JP2021031569A - 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】耐擦り傷性、耐引掻き傷性、耐擦り傷性の持続性、耐引掻き傷性の持続性および鉛筆硬度に優れる成形品が得られる熱可塑性樹脂組成物を提供する。【解決手段】エチレン・α−オレフィン共重合体(a)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)の存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物および(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれた少なくとも一種のビニル系単量体を含むビニル系単量体混合物(m1)を重合して得られたグラフト共重合体(A)と、メタクリル酸エステル樹脂(B)とを含む熱可塑性樹脂組成物であって、前記熱可塑性樹脂組成物100質量%に対する前記エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の含有率が4〜12質量%である、熱可塑性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物およびその成形品に関する。
成形品の耐衝撃性を向上させることによって、成形品の用途が拡大するだけでなく、成形品の薄肉化や大型化への対応が可能になる等、工業的な有用性が非常に高くなる。そのため、成形品の耐衝撃性の向上については、これまでに様々な手法が提案されている。これらの手法のうち、ゴム質重合体と硬質樹脂とを組み合わせた樹脂材料を用いることによって成形品の耐衝撃性を高める手法は、すでに工業化されている。このような樹脂材料としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル(ASA)樹脂、アクリロニトリル−エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体−スチレン(AES)樹脂等が挙げられる。
上記のような樹脂材料から得られる成形品に高い意匠性が求められる場合には、成形品に塗装処理を行い、高い外観品質を得ている。しかし、塗装処理には、環境への負荷が大きい、工程が煩雑である、製造コストが高くなる、等の問題がある。そのため、成形品の塗装処理を省略することがある。この場合、成形品には下記の特性が要求されることがある。
・高温に晒されても変形しにくいこと(以下、「耐熱性」ともいう)。
・直射日光にさらされても変色しにくいこと(以下、「耐候性」ともいう)。
・塗装と同等の良好な発色性を有すること(以下、「発色性」ともいう)。
・布等による擦れ傷が付きにくい、または傷が目立ちにくいこと(以下、「耐擦り傷性」ともいう)。
・カギや鋭利なものによる引掻き傷が付きにくい、または傷が目立ちにくいこと(以下、「耐引掻き傷性」ともいう)。
・成形品を中性の界面活性剤を用いて成形品表面を洗浄する前後で耐擦り傷性の変化が小さいこと(以下、「耐擦り傷性の持続性」ともいう)。
・成形品を中性の界面活性剤を用いて成形品表面を洗浄する前後で耐引掻き傷性の変化が小さいこと(以下、「耐引掻き傷性の持続性」ともいう)。
耐候性の良好な成形品を得ることができる樹脂材料としては、ゴム質重合体としてエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、アクリル酸エステル系ゴム、水素添加系ゴム(水素添加ブタジエン系ゴム等)、シリコーン系ゴム等を用いたものが知られている。
耐傷付き性(耐擦り傷性および耐引掻き傷性)の高い成形品を得る手法として、シリコーンオイルを添加する手法が知られている。
また、ポリカーボネート樹脂とゴム強化スチレン系樹脂とのポリマーブレンドの耐熱性等を大きく損なうことなく摺動性を改良する手法として、複合ゴム系グラフト共重合体と、シリコーン系オイルまたはオレフィン系オイルとを混合してなる摺動性改質剤を添加する手法が知られている(特許文献1)。
耐傷付き性、発色性に優れる成形品を得ることができる樹脂材料としては、例えば、下記のものが提案されている。
エチレン・α−オレフィン共重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物および(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれた少なくとも一種のビニル系単量体を含むビニル系単量体混合物を重合して得られたグラフト共重合体と、メタクリル酸エステル樹脂と、特定の有機染料とを含む熱可塑性樹脂組成物(特許文献2)。
特開2006−249163号公報 特開2018−95722号公報
しかし、シリコーンオイルを添加する手法は、発色性が低下する問題があった。また、シリコーンオイルがカーシャンプー等を用いた脱脂により容易に拭き取られることから、耐擦り傷性、耐引掻き傷性それぞれの持続性に問題があった。
特許文献1の手法も、摺動性改質剤にオイルを使用しており、オイルが脱脂により容易に拭き取られることから、耐擦り傷性、耐引掻き傷性それぞれの持続性に問題があった。
特許文献2に記載の熱可塑性樹脂組成物の成形品は、実施例に見られる配合比では、鉛筆硬度が低く、爪等の固いものに対する耐傷付き性が低かった。爪の硬度は鉛筆硬度2H程度であることから、成形品の鉛筆硬度は2H以上であることが望ましい。
本発明は、耐擦り傷性、耐引掻き傷性、耐擦り傷性の持続性、耐引掻き傷性の持続性および鉛筆硬度に優れる成形品が得られる熱可塑性樹脂組成物、ならびに耐擦り傷性、耐引掻き傷性、耐擦り傷性の持続性、耐引掻き傷性の持続性および鉛筆硬度に優れる成形品を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を包含する。
〔1〕エチレン・α−オレフィン共重合体(a)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)の存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物および(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれた少なくとも一種のビニル系単量体を含むビニル系単量体混合物(m1)を重合して得られたグラフト共重合体(A)と、メタクリル酸エステル樹脂(B)とを含む熱可塑性樹脂組成物であって、
前記熱可塑性樹脂組成物100質量%に対する前記エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の含有率が4〜12質量%である、熱可塑性樹脂組成物。
〔2〕前記エチレン・α−オレフィン共重合体(a)または前記架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)の下記測定方法によって測定されるゲル含有率が1〜5質量%である、前記〔1〕の熱可塑性樹脂組成物。
<ゲル含有率の測定方法>
前記エチレン・α−オレフィン共重合体(a)または前記架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)である試料[E1]0.5gを、200mL、110℃のトルエン中に5時間浸漬して溶液を得、前記溶液を200メッシュ金網にて濾過し、残渣を乾燥し、その乾燥物[E2]の質量(g)を測定し、下記式(1)から前記エチレン・α−オレフィン共重合体(a)または前記架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)のゲル含有率を求める。
ゲル含有率(質量%)=[E2]の質量(g)/[E1]の質量(g)×100 ・・・(1)
〔3〕前記〔1〕または〔2〕の熱可塑性樹脂組成物を含む成形品。
本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、耐擦り傷性、耐引掻き傷性、耐擦り傷性の持続性、耐引掻き傷性の持続性および鉛筆硬度に優れる成形品が得られる。
本発明の成形品は、耐擦り傷性、耐引掻き傷性、耐擦り傷性の持続性、耐引掻き傷性の持続性および鉛筆硬度に優れる。
洗車タオル摩耗による耐擦り傷性の評価方法を説明する概略図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「(メタ)アクリル酸エステル」とは、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを意味する。
「成形品」とは、熱可塑性樹脂組成物を成形してなるものを意味する。
「鉛筆硬度」とは、鉛筆法による引掻き硬度を意味し、JIS K 5600−5−4に準拠した方法によって測定される。詳しくは後述する実施例に記載のとおりである。
「ゲル含有率」とは、下記測定方法によって測定される値を意味する。
<ゲル含有率の測定方法>
前記エチレン・α−オレフィン共重合体(a)または前記架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)である試料[E1]0.5gを、200mL、110℃のトルエン中に5時間浸漬して溶液を得、前記溶液を200メッシュ金網にて濾過し、残渣を乾燥し、その乾燥物[E2]の質量(g)を測定し、下記式(1)から前記エチレン・α−オレフィン共重合体(a)または前記架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)のゲル含有率を求める。
ゲル含有率(質量%)=[E2]の質量(g)/[E1]の質量(g)×100 ・・・(1)
「明度(L)」とは、JIS Z 8729において採用されているL表色系における色彩値のうちの明度の値(L)を意味する。
「SCE方式」とは、JIS Z 8722に準拠した分光測色計を用い、光トラップによって正反射光を除去して色を測る方法を意味する。
「熱可塑性樹脂組成物」
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(A)とメタクリル酸エステル樹脂(B)とを含む。グラフト共重合体(A)、メタクリル酸エステル樹脂(B)はそれぞれ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて、グラフト共重合体(A)およびメタクリル酸エステル樹脂(B)以外の成分(以下、「任意成分」ともいう。)をさらに含んでいてもよい。
以下、各成分について説明する。
〔グラフト共重合体(A)〕
グラフト共重合体(A)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)の存在下にビニル系単量体混合物(m1)を重合して得られたものである。換言すれば、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)部分または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)部分と、ビニル系単量体混合物(m1)の重合体であるビニル系重合体部分とからなる。
なお、グラフト共重合体(A)においては、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)の存在下にビニル系単量体混合物(m1)がどのように重合しているか、特定することは困難である。例えば、ビニル系単量体混合物(m1)が重合したビニル系重合体としては、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)に結合したものと、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)に結合していないものとが存在する。また、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)に結合したビニル系重合体の分子量、構成単位の割合等を特定することも困難である。すなわち、グラフト共重合体(A)をその構造または特性により直接特定することが不可能であるか、またはおよそ実際的でないという事情(不可能・非実際的事情)が存在する。したがって、本発明においては、グラフト共重合体(A)は「エチレン・α−オレフィン共重合体(a)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)の存在下にビニル系単量体混合物(m1)を重合して得られたもの」と規定することがより適切とされる。
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)とビニル系単量体混合物(m1)との合計100質量%に対するエチレン・α−オレフィン共重合体(a)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)の割合は、40〜80質量%が好ましい。すなわち、グラフト共重合体(A)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)40〜80質量%の存在下に、ビニル系単量体混合物(m1)20〜60質量%(ただし、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)とビニル系単量体混合物(m1)の合計は100質量%である。)を重合して得られたものであることが好ましい。エチレン・α−オレフィン共重合体(a)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)の割合が40〜80質量%であれば、成形品の発色性がさらに優れる。
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)とビニル系単量体混合物(m1)との合計100質量%に対するエチレン・α−オレフィン共重合体(a)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)の割合は、46〜74質量%がより好ましい。
<エチレン・α−オレフィン共重合体(a)>
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)は、エチレン単位と炭素数が3以上のα−オレフィン単位とを含む共重合体である。
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)は、非共役ジエン単位をさらに含んでもよい。
α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−イコセン、1−ドコセン等が挙げられる。中でも、得られる成形品の耐擦り傷性が優れることから、炭素数が3〜20のα−オレフィンが好ましく、プロピレンおよび1−オクテンのいずれか一方または両方が特に好ましい。
非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、1,4−シクロヘプタジエン、1,5−シクロオクタジエン等が挙げられる。中でも、反応性に優れることから、ジシクロペンタジエンおよび5−エチリデン−2−ノルボルネンのいずれか一方または両方が好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)のエチレン単位の含有率は、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)を構成する全ての構成単位の合計を100質量%としたときに、45〜80質量%が好ましく、50〜75質量%がより好ましい。エチレン単位の含有率が前記範囲内であれば、成形品の耐擦り傷性がさらに優れる。
エチレン単位とα−オレフィン単位の合計の含有率は、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)を構成する全ての構成単位の合計を100質量%としたときに、90〜100質量%が好ましく、95〜99質量%がより好ましい。エチレン単位とα−オレフィン単位の合計の含有率が前記範囲内であれば、成形品の耐擦り傷性および耐引掻き傷性がさらに優れる。
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の体積平均粒子径は、成形品の発色性がより優れる点から、0.55μm以下が好ましく、0.50μm以下がより好ましい。また、耐擦り傷性がより優れる点から、0.20μm以上が好ましく、0.25μm以上がより好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の体積平均粒子径は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)のゲル含有率は、1〜5質量%が好ましい。ゲル含有率が5質量%以下であれば、成形品の耐候性および発色性がより優れる。ゲル含有率が1質量%以上であれば、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)を製造しやすい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の製造方法は、限定されない。エチレン・α−オレフィン共重合体(a)は、通常、メタロセン触媒またはチーグラー・ナッタ触媒を用いて、エチレンとα−オレフィンとを、またはエチレンとα−オレフィンと非共役ジエンとを共重合することによって製造される。
メタロセン触媒としては、遷移金属(ジルコニウム、チタン、ハフニウム等)にシクロペンタジエニル骨格を有する有機化合物、ハロゲン原子等が配位したメタロセン錯体と、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物等とを組み合わせた触媒が挙げられる。
チーグラー・ナッタ触媒としては、遷移金属(チタン、バナジウム、ジルコニウム、ハフニウム等)のハロゲン化物と有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物等とを組み合わせた触媒が挙げられる。
重合方法としては、触媒(メタロセン触媒またはチーグラー・ナッタ触媒)の存在下に、エチレンとα−オレフィンとを、またはエチレンとα−オレフィンと非共役ジエンとを溶媒中で共重合させる方法が挙げられる。溶媒としては、炭化水素溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等)が挙げられる。炭化水素溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、原料のα−オレフィンを溶媒として用いてもよい。重合の際、水素等の分子量調節剤を用いてもよい。
エチレン、α−オレフィン、非共役ジエンそれぞれの供給量、水素等の分子量調節剤の種類や量、触媒の種類や量、反応温度、圧力等の反応条件を変更することによって、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)のエチレン単位の含有率、質量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を調整することができる。
グラフト共重合体(A)の製造において、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)は、そのままの状態で用いてもよく、水性媒体に分散された状態(後述するオレフィン樹脂水性分散体(x)の状態)で用いてもよい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)を、水性媒体に分散された状態で用いる場合、グラフト共重合体(A)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)を含む水性分散体中にてビニル系単量体混合物(m1)を重合して得られたものである。
(オレフィン樹脂水性分散体(x))
オレフィン樹脂水性分散体(x)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)が水性媒体に分散されたものであり、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)と水性媒体とを含む。
オレフィン樹脂水性分散体(x)は、必要に応じて、その他の成分として、乳化剤、酸変性オレフィン重合体等を含んでいてもよい。
水性媒体としては、水、水と混和する有機溶剤(以下、「水混和性有機溶剤」ともいう)、およびこれらの混合物が挙げられる。水混和性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール化合物;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル化合物;N−メチル−2−ピロリドン等のラクタム化合物等が挙げられる。
水性媒体としては、水のみを用いるか、または水と水混和性有機溶剤との混合物を用いることが好ましい。
乳化剤としては、公知のものが挙げられ、例えば、長鎖アルキルカルボン酸塩、スルホコハク酸アルキルエステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等が挙げられる。
オレフィン樹脂水性分散体(x)中の乳化剤の含有量は、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)100質量部に対して1〜8質量部が好ましい。乳化剤の含有量が前記範囲内であれば、得られる熱可塑性樹脂組成物の熱着色を抑制できる。また、オレフィン樹脂水性分散体(x)に分散しているエチレン・α−オレフィン共重合体(a)の粒子径制御が容易である。
酸変性オレフィン重合体としては、オレフィン重合体(ポリエチレン、ポリプロピレン等)を、官能基を有する化合物(不飽和カルボン酸化合物等)で変性したものが挙げられる。不飽和カルボン酸化合物としては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸モノアミド等が挙げられる。オレフィン重合体の質量平均分子量は、例えば1,000〜5,000である。酸変性オレフィン重合体の酸価は、例えば20〜70mgKOH/gである。
オレフィン樹脂水性分散体(x)中の酸変性オレフィン重合体の含有量は、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)100質量部に対して、1〜40質量部が好ましい。酸変性オレフィン重合体の添加量が前記範囲内であれば、成形品の耐擦り傷性および耐引掻き傷性がさらに優れる。
オレフィン樹脂水性分散体(x)の調製方法は、限定されない。調製方法としては、例えば、(M1)公知の溶融混練手段(ニーダー、バンバリーミキサー、多軸スクリュー押出機等)でエチレン・α−オレフィン共重合体(a)を溶融混練し、機械的せん断力を与えて分散させ、水性媒体に添加する方法;(M2)エチレン・α−オレフィン共重合体(a)を炭化水素溶媒(ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)に溶解し、水性媒体に添加して乳化させた後、十分に撹拌し、炭化水素溶媒を留去する方法等が挙げられる。
オレフィン樹脂水性分散体(x)の調製の際に、その他の成分として酸変性オレフィン重合体、乳化剤等を添加してもよい。
酸変性オレフィン重合体の添加方法は、限定されない。例えば、前記(M1)の方法において、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)と酸変性オレフィン重合体とを混合し、溶融混練する方法、前記(M2)の方法において、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)と酸変性オレフィン重合体とを炭化水素溶媒に溶解する方法等が挙げられる。
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)と酸変性オレフィン重合体との混合方法は、限定されない。混合方法としては、ニーダー、バンバリーミキサー、多軸スクリュー押出機等を用いた溶融混練法等が挙げられる。この場合、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)と酸変性オレフィン重合体とを混合する工程が、それらの混合物を溶融混練する工程を兼ねてもよい。
乳化剤の添加方法は、限定されない。例えば、酸変性オレフィン重合体の添加方法と同様の方法が挙げられる。また、前記(M1)または(M2)の方法において、水性媒体に乳化剤を添加する方法、前記(M2)の方法において、炭化水素溶媒に乳化剤を溶解する方法等が挙げられる。
オレフィン樹脂水性分散体(x)中のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)の体積平均粒子径は、成形品の発色性がより優れる点から、0.55μm以下が好ましく、0.50μm以下がより好ましい。また、耐擦り傷性が優れることから0.20μm以上が好ましく、0.25μm以上がより好ましい。
オレフィン樹脂水性分散体(x)中のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)の体積平均粒子径は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
なお、オレフィン樹脂水性分散体(x)中のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)の体積平均粒子径が、そのままグラフト共重合体(A)および後述する熱可塑性樹脂組成物中のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)の体積平均粒子径を示すことを、電子顕微鏡の画像解析によって確認している。
オレフィン樹脂水性分散体(x)中のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)の体積平均粒子径を制御する方法としては、乳化剤の種類または使用量、酸変性オレフィン重合体の種類または含有量、混練時に加えるせん断力、温度条件等を調整する方法が挙げられる。
<架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)>
架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)が架橋されたものである。
架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)は、未架橋のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)またはこれが水性媒体に分散したオレフィン樹脂水性分散体(x)を架橋処理することにより得られる。
架橋処理の方法としては、(M3)有機過酸化物と、必要に応じて多官能性化合物とを添加して架橋処理を行う方法;(M4)多官能性化合物を添加して架橋処理を行う方法;(M5)電離性放射線によって架橋処理を行う方法等が挙げられる。中でも、成形品の耐衝撃性、発色性の点から(M3)、(M4)の方法が好ましく、(M3)の方法がより好ましい。
(M3)の方法としては、具体的には、未架橋のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)またはこれが水性媒体に分散したオレフィン樹脂水性分散体(x)に、有機過酸化物と、必要に応じて多官能性化合物とを添加し、加熱する方法等が挙げられる。
例えば、未架橋のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)に、有機過酸化物と、必要に応じて多官能性化合物とを添加し、溶融混練し、粉砕すると、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)の粉体が得られる。オレフィン樹脂水性分散体(x)に、有機過酸化物と、必要に応じて多官能性化合物とを添加して架橋処理すると、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)が水性媒体に分散されたオレフィン樹脂水性分散体(x’)が得られる。
有機過酸化物および多官能性化合物の添加量、加熱温度、加熱時間等を調整することによって、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)のゲル含有率を調整することができる。例えば、有機過酸化物の添加量を増やすと架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)のゲル含有率は高くなる傾向にある。
加熱温度は、有機過酸化物の種類によって異なる。加熱温度は、有機過酸化物の10時間半減期温度の−5℃〜+30℃が好ましい。
加熱時間は、3〜15時間が好ましい。
有機過酸化物は、未架橋のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)に架橋構造を形成させるためのものである。有機過酸化物としては、例えば、ペルオキシエステル化合物、ペルオキシケタール化合物、ジアルキルペルオキシド化合物等が挙げられる。有機過酸化物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機過酸化物としては、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)のゲル含有率を調整しやすい点から、ジアルキルペルオキシド化合物が特に好ましい。
ジアルキルペルオキシド化合物の具体例としては、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3等が挙げられる。
有機過酸化物の添加量は、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)のゲル含有率を1〜5質量%に調整しやすいことから、未架橋のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)100質量部に対して0.1質量部以下が好ましい。
多官能性化合物は、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)のゲル含有率を調整するために、単独で用いられるもの、または必要に応じて有機過酸化物と併用されるものである。
多官能性化合物としては、ジビニルベンゼン、1,7−オクタジエンメタクリル酸アリル、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレンジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等が挙げられる。多官能性化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多官能性化合物の添加量は、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)のゲル含有率を1〜5質量%に調整しやすいことから、未架橋のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)100質量部に対して2.0質量部以下が好ましい。
未架橋のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)を架橋処理して架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)を得る場合、未架橋のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)に酸変性オレフィン重合体が添加されてもよい。
酸変性オレフィン重合体は、オレフィン樹脂水性分散体(x)の説明で挙げたものと同様である。酸変性オレフィン重合体の添加量は、オレフィン樹脂水性分散体(x)中の酸変性オレフィン重合体の含有量と同様に、未架橋のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)100質量部に対して、1〜40質量部が好ましい。
酸変性オレフィン重合体の添加方法は、限定されない。未架橋のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)と酸変性オレフィン重合体とを混合した後に架橋処理をしてもよいし、未架橋のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)と酸変性オレフィン重合体とをそれぞれ架橋処理した後に混合してもよい。
未架橋のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)と酸変性オレフィン重合体との混合方法は、限定されない。混合方法としては、ニーダー、バンバリーミキサー、多軸スクリュー押出機等を用いた溶融混練法等が挙げられる。
架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)の体積平均粒子径は、成形品の発色性がより優れる点から、0.55μm以下が好ましく、0.50μm以下がより好ましい。また、耐擦り傷性がより優れる点から、0.20μm以上が好ましく、0.25μm以上がより好ましい。
なお、オレフィン樹脂水性分散体(x)を有機過酸化物によって架橋処理して得られるオレフィン樹脂水性分散体(x’)中の架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)の体積平均粒子径は、オレフィン樹脂水性分散体(x)中の未架橋のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)の体積平均粒子径に対して変化はない。
また、グラフト共重合体(A)がオレフィン樹脂水性分散体(x’)を用いて得られたものである場合、オレフィン樹脂水性分散体(x’)中の架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)の体積平均粒子径が、グラフト共重合体(A)および後述する熱可塑性樹脂組成物中の架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)の体積平均粒子径を示すことを、電子顕微鏡の画像解析によって確認している。
架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a)のゲル含有率は、1〜5質量%が好ましい。ゲル含有率が5質量%以下であれば、成形品の耐候性および発色性がより優れる。ゲル含有率が1質量%以上であれば、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)を製造しやすい。
<ビニル系単量体混合物(m1)>
ビニル系単量体混合物(m1)は、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物および(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれた少なくとも一種のビニル系単量体を含む。ビニル系単量体混合物(m1)は、必要に応じて、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物および(メタ)アクリル酸エステル以外の他のビニル系単量体をさらに含んでいてもよい。
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−,m−またはp−メチルスチレン、ビニルキシレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレン等が挙げられる。中でも、熱可塑性樹脂組成物の成形品の発色性が優れる点から、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。芳香族ビニル化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シアン化ビニル化合物としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。シアン化ビニル化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数は、1〜3が好ましい。(メタ)アクリル酸エステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
他のビニル系単量体としては、例えば、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物が挙げられる。他のビニル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ビニル系単量体混合物(m1)は、少なくとも芳香族ビニル化合物を含むことが好ましい。
ビニル系単量体混合物(m1)を構成するビニル系単量体の好ましい組み合わせとしては、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物との組み合わせ、芳香族ビニル化合物と(メタ)アクリル酸エステルとの組み合わせが挙げられる。芳香族ビニル化合物と(メタ)アクリル酸エステルとの組み合わせの場合、芳香族ビニル化合物とメタクリル酸エステルとの組み合わせが特に好ましい。
芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物との組み合わせの場合、芳香族ビニル化合物の含有率は、ビニル系単量体混合物(m1)の総質量に対して、60〜85質量%が好ましく、62〜80質量%がより好ましい。芳香族ビニル化合物の含有率が前記範囲内であれば、成形品の発色性がさらに優れる。
一方、シアン化ビニル化合物の含有率は、ビニル系単量体混合物(m1)の総質量に対して、15〜40質量%が好ましく、20〜38質量%がより好ましい。シアン化ビニル化合物の含有率が前記範囲内であれば、成形品の発色性がさらに優れる。
芳香族ビニル化合物と(メタ)アクリル酸エステルとの組み合わせの場合、芳香族ビニル化合物の含有率は、ビニル系単量体混合物(m1)の総質量に対して、1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。芳香族ビニル化合物の含有率が前記範囲内であれば、成形品の発色性がさらに優れる。
一方、(メタ)アクリル酸エステルの含有率は、ビニル系単量体混合物(m1)の総質量に対して、90〜99質量%が好ましく、95〜99質量%がより好ましい。(メタ)アクリル酸エステルの含有率が前記範囲内であれば、成形品の発色性がさらに優れる。
<グラフト共重合体(A)の製造方法>
グラフト共重合体(A)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の存在下に、ビニル系単量体混合物(m1)を重合して得られる。
ビニル系単量体混合物(m1)の重合方法は、限定されない。重合方法としては、公知の重合方法(乳化重合法、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法等)が挙げられる。重合方法としては、水性媒体中にて重合する方法(乳化重合法、懸濁重合法等)が好ましく、乳化重合法が特に好ましい。
乳化重合法によるグラフト共重合体(A)の製造方法としては、例えば、ビニル系単量体混合物(m1)に有機過酸化物を混合したものを、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の水性分散体に対して連続的に添加する方法が挙げられる。
重合条件としては、例えば、70〜85℃で3〜6時間の条件が挙げられる。
重合の際に、連鎖移動剤、乳化剤等を状況に応じて用いてもよい。
有機過酸化物としては、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド等が挙げられる。
有機過酸化物は、有機過酸化物と遷移金属と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤として用いるのが好ましい。
レドックス系開始剤としては、重合反応条件を高温下にする必要がなく、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の劣化等を抑えることができる点から、有機過酸化物と硫酸第一鉄とキレート剤と還元剤とを組み合わせたものが好ましい。
レドックス系開始剤としては、クメンヒドロペルオキシドと、硫酸第一鉄と、ピロリン酸ナトリウムと、フルクトースとからなるものがより好ましい。
連鎖移動剤としては、メルカプタン化合物(オクチルメルカプタン、n−またはt−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−またはt−テトラデシルメルカプタン等)、アリル化合物(アリルスルフォン酸、メタアリルスルフォン酸、これらのナトリウム塩等)、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられ、分子量を調整することが容易な点から、メルカプタン化合物が好ましい。連鎖移動剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
連鎖移動剤の添加方法は、一括、分割、連続のいずれでもよい。
連鎖移動剤の添加量は、ビニル系単量体混合物(m1)100質量部に対して2.0質量部以下が好ましい。
乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸スルホン酸塩、リン酸系塩、脂肪酸塩、アミノ酸誘導体塩等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、通常のポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル型等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アニオン部にカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩等を有し、カチオン部にアミン塩、第4級アンモニウム塩等を有するものが挙げられる。
乳化剤の添加量は、ビニル系単量体混合物(m1)100質量部に対して10質量部以下が好ましい。
乳化重合法によって得られるグラフト共重合体(A)は、水性媒体中に分散した状態である。
グラフト共重合体(A)を含む水性分散体からグラフト共重合体(A)を回収する方法としては、例えば、水性分散体に析出剤を添加し、加熱、撹拌した後、析出剤を分離し、析出したグラフト共重合体(A)を水洗、脱水、乾燥する析出法が挙げられる。
析出剤としては、例えば、硫酸、酢酸、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等の水溶液が挙げられる。析出剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
グラフト共重合体(A)を含む水性分散体に、必要に応じて酸化防止剤を添加してもよい。
〔メタクリル酸エステル樹脂(B)〕
メタクリル酸エステル樹脂(B)は、メタクリル酸エステル単位を含む重合体である。メタクリル酸エステル樹脂(B)は、メタクリル酸エステル単位以外の他のビニル系単量体単位をさらに含んでいてもよい。
メタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル等が挙げられる。中でも、成形品の発色性、および耐候性がさらに優れる点から、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸エチルの少なくとも1種が好ましい。メタクリル酸エステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
他のビニル系単量体としては、メタクリル酸エステルと共重合可能であれば特に限定されないが、例えば、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、マレイミド化合物、アクリル酸エステル等が挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、ビニル系単量体混合物(m1)の説明において先に例示した芳香族ビニル化合物が挙げられる。中でも、成形品の耐熱性がさらに優れる点から、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。芳香族ビニル化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シアン化ビニル化合物としては、ビニル系単量体混合物(m1)の説明において先に例示したシアン化ビニル化合物が挙げられる。シアン化ビニル化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
マレイミド化合物としては、例えば、N−アルキルマレイミド(N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−i−プロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−i−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミドなど)、N−シクロアルキルマレイミド(N−シクロヘキシルマレイミド等)、N−アリールマレイミド(N−フェニルマレイミド、N−アルキル置換フェニルマレイミド、N−クロロフェニルマレイミド等)等が挙げられる。中でも、成形品の耐熱性がさらに優れる点から、N−アリールマレイミドが好ましく、N−フェニルマレイミドが特に好ましい。マレイミド化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル等が挙げられる。中でも、成形品の耐熱性がさらに優れる点から、アクリル酸メチルが好ましい。アクリル酸エステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
メタクリル酸エステル樹脂(B)中のメタクリル酸エステル単位の含有率は、成形品の発色性、耐擦り傷性および耐引掻き傷性がさらに優れる点から、メタクリル酸エステル樹脂(B)を構成する全単位の合計質量に対し、80質量%以上が好ましい。また、耐熱性がさらに優れることから、メタクリル酸エステル樹脂(B)を構成する全単位の合計質量に対し、95質量%以下が好ましい。
<メタクリル酸エステル樹脂(B)の製造方法>
メタクリル酸エステル樹脂(B)は、メタクリル酸エステルを含むビニル系単量体混合物(m2)を重合することによって得られる。換言すれば、メタクリル酸エステル樹脂(B)は、ビニル系単量体混合物(m2)の重合体である。
ビニル系単量体混合物(m2)は、必要に応じて、メタクリル酸エステル以外の他のビニル系単量体をさらに含んでもよい。
メタクリル酸エステル、他のビニル系単量体はそれぞれ前記したとおりである。
ビニル系単量体混合物(m2)中のメタクリル酸エステルの含有率は、成形品の発色性、耐擦り傷性および耐引掻き傷性がさらに優れる点から、ビニル系単量体混合物(m2)の総質量に対して、80質量%以上が好ましい。また、耐熱性がさらに優れることから、ビニル系単量体混合物(m2)の総質量に対して、95質量%以下が好ましい。
ビニル系単量体混合物(m2)の重合方法は、限定されない。重合方法としては、公知の重合方法(乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法等)が挙げられる。
乳化重合法によるメタクリル酸エステル樹脂(B)の製造方法としては、例えば、反応器内にビニル系単量体混合物(m2)と乳化剤と重合開始剤と連鎖移動剤とを仕込み、加熱して重合し、メタクリル酸エステル樹脂(B)を含む水性分散体を得て、この水性分散体から析出法によってメタクリル酸エステル樹脂(B)を回収する方法が挙げられる。
乳化剤としては、通常の乳化重合用乳化剤(ロジン酸カリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等)が挙げられる。
重合開始剤としては、有機、無機の過酸化物系開始剤が挙げられる。
連鎖移動剤としては、メルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー、テルペン類等が挙げられる。
重合条件としては、例えば、55〜80℃で1〜4時間の条件が挙げられる。
析出法としては、水性分散体からグラフト共重合体(A)を回収するときと同様の方法を採用できる。
懸濁重合法によるメタクリル酸エステル樹脂(B)の製造方法としては、例えば、反応器内にビニル系単量体混合物(m2)と懸濁剤と懸濁助剤と重合開始剤と連鎖移動剤とを仕込み、加熱して重合し、メタクリル酸エステル樹脂(B)を含むスラリーを得て、このスラリーを脱水、乾燥してメタクリル酸エステル樹脂(B)を回収する方法が挙げられる。
懸濁剤としては、トリカルシウムフォスファイト、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
懸濁助剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
重合開始剤としては、有機ペルオキシド類が挙げられる。
連鎖移動剤としては、メルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー、テルペン類等が挙げられる。
重合条件としては、例えば、55〜80℃で2〜5時間の条件が挙げられる。
析出法としては、水性分散体からグラフト共重合体(A)を回収するときと同様の方法を採用できる。
〔任意成分〕
任意成分としては、例えば、他の熱可塑性樹脂、各種の添加剤が挙げられる。
他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアリレート、液晶ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、ポリアミド(ナイロン)等が挙げられる。これらの他の熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
添加剤としては、例えば、酸化防止剤、滑剤、加工助剤、顔料、染料、充填剤、シリコーンオイル、パラフィンオイル等が挙げられる。これらの添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
〔各成分の含有量〕
熱可塑性樹脂組成物中、グラフト共重合体(A)の含有量は、熱可塑性樹脂組成物100質量%に対するエチレン・α−オレフィン共重合体(a)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)の含有率が4〜12質量%となる量が好ましく、6〜10質量%となる量がより好ましい。エチレン・α−オレフィン共重合体(a)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)の含有率が4質量%以上であれば、成形品の耐擦り傷性、耐引掻き傷性に優れ、6質量%以上であれば、発色性がさらに優れる。エチレン・α−オレフィン共重合体(a)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)の含有率が前記範囲の12質量%以下であれば、成形品の鉛筆硬度に優れる。
メタクリル酸エステル樹脂(B)の含有量は、グラフト共重合体(A)とメタクリル酸エステル樹脂(B)との合計質量に対して、83〜94質量%が好ましく、86〜93質量%がより好ましい。メタクリル酸エステル樹脂(B)の含有量が前記範囲内であれば、成形品の耐擦り傷性、耐引掻き傷性、耐擦り傷性の持続性、耐引掻き傷性の持続性および鉛筆硬度のバランスが優れる。
〔熱可塑性樹脂組成物の製造方法〕
熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(A)とメタクリル酸エステル樹脂(B)、必要に応じて任意成分を混合することにより得られる。
〔作用効果〕
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)の存在下にビニル系単量体混合物(m1)を重合して得られたグラフト共重合体(A)と、メタクリル酸エステル樹脂(B)とを含み、熱可塑性樹脂組成物100質量%に対するエチレン・α−オレフィン共重合体(a)の含有率が4〜12質量%であるので、耐擦り傷性、耐引掻き傷性、耐擦り傷性の持続性、耐引掻き傷性の持続性および鉛筆硬度に優れる成形品を得ることができる。かかる成形品は、例えば車両内外装部品での使用が可能である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の熱可塑性樹脂組成物から形成した成形品(Ma2)について測定される荷重たわみ温度が、75℃以上であることが好ましく、83℃以上であることがより好ましい。荷重たわみ温度が前記下限値以上であれば、耐熱性が充分に優れる。
「成形品(Ma2)」は、熱可塑性樹脂組成物を射出成形により縦80mm、横10mm、厚さ4mmの成形品としたものである。
「荷重たわみ温度」は、後述する耐熱性評価に記載の方法により測定される。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の熱可塑性樹脂組成物から形成した成形品(Ma1)について測定されるL(ma)が、2.0〜4.0であることが好ましく、2.0〜3.0であることがより好ましい。L(ma)が前記上限値以下であれば、発色性が充分に優れる。
「成形品(Ma1)」は、熱可塑性樹脂組成物を、グラフト共重合体(A)およびメタクリル酸エステル樹脂(B)の合計100質量部に対して0.8質量部のカーボンブラックを含む状態で溶融混練し、成形により縦100mm、横100mm、厚さ3mmの成形品としたものである。
「L(ma)」は、後述する発色性評価に記載の方法により測定される。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の熱可塑性樹脂組成物から形成した成形品(Ma1)について測定されるL(mb−ma)が、0.5〜2.0であることが好ましく、0.5〜1.5であることがより好ましい。L(mb−ma)が前記上限値以下であれば、耐候性が充分に優れる。
「L(mb−ma)」は、後述する耐候性評価に記載の方法により測定される。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の熱可塑性樹脂組成物から形成した成形品(Ma1)について測定されるΔL(mc−ma)が、1.5〜3.0であることが好ましく、1.5〜2.5であることがより好ましい。L(mc−ma)が前記上限値以下であれば、耐擦り傷性が充分に優れる。
「L(mc−ma)」は、後述する擦り傷性評価に記載の方法により測定される。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の熱可塑性樹脂組成物から形成した成形品(Ma1)について測定される、破断傷が発生する荷重Xが、45N以上であることが好ましく、50N以上であることがより好ましい。荷重Xが前記上限値以下であれば、耐引掻き傷性が充分に優れる。
「荷重X」は、後述する耐引掻き傷性評価に記載の方法により測定される。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の熱可塑性樹脂組成物から形成した成形品(Ma1)について測定される耐擦り傷性の持続性(%)が、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
「耐擦り傷性の持続性(%)」は、後述する耐擦り傷性の持続性評価に記載の方法により測定される。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の熱可塑性樹脂組成物から形成した成形品(Ma1)について測定される耐引掻き傷性の持続性(%)が、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
「耐引掻き傷性の持続性(%)」は、後述する耐引掻き傷性の持続性評価に記載の方法により測定される。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の熱可塑性樹脂組成物から形成した成形品(Ma1)について測定される鉛筆硬度が、2H以上であることが好ましい。
「鉛筆硬度」は、後述する鉛筆硬度評価に記載の方法により測定される。
上述した荷重たわみ温度(℃)、L(ma)、L(mb−ma)、ΔL(mc−ma)、荷重X(N)、耐擦り傷性の持続性(%)、耐引掻き傷性の持続性(%)、鉛筆硬度の好ましい範囲は任意に組み合わせることができる。
「成形品」
本発明の成形品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を含む。
本発明の成形品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を公知の成形方法によって成形加工して得られる。成形方法としては、例えば、射出成形法、プレス成形法、押出成形法、真空成形法、ブロー成形法等が挙げられる。
本発明の成形品は、耐擦り傷性、耐引掻き傷性、耐擦り傷性の持続性、耐引掻き傷性の持続性および鉛筆硬度に優れる。
本発明の成形品の用途としては、車輛内装・外装部品、事務機器、家電、建材等が挙げられ、車輛内装・外装部品が好適である。
以下、具体的に実施例を示す。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
以下に記載の「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
以下の実施例における各種測定および評価方法は、以下の通りである。
<酸価の測定方法>
JIS K 2501に準拠して酸価を測定した。
<体積平均粒子径の測定方法>
マイクロトラック(日機装株式会社製「ナノトラック150」)を用い、測定溶媒として純水を用いて体積平均粒子径(MV)を測定した。
なお、水性媒体に分散しているエチレン・α−オレフィン共重合体(a)の体積平均粒子径が、そのままグラフト共重合体(A)および熱可塑性樹脂組成物中のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)の体積平均粒子径を示すことを、電子顕微鏡の画像解析によって確認した。
<ゲル含有率の測定方法>
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)である試料[E1]0.5gを、200mL、110℃のトルエン中に5時間浸漬して溶液を得た。次いで、前記溶液を200メッシュ金網にて濾過し、残渣を乾燥し、その乾燥物[E2]の質量(g)を測定した。下記式(1)から、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)のゲル含有率を求めた。
ゲル含有率(質量%)=[E2]の質量(g)/[E1]の質量(g)×100 ・・・(1)
<溶融混練>
表4に示す配合でグラフト共重合体(A)、メタクリル酸エステル樹脂(B)、必要に応じて他の成分を混合し、グラフト共重合体(A)とメタクリル酸エステル樹脂(B)の合計100部に対して、カーボンブラック0.8部を混合して着色し、30mmφの真空ベント付き2軸押出機(株式会社池貝製「PCM30」)で、シリンダー温度200〜260℃、93.325kPa真空にて溶融混練を行い、熱可塑性樹脂組成物を得た。また、必要に応じて溶融混練後に、ペレタイザー(創研社製「SH型ペレタイザー」)を用いてペレット化を行った。
<物性評価用成形品の作成1>
熱可塑性樹脂組成物のペレットを用いて射出成形し、縦100mm、横100mm、厚さ3mmの黒着色板(成形品(Ma1))を得た。
<物性評価用成形品の作成2>
熱可塑性樹脂組成物のペレットを用いて射出成形し、縦80mm、横10mm、厚さ4mmの耐熱性測定用の成形品(成形品(Ma2))を得た。
<耐熱性評価>
ISO75規格に準拠し、成形品(Ma2)を用いて、フラットワイズ法で荷重たわみ温度(℃)を測定した。
<発色性評価>
成形品(Ma1)の明度Lを、分光測色計(コニカミノルタオプティプス株式会社製「CM−3500d」)を用いて明度Lを、SCE方式にて測定した。こうして測定されたLを「L(ma)」とした。Lが低いほど黒色となり、発色性が良好である。
<耐候性評価>
成形品(Ma1)について、サンシャインウェザーメーター(スガ試験機(株)製)を用い、ブラックパネル温度63℃、サイクル条件60分(降雨12分)の条件で1000時間処理した。処理後の成形品(Mb)の表面の明度Lを、分光測色計を用いて、SCE方式にて測定した。こうして測定されたLをL(mb)とした。成形品(Mb)の耐候性の判定指標ΔLを下記式(2)から算出した。ΔL(mb−ma)の絶対値が小さいほど耐候性に優れる。
ΔL(mb−ma)=L(mb)−L(ma) ・・・(2)
<耐擦り傷性の評価>
図1に示すように、先端部11が半球形に形成された棒状の治具10を用意し、先端部11に、洗車タオル12(株式会社ジョイフル製洗車用タオル3p)を被せた。成形品(Ma1)13の表面に対して、棒状の治具10の軸線が直角になるように、洗車タオル12が被せられた先端部11を接触させ、先端部11を成形品(Ma1)13の表面において水平方向(図中矢印方向)に摺動させ、100回往復させて、傷を付けた成形品(Mc)を得た。その際、加える荷重は1kg(9.8N)とした。傷を付けた成形品(Mc)の表面の明度Lを、分光測色計を用いて、SCE方式にて測定した。こうして測定されたLを「L(mc)」とした。傷を付けた成形品(Mc)の耐擦り傷性(傷の目立ちやすさ)の判定指標ΔL(mc−ma)を下記式(3)から算出した。ΔL(mc−ma)の絶対値が小さいほど耐擦り傷性に優れ、傷が目立ちにくい。
ΔL(mc−ma)=L(mc)−L(ma) ・・・(3)
<耐引掻き傷性の評価>
スクラッチテスター(カトーテック株式会社製、KK−02)を用い、ISO19252に準拠した方法により、荷重1〜50N、スクラッチ速度100mm/s、スクラッチ距離80mm、チップ形状=φ1mmの条件にて成形品(Ma1)に対してスクラッチ試験を行い、破断傷が発生する荷重X(N)を測定した。
<耐擦り傷性の持続性の評価>
成形品(Ma1)の表面を、中性洗剤を染み込ませた脱脂綿で軽く拭き取り、その後流水で洗剤を洗い流し、乾燥後、耐擦り傷性の評価と同様の手法で、傷を付けた成形品(Md)を得、その表面の明度Lを測定して「L(md)」とした。傷を付けた成形品(Md)の耐擦り傷性の判定指標ΔL(md−ma)を下記式(4)から算出し、耐擦り傷性の持続性を下記式(5)から算出した。
ΔL(md−ma)=L(md)−L(ma) ・・・(4)
耐擦り傷性の持続性(%)=ΔL(md−ma)/ΔL(mc−ma)×100 ・・・(5)
<耐引掻き傷性の持続性の評価>
成形品(Ma1)の表面を、中性洗剤を染み込ませた脱脂綿で軽く拭き取り、その後流水で洗剤を洗い流し、乾燥後、耐引掻き傷性の評価と同様の手法で試験を行い、破断傷が発生する荷重Y(N)を測定した。耐引掻き傷性の持続性を下記式(6)から算出した。
耐引掻き傷性の持続性(%)=Y/X×100 ・・・(6)
<鉛筆硬度>
成形品(Ma1)の表面の鉛筆硬度を、鉛筆硬度試験機を用いて、JIS K 5600−5−4に準拠した方法(角度45°、荷重750g、速度1mm/s、温度23℃)で測定した。
「オレフィン樹脂水性分散体(x)」
<オレフィン樹脂水性分散体(x−1)の調製>
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)としてエチレン・プロピレン共重合体(a−1)(三井化学株式会社製、「TP3180」)100部と、酸変性オレフィン重合体として無水マレイン酸変性ポリエチレン(三井化学株式会社製、「三井ハイワックス 2203A」、質量平均分子量:2,700、酸価:30mgKOH/g)20部と、アニオン系乳化剤としてオレイン酸カリウム5部とを混合した。
この混合物を2軸スクリュー押出機(株式会社池貝製、「PCM30」、L/D=40)のホッパーから4kg/hで供給し、前記2軸スクリュー押出機のベント部に設けた供給口より、水酸化カリウム0.5部とイオン交換水3.5部を混合した水溶液を連続的に供給しながら、220℃に加熱して溶融混練して押出した。溶融混練物を2軸スクリュー押出機の先端に取り付けた冷却装置に連続的に供給し、90℃まで冷却した。そして、2軸スクリュー押出機先端より吐出させた固体を、80℃の温水中に投入し、連続的に分散させて、固形分濃度40%付近まで希釈して、オレフィン樹脂水性分散体(x−1)を得た。オレフィン樹脂水性分散体(x−1)に分散しているエチレン・α−オレフィン共重合体(a)の体積平均粒子径とゲル含有率を表1に示す。
<オレフィン樹脂水性分散体(x−2)の調製>
表1に示すように、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)としてエチレン・プロピレン共重合体(a−2)(三井化学株式会社製、「タフマーP0775」)を使用し、乳化する際の水酸化カリウムの添加部数、イオン交換水の添加部数を変更した以外は、オレフィン樹脂水性分散体(x−1)と同様にして、オレフィン樹脂水性分散体(x−2)を得た。オレフィン樹脂水性分散体(x−2)に分散しているエチレン・α−オレフィン共重合体(a−2)の体積平均粒子径とゲル含有率を表1に示す。
<オレフィン樹脂水性分散体(x−3)の調製>
表1に示すように、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)としてエチレン・プロピレン共重合体(a−3)(三井化学株式会社製、「タフマーP0280」)を使用し、乳化する際の水酸化カリウムの添加部数、イオン交換水の添加部数を変更した以外は、オレフィン樹脂水性分散体(x−1)と同様にして、オレフィン樹脂水性分散体(x−3)を得た。オレフィン樹脂水性分散体(x−3)に分散しているエチレン・α−オレフィン共重合体(a−3)の体積平均粒子径とゲル含有率を表1に示す。
<オレフィン樹脂水性分散体(x−4)〜(x−7)の調製>
表1に示すように、乳化する際の水酸化カリウムの添加部数、イオン交換水の添加部数を変更した以外は、オレフィン樹脂水性分散体(x−1)と同様にして、オレフィン樹脂水性分散体(x−4)〜(x−7)を得た。各オレフィン樹脂水性分散体(x−4)〜(x−7)に分散しているエチレン・α−オレフィン共重合体(a−1)の体積平均粒子径とゲル含有率を表1に示す。
<オレフィン樹脂水性分散体(x−8)の調製>
表1に示すように、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)としてエチレン・オクテン共重合体(a−4)(ダウ・ケミカル社製、「ENG8402」)を使用し、乳化する際の水酸化カリウムの添加部数、イオン交換水の添加部数を変更した以外は、オレフィン樹脂水性分散体(x−1)と同様にして、オレフィン樹脂水性分散体(x−8)を得た。オレフィン樹脂水性分散体(x−8)に分散しているエチレン・α−オレフィン共重合体(a−4)の体積平均粒子径とゲル含有率を表1に示す。
Figure 2021031569
「架橋オレフィン樹脂水性分散体(x’)」
<架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(x’−1)の調製>
オレフィン樹脂水性分散体(x−1)(エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の固形分として100部)に固形分濃度が30%になるようにイオン交換水を加え、有機過酸化物としてt−ブチルクミルペルオキシド0.2部、多官能性化合物としてジビニルベンゼン1部を添加し、130℃で5時間反応させて、架橋オレフィン樹脂水性分散体(x’−1)を調製した。架橋オレフィン樹脂水性分散体(x’−1)に含まれる架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’−1)の体積平均粒子径とゲル含有率を表2に示す。
<架橋オレフィン樹脂水性分散体(x’−2)〜(x’−3)の調製>
表2に示すように、オレフィン樹脂水性分散体(x)の種類とt−ブチルクミルペルオキシドの添加量を変更した以外は、架橋オレフィン樹脂水性分散体(x’)と同様にして、架橋オレフィン樹脂水性分散体(x’−2)〜(x’−3)の水性分散体を得た。架橋オレフィン樹脂水性分散体(x’−2)〜(x’−3)に含まれる架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’−2)〜(a’−3)の体積平均粒子径とゲル含有率を表2に示す。
なお、表2に示すオレフィン樹脂水性分散体(x)の添加量(部)は固形分量である。
Figure 2021031569
「グラフト共重合体」
<グラフト共重合体(A−1)の調製>
撹拌機付きステンレス重合槽に、オレフィン樹脂水性分散体(エチレン・プロピレン共重合体(a−1)の固形分として70部)を入れ、これに、エチレン・α−オレフィン共重合体(a−1)の固形分濃度が30%になるようにイオン交換水を加え、さらに硫酸第一鉄0.006部、ピロリン酸ナトリウム0.3部およびフルクトース0.35部を仕込み、温度を80℃とした。次いで、スチレン(St)23.4部とアクリロニトリル(AN)6.6部とクメンハイドロペルオキシド0.6部を150分間連続的に添加し、重合温度を80℃に保ち乳化重合を行い、体積平均粒子径0.45μmのグラフト共重合体(A−1)を含む水性分散体を得た。グラフト共重合体(A−1)を含む水性分散体に酸化防止剤を添加し、硫酸にて固形分の析出を行い、洗浄、脱水、乾燥の工程を経て、粉状のグラフト共重合体(A−1)を得た。
グラフト共重合体(A−1)を用いて製造した熱可塑性樹脂組成物中のエチレン・α−オレフィン共重合体(a−1)の体積平均粒子径を電子顕微鏡により確認したところ、0.45μmであった。
<グラフト共重合体(A−2)〜(A−11)の調製>
表3に示すように、エチレン・α−オレフィン重合体(a)の種類を変更した以外は、グラフト共重合体(A−1)と同様にして、グラフト共重合体(A−2)〜(A−11)を得た。
Figure 2021031569
<グラフト共重合体(C−1)の調製>
〔酸基含有共重合体ラテックス(K)の製造〕
撹拌機付きステンレス重合槽に、イオン交換水200部、オレイン酸カリウム2部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム4部、硫酸第一鉄七水塩0.003部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.009部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部を窒素フロー下で仕込み、60℃に昇温した。60℃になった時点から、アクリル酸n−ブチル82部、メタクリル酸18部、クメンヒドロパーオキシド0.5部からなる混合物を120分かけて連続的に滴下した。滴下終了後、さらに2時間、60℃のまま熟成を行い、固形分が33%、重合転化率が96%、酸基含有共重合体の体積平均粒子径が150nmである酸基含有共重合体ラテックス(K)を得た。
〔ゴム質重合体ラテックス(b−1)の製造〕
(1段目)
撹拌機付きステンレス重合槽に、イオン交換水310部、アルケニルコハク酸ジカリウム(花王社製、ラテムルASK)1部、アクリル酸n−ブチル80部、メタクリル酸アリル0.48部、イソシアヌル酸トリアリル0.4部、t−ブチルヒドロパーオキシド0.2部を撹拌下で仕込み、反応器内を窒素置換した後、内容物を昇温した。内温55℃にて、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部、硫酸第一鉄七水塩0.0001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.0003部、イオン交換水10部からなる水溶液を添加し、重合を開始させた。重合発熱が確認された後、ジャケット温度を75℃とし、重合発熱が確認されなくなるまで重合を継続し、さらに1時間保持した。得られたゴム質重合体の体積平均粒子径は100nmであった。ここへ5%ピロリン酸ナトリウム水溶液を固形分として1部添加し(混合液のpHは9.1)、内温を70℃になる様にジャケット温度の制御を行った。内温70℃にて、酸基含有共重合体ラテックス(K)を固形分として3部添加し、内温70℃を保持したまま30分撹拌し、肥大化を行った。肥大化後の体積平均粒子径は420nmであった。
(2段目)
内温70℃にて、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.03部、硫酸第一鉄七水塩0.002部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.006部、イオン交換水80部からなる水溶液を添加し、次いでアクリル酸n−ブチル20部、メタクリル酸アリル 0.12部、イソシアヌル酸トリアリル0.1部、t−ブチルヒドロパーオキシド0.02部からなる混合液を1時間にわたって滴下した。滴下終了後、温度70℃の状態を1時間保持した後に冷却し、固形分が18%、ゴム質重合体の体積平均粒子径が450nmであるゴム質重合体ラテックス(b−1)を得た。重合転化率は97%、粒子径200nm以下の粒子の割合は10%であった。
〔グラフト共重合体(C−1)の製造〕
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた反応器に、イオン交換水(ゴム質重合体ラテックス中の水を含む)230部、ゴム質重合体ラテックス(b−1)70部(固形分として)、アルケニルコハク酸ジカリウム(花王社製、ラテムルASK)0.5部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部を仕込み、反応器内を十分に窒素置換した後、攪拌しながら内温を70℃まで昇温した。次いで、アクリロニトリル7.5部、スチレン22.5部、t−ブチルヒドロパーオキシド0.5部からなる混合液を100分間にわたって滴下しながら、80℃まで昇温した。滴下終了後、温度80℃の状態を30分間保持した後、冷却し、グラフト共重合体(C−1)ラテックスを得た。
次いで、1.5%硫酸水溶液100部を80℃に加熱し、該水溶液を撹拌しながら、該水溶液にグラフト共重合体(C−1)ラテックス100部を徐々に滴下し、グラフト共重合体を固化させ、さらに95℃に昇温して10分間保持した。
次いで、固化物を脱水、洗浄、乾燥し、粉末状のグラフト共重合体(C−1)を得た。
「メタクリル酸エステル樹脂(B)」
メタクリル酸エステル樹脂(B−1):三菱ケミカル株式会社製「アクリペットVH5」(メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=98.5/1.5(質量比)の共重合体、メタクリル酸エステル単位の含有率:98.5%)を使用した。
メタクリル酸エステル樹脂(B−2):株式会社日本触媒製「ポリイミレックスPML203」(メタクリル酸メチル/N−フェニルマレイミド/スチレン/N−シクロヘキシルマレイミド=71/21/5/3(質量比)の共重合体、メタクリル酸エステル単位の含有率:71%)を使用した。
「シリコーンオイル(D)」
シリコーンオイル(D−1):東レ・ダウコーニング株式会社製「SH200−100cs」を使用した。
[実施例1]
グラフト共重合体(A−1)7部、(エチレン・α−オレフィン共重合体(a−1)の固形分として5部)、メタクリル酸エステル樹脂(B−1)64部、メタクリル酸エステル樹脂(B−2)29部、カーボンブラック0.8部を混合し、30mmφの真空ベント付き2軸押出機(株式会社池貝製、「PCM30」)で260℃、93.325kPa真空にて溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物を得た。
得られた熱可塑性樹脂組成物をペレット化して、各種成形品を成形し、耐熱性、発色性、耐候性、耐擦り傷性、耐引掻き傷性、耐擦り傷性の持続性、耐引掻き傷性の持続性、鉛筆硬度を評価した。結果を表4に示す。
[実施例2〜15、比較例1〜4]
表4、表5に示す配合処方に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を調製した。
熱可塑性樹脂組成物をペレット化し、各種成形品を成形し、耐熱性、発色性、耐候性、耐擦り傷性、耐引掻き傷性、耐擦り傷性の持続性、耐引掻き傷性の持続性、鉛筆硬度を評価した。結果を表4、表5に示す。
Figure 2021031569
Figure 2021031569
実施例1〜15の熱可塑性樹脂組成物の成形品は、耐擦り傷性、耐引掻き傷性、耐擦り傷性の持続性、耐引掻き傷性の持続性および鉛筆硬度が優れていた。
したがって、本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いると、耐擦り傷性、耐引掻き傷性、耐擦り傷性の持続性、耐引掻き傷性の持続性および鉛筆硬度に優れた成形品が得られ、車輌内外装部品、事務機器、家電、建材等の用途に適用できることがわかる。
実施例1〜10、14、15のように、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)のゲル含有率が1〜5%であれば、耐候性がより優れる。
実施例2〜7、10、14のように、熱可塑性樹脂組成物100%中のエチレン・α−オレフィン共重合体(a)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)の含有率が6%以上であり、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)のゲル含有率が1〜5%、体積平均粒子径が0.50μm以下であり、メタクリル酸エステル樹脂(B)中のメタクリル酸エステル単位の含有率が80%以上であれば、発色性がより優れる。
実施例1〜13、15のように、メタクリル酸エステル樹脂(B)中のメタクリル酸エステルの含有率が95%以下であれば、耐熱性がより優れる。
一方、比較例1〜4の熱可塑性樹脂組成物の成形品は、耐擦り傷性、耐引掻き傷性、耐擦り傷性の持続性、耐引掻き傷性の持続性および鉛筆硬度のいずれか1以上が劣っていた。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形品は、車輌内外装部品、事務機器、家電、建材等として有用である。
10 治具
11 先端部
12 洗車タオル
13 成形品(Ma1)

Claims (3)

  1. エチレン・α−オレフィン共重合体(a)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)の存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物および(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれた少なくとも一種のビニル系単量体を含むビニル系単量体混合物(m1)を重合して得られたグラフト共重合体(A)と、メタクリル酸エステル樹脂(B)とを含む熱可塑性樹脂組成物であって、
    前記熱可塑性樹脂組成物100質量%に対する前記エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の含有率が4〜12質量%である、熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(a)または前記架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)の下記測定方法によって測定されるゲル含有率が1〜5質量%である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
    <ゲル含有率の測定方法>
    前記エチレン・α−オレフィン共重合体(a)または前記架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)である試料[E1]0.5gを、200mL、110℃のトルエン中に5時間浸漬して溶液を得、前記溶液を200メッシュ金網にて濾過し、残渣を乾燥し、その乾燥物[E2]の質量(g)を測定し、下記式(1)から前記エチレン・α−オレフィン共重合体(a)または前記架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(a’)のゲル含有率を求める。
    ゲル含有率(質量%)=[E2]の質量(g)/[E1]の質量(g)×100 ・・・(1)
  3. 請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物を含む成形品。
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