JP3518081B2 - ゴム強化ビニル系樹脂 - Google Patents

ゴム強化ビニル系樹脂

Info

Publication number
JP3518081B2
JP3518081B2 JP21026895A JP21026895A JP3518081B2 JP 3518081 B2 JP3518081 B2 JP 3518081B2 JP 21026895 A JP21026895 A JP 21026895A JP 21026895 A JP21026895 A JP 21026895A JP 3518081 B2 JP3518081 B2 JP 3518081B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber
cyclopentadienyl
copolymer
resin
bis
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP21026895A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0959325A (ja
Inventor
圭吾 檜垣
一公 山脇
一樹 岩井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
JSR Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JSR Corp filed Critical JSR Corp
Priority to JP21026895A priority Critical patent/JP3518081B2/ja
Publication of JPH0959325A publication Critical patent/JPH0959325A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3518081B2 publication Critical patent/JP3518081B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐衝撃性、耐候
性、着色性および成形外観に優れたゴム強化ビニル系樹
脂に関する。
【0002】
【従来の技術】主鎖に実質的に不飽和結合を含まないE
PM、EPDMをゴム成分とし、これにスチレン、アク
リロニトリルなどを共重合して得られるグラフト共重合
体(AES樹脂)は、共役ジエン系ゴムを用いたABS
樹脂に比べ、紫外線、酸素およびオゾンに対する抵抗性
が大きく、格段に耐候性が良いことが知られている。し
かし、従来のAES樹脂は成形外観が悪く、また低温特
性にも不満足な点がある。そこで、種々の改良がなされ
てきたが、ゴム成分中にα−オレフィンとしてプロピレ
ンを用いているため、成形外観や低温特性を従来以上に
改良することは困難であった。
【0003】一方、耐衝撃性が従来よりも優れたAES
樹脂が望まれている。耐衝撃性を高めるには、ゴム成分
量を増加させるか硬質樹脂成分(マトリックス成分)の
分子量を増加させる方法が考えられる。しかし、ゴム成
分量を増加させた場合、剛性や着色性の低下を招くこと
となり、硬質樹脂成分の分子量を増加させた場合、加工
性や成形外観の低下を招くこととなる。このように、従
来は、耐衝撃性と他の物性をバランスよく改良すること
が困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らはかかる問
題に鑑み、鋭意検討した結果、特定の触媒を用いて重合
したゴム状共重合体の存在下に特定量のビニル系単量体
を重合した特定の物性を有するゴム強化ビニル系樹脂
が、耐衝撃性、耐候性、着色性および成形外観に優れる
ことを見い出した。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載のゴム強
化ビニル系樹脂は、エチレン/炭素数3〜20のα−オ
レフィン/非共役ジエン=5〜95/95〜5/0〜3
0(重量%)の混合比からなる単量体をメタロセン系触
媒を用いて重合して得られるゴム状共重合体(A)5〜
80重量%の存在下でビニル系単量体95〜20重量%
を重合して得られ、かつ、グラフト率が5〜200%で
あり、メチルエチルケトン可溶分の固有粘度〔η〕が
0.1〜1.0dl/gであることを特徴とする。請求
項2に記載のゴム強化ビニル系樹脂は、請求項1に記載
のゴム強化ビニル系樹脂であって、上記ゴム状共重合体
(A)が、1.2〜20の分子量分布(M W /Mn
と、−110〜−40℃のガラス転移温度(Tg )と、
50〜100℃の融点(Tm )を有することを特徴とす
る。
【0006】
【発明の実施の形態】炭素数3〜20のα−オレフィン
(以下、「α−オレフィン」という。)としては、具体
的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−
ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、
1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサ
デセン、1−エイコセン等が挙げられる。これらのα−
オレフィンは、単独でまたは2種以上を混合して使用す
ることができる。α−オレフィンの炭素数は3〜20で
あるが、好ましくは3〜16、さらに好ましくは6〜1
2である。炭素数が20を超えると、共重合性が極端に
低下するため、樹脂の表面外観を著しく悪化させる。
【0007】エチレン/α−オレフィンの重量比は、5
〜95/95〜5であり、好ましくは50〜90/50
〜10、さらに好ましくは60〜88/40〜12、特
に好ましくは70〜85/30〜15である。α−オレ
フィンの重量比値が95を超えると耐候性が劣るので好
ましくない。また、5未満であるとゴム状共重合体のゴ
ム弾性が充分でないために耐衝撃性が発現しない。不飽
和基量はヨウ素価に換算して4〜40の範囲が好まし
い。
【0008】用いられる非共役ジエンとしては、アルケ
ニルノルボルネン類、環状ジエン類、脂肪族ジエン類が
挙げられ、好ましくは5−エチリデン−2−ノルボルネ
ンおよびジシクロペンタジエンである。これらの非共役
ジエン類は、単独でまたは2種以上を混合して使用する
ことができる。ゴム状共重合体(A)中の非共役ジエン
の含有量は0〜30重量%であり、好ましくは0〜15
重量%である。非共役ジエンの含有量が30重量%を超
えるとゲル化が進み、耐衝撃性、光沢が低下する。
【0009】本発明に用いるゴム状共重合体(A)を製
造するための重合反応は、通常、不活性な炭化水素溶媒
中で行われる。このような不活性炭化水素溶媒として
は、具体的には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オク
タン、デカン、ドデカン等の脂肪族炭化水素;シクロヘ
キサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベ
ンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等を挙
げることができる。これらの炭化水素溶媒は、単独でま
たは2種以上を混合して使用することができる。また、
原料モノマーも炭化水素溶媒として利用することができ
る。
【0010】以下、本発明に用いるゴム状共重合体
(A)を製造する際に使用されるメタロセン系触媒につ
いて、例を挙げて具体的に説明するが、これらの具体例
に限定されるものではない。本発明で用いるメタロセン
系触媒としては、下記成分(イ)および成分(ロ)から
なる触媒、または下記成分(ハ)および成分(ニ)から
なる触媒が挙げられる。
【0011】成分(イ)は、下記の一般式〔I〕で表され
る遷移金属化合物である。 R"s(C5Rm)p(R'nE)qMQ4-p-q ・・・〔I〕 式中、Mは周期律表第4族金属であり、(C5Rm)はシクロ
ペンタジエニル基、または置換シクロペンタジエニル基
であり、各Rは同一でも異なっていても良く、水素原
子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール
基、炭素数7〜40のアルカリール基、または炭素数7〜40
のアラルキル基であるか、あるいは2つの隣接する炭素
原子が結合して4〜8員の炭素環を作っているものであ
る。Eは非結合電子対を有する原子であり、R'は炭素数1
〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7
〜40のアルカリール基または炭素数7〜40のアラルキル
基であり、R"は炭素数1〜20のアルキレン基、ジアルキ
ルけい素、またはジアルキルゲルマニウムであって2つ
の配位子を結合する基であり、sは1またはOであり、sが
1のときmは4、nはEの原子価より2少ない数であり、sがO
のときmは5、nはEの原子価より1少ない数であり、n≧2
のとき各R'は同一でも異なっていてもよく、また各R'は
結合して環を作っていてもよい。Qは水素原子、ハロゲ
ン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリ
ール基、炭素数7〜40のアルカリール基または炭素数7〜
40のアラルキル基であり、pおよびqはO〜4の整数であ
り、かつ0<p+q≦4の関係を満たす。
【0012】成分(イ)の具体例としては、ビス(シク
ロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(シ
クロペンタジエニル)ジルコニウムジブロミド、ビス
(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス
(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル、ジ
メチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウ
ムジクロリド、ジメチルシリルビス(シクロペンタジエ
ニル)ジルコニウムジメチル、メチレンビス(シクロペ
ンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス
(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビ
ス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(イン
デニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス
(インデニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス
(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(4,
5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジ
クロリド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデ
ニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス
(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジ
ルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(4,5,
6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウム
ジメチル、エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒド
ロ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス
(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリ
ド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム
ジメチル、ジメチルシリルビス(3−メチル−1−シク
ロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレン
ビス(3−メチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコ
ニウムジクロリド、ビス(第3級ブチルシクロペンタジ
エニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス
(3−第3級ブチル−1−シクロペンタジエニル)ジル
コニウムジクロリド、ビス(1,3−ジメチルシクロペ
ンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリ
ルビス(2,4−ジメチル−1−シクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,2,4−トリ
メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリ
ド、ジメチルシリルビス(2,3,5−トリメチル−1
−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビ
ス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチル
シリルビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウ
ムジクロリド、ジメチルシリル(フルオレニル)(シク
ロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(第3級
ブチルアミド)(1,2,3,4,5−ペンタメチルシ
クロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチ
ルシリル(第3級ブチルアミド)(2,3,4,5−テ
トラメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウム
ジクロリド、メチレン(第3級ブチルアミド)(2,
3,4,5−テトラメチル−1−シクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムジクロリド、(フェノキシ)(1,
2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)
ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリル(o−フェノ
キシ)(2,3,4,5−テトラメチル−1−シクロペ
ンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレン(o
−フェノキシ)(2,3,4,5−テトラメチル−1−
シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチ
レン(o−フェノキシ)(2,3,4,5−テトラメチ
ル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリ
ド、ビス(ジメチルアミド)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ジエチルアミド)ジルコニウムクロリド、ビス
(ジ第3級ブチルアミド)ジルコニウムジクロリド、ジ
メチルシリルビス(メチルアミド)ジルコニウムジクロ
リド、ジメチルシリルビス(第3級ブチルアミド)ジル
コニウムジクロリド等や、これらの化合物におけるジル
コニウムを、チタニウムあるいはハフニウムに置換した
化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。これらの遷移金属化合物は、単独でまたは2種以上
を組合せて使用することができる。
【0013】また、成分(ロ)は下記一般式〔II〕で表
される線状アルミノキサン化合物および/または下記一
般式〔III 〕で表される環状アルミノキサン化合物であ
る。 R2 −Al−O−〔Al(R)−O〕n −Al−R2 ……〔II〕 〔Al(R)O−〕n+2 ……〔III 〕 式中、各Rは同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜
20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素
数7〜40のアルカリール基、または炭素数7〜40の
アラルキル基であり、好ましくはメチル基、エチル基、
特に好ましくはメチル基であり、nは2〜50、好まし
くは4〜30の整数である。これらのアルミノキサン化
合物は、単独でまたは2種以上を組合せて使用すること
ができる。前記(イ)成分と(ロ)成分との使用割合
は、遷移金属とアルミニウム原子とのモル比で、通常、
1:1〜1:100000、好ましくは1:5〜1:5
0000の範囲である。
【0014】さらに、成分(ハ)は、下記一般式〔IV〕
で表される遷移金属アルキル化合物である。 R″s (C5 m p (R′n E)q MR′′′4-p-q …〔IV〕 式中、Mは周期律表第4族金属であり、(C5 m )は
シクロペンタジエニル基または置換シクロペンタジエニ
ル基であり、各Rは同一でも異なっていても良く、水素
原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40の
アリール基、炭素数7〜40のアルカリール基、または
炭素数7〜40のアラルキル基であり、あるいは2つの
隣接する炭素原子が結合して4〜8員の炭素環を作って
おり、Eは非結合電子対を有する原子であり、R′は炭
素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール
基、炭素数7〜40のアルカリール基、または炭素数7
〜40のアラルキル基であり、R″は炭素数1〜20の
アルキレン基、ジアルキルけい素、またはジアルキルゲ
ルマニウムであって、2つの配位子を結合する基であ
り、sは1または0であり、sが1のときmは4、nは
Eの原子価より2少ない数であり、sが0のときmは
5、nはEの原子価より1少ない数であり、n≧2のと
き各R′は同一でも異なっていても良く、また各R′は
結合して環を作っていても良く、R′′′は炭素数1〜
20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素
数7〜40のアルカリール基、または炭素数7〜40の
アラルキル基であり、pおよびqは0〜3の整数であ
り、かつ0<p+q<4の関係を満たす。
【0015】成分(ハ)の具体例としては、ビス(シク
ロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(シク
ロペンタジエニル)ジルコニウムジエチル、ビス(シク
ロペンタジエニル)ジルコニウムジイソブチル、ビス
(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル、ビ
ス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジ{ビス(ト
リメチルシリル)メチル}、ジメチルシリルビス(シク
ロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシ
リルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジイソ
ブチル、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコ
ニウムジメチル、エチレンビス(シクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムジメチル、ビス(インデニル)ジルコ
ニウムジメチル、ビス(インデニル)ジルコニウムジイ
ソブチル、ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニ
ウムジメチル、メチレンビス(インデニル)ジルコニウ
ムジメチル、エチレンビス(インデニル)ジルコニウム
ジメチル、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデ
ニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス
(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジ
ルコニウムジメチル、エチレンビス(4,5,6,7−
テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジメチ
ル、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム
ジメチル、ジメチルシリルビス(3−メチル−1−シク
ロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(第3
級ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチ
ル、ジメチルシリルビス(3−第3級ブチル−1−シク
ロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1,
3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメ
チル、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)
ジルコニウムジイソブチル、ジメチルシリルビス(2,
4−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウ
ムジメチル、メチレンビス(2,4−ジメチル−1−シ
クロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、エチレン
ビス(2,4−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)
ジルコニウムジメチル、ビス(1,2,4−トリメチル
シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチ
ルシリルビス(2,3,5−トリメチル−1−シクロペ
ンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(フルオレ
ニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(フ
ルオレニル)ジルコニウムジメチル、(フルオレニル)
(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメ
チルシリル(フルオレニル)(シクロペンタジエニル)
ジルコニウムジメチル、(第3級ブチルアミド)(1,
2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)
ジルコニウムジメチル、ジメチルシリル(第3級ブチル
アミド)(2,3,4,5−テトラメチル−1−シクロ
ペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、メチレン(第
3級ブチルアミド)(2,3,4,5−テトラメチル−
1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
(フェノキシ)(1,2,3,4,5−ペンタメチルシ
クロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチル
シリル(o−フェノキシ)(2,3,4,5−テトラメ
チル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチ
ル、メチレン(o−フェノキシ)(2,3,4,5−テ
トラメチル−1−シクロペンタジエニル)ジルコニウム
ジメチル、ビス(ジメチルアミド)ジルコニウムジメチ
ル、ビス(ジエチルアミド)ジルコニウムジメチル、ビ
ス(ジ第3級ブチルアミド)ジルコニウムジメチル、ジ
メチルシリルビス(メチルアミド)ジルコニウムジメチ
ル、ジメチルシリルビス(第3級ブチルアミド)ジルコ
ニウムジメチル等や、これらの化合物中のジルコニウム
を、チタニウムあるいはハフニウムに置換した化合物が
挙げられるが、これらに限定されるものではない。これ
らの遷移金属アルキル化合物は、単独でまたは2種以上
を組合せて使用することができる。前記遷移金属アルキ
ル化合物は、予め合成した後に使用してもよいし、また
前記一般式〔IV〕におけるR″をハロゲン原子に置換し
た遷移金属ハライドと、トリメチルアルミニウム、トリ
エチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリ
ド、トリイソブチルアルミニウム、メチルリチウム、ブ
チルリチウム等の有機金属化合物とを反応系内で接触さ
せることにより形成させてもよい。
【0016】また、成分(ニ)は、下記一般式〔V〕で
表されるイオン性化合物である。 (〔L〕k+p (〔M' A1 2 ……An - q ……〔V〕 式中、〔L〕k+はブレンステッド酸またはルイス酸であ
り、M' は周期律表第13〜15族元素であり、A1
n はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜2
0のアルキル基、炭素数1〜30のジアルキルアミノ
基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜40の
アリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素
数7〜40のアルカリール基、炭素数7〜40のアラル
キル基、炭素数1〜40のハロゲン置換炭化水素基、炭
素数1〜20のアシルオキシ基、または有機メタロイド
基であり、kは、Lのイオン価で1〜3の整数であり、
pは1以上の整数であり、q=(k×p)である。
【0017】成分(ニ)の具体例としては、テトラフェ
ニルほう酸トリメチルアンモニウム、テトラフェニルほ
う酸トリエチルアンモニウム、テトラフェニルほう酸ト
リ−n−ブチルアンモニウム、テトラフェニルほう酸メ
チル(ジ−n−ブチル)アンモニウム、テトラフェニル
ほう酸ジメチルアニリニウム、テトラフェニルほう酸メ
チルピリジニウム、テトラフェニルほう酸メチル(2−
シアノピリジニウム)、テトラフェニルほう酸メチル
(4−シアノピリジニウム)、テトラキス(ペンタフル
オロフェニル)ほう酸トリメチルアンモニウム、テトラ
キス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸トリエチルアン
モニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう
酸トリ−n−ブチルアンモニウム、テトラキス(ペンタ
フルオロフェニル)ほう酸メチル(ジ−n−ブチル)ア
ンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほ
う酸ジメチルアニリニウム、テトラキス(ペンタフルオ
ロフェニル)ほう酸メチルピリジニウム、テトラキス
(ペンタフルオロフェニル)ほう酸メチル(2−シアノ
ピリジニウム)、テトラキス(ペンタフルオロフェニル
フェニル)ほう酸メチル(4−シアノピリジニウム)、
テトラキス〔ビス(3、5−ジトリフルオロメチル)フ
ェニル〕ほう酸ジメチルアニリニウム、テトラフェニル
ほう酸フェロセニウム、テトラフェニルほう酸銀、テト
ラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸フェロセニウ
ム等を挙げることができるが、これらに限定されるもの
ではない。これらのイオン性化合物は一種用いてもよ
く、二種以上を組み合わせて用いても良い。前記(ハ)
成分と(ニ)成分の使用割合は、モル比で、通常、1:
0.5〜1:20、好ましくは1:0.8〜1:10の
範囲である。
【0018】本発明のゴム状共重合体(A)を製造する
際には、触媒成分の少なくとも一種を適当な担体に担持
して用いることができる。担体の種類については特に制
限はなく、無機酸化物担体、それ以外の無機担体、およ
び有機担体のいずれも用いることができる。また担持方
法についても特に制限はなく、公知の方法を適宜利用し
てよい。
【0019】ゴム強化ビニル系樹脂の用途に応じて、本
発明で用いるゴム状共重合体(A)の分子量分布(MW
/Mn )を本発明の範囲内で選択することができる。す
なわち、ゴム状共重合体の分子量分布が1.2以上3未
満の場合には、ビニル系単量体のグラフト反応が均一に
起こりやすく、その結果、高光沢の樹脂を得ることがで
きる。この場合の好ましい範囲は1.7〜2.2であ
る。それに対し、分子量分布が3以上20以下の場合に
は耐衝撃性に優れた樹脂が得られる。この場合の好まし
い範囲は3.5〜10である。上記のような分子量分布
を制御されたゴム状共重合体は、メタロセン系触媒を使
用することで任意に製造することができる。
【0020】またゴム状共重合体(A)のガラス転移温
度(Tg )は−110〜−40℃、好ましくは−70〜
−50℃であり、かつ、ゴム状共重合体(A)の融点
(Tm)が30〜100℃、好ましくは40〜70℃で
ある場合、耐衝撃性と加工性のバランスに優れたゴム強
化ビニル系樹脂が得られる。
【0021】本発明のゴム強化ビニル系樹脂の製造方法
としては、前記ゴム状共重合体(A)の存在下にビニル
系単量体をラジカル重合する公知の方法、例えば溶液重
合法、塊状重合法、更に各種のホモミキサー、ホモジナ
イザー等の乳化・分散機器を用いてゴム成分を再乳化・
再分散し、そのゴム成分を使用する乳化重合法、懸濁重
合法が挙げられる。透明性、着色性に優れた樹脂を得る
ためには溶液重合法、もしくは塊状重合法が好ましい。
特に好ましいのは溶液重合法である。
【0022】以下に、例として溶液重合法について詳細
に述べる。溶液重合では、溶剤が用いられる。溶剤は、
通常のラジカル重合で使用される不活性重合溶剤であ
り、例えばエチルベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化
水素、メチルエチルケトン、アセトンなどのケトン類、
ジクロルメチレン、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水
素、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N−メチ
ルピロリドンなどが挙げられる。溶剤の使用量は、(ゴ
ム状共重合体(A)+全単量体)100重量部に対し、
好ましくは20〜200重量部、さらに好ましくは50
〜150重量部程度である。
【0023】重合温度は80〜140℃、好ましくは8
5〜130℃、さらに好ましくは90〜120℃であ
る。重合温度が80℃未満では、重合後半になるとポリ
マー粘度が高くなり、安定な運転が困難である。また、
重合温度が140℃を超えると、熱による開始反応に起
因する低分子量成分が増す。
【0024】本発明の重合に際しては、例えばケトンパ
ーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパ
ーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパーオキ
サイドなどの有機過酸化物が重合開始剤として使用され
る。
【0025】連鎖移動剤としては、例えばメルカプタン
類、α−メチルスチレンダイマーなどを用いることがで
きる。また、フェノール系やリン系の酸化安定剤、ベン
ゾトリアゾール系やヒンダードアミノ系の光安定剤、ス
テアリルアルコールやエチレンビスステアロアマイドな
どの滑剤などの他の添加剤を混合することができる。
【0026】本発明を溶液重合で行う場合、バッチ重合
と連続重合のどちらでも良い。また、反応系が実質的に
均一となるような混合状態を保持する実施形態について
は、特に限定はしないが、通常はリボン型攪拌翼、ター
ビン型攪拌翼、スクリュー型攪拌翼、錨型攪拌翼等によ
る攪拌混合、あるいは反応系の外部に設けられたポンプ
等による循環混合等が使用され、これらの組み合わせも
好適である。また、連続重合の場合、第2基目以降の重
合器には、管型重合器、押出機型重合器、ニーダー型重
合器等を用いることもできる。
【0027】次に、重合反応により得られる反応物か
ら、溶剤、未反応単量体などを脱溶し、共重合体を回収
する方法としては、水中へ懸濁分散させてスチームスト
リッピングする方法、共重合体溶液を予熱し、減圧下フ
ラッシングする方法、あるいは直接ベント付き押し出し
機で脱溶する方法など、一般的な方法を選ぶことができ
る。一方、他の重合方法についても常法に従って実施す
ることができる。
【0028】本発明で用いるビニル系単量体としては、
芳香族ビニル、シアン化ビニル、(メタ)アクリル酸エ
ステル、不飽和カルボン酸、α,β−不飽和ジカルボン
酸のイミド化合物等を使用することができる。このう
ち、使用可能な芳香族ビニル単量体には、スチレン、α
−メチルスチレン、メチルスチレン、ビニルキシレン、
モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、モノブロムス
チレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、p−t
ert−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフ
タレンなどがあり、好ましくはスチレンまたはα−メチ
ルスチレンであり、特に好ましくはスチレンである。
【0029】シアン化ビニルとしては、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリルなどがあり、特にアクリロニト
リルが好ましい。
【0030】(メタ)アクリル酸エステルとしては、メ
チルアクリレート、エチルアクリレート、プロピレンア
クリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレー
ト、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2
−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリ
レート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレ
ート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレートな
どのアクリル酸アルキルエステル;メチルメタクリレー
ト、エチルメタクリレート、プロピレンメタクリレー
ト、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘ
キシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−
エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタク
リレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタ
クリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタク
リレートなどのメタクリル酸アルキルエステルなどが挙
げられる。特にメチルメタクリレートが好ましい。
【0031】不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、
メタクリル酸などの不飽和酸および無水マレイン酸、無
水イタコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和酸無水物が
使用可能である。
【0032】α,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合
物としては、マレイミド、およびN−メチルマレイミ
ド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイ
ミドなどのN−アルキルマレイミドやN−(p−メチル
フェニル)マレイミド、N−フェニルマレイミドなどの
N−芳香族マレイミドが挙げられる。上記マレイミドは
全て対応するα,β−不飽和ジカルボン酸をイミド化合
物としてから使用しても良いし、対応するα,β−不飽
和ジカルボン酸を共重合した後にイミド化するという方
法をとっても良い。このうち好ましいのはN−シクロヘ
キシルマレイミドおよびN−フェニルマレイミドであ
る。
【0033】これらのビニル系単量体は、2種以上を組
み合わせて使用するのが好ましく、特に好ましい単量体
の組み合わせの具体例を以下に例示すると、スチレン
−アクリロニトリル、スチレン−メチルメタクリレー
ト、スチレン−アクリロニトリル−メチルメタクリレ
ートである。上記のスチレンの一部または全部をα−メ
チルスチレンに置換えることで、耐熱性を付与すること
ができる。またスチレンの一部または全部をハロゲン化
スチレンで置換えることで、難燃性を付与することがで
きる。また、上記の単量体の組み合わせでメチルメタク
リレートを併用すると、ゴム強化ビニル系樹脂の透明性
が向上し、優れた着色性を有する。
【0034】本発明におけるゴム状共重合体(A)/ビ
ニル系単量体の使用比率は5〜80/95〜20重量
%、好ましくは5〜60/95〜40重量%、さらに好
ましくは10〜40/90〜60重量%である。ゴム状
共重合体(A)の使用比率が5重量%未満の場合は、耐
衝撃性に劣り、80重量%を超える場合は、樹脂の表面
硬度が低下するため好ましくない。
【0035】本発明のゴム強化ビニル系樹脂のグラフト
率は、5〜200%の範囲であり、好ましくは20〜1
40%、さらに好ましくは30〜80%である。グラフ
ト率が5%未満の場合、グラフトしていないために、ゴ
ム相とマトリックス相の界面接着力の低下から耐衝撃性
が発現せず、200%を超えると成形加工性が悪化す
る。
【0036】また、上記のゴム強化ビニル系樹脂は、メ
チルエチルケトン可溶分の固有粘度〔η〕(30℃で測
定)は0.1〜1.0dl/g、好ましくは0.2〜
0.7dl/g、さらに好ましくは0.24〜0.6d
l/gである。固有粘度〔η〕が0.1dl/g未満の
場合は耐衝撃性が不十分となり、1.0dl/gを超え
る場合は流動性の低下により成形加工性が悪化する。
【0037】本発明のゴム強化ビニル系樹脂は目的に応
じて下記の他の熱可塑性樹脂とブレンドし、ゴム強化ビ
ニル系樹脂組成物とすることが可能である。例えば、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩素化
ポリエチレン、BR、NBR、SBR、S−B−Sブロ
ック共重合体、水添S−B−S、ポリスチレン、HIP
S、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ABS樹
脂、AES樹脂、ASA樹脂、ポリスルホン、ポリエー
テルスルホン、N−シクロヘキシルマレイミド共重合体
スチレン系樹脂、N−フェニルマレイミド共重合体スチ
レン系樹脂、MBS樹脂、メタクリル酸メチル−スチレ
ン共重合体、S−I−Sブロック共重合体、ポリイミ
ド、PPS、ポリエーテルエーテルケトン、フッ化ビニ
リデン重合体、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポ
リアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル系エ
ラストマー、PPE樹脂等を例示できる。また、これら
のブレンド比率は、本発明のゴム強化ビニル系樹脂/他
の熱可塑性樹脂=1〜99/99〜1(重量%)であ
る。
【0038】ゴム強化ビニル系樹脂組成物中のゴム状共
重合体(A)の含有量(以下、ゴム含有量という)は、
目的に応じて任意に選ぶことができるが、樹脂の耐衝撃
性、成形性や透明性を満足するために、その範囲は5〜
70重量%、好ましくは10〜65重量%である。ゴム
含有量が5重量%未満では耐衝撃性の不十分な樹脂しか
得られず、また70重量%を超えると表面硬度が低下す
るため好ましくない。
【0039】本発明のゴム強化ビニル系樹脂および組成
物の全光線透過率は、好ましくは30%以上、さらに好
ましくは40%以上である。全光線透過率が30%以上
の場合、着色性が向上し、優れた成形外観の成形体を得
ることができる。
【0040】ゴム強化ビニル系樹脂組成物を得る方法を
具体的に説明すると、重合終了後の反応混合物である溶
液−溶液または溶液−ラテックス等の状態のままで両者
を混合した後、樹脂組成物の回収操作を行っても良い
し、あるいは、樹脂回収操作後の粉体−粉体、粉体−ペ
レット、ペレット−ペレット等の形態で両者を混合して
ゴム強化ビニル系樹脂組成物を製造しても良い。前記ゴ
ム強化ビニル系樹脂と他の熱可塑性樹脂との混練り方法
としては、各種押出機、バンバリーミキサー、ニーダ
ー、ロールなどが使用される。好ましい混練方法は、押
出機を用いる方法である。
【0041】なお、本発明のゴム強化ビニル系樹脂およ
びこれを用いた組成物に対し、ヒンダードフェノール
系、リン系および硫黄系などの酸化防止剤や、光安定
剤、紫外線吸収剤、滑剤、着色剤、難燃剤、増強剤など
通常用いられる添加剤を、添加することができる。
【0042】本発明のゴム強化ビニル系樹脂およびこれ
を用いた組成物の成形法としては、射出成形形圧縮成
形、押出成形などがあるが、通常は射出成形法によって
成形される。射出成形法の場合は、射出成形機のシリン
ダー温度を通常180〜280℃、好ましくは200〜
240℃に、金型温度を40〜100℃、好ましくは5
0〜80℃の温度条件に設定して成形される。以上に述
べたところから明らかなように、本発明は下記のゴム強
化ビニル系樹脂を含むものである。 (1)エチレン/炭素数6〜20のα−オレフィン/非
共役ジエン=5〜95/95〜5/0〜30(重量%)
の混合比からなる単量体をメタロセン系触媒を用いて重
合して得られるゴム状共重合体(A)5〜80重量%の
存在下でビニル系単量体95〜20重量%を重合して得
られ、かつ、グラフト率が5〜200%であり、メチル
エチルケトン可溶分の固有粘度〔η〕が0.1〜1.0
dl/gであることを特徴とするゴム強化ビニル系樹
脂。 (2) 上記ゴム状共重合体(A)が、1.2以上3未
満の分子量分布(MW/Mn )と、−110〜−40℃
のガラス転移温度(Tg )と、50〜100℃の融点
(Tm )を有する上記(1)のゴム強化ビニル系樹脂。 (3) 上記ゴム状共重合体(A)が、3以上20以下
の分子量分布(MW /Mn )と、−110〜−40℃の
ガラス転移温度(Tg )と、50〜100℃の融点(T
m )を有する上記(1)のゴム強化ビニル系樹脂。 かくして得られるゴム強化ビニル系樹脂およびこれを用
いた組成物は、耐衝撃性、耐候性、着色性、および成形
外観に優れているため、これらの特性を活かした種々の
用途に広く利用することができる。
【0043】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明は、これら実施例に制限されるもの
ではない。なお、以下の文中の「部」「%」は全て「重
量部」「重量%」を表わしており、各種物性試験は下記
の要領に従って測定した。
【0044】(1)エチレン含量 エチレン−α−オレフィン共重合体を、 1H−NMR、
13C−NMRを用いて、エチレン/α−オレフィン組成
比を求め、これとあらかじめ求めておいた赤外分析の結
果との関係を示す検量線を作成した。この検量線をもと
に各実施例で得られる共重合体の組成を求めた。 (2)ガラス転移温度(Tg )および融点(Tm ) DSC(示差走査熱量計)測定法により測定した。 (3)分子量分布(MW /Mn ) WATERS社製150C型ゲルパーミエーションクロ
マトグラフィー(GPC)装置を用い、o−ジクロロベ
ンゼンを溶媒として120℃で測定した。
【0045】(4)グラフト率および固有粘度〔η〕の
測定 グラフト重合体の一定量(x)をアセトン中に投入し、
振とう機で2時間振とうし、遊離の共重合体を溶解させ
る。遠心分離機を用いて、この溶液を23000rpm
で30分間遠心分離し、不溶分を得る。次に真空乾燥に
より、120℃で1時間乾燥し不溶分(y)を得る。グ
ラフト率を次式より算出した。 グラフト率(%)=〔(y)−(x)×グラフト重合体
中のゴム分率〕/〔(x)×グラフト重合体中のゴム分
率〕×100 固有粘度〔η〕はメチルエチルケトン(MEK)可溶分
をMEK中30℃で測定した。 (5)アイゾット衝撃強度:ASTM D−256 (断面1/4×1/2インチ、ノッチ付き) (6)耐候性:カーボンアークを光源とするサンシャイ
ンウェザオメーター(スガ試験機株式会社WEL−6X
S−DC)で1000時間曝露した後、アイゾット衝撃
強度を測定し、保持率を算出した。 試験条件 ブラックパネル温度 63±3℃ 槽内温度 60±5%RH 降雨サイクル 2時間ごとに18分 カーボン交換サイクル 60Hr アイゾット衝撃強度 ASTM D−256 (断面1/8×1/2インチ) (7)ロックウェル硬度(Rスケール):ASTM D
−785 (8)全光線透過率:ASTM D−1003(3.2
mm厚)
【0046】(9)着色性:熱可塑性樹脂組成物を下記
配合量にて配合して、押出機を通して着色ペレットを得
た。それをさらに成形して色調評価プレートを得た。ま
た、黒色配合物の着色性については式差計にて明度を測
定し、マンセル色数値(値が大きい程着色性は悪い)で
表わした。他の着色配合については、彩度を目視で判定
した。 黒色配合 樹脂 100 カーボンブラック 0.5 ステアリン酸Ca 0.3 赤色配合 樹脂 100 ベンガラ 1.0 ステアリン酸Ca 0.5 青色配合 樹脂 100 群青 1.0 ステアリン酸Ca 0.5 判定基準 ◎:非常に鮮明である。 ○:鮮明である。 △:○と×のあいだ。 ×:鮮明さが不足。 ××:鮮明さがない。 (10)フローマーク 型締め圧力120tonの射出成形機を用い、肉厚2.
5mm、縦横の長さ各々150×150mmの平板を成
形し(成形温度220℃)、フローマークの発生状況を
目視で判定した。 ○:全く発生なし △:部分的に発生 ×:全面に発生 (11)表面光沢:ASTM D−523(θ=45°)
【0047】〔ゴム状共重合体No.1〕充分に窒素置
換した内容量20リットルのステンレス製オートクレー
ブに精製トルエン8リットル、精製トルエン40ミリリ
ットル中に溶解したアルミニウム原子換算で60ミリモ
ルのメチルアルミノキサンを加え、40℃に昇温したの
ち、エチレン1.5リットル/hr、プロピレン3.5
リットル/hrを連続的に供給した。次いで、精製トル
エン12ミリリットル中に溶解したジシクロペンタジエ
ニルジルコニウムジクロリド12μモルを添加して、重
合を開始させた。反応中は温度を40℃に保ち、連続的
にエチレン、プロピレンを供給しつつ、20分間反応を
行った。その後、メタノールを投入して反応を停止さ
せ、水蒸気蒸留にて反応溶液より926gのポリマーを
回収した。
【0048】〔ゴム状共重合体No.2〜4およびN
o.6〜8〕α−オレフィン、非共役ジエンの種類、量
を変更した以外はゴム状共重合体No.1と同様の方法
で合成を行った。
【0049】〔ゴム状共重合体No.5〕エチレン/1
−オクテン共重合ゴムENGAGE#8200(DOW
社製)を用いた。
【0050】〔ゴム状共重合体No.9〕内容積10リ
ットルの連続重合装置を用いて共重合を行った。窒素ガ
スで十分に置換された重合容器に、エチルアルミニウム
セスキクロライド6.5g/Hr、三塩化オキシバナジ
ウム0.15g/Hr、n−ヘキサン7.2L/Hr、
ブテン−1 615g/Hr流量で連続供給し、温度2
0℃に維持し、水素を3NL/Hrの流量で、かつ圧力
を3.0kgG/cm2 になるようにエチレンを連続供
給し、滞留時間1Hrの条件で重合を行った。反応器か
ら抜き出された重合液に、反応を停止させるため少量の
水を加え、溶媒を水蒸気蒸留にて系外に追い出した後、
仕上工程にて乾燥してゴム状共重合体No.9を得た。
以上のゴム状共重合体No.1〜No.9の組成および
物性を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】〔実施例1〕リボン型攪拌翼を備えた内容
積10リットルのステンレス製オートクレーブにゴム状
重合体No.1を20部、スチレン4部、メチルメタク
リレート76部、トルエン100部およびターシャリー
ドデシルメルカプタン0.1部を仕込み、攪拌し、均一
溶液にし、昇温し50℃にてt−ブチルパーオキシイソ
プロピルカーボネート0.5部を添加し、さらに昇温
し、95℃に達した後は95℃で一定に制御しながら攪
拌回転数200rpmにて重合反応を行わせた。反応開
始後6時間目から1時間を要して120℃まで昇温し、
さらに2時間反応を行って終了した。100℃まで冷却
後2,2−メチレンビス−4−メチル−6−t−ブチル
フェノール0.2部を添加した後、反応混合物をオート
クレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により未反応物と溶
媒を留去し、細かく粉砕したのち40mmφベント付押
出機(220℃、700mmHg真空)にて実質的に揮
発分を留去するとともにゴム強化ビニル系樹脂をペレッ
ト化した。
【0053】〔実施例2〜5〕ベースゴムをNo.2〜
5に変更し、共重合させる単量体の種類、比率を変えた
以外は、実施例1と同様の方法でゴム強化ビニル系樹脂
を得た。
【0054】〔実施例6〕ゴム状共重合体No.1を1
00部、シクロヘキサン1000部に溶解させた後、オ
レイン酸7.0部を加え70℃に保った溶液(a)を調
製した。水酸化カリウム1.0部を水300部に溶解さ
せ、70℃に保った水溶液(b)を3000rpmでホ
モミキサーをかけながら、これに溶液(a)を徐々に添
加し、乳化溶液を得た。この乳化溶液からシクロヘキサ
ンを除去したラテックス20部、水180部、オレイン
酸カリウム10部の混合液にピロリン酸ソーダ0.2
部、デキストローズ0.2部、硫酸第1鉄0.004
部、クメンヒドロペルオキシド0.4部を加えた。これ
に、スチレン11部、メチルメタクリレート60部、ア
クリロニトリル9部とt−ドデシルメルカプタン0.3
部の混合物を、反応器へ窒素気流下で攪拌して滴下し
た。滴下時間は2時間で、重合温度は60℃であった。
得られた樹脂ラテックスを凝固し、乾燥後ペレット化し
た。
【0055】〔実施例7〜9〕ゴム状共重合体No.1
の使用量、および共重合する単量体の種類、比率を変更
した以外は実施例−1と同様の方法でゴム強化ビニル系
樹脂を得た。さらに、このゴム強化樹脂と他の熱可塑性
樹脂とをブレンドし、40mmφベント押出機にて混練
りすることにより、ゴム強化ビニル系樹脂組成物を得
た。
【0056】〔比較例1〜4〕ベースゴムをNo.6〜
9に変更した以外は実施例1と同様の方法でゴム強化ビ
ニル系樹脂を得た。
【0057】〔比較例5.6〕ゴム状共重合体No.1
の使用量および共重合する単量体の種類、比率を変更し
た以外は実施例1と同様の方法でゴム強化ビニル系樹脂
を得た。
【0058】〔比較例7〕リボン型攪拌翼を備えた内容
積10リットルのステンレス製オートクレーブにゴム状
重合体No.1を20部、スチレン56部、アクリロニ
トリル24部、トルエン300部およびターシャリード
デシルメルカプタン2.0部を仕込み、攪拌し、均一溶
液にし、昇温し50℃にてt−ブチルパーオキシイソプ
ロピルカーボネート1.2部を添加し、さらに昇温し、
105℃に達した後は105℃で一定に制御しながら攪
拌回転数200rpmにて重合反応を行わせた。反応開
始後3時間目から1時間を要して120℃まで昇温し、
さらに3時間反応を行って終了した。その後は、実施例
1と同様の処理を行った。
【0059】〔比較例8〕オレイン酸カリウムを5部、
クメンヒドロペルオキシドを0.2部とし、t−ドデシ
ルメルカプタンを0部とした上で、重合温度を50℃、
滴下時間を5時間とした以外は、実施例6と同様の方法
で、ゴム強化ビニル系樹脂を得た。以上の実施例、比較
例の各物性を測定した結果を表2および表3に示す。
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【発明の効果】表2、3に示した本発明のゴム強化ビニ
ル系樹脂に関する実施例、比較例からも明らかなよう
に、本発明のゴム強化ビニル系樹脂およびこれを用いた
組成物は、耐衝撃性、耐候性、着色性、成形外観に優れ
ているため、産業の幅広い分野での大いなる利用が期待
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−17541(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 255/00 - 255/06

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン/炭素数3〜20のα−オレフ
    ィン/非共役ジエン=5〜95/95〜5/0〜30
    (重量%)の混合比からなる単量体をメタロセン系触媒
    を用いて重合して得られるゴム状共重合体(A)5〜8
    0重量%の存在下でビニル系単量体95〜20重量%を
    重合して得られ、かつ、グラフト率が5〜200%であ
    り、メチルエチルケトン可溶分の固有粘度〔η〕が0.
    1〜1.0dl/gであることを特徴とするゴム強化ビ
    ニル系樹脂。
  2. 【請求項2】 上記ゴム状共重合体(A)が、1.2〜
    20の分子量分布(MW /Mn )と、−110〜−40
    ℃のガラス転移温度(Tg )と、30〜100℃の融点
    (Tm )を有することを特徴とする請求項1に記載のゴ
    ム強化ビニル系樹脂。
JP21026895A 1995-08-18 1995-08-18 ゴム強化ビニル系樹脂 Expired - Fee Related JP3518081B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21026895A JP3518081B2 (ja) 1995-08-18 1995-08-18 ゴム強化ビニル系樹脂

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21026895A JP3518081B2 (ja) 1995-08-18 1995-08-18 ゴム強化ビニル系樹脂

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0959325A JPH0959325A (ja) 1997-03-04
JP3518081B2 true JP3518081B2 (ja) 2004-04-12

Family

ID=16586585

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP21026895A Expired - Fee Related JP3518081B2 (ja) 1995-08-18 1995-08-18 ゴム強化ビニル系樹脂

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3518081B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4103972B2 (ja) * 1998-04-17 2008-06-18 テクノポリマー株式会社 ゴム変性熱可塑性樹脂
JP4103973B2 (ja) * 1998-04-20 2008-06-18 テクノポリマー株式会社 ゴム変性熱可塑性樹脂およびその組成物
JP3946891B2 (ja) * 1998-12-11 2007-07-18 三井化学株式会社 ビニル化合物変性オレフィン重合体
JP2002256036A (ja) * 2001-03-01 2002-09-11 Techno Polymer Co Ltd ゴム強化ビニル系樹脂およびゴム強化ビニル系樹脂組成物
KR100802976B1 (ko) * 2004-02-26 2008-02-14 닛뽄세이시케미카루가부시키가이샤 변성 폴리올레핀 수지, 및 이를 함유하는 접착제, 프라미어, 결합제, 조성물 및 폴리올레핀 성형체
US20220380507A1 (en) * 2020-07-08 2022-12-01 Lg Chem, Ltd. Method of preparing graft copolymer and graft copolymer prepared by the same

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0959325A (ja) 1997-03-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH08100029A (ja) シクロオレフィンポリマー
JP2007517087A (ja) 混成担持メタロセン触媒を利用した加工性及び耐圧特性に優れた給水管パイプ用ポリエチレン及びその製造方法
JP6622186B2 (ja) クロス共重合体及び樹脂組成物
JP3596126B2 (ja) ゴム強化熱可塑性樹脂の製造方法
JP3518081B2 (ja) ゴム強化ビニル系樹脂
JPH10316711A (ja) メタロセン触媒による櫛形重合体の製造方法
JP3939836B2 (ja) ゴム変性熱可塑性樹脂組成物
JP5430117B2 (ja) 耐熱性クロス共重合体の製造方法、得られる耐熱性クロス共重合体、及びその用途
JP3520637B2 (ja) ゴム強化熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂組成物
JP2002256036A (ja) ゴム強化ビニル系樹脂およびゴム強化ビニル系樹脂組成物
JP2002053625A (ja) ゴム強化ビニル系樹脂、その製造方法およびゴム強化ビニル系樹脂組成物
EP3950740A1 (en) Olefin-based polymer
JPH11130828A (ja) ブロック共重合体、および該共重合体の製造方法
JP4103973B2 (ja) ゴム変性熱可塑性樹脂およびその組成物
JP2002003553A (ja) クロス鎖にポリエンを含むクロス共重合体及びその製造方法
JP3255536B2 (ja) 環状オレフィン系重合体組成物
JP4103972B2 (ja) ゴム変性熱可塑性樹脂
JP2001098135A (ja) ビニル化合物変性エチレン系重合体組成物、該組成物からなる樹脂改質剤、熱可塑性重合体組成物および該組成物からなる成形体
JP3946891B2 (ja) ビニル化合物変性オレフィン重合体
JP3493241B2 (ja) 環状オレフィン系重合体組成物およびそれに用いるコア・シェルエラストマー
JP2021518879A (ja) オレフィン系共重合体及びその製造方法
JP4403673B2 (ja) ポリスチレン系樹脂組成物
JPH09132618A (ja) ゴム強化熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂組成物
JP4146289B2 (ja) 軟質性重合体
JP2002265721A (ja) 重合体組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040106

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040119

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090206

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090206

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100206

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100206

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110206

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120206

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120206

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130206

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140206

Year of fee payment: 10

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees