JP2000327894A - 制振用不飽和ポリエステル樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

制振用不飽和ポリエステル樹脂組成物及びその硬化物

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JP2000327894A
JP2000327894A JP11143121A JP14312199A JP2000327894A JP 2000327894 A JP2000327894 A JP 2000327894A JP 11143121 A JP11143121 A JP 11143121A JP 14312199 A JP14312199 A JP 14312199A JP 2000327894 A JP2000327894 A JP 2000327894A
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unsaturated polyester
vibration damping
polyester resin
meth
resin composition
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JP11143121A
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Shinya Hikita
真也 疋田
Katsuki Taura
克樹 田浦
Norihisa Ujigawa
典久 氏川
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 制振性能を広い温度領域で十分に発揮するこ
とができる制振用不飽和ポリエステル樹脂組成物及びそ
の硬化物を提供する。 【解決手段】 振動や騒音を抑制するための制振用不飽
和ポリエステル樹脂組成物は、不飽和ポリエステル、不
飽和ポリエステルと共重合可能なエチレン性不飽和単量
体及びグラフト共重合体よりなる。このグラフト共重合
体は熱可塑性エラストマーからなるセグメント(A)
と、(メタ)アクリル酸エステルの(共)重合体からな
るセグメント(B)とよりなる。前記(メタ)アクリル
酸エステル(共)重合体の溶解度パラメータ(SP)が
フェドーズの式による計算値で8以上であり、ガラス転
移温度が25℃以下であることが好ましい。グラフト共
重合体は、グラフト化前駆体を溶融下に混練して得るこ
とが望ましい。この不飽和ポリエステル樹脂組成物を加
熱硬化することによって制振用の成型品が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、制振用不飽和ポ
リエステル樹脂組成物及びそれを加熱硬化してなり、振
動や騒音を抑制(以下、制振と略記する)する性能を広
い温度範囲で付与できる硬化物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】制振材料としては、一般的にゴム・エラ
ストマー等のガラス転移温度(以下、Tgと略記する)
が低く、常温でゴム状である高分子材料が使用される。
これらの高分子材料は弾性と粘性の両方の性質をもち、
外部から受けた振動エネルギーを熱エネルギーに変換す
ることにより制振性能を発現している。
【0003】制振材料を使用するに当たっては、前記高
分子材料単独では強度が不十分であるため、鋼板に塗布
する制振塗料や制振材料を鋼板と鋼板の間に挟み込んだ
制振鋼板等の鋼板との複合材料の形で実用化されてい
る。
【0004】一方、不飽和ポリエステル樹脂をマトリッ
クス樹脂とするシートモールディングコンパウンド(以
下、SMCと略記する)又はバルクモールディングコン
パウンド(以下、BMCと略記する)は成型性に優れて
いること、そしてその成型物は鋼板より軽量で機械的強
度、耐熱性及び寸法安定性に優れる材料である。このた
め、そのようなSMCやBMCは自動車、住宅設備用途
で広く使用されているが、一般のSMCやBMCから成
型される成型品の制振性能は高くない。即ち、一般的な
SMC成型物のTgは160℃以上であるため要求温度
領域(25〜100℃)では制振特性に乏しい状態にあ
る。
【0005】そこで、Tgを要求温度領域にするため
に、Tgの高いビニルエステル樹脂とTgの低い不飽和
ポリエステル樹脂をブレンドし、要求温度領域での制振
性能を向上させる試み〔Soc. Automot. Eng., [Spe
c.Publ.]SP(1996)〕やフィラー等をブレンドしてT
gを低減させる試み〔Kunststoffe (1988)〕がなされ
てきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、制振塗
料を用いることにより施工時のロボット化及び無人化が
可能となるが、鋼板に塗布された制振塗料の塗膜が薄い
ことから、制振性能が十分に発揮されない。また、制振
鋼板の場合、制振材料の厚みを一定以上にしなければ制
振性能を十分に発揮することができないなどの問題があ
った。
【0007】さらに、Tgの高いビニルエステル樹脂と
Tgの低い不飽和ポリエステル樹脂をブレンドする方法
やフィラー等をブレンドする方法のいずれも、両樹脂の
特性により依然として制振特性が付与される温度領域が
狭いなどの問題があった。
【0008】この発明は上記のような従来技術の問題点
に着目してなされたものである。その目的とするところ
は、制振性能を広い温度領域で十分に発揮することがで
きる制振用不飽和ポリエステル樹脂組成物及びその硬化
物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明における第1の発明の制振用不飽和ポリ
エステル樹脂組成物は、不飽和ポリエステル、不飽和ポ
リエステルと共重合が可能なエチレン性不飽和単量体及
びグラフト共重合体よりなり、前記グラフト共重合体が
熱可塑性エラストマーを構成部分とするセグメント
(A)と、(メタ)アクリル酸エステルの重合体又は共
重合体を構成部分とするセグメント(B)とからなるも
のである。
【0010】第2の発明の制振用不飽和ポリエステル樹
脂組成物は、第1の発明において、前記(メタ)アクリ
ル酸エステル重合体又は共重合体の溶解度パラメータ
(SP)がフェドーズの式による計算値で8以上であ
り、ガラス転移温度(Tg)が25℃以下であるもので
ある。
【0011】第3の発明の制振用不飽和ポリエステル樹
脂組成物は、第1又は第2の発明において、前記グラフ
ト共重合体は、過酸化物結合を有するエチレン性不飽和
単量体、ラジカル重合開始剤及び(メタ)アクリル酸エ
ステル単量体を熱可塑性エラストマーに加えて含浸させ
る第1の工程と、前記ラジカル重合開始剤が分解し、か
つ前記過酸化物結合を有するエチレン性不飽和単量体の
過酸化物結合が実質的に分解しない条件下で、過酸化物
結合を有するエチレン性不飽和単量体と(メタ)アクリ
ル酸エステル単量体を熱可塑性エラストマー中で共重合
させてグラフト化前駆体を得る第2の工程と、前記グラ
フト化前駆体を過酸化物結合を有するエチレン性不飽和
単量体に由来する過酸化物結合が分解する温度で溶融下
に混練してグラフト共重合体を形成する第3の工程とに
より得ることができるものである。
【0012】第4の発明の制振用不飽和ポリエステル樹
脂硬化物は、第1から第3のいずれかの発明の制振用不
飽和ポリエステル樹脂組成物を加熱硬化してなるもので
ある。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態につい
て詳細に説明する。制振用不飽和ポリエステル樹脂組成
物は、不飽和ポリエステル、不飽和ポリエステルと共重
合が可能なエチレン性不飽和単量体及びグラフト共重合
体より構成されている。グラフト共重合体は熱可塑性エ
ラストマーを構成部分とするセグメント(A)と、(メ
タ)アクリル酸エステル〔この明細書では、アクリルと
メタクリルを(メタ)アクリルと総称する〕の重合体又
は共重合体〔以下、(共)重合体という〕を構成部分と
するセグメント(B)とからなっている。
【0014】上記不飽和ポリエステルは、通常の不飽和
ポリエステルアルキッドであり、α, β−不飽和二塩基
酸(その無水物を含む)と飽和二塩基酸(その無水物を
含む)との混合物と、多価アルコール類との通常のエス
テル化反応により製造される。この不飽和ポリエステル
としては、低反応性の不飽和ポリエステルから高反応性
の不飽和ポリエステルまで特に限定されない。
【0015】不飽和ポリエステルの配合割合は、制振用
不飽和ポリエステル樹脂組成物中、通常6〜70重量
%、好ましくは8〜60重量%である。不飽和ポリエス
テルが6重量%未満では得られる硬化物の機械強度が低
下し、70重量%を越えると粘度が高くなって実用的な
制振用不飽和ポリエステル樹脂組成物とはならない。
【0016】ここで、α、β−不飽和二塩基酸として
は、例えばマレイン酸、フマル酸、メサコン酸、テトラ
コン酸、イタコン酸(それぞれの無水物を含む)等が挙
げられる。また、飽和二塩基酸としては、例えば無水フ
タル酸、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル
酸、テトラヒドロフタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、
ヘット酸、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸等が挙げ
られる。
【0017】さらに、前記二塩基酸との縮合反応により
エステルを形成する多価アルコール類としては、例えば
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチ
レングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレン
グリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコ
ール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタ
ノール等のジオール類、水素化ビスフェノールA、ビス
フェノールAにプロピレンオキシド等の付加したグリコ
ール類の他、例えばトリメチロールプロパン等のトリオ
ール類等を挙げることができる。
【0018】次に、不飽和ポリエステルと共重合が可能
なエチレン性不飽和単量体(以下、モノマーAと略記す
る)としては、単官能のスチレン、ビニルトルエン、α
−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレ
ン等のスチレン誘導体、アクリル酸又はメタクリル酸の
アルキルエステル類、酢酸ビニル等の不飽和ビニルエス
テル類、また多官能のo−,m−,p−ジビニルベンゼ
ンなどのスチレン誘導体、エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、
1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネ
オペンチルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプ
ロパントリ(メタ)アクリレート等のジ及びトリ(メ
タ)アクリレート類、ジアリルフタレート類が使用され
る。
【0019】これらは一種又は二種以上を混合して使用
することができるが、特に不飽和ポリエステル樹脂の希
釈剤として通常用いられているスチレン誘導体、特にス
チレンが好ましい。
【0020】上記したモノマーAの配合割合は制振用不
飽和ポリエステル樹脂組成物中、通常6〜70重量%、
好ましくは8〜60重量%である。モノマーAが6重量
%未満では粘度が高くなって実用的な不飽和ポリエステ
ル樹脂とはならず、70重量%を越えると得られる硬化
物の機械強度が低下する。
【0021】次に、グラフト共重合体は熱可塑性エラス
トマーを構成部分とするセグメント(A)と、(メタ)
アクリル酸エステルの(共)重合体を構成部分とするセ
グメント(B)とからなっている。
【0022】セグメント(A)の構造部分となる熱可塑
性エラストマーとしては、スチレンに溶解するものが好
ましく使用できる。例えば、スチレン−ブタジエン−ス
チレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプ
レン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン
−水素添加ブタジエン−スチレンブロック共重合体(S
EBS)、スチレン−水素添加イソプレン−スチレンブ
ロック共重合体(SEPS)等のスチレン系熱可塑性エ
ラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー或いは
ウレタン系エラストマー等が挙げられる。これらのう
ち、不飽和ポリエステルに対するグラフト共重合体の相
溶性を高めて前記硬化物の表面性を向上させることがで
きる点から、スチレン系エラストマーが好ましい。
【0023】また、これらの一種類を単独で使用しても
良いし、二種類以上を混合して使用しても良い。セグメ
ント(B)は(メタ)アクリル酸エステルの一種又は二
種以上の重合又は共重合により形成され、(メタ)アク
リル酸エステルの中では炭素数1〜24のアルキル基を
有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
【0024】具体的に例示すると、例えばアクリル酸メ
チル(フェドーズの式により計算される単独重合体の溶
解度パラメータであるSP;8.9、単独重合体のガラ
ス転移温度であるTg;10℃、以下同様に略記す
る)、アクリル酸エチル(SP;8.9、Tg;−24
℃)、アクリル酸プロピル(SP;8.8Tg;−37
℃)アクリル酸ブチル(SP;8.8、Tg;−54
℃)、アクリル酸ヘプチル(SP;8.8、Tg;−3
8℃)、アクリル酸ヘキシル(SP;8.8、Tg;−
57℃)、アクリル酸オクチル(SP;8.7、Tg;
−65℃)、アクリル酸ノニル(SP;8.7、Tg;
−58℃)、アクリル酸2−エチルヘキシル(SP;
8.6、Tg;−50℃)、アクリル酸ドデシル(S
P;8.7、Tg;−3℃)、メタクリル酸ブチル(S
P;8.8、Tg;20℃)、メタクリル酸ヘキシル
(SP;8.8、Tg;−5℃)、メタクリル酸オクチ
ル(SP;8.7、Tg;−70℃)、メタクリル酸デ
シル(SP;8.7、Tg;−70℃)、メタクリル酸
ドデシル(SP;8.7、Tg;−65℃)、メタクリ
ル酸ヘキサデシル(SP;8.7、Tg;15℃)等が
挙げられる。
【0025】なお、二種類以上使用する場合のSP及び
Tgは加成性を仮定して各単独重合体のSP及びTgか
ら計算したものとする。前記(メタ)アクリル酸エステ
ルの中では、さらにフェドーズの式により計算される単
独重合体又は(共)重合体の溶解度パラメータであるS
Pが8以上であるものが好ましく、8〜15であるもの
がさらに好ましい。このSPが8未満であると不飽和ポ
リエステル樹脂に対するグラフト共重合体の相溶性が悪
くなるため、グラフト共重合体が成型品表面にブリード
アウトして成型品の表面性が悪化しやすい。
【0026】また、単独重合体のガラス転移温度である
Tgが25℃以下であることが好ましく、―60〜25
℃であることがさらに好ましい。このTgが25℃を越
えると制振性能が不十分となる傾向にある。
【0027】ここで、SP(δ)の計算に用いたフェド
ーズの式とは、下記の一般式で表されるものである。 δ=(△E/V)/2=(Σ△ei/ΣΔvi)/2 式中のΔE、Vはそれぞれ凝集エネルギー密度、モル体
積を、△ei、Δviはそれぞれ原子又は原子団の蒸発エネ
ルギー、モル体積を示す。代表的な原子又は原子団の△
ei、Δviを表1に示した。
【0028】
【表1】 セグメント(A)とセグメント(B)との割合は、セグ
メント(A)又はセグメント(B)が通常1〜99重量
%、好ましくは5〜95重量%の範囲にある。セグメン
ト(A)が99重量%を越えるか、又はセグメント
(B)が1重量%未満であると不飽和ポリエステル樹脂
とグラフト共重合体の相溶性が悪くなる。一方、セグメ
ント(A)が1重量%未満であるか、又はセグメント
(B)が99重量%を越えると制振特性が十分に発揮さ
れない。
【0029】上記セグメント(A)とセグメント(B)
のいずれも重量平均分子量が通常0.5万〜100万の
範囲であり、好ましくは1万〜50万の範囲である。重
量平均分子量をこのような範囲内とすることにより、各
セグメント(A), (B)の製造が容易になる。
【0030】グラフト共重合体の含有量は、制振用不飽
和ポリエステル樹脂組成物中、通常5〜30重量%、好
ましくは15〜25重量%である。この添加量が5重量
%未満では制振特性が十分に発揮されず、30重量%を
越えると粘度が上昇して取り扱いが困難となる傾向にあ
る。
【0031】次に、制振用不飽和ポリエステル樹脂組成
物は、例えばケトンペルオキシド類、ペルオキシケター
ル類、ヒドロペルオキシド類、ジアルキルペルオキシド
類、ジアシルペルオキシド類、ペルオキシジカーボネー
ト類、ペルオキシエステル類等の各種公知の硬化剤を使
用して硬化し、種々用途に使用することができる。
【0032】硬化剤の配合量は、制振用不飽和ポリエス
テル樹脂組成物中通常0.01〜3重量%であり、好ま
しくは0.1〜2重量%である。この配合量が0.01
重量%未満では不飽和ポリエステル樹脂組成物が完全硬
化に至らず、3重量%を越えると硬化速度が速すぎて硬
化物にクラックが入り易くなる。
【0033】制振用不飽和ポリエステル樹脂組成物は、
SMC、BMC等のFRP(繊維強化プラスチック)成
形材料として使用する際には、硬化物の強度及び質感を
高めるため、充填剤を配合することができる。
【0034】この充填剤としては特に限定されるもので
はないが、例えば水酸化アルミニウム、炭酸カルシウ
ム、クレー、アルミナ粉、タルク、ガラス質粉末、ガラ
スビーズ、水酸化マグネシウム、石英粉、硫酸バリウ
ム、木粉等の有機無機微粉末状物質又は例えば砂、砂
利、砕石、珪石、寒水石等の無機質粒状物質等を適宜配
合することができる。
【0035】その配合割合は、制振用不飽和ポリエステ
ル樹脂組成物中、通常10〜90重量%であり、好まし
くは20〜80重量%である。この配合割合が10重量
%未満では硬化物の強度が弱く、90重量%を越えると
粘度が高くなって作業性が悪くなるとともに、硬化物の
強度が弱くなる。
【0036】不飽和ポリエステル樹脂組成物の中には、
さらに必要に応じてステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、
ステアリン酸カルシウム等の内部離型剤、染顔料、模様
剤、補強剤、改質剤、安定剤、紫外線吸収剤、重合調節
剤などを通常の使用範囲内で適宜加えることも可能であ
る。
【0037】前記グラフト共重合体の製造方法として
は、一般に知られている連鎖移動法、電離性放射線照射
法等いずれの方法でも良いが、最も好ましいのは、グラ
フト化前駆体を溶融混練してグラフト共重合体を得る方
法である。なぜなら、グラフト効率が高いため性能の発
現がより効果的であり、かつ製造方法が簡便であるため
である。
【0038】以下にグラフト化前駆体の合成法及びこれ
を溶融混練して前述のグラフト共重合体を得る方法につ
いて具体的に説明する。まず、第1工程として過酸化物
結合を有するエチレン性不飽和単量体、ラジカル重合開
始剤及び前記(メタ)アクリル酸エステル単量体の一種
以上を熱可塑性エラストマーに加えて含浸させる。
【0039】第1工程において過酸化物結合を有するエ
チレン性不飽和単量体としては、公知の過酸化物結合を
有するエチレン性不飽和単量体はすべて使用可能である
が、好ましくは下記一般式(1)〜(3)で示される単
量体が挙げられる。また過酸化物結合を有するエチレン
性不飽和単量体は単独又は二種以上を混合して用いられ
る。その使用量は、(メタ)アクリル酸エステル単量体
100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。
この使用量が0.1重量部未満であるとグラフト効率が
低くなり、10重量部を越えると粘度が高くなって取り
扱いが困難となる傾向にある。
【0040】
【化1】 (式中、R1 は水素原子又はメチル基、R2 は水素原子
又はメチル基、R3 及びR4 は炭素数1〜4のアルキル
基、R5 は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜1
2のシクロアルキル基、フェニル基又はアルキル基置換
フェニル基を表し、nは1〜5を表す)
【0041】
【化2】 (式中、R6 は水素原子又はメチル基、R7 は水素原子
又はメチル基、R8 及びR9 は炭素数1〜4のアルキル
基、R10は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜1
2のシクロアルキル基、フェニル基又はアルキル基置換
フェニル基を表し、nは0〜4を表す)
【0042】
【化3】 (式中、R11は水素原子又はメチル基、R12及びR13
炭素数1〜4のアルキル基、R14は炭素数1〜12のア
ルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、フェニ
ル基又はアルキル基置換フェニル基を表す) 前記一般式(1)で表される過酸化物結合を含有するエ
チレン性不飽和単量体としては、具体的には、t−ブチ
ルペルオキシ(メタ)アクリロイルオキシエチルカーボ
ネート、t−ブチルペルオキシ(メタ)アクリロイルオ
キシエトキシエチルカーボネート、t−ブチルペルオキ
シ(メタ)アクリロイルオキシイソプロピルカーボネー
ト、t−アミルペルオキシ(メタ)アクリロイルオキシ
エチルカーボネート、t−アミルペルオキシ(メタ)ア
クリロイルオキシイソプロピルカーボネート、t−ヘキ
シルペルオキシ(メタ)アクリロイルオキシエチルカー
ボネート、t−オクチルペルオキシ(メタ)アクリロイ
ルオキシエチルカーボネート、クミルペルオキシ(メ
タ)アクリロイルオキシエチルカーボネート、p−イソ
プロピルクミルペルオキシ(メタ)アクリロイルオキシ
エチルカーボネート、p−メンチルペルオキシ(メタ)
アクリロイルオキシエチルカーボネート、1−シクロヘ
キシル−1−メチルエチルペルオキシ(メタ)アクリロ
イルオキシエチルカーボネート等が挙げられる。
【0043】前記一般式(2)で表される過酸化物結合
を含有するエチレン性不飽和単量体としては、具体的に
は、t−ブチルペルオキシ(メタ)アリルカーボネー
ト、t−ブチルペルオキシ(メタ)アリルオキシエチル
カーボネート、t−ブチルペルオキシ(メタ)アリルオ
キシエトキシエチルカーボネート、t−アミルペルオキ
シ(メタ)アリルカーボネート、t−ヘキシルペルオキ
シ(メタ)アリルカーボネート、t−オクチルペルオキ
シ(メタ)アリルカーボネート、クミル(メタ)アリル
カーボネート等が挙げられる。
【0044】前記一般式(3)で表される過酸化物結合
を含有するエチレン性不飽和単量体としては、具体的に
は、t−ブチルペルオキシメチルフマレート、t−ブチ
ルペルオキシエチルフマレート、t−ブチルペルオキシ
−n−フマレート、t−ブチルペルオキシイソプロピル
フマレート、t−ブチルペルオキシ−n−ブチルフマレ
ート、t−ブチルペルオキシ−t−ブチルフマレート、
t−ブチルペルオキシ−n−オクチルフマレート、t−
ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルフマレート、t
−ブチルペルオキシフェニルフマレート、t−ブチルペ
ルオキシ−m−トルイルフマレート、t−ブチルペルオ
キシシクロヘキシルフマレート、t−アミルペルオキシ
−n−プロピルフマレート、t−アミルペルオキシイソ
プロピルフマレート、t−アミルペルオキシ−n−ブチ
ルフマレート、t−アミルペルオキシフェニルフマレー
ト、t−ヘキシルペルオキシエチルフマレート、t−ヘ
キシルペルオキシイソプロピルフマレート、t−ヘキシ
ルペルオキシ−t−ブチルフマレート、t−ヘキシルペ
ルオキシ−2−エチルヘキシルフマレート、t−オクチ
ルペルオキシメチルフマレート、t−オクチルペルオキ
シイソプロピルフマレート、t−オクチルペルオキシ−
n−オクチルフマレート、t−オクチルペルオキシシク
ロヘキシルフマレート、クミルペルオキシイソプロピル
フマレート、p−メンチルペルオキシイソプロピルフマ
レート等が挙げられる。
【0045】これら過酸化物結合を有するエチレン性不
飽和単量体の中で、t−ブチルペルオキシアクリロイル
オキシエチルカーボネート、t−ブチルペルオキシメタ
クリロイルオキシエチルカーボネート、t−ブチルペル
オキシアリルカーボネート、t−ブチルペルオキシメタ
クリルカーボネート及びt−ブチルペルオキシイソプロ
ピルフマレートである。これらの過酸化物結合を有する
エチレン性不飽和単量体は、優れた制振性能を有する硬
化物が得られる点で好ましい。
【0046】続いて、第2工程として前記ラジカル重合
開始剤が分解し、かつ前記過酸化物結合を有するエチレ
ン性不飽和単量体の過酸化物結合が実質的に分解しない
条件下で、前記過酸化物結合を有するエチレン性不飽和
単量体と前記(メタ)アクリル酸エステル単量体の一種
以上を熱可塑性エラストマー中で共重合させてグラフト
化前駆体を得る。
【0047】第2工程の過酸化物結合を有するグラフト
化前駆体を形成する方法としては、ラジカル重合開始剤
を用いる通常のラジカル重合により製造することができ
る。重合方法は塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、
乳化重合法のいずれでも良いが、懸濁重合法が好まし
い。
【0048】前記ラジカル重合開始剤は、特に限定され
ないが10時間半減期温度が100℃以下の重合開始剤
を用いるのが好ましい。ラジカル重合開始剤の使用量
は、生成する重合体が所望の分子量になるように選択さ
れる必要があるが、通常は単量体に対して0.01〜5
重量%が好ましい。
【0049】重合温度及び重合時間は過酸化物結合を有
するエチレン性不飽和単量体の過酸化物結合が分解しな
いように選択する必要があり、好ましくは重合温度50
〜80℃、重合時間3〜10時間である。また、重合の
際に分子量を調整するために連鎖移動剤を使用しても良
い。
【0050】引き続き第3の工程として、前記グラフト
化前駆体を前記過酸化物結合を有するエチレン性不飽和
単量体に由来する過酸化物結合が分解する温度で溶融下
に混練してグラフト共重合体を得る。
【0051】その温度は80〜300℃が好ましく、1
00〜200℃がさらに好ましい。この温度が80℃未
満であると溶融が不完全であったり、また溶融粘度が高
く混合が不十分となる。一方、300℃を越えると熱可
塑性エラストマー、(メタ)アクリル酸エステル共重合
体等の分解が起こり好ましくない傾向にある。
【0052】溶融混練する方法としては、バンバリーミ
キサー、加圧ニーダー、混練押出機、二軸押出機、ミキ
シングロール等の通常用いられる混練機による方法が挙
げられる。
【0053】以上のような制振用不飽和ポリエステル樹
脂組成物を加熱硬化させることにより、不飽和ポリエス
テル樹脂硬化物が得られる。加熱条件は、例えばSM
C、BMC成形法の場合100〜160℃で1〜10分
間に設定されるが、目的に応じて適宜設定される。その
場合、所定の圧力で加圧してもよく、また予め低い温度
で一定時間加熱する熟成を行ってもよい。
【0054】次に、上記の実施形態によって発揮される
効果についてまとめて説明する。 ・ グラフト共重合体のセグメント(A)を構成する熱
可塑性エラストマーが常温を含む広い温度範囲での制振
特性に優れ、セグメント(B)を構成する(メタ)アク
リル酸エステル(共)重合体のガラス転移温度が常温付
近にある。このため、制振用不飽和ポリエステル樹脂組
成物の硬化物は、常温を含む広い温度領域で制振性能を
発揮することができる。
【0055】・ 制振用不飽和ポリエステル樹脂組成物
を加熱硬化して得られる成型物等の硬化物は、上記のよ
うなセグメント(A)とセグメント(B)とよりなるグ
ラフト共重合体を含有していることから、制振性能に優
れている。
【0056】・ グラフト共重合体のセグメント(B)
を構成する(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体の
溶解度パラメータを8以上に設定することにより、熱可
塑性エラストマーの硬化物表面へのブリードアウトが抑
えられ、表面性の優れた硬化物が得られる。
【0057】・ グラフト共重合体のセグメント(B)
を構成する(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体の
Tgを25℃以下にすることによって、常温付近を含む
広い温度範囲にわたり硬化物に制振特性を付与すること
ができる。
【0058】・ グラフト共重合体は、前述した熱可塑
性エラストマーに他の成分を含浸させる第1の工程、グ
ラフト化前駆体を得る第2の工程及びグラフト共重合体
を得る第3の工程を経て製造されることにより、グラフ
ト共重合体を簡便に得ることができる。しかも、得られ
たグラフト共重合体は、グラフト効率が高く、性能の発
現がより効果的である。
【0059】・ 前記グラフト共重合体をSMCやBM
Cに添加して成型したものは、制振性に優れているう
え、グラフト共重合体と不飽和ポリエステル樹脂との相
溶性が良好であることから、成型性及び寸法安定性に優
れている。
【0060】・ 前記のような制振用不飽和ポリエステ
ル樹脂組成物を加熱硬化することにより、制振性能をは
じめ成型性及び寸法安定性に優れた不飽和ポリエステル
樹脂硬化物を容易に得ることができる。
【0061】
【実施例】以下、参考例、実施例及び比較例により前記
実施形態をさらに具体的に説明するが、この発明はこれ
ら実施例に限定されるものではない。なお、これらの例
において、部及び%は特に断らない限りそれぞれ重量部
及び重量%を表す。また、表中の化合物の略記号は次の
化合物を表す。 MEC:t−ブチルペルオキシメタクリロイルオキシエ
チルカーボネート AC:t−ブチルペルオキシアリルカーボネート MA:アクリル酸メチル EA:アクリル酸エチル BA:アクリル酸ブチル MMA:メタクリル酸メチル IPP:ジイソプロピルペルオキシジカーボネート BPO:ベンゾイルペルオキシド NDM:n−ドデシルメルカプタン SBS:ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン
トリブロック共重合体 SIS:ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン
トリブロック共重合体 SEBS:ポリスチレン−水素添加ポリブタジエン−ポ
リスチレントリブロック共重合体 SEPS:ポリスチレン−水素添加ポリイソプレン−ポ
リスチレントリブロック共重合体 (参考例1、グラフト共重合体の製造例) 温度計、攪拌機及びコンデンサーを備えたステンレス製
反応器に水210部、1.0%ポリビニルアルコール2
0部、第二リン酸カルシウム10%水溶液〔日本合成化
学(株)製の商品名;スーパータイト10〕20部、熱
可塑性エラストマーとしてスチレン−水素添加ブタジエ
ン−スチレン共重合体〔SEBS;シェルジャパン
(株)製の商品名クレイトンG1726〕50部を入れ
て攪拌させた。
【0062】これに過酸化物結合を有するエチレン性不
飽和単量体としてt−ブチルペルオキシメタクリロイル
オキシエチルカーボネート1.5部、ラジカル重合開始
剤としてジイソプロピルペルオキシジカーボネート〔日
本油脂(株)製の商品名パーロイルIPP〕0.675
部、アクリル酸エチル37.5部、アクリル酸メチル1
2.5部を仕込んだ。
【0063】その後、窒素ガス気流下、70℃に昇温
し、1時間攪拌することにより、ラジカル重合開始剤、
過酸化物結合を有するエチレン性不飽和単量体、(メ
タ)アクリル酸エステル単量体混合物を熱可塑性エラス
トマーに含浸させた。50℃に降温してから60℃に昇
温してその温度で1時間重合させ、過酸化物結合を有す
る共重合体が熱可塑性エラストマー中に存在するグラフ
ト化前駆体92部を得た。
【0064】このグラフト化前駆体を除水、乾燥後、ラ
ボプラストミルを用いて180℃において回転数100
rpmで溶融混練してグラフト共重合体を得た。 (参考例2〜15)熱可塑性エラストマー、過酸化物結
合を有するエチレン性不飽和単量体及び(メタ)アクリ
ル酸エステル単量体を表2から表6に示すように変えた
以外はすべて参考例1と同様にしてグラフト共重合体を
製造した。
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
【表5】
【0069】
【表6】 (参考例16、比較用低収縮剤の調製)ポリスチレン
〔三菱化学(株)製の商品名;HF77〕をその濃度が
30%になるようにスチレンに溶解し、比較用低収縮剤
(A)とした。
【0070】ポリスチレン−水素添加ポリブタジエン−
ポリスチレントリブロック共重合体〔シェルジャパン
(株)製の商品名クレイトンG1726〕をその濃度が
30%になるようにスチレンに溶解し、比較用低収縮剤
(B)とした。 (参考例17、相溶化剤の調製)ポリスチレン−酢酸ビ
ニルブロック共重合体〔日本油脂(株)製の商品名;モ
ディパーS501〕をその濃度が30%になるようにス
チレンに分散し相溶化剤とした。 (参考例18、不飽和ポリエステル樹脂の製造)無水マ
レイン酸800部、イソフタル酸200部、プロピレン
グリコール1100部を通常の方法でエステル化し、得
られた不飽和ポリエステル樹脂をスチレンで希釈して固
形分濃度が65%になるように調整し、酸価が18.0
の不飽和ポリエステル樹脂を得た。 (実施例1〜15)参考例1〜12で得られたグラフト
共重合体をそれぞれ濃度が30%になるようにスチレン
に分散させた分散液とし、これらを参考例18で得られ
た不飽和ポリエステル樹脂と混合し、表7に示す配合条
件でBMCを作製した。
【0071】
【表7】 上記条件で作製したBMCを40℃で24時間熟成し、
その後成型圧力10MPa、成型温度140℃、成型時
間5分でプレスにより圧縮成型し、成型物を得た。それ
ぞれの成型物について、次に示す方法により成型収縮及
び tanδを測定した。その結果を表8に示した。なお、
表8の表面状態*1において、◎は優れた状態、○は良
好な状態、×は不良な状態を示す。 ( tanδの測定法)tanδはJIS−K7198に基づ
いて厚さ2mm、幅10mm、長さ50mmの成型物を
作製し、その動的粘弾性測定〔セイコーインスツルメン
ト(株)製の粘弾性測定装置DMS6100〕により求
めた。測定は試料の温度を−5℃〜250℃まで5℃/
minの速度で昇温しながら10Hzで測定を行った。
このtanδは、その値が大きい方ほど動的粘弾性特性が
良好で、制振特性に優れていることを示す。 (成型収縮率の測定方法)JIS−K6911に基づい
て厚さ5mmの円盤状成型物を成型し、金型の内径と成
型物の寸法から次式により成型収縮率を求めた。
【0072】成型収縮率={(金型の内径)−(成型物
寸法)}×100/(金型の内径) (実施例16) 不飽和ポリエステル樹脂の配合量93.5部(不飽和ポ
リエステル樹脂60.77部、スチレン32.73
部)、グラフト共重合体6.5部(グラフト共重合体
1.95部、スチレン4.55部)に変えた以外は表7
の配合条件にBMCを作製し、各種試験を行った。その
結果を表8に示した。 (実施例17)不飽和ポリエステル樹脂の配合量23部
(不飽和ポリエステル樹脂14.95部、スチレン8.
05部)、グラフト共重合体77部(グラフト共重合体
23.1部、スチレン53.9部)に変えた以外は表7
の配合条件に従いBMCを作製し、各種試験を行った。
その結果を表8に示した。
【0073】
【表8】 (比較例1)グラフト共重合体のスチレン分散液に変え
て、参考例16で得られた比較用低収縮剤(A)を使用
した以外は表7の配合条件に従いBMCを作製し、各種
試験を行った。その結果を表9に示した。なお、表9の
表面状態*1において、◎は優れた状態、○は良好な状
態、×は不良な状態を示す。 (比較例2)グラフト共重合体のスチレン分散液に変え
て、参考例16で得られた比較用低収縮剤(B)を使用
した以外は表7の配合条件に従いBMCを作製し、各種
試験を行った。その結果を表9に示した。 (比較例3)グラフト共重合体のスチレン分散液45.
65部に変えて参考例16で得られた比較低収縮剤
(B)を13.70部用い、さらに参考例17で得られ
た相溶化剤を31.95部用いた以外は表7に示す配合
条件に従いBMCを作製し、各種試験を行った。その結
果を表9に示した。
【0074】
【表9】 表8及び表9に示したように、各実施例の制振用不飽和
ポリエステル樹脂組成物及びその硬化物は以下に示すよ
うな効果を発現することができることが明らかとなっ
た。
【0075】実施例1〜17と比較例1との対比から各
実施例の硬化物は、公知の低収縮剤を有する不飽和ポリ
エステル樹脂組成物を加熱硬化して得られる硬化物に比
較して、25℃及び75℃における tanδが大きく、広
い温度範囲にわたり制振性に優れている。
【0076】実施例1〜17と比較例1及び2との対比
から各実施例の硬化物は、公知の低収縮剤を有する不飽
和ポリエステル樹脂組成物を加熱硬化して得られる硬化
物に比較して線収縮率が小さく、寸法安定性に優れてい
る。これは、実施例1〜17のグラフト共重合体が不飽
和ポリエステル樹脂との相溶性に優れ、添加したグラフ
ト共重合体がそれだけ有効に機能するためと考えられ
る。
【0077】実施例1〜17と比較例2及び3との比較
から各実施例の硬化物は熱可塑性エラストマー単独又は
相溶化剤と併用したものより表面性に優れている。実施
例1〜17と比較例1〜3との比較から各実施例の制振
用不飽和ポリエステル樹脂組成物はSMC・BMC等に
利用できるため、従来の制振材料のように二次加工する
ことなく、成型品自体に制振性能を付与することができ
る。
【0078】なお、前記実施形態より把握される技術的
思想について以下に記載する。 ・ 前記(メタ)アクリル酸エステル重合体又は共重合
体の溶解度パラメータが8〜15であり、ガラス転移温
度が−60〜25℃である請求項2に記載の制振用不飽
和ポリエステル樹脂組成物。
【0079】このように構成した場合、不飽和ポリエス
テル樹脂に対するグラフト共重合体の相溶性を保持して
硬化物の表面性を良好にできるとともに、常温付近を含
む広い温度範囲にわたり硬化物に制振特性を付与するこ
とができる。
【0080】・ 前記エチレン性不飽和単量体がスチレ
ン誘導体であり、熱可塑性エラストマーがスチレン系エ
ラストマーである請求項1又は請求項2に記載の制振用
不飽和ポリエステル樹脂組成物。
【0081】このように構成した場合、不飽和ポリエス
テル樹脂に対するグラフト共重合体の相溶性を高めて硬
化物の表面性を向上させることができる。 ・ 前記グラフト共重合体の含有量は5〜30重量%で
ある請求項1又は請求項2に記載の制振用不飽和ポリエ
ステル樹脂組成物。
【0082】このように構成した場合、制振用不飽和ポ
リエステル樹脂組成物の粘度を上昇させることなく、制
振特性を十分に発揮させることができる。
【0083】
【発明の効果】この発明は以上のように構成されている
ため、次のような効果を奏する。第1の発明の制振用不
飽和ポリエステル樹脂組成物によれば、制振性能を広い
温度領域で十分に発揮することができる硬化物を得るこ
とができる。
【0084】第2の発明の制振用不飽和ポリエステル樹
脂組成物によれば、第1の発明の効果に加えて、表面性
の優れた硬化物が得られるとともに、常温付近を含む広
い温度範囲にわたり硬化物に制振特性を付与することが
できる。
【0085】第3の発明の制振用不飽和ポリエステル樹
脂組成物によれば、第1又は第2の発明の効果に加え
て、グラフト共重合体を簡便に得ることができるととも
に、得られたグラフト共重合体はグラフト効率が高く、
性能の発現がより効果的である。
【0086】第4の発明の制振用不飽和ポリエステル樹
脂硬化物によれば、第1から第3のいずれかの発明の効
果を十分に発揮することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BN062 BN172 BN212 CF221 EA046 EA056 EB126 EH076 EH146 EK017 EK037 EK047 EK057 EK067 EK087 FD147 4J026 AC32 BA27 BB01 BB07 BB10 DB03 DB13 DB32 GA09 4J027 AB02 AB06 AB07 AB08 AC03 AC04 AC06 BA05 BA07 BA17 BA19 BA22 BA26 CA08 CB04 CC02 CD02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和ポリエステル、不飽和ポリエステ
    ルと共重合が可能なエチレン性不飽和単量体及びグラフ
    ト共重合体よりなり、前記グラフト共重合体が熱可塑性
    エラストマーを構成部分とするセグメント(A)と、
    (メタ)アクリル酸エステルの重合体又は共重合体を構
    成部分とするセグメント(B)とからなるものである制
    振用不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記(メタ)アクリル酸エステル重合体
    又は共重合体の溶解度パラメータ(SP)がフェドーズ
    の式による計算値で8以上であり、ガラス転移温度(T
    g)が25℃以下である請求項1に記載の制振用不飽和
    ポリエステル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記グラフト共重合体は、過酸化物結合
    を有するエチレン性不飽和単量体、ラジカル重合開始剤
    及び(メタ)アクリル酸エステル単量体を熱可塑性エラ
    ストマーに加えて含浸させる第1の工程と、前記ラジカ
    ル重合開始剤が分解し、かつ前記過酸化物結合を有する
    エチレン性不飽和単量体の過酸化物結合が実質的に分解
    しない条件下で、過酸化物結合を有するエチレン性不飽
    和単量体と(メタ)アクリル酸エステル単量体を熱可塑
    性エラストマー中で共重合させてグラフト化前駆体を得
    る第2の工程と、前記グラフト化前駆体を過酸化物結合
    を有するエチレン性不飽和単量体に由来する過酸化物結
    合が分解する温度で溶融下に混練してグラフト共重合体
    を形成する第3の工程とにより得ることができるもので
    ある請求項1又は請求項2に記載の制振用不飽和ポリエ
    ステル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3のいずれかに記載
    の制振用不飽和ポリエステル樹脂組成物を加熱硬化して
    なる制振用不飽和ポリエステル樹脂硬化物。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8051947B2 (en) 2009-03-12 2011-11-08 E.I. Du Pont De Nemours And Company Energy absorbing thermoplastic elastomer
WO2014188854A1 (ja) * 2013-05-21 2014-11-27 昭和電工株式会社 制振材用成形材料並びにこれを成形して得られる制振材及び構造部材用成形品
EP2364336A4 (en) * 2008-12-05 2016-01-27 Du Pont THERMOPLASTIC ELASTOMER ABSORBING ENERGY
JP7400437B2 (ja) 2019-12-18 2023-12-19 株式会社レゾナック 熱硬化性樹脂組成物、その硬化物及び人工大理石

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