JP2000230015A - ビニル化合物変性オレフィン重合体のイオン架橋物およびその成形体 - Google Patents

ビニル化合物変性オレフィン重合体のイオン架橋物およびその成形体

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JP2000230015A
JP2000230015A JP11033704A JP3370499A JP2000230015A JP 2000230015 A JP2000230015 A JP 2000230015A JP 11033704 A JP11033704 A JP 11033704A JP 3370499 A JP3370499 A JP 3370499A JP 2000230015 A JP2000230015 A JP 2000230015A
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vinyl compound
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vinyl
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Ryoji Mori
亮 二 森
Seiji Ota
田 誠 治 太
Akira Todo
堂 昭 藤
Masaaki Ogisawa
澤 雅 明 扇
Ryuichi Sugimoto
本 隆 一 杉
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Mitsui Chemicals Inc
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F8/00Chemical modification by after-treatment
    • C08F8/44Preparation of metal salts or ammonium salts

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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】本発明のビニル化合物変性オレフィン重合
体のイオン架橋物は、ビニル化合物変性オレフィン重合
体が、金属イオンの存在下に、加熱されて得られるイオ
ン架橋物であり、該ビニル化合物変性オレフィン重合体
は、プラグフロー型反応槽において、特定の極限粘度と
分子量分布(Mw/Mn)を有するオレフィン重合体
に、ビニル単量体を、塊状重合法、塊状懸濁重合法およ
び溶液重合法のいずれかの重合法を用いて連続的にグラ
フト重合して得られる。本発明の成形体は、上記ビニル
化合物変性オレフィン重合体のイオン架橋物からなる。 【効果】上記イオン架橋物および成形体は、柔軟性、表
面硬度、耐衝撃性、耐摩耗性および耐油性のバランスに
優れ、アルミ箔等の金属との接着性にも優れる。また、
このイオン架橋物は、高温での流動性、成形性に優れて
いる。これらは、防振材、ダンパー材、タイヤトレッ
ド、タイヤサイドウォール等に好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、特定の製造法により得ら
れるビニル化合物変性オレフィン重合体のイオン架橋物
およびその成形体に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】オレフィン重合体(ポリオレフィ
ン)は、低コストで、優れた加工性、耐薬品性、機械的
性質などを有しているため、射出成形品、中空成形品、
フィルム、シートなどに加工され、各種用途に用いられ
ている。しかしながら、用途によっては、ポリオレフィ
ンは、柔軟性、表面硬度、耐衝撃性、接着性、制振性、
耐油性などの物性バランスが充分とは云えない場合があ
る。
【0003】このようなポリオレフィンからなる成形体
の柔軟性、表面硬度、耐衝撃性、制振性、接着性、耐油
性などの物性バランスを向上させる方法としては、ポリ
オレフィンに、エチレン・α- オレフィン共重合体など
の改質剤や、タルクなどの無機充填剤などをブレンドし
て組成物とする方法、およびエチレン・α- オレフィン
共重合体をグラフト変性したりする方法が知られてい
る。しかしながら、これらの方法では、用途によって
は、柔軟性および表面硬度と、耐衝撃性、制振性、接着
性および耐油性とのバランスが良くない場合がある。
【0004】また、一般的にポリオレフィンに他のビニ
ルモノマーをグラフトさせる場合、ビニル単量体と、重
合開始剤と、ポリオレフィンとを溶融混練してグラフト
重合する方法が知られているが、ポリオレフィンが分
解、架橋等を受けやすいこと、グラフト重合時の効率が
悪いなど、グラフト重合の制御が困難な場合がある。
【0005】このグラフト変性物の生産性の面を考慮す
ると、非連続よりも連続的に製造する方が好ましいと考
えられるが、単純な完全混合槽1段での連続重合では、
重合溶液のショートパスつまり、期待する滞留時間より
も著しく短い滞留時間で出口から出てしまう部分がある
ことが避けられず、すなわち混合槽の出口から出てくる
ポリマー溶液はグラフトされたものとグラフトされない
ものとの混合物になる。当然ながらグラフトされないポ
リオレフィンは、そのものの性能しか発揮することがで
きないため、充分な性能を発揮させることができない。
【0006】そこで、本発明者らは、ビニル単量体のオ
レフィン重合体へのグラフト重合を行なうに当たり、特
定の反応様式を用いて、塊状重合法、塊状懸濁重合法お
よび溶液重合法のいずれかの重合法により、ビニル単量
体をオレフィン重合体に連続的にグラフト反応させるこ
とにより、ビニル化合物変性オレフィン重合体を生産性
よく製造できること、およびこのビニル化合物変性オレ
フィン重合体またはそのイオン架橋物から、柔軟性、表
面硬度、耐摩耗性および耐油性のバランスに優れた架橋
成形体を製造できることを見出し、本発明を完成するに
至った。
【0007】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題を解決しようとするものであって、柔軟性、表面硬
度、耐衝撃性、耐摩耗性および耐油性のバランスに優れ
た成形体を製造できる、ビニル化合物変性オレフィン重
合体のイオン架橋物およびその成形体を提供することを
目的としている。
【0008】
【発明の概要】本発明に係るビニル化合物変性オレフィ
ン重合体のイオン架橋物は、ビニル化合物変性オレフィ
ン重合体[I]が、金属イオンの存在下に、加熱されて
得られるイオン架橋物であり、該ビニル化合物変性オレ
フィン重合体[I]は、プラグフロー型反応槽におい
て、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が
0.01〜10dl/gの範囲にあり、かつ、GPCに
よる分子量分布(Mw/Mn)が7以下であるオレフィ
ン重合体(A)に、ビニル単量体(B)を、塊状重合
法、塊状懸濁重合法および溶液重合法のいずれかの重合
法を用いて連続的にグラフト重合して得られることを特
徴としている。
【0009】前記プラグフロー型反応槽において、オレ
フィン重合体(A)に、ビニル単量体(B)を、塊状重
合法、塊状懸濁重合法および溶液重合法のいずれかの重
合法を用いて連続的にグラフト重合させる際に、ビニル
単量体(B)を一括添加するより分割添加する方が好ま
しい。
【0010】前記金属イオンは、ナトリウム、カリウ
ム、亜鉛、マグネシウムおよびアルミニウムの陽イオン
群から選ばれる少なくとも1種の金属イオンであること
が望ましい。
【0011】前記ビニル単量体(B)が、不飽和カルボ
ン酸およびその誘導体の中から選ばれる少なくとも1種
のビニル化合物であることが望ましい。中でも、無水マ
レイン酸、(メタ)アクリル酸およびその誘導体の中か
ら選ばれる少なくとも1種のビニル化合物であることが
好ましい。
【0012】前記オレフィン重合体(A)は、エチレン
と、炭素原子数3〜20のα- オレフィン、ジエンおよ
びトリエンの中から選ばれる1種以上の成分とからなる
エチレン系共重合体であることが望ましい。中でも、エ
チレンと、炭素原子数3〜20のα- オレフィンと、ジ
エンおよびトリエンの中から選ばれる少なくとも1種の
ポリエンとからなるエチレン系共重合体が好ましい。
【0013】前記エチレン系共重合体のエチレン含量
は、35〜97モル%であることが好ましい。前記オレ
フィン重合体(A)としては、下式(I)または(II)
で表わされる遷移金属錯体(a)と、イオン化イオン性
化合物(b)、有機アルミニウム化合物(c)およびア
ルモキサン(d)の中から選択される1種以上の化合物
とからなるメタロセン系触媒を用いて調製された共重合
体が好ましい。
【0014】
【化2】
【0015】[式(I)、(II)中、Mは、Ti、Z
r、Hf、Rn、Nd、SmまたはRuであり、Cp1
およびCp2は、Mとπ結合しているシクロペンタジエ
ニル基、インデニル基、フルオレニル基またはそれらの
誘導体基であり、X1 およびX2 は、アニオン性配位
子または中性ルイス塩基配位子であり、Yは、窒素原
子、酸素原子、リン原子、または硫黄原子を含有する配
位子であり、Zは、C、O、B、S、Ge、Siまたは
Sn原子あるいはこれらの原子を含有する基である。]
本発明に係る成形体は、上記のような、本発明に係るビ
ニル化合物変性オレフィン重合体のイオン架橋物からな
ることを特徴としている。
【0016】本発明に係る成形体は、防振材、ダンパー
材、タイヤトレッドおよびタイヤサイドウォールのいず
れかの用途に好適に使用される。
【0017】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係るビニル化合物
変性オレフィン重合体のイオン架橋物およびその成形体
について具体的に説明する。
【0018】本発明に係るビニル化合物変性オレフィン
重合体のイオン架橋物は、特定のビニル化合物変性オレ
フィン重合体[I]が、金属イオンの存在下に、加熱さ
れて得られるイオン架橋物である。
【0019】まず、本発明で用いられるビニル化合物変
性オレフィン重合体[I]について説明する。ビニル化合物変性オレフィン重合体[I] 本発明で用いられる架橋前のビニル化合物変性オレフィ
ン重合体[I]は、ビニル単量体(B)でグラフト変性
されたオレフィン重合体(A)である。
【0020】オレフィン重合体(A) 本発明で用いられるオレフィン重合体(A)は、135
℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が、通常0.0
1〜10dl/g、好ましくは0.05〜10dl/g
の範囲にあることが望ましい。
【0021】また、オレフィン重合体(A)は、GPC
により測定した分子量分布(Mw/Mn、ポリスチレン
換算、Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)
は、7以下、好ましくは4.0以下であることが望まし
い。
【0022】本発明で用いられるオレフィン重合体
(A)としては、エチレン系共重合体が望ましいが、エ
チレン単独重合体も使用することができる。エチレン系
共重合体としては、エチレンと、炭素原子数3〜20の
α- オレフィン、ジエンおよびトリエンの中から選ばれ
る1種以上の成分とからなるエチレン系共重合体が望ま
しい。中でも、エチレンと、炭素原子数3〜20のα-
オレフィンと、ジエンおよびトリエンの中から選ばれる
少なくとも1種のポリエンとからなるエチレン系共重合
体が好ましい。特にエチレン・1-ブテン共重合体、エチ
レン・プロピレン共重合体、エチレン・1-オクテン共重
合体が好ましく用いられる。
【0023】これらのエチレン系共重合体のエチレン含
量は、35〜97モル%、好ましくは35〜80モル
%、さらに好ましくは35〜70モル%である。上記の
ような炭素原子数3〜20のα- オレフィンとしては、
具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、3-メ
チル-1- ペンテン、3-エチル-1- ペンテン、4-メチル-1
- ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-エ
イコセンなどが挙げられる。中でも、プロピレン、1-ブ
テン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン
が好ましく用いられる。
【0024】また、ジエンとしては、具体的には、1,4-
ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-ヘキサジエン、
1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエ
ン、1,7-オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニ
ルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、7-メチル-1,6
- オクタジエン、4-エチリデン-8- メチル-1,7- ノナジ
エン等の非共役ジエン;ブタジエン、イソプレン等の共
役ジエンが挙げられる。中でも、ノルボルネン骨格を有
するジエンが好ましい。
【0025】上記のようなジエンは、1種単独で、ある
いは2種以上組み合わせて用いることができる。トリエ
ンとしては、具体的には、6,10- ジメチル-1,5,9- ウン
デカトリエン、4,8-ジメチル-1,4,8- デカトリエン、5,
9-ジメチル-1,4,8- デカトリエン、6,9-ジメチル-1,5,8
- デカトリエン、6,8,9-トリメチル-1,5,8- デカトリエ
ン、6-エチル-10-メチル-1,5,9- ウンデカトリエン、4-
エチリデン-1,6,- オクタジエン、7-メチル-4- エチリ
デン-1,6- オクタジエン、4-エチリデン-8- メチル-1,7
- ノナジエン(EMND)、7-メチル-4- エチリデン-
1,6- ノナジエン、7-エチル-4- エチリデン-1,6- ノナ
ジエン、6,7-ジメチル-4- エチリデン-1,6- オクタジエ
ン、6,7-ジメチル-4- エチリデン-1,6- ノナジエン、4-
エチリデン-1,6- デカジエン、7-メチル-4- エチリデン
-1,6- デカジエン、7-メチル-6- プロピル-4- エチリデ
ン-1,6- オクタジエン、4-エチリデン-1,7- ノナジエ
ン、8-メチル-4- エチリデン-1,7- ノナジエン、4-エチ
リデン-1,7- ウンデカンジエン等の非共役トリエン;1,
3,5-ヘキサトリエン等の共役トリエンが挙げられる。中
でも、4,8-ジメチル-1,4,8- デカトリエン、4-エチリデ
ン-8- メチル-1,7- ノナジエン(EMND)が好まし
い。
【0026】上記のようなトリエンは、1種単独で、あ
るいは2種以上組み合わせて用いることができる。ま
た、トリエンとジエンとを組み合わせて用いることもで
きる。これらポリエンの中では、特にノルボルネン骨格
を有するポリエンが好ましい。
【0027】上記のようなポリエンを用いたオレフィン
重合体(A)のヨウ素価は、通常80以下、好ましくは
5〜60である。上記のようなオレフィン重合体(A)
は、ビニル化合物変性オレフィン重合体[I]100重
量%中に、好ましくは40重量%以上、さらに好ましく
は50〜95重量%、特に好ましくは60〜90重量%
の割合で含有している。
【0028】[オレフィン重合体(A)の製造]本発明
でオレフィン重合体(A)として用いられるエチレン系
共重合体は、エチレンと、炭素原子数3〜20のα- オ
レフィン、ジエンおよびトリエンの群から選ばれた1種
以上の成分を、下記に示すメタロセン系触媒の存在下に
共重合させることにより得られる。また、オレフィン重
合体(A)として用いられるエチレン単独重合体も、下
記に示すメタロセン系触媒の存在下に重合させることに
より得られる。
【0029】このようなメタロセン系触媒としては、下
記式(I)、(II)で表わされる遷移金属錯体(a):
【0030】
【化3】
【0031】[式(I)、(II)中、Mは、Ti、Z
r、Hf、Rn、Nd、SmまたはRuであり、Cp1
およびCp2 は、Mとπ結合しているシクロペンタジエ
ニル基、インデニル基、フルオレニル基またはそれらの
誘導体基であり、X1 およびX2 は、アニオン性配位
子または中性ルイス塩基配位子であり、Yは、窒素原
子、酸素原子、リン原子、または硫黄原子を含有する配
位子であり、Zは、C、O、B、S、Ge、Siまたは
Sn原子あるいはこれらの原子を含有する基である。]
と、下記成分(b)、(c)および(d)の中から選択
される1種以上の化合物と、からなる少なくとも1つの
触媒系が用いられる。 (b):成分(a)中の遷移金属Mと反応し、イオン性
の錯体を形成する化合物(イオン化イオン性化合物とも
言う。) (c):有機アルミニウム化合物 (d):アルモキサン。
【0032】まず本発明で用いられる下記式(I)で表
わされる遷移金属錯体(a)について説明する。 <遷移金属錯体(a)>
【0033】
【化4】
【0034】式(I)中、Mは、Ti、Zr、Hf、R
n、Nd、SmまたはRuであり、好ましくはTi、Z
rまたはHfであり、Cp1 およびCp2 は、Mとπ結
合しているシクロペンタジエニル基、インデニル基、フ
ルオレニル基またはそれらの誘導体基であり、X1 およ
びX2 は、アニオン性配位子または中性ルイス塩基配位
子であり、Zは、C、O、B、S、Ge、SiまたはS
n原子あるいはこれらの原子を含有する基である。
【0035】式(I)中、結合基Zは、特にC、O、
B、S、Ge、Si、Snから選ばれる1個の原子であ
ることが好ましく、この原子はアルキル基、アルコキシ
基などの置換基を有していてもよく、Zの置換基は、互
いに結合して環を形成していてもよい。これらのうちで
は、Zは、O、SiおよびCから選択されることが好ま
しい。
【0036】Cp1 、Cp2 は、遷移金属に配位する配
位子であり、シクロペンタジエニル基、インデニル基、
4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基な
どのシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、
このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は、アル
キル基、シクロアルキル基、トリアルキルシリル基、ハ
ロゲン原子などの置換基を有していてもよい。
【0037】X1 およびX2 は、アニオン性配位子また
は中性ルイス塩基配位子であり、具体的には、炭素原子
数が1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキ
シ基、スルホン酸含有基(−SO3 Ra、ただし、Ra
はアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、
アリール基、ハロゲン原子で置換されたアリール基また
はアルキル基で置換されたアリール基である。)、ハロ
ゲン原子、水素原子などが挙げられる。
【0038】以下に、Mがジルコニウムであり、かつ、
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を2個含むメ
タロセン化合物を例示する。シクロヘキシリデン- ビス
(インデニル)ジメチルジルコニウム、シクロヘキシリ
デン- ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、イ
ソプロピリデン- ビス(インデニル)ジルコニウムジク
ロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル- フ
ルオレニル)ジルコニウムジクリド、ジフェニルシリレ
ン- ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、メチ
ルフェニルシリレン- ビス(インデニル)ジルコニウム
ジクロリド、rac-ジメチルシリレン- ビス(2-メチル-1
- インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチル
シリレン- ビス(4,7-ジメチル-1- インデニル)ジルコ
ニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン- ビス(2,4,
7-トリメチル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリ
ド、rac-ジメチルシリレン- ビス(2,4,6-トリメチル-1
- インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチル
シリレン- ビス(4-フェニル-1- インデニル)ジルコニ
ウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン- ビス(2-メチ
ル-4- フェニル-1- インデニル)ジルコニウムジクロリ
ド、rac-ジメチルシリレン- ビス(2-メチル-4-(α-ナ
フチル)-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、ra
c-ジメチルシリレン- ビス(2-メチル-4-(β-ナフチ
ル)-1- インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジ
メチルシリレン- ビス(2-メチル-4-(1-アントリル)-
1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメ
チレン(シクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニ
ウムジクロリド、イソプロピル(シクロペンタジエニル
-1- フルオレニル)ハフニウムジクロリド、イソプロピ
ル(シクロペンタジエニル-1- フルオレニル)ジルコニ
ウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジ
エニル)フルオレニルジルコニウムジクロリドなど。
【0039】また、上記のような化合物においてジルコ
ニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置き
換えたメタロセン化合物を例示することもできる。上記
のようなメタロセン化合物は、単独でまたは2種以上組
合わせて用いることができる。
【0040】また、上記のようなメタロセン化合物は、
粒子状担体に担持させて用いることもできる。このよう
な粒子状担体としては、具体的には、SiO2 、Al2
O3、B2O3、MgO、ZrO2、CaO、TiO2、Z
nO、SnO2、BaO、ThO等の無機担体、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリ-1- ブテン、ポリ4-メチ
ル-1- ペンテン、スチレン- ジビニルベンゼン共重合体
等の有機担体を用いることができる。これらの粒子状担
体は、単独でまたは2種以上組合わせて用いることがで
きる。
【0041】本発明では、上記式(I)で示される繊維
金属化合物(メタロセン化合物)だけでなく、下記式
(II)で示される遷移金属化合物(メタロセン化合物)
を用いることもできる。
【0042】
【化5】
【0043】式(II)中、Mは、周期率表第4族または
ランタニド系列の遷移金属であり、具体的には、Ti、
Zr、Hf、Rn、Nd、Sm、Ruであって、好まし
くはTi、Zr、Hfであり、Cp1 は、Mとπ結合し
ているシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオ
レニル基またはそれらの誘導体基であり、X1 およびX
2 は、アニオン性配位子または中性ルイス塩基配位子で
あり、Yは、窒素原子、酸素原子、リン原子、または硫
黄原子を含有する配位子であり、Zは、炭素、酸素、イ
オウ、ホウ素または周期率表第14族の元素(たとえば
ケイ素、ゲルマニウムまたはスズ)であり、好ましくは
炭素、酸素、ケイ素のいずれかであり、Zは置換基を有
していてもよく、ZとYとで縮合環を形成してもよい。
【0044】さらに詳説すると、Cp1 は、遷移金属に
配位する配位子であり、シクロペンタジエニル基、イン
デニル基、フルオレニル基あるいはそれらの誘導体基な
どのシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、
このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は、アル
キル基、シクロアルキル基、トリアルキルシリル基、ハ
ロゲン原子などの置換基を有していてもよい。
【0045】また、Zは、C、O、B、S、Ge、S
i、Snから選ばれる原子であり、Zは、アルキル基、
アルコキシ基などの置換基があってもよく、Zの置換基
は互いに結合して環を形成していてもよい。
【0046】X1 およびX2 は、アニオン性配位子また
は中性ルイス塩基配位子であり、互いに同一でも異なっ
ていてもよく、水素原子もしくはハロゲン原子である
か、または20個以下の炭素原子、ケイ素原子もしくは
ゲルマニウム原子を含有する炭化水素基、シリル基もし
くはゲルミル基である。
【0047】このような式(II)で示される化合物とし
ては、具体的に、(t-ブチルアミド)ジメチル(フルオ
レニル)シランチタンジメチル、(ジメチル(t-ブチル
アミド)(テトラメチル-η5- シクロペンタジエニ
ル)シリレン)チタンジクロリド、((t-ブチルアミ
ド)(テトラメチル-η5- シクロペンタジエニル)-1,
2-エタンジイル)チタンジクロリド、(ジメチル(フェ
ニルアミド)(テトラメチル-η5- シクロペンタジエ
ニル)シリレン)チタンジクロリド、(ジメチル(t-ブ
チルアミド)(テトラメチル-η5- シクロペンタジエ
ニル)シリレン)チタンジメチル、(ジメチル(4-メチ
ルフェニルアミド)(テトラメチル-η5- シクロペン
タジエニル)シリレン)チタンジクロリド、(ジメチル
(t-ブチルアミド)(η5-シクロペンタジエニル)シ
リレン)チタンジクロリド、(テトラメチル(t-ブチル
アミド)(テトラメチル-η5- シクロペンタジエニ
ル)ジシリレン)チタンジクロリドなどが挙げられる。
【0048】本発明においては、オレフィン重合用触媒
として、上記のようなメタロセン系触媒が好ましく用い
られる。次に、メタロセン系触媒を形成する (b):成分(a)中の遷移金属Mと反応し、イオン性
の錯体を形成する化合物(すなわちイオン化イオン性化
合物)、 (c):有機アルミニウム化合物、および (d):アルモキサン(アルミニウムオキシ化合物)に
ついて説明する。
【0049】<(b)イオン化イオン性化合物>(b)
イオン化イオン性化合物は、(a)遷移金属錯体成分中
の遷移金属Mと反応してイオン性の錯体を形成する化合
物であり、このような(b)イオン化イオン性化合物と
しては、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およ
びカルボラン化合物を例示することができる。
【0050】ルイス酸としては、BR3(式中、Rはフ
ッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換
基を有していてもよいフェニル基またはフッ素原子であ
る。)で示される化合物が挙げられ、たとえばトリフル
オロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロ
フェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)
ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロン、
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p-
トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス
(3,5-ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
【0051】イオン性化合物としては、トリアルキル置
換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジ
アルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム
塩などを挙げることができる。具体的に、トリアルキル
置換アンモニウム塩としては、たとえばトリエチルアン
モニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアン
モニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)
アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられ
る。ジアルキルアンモニウム塩としては、たとえばジ
(1-プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフ
ェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ
(フェニル)ホウ素などが挙げられる。さらにイオン性
化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス
(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルア
ニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ
ート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニ
ル)ボレートなどを挙げることもできる。
【0052】ボラン化合物としては、デカボラン(1
4)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ノナボレ
ート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕デカボレ
ート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ド
デカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(II
I)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0053】カルボラン化合物としては、4-カルバノナ
ボラン(14)、1,3-ジカルバノナボラン(13)、ビ
ス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハ
イドライド-7- カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩
(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げら
れる。
【0054】上記のような(b)イオン化イオン性化合
物は、単独でまたは2種以上組合わせて用いることがで
きる。前記(d)有機アルミニウムオキシ化合物または
(b)イオン化イオン性化合物は、上述した粒子状担体
に担持させて用いることもできる。
【0055】また触媒を形成するに際しては、(d)有
機アルミニウムオキシ化合物および/または(b)イオ
ン化イオン性化合物とともに以下のような(c)有機ア
ルミニウム化合物を用いてもよい。
【0056】<(c)有機アルミニウム化合物>(c)
有機アルミニウム化合物としては、分子内に少なくとも
1個のAl−炭素結合を有する化合物が利用できる。こ
のような化合物としては、たとえば下記一般式で表わさ
れる有機アルミニウム化合物が挙げられる。
【0057】(R1 )mAl(O(R2 ))nHpXq (式中、R1 およびR2 は、互いに同一でも異なってい
てもよく、炭素原子数が通常1〜15、好ましくは1〜
4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは
0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0
≦q<3を満たす数であって、しかも、m+n+p+q
=3である。) <(d)有機アルミニウムオキシ化合物(アルモキサ
ン)>(d)有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公
知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−7
8687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性
の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0058】従来公知のアルミノキサン(アルモキサ
ン)は、具体的には、下記一般式で表わされる。
【0059】
【化6】
【0060】式中、Rはメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基などの炭化水素基であり、好ましくはメチ
ル基、エチル基、特に好ましくはメチル基である。mは
2以上の整数であり、好ましくは5〜40の整数であ
る。
【0061】ここで、アルミノキサンは式(OAl(R
1))で表わされるアルキルオキシアルミニウム単位お
よび式(OAl(R2))で表わされるアルキルオキシ
アルミニウム単位(ここで、R1 およびR2 は、Rと同
様の炭化水素基であり、R1およびR2 は相異なる基を
示す。)からなる混合アルキルオキシアルミニウム単位
から形成されていてもよい。
【0062】なお、(d)有機アルミニウムオキシ化合
物は、少量のアルミニウム以外の金属の有機化合物成分
を含有していてもよい。本発明では、上記オレフィン重
合体(A)製造用の触媒(オレフィン系触媒)として
は、上記のようなメタロセン系触媒が好ましく用いられ
るが、場合によっては上記メタロセン系触媒以外の、従
来より公知の(1) 固体状チタン触媒成分と有機アルミニ
ウム化合物とからなるチタン系触媒、(2) 可溶性バナジ
ウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなるバナジ
ウム系触媒を用いることもできる。
【0063】本発明では、通常、上記のようなメタロセ
ン系触媒の存在下に、プロピレン、エチレンなどを通常
液相で共重合させる。この際、一般に炭化水素溶媒が用
いられるが、プロピレンを溶媒として用いてもよい。こ
の共重合はバッチ法または連続法のいずれの方法でも行
なうことができる。
【0064】メタロセン系触媒を用い、共重合をバッチ
法で実施する場合には、重合系内の(a)遷移金属錯体
(メタロセン化合物)の濃度は、重合容積1リットル当
り、通常0.00005〜1ミリモル、好ましくは0.
0001〜0.5ミリモルの量で用いられる。
【0065】(d)有機アルミニウムオキシ化合物(ア
ルモキサン)は、(a)メタロセン化合物中の遷移金属
原子(M)に対するアルミニウム原子(Al)のモル比
(Al/M)で、1〜10000、好ましくは10〜5
000となるような量で用いられる。
【0066】(b)イオン化イオン性化合物は、(a)
メタロセン化合物に対する(b)イオン化イオン性化合
物のモル比((b)/(a))で、0.5〜20、好ま
しくは1〜10となるような量で用いられる。
【0067】また、(c)有機アルミニウム化合物が用
いられる場合には、重合容積1リットル当り、通常約0
〜5ミリモル、好ましくは約0〜2ミリモルとなるよう
な量で用いられる。
【0068】共重合反応は、通常、温度が−20〜15
0℃、好ましくは0〜120℃、さらに好ましくは0〜
100℃の範囲で、圧力が0を超えて〜80kg/cm
2、好ましくは0を超えて〜50kg/cm2 の範囲の
条件下に行なわれる。
【0069】また、反応時間(共重合が連続法で実施さ
れる場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度な
どの条件によっても異なるが、通常5分間〜3時間、好
ましくは10分間〜1.5時間である。
【0070】上記エチレン、炭素原子数3〜20のα-
オレフィン、さらにはポリエン由来の成分の共重合用モ
ノマーは、上述のようなオレフィン重合体(A)が得ら
れるような量でそれぞれ重合系に供給される。なお、共
重合に際しては、水素などの分子量調節剤を用いること
もできる。
【0071】上記のようにしてエチレン、炭素原子数3
〜20のα- オレフィン、さらにはポリエン由来の成分
の共重合用モノマーを共重合させると、オレフィン重合
体(A)は、通常これを含む重合液として得られる。こ
の重合液は常法により処理され、オレフィン重合体
(A)が得られる。
【0072】上記のようにして得られるオレフィン重合
体(A)は、上述したように、エチレン、炭素原子数3
〜20のα- オレフィン、ジエンおよびトリエンの中か
ら選ばれる1種以上の成分から得られるエチレン系共重
合体またはエチレン単独重合体である。
【0073】ビニル単量体(B) 本発明で用いられるビニル単量体(B)としては、不飽
和カルボン酸およびその誘導体が望ましい。
【0074】不飽和カルボン酸としては、具体的には、
(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げ
られる。また、不飽和カルボン酸の誘導体としては、具
体的には、メチルメタクリレート、エチルメタクリレー
ト、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチ
ルアクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体;無水マ
レイン酸などが挙げられる。
【0075】これらの化合物の中でも、無水マレイン
酸、(メタ)アクリル酸およびその誘導体が好ましい。
これらの化合物は、グラフトモノマーとして1種単独
で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができ
る。
【0076】ビニル化合物変性オレフィン重合体[I]
のグラフト量は、ビニル単量体(B)換算で、グラフト
変性前のオレフィン重合体(A)100重量%に対し
て、通常5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%
である。
【0077】プラグフロー型反応槽 本発明で用いられるビニル化合物変性オレフィン重合体
[I]の製造方法では、プラグフロー型反応槽が用いら
れるが、本発明におけるプラグフロー型反応槽は、単な
る完全混合槽よりもプラグフロー(ある時刻に着目して
いる領域に同時に流入した流体部分が、他の液体部分と
混合することなく、その後も一体となって運動を続ける
流動状態(「化学工学辞典」化学工学協会編、丸善
(株)発行))に近い流動状態を発現することができる
反応槽を意味するものであり、反応槽の形式、形状を限
定するものではない。
【0078】たとえば完全混合槽であれば、複数の、好
ましくは3基以上の完全混合槽を直列に連結した反応
槽、また完全混合槽よりもプラグフローに近い管型反応
槽や塔型反応槽を意味し、特に仕切り板で複数の部分に
分離された管型反応槽や塔型反応槽を1〜3基、好まし
くは1〜2基用いることが望ましい。
【0079】上記管型反応槽、塔型反応槽としては、従
来公知の管型反応槽、塔型反応槽を用いることができ、
塔型反応槽としては、たとえば「新ポリマー製造プロセ
ス」(工業調査会、佐伯康治/尾見信三著)185頁の
図7.5に記載されている塔式反応槽などが挙げられ
る。この塔型反応槽は、原料の投入口と生成重合体の出
口を有し、この原料投入口と生成重合体の出口との間に
用いられる反応槽について、以下の液テストの結果から
プラグフロー性が試験される。
【0080】すなわち、原料の投入口より、粘度10ポ
イズの液をF(リットル/時)の速度で反応槽に供給
し、出口よりF(リットル/時)の速度で液を取り出
し、そのときの反応槽の容積をV(リットル)とし、F
=Vとして連続的に定常状態で液を流しておき、時刻t
0 において突然、濃度C0(%)の赤色に着色した粘度
10ポイズの液に切り替えたとき、時刻t1(t1はt
0より2時間経過した時間)で出口の濃度C1(%)が
(C1/C0)>0.9となる重合装置が、本発明では
好ましく用いられる。本明細書では、このような条件を
満たす重合を「プラグフロー系重合」と定義し、またこ
の重合に用いる反応槽を「プラグフロー型反応槽」と定
義する。なお、プラグフロー型反応槽は、単数の反応槽
であってもよいし、また複数の反応槽からなっていても
よい。
【0081】本発明においては、プラグフロー型反応槽
内に投入されたオレフィン重合体(A)に、ビニル単量
体(B)の全量を一括添加または分割して添加すること
ができるが、分割添加の方が、得られるビニル化合物変
性オレフィン重合体の品質が優れている等の点で好まし
い。プラグフロー型反応槽内のオレフィン重合体(A)
にビニル単量体(B)を分割添加する方法は、特に限定
されるものではないが、プラグフロー型反応槽の原料の
主投入口から出口までの間に1カ所以上、好ましくは複
数の単量体フィード口を設けて連続、もしくは間欠的に
ビニル単量体をフィードすることが望ましい。一つのフ
ィード口において、間欠的にビニル単量体を反応槽内に
フィードすることは、本発明でいう分割添加に含まれな
い。本発明でいう分割添加とは、2カ所以上の異なるフ
ィード口からビニル単量体(B)を投入することを云
う。プラグフロー型反応槽の原料の主投入口から出口ま
でに単量体フィード口が1カ所の場合は、ビニル単量体
(B)の一部は、必ず原料の主投入口からフィードされ
る。また、2カ所以上の異なるフィード口とは、原料の
主投入口から同じ距離でもよく、たとえば塔型反応槽を
用いる場合には、反応槽胴体の同一円周上の異なった点
に2つのフィード口を設けて、これらのフィード口から
ビニル単量体(B)を反応槽内にフィードする場合も、
本発明で云う分割添加に含まれる。
【0082】このようなビニル単量体(B)の分割添加
では、プラグフロー型反応槽の主投入口からフィードさ
れるビニル単量体と、主投入口から出口までの間にフィ
ードされるビニル単量体とは、同じ化合物であってもよ
いし、異なる化合物であってもよい。さらには、主投入
口から出口までの間で複数箇所からビニル単量体をフィ
ードする場合、各箇所からフィードされるビニル単量体
は、同じ化合物であってもよいし、異なる化合物であっ
てもよい。
【0083】また、プラグフロー型反応槽の主投入口か
らフィードされるビニル単量体と、主投入口から出口ま
での間にフィードされるビニル単量体との比率、および
主投入口から出口までの間で複数箇所からビニル単量体
をフィードする場合、各箇所からフィードされるビニル
単量体の比率は、特に限定されるものではなく、ビニル
単量体の全量をプラグフロー型反応槽の主投入口からフ
ィードしてもよいし、ビニル単量体の全量をプラグフロ
ー型反応槽の主投入口から出口までの間にフィードして
もよいし、適度に分割してフィードしてもよい。
【0084】重合法 本発明における塊状重合法、塊状懸濁重合法および溶液
重合法は、重合反応工程に原料のオレフィン重合体
(A)およびビニル単量体(B)を供給し、グラフト重
合反応を行なわせ、生成重合体を重合反応工程より取り
出し、重合体の製品を得る重合法であって、通常溶剤を
30%以上用いる場合を「溶液重合法」と呼び、30%
未満(0%を含む)の量で用いる場合を「塊状重合法」
と呼び、30%未満の量で用い、懸濁状態である場合を
「塊状懸濁重合法」と呼ぶ。
【0085】本発明においては、不活性有機溶剤を用い
ることもでき、たとえばベンゼン、トルエン、キシレ
ン、エチルベンゼン、アセトン、イソプロピルベンゼ
ン、メチルエチルケトンなどが用いられ、これらの中で
も、トルエン、エチルベンゼン、キシレンが好ましく用
いられる。
【0086】これらの有機溶剤は、オレフィン重合体
(A)、ビニル単量体(B)および有機溶剤の合計量1
00重量部に対し、通常400重量部以下、好ましくは
200重量部以下、さらに好ましくは100重量部以下
の割合で用いられる。
【0087】本発明においては、上記のような重合法を
採用して、ビニル単量体(B)をオレフィン重合体
(A)にグラフト重合させるに際し、ラジカル開始剤を
用いることが好ましい。
【0088】このようなラジカル開始剤(重合開始剤)
としては、特に限定するものではないが、たとえばベン
ゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t-
ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシベン
ゾエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチ
ルパーオキシオクトエート、クミルパーオキシオクトエ
ート、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5- トリメ
チルシクロヘキサンなどの有機過酸化物の使用が好まし
い。中でも、特にベンゾイルパーオキサイド、ラウロイ
ルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシピバレート、t-
ブチルパーオキシオクトエート、1,1-ビス(t-ブチルパ
ーオキシ)-3,3,5- トリメチルシクロヘキサンが好まし
く用いられる。
【0089】これらのラジカル開始剤は、オレフィン重
合体(A)、ビニル単量体(B)および有機溶剤の合計
量100重量部に対し、通常0.001〜5.0重量
部、好ましくは0.001〜3.5重量部、さらに好ま
しくは0.001〜2.0重量部の割合で用いられる。
【0090】また、本発明においては、目的物のビニル
化合物変性オレフィン重合体の分子量調節のため、上記
不活性有機溶剤のほかに、種々の連鎖移動剤を用いるこ
とができる。たとえばα- メチルスチレンダイマー、t-
ドデシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、n-オ
クチルメルカプタンなど公知の連鎖移動剤が用いられ
る。
【0091】これらの連鎖移動剤は、オレフィン重合体
(A)、ビニル単量体(B)および有機溶剤の合計量1
00重量部に対し、通常0.001〜5.0重量部、好
ましくは0.001〜3.5重量部、さらに好ましくは
0.01〜2.0重量部の割合で用いられる。
【0092】本発明においては、重合温度はラジカル開
始剤の使用の有無にもよるが、一般的には、好ましくは
50〜180℃、より好ましくは60〜150℃であ
り、滞留時間は、好ましくは0.2〜6時間、より好ま
しくは0.5〜4時間である。
【0093】本発明においては、重合によって得られた
ポリマー溶液を減圧乾燥することによりビニル化合物変
性オレフィン重合体[I]と、未反応のビニル単量体
(B)や不活性有機溶剤などとを回分的に分離してもよ
いし、また、得られたビニル化合物変性オレフィン重合
体[I]と、未反応のビニル単量体(B)や不活性有機
溶剤などとを連続的に分離する工程を経て、ビニル化合
物変性オレフィン重合体[I]を連続的に製造してもよ
い。
【0094】なお本発明においては、上記のようにして
得られるビニル化合物変性オレフィン重合体[I]を用
いるに当たり、必要に応じて少量生成するビニル化合物
重合体を溶媒分別などの方法で除去して用いても良い
し、除去せずに用いても良い。
【0095】ビニル化合物変性オレフィン重合体のイオ
ン架橋物 本発明に係るビニル化合物変性オレフィン重合体のイオ
ン架橋物は、上記のビニル化合物変性オレフィン重合体
[I]が、金属イオンの存在下に、加熱されて得られ
る。すなわち、このイオン架橋物は、ビニル化合物変性
オレフィン重合体[I]を金属化合物でイオン架橋させ
ることにより得られる。
【0096】上記金属イオンとしては、具体的には、リ
チウム、ナトリウム、カリウム等の1価の金属陽イオ
ン;亜鉛、コバルト、ニッケル、マンガン、銅、カルシ
ウム、マグネシウム等の2価の金属陽イオン:およびア
ルミニウム等の3価の金属陽イオンなどが挙げられる。
中でも、ナトリウム、カリウム、亜鉛、マグネシウム、
アルミニウムの金属陽イオンが望ましく、ナトリウム、
亜鉛、マグネシウム、アルミニウムの金属陽イオンが好
ましい。特に、ナトリウム、亜鉛、マグネシウムの金属
陽イオンが好ましい。
【0097】上記の金属陽イオンは、1種単独で、ある
いは2種以上組み合わせて用いることができる。上記金
属イオンを発現し得る金属化合物としては、具体的に
は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化亜鉛、水酸化第二コバルト、水酸化第二ニッ
ケル、水酸化第二マンガン、水酸化第二銅、水酸化カル
シウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の
水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸化
物;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水
素化物;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の酢酸塩;酸
化亜鉛、酸化マンガン、酸化銅等の酸化物などが挙げら
れる。中でも、ナトリウム、カリウム、亜鉛、マグネシ
ウムおよびアルミニウムの水酸化物、酸化物、酢酸塩が
望ましい。これらの金属化合物を水溶液として用いる場
合は、この水溶液中における金属化合物の濃度は、通常
10〜80重量%、好ましくは20〜70重量%、さら
に好ましくは20〜60重量%である。
【0098】上記した金属化合物は、ビニル化合物変性
オレフィン重合体[I]100重量部に対して、通常、
1〜40重量部、好ましくは1〜30重量部、さらに好
ましくは1〜20重量部の割合で用いられる。
【0099】また、上記金属化合物の金属をイオン化す
るために、ビニル単量体(B)として上記した不飽和カ
ルボン酸またはその誘導体を金属化合物とともに、ビニ
ル化合物変性オレフィン重合体[I]に添加する。
【0100】このような不飽和カルボン酸またはその誘
導体は、ビニル化合物変性オレフィン重合体[I]10
0重量部に対して、通常、1〜50重量部、好ましくは
1〜40重量部、さらに好ましくは1〜30重量部の割
合で用いられる。
【0101】本発明では、ビニル化合物変性オレフィン
重合体[I]のイオン架橋物は、ビニル化合物変性オレ
フィン重合体[I]を、金属イオンの存在下に、加熱す
ることにより調製するが、この加熱温度は、100〜3
00℃、好ましくは120〜250℃、さらに好ましく
は150〜250℃であることが望ましい。
【0102】本発明に係るビニル化合物変性オレフィン
重合体のイオン架橋物は、ビニル化合物変性オレフィン
重合体[I]中のカルボキシル基の少なくとも一部が、
上記したような金属陽イオンによりイオン架橋(中和)
されている。
【0103】上記したような金属陽イオンによる、ビニ
ル化合物変性オレフィン重合体[I]のカルボキシル基
のイオン化度(中和度)は、そのイオン架橋物の使用目
的により異なるが、金属イオンが上記したような1価の
金属陽イオンである場合、このイオン化度は、通常は、
1〜50モル%、好ましくは1〜40モル%、さらに好
ましくは3〜35モル%であることが望ましく、また、
金属イオンが上記したような2価の金属陽イオンである
場合、イオン化度(中和度)は、通常は、1〜40モル
%、好ましくは1〜35モル%、さらに好ましくは3〜
30モル%であることが望ましい。さらに、金属イオン
が上記したような3価の金属陽イオンである場合、イオ
ン化度(中和度)は、通常は、1〜30モル%、好まし
くは1〜20モル%、さらに好ましくは1〜15モル%
であることが望ましい。上記イオン化度は、IRにより
カルボキシル基のイオン化された量を測定することによ
り求めることができる。
【0104】成形体 本発明に係る成形体は、上記したビニル化合物変性オレ
フィン重合体[I]のイオン架橋物からなる。
【0105】本発明に係る成形体は、ビニル化合物変性
オレフィン重合体[I]のイオン架橋物および必要に応
じて下記の添加剤を含有する組成物を所望の形状に成形
し、加熱することにより調製することができる。
【0106】上記添加剤としては、無機充填剤、有機充
填剤、核剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、ス
リップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、
顔料、染料、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、塩酸吸収
剤、酸化防止剤などが挙げられる。これらの添加剤は、
ビニル化合物変性オレフィン重合体[I]のイオン架橋
物に、本発明の目的を損なわない範囲で配合することが
できる。
【0107】
【発明の効果】本発明に係るビニル化合物変性オレフィ
ン重合体のイオン架橋物は、特定の製造法で調製したビ
ニル化合物変性オレフィン重合体を用いるので、柔軟
性、表面硬度、耐衝撃性、耐摩耗性および耐油性のバラ
ンスに優れている。また、このイオン架橋物は、高温で
の流動性に優れ、成形性に優れ、しかも、アルミ箔等の
金属との接着性にも優れている。
【0108】また、本発明に係る成形体は、上記ビニル
化合物変性オレフィン重合体のイオン架橋物からなるの
で、柔軟性、表面硬度、耐衝撃性、耐摩耗性および耐油
性のバランスに優れ、しかもアルミ箔等の金属との接着
性に優れている。
【0109】したがって、本発明に係る成形体は、防振
材、ダンパー材、タイヤトレッド、タイヤサイドウォー
ルなどの用途に好適である。
【0110】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明は、これらの実施例により何ら限定されるものでは
ない。
【0111】なお、実施例等における引張弾性率、スプ
リング硬さ、耐摩耗性および耐油性の試験は、下記の方
法に従って行なった。 (1)引張弾性率 JIS K 6301に準拠して、JIS3号ダンベルを
用い、スパン間30mm、引張り速度30mm/分の条
件で、23℃にて測定した。 (2)スプリング硬さ スプリング硬さは、JIS K 6301に記載のJIS
Aタイプ法で測定した。 (3)耐摩耗性 JIS K 7204に準拠して、摩耗輪CS−17、荷
重1000g、60rpm、1000回転の条件で摩耗
量を測定し、この摩耗量を耐摩耗性の指標とした。
【0112】(4)耐油性 JIS K 6258に準拠して、50℃で336時間、
JIS 3号油に浸漬した後の体積変化率ΔVを測定
し、この体積変化率ΔVを耐油性の指標とした。
【0113】また、実施例、比較例におけるオレフィン
重合体の融点(Tm)、極限粘度[η]およびMw/M
nは、下記の方法ないし条件で測定した。 (1)融点(Tm) DSCの吸熱曲線を求め、最大ピーク位置の温度をTm
とする。
【0114】示差走査熱量計(DSC)を用いて、試料
をアルミパンに詰め、100℃/分で200℃まで昇温
し、200℃で5分間保持した後、10℃/分で−15
0℃まで降温し、次いで10℃/分で昇温する際の吸熱
曲線より求めた。 (2)極限粘度[η] 極限粘度[η]は、135℃デカリン中で測定した。 (3)Mw/Mn Mw/Mnは、GPC(ゲルパーミエーションクロマト
グラフィー)を用い、オルトジクロロベンゼン溶媒で、
140℃で測定した。
【0115】
【製造例1】容積が1リットルのプラグフロー塔型反応
槽(「新ポリマー製造プロセス」(工業調査会、佐伯康
治/尾見信三著)185頁、図7.5(b)に記載の三
井東圧化学タイプの塔型反応槽と同種の反応槽で10段
に仕切られたC1/C0=0.955を示すもの。)を
連続的重合装置として用いてアクリル酸メチルグラフト
変性エチレン・1-ブテンランダム共重合体(GEB−
1)を製造した。
【0116】すなわち、エチレン含量が53モル%のエ
チレン・1-ブテンランダム共重合体(Mw/Mn=2.
1、極限粘度[η]=3dl/g)を10.5重量部、
アクリル酸メチル27重量部、トルエン69重量部を混
合、溶解させた溶液Aを調製するとともに、トルエン
1.5重量部に、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,
3,5- トリメチルシクロヘキサン0.07重量部を溶解
させた溶液Bを別に調製した。
【0117】次いで、溶液Aと溶液Bとを別々にプラグ
フロー塔型反応槽に全体で400g/hになるように連
続的に供給して、反応槽の縦方向の中央部分が100℃
になるようにしてグラフト重合を行なった。
【0118】上記のようにして得られた重合溶液を、1
90℃で30分間10kPaabs.にて減圧乾燥し、目的
とするポリマー(GEB−1)を得た。得られたポリマ
ー5gにメチルエチルケトン500ccを加えて室温に
て、可溶部と不溶部に分別し、それぞれの成分を真空乾
燥した。得られたメチルエチルケトン不溶部について元
素分析を行ない、酸素含量を測定した結果、酸素含量は
8.9重量%であり、アクリル酸メチル含量は25.0
重量%であった。
【0119】
【製造例2】製造例1において、アクリル酸メチルの代
わりにメタクリル酸メチルを用いた以外は、製造例1と
同様にして、グラフト重合を行ない、目的とするポリマ
ーすなわちメタクリル酸メチルグラフト変性エチレン・
1-ブテンランダム共重合体(GEB−2)を得た。
【0120】得られたポリマー5gにメチルエチルケト
ン500を加えて室温にて、可溶部と不溶部に分別し、
それぞれの成分を真空乾燥した。得られたメチルエチル
ケトン不溶部について元素分析を行ない、酸素含量を測
定した結果、酸素含量は7.1重量%であり、メタクリ
ル酸メチル含量は23.4重量%であった。
【0121】
【製造例3】製造例1において、製造例1で用いたエチ
レン含量が53モル%のエチレン・1-ブテンランダム共
重合体の代わりに、エチレン・プロピレン・ビニルノル
ボルネン共重合体(エチレン含量=75モル%、ビニル
ノルボルネン含量=0.4モル%、プロピレン含量=2
4.6モル%、Mw/Mn=2.8、極限粘度[η]=
1.9dl/g)を用いた以外は、製造例1と同様にし
て、グラフト重合を行ない、目的とするポリマーすなわ
ちアクリル酸メチルグラフト変性エチレン・プロピレン
・ビニルノルボルネン共重合体(GEP−VN)を得
た。
【0122】得られたポリマー5gにメチルエチルケト
ン500ccを加えて室温にて、可溶部と不溶部に分別
し、それぞれの成分を真空乾燥した。得られたメチルエ
チルケトン不溶部について元素分析を行ない、酸素含量
を測定した結果、酸素含量は9.2重量%であり、アク
リル酸メチル含量は25.7重量%であった。
【0123】
【参考例】ペレット状のエチレン含量が53モル%のエ
チレン・1-ブテンランダム共重合体(極限粘度[η]=
2.9dl/g、Mw/Mn=2.1)100重量部に
対して、イルガノックス1010(商品名;チバガイギ
ー社製)0.1重量部、BHT(タケダ)[商品名;武
田薬品工業(株)製]0.1重量部、ステアリン酸カル
シウム0.1重量部を混合した。この配合物に、アクリ
ル酸メチル35重量部、パーヘキシン25B[商品名;
日本油脂(株)製、ラジカル開始剤]1重量部を添加
し、ヘンシェルミキサーで40℃で20分間混合して吸
収含浸させた。
【0124】次いで、得られた含浸ブレンド物を、スク
リュー径が30mmで、L/D=48である同方向型二
軸押出機にフィードし、温度200℃で溶融混練し、ペ
レタイズし、アクリル酸メチルグラフト変性エチレン・
1-ブテンランダム共重合体(GEB−3)のペレットを
得た。
【0125】このペレット状のポリマー5gにメチルエ
チルケトン500ccを加えて室温にて、可溶部と不溶
部に分別し、それぞれの成分を真空乾燥した。得られた
メチルエチルケトン不溶部について元素分析を行ない、
酸素含量を測定した結果、酸素含量は8.4重量%であ
り、アクリル酸メチル含量は23.4重量%であった。
【0126】
【実施例1】製造例1で得られたアクリル酸メチルグラ
フト変性エチレン・1-ブテンランダム共重合体(GEB
−1)100重量部に、アクリル酸メチル10重量部と
40重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液10重量部を
添加し、ペレタイザー付き押出機を用い、150℃で溶
融混練し、ペレタイズすることにより、目的とするアク
リル酸メチルグラフト変性エチレン・1-ブテンランダム
共重合体(GEB−1)のイオン架橋物ペレットを得
た。
【0127】得られたイオン架橋物について、IRによ
りアクリル酸メチルグラフト変性エチレン・1-ブテンラ
ンダム共重合体のカルボキシル基がイオン化された量を
測定し、イオン化度を求めた結果、イオン化度は29%
であった。
【0128】このグラフト変性エチレン・1-ブテンラン
ダム共重合体(GEB−1)のイオン架橋物ペレットを
用い、引張弾性率、スプリング硬さ、耐摩耗性(摩耗
量)および耐油性(ΔV)について、上記方法に従って
試験を行なった。その結果、引張弾性率は4.3MPa
であり、スプリング硬さは80であり、摩耗量は2mg
であり、ΔVは110%であった。
【0129】
【実施例2】製造例2で得られたメタクリル酸メチルグ
ラフト変性エチレン・1-ブテンランダム共重合体(GE
B−2)100重量部に、アクリル酸メチル10重量部
と、40重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液10重量
部を添加し、ペレタイザー付き押出機を用い、150℃
で溶融混練し、ペレタイズすることにより、目的とする
メタクリル酸メチルグラフト変性エチレン・1-ブテンラ
ンダム共重合体(GEB−2)のイオン架橋物ペレット
を得た。
【0130】得られたイオン架橋物について、IRによ
りメタクリル酸メチルグラフト変性エチレン・1-ブテン
ランダム共重合体のカルボキシル基がイオン化された量
を測定し、イオン化度を求めた結果、イオン化度は19
%であった。
【0131】このグラフト変性エチレン・1-ブテンラン
ダム共重合体(GEB−2)のイオン架橋物ペレットを
用い、引張弾性率、スプリング硬さ、耐摩耗性(摩耗
量)および耐油性(ΔV)について、上記方法に従って
試験を行なった。その結果、引張弾性率は4.5MPa
であり、スプリング硬さは82であり、摩耗量は2mg
であり、ΔVは105%であった。
【0132】
【実施例3】製造例3で得られたアクリル酸メチルグラ
フト変性エチレン・プロピレン・ビニルノルボルネン共
重合体(GEP−VN)100重量部に、アクリル酸メ
チル10重量部と40重量%濃度の水酸化ナトリウム水
溶液10重量部を添加し、ペレタイザー付き押出機を用
い、150℃で溶融混練し、ペレタイズすることによ
り、目的とするアクリル酸メチルグラフト変性エチレン
・プロピレン・ビニルノルボルネン共重合体(GEP−
VN)のイオン架橋物ペレットを得た。
【0133】得られたイオン架橋物について、IRによ
りアクリル酸メチルグラフト変性エチレン・プロピレン
・ビニルノルボルネン共重合体のカルボキシル基がイオ
ン化された量を測定し、イオン化度を求めた結果、イオ
ン化度は24%であった。
【0134】このグラフト変性エチレン・プロピレン・
ビニルノルボルネン共重合体(GEP−VN)のイオン
架橋物ペレットを用い、引張弾性率、スプリング硬さ、
耐摩耗性(摩耗量)および耐油性(ΔV)について、上
記方法に従って試験を行なった。その結果、引張弾性率
は5.1MPaであり、スプリング硬さは83であり、
摩耗量は2mgであり、ΔVは100%であった。
【0135】
【比較例】参考例で得られたアクリル酸メチルグラフト
変性エチレン・1-ブテンランダム共重合体(GEB−
3)100重量部に、アクリル酸メチル10重量部と4
0重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液10重量部を添
加し、ペレタイザー付き押出機を用い、150℃で溶融
混練し、ペレタイズすることにより、アクリル酸メチル
グラフト変性エチレン・1-ブテンランダム共重合体(G
EB−3)のイオン架橋物ペレットを得た。
【0136】得られたイオン架橋物について、IRによ
りアクリル酸メチルグラフト変性エチレン・1-ブテンラ
ンダム共重合体のカルボキシル基がイオン化された量を
測定し、イオン化度を求めた結果、イオン化度は25%
であった。
【0137】このグラフト変性エチレン・1-ブテンラン
ダム共重合体(GEB−3)のイオン架橋物ペレットを
用い、引張弾性率、スプリング硬さ、耐摩耗性(摩耗
量)および耐油性(ΔV)について、上記方法に従って
試験を行なった。その結果、引張弾性率は4.2MPa
であり、スプリング硬さは77であり、摩耗量は4mg
であり、ΔVは125%であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 4/64 C08F 4/64 4J100 8/46 8/46 10/00 10/00 255/00 255/00 C08J 3/24 CES C08J 3/24 CESZ 5/00 CES 5/00 CES // C08L 51:06 (72)発明者 藤 堂 昭 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井化学株式会社内 (72)発明者 扇 澤 雅 明 大阪府高石市高砂1丁目6番地 三井化学 株式会社内 (72)発明者 杉 本 隆 一 大阪府高石市高砂1丁目6番地 三井化学 株式会社内 Fターム(参考) 4F070 AA13 AA32 AA37 AB08 AB21 AB22 AC14 AC15 AC16 AC40 AE08 GA07 GB02 GB09 GC06 4F071 AA14 AA77 AA78 AH07 AH08 AH19 BA01 BA02 BA06 BA09 BB01 BC07 4J011 AA05 BA01 BA04 PA64 PC02 PC07 PC08 PC15 4J026 AA12 AC01 AC02 AC33 AC36 BA25 BA27 BA35 DA02 DB02 DB05 DB09 DB13 DB23 DB32 DB38 EA03 EA06 EA08 GA06 GA08 4J028 AA01A AB00A AB01A AC01A AC10A AC28A AC45A AC49A BA01B BA02B BB00B BB01B BB02B BC12B BC15B BC16B BC17B BC18B BC19B BC24B BC25B BC27B EB02 EB03 EB04 EB05 EB06 EB07 EB08 EB09 EB10 EB11 EC01 EC02 EC03 EC04 EC05 GA04 GA06 4J100 AA02P AA03Q AA04Q AA15Q AA16Q AA17Q AA18Q AA19Q AA21Q AR16Q AR22Q AS02Q AS03Q AS11Q AU21Q BA17H CA04 GC01 HA31 HA57 HB36 HB37 HB39 HC27 HC30 HG09 JA28 JA29

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ビニル化合物変性オレフィン重合体[I]
    が、金属イオンの存在下に、加熱されて得られるイオン
    架橋物であり、 該ビニル化合物変性オレフィン重合体[I]は、 プラグフロー型反応槽において、135℃のデカリン中
    で測定した極限粘度[η]が0.01〜10dl/gの
    範囲にあり、かつ、GPCによる分子量分布(Mw/M
    n)が7以下であるオレフィン重合体(A)に、ビニル
    単量体(B)を、塊状重合法、塊状懸濁重合法および溶
    液重合法のいずれかの重合法を用いて連続的にグラフト
    重合して得られることを特徴とするビニル化合物変性オ
    レフィン重合体のイオン架橋物。
  2. 【請求項2】前記プラグフロー型反応槽において、オレ
    フィン重合体(A)に、ビニル単量体(B)を、塊状重
    合法、塊状懸濁重合法および溶液重合法のいずれかの重
    合法を用いて連続的にグラフト重合させる際に、ビニル
    単量体(B)を分割添加することを特徴とする請求項1
    に記載のビニル化合物変性オレフィン重合体のイオン架
    橋物。
  3. 【請求項3】前記金属イオンが、ナトリウム、カリウ
    ム、亜鉛、マグネシウムおよびアルミニウムの陽イオン
    群から選ばれる少なくとも1種の金属イオンであること
    を特徴とする請求項1に記載のビニル化合物変性オレフ
    ィン重合体のイオン架橋物。
  4. 【請求項4】前記ビニル単量体(B)が、不飽和カルボ
    ン酸およびその誘導体の中から選ばれる少なくとも1種
    のビニル化合物であることを特徴とする請求項1または
    2に記載のビニル化合物変性オレフィン重合体のイオン
    架橋物。
  5. 【請求項5】前記ビニル単量体(B)が、無水マレイン
    酸、(メタ)アクリル酸およびその誘導体の中から選ば
    れる少なくとも1種のビニル化合物であることを特徴と
    する請求項4に記載のビニル化合物変性オレフィン重合
    体のイオン架橋物。
  6. 【請求項6】前記オレフィン重合体(A)が、エチレン
    と、炭素原子数3〜20のα- オレフィン、ジエンおよ
    びトリエンの中から選ばれる1種以上の成分とからなる
    エチレン系共重合体であることを特徴とする請求項1に
    記載のビニル化合物変性オレフィン重合体のイオン架橋
    物。
  7. 【請求項7】前記オレフィン重合体(A)が、エチレン
    と、炭素原子数3〜20のα- オレフィンと、ジエンお
    よびトリエンの中から選ばれる少なくとも1種のポリエ
    ンとからなるエチレン系共重合体であることを特徴とす
    る請求項6に記載のビニル化合物変性オレフィン重合体
    のイオン架橋物。
  8. 【請求項8】前記エチレン系共重合体のエチレン含量が
    35〜97モル%であることを特徴とする請求項6また
    は7に記載のビニル化合物変性オレフィン重合体のイオ
    ン架橋物。
  9. 【請求項9】前記オレフィン重合体(A)が、下式
    (I)または(II)で表わされる遷移金属錯体(a)
    と、イオン化イオン性化合物(b)、有機アルミニウム
    化合物(c)およびアルモキサン(d)の中から選択さ
    れる1種以上の化合物とからなるメタロセン系触媒を用
    いて調製された共重合体であることを特徴とする請求項
    1、6および7のいずれかに記載のビニル化合物変性オ
    レフィン重合体のイオン架橋物; 【化1】 [式(I)、(II)中、Mは、Ti、Zr、Hf、R
    n、Nd、SmまたはRuであり、 Cp1およびCp2は、Mとπ結合しているシクロペンタ
    ジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはそれ
    らの誘導体基であり、 X1 およびX2 は、アニオン性配位子または中性ルイ
    ス塩基配位子であり、 Yは、窒素原子、酸素原子、リン原子、または硫黄原子
    を含有する配位子であり、 Zは、C、O、B、S、Ge、SiまたはSn原子ある
    いはこれらの原子を含有する基である。]。
  10. 【請求項10】請求項1〜9のいずれかに記載のビニル
    化合物変性オレフィン重合体のイオン架橋物からなるこ
    とを特徴とする成形体。
  11. 【請求項11】防振材、ダンパー材、タイヤトレッドお
    よびタイヤサイドウォールのいずれかの用途に使用され
    ることを特徴とする請求項10に記載の成形体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015189805A (ja) * 2014-03-27 2015-11-02 豊田合成株式会社 ゴム組成物

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