JP2610904B2 - グラフト変性α―オレフィン共重合体の製造法 - Google Patents

グラフト変性α―オレフィン共重合体の製造法

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JP2610904B2 JP62277687A JP27768787A JP2610904B2 JP 2610904 B2 JP2610904 B2 JP 2610904B2 JP 62277687 A JP62277687 A JP 62277687A JP 27768787 A JP27768787 A JP 27768787A JP 2610904 B2 JP2610904 B2 JP 2610904B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の背景〕 産業上の利用分野 本発明は、α−オレフィンとジアルケニルベンゼンと
からなる共重合体の主鎖とアニオン重合性モノマーの重
合体の側鎖を有するグラフト共重合体の製造方法に関す
る。
従来の技術 スチレンおよびその誘導体などの重合可能な芳香族炭
化水素系モノマーで変性したポリオレフィンには、本来
有していないはずの芳香族系炭化水素重合体との親和性
が付与される。従って、このような変性は、ポリオレフ
ィンの、芳香族系炭化水素重合体との接着性や相溶性を
改良するのに利用される。またある場合には、変性ポリ
オレフィン自体をマトリックス樹脂中に良好に分散させ
ることが可能となり、マトリックス樹脂の耐衝撃性その
他の特性を向上することができる。
また、不飽和カルボン酸エステル類、ニトリル類など
の極性基を分子中に有する重合可能なモノマーで変性さ
れたポリオレフィンには、極性物質との接着性、染色
性、印刷性、他の極性樹脂との混和性が付与される。従
って、このように変性されたポリオレフィンは他物質と
複合した用途に広く用いられる。
このような変性ポリオレフィンを得る変性方法として
は、チーグラー・ナッタ型触媒を用いて造られるポリオ
レフィンを、ビニル芳香族系化合物、共役ジエン化合
物、極性基含有重合性モノマーなどを用いて、ランダム
共重合体、ブロック共重合体あるいはグラフト共重合体
とするなど数多くの試みがなされている。
例えば下記のような製造方法が公知である。
i) チーグラー・ナッタ型触媒からなる一種類の触媒
を用いてα−オレフィンと他の共重合性モノマーをラン
ダム共重合する方法。
(共重合モノマーが含窒素または含酸素ビニルモノマー
である場合:J.Polymer Sci.,partC,No 22,157(196
8),米国特許第3,492,277号公報、特公昭48−37,756号
公報、特開昭55−116,710号公報、同59−80,413号公
報、同59−80,414号公報、Makromol.Chem.,Macromol.Sy
mp.,,193(1986)。共重合性モノマーが共役ジエン類
である場合:J.Polymer Sci.,polym.Chem.Ed.,10,3027
(1972),Makromol.Chem.179,2173(1978)。共重合性
モノマーがスチレン系モノマーである場合:特開昭60−
26011号公報。) これらの方法は、一般に重合活性が低く、重合体収率
が著しく悪い場合がある。また、コモノマーの共重合体
連鎖中の組成や分布を制御することが困難であり、従っ
てポリマー構造の制御された変性ポリオレフィン共重合
体を得にくい。特に、コモノマー単位が連続して重合す
るようなセグメントを含み難いために、α−オレフィン
重合体の特性とコモノマー自身の単独重合体の特性を併
せ持つような変性ポリオレフィンを得ることを目的とす
る場合には適切な変性法とはならない。
ii) α−オレフィンと他の各種重合性モノマーとをブ
ロック共重合することによるポリオレフィンの変性法。
このような変性法としては、まず次のような方法が試
みられている。
イ) α−オレフィンのリビング重合能を有する特定の
バナジウム系チーグラー・ナッタ型触媒を用い、そのリ
ビングポリオレフィンの活性末端に特定の変換処理を施
して末端カルボカチオンを形成させてテトラヒドロフラ
ンを重合させることからなるα−オレフィンとテトラヒ
ドロフランとのブロック共重合体を製造する方法(特開
昭59−196,317号公報、同60−252,623号公報)。同様の
触媒を用い、そのリビングポリオレフィンの活性末端に
ラジカル基を形成させてメチルメタクリレートを重合さ
せることにより、α−オレフィンとメチルメタクリレー
トとのブロック共重合体を製造する方法(Makromol.Che
m.186,11(1985))。また、同じくそのリビングポリオ
レフィンの活性末端へのハロゲンを付加し、このものと
リビングポリスチリルリチウムとのカップリング反応に
よりα−オレフィンとスチレンのブロック共重合体を得
る方法(C.C.Price編,“Coordination Polymerizatio
n"Plenum Pub.,New York(1983),p246)などである。
ロ) さらに、上記と類似した方法として、いわゆるカ
ミンスキー型チーグラー・ナッタ型触媒で得られるポリ
オレフィンの末端二重結合へハロゲンを付加させ、それ
とリビングポリスチリルリチウムとのカップリング反応
により、α−オレフィンとスチレンとのブロック共重合
体を得る方法(特開昭62−158,709号公報)も考えられ
ている。
しかしながらこれらイ)およびロ)の方法では、特定
の特殊なチーグラー・ナッタ他触媒を用いてα−オレフ
ィンを重合するため、製造されるポリオレフィンの連鎖
ブロック部分はポリマー構造が特殊化されてしまう。従
ってこれらの方法により得られるブロック共重合体の用
途が限られたものになる。例えばイ)の方法においてα
−オレフィンとしてプロピレンを使用した場合には、そ
のポリプロピレン連鎖の構造はシンジオタククチック構
造となり、有用なアイソタクチック構造を有するポリプ
ロピレンとの共重合体は得られない。またロ)の方法で
得られた共重合体は分子量分布が狭く、従ってこの方法
は、分子量分布の広い重合体が必要なときに適さない。
さらにイ)およびロ)の製造方法はいずれも、複雑な複
数の反応工程および極低温などの特殊条件下で行なわな
ければならず、ブロック化効率とともに触媒コスト、プ
ロセスコスト等の経済性の点で問題がある。
ハ) ポリオレフィンの活性末端を利用する方法とし
て、一般的なチーグラー・ナッタ型触媒を用いてα−オ
レフィンを重合後、有機リン化合物あるいは第3級アミ
ンなどとベンジルハライドとの特定の触媒種の存在下に
アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどを重合
してブロック共重合体を得る方法も存在する(特開昭52
−38,594号公報、同52−39,786,同52−63,987号公報、
同53−37,791号公報)。しかし、この方法には前段の重
合で一部に不活性化したポリオレフィンが生成したり、
後段の重合に使用し得るコモノマー種が限定されるなど
の問題点がある。
ニ) アニオン重合活性点とチーグラー・ナッタ型重合
活性点とのいわゆる活性点変換法によりポリオレフィン
とポリスチレン、ポリブタジエンとのブロック共重合体
を得る方法も試みられている(特開昭60−20,918号公
報、Eur.polymer J.,17,1175(1981),Makromol.Chem.,
181,1815(1980))。しかし、これらの方法は活性点変
換効率が低いことによる触媒活性の低下およびブロック
効率の低下、また目的とする制御された分子量(特にポ
リオレフィン鎖が高分子量)を有する共重合体を得るこ
とが難しいなどの種々の問題点を有している。
iii) チーグラー・ナッタ型触媒を用いて得られるポ
リオレフィンへ、他の各種重合体モノマーをグラフト共
重合する方法。
チーグラー・ナッタ型触媒によって製造されるポリオ
レフィンへラジカル重合性モノマーをグラフトさせ変性
ポリオレフィンを製造する方法は、古くから数多く試み
られてきた変性法である(特公昭46−18,118号公報な
ど)。このラジカルグラフト反応には、有機過酸化物、
O3(オゾン)、紫外線、放射線などがラジカル発生源と
して用いられている。従って、この反応は特別の線源や
装置を必要とする場合もあって、一般的な方法とならな
い場合もある。有機過酸化物を用いる方法は、上述のよ
うな装置等に関する問題はないが、グラフトされる幹ポ
リマー(ポリオレフィン)の分子切断が生じやすい、ゲ
ル化が生じやすい、グラフトすべき重合性モノマーの単
独重合体が生成しやすい(グラフト効率の低下)、グラ
フト側鎖の分子量の制御が困難であるなどの多くの問題
点(これらは、ラジカルグラフト法に共通に認められ
る)があり、目的とする特性を有するグラフト変性ポリ
オレフィンがなかなか得られにくいことがある。
このようなラジカルグラフト法とは別の方法として、
チーグラー・ナッタ型触媒によるチーグラー・ナッタ型
重合とアニオン重合開始剤によるアニオン重合を組み合
せてα−オレフィン類とアニオン重合性モノマーの重合
体連鎖を有する共重合体を得ようとする試みもなされて
いる(特公昭46−32412号公報)。しかしながら単純に
二つの異なるタイプの重合を組み合せただけでは、二つ
の重合活性種そのものが異なるため、ポリオレフィンと
アニオン重合性モノマーの重合体間に化学結合を介在さ
せて共重合体を形成させることが難かしい。即ち、得ら
れるのは、大部分が二つの型の重合で形成されるそれぞ
れの単独重合体の混合物となってしまう(後記比較例−
1参照)。
この問題点を改良しようとする試みもなされている
(特開昭62−54712号公報、同62−54713号公報)。しか
しながらこの方法ではチーグラー・ナッタ型重合で形成
されたポリα−オレフィンを複雑な特定の後処理、即
ち、チーグラー・ナッタ型重合で使用される有機アルミ
ニウム化合物を不活性炭化水素溶剤で洗浄除去し、さら
にポリα−オレフィンと有機リチウム化合物を接触処理
し、さらにまた未反応有機リチウム化合物を洗浄除去の
後、スチレン類や極性基含有ビニル単量体と共重合を行
なわなければならず、煩雑である。
〔発明の概要〕
要 旨 本発明は上記の点に解決を与えることを目的とし、チ
ーグラー・ナッタ型重合によて特定のエチレン性不飽和
結合を持つオレフィン重合体を形成させ、そこへチーグ
ラー・ナッタ型重合とは異なるアニオン重合によって側
鎖重合体をグラフトさせることによってこの目的を達成
しようとするものである。
即ち、本発明によるグラフト変性α−オレフィン共重
合体の製造方法は、次の工程からなること、を特徴とす
るものである。
工程(a) α−オレフィンと、下記の構造式で表わさ
れるジアルケニルベンゼンとを、周期律表第IV〜VI族の
遷移金属の化合物と一般式RLi、RpMgX2-pおよびAlRqX
3-q(Rは、脂肪族、脂環族または芳香族の炭素数20ま
での炭化水素残基、Xはハロゲン、pは1または2、q
は1〜3)で表わされる有機金属化合物から選ばれる有
機金属化合物を組合わせたチーグラー・ナッタ型触媒を
用いて共重合させて、ジアルケニルベンゼン含有量が0.
05〜5重量%のオレフィン共重合体を製造する工程。
(R1=水素、またはメチル基。R2=炭素数1〜6の炭化
水素残基、n=0または1) 工程(b) 前記工程(a)で得た該共重合体へ、アニ
オン重合開始剤を用いてアニオン重合性モノマーをグラ
フト反応させる工程。
効 果 本発明によるグラフト変性α−オレフィン共重合体の
製造法は、二つの異なるタイプの重合を用いる点では前
記公知技術と同様であるが、特定の重合タイプを組合せ
たこと、側鎖形成開始点を与えるべきエチレン性不飽和
基の導入に特定のモノマー(即ちジアルケニルベンゼ
ン)を使用したことによって、複雑な操作および反応を
含む後処理を必要とすることもなく、グラフト率、グラ
フト効率とも高く、しかもポリα−オレフィンとしての
特性を失うこともなく、アニオン重合性モノマー重合体
でグラフト変性されたポリα−オレフィンを形成させる
ことができる。
本発明によれば、その特性が広範囲に変化し得る各種
の重合体側鎖をポリα−オレフィンへ結合できるので、
その応用範囲は広く、変性ポリα−オレフィンの汎用的
適合法を提供することができる。しかも公知のラジカル
グラフト法などとは異なって、幹ポリマーとなるα−オ
レフィン共重合体の分子鎖切断や架橋を伴なわずにグラ
フト反応が実施できるので、目的とするグラフト変性α
−オレフィン共重合体の設計が従来公知の方法とは異な
って容易となる。即ち、本発明は、公知のアニオングラ
フト法とも異なる新規な方法でなおかつ多くの優れた特
徴を有するものである。
驚くべきことには、本発明の方法では、工程(b)で
のアニオン重合性モノマーの単独重合体がほとんど無視
できる位にしか生成しない、グラフト効率が100%に近
いものまで製造可能であり、不要なアニオン重合性モノ
マーの単独重合体の除去処理が不要となる。従来から、
グラフトあるいはブロック変性ポリオレフィン共重合体
を製造するに際して、グラフト効率を上げることが経済
的にも品質的にも大きな課題の一つであったが、本発明
はその解決法の一つを提供したと言えよう。
また、本発明の方法によれば、工程(a)で得られた
共重合体を何らの処理もすることなくそのまま工程
(b)のグラフト反応に移行できる場合もあるので製造
プロセスコストや作業性など工業的に有利に製造するこ
とができる。
本発明で得られるグラフト変性α−オレフィン共重合
体は、ポリオレフィンと各種の樹脂混合物との相溶化剤
として、またはポリオレフィンと各種樹脂の接着剤とし
て用いることができる。あるいは、本発明の樹脂は、極
性が付与されたポリα−オレフィンとして、その特性を
利用する巾広い機能材料としての用途範囲を有してい
る。
〔発明の具体的説明〕
このように、本発明によるグラフト変性α−オレフィ
ン共重合体の製造法は、工程(a)および(b)からな
ることならびに工程(a)で特定のコノマーすなわちジ
アルケニルベンゼンを使用することに主要な特色を有す
るものである。
工程(a) (1)触媒 本発明の工程(a)で使用されるチーグラー・ナッタ
型触媒とはその遷移金属成分としての公知の周期律表第
IV〜VI族の金属の化合物(ハライド、アルコキシド、ア
セチルアセトナート等)とその有機金属成分として公知
の特定の有機金属化合物との組み合せよりなるものであ
る。
これら遷移金属化合物の代表的なものはチタン、バナ
ジウムおよびジルコニウムの化合物であって、具体的に
は、例えばチタンの場合にはTiCl4、TiCln(OR)
4-n(n=0〜4)、TiCl3・mAlCl3(m=0〜1/3)お
よびこれらの化合物が塩化マグネシウムなどの上に担持
されたいわゆる担持型チタン化合物などである。また、
これら遷移金属化合物が電子供与性化合物で変性された
ものでもよい。
有機金属化合物としては、少くとも一つの炭素−金属
結合を有するリチウム、マグネシウムおよびアルミニウ
ムなどの有機金属化合物があって、一般式RLi、RpMgX
2-p、AlRqX3-q(Rは脂肪族、脂環族または芳香族の炭
素数20までの炭化水素残基、Xはハロゲン、pは1また
は2、qは1〜3)で表わされるものである。
このような有機金属化合物としては、具体的には、エ
チルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリ
チウム、n−ブチルリチウム、Sec−ブチルリチウム、t
ert−ブチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニル
リチウム、ベンジルリチウム、1−ナフチルリチウム、
p−トリルリチウム、シクロヘキシルリチウム、α−メ
チルスチリルリチウム、エチルマグネシウムクロライ
ド、ブチルマグネシウムクロライド、ジブチルマグネシ
ウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミ
ニウム、トリヘキシルアルミニウム、ジエチルアルミニ
ウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライ
ド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどが挙げ
られる。これらの有機金属化合物は電子供与性化合物と
併用して遷移金属化合物と組み合せてチーグラー・ナッ
タ型触媒を形成することもできる。
上記有機金属化合物と遷移金属化合物の使用量比は特
に制限はないが0.5〜500(モル比)の範囲で選定するの
が一般的である。
(2)モノマー 工程(a)では、このようにして形成されたチーグラ
ー・ナッタ型触媒を用いてα−オレフィンとジアルケニ
ルベンゼンとを共重合させる。このとき使用し得るα−
オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン−
1、ペンテン−1、3−メチル−ブテン−1、ヘキセン
−1、4−メチルペンテン−1、3−エチルブテン−
1、ヘプテン−1、4,4−ジメチル−ペンテン−1、3,3
−ジメチル−ブテン−1およびこれらα−オレフィンの
混合物が具体例として挙げられる。
α−オレフィンに関する重合形態としてはホモ重合形
態のみならず、α−オレフィンの混和物を使用した結果
のランダム重合形態、ブロック重合形態いずれであって
もよい。
一方、本発明で使用されるこれらジアルケニルベンゼ
ンは下記の構造式で示されるものであり、o−体、m−
体、p−体などの異性体いずれでもよく、またこれら異
性体の混合物でもよい。またベンゼン環が置換されてい
る各種の誘導体でもよい。
R1=水素、またはメチル基。R2=炭素数1〜6の炭化水
素残基、n=0または1) 具体的に例示すれば、ジビニルベンゼン、イソプロペ
ニルスチレン、ジビニルトルエン、ジビニルナフタレン
(すなわち、R2は縮合ベンゼン環を包含している)など
が使用できる。市販の粗製ジビニルベンゼンにはエチル
ビニルベンゼン、ジエチルベンゼンなども含まれている
がこれらを別段分離しなくても使用できる。
工程(a)における共重合は、通常のチーグラ・ナッ
タ型重合を行うのと同様の条件で実施することができ
る。例えば不活性稀釈剤を使用するいわゆる溶媒重合で
はヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、ト
ルエン、キシレンなどの炭化水素溶媒が使用でき、重合
温度としては0℃〜120℃、好ましくは20℃〜90℃、の
温度で実施することが普通である。重合圧力も広く変え
られる。また、共重合体の分子量調節剤として水素が使
用できる。
工程(a)では、この様に通常の共重合条件の下で重
合が進められる。しかし、本発明において重要なこと
は、α−オレフィンがジアルケニルベンゼンと共重合さ
れていることであり、さらに興味深いことには、その際
二つ有るアルケニル基のうち一つは、α−オレフィンと
の共重合に関与しないで、モノアルケニルベンゼンとし
て共重合体中に残存しているらしいということである。
従って、工程(a)で形成される共重合体は、好ましく
は溶媒可溶のもの(生じるかも知れない未反応アルケニ
ル基の熱重合を防止するため、予じめBr2を付加させて
おく)(溶媒:キシレン、温度:140℃)ということがで
きる。
まず、後に述べる比較例によっても明らかであるが、
ジアルケニルベンゼンが共重合していないポリレフィン
からは、後に述べる工程(b)でアニオン重合開始剤を
用いてアニオン重合性モノマーをグラフト重合しようと
しても、グラフト共重合体を得られない。即ち、工程
(b)によってグラフト共重合体を得るには、ポリオレ
フィンはジアルケニルベンゼンとの共重合体であること
が必須である。
また、工程(b)においてアニオン重合性モノマーが
容易にグラフトしうる事実から、このジアルケニルベン
ゼンが、ポリオレフィン中ではモノアルケニルベンゼン
として存在しており、このグラフト重合反応の開始点あ
るいはマクロマー的重合点になっていると推定される。
ジアルケニルベンゼンが、α−オレフィンとの重合に際
して、なぜ一つのアルケニル基のみが反応にあずかり、
もう一方のアルケニル基がそのまま残存するのか、詳細
な反応機構は不明である。しかしながら、この様な反応
形態は、ジビニルベンゼンのような対称的な構造を有す
るものにもあてはまる。
工程(a)における共重合体中にはジアルケニルベン
ゼン化合物が0.05〜5重量%、含まれるように共重合を
行う。この含量が多すぎるとポリマーのゲル化が起りや
すくなり、また逆に少なすぎると工程(b)でのグラフ
ト反応ができない。
ジアルケニルベンゼンの含量は勿論共重合するα−オ
レフィンの種類によって異なるが、その制御はジアルケ
ニルベンゼン化合物の添加量、添加速度、α−オレフィ
ンの重合系中での濃度、重合温度および重合時間などに
より行なうことが一般的である。
ジアルケニルベンゼン化合物のα−オレフィン共重合
体中での存在分布状態については明らかではないが、ラ
ンダムに分布していると考えるのが妥当であり、また前
述のようにアニオン重合開始点あるいはマクロマー的重
合点がこの部位にあるとの推論より、工程(b)でのア
ニオン重合性モノマーとの共重合の結果、ブロック体で
はなくグラフト体が形成されるものと推定される。しか
し、工程(a)では一部ジアルケニルベンゼン化合物が
ポリα−オレフィンの末端に導入される可能性もあり、
この場合には従って一部ブロック共重合体が含まれる
(本発明で定義されるグラフト共重合体とはこのような
意味でのグラフト共重合体である)。
工程(b) (1)触媒 工程(a)で得られた共重合体は、工程(b)でアニ
オン重合開始剤を用いてアニオン重合性モノマーと共重
合される。
アニオン重合開始剤としては公知のものが使用でき
る。
例えばリチウム、ナトリウム、カリウムのようなアル
カリ金属やアルカリ金属およびマグネシウム、カルシウ
ム、ストロンチウムのようなアルカリ土類金属の金属−
炭素または金属−窒素結合を有する有機金属化合物など
である。特に有機リチウム化合物が好ましく、具体的に
は前記のチーグラー・ナッタ型触媒を形成するのに使用
できる例として挙げた各種の有機リチウム化合物が好ま
しく用いられる。従って本発明では工程(a)の共重合
と、工程(b)でのグラフト共重合を行うに際して同一
種の有機金属化合物を使用することもできる。
これらアニオン重合開始剤は含窒素、含酸素塩基性化
合物やアルカリ金属のアルコキサイド化合物などと併用
して使用することもできる。
(2)モノマー グラフトするアニオン重合性モノマーとしては周知の
ものが使用されるが、例えば一般式 (Rは水素、炭素数1〜8個のアルキルまたは塩素であ
り、Xは塩素、フェニル基、置換フェニル基、−CH=CH
R′、−CN、 −SiR′、−Si(OR′)′ (R′は水素、炭素数1〜8個のアルキルまたはフェニ
ル基)) で表わされるビニル性化合物、即ち、1,3−ジエン類、
モノおよびジビニル芳香族化合物、ビニルクロライド、
ビニリデンクロライド、アクリロニトリル、α−置換ア
クリロニトリル、アクリル酸エステル、α−置換アクリ
ル酸エステル、アクリルアミド類、ビニルケトン類およ
びビニルシラン類などがある。
さらに他のアニオン重合性モノマーとしては一般式 (R″、Rは炭素数1〜8個のアルキル、フェニル
基、n=3または4) で表わされる環状オルガノシロキサン類やアルキルまた
はフェニルイソシアネート類、1,2−エポキシアルカン
類などを使用し得る。
具体的にアニオン重合性モノマーの例を挙げれば、ス
チレン、α−メチルスチレン(o,m,p)−メチルスチレ
ン、(o,m,p)−クロルスチレン、(m,p)−ジビニルベ
ンゼン、(m,p)−ジイソプロペニルベンゼン、(m,p)
−ビニルイソプロペニルベンゼン、ビニルナフタレン、
アセナフタレン、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメ
チルブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−シアノブタ
ジエン、2−クロロブタジエン、2−フェニルブタジエ
ン、ビニルクロライド、ビニリデンクロライド、アクリ
ロニトリル、α−メタクリロニトリル、α−エタクリロ
ニトリル、α−オクチルアクリロニトリル、N,N−ジメ
チルアクリルアミド、N,N−ジオクチルアクリルアミ
ド、N−メチル−N−エチルアクリルアミド、メチルア
クリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレー
ト、シクロヘキシルアクリレート、2−メチルヘキシル
アクリレート、オクチルアクリレート、メチルメタクリ
レート、メチルエタクリレート、エチルメタクリレー
ト、フェニルメタクリレート、2−ビニルピリジン、4
−ビニルピリシン、エチルビニルケトン、t−ブチルビ
ニルケトン、N−ビニルカルバゾール、トリメトキシビ
ニルシラン、トリエトキシビニルシラン、トリ2−メト
キシエトキシシラン、トリアセトキシビニルシラン、ト
リメチルビニルシラン、トリブニルビニルシラン、ジメ
チルジビニルシラン、ヘキサメチルシクロトリシロキサ
ン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサフェ
ニルシクロトリシロキサン、オクタフェニルシクロテト
ラシロキサン、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリフェニ
ルシクロトリシロキサン、トリメチルトリエチルシクロ
トリシロキサン、テトラメチルテトラエチルシクロトリ
シロキサン、トリメチルトリビニルシクロトリシロキサ
ン、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、
n−ブチルイソシアネート、イソブチルイソシアネー
ト、アミルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、
オクタデシルイソシアネート、フェニルイソシアネー
ト、ベンジルイソシアネート、アリルイソシアネート、
トリルイソシアネート、p−メトキシフェニルイソシア
ネート、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2
−エポキシブタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポ
キシオクタン、2−フェニル−1,2−エポキシエタン、
4−フェニル1,2−エポキシブタンなどがある。
これらアニオン重合性モノマーは単独で、または2成
分以上を混合あるいは逐次的に使用することもできる。
すなわち、アニオン重合性モノマーの重合グラフト鎖は
単独、ランダムおよびブロック重合鎖であってもよい。
工程(b)の重合溶媒は工程(a)で用いたものと同
一の溶媒も使用できる。従ってこのような場合は工程
(a)の共重合と工程(b)の共重合を連続して実施す
ることができる。さらにテトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、エチルエーテル、ピリジンなどの非プロトン性極性
溶媒も使用できるが炭化水素溶媒を使用することがより
好ましい。
重合温度は−78℃〜150℃の範囲が選ばれるが、作業
性の点から0℃〜130℃の温度で常圧下または加圧下で
行うことが好ましい。反応時間は0.1〜10時間、好まし
くは0.3〜8時間、である。工程(b)の重合はグラフ
ト効率の点から系が均一な状態で行うことが好ましい
が、必ずしもこのことは必須の要件ではない。
本発明の方法においては、グラフト変性α−オレフィ
ン共重合体中のアニオン重合性モノマー重合体の重量組
成やその分子量などをポリα−オレフィンの変性の目的
に応じて変えることができるが、アニオン重合性モノマ
ーのグラフト共重合体中の含有量は5重量%から90重量
%の範囲とするのが一般的である。これら重量組成やそ
の分子量は工程(a)の共重合体中のジアルケニルベン
ゼン化合物の含量や、アニオン重合性モノマーの使用量
比などで変えられると共に、(アニオン重合性モノマー
/アニンオン重合開始剤)量比、工程(b)の重合温
度、時間などにより制御できる。
本発明によるグラフト変性共重合体のゲル化防止の視
点からは、工程(b)は工程(a)の共重合体にアニオ
ン重合性モノマー添加後に触媒を添加するという順序で
実施することが好ましい。
要約すれば、本発明の方法を実施する場合、各重合工
程で使用されるモノマーの種類と量、重合圧力、重合温
度、重合時間、触媒の種類および量などを適当に選定す
ることにより生成するグラフト変性α−オレフィン共重
合体のグラフト率、分子量などの各種特性を適宜調節す
ることができる。
実 験 例 実施例1 (1) 工程(a)の共重合 撹拌および温度制御装置を有する内容積1リットルの
ステンレス鋼製オートクレーブに、真空−プロピレン置
換を数回くり返した後充分に脱水および脱酸素したn−
ヘプタンを500ml、ジビニルベンゼン(東京化成社製、
m−体およびp−体の混合物、ジビニルベンゼン含量53
%)20ml、ジエチルアルミニウムクロライド234mg、三
塩化チタン(東洋ストウファー社製、TTA−12)100mg
(Al/Ti=3モル比)をこの順序で導入し、水素を450ml
加えて、プロピレンとジビニルベンゼンとの共重合を開
始した。共重合はプロピレン圧力7kg/cm2G、65℃で3時
間行なった。
共重合終了後、残存モノマーをパージし、ポリマース
ラリーを別して共重合粉体ポリマー108.8gを得た。そ
の共重合体の触媒活性は3,500g共重合体/gTi成分固体触
媒、MFRは5.0g/10分、また沸騰ヘプタン抽出法による立
体規則性は98.1%であった。
(2) 工程(b)のグラフト共重合 窒素ガスで置換された内容積300mlの三つ口フラスコ
へ、上記工程(a)で得た共重合ポリマー4.0gを導入
し、80℃で2時間の真空加熱処理後、窒素ガス雰囲気下
で精製トルエン100mlを加え、110℃に昇温後スチレンモ
ノマー8.8ml(8.0g)を加えた。n−ブチルリチウム4.7
7ミリモル(ヘキサン溶液)をゆっくりと滴下し、110℃
の温度で1時間、スチレンのグラフト共重合を行った。
この共重合終了後、大過剰のメタノールを用いて重合物
を析出させ、乾燥して11.8gの重合体を得た。スチレン
モノマーの転化率は、使用した工程(a)での共重合部
分が全量回収されたと仮定すると、97.5%である。
(3) ポリマーの分析 (3−1) 工程(a)の共重合体 工程(a)の共重合体中の重合したジビニルベンゼン
含有量を紫外線スペクトル法により測定したところ、0.
40重量%であった。
またゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GP
C)法によるこの共重合体のポリスチレン換算数平均分
子量(n)は6.34×104であり、重量平均分子量(
w)は41.1×104であった(第1図参照)。
(3−2) 工程(b)の共重合体 工程(b)で得たグラフト共重合体の赤外(IR)スペ
クトルにはポリスチレンに特有の吸収スペクトルが1600
cm-1および700cm-1附近に認められた。このグラフト共
重合体3.01gについて、抽出溶媒としてメチルエチルケ
トン(MEK)を使用してソックスレイ抽出を5時間行っ
たところ、1.90gのMEK抽出不溶ポリマーを得た。このME
K抽出不溶ポリマー中のポリスチレン含量をIR分析法で
定量したところ、40.5重量%であった。従って、〔抽出
溶媒で抽出されないアニオン重合性モノマーの重合体
(重量)/工程(b)で重合したアニオン重合性モノマ
ーの全重合体(重量)〕×100で定義されるグラフト効
率は39%である。
このMEK抽出不溶ポリマーのGPCデータは第1図に示す
通りであった。ここで数平均分子量および重量平均分子
量はそれぞれn=7.37×104、w=54.4×104であっ
た。
(4) 接着性の評価 本実施例で得た重合体のMEK抽出不溶物のポリスチレ
ングラフト変性ポリプロピレンの接着性能を評価するた
め、ポリプロピレンシートとポリスチレンシートとの間
にグラフト変性ポリプロピレンを薄膜状に拡げた後、熱
圧着してその剥離強度を測定した。具体的な試験条件は
次の通りである。100mm×100mm、厚さ0.8mmのポリプロ
ピレンシート(三菱油化(株)製MA−6)の上にグラフ
ト変性ポリプロピレンの2.5(重量/体積)%熱キシレ
ン溶液2mlをのせ、手早くスパイラルアプリケーターで
均一に拡げた。完全に乾燥した後、100mm×100mm、厚み
2mmのポリスチレンシート(三菱モンサント(株)製HF
−77)を重ね、熱プレス機を用いて、220℃で3分間予
熱後、1分間、20kg/cm2荷重で熱圧着する。得られた積
層シートを幅1cmで切り出し、インストロン引張試験機
を用いて、JIS−K−6854に準拠して、移動速度200mm/m
inで180゜剥離試験を行った。
得られた結果は、表−1に示す通りであった。
これによると、本実施例で得た変性ポリプロピレン
は、十分な接着性を有することが判る。
実施例2〜4 実施例1における工程(a)でのジビニルベンゼン導
入量を変える以外はすべて実施例1と全く同一の方法、
条件にてポリスチレングラフト変性ポリプロピレンを製
造した。ただし工程(b)での重合溶媒には精製キシレ
ンを用いた。
得られた結果は表−2に示す通りであった。
実施例5〜8 実施例1の工程(a)で得られた共重合体を用いてス
チレンのグラフト重合条件を種々変えて、ポリスチレン
グラフト変性ポリプロピレンを製造した。表−3に記載
した以外の工程(b)の条件は実施例1の条件と同一で
ある。
得られた結果は、表−3に示す通りであった。
実施例9 (1) 工程(a)の共重合 撹拌および温度制御装置を有する内容積1リットルの
ステンレス鋼製オートクレーブに、真空−プロピレン置
換を数回くり返した後充分に脱水および脱酸素したn−
ヘプタン500ml、ジビニルベンゼン(実施例−1で使用
しているものと同じ)2ml、n−ブチルリチウム1.93ミ
リモル、四塩化チタン0.987ミリモル(Li/Ti=2モル
比)をこの順序で導入してチーグラー・ナッタ型触媒を
形成させた。水素を1500ml加えた後、エチレン及びプロ
ピレンの混合ガスを連続的に、それぞれ13g/hr、33g/hr
の速度および量比でオートクレーブに導入してエチレン
/プロピレン/ジビニルベンゼンの共重合を行なった。
共重合温度および時間はそれぞれ25℃、2時間である。
(2) 工程(b)のグラフト共重合 上記の工程(a)の共重合後、オートクレーブ気相部
のガスをパージして直ちに窒素ガス下スチレン20ml、n
−ブチルリチウム3.85ミリモルを加えて25℃から80℃に
昇温し、3時間グラフト共重合を行なった。
このグラフト共重合後、オートクレーブ内容物の全量
をスチームストリッピングすることにより、33.1gの目
的とするポリスチレングラフト変性EPRを得た。
(3) ポリマーの分析 上記ポリスチレングラフト変性EPRをIRスペクトル法
でその組成を分析したところ、ポリスチレン含有量は6
3.3重量%であり、エチレン/プロピレン重量組成比は6
0.0/40.0であり、スチレン転化率はほぼ100%であっ
た。
またこのポリマーのGPCデータは第2図に示す通りで
ある。ここでポリプロピレン換算の数平均分子量および
重量平均分子量はそれぞれn=2.58×104、w=33.
5×104であり、分子量分布は非常に広いといえる。
本ポリマー3.11gを用いてMEK溶媒によるソックスレイ
抽出を5時間行なったところ、3.05gのMEK抽出不溶ポリ
マーが得られた。このMEK不溶ポリマー中のポリスチレ
ン含量は62.4重量%であった。
従って、前記の定義によるポリスチレングラフト効率
は96.7%である。
このMEK不溶ポリマーのGPCデータは第2図に示す通り
である。その数平均分子量および重量平均分子量はそれ
ぞれn=3.41×104、w=30.2×104であった。
実施例10、11 実施例9におけるジビニルベンゼン使用量をそれぞれ
所定量変える以外は同一の条件および方法で工程(a)
の重合を実施した。
工程(a)の重合後、直ちに同一オートクレーブ中へ
スチレン20ml、n−BuLi 7.73mMを加えて、実施例9と
同一の条件にて工程(b)のスチレングラフト重合を実
施した。表−4はこれらの結果およびポリマーの分析結
果を示すものである。
実施例12、13 工程(b)において使用するn−BuLi量を変えた以外
は実施例9と全く同一の方法、条件でポリスチレングラ
フト変性EPRを製造した。これらの結果を比較のため前
述の実施例9および11と共に表−5に示した。
なお実施例12では工程(b)においてアニオン重合開
始剤を加えていないが、工程(a)のチーグラー・ナッ
タ型触媒を形成するのに使用したn−BuLiが一部残存し
て工程(b)のアニオン重合開始剤として働き、グラフ
トポリスチレンを形成しているものと思われる。
実施例14 工程(b)におけるポリスチレングラフト重合温度を
50℃にする以外はすべて実施例10と全く同一の条件、方
法で工程(a)および工程(b)の重合を行なった。こ
の結果は表−5に示す通りである。
比較例1 (1) 重合 ジビニルベンゼンを全く使用しないで実施例9におけ
る工程(a)のエチレン/プロピレンの共重合を行なっ
た。この共重合条件はジビニルベンゼンを使用しないこ
と以外は実施例9の工程(a)の他の条件と全く同一で
ある。
本共重合後、オートクレーブ気相部ガスをパージして
窒素ガス下スチレン20ml、n−BuLi7.73mMを加えて25℃
から80℃に昇温してスチレンの重合を行なった。このス
チレンの重合後オートクレーブ内容物の全量をスチーム
ストリッピングすることにより41.7gポリマーを得た。
(2) ポリマーの分析 上記で得たポリマーの組成をIRスペクトル法で分析し
たところ、ポリスチレン含有量は41.7重量%、エチレン
/プロピレン重量組成比は68/32であり、スチレン転化
率96%であった。
またこのポリマーのGPCデータは第3図に示す通りで
ある。ここでポリプロピレン換算での数平均分子量およ
び重量平均分子量はそれぞれn=1.92×104、w=3
1.0×104であった。
本ポリマー3.04gについてMEK溶媒によるソックスレイ
抽出を5時間行なったところ、1.97gのMEK抽出不溶ポリ
マーを得た。このMEK不溶ポリマーのIRスペクトルを測
定するとポリスチレン特有の1600cm-1附近の吸収が極く
わずかしか検出できなかった。少なすぎてほとんど定量
不可能な含量ではあるが、計算上では2%弱のポリスチ
レン含有量となる。この数値を用いてグラフト効率を計
算すると3%程度となり、実施例の数値と比較しても極
めて小さい。実質的にはグラフトポリスチレンは生成し
ていないと考えられる数値である。
このMEK抽出不溶ポリマーおよび可溶ポリマーのGPCデ
ータは第3図に示す通りであるが、実施例9のGPCパタ
ーンとは明確に異なっており、やはりグラフト共重合体
ではなく、あたかもEPRとポリスチレンのブレンド物を
思わせるパターンである。
参考例1〜5 実施例9〜14の実施方法では工程(a)でどの程度ジ
ビニルベンゼンがα−オレフィン類と共重合しているの
か不明である。そこで、それを調べるために、次のよう
な実験を行った。ジビニルベンゼンをそれぞれ所定量変
える以外は全く同一の条件、方法で実施例9の工程
(a)の共重合を実施後、オートクレーブ内容物を全
量、過剰のメタノール中へ加えてポリマーを析出させ
た。このようにして得た重合体の重合したジビニルベン
ゼン含有量およびその他の特性を調べた。
これらの結果は表−6に示す通りである。
実施例15 (1) 工程(a)の共重合 チーグラー・ナッタ型触媒の遷移金属化合物成分とし
て米国特許第4,563,436号明細書に記載の方法に従って
調製した塩化マグネシウム担持型チタン触媒チタン原子
換算で1mg(チタン担持率3.85重量%)を、有機金属化
合物成としてトリエチルアルミニウム500mgを電子供与
性化合物添加剤としてt−ブチルメチルジメトキシシラ
ン69.4mg(Si/Al=0.1モル比)をそれぞれ用い、ジビニ
ルベンゼン(実施例1に用いたものと同一)50ml、水素
を800ml使用してプロピレンとジビニルベンゼンとの共
重合を、プロピレン圧力7kg/cm2G、75℃、3時間の条件
で実施例1の方法に従って行った。その結果、160.9gの
共重合粉体ポリマーが得られた。その共重合体の触媒活
性は6200g共重合体/gTi成分固体触媒、MFRは1.5g/10
分、また沸騰ヘプタン抽出法による立体規則性98.7%で
あった。
この共重合粉体ポリマー中の重合ジビニルベンゼン含
有量は0.90重量%であった。
(2) 工程(b)のグラフト共重合 上記工程(a)の共重合粉体ポリマー4.0g、スチレン
のグラフト重合溶媒として精製キシレン100mlを用いる
以外はすべて実施例1の工程(b)と全く同一の条件、
方法によりスレチングラフト変性ポリプロピレン11.9g
を得た。スチレン転化率は99%であった。
(3) ポリマーの分析 このグラフト共重合体3.03gを用いてMEKソックスレイ
抽出を5時間行なったところ、1.89gがMEK抽出不溶ポリ
マーであり、このMEK抽出不溶ポリマー中のポリスチレ
ン含有量は47.5重量%であった。従ってグラフト効率は
44.6%である。
実施例16〜21 実施例9の方法、条件に関して、工程(a)でのα−
オレフィン類、ジビニルベンゼン使用量、あるいは工程
(b)のアニオン重合性モノマー種およびその量、n−
BuLi量、グラフト重合温度などを表−7に記載のものに
変えた以外は実施例9と同一の方法、条件でアニオン重
合性モノマー重合体変性ポリα−オレフィンを製造し
た。
これらの結果は表−7に示す通りである。
またこれらの生成重合体のIRスペクトルは第5〜9図
に示した通りである。
なお、実施例16に関しては注釈すれば、α−メチルス
チレンのアニオン重合でのいわゆる“天井温度”が一般
に室温以下にあるとされていることからすると、IRスペ
クトルからも判断できるが、このように多量に生成ポリ
マー中にその重合体の存在が確認されるのは驚くべきこ
とである。本発明の製造方法に内在する多様な化学反応
の複雑さと巧緻さを示唆するものであろう。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は、それぞれ実施例1および実施例
9で得た共重合体のQPCデータを示すす図、第3図は比
較例1で得た共重合体の、さらに第4図は参考例1で得
た共重合体のGPCデータを示す図、さらに第5〜9図
は、それぞれ実施例16〜21によって得た共重合体のIRス
ペクトルを示す図である。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の工程(a)および工程(b)からなる
    ことを特徴とする、グラフト変性α−オレフィン共重合
    体の製造法。 工程(a) α−オレフィンと、下記の構造式で表わさ
    れるジアルケニルベンゼンとを、周期律表第IV〜VI族の
    遷移金属の化合物と一般式RLi、RpMgX2-pおよびAlRqX
    3-q(Rは、脂肪族、脂環族または芳香族の炭素数20ま
    での炭化水素残基、Xはハロゲン、pは1または2、q
    は1〜3)で表わされる有機金属化合物から選ばれる有
    機金属化合物を組合わせたチーグラー・ナッタ型触媒を
    用いて共重合させて、ジアルケニルベンゼン含有量が0.
    05〜5重量%のオレフィン共重合体を製造する工程。 (R1=水素、またはメチル基。R2=炭素数1〜6の炭化
    水素残基、n=0または1) 工程(b) 前記工程(a)で得た該共重合体へ、アニ
    オン重合開始剤を用いてアニオン重合性モノマーをグラ
    フト反応させる工程。
  2. 【請求項2】α−オレフィンがエチレンおよびプロピレ
    ンから選ばれる一種以上であり、ジアルケニルベンゼン
    がジビニルベンゼンである、特許請求の範囲第1項に記
    載のグラフト変性α−オレフィン共重合体の製造法。
  3. 【請求項3】遷移金属がチタンであり、有機金属化合物
    が一般式RLiおよびAlRqX3-q(Rは、脂肪族、脂環族ま
    たは芳香族の炭素数20までの炭化水素残基、Xはハロゲ
    ン、pは1または2、qは1〜3)で表わされる有機金
    属化合物から選ばれるものである、特許請求の範囲第1
    項または第2項に記載のグラフト変性α−オレフィン共
    重合体の製造法。
  4. 【請求項4】工程(b)のアニオン重合開始剤が、工程
    (b)の開始にあたり新しく追加されている、特許請求
    の範囲第1〜3項のいずれか1項に記載のグラフト変性
    α−オレフィン共重合体の製造法。
  5. 【請求項5】工程(b)のアニオン重合開始剤が有機リ
    チウム化合物である、特許請求の範囲第1〜4項のいず
    れか1項に記載のグラフト変性α−オレフィン共重合体
    の製造法。
  6. 【請求項6】アニオン重合性モノマーのグラフト変性α
    −オレフィン共重合体中の含有量が5重量%から90重量
    %である、特許請求の範囲第1〜5項のいずれか1項に
    記載のグラフト変性α−オレフィン共重合体の製造法。
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