JP4572432B2 - 積層体及び制振部材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波から低周波までの幅広い振動に対して優れた制振性を示すと共に、剛性等の機械的特性にも優れた積層体及び制振部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、生活環境の快適化を求める動きが盛んになり、生活環境にある機器からの振動抑制、騒音の低減が求められている。特に、事務機、家庭電化製品、音響機器等においては、更に高品質の音質が求められている。また、生活様式の変化から冷蔵庫、洗濯機、掃除機などの家庭電化製品が大型化し、それに伴ってこれらの電化製品の発する振動や騒音も大きなものとなっていることから、これらの製品では、低振動、低騒音による静粛性が商品の重要な性能の一つとなっている。
【0003】
このため、これらの振動抑制に適した制振用樹脂部材の材料樹脂として、十分な制振性と剛性及び耐衝撃性を有し、更には、昨今の環境意識が高まる中において、環境に配慮したリサイクル性等に適応する樹脂の開発が求められている。
【0004】
このような状況下において、従来、PS樹脂、AS樹脂(又は、SAN樹脂)、HIPS樹脂、ABS樹脂、AAS樹脂、AES樹脂等に代表されるスチレン系樹脂は、成形性、耐衝撃性、外観、耐候性等に優れることから、必要特性に応じてそれぞれの樹脂が選択され、上記製品などに広く使用されている。しかしながら、これらの樹脂は制振性能に乏しく、低振動、低騒音化を十分に達成できず、この点に関する改良が切望されている。
【0005】
制振性能の向上を目的として、従来、(メタ)アクリル酸エステル系重合体を主成分とする粘弾性組成物を用いた制振材や、これらを積層させる方法等の検討や提案がなされている。
【0006】
しかしながら、これらの組成物やその積層体では、特定の温度域及び特定の振動数に対しては振動減衰効果が大きく、制振性が得られるものの、広い範囲の振動数変化に対して十分な制振性能を得ることができない。しかも、剛性が低いことから、構造体を構成し得ないという欠点もある。ある程度の剛性を付与させるために、前述のスチレン系樹脂に(メタ)アクリル酸エステル系重合体又は弾性体を添加する方法や、これらを積層させる方法等も提案されているが、(メタ)アクリル酸エステル系重合体の添加量が少ない場合やその層が薄い場合には、剛性は高いものの、制振性の効果が低く、(メタ)アクリル酸エステル系重合体の添加量を多くしたり、その層を厚くすれば、制振性はある程度得られるものの、剛性が劣るものとなり、剛性と制振性とを共に満足させることは困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、構造体を構成し得る十分な剛性を有し、かつ振動数の変化に関わらず、幅広い領域で優れた制振ないし振動吸収性能を有し、広い範囲の用途に使用し得る積層体及び制振部材を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層体は、メタクリル酸エステル系単量体及び/又はアクリル酸エステル系単量体と必要に応じて用いられるこれらと共重合可能な他の単量体からなる重合体(a)を含み、曲げ弾性率が25000〜35000kg/cmである硬質重合体(A)で形成される硬質層と、メタクリル酸エステル系単量体及び/又はアクリル酸エステル系単量体と必要に応じて用いられるこれらと共重合可能な他の単量体とからなる重合体(b)を含み、曲げ弾性率が5000〜7000kg/cmである弾性重合体(B)で形成される弾性層とを積層してなることを特徴とする。
【0009】
本発明に従って、メタクリル酸エステル系単量体及び/又はアクリル酸エステル系単量体を主成分とする重合体を含み、曲げ弾性率が25000〜35000kg/cmである硬質重合体(A)で形成される硬質層と、メタクリル酸エステル系単量体及び/又はアクリル酸エステル系単量体を主成分とする重合体(b)を含み、曲げ弾性率が5000〜7000kg/cmである弾性重合体(B)で形成される弾性層とを積層することにより、これら硬質重合体(A)と弾性重合体(B)との積層による相乗効果で低周波から高周波までの幅広い領域で優れた制振性を示し、しかも剛性や耐衝撃性等の機械的特性に優れた積層体及び制振部材が提供される。
【0010】
本発明において、硬質重合体(A)は、メタクリル酸エステル系単量体及び/又はアクリル酸エステル系単量体単位を40〜100重量%含有することが好ましい。また、この硬質重合体(A)は、メタクリル酸エステル系単量体100〜40重量%とアクリル酸エステル系単量体0〜60重量%とからなる硬質重合体(a−1)と、メタクリル酸エステル系単量体及び/又はアクリル酸エステル系単量体90〜40重量%とこれらと共重合可能な他の単量体10〜60重量%とからなる硬質重合体(a−2)との混合物であることが好ましい。
【0011】
一方、弾性重合体(B)は、ゴム質重合体の存在下に芳香族ビニル及びシアン化ビニルを含む単量体混合物を共重合させてなるゴム含有グラフト重合体(b−1)50〜100重量%と、芳香族ビニル及びシアン化ビニルを含む単量体混合物を共重合させてなる硬質重合体(b−2)50〜0重量%とからなることが好ましく、ここで、ゴム含有グラフト重合体(b−1)を構成するゴム質重合体が、アクリル酸エステル系重合体よりなることが好ましい。
【0012】
また、弾性重合体(B)は、アクリル酸エステル系単量体単位を20〜80重量%含有することが好ましい。
【0013】
本発明の積層体は、上記硬質層と弾性層とを、硬質層の厚さをtA、弾性層の厚さをtBとしたとき、その比tA/tBが1/5〜5/1となるように積層したものであることが好ましい。
【0014】
本発明の制振部材は、このような積層体よりなるものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
なお、本発明において、重合体とは1種類の単量体を重合してなるものに限らず、2種以上の単量体を共重合して得られる共重合体を包含する広義の重合体を指す。
【0017】
本発明において、硬質層を構成する硬質重合体(A)は、メタクリル酸エステル系単量体及び/又はアクリル酸エステル系単量体と、必要に応じて用いられるこれらと共重合可能な他の単量体からなる重合体(a)を含み、且つ曲げ弾性率が25000〜35000kg/cm2である硬質重合体であれば良く、該重合体(a)のみから構成されるものに限らず、必要に応じて該重合体(a)以外の他の単量体の1種又は2種以上からなる重合体(a−2)を含むものであっても良い。また、硬質重合体(A)中の重合体(a)も必ずしも1種類である必要はなく、メタクリル酸エステル系単量体及び/又はアクリル酸エステル系単量体と、必要に応じて用いられるこれらと共重合可能な他の単量体からなる重合体であれば、2種以上を併用しても良い。
【0018】
重合体(a)を構成するアクリル酸エステル系単量体、メタクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ノニル、アクリル酸イソノニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ノニル、メタクリル酸イソノニル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸n−ノニル、アクリル酸イソノニルなどのアクリル酸エステル単量体及び/又はメタクリル酸エステル単量体が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0019】
アクリル酸エステル系単量体、メタクリル酸エステル系単量体としては、これらのうち、特にアクリル酸メチル、メタクリル酸メチルが好ましい。
【0020】
また、上記単量体と共に必要に応じて用いられる共重合可能な他の単量体としては、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、マレイミド化合物、不飽和カルボン酸等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を選択して用いることができる。
【0021】
ここで、芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等が挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。また、マレイミド化合物としては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられ、不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられる。これらの芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、マレイミド化合物、不飽和カルボン酸は、いずれも1種を単独で用いても2種以上を併用して用いても良い。
【0022】
硬質重合体(A)中には、更に、低周波から高周波まで安定した制振性を付与させる目的で、ゴム質重合体の存在下に芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体と、必要に応じて用いられるこれらを共重合可能な他の単量体をグラフト重合させたゴム含有グラフト重合体(a−3)を混合することもできる。この場合、ゴム含有グラフト共重合体中のゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ブタジエンと共重合可能なビニル単量体との共重合体、アクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル単量体と共重合可能なビニル単量体との共重合体、エチレン−プロピレン又はブテン−非共役ジエン共重合体、ポリオルガノシロキサン等が挙げられる。ここで、アクリル酸エステル重合体としては、前述のメタクリル酸エステル系単量体、アクリル酸エステル系単量体の具体例として例示した単量体成分の重合体が挙げられ、また、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体に含有されるジエンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−ヘプタジエン、1,5−シクロオクタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、11−エチル−1,11−トリデカジエン、5−メチレン−2−ノルボルネンなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0023】
硬質重合体(A)中に混合させるゴム含有グラフト重合体(a−3)にグラフト重合させる芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、必要に応じて用いられるこれらと共重合可能な他の単量体としては、上述の重合体(a)に用いられる単量体として例示したものと同様な単量体を使用することができる。
【0024】
低周波から高周波まで安定した制振性の付与を目的として、硬質重合体(A)中にゴム含有グラフト重合体(a−3)を混合する場合、このゴム含有グラフト重合体(a−3)の混合量は、硬質重合体(A)の曲げ弾性率が25000〜35000kg/cm2の範囲であれば、特に制限なく混合することができる。
【0025】
本発明において、硬質重合体(A)中のメタクリル酸エステル系単量体及び/又はアクリル酸エステル系単量体単位の含有量は40〜100重量%、特に50〜100重量%であることが好ましい。この含有量が40重量%未満では、十分な制振効果を得ることはできない。
【0026】
本発明において、特に硬質層を構成する硬質重合体(A)は、メタクリル酸エステル系単量体及び/又はアクリル酸エステル系単量体単位の含有量が40〜100重量%であれば特に制限はないが、次のような重合体からなることが好ましい。
(1) メタクリル酸エステル系単量体100〜40重量%と、アクリル酸エステル系単量体0〜60重量%とからなる重合体(a−1)と、メタクリル酸エステル系単量体及び/又はアクリル酸エステル系単量体90〜40重量%とこれらと共重合可能な他の単量体10〜60重量%からなる重合体(a−2)との混合物。
(2) 上記重合体(a−1)とゴム含有グラフト重合体(a−3)との混合物。
(3) 上記重合体(a−1)と重合体(a−2)とゴム含有グラフト重合体(a−3)との混合物。
【0027】
硬質重合体(A)中に、重合体(a)と共に混合することができる他の重合体としては、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体等からなる重合体又は共重合体が挙げられ、これらは、上記重合体(a)に用いられる単量体として例示したものと同様な単量体の1種又は2種以上を選択使用することができる。
【0028】
一方、弾性層を構成する弾性重合体(B)は、メタクリル酸エステル系単量体及び/又はアクリル酸エステル系単量体と必要に応じて用いられるこれらと共重合可能な他の単量体とからなる重合体(b)を含み、曲げ弾性率が5000〜7000kg/cmである弾性重合体であれば良く、該重合体(b)のみから構成されるものに限らず、必要に応じて、該重合体(b)以外の他の単量体の1種又は2種以上とからなる重合体を含むものであっても良い。また、弾性重合体(B)中の重合体(b)も必ずしも1種類である必要はなく、メタクリル酸エステル系単量体及び/又はアクリル酸エステル系単量体と必要に応じて用いられるこれらと共重合可能な他の単量体とからなる重合体であれば2種以上を併用しても良い。
【0029】
重合体(b)を構成するアクリル酸エステル系単量体、メタクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ノニル、アクリル酸イソノニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ノニル、メタクリル酸イソノニル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸n−ノニル、アクリル酸イソノニルなどのアクリル酸エステル単量体及び/又はメタクリル酸エステル単量体が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができ、特にアクリル酸メチルが好ましい。
【0030】
必要に応じて用いられる他の単量体としては、重合体(a)の説明で例示した芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、マレイミド化合物、不飽和カルボン酸等の1種又は2種以上が挙げられる。
【0031】
弾性重合体(B)は、特に、ゴム質重合体の存在下に芳香族ビニル及びシアン化ビニルを含む単量体混合物を共重合させてなるゴム含有グラフト重合体(b−1)50〜100重量%と、芳香族ビニル及びシアン化ビニルを含む単量体混合物を共重合させてなる硬質重合体(b−2)50〜0重量%からなることが好ましい。
【0032】
この場合、ゴム含有グラフト重合体(b−1)中のゴム質重合体としては、前述の硬質重合体(A)のゴム含有グラフト重合体(a−3)のゴム質重合体と同様にポリブタジエン、ブタジエンと共重合可能なビニル単量体との共重合体、アクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル単量体と共重合可能なビニル単量体との共重合体、エチレン−プロピレン又はブテン−非共役ジエン共重合体及びポリオルガノシロキサン等が挙げられる。ここで、アクリル酸エステル重合体、或いはエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体に含有されるジエンとしては、前述のゴム含有グラフト重合体(a−3)の説明で例示したものと同様のものが挙げられる。
【0033】
ゴム含有グラフト重合体(b−1)のゴム質重合体としては、上記例示したものの中でも、特にアクリル酸エステル単量体をトリアリルイソシアヌレート等の多官能架橋剤によって架橋させたアクリル酸エステル系重合体が、低周波域から高周波域まで全般的に制振性能を高めることができることから、最も好ましく用いられる。
【0034】
ゴム含有グラフト重合体(b−1)にグラフト重合させるビニル系単量体及び硬質重合体(b−2)のビニル系単量体は、芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体と、必要に応じて用いられるこれらと共重合可能な他の単量体であり、これらのビニル単量体は、前述の硬質重合体(A)の説明で例示したものと同様なものを用いることができる。
【0035】
特に、ゴム含有グラフト重合体(b−1)中の芳香族ビニル単量体の含有量は20〜50重量%、シアン化ビニル単量体の含有量は5〜25重量%、他の単量体の含有量は25重量%以下とするのが好ましい。
【0036】
弾性重合体(B)は、上述のゴム含有グラフト重合体(b−1)の1種又は2種以上の50〜100重量%と、硬質重合体(b−2)の1種又は2種以上の50〜0重量%とで、アクリル酸エステル系単量体単位が20〜80重量%含む組成となるようにしたものが好ましい。この含有量が20重量%未満では制振性が劣る傾向にあり、80重量%を超えると硬質層との接着性に劣る傾向があることから好ましくない。
【0037】
本発明の積層体の各構成層を形成する硬質重合体(A)又は弾性重合体(B)には、必要に応じて更に顔料、染料、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、補強剤、充填剤など各種添加剤をその物性等を損なわない範囲内で配合することができる。
【0038】
これら各構成成分を混合して各層の構成材料を製造する方法としては、特に制限はないが、溶融混練りが好ましく、例えば、押出機、バンバリーミキサー等を用いて行うことができる。
【0039】
本発明の積層体を構成する硬質層及び弾性層を製造する方法としては、特に制限はなく、射出成形、ブロー成形、異形押出成形、又は、シート状に押出した後、真空成形、圧空成形するなどの各種の成形方法が適用でき、また、これらの層を積層させる方法としては、従来から用いられている公知の方法と装置とを使用することができる。例えば、射出成形において、2つのノズルから同時又は間欠して樹脂材料を充填させる、所謂ダブルインジェクション成形機を用いて、硬質重合体(A)よりなる硬質層と弾性重合体(B)よりなる弾性層とを積層させる方法や、Tダイ押出機により硬質重合体(A)をシート成形する際に、弾性重合体(B)を同時に熱融着ラミネートすることにより積層体を得る方法、カレンダーロールで弾性重合体(B)を硬質重合体(A)シートに直接積層することにより積層体を得る方法、硬質重合体(A)及び弾性重合体(B)をそれぞれ公知の方法にてシート成形し、その後、圧熱プレス成形にて積層体を得る方法等が挙げられる。
【0040】
本発明の積層体は、前記硬質重合体(A)により主として構成される硬質層と弾性重合体(B)により主として構成される弾性層とを積層して構成されるものであり、通常は、硬質層と弾性層とが各々一層ずつ積層された構成とされるが、所望により、これらを交互に複数層積層された構成としても良い。
【0041】
また、本発明の積層体の層間には、硬質層と弾性層との親和性ないし密着性を向上させる目的で接着剤等の中間層を介在させて各層を接着しても良い。
【0042】
このような本発明の積層体は、硬質層と弾性層とがシート状に積層されたものを真空成形、圧空成形等の二次加工することにより、所望の形状の制振部材に成形することができる。
【0043】
なお、本発明の硬質重合体(A)及び弾性重合体(B)において、優れた制振性と剛性、耐衝撃性等の機械的特性とを兼備する上で、硬質層の厚さtAと弾性層の厚さtBとの比tA/tBは1/5〜5/1とすることが好ましい。
【0044】
【実施例】
以下に、合成例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【0045】
なお、実施例及び比較例において用いた重合体1〜6は、表1に示す単量体組成のものであり、このうち重合体2〜6については、公知の重合方法により合成し、重合体1については、それぞれ表1に示す市販品を用いた。
【0046】
【表1】
Figure 0004572432
【0047】
合成例1:硬質重合体(A−1)〜(A−6)の合成
表2に示す割合で、各重合体を0.5重量部の滑剤(日本油脂(株)製:PRN−208)と共に混練した後、220℃で2軸押出機(東芝(株)製:TEX−44)にて溶融混合し、ペレット化した。混練により得られた熱可塑性樹脂組成物中の(メタ)アクリル酸エステル単量体総含有量は、表2に示す通りであった。
【0048】
合成例2:弾性重合体(B−1)〜(B−3)の合成
重合体の配合割合を表2に示す割合としたこと以外は、合成例1と同様にして弾性重合体(B−1)〜(B−3)のペレットを作成した。
【0049】
【表2】
Figure 0004572432
【0050】
なお、表2には、後述の方法で測定した曲げ弾性率を併記した。
【0051】
実施例1〜、比較例1〜
硬質重合体(A−1)〜(A−5)及び弾性重合体(B−1)〜(B−3)と重合体6のABS樹脂のペレットを各々、温度200℃、圧力50kg/cmで厚さ1mmのシート状に成形した。得られたシートを用い、表3,4に示す組み合わせで重ね合わせ、加熱板にて温度200℃、圧力1.5kg/cmで30秒加熱圧着させて積層体を得、その制振性を下記方法で調べ、結果を表3,4に示した。
【0052】
また、各ペレットを用いて4オンス射出成形機(日本製鋼(株)製)で240℃にて成形して必要なテストピースを作成し、下記方法で曲げ弾性率を測定し、結果を表3,4に示した。
【0053】
[制振性]
下記測定装置を用い、JIS G 0602に規定する中央支持加振法にて下記条件にて機械インピーダンスを測定し、半値幅法によって損失係数を算出した。
測定装置:松下インターテクノ(株)製、制振性評価装置
条件 :20℃における各周波数(100,500,1200,2500Hz)での損失係数を測定。
[曲げ弾性率]
ASTM−D790 (常温) (kg/cm2
【0054】
【表3】
Figure 0004572432
【0055】
【表4】
Figure 0004572432
【0056】
以上の結果から明らかなように、実施例1〜6の本発明の範囲内であれば、良好な制振性が得られ、特にゴム含有グラフト重合体(A−3),(A−4)を用いた実施例は、低周波域から高周波域までの広い領域において、極めて安定した制振性が得られる。
【0057】
これに対して、硬質重合体のシートを積層した比較例1では、高周波域での制振性が劣り、弾性重合体のシートを積層した比較例2では低周波域での制振性が劣る。また、硬質重合体のシートと弾性重合体のシートとを積層したものであっても、曲げ弾性率が本発明の範囲から外れる比較例3,4では、やはり制振性が十分ではない。また、一般のABS樹脂シートを一方に積層した比較例5〜7では、制振性が極めて悪い。
【0058】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、低周波域から高周波域の幅広い領域で著しく良好な制振性を示す積層体及び制振部材が提供される。本発明の積層体及び制振部材は、各種事務機、家庭電化製品、音響機器等の振動抑制、振動に起因する騒音の低域ないし音質の向上のための部材として工業的に極めて有用である。

Claims (8)

  1. メタクリル酸エステル系単量体及び/又はアクリル酸エステル系単量体と必要に応じて用いられるこれらと共重合可能な他の単量体からなる重合体(a)を含み、曲げ弾性率が25000〜35000kg/cmである硬質重合体(A)で形成される硬質層と、
    メタクリル酸エステル系単量体及び/又はアクリル酸エステル系単量体と必要に応じて用いられるこれらと共重合可能な他の単量体とからなる重合体(b)を含み、曲げ弾性率が5000〜7000kg/cmである弾性重合体(B)で形成される弾性層とを積層してなる積層体。
  2. 硬質重合体(A)が、メタクリル酸エステル系単量体及び/又はアクリル酸エステル系単量体単位を40〜100重量%含有する請求項1に記載の積層体。
  3. 弾性重合体(B)が、ゴム質重合体の存在下に芳香族ビニル及びシアン化ビニルを含む単量体混合物を共重合させてなるゴム含有グラフト重合体(b−1)50〜100重量%と、芳香族ビニル及びシアン化ビニルを含む単量体混合物を共重合させてなる硬質重合体(b−2)50〜0重量%とからなる請求項1又は2に記載の積層体。
  4. ゴム含有グラフト重合体(b−1)を構成するゴム質重合体が、アクリル酸エステル系重合体よりなる請求項3に記載の積層体。
  5. 弾性重合体(B)が、アクリル酸エステル系単量体単位を20〜80重量%含有する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 硬質重合体(A)が、メタクリル酸エステル系単量体100〜40重量%とアクリル酸エステル系単量体0〜60重量%とからなる硬質重合体(a−1)と、メタクリル酸エステル系単量体及び/又はアクリル酸エステル系単量体90〜40重量%とこれらと共重合可能な他の単量体10〜60重量%とからなる硬質重合体(a−2)との混合物である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 硬質層の厚さtAと弾性層の厚さtBとの比tA/tB=1/5〜5/1である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の積層体よりなる制振部材。
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