JPH0790126A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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Publication number
JPH0790126A
JPH0790126A JP5258984A JP25898493A JPH0790126A JP H0790126 A JPH0790126 A JP H0790126A JP 5258984 A JP5258984 A JP 5258984A JP 25898493 A JP25898493 A JP 25898493A JP H0790126 A JPH0790126 A JP H0790126A
Authority
JP
Japan
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weight
component
polymer
methacrylic acid
glass transition
Prior art date
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Pending
Application number
JP5258984A
Other languages
English (en)
Inventor
Takateru Imai
高照 今井
Naoji Nagahara
直司 長原
Kenju Furuyama
建樹 古山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Filing date
Publication date
Application filed by Japan Synthetic Rubber Co Ltd filed Critical Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Publication of JPH0790126A publication Critical patent/JPH0790126A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 力学的強度、剛性、制振性のバランスに優れ
た制振材に有用な熱可塑性樹脂組成物を提供する。 【構成】 (イ)メタクリル酸エステルを主成分とする
重合体40〜95重量%、(ロ)示差熱量計(DSC)
により測定したガラス転移温度が−65℃〜−20℃の
範囲内にある(ゴム状)重合体60〜5重量%、および
(ハ)他の熱可塑性重合体0〜40重量%〔ただし、
(イ)+(ロ)+(ハ)=100重量%〕の合計量10
0重量部に対し、(ニ)無機充填材0〜150重量部を
配合してなり、25℃における曲げ弾性率が15,00
0kg/cm2 以上、−30℃〜+40℃における損失
正接(tanδ)が0.035以上、固有減衰率が10
%以上である熱可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、メタクリル酸エステル
を主成分とする重合体に、特定のガラス転移温度を有す
る(ゴム状)重合体を配合して得られる、剛性、制振特
性、振動吸収性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、生活環境の快適化を求める動きが
盛んになり、生活環境にある機器からの振動抑制、騒音
の低減が求められている。また、音響機器、家電用品に
おいては、さらに高品位の音質が求められる分野もあ
り、制振特性に優れた新素材の登場が期待されている。
従来、振動抑制、騒音の低減を目的として、鋼板に柔軟
なゴム状組成物を塗布、硬化させた制振鋼板や、室温付
近での損失正接(tanδ)が優れるポリプロピレンを
用いるなどの例が見受けられる。しかしながら、制振鋼
板は、加工工程が複雑なため高価であり、また重量物で
あるため限られた用途にしか使用できない。また、ポリ
プロピレンは、曲げ弾性率が低く、構造体としてやはり
限られた用途でしか使用できないなどの問題点がある。
【0003】ところで、ポリメタクリル酸エステル類
は、特定の側鎖構造を有することで、室温付近で比較的
良好なtanδ値を示す材料であり、かつ剛性に優れる
ため、ポリプロピレンの欠点を補うものとして期待され
るが、耐衝撃性に劣る。また、tanδ値の温度依存性
が大きく、室温より低い温度ではtanδ値が小さくな
り、環境温度(−30℃〜+40℃)で、フラットなt
anδ特性を示さないなどの欠点があり、幅広い環境温
度に対して高性能な制振性を有する構造材料用制振材料
としての使用は困難である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の課題を背景になされたもので、ポリメタクリル酸エ
ステル類の耐衝撃性を改良し、剛性に優れ、構造用材
料、音響部品として適した性能を有する制振性、振動吸
収性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的
とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、(イ)メタク
リル酸エステル100〜40重量%および共重合可能な
他の単量体0〜60重量%からなる単量体成分を重合し
て得られるメタクリル酸エステル系重合体40〜95重
量%、(ロ)示差熱量計(DSC)により測定したガラ
ス転移温度が−65℃〜−20℃の範囲内にある(ゴム
状)重合体60〜5重量%、および(ハ)他の熱可塑性
重合体0〜40重量%〔ただし、(イ)+(ロ)+
(ハ)=100重量%〕の合計量100重量部に対し、
(ニ)無機充填材0〜150重量部を配合してなり、2
5℃における曲げ弾性率が15,000kg/cm2
上、−30℃〜+40℃における損失正接(tanδ)
が0.035以上、300〜600Hz内の共振周波数
で測定した振動減衰特性から下記一般式(I)を用いて
算出した固有減衰率(SDC)が10%以上であること
を特徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供するものであ
る。
【0006】
【数2】
【0007】(ただし、δは、振動減衰曲線より求めた
対数減衰率を示す。)
【0008】本発明の(イ)成分は、メタクリル酸エス
テルを主成分とする重合体である。ここで、メタクリル
酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル
酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチルシクロヘキシ
ル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸N−フ
ェニルアミド、メタクリル酸エチル、メタクリル酸フェ
ニル、メタクリル酸−2−ナフチル、メタクリル酸2−
エチルヘキシルなどが挙げられ、これらは単独であるい
は混合して用いられる。これらのメタクリル酸エステル
の中では、メタクリル酸メチル、メタクリル酸t−ブチ
ルシクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル
酸−2−ナフチル、メタクリル酸N−フェニルアミドが
好ましく、なかでもメタクリル酸メチル、メタクリル酸
t−ブチルシクロヘキシルが耐熱性に優れ特に好まし
い。
【0009】また、これらのメタクリル酸エステルに、
メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−ヒドロキシ
エチルなどを少量併用することで、他成分との相溶性が
著しく向上することもある。(イ)成分中のメタクリル
酸エステルの使用量は、通常、100〜40重量%、好
ましくは99〜50重量%、さらに好ましくは98〜6
0重量%、特に好ましくは97〜70重量%である。4
0重量%未満では、室温付近でのtanδ値が劣り、制
振性が劣るので好ましくない。
【0010】また、(イ)成分中、メタクリル酸エステ
ルと共重合可能な他の単量体とは、メタクリル酸エステ
ル以外のビニル系単量体全般を指す。この他の単量体と
しては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、t−ブ
チルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、
モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、モノブロムス
チレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、p−t
−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレ
ン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、
N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニル
ピリジンなどの芳香族ビニル化合物、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、
N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フ
ェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N
−エチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N
−t−ブチルマレイミドなどのN−置換マレイミド系化
合物、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物
化合物、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボン酸化
合物などが挙げられる。
【0011】これらの他の単量体のなかでは、好ましく
はスチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミ
ド、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、アク
リル酸エステル類などである。これらの他の単量体は、
単独であるいは混合して用いられる。(イ)成分中の共
重合可能な他の単量体の使用量は、0〜60重量%、好
ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは2〜40重
量%、特に好ましくは3〜30重量%である。60重量
%を超えて使用した場合、室温付近のtanδ値が低下
し、制振性に劣り、また単量体によっては熱安定性が著
しく低下することがあり、好ましくない。
【0012】次に、本発明の(ロ)成分は、示差熱量計
(DSC)により測定したガラス転移温度が−65℃〜
−20℃の範囲内にある(ゴム状)重合体であり、その
構造は特に限定されない。好ましい(ロ)成分として
は、エチレン−プロピレン−(ジエン)共重合体、エチ
レン−ブテン−(ジエン)共重合体、スチレン−ブタジ
エン共重合体およびその水素添加物、スチレン−イソプ
レン共重合体およびその水素添加物、アクリロニトリル
−ブタジエン共重合体およびその水素添加物、アクリル
ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸ブチ
ル共重合ゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、クロル
スルホン化ポリエチレン、テトラフルオロエチレン−プ
ロピレン系ゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴ
ムなど、およびこれらに酸無水物基、エポキシ基、水酸
基、イソシアネート基などの官能基を適当量付与したも
のが挙げられ、これらは単独であるいは混合して用いる
ことができる。
【0013】(ロ)成分のガラス転移温度は、本発明を
構成する重要な点である。メタクリル酸エステル系重合
体のtanδ値は、測定周波数にも依存するが、50℃
〜25℃付近で0.05以上の高い値を示したのち、測
定温度が低下すると急激に減少する。このため、環境温
度を−30℃〜+40℃とした場合、メタクリル酸エス
テル系重合体は、低温域のtanδ値が劣り、ひいては
低周波数域での制振性能が劣るものと推測される。ま
た、温度に対してフラットなtanδ特性は、周波数に
対してもフラットな制振特性を示すものと推測され、制
振素材として備えるべき特性といえる。
【0014】(ロ)成分の特定のガラス転移温度は、低
温域に(ロ)成分のガラス転移にともなうtanδ値を
重ねることで、メタクリル酸エステル系重合体の低温域
のtanδ値をかさ上げし、環境温度でフラットなta
nδ特性を達成するためのポイントである。(ロ)成分
のガラス転移温度は、−65℃〜−20℃、好ましくは
−60℃〜−25℃、特に好ましくは−55℃〜−30
℃である。−65℃より低温の場合、(ロ)成分による
tanδピークが低温側すぎて環境温度域でフラットに
ならず、2ピーク化してしまう。一方、−20℃より高
温の場合には、低温域のかさ上げが不充分で、やはりフ
ラットな特性が得られず、またメタクリル酸エステル系
重合体の欠点である耐衝撃性の改良効果も乏しく好まし
くない。
【0015】次に、本発明の(ハ)成分は、上記(イ)
〜(ロ)成分以外のその他の熱可塑性重合体を総称する
ものであり、本発明の組成物におけるある特定の機能、
例えば優れた耐薬品性、耐疲労特性、高耐衝撃性、耐熱
性、二次加工性などを付与する目的で、適当量、必要に
応じて使用される。
【0016】(ハ)成分の具体例としては、ナイロン
6、ナイロン6,6、ナイロン4,6、ナイロン11、
ナイロン12、ポリアミドエラストマーなどのポリアミ
ド類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリエステルエラストマーなどのポリエス
テル類、ポリカーボネート、ABS樹脂、AS樹脂、ス
チレン−(アクリロニトリル)−無水マレイン酸共重合
体、スチレン−(アクリロニトリル)−(メタ)アクリ
ル酸共重合体、スチレン−(アクリロニトリル)グリシ
ジルメタクリレート共重合体などのスチレン−(アクリ
ロニトリル)−エポキシ基含有共重合体、スチレン−
(アクリロニトリル)−ビニルオキサゾリン共重合体、
スチレン−(アクリロニトリル)−2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレート共重合体などのスチレン−(アクリロ
ニトリル)−ヒドロキシ基含有モノマー共重合体、メタ
クリル酸メチル−スチレン−(アクリロニトリル)ブロ
ック共重合体などのスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリブテン−1、ポリメチルペンテン、
ポリノルボルネンおよびその水素添加物などのポリオレ
フィン樹脂類、およびポリオレフィン系樹脂類に酸無水
物基、エポキシ基、アミノ基およびヒドロキシ基の群か
ら選ばれた少なくとも1種の官能基を有する単量体をグ
ラフトした変性ポリオレフィン系樹脂、シリコンゴム変
性樹脂類などが挙げられ、これらは単独であるいは混合
して用いられる。
【0017】これらの(ハ)熱可塑性重合体中、カルボ
キシル基、酸無水物基、エポキシ基アミノ基、あるいは
ヒドロキシ基を有する重合体は、相溶化剤としての機能
を有する。例えば、ポリアミド類を配合する場合には、
酸無水物基あるいはカルボキシル基を有するスチレン系
樹脂を併用することで、良好な分散状態を達成すること
ができる場合もあり好ましい。
【0018】次に、(ニ)成分は本発明の組成物の機械
的性質を向上させる無機充填材であり、通常の樹脂類に
配合されるものが好ましく使用される。(ニ)無機充填
材の具体例としては、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガ
ラスビーズ、中空ガラスビーズ、ガラスミルドファイバ
ー、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、シリ
カ、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカー、酸化亜鉛
ウィスカー、酸化チタンウィスカー、ホウ酸アルミニウ
ムウィスカー、ワラストナイト、水酸化アルミニウム、
水酸化マグネシウムなどが挙げられ、目的に応じていず
れも好ましく使用することができる。
【0019】本発明の組成物中における(イ)〜(ニ)
成分の使用量は、(イ)成分40〜95重量%、(ロ)
成分60〜5重量%、(ハ)成分0〜40重量%〔ただ
し、(イ)+(ロ)+(ハ)=100重量%〕を主成分
とし、この合計量100重量部に対し、(ニ)成分0〜
150重量部である。この組成比は、目的とする組成物
に要求される物性に応じて、上記範囲内で適宜決定され
るが、好ましくは(イ)成分45〜95重量%、(ロ)
成分55〜5重量%、(ハ)成分0〜40重量%を主成
分とし、この合計量100重量部に対し、(ニ)成分0
〜100重量部である。特に好ましくは、(イ)成分5
0〜90重量%、(ロ)成分50〜10重量%、(ハ)
成分0〜40重量%を主成分とし、この合計量100重
量部に対し、(ニ)成分0〜100重量部である。
【0020】(イ)成分が、(イ)〜(ハ)成分中、4
0重量%未満では制振特性が劣り好ましくなく、一方9
5重量%を超えると、耐衝撃性が劣り好ましくない。ま
た、(ロ)成分が、(イ)〜(ハ)成分中、60重量%
を超えると剛性の低下が大きく好ましくなく、一方5重
量%未満では耐衝撃性が劣り好ましくない。さらに、
(ハ)成分が、(イ)〜(ハ)成分中、40重量%を超
えると制振性能が劣り好ましくない。さらに、(ニ)成
分が、(イ)〜(ハ)成分の合計量100重量部に対
し、150重量部を超えると、組成物の流動性が極端に
低下し、成形加工性が劣るため好ましくない。
【0021】本発明の熱可塑性樹脂組成物の25℃にお
ける曲げ弾性率は、15,000kg/cm2 以上、好
ましくは17,500kg/cm2 以上、特に好ましく
は20,000kg/cm2 以上であり、15,000
kg/cm2 未満では、剛性が不充分で構造材料として
の使用に適さない。
【0022】また、本発明の組成物の−30℃〜+40
℃における損失正接(tanδ)は、0.035以上、
好ましくは0.04以上、さらに好ましくは0.05以
上であり、0.035未満では制振性能に劣る。
【0023】さらに、本発明の組成物の固有減衰率(S
DC)〔300〜600Hz内の共振周波数で測定した
振動減衰特性から上記一般式(I)を用いて算出した
値〕は、10%以上、好ましくは12%以上、特に好ま
しくは14%以上であり、10%未満では振動吸収性が
劣り、制振性能が劣るものとなり、好ましくない。
【0024】なお、本発明の組成物において用いられる
各成分は、複数種を混合して用いてもよい。例えば、
(イ)成分として官能基を有しない(イ)成分とカルボ
キシル基、無水マレイン酸基、エポキシ基などの官能基
を有する(イ)成分を適当量混合して用いることは、組
成物系中の官能基濃度を調整する手法として好ましい方
法である。また、(ロ)成分として、本発明の範囲内で
異なるガラス転移温度を有する複数成分を混合して用い
ることができる。さらに、(ハ)〜(ニ)成分において
も、本発明の範囲内で異なる性質を有する複数の成分を
組み合わせて用いることができる。
【0025】本発明の組成物は、必要に応じて帯電防止
剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光酸化防止
剤、着色剤、滑剤などの、樹脂組成物において一般的に
用いられる添加剤を添加することができる。
【0026】本発明の組成物を製造するには、バンバリ
ーミキサー、ブラベンダー、プラストミル、ニーダー、
ベント付き押し出し機などの一般に熱可塑性樹脂の混練
り機に用いられる各種の装置を用いて混合することがで
きるが、特にベント付き押し出し機を用いる方法が好ま
しい。特に、無機充填剤を配合する場合には、二軸押し
出し機、あるいは連続ニーダーを用いて製造する方法が
好ましい。混練り温度は、組成にも依存するが、通常、
180〜300℃の範囲内で行うのが好ましい。
【0027】また、本発明の組成物を得る方法として、
例えば(ロ)成分の存在下に、(イ)成分を重合し、
(ロ)成分に一部(イ)成分がグラフト化した複合体
(グラフト重合体)を用いる方法は、(イ)〜(ロ)成
分の相溶化が良好であり、好ましい方法の一つである。
また、混練りにより本発明の組成物を得る場合でも、構
成重合体間の相溶性を向上させるため、官能基反応を利
用することが好ましいが、このような官能基反応をより
効率よく進めるために、適当量の触媒を用いることが望
ましい。この触媒としては、例えば酸無水物基とエポキ
シ基の反応ではイミダゾール化合物など、カルボキシル
基もしくはヒドロキシ基とエポキシ基との反応ではホス
ホニウム系触媒などが有効である。
【0028】さらに、混練り中、ラジカル反応機構下で
グラフト化し、相溶性を向上させる手法も好ましく使用
することができる。使用可能なラジカル発生源として
は、高温分解型、1分間半減期150℃以上のアルキル
パーオキサイドが最も完全、かつ効率的で好ましい。ま
た、ラジカル重合可能な複数の二重結合を有する多官能
単量体、例えばジビニルベンゼン、ジアリルフタレー
ト、ビスマレイミドなどを、適当量、ラジカル発生源と
併用することにより、グラフト化の効率を向上させるの
で好ましい。
【0029】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明の趣旨を越えない限り、本発明は以
下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例
中、部および%は、特に断らない限り重量基準である。
また、実施例中の各種の評価は、次の方法で測定した。
【0030】耐衝撃性 ASTM D256に準じてアイゾットインパクト(I
Z)を測定した。単位は、kgfcm/cmである。メルトフローレート(MFR ) ASTM D1238に準じて測定した。測定温度、条
件は、特に断らない限り220℃、10kg荷重で行っ
た。単位は、g/10minである。熱変形温度 ASTM D648に準じて測定した(1/4インチ、
18.6kg/cm2荷重)。曲げ試験 JIS K7203に準じて曲げ弾性率を測定した。単
位は、kg/cm2 である。
【0031】tanδ(損失正接) 粘弾性測定装置〔東洋ボールドウイン(株)製、DDV
III EP〕を用い、周波数11Hz、測定温度−11
0℃〜+100℃、昇温速度2℃/分で測定した。固有減衰率(SDC ) 制振解析装置〔ブリューエル・アンド・クジャール社
製、信号解析機 Type 2035、加振素子MH0
002〕を用い、縦220mm、横10mm、厚み1.
6mmの試験片を用い、片持ち試験片の自由端を強制的
に加振する手法で測定した。測定手順は、まずランダム
波を入力し共振周波数を求め、300〜600Hz内の
共振周波数(3ないし4次の共振周波数に相当)の信号
を500msec加え、加振、信号停止したのちの振動
減衰曲線より対数減衰率δを求め、上記一般式(I)に
従って算出した。
【0032】参考例1〔(ロ)成分の存在下で(イ)成
分を重合して得られる、(イ)〜(ロ)成分が複合化さ
れた成分(イ,ロ−1)の製造例〕 エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネンゴム
(プロピレン含量30%)25部、トルエン100部、
メタクリル酸メチル75部を、攪拌機を備えたオートク
レーブに仕込み、系内をチッ素ガスで置換したのち、攪
拌した。内容物が均一になったことを確認してから、8
0℃に昇温し、ベンゾイルパーオキサイド0.3部をメ
チルエチルケトン5部に溶解した溶液を注入した。10
0℃で4時間、重合を行い、収率がほぼ100%に達し
たことを確認したのち、反応液を室温まで冷却し、スチ
ームストリッピングで残留モノマー、溶媒を除去し、粉
砕、熱風乾燥して(イ)成分、(ロ)成分の複合体であ
る(イ,ロ−1)を得た。
【0033】参考例2〔(イ)〜(ロ)成分の複合体
((イ,ロ−2)の製造例〕 エチレン−ブテン共重合ゴム(ブテン含量25%)25
部、メタクリル酸メチル60部、シクロヘキシルマレイ
ミド15部を用いる以外は、複合体(イ,ロ−1)の製
造例に準じて、溶液重合を行い、複合体(イ,ロ−2)
を得た。
【0034】参考例3(その他の各成分の調製)実施例で用いた成分 (イ)成分 (イ)−1;ポリメタクリル酸メチル〔メタクリル酸メ
チル(MMA)含量=100%〕 (イ)−2;メタクリル酸メチル−無水マレイン酸共重
合体(MMA含量=93%) (イ)−3;メタクリル酸メチル−メタクリル酸グリシ
ジル共重合体(MMA含量=95%) (イ)−4;メタクリル酸メチル−スチレン−メタクリ
ル酸共重合体(MMA含量=85%)
【0035】(ロ)成分 (ロ)−1;アクリルゴム(エポキシ基1%含有)(ガ
ラス転移温度=−30℃) (ロ)−2;エチレン−アクリル酸メチル−メタクリル
酸グリシジル共重合ゴム(ガラス転移温度=−40℃) (ロ)−3;無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン
ゴム(ガラス転移温度=−40℃) (ロ)−4;無水マレイン酸変性エチレン−ブテンゴム
(ガラス転移温度=−40℃)
【0036】(ハ)成分 (ハ)−1;ポリアミド6〔アライドシグナル社製、X
A1767〕 (ハ)−2;ポリカーボネート〔帝人化成(株)製、パ
ンライトL−1225〕 (ハ)−3;ポリエチレンテレフタレート〔三井ペット
樹脂(株)製、J125〕 (ハ)−4;ポリブチレンテレフタレート〔三菱化成
(株)製、ノバドゥール5010〕 (ハ)−5;ポリグルタルイミド〔住友ハース(株)
製、KAMAX T−150〕
【0037】比較例で用いた成分 (イ)〜(ロ)複合体 (イ,ロ−3);メタクリル酸メチル−ブタジエン−ス
チレン共重合体(MMA含量=80%、ガラス転移温度
−100℃のポリブタジエン60部の存在下に、メタク
リル酸メチル32部、スチレン8部を重合して得られた
複合体) (イ)成分 (イ)−5;メタクリル酸メチル−スチレン−メタクリ
ル酸共重合体(MMA含量=30%) (ロ)成分 (ロ)−5;スチレン−ブタジエン−メタクリル酸グリ
シジル共重合ゴム(ガラス転移温度=0℃)
【0038】なお、(ニ)成分としては、マイカ(M
I)、ガラスビーズ(GB)、ガラスフレーク(G
L)、ガラス繊維(GF)を用いた。
【0039】実施例1〜19、比較例1〜6 表1〜5に示す配合処方で混練り機〔Buss社製、K
o−KneaderMKD 46〕を用いて造粒し、9
0℃で乾燥したのち、射出成形機〔東芝機械(株)製、
IS 80A〕を用いてテストピースを作製し、物性を
評価した。動的粘弾性のテストピースは、厚み1〜1.
2mmの成形板より、縦50mm、横7mmの短冊状サ
ンプルを切り出して使用した。
【0040】表1〜4から明らかなように、実施例1〜
19の本発明の組成物は、制振性、力学的強度のバラン
スに優れた組成物であることが分かる。これに対し、表
4〜5から明らかなように、比較例1は、(ロ)成分と
してガラス転移温度が−100℃近くのポリブタジエン
を用いた例であり、−30℃付近のtanδが低く、環
境温度でフラットなtanδ特性が得られない。比較例
2は、本発明の範囲外で(イ)、(ロ)成分を用いた例
であるが、ラバーライクな性状を示し、剛性がない。比
較例3は、本発明の範囲外で(イ)、(ハ)成分を用い
た例であり、室温付近でtanδが低下し、環境温度範
囲でのフラットなtanδ特性が達成されない。比較例
4は、(イ)成分として、単量体構成が本発明の範囲外
のものを用いた例であり、室温以降のtanδが低く、
かつ固有減衰率も劣る。比較例5は、(ロ)成分とし
て、本発明の範囲外のものを用いた例であり、低温側で
tanδが低く、フラットな特性が得られない。比較例
6は、本発明の範囲を超えて(ニ)成分を用いた例であ
り、成形不能である。
【0041】
【表1】
【0042】*1)(イ,ロ−1〜2)成分中の
(イ)、(ロ)成分に相当(以下同じ) *2)240℃、10kgで測定(以下同じ)
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】*3)使用したイ,ロ−3成分中の
(イ)、(ロ)成分に相当
【0047】
【表5】
【0048】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、力学的
強度、剛性、制振性のバランスに優れるものであり、例
えばモーターなどの回転あるいは振動する装置を組み入
れるハウジング材料、あるいは適度なダンピング特性と
剛性を要求されるスピーカー振動板およびスピーカー本
体のハウジング、そのほかファン、ギヤ類などに適した
材料である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 51/04 LKY 101/00 LSZ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (イ)メタクリル酸エステル100〜4
    0重量%および共重合可能な他の単量体0〜60重量%
    からなる単量体成分を重合して得られるメタクリル酸エ
    ステル系重合体40〜95重量%、(ロ)示差熱量計
    (DSC)により測定したガラス転移温度が−65℃〜
    −20℃の範囲内にある(ゴム状)重合体60〜5重量
    %、および(ハ)他の熱可塑性重合体0〜40重量%
    〔ただし、(イ)+(ロ)+(ハ)=100重量%〕の
    合計量100重量部に対し、(ニ)無機充填材0〜15
    0重量部を配合してなり、25℃における曲げ弾性率が
    15,000kg/cm2 以上、−30℃〜+40℃に
    おける損失正接(tanδ)が0.035以上、300
    〜600Hz内の共振周波数で測定した振動減衰特性か
    ら下記一般式(I)を用いて算出した固有減衰率(SD
    C)が10%以上であることを特徴とする熱可塑性樹脂
    組成物。 【数1】 (ただし、δは、振動減衰曲線より求めた対数減衰率を
    示す。)
  2. 【請求項2】 (イ)〜(ロ)成分の一部あるいは全量
    として、(ロ)成分の存在下に(イ)成分を重合して得
    られる複合体を用いてなる請求項1記載の熱可塑性樹脂
    組成物。
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