JP4146289B2 - 軟質性重合体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴム変性重合体からなる軟質性重合体、特に、軟質熱可塑性樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンや、ポリ塩化ビニルからなる軟質熱可塑性樹脂は知られている。しかしながら、これらの従来の軟質熱可塑性樹脂の場合、溶着性、塗装性といった二次加工性に劣るため、その応用範囲は限定されている。また、該熱可塑性樹脂は、軟質性とするために可塑剤、軟質剤等の添加剤が加えられており、これらの添加剤が使用時にブリードアウトし、表面がベト付くという欠点があり、環境衛生上も好ましくない。さらに、ポリ塩化ビニルの場合、焼却時にダイオキシン発生の原因となる。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−41283号公報
【特許文献2】
特開平9−87483号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、溶着性、塗装性といった二次加工性に優れ、かつ、上記可塑剤、軟質剤などの添加剤をしなくても十分な弾力性と柔軟性を備え、環境衛生上の点で好ましいプラスチック材料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的のもとに鋭意研究した結果、特定のゴム状重合体の存在下に特定のビニル系単量体を重合して得られるゴム変性重合体によって、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、ムーニー粘度(ASTM D1646,ML(1+4)121℃)が8以下であるゴム状重合体(A)の存在下に(メタ)アクリル酸エステルを含むビニル系単量体(B)を重合して得られ、曲げモジュラス(ISO)が700MPa以下であるゴム変性重合体(C)からなる軟質性重合体が提供される。
【0006】
本発明の軟質性重合体は、ゴム状重合体(A)からなる幹ポリマーに上記ビニル系単量体(B)をグラフト重合させたものである点で、公知のAES樹脂などのゴム変性樹脂と製造方法の点では類似する。しかしながら、本発明の軟質性重合体は、公知のゴム変性樹脂とはモルフォロジーの点で明らかに異なった特徴を備えている。すなわち、公知のゴム変性樹脂はビニル系単量体の(共)重合体からなるマトリックス中にゴム状重合体が分散した島海構造を有するのに対し、本発明の軟質性重合体は、ゴム状重合体(A)からなるマトリックス中に、上記ビニル系単量体(B)の(共)重合体が分散した島海構造を有する。その結果、本発明の軟質性重合体は、公知のゴム変性樹脂とは異なり、アセトンに難溶又は不溶であるという特徴と有する。
【0007】
かくして得られた本発明の軟質性重合体は、曲げモジュラス(ISO)が700MPa以下であるため、ポリ塩化ビニルやポリオレフィンからなる従来の軟質性プラスチック材料の代替品として有用である。
さらに、本発明の軟質性重合体は、従来の軟質性プラスチック材料に無い優れた性能を備えている。すなわち、本発明の軟質性重合体は、低温から高温までの広い温度領域で安定した柔軟性を示し、しかも弾力性と柔軟性を兼ね備え、さらには、溶着性、塗装性等の二次加工性にも優れている。しかも、本発明によれば、透明性、耐候性、耐薬品性、低温特性にも優れた軟質性重合体を提供することができる。また、ポリ塩化ビニルとは異なり、本発明の軟質性重合体は、焼却時にダイオキシンの発生が少なく、可塑剤、軟化剤等の添加剤を添加する必要も無いため、環境に優しいプラスチック材料である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
(A)ゴム状重合体
本発明においてゴム状重合体(A)は、ムーニー粘度(ASTM D1646,ML(1+4)121℃)が8以下である限り特に制限されない。好ましいゴム状重合体(A)としては、エチレン・α−オレフィン系共重合ゴム、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合ゴムなどのエチレン・α−オレフィン系共重合ゴムが挙げられる。かかるエチレン・α−オレフィン系共重合ゴムのうち、エチレン単量体単位、α−オレフィン単量体単位、および、必要に応じて、非共役ジエン単量体単位を、メタロセン触媒の存在下に重合したものが更に好ましい。
【0009】
上記α−オレフィンとしては、通常、炭素数3〜20のα−オレフィンが用いられる。α−オレフィンの炭素数が20を超えると、共重合性が極端に低下するため、ゴム変性重合体(C)より得られる成形品の表面外観を著しく悪化させるので、好ましくない。α−オレフィンの炭素数の好ましい範囲は3〜16であり、中でも好ましいのは3〜12であり、特に好ましくは8である。α−オレフィンの具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセンなどが挙げられ、好ましくは1−オクテンである。これらのα−オレフィンは、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
【0010】
エチレン単量体単位とα−オレフィン単量体単位との重量割合(エチレン/α−オレフィン)は、20/80〜99/1、好ましくは40/60〜95/5である。ここで、「/」は分数の横線を意味し、以下も同じである。また、単量体単位とは、単量体から重合により形成される繰り返し単位のことである。α−オレフィン単量体単位の割合が多くなるとゴム状重合体(A)の耐候性が劣り、また少なすぎるとゴム状重合体(A)のゴム弾性が充分でないために耐衝撃性が発現しないので、いずれも好ましくない。
【0011】
エチレン・α−オレフィン系共重合ゴムの製造に使用される非共役ジエンとしては、アルケニルノルボルネン類、環状ジエン類、脂肪族ジエン類などが挙げられ、好ましくは5−エチリデン−2−ノルボルネンおよびジシクロペンタジエンである。これらの非共役ジエン類は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。エチレン・α−オレフィン系共重合ゴム中の非共役ジエン単量体単位の量は、エチレン単量体単位とα−オレフィン単量体単位の合計量に対して0〜20重量%である。非共役ジエン単量体単位の量が20重量%を超えるとゲル化が進み、耐衝撃性が低下する。非共役ジエン単量体単位の量の好ましい範囲は、0〜15重量%である。
【0012】
エチレン・α−オレフィン系共重合ゴムを製造するための重合反応は、通常、不活性な炭化水素類の溶媒中で行われる。このような不活性炭化水素溶媒としては、具体的には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカンなどの脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類などを挙げることができる。これらの炭化水素類の溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用できる。また、エチレン・α−オレフィン系共重合ゴムの製造用原料である上記単量体も、炭化水素類の溶媒として利用できる。
【0013】
メタロセン系触媒としては、例えば、下記成分(I)および成分(II)からなる触媒、または、下記成分(III)および成分(IV)からなる触媒が挙げられる。成分(I)は、次の一般式[I]で表される遷移金属化合物である。
【0014】
【化1】
Figure 0004146289
【0015】
一般式[I]において、Mは周期律表第IVB族金属であり、(C)はシクロペンタジエニル基、または置換シクロペンタジエニル基であり、各Rは同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基、もしくは炭素数7〜40のアラルキル基であるか、または2つの隣接する炭素原子が結合して4〜8員の炭素環を作っているものである。Eは非結合電子対を有する原子であり、R'は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基、または炭素数7〜40のアラルキル基であり、R''は炭素数1〜20のアルキレン基、ジアルキルけい素、またはジアルキルゲルマニウムであって2つの配位子を結合する基であり、sは1または0であり、sが1のときmは4、nはEの原子価より2少ない数であり、sが0のときmは5、nはEの原子価より1少ない数であり、n≧2のとき各R'は同一でも異なっていてもよく、また各R'は結合して環を作っていてもよい。Qは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基または炭素数7〜40のアラルキル基であり、pおよびqは0〜4の整数であり、かつ、0<p+q≦4の関係を満たす。
【0016】
成分(I)の具体例としては、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジブロミド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル、ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチルなどや、これらの化合物におけるジルコニウムを、チタニウムまたはハフニウムに置換した化合物が挙げられる。成分(I)は、上に例示したものに限定されるものではない。これらの遷移金属化合物は、単独でまたは2種以上を組合せて使用できる。
【0017】
また、成分(II)は、下記一般式[II-1]で表される線状アルミノキサン化合物および/または下記一般式[II-2]で表される環状アルミノキサン化合物である。
【0018】
【化2】
Figure 0004146289
【0019】
【化3】
Figure 0004146289
【0020】
一般式[II-1]および一般式[II-2]において、各Rは同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基、または炭素数7〜40のアラルキル基であり、好ましくはメチル基、エチル基、特に好ましくはメチル基であり、nは2〜50、好ましくは4〜30の整数である。これらのアルミノキサン化合物は、単独でまたは2種以上を組合せて使用できる。
【0021】
前記成分(I)と成分(II)との使用割合は、遷移金属とアルミニウム原子とのモル比で、通常、1:1〜1:100000、好ましくは1:5〜1:50000の範囲である。
【0022】
成分(III)は、下記一般式[III]で表される遷移金属アルキル化合物である。
【0023】
【化4】
Figure 0004146289
【0024】
一般式[III]において、Mは周期律表第4族金属であり、(C)はシクロペンタジエニル基または置換シクロペンタジエニル基であり、各Rは同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基、もしくは炭素数7〜40のアラルキル基であり、または2つの隣接する炭素原子が結合して4〜8員の炭素環を作っており、Eは非結合電子対を有する原子であり、R'は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基、または炭素数7〜40のアラルキル基であり、R''は炭素数1〜20のアルキレン基、ジアルキルけい素、またはジアルキルゲルマニウムであって、2つの配位子を結合する基であり、sは1または0であり、sが1のときmは4、nはEの原子価より2少ない数であり、sが0のときmは5、nはEの原子価より1少ない数であり、n≧2のとき各R'は同一でも異なっていても良く、また各R'は結合して環を作っていても良く、R'''は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のアルカリール基、または炭素数7〜40のアラルキル基であり、pおよびqは0〜3の整数であり、かつ、0<p+q<4の関係を満たす。
【0025】
成分(III)の具体例としては、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジエチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジイソブチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジ{ビス(トリメチルシリル)メチル}、ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジイソブチル、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(インデニル)ジルコニウムジイソブチルなどや、これらの化合物中のジルコニウムを、チタニウムあるいはハフニウムに置換した化合物が挙げられる。成分(III)は、上に例示したものに限定されるものではない。これらの遷移金属アルキル化合物は、単独でまたは2種以上を組合せて使用できる。
【0026】
前記遷移金属アルキル化合物は、予め合成した後に使用してもよいし、また前記一般式[III]におけるR''をハロゲン原子に置換した遷移金属ハライドと、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、トリイソブチルアルミニウム、メチルリチウム、ブチルリチウムなどの有機金属化合物とを反応系内で接触させることにより形成させてもよい。
【0027】
また、成分(IV)は、下記一般式[IV]で表されるイオン性化合物である。
【0028】
【化5】
Figure 0004146289
【0029】
一般式[IV]において、[L]k+はブレンステッド酸またはルイス酸であり、M'は周期律表第13〜15族元素であり、A 〜Aはそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜30のジアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数7〜40のアルカリール基、炭素数7〜40のアラルキル基、炭素数1〜40のハロゲン置換炭化水素基、炭素数1〜20のアシルオキシ基、または有機メタロイド基であり、kはLのイオン価で1〜3の整数であり、pは1以上の整数であり、q=(k×p)である。
【0030】
成分(IV)の具体例としては、テトラフェニルほう酸トリメチルアンモニウム、テトラフェニルほう酸トリエチルアンモニウム、テトラフェニルほう酸トリ−n−ブチルアンモニウム、テトラフェニルほう酸メチル(ジ−n−ブチル)アンモニウム、テトラフェニルほう酸ジメチルアニリニウム、テトラフェニルほう酸メチルピリジニウム、テトラフェニルほう酸メチル(2−シアノピリジニウム)、テトラフェニルほう酸メチル(4−シアノピリジニウム)、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸トリメチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸トリエチルアンモニウムなどを挙げることができる。成分(IV)は、上に例示したものに限定されるものではない。これらのイオン性化合物は、単独でまたは2種以上を組合せて使用できる。
【0031】
前記(III)成分と(IV)成分の使用割合は、モル比で、通常、1:0.5〜1:20、好ましくは1:0.8〜1:10の範囲である。
【0032】
前記のエチレン・α−オレフィン系共重合ゴムを製造する際には、触媒成分の少なくとも一種を適当な担体に担持させて使用することができる。担体の種類については特に制限はなく、無機酸化物担体、それ以外の無機担体、および有機担体のいずれも制限なしに用いることができる。また担体に担持させる方法についても特に制限はなく、従来から知られている方法によることができる。
【0033】
本発明で使用されるゴム状重合体(A)は、ムーニー粘度(ASTM D1646,ML(1+4)121℃)が8以下のものであり、好ましくは6以下、更に好ましくは5以下である。ムーニー粘度が大きすぎると、得られるゴム変性重合体(C)が十分に軟質とならず、好ましくない。ムーニー粘度が上記のように制御されたゴム状重合体(A)は、上記のメタロセン系触媒を使用し、条件を選ぶことによって容易に製造できる。
【0034】
ゴム状重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、ゴム変性重合体の用途に応じて、1.2〜5の範囲内で選択できる。すなわち、ゴム状重合体(A)の分子量分布が上記範囲内にある場合には、成形品の表面外観性及び耐衝撃性に優れた樹脂製品が得られる。分子量分布は、上記範囲の中でも1.5〜3の範囲が特に好ましい。分子量分布が上記のように制御されたゴム状重合体(A)は、上記のメタロセン系触媒を使用し、条件を選ぶことによって容易に製造できる。
【0035】
また、ゴム状重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、−20〜−80℃の範囲のものが好ましく、中でも−30〜−70℃の範囲のものが特に好ましい。ガラス転移温度(Tg)が高くなると、得られる軟質性重合体の低温下での耐衝撃性が低下する。さらに、ゴム状重合体(A)の融点(Tm)は、120℃以下が好ましく、40〜120℃の範囲が更に好ましく、40〜110℃の範囲が特に好ましい。融点(Tm)が高すぎると、軟質性と靭性を備えた重合体が得られにくい。ガラス転移温度(Tg)または融点(Tm)が上のように制御されたゴム状重合体(A)は、メタロセン系触媒を使用し、条件を選ぶことによって容易に製造することができる。
【0036】
(B)ビニル系単量体
本発明においてビニル系単量体(B)は、(メタ)アクリル酸エステルを必須成分として含有し、必要に応じて、その他の共重合可能なビニル系単量体を併用することができる。(メタ)アクリル酸エステルとその他の共重合可能なビニル系単量体の使用割合((メタ)アクリル酸エステル/その他の共重合可能なビニル系単量体)は、重量比で、通常、100/0〜40/60、好ましくは100/0〜50/50の範囲である。
【0037】
(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピレンアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートなどのアクリル酸アルキルエステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピレンメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなどのメタクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。特に、メチルメタクリレート、ブチルアクリレートが好ましい。これらの(メタ)アクリル酸エステルは1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
【0038】
その他の共重合可能なビニル系単量体としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、不飽和カルボン酸化合物、α,β−不飽和ジカルボン酸化合物のイミド化合物(以下、「マレイミド化合物」と言うこともある)などを挙げることができ、1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
【0039】
芳香族ビニル化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレンなどがあり、好ましくはスチレンまたはα−メチルスチレンであり、特に好ましくはスチレンである。
【0040】
シアン化ビニル化合物の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどがあり、特にアクリロニトリルが好ましい。不飽和カルボン酸化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和酸、および無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの不飽和酸無水物が使用可能である。
【0041】
α,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物としては、マレイミド、およびN−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのN−アルキルマレイミド化合物や、N−(p−メチルフェニル)マレイミド、N−フェニルマレイミドなどのN−芳香族マレイミド化合物が挙げられる。上記マレイミド化合物は、全て対応するα,β−不飽和ジカルボン酸をイミド化合物としてから使用してもよいし、対応するα,β−不飽和ジカルボン酸を共重合させた後にイミド化するという方法をとってもよい。このうち好ましいのは、N−シクロヘキシルマレイミドおよびN−フェニルマレイミドである。
【0042】
本発明において、上記ビニル系単量体の好ましい組み合わせとしては、(1)メチルメタクリレート及び/又はブチルアクリレートとアクリロニトリルとの組み合わせ、(2)メチルメタクリレート及び/又はブチルアクリレートとアクリロニトリルとスチレンとの組み合わせ、(3)メチルメタクリレート及び/又はブチルアクリレートとスチレンとの組み合わせなどが挙げられる。上記のスチレンの一部または全部をα−メチルスチレンに置換することによって、ゴム変性重合体の耐熱性を向上させることができる。また、スチレンの一部または全部をハロゲン化スチレンで置換することによって、難燃性を発揮させることができる。また、メチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステルを必須成分として使用することによって、ゴム変性重合体の透明性が向上し、優れた着色性と耐候性を発揮する。
【0043】
(C)ゴム変性重合体
本発明のゴム変性重合体(C)は、上記ゴム状重合体(A)の存在下に上記ビニル系単量体(B)を重合して製造できる。製造方法は、ゴム状重合体へのビニル系単量体のグラフト重合に従来から用いられているラジカル重合法によることができ、例えば、溶液重合法、塊状重合法によることができる。また、ゴム状重合体(A)が塊状である場合には、各種のホモミキサー、ホモジナイザーなどの乳化・分散機器を使用して乳化・分散させ、この乳化・分散させたゴム成分を使用して、乳化重合法、乳化・懸濁重合法などよることができる。着色性に優れた成形品が得られる樹脂製品を得るためには溶液重合法、または塊状重合法によって製造するのが好ましく、特に好ましいのは溶液重合法である。
【0044】
以下に、本発明に係るゴム変性重合体(C)を、溶液重合法によって製造する例を詳細に説明する。溶液重合法では、溶剤が用いられる。溶剤は、通常のラジカル重合で使用される不活性溶剤であり、例えばエチルベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、アセトンなどのケトン類、ジクロルメチレン、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。溶剤の使用量は、ゴム状重合体(A)と全単量体(B)の和100重量部に対し、20〜200重量部の範囲で選ばれ、好ましいのは50〜150重量部の範囲である。
【0045】
重合温度は、重合開始剤の種類、使用量などにより変わるが、80〜140℃の範囲とするのが好ましい。重合温度が80℃未満では、重合後半になると重合系の粘度が高くなり、安定な運転が困難であり、また、重合温度が140℃を超えると、熱による重合反応に起因する低分子量成分が増すので、いずれも好ましくない。上記温度範囲の中では85〜130℃が好ましく、特に好ましいのは90〜120℃である。
【0046】
重合開始剤としては、例えば、ケトンパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物類が用いられる。これらのうち、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステルなどが好ましい。また、ジクミル収率60%未満の有機過酸化物とジクミル収率60%以上の有機過酸化物とを含む重合開始剤を用いることが好ましい。ジクミル収率とは、ゴム状重合体(A)からのラジカル水素引抜能力を示す指標であり、クメン中に有機過酸化物0.5mol/Lを添加し130℃で該有機過酸化物を熱分解した場合におけるジクミルの生成量をP(mol/L)とした場合、(P÷0.5)×100(単位:%)で表わされる値である。ジクミル収率が高いほど水素引抜能力が大きく、ジクミル収率が低いほど水素引抜能力は小さい。
【0047】
ジクミル収率60%未満の有機過酸化物としては、例えば、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。ジクミル収率60%以上の有機過酸化物としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾネートなどが挙げられる。これらのうち、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートとt−ブチルパーオキシラウレートとを併用して使用することが特に好ましい。
【0048】
ジクミル収率60%未満の有機過酸化物とジクミル収率60%以上の有機過酸化物の使用割合(ジクミル収率60%未満の有機過酸化物/ジクミル収率60%以上の有機過酸化物)は、重量比で、好ましくは20/80〜99/1、更に好ましくは50/50〜99/1、特に好ましくは55/45〜95/5である。ジクミル収率60%未満の有機過酸化物の使用割合を大きくするとゴム変性重合体(C)はゴム的になり、ジクミル収率60%以上の有機過酸化物の使用割合を大きくするとゴム変性重合体(C)は樹脂的になる。
【0049】
上記の重合に際しては、メルカプタン類、α−メチルスチレンダイマーなどの連鎖移動剤を使用できる。また、フェノール系やリン系の酸化安定剤、ベンゾトリアゾール系やヒンダードアミン系の光安定剤、ステアリルアルコールやエチレンビスステアロアマイドなどの滑剤などの他の添加剤も使用できる。
【0050】
ゴム変性重合体(C)を溶液重合法によって製造する際には、バッチ式、連続式のいずれであってもよい。また、反応系が実質的に均一となるような混合状態を保持する方式は、特に限定されるものではない。通常は、リボン型撹拌翼、タービン型撹拌翼、スクリュー型撹拌翼、錨型撹拌翼などによる撹拌混合方式、または反応系の外部に設けられたポンプなどによる循環混合方式などが採用され、これらを組み合わせた方式であってもよい。
【0051】
次に、重合反応により得られる反応物から、溶剤、未反応単量体などを脱揮発させて共重合体を回収する方法としては、水中へ懸濁分散させてスチームストリッピングする方法、共重合体溶液を予熱し、減圧下フラッシングする方法、または直接ベント付き押し出し機で脱溶する方法など、採用した重合方法に応じて最適な方法を選ぶことができる。
【0052】
ゴム変性重合体(C)は、通常、前記ゴム状重合体(A)5〜70重量%、好ましくは5〜60重量%、さらに好ましくは10〜50重量%の存在下に、前記ビニル系単量体(B)95〜30重量%、好ましくは95〜40重量%、さらに好ましくは90〜50重量%を重合して得ることができる。ここで、ゴム状重合体(A)とビニル系単量体(B)との合計量は100重量%である。ゴム状重合体(A)が少なすぎると、ゴム変性重合体(C)の耐衝撃性が不十分であり、ゴム状重合体(A)が多すぎると、ゴム変性重合体(C)の成形性及びそれから得られる成形品の表面外観が悪化するので、いずれも好ましくない。
【0053】
かくして得られた本発明のゴム変性重合体(C)は、ゴム状重合体(A)のマトリックス相にビニル系単量体(B)の(共)重合体が分散した島海構造を有し、その結果、曲げモジュラス(ISO)が700MPa以下を示す軟質性重合体が提供され、所望により、曲げモジュラス(ISO)が500MPa以下、さらには、400MPa以下の軟質性重合体を提供することもできる。本発明によれば、ゴム変性重合体(C)の曲げモジュラスは、前記ゴム状重合体(A)の種類および配合量、重合開始剤の種類、ジクミル収率60%未満の有機過酸化物とジクミル収率60%以上の有機過酸化物との使用割合などを適宜選択することにより変化させることができる。
また、本発明によれば、前記ゴム状重合体(A)及びビニル系重合体(B)の種類及び配合量を適宜選択することにより、優れた透明性を備える軟質性重合体を提供することができる。具体的には、透明性の評価に用いられる全光線透過率にて30%以上、所望により、40%以上の軟質性重合体を提供することができる。
【0054】
本発明の軟質性重合体は、そのまま単独で有効に使用できる。また、本発明の軟質性重合体は、他の重合体を含有した重合体組成物としても使用できる。これにより、本発明の軟質性重合体の優れた性能を備えつつ、当該他の重合体の特性をも兼備した広範な性能を有する重合体組成物が得られる。このような他の重合体としては、特に限定されないが、例えばABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、AS樹脂、MMA系樹脂、ポリアミド樹脂、PET、PBT、ポリエチレン、ポリプロピレン、PC、PPE、POM、PVA、液晶ポリマー、アイオノマーなどの熱可塑性樹脂;ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、EVA、ジエン系重合体の水素添加物などの熱可塑性エラストマー;フェノール樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂;BR、SBR、NBR、EPR、EPI、EPT、エチレン−オクテン系ゴム、エチレン−ブテン系ゴム、AR等のゴム状重合体が挙げられる。上記重合体組成物は、例えば、本発明の軟質性重合体と当該他の重合体を溶融混練などの方法により混合することにより得られる。この場合の軟質重合体/他の重合体の組成割合は、重量比で、好ましくは1/99〜99/1、更に好ましくは10/90〜99/1である。
本発明の軟質性重合体には、更にヒンダードフェノール系、リン系および硫黄系などの酸化防止剤や、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、着色剤、難燃剤、難燃助剤、充填材、発泡剤など通常用いられる各種の樹脂添加剤を、添加・配合することができる。
【0055】
本発明の軟質性重合体は、従来から知られている各種成形法によって、目的の成形品とすることができる。成形法としては、射出成形法、圧縮成形法、押出成形法などがあるが、中でも射出成形法、押出成形法によるのが、目的とする製品の生産性が高く有効である。射出成形法によって製品を製造する際の条件としては、射出成形機のシリンダー温度を通常110〜280℃、好ましくは120〜240℃に、金型温度を20〜80℃、好ましくは30〜70℃として成形される。
【0056】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳しく説明するが、本発明は、以下に記載した例のみに制限されるものではない。なお、以下に記載の例において、文中の「部」「%」は全て「重量部」「重量%」を意味するものであり、各種物性の評価方法は下記の要領に従った。
【0057】
[評価方法]
(a)エチレン・α−オレフィン共重合体中のエチレン含量:エチレン・α−オレフィン共重合体を、1H−NMR、13C−NMRを用いて、エチレン/α−オレフィン組成比を求め、これとあらかじめ求めておいた赤外分析の結果との関係を示す検量線を作成した。この検量線をもとに、各実施例で得られるエチレン・α−オレフィン共重合体の組成を求めた。
(b)ムーニー粘度(ML(1+4)121℃):ASTM D1646に準拠して測定した。
(c)ガラス転移温度(Tg)及び融点(Tm):DSC(示差走査熱量計)測定法により測定した。
(d)MFR:ISO 1133に準拠して、220℃、10kgfの条件下で測定した。
(e)シャルピー衝撃強度:ISO 179に準拠して測定した。
(f)曲げモジュラス:ISO 178に準拠して測定した。
(g)全光線透過率:ASTM D1003に準拠して測定した。
【0058】
[使用原材料の種類及び配合量]
ゴム状重合体(A)としては、以下の5種類を使用した。これらは、いずれもデュポン・ダウ・エラストマー社製であり、これらのムーニー粘度(ML(1+4)121℃)、ガラス転移温度(Tg)及び融点(Tm)の測定結果を商品名とともに表1に示す。
【0059】
【表1】
Figure 0004146289
【0060】
また、ビニル系単量体(B)としては、メチルメタクリレート、スチレン、アクリロニトリルを使用し、連鎖移動剤としてはドデシルメルカプタンを使用した。これら各原材料の配合量を表2に示す。
【0061】
[実施例1〜4]
リボン型撹拌翼、助剤連続添加装置、温度計を装備した容積20リットルのステンレス製オートクレーブに、トルエン100部、並びに表2に示す種類と量のゴム状重合体(A)及びビニル系単量体(B)を仕込み、内温を75℃に昇温して、オートクレーブ内容物を1時間撹拌して均一溶液とした。この後、表2に示す量のt−ブチルパーオキシラウレート(I−1)とt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(I−2)を添加し、内温をさらに昇温し、100℃に達した後はこの温度に保持しながら、撹拌回転数100rpmとして6時間重合反応を行った。上記時間経過後、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)−プロピオネート0.2部添加した後、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により未反応物と溶媒を留去し、40mmφベント付押出機でシリンダー温度を220℃、真空度を700mmHgとして、揮発分を実質的に脱揮させ、ゴム変性重合体(C)をペレット化した。得られたペレットにつき、各種物性を評価した結果を、表2に示す。また、実施例1のゴム変性重合体(C)について透過型電子顕微鏡を用いてその組織を撮影した写真を図1に示す。
【0062】
[比較例1〜5]
表2に示したゴム状重合体を使用したほかは、実施例1と同様に行いゴム変性重合体を得た。得られたペレットにつき、各種物性を評価した結果を、表2に示す。
【0063】
【表2】
Figure 0004146289
【0064】
[実施例5、6]
実施例2のゴム変性重合体に、他の重合体としてAS樹脂、EPRをそれぞれ表3に示す配合割合にて配合し、溶融混練して得られた2種類の重合体組成物について、上記と同様の評価を行った。その評価結果を表3に示す。
【0065】
【表3】
Figure 0004146289
【0066】
表2から明らかなとおり、実施例1〜4のゴム変性重合体は、曲げモジュラス(ISO)が700MPa以下であり、軟質性プラスチック材料として使用できることが示された。
これに対し、比較例1〜5のゴム変性重合体は、曲げモジュラス(ISO)が700MPaを大きく越えており、軟質性プラスチック材料としては使用に供し得ないことが示された。
また、図1から、本発明のゴム変性重合体は、ゴム状重合体(A)のマトリックス相にビニル系単量体(B)の共重合体が分散した島海構造を有していることが観察された。
【0067】
更に表3から明らかなとおり、本発明のゴム変性重合体は、他の重合体と混合した場合でも曲げモジュラス(ISO)が700MPa以下であり、軟質性プラスチック材料として有効に使用できることが示された。
【0068】
【発明の効果】
本発明の軟質性重合体は、曲げモジュラス(ISO)が700MPa以下であるため、ポリ塩化ビニルやポリオレフィンからなる従来の軟質性プラスチック材料の代替品として有用である。また、本発明の軟質性重合体は、低温から高温までの広い温度領域で安定した柔軟性を示し、しかも弾力性と柔軟性を兼ね備え、さらには、溶着性、塗装性等の二次加工性にも優れている。しかも、本発明によれば、透明性、耐候性、耐薬品性、低温特性にも優れた軟質性重合体を提供することができる。更に、本発明の軟質性重合体は、焼却時にダイオキシンの発生が少なく、可塑剤、軟化剤等の添加剤を添加する必要も無いため、環境に優しいプラスチック材料である。更にまた、本発明の軟質性重合体は、他の重合体と混合することにより上記の弾力性と柔軟性を備えた重合体組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、実施例1のゴム変性重合体(C)について透過型電子顕微鏡を用いてその組織を撮影した写真である。

Claims (4)

  1. ゴム状重合体(A)の存在下に、重合開始剤を用いて、ビニル系単量体(B)を重合して得られたゴム変性重合体(C)であって、
    前記ゴム状重合体(A)は、ムーニー粘度(ASTM D1646,ML(1+4)121℃)が5以下であるエチレン・α―オレフィン系共重合ゴムであり、そのα―オレフィンは1−オクテンであり、
    前記ビニル系単量体(B)は、(メタ)アクリル酸エステルを必須成分として含有し、該ビニル系単量体(B)における(メタ)アクリル酸エステルとその他の共重合可能なビニル系単量体の使用割合((メタ)アクリル酸エステル/その他の共重合可能なビニル系単量体)は、重量比で、100/0〜50/50の範囲であり、
    前記重合開始剤は、ジクミル収率60%未満の有機過酸化物とジクミル収率60%以上の有機過酸化物とを含む重合開始剤であり、
    前記ゴム変性重合体(C)の曲げモジュラス(ISO)は、700MPa以下であることを特徴とするゴム変性重合体。
  2. 記ゴム状重合体(A)をマトリックス相とする島海構造を有する請求項1記載のゴム変性重合体
  3. 全光線透過率が30%以上である請求項1又は2に記載のゴム変性重合体
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載のゴム変性重合体を含む重合体組成物。
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