JP2006028328A - 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐衝撃性を維持しながらも、大型薄肉成形が可能となるような成形性(流動性やシルバー性)を有し、かつ押出成形も可能な熱可塑性樹脂組成物、および大型薄肉成形品であっても、表面外観および耐衝撃性に優れた成形品を提供する。
【解決手段】 熱可塑性樹脂組成物として、ゴム質重合体の存在下に、シアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体と必要に応じて共重合可能な他の単量体とを共重合してなるゴム含有シアン化ビニル系樹脂(A)と、シアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体と必要に応じて共重合可能な他の単量体とを共重合してなり、質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4.0以上であり、分子量が5万以上のものの割合が35〜65質量%であるシアン化ビニル系樹脂(B)とを含有するものを用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、成形性(流動性、シルバー性)に優れ、かつ高い耐衝撃性を有する大型薄肉成形品を得ることができ、さらに押出成形が可能な熱可塑性樹脂組成物、およびその成形品に関する。
ABS樹脂などのゴム含有シアン化ビニル系樹脂は、優れた加工性、耐衝撃性、機械特性を有していることから、車両分野、家電分野などの広範な分野において各種構成部材の成形材料として使用されている。近年、省資源やコストダウンのために、電話機、ノートパソコン、コピー機、テレビ等の弱電用筐体は薄肉化する傾向にある。しかしながら、テレビ等の大型成形品となると、ABS樹脂などのゴム含有シアン化ビニル系樹脂を使用した場合、これらの材料では流動性が不足しているため、ショートショットやシルバーが発生するという問題があった。
また、射出成形品と押出成形品とを嵌合させて1つの製品とする場合がある。しかしながら、特に大型成形品になると、その材料としては、射出成形では流動性のよいもの、押出成形では流動性を抑えたものが求められるため、射出成形品と押出成形品とでは同一の材料を使用することは困難であり、通常は異なった材料が選定される。このため、2種以上の材料のストックを持たなければならないという生産上の問題や、両者の材料の違いにより、色調や表面外観等に相違が見られるという品質的な問題があった。
成形性を向上させ、大型薄肉化を実現させるために、ゴム含有シアン化ビニル系樹脂とシアン化ビニル系樹脂とをブレンドした熱可塑性樹脂組成物を用い、シアン化ビニル系樹脂の分子量を下げ、樹脂粘度を低下させたり、ゴム含有シアン化ビニル系樹脂中のゴム含有量を減量させたりすることが行われる。しかしながら、いずれも、樹脂の重要な特性である耐衝撃性などの機械的性質を低下させるという問題があった。
また、シアン化ビニル系樹脂として高分子量のものと低分子量のものとを適当にブレンドしたものを用い、流動性と耐衝撃性とのバランスをとる方法もある。しかしながら、耐衝撃性を維持しながらの流動性やシルバー性の大幅な向上は得られない。また、2種以上のマトリックス樹脂のブレンドによるコンパウンドでは、生産性が悪く、ゴム含有シアン化ビニル系樹脂の分散不良等の品質低下が起きやすい。
特許文献1に記載されているように、スチレン重合体の分子量分布を調整し、耐衝撃性および成形性の向上を達成しているものもある。しかしながら、本発明者らが、シアン化ビニル系樹脂において、上記文献に記載のような分子量分布を有するものの製造を試みたが、特許文献1に記載された範囲では分子量が大きいため、満足する流動性が得られなかった。また、特許文献1においては、シルバー性や押出成形性については考慮されていない。
以上のように、従来、シルバー性に優れ、高い耐衝撃性を有する大型肉薄成形品を得ることができ、かつ押出成形も可能な熱可塑性樹脂組成物は得られていなかった。
特公昭57−30843号公報
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、耐衝撃性を維持しながらも、大型薄肉成形が可能となるような成形性(流動性やシルバー性)を有し、かつ押出成形も可能な熱可塑性樹脂組成物、および大型薄肉成形品であっても、表面外観および耐衝撃性に優れた成形品を提供することを目的としている。
本発明者らは、射出成形のような高せん断領域での流動を「高せん断流動」、押出成形のような低せん断領域での流動を「低せん断流動」と定義した場合、高せん断流動性が高く、低せん断流動性が低いといった材料によって大型薄肉成形品の射出成形と押出成形の両方を達成できるという思想をもとに、耐衝撃性を維持しながらも大型肉薄成形が可能でかつ押出成形も可能な材料を得ることを詳細に検討した結果、上記課題を解決する以下の熱可塑性樹脂組成物を発明した。
すなわち、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ゴム質重合体の存在下に、シアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体と必要に応じて共重合可能な他の単量体とを共重合してなるゴム含有シアン化ビニル系樹脂(A)と、シアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体と必要に応じて共重合可能な他の単量体とを共重合してなり、質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4.0以上であり、分子量が5万以上のものの割合が35〜65質量%であるシアン化ビニル系樹脂(B)とを含有することを特徴とするものである。
また、本発明の成形品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形したものである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性を維持しながらも、大型薄肉成形が可能となるような成形性(流動性やシルバー性)を有し、かつ押出成形も可能である。
また、本発明の成形品は、大型薄肉成形品であっても、表面外観および耐衝撃性に優れる。
<ゴム含有シアン化ビニル系樹脂(A)>
本発明におけるゴム含有シアン化ビニル系樹脂(A)は、ゴム質重合体の存在下で、芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体と必要に応じて共重合可能な他の単量体とをグラフト重合してなるグラフト重合体である。
ゴム質重合体としては、ボリブタジエン、ブタジエンと共重合可能なビニル系単量体との共重合体のような共役ジエン系重合体;アクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体との共重合体のようなアクリル酸エステル系重合体;エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−ブテン−非共役ジエン共重合体、ポリオルガノシロキサン系重合体等が挙げられる。
ここで、アクリル酸エステル重合体におけるアクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−メチルペンチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレートなどが挙げられる。また、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体に含有されるジエンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−ヘプタジエン、1,5−シクロオクタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、11−エチル−1,11−トリデカジエン、5−メチレン−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
ゴム質重合体は、これらのうちの1種を単独で、または2種以上を組み合わせた複合ゴムとして用いられる。
芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−、m−またはp−メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。中でも、スチレンおよびα−メチルスチレンが好ましい。これらは、1種を単独で、または2種以上組み合わせて使用することができる。
シアン化ビニル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等を挙げることができる。中でも、アクリロニトリルが好ましい。これらは、1種を単独で、または2種以上組み合わせて使用することができる。
ゴム含有シアン化ビニル系樹脂(A)の製造において、上記の芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体の他に、これらと共重合可能な他の単量体を本発明の目的を損なわない範囲で使用することができる。このような共重合可能な他の単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸;メチル(メタ)アクリレート(「(メタ)アクリレート」は「アクリレートおよびメタクリレート」を示す)、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のα,β−不飽和カルボン酸エステル類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸無水物類;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−o−クロロフェニルマレイミド等のα,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物類等を挙げることができる。これら他の単量体は、1種を単独で、または2種以上組み合わせて使用することができる。
ゴム含有シアン化ビニル系樹脂(A)の製造方法としては、特に制限はなく、例えば過硫酸塩またはクメンハイドロパーオキサイド−ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート等のレドックス系の重合開始剤を用いた乳化重合法などが挙げられる。
<シアン化ビニル系樹脂(B)>
本発明におけるシアン化ビニル系樹脂(B)は、シアン化ビニル単量体、芳香族ビニル単量体、必要に応じて共重合可能な他の単量体を共重合した重合体である。
シアン化ビニル系樹脂(B)の製造に使用されるシアン化ビニル単量体、芳香族ビニル単量体、これらと共重合可能な他の単量体としては、ゴム含有シアン化ビニル系樹脂(A)の製造に使用した単量体と同様な単量体を使用することができる。
シアン化ビニル系樹脂組成物(B)は、質量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)、すなわち分子量分布が4.0以上である必要がある。Mw/Mnは、好ましくは7.0以上であり、より好ましくは7.0〜10.0である。分子量分布(Mw/Mn)が4.0より狭い場合は、高せん断流動性およびシルバー性の向上効果が得られず、押出成形性も悪い。
シアン化ビニル系樹脂(B)は、分子量が5万以上の重合体の割合が、シアン化ビニル系樹脂組成物(B)(100質量%)中、35〜65質量%である必要があり、好ましくは40〜60質量%、より好ましくは45〜55質量%である。分子量が5万以上の重合体の割合が35質量%未満の場合は、低分子量成分が多くなるため、衝撃強度が低下し、一方、65質量%を超えると、高せん断流動性およびシルバー性の向上効果が得られない。
また、シアン化ビニル系樹脂(B)の質量平均分子量は、90000以上であることが好ましく、100000〜200000がより好ましい。シアン化ビニル系樹脂(B)の質量平均分子量が90000未満では、低せん断流動性が高くなり、ドローダウンが大きくなって押出成形ができなくなるおそれがある。
シアン化ビニル系樹脂(B)の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)を用いて測定され、標準ポリスチレン換算法にて算出される。
<熱可塑性樹脂組成物>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ゴム含有シアン化ビニル系樹脂(A)と、シアン化ビニル系樹脂(B)とを含有するものである。
ゴム含有シアン化ビニル系樹脂(A)だけでは、射出成形性、押出成形性、ブロー成形性を満足することができない。一方、シアン化ビニル系樹脂(B)だけでは、耐衝撃性に劣る。
また、熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じてさらに、顔料、染料、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、補強剤、充填剤、難燃剤など各種添加剤を、その物性を損なわない範囲内において配合することができる。
熱可塑性樹脂組成物を得る方法としては特に制限はないが、ゴム含有シアン化ビニル系樹脂(A)とシアン化ビニル系樹脂(B)とを混合した後に溶融混練することが好ましい。溶融混練は、例えば、押出機、バンバリーミキサー等を用いて実施することができる。
以上説明した本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性を低下させずに、高せん断流動性を向上させることができるため、成形品の薄肉化および大型化ができ、また、低せん断流動性を抑えることができるため、押出による成形も問題なくできる。
<成形品>
本発明の成形品は、上述した熱可塑性樹脂組成物を成形したものである。
成形方法としては、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形など、公知の成形方法を用いることができる。特に、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、押出成形に好適に使用できる。
本発明の成形品は、耐衝撃性を維持しながらも、大型薄肉成形が可能となるような成形性(流動性やシルバー性)を有する熱可塑性樹脂組成物からなるので、大型薄肉成形品であっても、表面外観および耐衝撃性に優れたものとなる。
以下、実施例を示す。
シアン化ビニル系樹脂(B)中のスチレン単位およびアクリロニトリル単位の含有量、シアン化ビニル系樹脂(B)のMw/Mnおよび分子量が5万以上のものの割合は、以下のようにして測定した。
[単量体単位含有量]
シアン化ビニル系樹脂(B)中のスチレン単位およびアクリロニトリル単位は、赤外スペクトルによって求めた。
[分子量]
シアン化ビニル系樹脂(B)のMw/Mnおよび分子量が5万以上のものの割合は、シアン化ビニル系樹脂(B)のサンプルをアセトンに溶解し、アセトン可溶分についてGPC((株)東ソー社製、HLC8020)を使用して測定した。
また、本実施例においては、以下のゴム含有シアン化ビニル系樹脂(A)およびシアン化ビニル系樹脂(B)を使用した。
[シアン化ビニル系樹脂(A)]
ゴム含有シアン化ビニル系樹脂(A)としては、UMG・ABS社製のABS樹脂「B500」を使用した。
[シアン化ビニル系樹脂(B)]
(合成例1)(シアン化ビニル系樹脂(B−1)の製造)
窒素置換した反応器に表1に示す成分からなる単量体混合物を添加し、開始温度を60℃として5時間加熱後、120℃に昇温し、続いて4時間反応させて重合を完結させた。得られたシアン化ビニル系樹脂(B−1)のアクリロニトリル単量体単位とスチレン単量体単位の質量比(AN/ST比)は27.0/73.0であり、質量平均分子量(Mw)は174000、数平均分子量(Mn)は18000、分子量分布(Mw/Mn)は9.7、分子量5万以上の割合は47質量%であった。
(合成例2)(シアン化ビニル系樹脂(B−2)の製造)
NOMを0.8質量部とし、TDMを0.05質量部追加したこと以外は、合成例1と同様にしてシアン化ビニル系樹脂(B−2)を得た。得られたシアン化ビニル系樹脂(B−2)のAN/ST比は28.0/72.0であり、質量平均分子量(Mw)は132000、数平均分子量(Mn)は19000、分子量分布(Mw/Mn)は7.0、分子量5万以上の割合は60質量%であった。
(合成例3)(シアン化ビニル系樹脂(B−3)の製造)
NOMを0.8質量部とし、TDMを0.1質量部追加したこと以外は、合成例1と同様にしてシアン化ビニル系樹脂(B−3)を得た。得られたシアン化ビニル系樹脂(B−3)のAN/ST比は28.3/71.7であり、質量平均分子量(Mw)は111000、数平均分子量(Mn)は16000、分子量分布(Mw/Mn)は7.1、分子量5万以上の割合は40質量%であった。
(合成例4)(シアン化ビニル系樹脂(B−4)の製造)
NOMを0.5質量部とし、TDMを0.2質量部追加したこと以外は、合成例1と同様にしてシアン化ビニル系樹脂(B−4)を得た。得られたシアン化ビニル系樹脂(B−4)のAN/ST比は28.4/71.6であり、質量平均分子量(Mw)は100000、数平均分子量(Mn)は25000、分子量分布(Mw/Mn)は4.0、分子量5万以上の割合は55質量%であった。
(合成例5)(比較用のシアン化ビニル系樹脂(B−5)の製造)
NOMを0.2質量部とし、TDMを0.4質量部追加し、AIBNを1.17質量部としたこと以外は、合成例1と同様にしてシアン化ビニル系樹脂(B−5)を得た。得られたシアン化ビニル系樹脂(B−5)のAN/ST比は28.1/71.9であり、質量平均分子量(Mw)は80000、数平均分子量(Mn)は38000、分子量分布(Mw/Mn)は2.1、分子量5万以上の割合は63質量%であった。
(合成例6)(比較用のシアン化ビニル系樹脂(B−6)の製造)
NOMをTDM0.4質量部に変更したこと以外は、合成例1と同様にしてシアン化ビニル系樹脂(B−6)を得た。得られたシアン化ビニル系樹脂(B−6)のAN/ST比は26.8/73.2であり、質量平均分子量(Mw)は107000、数平均分子量(Mn)は62000、分子量分布(Mw/Mn)は1.7、分子量5万以上の割合は65質量%であった。
(合成例7)(比較用のシアン化ビニル系樹脂(B−7)の製造)
NOMを0.5質量部とし、TDMを0.4質量部追加したこと以外は、合成例1と同様にしてシアン化ビニル系樹脂(B−7)を得た。得られたシアン化ビニル系樹脂(B−7)のAN/ST比は28.2/71.8であり、質量平均分子量(Mw)は81000、数平均分子量(Mn)は20000、分子量分布(Mw/Mn)は4.1、分子量5万以上の割合は33質量%であった。
(合成例8)(比較用のシアン化ビニル系樹脂(B−8)の製造)
NOMを0.5質量部とし、TDMを0.05質量部追加したこと以外は、合成例1と同様にしてシアン化ビニル系樹脂(B−8)を得た。得られたシアン化ビニル系樹脂(B−8)のAN/ST比は28.3/71.7であり、質量平均分子量(Mw)は148000、数平均分子量(Mn)は37000、分子量分布(Mw/Mn)は4.0、分子量5万以上の割合は70質量%であった。
Figure 2006028328
[実施例1〜3 、比較例1〜2]
上記方法にて得られた各重合体を表2に示す割合で配合し、0.5質量部の滑剤(「PRN−208」日本油脂(株)製)とともにヘンシェリングさせた。次いで、220℃で2軸押出機((株)日本製鋼所製:TEX−44)にて溶融混合し、ペレット化して熱可塑性樹脂組成物を得た。このペレットを射出成形機にて成形し、それぞれ以下のように評価した。その結果を表2に示す。
(各種物性)
(株)東芝製2オンス射出成形機にて射出温度250℃で成形し、ISO試験法に従い測定した。
メルトフローレート:ISO 1133(低せん断流動性)。
シャルピー衝撃強度:ISO 179。
引張強度:ISO 257。
曲げ強度および弾性率:ISO 178。
(スパイラルフロー)
高せん断流動性の指標となるスパイラルフローは、厚さ2mmのスパイラル金型を用い、熱可塑性樹脂組成物を、4オンス射出成形機((株)日本製鋼所製)から射出温度220℃、射出圧7MPa、金型温度50℃で射出し、流動長さ(単位:mm)を測定した。
(シルバー性)
リッド金型(自動車メータパネル型)を用い、熱可塑性樹脂組成物を、8オンス射出成形機(住友重機械工業(株)製)から射出温度250℃、金型温度50℃で射出し、成形品を得た。射出速度を段階的に上げて射出成形を繰り返し、目視にて成形品表面を観察し、シルバーが発生した時の射出速度を、シルバー発生射出速度とした。シルバーが発生する射出速度が速いほどシルバー性が良好と判断した。
(押出成形性)
40mm押出機を使用して、フルフライトスクリューで、回転数15rpm、押出温度200℃にて幅40mm×厚さ10mmの板状の異形押出成形品を作製し、形状等を目視により判断し、○良い、△やや悪い、×不良とした。
Figure 2006028328
実施例1〜4の熱可塑性樹脂組成物は、シアン化ビニル系樹脂(B)の分子量分布(Mw/Mn)が4.0以上と広く、分子量5万以上の割合が35〜65質量%の範囲内であるので、高い耐衝撃性を維持しつつ高せん断流動性(スパイラルフロー)が大幅に向上した。また、シルバー発生射出速度も高く、シルバー性もよい。また、押出成形においても問題なく成形できた。
比較例1、2の熱可塑性樹脂組成物は、シアン化ビニル系樹脂(B)の分子量分布(Mw/Mn)が2.1および1.7と狭く、高せん断流動性(スパイラルフロー)は低く、シルバー発生射出速度も低く、シルバー性は悪い。押出成形においては、比較例1ではシアン化ビニル系樹脂(B−5)の質量平均分子量が低いため、低せん断流動性(メルトフローレート)が高くなり、ドローダウンが大きく成形できなかった。比較例2ではシアン化ビニル系樹脂(B−6)の質量平均分子量が比較的高いため、低せん断流動性は低く抑えられ、押出成形は問題なかった。
比較例3、4の熱可塑性樹脂組成物は、シアン化ビニル系樹脂(B)の分子量分布(Mw/Mn)が4.0以上と広いが、分子量5万以上の割合が35〜65質量%の範囲外であるため、比較例3では衝撃強度が低く、低せん断流動性が上昇したため押出成形性がやや悪かった。比較例4では高せん断流動性、シルバー性の向上効果が得られなかった。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ABS樹脂に代表されるゴム含有シアン化ビニル系樹脂の従来からの欠点が改良された画期的な高性能成形材料である。従って、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、家電製品等の大型薄肉成形品用の成形材料として、その工業的な実用価値は極めて大きい。

Claims (2)

  1. ゴム質重合体の存在下に、シアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体と必要に応じて共重合可能な他の単量体とを共重合してなるゴム含有シアン化ビニル系樹脂(A)と、
    シアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体と必要に応じて共重合可能な他の単量体とを共重合してなり、質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4.0以上であり、分子量が5万以上のものの割合が35〜65質量%であるシアン化ビニル系樹脂(B)と
    を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形品。
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