JP6393947B2 - 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents
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Description
(1)硬質樹脂であるメタクリル酸エステル樹脂に、AES樹脂を添加した熱可塑性樹脂組成物(特許文献1)。
(2)硬質樹脂であるマレイミド系共重合体に、AES樹脂を添加した熱可塑性樹脂組成物(特許文献2)。
(3)硬質樹脂であるメタクリル酸エステル樹脂に、AES樹脂およびASA樹脂を添加した熱可塑性樹脂組成物(特許文献3)。
(3)の熱可塑性樹脂組成物では、成形品の発色性の低下を抑えるためにAES樹脂およびASA樹脂を添加しているが、AES樹脂のみを添加したときに比べて成形品の耐衝撃性が劣る。
(4)ゴム強化スチレン樹脂に、潤滑剤としてポリオルガノシロキサンを添加した熱可塑性樹脂組成物(特許文献4)。
(5)ABS樹脂およびAES樹脂を含むゴム強化アクリロニトリル−スチレン樹脂に、潤滑剤として特定粘度のシリコーン樹脂を添加した熱可塑性樹脂組成物(特許文献5)。
(6)ゴム強化スチレン樹脂、オレフィン系樹脂およびスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体に、潤滑剤としてポリテトラフルオロエチレン、低分子量酸化ポリエチレン、または超高分子量ポリエチレンを添加した熱可塑性樹脂組成物(特許文献6)。
本発明の成形品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いたものである。
本発明の成形品は、耐傷付き性、発色性、耐衝撃性、潤滑性に優れる。
「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。
「成形品」とは、熱可塑性樹脂組成物を成形してなるものを意味する。
「耐傷付き性」とは、爪等の硬く尖ったもので成形品の表面を引っ掻いたときに生じる傷(引っ掻き傷)に対する傷付きにくさ(耐引っ掻き傷性)および軍手、ガーゼ、布等の柔らかいもので成形品の表面を擦ったときに生じる傷(擦り傷)に対する傷付きにくさ(耐擦り傷性)の両方を意味する。
「明度(L*)」とは、JIS Z 8729において採用されているL*a*b*表色系における色彩値のうちの明度の値(L*)を意味する。
「SCE方式」とは、JIS Z 8722に準拠した分光測色計を用い、光トラップによって正反射光を除去して色を測る方法を意味する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(D)とグラフト共重合体(F)とメタクリル酸エステル樹脂(G)とを含む。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて、スチレン系共重合体(H)、他の熱可塑性樹脂、各種添加剤を含んでいてもよい。
(α)エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の存在下にビニル系単量体成分(m1)を重合して得られたもの。
(β)架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の存在下にビニル系単量体成分(m1)を重合して得られたもの。
(α1)エチレン・α−オレフィン共重合体(A)を含む溶液中にてビニル系単量体成分(m1)を重合して得られたもの。
(α2)エチレン・α−オレフィン共重合体(A)を含むオレフィン樹脂水性分散体(B)中にてビニル系単量体成分(m1)を重合して得られたもの。
(β1)架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)を含む溶液中にてビニル系単量体成分(m1)を重合して得られたもの。
(β2)架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)を含む水性分散体中にてビニル系単量体成分(m1)を重合して得られたもの。
(γ)ポリオルガノシロキサン(Ea)を含むゴム状重合体(E)(好ましくは、ポリオルガノシロキサン(Ea)およびポリ(メタ)アクリル酸エステル(Eb)からなる複合ゴム状重合体(E1))の存在下にビニル系単量体成分(m2)を重合して得られたもの。
(δ)ビニル系単量体成分(m3)を重合して得られたもの。
(ε)ビニル系単量体成分(m4)を重合して得られたもの。
以下、各成分((A)〜(H)、(m1)〜(m4)等)について説明する。
本発明においては、成形品が優れた耐衝撃性を発現するために、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)を用いることが重要である。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、エチレンと炭素数が3以上のα−オレフィンとを公知の重合方法によって共重合することによって得られた、エチレン単位とα−オレフィン単位とからなる共重合体である。
チーグラー・ナッタ触媒としては、遷移金属(チタン、バナジウム、ジルコニウム、ハフニウム等)のハロゲン化物と有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物等とを組み合わせた触媒が挙げられる。
オレフィン樹脂水性分散体(B)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)を水性媒体に分散させたものである。
乳化剤の添加量は、得られる熱可塑性樹脂組成物の熱着色を抑制でき、オレフィン樹脂水性分散体(B)の粒子径制御が容易である点から、乳化剤としてオレイン酸カリウムを用いる場合、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)100質量部に対して1〜8質量部が好ましい。
酸変性オレフィン重合体の添加量は、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)100質量部に対して、1〜40質量部が好ましい。酸変性オレフィン重合体の添加量が前記範囲内であれば、成形品の耐傷付き性と耐衝撃性のバランスがさらに優れる。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)と酸変性オレフィン重合体との混合方法は、限定されない。混合方法としては、ニーダー、バンバリーミキサー、多軸スクリュー押出機等を用いた溶融混練法等が挙げられる。
オレフィン樹脂水性分散体(B)中のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の体積平均粒子径を制御する方法としては、乳化剤の種類または使用量、酸変性オレフィン重合体の種類または含有量、混練時に加えるせん断力、温度条件等を調整する方法が挙げられる。
架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)を架橋処理したものである。
架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)のゲル含有率は、成形品の耐擦り傷性、耐衝撃性、発色性とのバランスの点から、35〜75質量%が好ましく、40〜70質量%がより好ましく、45〜65質量%が特に好ましい。
有機過酸化物および多官能性化合物の添加量、加熱温度、加熱時間等を調整することによって、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)のゲル含有率を調整できる。
加熱温度は、有機過酸化物の種類によって異なる。加熱温度は、有機過酸化物の10時間半減期温度の−5℃〜+30℃が好ましい。
加熱時間は、3〜15時間が好ましい。
オレフィン樹脂水性分散体(B)を有機過酸化物によって架橋処理した架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の水性分散体中の架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の体積平均粒子径は、オレフィン樹脂水性分散体(B)中のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の体積平均粒子径に対して変化はない。
ビニル系単量体成分(m1)は、少なくとも芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物を含む単量体成分である。
芳香族ビニル化合物の含有率は、ビニル系単量体成分(m1)100質量%中65〜82質量%が好ましく、73〜80質量%がより好ましく、75〜80質量%がさらに好ましい。芳香族ビニル化合物の含有率が前記範囲内であれば、成形品の発色性、耐衝撃性がさらに優れる。
シアン化ビニル化合物の含有率は、ビニル系単量体成分(m1)100質量%中18〜35質量%が好ましく、20〜27質量%がより好ましく、20〜25質量%がさらに好ましい。シアン化ビニル化合物の含有率が前記範囲内であれば、成形品の発色性、耐衝撃性がさらに優れる。
他の単量体としては、アクリル酸エステル(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル等)、メタクリル酸エステル(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等)、マレイミド系化合物(N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等)等が挙げられる。他の単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
グラフト共重合体(D)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の存在下にビニル系単量体成分(m1)を重合することによって得られる。
有機過酸化物としては、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド等が挙げられる。
レドックス系開始剤としては、クメンヒドロペルオキシドと、硫酸第一鉄と、ピロリン酸ナトリウムと、デキストロースとからなるものがより好ましい。
連鎖移動剤の添加方法は、一括、分割、連続のいずれでもよい。
連鎖移動剤の添加量は、ビニル系単量体成分(m1)100質量部に対して2.0質量部以下が好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸スルホン酸塩、リン酸系塩、脂肪酸塩、アミノ酸誘導体塩等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、通常のポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル型等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アニオン部にカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩等を有し、カチオン部にアミン塩、第4級アンモニウム塩等を有するものが挙げられる。
乳化剤の添加量は、ビニル系単量体成分(m1)100質量部に対して10質量部以下が好ましい。
析出剤としては、例えば、硫酸、酢酸、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等の水溶液が挙げられる。析出剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
グラフト共重合体(D)を含む水性分散体に、必要に応じて酸化防止剤を添加してもよい。
ポリオルガノシロキサン(Ea)としては、成形品の耐衝撃性の点から、ビニル重合性官能基を有するポリオルガノシロキサン(Ea)が好ましく、ビニル重合性官能基を有するシロキサンに由来する単位0.3〜3モル%と、ジメチルシロキサンに由来する単位97〜99.7モル%とからなり、3個以上のシロキサン結合を有するケイ素原子がポリジメチルシロキサン(Ea)中の全ケイ素原子に対し1モル%以下であるポリオルガノシロキサン(Ea)がより好ましい。
ジメチルシロキサンとビニル重合性官能基を有するシロキサンとからなるシロキサン混合物に、必要に応じてシロキサン系架橋剤を添加し、乳化剤および水によって乳化させてシロキサン混合物水性分散体を得る。高速回転による剪断力で微粒子化するホモミキサー、高圧発生機による噴出力で微粒子化するホモジナイザー等を用いて、シロキサン混合物水性分散体を微粒子化させる。ホモジナイザー等の高圧乳化装置を用いると、ポリオルガノシロキサン(Ea)の粒子径の分布が小さくなるため好ましい。微粒子化したシロキサン混合物水性分散体を、酸触媒を含む酸水溶液中に添加して高温下で重合させる。反応液を冷却し、アルカリ性物質(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等)で中和することによって重合を停止させて、ポリオルガノシロキサン(Ea)の水性分散体を得る。
水性分散体中のポリオルガノシロキサン(Ea)の体積平均粒子径を制御する方法としては、例えば、特開平5−279434号公報に記載された方法を採用できる。
ポリ(メタ)アクリル酸エステル(Eb)は、(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、架橋剤に由来する単位およびグラフト交叉剤に由来する単位のいずれか一方または両方と有する共重合体である。
架橋剤としては、ジメタクリレート系化合物、具体例には、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
グラフト交叉剤としては、アリル化合物、具体的には、メタクリル酸アリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル等が挙げられる。
ゴム状重合体(E)は、ポリオルガノシロキサン(Ea)を含むものである。
ゴム状重合体(E)としては、ポリオルガノシロキサン(Ea)のみからなるゴム状重合体、ポリオルガノシロキサン(Ea)およびポリオルガノシロキサン(Ea)以外の他の重合体からなる複合ゴム状重合体等が挙げられる。
ゴム状重合体(E)は、本発明の効果が十分に得られる点から、ポリオルガノシロキサン(Ea)およびポリ(メタ)アクリル酸エステル(Eb)からなる複合ゴム状重合体(E1)であることが好ましい。
水性分散体中のゴム状重合体(E)および複合ゴム状重合体(E1)の体積平均粒子径を制御する方法としては、乳化剤の種類または使用量を調整する方法等が挙げられる。
ビニル系単量体成分(m2)は、任意のビニル系単量体を含む単量体成分である。ビニル系単量体としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、これらと共重合可能な他の単量体が挙げられる。
ビニル系単量体成分(m2)は、本発明の効果が十分に得られる点から、少なくとも芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物を含む単量体成分であることが好ましい。
芳香族ビニル化合物の含有率は、ビニル系単量体成分(m2)100質量%中65〜82質量%が好ましく、73〜80質量%がより好ましく、75〜80質量%がさらに好ましい。芳香族ビニル化合物の含有率が前記範囲内であれば、成形品の発色性、耐衝撃性がさらに優れる。
シアン化ビニル化合物の含有率は、ビニル系単量体成分(m2)100質量%中18〜35質量%が好ましく、20〜27質量%がより好ましく、20〜25質量%がさらに好ましい。シアン化ビニル化合物の含有率が前記範囲内であれば、成形品の発色性、耐衝撃性がさらに優れる。
他の単量体としては、例えば、メタクリル酸エステル(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ペンジル、メタクリル酸フェニル等)、マレイミド系化合物(N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−i−プロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−i−ブチルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミド、N−シクロアルキルマレイミド(N−シクロヘキシルマレイミド等)、N−アリールマレイミド(N−フェニルマレイミド、N−アルキル置換フェニルマレイミド、N−クロロフェニルマレイミド等)、N−アラルキルマレイミド等)、アクリル酸エステル(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル等)等が挙げられる。他の単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
グラフト共重合体(F)は、ゴム状重合体(E)の存在下にビニル系単量体(m2)を重合することによって得られる。
ビニル系単量体成分(m3)は、少なくともメタクリル酸エステルを必須成分として含み、マレイミド系化合物、芳香族ビニル化合物、アクリル酸エステル、およびメタクリル酸エステルと共重合可能な他のビニル系単量体を任意成分として含む単量体成分である。
メタクリル酸エステルの含有率が50〜94質量%、マレイミド系化合物の含有率が5〜49質量%、芳香族ビニル化合物の含有率が1〜45質量%の範囲内であれば、成形品の耐引っ掻き傷性、発色性、耐衝撃性、耐熱性がさらに優れる。
メタクリル酸エステル樹脂(G)は、ビニル系単量体成分(m3)を重合することによって得られる。
重合方法は、限定されない。重合方法としては、公知の重合方法(乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法等)が挙げられる。
乳化剤としては、通常の乳化重合用乳化剤(ロジン酸カリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等)が挙げられる。
重合開始剤としては、有機、無機の過酸化物系開始剤が挙げられる。
連鎖移動剤としては、メルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー、テルペン類等が挙げられる。
析出法としては、水性分散体からグラフト共重合体(D)を回収するときと同様の方法を採用できる。
懸濁剤としては、トリカルシウムフォスファイト、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
懸濁助剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
重合開始剤としては、有機ペルオキシド類が挙げられる。
連鎖移動剤としては、メルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー、テルペン類等が挙げられる。
ビニル系単量体成分(m4)は、少なくとも芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物を含む単量体成分である。
芳香族ビニル化合物の含有率は、ビニル系単量体成分(m4)100質量%中15〜95質量%が好ましい。芳香族ビニル化合物の含有率が前記範囲内であれば、成形品の耐衝撃性がさらに向上する。
シアン化ビニル化合物の含有率は、ビニル系単量体成分(m4)100質量%中5〜85質量%が好ましい。シアン化ビニル化合物の含有率が前記範囲内であれば、成形品の耐衝撃性がさらに向上する。
メタクリル酸エステル、マレイミド系化合物としては、ビニル系単量体成分(m3)において例示したものが挙げられる。
スチレン系共重合体(H)は、芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体成分(m4)を重合して得られる。
他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアリレート、液晶ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、ポリアミド(ナイロン)等が挙げられる。
各種添加剤としては、酸化防止剤、滑剤、加工助剤、顔料、充填剤、シリコーンオイル、パラフィンオイル等が挙げられる。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の割合は、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)およびゴム状重合体(E)の合計(100質量%)のうち、15〜85質量%であり、30〜70質量%が好ましい。
ゴム状重合体(E)の割合は、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)およびゴム状重合体(E)の合計(100質量%)のうち、85〜15質量%であり、30〜70質量%が好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の割合およびゴム状重合体(E)の割合が前記範囲内であれば、少ないゴム含有量で耐衝撃性を発現することができ、さらに、耐傷付き性、発色性、潤滑性にも優れる。
熱可塑性樹脂組成物中のグラフト共重合体(D)に含まれるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の体積平均粒子径は、0.2〜0.6μmであり、0.3〜0.5μmが好ましい。体積平均粒子径が0.2μmよりも小さい場合には、成形品の耐衝撃性、潤滑性が劣る。体積平均粒子径が0.6μmよりも大きい場合には、成形品の耐衝撃性、発色性、潤滑性が劣る。エチレン・α−オレフィン共重合体(A)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の体積平均粒子径が0.3μm〜0.5μmであれば、成形品の耐衝撃性、発色性がさらに優れる。
水性分散体に分散しているエチレン・α−オレフィン共重合体(A)や架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の体積平均粒子径が、そのまま熱可塑性樹脂組成物中のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)や架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の体積平均粒子径を示すことを、電子顕微鏡写真の画像処理によって確認している。
水性分散体に分散しているゴム状重合体(E)の体積平均粒子径が、そのまま熱可塑性樹脂組成物中のゴム状重合体(E)の体積平均粒子径を示すことを、電子顕微鏡写真の画像処理によって確認している。
熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(D)とグラフト共重合体(F)とメタクリル酸エステル樹脂(G)とスチレン系共重合体(H)とを混合することにより得られる。
以上説明した本発明の熱可塑性樹脂組成物にあっては、質量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)が特定の範囲内にあるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)または該エチレン・α−オレフィン共重合体(A)を架橋処理した架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の存在下にビニル系単量体成分(m1)を重合して得られたグラフト共重合体(D)と;ポリオルガノシロキサン(Ea)とポリ(メタ)アクリル酸エステル(Eb)とからなるゴム状重合体(E)の存在下にビニル系単量体成分(m2)を重合して得られたグラフト共重合体(F)と;メタクリル酸エステル樹脂(G)とを含み;熱可塑性樹脂組成物中のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)とゴム状重合体(E)とが特定の体積平均粒子径であり;熱可塑性樹脂組成物中のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)とゴム状重合体(E)とが特定の割合であるため、流動性が良好であり、また、耐傷付き性、発色性、耐衝撃性、潤滑性に優れる成形品を得ることができる。また、成形品に耐熱性を付与しても、耐衝撃性を損なうことがない。
本発明の成形品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を公知の成形方法によって成形加工して得られる。
成形方法としては、例えば、射出成形法、プレス成形法、押出成形法、真空成形法、ブロー成形法等が挙げられる。
成形品の用途としては、車輌内外装部品、車輌外装部品、事務機器、家電、建材等が挙げられる。
以下に記載の「%」は「質量%」、「部」は「質量部」を意味する。
以下の実施例および比較例における各種測定および評価方法は、以下の通りである。
GPC(GPC:Waters社製「GPC/V2000」、カラム:昭和電工社製「Shodex AT−G+AT−806MS」)を用い、o−ジクロロベンゼン(145℃)を溶媒として、ポリスチレン換算での質量平均分子量(Mw)、数平均分子量分子量(Mn)を測定し、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
JIS K 2501に準拠して酸価を測定した。
マイクロトラック(日機装社製「ナノトラック150」)を用い、測定溶媒として純水を用いて体積平均粒子径(MV)を測定した。
なお、オレフィン樹脂水性分散体(B)に分散しているエチレン・α−オレフィン共重合体(A)や、水性分散体に分散している架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)や、水性分散体に分散しているゴム状重合体(E)の体積平均粒子径が、そのまま熱可塑性樹脂組成物中のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)や架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)やゴム状重合体(E)の体積平均粒子径を示すことを、電子顕微鏡の画像解析によって確認している。
架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の水性または溶媒分散体を希硫酸にて凝固させ、水洗、乾燥して得られる凝固粉試料[D1]0.5gを、200mL、110℃のトルエン中に5時間浸漬し、次いで、200メッシュ金網にて濾過し、残渣を乾燥し、その乾燥物[D2]の質量を測定し、下記式(1)から、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)のゲル含有率を求めた。
ゲル含有率(%)=乾燥物質量[D2](g)/凝固粉試料質量[D1](g)×100 ・・・(1)
グラフト共重合体(D)1gを80mLのアセトンに添加し、65〜70℃にて3時間加熱還流し、得られた懸濁アセトン溶液を遠心分離機(日立工機社製「CR21E」)にて14,000rpm、30分間遠心分離して、沈殿成分(アセトン不溶成分)とアセトン溶液(アセトン可溶成分)を分取した。そして、沈殿成分(アセトン不溶成分)を乾燥させてその質量(Y(g))を測定し、下記式(2)からグラフト率を算出した。なお、式(2)におけるYは、グラフト共重合体(D)のアセトン不溶成分の質量(g)、Xは、Yを求める際に用いたグラフト共重合体(D)の全質量(g)、ゴム分率は、グラフト共重合体(D)のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の固形分の含有割合である。
グラフト率(%)={(Y−X×ゴム分率)/X×ゴム分率}×100 ・・・(2)
表24〜表35に示す配合でグラフト共重合体(D)、グラフト共重合体(F)、メタクリル酸エステル樹脂(G)、必要に応じて他の成分を混合し、30mmφの真空ベント付き2軸押出機(池貝社製「PCM30」)で、シリンダー温度200〜260℃、93.325kPa真空にて溶融混練を行い、熱可塑性樹脂組成物を得た。また、必要に応じて溶融混練後に、ペレタイザー(創研社製「SH型ペレタイザー」)を用いてペレット化を行った。
熱可塑性樹脂組成物について、ISO 1133規格にしたがいMVRを測定した。なお、MVRは熱可塑性樹脂組成物の流動性の目安となる。
溶融混練して得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを射出成形機(東芝機械社製「IS55FP−1.5A」)によってシリンダー温度200〜260℃、金型温度60℃の条件で、シャルピー衝撃試験用の試験片、2mm厚の平板(10cm×10cm)を得た。また、射出成形機(住友重機工業製「SG150−SYCAPM IV」)によってシリンダー温度200〜260℃、金型温度60℃の条件で潤滑性の評価の試験片を得た。
試験片について、ISO 179規格にしたがい、23℃の条件でシャルピー衝撃試験(ノッチ付)を行い、シャルピー衝撃強度を測定した。
ISO試験法75規格に準拠し、1.83MPa、4mm、フラットワイズ法で荷重たわみ温度(℃)を測定した。
熱可塑性樹脂組成物100部に対して、カーボンブラック0.8部を混合して着色し、射出成形にて100×100mm(厚さ2mm)の黒着色板(成形品(Ma))を得た。成形品(Ma)について、分光測色計(コニカミノルタオプティプス社製「CM−3500d」)を用いて明度L*を、SCE方式にて測定した。こうして測定されたL*を「L*(ma)」とする。L*が低いほど黒色となり、発色性が良好である。
鉛筆硬度試験機を用い、750gの荷重で、3Hの硬度の鉛筆を成形品(Ma)の表面に押しつけ、その状態で成形品(Ma)を5cmほど移動させることによって、成形品(Ma)の表面を鉛筆で引っ掻き、成形品(Ma)に傷を付けた。傷を付けた成形品(Mb)の表面の明度L*を、分光測色計を用いて、SCE方式にて測定した。こうして測定されたL*を「L*(mb)」とする。
成形品(Mb)の傷の目立ちやすさの判定指標ΔL*を下記式(3)から算出した。ΔL*(mb−ma)の絶対値が大きいほど傷が目立ちやすい。
ΔL*(mb−ma)=L*(mb)−L*(ma) ・・・(3)
ΔL*(mb−ma)の絶対値が3.0超〜7.0以下のとき、傷は目立ちにくく、成形品の意匠性を損なわない。
ΔL*(mb−ma)の絶対値が7.0超のとき、傷が目立ち、成形品の意匠性を損なう。
成形品(Ma)の傷の入りやすさの判定指標として、形状測定レーザーマイクロスコープ(キーエンス社製「VK−9700」)にて、成形品(Mb)の10点平均粗さ(Rz jis)を測定した。Rz jisの値が大きいほど傷が入りやすい。
図1に示すように、先端部11が半球形に形成された棒状の治具10を用意し、先端部11に、ガーゼを8枚重ねた積層シート12を被せた。成形品(Ma)13の表面に対して、棒状の治具10が直角になるように、積層シート12が被せられた先端部11を接触させ、先端部11を成形品(Ma)13の表面において水平方向(図中矢印方向)に摺動させ、100回往復させた。その際、加える荷重は1kgとした。100回往復させた後、傷を付けた成形品(Mc)の表面の明度L*を、分光測色計を用いて、SCE方式にて測定した。こうして測定されたL*を「L*(mc)」とする。
成形品(Mc)の傷の目立ちやすさの判定指標ΔL*を下記式(4)から算出した。ΔL*(mc−ma)の絶対値が大きいほど傷が目立ちやすい。
ΔL*(mc−ma)=L*(mc)−L*(ma)・・・(4)
ΔL*(mc−ma)の絶対値が3.0超〜7.0以下のとき、傷は目立ちにくく、成形品の意匠性を損なわない。
ΔL*(mc―ma)の絶対値が7.0超のとき、傷が目立ち、成形品の意匠性を損なう。
成形品(Ma)の傷の入りやすさの判定指標として、形状測定レーザーマイクロスコープ(キーエンス社製、VK−9700)にて、成形品(Mc)の10点平均粗さ(Rz jis)を測定した。Rz jisの値が大きいほど傷が入りやすい。
図2に示すリブ構造21aを有する試験片21および平面部分を有する試験片22を用い、荷重500gまたは1kgをかけながら往復運動を行ったときに、きしみ音が発生するか否かを調べ、下記基準で評価した。△以上を潤滑性があるとした。
◎:荷重500gと1kgのいずれでもきしみ音が発生しない。
○:荷重1kgの場合は小さなきしみ音が発生するが、500gの場合は発生しない。
△:荷重500gと1kgのいずれでも小さなきしみ音がする。
×:荷重500gと1kgのいずれでもきしみ音が発生する。
図2に示すリブ構造21aを有する試験片21および平面部分を有する試験片22を60℃にて10日間アニールした後、試験片21および試験片22の表面をイソプロピルアルコールで脱脂することによってブリード成分を取り除いた。脱脂後のきしみ音の発生を、前記方法と同様にして調べ、下記基準で評価した。△以上を潤滑性の永続性があるとした。
◎:荷重500gと1kgのいずれでもきしみ音が発生しない。
○:荷重1kgの場合は小さなきしみ音が発生するが、500gの場合は発生しない。
△:荷重500gと1kgのいずれでも小さなきしみ音がする。
×:荷重500gと1kgのいずれでもきしみ音が発生する。
以下の例では、下記のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)、オレフィン樹脂水性分散体成分(B)、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)、グラフト共重合体(D)、ポリオルガノシロキサン(Ea)、ゴム状重合体(E)、グラフト共重合体(F)、メタクリル酸エステル樹脂(G)、スチレン系共重合体(H)を用いた。
(エチレン・プロピレン共重合体(A−1)の調製)
20L撹拌機付きステンレス重合槽を十分に窒素置換した後に、脱水精製したヘキサン10Lを添加し、8.0mmol/Lに調製したエチルアルミニウムセスキクロリド(Al(C2H5)1.5・Cl1.5)のヘキサン溶液を、5L/hの量で連続的に1時間供給した後、さらに触媒として0.8mmol/Lに調整したVO(OC2H5)Cl2のヘキサン溶液を5L/hの量で、ヘキサンを5L/hの量で連続的に供給した。一方、重合槽上部から、重合槽内の重合液が常に10Lになるように重合液を連続的に抜き出した。バブリング管を用いてエチレンを2000L/hの量で、プロピレンを1000L/hの量で、水素を8L/hの量で供給し、重合反応を35℃で行った。
前記条件で重合反応を行い、エチレン・プロピレン共重合体(A−1)を含む重合溶液を得た。得られた重合溶液を、塩酸で脱灰した後に、メタノールに投入して析出させた後、乾燥させ、エチレン・プロピレン共重合体(A−1)を得た。エチレン・プロピレン共重合体(A−1)のポリマーの性状を表1に示す。
表1に示すように水素の供給量を変更した以外は、エチレン・プロピレン共重合体(A−1)と同様にして、エチレン・プロピレン共重合体(A−2)〜(A−5)を得た。エチレン・プロピレン共重合体(A−2)〜(A−5)のポリマーの性状を表1に示す。
20L撹拌機付きステンレス重合槽を十分に窒素置換した後に、脱水精製したヘキサン10Lを添加し、プロピレン110L(標準状態)、水素800mLを添加した。40℃まで加熱した後に、全圧が0.6MPa[gage]となるようにエチレンで加圧した。内圧が0.6MPa[gage]になったところで、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)の1.0mM/mLヘキサン溶液10mLを窒素で圧入した。あらかじめ調製しておいた、トリフェニルカルベニウム(テトラキスペンタフルオロフェニル)ボレートをホウ素換算で0.16mM、[ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シラン]チタンクロリドを0.0004mMの量で含むトルエン溶液30mLを、窒素で圧入し重合を開始した。その後、5分間、40℃になるように温度調整し、かつ圧力が0.6MPa[gage]となるようにエチレンの供給を行なった。重合開始5分後、メタノール50mLを挿入して重合を停止し、大気圧まで脱圧し、エチレン・プロピレン共重合体(A−6)を含む重合溶液を得た。得られた重合溶液は、塩酸で脱灰した後に、メタノールに投入して析出させた後、乾燥させ、エチレン・プロピレン共重合体(A−6)を得た。エチレン・プロピレン共重合体(A−6)のポリマーの性状を表2に示す。
エチレン・プロピレン共重合体(A−1)20部とエチレン・プロピレン共重合体(A−6)80部とを混合し、30mmφの真空ベント付き2軸押出機(池貝社製、「PCM30」)で200℃、93.325kPa真空にて溶融混練し、エチレン・プロピレン共重合体(A−7)を調製した。エチレン・プロピレン共重合体(A−7)のポリマーの性状を表2に示す。
触媒としてVO(OC2H5)Cl2に代えてVCl4を用いた以外はエチレン・プロピレン共重合体(A−1)と同様にして、エチレン・プロピレン共重合体(A−11)を得た。エチレン・プロピレン共重合体(A−11)のポリマーの性状を表1に示す。
エチレン・プロピレン共重合体(A−1)75部とエチレン・プロピレン共重合体(A−11)25部とを混合し、30mmφの真空ベント付き2軸押出機(池貝社製、「PCM30」)で200℃、93.325kPa真空にて溶融混練し、エチレン・プロピレン共重合体(A−8)を調製した。エチレン・プロピレン共重合体(A−8)のポリマーの性状を表2に示す。
エチレン・プロピレン共重合体(A−1)50部とエチレン・プロピレン共重合体(A−11)50部とを混合し、30mmφの真空ベント付き2軸押出機(池貝社製、「PCM30」)で200℃、93.325kPa真空にて溶融混練し、エチレン・プロピレン共重合体(A−9)を調製した。エチレン・プロピレン共重合体(A−9)のポリマーの性状を表2に示す。
エチレン・プロピレン共重合体(A−1)20部とエチレン・プロピレン共重合体(A−11)80部とを混合し、30mmφの真空ベント付き2軸押出機(池貝社製、「PCM30」)で200℃、93.325kPa真空にて溶融混練し、エチレン・プロピレン共重合体(A−10)を調製した。エチレン・プロピレン共重合体(A−10)のポリマーの性状を表2に示す。
表3に示すように水素の供給量を変更した以外は、エチレン・プロピレン共重合体(A−1)と同様にして、エチレン・プロピレン共重合体(A−12)、(A−13)を得た。エチレン・プロピレン共重合体(A−12)、(A−13)のポリマーの性状を表3に示す。
(オレフィン樹脂水性分散体(B−1)の調製)
エチレン・プロピレン共重合体(A−1)100部と、酸変性オレフィン重合体として無水マレイン酸変性ポリエチレン(三井化学社製、「三井ハイワックス 2203A」、質量平均分子量:2,700、酸価:30mg/g)20部と、アニオン系乳化剤としてオレイン酸カリウム5部とを混合した。
この混合物を2軸スクリュー押出機(池貝社製、「PCM30」、L/D=40)のホッパーから4kg/hで供給し、該2軸スクリュー押出機のベント部に設けた供給口より、水酸化カリウム0.5部とイオン交換水2.4部を混合した水溶液を連続的に供給しながら、220℃に加熱して溶融混練して押出した。溶融混練物を2軸スクリュー押出機の先端に取り付けた冷却装置に連続的に供給し、90℃まで冷却した。そして、2軸スクリュー押出機先端より吐出させた固体を、80℃の温水中に投入し、連続的に分散させて、固形分濃度40質量%付近まで希釈して、オレフィン樹脂水性分散体(B−1)を得た。オレフィン樹脂水性分散体(B−1)に分散しているエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の体積平均粒子径を表4に示す。
表4、表5に示すように、A成分として(A−1)を(A−2)〜(A−11)へ変更した以外は、オレフィン樹脂水性分散体(B−1)と同様にして、オレフィン樹脂水性分散体(B−2)〜(B−11)を得た。
各オレフィン樹脂水性分散体(B−2)〜(B−11)に分散しているエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の体積平均粒子径を表4、表5に示す。
表5に示すように、乳化する際の水酸化カリウムの添加部数、イオン交換水の添加部数を変更した以外は、オレフィン樹脂水性分散体(B−1)と同様にして、オレフィン樹脂水性分散体(B−12)〜(B−17)を得た。
各オレフィン樹脂水性分散体(B−12)〜(B−17)に分散しているエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の体積平均粒子径を表5に示す。
表6に示すように、A成分として(A−1)を(A−12)、(A−13)へ変更した以外は、オレフィン樹脂水性分散体(B−1)と同様にして、オレフィン樹脂水性分散体(B−18)、(B−19)を得た。
各オレフィン樹脂水性分散体(B−18)、(B−19)に分散しているエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の体積平均粒子径を表6に示す。
(架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C−1)の調製)
オレフィン樹脂水性分散体(B−1)(固形分として100部)に固形分濃度が35%になるようにイオン交換水を加え、有機過酸化物としてt−ブチルクミルペルオキシド0.5部、多官能性化合物としてジビニルベンゼン1部を添加し、130℃で5時間反応させて、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C−1)を調製した。架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C−1)のゲル含有率、体積平均粒子径を表7に示す。
表7、表8に示すようにオレフィン樹脂水性分散体(B)の種類とt−ブチルクミルペルオキシドの添加量を変更した以外は、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C−1)と同様にして、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C−2)〜(C−14)を得た。架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C−2)〜(C−14)のゲル含有率、体積平均粒子径を表7、表8に示す。
表9、表10に示すようにオレフィン樹脂水性分散体(B)の種類とt−ブチルクミルペルオキシドの添加量を変更した以外は、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C−1)と同様にして、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C−15)〜(C−24)を得た。架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C−15)〜(C−24)のゲル含有率、体積平均粒子径を表9、表10に示す。
(グラフト共重合体(D−1)の調製)
撹拌機付きステンレス重合槽に、オレフィン樹脂水性分散体(B−1)(エチレン・プロピレン共重合体(A−1)の固形分として70部)を入れ、オレフィン樹脂水性分散体(B−1)に固形分濃度が30%になるようにイオン交換水を加え、硫酸第一鉄0.006部、ピロリン酸ナトリウム0.3部およびフラクトース0.35部を仕込み、温度を80℃とした。スチレン23.4部、アクリロニトリル6.6部およびクメンヒドロペルオキシド0.6部を150分間連続的に添加し、重合温度を80℃に保ち乳化重合を行った。重合後、グラフト共重合体(D−1)を含む水性分散体に酸化防止剤を添加し、硫酸にて固形分の析出を行い、洗浄、脱水、乾燥の工程を経て、粉状のグラフト共重合体(D−1)を得た。グラフト共重合体(D−1)のグラフト率を測定したところ30%であった。結果を表11に示す。
表11〜表14に示すようにオレフィン樹脂水性分散体(B)の種類を変更した以外は、グラフト共重合体(D−1)と同様にして、グラフト共重合体(D−2)〜(D−17)を得た。グラフト共重合体(D−2)〜(D−17)のグラフト率を表11〜表14に示す。
表15〜表17に示すようにオレフィン樹脂水性分散体(B)を、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)を含む水性分散体に変更した以外は、グラフト共重合体(D−1)と同様にして、グラフト共重合体(D−18)〜(D−23)および(D−25)〜(D−32)を得た。グラフト共重合体(D−18)〜(D−23)および(D−25)〜(D−32)のグラフト率を表15〜表17に示す。
撹拌機付きステンレス重合槽に、エチレン・プロピレン共重合体(A−1)70部、トルエン300部を仕込み、内容物を70℃で1時間撹拌して均一に溶解した。十分に窒素置換を行った後、スチレン23.4部、アクリロニトリル6.6部、t−ドデシルメルカプタン0.24部、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート0.22部を添加し、内温を110℃まで昇温し、4時間反応させた。内温を120℃に昇温し、2時間反応させた。重合後、内温を100℃まで冷却し、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)−プロピオネート0.2部を添加した。反応混合物を抜き出し、水蒸気蒸留によって未反応物と溶媒を留去した。30mmφの真空ベント付き2軸押出機(池貝社製、「PCM30」)で220℃、93.325kPa真空にて、揮発分を実質的に脱揮させ、ペレット化し、グラフト共重合体(D−15)を得た。グラフト共重合体(D−24)のグラフト率を測定したところ26%であった。電子顕微鏡により、熱可塑性樹脂組成物中のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の体積平均粒子径を確認したところ、0.39μmであった。結果を表16に示す。
表18に示すようにオレフィン樹脂水性分散体(B)の種類を変更した以外は、グラフト共重合体(D−1)と同様にして、グラフト共重合体(D−33)、(D−34)を得た。グラフト共重合体(D−33)、(D−34)のグラフト率を表18に示す。
表18〜表20に示すようにオレフィン樹脂水性分散体(B)を、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)を含む水性分散体に変更した以外は、グラフト共重合体(D−1)と同様にして、グラフト共重合体(D−35)〜(D−44)を得た。グラフト共重合体(D−35)〜(D−44)のグラフト率を表18〜表20に示す。
(ポリオルガノシロキサン(Ea−1)の調製)
オクタメチルテトラシクロシロキサン96部、γ−メタクリルオキシプロピルジメトキシメチルシラン2部およびエチルオルソシリケート2部を混合してシロキサン系混合物100部を得た。これにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.67部を溶解したイオン交換水300部を添加し、ホモミキサーにて10000回転で2分間撹拌した後、ホモジナイザーに30MPaの圧力で1回通し、安定な予備混合オルガノシロキサン水性分散体を得た。
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱器および撹拌装置を備えた反応器内に、ドデシルベンゼンスルホン酸2部、イオン交換水98部を注入し、2%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液を調製した。この水溶液を85℃に加熱した状態で、予備混合オルガノシロキサン水性分散体を4時間にわたって滴下し、滴下終了後1時間温度を維持し、冷却した。この反応液を室温で48時間放置した後、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、ポリオルガノシロキサン(Ea−1)の水性分散体を得た。ポリオルガノシロキサン(Ea−1)水性分散体の一部を170℃で30分間乾燥して固形分濃度を求めたところ、17.3%であった。また、水性分散体に分散しているポリオルガノシロキサン(Ea−1)の体積平均粒子径は0.05μmであった。
オクタメチルテトラシクロシロキサン96部、γ−メタクリルオキシプロピルジメトキシメチルシラン2部およびエチルオルソシリケート2部を混合してシロキサン系混合物100部を得た。これにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム10部を溶解したイオン交換水300部を添加し、ホモミキサーにて10000回転で2分間撹拌した後、ホモジナイザーに30MPaの圧力で1回通し、安定な予備混合オルガノシロキサン水性分散体を得た。
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱器および撹拌装置を備えた反応器内に、ドデシルベンゼンスルホン酸2部、イオン交換水98部を注入し、2%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液を調製した。この水溶液を85℃に加熱した状態で、予備混合オルガノシロキサン水性分散体を4時間にわたって滴下し、滴下終了後1時間温度を維持し、冷却した。この反応液を室温で48時間放置した後、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、ポリオルガノシロキサン(Ea−2)の水性分散体を得た。ポリオルガノシロキサン(Ea−2)水性分散体の一部を170℃で30分間乾燥して固形分濃度を求めたところ、17.3%であった。また、水性分散体に分散しているポリオルガノシロキサン(Ea−2)の体積平均粒子径は0.03μmであった。
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱器および撹拌装置を備えた反応器内に、ポリオルガノシロキサン(Ea−1)の水性分散体119.5部、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム0.8部を仕込み、イオン交換水203部を添加し、混合した。その後、アクリル酸n−ブチル53.2部、メタクリル酸アリル0.21部、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート0.11部およびt−ブチルヒドロペルオキシド0.13部からなる混合物を添加した。この反応器に窒素気流を通じることによって、雰囲気の窒素置換を行い、60℃まで昇温した。反応器の内部の温度が60℃になった時点で、硫酸第一鉄0.0001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0003部およびロンガリット0.24部をイオン交換水10部に溶解させた水溶液を添加し、ラジカル重合を開始させた。(メタ)アクリル酸エステル成分の重合により、液温は78℃まで上昇した。1時間この状態を維持し、(メタ)アクリル酸エステル成分の重合を完結させて、複合ゴム状重合体(E1−1)の水性分散体を得た。水性分散体に分散している複合ゴム状重合体(E1−1)の体積均粒子径は0.082μmであった。
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱器および撹拌装置を備えた反応器内に、ポリオルガノシロキサン(Ea−2)の水性分散体119.5部、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム0.94部を仕込み、イオン交換水203部を添加し、混合した。その後、アクリル酸n−ブチル53.2部、メタクリル酸アリル0.21部、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート0.11部およびt−ブチルヒドロペルオキシド0.13部からなる混合物を添加した。この反応器に窒素気流を通じることによって、雰囲気の窒素置換を行い、60℃まで昇温した。反応器の内部の温度が60℃になった時点で、硫酸第一鉄0.0001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0003部およびロンガリット0.24部をイオン交換水10部に溶解させた水溶液を添加し、ラジカル重合を開始させた。(メタ)アクリル酸エステル成分の重合により、液温は78℃まで上昇した。1時間この状態を維持し、(メタ)アクリル酸エステル成分の重合を完結させて、複合ゴム状重合体(E1−2)の水性分散体を得た。水性分散体に分散している複合ゴム状重合体(E1−2)の体積平均粒子径は0.037μmであった。
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱器および撹拌装置を備えた反応器内に、ポリオルガノシロキサン(Ea−2)の水性分散体119.5部、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム0.9部を仕込み、イオン交換水203部を添加し、混合した。その後、アクリル酸n−ブチル53.2部、メタクリル酸アリル0.21部、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート0.11部およびt−ブチルヒドロペルオキシド0.13部からなる混合物を添加した。この反応器に窒素気流を通じることによって、雰囲気の窒素置換を行い、60℃まで昇温した。反応器の内部の温度が60℃になった時点で、硫酸第一鉄0.0001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0003部およびロンガリット0.24部をイオン交換水10部に溶解させた水溶液を添加し、ラジカル重合を開始させた。(メタ)アクリル酸エステル成分の重合により、液温は78℃まで上昇した。1時間この状態を維持し、(メタ)アクリル酸エステル成分の重合を完結させて、複合ゴム状重合体(E1−3)の水性分散体を得た。水性分散体に分散している複合ゴム状重合体(E1−3)の体積平均粒子径は0.05μmであった。
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱器および撹拌装置を備えた反応器内に、ポリオルガノシロキサン(Ea−1)の水性分散体119.5部、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム0.51部を仕込み、イオン交換水203部を添加し、混合した。その後、アクリル酸n−ブチル53.2部、メタクリル酸アリル0.21部、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート0.11部およびt−ブチルヒドロペルオキシド0.13部からなる混合物を添加した。この反応器に窒素気流を通じることによって、雰囲気の窒素置換を行い、60℃まで昇温した。反応器の内部の温度が60℃になった時点で、硫酸第一鉄0.0001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0003部およびロンガリット0.24部をイオン交換水10部に溶解させた水溶液を添加し、ラジカル重合を開始させた。(メタ)アクリル酸エステル成分の重合により、液温は78℃まで上昇した。1時間この状態を維持し、(メタ)アクリル酸エステル成分の重合を完結させて、複合ゴム状重合体(E1−4)の水性分散体を得た。水性分散体に分散している複合ゴム状重合体(E1−4)の体積平均粒子径は0.18μmであった。
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱器および撹拌装置を備えた反応器内に、ポリオルガノシロキサン(Ea−1)の水性分散体119.5部、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム0.33部を仕込み、イオン交換水203部を添加し、混合した。その後、アクリル酸n−ブチル53.2部、メタクリル酸アリル0.21部、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート0.11部およびt−ブチルヒドロペルオキシド0.13部からなる混合物を添加した。この反応器に窒素気流を通じることによって、雰囲気の窒素置換を行い、60℃まで昇温した。反応器の内部の温度が60℃になった時点で、硫酸第一鉄0.0001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0003部およびロンガリット0.24部をイオン交換水10部に溶解させた水溶液を添加し、ラジカル重合を開始させた。(メタ)アクリル酸エステル成分の重合により、液温は78℃まで上昇した。1時間この状態を維持し、(メタ)アクリル酸エステル成分の重合を完結させて、複合ゴム状重合体(E1−5)の水性分散体を得た。水性分散体に分散している複合ゴム状重合体(E1−5)の体積平均粒子径は0.24μmであった。
(メタクリル酸エステル樹脂(G−1)の調製)
撹拌機付きステンレス重合槽にイオン交換水150部、メタクリル酸メチル99部、アクリル酸メチル1部、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.2部、n−オクチルメルカプタン0.25部、カルシウムヒドロオキシアパタイト0.47部、アルケニルコハク酸カリウム0.003部を仕込んだ。重合槽の内温を75℃にして3時間反応させ、90℃に昇温し1時間反応させた。内容物を抜き出し、遠心脱水機で洗浄し、乾燥させて粉状のメタクリル酸エステル樹脂(G−1)を得た。単量体を表21に示す。
撹拌機付きステンレス重合槽にイオン交換水150部、メタクリル酸メチル82部、N−フェニルマレイミド12部、スチレン6部、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.2部、n−オクチルメルカプタン0.25部、ポリビニルアルコール0.7部を仕込んだ。重合槽の内温を75℃にして3時間反応させ、90℃まで昇温し1時間反応させた。内容物を抜き出し、遠心脱水機で洗浄し、乾燥させて粉状のメタクリル酸エステル樹脂(G−2)を得た。単量体を表21に示す。
表21、表22に示すようにビニル系単量体成分(m3)の種類を変更した以外は、メタクリル酸エステル樹脂(G−2)と同様にして、メタクリル酸エステル樹脂(G−3)〜(G−11)を得た。
(スチレン系共重合体(H−1)の調製)
窒素置換した撹拌機付きステンレス重合槽に、イオン交換水120部、ポリビニルアルコール0.1部、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.3部、アクリロニトリル25部、スチレン75部、t−ドデシルメルカプタン0.35部を仕込み、開始温度60℃として5時間反応させた。120℃に昇温し、4時間反応させた。内容物を取り出し、スチレン系共重合体(H−1)を得た。
撹拌機付きステンレス重合槽に、イオン交換水150部、メタクリル酸メチル7部、アクリロニトリル23部、スチレン70部、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.2部、n−オクチルメルカプタン0.25部、カルシウムヒドロオキシアパタイト0.47部、アルケニルコハク酸カリウム0.003部を仕込み、内温を75℃まで昇温し、3時間反応させた。90℃まで昇温し、60分間保持することで反応を完結させた。内容物を取り出し、遠心脱水機での洗浄、脱水を繰り返し、乾燥させてスチレン系共重合体(H−2)を得た。
表23に示すようにビニル系単量体成分(m4)の量を変更した以外は、スチレン系共重合体(H−2)と同様にして、スチレン系共重合体(H−3)〜(H−5)を得た。
グラフト共重合体(D−1)10部、グラフト共重合体(F−1)14部、メタクリル酸エステル樹脂(G−1)76部を混合し、30mmφの真空ベント付き2軸押出機(池貝社製、「PCM30」)で240℃、93.325kPa真空にて溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物を調製した。熱可塑性樹脂組成物のMVRを表24に示す。
熱可塑性樹脂組成物をペレット化し、各種成形品を成形し、耐衝撃性、発色性、耐引っ掻き傷性、耐擦り傷性、耐熱性、潤滑性(きしみ音)を評価した。結果を表24に示す。
表24〜表32に示す配合処方に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を調製し、MVRを測定した。
熱可塑性樹脂組成物をペレット化し、各種成形品を成形し、耐衝撃性、発色性、耐引っ掻き傷性、耐擦り傷性、耐熱性、潤滑性(きしみ音)を評価した。結果を表24〜表32に示す。
表33〜表35に示す配合処方に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を調製し、MVRを測定した。
熱可塑性樹脂組成物をペレット化し、各種成形品を成形し、耐衝撃性、発色性、耐引っ掻き傷性、耐擦り傷性、耐熱性、潤滑性(きしみ音)を評価した。結果を表33〜表356に示す。
したがって、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、流動性が優れており、本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いると、潤滑性(きしみ音)、耐衝撃性、発色性、耐引っ掻き傷性、耐擦り傷性に優れた成形品が得られ、車輌内外装部品、車輌外装部品、事務機器、家電、建材等の用途に適用できることがわかる。
11 先端部
12 積層シート
13 成形品(Ma)
21 試験片
21a リブ構造
22 試験片
Claims (3)
- 質量平均分子量(Mw)が17×104〜35×104であり、分子量分布(Mw/Mn)が1〜3であるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)50〜80質量%または該エチレン・α−オレフィン共重合体(A)を架橋処理した架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)50〜80質量%の存在下に、芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体成分(m1)20〜50質量%(ただし、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)とビニル系単量体成分(m1)との合計は100質量%)を重合して得られたグラフト共重合体(D)と、
ポリオルガノシロキサン(Ea)を含むゴム状重合体(E)20〜80質量%の存在下に、芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体成分(m2)20〜80質量%(ただし、ゴム状重合体(E)とビニル系単量体成分(m2)との合計は100質量%)を重合して得られたグラフト共重合体(F)と、
メタクリル酸エステルを含むビニル系単量体成分(m3)を重合して得られたメタクリル酸エステル樹脂(G)と
を含み、
芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体成分(m4)を重合して得られたスチレン系共重合体(H)を含んでいてもよく、
熱可塑性樹脂組成物中のグラフト共重合体(D)に含まれるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の体積平均粒子径が、0.2μm〜0.6μmであり、
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)のエチレン単位の含有率が、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)を構成する全ての構成単位の合計を100質量%としたときに、45〜65質量%であり、
ビニル系単量体成分(m1)100質量%中、芳香族ビニル化合物の含有率が、65〜82質量%であり、シアン化ビニル化合物の含有率が、18〜35質量%であり、
グラフト共重合体(D)のグラフト率が、20〜100質量%であり、
熱可塑性樹脂組成物中のグラフト共重合体(F)に含まれるゴム状重合体(E)の体積平均粒子径が、0.05μm〜0.18μmであり、
ゴム状重合体(E)が、ポリオルガノシロキサン(Ea)およびポリ(メタ)アクリル酸エステル(Eb)からなる複合ゴム状重合体(E1)であり、複合ゴム状重合体(E1)中のポリオルガノシロキサン(Ea)の含有率が、1〜99質量%であり、
ビニル系単量体成分(m2)100質量%中、芳香族ビニル化合物の含有率が、65〜82質量%であり、シアン化ビニル化合物の含有率が、18〜35質量%であり、
ビニル系単量体成分(m3)100質量%中、メタクリル酸エステルの含有率が、50〜100質量%であり、
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)およびゴム状重合体(E)の合計(100質量%)のうち、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)または架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の割合が、15〜85質量%であり、ゴム状重合体(E)の割合が、85〜15質量%であり、
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)、架橋エチレン・α−オレフィン共重合体(C)およびゴム状重合体(E)の合計の含有量が、熱可塑性樹脂組成物100質量%中5〜30質量%であり、
グラフト共重合体(D)、グラフト共重合体(F)、メタクリル酸エステル樹脂(G)およびスチレン系共重合体(H)の合計100質量%中、グラフト共重合体(D)およびグラフト共重合体(F)の合計の含有量が、5〜40質量%であり、メタクリル酸エステル樹脂(G)の含有量が、95〜60質量%である、熱可塑性樹脂組成物。 - 前記グラフト共重合体(F)が、ポリオルガノシロキサン(Ea)、および(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、架橋剤に由来する単位およびグラフト交叉剤に由来する単位のいずれか一方または両方と有するポリ(メタ)アクリル酸エステル(Eb)からなる複合ゴム状重合体(E1)の存在下に、芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体成分(m2)を重合して得られたものである、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物を用いた成形品。
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