JP2001098135A - ビニル化合物変性エチレン系重合体組成物、該組成物からなる樹脂改質剤、熱可塑性重合体組成物および該組成物からなる成形体 - Google Patents

ビニル化合物変性エチレン系重合体組成物、該組成物からなる樹脂改質剤、熱可塑性重合体組成物および該組成物からなる成形体

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JP2001098135A
JP2001098135A JP27389199A JP27389199A JP2001098135A JP 2001098135 A JP2001098135 A JP 2001098135A JP 27389199 A JP27389199 A JP 27389199A JP 27389199 A JP27389199 A JP 27389199A JP 2001098135 A JP2001098135 A JP 2001098135A
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vinyl compound
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ethylene
polymer
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JP27389199A
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Ryoji Mori
亮二 森
Akira Todo
昭 藤堂
Koji Yoshii
浩二 吉井
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 本発明の組成物は、[I]極限粘度
[η]が0.01〜10dl/gの範囲にあり、エチレ
ン含量が35〜75モル%であり、かつDSC法により
結晶融解ピークが観測されないエチレン系重合体(A)
に、芳香族ビニル化合物等を、プラグフロー型反応槽に
おいてグラフト重合して得られるビニル化合物変性エチ
レン系重合体と、[II]密度が0.86〜0.96g/
cm3 のエチレン系重合体と、[III]ガラス転移温度
(Tg)が30℃以上である熱可塑性重合体とを特定割合で
含有してなり、樹脂改質剤として使用できる。本発明の
熱可塑性重合体組成物は、上記[I]から[III]と、
[IV]ガラス転移温度Tgが30℃未満の熱可塑性重
合体とを含んでなり、成形体として使用できる。 【効果】本発明によれば、剛性および表面硬度と、耐衝
撃性とのバランスに優れた成形体を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、ビニル化合物変性エチレ
ン系重合体組成物、該組成物からなる樹脂改質剤、熱可
塑性重合体組成物およびその成形体に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】ポリオレフィン、ポリエステル、
ポリアミド、ポリアセタールなどの熱可塑性樹脂は、優
れた加工性、耐薬品性、電気的性質、機械的性質などを
有しているため、射出成形品、中空成形品、フィルム、
シートなどに加工され、各種用途に用いられている。し
かしながら、用途によっては、剛性、耐衝撃性、耐熱
性、成形性などの物性バランスが充分とは云えない場合
がある。
【0003】このような熱可塑性重合体からなる成形体
の剛性、耐衝撃性、耐熱性、成形性などの物性バランス
を向上させる方法としては、たとえば熱可塑性重合体に
エチレン・α- オレフィン共重合体などの改質材をブレ
ンドして組成物とする方法が知られている。しかしなが
ら、従来の改質材では、用途によっては、剛性および表
面硬度と耐衝撃性とのバランスが充分とは言えない場合
がある。
【0004】このような熱可塑性重合体からなる成形体
の耐熱性、耐衝撃性、成形性などの物性バランスを向上
させる方法としては、たとえば熱可塑性重合体にエチレ
ン・α- オレフィン共重合体などの改質材をブレンドし
て組成物とする方法が知られている。しかしながら、従
来の改質材では、用途によっては、剛性および表面硬度
と耐衝撃性とのバランスが良くない場合があるため、さ
らなるバランスの向上をもたらすような樹脂改質剤が望
まれていた。
【0005】
【0006】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題を解決しようとするものであって、剛性および表面
硬度と耐衝撃性とのバランスに優れた成形体の製造を可
能にするビニル化合物変性オレフィン樹脂組成物、該組
成物からなる樹脂改質剤、該組成物を含む熱可塑性重合
体組成物およびその成形体を提供することを目的として
いる。
【0007】
〔発明の詳細な説明〕
【0008】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係るビニル化合物
変性エチレン系重合体組成物、熱可塑性重合体組成物お
よびその成形体について具体的に説明する。
【0009】ビニル化合物変性エチレン系重合体組成物 まず、本発明に係るビニル化合物変性エチレン系重合体
組成物を形成する各成分について説明する。本発明に係
るビニル化合物変性エチレン系重合体組成物は、[I]
ビニル化合物変性エチレン系重合体、[II]エチレン系
重合体、および[III]熱可塑性重合体とを含有してい
る。
【0010】[I]ビニル化合物変性エチレン系重合体 本発明で用いられる[I]ビニル化合物変性エチレン系
重合体は、エチレン系重合体(A)のビニル化合物
(B)によるグラフト変性物である。
【0011】エチレン系重合体(A) 本発明で用いられるエチレン系重合体(A)は、135
℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が、通常0.
01〜10dl/g、好ましくは0.05〜10dl/
g、より好ましくは1−5dl/gの範囲にあることが
望ましい。エチレン系重合体(A)の極限粘度[η]が
上記範囲内にあると、耐候性、耐オゾン性、耐熱老化
性、低温特性、耐動的疲労性などの特性に優れたビニル
化合物変性エチレン系重合体[I]が得られる。
【0012】このエチレン系重合体(A)は、GPCに
より測定した分子量分布(Mw/Mn、ポリスチレン換
算、Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)は、
4以下、好ましくは3.0以下であることが望ましい。
このエチレン系重合体(A)のMw/Mnが上記範囲に
あると、耐傷付き性、耐衝撃性が良好となるため好まし
い。
【0013】エチレン系重合体(A)としては、エチレ
ン含量が35〜75モル%、好ましくは35〜70モル
%、さらに好ましくは38〜70モル%の量であること
が望ましい。
【0014】本発明では、DSC法により結晶融解ピー
クが観測されないエチレン系重合体(A)が用いられ
る。ここに、「DSC法により結晶融解ピークが観測さ
れない」とは、吸熱曲線における最大ピークの融解熱量
が、0.7J/g以下であることを意味する。
【0015】本発明で用いられるエチレン系重合体
(A)は、エチレンと、炭素原子数3〜20のα- オレ
フィン、ジエンおよびトリエンの中から選ばれる1種以
上の成分とからなる共重合体が好ましい。
【0016】上記のような炭素原子数3〜20のα- オ
レフィンとしては、具体的には、プロピレン、1-ブテ
ン、1-ヘキセン、3-メチル-1- ペンテン、3-エチル-1-
ペンテン、4-メチル-1- ペンテン、1-オクテン、1-デセ
ン、1-ドデセン、1-エイコセンなどが挙げられる。中で
も、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-
ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-エイ
コセンが好ましく、特に1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチ
ル-1- ペンテン、1-オクテンが好ましく用いられる。
【0017】また、ジエンとしては、具体的には、1,4-
ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-ヘキサジエン、
1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエ
ン、1,7-オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニ
ルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、7-メチル-1,6
- オクタジエン、4-エチリデン-8- メチル-1,7- ノナジ
エン等の非共役ジエン;ブタジエン、イソプレン等の共
役ジエンが挙げられる。中でも、ノルボルネン骨格を有
するジエンが好ましい。
【0018】上記のようなジエンは、1種単独で、ある
いは2種以上組み合わせて用いることができる。トリエ
ンとしては、具体的には、6,10-ジメチル-1,5,9-ウンデ
カトリエン、4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン、5,9-
ジメチル-1,4,8-デカトリエン、6,9-ジメチル-1,5,8-デ
カトリエン、6,8,9-トリメチル-1,5,8-デカトリエン、6
-エチル-10-メチル-1,5,9-ウンデカトリエン、4-エチリ
デン-1,6,-オクタジエン、7-メチル-4-エチリデン-1,6-
オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン
(EMND)、7-メチル-4-エチリデン-1,6-ノナジエ
ン、7-エチル-4-エチリデン-1,6-ノナジエン、6,7-ジメ
チル-4-エチリデン-1,6-オクタジエン、6,7-ジメチル-4
-エチリデン-1,6-ノナジエン、4-エチリデン-1,6-デカ
ジエン、7-メチル-4-エチリデン-1,6-デカジエン、7-メ
チル-6-プロピル-4-エチリデン-1,6-オクタジエン、4-
エチリデン-1,7-ノナジエン、8-メチル-4-エチリデン-
1,7-ノナジエン、4-エチリデン-1,7-ウンデカンジエン
等の非共役トリエン;1,3,5-ヘキサトリエン等の共役ト
リエンが挙げられる。中でも、4,8-ジメチル-1,4,8-デ
カトリエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン
(EMND)が好ましい。
【0019】上記のようなトリエンは、1種単独で、あ
るいは2種以上組み合わせて用いることができる。ま
た、トリエンとジエンとを組み合わせて用いることもで
きる。これらポリエンの中では、特にノルボルネン骨格
を有するポリエンが好ましい。
【0020】(A)として上記のようなポリエンを用い
たエチレン系重合体を用いる場合のヨウ素価は、通常8
0以下、好ましくは5〜60である。本発明で用いられ
るエチレン系重合体(A)の例としては、エチレンと炭
素原子数3〜20のα- オレフィンの共重合体、エチレ
ンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとポリエンの
共重合体が挙げられる。特にエチレン・1-ブテン共重合
体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1-オク
テン共重合体などのエチレン・炭素数3以上のαオレフ
ィン共重合体を好ましく例示できる。上記のようなエチ
レン系重合体(A)は、ビニル化合物変性エチレン系重
合体[I]100重量%中に、好ましくは40重量%以
上、さらに好ましくは50〜95重量%、特に好ましく
は60〜90重量%の割合で含有している。
【0021】エチレン系重合体(A)の製造 本発明で好ましく用いられるエチレン系重合体(A)
は、たとえばエチレンと、炭素原子数3〜20のα- オ
レフィン、ジエンおよびトリエンの中から選ばれた少な
くとも1種の成分とを、下記に示すメタロセン系触媒の
存在下に共重合させることにより得られる。
【0022】このようなメタロセン系触媒としては、下
記式(I)、(II)で表わされる遷移金属錯体(a):
【0023】
【化1】
【0024】[式(I)、(II)中、Mは、Ti、Z
r、Hf、Rn、Nd、SmまたはRuであり、Cp1
およびCp2 は、Mとπ結合しているシクロペンタジエ
ニル基、インデニル基、フルオレニル基またはそれらの
誘導体基であり、X1 およびX2 は、アニオン性配位子
または中性ルイス塩基配位子であり、Yは、窒素原子、
酸素原子、リン原子、または硫黄原子を含有する配位子
であり、Zは、C、O、B、S、Ge、SiまたはSn
原子あるいはこれらの原子を含有する基である。]と、
下記成分(b)、(c)および(d)の中から選択され
る1種以上の化合物とからなる少なくとも1つの触媒系
が用いられる。 (b):成分(a)中の遷移金属Mと反応し、イオン性
の錯体を形成する化合物(イオン化イオン性化合物とも
言う。) (c):有機アルミニウム化合物 (d):アルモキサン。
【0025】まず本発明で用いられる下記式(I)で表
わされる遷移金属錯体(a)について説明する。<遷移
金属錯体(a)>
【0026】
【化2】
【0027】式(I)中、Mは、Ti、Zr、Hf、R
n、Nd、SmまたはRuであり、好ましくはTi、Z
rまたはHfであり、Cp1 およびCp2 は、Mとπ結
合しているシクロペンタジエニル基、インデニル基、フ
ルオレニル基またはそれらの誘導体基であり、X1 およ
びX2 は、アニオン性配位子または中性ルイス塩基配位
子であり、Zは、C、O、B、S、Ge、SiまたはS
n原子あるいはこれらの原子を含有する基である。
【0028】式(I)中、結合基Zは、特にC、O、
B、S、Ge、Si、Snから選ばれる1個の原子であ
ることが好ましく、この原子はアルキル基、アルコキシ
基などの置換基を有していてもよく、Zの置換基は、互
いに結合して環を形成していてもよい。これらのうちで
は、Zは、O、SiおよびCから選択されることが好ま
しい。
【0029】Cp1 、Cp2 は、遷移金属に配位する配
位子であり、シクロペンタジエニル基、インデニル基、
4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基な
どのシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、
このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は、アル
キル基、シクロアルキル基、トリアルキルシリル基、ハ
ロゲン原子などの置換基を有していてもよい。
【0030】X1 およびX2 は、アニオン性配位子また
は中性ルイス塩基配位子であり、具体的には、炭素原子
数が1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキ
シ基、スルホン酸含有基(−SO3 Ra、ただし、Ra
はアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、
アリール基、ハロゲン原子で置換されたアリール基また
はアルキル基で置換されたアリール基である。)、ハロ
ゲン原子、水素原子などが挙げられる。
【0031】以下に、Mがジルコニウムであり、かつ、
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を2個含むメ
タロセン化合物を例示する。シクロヘキシリデン- ビス
(インデニル)ジメチルジルコニウム、シクロヘキシリ
デン- ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、イ
ソプロピリデン- ビス(インデニル)ジルコニウムジク
ロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル- フ
ルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリ
レン- ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、メ
チルフェニルシリレン- ビス(インデニル)ジルコニウ
ムジクロリド、rac-ジメチルシリレン- ビス(2-メチル
-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチ
ルシリレン- ビス(4,7-ジメチル-1- インデニル)ジル
コニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン- ビス(2,
4,7-トリメチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリ
ド、rac-ジメチルシリレン- ビス(2,4,6-トリメチル-1
- インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチル
シリレン- ビス(4-フェニル-1- インデニル)ジルコニ
ウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン- ビス(2-メチ
ル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリ
ド、rac-ジメチルシリレン- ビス(2-メチル-4-(α-ナ
フチル)-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、ra
c-ジメチルシリレン- ビス(2-メチル-4-(β-ナフチ
ル)-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジ
メチルシリレン- ビス(2-メチル-4-(1-アントリル)-
1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニル
メチレン(シクロペンタジエニル)フルオレニルジルコ
ニウムジクロリド、イソプロピル(シクロペンタジエニ
ル-1- フルオレニル)ハフニウムジクロリド、イソプロ
ピル(シクロペンタジエニル-1- フルオレニル)ジルコ
ニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタ
ジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロリドなど。
【0032】また、上記のような化合物においてジルコ
ニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置き
換えたメタロセン化合物を例示することもできる。上記
のようなメタロセン化合物は、単独でまたは2種以上組
合わせて用いることができる。
【0033】また、上記のようなメタロセン化合物は、
粒子状担体に担持させて用いることもできる。このよう
な粒子状担体としては、具体的には、SiO2 、Al2
O3、B2O3、MgO、ZrO2 、CaO、TiO2 、
ZnO、SnO2 、BaO、ThO等の無機担体、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリ-1- ブテン、ポリ4-メ
チル-1-ペンテン、スチレン- ジビニルベンゼン共重合
体等の有機担体を用いることができる。これらの粒子状
担体は、単独でまたは2種以上組合わせて用いることが
できる。
【0034】本発明では、上記式(I)で示される遷移
金属化合物(メタロセン化合物)だけでなく、下記式
(II)で示される遷移金属化合物(メタロセン化合物)
を用いることもできる。
【0035】
【化3】
【0036】式(II)中、Mは、周期率表第4族または
ランタニド系列の遷移金属であり、具体的には、Ti、
Zr、Hf、Rn、Nd、Sm、Ruであって、好まし
くはTi、Zr、Hfであり、Cp1 は、Mとπ結合し
ているシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオ
レニル基またはそれらの誘導体基であり、X1 およびX
2 は、アニオン性配位子または中性ルイス塩基配位子で
あり、Yは、窒素原子、酸素原子、リン原子、または硫
黄原子を含有する配位子であり、Zは、炭素、酸素、イ
オウ、ホウ素または周期率表第14族の元素(たとえば
ケイ素、ゲルマニウムまたはスズ)であり、好ましくは
炭素、酸素、ケイ素のいずれかであり、Zは置換基を有
していてもよく、ZとYとで縮合環を形成してもよい。
【0037】さらに詳説すると、Cp1 は、遷移金属に
配位する配位子であり、シクロペンタジエニル基、イン
デニル基、フルオレニル基あるいはそれらの誘導体基な
どのシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、
このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は、アル
キル基、シクロアルキル基、トリアルキルシリル基、ハ
ロゲン原子などの置換基を有していてもよい。
【0038】また、Zは、C、O、B、S、Ge、S
i、Snから選ばれる原子であり、Zは、アルキル基、
アルコキシ基などの置換基があってもよく、Zの置換基
は互いに結合して環を形成していてもよい。
【0039】X1 およびX2 は、アニオン性配位子また
は中性ルイス塩基配位子であり、互いに同一でも異なっ
ていてもよく、水素原子もしくはハロゲン原子である
か、または20個以下の炭素原子、ケイ素原子もしくは
ゲルマニウム原子を含有する炭化水素基、シリル基もし
くはゲルミル基である。
【0040】このような式(II)で示される化合物とし
ては、具体的に、(t-ブチルアミド)ジメチル(フルオ
レニル)シランチタンジメチル、(ジメチル(t-ブチル
アミド)(テトラメチル-η5- シクロペンタジエニル)
シリレン)チタンジクロリド、((t-ブチルアミド)
(テトラメチル-η5- シクロペンタジエニル)-1,2- エ
タンジイル)チタンジクロリド、(ジメチル(フェニル
アミド)(テトラメチル-η5- シクロペンタジエニル)
シリレン)チタンジクロリド、(ジメチル(t-ブチルア
ミド)(テトラメチル-η5- シクロペンタジエニル)シ
リレン)チタンジメチル、(ジメチル(4-メチルフェニ
ルアミド)(テトラメチル-η5- シクロペンタジエニ
ル)シリレン)チタンジクロリド、(ジメチル(t-ブチ
ルアミド)(η5-シクロペンタジエニル)シリレン)チ
タンジクロリド、(テトラメチル(t-ブチルアミド)
(テトラメチル-η5- シクロペンタジエニル)ジシリレ
ン)チタンジクロリドなどが挙げられる。
【0041】本発明においては、オレフィン重合用触媒
として、上記のようなメタロセン系触媒が好ましく用い
られる。次に、メタロセン系触媒を形成する (b):成分(a)中の遷移金属Mと反応し、イオン性
の錯体を形成する化合物(すなわちイオン化イオン性化
合物)、 (c):有機アルミニウム化合物、および (d):アルモキサン(アルミニウムオキシ化合物)に
ついて説明する。
【0042】<(b)イオン化イオン性化合物>(b)
イオン化イオン性化合物は、(a)遷移金属錯体成分中
の遷移金属Mと反応してイオン性の錯体を形成する化合
物であり、このような(b)イオン化イオン性化合物と
しては、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およ
びカルボラン化合物を例示することができる。
【0043】ルイス酸としては、BR3 (式中、Rはフ
ッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換
基を有していてもよいフェニル基またはフッ素原子であ
る。)で示される化合物が挙げられ、たとえばトリフル
オロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロ
フェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)
ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロン、
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p-
トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス
(3,5-ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
【0044】イオン性化合物としては、トリアルキル置
換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジ
アルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム
塩などを挙げることができる。具体的に、トリアルキル
置換アンモニウム塩としては、たとえばトリエチルアン
モニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアン
モニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)
アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられ
る。ジアルキルアンモニウム塩としては、たとえばジ
(1-プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフ
ェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ
(フェニル)ホウ素などが挙げられる。さらにイオン性
化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス
(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルア
ニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ
ート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニ
ル)ボレートなどを挙げることもできる。
【0045】ボラン化合物としては、デカボラン(1
4)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ノナボレ
ート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕デカボレ
ート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ド
デカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(II
I)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0046】カルボラン化合物としては、4-カルバノナ
ボラン(14)、1,3-ジカルバノナボラン(13)、ビ
ス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハ
イドライド-7-カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩
(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げら
れる。
【0047】上記のような(b)イオン化イオン性化合
物は、単独でまたは2種以上組合わせて用いることがで
きる。前記(d)有機アルミニウムオキシ化合物または
(b)イオン化イオン性化合物は、上述した粒子状担体
に担持させて用いることもできる。
【0048】また触媒を形成するに際しては、(d)有
機アルミニウムオキシ化合物および/または(b)イオ
ン化イオン性化合物とともに以下のような(c)有機ア
ルミニウム化合物を用いてもよい。
【0049】<(c)有機アルミニウム化合物>(c)
有機アルミニウム化合物としては、分子内に少なくとも
1個のAl−炭素結合を有する化合物が利用できる。こ
のような化合物としては、たとえば下記一般式で表わさ
れる有機アルミニウム化合物が挙げられる。
【0050】(R1 )mAl(O(R2 ))nHpXq (式中、R1 およびR2 は、互いに同一でも異なってい
てもよく、炭素原子数が通常1〜15、好ましくは1〜
4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは
0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0
≦q<3を満たす数であって、しかも、m+n+p+q
=3である。)トリエチルアルミニウム、トリイソブチ
ルアルミニウムなどが例示される。
【0051】<(d)有機アルミニウムオキシ化合物
(アルモキサン)>(d)有機アルミニウムオキシ化合
物は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また
特開平2−78687号公報に例示されているようなベ
ンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であって
もよい。
【0052】従来公知のアルミノキサン(アルモキサ
ン)は、具体的には、下記一般式で表わされる。
【0053】
【化4】
【0054】式中、Rはメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基などの炭化水素基であり、好ましくはメチ
ル基、エチル基、特に好ましくはメチル基である。mは
2以上の整数であり、好ましくは5〜40の整数であ
る。
【0055】ここで、アルミノキサンは式(OAl(R
1))で表わされるアルキルオキシアルミニウム単位お
よび式(OAl(R2))で表わされるアルキルオキシ
アルミニウム単位(ここで、R1 およびR2 は、Rと同
様の炭化水素基であり、R1およびR2 は相異なる基を
示す。)からなる混合アルキルオキシアルミニウム単位
から形成されていてもよい。
【0056】なお、(d)有機アルミニウムオキシ化合
物は、少量のアルミニウム以外の金属の有機化合物成分
を含有していてもよい。本発明では、上記エチレン系重
合体(A)製造用の触媒(オレフィン系触媒)として
は、上記のようなメタロセン系触媒が好ましく用いられ
るが、場合によっては上記メタロセン系触媒以外の、従
来より公知の(1) 固体状チタン触媒成分と有機アルミニ
ウム化合物とからなるチタン系触媒、(2) 可溶性バナジ
ウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなるバナジ
ウム系触媒を用いることもできる。
【0057】本発明では、通常、上記のようなメタロセ
ン系触媒の存在下に、エチレンと1-ブテン等のα- オレ
フィンなどを通常液相で共重合させる。この際、一般に
炭化水素溶媒が用いられるが、プロピレンを溶媒として
用いてもよい。この共重合はバッチ法または連続法のい
ずれの方法でも行なうことができる。
【0058】メタロセン系触媒を用い、共重合をバッチ
法で実施する場合には、重合系内の(a)遷移金属錯体
(メタロセン化合物)の濃度は、重合容積1リットル当
り、通常0.00005〜1ミリモル、好ましくは0.
0001〜0.5ミリモルの量で用いられる。
【0059】(d)有機アルミニウムオキシ化合物(ア
ルモキサン)は、(a)メタロセン化合物中の遷移金属
原子(M)に対するアルミニウム原子(Al)のモル比
(Al/M)で、1〜10000、好ましくは10〜5
000となるような量で用いられる。
【0060】(b)イオン化イオン性化合物は、(a)
メタロセン化合物に対する(b)イオン化イオン性化合
物のモル比((b)/(a))で、0.5〜20、好ま
しくは1〜10となるような量で用いられる。
【0061】また、(c)有機アルミニウム化合物が用
いられる場合には、重合容積1リットル当り、通常約0
〜5ミリモル、好ましくは約0〜2ミリモルとなるよう
な量で用いられる。
【0062】共重合反応は、通常、温度が−20〜15
0℃、好ましくは0〜120℃、さらに好ましくは0〜
100℃の範囲で、圧力が0を超えて〜80kg/cm
2 、好ましくは0を超えて〜50kg/cm2 の範囲の
条件下に行なわれる。
【0063】また、反応時間(共重合が連続法で実施さ
れる場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度な
どの条件によっても異なるが、通常5分間〜3時間、好
ましくは10分間〜1.5時間である。
【0064】上記エチレン、炭素原子数3〜20のα-
オレフィン由来の成分の共重合用モノマーは、上述のよ
うなエチレン系重合体(A)が得られるような量でそれ
ぞれ重合系に供給される。なお、共重合に際しては、水
素などの分子量調節剤を用いることもできる。
【0065】上記のようにしてエチレン、炭素原子数3
〜20のα- オレフィン由来の成分の共重合用モノマー
を共重合させると、エチレン系重合体(A)は、通常こ
れを含む重合液として得られる。この重合液は常法によ
り処理され、エチレン系重合体(A)が得られる。
【0066】ビニル化合物(B) 本発明で用いられるビニル化合物(B)は、芳香族ビニ
ル化合物(b1)、及びまたは極性基含有ビニル化合物
(b2)を1種以上含んでなる。
【0067】芳香族ビニル化合物(b1)としては、ス
チレンまたはその誘導体、たとえばスチレン、α-メチ
ルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、
p-メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、t-ブチルス
チレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ジビニルベ
ンゼンなどが挙げられる。これらの内、スチレン、α-
メチルスチレン、p-メチルスチレンが好ましく、さら
にスチレン、α-メチルスチレンが好ましく、スチレン
がより好ましい。
【0068】これらの芳香族ビニル化合物(b1)は、
1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いること
ができる。また、極性基含有ビニル化合物(b2)とし
ては、具体的には、例えばアクリロニトリル、α-クロ
ロアクリロニトリル等のアクリロニトリル誘導体からな
るニトリル系ビニル化合物が挙げられる。また、不飽和
カルボン酸およびその誘導体、例えば (メタ)アクリル酸;メチルメタクリレート、エチルメ
タクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレー
ト、n-ブチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸誘
導体; マレイン酸;無水マレイン酸などが挙げられる。また、
n-フェニルマレイミド、n-メチルフェニルマレイミ
ド、n-シクロヘキシルマレイミド、n-エチルマレイミ
ド等のマレイミド系化合物なども挙げられる。これらの
中では、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、メチ
ル(メタ)アクリレート、 無水マレイン酸、n-フェニ
ルマレイミドが好ましく、特にアクリロニトリル、メチ
ルメタクリレート、n-フェニルマレイミドが好まし
い。
【0069】上記ビニル化合物(B)中では、芳香族ビ
ニル化合物、ニトリル系ビニル単量体、不飽和カルボン
酸およびその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも
1種のビニル化合物が好ましく、スチレン、アクリロニ
トリル、アクリル酸、メタクリル酸およびその誘導体か
らなる群から選ばれる少なくとも1種のビニル化合物が
より好ましい。
【0070】これらの化合物(b2)は1種または2種
以上を組み合わせて使用することもできる。また本発明
における(B)ビニル化合物としては、芳香族ビニル化
合物(b1)と、極性基含有ビニル化合物(b2)とを
組み合わせて用いることもできる。
【0071】ビニル化合物変性エチレン系重合体[I]
のグラフト量は、ビニル化合物(B)換算で、グラフト
変性前のエチレン系重合体(A)100重量%に対し
て、通常5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%
である。
【0072】ビニル化合物変性エチレン系重合体[I]
の製造 本発明で用いられるビニル化合物変性エチレン系重合体
[I]は、以下のようなプラグフロー型反応槽を用いる
塊状重合法、塊状懸濁重合法または溶液重合法により製
造することができる。
【0073】プラグフロー型反応槽 上記ビニル化合物変性エチレン系重合体[I]の製造方
法で用いられるプラグフロー型反応槽は、単なる完全混
合槽よりもプラグフロー(ある時刻に着目している領域
に同時に流入した流体部分が、他の液体部分と混合する
ことなく、その後も一体となって運動を続ける流動状態
(「化学工学辞典」化学工学協会編、丸善(株)発
行))に近い流動状態を発現することができる反応槽を
意味するものであり、反応槽の形式、形状を限定するも
のではない。
【0074】たとえば完全混合槽であれば、複数の、好
ましくは3基以上の完全混合槽を直列に連結した反応
槽、また完全混合槽よりもプラグフローに近い管型反応
槽や塔型反応槽を意味し、特に仕切り板で複数の部分に
分離された管型反応槽や塔型反応槽を1〜3基、好まし
くは1〜2基用いることが望ましい。
【0075】上記管型反応槽、塔型反応槽としては、従
来公知の管型反応槽、塔型反応槽を用いることができ、
塔型反応槽としては、たとえば「新ポリマー製造プロセ
ス」(工業調査会、佐伯康治/尾見信三著)185頁の
図7.5に記載されている塔式反応槽などが挙げられ
る。この塔型反応槽は、原料の投入口と生成重合体の出
口を有し、この原料投入口と生成重合体の出口との間に
用いられる反応槽について、以下の液テストの結果から
プラグフロー性が試験される。
【0076】すなわち、原料の投入口より、粘度10ポ
イズの液をF(リットル/時)の速度で反応槽に供給
し、出口よりF(リットル/時)の速度で液を取り出
し、そのときの反応槽の容積をV(リットル)とし、F
=Vとして連続的に定常状態で液を流しておき、時刻t
0 において突然、濃度C0(%)の赤色に着色した粘度
10ポイズの液に切り替えたとき、時刻t1(t1 はt0
より2時間経過した時間)で出口の濃度(C1%)が
(C1/C0)>0.9となる重合装置が、本発明では好
ましく用いられる。本明細書では、このような条件を満
たす重合を「プラグフロー系重合」と定義し、またこの
重合に用いる反応槽を「プラグフロー型反応槽」と定義
する。なお、プラグフロー型反応槽は、単数の反応槽で
あってもよいし、また複数の反応槽からなっていてもよ
い。
【0077】本発明においては、プラグフロー型反応槽
内に投入されたエチレン系重合体(A)に、ビニル化合
物(B)の全量を一括添加または分割して添加すること
ができるが、分割添加の方が、得られるビニル化合物変
性エチレン系重合体[I]の品質が優れている等の点で
好ましい。
【0078】プラグフロー型反応槽内のエチレン系重合
体(A)にビニル化合物(B)を分割添加する方法は、
特に限定されるものではないが、プラグフロー型反応槽
の原料の主投入口から出口までの間に1カ所以上、好ま
しくは複数の単量体フィード口を設けて連続、もしくは
間欠的にビニル化合物をフィードすることが望ましい。
一つのフィード口において、間欠的にビニル化合物を反
応槽内にフィードすることは、本発明でいう分割添加に
含まれない。本発明でいう分割添加とは、2カ所以上の
異なるフィード口からビニル化合物(B)を投入するこ
とを云う。プラグフロー型反応槽の原料の主投入口から
出口までに単量体フィード口が1カ所の場合は、ビニル
化合物(B)の一部は、必ず原料の主投入口からフィー
ドされる。また、2カ所以上の異なるフィード口とは、
原料の主投入口から同じ距離でもよく、たとえば塔型反
応槽を用いる場合には、反応槽胴体の同一円周上の異な
った点に2つのフィード口を設けて、これらのフィード
口からビニル化合物(B)を反応槽内にフィードする場
合も、本発明で云う分割添加に含まれる。
【0079】このようなビニル化合物(B)の分割添加
では、プラグフロー型反応槽の主投入口からフィードさ
れるビニル化合物と、主投入口から出口までの間にフィ
ードされるビニル化合物とは、同じ化合物であってもよ
いし、異なる化合物であってもよい。さらには、主投入
口から出口までの間で複数箇所からビニル化合物をフィ
ードする場合、各箇所からフィードされるビニル化合物
は、同じ化合物であってもよいし、異なる化合物であっ
てもよい。
【0080】また、プラグフロー型反応槽の主投入口か
らフィードされるビニル化合物と、主投入口から出口ま
での間にフィードされるビニル化合物との比率、および
主投入口から出口までの間で複数箇所からビニル化合物
をフィードする場合、各箇所からフィードされるビニル
化合物の比率は、特に限定されるものではなく、ビニル
単量体の全量をプラグフロー型反応槽の主投入口からフ
ィードしてもよいし、ビニル化合物の全量をプラグフロ
ー型反応槽の主投入口から出口までの間にフィードして
もよいし、適度に分割してフィードしてもよい。
【0081】グラフト重合法 本発明における塊状重合法、塊状懸濁重合法および溶液
重合法は、重合反応工程に原料のエチレン系重合体
(A)およびビニル化合物(B)を供給し、グラフト重
合反応を行なわせ、生成重合体を重合反応工程より取り
出し、重合体の製品を得る重合法であって、通常溶剤を
30%以上用いる場合を「溶液重合法」と呼び、30%
未満(0%を含む)の量で用いる場合を「塊状重合法」
と呼び、30%未満の量で用い、懸濁状態である場合を
「塊状懸濁重合法」と呼ぶ。
【0082】本発明においては、不活性有機溶剤を用い
ることもでき、たとえばベンゼン、トルエン、キシレ
ン、エチルベンゼン、アセトン、イソプロピルベンゼ
ン、メチルエチルケトンなどが用いられ、これらの中で
も、トルエン、エチルベンゼン、キシレンが好ましく用
いられる。
【0083】これらの有機溶剤は、エチレン系重合体
(A)、ビニル化合物(B)および有機溶剤の合計量1
00重量部に対し、通常400重量部以下、好ましくは
200重量部以下、さらに好ましくは100重量部以下
の割合で用いられる。
【0084】本発明においては、上記のような重合法を
採用して、ビニル化合物(B)をエチレン系重合体
(A)にグラフト重合させるに際し、ラジカル開始剤を
用いることが好ましい。
【0085】このようなラジカル開始剤(重合開始剤)
としては、特に限定するものではないが、たとえばベン
ゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t-
ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシベン
ゾエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチ
ルパーオキシオクトエート、クミルパーオキシオクトエ
ート、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5- トリメ
チルシクロヘキサンなどの有機過酸化物の使用が好まし
い。中でも、特にベンゾイルパーオキサイド、ラウロイ
ルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシピバレート、t-
ブチルパーオキシオクトエート、1,1-ビス(t-ブチルパ
ーオキシ)-3,3,5- トリメチルシクロヘキサンが好まし
く用いられる。
【0086】これらのラジカル開始剤は、エチレン系重
合体(A)、ビニル化合物(B)および有機溶剤の合計
量100重量部に対し、通常0.001〜5.0重量
部、好ましくは0.001〜3.5重量部、さらに好ま
しくは0.001〜2.0重量部の割合で用いられる。
【0087】また、本発明においては、目的物のビニル
化合物変性エチレン系重合体[I]の分子量調節のた
め、上記不活性有機溶剤のほかに、種々の連鎖移動剤を
用いることができる。たとえばα- メチルスチレンダイ
マー、t-ドデシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタ
ン、n-オクチルメルカプタンなど公知の連鎖移動剤が用
いられる。
【0088】これらの連鎖移動剤は、エチレン系重合体
(A)、ビニル化合物(B)および有機溶剤の合計量1
00重量部に対し、通常0.001〜5.0重量部、好
ましくは0.001〜3.5重量部、さらに好ましくは
0.01〜2.0重量部の割合で用いられる。
【0089】本発明においては、重合温度はラジカル開
始剤の使用の有無にもよるが、一般的には、好ましくは
50〜180℃、より好ましくは60〜150℃であ
り、滞留時間は、好ましくは0.2〜6時間、より好ま
しくは0.5〜4時間である。
【0090】本発明においては、重合によって得られた
ポリマー溶液を減圧乾燥することによりビニル化合物変
性エチレン系重合体[I]と、未反応のビニル化合物
(B)や不活性有機溶剤などとを回分的に分離してもよ
いし、また、得られたビニル化合物変性エチレン系重合
体[I]と、未反応のビニル化合物(B)や不活性有機
溶剤などとを連続的に分離する工程を経て、ビニル化合
物変性エチレン系重合体[I]を連続的に製造してもよ
い。
【0091】なお本発明においては、上記のようにして
得られるビニル化合物変性エチレン系重合体[I]を用
いるに当たり、必要に応じて少量生成するビニル化合物
重合体を溶媒分別などの方法で除去して用いても良い
し、除去せずに用いても良い。
【0092】本発明においては、[I]ビニル化合物変
性エチレン系重合体は、[I]ビニル化合物変性エチレ
ン系重合体、[II]エチレン系重合体、及び[III]熱
可塑性重合体の合計量100重量部に対して、1〜94
重量部、好ましくは5〜90重量部、さらに好ましくは
5〜70重量部の割合で用いられる。上記のような割合
で[I]ビニル化合物変性エチレン系重合体を含む、エ
チレン系重合体組成物を、熱可塑性樹脂の改質剤として
用いると、剛性および表面硬度と耐衝撃性とのバランス
に優れた成形体を製造することができる。
【0093】[II]エチレン系重合体 本発明で用いられる[II]エチレン系重合体は、密度が
0.86〜0.96g/cm3 、好ましくは0.865
〜0.960g/cm3 、さらに好ましくは0.870
〜0.960g/cm3 の範囲内にある。
【0094】上記[II]エチレン系重合体としては、エ
チレン単独重合体、あるいはエチレンと炭素原子数3〜
20のα- オレフィン、好ましくは炭素原子数3〜10
のα-オレフィンたとえばプロピレン、1-ブテン、4-メ
チル-1- ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどのα-
オレフィンとの共重合体が用いられる。
【0095】この[II]エチレン系重合体のエチレン含
量は、50モル%以上、好ましくは60〜100モル
%、さらに好ましくは70〜100モル%の範囲内にあ
ることが望ましい。より好ましくは80〜100モル%
の範囲であり、とくに好ましくは82〜100モル%の
範囲である。また、[II]エチレン系重合体のエチレン
含量は、[I]ビニル化合物変性エチレン系重合体の製
造に用いる(A)エチレン系重合体のエチレン含量との
関係でいえば、特に制限はないが、[II]が[I]より
も大きい値であることが好ましい態様の1つである。
【0096】本発明で用いられる[II]エチレン系重合
体は、メルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,190
℃、荷重2.16kg)が0.01〜200g/10分、好ま
しくは0.05〜100g/10分、さらに好ましくは
0.05〜80g/10分であることが望ましい。
【0097】本発明では、[II]エチレン系重合体とし
て、未変性のエチレン系重合体が好ましく用いられる
が、不飽和カルボン酸またはその誘導体等の極性基含有
モノマーで変性されたエチレン系重合体も用いることが
できる。この変性エチレン系重合体は、上記[I]ビニ
ル化合物変性エチレン系重合体とは異なる重合体であ
る。
【0098】本発明で好ましく用いられるエチレン系重
合体[II]は、たとえば上述したエチレン系重合体
(A)の製造方法と同様の方法で製造することができ、
エチレンと、炭素原子数3〜20のα- オレフィン、ジ
エンおよびトリエンの中から選ばれた少なくとも1種の
成分とを、上述したメタロセン系触媒の存在下に共重合
させることにより得ることができる。
【0099】本発明においては、[II]エチレン系重合
体は、[I]ビニル化合物変性エチレン系重合体、[I
I]エチレン系重合体及び[III]熱可塑性重合体の合計
量100重量部に対して、5〜98重量部、好ましくは
10〜98重量部、さらに好ましくは15〜98重量部
の割合で用いられる。上記のような割合で[II]エチレ
ン系重合体を含む、エチレン系重合体組成物を熱可塑性
樹脂の改質剤として用いると、剛性および表面硬度と耐
衝撃性とのバランスに優れた成形体を製造することがで
きる。
【0100】[III]熱可塑性重合体 本発明で用いられる[III]熱可塑性重合体は、DSC
(示差走査熱量計)により測定されるガラス転移温度
(Tg)が30℃以上である熱可塑性重合体である。D
SCによるガラス転移温度の測定は、試料をアルミパン
に詰め、100℃/分で200℃まで昇温し、200℃
で5分間保持した後、10℃/分で−150℃まで降温
し、次いで10℃/分で昇温する際の吸熱曲線から求め
ることができる。
【0101】本発明で用いられる、[III]熱可塑性重
合体としては、ポリアミド、ポリエステルおよびポリア
セタール等の結晶性熱可塑性重合体;ポリスチレン、ア
クリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(AB
S)、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、
ポリアクリレート等の非結晶性熱可塑性重合体が用いら
れる。
【0102】上記ポリエステルとしては、具体的には、
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族系ポリエス
テル;ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート
などを挙げることができる。中でも、ポリエチレンテレ
フタレートが特に好ましい。
【0103】上記ポリアミドとしては、具体的には、ナ
イロン−6、ナイロン−66、ナイロン−10、ナイロ
ン−12、ナイロン−46等の脂肪族ポリアミド、芳香
族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンより製造される芳香族
ポリアミドなどを挙げることができる。中でも、ナイロ
ン−6が特に好ましい。
【0104】上記ポリアセタールとしては、具体的に
は、ポリホルムアルデヒド(ポリオキシメチレン)、ポ
リアセトアルデヒド、ポリプロピオンアルデヒド、ポリ
ブチルアルデヒドなどを挙げることができる。中でも、
ポリホルムアルデヒドが特に好ましい。
【0105】上記ポリスチレンは、スチレンの単独重合
体であってもよく、スチレンとアクリロニトリル、メタ
クリル酸メチル、α- メチルスチレンとの二元共重合体
であってもよい。
【0106】上記ABSとしては、アクリロニトリルか
ら誘導される構成単位を20〜35モル%の量で含有
し、ブタジエンから誘導される構成単位を20〜30モ
ル%の量で含有し、スチレンから誘導される構成単位を
40〜60モル%の量で含有するABSが好ましく用い
られる。
【0107】上記ポリカーボネートとしては、ビス(4-
ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ
フェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)
プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタンな
どから得られるポリマーを挙げることができる。中で
も、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンから得
られるポリカーボネートが特に好ましい。
【0108】上記ポリフェニレンオキシドとしては、ポ
リ(2,6-ジメチル-1,4- フェニレンオキシド)を用いる
ことが好ましい。
【0109】上記ポリアクリレートとしては、ポリメチ
ルメタクリレート、ポリブチルアクリレートを用いるこ
とが好ましい。
【0110】これらの熱可塑性重合体のなかでは、ポリ
スチレン、アクリロニトリル・スチレン、ポリメチルメ
タクリレートが好ましい。なお、[III]熱可塑性重合
体として、ポリスチレンを用いる場合は、[I]で用い
るビニル化合物としては(b1)芳香族ビニル化合物が
好ましく、[III]熱可塑性重合体として、ポリ(メ
タ)アクリル酸またはポリアルキル(メタ)アクリレー
トを用いる場合は、[I]で用いるビニル化合物として
は(b2)極性基含有ビニル化合物、中でも(メタ)ア
クリル酸、アルキル(メタ)アクリレートが好ましく、
例えば[III]としてPMMAを用いる場合には[I]
のビニル化合物として、MMAを用いることが好まし
い。
【0111】上記のような[III]熱可塑性重合体は、
単独で用いてもよく、また2種以上組み合わせて用いて
もよい。
【0112】[III]DSCにより測定されるガラス転
移温度(Tg)が30℃以上である熱可塑性樹脂は、[I]
ビニル化合物変性エチレン系重合体、[II]エチレン系
重合体及び[III]熱可塑性重合体の合計量100重量
部に対して、1〜30重量部、好ましくは1〜28重量
部、さらに好ましくは3〜28重量部の割合で用いられ
る。上記のような割合で[III]熱可塑性重合体を含む
ビニル化合物変性エチレン系重合体組成物を熱可塑性樹
脂の改質剤として用いると、剛性および表面硬度と耐衝
撃性とのバランスに優れた成形体を製造することができ
る。
【0113】ビニル化合物変性エチレン系重合体組成物
の調製 本発明に係るビニル化合物変性エチレン系重合体組成物
は、従来公知の任意の方法を採用して調製することがで
き、たとえば、[I]ビニル化合物変性エチレン系重合
体、[II]エチレン系重合体および[III]熱可塑性重
合体を押出機、ニーダー等を用いて溶融混練することに
より得られる。樹脂改質剤 前記[I]ビニル化合物変性オレフィン重合体と[II]
エチレン系重合体および[III]熱可塑性重合体とから
なる組成物は、後述するように、樹脂改質剤として用い
ることができる。該組成物により改質できる樹脂として
は、特に制限はないが、好ましい樹脂として、後述する
ような[IV]DSCにより測定されるガラス転移温度
(Tg)が30℃未満である熱可塑性重合体を挙げるこ
とが出来る。
【0114】熱可塑性重合体組成物 次に、本発明に係る熱可塑性重合体組成物について説明
する。本発明に係る熱可塑性重合体組成物は、前記
[I]ビニル化合物変性エチレン系重合体と、前記[I
I]エチレン系重合体と、前記[III]熱可塑性重合体
と、[IV]DSCにより測定されるガラス転移温度(Tg)
が30℃未満である熱可塑性重合体とからなる熱可塑性
重合体組成物であって、[I]と[II]と[III]を合
計5〜90重量部含み、[IV]を95〜10重量部含み
([I]、[II]、[III]、[IV]の合計は100重
量部とする)、かつ[I]と[II]と[III]の合計
量、すなわちを100重量部とした場合において[I]
は1〜94重量部であり、[II]は5〜98重量部であ
り、[III]は1〜30重量部の範囲にあることを特徴
としている。つまり、本発明に係る熱可塑性重合体組成
物は、上述した本発明に係るビニル化合物変性エチレン
系重合体組成物と、[IV]DSCにより測定されるガ
ラス転移温度(Tg)が30℃未満である熱可塑性重合体と
からなる組成物である。
【0115】[IV]熱可塑性重合体 本発明で熱可塑性重合体組成物に用いられる、[IV]
DSC(示差走査熱量計)により測定されるガラス転移
温度(Tg)が30℃未満である熱可塑性重合体として
は、たとえばポリオレフィンが好ましく挙げられる。
【0116】上記ポリオレフィンとしては、具体的に
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、
ポリメチルペンテン、ポリメチルブテン等のオレフィン
単独重合体;エチレン・ブテン、エチレン・ヘキセン、
プロピレン・エチレンランダム共重合体等のオレフィン
共重合体などを挙げることができる。ポリオレフィンと
しては、ポリエチレンなどのエチレン系重合体、炭素数
3以上のαオレフィンの重合体、例えばポリプロピレ
ン、ポリ1−ブテン等が好ましく挙げられる。ポリエチ
レンとしては、より具体的にはホモポリエチレン、エチ
レン・ヘキセンランダム共重合体など、ポリプロピレン
としては、より具体的には、ホモポリプロピレン、プロ
ピレンブロック共重合体などが挙げられる。ポリオレフ
ィンが炭素数3以上のαオレフィンの重合体である場合
は、炭素数3以上のαオレフィンが80モル%以上であ
ることが好ましい。
【0117】上記のような[IV]熱可塑性重合体は、
単独で用いてもよく、また2種以上組み合わせて用いて
もよい。
【0118】[IV]熱可塑性重合体は、前記[I]ビ
ニル化合物変性エチレン系重合体と、前記[II]エチレ
ン系重合体と、前記[III]熱可塑性重合体と、[IV]
該熱可塑性重合体との合計100重量部に対して10〜
95重量部、好ましくは20〜95重量部、とくに好ま
しくは40〜95重量部、とりわけ70〜95重量部、
とくに好ましくは70〜90重量部の割合で用いられ
る。これに対し、前記[I]ビニル化合物変性エチレン
系重合体と、前記[II]エチレン系重合体と、前記[II
I]熱可塑性重合体との合計量、即ち前記ビニル化合物
変性エチレン系重合体組成物の合計量は、[I]、[I
I]、[III]および[IV]熱可塑性重合体の合計量1
00重量部に対して、5〜90重量部、好ましくは5〜
80重量部、さらに好ましくは5〜60重量部、とりわ
け5〜30重量部、より好ましくは10〜30重量部の
割合で用いられる。各成分が上記のような割合であれ
ば、剛性および表面硬度と耐衝撃性とのバランスに優れ
た成形体を製造することができる。その他の成分 本発明に係る熱可塑性重合体組成物には、必要に応じて
耐候安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止
剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染
料、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤、核
剤等の添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合
することができるし、また、本発明の目的から逸脱しな
い限りにおいて他の合成樹脂を少量ブレンドすることが
できる。
【0119】熱可塑性重合体組成物の調製 本発明に係る熱可塑性重合体組成物は、従来公知の任意
の方法を採用して調製することができる。必要に応じて
上記耐候安定剤等の添加剤を添加して押出機、ニーダー
等を用いて溶融混練することにより得られる。その際あ
らかじめ[I]ビニル化合物変性オレフィン重合体と
[II]エチレン系重合体と[III]熱可塑性重合体とか
らなる組成物を調製しておいてから、さらに[IV]熱
可塑性重合体組成物を添加しても良いし、[I][II]
[III][IV]成分を同時に混合しても良く、特に調
製法に制限はないが、[I]、[II]および[III]か
らビニル化合物変性オレフィン重合体組成物を調製して
おいてから、[IV]を添加してさらに混練りするのが
好ましい態様である。
【0120】成形体 本発明に係る成形体は、上記のようにして得られる、本
発明に係る熱可塑性樹脂組成物から形成される。本発明
に係る熱可塑性重合体組成物は、公知の方法で射出成
形、中空成形、圧縮成形、押出成形などを行なうことが
でき、種々の成形品やフィルム、シートに加工できる。
たとえば自動車内外装材、家電分野(ハウジング等)、
容器用途、フィルム用途などに用いられる。
【0121】
【発明の効果】本発明に係るビニル化合物変性エチレン
系重合体組成物は、上記ビニル化合物変性エチレン系重
合体[I]と、上記エチレン系重合体[II]、[III]
熱可塑性重合体とを特定割合で含有しているので、樹脂
改質剤として好適であり、このビニル化合物変性エチレ
ン系重合体組成物を熱可塑性重合体に配合すると、剛性
および表面硬度と、耐衝撃性とのバランスに優れた成形
体を提供することができる。
【0122】本発明に係る熱可塑性重合体組成物は、剛
性および表面硬度と、耐衝撃性とのバランスに優れた成
形体を提供することができる。
【0123】本発明に係る成形体は、本発明に係る熱可
塑性重合体組成物からなるので、剛性および表面硬度
と、耐衝撃性とのバランスに優れている。
【0124】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明は、これらの実施例により何ら限定されるものでは
ない。
【0125】なお、参考例、実施例におけるJIS A
硬度、引張弾性率、曲げ初期弾性率(FM)、アイゾッ
ト衝撃強度(IZ)およびロックウェル硬度(HR)の
試験は、下記の方法に従って行なった。 (1)JIS A 硬度 JIS A 硬度は、JIS K 7215に準拠して、プ
レス成形にて作製したシートを用いて測定した。 (2)引張弾性率 引張弾性率は、JIS K 6301に準拠して、プレス
成形にて作製したシートにてJIS3号ダンベル試験片
を用い、23℃の雰囲気下でスパン間30mm、引張速
度30mm/分の条件で測定した。 (3) 曲げ初期弾性率(FM) 曲げ初期弾性率(FM)は、ASTM C 790に準拠
して、射出成形機にて作製した厚さ1/8インチの試験
片を用いて、スパン間51mm、曲げ速度20mm/分
の条件下で測定し、剛性の指標とした。 (4) アイゾット衝撃強度(IZ) アイゾット衝撃強度(IZ)は、ASTM D 256に
準拠して、射出成形機にて作製した厚さ1/4インチの
試験片(後ノッチ)を用いて、23℃で測定した。 (5)ロックウェル硬度(HR) ロックウェル硬度(HR)は、ASTM D 785に準
拠して、射出成形機にて作製した厚さ2mm×縦120
mm×横130mmの角板を用いて測定した。
【0126】また、実施例、比較例におけるエチレン系
重合体の融点(Tm)、極限粘度[η]、Mw/Mn、
MFR、および密度は、下記の方法ないし条件で測定し
た。 (1)融点(Tm) DSCの吸熱曲線を求め、最大ピーク位置の温度をTm
とする。
【0127】示差走査熱量計(DSC)を用いて、試料
をアルミパンに詰め、100℃/分で200℃まで昇温
し、200℃で5分間保持した後、10℃/分で−15
0℃まで降温し、次いで10℃/分で昇温する際の吸熱
曲線より求めた。 (2)極限粘度[η] 極限粘度[η]は、135℃デカリン中で測定した。 (3)Mw/Mn Mw/Mnは、GPC(ゲルパーミエーションクロマト
グラフィー)を用い、オルトジクロロベンゼン溶媒で、
140℃で測定した。 (4)MFR 230℃において2.16kg荷重で測定した。 (5)密度 230℃における2.16kg荷重でのMFR測定時に
得られるストランドを、120℃で1時間かけて室温ま
で徐冷したのち、密度勾配管で測定した。[ビニル化合
物変性エチレン系重合体の製造例]
【0128】
【製造例1】容積が1リットルのプラグフロー塔型反応
槽(「新ポリマー製造プロセス」(工業調査会、佐伯康
治/尾見信三著)185頁、図7.5(b)に記載の三
井東圧化学タイプの塔型反応槽と同種の反応槽で10段
に仕切られたC1/C0=0.955を示すもの。)を連
続的重合装置として用いてスチレンでグラフト変性した
エチレン・1-ブテンランダム共重合体(ビニル化合物変
性オレフィン重合体(A−1))を製造した。
【0129】すなわち、エチレン含量が53モル%のエ
チレン・1-ブテンランダム共重合体(極限粘度[η]=
2.9dl/g、Mw/Mn=2.1)10.5重量
部、スチレン19重量部、トルエン69重量部を混合、
溶解させた溶液Aを調製するとともに、トルエン1.5
重量部に、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-ト
リメチルシクロヘキサン0.07重量部を溶解させた溶
液Bを別に調製した。
【0130】次いで、溶液Aと溶液Bとを別々にプラグ
フロー塔型反応槽に全体で400g/hになるように連
続的に供給して、反応槽の縦方向の中央部分が100℃
になるようにしてグラフト重合を行なった。
【0131】上記のようにして得られた重合溶液を、1
90℃で30分間10kPaabs.にて減圧乾燥して、目
的とするポリマー、すなわちスチレングラフト変性エチ
レン・1-ブテンランダム共重合体(ビニル化合物変性オ
レフィン重合体(A−1))を得た。
【0132】得られたポリマー5gにメチルエチルケト
ン500ccを加えて室温にて、可溶部と不溶部に分別
し、それぞれの成分を真空乾燥した。得られたメチルエ
チルケトン不溶部についてNMRでスチレン含量を測定
した結果、スチレン含量は18.7重量%であった。結
果を表1に示す。
【製造例2】製造例1で用いた反応槽を用いて、スチレ
ンとアクリロニトリルでグラフト変性したエチレン・1-
ブテンランダム共重合体(ビニル化合物変性オレフィン
重合体(A−2))を製造した。
【0133】すなわち、エチレン含量が53モル%のエ
チレン・1-ブテンランダム共重合体(極限粘度[η]=
2.9dl/g、Mw/Mn=2.1)9.5重量部、
スチレン13.5重量部、トルエン70重量部を混合、
溶解させた溶液Aを調製するとともに、トルエン2.5
重量部に、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-ト
リメチルシクロヘキサン0.04重量部を溶解させた溶
液Bを別に調製した。
【0134】次いで、溶液Aと溶液Bとアクリロニトリ
ル4.5重量部とを別々にプラグフロー塔型反応槽に全
体で400g/hになるように連続的に供給して、反応
槽の縦方向の中央部分が100℃になるようにしてグラ
フト重合を行なった。
【0135】上記のようにして得られた重合溶液を、1
90℃で30分間10kPaabs.にて減圧乾燥して、目
的とするポリマー(A−2)を得た。得られたポリマー
5gにメチルエチルケトン500ccを加えて室温に
て、可溶部と不溶部に分別し、それぞれの成分を真空乾
燥した。得られたメチルエチルケトン不溶部について元
素分析を行ない、窒素含量を測定した結果、窒素含量は
1.3重量%であり、アクリロニトリル含量は4.9重
量%であった。また、得られたメチルエチルケトン不溶
部についてNMRでスチレン含量を測定した結果、スチ
レンは13.7重量%であった。結果を表1に示す。
【0136】
【製造例3】製造例1において、スチレンの代わりにア
クリル酸を用いた以外は、実施例1と同様にして、目的
とするポリマーすなわちアクリル酸でグラフト変性した
エチレン・1-ブテンランダム共重合体(ビニル化合物変
性オレフィン重合体(A−3))を得た。
【0137】得られたポリマー5gにメチルエチルケト
ン500ccを加えて室温にて、可溶部と不溶部に分別
し、それぞれの成分を真空乾燥した。得られたメチルエ
チルケトン不溶部について元素分析を行ない、酸素含量
を測定した結果、酸素含量は7.7重量%であり、アク
リル酸含量は17.3重量%%であった。結果を表1に
示す。
【0138】
【表1】
【0139】
【実施例1】製造例1で得られたビニル化合物変性オレ
フィン重合体(A−1)40重量部、エチレン・ブテン
共重合体(密度:0.872g/cm3、エチレン含
量:84モル%、MFR:7g/10分)40重量部と
日本ポリスチレン(株)製のホモポリスチレン(商品名
日本ポリスチ;G590H、ガラス転移温度Tg=1
00℃)20重量部とを混合し、二軸押出機にて200
℃で溶融混練することによりビニル変性オレフィン系重
合体組成物(B−1)を得た。
【0140】得られたエチレン系重合体組成物(B-
1)を用い、JIS A 硬度および引張弾性率につい
て、上記方法に従って試験を行なった。その結果、この
組成物のJIS A 硬度は89.5であり、引張弾性率
は22.1MPaであった。結果を表2に示す。
【実施例2】実施例1において、製造例1で得られたビ
ニル化合物変性オレフィン重合体(A−1)を製造例2
で得られたビニル化合物変性オレフィン重合体(A−
2)に変えた以外は実施例1と同様にして行い、ビニル
変性オレフィン系重合体組成物(B−2)を得た。
【0141】得られたエチレン系重合体組成物(B-
2)を用い、JIS A 硬度および引張弾性率につい
て、上記方法に従って試験を行なった。その結果、この
組成物のJIS A 硬度は89.1であり、引張弾性率
は23.6MPaであった。結果を表2に示す。
【実施例3】実施例1において、日本ポリスチレン
(株)製のホモポリスチレン(商品名日本ポリスチ;G
590H)を旭化成(株)製のポリメチルメタクリレー
ト(商品名 デルペット;60N、ガラス転移温度Tg
=105℃)に変えた以外は調整例1と同様にして行
い、ビニル変性オレフィン系重合体組成物(B−3)を
得た。
【0142】得られたエチレン系重合体組成物(B-
3)を用い、JIS A 硬度および引張弾性率につい
て、上記方法に従って試験を行なった。その結果、この
組成物のJIS A 硬度は93.5であり、引張弾性率
は24.6MPaであった。結果を表2に示す。
【0143】
【表2】
【実施例4】グランドポリマー(株)製のホモポリプロ
ピレン(商品名 グランドポリプロ;J105、ガラス
転移温度Tg=−15℃)80重量部と、調整例1で得
られたビニル化合物変性オレフィン重合体組成物(B−
1)20重量部とを混合し、二軸押出機にて200℃で
溶融混練することにより熱可塑性重合体組成物(C−1)
を得た。
【0144】得られた熱可塑性重合体組成物を用い、曲
げ初期弾性率(FM)、ロックウェル硬度(HR)およ
びアイゾット衝撃強度(IZ)について、上記方法に従
って試験を行なった。その結果、この組成物の曲げ初期
弾性率(FM)は1560MPaであり、ロックウェル
硬度(HR)は87であり、アイゾット衝撃強度(I
Z)は480J/mであった。結果を表3に示す。
【0145】
【実施例5】実施例4において、実施例1で得られたビ
ニル化合物変性オレフィン重合体組成物(B−1)の代
わりに、実施例2で得られたビニル化合物変性オレフィ
ン重合体組成物(B−2)を用いた以外は、実施例4と
同様にして、熱可塑性重合体組成物を得た。(C−2)
【0146】得られた熱可塑性重合体組成物を用い、曲
げ初期弾性率(FM)、ロックウェル硬度(HR)およ
びアイゾット衝撃強度(IZ)について、上記方法に従
って試験を行なった。その結果、この組成物の曲げ初期
弾性率(FM)は1590MPaであり、ロックウェル
硬度(HR)は85であり、アイゾット衝撃強度(I
Z)は430J/mであった。結果を表3に示す。
【0147】
【実施例6】実施例4において、実施例1で得られたビ
ニル化合物変性オレフィン重合体組成物(B−1)の代
わりに、実施例3で得られたビニル化合物変性オレフィ
ン重合体組成物(B−3)を用いた以外は、実施例4と
同様にして、熱可塑性重合体組成物を得た。(C−3)
【0148】得られた熱可塑性重合体組成物を用い、曲
げ初期弾性率(FM)、ロックウェル硬度(HR)およ
びアイゾット衝撃強度(IZ)について、上記方法に従
って試験を行なった。その結果、この組成物の曲げ初期
弾性率(FM)は1610MPaであり、ロックウェル
硬度(HR)は89であり、アイゾット衝撃強度(I
Z)は440J/mであった。結果を表3に示す。
【0149】
【表3】
【0150】
【参考例1】実施例1において、エチレン・ブテン共重
合体(密度:0.872g/cm3、エチレン含量:8
4モル%、MFR:7g/10分)を用いずに、ビニル
化合物変性エチレン系重合体と(A−1)を80重量部
と、および実施例1で用いたホモポリスチレン(日本ポ
リスチ;G590H)20重量部とを混合し、実施例1
と同様にしてビニル化合物変性エチレン系重合体組成物
(BB−1)を得た。その結果、JIS A硬度は8
8.5、引張強度は21.9MPaであった。結果を表
2に示す。
【参考例2】実施例4において、実施例1で得られたビ
ニル化合物変性エチレン系重合体組成物(B−1)にか
えて、参考例1で得られたビニル化合物変性エチレン系
重合体組成物(BB−1)を用いた以外は、実施例4と
同様にして熱可塑性重合体組成物(CC−1)を得た。
得られた熱可塑性重合体組成物を用い、曲げ初期弾性率
(FM)、ロックウェル硬度(HR)およびアイゾット
衝撃強度(IZ)について、上記方法に従って試験を行
なった。その結果、この組成物の曲げ初期弾性率(F
M)は1520MPaであり、ロックウェル硬度(H
R)は87であり、アイゾット衝撃強度(IZ)は23
0J/mであった。結果を表3に示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA02 AA15 AA77 AA82 AA86 AA88 AH05 AH07 AH12 BB03 BB05 BB06 BC01 BC07 4J002 BB03Z BB05X BB12Z BB15X BB17Z BC03Y BC06Y BC07Y BC09Y BG04Y BG06Y BN03W BN06W CB00Y CF06Y CF07Y CF08Y CF18Y CF19Y CG01Y CH07Y CL01Y 4J026 AA12 AC33 BA05 BA06 BA25 BA27 BA31 BA34 BA40 BB01 DA17 DB03 DB05 DB09 DB15 GA09

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】[I]プラグフロー型反応槽において、1
    35℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.0
    1〜10dl/gの範囲にあり、エチレン含量が35〜
    75モル%であ り、かつ、DSC法により結晶融解ピ
    ークが観測されないエチレン系重合体(A)に、芳香族
    ビニル化合物(b1)および極性基含有ビニル化合物
    (b2)から選ばれる少なくとも1種以上を含むビニル
    化合物(B)を、塊状重合法、塊状懸濁重合法および溶
    液重合 法のいずれかの重合法を用いて連続的にグラフ
    ト重合して得られるビニル化合 物変性エチレン系重合
    体:1〜94重量部と、[II]密度(ASTM D 1505)が
    0.86〜0.96g/cm3 のエチレン系重合体 :
    5〜98重量部 [III]DSCにより測定されるガラス転移温度(Tg)が
    30℃以上である熱可塑性重合体:1〜30重量部
    ([I]と[II]と[III]の合計量は100重量部とす
    る)とを含有してなることを特徴とするビニル化合物変
    性エチレン系重合体組成物。
  2. 【請求項2】前記エチレン系重合体(A)が、エチレン
    と、炭素原子数3〜20のα- オレフィン、ジエンおよ
    びトリエンの中から選ばれる1種以上の成分とからなる
    エチレン系共重合体であることを特徴とする請求項1に
    記載のビニル化合物変性エチレン系重合体組成物。
  3. 【請求項3】前記〔II〕エチレン系重合体が、エチレン
    と、炭素原子数3〜20のα- オレフィン、ジエンおよ
    びトリエンの中から選ばれる1種以上の成分とからなる
    エチレン系共重合体であることを特徴とする請求項1に
    記載のビニル化合物変性エチレン系重合体組成物。
  4. 【請求項4】請求項1から3のいずれかに記載のビニル
    化合物変性エチレン系重合体組成物からなることを特徴
    とする樹脂改質剤。
  5. 【請求項5】前記[I]ビニル化合物変性エチレン系重
    合体と、前記[II]エチレン系重合体と、前記[III]
    熱可塑性重合体と、[IV]DSCにより測定されるガラ
    ス転移温度(Tg)が30℃未満である熱可塑性重合体とか
    らなる熱可塑性重合体組成物であって、[I]と[II]
    と[III]を合計5〜90重量部含み、[IV]を95〜
    10重量部含み([I]、[II]、[III]、[IV]の
    合計は100重量部とする)、かつ[I]と[II]と
    [III]の合計量を100重量部とした場合において
    [I]は1〜94重量部であり、[II]は5〜98重量
    部であり、[III]は1〜30重量部の範囲にあること
    を特徴とする、熱可塑性重合体組成物。
  6. 【請求項6】請求項5に記載の熱可塑性重合体組成物か
    らなることを特徴とする成形体。
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