルオキシ)−3,3,5−ト
リメチルシクロヘキサン、2,2,−ビス(4,4−ジ
−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)などのペルオ
キシケタール類、2,2’−アゾビス(イソブチロニト
リル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロ
ニトリル)、2,2’−アゾビス(シクロヘキサンニト
リル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリ
ル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メ
トキシバレロニトリル)などのアゾ化合物が挙げられ
る。
【0049】また、t−ブチルヒドロペルオキシド、ク
メンヒドロペルオキシドなどを硫酸第一鉄、硫酸第一
銅、アスコルビン酸ナトリウムなどの還元剤を用いて還
元し、ラジカルを発生させる方法、又は光重合開始剤に
光照射し、ラジカルを発生させる方法によって、重合を
開始することもできる。
【0050】ラジカル重合開始剤の使用量は、生成する
アルコキシ含有高分子共重合体が所望の分子量になるよ
うに選択される必要があるが、通常アルコキシアミン含
有エチレン性不飽和単量体(a)とエチレン性不飽和単
量体(b)の総量に対して0.01〜20重量%が好ま
しい。
【0051】次に第1の工程で得られるアルコキシ含有
高分子共重合体の重合温度及び重合方法について説明す
る。重合温度としては、0〜120℃が好ましく、20
〜100℃がより好ましい。重合温度が0℃未満では、
重合速度が遅いため重合完結までに長時間を要するので
経済的に不利である。一方、120℃を越えると、アル
コキシアミン含有エチレン性不飽和単量体(a)の分解
が顕著になり、最終的に得られるグラフト共重合体がゲ
ル化したり、純度が低下することにより、結果として熱
硬化性樹脂組成物の安定性が悪化する傾向にある。
【0052】重合方法としては、塊状重合法、懸濁重合
法、溶液重合法及び乳化重合法など公知の重合方法によ
って行うことができ、エチレン性不飽和単量体の種類、
重合温度、所望されるアルコキシ含有高分子共重合体の
分子量などによって適宜選択することができる。
【0053】また、重合の際に分子量を調整するため
に、α−メチルスチレンダイマー(2,4−ジフェニル
−4−メチル−1−ペンテン)、ターピノーレン、n−
オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t
−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、
チオフェノールなど公知の連鎖移動剤を使用することが
できる。さらに、溶液重合の際には、メチルエチルケト
ン、トルエン、キシレン、酢酸ジエチレングリコールモ
ノエチルエーテルなど公知の溶剤を使用することができ
る。
【0054】続いて、第2工程として、前記アルコキシ
アミン含有共重合体にスチレン系単量体(d)を混合
し、アルコキシアミンが分解する温度でグラフト共重合
体を形成する。
【0055】第2工程の重合温度としては、100〜1
80℃が好ましく、110℃〜160℃がより好まし
い。重合温度が100℃未満では、アルコキシアミン含
有共重合体の分解速度が遅くなり、結果として重合時間
が長くなり、経済的に不利となる傾向にある。一方、重
合温度が180℃を越えると、重合速度の制御が困難に
なる傾向にある。
【0056】第2工程の重合方法としては、塊状重合
法、懸濁重合法、溶液重合法及び乳化重合法など公知の
重合方法によって行うことができ、エチレン性不飽和単
量体の種類、重合温度、所望されるグラフト共重合体の
分子量などによって適宜選択することができる。第2工
程によって得られたグラフト共重合体は、混合したスチ
レン系単量体(c)全てを完全に重合させず、第1工程
に使用される溶媒又は第2工程の未重合のスチレン系単
量体(c)を含有した溶液状態としても使用できるし、
再沈殿法により精製した固体状態としても使用できる。
このようにして得られるグラフト共重合体は、アルコキ
シアミンの分解により発生するアミンラジカルがスチレ
ン系単量体(c)の重合を開始する能力がほとんどない
ため、グラフト化効率を高めることができる。しかも、
アミンラジカルが共重合体に結合しているラジカル、又
はそれに単量体(c)が付加したラジカルと再結合し、
さらに解裂するという平衡反応を起こすため、発生ラジ
カルの付加反応と停止反応を制御することができる。従
って、通常のラジカル重合と比較して分子量分布の狭い
グラフト共重合体が形成される。また、グラフト共重合
体は、熱硬化性樹脂組成物中においてスチレン系単量体
(c)から形成されるセグメントを内側、エチレン性不
飽和単量体(a),(b)から形成されるセグメントを
外側とするミセル構造を形成している。外側のエチレン
性不飽和単量体(a),(b)から形成されるセグメン
トは、熱硬化性樹脂に対して親和性や相溶性に優れてい
る。
【0057】その結果、熱硬化性樹脂用グラフト共重合
体を含有する熱硬化性樹脂組成物の均一分散性が良好と
なる。よって、熱硬化性樹脂組成物から得られる硬化物
の低収縮性、表面特性、機械特性及び耐熱水性に優れて
いるとともに、熱硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性に優れ
ている。
【0058】本発明の熱硬化性樹脂用グラフト共重合体
組成物は、前記の熱硬化性樹脂用グラフト共重合体に、
熱硬化性樹脂と共重合可能なエチレン性不飽和単量体
(d)及び熱可塑性樹脂のいずれか1種類又は両方を含
有している。
【0059】熱硬化性樹脂と共重合が可能なエチレン性
不飽和単量体(d)としては、単官能のスチレン、p−
メチルスチレン、クロルメチルスチレン、α−メチルス
チレン、ビニルトルエンなどのスチレン系ビニル単量
体、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エ
チル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル
酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)ア
クリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸
グリシジル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミ
ノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノ
エチル、(メタ)アクリル酸2−イソシアネートエチ
ル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジ
ブチルなどのエステル基含有ビニル単量体、酢酸ビニ
ル、モノクロロ酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン
酸ビニル、オクチル酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪
酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプ
リン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニ
ル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニルなどのカ
ルボン酸ビニルエステル単量体、また多官能のo−,m
−,p−ジビニルベンゼンなどのスチレン系ジビニル単
量体、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、1.6−ヘキサンジオー
ルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルジ(メタ)ア
クリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アク
リレートなどのジ及びトリ(メタ)アクリレート系ビニ
ル単量体、ジアリルフタレートなどのジアリル系単量体
が挙げられ、それぞれ単独又は2種以上を混合して使用
することができる。
【0060】これらのエチレン性不飽和単量体(d)の
うち、特に好ましいものとしては、スチレン系ビニル単
量体、スチレン系ジビニル単量体、エステル基含有ビニ
ル単量体及びジ又はトリ(メタ)アクリレート系ビニル
単量体が挙げられる。
【0061】上記したエチレン性不飽和単量体(d)と
熱硬化性樹脂用グラフト共重合体との重量比は、10/
90〜90/10、好ましくは20/80〜80/20
である。エチレン性不飽和単量体(d)が10重量%未
満では組成物の粘度が高くなって実用的な熱硬化性樹脂
用グラフト共重合体組成物とはならず、90重量%を越
えると熱硬化性樹脂用グラフト共重合体組成物が沈降
し、貯蔵安定性が低下する傾向にある。
【0062】上記熱可塑性樹脂としては特に限定されな
いが、具体的には、ポリ酢酸ビニル、ポリラウリン酸ビ
ニルなどのポリカルボン酸ビニルエステル樹脂、ポリス
チレン、クロロメチルスチレンなどのポリスチレン系樹
脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アク
リル酸ブチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル樹
脂、ポリエチレンなどのオレフィン系樹脂、スチレン−
ブタジエンラバー、スチレン−ブタジエン−スチレンブ
ロック共重合体などのスチレン−共役ジエン(ブロッ
ク)共重合体、スチレン−水添ブタジエンラバー、スチ
レン−水添ブタジエン−スチレンブロック共重合体など
のスチレン−水添共役ジエン(ブロック)共重合体、ス
チレン−酢酸ビニルブロック共重合体、(スチレン/メ
タクリル酸)−酢酸ビニルブロック共重合体、スチレン
−(酢酸ビニル/ラウリン酸ビニル)ブロック共重合体
などのスチレン−酢酸ビニル系ブロック共重合体などが
挙げられる。
【0063】この熱可塑性樹脂のうち、熱硬化性樹脂組
成物硬化物の低収縮性、表面特性、着色性、機械特性及
び耐水性を特に向上させるものとして、ポリスチレン系
樹脂、スチレン−共役ジエンブロック共重合体、スチレ
ン−水添共役ジエンブロック共重合体又はスチレン−酢
酸ビニル系ブロック共重合体が好ましい。
【0064】上記した熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂用グ
ラフト共重合体との重量比は、好ましくは0.1/9
9.9〜99.1/0.1、さらに好ましくは0.5/
99.5〜99.5/0.5である。熱可塑性樹脂が
0.1重量%未満ではグラフト共重合体組成物を含有す
る熱硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性が低下する傾向にあ
る。90重量%を越えると熱硬化性樹脂用グラフト共重
合体組成物が沈降し、貯蔵安定性が低下する傾向にあ
る。
【0065】熱硬化性樹脂用グラフト共重合体組成物
は、熱硬化性樹脂用グラフト共重合体に前記熱硬化性樹
脂と共重合が可能なエチレン性不飽和単量体(d)を含
有することによって、熱硬化性樹脂への混合が容易にな
る。このため、得られる熱硬化性樹脂組成物の均一性が
高くなり、結果として性能の発現がより効果的でかつ樹
脂組成物の製造が容易となる。
【0066】また、熱硬化性樹脂用グラフト共重合体組
成物は、熱硬化性樹脂用グラフト共重合体に前記熱可塑
性樹脂を含有することによって、それを含有する熱硬化
性樹脂組成物硬化物の低収縮性、表面特性、着色性、機
械特性及び耐熱水性をさらに向上させることができる。
【0067】本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上記の熱
硬化性樹脂用グラフト共重合体組成物に、先述した熱硬
化性樹脂を含有している。上記したグラフト共重合体の
配合割合は特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物中
好ましくは0.01〜40重量%、さらに好ましくは
0.05〜30重量%である。この配合割合が0.01
重量%未満では得られる硬化物の低収縮性は不十分とな
り、40重量%を越えると得られる硬化物の機械的強度
が低下する傾向にある。
【0068】熱硬化性樹脂組成物は、前述した特定のグ
ラフト共重合体が含有されていることから、その硬化物
の低収縮性、表面特性、機械特性及び耐熱水性に優れて
いるとともに、長期安定性に優れている。つまり、グラ
フト共重合体は、熱硬化性樹脂中でポリスチレン系樹脂
を内側に、エチレン性不飽和単量体(b)の高分子共重
合体を外側にしたミセル構造をとっているため、その硬
化物の優れた低収縮性、着色性、表面特性、機械特性及
び耐熱水性を発揮することができるものと考えられる。
【0069】また、グラフト共重合体の製造方法とし
て、アルコキシアミン含有エチレン性不飽和単量体
(a)をキーマテリアルとし、前述したエチレン性不飽
和単量体(b)やスチレン単量体(c)と混合して重合
を行うと、グラフト共重合体の純度が高く、かつグラフ
ト共重合体の枝を構成するポリスチレン系樹脂の鎖長が
均一なグラフト共重合体が簡便に製造できる。そして、
それを含有する熱硬化性樹脂組成物は、前述したミセル
構造の均一性が向上することによって、長期安定性が発
現できるものと推測される。
【0070】この発明の熱硬化性樹脂組成物は、さらに
熱硬化性樹脂硬化物の低収縮性、表面特性、着色性、機
械特性及び耐熱水性を向上させるために、熱可塑性樹脂
を含有させることができる。この熱可塑性樹脂組成物の
配合割合は特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物中
好ましくは1〜20重量%、さらに好ましくは2〜15
重量%である。配合割合が1重量%未満では得られる硬
化物の低収縮性は不十分となり、20重量部を越えると
得られる硬化物の機械的強度が低下する傾向にある。
【0071】また、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱
硬化性樹脂用グラフト共重合体組成物に熱硬化性樹脂を
含有し、さらに着色染顔料及び充填剤のいずれか1種類
又は両方を含有している。
【0072】着色染顔料は、熱硬化性樹脂組成物硬化物
を着色する目的で使用され、従来公知の有機及び無機染
顔料がいずれも使用できる。具体的にはカーボンブラッ
ク,黒色酸化鉄,セラミックブラック等の黒色、二酸化
チタン等の白色フタロシアニンブルー,ウルトラマリン
ブルー等の青色、クロムイエロー,チタン顔料,セラミ
ックイエロー(アンチモン、チタン−クロム酸化物)等
の黄色、フタロシアニングリーン,クロムグリーン等の
緑色、褐色酸化鉄等の褐色、モリブデン酸塩,クロムオ
レンジ等の橙色、マンガン等の紫色、クロム錫等の桃色
等の各色調の染顔料が挙げられる。
【0073】上記した染顔料の添加量は、熱硬化性樹脂
組成物中、0.5〜30重量%であることが好ましい。
添加量が0.5重量%未満では得られる成形品が着色し
ないため着色性の判断ができなくなり、30重量%を越
えると熱硬化性樹脂組成物の他の成分が少なくなるた
め、得られる成形品の機械的強度が低下する。
【0074】熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂用グ
ラフト共重合体組成物に熱硬化性樹脂を含有し、さらに
前記着色染顔料を含有することによって、熱硬化性樹脂
組成物の貯蔵安定性、熱硬化性樹脂組成物硬化物の低収
縮性、表面特性、機械特性及び耐熱水性に優れるだけで
なく、硬化物の着色性がさらに向上する。
【0075】充填剤は、シートモールディングコンパウ
ンド(SMC)、バルクモールディングコンパウンド
(BMC)、レジンコンクリート等の成形材料として使
用する際の、硬化物の強度、質感を高めるために使用さ
れる。具体的には、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウ
ム、クレー、アルミナ粉、タルク、ガラス質粉末、ガラ
スビーズ、水酸化マグネシウム、石英粉、硫酸バリウ
ム、木粉等の有機無機微粉末状物質から、例えば砂、砂
利、砕石、珪石、寒水石等の無機質粒状物質等を適宜配
合することができる。
【0076】上記した充填剤の配合割合は、熱硬化性樹
脂組成物中、通常10〜90重量%であり、好ましくは
20〜80重量部である。配合割合が10重量%未満で
は硬化物の強度が弱く、90重量%を越えると熱硬化性
樹脂樹脂組成物との粘度が高くなって作業性が悪くなる
とともに、硬化物の強度が弱くなる傾向にある熱硬化性
樹脂組成物は、熱硬化性樹脂用グラフト共重合体組成物
に熱硬化性樹脂を含有し、さらに前記充填剤を含有する
ことによって、熱硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性、熱硬
化性樹脂組成物硬化物の着色性及び耐熱水性に優れるだ
けでなく、熱硬化性樹脂組成物中の充填剤と熱硬化性樹
脂との濡れ性が向上し、樹脂組成物の低粘度化や充填剤
の均一分散性が図れることから、硬化物の低収縮性、表
面特性及び機械特性がさらに向上する。
【0077】本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化物は、
上記の熱硬化性樹脂組成物と硬化剤を混合し、加熱硬化
することによって容易に得られ、種々の用途に使用する
ことができる。
【0078】前記硬化剤としては、通常重合開始剤と呼
ばれる有機過酸化物が一般に使用され、具体的には、ケ
トンペルオキシド類、ペルオキシケタール類、ヒドロペ
ルオキシド類、ジアルキルペルオキシド類、ジアシルペ
ルオキシド類、ペルオキシジカーボネート類、ペルオキ
シエステル類等の各種公知の硬化剤を使用することがで
きる。また、常温硬化させる場合や硬化速度を速める目
的で、上記硬化剤にN,N−ジメチルアニリン、ナフテ
ン酸コバルトなどのレドックス触媒を併用することがで
きる。
【0079】硬化条件は、例えばレジンコンクリートな
どの常温成形の場合、10〜40℃で1〜24時間、S
MC、BMC成形の場合100〜160℃で1〜10分
間に設定される。その場合、所定の圧力で加圧してもよ
い。
【0080】硬化剤の配合割合は、熱硬化性樹脂組成物
中通常0.01〜5重量%であり、好ましくは0.1〜
4重量%である。配合割合が0.01重量%未満では熱
硬化性樹脂組成物が完全硬化に至らず、5重量%を越え
ると硬化速度が速すぎて硬化物にクラックが入り易くな
る。
【0081】熱硬化性樹脂組成物の中には、さらに必要
に応じてステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン
酸カルシウム等の内部離型剤、ガラス繊維等の補強剤、
t−ブチルカテコール、p−ベンゾキノン等の安定剤、
n−ドデシルメルカプタン、α−メチルスチレンダイマ
ー等の重合調節剤、紫外線吸収剤、模様剤等を通常の使
用範囲内で適宜加えることも可能である。
【0082】以上詳述した実施形態によれば、次のよう
な効果が発揮される。 ・ 熱硬化性樹脂用グラフト共重合体は、グラフト化効
率が高く、しかも分子量分布が狭く揃っており、スチレ
ン系単量体(c)から形成されるセグメントを内側、エ
チレン性不飽和単量体(a),(b)から形成されるセ
グメントを外側とするミセル構造が熱硬化性樹脂組成物
中でより均一に存在していると考えられる。このため、
熱硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性、さらには熱硬化性樹
脂組成物から得られる硬化物の低収縮性、表面特性、耐
熱水性をバランス良く発揮させることができる。加え
て、樹脂組成物硬化物の顔料分散性や機械的強度も向上
させることができる。
【0083】・ また、熱硬化性樹脂用グラフト共重合
体によれば、アルコキシアミン含有共重合体をスチレン
系単量体(c)と混合、加熱することにより、グラフト
共重合体を簡単に得ることができるとともに、グラフト
共重合体のグラフト化効率が高く、性能の発現がより効
果的である。
【0084】
【実施例】次に、参考例、実施例及び比較例により前記
実施形態をさらに具体的に説明する。なお、これらの例
において、「部」や「%」は、特に断りのない限り、す
べて「重量部」及び「重量%」を意味する。また、各実
施例はこの発明の単なる一具体例を示すものであって、
この発明はこれらのみに限定されるものではない。さら
に、各例中の各測定項目は以下の方法に従って行った。 (1)グラフト化効率 グラフト共重合体5gをメチルエチルケトン50gに溶
解し、攪拌したシクロヘキサン1000gに滴下する。
その後、得られた固形分を10倍量のメチルエチルケト
ンに溶解し、さらにメタノール1000gに滴下する。
ここで得られた固形分を計量し、初期グラフト共重合体
の重量で割った値をグラフト化効率とした。 (2)長期貯蔵安定性 熱硬化性樹脂39部、エチレン性不飽和単量体(d)4
9部、グラフト共重合体と熱可塑性樹脂のどちらか1種
類又は両方の12部を攪拌機で2分間混合し減圧下で脱
泡した後、内径14mmの試験管に高さが10cmとな
るように静かに注入する。密栓後、25℃インキュベー
タ内で静置し、上端又は下端から相分離が見られた時間
を測定した。 (3)成形収縮率 JIS−K6911(熱硬化性プラスチック一般試験方
法)に準じて、次式により成形収縮率を算出した。
【0085】成形収縮率(%)=((金型寸法−成形品
寸法)/金型寸法)×100 (4)表面光沢性 JIS−K7105(プラスチックの光学特性試験方
法)に準じて、東洋精機(株)製のグロスメーターを用
いて成形品の60度鏡面光沢度を測定し、成形品の表面
光沢性とした。 (5)着色性 JIS−K7105(プラスチックの光学特性試験方
法)に準じて、ミノルタ(株)製の色彩色差計(CR−
241)を用いて成形品の色差(L,a,b)を10点
測定し、色むら(ΔEの標準偏差)を着色性の評価とし
た。なお、ΔE=(L2+a2+b21/2で表される。 (6)曲げ強度 JIS−K7055(ガラス繊維強化プラスチックの曲
げ試験方法)に準じて、東洋精機(株)製オートグラフ
を用いて成形品の曲げ試験を行った。 (7)耐熱水性 成形品片面を95℃の熱水に1000時間つけた後、成
形品の表面の状態を目視にて観察し、下記に示す3つに
分類した。
【0086】 ◎:ふくれ、白化が見られない。 ○:ふくれは見られないが、やや白化が見られる。 ×:ふくれ及び白化が顕著に見られる。
【0087】なお、参考例、実施例及び比較例及び表1
から表4における略号は以下に示す通りである。 DEGEAc:酢酸ジエチレングリコールモノエチルエ
ーテル〔和光純薬(株)製試薬特級〕 MA:アクリル酸メチル〔和光純薬(株)製試薬特級〕
DMAA:N,N−ジメチルアクリルアミド〔和光純薬
(株)製試薬特級〕 VAc:酢酸ビニル〔信越酢酸ビニル(株)製〕 ITPBE:2−イソプロピルオキシカルボニルオキシ
−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’
−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニ
ル)エタンと2−イソプロピルオキシカルボニルオキシ
−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’
−ピペリジニルオキシ)−1−(3’−ビニルフェニ
ル)エタン、2−イソプロピルオキシカ ルボニルオキ
シ−1−(4’−ヒドロキシ−2’,2’,6’,6’
−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−
(4’−ビニルフェニル)エタンの混合物〔日本油脂
(株)製〕 HTPBEOH:2−(4’−ヒドロキシ−2’,
2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニル
オキシ)−2−(4’−ビニルフェニル)エタノールと
2−(4’−ヒドロキシ−2’,2’,6’,6’−テ
トラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−2−(3’
−ビニルフェニル)エタノールの混合物〔日本油脂
(株)製〕 MPTPE:2−(2’−メタクリロイルオキシエチル
オキシカルボニルオキシ)−1−フェニル−1−
(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペ
リジニルオキシ)エタン〔日本油脂(株)製〕 APTPE:2−(2’−アリルオキシエチルオキシカ
ルボニルオキシ)−1−フェニル−1−(2’,2’,
6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキ
シ)エタン〔日本油脂(株)製〕 CPTPE:2−(シンナモイルオキシ)−1−フェニ
ル−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−
1’−ピペリジニルオキシ)エタン〔日本油 脂(株)
製〕 IPF:t−ブチルペルオキシイソプロピルフマレート
〔日本油脂(株)製〕 b−PV:t−ブチルペルオキシピバレート〔日本油脂
(株)製〕 α−MSD:αメチルスチレンダイマー〔日本油脂
(株)製〕 St:スチレン〔三菱化学(株)製〕 CMSt:クロロメチルスチレン〔和光純薬(株)製試
薬特級〕 PVAc:ポリ酢酸ビニル〔商品名LPS−40AC;
ユニオンカーバイド (株)製〕 PSt:ポリスチレン〔商品名ダイヤレックスHF-7
7;三菱化学(株)製〕 SBS:スチレン−ポリブタジエンブロック共重合体
〔商品名クレイトンD1102;シェル化学(株)製〕 SEBS:スチレン−水添ポリブタジエンブロック共重
合体〔商品名グレイトンG1726;シェル化学(株)
製〕 SV10B:スチレン−酢酸ビニルブロック共重合体
〔商品名モディパーSV10B;日本油脂(株)製〕 〔グラフト共重合体の製造〕 (実施例1)温度計、窒素導入管、撹拌機及びコンデン
サーを備えた100mlの4つ口フラスコに、溶媒とし
てDEGEAc89.8部を入れ、溶媒及び容器内の空
間部を窒素ガスで十分に置換した。溶媒を65℃に加熱
し、窒素気流下攪拌しながら、MA44.9部(0.5
2mol)、ITPBE5.1部(0.013mo
l)、α−MSD1.0部、DEGEAc21.8部及
び重合開始剤としてb−PV5.1部の混合物を15分
毎に8回に分けて添加した。添加終了後、65℃で4時
間、さらに85℃で1時間重合を行った。
【0088】ガスクロマトグラフィ及びGPC分析の結
果、MA及びITPBEの共重合体への転化率は100
%であり、固形分30%(50部)のアルコキシアミン
含有高分子共重合体を含むDEGEAc溶液を得た。ま
た、その数平均分子量は3.3万、重量平均分子量は
6.1万であった。
【0089】その後、4つ口フラスコ内にSt166.
8部を仕込み、窒素を導入しながら、攪拌下125℃で
3時間重合を行った。得られた溶液をエタノール100
0部に滴下して、グラフト共重合体の再沈殿を行った。
この精製作業を再度繰り返して行い、未反応のStを取
り除いた後、得られたグラフト共重合体を30℃で24
時間減圧下に放置し、乾燥させた。
【0090】得られたグラフト共重合体は98.6gで
あり、ガスクロマトグラフィ及びGPC分析の結果、S
tの転化率は30.1%(グラフト共重合体中のMAと
ITPBEの共重合体総重量に対するSt重合体の重量
比率が50:50)、また数平均分子量、重量平均分子
量がそれぞれ3.3万、6.0万であった。またグラフ
ト化効率は98.3%であった。これらの結果を表1に
示した。
【0091】(実施例2〜11)アルコキシアミン含有
エチレン性不飽和単量体(a)、エチレン性不飽和単量
体(b)、スチレン系単量体(c)を表1〜表6に示す
ように変更した以外はすべて実施例1と同様にしてグラ
フト共重合体を製造した。
【0092】なお、実施例1〜11で得られたグラフト
共重合体は、それぞれ固形分が30%となるようにスチ
レンで希釈され、スチレン分散液として各実施例に供し
た。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
【表3】
【0096】
【表4】
【0097】
【表5】
【0098】
【表6】 〔比較用低収縮剤の製造〕 (比較例1)PVAcを固形分が30%となるようにS
tに溶解し、比較用低収縮剤とした。
【0099】(比較例2)PStを固形分が30%とな
るようにStに溶解し、比較用低収縮剤とした。 (比較例3)比較参考例2及び3で得られた固形分30
%のスチレン溶液を等重量比で混合し、比較用低収縮剤
とした。
【0100】(比較例4)温度計、窒素導入管、撹拌機
及びコンデンサーを備えた100mlの4つ口フラスコ
に、溶媒としてメチルエチルケトン89.8部を入れ、
溶媒及び容器内の空間部を窒素ガスで十分に置換した。
溶媒を65℃に加熱し、窒素気流下攪拌しながら、MA
50部、α−MSD1部、メチルエチルケトン21.8
部及び重合開始剤として5.1部b−PVの混合物を1
5分毎に8回に分けて添加した。添加終了後、65℃で
4時間、さらに85℃で1時間重合を行った。
【0101】ガスクロマトグラフィ及びGPC分析の結
果、MAの共重合体への転化率は99.8%であり、固
形分30%(50部)のPMAを含むメチルエチルケト
ン溶液を得た。また、その数平均分子量は4.6万、重
量平均分子量は11.6万であった。得られた溶液をエ
タノール1000部に滴下して、PMAの再沈殿を行っ
た。この精製作業を再度繰り返して行い、未反応のMA
を取り除いた後、得られたPMAを30℃で24時間減
圧下に放置し、乾燥させた。
【0102】(比較例5)温度計、窒素導入管、撹拌機
及びコンデンサーを備えた100mlの4つ口フラスコ
に、溶媒としてメチルエチルケトン89.8部を入れ、
溶媒及び容器内の空間部を窒素ガスで十分に置換した。
溶媒を65℃に加熱し、窒素気流下攪拌しながら、DM
AA50部、α−MSD1部、メチルエチルケトン2
1.8部及び重合開始剤として5.1部b−PVの混合
物を15分毎に8回に分けて添加した。添加終了後、6
5℃で4時間、さらに85℃で1時間重合を行った。
【0103】ガスクロマトグラフィ及びGPC分析の結
果、DMAAの転化率は99.7%であり、固形分30
%(50部)のPDMAAを含むメチルエチルケトン溶
液を得た。また、その数平均分子量は3.4万、重量平
均分子量は10.1万であった。得られた溶液をエタノ
ール1000部に滴下して、PDMAAの再沈殿を行っ
た。この精製作業を再度繰り返して行い、未反応のDM
AAを取り除いた後、得られたPDMAAを30℃で2
4時間減圧下に放置し、乾燥させた。
【0104】(比較例6)温度計、窒素導入管、撹拌機
及びコンデンサーを備えた100mlの4つ口フラスコ
に、溶媒としてDEGEAc89.8部を入れ、溶媒及
び容器内の空間部を窒素ガスで十分に置換した。溶媒を
65℃に加熱し、窒素気流下攪拌しながら、VAc45
部、IPF5部、DEGEAc21.8部及び重合開始
剤としてb−PV5.1部の混合物を15分毎に8回に
分けて添加した。添加終了後、65℃で4時間、さらに
85℃で1時間重合を行った。
【0105】ガスクロマトグラフィ及びGPC分析の結
果、VAc及びIPFの共重合体への転化率は99.8
%であり、固形分30%(50部)の過酸化物含有高分
子共重合体を含むDEGEAc溶液を得た。また、その
数平均分子量は5.5万、重量平均分子量は14.3万
であった。
【0106】その後、4つ口フラスコに内にSt50
部、DEGEAc116.7gを仕込み、窒素を導入し
ながら、攪拌下110℃で12時間重合を行った。得ら
れた溶液をエタノール1000部に滴下して、グラフト
共重合体の再沈殿を行った。この精製作業を再度繰り返
して行い、未反応のStを取り除いた後、得られたグラ
フト共重合体を30℃で24時間減圧下に放置し、乾燥
させた。
【0107】得られたグラフト共重合体は99.1部で
あり、ガスクロマトグラフィ及びGPC分析の結果、S
tの転化率は99.8%(グラフト共重合体中のVAc
とIPFの共重合体総重量に対するSt重合体の重量比
率が50:50)、また数平均分子量、重量平均分子量
がそれぞれ6.6万、17.8万であった。またグラフ
ト化効率は48.1%であった。これらの結果を表7に
示した。
【0108】なお、比較例4〜6で得られた重合体及び
グラフト共重合体は、それぞれ固形分が30%となるよ
うにスチレンで希釈され、スチレン分散液として各比較
例に供した。
【0109】
【表7】 〔熱硬化性樹脂の製造〕 (参考例1)マレイン酸116重量部及びプロピレング
リコール76重量部を用いて公知の方法で重縮合させて
得た不飽和ポリエステルをスチレンで希釈して固形分が
65%となるように調製し、不飽和ポリエステル樹脂を
製造した。 〔熱硬化性樹脂組成物の調製及びその性能評価〕 (実施例12〜22)参考例1で得られた不飽和ポリエ
ステル樹脂60部、実施例1〜11で得られたグラフト
共重合体のスチレン分散液40部を混合し、脱気を行っ
た熱硬化性樹脂組成物の長期貯蔵安定性試験を測定し
た。また、これらの結果を表8に示した。
【0110】その後、参考例1で得られた不飽和ポリエ
ステル樹脂60部、実施例1〜11で得られたグラフト
共重合体のスチレン分散液40部に固形分50%の黒色
顔料ペースト〔住化カラー(株)製、商品名:ブラック
KR−8A1062〕5部、t−ブチルペルオキシベン
ゾエート〔日本油脂(株)製、商品名:パーブチルZ〕
1部、炭酸カルシウム〔日東粉化工業(株)製、商品
名:NS−100〕140部、パラベンゾキノン〔和光
純薬(株)製、試薬特級〕0.05部、ステアリン酸亜
鉛〔日本油脂(株)製、商品名:ジンクステ〕5部、酸
化マグネシウム〔協和化学工業(株)製、商品名:協和
マグ#100〕1部を撹拌機で15分間混合し、ペース
トを作成した。
【0111】そのペーストをニーダーに移し、ガラス繊
維〔6mmチョップドストランドマット;日本ガラス繊
維(株)製、商品名:EM450G−1〕を内割りで1
0重量%となるように添加し、ニーダーで5分間混合し
た。
【0112】この混練物をポリエチレンフィルムでシー
ト状にはさみ、ロールにて押圧し一体化した。この一体
化物を40℃の雰囲気下に24時間放置し、SMCを作
成した。得られたSMCを100トンプレスを用い、金
型温度145℃/130℃(下型/上型)、10MPa
の成形圧力で4分間圧縮成形し、150mm×100m
m×4mmの平板状の黒色成形品を得た。
【0113】この成形品を用いて、表面光沢性、着色
性、機械的強度を評価した。また得られたSMCを同じ
成形温度温度、圧力にて5分間圧縮成形し、100mm
φ×5mmの円盤状の黒色成形品を得た。この成形品を
用いて低収縮性を評価し、その結果を表8に示した。
【0114】(実施例23)不飽和ポリエステル樹脂6
0部を90部に、実施例2で得られたグラフト共重合体
のスチレン分散液40部を10部に変更した以外は全て
実施例13に準じて行い、その結果を表8に示した。
【0115】(実施例24)不飽和ポリエステル樹脂6
0部を50部に、実施例2で得られたグラフト共重合体
のスチレン分散液40部を固形分40%のグラフト共重
合体のスチレン分散液50部に変更した以外は全て実施
例13に準じて行い、その結果を表8に示した。
【0116】(実施例25)実施例2で得られたグラフ
ト共重合体のスチレン分散液40部を1部に変更し、さ
らに熱可塑性樹脂としてPStを40部加える以外は全
て実施例13に準じて行い、その結果を表8に示した。 (実施例26〜28)実施例2で得られたグラフト共重
合体のスチレン分散液及び熱可塑性樹脂を、表8に示し
たように変更した以外は全て実施例25に準じて行い、
その結果を表8に示した。
【0117】
【表8】 (比較例7〜12)実施例12において、実施例1で得
られたグラフト共重合体のスチレン分散液を比較例1〜
6で得られた比較低収縮剤の固形分30%スチレン分散
液に変更した以外は全て実施例12に準じて行い、その
結果を表9に示した。
【0118】
【表9】 なお、表8及び表9において、グラフト共重合体、低収
縮剤及び熱可塑性樹脂の欄の*は熱硬化性樹脂組成物
〔熱硬化性樹脂、エチレン性不飽和単量体(a)、グラ
フト共重合体及び熱可塑性樹脂混合物〕中におけるそれ
ぞれの重量比率を表す。
【0119】表8及び表9に示すように、実施例1〜2
8の熱硬化性樹脂用グラフト共重合体、熱硬化性樹脂用
グラフト共重合体組成物、熱硬化性樹脂組成物及び熱硬
化性樹脂組成物の硬化物は以下に示すような効果を発現
できることがわかった。
【0120】すなわち、実施例1〜28の熱硬化性樹脂
用グラフト共重合体、熱硬化性樹脂用グラフト共重合体
組成物、熱硬化性樹脂組成物及び熱硬化性樹脂組成物の
硬化物は、比較例1〜5、比較例7〜11に示すグラフ
ト共重合体でない公知の低収縮剤、熱硬化性樹脂組成物
及び熱硬化性樹脂組成物の硬化物と比較して、熱硬化性
樹脂組成物硬化物の高い低収縮性、表面性、着色性、機
械特性及び耐熱水性を保ちながら、熱硬化性樹脂組成物
の貯蔵安定性に優れている。
【0121】また、実施例1〜28の熱硬化性樹脂用グ
ラフト共重合体、熱硬化性樹脂用グラフト共重合体組成
物、熱硬化性樹脂組成物及び熱硬化性樹脂組成物の硬化
物は、比較例6及び12に示す過酸化物含有エチレン性
不飽和単量体を用いて製造されるグラフト共重合体、グ
ラフト共重合体組成物、熱硬化性樹脂組成物及び熱硬化
性樹脂組成物の硬化物と比較して、グラフト化効率が高
く、かつグラフト共重合体の分子量分布(分散度)が狭
い。このため、熱硬化性樹脂組成物硬化物の高い低収縮
性、表面特性、機械特性及び耐熱水性を保ちながら、特
に樹脂組成物の貯蔵安定性及びその硬化物の着色性に優
れている。
【0122】なお、前記実施形態より把握される技術的
思想について以下に記載する。 ・ 前記第2の工程において、アルコキシアミンが分解
する温度は100〜180℃である請求項2から請求項
4のいずれかに記載の熱硬化性樹脂用グラフト共重合
体。このように構成した場合、アルコキシアミンの分解
が速やかに行われ、重合を短時間で効率良く行うことが
できる。
【0123】・ 前記熱可塑性樹脂は、ポリスチレン系
重合体である請求項6に記載の熱硬化性樹脂用グラフト
共重合体組成物。このように構成した場合、得られる熱
硬化性樹脂硬化物の低収縮性、表面特性、機械特性及び
耐熱水性を向上させることができる。
【0124】
【発明の効果】以上記述したようにこの発明によれば、
次のような優れた効果が発揮される。第1の発明の熱硬
化性樹脂用グラフト共重合体によれば、それを含有する
樹脂組成物の均一分散性と貯蔵安定性が良好で、その樹
脂組成物から得られる硬化物の低収縮性、表面特性及び
耐熱水性に優れ、しかもその硬化物の顔料分散性や機械
的強度に優れている。
【0125】第2の発明の熱硬化性樹脂用グラフト共重
合体によれば、グラフト共重合体の製造方法を特定する
ことによって、第1の発明の効果に加え、グラフト共重
合体のグラフト化効率が高く、性能の発現がより効果的
で、かつ製造方法が簡便である。
【0126】第3又は第4の発明の熱硬化性樹脂用グラ
フト共重合体によれば、グラフト共重合体を形成するア
ルコキシアミン含有エチレン性不飽和単量体(a)又は
エチレン性不飽和単量体(b)を特定することによっ
て、第2の発明の効果をより確実に発揮させることがで
きる。
【0127】第5の発明の熱硬化性樹脂用グラフト共重
合体組成物によれば、熱硬化性樹脂用グラフト共重合体
に熱硬化性樹脂と共重合が可能なエチレン性不飽和単量
体(d)を含有することによって、熱硬化性樹脂への混
合が容易となるため、第1から第4のいずれかの発明の
効果に加え、得られる熱硬化性樹脂組成物の均一性が高
くなり、結果として性能の発現がより効果的で、かつ樹
脂組成物の製造が容易となる。
【0128】第6の発明の熱硬化性樹脂用グラフト共重
合体組成物によれば、熱硬化性樹脂用グラフト共重合体
又は熱硬化性樹脂用グラフト共重合体組成物に熱可塑性
樹脂を含有することによって、第1から第5のいずれか
の発明の効果に加え、性能の発現がより効果的で、かつ
経済的な樹脂組成物の製造が容易となる。
【0129】第7の発明の熱硬化性樹脂組成物によれ
ば、第5又は第6の発明の熱硬化性樹脂用グラフト共重
合体組成物に熱硬化性樹脂を混合することにより、熱硬
化性樹脂組成物を容易に得ることができる。
【0130】第8の発明の熱硬化性樹脂組成物によれ
ば、熱硬化性樹脂組成物に着色染顔料を含有することに
よって、第7の発明の効果に加え、特に熱硬化性樹脂組
成物硬化物の着色性が向上する。
【0131】第9の発明の熱硬化性樹脂組成物によれ
ば、熱硬化性樹脂組成物に充填剤を含有することによっ
て、第7又は第8の発明の効果に加え、特に熱硬化性樹
脂組成物硬化物の低収縮性、表面特性及び機械的特性が
向上する。
【0132】第10の発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化
物によれば、第7から第9のいずれかの発明の熱硬化性
樹脂組成物に硬化剤を混合し、加熱硬化することによ
り、硬化物を容易に得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 101/00 C08L 101/00 (72)発明者 氏川 典久 愛知県知多郡武豊町字六貫山3丁目76番地 2 Fターム(参考) 4J002 AA01X AA02Y AH00U BC03X BF05Y BN11W BN12W BN20W BN21W BP01X BP03X CD20Y CF21Y CF22Y CH05Z DE078 DE148 DE238 DG048 DJ018 DJ038 DJ048 DL008 EA046 EB126 EH076 EH106 EH126 EH146 EK019 EK039 EK049 EK059 EK069 EK089 EL036 EN026 ER006 FA088 FD018 FD097 FD149 4J026 AA20 AA31 AA37 AA38 AA43 AA45 AA47 AA48 AA50 AC15 BA05 BA07 BA08 BA19 BA20 BA22 BA27 BA28 BA29 BA30 BA31 BA36 BA50 DA10 DA12 DA15 DA16 DB32 DB40 GA01 GA09 GA10

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルコキシアミン含有エチレン性不飽和
    単量体(a)及びエチレン性不飽和単量体(b)から形
    成された共重合体を幹成分とするセグメントと、スチレ
    ン系単量体(c)から形成された重合体又は共重合体を
    枝成分とするセグメントとよりなることを特徴とする熱
    硬化性樹脂用グラフト共重合体。
  2. 【請求項2】 アルコキシアミン含有エチレン性不飽和
    単量体(a)、エチレン性不飽和単量体(b)及びラジ
    カル重合開始剤を、そのラジカル重合開始剤が分解し、
    かつアルコキシアミン含有エチレン性不飽和単量体
    (a)のアルコキシアミンが実質的に分解しない条件下
    で重合させてアルコキシアミン含有共重合体を得る第1
    の工程と、前記アルコキシアミン含有共重合体にスチレ
    ン系単量体(c)を混合し、アルコキシアミンが分解す
    る温度でグラフト共重合体を形成する第2の工程とによ
    って得られることを特徴とする熱硬化性樹脂用グラフト
    共重合体。
  3. 【請求項3】 アルコキシアミン含有エチレン性不飽和
    単量体(a)が下記一般式(1)、(2)、(3)及び
    (4)で表される単量体の少なくとも1種の単量体であ
    る請求項1又は請求項2記載の熱硬化性樹脂用グラフト
    共重合体。 【化1】 (式中、R1は未置換又は環に置換基を有するフェニレ
    ン基を表す。R2は水素、炭素数4〜8の第三級アルキ
    ル基、ベンゾイル基、メチルベンゾイル基又はR9OC
    (=O)−基であり、ここでR9は炭素数1〜12の直
    鎖若しくは分岐のアルキル基又はアルコキシアルキル
    基、あるいは未置換又は環に置換基を有するシクロアル
    キル基を表す。R3〜R8はそれぞれ独立に選択される炭
    素数1〜4の直鎖若しくは分岐のアルキル基又はR5
    8が連結した炭素数が4〜10の環式構造である。但
    し、環式構造の場合には、未置換又はアルキル基、ヒド
    ロキシ基、アセトキシル基、ベンゾイルオキシ基、メト
    キシ基若しくはオキソ基により置換されたものである。
    10は水素又はメチル基を示す。) 【化2】 (式中、R10は水素又はメチル基を表す。nは0から2
    の整数を表す。R11及びR12は同一又は異なるものであ
    り、水素、メチル基、フェニル基、シアノ基、アルコキ
    シカルボニル基及びアセトキシル基から選ばれる。R3
    〜R8はそれぞれ独立に選択される炭素数1〜4の直鎖
    若しくは分岐のアルキル基又はR5とR8が連結した炭素
    数が4〜12の環式構造である。但し、環式構造の場合
    には、未置換又はアルキル基、ヒドロキシ基、アセトキ
    シル基、ベンゾイルオキシ基、メトキシ基若しくはオキ
    ソ基により置換されたものである。) 【化3】 (式中、R10は水素又はメチル基を表す。nは0から2
    の整数を表す。R11及びR12は同一又は異なるものであ
    り、水素、メチル基、フェニル基、シアノ基、アルコキ
    シカルボニル基及びアセトキシル基から選ばれる。R3
    〜R8はそれぞれ独立に選択される炭素数1〜4の直鎖
    若しくは分岐のアルキル基又はR5とR6が連結した炭素
    数が4〜12の環式構造である。但し、環式構造の場合
    には、未置換又はアルキル基、ヒドロキシ基、アセトキ
    シル基、ベンゾイルオキシ基、メトキシ基若しくはオキ
    ソ基により置換されたものである。) 【化4】 (式中、R13は未置換又は環にメチル基を有するフェニ
    ル基を表す。R11及びR 12は同一又は異なるものであ
    り、水素、メチル基、フェニル基、シアノ基、アルコキ
    シカルボニル基及びアセトキシル基から選ばれる。R3
    〜R8はそれぞれ独立に選択される炭素数1〜4の直鎖
    若しくは分岐のアルキル基又はR5とR6が連結した炭素
    数が4〜12の環式構造である。但し、環式構造の場合
    には、未置換又はアルキル基、ヒドロキシ基、アセトキ
    シル基、ベンゾイルオキシ基、メトキシ基若しくはオキ
    ソ基により置換されたものである。)
  4. 【請求項4】 エチレン性不飽和単量体(b)が下記一
    般式(5)、(6)、及び(7)で表される単量体の少
    なくとも1種の単量体である請求項1から請求項3のい
    ずれかに記載の熱硬化性樹脂用グラフト共重合体。 【化5】 (式中、R10は水素又はメチル基を表す。R14は水素又
    は炭素数1〜4の未置換或いは水酸基、アミノ基、グリ
    シジル基又はイソシアネート基が置換された直鎖若しく
    は分岐のアルキル基を表す。) 【化6】 (式中、R10は水素又はメチル基を表す。R15及びR16
    は同一又は異なるものであり、水素、メチル基又はエチ
    ル基から選ばれる。) 【化7】 (式中、R17は炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐のア
    ルキル基又はフェニル基を表す。)
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項4のいずれかに記載
    の熱硬化性樹脂用グラフト共重合体と、熱硬化性樹脂と
    共重合が可能なエチレン性不飽和単量体(d)とからな
    る熱硬化性樹脂用グラフト共重合体組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1から請求項4のいずれかに記載
    の熱硬化性樹脂用グラフト共重合体又は請求項5に記載
    の熱硬化性樹脂用グラフト共重合体組成物と、熱可塑性
    樹脂とからなる熱硬化性樹脂用グラフト共重合体組成
    物。
  7. 【請求項7】 請求項5又は請求項6に記載の熱硬化性
    樹脂用グラフト共重合体組成物に、さらに熱硬化性樹脂
    を含有する熱硬化性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の熱硬化性樹脂組成物
    に、さらに着色染顔料を含有する熱硬化性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 請求項7又は請求項8に記載の熱硬化性
    樹脂組成物に、さらに充填剤を含有する熱硬化性樹脂組
    成物。
  10. 【請求項10】 請求項7から請求項9のいずれかに記
    載の熱硬化性樹脂組成物に硬化剤を混合し、加熱硬化す
    ることにより得られる熱硬化性樹脂組成物の硬化物。
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