JPH08259769A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH08259769A
JPH08259769A JP8620895A JP8620895A JPH08259769A JP H08259769 A JPH08259769 A JP H08259769A JP 8620895 A JP8620895 A JP 8620895A JP 8620895 A JP8620895 A JP 8620895A JP H08259769 A JPH08259769 A JP H08259769A
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JP
Japan
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conjugated diene
meth
component
polymer
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Application number
JP8620895A
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English (en)
Inventor
Masayuki Sekiguchi
関口  正之
Hiroyuki Ito
博幸 伊藤
Masaaki Motai
政明 馬渡
Hisao Nagai
久男 永井
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JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】力学的性質、剛性、制振性のバランスに優た、
広い温度範囲における制振材用に有用な熱可塑性樹脂組
成物を提供する。 【構成】下記の(A)/(B)/(C)= 5〜80/
5〜70/3〜39 (A)ゴム質重合体の水素添加物に(メタ)アクリル酸
エステル類を主成分とする単量体を重合して得られるグ
ラフト重合体。 (B)(メタ)アクリル酸エステル系重合体 (C)芳香族ビニルー共役ジエン系ブロック共重合体お
よび/またはその水素添加物

Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は、ゴム強化(メタ)アク
リル酸エステル系熱可塑性樹脂および熱可塑性エラスト
マーを必須成分とし、機械的特性に優れ、広い温度範囲
における制振材用に有用な熱可塑性樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、生活環境の快適化を求める動きが
盛んになり、生活環境にある機器からの振動抑制、騒音
の低減が求められている。また、音響機器、家電用品に
おいては、さらに高品位の音質が求められる分野もあ
り、制振特性に優れた新素材の登場が期待されている。
従来、振動制御、騒音の低減を目的として、鋼板に柔軟
なゴム状組成物を塗布、硬化させた制振鋼板や、室温付
近での損失正接(tanδ)が優れるポリプロピレンを
用いるなどの例が見受けられる。しかし、制振鋼板は加
工工程が複雑なため高価であり、また重量物であるため
限られた用途にしか使用できない。また、ポリプロピレ
ンは曲げ弾性率が低く、構造体としてやはり限られた用
途でしか使用できないなどの問題点がある。ところで、
ポリメタクリル酸エステル類は、特定の側鎖構造を有す
ることで室温付近で比較的良好なtanδ値を示す材料
であり、かつ剛性に優れるためポリプロピレンの欠点を
補うものとして期待されるが、耐衝撃性に劣る。また、
tanδ値の温度依存性が大きく、室温より低い温度で
はtanδ値が小さくなり、環境温度(−30℃〜+4
0℃)で、フラットなtanδ特性を示さないなどの欠
点があり、幅広い環境温度に対して高性能な制振性を有
する構造材料用制振材料としての使用は困難である。ま
た、制振性を付与する成分、例えば特開平2-102212や特
開平2-300218にあるようなブロック共重合体、を単に熱
可塑性樹脂に添加して制振性を発現しようとした場合、
優れた機械的特性を有しながら広い温度範囲において良
好な制振性を発現することが困難である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の課題を背景になされたもので、ポリメタクリル酸エ
ステル類の耐衝撃性を改良し、剛性に優れ、構造用材
料,音響部品として適した性能を有する制振性,振動吸
収性を、広い温度範囲において発現する優れた熱可塑性
樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、鋭意、開発に努力をした結果、下記
構成の熱可塑性樹脂組成物に想到し得た。 (A)エチレンーαーオレフィン系ゴム質重合体(イ)
および/または共役ジエン系ゴム質重合体(ロ)の水素
添加物(ハ)の存在下に、(メタ)アクリル酸エステル
類を主成分とする単量体(ニ)を重合して得られるグラ
フト重合体5〜80重量% (B)(メタ)アクリル酸エステル100〜40重量%
および共重合可能な他の単量体0〜60重量%からなる
単量体成分を重合して得られる(メタ)アクリル酸エス
テル系重合体5〜70重量% (C)芳香族ビニル−共役ジエン系ブロック共重合体お
よび/またはその水素添加物3〜39重量% 上記(A)+(B)+(C)=100重量%からなるこ
とを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供するものであ
る。
【0005】以下、本発明を具体的に説明する。本発明
の(A)成分に使用されるエチレンーαーオレフィン系
ゴム質重合体(イ)は、室温でゴム状の性状を示す重合
体である。このエチレンーαーオレフィン系ゴム質重合
体の具体例としては、プロピレン、ブテンー1、3ーメ
チルブテンー1、3ーメチルペンテンー1、4ーメチル
ペンテンー1などのαーオレフィンとエチレンとのブロ
ック共重合体あるいはランダム共重合体が挙げられる。
また、エチレンーαーオレフィン系ゴム質重合体(イ)
のエチレン含有量は10〜90重量%、好ましくは20
〜80重量%、さらに好ましくは30〜70重量%であ
る。
【0006】(A)成分に使用される共役ジエン系ゴム
質重合体(ロ)の水素添加物(ハ)は、共役ジエン系ゴ
ム質重合体(ロ)を、例えば特願昭63−104256
号に示されている公知の方法を用いて水素添加すること
により得られる。ここで言う共役ジエン系ゴム質重合体
(ロ)とは、室温でゴム状の性状を示す重合体であり、
共役ジエンである、例えば、ブタジエン、イソプレン、
ペンタジエンなどの単独重合体や、これらと共重合可能
な芳香族ビニル化合物、例えば、スチレン、tーブチル
スチレン、αーメチルスチレン、pーメチルスチレン、
αーエチルスチレン、メチルーαーメチルスチレンなど
とのランダム共重合体あるいはブロック共重合体が挙げ
られ、好ましくは、ブタジエン単独重合体、ブタジエン
ースチレンブロック共重合体である。
【0007】水素添加前の共役ジエン系ゴム質重合体
(ロ)は、共役ジエンと芳香族ビニル化合物との上記ラ
ンダム共重合体あるいはブロック共重合体の他に、これ
らの混合物でもよい。なお、共役ジエン系ゴム質重合体
(ロ)として、種類の異なる上記重合体の混合物である
場合、水素添加前に混合し、その後水素添加したもので
もよく、また、水素添加後混合してもよい。
【0008】共役ジエン系ゴム質重合体(ロ)中の芳香
族ビニル化合物の含有量は、0〜60重量%、好ましく
は10〜50重量%である。60重量%を超えると制振
性が低下するので好ましくない。共役ジエン系ゴム質重
合体(ロ)のミクロ構造である1,2結合、3,4結合
などのビニル結合含有量は好ましくは10%以上、さら
に好ましくは20〜80%、特に好ましくは30〜60
%であり、制振性および耐衝撃性の一段と優れたものが
得られるので好ましい。
【0009】共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物の
水素添加ブロック共重合体には、AB型、ABA型、テ
ーパー型、ラジカルテレブロック型の構造を有するもの
などが含まれ、これらブロック共重合体の他に、スチレ
ンブロックとスチレンーブタジエンランダム共重合体の
ブロック体の水素添加物、ポリブタジエン中の1,2ー
ビニル結合量が20重量%以下のブロックと1,2ービ
ニル結合量が20重量%を超えるポリブタジエンブロッ
クからなる重合体の水素添加物などが含まれる。
【0010】水素添加前の共役ジエン系ゴム質重合体
(ロ)の数平均分子量は、好ましくは5,000〜1,
000,000、さらに好ましくは30,000〜30
0,000である。数平均分子量が、5,000未満で
あると、本発明の共役ジエン系ゴム質重合体(ロ)がゴ
ム状とならず液状となり、一方、1,000,000を
超えると加工性が低下する傾向を示し好ましくない。
【0011】(A)成分に使用される(メタ)アクリル
酸エステル類を主成分とする単量体(ニ)は、例えば、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類と、
共重合可能なビニル単量体、例えば、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、などのシアン化ビニル化合物
や、スチレン、tーブチルスチレン、αーメチルスチレ
ン、pーメチルスチレン、αーエチルスチレン、メチル
ーαーメチルスチレン、などの芳香族ビニル化合物が挙
げられ、好ましくはそれぞれ、メタクリル酸メチル、ア
クリロニトリル、スチレンが挙げられる。
【0012】上記(メタ)アクリル酸エステル類を主成
分とする単量体(ニ)の組成は、好ましくは(メタ)ア
クリル酸エステル類40〜100重量%、シアン化ビニ
ル化合物0〜30重量%、および芳香族ビニル化合物0
〜30重量%であり、さらに好ましくは、制振性、耐薬
品性、成形性の面から、(メタ)アクリル酸エステル類
60〜90重量%、シアン化ビニル化合物5〜20重量
%、および芳香族ビニル化合物5〜20重量%である。
(メタ)アクリル酸エステル類が40重量%未満である
と制振性が低下するため好ましくない。
【0013】本発明の(A)成分は、これら(メタ)ア
クリル酸エステル類を主成分とする単量体(ニ)を、上
記エチレンーαーオレフィン系ゴム質重合体(イ)およ
び/または共役ジエン系ゴム質重合体(ロ)の水素添加
物(ハ)の存在下に重合して得られるグラフト重合体で
あり、それぞれの使用割合は、得られるグラフト重合体
の制振性、熱変形温度、成形性、耐衝撃性を鑑み任意に
選ぶことができる。例えば、好ましくは(メタ)アクリ
ル酸エステル類を主成分とする単量体(ニ)50〜95
重量%、さらに好ましくは55〜90重量%、特に好ま
しくは60〜85重量%であり、エチレンーαーオレフ
ィン系ゴム質重合体(イ)および/または共役ジエン系
ゴム質重合体(ロ)の水素添加物(ハ)の含有量は残部
が相当する。ここで、メタクリル酸エステル類を主成分
とする単量体(ニ)が50重量%未満であると、制振
性、熱変形温度、成形性が低下して好ましくない。
【0014】本発明の(B)成分は、メタクリル酸エス
テルを主成分とする重合体である。ここで、メタクリル
酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル
酸tーブチル、メタクリル酸t−ブチルシクロヘキシ
ル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ーフェ
ニルアミド、メタクリル酸エチルメタクリル酸フェニ
ル、メタクリル酸ー2ーナフチル、メタクリル酸−2−
エチルヘキシルなどが挙げられ、これらは単独であるい
は混合して用いられる。これらのメタクリル酸エステル
の中では、メタクリル酸メチル、メタクリル酸t−ブチ
ルシクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル
酸ー2ーナフチル、メタクリル酸N−フェニルアミドが
好ましく、なかでもメタクリル酸メチル、メタクリル酸
t−ブチルシクロヘキシルが耐熱性に優れ特に好まし
い。
【0015】また、これらのメタクリル酸エステルに、
メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−ヒドロキシ
エチルなどを少量併用することで、他成分との相溶性が
著しく向上することもある。(B)成分中のメタクリル
酸エステルの使用量は、通常、100〜40重量%、好
ましくは99〜50重量%、さらに好ましくは98〜6
0重量%、特に好ましくは97〜70重量%である。4
0重量%未満では、室温付近でのtanδ値が劣り、制
振性が劣るので好ましくない。
【0016】また、(B)成分中、メタクリル酸エステ
ルと共重合可能な他の単量体とは、メタクリル酸エステ
ル以外のビニル系単量体全般を指す。この他の単量体と
しては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、t−ブ
チルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、
モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、モノブロムス
チレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、p−t
−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレ
ン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、
N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニル
ピリジンなどの芳香族ビニル化合物、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、
N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フ
ェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N
−エチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N
−t−ブチルマレイミドなどのN−置換マレイミド系化
合物、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物
化合物、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボン酸化
合物などが挙げられる。
【0017】これらの他の単量体のなかでは、好ましく
はスチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミ
ド、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、アク
リル酸エステル類などである。これらの他の単量体は、
単独であるいは混合して用いられる。(B)成分中の共
重合可能な他の単量体の使用量は、0〜60重量%、好
ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは2〜40重
量%、特に好ましくは3〜30重量%である。60重量
%を超えて使用した場合、室温付近のtanδ値が低下
し、制振性に劣り、また単量体によっては熱安定性が著
しく低下することがあり、好ましくない。
【0018】本発明の(C)成分に用いられるブロック
共重合体は、ビニル芳香族化合物からなるブロック
(I)と、共役ジエン化合物からなるブロック(II)
より構成され、ブロックの結合の形態が、I−(II−
I)n,または(I−II)n,およびX−(II−I)
n(nは1以上の整数、Xはカップリング剤残基)で表
され、特に限定しない。ビニル芳香族化合物からなるブ
ロック(I)は、ビニル芳香族化合物単独、あるいはビ
ニル芳香族化合物を60重量%以上、好ましくは80重
量%以上含有するビニル芳香族化合物と共役ジエン化合
物との共重合体ブロック構造を有するものである。
【0019】一方、共役ジエン化合物からなるブロック
(II)とは、共役ジエン化合物ブロックが共役ジエン
化合物単独、あるいは共役ジエン化合物を60重量%以
上、好ましくは80重量%以上含有する共役ジエン化合
物とビニル芳香族化合物との共重合体ブロックであっ
て、ビニル芳香族化合物がランダムに結合、あるいは漸
増するいわゆるテーパードブロックを一つ以上有する構
造のいずれでもよい。共役ジエン化合物の1,2結合お
よび3,4結合含有量は、10%以上、好ましくは20
%以上さらに好ましくは30%以上である。1,2結合
および3,4結合含有量が多いと、相溶性が向上し好ま
しく、さらに、室温近傍での制振性を向上させるため好
ましい。
【0020】ビニル芳香族化合物としては、スチレン、
tーブチルスチレン、αーメチルスチレン、p−メチル
スチレン、αーエチルスチレン、メチルーαーメチルス
チレン等があり、これらは一種または二種以上で使用さ
れる。これらのうちスチレンが特に好ましい。共役ジエ
ン化合物としては、例えばブタジエン、イソプレン、ペ
ンタジエンなどが挙げられ、これらは一種または二種以
上で使用される。これらのうち好ましいのはブタジエ
ン、イソプレン、特に好ましいのはイソプレンである。
本発明(C)成分のブロック共重合体の数平均分子量
は、好ましくは10000〜500000、さらに好ま
しくは30000〜400000、特に好ましくは70
000〜300000である。ブロック共重合体中のビ
ニル芳香族化合物は、好ましくは1〜70重量%、さら
に好ましくは5〜50重量%、特に好ましくは10〜3
0重量%である。また、ブロック共重合体として、上記
ブロック共重合体を水素添加したものも使用でき、ある
いは、上記共役ジエン化合物からなるブロック(II)
を水素添加したものからなるブロック共重合体でも良
い。
【0021】本発明の組成中における(A)〜(C)成
分の使用量は、(A)成分5〜80重量%、(B)成分
5〜70重量%、(C)成分3〜39重量%、[ただ
し、(A)+(B)+(C)=100重量%]である。
この組成比は、目的とする組成物に要求される物性に応
じて、上記範囲内で適宣決定されるが、好ましくは
(A)成分10〜75重量%、(B)成分10〜65重
量%、(C)成分5〜39重量%である。さらに好まし
くは、(A)成分20〜70重量%、(B)成分15〜
60重量%、(C)成分7〜38重量%であり、特に好
ましくは(A)成分25〜65重量%、(B)成分20
〜55重量%、(C)成分8〜35重量%である。
【0022】(A)成分が、(A)〜(C)成分中5重
量%未満では、得られる組成物の各成分の分散性が悪
く、かつ耐衝撃性が劣り好ましくなく、一方80重量%
を超えると剛性の低下が大きく好ましくない。また、
(B)成分が、(A)〜(C)成分中5重量%未満で
は、得られる組成物の剛性が低下し、70重量%を超え
ると耐衝撃性が劣り好ましくない。また、(C)成分
が、(A)〜(C)成分中、3重量%未満では、得られ
る組成物の制振性が十分でなく、また、39重量%を超
えると剛性が低下し好ましくない。
【0023】本発明の熱可塑性樹脂組成物中に、次の
(D)成分を加えることで低温(−50〜−80℃)で
の制振性が著しく向上し、また、耐衝撃性が向上するの
で、その目的に応じて添加することができる。すなわち
(D)成分とは、共役ジエン系ゴム質重合体(ロ)に、
(メタ)アクリル酸エステル類を主成分とする単量体
(二)を重合して得られるグラフト重合体である。
【0024】(D)成分に使用される共役ジエン系ゴム
質重合体(ロ)は、(A)成分に挙げた共役ジエン系ゴ
ム質重合体(ロ)と同様である。また、(D)成分に使
用される(メタ)アクリル酸エステル類を主成分とする
単量体(ニ)は、(A)成分で記述した内容がそのまま
適用される。
【0025】本発明の(D)成分は、この共役ジエン系
ゴム質重合体(ロ)に、この(メタ)アクリル酸エステ
ル類を主成分とする単量体(ニ)を重合して得られるグ
ラフト重合体であり、それぞれの使用割合は、得られる
グラフト重合体の制振性、熱変形温度、成形性、耐衝撃
性を鑑み任意に選ぶことができる。例えば、好ましくは
共役ジエン系ゴム質重合体(ロ)5〜50重量%、(メ
タ)アクリル酸エステル類を主成分とする単量体(ニ)
50〜95重量%、さらに好ましくは共役ジエン系ゴム
質重合体(ロ)10〜40重量%、(メタ)アクリル酸
エステル類を主成分とする単量体(ニ)60〜95重量
%である。ここで、メタクリル酸エステル類を主成分と
する単量体(ニ)が50重量%未満であると、制振性、
熱変形温度、成形性が低下して好ましくない。
【0026】本発明の組成中における(D)成分の使用
量は、(A)+(B)+(C)=100重量部に対し、
好ましくは5〜200重量部、さらに好ましくは10〜
150重量部、特に好ましくは20〜100重量部であ
る。(D)成分の使用量が(A)+(B)+(C)=1
00重量部に対し5重量部未満であると、その使用目的
である低温(−50〜−80℃)での制振性の向上と耐
衝撃性の向上を十分に得ることができず、また、200
重量部を超えた場合には各組成物の分散性が低下してし
まい、耐衝撃性が劣る。
【0027】本発明の熱可塑性樹脂組成物の25℃にお
ける曲げ弾性率は、好ましくは10,000kg/cm
2 以上、さらに好ましくは15,000kg/cm2
上、特に好ましくは20,000kg/cm2 以上であ
り、10,000kg/cm2 未満では、剛性が不充分
で構造材料としての使用に適さない。また、本発明の組
成物の−30℃〜+60℃における損失正接(tan
δ)は、好ましくは0.05以上であり、特に好ましく
は0.06以上である。損失正接(tanδ)が、0.
05未満では制振性能に劣る。損失正接(tanδ)が
−30℃〜+60℃において0.05以上であること
で、使用環境における広い温度範囲において良好な制振
性を発現することができる。また、本発明の組成物の2
5℃における損失正接(tanδ)は、好ましくは0.
08以上であり、特に好ましくは0.09以上である。
25℃における損失正接が0.08以上であることで、
室温での使用時において特に優れた制振性を発現するこ
とができる。
【0028】本発明の組成物は、必要に応じて帯電防止
剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光酸化防止
剤、着色剤、滑剤などの、樹脂組成物において一般的に
用いられる添加剤を添加することができる。
【0029】また、本発明の組成物の制振性能、および
機械的性質を向上させるために、必要に応じて木粉を配
合することができる。木粉は、特に制限はないが、得ら
れる組成物の成形品外観を良好にするために、粒子径は
大きなものよりも小さなものが好ましい。木粉は、得ら
れる組成物の熱的あるいは経時的な安定性を保つために
予めアルカリ液で処理してから使用するほうが好まし
い。このアルカリ液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム等のアルカリ金属の水酸化物を使用してもよい。ま
た、木粉はアルカリ処理後に、乾燥し、任意の熱硬化性
樹脂モノマーを含浸した後に硬化、粉砕したものを使用
してもよい。この過程を行うことにより本発明の組成物
に木粉を比較的多量に配合することができる。また、木
粉の他に同様な繊維質素材、例えば籾がらや紙を細かく
粉砕したものも上記と同様にして使用することができ
る。木粉等の繊維質素材は、単独でおよび/または複数
種混合して使用することができる。使用量としては,
(A)〜(C)成分または(A)〜(D)成分の合計1
00重量部に対し、好ましくは2〜100重量部、さら
に好ましくは5〜60重量部、特に好ましくは7〜50
重量部である。
【0030】また、本発明の組成物の機械的性質を向上
させる目的で、無機充填材を使用することができる。
無機充填材の具体例としては、ガラス繊維、ガラスフレ
ーク、ガラスビーズ、中空ガラスビーズ、ガラスミルド
ファイバー、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、カオリ
ン、シリカ、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカー、
酸化亜鉛ウィスカー、酸化チタンウィスカー、ホウ酸ア
ルミニウムウィスカー、ワラストナイト、水酸化アルミ
ニウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられ、目的に応
じていずれも好ましく使用することができる。これら無
機充填剤は単独でおよび/または複数種混合して使用す
ることができる。使用量としては,(A)〜(C)成分
または(A)〜(D)成分の合計100重量部に対し、
好ましくは5〜100重量部、より好ましくは10〜5
0重量部である。
【0031】本発明の組成物を製造するには、バンバリ
ーミキサー、ブラベンダー、プラストミル、ニーダー、
ベント付き押し出し機などの一般に熱可塑性樹脂の混練
り機に用いられる各種の装置を用いて混合することがで
きるが、特にベント付き押し出し機を用いる方法が好ま
しい。特に、無機充填剤を配合する場合には、二軸押し
出し機、あるいは連続ニーダーを用いて製造する方法が
好ましい。混練り温度は、組成にも依存するが、通常、
180〜300℃の範囲内で行うのが好ましい。
【0032】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明の趣旨を越えない限り、本発明は以
下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例
中、部および%は、特に断らない限り重量基準である。
また、実施例中の各種の評価は、次の方法で測定した。
【0033】耐衝撃性 ASTM D256に準じて室温(+25℃)でのアイ
ゾットインパクト(IZ)を測定した。単位は、kgf
cm/cmである。
【0034】メルトフローレート(MFR) ASTM D1238に準じて測定した。測定温度、条
件は、特に断らない限り220℃、10kg荷重で行っ
た。単位は、g/10minである。
【0035】曲げ試験 JIS K7203に準じて曲げ弾性率を測定した。単
位は、kg/cm2 である。
【0036】tanδ(損失正接) 粘弾性測定装置〔東洋ボールドウイン(株)製、DDV
III EP〕を用い、周波数11Hz、測定温度−11
0℃〜+100℃、昇温速度2℃/分で測定した。
【0037】エチレンーαーオレフィン系ゴム質重合体 本発明の(A)グラフト重合体に用いられるエチレンー
αーオレフィン系ゴム質重合体として下記のものを用い
た。 (a)−1 エチレンープロピレン共重合体 エチレン
量40% (a)−2 エチレンーブテン−1共重合体 エチレン
量45%
【0038】共役ジエン系ゴム質重合体の水素添加物 本発明の(A)グラフト重合体に用いられる共役ジエン
系ゴム質重合体の水素添加物として下記のものを用い
た。 (a)−3 ブタジエン−スチレンブロック共重合体 ブタジエン量 60% 1,2−結合30% 水添率97% (a)−4 ポリブタジエン 1,2−結合35% 水添率95%
【0039】グラフト重合体A−1〜A−5の調整 前記(a)−1〜(a)−4の存在下に、表1に示した
単量体をグラフト重合し、グラフト重合体A−1〜A−
5を得た。なお、重合体A−1〜A−5は溶液重合で製
造した。
【0040】
【表1】
【0041】(メタ)アクリル酸エステル系重合体
(B) (B)成分として、以下のものを用いた。 (B)−1;ポリメタクリル酸メチル[メタクリル酸メ
チル(MMA)含量=100%] (B)−2;メタクリル酸メチル−無水マレイン酸共重
合体(MMA含量=93%) (B)−3;メタクリル酸メチル−メタクリル酸グリシ
ジル共重合体(MMA含量=95%) (B)−4;メタクリル酸メチル−スチレン−メタクリ
ル酸共重合体(MMA含量=85%)
【0042】芳香族ビニルー共役ジエン系ブロック共重
合体 (C)成分の芳香族ビニルー共役ジエン系ブロック共重
合体および/またはその水素添加物として、以下のもの
を用いた。 (C)−1;スチレンーイソプレンースチレンブロック
共重合体 「ハイブラー VS−1」株式会社クラレ製、スチレン
含有量20%、1,2(3,4)−結合70% (C)−2;スチレンーイソプレンースチレンブロック
共重合体の水素添加物 「ハイブラー HVS−3」株式会社クラレ製、スチレ
ン含有量20%、1,2(3,4)−結合55% (C)−3;スチレンーブタジエンースチレンブロック
共重合体の水素添加物 スチレン、ブタジエンおよび有機リチウム化合物を用
い、バルク重合により共重合体を得、その後水素添加し
た。スチレン含有量25%、1,2−結合85% なお、(C)−2,(C)−3の水素添加率はいずれも
90%以上である。
【0043】共役ジエン系ゴム質重合体 本発明の(D)グラフト重合体に用いられる共役ジエン
系ゴム質重合体として下記のものを用いた。 (d)−1 ブタジエン−スチレンブロック共重合体 ブタジエン量 60% 1,2−結合10% (d)−2 ポリブタジエン 1,2−結合10%
【0044】グラフト重合体D−1〜D−2の調整 前記(d)−1,(d)−2の存在下に、表2に示した
単量体をグラフト重合し、グラフト重合体D−1,D−
2を得た。なお、重合体D−1,D−2は乳化重合で製
造した。
【0045】
【表2】
【0046】充填剤(E) 充填剤成分として、次の(E)−1,(E)−2を使用
した。 (E)−1;(株)山口雲母工業所製、マイカ(A−2
1) (E)−2;啓和炉材(株)製、ウオラストナイト(サ
イカテックH−08)
【0047】実施例1〜12、比較例1〜7 表3に示す配合処方で混練り機〔Buss社製、Ko−
KneaderMKD 46〕を用いて造粒し、90℃
で乾燥したのち、射出成形機〔東芝機械(株)製、IS
80A〕を用いてテストピースを作製し、物性を評価
した。動的粘弾性のテストピースは、厚み1〜1.2m
mの成形板より、縦50mm、横7mmの短冊状サンプ
ルを切り出して使用した。
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】表3から明らかなように、実施例1〜12
の本発明の組成物は、優れた機械的特性を有しながら、
広い温度範囲において良好な制振性を有し、なおかつ室
温において特に優れた制振性を発現する組成物であるこ
とが分かる。ここで、実施例9,10の組成物では、低
温(−50〜−80℃)での制振性が著しく向上し、ま
た、耐衝撃性が向上した。
【0051】これに対し比較例1は、請求項の(A)成
分の使用量が本発明の範囲外で少ない例であり、広い温
度範囲(−30〜+60℃)において良好な制振性を発
現していない。なおかつ耐衝撃性が劣る。比較例2は、
請求項の(C)成分の使用量が本発明の範囲外で少ない
例であり、室温(+25℃)での制振性が十分でない。
比較例3は、請求項の(B)成分の使用量が本発明の範
囲外で少ない例であり、曲げ弾性率が低く剛性に劣る。
比較例4は、請求項の(A)成分の使用量が本発明の範
囲外で多い例であり、曲げ弾性率が低く剛性に劣る。比
較例5は、請求項の(B)成分の使用量が本発明の範囲
外で多い例であり、、 耐衝撃性が劣る。比較例6は、
請求項の(C)成分の使用量が本発明の範囲外で多い例
であり、曲げ弾性率が低く剛性に劣り、耐衝撃性も劣
る。比較例7は、(D)成分の使用量が好ましい範囲外
で多い例であり、制振性に劣る
【0052】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、力学的
強度、剛性、制振性のバランスに優れたものであり、例
えばモーターなどの回転や振動をする装置を組み入れる
ハウジング材料やその部品、あるいは適度な制振特性と
剛性を要求されるスピーカー振動板またはスピーカー本
体のハウジング、その他、使用環境で振動が伴いそれを
低減しようと考えられるOA・家電分野、電気・電気分
野、雑貨分野、サニタリー分野などの各種パーツなどに
使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永井 久男 東京都中央区築地2丁目11番24号日本合成 ゴム株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)エチレンーαーオレフィン系ゴム質
    重合体(イ)および/または共役ジエン系ゴム質重合体
    (ロ)の水素添加物(ハ)の存在下に、(メタ)アクリ
    ル酸エステル類を主成分とする単量体(ニ)を重合して
    得られるグラフト重合体5〜80重量% (B)(メタ)アクリル酸エステル100〜40重量%
    および共重合可能な他の単量体0〜60重量%からなる
    単量体成分を重合して得られる(メタ)アクリル酸エス
    テル系重合体5〜70重量% (C)芳香族ビニル−共役ジエン系ブロック共重合体お
    よび/またはその水素添加物3〜39重量% 上記(A)+(B)+(C)=100重量%からなるこ
    とを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 【0001】
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20140089920A (ko) * 2013-01-08 2014-07-16 니폰 에이 엔 엘 가부시키가이샤 그라프트 공중합체 및 열가소성 수지 조성물
CN104822786A (zh) * 2012-09-27 2015-08-05 艾利丹尼森公司 振动阻尼粘合剂
JP2020139027A (ja) * 2019-02-27 2020-09-03 テクノUmg株式会社 打音の低減された熱可塑性樹脂組成物及び成形品

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