JP4048575B2 - 耐傷つき性を有する熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は耐熱性、耐衝撃性、熱安定性に優れ、かつ、耐候性、耐傷つき性にも非常に優れる熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゴム含有樹脂組成物として一般的にABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂(又はASA樹脂)が挙げられ、これらの樹脂はその機械的強度、成形性、成形外観、耐熱性などに優れ、射出成形、押出成形に適し、今日広く用いられている。
【0003】
これらのうち、ABS樹脂は、使用されるゴム成分が不飽和性であるため耐候性に劣り、光による劣化、熱による変色や衝撃強度の低下等の問題があった。そこで、主鎖に不飽和性ゴムを含まないエチレン−プロピレン系ゴムを用いたAES樹脂や、アクリル酸エステル系ゴムを用いたAAS樹脂が使用されているが、AES樹脂、AAS樹脂は、耐候性に優れるものの、着色性に若干劣るという問題を有している。
【0004】
この着色性の改善方法として、メチルメタクリレート系重合体(PMMA樹脂)をブレンドする方法(特公昭62−61233号公報、特公昭63−64467号公報)や、ゴム状重合体にメチルメタクリレート系単量体をグラフト重合させるか、又は、硬質樹脂成分に共重合させるなどの方法(特公平4−1027号公報)が提案されている。しかしながら、このような方法では、着色性の改善はみられるものの、メチルメタクリレート系重合体に起因する耐熱性の低下や、衝撃強度の大幅な低下を招き、ゴム含有スチレン系樹脂が必要とされる用途に対しては、満足いくものではなく、従って、適用範囲が制限されているのが現状である。
【0005】
上記した問題点のうち、耐熱性を改善するものとして変性アクリルゴムに六員環酸無水物を配合した組成物(特開平4−277546号公報)や、ABS樹脂と六員環酸無水物とこの六員環酸無水物をイミド化させた化合物からなる樹脂組成物(特公平1−29505号公報)が提案されている。前者の樹脂組成物は、特殊なアクリル系ゴムと六員環酸無水物とのブレンドであるが、六員環酸無水物単位のみを必須とし、いかなる重合体又は共重合体をベースとしてもかまわないとしているため、ゴム成分、その他の共重合体との相溶性が良好でなく、従って、これらの配合物からなるものは耐熱性の改善、特にAAS樹脂の発色性と、耐候性、耐油性等は改善されるものの、耐衝撃性の大幅な低下は否めず、このため、実際には極めて用途が限定されている状況にある。また、後者の樹脂組成物は、ABS樹脂の耐熱性の改善目的で六員環酸無水物とそのイミド化物が配合されているが、近年ではN−置換マレイミド化合物の配合による方法が当業者間では一般的な手法となっており、ABS樹脂の耐熱性の改善方法としては、コストと生産性ともに良好とはいえない。
【0006】
また、ゴム含有組成物であるABS、AES、AAS樹脂は、そのゴムの存在のために、樹脂の表面硬度が上がらず、その結果傷つきやすいものとなっている。このため、中でも表面の外観を重視する電話機筐体などに使用されるABS樹脂では、ゴム成分量を極めて低くし、耐傷つき性に対応している。そして、このゴム成分の含有量の低減に起因する耐衝撃性の低下を成形品の肉厚等により補っているため、昨今のコスト低減及び軽量化のための肉厚減少への対応が難しい状況になっている。
【0007】
また、耐候性樹脂であるAES、AAS樹脂は、塗装を前提としていないため、耐傷つき性が重要な特性となるが、前記ABS樹脂と同様に傷つきやすいことから用途が限定されているという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来においては、耐候性、耐傷つき性、耐熱性、耐衝撃性等の要求特性をすべて満たす樹脂組成物は提供されていない。
【0009】
本発明は上記従来の問題点を解決し、耐熱性、耐衝撃性、熱安定性に優れる上に、耐候性、耐傷つき性にも非常に優れる熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の耐傷つき性を有する熱可塑性樹脂組成物は、エチレン−プロピレン又はブテン−非共役ジエン共重合体を含むゴム質重合体30〜80重量%の存在下に芳香族ビニル単量体15〜65重量%と、シアン化ビニル単量体5〜55重量%と、必要に応じてマレイミド化合物0〜30重量%とをグラフト重合してなるゴム含有グラフト共重合体(I)5〜60重量部と、ゴム質重合体非含有の硬質共重合体混合物(II)又は硬質共重合体(b)40〜95重量部とを含む。なお、ゴム含有グラフト共重合体(I)と硬質共重合体(II)又は硬質共重合体(b)との合計で100重量部とする。
【0011】
本発明において、硬質共重合体混合物(II)は、次の共重合体(a)5〜60重量部と共重合体(b)35〜90重量部との合計で40〜95重量部で構成される。
【0012】
共重合体(a):芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体及び必要に応じてマレイミド化合物を共重合してなる共重合体
共重合体(b):メタクリル酸メチル単量体と、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、マレイミド化合物、更にアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルから選ばれる1種以上の単量体とを共重合してなる共重合体
【0013】
即ち、本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討を進めた結果、メタクリル酸エステル単位を基本とし、ゴム成分と硬質成分との相溶性を最大限発揮させるために、これと相溶化効果が良好な共重合可能な単量体との共重合体とを配合することにより前記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
本発明に従って、ゴム含有グラフト共重合体(I)のゴム含有樹脂に、共重合体(b)のメタクリル酸メチル単量体を介してなる共重合体を必須成分として添加することにより、そのゴム含有樹脂の特性を維持しつつ、当該樹脂の問題点を改良することができる。即ち、例えば、共役ジエン系ゴム含有樹脂組成物であるABS樹脂等に添加すると、耐傷つき性だけでなく、耐候性の改良も見られ、また、非共役ジエン系ゴム含有重合体であるAAS樹脂、AES樹脂等に添加すると従来の問題であった耐傷つき性を大幅に改良でき、また、耐候性についても更なる性能向上を図ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
本発明で用いるゴム含有グラフト共重合体(I)としては、具体的にはAES樹脂等を例示することができる。このゴム含有グラフト共重合体中のゴム質重合体のゴム成分としては、ブタジエン、ブタジエン重合体、ブタジエンと共重合可能なビニル単量体との共重合体、アクリル酸アルキル重合体、アクリル酸アルキル重合体と共重合可能なビニル単量体との共重合体、エチレン−プロピレン又はブテン−非共役ジエン共重合体等が挙げられる。このうち、アクリル酸アルキル重合体としてはメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−メチルペンチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレートなどが挙げられ、また、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体に含有されるジオレフィンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−ヘプタジエン、1,5−シクロオクタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、11−エチル−1,11−トリデカジエン、5−メチレン−2−ノルボルネンなどが挙げられ、これらのうち、1種又は2種以上を用いることができる。
【0017】
上記ゴム質重合体にグラフト重合させる単量体成分としての芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、又はこれらの混合物が好ましく用いられるが、これら以外にも必要に応じてp−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン等も用いられる。また、シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、又はこれらの混合物等が用いられるが、特にアクリロニトリルが好ましい。必要応じて用いられるマレイミド化合物としては、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド化合物が用いられるが、特にN−フェニルマレイミドが好ましい。
【0018】
本発明に係るゴム含有グラフト共重合体(I)は、上記したゴム質重合体の中から少なくともエチレン−プロピレン又はブテン−非共役ジエン共重合体を含む1種類以上を選択し、このゴム質重合体30〜80重量%に対して芳香族ビニル単量体15〜65重量%とシアン化ビニル単量体5〜55重量%と更に必要に応じてマレイミド化合物0〜30重量%をグラフト重合させてなる。
【0019】
本発明に係るゴム含有グラフト共重合体100重量部において、ゴム質重合体の含有量が30重量部よりも少ないときは、得られる熱可塑性樹脂組成物が耐衝撃性に劣り、逆に70重量部を超えるときは、他の共重合体との相溶性が低下するので好ましくない。グラフト重合体における芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体の含有量が上記範囲をはずれるときは、得られる樹脂組成物が成形性、耐衝撃性及び耐熱性の少なくともいずれかに劣ることとなり、これら物性のバランスに優れる樹脂組成物を得ることができない。
【0020】
次に、本発明に係る硬質共重合体混合物(II)を構成する共重合体(a)及び共重合体(b)について説明する。
【0021】
共重合体(a)は、芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体と、更に必要に応じて用いられるマレイミド化合物を共重合してなる硬質共重合体からなる。ここで、芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体と、更に必要に応じて用いられるマレイミド化合物は、前記グラフト共重合体(I)にグラフトさせる単量体として例示したものが使用できる。
【0022】
共重合体(b)は、メタクリル酸メチル単量体を必須成分とし、メタクリル酸メチル単量体と共重合可能な他の単量体成分を共重合してなる硬質重合体であり、ここでメタクリル酸メチル単量体と共重合可能な他の単量体成分としては、前記グラフト共重合体(I)にグラフトさせる単量体として例示した芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、更にアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルであり、これらの共重合成分は1種でも2種以上であっても良い。即ち、共重合体(b)は2元共重合体でも3元共重合体でも良い。
【0023】
本発明において、共重合体(a)、(b)の好適な配合組成は次の通りである。
【0024】
共重合体(a)(重量%)
芳香族ビニル単量体 :65〜85
シアン化ビニル単量体 :15〜40
マレイミド化合物 : 0〜30
共重合体(b)(重量%)
メタクリル酸メチル単量体 :15〜80
芳香族ビニル単量体等の共重合可能な他の単量体 :20〜85
【0025】
本発明の耐傷つき性を有する熱可塑性樹脂組成物は、前記ゴム含有グラフト共重合体(I)を5〜60重量部の範囲で含有し、共重合体(a),(b)よりなる硬質共重合体混合物(II)又は共重合体(b)を40〜95重量部の範囲で含有する。
【0026】
本発明の樹脂組成物において、ゴム含有グラフト共重合体(I)の含有量が5重量部よりも少ないときは、得られる樹脂組成物が耐衝撃性に劣り、逆に60重量部よりも多いときは、耐傷つき性と耐熱性に劣ることとなる。
【0027】
本発明の耐傷つき性を有する熱可塑性樹脂組成物において、共重合体(b)の含有量が35重量部未満では、メタクリル酸メチル単位を含む共重合体を配合することによる本発明の効果が十分に得られず95重量部を超えると耐衝撃性の低下を招く。
【0028】
共重合体(a)を配合することにより衝撃強度と流動性の向上効果が得られるが、耐傷つき性の確保の面から、その含有量は好ましくは60重量部以下であり、特に好ましくは40重量部以下である。
【0029】
本発明の耐傷つき性を有する熱可塑性樹脂組成物において、硬質共重合体混合物(II)を構成する各共重合体(a),(b)の好適な含有割合は下記に示す通りである。
共重合体(a):5〜60重量部、共重合体(b):35〜90、好ましくは、共重合体(a):5〜40重量部、共重合体(b):55〜90重量部。なお、この好適範囲において、ゴム含有グラフト共重合体(I)の含有量は5〜40重量部である。
【0030】
硬質共重合体が共重合体(b)よりなる場合、共重合体(b)は40〜95重量部、好ましくは60〜95重量部。なお、この好適範囲において、ゴム含有グラフト共重合体(I)の含有量は5〜40重量部である。
【0031】
なお、本発明に係るゴム含有グラフト共重合体(I)、共重合体(a),共重合体(b)はそれぞれ1種を単独で用いても2種以上を併用しても良い。
【0032】
本発明に係るゴム質重合体及びこれを含有するグラフト共重合体(I)成分、共重合体(a)成分、共重合体(b)成分の製造方法は特に制限はなく、一般に公知のいずれの重合技術も採用可能であって、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、溶液重合等が挙げられる。
【0033】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、各共重合体成分を所定割合で混合することにより容易に製造することができる。その混合方法は特に制限はなく、グラフト共重合体(I)、必要に応じて共重合体(a)成分と、共重合体(b)とからなる混合物を通常の混練手段、例えば、押出機、バンバリーミキサー等を用いて均一に混練することによって得ることができる。
【0034】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、その特性を損なわない範囲において、安定剤、可塑剤、紫外線吸収剤、顔料等の通常の熱可塑性樹脂組成物に用いられる添加剤を含有しても良いことは言うまでもない。
【0035】
【実施例】
以下に、合成例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。なお、以下において「部」は「重量部」を示す。
【0036】
また、実施例及び比較例における各物性の測定方法は以下の通りである。
【0037】
(1)アイゾット衝撃強度 :ASTM D−256 1/8"ノッチ付き23℃
(2)曲げ強度 :ASTM D−790
(3)曲げ弾性率 :ASTM D−790
(4)熱変形温度 :ASTM D−648 1/4"
(5)メルトフローインデックス:ASTM D−1238 220℃/10kg
(6)ロックウェル硬さ :ASTM D−785
(7)鉛筆硬度 :JIS K−5400
(濃度記号が異なる鉛筆を用いて、傷がつかない鉛筆の濃度記号を鉛筆硬度とした。)
(8)洗車ブラシ試験:車の前頭部に25×50mmのプレートを設置し、洗車機にて、5分間の洗車を10回繰り返した後、外観変化を観察し、次の評価基準にて判定した。
外 観 評価点
傷がわからない 5点
傷はあるが目立ち難い 4点
僅かに傷が目立つ 3点
傷が目立つ 2点
非常に傷が目立つ 1点
(9)耐候性:サンシャインウェザオメーターによる下記促進条件で耐候性試験を行い、その変色、光沢の保持率を測定した。
促進条件
促進時間=2000時間
促進条件=63±3℃
スプレー=120分中18分
合成例1:グラフト共重合体(I−1)の製造
以下の配合にて、乳化重合法によりABS共重合体を合成した。
【0038】
〔配合〕
スチレン(ST) 32部
アクリロニトリル(AN) 13部
ポリブタジエン・ラテックス 55部
不均化ロジン酸カリウム 1部
水酸化カリウム 0.03部
ターシャリードデシルメルカプタン(t−DM) 0.1部
クメンハイドロパーオキサイド 0.3部
硫酸第一鉄 0.007部
ピロリン酸ナトリウム 0.1部
結晶ブドウ糖 0.3部
蒸留水 190部
まず、オートクレーブに蒸留水、不均化ロジン酸カリウム、水酸化カリウム及びポリブタジエン・ラテックス(固形分)を仕込み、60℃に加熱後、硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウム、結晶ブドウ糖を添加し、60℃に保持したままST、AN、t−DM及びクメンハイドロパーオキサイドを2時間かけて連続添加し、その後70℃に昇温して1時間保って反応を完結した。かかる反応によって得たABSラテックスに酸化防止剤を添加し、その後硫酸により凝固し、十分水洗後、乾燥してABSグラフト共重合体を得た。
【0039】
合成例2:グラフト共重合体(I−2)の製造
ゲル含量が65%であるエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴムラテックス(エチレン:プロピレン=75:25)(部))70部(固形分)に、スチレン70重量%とアクリロニトリル30重量%とからなるビニル単量体混合物30部を合計100部となるように反応させた以外は合成例1と同様にしてAESグラフト共重合体を得た。
【0040】
合成例3:グラフト共重合体(I−3)の製造
ポリアクリル酸ブチルゴム50部の存在下、アクリロニトリル15部、スチレン35部を反応させた以外は合成例1と同様にしてAASグラフト共重合体を得た。
【0041】
合成例4:グラフト共重合体(I−4)の製造
ゲル含量が65%であるエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴムラテックス(エチレン:プロピレン=75:25)(部))15部(固形分)に、スチレン70重量%とアクリロニトリル30重量%とからなるビニル単量体混合物85部を合計100部となるように反応させた以外は合成例1と同様にしてAESグラフト共重合体を得た。
【0042】
合成例5:共重合体(a−1)の製造
窒素置換した反応器に水120部、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ0.002部、ポリビニルアルコール0.5部、アゾイソブチルニトリル0.3部と、アクリロニトリル30部、スチレン70部からなるモノマー混合物を加え、開始温度60℃として5時間加熱後、120℃に昇温し、4時間反応後、重合物を取り出した。転化率は98%であった。
【0043】
合成例6:共重合体(a−2)の製造
脂肪酸塩を乳化剤とし、ラウリルパーオキサイドを重合開始剤とし、ドデシルメルカプタンを連鎖移動剤として用いて、水中にてメタクリル酸メチル15部、スチレン25部、α−メチルスチレン15部、アクリロニトリル25部及びN−フェニルマレイミド20部を公知の乳化重合方法により重合させて共重合体を得た。
【0044】
合成例7:共重合体(b−1)の製造
窒素置換した反応器に水200部、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ2.0部、過酸化カルウム0.3部を入れ、73℃に加熱後、メタクリル酸メチル65部、アクリロニトリル20部、スチレン15部からなる単量体混合物にt−DM0.1部を加え、開始温度60℃として5時間加熱後、120℃に昇温し、4時間反応後、重合物を取り出した。転化率は98%であった。
【0045】
合成例8:共重合体(b−2)の製造
共重合成分としてメタクリル酸メチル60部とスチレン20部とN−シクロヘキシルマレイミド20部を用いたこと以外は、合成例7と同様にして製造した。
【0046】
合成例9:共重合体(b−3)の製造
共重合成分としてメタクリル酸メチル55部とアクリル酸メチル45部を用いたこと以外は、合成例7と同様にして製造した。
【0047】
合成例10:共重合体(c−1)の製造
オートクレーブにメタクリル酸300g、メタクリル酸メチル700gにオクチルメルカプタン5gと4gのラウリルパーオキサイドを加え、この混合物を窒素雰囲気下で撹拌及び60℃に昇温して重合を行った。4時間後、温度を100℃に昇温し1.5時間の重合を行い、反応を完結させた。得られた重合体を、洗浄、乾燥後、NMR分析の結果、メタクリル酸28.5モル%、メタクリル酸メチル71.5モル%であった。この重合体をベント付き押し出し機(押し出し温度:295℃)で押し出し、造粒した。得られたペレットをNMR測定で分析したところ、メタクリル酸15.8モル%、メタクリル酸メチル68.5モル%、六員環酸無水物15.7モル%であった。
【0048】
実施例1〜6,比較例1〜25
表1〜3に示す割合にて各共重合体を混合し、バンバリーミキサーにて混練した後、ペレット化した。得られたペレットを用いて成形物を製造し、その評価結果を表1〜3に示した。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
表1〜3より、本発明の耐傷つき性を有する熱可塑性樹脂組成物は、耐熱性、耐衝撃性、熱安定性に優れ、しかも、耐候性、耐傷つき性にも非常に優れることが明らかである。
【0053】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、耐熱性、耐衝撃性、熱安定性に優れ、かつ、耐候性、耐傷つき性にも非常に優れる熱可塑性樹脂組成物が提供される。従って、本発明によれば、樹脂組成物の用途を大幅に拡大することができる。
Claims (2)
- エチレン−プロピレン又はブテン−非共役ジエン共重合体を含むゴム質重合体30〜80重量%の存在下に芳香族ビニル単量体15〜65重量%と、シアン化ビニル単量体5〜55重量%と、必要に応じてマレイミド化合物0〜30重量%とをグラフト重合してなるゴム含有グラフト共重合体(I)5〜60重量部と、ゴム質重合体非含有の硬質共重合体混合物(II)40〜95重量部とを含み、
該硬質共重合体混合物(II)は、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体及び必要に応じてマレイミド化合物を共重合してなる共重合体(a)5〜60重量部と、メタクリル酸メチル単量体と、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、マレイミド化合物、更にアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルから選ばれる1種以上の単量体とを共重合してなる共重合体(b)35〜90重量部とからなることを特徴とする耐傷つき性を有する熱可塑性樹脂組成物。 - エチレン−プロピレン又はブテン−非共役ジエン共重合体を含むゴム質重合体30〜80重量%の存在下に芳香族ビニル単量体15〜65重量%と、シアン化ビニル単量体5〜55重量%と、必要に応じてマレイミド化合物0〜30重量%とをグラフト重合してなるゴム含有グラフト共重合体(I)5〜60重量部と、ゴム質重合体非含有の硬質共重合体である、メタクリル酸メチル単量体と、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、マレイミド化合物、更にアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルから選ばれる1種以上の単量体とを共重合してなる共重合体(b)40〜95重量部とを含むことを特徴とする耐傷つき性を有する熱可塑性樹脂組成物。
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1997
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