JP6541254B2 - 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents
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(1)硬質樹脂であるメタクリル酸エステル樹脂に、AES樹脂を添加した熱可塑性樹脂組成物(特許文献1)。
(2)硬質樹脂であるマレイミド系共重合体に、AES樹脂を添加した熱可塑性樹脂組成物(特許文献2)。
(3)硬質樹脂であるメタクリル酸エステル樹脂に、AES樹脂およびASA樹脂を添加した熱可塑性樹脂組成物(特許文献3)。
(3)の熱可塑性樹脂組成物では、成形品の発色性の低下を抑えるためにAES樹脂およびASA樹脂を添加しているが、AES樹脂のみを添加したときに比べて成形品の耐衝撃性や耐寒衝撃性が低かった。
(4)ゴム強化スチレン樹脂に、潤滑剤としてポリオルガノシロキサンを添加した熱可塑性樹脂組成物(特許文献4)。
(5)ABS樹脂およびAES樹脂を含むゴム強化アクリロニトリル−スチレン樹脂に、潤滑剤として特定粘度のシリコーン樹脂を添加した熱可塑性樹脂組成物(特許文献5)。
(6)ゴム強化スチレン樹脂、オレフィン系樹脂およびスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体に、潤滑剤としてポリテトラフルオロエチレン、低分子量酸化ポリエチレン、または超高分子量ポリエチレンを添加した熱可塑性樹脂組成物(特許文献6)。
しかし、上述した性能を満足しつつ、かつ撥水性にも優れた成形品は提案されていない。
[1] 質量平均分子量(Mw)が17×104〜35×104であり且つ分子量分布(Mw/Mn)が1〜3であるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の存在下に、ビニル系単量体混合物(m1)を重合して得られたグラフト共重合体(D)と、ゴム状重合体(E)の存在下に、ビニル系単量体混合物(m2)を重合して得られたグラフト共重合体(F)と、メタクリル酸エステルを含むビニル系単量体混合物(m3)を重合して得られたメタクリル酸エステル樹脂(G)と、(メタ)アクリル変性ポリオルガノシロキサン(H)と、任意にスチレン系共重合体(I)と、を含む熱可塑性樹脂組成物であって、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の平均粒子径が0.05〜0.18μmであり、前記ゴム状重合体(E)の平均粒子径が0.20〜0.60μmであり、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)およびゴム状重合体(E)の合計(100質量%)のうち、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の割合が15〜85質量%であり、ゴム状重合体(E)の割合が85〜15質量%であり、前記グラフト共重合体(D)、グラフト共重合体(F)、メタクリル酸エステル樹脂(G)およびスチレン系共重合体(I)の合計(100質量部)に対し、(メタ)アクリル変性ポリオルガノシロキサン(H)を0.1〜10質量部含む、熱可塑性樹脂組成物。
[2] ゴム状重合体(E)が、ジエン系ゴム状重合体、アクリル系ゴム状重合体、オレフィン系ゴム状重合体よりなる群から選択される少なくとも1種のゴム状重合体である、[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3] エチレン・α−オレフィン共重合体(A)が架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)である、[1]または[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4] [1]〜[3]のいずれか1つに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した、成形品。
本発明の成形品は、耐傷付き性、耐衝撃性、耐寒衝撃性、耐熱性、発色性、きしみ音抑制効果、撥水性に優れる。
「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸およびメタクリル酸の総称であり、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートの総称である。
「成形品」とは、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形してなるものを意味する。
「耐傷付き性」とは、爪等の硬く尖ったもので成形品の表面を引っ掻いたときに生じる傷(引っ掻き傷)に対する傷付きにくさ(耐引っ掻き傷性)および軍手、ガーゼ、布等の柔らかいもので成形品の表面を擦ったときに生じる傷(擦り傷)に対する傷付きにくさ(耐擦り傷性)の両方を意味する。
「明度(L*)」とは、JIS Z 8729において採用されているL*a*b*表色系における色彩値のうちの明度の値(L*)を意味する。
「SCE方式」とは、JIS Z 8722に準拠した分光測色計を用い、光トラップによって正反射光を除去して色を測る方法を意味する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(D)とグラフト共重合体(F)とメタクリル酸エステル樹脂(G)と(メタ)アクリル変性ポリオルガノシロキサン(H)とを含む。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて、スチレン系共重合体(I)、他の熱可塑性樹脂、各種添加剤の少なくとも1種を含んでいてもよい。
以下、各成分の詳細について説明する。
グラフト共重合体(D)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の存在下にビニル系単量体混合物(m1)を重合して得られたものである。成形品の耐擦り傷性、耐衝撃性、耐寒衝撃性、発色性、きしみ音抑制効果のバランスに優れる点では、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の存在下にビニル系単量体混合物(m1)を重合して得られたものが好ましい。
グラフト共重合体(D)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)50〜80質量%の存在下に、ビニル系単量体混合物(m1)20〜50質量%(ただし、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)とビニル系単量体混合物(m1)との合計は100質量%)を重合して得られたものが好ましい。エチレン・α−オレフィン共重合体(A)が50〜80質量%であれば、熱可塑性樹脂組成物の流動性や、成形品の耐衝撃性、発色性の物性バランスがさらに向上する。
グラフト共重合体(D)のグラフト率は、熱可塑性樹脂組成物の流動性および成形品の耐衝撃性、発色性のバランスの点から、20〜100質量%が好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、エチレンと炭素数が3以上のα−オレフィンとを公知の重合方法によって共重合することによって得られた、エチレン単位とα−オレフィン単位とからなる共重合体である。
α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−イコセン、1−ドコセン等が挙げられる。これらα−オレフィンのうち、成形品の耐衝撃性の点から、炭素数が3〜20のα−オレフィンが好ましく、プロピレンが特に好ましい。
メタロセン触媒としては、遷移金属(ジルコニウム、チタン、ハフニウム等)にシクロペンタジエニル骨格を有する有機化合物、ハロゲン原子等が配位したメタロセン錯体と、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物等とを組み合わせた触媒が挙げられる。
チーグラー・ナッタ触媒としては、遷移金属(チタン、バナジウム、ジルコニウム、ハフニウム等)のハロゲン化物と有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物等とを組み合わせた触媒が挙げられる。
重合方法としては、前記触媒の存在下に、エチレンとα−オレフィンとを溶媒中で共重合させる方法が挙げられる。溶媒としては、炭化水素溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等)が挙げられる。炭化水素溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、原料のα−オレフィンを溶媒として用いてもよい。
エチレン、α−オレフィンの供給量、水素等の分子量調節剤の種類や量、触媒の種類や量、反応温度、圧力等の反応条件を変更することによって、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)のエチレン単位の含有率、質量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を調整することができる。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、水性媒体に分散させたオレフィン樹脂水性分散体(B)としてもよい。
オレフィン樹脂水性分散体(B)の調製の際には、その他の成分として乳化剤、酸変性オレフィン重合体等を添加してもよい。
乳化剤の添加量は、得られる熱可塑性樹脂組成物の熱着色を抑制でき、オレフィン樹脂水性分散体(B)の粒子径制御が容易である点から、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)100質量部に対して5〜20質量部が好ましい。
酸変性オレフィン重合体の添加量は、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)100質量部に対して、1〜40質量部が好ましい。酸変性オレフィン重合体の添加量が前記範囲内であれば、成形品の耐傷付き性と耐衝撃性のバランスがさらに優れる。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)と酸変性オレフィン重合体との混合方法は、限定されず、例えば、ニーダー、バンバリーミキサー、多軸スクリュー押出機等を用いた溶融混練法等が挙げられる。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の平均粒子径が0.05μmよりも小さい場合には、成形品の耐衝撃性、耐寒衝撃性が低くなる。エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の平均粒子径が0.18μmよりも大きい場合には、成形品の耐衝撃性、耐寒衝撃性、発色性、耐擦り傷性、きしみ音抑制効果が低くなる。エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の平均粒子径が0.07μm〜0.15μmであれば、成形品の耐衝撃性、耐寒衝撃性、発色性がさらに優れる。
オレフィン樹脂水性分散体(B)に分散しているエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の平均粒子径が、そのまま熱可塑性樹脂組成物中のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の平均粒子径を示すことを、電子顕微鏡の画像解析によって確認している。
オレフィン樹脂水性分散体(B)中のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の平均粒子径を制御する方法としては、乳化剤の種類または使用量、酸変性オレフィン重合体の種類または含有量、混練時に加えるせん断力、温度条件等を調整する方法が挙げられる。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)であってもよい。
架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)は、未架橋のエチレン・α−オレフィン共重合体を架橋処理したものである。
未架橋のエチレン・α−オレフィン共重合体を架橋処理することにより、成形品の耐擦り傷性、耐衝撃性、耐寒衝撃性、発色性、きしみ音抑制効果のバランスがさらに優れる。
(a)の方法としては、具体的には、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)またはオレフィン樹脂水性分散体(B)に、有機過酸化物と、必要に応じて多官能性化合物とを添加し、加熱する方法等が挙げられる。
有機過酸化物および多官能性化合物の添加量、加熱温度、加熱時間等を調整することによって、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)のゲル含有率を調整できる。
加熱温度は、有機過酸化物の種類によって異なる。加熱温度は、有機過酸化物の10時間半減期温度の−5℃〜+30℃が好ましい。
加熱時間は、3〜15時間が好ましい。
有機過酸化物の添加量は、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)のゲル含有率を35〜75質量%の範囲に調整しやすい点から、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)100質量部に対して0.1〜5.0質量部が好ましい。
多官能性化合物としては、ジビニルベンゼン、メタクリル酸アリル、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレンジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等が挙げられ、ゲル含有率を調整しやすい点から、ジビニルベンゼンが好ましい。多官能性化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多官能性化合物の添加量は、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)のゲル含有率を35〜75質量%に調整しやすい点から、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)100質量部に対して10質量部以下が好ましい。
なお、オレフィン樹脂水性分散体(B)中のエチレン・α−オレフィン共重合体の平均粒子径は、架橋処理前後で変化しない。
また、水性分散体中の架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の平均粒子径は、熱可塑性樹脂組成物中の架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の平均粒子径と同等になることを、電子顕微鏡の画像解析によって確認している。
ビニル系単量体混合物(m1)は、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、他のビニル系単量体の群から選ばれる1種または2種以上の単量体単位からなるビニル系単量体混合物である。
芳香族ビニル化合物の含有率は、ビニル系単量体混合物(m1)100質量%中65〜82質量%が好ましく、73〜80質量%がより好ましく、75〜80質量%がさらに好ましい。芳香族ビニル化合物の含有率が前記範囲内であれば、成形品の発色性、耐衝撃性がさらに優れる。
シアン化ビニル化合物の含有率は、ビニル系単量体混合物(m1)100質量%中18〜35質量%が好ましく、20〜27質量%がより好ましく、20〜25質量%がさらに好ましい。シアン化ビニル化合物の含有率が前記範囲内であれば、成形品の発色性、耐衝撃性がさらに優れる。
グラフト共重合体(D)の重合方法としては、公知の重合方法(乳化重合法、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法等)が挙げられる。
乳化重合法によるグラフト共重合体(D)の製造方法としては、例えば、ビニル系単量体混合物(m1)に有機過酸化物を混合した上で、ビニル系単量体混合物(m1)をオレフィン樹脂水性分散体(B)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の水性分散液に連続的に添加する方法が挙げられる。有機過酸化物は、有機過酸化物と遷移金属と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤として用いるのが好ましい。重合の際に、連鎖移動剤、乳化剤等を状況に応じて用いてもよい。
有機過酸化物としては、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド等が挙げられる。
レドックス系開始剤としては、クメンヒドロペルオキシドと、硫酸第一鉄と、ピロリン酸ナトリウムと、デキストロースとからなるものがより好ましい。
連鎖移動剤の添加方法は、一括、分割、連続のいずれでもよい。
連鎖移動剤の添加量は、ビニル単量体混合物(m1)100質量部に対して2.0質量部以下が好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸スルホン酸塩、リン酸系塩、脂肪酸塩、アミノ酸誘導体塩等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、通常のポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル型等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アニオン部にカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩等を有し、カチオン部にアミン塩、第4級アンモニウム塩等を有するものが挙げられる。
乳化剤の添加量は、ビニル単量体混合物(m1)100質量部に対して10質量部以下が好ましい。
析出剤としては、例えば、硫酸、酢酸、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等の水溶液が挙げられる。析出剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
グラフト共重合体(D)を含む水性分散体に、必要に応じて酸化防止剤を添加してもよい。
溶液重合に用いられる重合開始剤は、一般的な開始剤が用いられ、例えば、ケトンパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物が用いられる。また、重合開始剤は、一括または連続的に添加する方法が挙げられる。
グラフト共重合体(F)は、ゴム状重合体(E)の存在下にビニル系単量体(m2)を重合することによって得られる。
グラフト共重合体(F)は、ゴム状重合体(E)20〜80質量%の存在下に、ビニル系単量体混合物(m2)20〜80質量%(ただし、ゴム状重合体(E)とビニル系単量体混合物(m2)との合計は100質量%)を重合して得られたものが好ましく、ゴム状重合体(E)25〜75質量%の存在下に、ビニル系単量体混合物(m2)25〜75質量%を重合して得られたものがより好ましく、ゴム状重合体(E)30〜70質量%の存在下に、ビニル系単量体混合物(m2)30〜70質量%を重合して得られたものがさらに好ましい。ゴム状重合体(E)の割合が前記範囲内であれば、グラフト共重合体(F)の生産性が良好であるとともに、成形品の発色性、耐衝撃性がさらに優れる。
ゴム状重合体(E)としては、特に制限はなく、ジエン系ゴム状重合体(Ea)、アクリル系ゴム状重合体(Eb)、オレフィン系ゴム状重合体(Ec)等が挙げられ、その他、ポリオルガノシロキサン−アクリル酸ブチル複合ゴム等のシリコーン系ゴム状重合体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
グラフト交叉剤としては、アリル化合物、具体的には、メタクリル酸アリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル等が挙げられる。
エチレン・αオレフィン共重合体のα−オレフィンとしては、炭素数が3以上のプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−イコセン、1−ドコセン等が挙げられる。
エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体は、エチレン単位と、プロピレン単位と、第3成分である非共役ジエン単位とからなる共重合体であり、非共役ジエン単位としては、例えば、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、1,4−シクロヘプタジエン、1,5−シクロオクタジエン等の一種または二種以上を使用できる。
オレフィン系ゴム状重合体(Ec)重合方法としては、触媒の存在下に、エチレンとα−オレフィンとを溶媒中で共重合させる方法が挙げられる。溶媒としては、炭化水素溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等)が挙げられる。炭化水素溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、原料のα−オレフィンを溶媒として用いてもよい。
酸変性オレフィン重合体としては、質量平均分子量が1,000〜5,000のオレフィン重合体(ポリエチレン、ポリプロピレン等)を、官能基を有する化合物(不飽和カルボン酸化合物等)で変性したものが挙げられる。不飽和カルボン酸化合物としては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸モノアミド等が挙げられる。
酸変性オレフィン重合体の添加方法は、限定されない。オレフィン系ゴム状重合体(Ec)と酸変性オレフィン重合体とを混合した後に架橋処理をしてもよいし、オレフィン系ゴム状重合体(Ec)と酸変性オレフィン重合体とをそれぞれ架橋処理した後に混合してもよい。
ゴム状重合体(E)の平均粒子径が0.20μmよりも小さい場合、成形品の耐衝撃性、耐寒衝撃性が低くなる。ゴム状重合体(E)の平均粒子径が0.60μmよりも大きい場合、成形品の耐衝撃性、耐寒衝撃性、発色性が低くなる。
水性分散体中のゴム状重合体(E)の平均粒子径は、熱可塑性樹脂組成物中のゴム状重合体(E)の平均粒子径と同等になることは、電子顕微鏡の画像解析によって確認している。
ビニル系単量体混合物(m2)は、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、他のビニル系単量体の群から選ばれる1種または2種以上の単量体単位からなるビニル系単量体混合物である。
シアン化ビニル化合物の含有率は、ビニル系単量体混合物(m2)100質量%中18〜35質量%が好ましく、20〜27質量%がより好ましく、20〜25質量%がさらに好ましい。シアン化ビニル化合物の含有率が前記範囲内であれば、成形品の発色性、耐衝撃性がさらに優れる。
グラフト共重合体(F)の重合方法としては、公知の重合方法(乳化重合法、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法)が挙げられる。
グラフト共重合体(F)は、例えば、乳化重合により製造される際、ゴム状重合体(E)の水性分散体にビニル系単量体混合物(m2)を加え、乳化剤の存在下でビニル系単量体混合物(m2)をラジカル重合させることにより製造される。グラフト率およびグラフト成分の分子量を制御するため、各種公知の連鎖移動剤を添加してもよい。
なお、ゴム状重合体(E)の製造の際に用いた乳化剤をそのまま用いてもよい。すなわち、ゴム状重合体(E)の水性分散体に含まれる乳化剤をそのまま用い、グラフト重合の際に乳化剤を追加しなくてもよいし、必要に応じてグラフト重合の際に乳化剤を追加してもよい。
メタクリル酸エステル樹脂(G)は、ビニル系単量体混合物(m3)を重合して得られたものである。
メタクリル酸エステル樹脂(G)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ビニル系単量体混合物(m3)は、少なくともメタクリル酸エステルを必須成分として含み、マレイミド系化合物、芳香族ビニル化合物、アクリル酸エステル、およびメタクリル酸エステルと共重合可能な他のビニル系単量体を任意成分として含む単量体混合物である。
メタクリル酸エステルの含有率は、成形品の耐引っ掻き傷性、発色性の点から、ビニル系単量体混合物(m3)100質量%中50〜100質量%が好ましい。
メタクリル酸エステルの含有率が50〜94質量%、マレイミド系化合物の含有率が5〜49質量%、芳香族ビニル化合物の含有率が1〜45質量%の範囲内であれば、成形品の耐引っ掻き傷性、発色性、耐衝撃性、耐熱性がさらに優れる。
乳化重合法によるメタクリル酸エステル樹脂(G)の製造方法としては、例えば、反応器内にビニル系単量体混合物(m3)と乳化剤と重合開始剤と連鎖移動剤とを仕込み、加熱して重合し、メタクリル酸エステル樹脂(G)を含む水性分散体から析出法によってメタクリル酸エステル樹脂(G)を回収する方法が挙げられる。
乳化剤としては、通常の乳化重合用乳化剤(ロジン酸カリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等)が挙げられる。
重合開始剤としては、有機、無機の過酸化物系開始剤が挙げられる。
連鎖移動剤としては、メルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー、テルペン類等が挙げられる。
析出法としては、水性分散体からグラフト共重合体(D)を回収するときと同様の方法を採用できる。
懸濁剤としては、トリカルシウムフォスファイト、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
懸濁助剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
重合開始剤としては、有機ペルオキシド類が挙げられる。
連鎖移動剤としては、メルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー、テルペン類等が挙げられる。
(メタ)アクリル変性ポリオルガノシロキサン(H)は、例えば、ポリオルガノシロキサンと、(メタ)アクリル酸エステルと、必要に応じて(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な共重合性単量体とを共重合させることにより得られる。
ポリオルガノシロキサンは、末端にラジカル重合性基を有しており、具体的には、下記一般式(1)で表される化合物である。
R1、R2、R3、R4、R5またはR6で示される炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基としては、上述した炭素数1〜20の炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子の少なくとも1つを、例えば、塩素、フッ素などのハロゲン原子で置換した基である。
YまたはR6で示されるラジカル重合性基としては、例えば、ビニル基、アリル基、γ−(メタ)アクリロキシプロピル基などが挙げられる。
Z1およびZ2で示される炭素数1〜4の低級アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。
mは、500〜8000の範囲であることが好ましい。
nは、1〜500の範囲であることが好ましい。
また、式(1)中の「−(Si(R1)(R2)O)m−」および「−(Si(Y)(R3)O)n−」で示されるシロキサン鎖は、直鎖であってもよいし、分岐していてもよい。
これら(メタ)アクリル酸エステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多官能エチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミドおよび不飽和アミドのアルキロールまたはアルコキシアルキル化物;グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテル等のオキシラン基含有不飽和単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有不飽和単量体;(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有不飽和単量体;N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有不飽和単量体;(メタ)アクリル酸のエチレンオキシドやプロピレンオキシド付加物等のポリアルキレンオキシド基含有不飽和単量体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル;アリル(メタ)アクリレート;ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
単官能エチレン性不飽和単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどが挙げられる。
乳化重合では、例えば、公知の乳化剤により、ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとを乳化させた後、公知のラジカル重合開始剤を添加することにより、ポリオルガノシロキサンに、(メタ)アクリル酸エステルをグラフト共重合させる。
また、乳化重合では、ポリオルガノシロキサンを公知の乳化剤により乳化および/または重合した後、その乳化液中で(メタ)アクリル酸エステルをグラフト共重合することにより得ることもできる。
さらに、乳化重合では、(メタ)アクリルモノマーの重合により製造したシード粒子の存在下で、ポリオルガノシロキサンを公知の乳化剤により乳化および/または重合した後、その乳化液中で(メタ)アクリル酸エステルをグラフト共重合することにより得ることもできる。
また、ポリオルガノシロキサンがコアとなり、(メタ)アクリルエステルの重合体がシェルとなるように、多段重合することにより、コアシェル構造(多層粒子構造)を有するアクリル変性ポリオルガノシロキサンを得ることもできる。コアシェル構造では、シェル層が、高いガラス転移点(Tg)を有する(メタ)アクリルエステルの重合体からなるので、粒子状樹脂組成物の粉体流動性をより一層向上させることができる。
これにより、(メタ)アクリル変性ポリオルガノシロキサン(H)を得ることができる。
粒子状として調製される(メタ)アクリル変性ポリオルガノシロキサン(H)の平均粒子径は、3〜200μmが好ましく、5〜60μmがより好ましく、10〜45μmがさらに好ましい。
また、エマルジョンとして調製される(メタ)アクリル変性ポリオルガノシロキサン(H)の平均粒子径は、10〜1000nmが好ましく、50〜600nmがより好ましい。粘度は、20℃で、1〜5000mPa・sが好ましく、5〜3500mPa・sがより好ましく、5〜1000mPa・sがさらに好ましい。固形分濃度は、5〜70質量%が好ましく、20〜65質量%がより好ましい。
なお、ヘプタン可溶分は、以下のようにして求めることができる。
容器に(メタ)アクリル変性ポリオルガノシロキサン(H)とヘプタンとを1:4の割合で秤量して配合し、十分に震盪させた後、3日間静置して固形分を沈降させる。ここから採取した上澄み液を40℃で24時間加熱し、ヘプタンを除去して、不揮発分を得る。不揮発分質量の、(メタ)アクリル変性ポリオルガノシロキサン(H)の質量に対する百分率をヘプタン可溶分として算出する。
粒子状の(メタ)アクリル変性ポリオルガノシロキサン(H)としては、例えば、日信化学工業社製のシャリーヌR−170S(平均粒子径30μm、ヘプタン可溶分17%以下、揮発分1質量%以下)などが挙げられる。
エマルジョン状の(メタ)アクリル変性ポリオルガノシロキサン(H)としては、例えば、日信化学工業社製のシャリーヌR−170EM(20℃における粘度500mPa・s以下、固形分濃度45質量%、固形分におけるヘプタン可溶分16%以下、粒子径200nm)などが挙げられる。
スチレン系共重合体(I)は、芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体混合物(m4)を重合して得られる。
ビニル系単量体混合物(m4)重合方法は、限定されない。重合方法としては、公知の重合方法(乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法等)が挙げられ、成形品の耐熱性の点から、懸濁重合法、塊状重合法が好ましい。
ビニル系単量体混合物(m4)は、少なくとも芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物を含む単量体混合物である。
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−,m−またはp−メチルスチレン、ビニルキシレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレン等が挙げられる。これらのなかでも、熱可塑性樹脂組成物の流動性、成形品の発色性、耐衝撃性の点から、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。芳香族ビニル化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
芳香族ビニル化合物の含有率は、ビニル系単量体混合物(m4)100質量%中15〜95質量%が好ましい。芳香族ビニル化合物の含有率が前記範囲内であれば、成形品の耐衝撃性がさらに向上する。
シアン化ビニル化合物としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。シアン化ビニル化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シアン化ビニル化合物の含有率は、ビニル系単量体混合物(m4)100質量%中5〜85質量%が好ましい。シアン化ビニル化合物の含有率が前記範囲内であれば、成形品の耐衝撃性がさらに向上する。
ビニル系単量体混合物(m4)は、必要に応じて、メタクリル酸エステル、マレイミド系化合物を含んでいてもよい。
メタクリル酸エステル、マレイミド系化合物としては、ビニル系単量体混合物(m3)において例示したものが挙げられる。
他の熱可塑性樹脂(その他の樹脂)としては、例えば、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアリレート、液晶ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、ポリアミド(ナイロン)等が挙げられる。
各種添加剤としては、酸化防止剤、滑剤、加工助剤、顔料、充填剤、シリコーンオイル、パラフィンオイル等が挙げられる。
該熱可塑性樹脂組成物において、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の割合は、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)およびゴム状重合体(E)の合計(100質量%)のうち、15〜85質量%であり、30〜70質量%が好ましい。
ゴム状重合体(E)の割合は、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)およびゴム状重合体(E)の合計(100質量%)のうち、85〜15質量%であり、30〜70質量%が好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の割合が85質量%よりも多い(ゴム状重合体(E)の割合が15質量%よりも少ない)場合には、成形品の耐衝撃性、耐寒衝撃性が低くなる。エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の割合が15質量%よりも少ない(ゴム状重合体(E)の割合が85質量%よりも多い)場合には、成形品の耐衝撃性、耐寒衝撃性、耐擦り傷性、発色性、きしみ音抑制効果が低くなる。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の割合およびゴム状重合体(E)の割合が前記範囲内であることで、少ないゴム含有量で耐衝撃性、耐寒衝撃性を発現することができ、さらに、耐傷付き性、発色性、きしみ音抑制効果にも優れる。
熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(D)とグラフト共重合体(F)とメタクリル酸エステル樹脂(G)と(メタ)アクリル変性ポリオルガノシロキサン(H)と、必要に応じてスチレン系共重合体(I)、他の熱可塑性樹脂、各種添加剤とを混合することにより得られる。
以上説明した本発明の熱可塑性樹脂組成物にあっては、質量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)が特定の範囲内にあるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の存在下にビニル系単量体混合物(m1)を重合して得られたグラフト共重合体(D)と;ゴム状重合体(E)の存在下にビニル系単量体混合物(m2)を重合して得られたグラフト共重合体(F)と;メタクリル酸エステル樹脂(G)と;質量平均分子量が特定の範囲内にある(メタ)アクリル変性ポリオルガノシロキサン(H)と;任意にスチレン系共重合体(I)とを含み、熱可塑性樹脂組成物中のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)とゴム状重合体(E)とが特定の平均粒子径であり;熱可塑性樹脂組成物中のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)とゴム状重合体(E)とが特定の割合であり;(メタ)アクリル変性ポリオルガノシロキサン(H)を特定量含むため、流動性が良好であり、また、耐傷付き性、発色性、耐衝撃性、耐寒衝撃性、きしみ音抑制効果、撥水性に優れる成形品を得ることができる。また、成形品に耐熱性を付与しても、耐衝撃性、耐寒衝撃性を損なうことがない。
本発明の成形品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を公知の成形方法によって成形加工して得られる。
成形方法としては、例えば、射出成形法、プレス成形法、押出成形法、真空成形法、ブロー成形法等が挙げられる。
本発明の成形品は、特に耐傷付き性、撥水性に優れるため、水回りの樹脂部品に好適である。また、例えば雨水に曝されても汚れ難く、洗車等を行っても傷が付きにくいため、車輌内外装部品にも好適である。
以下に記載の「%」は「質量%」、「部」は「質量部」を意味する。
以下の実施例および比較例における各種測定および評価方法は、以下の通りである。
なお、実施例38、49、50は参考例である。
<質量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)の測定方法>
GPC(GPC:Waters社製、「GPC/V2000」、カラム:昭和電工社製、「Shodex AT−G+AT−806MS」)を用い、o−ジクロロベンゼン(145℃)を溶媒として、ポリスチレン換算での質量平均分子量(Mw)、数平均分子量分子量(Mn)を測定し、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
理学電機社製、広角X線回折装置RAD−RX型を用いて測定したX線回折スペクトルより求めた。
マイクロトラック(日機装社製、「ナノトラック150」)を用いた。測定溶媒として純水を用いて測定した体積平均粒子径(MV)を平均粒子径とした。
なお、オレフィン樹脂水性分散体(B)に分散しているエチレン・α−オレフィン共重合体(A)や、水性分散体に分散している架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)や、水性分散体に分散しているゴム状重合体(E)の平均粒子径が、熱可塑性樹脂組成物中のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)や架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)やゴム状重合体(E)の平均粒子径と同等になることを、電子顕微鏡の画像解析によって確認した。
架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の水性または溶媒分散体を希硫酸にて凝固させ、水洗、乾燥して得られる凝固粉試料[X1]0.5gを、200mL、110℃のトルエン中に5時間浸漬し、次いで、200メッシュ金網にて濾過し、残渣を乾燥し、その乾燥物[X2]の質量を測定し、下記式(1)から、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)のゲル含有率を求めた。
ゲル含有率(%)=乾燥物質量[X2](g)/凝固粉試料質量[X1](g)×100 ・・・(1)
グラフト共重合体(D)1gを80mLのアセトンに添加し、65〜70℃にて3時間加熱還流して懸濁アセトン溶液を得た。該懸濁アセトン溶液を遠心分離機(日立工機社製、「CR21E」)にて14,000rpm、30分間遠心分離して、沈殿成分(アセトン不溶成分)とアセトン溶液(アセトン可溶成分)を分取した。そして、沈殿成分(アセトン不溶成分)を乾燥させてその質量(Y(g))を測定し、下記式(2)からグラフト率を算出した。なお、式(2)におけるYは、グラフト共重合体(D)のアセトン不溶成分の質量(g)、Xは、Yを求める際に用いたグラフト共重合体(D)の全質量(g)、ゴム分率は、グラフト共重合体(D)のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の固形分の含有割合である。
グラフト率(%)={(Y−X×ゴム分率)/X×ゴム分率}×100 ・・・(2)
JIS K 2501に従い測定した。
特定量のグラフト共重合体(D)と、グラフト共重合体(F)と、メタクリル酸エステル樹脂(G)と、(メタ)アクリル変性ポリオルガノシロキサン(H)と、スチレン系共重合体(I)とを混合し、スクリュー直径30mmの真空ベント付き2軸押出機(池貝社製、「PCM30」)で、シリンダー温度200〜260℃、93.325kPa真空にて溶融混練を行い、熱可塑性樹脂組成物(1)を得た。また、必要に応じて溶融混練後に、ペレタイザー(創研社製、「SH型ペレタイザー」)を用いてペレット化を行った。
グラフト共重合体(D)、グラフト共重合体(F)、メタクリル酸エステル樹脂(G)およびスチレン系共重合体(I)の合計量100部に対して、(メタ)アクリル変性ポリオルガノシロキサン(H)、カーボンブラック0.8部を混合し、スクリュー直径30mmの真空ベント付き2軸押出機(池貝社製、「PCM30」)で、シリンダー温度200〜260℃、93.325kPa真空にて溶融混練を行い、熱可塑性樹脂組成物(2)を得た。また、必要に応じて溶融混練後に、ペレタイザー(創研社製、「SH型ペレタイザー」)を用いてペレット化を行った。
熱可塑性樹脂組成物(2)について、ISO 1133規格に従い測定した。なお、MVRは熱可塑性樹脂組成物の流動性の目安となり、MVR値が高いほど流動性が高くなる。
溶融混練して得られた熱可塑性樹脂組成物(1)のペレットを射出成型機(東芝機械社製、「IS55FP−1.5A」)によりシリンダー温度200〜270℃、金型温度60℃の条件で、縦80mm、横10mm、厚さ4mmの成形品を成形し、シャルピー衝撃試験用成形品、荷重たわみ温度測定用成形品(成形品(Ma1))として用いた。
溶融混練して得られた熱可塑性樹脂組成物(2)のペレットを射出成型機(東芝機械社製、「IS55FP−1.5A」)によりシリンダー温度200〜270℃、金型温度60℃の条件で、縦100mm、横100mm、厚さ3mmの成形品を成形し、落球衝撃試験用成形品、発色性評価用成形品、耐傷付き性評価用成形品、撥水性評価用成形品(成形品(Ma2))として用いた。
溶融混練して得られた熱可塑性樹脂組成物(1)のペレットを射出成形機(住友重機工業製「SG150−SYCAPM IV」)によってシリンダー温度200〜260℃、金型温度60℃の条件で、図2に示す構造の成形品(試験片21,22)を成形し、潤滑性評価用成形品(成形品(Ma3))として用いた。
成形品(Ma1)について、ISO 179規格に従い、23℃の条件でシャルピー衝撃試験(ノッチ付)を行い、シャルピー衝撃強度を測定した。
−40℃に温調した成形品(Ma2)について、JIS K7211に従い、落球衝撃強度を測定した。重さ230gの鋼球を40cmの高さから落下させて、割れや亀裂発生の有無を確認した。試験は10枚について行い、下記基準で評価した。
◎:割れや亀裂の発生が0枚である。
○:割れや亀裂の発生が1〜2枚である。
△:割れや亀裂の発生が3枚〜4枚である。
×:割れや亀裂の発生が5枚以上である。
成形品(Ma1)について、ISO試験法75規格に準拠し、1.83MPa、4mm、フラットワイズ法で荷重たわみ温度(℃)を測定した。
成形品(Ma2)について、分光測色計(コニカミノルタオプティプス社製、「CM−3500d」)を用いて明度L*を、SCE方式にて測定した。こうして測定されたL*を「L*(ma)」とする。L*が低いほど黒色となり、発色性が良好である。
(引っ掻き傷性の評価)
鉛筆硬度試験機を用い、750gの荷重で、3Hの硬度の鉛筆を成形品(Ma2)の表面に押しつけ、その状態で成形品(Ma2)を5cmほど移動させることによって、成形品(Ma2)の表面を鉛筆で引っ掻き、成形品(Ma2)に傷を付けた。傷を付けた成形品(Mb)の表面の明度L*を、分光測色計を用いて、SCE方式にて測定した。こうして測定されたL*を「L*(mb)」とする。
成形品(Mb)の傷の目立ちやすさの判定指標ΔL*を下記式(3)から算出した。ΔL*(mb−ma)の絶対値が大きいほど傷が目立ちやすい。
ΔL*(mb−ma)=L*(mb)−L*(ma) ・・・(3)
ΔL*(mb−ma)の絶対値が3.0以下のとき、傷が目立たず、成形品の意匠性を損なわない。
ΔL*(mb−ma)の絶対値が3.0超〜7.0以下のとき、傷は目立ちにくく、成形品の意匠性を損なわない。
ΔL*(mb−ma)の絶対値が7.0超のとき、傷が目立ち、成形品の意匠性を損なう。
図1に示すように、先端部11が半球形に形成された棒状の治具10を用意し、先端部11に、ガーゼを8枚重ねた積層シート12を被せた。成形品(Ma2)13の表面に対して、棒状の治具10が直角になるように、積層シート12が被せられた先端部11を接触させ、先端部11を成形品(Ma2)13の表面において水平方向(図中矢印方向)に摺動させ、500回往復させた。その際、加える荷重は1kgとした。500回往復させた後、傷を付けた成形品(Mc)の表面の明度L*を、分光測色計を用いて、SCE方式にて測定した。こうして測定されたL*を「L*(mc)」とする。
成形品(Mc)の傷の目立ちやすさの判定指標ΔL*を下記式(4)から算出した。ΔL*(mc−ma)の絶対値が大きいほど傷が目立ちやすい。
ΔL*(mc−ma)=L*(mc)−L*(ma)・・・(4)
ΔL*(mc−ma)の絶対値が3.0以下のとき、傷が目立たず、成形品の意匠性を損なわない。
ΔL*(mc−ma)の絶対値が3.0超〜7.0以下のとき、傷は目立ちにくく、成形品の意匠性を損なわない。
ΔL*(mc―ma)の絶対値が7.0超のとき、傷が目立ち、成形品の意匠性を損なう。
成形品(Ma3)において、図2に示すリブ構造21aを有する試験片21および平面部分を有する試験片22を用い、荷重500gまたは1kgをかけながら往復運動を行ったときに、きしみ音が発生するか否かを調べ、下記基準で評価した。△以上を潤滑性があるとした。
◎:荷重500gと1kgのいずれでもきしみ音が発生しない。
○:荷重1kgの場合は小さなきしみ音が発生するが、荷重500gの場合は発生しない。
△:荷重500gと荷重1kgのいずれでも小さなきしみ音が発生する。
×:荷重500gと荷重1kgのいずれでもきしみ音が発生する。
成形品(Ma3)において、図2に示すリブ構造21aを有する試験片21および平面部分を有する試験片22を60℃にて10日間アニールした後、試験片21および試験片22の表面をイソプロピルアルコールで脱脂することによってブリード成分を取り除いた。脱脂後のきしみ音の発生を、脱脂前の潤滑性評価方法と同様にして調べ、下記基準で評価した。△以上を潤滑性の永続性があるとした。
◎:荷重500gと1kgのいずれでもきしみ音が発生しない。
○:荷重1kgの場合は小さなきしみ音が発生するが、荷重500gの場合は発生しない。
△:荷重500gと荷重1kgのいずれでも小さなきしみ音が発生する。
×:荷重500gと荷重1kgのいずれでもきしみ音が発生する。
成形品(Ma2)の表面に純水1.5μLを接触させた時の接触角を測定した。水の接触角は協和界面科学社製の接触角測定装置によって3回測定し、その平均値を求め、下記基準で評価した。水の接触角が90°以上の場合を撥水性に優れると判定した。
○:水の接触角が90°以上
×:水の接触角が90°未満
以下の例では、下記のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)、オレフィン樹脂水性分散体(B)、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)、グラフト共重合体(D)、ゴム状重合体(E)、グラフト共重合体(F)、メタクリル酸エステル樹脂(G)、(メタ)アクリル変性ポリオルガノシロキサン(H)、スチレン系共重合体(I)を用いた。
(エチレン・プロピレン共重合体(A−1)の調製)
20L撹拌機付きステンレス重合槽を十分に窒素置換した後に、脱水精製したヘキサン10Lを添加し、8.0mmol/Lに調製したエチルアルミニウムセスキクロリド(Al(C2H5)1.5・Cl1.5)のヘキサン溶液を、5L/hの量で連続的に1時間供給した後、さらに触媒として0.8mmol/Lに調整したVO(OC2H5)Cl2のヘキサン溶液を5L/hの量で、ヘキサンを5L/hの量で連続的に供給した。一方、重合槽上部から、重合槽内の重合液が常に10Lになるように重合液を連続的に抜き出した。バブリング管を用いてエチレンを2000L/hの量で、プロピレンを1000L/hの量で、水素を90L/hの量で供給し、重合反応を35℃で行った。
前記条件で重合反応を行い、エチレン・プロピレン共重合体(A−1)を含む重合溶液を得た。得られた重合溶液を、塩酸で脱灰した後に、メタノールに投入して析出させた後、乾燥させ、エチレン・プロピレン共重合体(A−1)を得た。エチレン・プロピレン共重合体(A−1)のポリマーの性状を表1に示す。
表1に示すように水素の供給量を変更した以外は、エチレン・プロピレン共重合体(A−1)と同様にして、エチレン・プロピレン共重合体(A−2)〜(A−5)を得た。エチレン・プロピレン共重合体(A−2)〜(A−5)のポリマーの性状を表1に示す。
20L撹拌機付きステンレス重合槽を十分に窒素置換した後に、脱水精製したヘキサン10Lを添加し、プロピレン110L(標準状態)、水素800mLを添加した。40℃まで加熱した後に、全圧が0.6MPa[ゲージ圧]となるようにエチレンで加圧した。内圧が0.6MPa[ゲージ圧]になったところで、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)の1.0mM/mLヘキサン溶液10mLを窒素で圧入した。あらかじめ調製しておいた、トリフェニルカルベニウム(テトラキスペンタフルオロフェニル)ボレートをホウ素換算で0.16mM、[ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シラン]チタンクロリドを0.0004mMの量で含むトルエン溶液30mLを、窒素で圧入し重合を開始した。その後、5分間、40℃になるように温度調整し、かつ圧力が0.6MPa[ゲージ圧]となるようにエチレンの供給を行なった。重合開始5分後、メタノール50mLを挿入して重合を停止し、大気圧まで脱圧し、エチレン・プロピレン共重合体(A−6)を含む重合溶液を得た。得られた重合溶液は、塩酸で脱灰した後に、メタノールに投入して析出させた後、乾燥させ、エチレン・プロピレン共重合体(A−6)を得た。エチレン・プロピレン共重合体(A−6)のポリマーの性状を表2に示す。
エチレン・プロピレン共重合体(A−3)30部と下記のエチレン・プロピレン共重合体(A−8)70部とを混合し、スクリュー直径30mmの真空ベント付き2軸押出機(池貝社製、「PCM30」)で200℃、93.325kPa真空にて溶融混練し、エチレン・プロピレン共重合体(A−7)を調製した。エチレン・プロピレン共重合体(A−7)のポリマーの性状を表2に示す。
触媒としてVO(OC2H5)Cl2に代えてVCl4を用いた以外はエチレン・プロピレン共重合体(A−3)と同様にして、エチレン・プロピレン共重合体(A−8)を得た。エチレン・プロピレン共重合体(A−8)のポリマーの性状を表2に示す。
(オレフィン樹脂水性分散体(B−1)の調製)
エチレン・プロピレン共重合体(A−1)100部と、酸変性オレフィン重合体として無水マレイン酸変性ポリエチレン(三井化学社製、「三井ハイワックス 2203A」、質量平均分子量:2,700、酸価:30mgKOH/g)25部と、アニオン系乳化剤としてオレイン酸カリウム10部とを混合した。
この混合物を2軸スクリュー押出機(池貝社製、「PCM30」、L/D=40)のホッパーから4kg/hで供給し、該2軸スクリュー押出機のベント部に設けた供給口より、水酸化カリウム1.5部とイオン交換水5.0部を混合した水溶液を連続的に供給しながら、220℃に加熱して溶融混練して押出した。溶融混練物を2軸スクリュー押出機の先端に取り付けた冷却装置に連続的に供給し、90℃まで冷却した。そして、2軸スクリュー押出機先端より吐出させた固体を、80℃の温水中に投入し、連続的に分散させて、固形分濃度40質量%付近まで希釈して、オレフィン樹脂水性分散体(B−1)を得た。オレフィン樹脂水性分散体(B−1)に分散しているエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の平均粒子径を表3に示す。
表3に示すように、A成分として(A−1)を(A−2)〜(A−8)へ変更した以外は、オレフィン樹脂水性分散体(B−1)と同様にして、オレフィン樹脂水性分散体(B−2)〜(B−8)を得た。
各オレフィン樹脂水性分散体(B−2)〜(B−8)に分散しているエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の平均粒子径を表3に示す。
表4に示すように、オレイン酸カリウムの添加部数を変更した以外は、オレフィン樹脂水性分散体(B−3)と同様にして、オレフィン樹脂水性分散体(B−9)〜(B−16)を得た。
各オレフィン樹脂水性分散体(B−9)〜(B−16)に分散しているエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の平均粒子径を表4に示す。
(架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C−1)の調製)
オレフィン樹脂水性分散体(B−1)(固形分として100部)に固形分濃度が35%になるようにイオン交換水を加え、有機過酸化物としてt−ブチルクミルペルオキシド0.5部、多官能性化合物としてジビニルベンゼン1部を添加し、130℃で5時間反応させて、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C−1)を調製した。架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C−1)のゲル含有率、平均粒子径を表5に示す。
表5〜表7に示すようにオレフィン樹脂水性分散体(B)の種類とt−ブチルクミルペルオキシドの添加量を変更した以外は、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C−1)と同様にして、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C−2)〜(C−20)を得た。架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C−2)〜(C−20)のゲル含有率、平均粒子径を表5〜表7に示す。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A−3)100部に対し、有機過酸化物としてα,α’−ジ(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン0.5部と、ジビニルベンゼン1.0部とを混合し、スクリュー直径30mmの真空ベント付き2軸押出機(池貝社製、「PCM‐30」)で、220℃、93.325kPa真空にて溶融混練を行った。溶融混練後、細かく粉砕することで、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C−21)を得た。架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C−21)のゲル含有率、平均粒子径を表7に示す。
(グラフト共重合体(D−1)の調製)
撹拌機付きステンレス重合槽に、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C−1)(エチレン・プロピレン共重合体(A−1)の固形分として70部)を入れ、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C−1)に固形分濃度が30%になるようにイオン交換水を加え、硫酸第一鉄0.006部、ピロリン酸ナトリウム0.3部およびフラクトース0.35部を仕込み、温度を80℃とした。スチレン23.4部、アクリロニトリル6.6部およびクメンヒドロペルオキシド0.6部を150分間連続的に添加し、重合温度を80℃に保ち乳化重合を行い、平均粒子径0.12μmのグラフト共重合体(D−1)を含む水性分散体を得た。グラフト共重合体(D−1)を含む水性分散体に酸化防止剤を添加し、硫酸にて固形分の析出を行い、洗浄、脱水、乾燥の工程を経て、粉状のグラフト共重合体(D−1)を得た。グラフト共重合体(D−1)のグラフト率を測定したところ30%であった。グラフト率の結果は表8にも示す。また、電子顕微鏡により、熱可塑性樹脂組成物中のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の平均粒子径を確認したところ、0.12μmであった。
表8〜表11に示すように架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の種類を変更した以外は、グラフト共重合体(D−1)と同様にして、グラフト共重合体(D−2)〜(D−20)を得た。グラフト共重合体(D−2)〜(D−20)のグラフト率を表8〜表11に示す。
撹拌機付きステンレス重合槽に、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C−21)70部、トルエン300部を仕込み、内容物を70℃で1時間撹拌して均一に溶解した。十分に窒素置換を行った後、スチレン23.4部、アクリロニトリル6.6部、t−ドデシルメルカプタン0.24部、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート0.22部を添加し、内温を110℃まで昇温し、4時間反応させた。内温を120℃に昇温し、2時間反応させた。重合後、内温を100℃まで冷却し、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)−プロピオネート0.2部を添加した。反応混合物を抜き出し、水蒸気蒸留によって未反応物と溶媒を留去した。スクリュー直径30mmの真空ベント付き2軸押出機(池貝社製、「PCM30」)で220℃、93.325kPa真空にて、揮発分を実質的に脱揮させ、ペレット化し、グラフト共重合体(D−21)を得た。グラフト共重合体(D−21)のグラフト率を測定したところ26%であった。結果を表11に示す。
表11に示すように架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)をオレフィン樹脂水性分散体(B−3)に変更した以外は、グラフト共重合体(D−1)と同様にして、グラフト共重合体(D−22)を得た。グラフト共重合体(D−22)のグラフト率を表11に示す。
(ゴム状重合体(E−1)の調製)
エチレン・プロピレン共重合体(A−3)100部と、酸変性オレフィン重合体として無水マレイン酸変性ポリエチレン(三井化学社製、「三井ハイワックス 2203A」、質量平均分子量:2,700、酸価:30mgKOH/g)25部と、アニオン系乳化剤としてオレイン酸カリウム7部とを混合した。
この混合物を2軸スクリュー押出機(池貝社製、「PCM30」、L/D=40)のホッパーから4kg/hで供給し、該2軸スクリュー押出機のベント部に設けた供給口より、水酸化カリウム1.5部とイオン交換水5.0部を混合した水溶液を連続的に供給しながら、220℃に加熱して溶融混練して押出した。溶融混練物を2軸スクリュー押出機の先端に取り付けた冷却装置に連続的に供給し、90℃まで冷却した。そして、2軸スクリュー押出機先端より吐出させた固体を、80℃の温水中に投入し、連続的に分散させて、固形分濃度40質量%付近まで希釈して、水性分散体を得た。得られた水性分散体(固形分として100部)に固形分濃度が35%になるようにイオン交換水を加え、有機過酸化物としてt−ブチルクミルペルオキシド0.5部、多官能性化合物としてジビニルベンゼン1部を添加し、130℃で5時間反応させて、平均粒子径0.15μm、ゲル含有率50%のゴム状重合体(E−1)を得た。平均粒子径の結果を表12に示す。ゴム状重合体(E−1)は、オレフィン系ゴム状重合体(Ec)である。
表12に示すように、乳化する際の乳化剤添加部数を変更した以外は、ゴム状重合体(E−1)と同様にして、ゴム状重合体(E−2)〜(E−7)を得た。得られたゴム状重合体(E−2)〜(E−7)の平均粒子径を表12に示す。ゴム状重合体(E−2)〜(E−7)は、オレフィン系ゴム状重合体(Ec)である。
撹拌機を備えた耐圧容器に脱イオン水150部、ブタジエンモノマー100部、硬化脂肪酸カリ石鹸3.0部、有機スルホン酸ソーダ0.3部、t−ドデシルメルカプタン0.2部、過硫酸カリウム0.3部、及び水酸化カリウム0.14部を仕込んだ。次いで、窒素雰囲気下で撹拌しながら温度を60℃に上げて重合を開始し、重合率65%のときに過硫酸カリウム0.1部を溶解した脱イオン水5部を上記耐圧容器に加えた。その後、重合温度を70℃に上げ、反応時間13時間、重合転化率95%で重合を完結して、平均粒子径80nm、固形分52.0%のラテックスを得た。このラテックスに、20%酢酸水溶液を酢酸として2.5部添加し肥大化操作を行って、平均粒子径0.4μmのゴム状重合体(E−8)を得た。平均粒子径の結果を表12に示す。ゴム状重合体(E−8)は、ジエン系ゴム状重合体(Ea)である。
アルケニルコハク酸ジカリウム0.54部、イオン交換水350部、アクリル酸n−ブチル100部、メタクリル酸アリル0.32部、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート0.16部、およびt−ブチルヒドロペルオキシド0.2部の混合物を反応器に投入した。反応器に窒素気流を通じることによって、反応器内を窒素置換し、60℃まで昇温した。内温が50℃となった時点で、硫酸第一鉄0.0003部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0009部、ロンガリット0.48部、およびイオン交換水10部からなる水溶液を添加して重合を開始させ、内温を75℃に上昇させた。さらにこの状態を1時間維持し、平均粒子径0.40μmのゴム状重合体(E−9)を得た。平均粒子径の結果を表12に示す。ゴム状重合体(E−9)は、アクリル系ゴム状重合体(Eb)である。
エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体(三井化学製、「タフマーTP3180」)100部と、酸変性オレフィン重合体として無水マレイン酸変性ポリエチレン(三井化学社製、「三井ハイワックス 2203A」、質量平均分子量:2,700、酸価:30mgKOH/g)25部と、アニオン系乳化剤としてオレイン酸カリウム3部とを混合した。
この混合物を2軸スクリュー押出機(池貝社製、「PCM30」、L/D=40)のホッパーから4kg/hで供給し、該2軸スクリュー押出機のベント部に設けた供給口より、水酸化カリウム0.5部とイオン交換水2.4部を混合した水溶液を連続的に供給しながら、220℃に加熱して溶融混練して押出した。溶融混練物を2軸スクリュー押出機の先端に取り付けた冷却装置に連続的に供給し、90℃まで冷却した。そして、2軸スクリュー押出機先端より吐出させた固体を、80℃の温水中に投入し、連続的に分散させて、固形分濃度40質量%付近まで希釈して、水性分散体を得た。得られた水性分散体(固形分として100部)に固形分濃度が35%になるようにイオン交換水を加え、有機過酸化物としてt−ブチルクミルペルオキシド0.5部、多官能性化合物としてジビニルベンゼン1部を添加し、130℃で5時間反応させて、平均粒子径0.40μm、ゲル含有率50%のゴム状重合体(E−10)を得た。平均粒子径の結果を表12に示す。ゴム状重合体(E−10)は、オレフィン系ゴム状重合体(Ec)である。
(グラフト共重合体(F−1)の調製)
撹拌機付きステンレス重合槽に、ゴム状重合体(E−1)(固形分として50部)を入れ、固形分濃度が30%になるようにイオン交換水を加え、硫酸第一鉄0.006部、ピロリン酸ナトリウム0.3部およびフラクトース0.35部を仕込み、温度を80℃とした。スチレン39部、アクリロニトリル11部およびクメンヒドロペルオキシド0.6部を150分間連続的に添加し、重合温度を80℃に保ち乳化重合を行った。重合後、グラフト共重合体(F−1)を含む水性分散体に酸化防止剤を添加し、硫酸にて固形分の析出を行い、洗浄、脱水、乾燥の工程を経て、粉状のグラフト共重合体(F−1)を得た。グラフト共重合体(F)中のゴム含有量を表13に示す。
ゴム状重合体(E−1)をゴム状重合体(E−2)〜(E−7)、(E−10)に変更した以外は、グラフト共重合体(E−1)と同様にして、グラフト共重合体(F−2)〜(F−7)、(F−10)を得た。グラフト共重合体(F)中のゴム含有量を表13に示す。
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および撹拌装置を備えた反応器内に、ゴム状重合体(E−8)(固形分として50部)を入れ、不均化ロジン酸カリウム0.3部(固形分)、硫酸第一鉄七水塩0.01部、ピロリン酸ナトリウム0.2部、結晶ブドウ糖0.5部を仕込み、反応器内の内容物を撹拌しながら60℃まで昇温させた。スチレン39部、アクリルニトリル11部および、t−ドデシルメルカプタン0.4部とクメンハイドロパーオキサイド0.35部とを混合し、2時間かけて連続的に滴下、供給してグラフト重合させた。その間、反応器内温を60℃に保つようにジャケット温度を制御した。滴下終了後70℃まで昇温させ、さらに1時間保ってグラフト重合反応を完結させた。冷却後、酸化防止剤(ジラウリルチオジプロピオネート)を添加し、グラフト共重合体(F−8)のラテックスを得た。得られたグラフト共重合体(F−8)のラテックスを、その1倍量の2.5%硫酸水溶液(80℃)中に撹拌下で投入し、さらに90℃で5分間保持して凝固させてグラフト共重合体(F−8)のスラリーを得た。そして、そのスラリーの水洗と脱水を2度繰り返した後、一晩70℃で静置し、乾燥して乳白色粉末のグラフト共重合体(F−8)を得た。グラフト共重合体(F)中のゴム含有量を表13に示す。
反応器の内温を75℃に保ったまま、ゴム状重合体(E−9)40部(固形分として)に対して、ロンガリット0.15部、アルケニルコハク酸ジカリウム0.65部、およびイオン交換水10部からなる水溶液を添加し、ついで、アクリロニトリル5部、スチレン15部、およびt−ブチルヒドロペルオキシド0.11部からなる混合液を1時間にわたって滴下し、グラフト重合させた。滴下終了から5分後に、硫酸第一鉄0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.003部、ロンガリット0.15部、およびイオン交換水5部からなる水溶液を添加し、ついで、アクリロニトリル9部、スチレン31部、t−ブチルヒドロペルオキシド0.19部、およびn−オクチルメルカプタン0.014部からなる混合液を1時間にわたって滴下しグラフト重合させた。滴下終了後、内温を75℃に10分間保持した後、冷却し、内温が60℃となった時点で、酸化防止剤(川口化学工業社製、アンテージW500)0.2部およびアルケニルコハク酸ジカリウム0.2部をイオン交換水5部に溶解した水溶液を添加した。ついで、反応生成物の水性分散体を硫酸水溶液で凝固、水洗した後、乾燥してグラフト共重合体(F−9)を得た。グラフト共重合体(F)中のゴム含有量を表13に示す。
(メタクリル酸エステル樹脂(G−1)の調製)
撹拌機付きステンレス重合槽にイオン交換水150部、メタクリル酸メチル99部、アクリル酸メチル1部、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.2部、n−オクチルメルカプタン0.25部、カルシウムヒドロオキシアパタイト0.47部、アルケニルコハク酸カリウム0.003部を仕込んだ。重合槽の内温を75℃にして3時間反応させ、90℃に昇温し1時間反応させた。内容物を抜き出し、遠心脱水機で洗浄し、乾燥させて粉状のメタクリル酸エステル樹脂(G−1)を得た。単量体の組成を表14に示す。
撹拌機付きステンレス重合槽にイオン交換水150部、メタクリル酸メチル82部、N−フェニルマレイミド12部、スチレン6部、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.2部、n−オクチルメルカプタン0.25部、ポリビニルアルコール0.7部を仕込んだ。重合槽の内温を75℃にして3時間反応させ、90℃まで昇温し1時間反応させた。内容物を抜き出し、遠心脱水機で洗浄し、乾燥させて粉状のメタクリル酸エステル樹脂(G−2)を得た。単量体の組成を表14に示す。
表14に示すようにビニル系単量体混合物(m3)の種類を変更した以外は、メタクリル酸エステル樹脂(G−2)と同様にして、メタクリル酸エステル樹脂(G−3)、(G−4)を得た。単量体の組成を表14に示す。
(メタ)アクリル変性ポリオルガノシロキサン(H−1)
(メタ)アクリル変性ポリオルガノシロキサン(H−1)として、日信化学工業社製、「シャリーヌR−170S」、平均粒子径:30μm、ヘプタン可溶分:17%以下、揮発分:1質量%以下を用いた。
(スチレン系共重合体(I−1)の調製)
窒素置換した撹拌機付きステンレス重合槽に、イオン交換水120部、ポリビニルアルコール0.1部、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.3部、アクリロニトリル25部、スチレン75部、t−ドデシルメルカプタン0.35部を仕込み、開始温度60℃として5時間反応させた。120℃に昇温し、4時間反応させた。内容物を取り出し、スチレン系共重合体(I−1)を得た。単量体の組成を表15に示す。
撹拌機付きステンレス重合槽に、イオン交換水150部、メタクリル酸メチル10部、アクリロニトリル22部、スチレン68部、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.2部、n−オクチルメルカプタン0.25部、カルシウムヒドロオキシアパタイト0.47部、アルケニルコハク酸カリウム0.003部を仕込み、内温を75℃まで昇温し、3時間反応させた。90℃まで昇温し、60分間保持することで反応を完結させた。内容物を取り出し、遠心脱水機での洗浄、脱水を繰り返し、乾燥させてスチレン系共重合体(I−2)を得た。単量体の組成を表15に示す。
撹拌機付きステンレス重合槽に、イオン交換水150部、N−フェニルマレイミド30部、アクリロニトリル15部、スチレン55部、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.2部、n−オクチルメルカプタン0.25部、カルシウムヒドロオキシアパタイト0.47部、アルケニルコハク酸カリウム0.003部を仕込み、内温を75℃まで昇温し、3時間反応させた。90℃まで昇温し、60分間保持することで反応を完結させた。内容物を取り出し、遠心脱水機での洗浄、脱水を繰り返し、乾燥させてスチレン系共重合体(I−3)を得た。単量体の組成を表15に示す。
グラフト共重合体(D−2)10部、グラフト共重合体(F−4)14部、メタクリル酸エステル樹脂(G−2)76部、(メタ)アクリル変性ポリオルガノシロキサン(H−1)1部を混合し、スクリュー直径30mmの真空ベント付き2軸押出機(池貝社製、「PCM30」)で240℃、93.325kPa真空にて溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物(1)を調製した。
別途、グラフト共重合体(D−2)10部、グラフト共重合体(F−4)14部、メタクリル酸エステル樹脂(G−2)76部、(メタ)アクリル変性ポリオルガノシロキサン(H−1)1部、カーボンブラック0.8部を混合し、スクリュー直径30mmの真空ベント付き2軸押出機(池貝社製、「PCM30」)で240℃、93.325kPa真空にて溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物(2)を調製した。
熱可塑性樹脂組成物(2)のMVRを表16に示す。
熱可塑性樹脂組成物(1)または熱可塑性樹脂組成物(2)をペレット化し、各種成形品を成形し、耐衝撃性、耐寒衝撃性、発色性、耐引っ掻き傷性、耐擦り傷性、耐熱性、潤滑性(きしみ音)、撥水性を評価した。結果を表16に示す。
表16〜表23に示す配合処方に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を調製し、MVRを測定した。
また、各実施例の熱可塑性樹脂組成物をペレット化し、各種成形品を成形し、耐衝撃性、耐寒衝撃性、発色性、耐引っ掻き傷性、耐擦り傷性、耐熱性、潤滑性(きしみ音)、撥水性を評価した。結果を表16〜表23に示す。
表24、表25に示す配合処方に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を調製し、MVRを測定した。
また、各比較例の熱可塑性樹脂組成物をペレット化し、各種成形品を成形し、耐衝撃性、耐寒衝撃性、発色性、耐引っ掻き傷性、耐擦り傷性、耐熱性、潤滑性(きしみ音)、撥水性を評価した。結果を表24、表25に示す。
これに対し、比較例1〜15の成形品は、潤滑性(きしみ音)の特性が得られなかったり、成形品の耐衝撃性、耐寒衝撃性、耐擦り傷性が低かったりした。特に、(メタ)アクリル変性ポリオルガノシロキサン(H)を含まない比較例14の熱可塑性樹脂組成物から得られた成形品は、撥水性にも劣っていた。また、(メタ)アクリル変性ポリオルガノシロキサン(H)を11部も含む比較例15の熱可塑性樹脂組成物から得られた成形品は、発色性に劣っていた。
11 先端部
12 積層シート
13 成形品(Ma2)
21 試験片
21a リブ構造
22 試験片
Claims (4)
- 質量平均分子量(Mw)が17×104〜35×104であり且つ分子量分布(Mw/Mn)が1〜3であるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の存在下に、ビニル系単量体混合物(m1)を重合して得られたグラフト共重合体(D)と、
ゴム状重合体(E)の存在下に、ビニル系単量体混合物(m2)を重合して得られたグラフト共重合体(F)と、
メタクリル酸エステルを含むビニル系単量体混合物(m3)を重合して得られたメタクリル酸エステル樹脂(G)と、
(メタ)アクリル変性ポリオルガノシロキサン(H)と、
任意にスチレン系共重合体(I)と、を含む熱可塑性樹脂組成物であって、
前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の平均粒子径が0.05〜0.18μmであり、前記ゴム状重合体(E)の平均粒子径が0.20〜0.60μmであり、
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)およびゴム状重合体(E)の合計(100質量%)のうち、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の割合が15〜85質量%であり、ゴム状重合体(E)の割合が85〜15質量%であり、
前記グラフト共重合体(D)、グラフト共重合体(F)、メタクリル酸エステル樹脂(G)およびスチレン系共重合体(I)の合計(100質量%)中、グラフト共重合体(D)およびグラフト共重合体(F)の合計の含有量が5〜40質量%であり、メタクリル酸エステル樹脂(G)の含有量が95〜60質量%であり、
グラフト共重合体(D)、グラフト共重合体(F)、メタクリル酸エステル樹脂(G)およびスチレン系共重合体(I)の合計(100質量部)に対し、(メタ)アクリル変性ポリオルガノシロキサン(H)を0.1〜10質量部含む、熱可塑性樹脂組成物。 - ゴム状重合体(E)が、ジエン系ゴム状重合体、アクリル系ゴム状重合体、オレフィン系ゴム状重合体よりなる群から選択される少なくとも1種のゴム状重合体である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- エチレン・α−オレフィン共重合体(A)が架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)である、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した、成形品。
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